(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】採光部構造
(51)【国際特許分類】
E04B 2/96 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
E04B2/96
(21)【出願番号】P 2020024497
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301062226
【氏名又は名称】株式会社日本設計
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 基明
(72)【発明者】
【氏名】土橋 達朗
(72)【発明者】
【氏名】天沼 勝実
(72)【発明者】
【氏名】大山 政彦
(72)【発明者】
【氏名】永島 健児
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-227328(JP,A)
【文献】特開2018-155032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/56 - 2/70
E04B 2/88 - 2/96
E06B 7/00 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁を構成し、左右方向に間隔を空けて躯体に取り付けられている一対の縦材、及び、
上下方向に間隔を空けて前記一対の縦材間に掛け渡されている一対の横材により形成されている開口の屋外側に設けられ、透光性を有する透光屋外面材を備えた透光面材ユニットと、
前記開口の屋内側に設けられ、前記透光屋外面材よりも光の透過率が低い透光性を有する屋内面形成材を備えた障子と、
を有
し、
前記一対の縦材のうちの一方の前記縦材を共有し前記開口と隣接して設けられている隣接開口の屋外側に設けられ、遮光性を有する遮光屋外面材を有する遮光面材ユニットと、
前記隣接開口の屋内側に設けられ、遮光性を有する遮光屋内面材と、を備え、
前記障子は、前記隣接開口の屋内側に移動可能であることを特徴とする採光部構造。
【請求項2】
請求項
1に記載の採光部構造であって、
前記開口を形成する前記横材の屋内側と、前記隣接開口を形成する前記横材の屋内側とに、前記障子を案内するレールが設けられていることを特徴とする採光部構造。
【請求項3】
請求項
2に記載の採光部構造であって、
前記遮光屋内面材は、前記レールよりも屋外側に配置されていることを特徴とする採光部構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項
3のいずれかに記載の採光部構造であって、
前記障子は、框を有し、
前記屋内面形成材は、前記框に取り付けられている合成樹脂製のシート材であることを特徴とする採光部構造。
【請求項5】
請求項
4に記載の採光部構造であって、
前記框は、上下方向に間隔を空けて配置される2本の横框材と、横方向に間隔を空けて配置される2本の縦框材とが接合されて矩形状をなし、
前記2本の横框材間または/および前記2本の縦框材間に渡る格子材を有し、
前記合成樹脂製のシート材は、前記框及び前記格子材に取り付けられていることを特徴とする採光部構造。
【請求項6】
請求項
4または請求項
5に記載の採光部構造であって、
前記框はアルミニウム製であり、
前記框には、断熱材が設けられていることを特徴とする採光部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の採光部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
採光部構造としては、例えば、窓部を室外側ガラスと室内側ガラスとにより二重構造とし、両ガラス間に設けた空気層にブラインドが設けられているカーテンウォール構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記カーテンウォール構造では、ブラインドを設けることにより、強い日射を遮ること、及び、採光を得ることができる一方で、室外側ガラスと室内側ガラスとの仕切られた空間内にブランドを設けるため、構造が複雑になり、施工が煩雑であるいう課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、日光の強い照射を抑えつつも採光が得られ簡単な構造をなす採光部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、建物の外壁を構成し、左右方向に間隔を空けて躯体に取り付けられている一対の縦材、及び、上下方向に間隔を空けて前記一対の縦材間に掛け渡されている一対の横材により形成されている開口の屋外側に設けられ、透光性を有する透光屋外面材を備えた透光面材ユニットと、前記開口の屋内側に設けられ、前記透光屋外面材よりも光の透過率が低い透光性を有する屋内面形成材を備えた障子と、を有することを特徴とする採光部構造である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、強い日光の照射を抑えつつも採光が得られ簡単な構造をなす採光部構造を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明にかかる採光部構造の建物を屋外側から見た外観図である。
