(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】紙葉類処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/16 20190101AFI20230605BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20230605BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20230605BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
G07D11/16
G07D11/60
B65H7/06
B65H31/24
(21)【出願番号】P 2019170479
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 憲一
(72)【発明者】
【氏名】古山 勇樹
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-048482(JP,A)
【文献】特開2017-045171(JP,A)
【文献】国際公開第2011/039833(WO,A1)
【文献】特開2018-190343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
G07F 19/00
B65H 7/06
B65H 31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類処理装置であって、
紙葉類を搬送する搬送路と、
前記搬送路に配置され、前記紙葉類の識別を行う識別部と、
前記搬送路において前記識別部よりも下流に配置され、前記搬送路から搬送された前記紙葉類を集積する第1集積部と、
前記搬送路において前記第1集積部よりも下流に配置され、前記搬送路から搬送された前記紙葉類を集積する第2集積部と、
前記搬送路において前記識別部と前記第1集積部との間に配置され、前記紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出するための搬送異常検出部と、
前記紙葉類処理装置の紙葉類処理を制御する制御部と、を備え、
前記第1集積部は、前記識別部の識別結果に基づいて前記紙葉類を集積する第1集積機能を有しており、
前記第2集積部は、前記識別部の識別結果に基づいて前記第1集積部に集積されない前記紙葉類を集積する第2集積機能を有しており、
前記制御部は、前記搬送異常検出部が前記紙葉類に
前記リジェクト要因が含まれることを検出したときに、前記第2集積機能から前記リジェクト要因を含む前記紙葉類を集積するリジェクト集積機能に切り替えるように、前記第2集積部を制御
し、
前記制御部は、前記第2集積機能から前記リジェクト集積機能に切り替える前において前記第2集積部に既に搬送された前記紙葉類をリジェクト対象として扱うように、前記第2集積部を制御し、
前記制御部は、計数カウンタを有しており、
前記計数カウンタは、前記搬送異常検出部が前記紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、前記リジェクト要因を含む前記紙葉類を計数対象から減算するように構成されており、
前記制御部は、前記第2集積機能から前記リジェクト集積機能に切り替える前において前記第2集積部に既に搬送された前記紙葉類を計数対象から減算するように、前記計数カウンタを制御する、紙葉類処理装置。
【請求項2】
紙葉類処理装置であって、
紙葉類を搬送する搬送路と、
前記搬送路に配置され、前記紙葉類の識別を行う識別部と、
前記搬送路において前記識別部よりも下流に配置され、前記搬送路から搬送された前記紙葉類を集積する第1集積部と、
前記搬送路において前記第1集積部よりも下流に配置され、前記搬送路から搬送された前記紙葉類を集積する第2集積部と、
前記搬送路において前記識別部と前記第1集積部との間に配置され、前記紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出するための搬送異常検出部と、
前記紙葉類処理装置の紙葉類処理を制御する制御部と、を備え、
前記第1集積部は、前記識別部の識別結果に基づいて前記紙葉類を集積する第1集積機能を有しており、
前記第2集積部は、前記識別部の識別結果に基づいて前記第1集積部に集積されない前記紙葉類を集積する第2集積機能を有しており、
前記制御部は、前記搬送異常検出部が前記紙葉類に前記リジェクト要因が含まれることを検出したときに、前記第2集積機能から前記リジェクト要因を含む前記紙葉類を集積するリジェクト集積機能に切り替えるように、前記第2集積部を制御し、
前記第2集積部は、複数設けられており、
前記各第2集積部には、前記紙葉類の有無を検出する検出部が設けられており、
前記制御部は、前記複数の第2集積部において少なくとも1つの前記第2集積部に前記紙葉類が集積されていないことを前記検出部が検出したときに、前記第2集積機能から前記リジェクト集積機能に切り替えるように、前記紙葉類が集積されていない前記第2集積部を優先的に制御する、紙葉類処理装置。
【請求項3】
紙葉類処理装置であって、
紙葉類を搬送する搬送路と、
前記搬送路に配置され、前記紙葉類の識別を行う識別部と、
前記搬送路において前記識別部よりも下流に配置され、前記搬送路から搬送された前記紙葉類を集積する第1集積部と、
前記搬送路において前記第1集積部よりも下流に配置され、前記搬送路から搬送された前記紙葉類を集積する第2集積部と、
前記搬送路において前記識別部と前記第1集積部との間に配置され、前記紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出するための搬送異常検出部と、
前記紙葉類処理装置の紙葉類処理を制御する制御部と、を備え、
前記第1集積部は、前記識別部の識別結果に基づいて前記紙葉類を集積する第1集積機能を有しており、
前記第2集積部は、前記識別部の識別結果に基づいて前記第1集積部に集積されない前記紙葉類を集積する第2集積機能を有しており、
前記制御部は、前記搬送異常検出部が前記紙葉類に前記リジェクト要因が含まれることを検出したときに、前記第2集積機能から前記リジェクト要因を含む前記紙葉類を集積するリジェクト集積機能に切り替えるように、前記第2集積部を制御し、
前記第1集積部は、複数設けられており、
前記各第1集積部には、前記紙葉類の有無を検出する検出部が設けられており、
前記制御部は、少なくとも1つの前記第1集積部に前記紙葉類が集積されていないことを前記検出部が検出したときに、前記第1集積機能から前記リジェクト集積機能に切り替えるように、前記紙葉類が集積されていない前記第1集積部を優先的に制御する、紙葉類処理装置。
【請求項4】
紙葉類処理装置であって、
紙葉類を搬送する搬送路と、
前記搬送路に配置され、前記紙葉類の識別を行う識別部と、
前記搬送路において前記識別部よりも下流に配置され、前記搬送路から搬送された前記紙葉類を集積する第1集積部と、
前記搬送路において前記第1集積部よりも下流に配置され、前記搬送路から搬送された前記紙葉類を集積する第2集積部と、
前記搬送路において前記識別部と前記第1集積部との間に配置され、前記紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出するための搬送異常検出部と、
前記紙葉類処理装置の紙葉類処理を制御する制御部と、
前記紙葉類処理装置の動作状態を表示可能な表示部と、を備え、
前記第1集積部は、前記識別部の識別結果に基づいて前記紙葉類を集積する第1集積機能を有しており、
前記第2集積部は、前記識別部の識別結果に基づいて前記第1集積部に集積されない前記紙葉類を集積する第2集積機能を有しており、
前記制御部は、前記搬送異常検出部が前記紙葉類に前記リジェクト要因が含まれることを検出したときに、前記第2集積機能から前記リジェクト要因を含む前記紙葉類を集積するリジェクト集積機能に切り替えるように、前記第2集積部を制御し、
前記制御部は、前記第1集積部または前記第2集積部に前記リジェクト要因を含む前記紙葉類が搬送されたときに、前記リジェクト要因を含む前記紙葉類が搬送される前の状態を示す正常表示から前記リジェクト要因を含む前記紙葉類が搬送されたときの状態を示すリジェクト表示に変更するように、前記表示部を制御する、紙葉類処理装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置において、
前記制御部は、前記第2集積機能から前記リジェクト集積機能に切り替える前において前記第2集積部に既に搬送された前記紙葉類をリジェクト対象として扱うように、前記第2集積部を制御する、紙葉類処理装置。
【請求項6】
請求項1
~5のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置において、
前記搬送路において前記識別部と前記搬送異常検出部との間に設けられた反転部と、
前記第1集積部に集積された前記紙葉類を帯封する帯封部と、を備え、
前記反転部は、前記識別部の識別結果に応じて前記紙葉類の表裏および天地方向の向きを選択的に反転することにより、前記帯封部により帯封される前記紙葉類の表裏および天地方向の向きの両方を揃えるように構成されており、
前記第1集積部は、前記識別部の識別結果に基づいて前記帯封部により帯封される前記紙葉類を集積するように構成されており、
前記搬送異常検出部は、前記搬送路において前記反転部の下流近傍に配置されている、紙葉類処理装置。
【請求項7】
請求項
6に記載の紙葉類処理装置において、
前記反転部は、
前記紙葉類の搬送方向に直交する搬送幅方向の向きを変えずに表裏を反転する第1反転部と、
前記紙葉類の前記搬送幅方向の向きを反転する第2反転部と、を含み、
前記搬送異常検出部は、前記搬送路において前記第2反転部の下流近傍に配置されている、紙葉類処理装置。
【請求項8】
請求項
4に記載の紙葉類処理装置において、
前記表示部に表示される前記リジェクト表示は、前記第1集積部または前記第2集積部から前記リジェクト要因を含む前記紙葉類を抜き取ることを、操作者に促すための画面表示である、紙葉類処理装置。
【請求項9】
請求項
4または8に記載の紙葉類処理装置において、
前記表示部は、前記第2集積部の近傍に配置された発光部を含み、
前記発光部は、前記正常表示として第1の発光態様で発光制御され、かつ前記リジェクト表示として前記第1の発光態様と異なる第2の発光態様で発光制御されるように構成されている、紙葉類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙葉類処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣や商品券などの紙葉類を処理するための紙葉類処理装置として、例えば特許文献1のような紙幣処理装置が提案されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、紙幣(紙葉類)の搬送路に設けられかつ、紙幣の識別を行う識別部と、紙幣の搬送方向について識別部よりも下流に設けられかつ、識別部が識別を行った紙幣を集積する集積部と、集積部に集積した紙葉類を帯封する帯封部と、紙幣の搬送方向について識別部と集積部との間に配設された反転部と、を備えた紙葉類処理装置が開示されている。
