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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】錠制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 45/06 20060101AFI20230605BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230605BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20230605BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
E05B45/06 A
E05B49/00 J
G08B21/24
H04Q9/00 301B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019191779
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021067046
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】今田 真悟
(72)【発明者】
【氏名】早坂 遼
(72)【発明者】
【氏名】峯 永治
(72)【発明者】
【氏名】池田 和代
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-152458(JP,A)
【文献】特開2004-019381(JP,A)
【文献】特開2015-178738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00
19/22
49/00
B60R 25/10
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施解錠状態を示す錠状態信号を無線送信可能な錠装置と、
前記錠装置に対する施解錠制御信号を無線送信可能な携帯器とを有し、
前記携帯器には、該携帯器の動きの有無を検出するモーションセンサと、
前記錠装置からの解錠状態を示す錠状態信号受信後の所定期間内に施錠信号の受信がなく、かつ、前記モーションセンサによる動きが検出されたことを条件に警告信号を出力する警告部とを備える錠制御システム。
【請求項2】
前記錠装置は、所定時間間隔を置いて施解錠状態を示す錠状態信号を携帯器に送信する請求項1記載の錠制御システム。
【請求項3】
前記携帯器には、前記警告信号として使用される振動を発生させる振動部が設けられる請求項1または2記載の錠制御システム。
【請求項4】
前記携帯器には、前記錠装置から送信される錠状態信号を記憶可能な錠状態記憶部と、
状態確認操作部とが配置され、
前記警告部は、状態確認操作部への操作時に錠状態記憶部が解錠状態信号を記憶しているときに警告信号を出力する請求項1、2または3記載の錠制御システム。
【請求項5】
施解錠状態を示す錠状態信号を無線送信可能な錠装置1に対する施解錠制御が可能な携帯器であって、
携帯器の動きの有無を検出するモーションセンサと、
前記錠装置からの解錠状態を示す錠状態信号受信後の所定期間内に施錠信号の受信がなく、かつ、前記モーションセンサによる動き検出を条件に警告信号を出力する警告部とを備える携帯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は錠制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
家屋等に設置された錠装置の施解錠状態を錠装置の施解錠操作に使用する携帯器により知ることとのできる錠制御システムとしては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、錠制御システムは、携帯器と、各室に設置され、上記携帯器に対する認証を条件に施解錠機構を操作するリーダと、共用出入口等に設置される室外センサとを有する。
【0004】
リーダは、該リーダに対する解錠動作に続く施錠動作が行われない場合に出力される施錠忘れを通知するための施錠忘れ信号を携帯器に送信する機能を有しており、出力された施錠忘れ信号は携帯器の記憶部に記憶される。
【0005】
施錠忘れ信号が記憶された携帯器が室外センサの通信エリアに進入し、さらに、室外センサから発信される携帯器確認用電波が自局宛である場合には、携帯器が振動し、解錠状態であることを利用者に知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-223412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した従来例において、利用者への未施錠、すなわち解錠状態の警告は、室外センサの通信エリアへの進入を条件とするために、リーダに加えて室外センサを必要とするために、運用のための装置が増えて高価になるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、安価な構成で、解錠状態を利用者に有効に警告することのできる錠制御システムの提供を目的とする。
