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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】表示装置、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20230605BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230605BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230605BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20230605BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/00 338
G09F9/30 330
G09F9/30 338
H01L33/62
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019129159
(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2021015177
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194718(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109003996(CN,A)
【文献】特開2006-278385(JP,A)
【文献】特開2014-225586(JP,A)
【文献】特表2016-522585(JP,A)
【文献】特開2017-054092(JP,A)
【文献】特開2003-282478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K9/00-9/90
F21S2/00-45/70
G09F9/00-9/46
H01L21/447-21/449
21/60-21/607
23/12-23/15
25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
33/00-33/64
H01S5/00-5/50
H05K3/32-3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;
前記基板の上に設けられた駆動トランジスタ;
前記基板の上に前記駆動トランジスタを覆って設けられた第1絶縁層;
前記第1絶縁層の上に配置され、前記駆動トランジスタから電流値を制御した信号が与えられる第1実装電極;及び
前記第1実装電極の上に実装され、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極は前記第1実装電極に電気的に接続される発光素子;
を備え、
前記第1実装電極及び前記第1電極は、金属材料から形成され、互いに接合され、
前記第1実装電極は、平面視において前記第1電極と重なる位置に少なくとも1つの第1貫通孔を有する、
表示装置。
【請求項2】
前記発光素子は、マイクロ発光ダイオードである、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
平面視において前記第1貫通孔と重なる、前記基板と前記第1実装電極の間に位置する部分には、レーザーを遮断する遮光層又は金属層が配置されない、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1絶縁層の上に設けられた第2絶縁層;及び
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の間に配置される導電層;を更に備え、
前記第1実装電極は前記第2絶縁層の上に配置され、かつ
前記導電層は、前記第1実装電極と前記駆動トランジスタとを電気的に接続し、透明導電材料から形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1実装電極と第1電極の間には、それらを形成する前記金属材料よりも低融点の金属材料から形成される第1低融点金属層が介在され、前記第1実装電極及び前記第1電極は前記第1低融点金属層によって互いに接合される、請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1低融点金属層は、前記第1貫通孔の少なくとも一部を埋めている、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光素子を介して、前記第1実装電極と対向する位置に配置された対向電極を更に備え、前記対向電極には前記第2電極が電気的に接続される、請求項1~6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1絶縁層の上に配置される第2実装電極を更に備え、
前記第2電極は、前記第2実装電極に電気的に接続され、
前記第2実装電極及び前記第2電極は、金属材料から形成され、互いに接合され、
前記第2実装電極は、平面視において前記第2電極と重なる位置に少なくとも1つの第2貫通孔を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2実装電極と第2電極の間には、それらを形成する前記金属材料よりも低融点の金属材料から形成される第2低融点金属層が介在され、前記第2実装電極及び前記第2電極は前記第2低融点金属層によって互いに接合される、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
平面視において前記第2貫通孔と重なる、前記基板と前記第2実装電極の間に位置する部分には、レーザーを遮断する遮光層又は金属層が配置されない、
請求項8又は9に記載の表示装置。
【請求項11】
基板;
前記基板の上に設けられた駆動トランジスタ;
前記基板の上に前記駆動トランジスタを覆って設けられた第1絶縁層;
前記第1絶縁層の上に配置され、前記駆動トランジスタから電流値を制御した信号が与えられる第1実装電極;及び