【0004】
上記反転部は、識別部の識別結果に応じて、紙幣の表裏および天地方向の向きを選択的に反転することによって、帯封する紙幣の表裏および天地方向の向きの両方を揃えるように構成されている。具体的に、反転部は、紙葉類の搬送方向に直交する搬送幅方向の向きを変えずに表裏を反転する第1反転部と、紙葉類の前記搬送幅方向の向きを反転する第2反転部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の紙幣処理装置では、リジェクト部への分岐位置が識別部のすぐ下流に配置されており、識別部によってリジェクト要因が検出された紙幣は、分岐位置からリジェクト部へ搬送されるようになっている。しかしながら、識別部より下流位置で紙幣に斜行や破れなどが生じると、リジェクト部へ搬送できない為、紙葉類処理装置を停止させた後、一部のユニットを外側に引き出してから当該紙幣を取り出さなければならなかった。すなわち、紙幣の搬送が滞る事態が起こり、復旧に時間や手間が掛かることになる。
【0007】
特に、特許文献1の紙幣処理装置では、紙幣の搬送幅方向の向きを反転する第2反転部により、紙幣が第2反転部を通る過程において、紙幣に斜行や破れなどが生じやすい。その結果、識別部よりも下流に位置する搬送路では、紙幣の搬送が滞る可能性が高くなっていた。
【0008】
このように、特許文献1の紙幣処理装置では、識別部よりも下流に位置する搬送路上において、斜行や破れなどの要因を含む紙幣が搬送された場合に、紙幣処理の運用に支障が生じるおそれがあった。
【0009】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、紙葉類処理装置における紙葉類処理の運用を適正化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、第1の開示は紙葉類処理装置に係り、この紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、搬送路に配置され、紙葉類の識別を行う識別部と、搬送路において識別部よりも下流に配置され、搬送路から搬送された紙葉類を集積する第1集積部と、搬送路において第1集積部よりも下流に配置され、搬送路から搬送された紙葉類を集積する第2集積部と、搬送路において識別部と第1集積部との間に配置され、紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出するための搬送異常検出部と、紙葉類処理装置の紙葉類処理を制御する制御部と、を備えている。第1集積部は、識別部の識別結果に基づいて紙葉類を集積する第1集積機能を有している。第2集積部は、識別部の識別結果に基づいて第1集積部に集積されない紙葉類を集積する第2集積機能を有している。そして、制御部は、搬送異常検出部が紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、第2集積機能からリジェクト要因を含む紙葉類を集積するリジェクト集積機能に切り替えるように、第2集積部を制御する。
【0011】
この第1の開示において、制御部は、搬送異常検出部が紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、第2集積機能からリジェクト要因を含む紙葉類を集積するリジェクト集積機能に切り替えるように、第2集積部を制御する。すなわち、識別部よりも下流に位置する搬送路上において、斜行、破れなどのリジェクト要因を含む紙葉類を搬送異常検出部が検出した場合には、制御部が、第2集積部を第2集積機能からリジェクト集積機能に動的に切り替える。これにより、リジェクト要因を含む紙葉類は、本来の搬送先(すなわち第1集積部)ではない搬送路の下流に位置する第2集積部に向かって搬送される。その結果、従来のように、例えばリジェクト要因を含む紙葉類が識別部よりも下流に位置する搬送路上で停止したときに、紙葉類処理装置の一部のユニットを外側に引き出してからリジェクト要因を含む紙葉類を取り出さなければならないといった不具合を回避することができる。すなわち、識別部よりも下流に位置する搬送路上において、紙葉類の搬送が滞る事態を適切に回避できる。したがって、第1の開示では、紙葉類処理の運用を適正化することができる。
【0012】
第2の開示は、第1の開示において、搬送路において識別部と搬送異常検出部との間に設けられた反転部と、第1集積部に集積された紙葉類を帯封する帯封部と、をさらに備えている。反転部は、識別部の識別結果に応じて紙葉類の表裏および天地方向の向きを選択的に反転することにより、帯封部により帯封される紙葉類の表裏および天地方向の向きの両方を揃えるように構成されている。第1集積部は、識別部の識別結果に基づいて帯封部により帯封される紙葉類を集積するように構成されている。搬送異常検出部は、搬送路において反転部の下流近傍に配置されている。
【0013】
この第2の開示では、紙葉類が反転部を通る過程において紙葉類に斜行や破れなどが生じやすくなるが、搬送路において反転部の下流近傍に配置された搬送異常検出部により、リジェクト要因を含む紙葉類を反転部の下流近傍で適切に検出することが可能となる。その結果、反転部よりも下流に位置する搬送路において、リジェクト要因を含む紙葉類を搬送異常検出部が検出した場合に、制御部が第2集積部をリジェクト集積機能に動的に切り替えることにより、紙葉類の搬送が滞る事態を適切に回避できる。さらに、リジェクト要因を含む紙葉類が第2集積部に搬送されることから、リジェクト要因を含む紙葉類が、帯封部により帯封される紙葉類を集積するための第1集積部に搬送されることを未然に防止することができる。
【0014】
第3の開示は、第2の開示において、反転部は、紙葉類の搬送方向に直交する搬送幅方向の向きを変えずに表裏を反転する第1反転部と、紙葉類の搬送幅方向の向きを反転する第2反転部と、を含む。搬送異常検出部は、搬送路において第2反転部の下流近傍に配置されている。
【0015】
この第3の開示では、紙葉類が第2反転部を通る過程において紙葉類に斜行や破れなどが第1反転部よりも生じやすくなるが、搬送路において第2反転部の下流近傍に配置された搬送異常検出部により、リジェクト要因を含む紙葉類を第2反転部の下流近傍で適切に検出することが可能となる。その結果、第2反転部よりも下流に位置する搬送路において、リジェクト要因を含む紙葉類を搬送異常検出部が検出した場合に、制御部が第2集積部をリジェクト集積機能に動的に切り替えることにより、紙葉類の搬送が滞る事態を適切に回避することができる。
【0016】
第4の開示は、第1~第3の開示のいずれか1つにおいて、制御部は、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替える前において第2集積部に既に搬送された紙葉類をリジェクト対象として扱うように、第2集積部を制御する。
【0017】
この第4の開示では、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替える前において第2集積部に既に搬送された紙葉類をリジェクト対象として扱うことにより、リジェクト集積機能に切り替える前後において第2集積部に集積された紙葉類を、操作者がまとめて取り除いたとしても、紙葉類の計数処理に影響しないようになる。すなわち、紙葉類の計数処理を簡易化することができる。
【0018】
第5の開示は、第4の開示において、制御部は計数カウンタを有している。計数カウンタは、搬送異常検出部が紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、リジェクト要因を含む紙葉類を計数対象から減算するように構成されている。制御部は、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替える前において第2集積部に既に搬送された紙葉類を計数対象から減算するように、計数カウンタを制御する。
【0019】
この第5の開示では、リジェクト集積機能に切り替える前後において、第2集積部に集積された紙葉類をまとめて減算対象とすることが可能となる。すなわち、紙葉類の計数処理を簡易化することができる。
【0020】
第6の開示は、第1~第5の開示のいずれか1つにおいて、第2集積部は、複数設けられており、各第2集積部には、紙葉類の有無を検出する検出部が設けられている。制御部は、複数の第2集積部において少なくとも1つの第2集積部に紙葉類が集積されていないことを検出部が検出したときに、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替えるように、紙葉類が集積されていない第2集積部を優先的に制御する。
【0021】
この第6の開示では、空の状態にある第2集積部を優先的にリジェクト集積機能に切り替えることにより、リジェクト集積機能の切替前において第2集積部に既に搬送された紙葉類が存在していないため、例えば上記第5の開示のような減算処理が不要となる。したがって、第6の開示では、紙葉類の計数処理を簡易化することができる。
【0022】
第7の開示は、第1~第5の開示のいずれか1つにおいて、第1集積部は、複数設けられている。各第1集積部には、紙葉類の有無を検出する検出部が設けられている。制御部は、少なくとも1つの第1集積部に紙葉類が集積されていないことを検出部が検出したときに、第1集積機能からリジェクト集積機能に切り替えるように、紙葉類が集積されていない第1集積部を優先的に制御する。
【0023】
この第7の開示では、リジェクト要因を含む紙葉類を搬送異常検出部が検出したときにおいて、空の状態にある第1集積部を優先的にリジェクト集積機能に切り替えることから、例えば上記第5の開示のような減算処理が不要となる。したがって、第7の開示では、紙葉類の計数処理を簡易化することができる。
【0024】
第8の開示は、第1~第7の開示のいずれか1つにおいて、紙葉類処理装置の動作状態を表示可能な表示部をさらに備えている。制御部は、第1集積部または第2集積部にリジェクト要因を含む紙葉類が搬送されたときに、リジェクト要因を含む紙葉類が搬送される前の状態を示す正常表示からリジェクト要因を含む紙葉類が搬送されたときの状態を示すリジェクト表示に変更するように、表示部を制御する。
【0025】
この第8の開示では、表示部に表示されたリジェクト表示により、操作者に対して第1集積部または第2集積部にリジェクト要因を含む紙葉類が搬送されたことを的確に知らせることができる。
【0026】
第9の開示は、第8の開示において、表示部に表示されるリジェクト表示は、第1集積部または第2集積部からリジェクト要因を含む紙葉類を抜き取ることを、操作者に促すための画面表示である。
【0027】