【0009】
また、本発明の他の目的は、上記錠制御システムに利用可能な携帯器の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明よれば上記目的は、
施解錠状態を示す錠状態信号を無線送信可能な錠装置1と、
前記錠装置1に対する施解錠制御信号を無線送信可能な携帯器2とを有し、
前記携帯器2には、該携帯器2の動きの有無を検出するモーションセンサ3と、
前記錠装置1からの解錠状態を示す錠状態信号受信後の所定期間内に施錠信号の受信がなく、かつ、前記モーションセンサ3による動きが検出されたことを条件に警告信号を出力する警告部4とを備える錠制御システムを提供することにより達成される。
【0011】
錠制御システムは玄関扉等に設置される錠装置1と、錠装置1の施解錠制御信号を出力する携帯器2とを有して構成され、錠装置1は所定タイミングで携帯器2に向けて錠状態信号を出力する。
【0012】
錠装置1から解錠状態を示す錠状態信号(以下、「解錠状態信号」)を受信すると、この後の所定期間内に錠装置1の施錠状態を示す錠状態信号(以下、「施錠状態信号」)を受信することがなく、錠装置1の施錠状態への反転が確認できなかったときには、警告待機状態となり、この後、モーションセンサ3による動き検出を待って警告部4が警告信号を出力する。
【0013】
したがって、本発明において、携帯器2は錠装置1から解錠状態信号を受信した後、適宜の条件を充足することにより自動的に警告信号を出力するために、携帯器2の所持者は施錠状態の確認操作をすることなく、施錠状態か否かを知ることができる。
【0014】
また、錠装置1を錠状態信号を出力可能とし、携帯器2をこの錠状態信号を保持、あるいは判定する機能を追加するだけで、システムを構成することができるために、安価に構成することができる。
【0015】
さらに、警告信号の出力は、モーションセンサ3による動き検出を条件とするために、携帯器2を動かさない限り出力されることがなく、帰宅後に静置させておいた携帯器2が不用意に警告信号を出力することを防止することができる。
【0016】
加えて、施解錠状態の判定は携帯器2の操作履歴によることなく、錠装置1からの錠状態信号に基づくために、屋内からサムターン装置による施解錠、あるいはメカニカルキー16による施解錠状態の反転も捕捉することができる。
【0017】
上記施解錠制御信号は、携帯器2から施解錠動作を指示するリモコン信号の他に、錠装置1から出力される認証用ID要求信号(リクエスト信号)に対して応答する自局の認証用IDを含む施解錠許可信号としての性格を有する応答信号であってもよい。
【0018】
また、本発明の他の態様として、
前記錠装置1は、所定時間間隔を置いて施解錠状態を示す錠状態信号を携帯器2に送信する錠制御システムを構成することができる。
【0019】
錠状態信号の出力は、錠装置1の施解錠状態が変化したタイミング、すなわち、錠装置1に対する施解錠操作時に行うことが可能であるが、所定時間間隔を置いて現在の施解錠状態を出力した場合、携帯器2が錠装置1との交信可能領域にいる限り、最新の施解錠状態を知ることができるために、動作信頼性を向上させることが可能になる。
【0020】
また、警告信号には、光、音声等を使用できるが、
前記携帯器2には、前記警告信号として使用される振動を発生させる振動部5が設けられる錠制御システムを構成して、警告信号として振動を利用すると、携帯器2をポケット等に入れておいた状態で警告を知ることができるために、使い勝手が向上する。
【0021】
さらに、
前記携帯器2には、前記錠装置1から送信される錠状態信号を記憶可能な錠状態記憶部6と、
状態確認操作部7とが配置され、
前記警告部4は、状態確認操作部7への操作時に錠状態記憶部6が解錠状態信号を記憶しているときに警告信号を出力する錠制御システムを構成した場合には、好みのタイミングで錠装置1の施解錠状態を知ることができる。
【0022】
また、上記錠制御システムには、
施解錠状態を示す錠状態信号を無線送信可能な錠装置1に対する施解錠制御が可能な携帯器2であって、
携帯器2の動きの有無を検出するモーションセンサ3と、
前記錠装置1からの解錠状態を示す錠状態信号受信後の所定期間内に施錠信号の受信がなく、かつ、前記モーションセンサ3による動き検出を条件に警告信号を出力する警告部4とを備える携帯器2を使用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、安価な構成で利用者に錠装置が未施錠状態であることを知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の構成を示す図である。
図2】錠装置の機能ブロック図である。