前記第1実装電極の上に実装され、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極は前記第1実装電極に電気的に接続される発光素子;
を備え、
前記第1実装電極及び前記第1電極は、金属材料から形成され、互いに接合され、
前記第1実装電極は、平面視において前記第1電極と重なる位置に少なくとも1つの第1貫通孔を有する、
表示装置の製造方法であって、
前記基板側から、前記第1貫通孔を通してレーザーを照射して、前記第1実装電極と前記第1電極とを接合する工程を含む、
表示装置の製造方法。
【請求項12】
基板;
前記基板の上に設けられた第1絶縁層;
前記基板の上に設けられた駆動トランジスタ;
前記基板の上に前記駆動トランジスタを覆って設けられた第1絶縁層;
前記第1絶縁層の上に配置され、前記駆動トランジスタから電流値を制御した信号が与えられる第1実装電極;
前記第1絶縁層の上に配置される第2実装電極;及び
前記第1実装電極及び前記第2実装電極の上に実装され、第1電極及び第2電極を有し、前記第1電極は前記第1実装電極に電気的に接続され、前記第2電極は前記第2実装電極に電気的に接続される発光素子;
を備え、
前記第1実装電極及び前記第1電極は、金属材料から形成され、互いに接合され、
前記第2実装電極及び前記第2電極は、金属材料から形成され、互いに接合され、
前記第1実装電極は、平面視において前記第1電極と重なる位置に少なくとも1つの第1貫通孔を有し、かつ
前記第2実装電極は、平面視において前記第2電極と重なる位置に少なくとも1つの第2貫通孔を有する、
表示装置の製造方法であって、
前記基板側から、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を通してレーザーをそれぞれ照射して、前記第1実装電極と前記第1電極の間、及び前記第2実装電極と前記第2電極の間をそれぞれ接合する工程を含む、
表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLEDディスプレイが知られている。近年では、より高精細化した表示装置として、マイクロLEDと称される微小な発光ダイオード素子を用いた表示装置(以下、マイクロLEDディスプレイと表記)が開発されている。
このマイクロLEDディスプレイは、従来の液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイと異なり、表示領域に、チップ状の多数のマイクロLEDが実装されて形成されるため、高精細化と大型化の両立が容易であり、次世代ディスプレイとして注目されている。
【0003】
マイクロLEDディスプレイの製造では、マイクロLEDをアレイ基板に実装する方法が採用されている。この方法は、アレイ基板の上の実装電極の上にマイクロLEDの電極を当接させ、アレイ基板側からそれらが重なる領域にレーザーを照射して、そのエネルギーによってマイクロLEDをアレイ基板上の実装電極に実装(接合)する。
しかしながら、このような実装方法では、レーザーが金属からなる実装電極によって遮蔽されて減衰する。このため、レーザーのエネルギーがマイクロLEDの電極と実装電極の接合界面に十分に到達せず、実装電極とマイクロLEDの電極の間の金属接合が不十分になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-26540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、マイクロLEDを実装する際のアレイ基板とマイクロLEDとの接合を強固にし得る表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、基板;基板の上に設けられた駆動トランジスタ;基板の上に駆動トランジスタを覆って設けられた第1絶縁層;第1絶縁層の上に配置され、駆動トランジスタから電流値を制御した信号が与えられる第1実装電極;及び第1実装電極の上に実装され、第1電極及び第2電極を有し、第1電極は前記第1実装電極に電気的に接続される発光素子;を備える。第1実装電極及び前記第1電極は、金属材料から形成され、互いに接合され、第1実装電極は、平面視において第1電極と重なる位置に少なくとも1つの第1貫通孔を有する。
【0007】
一実施形態に係る表示装置の製造方法は、基板;基板の上に設けられた駆動トランジスタ;基板の上に駆動トランジスタを覆って設けられた第1絶縁層;第1絶縁層の上に配置され、駆動トランジスタから電流値を制御した信号が与えられる第1実装電極;及び第1実装電極の上に実装され、第1電極及び第2電極を有し、第1電極は第1実装電極に電気的に接続される発光素子;を備える表示装置の製造方法である。当該表示装置において、第1実装電極及び第1電極は、金属材料から形成され、互いに接合され、第1実装電極は、平面視において第1電極と重なる位置に少なくとも1つの第1貫通孔を有する。当該表示装置の製造方法は、基板側から、第1貫通孔を通してレーザーを照射して、第1実装電極と第1電極とを接合する工程を含む。
【0008】
一実施形態に係る表示装置の製造方法は、基板;基板の上に設けられた駆動トランジスタ;基板の上に駆動トランジスタを覆って設けられた第1絶縁層;第1絶縁層の上に配置され、駆動トランジスタから電流値を制御した信号が与えられる第1実装電極;第1絶縁層の上に配置される第2実装電極;及び第1実装電極及び第2実装電極の上に実装され、第1電極及び第2電極を有し、第1電極は第1実装電極に電気的に接続され、第2電極は第2実装電極に電気的に接続される発光素子;を備える表示装置の製造方法である。当該表示装置において、第1実装電極及び第1電極は、金属材料から形成され、互いに接合され、第2実装電極及び第2電極は、金属材料から形成され、互いに接合され、第1実装電極は、平面視において第1電極と重なる位置に少なくとも1つの第1貫通孔を有し、かつ第2実装電極は、平面視において第2電極と重なる位置に少なくとも1つの第2貫通孔を有する。当該表示装置の製造方法は、基板側から、第1貫通孔及び第2貫通孔を通してレーザーを照射して、第1実装電極と第1電極の間、及び第2実装電極と第2電極の間をそれぞれ接合する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る表示装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1の表示装置1の回路構成の一例を示す平面図である。