この第9の開示では、表示部に表示されたリジェクト表示により、操作者に対して第1集積部または第2集積部からリジェクト要因を含む紙葉類を抜き取ることを促すことができる。
【0028】
第10の開示は、第8または第9の開示において、表示部は、第2集積部の近傍に配置された発光部を含む。発光部は、正常表示として第1の発光態様で発光制御され、かつリジェクト表示として第1の発光態様と異なる第2の発光態様で発光制御されるように構成されている。
【0029】
この第10の開示では、発光部を第1の発光態様と異なる第2の発光態様で発光制御することにより、操作者に対して第1集積部または第2集積部にリジェクト要因を含む紙葉類が搬送されたことを簡易的に知らせることができる。
【0030】
第11の開示は、第1の開示は紙葉類処理装置に係り、この紙葉類処理装置は、紙葉類を搬送する搬送路と、搬送路に配置され、紙葉類の識別を行う識別部と、搬送路において識別部よりも下流に配置され、搬送路から搬送された紙葉類を集積する複数の集積部と、搬送路に設けられ、紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出するための搬送異常検出部と、紙葉類処理装置の紙葉類処理を制御する制御部と、を備えている。搬送異常検出部は、搬送路において、識別部と、最下流よりも上流側に位置する集積部との間に配置されている。各集積部は、識別部の識別結果に基づいて紙葉類を集積する標準機能を有している。そして、制御部は、紙葉類にリジェクト要因が含まれることを搬送異常検出部が検出したときに、標準機能からリジェクト要因を含む紙葉類を集積するリジェクト集積機能に切り替えるように、搬送路において最下流に位置する集積部を制御する。
【0031】
この第11の開示では、搬送異常検出部が紙葉類にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、リジェクト要因を含む紙葉類が最下流の集積部に向かって搬送される。すなわち、制御部は、搬送異常検出部が検出したリジェクト要因を含む紙葉類を、紙葉類が未だ搬送されていない可能性が高い最下流の集積部に搬送するように制御する。これにより、識別部よりも下流に位置する搬送路上において、紙葉類の搬送が滞る事態を回避しやすくなる。したがって、第11の開示では、紙葉類処理の運用を適正化することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本開示によると、紙葉類処理装置における紙葉類処理の運用を適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る紙幣処理装置の全体を示す全体斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る紙幣処理装置の内部構成を示した概略構成図である。
【
図3】
図3は、第1反転部および第2反転部の概略構成を拡大して示す部分拡大図である。
【
図4】
図4は、長手の縁を前にして搬送される紙幣の、反転方向を説明するための図である。
【
図5】
図5は、短手の縁を前にして搬送される紙幣の、反転方向を説明するための図である。
【
図6】
図6は、タイマー値T1を設定したときの、DCモータの駆動状態と、アーム部における下側ハンド部の開位置および閉位置との関係を時間経過に応じて概略的に示す概略図である。
【
図7】
図7は、
図6においてDCモータが過負荷となっている状態を時間経過に応じて概略的に示す概略図である。
【
図8】
図8は、タイマー値T2を設定したときの、DCモータの駆動状態と、アーム部における下側ハンド部の開位置および閉位置との関係を時間経過に応じて概略的に示す概略図である。
【
図9】
図9は、
図6に対応するアーム部の状態を概略的に示す概略構成図である。
【
図10】
図10は、
図7に対応するアーム部の状態を概略的に示す概略構成図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の紙幣分類処理に関するメインのフローチャートである。
【
図12】
図12は、第1実施形態のリジェクト集積機能に関するサブルーチンのフローチャートである。
【
図13】
図13は、第1実施形態の変形例2においてリジェクト集積機能に関するサブルーチンのフローチャートである。
【
図14】
図14は、
参考の実施形態に係る紙幣処理装置の全体を示す全体斜視図である。
【
図15】
図15は、
参考の実施形態に係る紙幣処理装置の内部構成を示した概略構成図である。
【
図16】
図16は、
参考の実施形態に係る紙幣処理装置の構成を示した制御ブロック図である。
【
図17】
図17は、
参考の実施形態の紙幣分類処理に関するメインのフローチャートである。
【
図18】
図18は、
参考の実施形態のリジェクト集積機能に関するサブルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本開示の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0035】
[第1実施形態]
図1は、紙葉類処理装置としての紙幣処理装置1の外観を示している。
図2は、紙幣処理装置1の内部の構成を示している。
【0036】
紙幣処理装置1は、紙幣を識別および計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎の帯封紙幣を作成する装置である。紙幣処理装置1は、紙幣整理機とも呼ばれる。なお、以下の説明においては、便宜上、
図1における紙面左手前を前、紙面右奥を後と呼ぶ場合がある。これに従うと、「前」は、
図2における紙面左、「後」は、
図2における紙面右である。
【0037】
図1および
図2に示すように、紙幣処理装置1には、筐体10と、バラ紙幣が投入される投入部13、リジェクト券を集積するリジェクト部14、帯封された紙幣を出金するための投出部15、および、端数紙幣を返却する返却部16が設けられている。また、通常は帯封対象外の紙幣が集積される第2集積部11、12が設けられている。
【0038】
また、
図2に示すように、紙幣処理装置1は、筐体10の内部に、搬送部3、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、5個の第1集積部51~55、運搬部6、帯封部7、第2運搬部72、2個の第2集積部11,12、表示部17、搬送異常検出部30、制御部41、および記憶部42を備えている。
【0039】
(投入部)
投入部13は、筐体10の前面の上部に設けられている。投入部13の前面は、筐体10の外部に開口している。操作者は、投入部13の内部にバラ紙幣を投入することができる。投入部13は、複数枚の紙幣を、集積した状態で保持することができる。投入部13には、例えば、様々な金種を含む紙幣が投入される。投入部13は、保持している紙幣を、繰り出しローラ131によって一枚一枚、筐体10の内部へ繰り出す。
【0040】
(リジェクト部)
リジェクト部14は、筐体10の前面において投入部13の下側に設けられている。リジェクト部14の前面は、筐体10の外部に開口している。リジェクト部14は、複数枚の紙幣を集積することができる。操作者は、リジェクト部14に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。
【0041】
(投出部)
投出部15は、筐体10の前面の下部に開口している。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。投出部15から投出された帯封紙幣は、予め置かれた容器等に入る。
【0042】
(返却部)
返却部16は、筐体10の上部に設けられている。返却部16は、紙幣が載るトレイ161を有している。トレイ161は、
図2に実線および一点鎖線で示すように、前後方向に移動する。紙幣を載せたトレイ161が、一点鎖線に示すように前進すると、操作者は、トレイ161から紙幣を、手で取り出すことができる。
【0043】
(搬送部)
搬送部3は、紙幣の搬送方向の順に、投入部13から、識別部18、第1反転部21、リジェクト部14、第2反転部22、第1集積部51~55、および第2集積部11,12までの間において、バラ紙幣の搬送を行う。
【0044】
搬送部3は、紙幣を搬送する搬送路を有している。搬送路は、筐体10の内部に配設されている。搬送路は、詳細な図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、搬送される紙幣を検出する通過センサ、および複数のガイドの組み合わせによって構成されている。そして、上下方向に伸びる搬送路の下流側は、途中で二つに分岐して、第2集積部11,12のそれぞれに接続されている。
【0045】
搬送部3は、所定の間隔を設けて、紙幣を一枚一枚、搬送路に沿って搬送する。
図4に示すように、搬送部3は、紙幣BNの長手の縁を前にして、紙幣BNを搬送する。
【0046】
(識別部)
識別部18は、搬送路に沿って搬送される紙幣BNの金種、真偽、表裏、向き、正損、新旧、搬送状態等を識別する。識別部18は、紙幣BNの搬送方向について、投入部13の下流に設けられている。投入部13の後側には、紙幣BNを水平方向に搬送する搬送路が設けられている。識別部18は、当該搬送路の上流に配設されている。識別部18は、筐体10の内部において、投入部13の後側でかつ、第2集積部11,12の下側に位置している。
【0047】
ここで、識別部18が識別を行う紙幣BNの方向について説明をする。
【0048】
紙幣BNの方向は、紙幣BNの表裏と向きとの組み合わせによって、A方向、B方向、C方向およびD方向の四つの方向に定まる。紙幣BNの天地方向は、紙幣BNに描かれた肖像画を基準とした上下の方向である。紙幣BNの左右方向は、天地方向に直交する方向である。
【0049】
図4に示すように、長手の縁を前にして搬送される紙幣BNにおいて、天地方向は、搬送方向に一致する。左右方向は、搬送方向に直交する。尚、以下の説明において、搬送方向に直交する方向を、搬送幅方向と呼ぶ場合がある。
【0050】
具体的に、A方向は、紙幣BNが表向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が従う方向である。B方向は、紙幣BNが表向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が逆らう方向である。C方向は、紙幣BNが裏向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が逆らう方向である。D方向は、紙幣BNが裏向きでかつ、搬送方向に対して紙幣BNの天地方向が従う方向である。
【0051】
(第1反転部)
図2に示すように、第1反転部21は、識別部18の下側に配設されている。具体的に、第1反転部21は、搬送路において識別部18と搬送異常検出部30との間に配置されている。紙幣BNは、第1反転部21を、紙幣処理装置1の後方から前方に向かう略水平方向に通過する。また、第1反転部21の前側には、リジェクト部14が配設されている。リジェクト部14につながる搬送路は、紙幣BNの搬送方向について第1反転部21の下流から分岐している。