図3】携帯器の機能ブロック図である。
図4】携帯器を示す図で、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は斜視図である。
図5】錠装置の動作を示すフローチャートである。
図6】携帯器の動作を示すフローチャートである。
図7】携帯器の動作を示すフローチャートである。
図8】携帯器の動作を示すフローチャートである。
図9】携帯器の動作を示すフローチャートである。
図10】携帯器の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示すように、錠制御システムは、玄関扉8等に固定される電気錠10を含む錠装置1と、この錠装置1の施解錠操作を制御するための携帯器2とを有する。
【0026】
本例において錠装置1は、玄関扉8付近の壁に固定されるリーダ12と、玄関扉8内に固定される上記電気錠10と、室内に配置される電気錠操作盤11とからなる。
【0027】
図2に示すように、上記リーダ12には、上記携帯器2との無線交信を行うためのLF送信部12a、およびUHF受信部12bと、携帯器2に出力するリクエストコードを生成するリクエストコード生成部12cと、携帯器2との交信開始を指示するリクエストスイッチ12dと、時間計測部12eと、電気錠操作盤11との通信を行うための通信部12fと、これらの動作を制御する制御部12gが設けられる。
【0028】
制御部12gがリクエストスイッチ12dに対する押下操作を検出すると、リクエストコード生成部12cにおいて通信対象の携帯器2を特定するためのID情報を含むリクエストコードが生成されて上記LF送信部12aからリクエスト信号として出力され、このリクエスト信号に応答可能な携帯器2から出力される応答信号(施解錠制御信号)がUHF受信部12bにおいて受信される。
【0029】
リクエスト信号には、ID情報に加えて施解錠種情報が加えられる。施解錠種情報は、後述する電気錠操作盤11の状態記憶部11aに記憶された施解錠状態を反転させる施解錠種が選択され、状態記憶部11aが「施錠状態」を保持してい場合には解錠が、「解錠状態」を保持している場合には、施錠が施解錠情報として加えられる。
【0030】
また、制御部12gは、時間計測部12eを使用して1秒程度の所定時間間隔で携帯器2にモーションリクエスト信号を送信する。このモーションリクエスト信号には、上記電気錠操作盤11の状態記憶部11aに格納された現在の施解錠状態を示す錠状態信号が加えられる。
【0031】
さらに、後述するように、携帯器2はリーダ12から出力されるリクエスト信号に対して応答するいわゆるパッシブ動作に加えてリモコン動作による操作が可能であり、上記UHF受信部12bは、当該リモコン操作により携帯器2から出力される施解錠操作信号(施解錠制御信号)も受信する。
【0032】
携帯器2から出力される施解錠制御信号には自局に割り当てられた認証用のID情報が含まれており、UHF受信部12bにおいて施解錠操作信号を受信すると、通信部12fを経由して電気錠操作盤11に出力される。
【0033】
加えて、本例において、上記リーダ12には、カード錠13を読み込むための図外のカードリーダ装置が組み込まれており、カードリーダ装置にカード錠13を翳すと、カード錠13に設定された認証用IDが読み取られ、入力された認証用IDは上述した施解錠操作信号と同様に通信部12fを経由して電気錠操作盤11に出力される。
【0034】
上記電気錠操作盤11は、上記リーダ12、および電気錠10と通信するための通信部11bと、ID認証部11cと、ID記憶部11dと、電気錠10の施解錠状態を記憶する状態記憶部11aと、これらを制御する制御部11eとを備えており、通信部11bが上記携帯器2からの施解錠操作信号、あるいはカードリーダ装置からの認証用IDを受領したとき、ID認証部11cにおいてID記憶部11dに格納されたID情報と受領した認証用IDとを比較し、一致する場合に認証成立信号を出力する。
【0035】
また、電気錠操作盤11には、室内から電気錠10を施解錠操作するための施錠ボタン11fと解錠ボタン11gとが配置される。
【0036】
一方、電気錠10は、上記電気錠操作盤11に接続される通信部10aと、電気錠10の施解錠状態を検出する施解錠状態検出部10bと、開扉状態での施錠動作を防止するために玄関扉8の開閉状態を検出するための扉開閉検出部10cと、電動アクチュエータを動力源とする錠駆動部10dとを有し、錠駆動部10dを駆動することによりデッドボルト、あるいはラッチボルト等の施錠部10fが施錠位置、あるいは解錠位置に移動して施解錠状態となる。
【0037】
また、電気錠10には、屋外からメカニカルキー16により操作されるシリンダ錠10f、および屋内から操作されるサムターン装置10gが配置され、停電時等における施錠部10fの直接操作を可能にしている。
【0038】