図3図1の表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。
図4図1の表示装置の第1貫通孔の一例を示す平面図である。
図5】第1貫通孔の他の例を示す平面図である。
図6】第1実施形態の変形例1に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。
図7】第1実施形態の変形例2に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。
図8】第2実施形態に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。
図9】第2実施形態の変形例1に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。
図10】第2実施形態の変形例2に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る表示装置について説明する。以下、本実施形態においては、表示装置1が自発光素子であるマイクロ発光ダイオード(以下、マイクロLED(Light Emitting Diode)と称する)を用いたマイクロLED表示装置である場合について説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る表示装置1の構成を概略的に示す斜視図である。図1は、第1方向Xと、第1方向Xに垂直な第2方向Yと、第1方向X及び第2方向Yに垂直な第3方向Zによって規定される三次元空間を示している。なお、第1方向X及び第2方向Yは、互いに直交しているが、90°以外の角度で交差していてもよい。また、本実施形態においては、第3方向Zを上と定義し、第3方向Zと反対側の方向を下と定義する。「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、第1部材から離れて位置していてもよい。
【0013】
図1に示すように、表示装置1は、表示パネル2、第1回路基板3及び第2回路基板4等を備えている。
表示パネル2は、一例では矩形状である。図示した例では、表示パネル2の短辺EXは、第1方向Xと平行であり、表示パネル2の長辺EYは、第2方向Yと平行である。第3方向Zは、表示パネル2の厚さ方向に相当する。表示パネル2の主面は、第1方向Xと第2方向Yとにより規定されるX-Y平面に平行である。表示パネル2は、表示領域DA、及び表示領域DAの外側の非表示領域NDAを有している。非表示領域NDAは、端子領域MTを有している。図示した例では、非表示領域NDAは、表示領域DAを囲んでいる。
【0014】
表示領域DAは、画像を表示する領域であり、例えばマトリクス状に配置された複数の主画素PXを備えている。端子領域MTは、表示パネル2の短辺EXに沿って設けられ、表示パネル2を外部装置等と電気的に接続するための端子を含んでいる。
【0015】
第1回路基板3は、端子領域MTの上に実装され、表示パネル2と電気的に接続されている。第1回路基板3は、例えばフレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit)である。第1回路基板3は、表示パネル2を駆動する駆動ICチップ(以下、パネルドライバと表記)5等を備えている。なお、図示した例において、パネルドライバ5は、第1回路基板3の上に配置されているが、第1回路基板3の下に配置されていてもよい。また、パネルドライバ5は、第1回路基板3以外に実装されていてもよく、例えば表示パネル2に実装されていてもよいし、例えば第2回路基板4に実装されていてもよい。第2回路基板4は、例えばリジットプリント回路基板(Printed Circuit Board)である。第2回路基板4は、第1回路基板3の例えば下方において第1回路基板3と接続されている。
【0016】
上記したパネルドライバ5は、例えば第2回路基板4を介して制御基板(図示せず)と接続されている。パネルドライバ5は、例えば制御基板から出力される映像信号に基づいて複数の主画素PXを駆動することによって表示パネル2に画像を表示するための制御を実行する。
【0017】
なお、表示パネル2は、斜線を付して示す折り曲げ領域BAを有していてもよい。折り曲げ領域BAは、表示装置1が電子機器等の筐体に収容される際に折り曲げられる領域である。折り曲げ領域BAは、非表示領域NDAのうち端子領域MT側に位置している。第1回路基板3及び第2回路基板4は、折り曲げ領域BAが折り曲げられることによって、表示パネル2と対向するように、表示パネル2の下方に配置される。
【0018】
図2は、表示装置1の回路構成の一例を示す平面図である。
図2に示すように、表示装置1は、アクティブマトリクス型の表示パネル2を備えている。表示パネル2は、絶縁基板21と、絶縁基板21の上に配置された複数の主画素PX、各種の配線、ゲートドライバGD1,GD2、及び選択回路SDと、を有している。
【0019】
複数の主画素PXは、上述するように表示領域DAにてマトリクス状に配列されている。各々の主画素PXは、複数の副画素SPを有している。本実施形態において、主画素PXは、第1色を呈する第1画素SPR、第2色を呈する第2画素SPG、及び第3色を呈する第3画素SPBの3種類の副画素を含んでいる。ここでは、第1色は赤色であり、第2色は緑色であり、第3色は青色である。
【0020】
主画素PXは、発光素子(マイクロLED)及び当該発光素子を駆動するための画素回路を含む。上記画素回路は、後述する駆動トランジスタ及び各種スイッチング素子等を含む。各種スイッチング素子等としては、画素スイッチ、初期化スイッチ、保持容量、補助容量等を含み得るが、ここでは詳述を省略する。駆動トランジスタ、画素スイッチ、及び初期化スイッチは、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)で形成されている。本実施形態において、主画素PX、及び副画素SPの用語で説明したが、PXを画素、SPを副画素と言い換えることも可能である。
【0021】