【0052】
第1反転部21は、紙幣の搬送方向に直交する搬送幅方向の向きを変えずに表裏を反転するように構成されている。具体的に、第1反転部21は、識別部18の識別結果に応じて、紙幣BNの表裏および天地方向の両方を、選択的に反転するよう構成されている。
【0053】
図3に示すように、第1反転部21は、紙幣BNの表裏および天地方向を反転させるスイッチバック方式の反転パス211と、紙幣BNの表裏および天地方向を反転することなく通過させるバイパス212と、紙幣BNを、反転パス211又はバイパス212に選択的に送る分岐爪213と、を有している。
【0054】
反転パス211を通過した紙幣は、
図4に示した紙幣BNの搬送方向に直交すると共に、紙幣BNの紙面に沿った第1軸回りに回転することになる。第1反転部21は、搬送幅方向の向きを変えずに、紙幣BNの表裏と搬送方向の向き(つまり、天地方向の向き)との両方を反転することができる。
【0055】
分岐爪213は、紙幣BNを、バイパス又はリジェクト部14に選択的に送るように構成されている。そして、分岐爪213は、制御部41により識別部18の識別結果に応じて動くように構成されている。これにより、リジェクト券と識別された紙幣BNは、実質的には第1反転部21を通らずに、リジェクト部14に搬送される。
【0056】
制御部41は、識別部18の識別結果に応じて第1反転部21の分岐爪213を動かすように制御する。これにより、表裏および天地方向の向きを反転する必要がある紙幣BNは、反転パス211を通過する一方、表裏および天地方向の向きを反転する必要がない紙幣BNは、バイパス212を通過する。反転パス211を通過した紙幣BNは、表裏および天地方向の向きが反転する。バイパス212を通過した紙幣BNは、表裏も天地方向の向きも反転しない。第1反転部21を通過した紙幣BNは、少なくとも表裏が揃っている。
【0057】
(第2反転部)
第2反転部22は、搬送路において第1反転部21と後述する搬送異常検出部30との間に配置されている。第2反転部22は、紙幣BNの搬送幅方向の向きを、選択的に反転するよう構成されている。なお、第2反転部22は、ユニット化されていて、紙幣処理装置1の前方に向かって引き出し可能に構成されている。
【0058】
図3に示すように、第2反転部22は、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転させる反転パス221と、紙幣BNの搬送幅方向の向きを反転することなく通過させるバイパス222と、紙幣BNを、反転パス又はバイパスに選択的に送る分岐爪223と、を有している。
【0059】
反転パス221には、紙幣BNを反転する反転機構224が配設されている。反転機構224は、この構成例では、紙幣BNの搬送幅方向の向きと表裏との両方を反転するよう構成されている。
【0060】
具体的に、
図4に示すように、反転機構224は、紙幣BNの搬送方向に沿って伸びる第2軸回りに、紙幣BNを回転させる方式に構成されている。反転機構224は、紙幣BNの搬送方向に直交する搬送幅方向(つまり、紙幣BNの左右方向)の向きと、紙幣BNの表裏との両方を反転することができる。第2反転部22は、スイッチバック方式の第1反転部21とは機能が相違する。反転機構224の構成の詳細は省略するが、反転機構224は、様々な公知の構成を採用することができる。
【0061】
制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、分岐爪223を動かす。このことによって、左右方向の向きを反転する必要がある紙幣BNは、反転パス221を通過し、左右方向の向きを反転する必要がない紙幣BNは、バイパス222を通過する。反転パス221を通過した紙幣は、紙幣BNの左右方向の向きおよび表裏が反転する。バイパス222を通過した紙幣は、紙幣BNの左右方向の向きも、表裏も反転しない。反転機構224の下流において、反転パス221とバイパス222とが合流する。この紙幣処理装置1は、反転部として、第1反転部21と第2反転部22との二種類の反転部を備えることにより、第1反転部21および第2反転部22を通過した紙幣BNの表裏および天地方向の向きの両方を揃えることが可能となる。
【0062】
第2反転部22は、第1反転部21およびリジェクト部14の下側に配設されている。従って、識別部18、第1反転部21および第2反転部22は、上下方向に並んでいる。紙幣BNは、第2反転部22を、紙幣処理装置1の前方から後方に向かう略水平方向に通過する。紙幣BNは、識別部18から、第1反転部21を通って第2反転部22に至るまでの間において、紙幣処理装置1の前後方向に蛇行するように搬送される。
【0063】
(第1集積部)
第1集積部51~55は、搬送路において識別部18よりも下流に配置されている。すなわち、第1集積部51~55は、識別部18、第1反転部21および第2反転部22の後側に配設されている。第1集積部51~55は、上下方向に並んで配設されている。
【0064】
第1集積部51~55の各々は、第1集積機能を有している。第1集積機能は、識別部18の識別結果に基づいて帯封部7により帯封される紙幣が第1集積部51~55の各々に集積されるように構成されている。具体的に、第1集積部51~55の各々は、搬送路から搬送された帯封対象の紙幣BNを、例えば金種毎に集積する。操作者は、第1集積部51~55の各々に集積する紙幣の種類を、予め設定することができる。また、第1集積部51~55の各々には、紙幣の有無を検出する検出部(図示せず)が設けられている。
【0065】
第2反転部22の下流において紙幣BNを搬送する搬送路は、第1集積部51~55の前側でかつ、識別部18、第1反転部21および第2反転部22の後側において、第1集積部51~55に沿うように上下方向に延びている。上下方向に延びる搬送路から分岐した五つの分岐路が、第1集積部51~55のそれぞれに接続されている。紙幣BNは、第1集積部51~55のそれぞれに対し、前側から投入される。投入された紙幣BNは、第1集積部51~55のそれぞれにおいて集積される。
【0066】
図示は省略するが、各分岐路の分岐箇所には、紙幣BNの搬送方向を切り替える分岐爪が設けられている。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、各分岐爪を動かす。このことによって、紙幣BNは、第1集積部51~55の各々に、選択的に投入される。
【0067】
(運搬部)
運搬部6は、上下方向に並んだ第1集積部51~55の後側に配設されている。運搬部6は、紙幣を掴むアーム部61と、アーム部61を上下方向に往復移動させるガイド部62とを備えている。
【0068】
ガイド部62は、上下方向に伸びている。アーム部61は、ガイド部62に沿って上下方向に移動をする。アーム部61は、第1集積部51~55の各々に対応する高さ位置に位置づけられる。
【0069】
図9および
図10に示すように、アーム部61は、上側ハンド部63および下側ハンド部64を有している。アーム部61の下側ハンド部64は、図示しないモータ(DCモータ)により上下移動可能になっている。また、アーム部61には、下側ハンド部64の開位置を検知する位置検知部65および閉位置を検知する位置検知部66が設けられている。このように、アーム部61は、DCモータの駆動で下側ハンド部64を上下移動させることにより、第1集積部51~55の各々に集積されている紙幣を把持しかつ後方に向かって取り出し可能に構成されている。そして、アーム部61は、返却部16あるいは帯封部7の後方へ移動し、掴んでいる紙幣を返却部16あるいは帯封部7へ受け渡す。
【0070】
ここで、アーム部61による紙幣を把持するための具体的な制御態様について、
図6~
図10を参照しながら説明する
図6、
図7、
図9、および
図10は、アーム部61の通常動作として、DCモータの駆動状態と、アーム部61における下側ハンド部64の開位置および閉位置との関係を概略的に示している。この通常動作は、一律に定められた所定時間に相当するタイマー値T1を設定し、制御部41がこのタイマー値T1に基づいてDCモータの駆動を制御する。なお、
図6は、
図9に示したアーム部61の状態を概略的に示す一方、
図7は、
図10に示したアーム部61の状態を概略的に示している。
【0071】
ところで、DCモータは、組み立てのバラつきや、気温、電圧、さらには経年劣化によって、時間当たりの駆動量が変化する。したがって、例えば
図6および
図7に示すように、DCモータの状態によっては、上記通常動作において制御部41がタイマー値T1に基づいてDCモータの駆動を制御した場合に、アーム部61の下側ハンド部64が閉位置を超えて移動してしまう可能性がある。このように、上記通常動作において下側ハンド部64がオーバーランしてしまうと、DCモータが過負荷状態(いわゆるDCモータがロックされた状態)になるというリスクが高まる。その結果、DCモータの寿命が縮まるおそれがある。
【0072】
上記通常動作における上記問題を解決するために、
図8に示すように、制御部41は、一律に定められた所定時間に相当するタイマー値T1を設定するのではなく、適切な任意のタイマー値T2をその都度算出しかつ当該タイマー値T2に基づいてDCモータの駆動を制御するように構成されている。
【0073】
タイマー値T2の具体的な算出方法として、DCモータにおける無負荷状態での動作時間をその都度(例えば毎日1回)計測し、当該動作時間からDCモータの動作速度をあらかじめ算出する。次に、第1集積部51~55の各々に集積された紙幣の厚みに対応する位置までアーム部61の下側ハンド部64が上下移動するために必要となる移動距離を位置検知部65,66の検知結果から計測する。そして、制御部41が、DCモータの上記動作速度および上記移動距離に基づいて、DCモータの駆動させる時間、すなわち上記タイマー値T2を算出する。
【0074】
このように、制御部41がタイマー値T2に基づいてDCモータの駆動を制御することにより、紙幣処理装置1において第1集積部51~55の各々に集積された紙幣の束をアーム部61が把持する場合に、下側ハンド部64がオーバーランしたことによりDCモータが過負荷状態になるというリスクを低減することが可能となる。その結果、DCモータの寿命を伸ばす延命ことができる。また、紙幣処理装置1のコストアップを抑えることが可能となる。さらに、DCモータのように回転速度にバラツキが比較的生じやすいモータを適用したアーム部61において、アーム部61の下側ハンド部64による上下移動の位置精度を高めることができる。
【0075】
(帯封部)
帯封部7は、第1集積部51~55の各々に集積された紙幣を帯封するように構成されている。帯封部7は、第2反転部22の下側に配設されている。帯封部7は、運搬部6の下端部に位置している。運搬部6は、第1集積部51~55の各々から取り出した紙幣BNを、帯封部7に運搬する。帯封部7の構成の詳細な図示は省略するが、帯封部7は、公知の様々な構成を採用することができる。
【0076】