したがって本例において、リクエストスイッチ12dを押下すると、携帯器2に対して施錠種情報を含むリクエスト信号が出力される。後述するように、携帯器2からのリクエスト信号に対する応答信号には認証用IDと施解錠種情報が含められており、認証用IDが電気錠操作盤11のID認証部11cにおいて認証されると、応答信号内に含まれる施解錠種別情報に対応するドライブ信号を錠駆動部10dにセットして錠駆動部10dを駆動する。
【0039】
以上のように、リクエストスイッチ12dの操作による施解錠操作、すなわち、パッシブ動作による施解錠操作は、現状の施解錠状態を動作ごとに反転させるトグル動作が行われるのに対し、携帯器2の施解錠ボタン15a、15bあるいは電気錠操作盤11の施解錠ボタン11f、11gを操作するように、施解錠種を指定した施解錠操作がなされた場合には、指定の施解錠動作が行われる。
【0040】
以上のように、電気的操作、あるいは機械的操作により施錠部10fが駆動されて状態遷移が施解錠状態検出部10bにより検出されると、電気錠操作盤11に出力され、状態記憶部11aにおいて記憶される。
【0041】
一方、携帯器2は、図4に示すように、ケース14内に収容される実装基板14a上に表面実装されるスイッチ14bの表面をシート14cにより覆って形成され、シート14のスイッチ14bに対応する部位をケース14から露出させて施錠ボタン15a、解錠ボタン15b、および状態確認操作部としてのエクストラボタン7が配置される。
【0042】
図3に示すように、上記携帯器2には、上記錠装置1と交信するためのLF受信部2a、およびUHF送信部2bと、自局のIDを格納するID記憶部2cと、自局宛のリクエストコードを記憶するリクエストコード記憶部2dと、錠装置1から送信されたリクエストコードが自局宛であるか否かを照合するためのリクエストコード照合部2eと、錠状態記憶部6とを有し、錠装置1からリクエスト信号を受信すると、リクエスト信号に含まれる施解錠種別情報を錠状態記憶部6に保持し、施解錠種別情報と認証用IDを含む応答信号をUHF送信部2bから出力する。
【0043】
携帯器2は、上述したパッシブ動作に加えてリモコン操作が可能であり、このリモコン操作を行うために上述した施錠ボタン15aと、解錠ボタン15bとが配置されており、施解錠いずれかのボタン15a、15bを押下すると、認証用ID情報を含む施解錠制御信号がUHF送信部2bから出力され、認証用IDに対する認証が成立すると、錠装置1が施解錠種別にしたがって錠駆動部10dを作動させ、その後、施解錠状態検出部10bからの施解錠状態の出力を待って状態記憶部11aに記憶する。
【0044】
さらに、携帯器2には錠装置1の施解錠状態を好みのタイミングで知ることができるように、上述したエクストラボタン7と振動部5(振動モータ)とが配置される。エクストラボタン7を押下すると、錠状態記憶部6が「解錠」を保持している場合には、振動モータ5を駆動して携帯器2を振動させて未施錠状態の警告が行われる。
【0045】
上述したように、錠装置1は所定時間間隔を置いて錠状態信号を含むモーションリクエスト信号を出力し、携帯器2の錠状態記憶部6の保持内容と錠状態信号が異なっている場合、最新の錠情報に更新される。
【0046】
錠状態記憶部6の書き換えは、携帯器2が錠装置1との交信可能領域内にある状態で継続して行われ、交信可能領域から離脱して更新が不可能となった状態では、離脱時における施解錠状態が錠状態記憶部6に保持される。
【0047】
さらに、携帯器2には、携帯器2の動きを検出するためモーションセンサ3と、モーションセンサ3の出力を保持するモーション判定部2fと、動き検出回数をカウントするためのモーション判定回数カウンタ2gと、警告信号の出力状況を格納する通知ステータス記憶部2hと、カウンタ部2iと、これらを制御する制御部2jが設けられる。
【0048】
モーションセンサ3は、錠装置1からのモーションリクエスト信号を受信しているときに動作して携帯器2の動きを監視し、モーションセンサ3からの動き検出は警告部4における警告信号出力の条件とされる。
【0049】
また、モーションセンサ3からの動き検出は、パッシブ動作における解錠動作条件とすることにより、屋外のリクエストスイッチ12d操作により屋内の置き忘れ携帯器2が応答して不用意に解錠操作が行われるのを防止するために利用される。
【0050】
携帯器2が錠装置1からの解錠状態信号を受信すると、制御部2jはカウンタ部2iに警告のタイミングを計測する警告タイマをセットして計時を開始し、警告タイマがタイムアップすると、所定タイミングで適数回モーションセンサ3の動き検出を開始し、動きが検出されると警告信号として携帯器2を振動させるために振動モータ5を駆動する。
【0051】
動き検出は、カウンタ部2iにセットされるモーションチェックカウンタがタイムアップするタイミングで行われ、モーション判定回数カウンタ2gにセットした回数だけ実行される。
【0052】
図5に錠装置1のパッシブ動作とモーションリクエストの送信動作を示すフローチャートを示す。まず、錠装置1は、電気錠10の施解錠状態検出部10bの状態から錠状態を取得し(ステップS1)、利用者によるリクエストスイッチ12dの操作を待つ(ステップS2)。