上記各種の配線は、表示領域DAにて延在し、非表示領域NDAに引き出されている。図2には、各種の配線の一部として、複数本の制御配線SSGと、複数本の画像信号線VLと、を例示している。ゲートドライバGD1,GD2、及び選択回路SDは、非表示領域NDAに位置している。表示領域DAにおいて、制御配線SSG及び画像信号線VLは、画素SPに接続されている。制御配線SSGは、非表示領域NDAにてゲートドライバGD1,GD2に接続されている。画像信号線VLは、非表示領域NDAにて選択回路SDに接続されている。
ゲートドライバGD1,GD2、及び選択回路SDには、パネルドライバ5から各種の信号や電圧が与えられる。
【0022】
図3は、表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。ここでは、上述するマイクロLEDと称される微小な発光ダイオード素子が表示素子として第1実装電極SE1上に実装された例について説明する。
【0023】
図3に示す表示パネル2のアレイ基板ARは、絶縁基板21を備えている。
絶縁基板21としては、TFTを製造する際の処理温度に耐える材質であれば特に限定されないが、例えば、石英、無アルカリガラス等のガラス基板、又はポリイミド等の樹脂基板を使用できる。絶縁基板21が可撓性を有する樹脂基板である場合、表示装置1をシートディスプレイとして構成することができる。なお、絶縁基板21にポリイミド等の樹脂基板を使用する場合、絶縁基板21を有機絶縁層又は樹脂層と称した方が適当な場合があり得る。
【0024】
絶縁基板21上には、アンダーコート層22が設けられている。アンダーコート層22は、単層又は複数層で構成される無機絶縁層である。
アンダーコート層22としては、無機絶縁層から形成されていれば特に限定されないが、例えば、下層22aがシリコン酸化膜(SiO)、中層22bがシリコン窒化膜(SiN)、上層22cがシリコン酸化膜(SiO)である三層積層構造のものを使用できる。このような構成のアンダーコート層22では、下層22aは後述する半導体層SCの絶縁基板21への密着性を向上でき、中層22bは後述する半導体層SCへの外部から水分及び不純物の拡散をブロックでき、上層22cは後述する半導体層SCへの中層22bが含む水素原子の拡散をブロックできる。なお、絶縁基板21にガラス基板を使用する場合、中層22bであるシリコン窒化物(SiN)はガラス基板への密着性が良好なため下層22aを設けなくてもよい。
【0025】
絶縁基板21の上には、遮光層SLが配置されている。遮光層SLは、平面視において駆動トランジスタDRT等の各種のTFTを配置する箇所に合わせて配置されている。
遮光層SLとしては、遮光性の材料で形成されていれば特に限定されないが、例えば、金属層又は黒色樹脂層等を使用できる。遮光層SLによれば、TFTのチャネル領域に対する絶縁基板21側からの光の侵入を抑制でき、当該光に起因するTFTの特性の変化を抑制できる。なお、遮光層SLに金属層等の導電材料を使用する場合、当該遮光層SLに所定の電位を与えてTFTにバックゲート効果を付与することが可能である。
【0026】
アンダーコート層22の上には、駆動トランジスタDRT等の各種の薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている。本実施形態において、駆動トランジスタDRT等のTFTは、半導体層SCに多結晶シリコンを用いたトップゲート型TFTであり、Nチャネル型TFT(NchTFT)である。なお、TFTは、ボトムゲート型TFTであってもよく、Pチャネル型(PchTFT)であってもよく、各構成のTFTが混在して構成されていてもよい。
【0027】
駆動トランジスタDRTなどのTFTは、半導体層SCと、ゲート電極GEと、ソース電極E1と、ドレイン電極E2と、を備えている。半導体層SCは、アンダーコート層22の上に配置されている。本実施形態において、半導体層SCは、平面視において上述する遮光層SLの上に位置するように配置されている。
【0028】
NchTFTの半導体層SCは、第1領域と、第2領域と、第1領域及び第2領域の間のチャネル領域と、チャネル領域及び第1領域の間並びにチャネル領域及び第2領域の間にそれぞれ設けられた低濃度不純物領域と、を有している。第1領域及び第2領域の一方がソース領域として機能し、第1及び第2領域の他方がドレイン領域として機能している。なお、半導体層SCとしては、公知の種々の半導体材料を使用でき、例えば、アモルファスシリコン、酸化物半導体等を使用してもよい。
【0029】
ゲート絶縁膜23は、アンダーコート層22及び半導体層SCの上に設けられている。ゲート電極GEは、ゲート絶縁膜23の上に配置され、半導体層SCのチャネル領域と対向している。ゲート絶縁膜23及びゲート電極GEの上には、層間絶縁膜24が設けられている。層間絶縁膜24の上には、ソース電極E1、ドレイン電極E2、及び陰極コンタクト部LLが設けられている。ソース電極E1及びドレイン電極E2は、それぞれゲート絶縁膜23及び層間絶縁膜24に形成されたコンタクトホールを通り、対応する半導体層SCに電気的に接続されている。平坦化膜25は、層間絶縁膜24、ソース電極E1、ドレイン電極E2、及び陰極コンタクト部LLの上に形成され、TFT及び陰極コンタクト部LLを覆っている。平坦化膜25は、第1絶縁層として機能する。なお、ゲート電極GEは、TFTのゲート電極として機能するに加え、後述する保持容量電極としての機能も有している。
【0030】
ソース電極E1は半導体層SCの第1領域に接続され、ドレイン電極E2は半導体層SCの第2領域に接続されている。ソース電極E1は、層間絶縁膜24、及びTFTのゲート電極(保持容量電極)GEと共に保持容量Cs1を形成している。陰極コンタクト部LLは、絶縁基板21の周縁の端部まで延在され第1回路基板3やパネルドライバ(駆動IC)5を接続する端子として機能する。
【0031】
ゲート電極GEは、金属材料等の導電材料から形成されていれば特に限定されないが、例えば、モリブデン・タングステン合金(MоW)で形成されている。
ソース電極E1、ドレイン電極E2、及び陰極コンタクト部LLは、金属材料等の導電材料で形成されていれば特に限定されないが、例えば、それぞれ三層積層構造(Ti系/Al系/Ti系)を使用することができる。三層積層構造(Ti系/Al系/Ti系)は、Ti(チタン)、Tiを含む合金等Tiを主成分とする金属材料からなる下層と、Al(アルミニウム)、Alを含む合金等Alを主成分とする金属材料からなる中層と、Ti、Tiを含む合金等Tiを主成分とする金属材料からなる上層と、を有している。