帯封部7は、例えば紙幣BNの束の外周囲に帯封紙を巻き付けることによって帯封を行うようにしてもよい。帯封部7はまた、帯封紙によって形成した輪の中に紙幣BNの束を挿入することによって帯封を行うようにしてもよい。
【0077】
帯封部7は、帯封紙に情報を印す印字部71を有している。印字部71は、帯封紙に印刷を行う印刷部、および、帯封紙にスタンプを押す押印部の両方、又は、いずれか一方を含んでいる。印字部71は、帯封をする前、又は、帯封をした後に、帯封紙に情報を印す。印字部71は、帯封を行った日時の情報や、帯封処理を行った操作者を特定する情報等を、帯封紙に印す。また、印字部71は、例えば帯封紙幣を作成した金融機関名の情報、および、帯封紙幣が損券である旨の情報を、帯封紙に印す。さらに、印字部71は、制御部41からの制御信号に基づいて、帯封した紙幣BNの表裏および天地方向の向きが揃っているか否かの情報を、帯封紙に印すように構成されている。
【0078】
(第2運搬部)
帯封部7の前側には、ベルト式の第2運搬部72が設けられている。第2運搬部72は、帯封部7が帯封をした帯封紙幣を、前方に向かって投出部15まで搬送する。帯封紙幣は、投出部15のスロープを通って筐体10の外に投出される。
【0079】
紙幣処理装置1が分類処理を行った際、帯封枚数に至らずに第1集積部51~55に紙幣BNが残ってしまう場合がある。運搬部6は、第1集積部51~55に残った端数紙幣を返却部16へ運搬する。
【0080】
(第2集積部)
第2集積部11,12は、搬送路から搬送された複数枚の紙幣を集積するように構成されている。第2集積部11,12は、第2集積機能を有している。第2集積機能は、識別部18の識別結果に基づいて第1集積部に集積されない紙幣を集積するように構成されている。操作者は、第2集積部11,12に集積されている紙幣を、手で取り出すことができる。また、第2集積部11,12の各々には、紙幣の有無を検出する検出部19が設けられている。
【0081】
第2集積部11,12は、搬送路において第1集積部51~55よりも下流に配置されている。具体的に、第2集積部11,12は、第2反転部22の下流につながっている。分岐箇所には、分岐爪(図示せず)が配設されている。制御部41は、識別部18の識別結果に応じて、上記分岐爪を動かすことにより、紙幣BNは、第2集積部11,12の各々に、選択的に投入される。
【0082】
第2集積部11,12は、筐体10の上部に、前後に並んで設けられている。第2集積部11は、第2集積部12よりも上側かつ後側に配設されている。第2集積部11,12の各々は、紙幣の取出口が筐体10の外部に開口している。
【0083】
(表示部)
図1に示すように、紙幣処理装置1の上部には、表示部17,17が設けられている。本実施形態において、表示部17,17は、操作表示部17aおよび発光部17b,17bとして構成されている。
【0084】
操作表示部17aは、返却部16の上側に配設されている。操作表示部17aは、例えばタッチパネルからなる。操作表示部17aは、操作者が紙幣処理装置1に対する入力操作を行うことが可能となるように構成されている。また、操作表示部17aは、紙幣処理装置1による紙幣の処理状況等のような紙幣処理装置1の動作状態に関する情報を表示する。なお、操作表示部17aは、タッチパネルに限られず、通常のモニタ画面で構成されていてもよい。
【0085】
具体的に、操作者が操作表示部17aに表示されている画面に応じて操作を行うことにより、紙幣処理装置1に関する各種の設定、および紙幣処理装置1に対して各種の処理を実行させることが可能となっている。また、操作表示部17aには、制御部41により第2集積部11,12のいずれか一方が第2集積機能から後述するリジェクト集積機能に切り替えられた後において、第2集積部11,12のいずれか一方からリジェクト要因を含む紙幣を抜き取ることを操作者に促すための画面(リジェクト表示)が表示される。
【0086】
発光部17b,17bは、第2集積部11,12の近傍に配置されている。各発光部17bは、制御部41により、正常表示として第1の発光態様(例えば青色の点灯表示)で発光制御され、かつリジェクト表示として第1の発光態様と異なる第2の発光態様(例えば赤色の点滅表示)で発光制御されるように構成されている。なお、上記「発光態様」とは、発光部17b,17bの発光色だけでなく、発光部17b,17bが消灯、点灯、および点滅している状態(すなわち、通電状態)をも含む概念である。
【0087】
なお、上記正常表示として、第2集積部11,12に紙幣が集積されていない場合には、発光部17b,17bを消灯させてもよい。また、第2集積部11,12に集積された紙幣が計数済みの場合には、発光部17b,17bを例えば青色に点灯させてもよい。さらに、第2集積部11,12に集積された紙幣の量が上限値に達しかつその全ての紙幣が計数済みの場合には、発光部17b,17bを例えば青色に点滅表示させてもよい。
【0088】
(搬送異常検出部)
搬送異常検出部30は、搬送路において識別部18と第1集積部51~55との間に配置されている。具体的に、搬送異常検出部30は、搬送路において第2反転部22の下流近傍に配置されている。そして、搬送異常検出部30は、搬送路における識別部18よりも下流において、紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出するように構成されている。ここで、上記「リジェクト要因」としては、斜行、破れ、紙幣同士の間隔が狭い状態(近接状態)、後続の紙幣が先行する紙幣に追いついた状態(連鎖状態)などが挙げられる。
【0089】
ところで、第1集積部51~55に集積される紙幣は、帯封部7に搬送されて帯封処理される。このため、当該紙幣における斜行の許容範囲は比較的狭い。具体的に、第1集積部51~55に搬送される前段階において、紙幣の斜行が15°以上である場合には帯封処理ができないと判断される。したがって、第2反転部22の下流に搬送された紙幣について、搬送異常検出部30が15°以上の斜行を検出した場合には、後述するように制御部41が上記リジェクト要因を含む紙幣であると判定する。
【0090】
(制御部および記憶部)
制御部41は、図示は省略するが、第2集積部11,12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1集積部51~55、運搬部6、第2運搬部72、および、帯封部7が、信号の授受可能に接続されている。また、記憶部42には、各種の情報やプログラムが記憶されている。
【0091】
制御部41は、第2集積部11,12、投入部13、リジェクト部14、返却部16、識別部18、第1反転部21、第2反転部22、搬送部3、第1集積部51~55、運搬部6、第2運搬部72、および、帯封部7に、記憶部42が記憶している各種の情報やプログラムに基づいて制御信号を出力する。このことにより、紙幣処理装置1は、紙幣を識別および計数し、種類別に分類をした上で、所定枚数毎の帯封紙幣を作成する分類処理を行う。
【0092】
また、制御部41は、計数カウンタ(図示せず)を含む。計数カウンタは、搬送異常検出部30が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、リジェクト要因を含む紙幣を計数対象から減算するように構成されている。
【0093】
(本開示の特徴)
本開示の特徴として、制御部41は、搬送異常検出部30が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、第2集積機能からリジェクト要因を含む紙幣を集積するリジェクト集積機能に切り替えるように、搬送部3および、第2集積部11,12のいずれか一方を制御する。
【0094】
また、制御部41は、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替える前において第2集積部11,12の少なくともいずれか一方に既に搬送された紙幣をリジェクト対象として扱うように、第2集積部11,12のいずれか一方を制御する。
【0095】
さらに、制御部41は、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替える前において第2集積部11,12のいずれか一方に既に搬送された紙幣を計数対象から減算するように、計数カウンタを制御する。
【0096】
そして、制御部41は、第2集積部にリジェクト要因を含む紙幣が搬送されたときに、リジェクト要因を含む紙幣が搬送される前の状態を示す正常表示からリジェクト要因を含む紙幣が搬送されたときの状態を示すリジェクト表示に変更するように、各表示部17を制御する。
【0097】
(制御部による紙幣分類の処理動作)
次に、紙幣分類に関して、制御部41による一連の処理動作を説明する。
【0098】
まず、
図11のフローチャートを参照しながらステップS100におけるメインの処理動作(紙幣の分類処理)について説明をする。このフローチャートは、制御部41が実行する処理の手順を例示しており、第1反転部21および第2反転部22による紙幣の反転処理を含んでいる。前述したように、この紙幣処理装置1は、帯封対象の紙幣について、表裏を揃えるだけでなく、天地方向の向きも揃えることができる。紙幣処理装置1は、この構成例においては、全ての紙幣がA方向となるように、紙幣の表裏および天地方向の向きを揃える。
【0099】
先ずスタート後のステップS101において、紙幣処理装置1は、投入部13に投入されている紙幣を繰り出す。続くステップS102において、識別部18は、紙幣の識別を行う。その後、ステップS103に進む。
【0100】
ステップS103において、制御部41は、紙幣がリジェクト券であるか否かを判定する。リジェクト券でないNOのときには、紙幣の方向に応じてステップS104~S107に進む。具体的に、紙幣がA方向であるときにはステップS104に進み、紙幣がB方向であるときにはステップS105に進み、紙幣がC方向であるときにはステップS106に進み、紙幣がD方向であるときにはステップS107に進む。
【0101】
ステップS108~S11は、第1反転部21における反転動作に係る。
【0102】
ステップS108に続くステップS112においては、紙幣を反転させる必要がない。このため、第1反転部21は、紙幣を通過させる(つまり、
図4に示した紙幣は、バイパス212を通過する)。紙幣の方向はA方向のままである。
【0103】
ステップS105に続くステップS109において、第1反転部21は、紙幣を反転させる(つまり、
図4に示した紙幣は、反転パス211を通過する)。これにより、紙幣の表裏および天地方向の向きの両方が反転し、紙幣の方向はB方向からD方向になる。
【0104】
ステップS106に続くステップS110において、第1反転部21は、紙幣を反転させる。これにより、紙幣の方向はC方向からA方向になる。
【0105】
ステップS107に続くステップS111において、第1反転部21は、紙幣を通過させる。紙幣の方向はD方向のままである。
【0106】
ステップS112~115は、第2反転部22における反転動作に係る。
【0107】