【
図4】透光面材ユニットが取り付けられている開口の縦断面図である。
【
図5】開口と隣接開口との境界部の屋内側の部位を示す横断面図である。
【
図6】開口と隣接開口との境界部の屋内側の部位を示す斜視図である。
【
図10】本発明にかかる採光部構造を屋内側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る採光部構造について図面を参照して説明する。
【0010】
本実施形態の採光部構造は、
図1~3に示すように、左右方向に間隔を空けて設けられ躯体1をなす柱1a及びスラブ1bに取り付けられている複数の縦材としての方立2と、上下方向に間隔を空けて、互いに隣り合う方立2間に掛け渡されている複数の横材としての額縁3により形成されている複数の開口4の屋外側に各々設けられ、外壁を構成する面材ユニット5、6、7と、開口4の屋内側に設けられている屋内面材8a、8b及び障子9と、を有している。尚、図面においては、同一図面において複数示されている部材の符号を一部省略している。
【0011】
より具体的には、互いに間隔を空けて設けられている隣り合う2本の柱1aの室外側にそれぞれ各柱1aに沿って方立2が配置されており、隣り合う2本の柱1aの室外側に配置された方立2間に3本の方立2が等間隔で配置されている。互いに隣り合う方立2間には、各階床間にて上下方向に4つの空間に分ける額縁3が架渡されている。このため、方立2と額縁3とによって形成された開口4が、上下方向に4段並ぶ開口4の列が左右方向に4列並ぶように配置されている。
【0012】
本実施形態の採光部構造では、方立2と額縁3とによって形成され、左右方向に隣り合う2つの開口4が、各開口4を形成する一対の方立2のうちの一方の方立2を共有している。各開口4の屋外側には、
図1に示すように、いずれも面材ユニット5、6、7が取り付けられている。各開口4に取り付けられた面材ユニット5、6、7は各々、方立2に固定されるユニット枠51、61、71と、ユニット枠51、61、71にはめ込まれた面材52、62、72と、を有している。
【0013】
上下方向に並ぶ4段の開口4のうちの、最上段に位置する開口4は、
図3に示すように、各階の天井Cと、上階の床Fとの間を覆うように配置されている。天井Cと床Fとの間に配置されている開口4には、屋外側に面材ユニット5(以下、最上面材ユニットという)が取り付けられている。最上面材ユニット5は、面材52としてLow-Eガラス板を含む複層ガラス52aと、複層ガラス52aの屋内側に間隔を空けて対面する耐火ボード及びアルミ樹脂複合板でなる屋内面材8aとがユニット枠51に嵌め込まれている。
図1においては、複層ガラス52a越しに見える屋内面材8aを薄いグレーに着色して示している。
【0014】
最上段の開口4の下に続く3段の開口4のうちの、中段に位置する開口4は、左右方向において互いに隣り合う開口4の一方の開口4の屋外側に、面材として透光性を有する透光屋外面材としての複層ガラス62がユニット枠61に嵌め込まれており、他方の開口4の屋外側には、遮光性を有する遮光屋外面材としての外壁材をなすアルミニウム製の板材(以下、アルミ面材という)72がユニット枠71に嵌め込まれている。ここで、中段において左右方向に互いに隣り合う開口4であって、複層ガラス62が嵌め込まれている面材ユニットが透光面材ユニット6に相当し、アルミ面材72が嵌め込まれている面材ユニットが遮光面材ユニット7に相当する。透光面材ユニット6の複層ガラス62にもLow-Eガラス板が含まれている。以下の説明においては、中段において、遮光面材ユニット7が取り付けられている開口を隣接開口4aという。
図1においては、複層ガラス62を濃いグレーに着色して示している。
【0015】
中段に位置する開口4、4aの上下に位置する天井C側の開口4及び床F側の開口4には、中段の隣接開口4aと同一の遮光面材ユニット7が設けられている。また、最上面材ユニット5の屋内面材8aと、当該最上面材ユニット5の上下に位置する遮光面材ユニット7のアルミ面材72との屋内側には、ウレタンなどの断熱材14が吹き付けられている。
【0016】
遮光面材ユニット7の屋内側には、方立2と額縁3とにより囲まれた空間内に、遮光性を有する遮光屋内面材としてのアルミニウム製の板材(以下、アルミ板材という)8bが固定されており、透光面材ユニット6の屋内側には、左右方向に移動可能な障子9が設けられている。
【0017】
障子9は、
図4~