【0032】
ゲート絶縁膜23、層間絶縁膜24及び平坦化膜25は、無機絶縁層又は有機絶縁層から形成されていれば特に限定されない。例えば、ゲート絶縁膜23はシリコン酸化膜(SiO)で形成され、層間絶縁膜24はシリコン窒化膜(SiN)及びシリコン酸化膜(SiO)の二層積層構造から形成され、平坦化膜25は感光性アクリル樹脂から形成されている。
【0033】
平坦化膜25の上には、導電層CLが設けられている。導電層CL及び平坦化膜25の上には、絶縁層26が設けられている。絶縁層26は第2絶縁層として機能する。導電層CLは、平坦化膜25に形成されるコンタクトホールを通り、ソース電極E1と電気的に接続される導電層CL1を含んでいる。導電層CLは、後述する第1実装電極SE1の下に配置され、絶縁層26を介して第1実装電極SE1に対向配置される導電層CL2を含んでいる。導電層CLは、平坦化膜25に形成されるコンタクトホールを通り、陰極コンタクト部LLと電気的に接続される導電層CL3を含んでいる。
【0034】
本実施形態において、各導電層CL1,CL2,CL3は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料によって形成されている。絶縁層26は、絶縁材料から形成されていれば特に限定されないが、例えばシリコン窒化膜で形成されている。本実施形態において、導電層CL2、絶縁層26、及び第1実装電極SE1は、補助容量Cs2を形成している。補助容量Cs2は、発光電流量を調整するために設けられる容量である。
【0035】
絶縁層26の上には、第1実装電極SE1が設けられている。第1実装電極SE1は、絶縁層26に形成されるコンタクトホールを通り、導電層CL1を介して、ソース電極E1に電気的に接続されている。本実施形態において、第1実装電極SE1は、後述する発光素子10の第1電極AN(陽極)を実装するための接続端子として機能する。第1実装電極SE1は、画素電極とも称される。第1実装電極SE1には、駆動トランジスタDRTから電流値を制御した信号が与えられる。
【0036】
絶縁層27は、絶縁層26及び第1実装電極SE1の上に設けられている。絶縁層27は、第1実装電極SE1の表面の一部に発光素子10を実装するための開口OP1を有している。図示しないが、絶縁層27は、複数の画素SPが各々備える第1実装電極SE1の上に設けられ、複数の第1実装電極SE1の各々の表面の一部に開口OP1を有している。
【0037】
本実施形態において、第1実装電極SE1は、平面視において第1電極ANと重なる位置に少なくとも1つの第1貫通孔TH1を有する。図4は、第1貫通孔TH1の一例を示す平面図である。本実施形態において、第1実装電極SE1は、絶縁層27の開口OP1によって露出される領域の中央部分であって第1電極ANと重なる位置に10μm×10μmの面積を有する、1つの矩形状の第1貫通孔TH1を有している。絶縁層27の上記開口OP1の大きさは、発光素子10の実装工程における実装ずれ量等を考慮し、発光素子10よりも一回り大きく形成されている。例えば、発光素子10が、実質的に30μm×30μmの実装面積である場合、上記開口OP1は実質的に40μm×40μmの面積が確保されることが好ましい。
【0038】
表示領域DAにおいて、アレイ基板AR(第1実装電極SE1)の上に、発光素子10が実装されている。発光素子10は、第1電極AN(陽極)と、第2電極CA(陰極)と、光を放出する発光層LIと、を有している。第1電極AN及び第2電極CAは、発光層LIを介して対向する位置に配置されている。図3においては、1つの発光素子10のみを図示しているが、発光素子10は、第1色、第2色、及び第3色の発光色を有するものが画素SPに各々設けられ、対応する第1実装電極SE1に実装されている。第2電極CAは、発光素子10からの出射光を取り出すために、透明導電材料によって形成される必要があり、例えばITOやIZO等によって形成されている。
【0039】
本実施形態において、第1実装電極SE1及び発光素子10の第1電極ANは、金属材料から形成され、互いに接合されている。発光素子10は、当該接合によって、第1実装電極SE1に実装されている。
【0040】
発光素子10の第1電極ANと第1実装電極SE1との間の接合は、両者の間で良好な導通が確保でき、かつ、絶縁基板21から絶縁層27までの積層構造を透過するレーザー照射によって、実現されれば特に限定されるものではない。本実施形態においては、第1実装電極SE1及び第1電極ANが直接に接合しており、他の層がそれらの間に介在していない。
【0041】
第1実装電極SE1及び第1電極ANは、金属材料から形成されれば特に限定されない。例えば、第1実装金属SE1及び第1電極ANはAl、Ag(銀)、Au(金)、In(インジウム)、Mg(マグネシウム)、Mo(モリブデン)、Ti(チタン)、W(タングステン)、及びSn(スズ)等の金属材料、又はそれらを含む合金等の金属材料から形成される。第1実装電極SE1及び第1電極ANは、単層構造、又は複数層積層構造のものを使用できる。本実施例においては、第1実装電極SE1及び第1電極ANは、それら接合界面に位置する金属材料がレーザー照射によって与えられる熱エネルギーによって、融点又は共晶温度に到達する材料から構成されることが好ましく、上述の金属材料の中でも、例えば1000℃以下の融点又は共晶温度を有する材料から構成される。本実施形態では、第1実装電極SE1及び第1電極ANは、例えばそれぞれAl又はAl合金から形成される単層構造のものを使用できる。
【0042】
図3に示すように、発光素子10が実装されたアレイ基板ARの上には、素子絶縁層28が設けられている。素子絶縁層28は、アレイ基板ARの上で発光素子10の間の空隙部に充填され、例えば、感光性アクリル樹脂等の有機絶縁材料で形成されている。なお、素子絶縁層28の充填は、発光素子10の第2電極CAの表面が露出するようになされる。
【0043】