ステップS108に続くステップS112においては、紙幣を反転させる必要がない。このため、第2反転部22は、紙幣を通過させる(つまり、紙幣は、バイパス222を通過する)。紙幣の方向はA方向のままである。
【0108】
ステップS109に続くステップS113において、第2反転部22は、紙幣を反転させる(つまり、紙幣は、反転パス221を通過する)。これにより、紙幣の表裏および左右方向の向きの両方が反転し、紙幣の方向はD方向からA方向になる。
【0109】
ステップS110に続くステップS114において、第2反転部22は、紙幣を通過させる。これにより、紙幣の方向はA方向のままになる。
【0110】
ステップS111に続くステップS115において、第2反転部22は、紙幣を反転させる。紙幣の方向はD方向からA方向になる。
【0111】
このように、ステップS108~S115では、紙幣の方向に応じて、第1反転部21および第2反転部22において、選択的に、紙幣の反転動作を行うことにより、第1反転部21および第2反転部22を通過した紙幣の表裏および天地方向の向きを全て揃えることが可能となる。
【0112】
ステップS112~ステップS115を経た後のステップS116において、制御部41は、搬送異常検出部30が搬送途中の紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したか否かを判定する。搬送異常検出部30が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出しなかったNOのときは、ステップS117に進む。
【0113】
ステップS117において、制御部41は、識別部18の識別結果に基づいて、第1反転部21および第2反転部22を通過した紙幣が、帯封対象であるか否かを判定する。帯封対象であれば、ステップS118に進む。
【0114】
ステップS118において、制御部41は、当該紙幣を、金種に対応する第1集積部51~55の各々に搬送する(第1集積機能)。第1集積部51~55の各々に集積された紙幣が帯封枚数に達すると、運搬部6によって紙幣が第1集積部51~55の各々から取り出され、下方の帯封部7へ送り込まれる。ここで、帯封紙幣が生成され、帯封紙幣は、投出部15から投出される。
【0115】
一方、ステップS117において、当該紙幣が帯封対象でないNOと判定されたとき(すなわち、当該紙幣が損券、旧券、又は帯封対象外の金種等であれば)は、ステップS119に進む。
【0116】
ステップS119において、制御部41は、識別部18の識別結果に基づいて第1集積部51~55に集積されない紙幣を、第2集積部11,12に搬送する(第2集積機能)。
【0117】
また、上記ステップS103において、識別部18により紙幣がリジェクト券であると識別されたYESのとき、具体的には識別不能券、又は、搬送異常券と識別されたときは、ステップS120に進む。
【0118】
ステップS120において、制御部41は、リジェクト券であると識別された紙幣をリジェクト部14に搬送する。その後、ステップS121に進む。なお、前述したようにリジェクト券は、実質的には第1反転部21を通らないで、リジェクト部14に搬送される。リジェクト券はまた、第2反転部22も通過しない。従って、リジェクト部14に集積される紙幣は、表裏も天地方向の向きも揃わない状態となる。
【0119】
ステップS121において、制御部41は、次の紙幣が、投入部13にあるか否か判定する。次の紙幣があるYESのときは、ステップS101に戻る。一方、次の紙幣が無いNOのときは、フローを終了する。
【0120】
そして、上記ステップS116において、搬送異常検出部30が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したYESのときは、ステップS200に進む。
【0121】
次に、
図12を参照しながらステップS200(リジェクト集積機能)のサブルーチンを説明する。
【0122】
上述のステップS116を経た後のステップS201において、制御部41は、上側に位置する第2集積部11に集積された紙幣の有無を検出部19の検出結果から判定する。第2集積部11が空の状態になっているYESのときは、ステップS202に進む。一方、第2集積部11に紙幣が集積されているNOのときは、ステップS204に進む。
【0123】
ステップS202において、制御部41は、上側に位置する第2集積部11を、ステップS119で示した識別部18の識別結果に基づいて第1集積部51~55に集積されない紙幣を集積する機能(第2集積機能)に代えて、リジェクト要因を含む紙幣を集積する機能(リジェクト集積機能)に切り替える。その後、ステップS203に進む。なお、以下の説明において、リジェクト要因を含む紙幣を「リジェクト対象紙幣」と呼称する。また、
図12では、図示の便宜上、リジェクト対象紙幣を「RJ対象紙幣」と表記している。
【0124】
ステップS203において、制御部41は、リジェクト対象紙幣を第2集積部11に搬送する。その後、ステップS210に進む。
【0125】
一方、ステップS201でNOと判定された後のステップS204において、制御部41は、下側に位置する第2集積部12に集積された紙幣の有無を検出部の検出結果から判定する。第2集積部12が空の状態になっているYESのときは、ステップS205に進む。一方、第2集積部12に紙幣が集積されているNOのときは、ステップS207に進む。
【0126】
ステップS205において、制御部41は、第2集積部12を、第2集積機能に代えて、リジェクト集積機能に切り替える。そして、ステップS206において、制御部41は、リジェクト対象紙幣を第2集積部12に搬送する。その後、ステップS210に進む。
【0127】
また、ステップS204でNOと判定された後のステップS207において、制御部41は、既に第2集積部11に集積されていた紙幣を、リジェクト対象紙幣であるとして取り扱う。その後、ステップS208に進む。
【0128】
ステップS208において、制御部41は、既に第2集積部11に集積されていた紙幣を、計数カウンタから減算する。その後、ステップS209に進む。
【0129】
ステップS209において、制御部41は、第2集積部11に既に搬送済みの紙幣をリジェクト対象紙幣にした旨を操作表示部17aに表示する。その後、ステップS202に進む。
【0130】
次に、ステップS203またはステップS206を経た後のステップS210において、制御部41は、第2集積部11または第2集積部12に搬送されたリジェクト対象紙幣を、計数カウンタから減算する。その後、ステップS211に進む。
【0131】
ステップS211において、制御部41は、紙幣を第2集積部11または第2集積部12から抜き取るように促す旨の表示を操作表示部17aに表示する。その後、ステップS212に進む。
【0132】
ステップS212において、制御部41は、発光部17bの発光態様を変化させる。具体的に、制御部41は、発光部17bの発光態様を、青色の点灯表示(第1の発光態様)から赤色の点滅表示(第2の発光態様)に変化させる。その後、ステップS213に進む。
【0133】
ステップS213において、制御部41は、検出部19の検出結果により、第2集積部11または第2集積部12に集積された紙幣が抜き取られたか否かを判定する。すなわち、第2集積部11または第2集積部12から紙幣が抜き取られた状態(空の状態)になっているYESのときは、ステップS214に進む。一方、第2集積部11または第2集積部12から紙幣が抜き取られていないNOのときは、ステップS211に戻る。
【0134】
ステップS214において、制御部41は、第2集積部11または第2集積部12をリジェクト集積機能から第2集積機能に戻す。その後に続くステップS215において、制御部41は、計数カウンタをリセットする。
【0135】
以上により、ステップS200のサブルーチンが終了する。
【0136】
[第1実施形態の作用効果]
第1実施形態に係る紙幣処理装置1において、制御部41は、搬送異常検出部30が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、第2集積機能からリジェクト要因を含む紙幣を集積するリジェクト集積機能に切り替えるように、第2集積部11,12のいずれか一方を制御する。すなわち、識別部18よりも下流に位置する搬送路上において、斜行、破れなどのリジェクト要因を含む紙幣を搬送異常検出部30が検出した場合には、制御部41が、第2集積部11,12のいずれか一方を第2集積機能からリジェクト集積機能に動的に切り替える。これにより、リジェクト要因を含む紙幣は、本来の搬送先(すなわち第1集積部51~55)ではない搬送路の下流に位置する第2集積部11,12のいずれか一方に向かって搬送される。その結果、従来のように、例えばリジェクト要因を含む紙幣が識別部18よりも下流に位置する搬送路上で停止したときに、紙幣処理装置1のユニット(例えば第2反転部22のユニット)を外側に引き出してからリジェクト要因を含む紙幣を取り出さなければならないといった不具合を回避することができる。すなわち、識別部18よりも下流に位置する搬送路上において、紙幣の搬送が滞る事態を適切に回避できる。したがって、紙幣処理装置1では、紙幣処理の運用を適正化することができる。
【0137】
また、紙幣が第2反転部22を通る過程において紙幣に斜行や破れなどが第1反転部21よりも生じやすくなるが、搬送路において第2反転部22の下流近傍に配置された搬送異常検出部30により、リジェクト要因を含む紙幣を第2反転部22の下流近傍で適切に検出することが可能となる。その結果、第2反転部22よりも下流に位置する搬送路において、リジェクト要因を含む紙幣を搬送異常検出部30が検出した場合に、制御部41が第2集積部11,12のいずれか一方をリジェクト集積機能に動的に切り替えることにより、紙幣の搬送が滞る事態を適切に回避することができる。さらに、リジェクト要因を含む紙幣が第2集積部11,12のいずれか一方に搬送されることから、リジェクト要因を含む紙幣が、帯封部7により帯封される紙幣を集積するための第1集積部51~55に搬送されることを未然に防止することができる。
【0138】
また、制御部41が、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替える前において第2集積部11,12のいずれか一方に既に搬送された紙幣をリジェクト対象として扱うことにより、リジェクト集積機能に切り替える前後において第2集積部11,12のいずれか一方に集積された紙幣を、操作者がまとめて取り除いたとしても、紙幣の計数処理に影響しないようになる。すなわち、紙幣の計数処理を簡易化することができる。
【0139】
また、計数カウンタは、搬送異常検出部30が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、リジェクト要因を含む紙幣を計数対象から減算するように構成されている。そして、制御部41は、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替える前において第2集積部11,12のいずれか一方に既に搬送された紙幣を計数対象から減算するように、計数カウンタを制御する。これにより、リジェクト集積機能に切り替える前後において、第2集積部11,12のいずれか一方に集積された紙幣をまとめて減算対象とすることが可能となる。したがって、紙幣の計数処理を簡易化することができる。