【0053】
また、錠装置1は所定時間間隔をおいてモーションリクエストを携帯器2に向けて出力し、この時間間隔を計測するために、時間計測部12eにモーションリクエストタイマがセットされ、ステップS2においてリクエストスイッチ12dが操作されなかった場合には、モーションリクエストタイマがタイムアップか否かを判定し(ステップS3)、タイムアップでない場合にはステップS1に復帰する。
【0054】
ステップS3においてモーションリクエストタイマがタイムアップした場合、モーションリクエスト信号を携帯器2に送信した後(ステップS4)、モーションリクエストタイマによる計時を開始する(ステップS5)。モーションリクエスト信号の送信時には、同時に施解錠状態信号が送信される。
【0055】
また、ステップS2においてリクエストスイッチ12dへの操作が検出された場合、錠装置1の状態記憶部11aの記憶内容を判定し(ステップS21)、解錠状態である場合には、施錠用のリクエスト信号を送信した後(ステップS22)、携帯器2からの応答を待つ。携帯器2からの応答信号に含まれる認証用IDがID認証部11cにより認証されると(ステップS23)、電気錠10の錠駆動部10dを駆動して電気錠10を施錠動作させ(ステップS24)、認証が成立しなかった場合には、ステップS1に復帰する。
【0056】
これに対し、ステップS21において状態記憶部11aが解錠状態を保持している場合には、解錠用のリクエスト信号を送信した後(ステップS211)、携帯器2からの応答を待ち、携帯器2に対する認証が成立すると(ステップS212)、電気錠10を解錠動作させ(ステップS213)、認証不成立時には、ステップS1に復帰する。
【0057】
以上のように、錠装置1はリクエストスイッチ12dを操作されるたびに、電気錠10をトグル動作させるように、状態記憶部11aに保持されている施解錠状態が反転する施解錠種別を有するリクエスト信号を携帯器2に出力する。
【0058】
一方、携帯器2は、図6に示すように、電源が投入されると、制御部2jは、初期設定として、錠状態記憶部6を「不明」に、通知ステータス記憶部2hを「不要」に、モーション判定部2fを「動きなし」に各々更新し(ステップS11)、錠装置1からの携帯器宛信号の受信を待ち受ける(ステップS12)。
【0059】
ステップS12において携帯器宛信号を受信した場合、携帯宛信号に含まれる宛先ID信号から自局宛か否かを判定し(ステップS13)、自局宛である場合には、携帯器宛信号の種類を判定する(ステップS14)。
【0060】
上述したように、錠装置1から出力される携帯器宛信号には、利用者が錠装置1のリクエストスイッチ12dを操作した際に錠装置1から出力されるリクエスト信号と錠状態信号を伴うモーションリクエスト信号があり、上記ステップにおいて携帯器宛信号がモーションリクエストである場合には、カウンタ部2iにモーションセンサ3の出力を検出するためのモーションリクエストタイマをセットし、計測を開始する(ステップS15)。
【0061】
また、上述したように、錠装置1はモーションリクエストと同時に施解錠状態信号を送信しており、モーションリクエストと同時に送信された施解錠状態信号が「解錠」状態である場合(ステップS16)、カウンタ部2iにより警告タイマを開始するとともに(ステップS17)、警告信号の出力状態を示す通知ステータス記憶部2hを「未通知」に(ステップS18)、錠状態記憶部6を「解錠」に各々更新する(ステップS19)。
【0062】
これに対し、ステップS16でモーションリクエストと同時に送信された施解錠状態信号が「施錠」状態である場合、未施錠の警告が不要のために、通知ステータス記憶部2hを「不要」に、錠状態記憶部6を「施錠」に各々更新する(ステップS161、S162)。
【0063】
さらに、ステップS14において携帯器宛信号がモーションリクエストでない場合、すなわち、リクエスト信号である場合には、図7に示すように、施錠用のリクエスト信号か解錠用のリクエスト信号かを判定し(ステップS21)、施錠用のリクエスト信号である場合、モーション判定部2fが「動きあり」を保持しているか否かを判定し(ステップS22)、「動きあり」を保持している場合には、UHF送信部2bから錠装置1に向けてモーションありフラグを付けたパッシブ施錠用の認証用IDを送信する(ステップS23)。
【0064】
これに対し、ステップS22においてモーション判定部2fが「動きあり」を保持していない場合には、モーションなしフラグを付けたパッシブ施錠用の認証用IDを錠装置1に出力する(ステップS221)。
【0065】
一方、ステップS21において解錠用のリクエスト信号であると判定された場合で(ステップS211)、モーション判定部2fが「動きあり」を保持している場合には(ステップS212)、モーションありフラグを付けたパッシブ解錠用の認証IDを、「動きあり」を保持していない場合には、モーションなしフラグを付けたパッシブ解錠用の認証用IDを錠装置1に出力し(ステップS213、S2121)、錠装置1において認証される。