対向電極CEは、発光素子10を介して第1実装電極SE1と対向する位置に配置されている。対向電極CEは、素子絶縁層28の上に第2電極CAの表面と接して形成され、当該第2電極CAと電気的に接続される。発光素子10から出射される光は、対向電極CE側から取り出されるために、当該対向電極CEは例えばITOやIZO等の透明導電材料によって形成される。対向電極CEは、表示領域DAに実装された複数の発光素子10の第2電極CAと共通に接続される。対向電極CEは、非表示領域NDAに延在し、非表示領域NDAにおいて陰極コンタクト部LLに電気的に接続されている。対向電極CEは、素子絶縁層28、絶縁層27、絶縁層26、及び平坦化膜25に形成されたコンタクトホールを通して陰極コンタクト部LLに電気的に接続されている。
【0044】
本実施形態において、絶縁基板21と第1実装電極SE1の間に位置し、第1貫通孔TH1と平面視において重なる部分には、レーザーを遮断する遮光層又は金属層が配置されない。すなわち、図3に示すように、第1貫通孔TH1と平面視において重なる位置には、上述する遮光層SL、並びにゲート電極GE、ソース電極E1及びドレイン電極E2等の各種配線は配置されず、外れた位置に配置されている。
【0045】
本実施形態に係る発光素子10を表示素子として用いる表示装置1において、表示パネル2は絶縁基板21から対向電極CEまでの構造を有している。なお、対向電極CEはその上にカバーガラスなどのカバー部材やタッチパネル基板等が設けられてもよい。
【0046】
本実施形態に係る表示装置は、例えば以下の方法により製造することができる。
始めに、絶縁基板21から絶縁層27までの積層構造を有するアレイ基板ARを用意する。続いて、絶縁層27の開口OP1から露出される第1実装電極SE1の上に、発光素子10の第1電極ANを配置する。このとき、第1貫通孔TH1の上に発光素子10の第1電極ANが位置するように配置する。第1実装電極SE1及び発光素子10の第1電極ANは、それぞれ金属材料で形成され、例えばAl合金から形成される単層構造を有している。
【0047】
次いで、レーザーをアレイ基板AR側から、第1実装電極SE1及び第1電極ANが重なる領域の下面に照射する。当該レーザーは、第1実装電極SE1及び第1電極ANの間の接合を促すものであれば特に限定されず、例えばYAGレーザー又はCOレーザーが使用される。照射されたレーザーは、アレイ基板ARを構成する各種絶縁層等を透過し、更に第1実装電極SE1の第1貫通孔TH1を通過して、第1電極ANの下面まで到達する。第1電極ANの下面まで到達したレーザーは、第1実装電極SE1及び第1電極ANの接合すべき界面に熱エネルギーを与え、当該界面を接合させる。例えば、第1実装電極SE1及び第1電極ANがAl合金から形成される場合、当該レーザーを熱エネルギーとして溶融され、接合される。
【0048】
次いで、素子絶縁層28を、アレイ基板ARの上で発光素子10の間の空隙部に充填する。続いて、発光素子10の第2電極CAの表面を露出させるように、素子絶縁層28を平坦化する。その後、従来公知の方法によって、対向電極CEを表示領域DAに実装された複数の発光素子10の第2電極CAに共通接続する。
【0049】
本実施形態に係る表示装置1においては、第1実装電極に第1貫通孔TH1を有している。そのため、第1実装電極SE1及び発光素子10の第1電極ANを金属接合させるためにレーザーをアレイ基板AR側から照射する際、レーザーを当該第1貫通孔TH1を通して第1電極ANに直接照射することができる。レーザーの照射によって発生した熱エネルギーは第1実装電極SE1と第1電極ANの接合すべき界面に移動し、当該界面を接合する。すなわち、第1貫通孔TH1が設けない場合と比較して、当該界面に強固な金属接合を形成することができる。従って、本実施形態によれば第1実装電極SE1と第1電極ANとを強固に金属接合できるため、点欠陥の表示不良を抑制でき、高い信頼性を有する表示装置を提供することができる。
【0050】
更に、本実施形態に係る表示装置1においては、平面視において、第1実装電極SE1及び第1電極ANが重なる領域(特に、第1貫通孔TH1と重なる領域)であって、絶縁基板21と第1実装電極SE1の間に位置する部分には、遮光層や金属層が配置されない。具体的には、遮光層SLやゲート電極GE、ソース電極E1及びドレイン電極E2等の各種配線が、平面視において、第1貫通孔TH1と重ならないように配置することが好ましい。このような構成によれば、レーザーをアレイ基板AR側から照射する際、遮光層や金属層で減衰されることなく、十分な強度を有するレーザーを第1貫通孔TH1を通して第1電極ANに直接照射でき、それらの界面に強固な金属接合を形成することができる。
【0051】
更に、本実施形態に係る表示装置1においては、第1実装電極SE1の下に配置される導電層CL2が透明導電材料で形成することが好ましい。このように導電層CL2を透明導電材料で形成すれば、上記レーザー照射の際、当該レーザーの強度が導電層CL2の透過時に減衰されることなく、第1実装電極SE1と第1電極ANの界面に強固な金属接合を形成できる。
【0052】
なお、上記実施形態においては、上記第1実装電極SE1は画素電極とも称されるものとして説明したがこれに限定されない。例えば、第1実装電極は、画素電極の上に更に有機絶縁材料で形成される平坦化膜を設け、その上に設けられるパット電極等であってもよい。第1実装電極は、当該平坦化膜に設けられるコンタクトホールを介して、画素電極に電気的に接続され、その上に発光素子を実装する構成であってもよい。
なお、各導電層CL1~3は表示装置1の構成によっては形成されなくともよく、補助容量Cs2がない構成であってもよい。
【0053】
なお、上記実施形態においては、第1実装電極SE1が、第1実装電極SE1及び第1電極ANの重なる領域の中央の位置に1つの第1貫通孔TH1を有している例を示して説明したが、第1貫通孔TH1の数や形状はこれに限定されない。第1貫通孔TH1は、複数形成されていてもよく、円形やスリット状等の他の形状であってもよい。例えば、第1貫通孔TH1は、図5(a)に示すように、上記重なる領域に互いに離隔して並列して配置されるスリット等の形状であってもよい。また、第1貫通孔TH1は図5(b)に示すように、当該重なる領域に、複数の矩形状の第1貫通孔TH1が分散して配置される構成であってもよい。このような構成によれば、図4に示すように1つの第1貫通孔TH1を形成する場合と比較して、アレイ基板AR側からのレーザー照射を更に効率的に行うことができ、更に当該接合すべき界面に強固な金属接合を形成することができる。