【0140】
また、制御部41は、第2集積部11,12のいずれか一方に紙幣が集積されていないことを検出部19が検出したときに、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替えるように、紙幣が集積されていない第2集積部11,12のいずれか一方を優先的に制御する。すなわち、空の状態にある第2集積部11,12のいずれか一方を優先的にリジェクト集積機能に切り替えることにより、リジェクト集積機能の切替前において第2集積部11,12のいずれか一方に既に搬送された紙幣が存在していないため、上記のような減算処理が不要となる。したがって、紙幣の計数処理を簡易化することができる。
【0141】
また、制御部41は、第2集積部11,12のいずれか一方にリジェクト要因を含む紙幣が搬送されたときに、リジェクト要因を含む紙幣が搬送される前の状態を示す正常表示からリジェクト要因を含む紙幣が搬送されたときの状態を示すリジェクト表示に変更するように、表示部17を制御する。すなわち、表示部17に表示されたリジェクト表示により、操作者に対して第2集積部11,12のいずれか一方にリジェクト要因を含む紙幣が搬送されたことを的確に知らせることができる。
【0142】
また、操作表示部17aに表示されるリジェクト表示は、第2集積部11,12のいずれか一方からリジェクト要因を含む紙幣を抜き取ることを、操作者に促すための画面表示である。すなわち、操作表示部17aに表示されたリジェクト表示により、操作者に対して第2集積部11,12のいずれか一方からリジェクト要因を含む紙幣を抜き取ることを促すことができる。
【0143】
また、発光部17bは、正常表示として第1の発光態様で発光制御され、かつリジェクト表示として第1の発光態様と異なる第2の発光態様で発光制御されるように構成されている。かかる構成により、操作者に対して第2集積部11,12のいずれか一方にリジェクト要因を含む紙幣が搬送されたことを簡易的に知らせることができる。
【0144】
[第1実施形態の変形例1]
なお、上記第1実施形態では、第2集積部11,12の双方に紙幣が集積されている状態でリジェクト要因を含む紙幣が検出された場合に、リジェクト対象紙幣を上側の第2集積部11に搬送する形態を示したが、この形態に限られない。具体的に、第1実施形態の変形例1(図示せず)として、リジェクト要因を含む紙幣が検出される前において第2集積部11,12の双方に紙幣が集積された状態であっても、例えば第2集積部12に集積済みの紙幣の枚数が第2集積部11に集積済みの紙幣の枚数よりも少ない場合には、リジェクト対象紙幣を第2集積部12に搬送するように制御してもよい。また、第2集積部11に集積済みの紙幣の枚数が第2集積部12に集積済みの紙幣の枚数よりも少ない場合には、リジェクト対象紙幣を第2集積部11に搬送するように制御してもよい。このように、第2集積部12に集積済みの紙幣の枚数に応じてリジェクト対象紙幣の搬送先を制御することにより、リジェクト集積機能に切り替えられた後に再投入される紙幣の枚数を少なくすることができる。
【0145】
[第1実施形態の変形例2]
上記実施形態では、制御部41が、第2集積部11,12のいずれか一方をリジェクト集積機能に切り替える制御態様を示したが、この形態に限られない。例えば、
図13に示すように、第1実施形態の変形例2として、制御部41が、第2集積部11,12および搬送路において最下流に位置する第1集積部51のいずれか1つの集積部をリジェクト集積機能に切り替える制御態様であってもよい。
【0146】
この変形例2に係るステップS200(リジェクト集積機能)のサブルーチンについて、
図13を参照しながら主に上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0147】
ステップS201でNOと判定された後のステップS204において、下側の第2集積部12が空の状態になっているYESのときは、上記実施形態と同様に、ステップS205に進む。一方、下側の第2集積部12に紙幣が集積されているNOのときは、上記実施形態と異なり、ステップS221に進む。
【0148】
ステップS221において、制御部41は、最下流の第1集積部51に集積された紙幣の有無を図示しない検出部の検出結果から判定する。最下流の第1集積部51が空の状態になっているYESのときは、ステップS222に進む。また、最下流の第1集積部51に紙幣が集積されているNOのときは、ステップS207に進む。
【0149】
ステップS222において、制御部41は、最下流の第1集積部51を、ステップS118で示した識別部18の識別結果に基づいて第1集積部51に集積される紙幣を集積する機能(第1集積機能)に代えて、リジェクト集積機能に切り替える。その後に続くステップS223において、制御部41は、リジェクト対象紙幣を最下流の第1集積部51に搬送する。ステップS223に続くステップS224において、制御部41は、最下流の第1集積部51に搬送されたリジェクト対象紙幣を、運搬部6によって返却部16に搬送する。その後、ステップS210に進む。
【0150】
一方、ステップS207において、制御部41は、既に上側の第2集積部11に集積されていた紙幣を、リジェクト対象紙幣であるとして取り扱う。その後、ステップS208において、制御部41は、既に上側の第2集積部11に集積されていた紙幣を、計数カウンタから減算する。その後、ステップS209において、制御部41は、上側の第2集積部11に既に搬送済みの紙幣をリジェクト対象紙幣にした旨を操作表示部17aに表示する。その後、ステップS225に進む。
【0151】
ステップS225において、制御部41は、上側の第2集積部11を、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替える。その後に続くステップS226において、制御部41は、リジェクト対象紙幣を上側の第2集積部11に搬送する。その後、ステップS210に進む。
【0152】
ステップS210以降については、上記実施形態と略同様であるため、その詳細な説明を省略する。なお、本変形例のサブルーチンでは、上記実施形態で示したステップ212を省略している。
【0153】
このように、変形例2において、第2集積部11,12および最下流の第1集積部51のいずれかの集積部が空の状態である場合には、制御部41が、当該空の状態にある集積部をリジェクト集積機能に切り替えるように優先的に制御する。一方、第2集積部11,12および最下流の第1集積部51のいずれもが空の状態でない場合には、制御部41が、上側の第2集積部11をリジェクト集積機能に切り替えるように制御する。
【0154】
そして、変形例2では、制御部41は、第2集積部11,12の双方に紙幣が集積されていることを検出部19が検出しかつ最下流の第1集積部51に紙幣が集積されていないときに、第1集積機能からリジェクト集積機能に切り替えるように、紙幣が集積されていない第1集積部51を優先的に制御する。これにより、リジェクト要因を含む紙幣を搬送異常検出部30が検出したときにおいて、第2集積部11,12に既に搬送された紙幣が存在していたとしても、空の状態にある第1集積部51を優先的にリジェクト集積機能に切り替えることから、減算処理が不要となる。したがって、変形例2では、紙幣の計数処理を簡易化することができる。
【0155】
ここで、上記変形例2では、第2集積部11,12が空の状態にあるか否かというステップ(
図13のS201およびS204参照)を経る形態を示したが、この形態に限られない。具体的に、上記変形例2の更なる変形例として、リジェクト要因を含む紙幣が検出される前における第2集積部11,12の集積状態に関わらず、制御部41が、リジェクト対象紙幣を、空の状態にある第1集積部51~55のいずれかに搬送するように制御してもよい。かかる形態であっても、紙幣の計数処理を簡易化することができる。
【0156】
また、上記変形例2では、リジェクト集積機能において、上記ステップS221~224の対象を最下流に位置する第1集積部51に設定した形態を示したが、この形態に限られない。具体的に、上記変形例2の更なる変形例として、上記ステップS221~224の対象(すなわち、リジェクト対象紙幣の搬送先)を、最下流に位置する第1集積部51に代えて、空の状態にある第1集積部52~55のいずれかに設定した形態としてもよい。かかる形態であっても、紙幣の計数処理を簡易化することができる。
【0157】
[
参考の実施形態]
図14~
図18は、
参考の実施形態に係る紙幣処理装置100を示すものである。この実施形態では、主に上記第1実施形態で示した第1反転部21、第2反転部22、帯封部7、および第2集積部11,12に相当する構成が設けられていない。以下、
図14~
図18を参照しながら、
参考の実施形態に係る紙幣処理装置100について説明する。
【0158】
図14および
図15に示すように、紙幣処理装置100は、筐体101と、投入部102と、取込部103と、を備えている。
【0159】
投入部102は、筐体101に設けられている。投入部102は、複数の紙幣を受け入れ可能となるように構成されている。投入部102には、投入部102に紙幣が載置されているか否かを検知するための有無検知センサ104が設けられている。
【0160】
取込部103は、筐体101に設けられていて、投入部102の下側に配置されている。取込部103は、投入部102において受け入れられた積層状態の紙幣のうち最下層にある紙幣を1枚ずつ取り込み可能に構成されている。
【0161】
図15に示すように、紙幣処理装置100は、搬送部105(搬送路)と、識別部106と、複数(図示例では8つ)の集積部107と、複数(図示例では2つ)のリジェクト部108と、を備えている。
【0162】
搬送部105は、取込部103から筐体101内に取り込まれた各紙幣を搬送するように構成されている。搬送部105には、複数の搬送異常検出部109および複数の分岐部111が設けられている。複数の分岐部111は、搬送部105内で搬送される紙幣を分岐するための要素である。
【0163】
各搬送異常検出部109は、搬送部105において、少なくとも識別部106と最下流に位置する集積部107との間に配置されている。そして、各搬送異常検出部109は、搬送部105における識別部18よりも下流において、紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出するように構成されている。
【0164】
識別部106は、搬送部105で搬送された紙幣を識別して計数する。具体的に、識別部106は、紙幣の金種、正損、表裏、新旧、方向、真偽などを識別する。
【0165】
各集積部107は、識別部106により識別された紙幣を集積する。一方、各リジェクト部108は、集積部107に集積されない紙幣をリジェクトする。