【0066】
なお、本例において、錠装置1は、図5に示すように、認証用IDに対する認証成立を電気錠10の施解錠駆動条件としているが、パッシブ解錠用の認証用IDに「動きなし」フラグが付いている場合、解錠操作権限のない第三者がリクエストスイッチ12dを操作した際に屋内の玄関扉8の近くに置き忘れた携帯器2が認証用IDを送信して解錠されることがないように、認証不成立としたり、あるいは他の認証条件を付加することができる。
【0067】
以上の動作が終了後、図8に示すように、モーションリクエストタイマがタイムアップしているか否かを判定し(ステップS31)、タイムアップと判定された場合にはモーション判定部2fを「動きなし」に更新した後(ステップS32)、通知ステータス記憶部2hの内容を確認する(ステップS33)。
【0068】
一方、ステップS31においてモーションリクエストタイマがタイムアップしていない場合、モーションセンサ3の出力を検出し(ステップS311)、モーションセンサが動きを検出していない場合には、ステップS33を実行し、モーションセンサ3が動きを検出している場合には、モーション判定部2fを「動きあり」に更新した後(ステップS312)、ステップS33を実行する。
【0069】
また、ステップS33において通知ステータス記憶部2hが「未通知」の場合には、ステップ図6のステップ17において開始させた警告タイマがタイムアップか否かを判定し(ステップS331)、タイムアップしている場合には、所定時間内に携帯器2が動くかどうかを検出するために、モーションチェックタイマを開始した後(ステップS332)、通知ステータス記憶部2hの「モーション判定中」への書き換え(ステップS333)、モーション判定回数カウンタ2gをゼロにセットするモーション判定回数の初期化(ステップS334)、およびモーション判定部2fを「動きなし」に更新する(ステップS335)。
【0070】
さらに、ステップS331で警告タイマがタイムアップしていない場合には、図9に示すフローが実行される。
【0071】
図8に示す動作の終了後、図9に示すように、まず通知ステータス記憶部2hが「モーション判定中」を保持しているか否かを判定し(ステップS41)、通知ステータス記憶部2hが「モーション判定中」を保持している場合、モーションセンサ3の出力を確認する(ステップS42)。ステップS42においてモーションセンサ3による動き検出がなされなかった場合でも、モーション判定部2fは「動きなし」に更新することなく保持され、その後、モーションチェックタイマのタイムアップの有無を確認し(ステップS43)、タイムアウトしていない場合には、図10に示すリモコン操作の有無を確認する(ステップS51)。
【0072】
また、ステップS43においてモーションチェックタイマのタイムアウトが検出された際には、モーション判定部2fの内容を確認し(ステップS431)、モーション判定部2fが「動きあり」を保持している場合、振動部5を作動させた後(ステップS4311)、通知ステータス記憶部2hを「通知済み」に更新し(ステップS4312)、次いでリモコン操作の有無を確認する。
【0073】
一方、ステップS431においてモーション判定部2fが「動きあり」を保持していない場合、モーション判定回数カウンタ2gをインクリメントした後(ステップS432)、規定値として設定された回数と比較し(ステップS433)、モーション判定回数カウンタ2gが規定値を超えた場合には通知ステータス記憶部2hを「不要」に更新し(ステップS434)、規定値以下の場合には、再度警告信号を出力条件が充足するかどうかをチェックするために、モーションチェックタイマを開始した後(ステップS4331)、リモート操作の検出ステップを実行する。
【0074】
図10に示すように、リモート操作の検出において、施錠ボタン15aの押下操作が検出されると(ステップS51)、リモコン施錠を示すUHF信号を出力し(ステップS511)、解錠ボタン15bの押下操作が検出された場合には(ステップS52)、リモコン解錠を示すUHF信号を出力した後(ステップS521)、図6のステップS11に復帰する。
【0075】
さらに、リモート操作ではなく、エクストラボタン7への押下操作が検出された場合には(ステップS54)、状態確認を示すUHF信号を出力した後(ステップS54)、錠状態記憶部6が「解錠」を保持している場合(ステップS55)、振動部5を作動させて携帯器2所持者に施錠状態への移行を通知した後(ステップS56)、ステップS11に復帰し、ステップS55において「施錠」が保持される場合には、ステップS11に復帰する。
【符号の説明】
【0076】
1 錠装置
2 携帯器
3 モーションセンサ
4 警告部
5 振動部
6 錠状態記憶部
7 状態確認操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10