【0054】
また、第1実装電極SE1及び発光素子10の第1電極ANの接合方法に関しては、上述する第1実装電極SE1及び第1電極ANが重なった領域にアレイ基板AR側からレーザーを照射する手法のみに限定されない。例えば、焼成結合又は超音波接合等の固相接合の手法を組み合わせることで、より強固な金属接合を形成してもよい。これらプロセスを経て第1電極ANと接続された第1実装電極の貫通孔TH1内部は空気層が存在していてもよいし、素子絶縁層28が貫通孔TH1を充填するものであってもよい。
【0055】
(第1実施形態の変形例)
次に、上記第1実施形態の変形例に係る表示装置1について説明する。図6は、第1実施形態の変形例1に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。
【0056】
第1実施形態においては、前述した図3に示すように発光素子10の第1電極ANと第1実装電極SE1が直接接合する場合について説明した。この変形例1では、それらの間に第1低融点金属層CM1を介在し、当該第1低融点金属層CM1によってそれらを相互に接合する。第1低融点金属層CM1は、第1実装電極SE1及び第1電極ANの金属材料よりも低融点の金属材料で形成される。
【0057】
第1低融点金属層CM1は、第1実装電極SE1及び第1電極ANを形成する金属材料よりも低融点の金属材料で形成されれば特に限定されないが、例えば、In(インジウム)、Sn(スズ)、及びTe(テルル)等の金属材料、並びにそれらの合金から形成される金属層である。例えば、当該低融点の金属材料は、融点700℃以下の金属材料であり、好ましくは融点400℃以下の金属材料である。第1低融点金属層CM1には、例えばSn-Pb合金を使用することができる。
【0058】
第1実装電極SE1及び第1電極ANは、例えば第1実施形態の1実装電極SE1及び第1電極ANと同様の材料で形成され、好ましくは、三層積層構造(Ti系/Al系/Ti系、Mo系/Al系/Mo系)、二層積層構造(Al系/Mo系、Ti系/Al系)等が採用できる。
三層積層構造を有する第1実装電極SE1及び第1電極ANは、Ti系/Al系/Ti系に限らず、Mo系/Al系/Mo系であってもよい。Mo系/Al系/Mo系において、第1実装電極SE1及び第1電極ANは、Mo(モリブデン)、Moを含む合金などMoを主成分とする金属材料からなる下層と、Al、Alを含む合金などAlを主成分とする金属材料からなる中間層と、Mo、Moを含む合金などMoを主成分とする金属材料からなる上層と、を有している。
二層積層構造を有する第1実装電極SE1及び第1電極ANは、例えばAlを主成分とする金属材料からなる下層と、Tiを主成分とする金属材料からなる上層と、を有している。第1実装電極SE1は、例えば、それぞれMoを主成分とする金属材料からなる下層と、Alを主成分とする金属材料からなる上層と、を有している。
【0059】
上記構成の変形例1に係る表示装置1においても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。このような構成では、第1実装電極SE1及び第1電極ANの接合すべき界面に第1低融点金属層CM1を介して接合されている。そのため、第1実装電極SE1及び発光素子10の第1電極ANの金属材料の種類に依存せずに、レーザー照射によってこれらの部材間を更に良好に金属接合することができる。
【0060】
第1低融点金属層CM1は、上記接合工程の前に予め第1実装電極の開口OP1上に第1低融点金属層を形成してもよい。第1低融点金属層CM2は、当該低融点材料をレーザーCVD(Chemical Vapor deposition)法により開口OP1に局所的に堆積する、又は当該低融点金属材料を含むクリームはんだ等の材料を塗布する、等の方法によって形成できる。当該低融点金属層CM1は、実装前に第1実装電極SE1及び第1電極ANの一方又は両方に形成してよい。
【0061】
図7は、第1実施形態の変形例2に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。ここで、図7に示すように、第1低融点金属層CM1は、前記第1貫通孔TH1の少なくとも一部を埋めていてもよい。このような構成によれば、第1低融点金属層CM1が第1実装電極SE1の第1貫通孔TH1を埋める分、第1貫通孔TH1の側面と第1低融点金属層CM1との当該接合界面の接合面積が大きくなり、当該界面の電気的な接続が良好になり、当該接合界面の接合強度もより強固になるため好ましい。
【0062】
なお、第1実施形態の変形例における第1低融点金属層CM1に代えて、Agペースト等の導電性ペーストの硬化層が設けられていてもよい。このような表示装置は、第1実装電極SE1と第1電極ANの間に、紫外線レーザー等で硬化が促進される導電性ペーストを介在させ、第1貫通孔TH1を通して、導電性ペーストにレーザーを照射させることで製造することができる。このような構成でも、上述する第1実施形態の変形例に係る表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態に係る表示装置1について図8を参照して説明する。図8は、第2実施形態に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。
【0064】
図8に示すように、第2の実施形態において、当該表示パネル2が更に、第2実装電極SE2を備えている。第1実装電極SE1及び第2実装電極SE2は、絶縁層26上に互いに所望距離隔てて配置されている。絶縁層27は、第1実装電極SE1及び第2実装電極SE2を覆って絶縁層26上に設けられている。絶縁層27は、第1実装電極SE1の上面の一部、及び第2実装電極SE2の上面一部にそれぞれ開口OP2、OP3を有している。第1実装電極SE1の上面の一部は、絶縁層27の開口OP2から露出している。第2実装電極SE2の上面の一部は、絶縁層27の開口OP3から露出している。第2実装電極SE2は、非表示領域NDAまで延在して、平坦化膜25及び絶縁層26に設けられるコンタクトホールを通して、導電層CL3を介して陰極コンタクト部LLに電気的に接続されている。