【0166】
各集積部107は、筐体101の前面側(
図15の紙面表側)が開口している(
図14参照)。操作者は、当該開口を介して集積部107内の紙幣を自由に取り出すことが可能となっている。各集積部107には、集積部107内の紙幣の有無を検知するための有無検知センサ112が設けられている。
【0167】
図16に示すように、紙幣処理装置100は、制御部113と、記憶部114と、操作表示部115と、を備えている。
【0168】
制御部113には、取込部103、搬送部105、各種センサ40,41,42、分岐部材45、集積部107、リジェクト部108、搬送異常検出部109、記憶部114、識別部106、操作表示部115等が接続されている。制御部113は、これらの構成要素を制御しかつこれらの構成要素から情報を取得するように構成されている。また、制御部113は、計数カウンタ(図示せず)を含む。計数カウンタは、搬送異常検出部109が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、リジェクト要因を含む紙幣を計数対象から減算するように構成されている。
【0169】
操作表示部115は、少なくとも識別部106で紙幣が計数された結果に基づく計数情報が表示されるように構成されている。操作表示部115は、筐体101の前面側に配置されている(
図14参照)。
【0170】
操作表示部115は、例えばタッチパネルからなる操作表示画面115a,115bを有している。具体的に、操作表示画面115a,115bの各々は、操作者の指などが操作表示画面115a,115bに触れることにより、操作表示画面115a,115bに表示されたボタン等を介して入力信号が制御部113に送られるように構成されている。なお、操作表示部115a,115bは、タッチパネルに限られず、通常のモニタ画面で構成されていてもよい。
【0171】
(制御部による紙幣分類の処理動作)
次に、紙幣分類に関して、制御部113による一連の処理動作を説明する。
【0172】
まず、
図17のフローチャートを参照しながらステップS300におけるメインの処理動作(紙幣の分類処理)について説明をする。
【0173】
先ずスタート後のステップS301において、紙幣処理装置100は、投入部102に投入されている紙幣を繰り出す。続くステップS302において、識別部106は、紙幣の識別を行う。その後、ステップS303に進む。
【0174】
ステップS303において、制御部113は、紙幣がリジェクト券であるか否かを判定する。リジェクト券でないNOのときには、ステップS304に進む。
【0175】
ステップS304において、制御部113は、いずれかの搬送異常検出部109が搬送途中の紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したか否かを判定する。搬送異常検出部109が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出しなかったNOのときは、ステップS305に進む。
【0176】
ステップS305において、制御部113は、識別部106の識別結果に基づいて正常であると識別された紙幣を各集積部107に搬送する(標準機能)。その後、ステップS307に進む。
【0177】
一方、ステップS303で紙幣がリジェクト券であるYESと判定されたときには、ステップS306に進む。ステップS306において、制御部113は、リジェクト券であると判定された紙幣をリジェクト部108に搬送する。その後、ステップS307に進む。
【0178】
ステップS307において、制御部113は、次の紙幣が、投入部102にあるか否か判定する。次の紙幣があるYESのときは、ステップS301に戻る。一方、次の紙幣が無いNOのときは、フローを終了する。
【0179】
そして、上記ステップS304において、搬送異常検出部109が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したYESのときは、ステップS400に進む。
【0180】
次に、
図18を参照しながらステップS400(リジェクト集積機能)のサブルーチンを説明する。
【0181】
上述のステップS304を経た後のステップS401において、制御部113は、搬送部105において最下流に位置する集積部107に集積された紙幣の有無を有無検知センサ112の検出結果から判定する。最下流に位置する集積部107が空の状態になっているYESのときは、ステップS405に進む。一方、最下流に位置する集積部107に紙幣が集積されているNOのときは、ステップS402に進む。
【0182】
ステップS402において、制御部113は、最下流に位置する集積部107に集積されていた紙幣を、リジェクト対象紙幣であるとして取り扱う。その後、ステップS403に進む。
【0183】
ステップS403において、制御部113は、既に最下流に位置する集積部107に集積されていた紙幣を、計数カウンタから減算する。その後、ステップS404に進む。
【0184】
ステップS404において、制御部113は、最下流に位置する集積部107に既に搬送済みの紙幣をリジェクト対象紙幣にした旨を操作表示部70に表示する。その後、ステップS405に進む。
【0185】
ステップS405において、制御部113は、最下流に位置する集積部107を、ステップS305で示した識別部106の識別結果に基づいて正常な紙幣を集積する機能(標準機能)に代えて、リジェクト要因を含む紙幣を集積する機能(リジェクト集積機能)に切り替える。その後、ステップS406に進む。
【0186】
ステップS406において、制御部113は、リジェクト対象紙幣を最下流に位置する集積部107に搬送する。その後、ステップS407に進む。
【0187】
ステップS407において、制御部113は、最下流に位置する集積部107に搬送されたリジェクト対象紙幣を、計数カウンタから減算する。その後、ステップS408に進む。
【0188】
ステップS408において、制御部113は、紙幣を最下流に位置する集積部107から抜き取るように促す旨の表示を操作表示部115に表示する。その後、ステップ409に進む。
【0189】
ステップS409において、制御部113は、有無検知センサ112の検出結果により、最下流に位置する集積部107に集積された紙幣が抜き取られたか否かを判定する。すなわち、最下流に位置する集積部107から紙幣が抜き取られた状態(空の状態)になっているYESのときは、ステップS410に進む。一方、紙幣が抜き取られていないNOのときは、ステップS408に戻る。
【0190】
ステップS410において、制御部113は、最下流に位置する集積部107をリジェクト集積機能から標準機能に戻す。その後、ステップS411に進む。
【0191】
ステップ411において、制御部113は、計数カウンタをリセットする。
【0192】
以上により、ステップS200のサブルーチンが終了する。
【0193】
[参考の実施形態の作用効果]
参考の実施形態に係る紙幣処理装置100では、搬送異常検出部109が紙幣にリジェクト要因が含まれることを検出したときに、リジェクト要因を含む紙幣が最下流の集積部107に向かって搬送される。すなわち、制御部113は、搬送異常検出部109が検出したリジェクト要因を含む紙幣を、紙幣が未だ搬送されていない可能性が高い最下流の集積部107に搬送するように制御する。これにより、識別部106よりも下流に位置する搬送部105上において、紙幣の搬送が滞る事態を回避しやすくなる。したがって、参考の実施形態に係る紙幣処理装置100では、上記第1実施形態と同様に、紙幣処理の運用を適正化することができる。
【0194】
[その他の実施形態]
上記第1実施形態では、2つの第2集積部11,12を設けた形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、3つ以上の第2集積部を設けてもよい。また、上記第1実施形態では、第2集積部11,12に図示しないロック機構を設けてもよい。
【0195】
また、上記第1実施形態では、第2集積機能からリジェクト集積機能に切り替える前において第2集積部11,12のいずれか一方に既に搬送された紙幣を計数対象から減算している。しかしながら、帯封対象外の紙幣を計数していない場合(すなわち、第2集積部11,12が空の状態となっている場合)には、第2集積部11,12にリジェクト要因を含む紙幣が搬送されたとしても、計数対象から減算する必要はない。
【0196】
また、上記第1実施形態では、第1反転部21および第2反転部22の双方を備える形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、紙幣処理装置1としては、第1反転部21および第2反転部22のいずれか一方のみを備える形態であってもよい。
【0197】
また、上記第1実施形態において、第2集積部11,12のいずれか一方にリジェクト要因を含む紙幣が搬送されたことを操作者に通知するための補助的な手段として、計数カウンタによる計数処理を停止させてもよい。かかる場合、計数処理を停止する前に紙幣処理装置1内に滞留している紙幣(すなわち、後続の紙幣)についても、リジェクト要因を含む可能性があることから、当該後続の紙幣をリジェクト対象紙幣として取り扱ってもよい。
【0198】
また、上記第1実施形態では、紙幣BNを長手の縁を前にして搬送する、いわゆる短手搬送に関する形態(
図4参照)を示したが、この形態に限られない。すなわち、
図5に示すように、紙幣BNを短手の縁を前にして搬送する、いわゆる長手搬送に構成することも可能である。長手搬送において第1反転部21は、紙幣BNの搬送方向に直交すると共に、紙幣BNの紙面に沿った第1軸回りに、紙幣BNを回転させる方式に構成してもよい。この場合、第1反転部21は、紙幣BNの表裏を反転すると共に、紙幣BNの搬送方向の前端と後端とを入れ替えることができる。紙幣BNは、表裏および左右方向の向きが反転する。
【0199】
なお、ここに開示する技術は、紙幣の処理を行う装置に限らず、小切手や商品券等の有価媒体を含む紙葉類を処理する装置に、広く適用することが可能である。
【0200】
以上、本開示についての実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態のみに限定されず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本開示は、紙幣や商品券などの紙葉類を処理するための紙葉類処理装置として産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0202】
1,100:紙幣処理装置(紙葉類処理装置)
3,105:搬送部
7:帯封部
11,12:第2集積部
14,108:リジェクト部
17:表示部
17a,115:操作表示部
17b:発光部
18,106:識別部
21:第1反転部
22:第2反転部
30,109:搬送異常検出部
41,113:制御部
51~55:第1集積部
107:集積部