【0065】
各々の発光素子10’は、発光層LIの下面側に、互いに離隔して設けられている第1電極AN及び第2電極CAを備えている。発光素子10’の第1電極ANは、絶縁層27の開口OP2を通して第1実装電極SE1に電気的に接続されている。発光素子10’の第2電極CA(第2電極)は、絶縁層27の開口OP3を通して第2実装電極SE2に電気的に接続されている。第1実装電極SE1には、平面視において第1電極ANと重なる位置に少なくとも1つの第1貫通孔TH1が開口されている。第2実装電極SE2には、平面視において第1電極ANと重なる位置に少なくとも1つの第2貫通孔TH2が開口されている。
【0066】
第2実施形態において、第1実装電極SE1及び第1電極ANは、金属材料から形成され、互いに金属接合されている。第1実装電極SE1及び第1電極ANは、金属材料で形成されていれば特に限定されず、例えば第1実施形態における第1実装電極SE1及び第1電極ANと同様の材料で形成される。
【0067】
第2実施形態において、第2実装電極SE2及び第2電極CAは、金属材料から形成され、互いに接合されている。第2実装電極SE2及び第2電極CAは、金属材料で形成されていれば特に限定されず、例えば第1実施形態における第1実装電極SE1及び第1電極ANと同様の材料で形成される。
【0068】
第2実施形態において、第1及び第2貫通孔TH1,TH2の平面視において重なる、絶縁基板21と第1実装電極SE1の間、及び絶縁基板21と第2実装電極SE2の間に位置する部分には、レーザー光を遮断する遮光層又は金属層が配置されない。具体的には、平面視において、第1及び第2貫通孔TH1,TH2と重なる位置には、それぞれ遮光層SL、並びにゲート電極GE、ソース電極E1及びドレイン電極E2等の各種配線が配置されず、外れた位置に配置されている。
【0069】
このように構成される第2実施形態に係る表示装置によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。第2実施形態に係る表示装置は、絶縁層26上に配置された第1実装電極SE1及び第2実装電極SE2にそれぞれ第1貫通孔TH1及び第2貫通孔TH2を有している。そのため、発光素子を基板に実装する際、レーザーを第1貫通孔TH1及び第2貫通孔TH2を通して第1実装電極SE1及び第1電極ANの界面近傍の第1電極AN部分、並びに第2実装電極SE2及び第2電極CAの界面近傍に位置する第2電極CA部分にそれぞれ照射できる。その結果、第1実装電極SE1及び第1電極ANの界面、第2実装電極SE2及び第2電極CAの界面に強固な接合を形成することができ、物理的衝撃を受けた際の各界面の電気的接続の切断を抑制できる。従って、本実施形態に係る表示装置によれば、点欠陥の表示不良を抑制でき、高い信頼性を有する表示装置を提供することができる。
【0070】
なお、上記実施形態においては、第1及び第2実装電極SE1,SE2が、それぞれ1つの第1及び第2貫通孔TH1,TH2を有している例を示して説明したが、第1実施形態における第1貫通孔TH1と同様に、第1及び第2貫通孔TH1,TH2の数や形状はこれに限定されず適宜変更されてよい。
【0071】
(第2実施形態の変形例)
次に、上記第2実施形態の変形例に係る表示装置1について説明する。図9は、第2実施形態の変形例1に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。
第2実施形態における変形例1においては、第1実装電極SE1及び第1電極ANの間にそれらの金属材料よりも低融点の金属材料で形成される第1低融点金属層CM1が介在されている。また、第2実装電極SE2及び第2電極CAの間にそれらの金属材料よりも低融点の金属材料で形成される第2低融点金属層CM2が介在されている。第1低融点金属層CM1及び第2低融点金属層CM2は、例えば、第1実施形態の変形例1で説明した第1低融点金属層CM1と同様の材料によって形成することができる。
【0072】
このように構成された変形例1に係る表示装置1においても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、変形例1では第1実装電極SE1と発光素子10’の第1電極ANとが第1低融点金属層CM1を介して接合され、第2実装電極SE2と発光素子10’の第2電極CAとが第2低融点金属層CM2を介して接合されている。そのため、第1及び第2実装電極SE1,SE2、第1及び第2電極AN,CAの金属材料に依存せずに、これらの部材間を良好に金属接合することができる。
【0073】
図10は、第2実施形態の変形例2に係る表示装置の部分断面構造の一例を模式的に示す図である。ここで、図10に示すように、第1低融点金属層CM1及び第2低融点金属層CM2は、それぞれ第1貫通孔TH1及び第2貫通孔TH2の少なくとも一部を埋めていてもよい。このような構成によれば、第1低融点金属層CM1が第1実装電極SE1の第1貫通孔TH1の少なくとも一部、第2低融点金属層CM2が第2実装電極SE2の第2貫通孔TH2の少なくとも一部、それぞれを埋める分、当該接合界面の接合面積が大きくなり、当該界面の電気的な接続が良好になり、第1実装電極SE1と発光素子10’の第1電極ANの界面、第2実装電極SE2と発光素子10’の第2電極CAの界面の接合強度をより強固にできる。
【0074】
なお、第2実施形態の変形例において説明したように、第2実施形態の変形例における第1及び第2低融点金属層CM1,CM2に代えて、Agペースト等の導電性ペーストの硬化層が設けられていてもよい。このような構成でも、上述する第2実施形態の変形例に係る表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
1…表示装置、2…表示パネル、3…第1回路基板、4…第2回路基板、5…パネルドライバ、21…絶縁基板、CL…導電層、SE1…第1実装電極、DRT…駆動トランジスタ、10,10’…発光素子、CE…対向電極、SE2…第2実装電極、AN…第1電極、CA…第2電極、TH1…第1貫通孔、CM1…第1低融点金属層、CM2…第2低融点金属層、TH2…第2貫通孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10