図6に示すように、上下の額縁3の屋内側に左右方向に沿って配置され、方立2の屋内に臨む面2aに固定されたレール10に支持されている。レール10は、各開口4及び各隣接開口4aを形成する方立2よりも張り出して設けられている。左右方向に隣接し、透光面材ユニット6が取り付けられている開口4と遮光面材ユニット7が取り付けられている隣接開口4aの屋内側に設けられているレール10が左右方向において繋がるように配置されている。障子9は、開口4及び隣接開口4aの屋内側をレール10に案内されて移動可能に設けられている。尚、
図1~
図3においては、障子9は、隣接開口4a側に位置している。
【0018】
レール10は、方立2にボルトにより固定されるレール固定部材11と、レール固定部材11に嵌合されるレール本体部12と、を有している。レール本体部12は、取り付けられた状態で、上面側に障子9を支持する下レール12aと、下面側に障子9の上端部を案内する上レール12bとを備えている。このため、障子9は開口4及び隣接開口4aの下側に配置されているレール10に支持され、開口4及び隣接開口4aの上側に配置されているレール10に上端部が案内されて移動する。そして、障子9が移動されて遮光面材ユニット7が設けられている隣接開口4a側に移動したときには、遮光屋内面材としてのアルミ板材8bの屋内側に障子9が配置される。
【0019】
障子9は、上下方向に間隔を空けて配置される2本の横框材91と、横方向に間隔を空けて配置される2本の縦框材92とが接合されて矩形状をなす框90、2本の横框材91間に渡る複数の格子材93、及び、框90の内周側を覆って当該框90及び各格子材93に溶着または接着されている合成樹脂製のシート材でなる樹脂シート94と、を有している。
【0020】
横框材91及び縦框材92は、
図7、
図8に示すように、いずれもアルミニウム製の押し出し成型材でなる框本体部911、921とカバー部912、922とが組み合わされて、内部に長手方向に沿う中空部91a、92a(
図4、
図5参照)を備えている。横框材91及び縦框材92の框本体部911、921はいずれも、障子9が取り付けられた状態で、屋内側にて鉛直面をなす屋内面部911a、921aと、屋外側にて鉛直面をなす屋外面部911b、921bとを有しており、屋内面部911a、921aと屋外面部911b、921bとは、框90の内周側にて断熱材911c、921cを介して繋がっている。
【0021】
横框材91及び縦框材92のカバー部912、922はいずれも、障子9が取り付けられた状態で、屋内側にて鉛直面をなす屋内カバー面部912a、922aと、屋外側にて鉛直面をなす屋外カバー面部912b、922bとを有しており、屋内カバー面部912a、922aと屋外カバー面部912b、922bとは、框90の外周側にて断熱材912c、922cを介して繋がっている。
【0022】
框90には、当該框90の内側を覆うように配置された樹脂シート94が屋内面部911a、921a及び屋外面部911b、921bに溶着または接着されている。各カバー部912、922は、樹脂シート94が取り付けられた各框本体部911、921に、框90の外周側から覆うように嵌合されて、内部に中空部91a、92aを形成されるように組み合わされている。
【0023】
上下の横框材91を構成する框本体部911とカバー部912とは中空部91aに配置される断面が矩形状をなす押し出し成型材の内骨材95を介してビスにより接合されており、左右の縦框材92を構成する框本体部921とカバー部922とは、直接ビス止めされて接合されている。
【0024】
下側に配置される横框材91の下端には、
図9に示すように、屋内側及び屋外側にて壁部を形成する屋内カバー面部912a及び屋外カバー面部912bが下面部912fよりも下方に延出された下延出部912dと、下延出部912dの下縁が互いに対向する側に延出された対向延出部912eとが設けられている。下面部912fと対向延出部912eとは、上下方向に間隔を空けて対向しており、下面部912fと対向延出部912eとの間には、屋内カバー面部912aと屋外カバー面部912bとの見込み方向における間隔より僅かに狭い板状をなす滑り部材13が設けられている。障子9は、滑り部材13が下レール12a上を摺動しつつ移動する。滑り部材13は、下側の横框材91の長手方向における両側にて下面部912fを貫通して内骨材95に螺合されるねじ96により、当該長手方向の移動が規制されている。
【0025】
格子材93は、上下に配置されている横框材91の間隔とほぼ同じ長さを有し、断面が長方形状をなす棒状の部材である。各格子材93は、屋内側に配置されるアルミニウム製のアルミニウム格子部93aと、屋外側に配置される合成樹脂製の樹脂格子部93bとが一体に形成されている。複数の格子材93は、左右方向において等間隔で配置され、アルミニウム格子部93aが、上下に配置されている横框材91に上下から各々ビスにより固定されている。
【0026】
樹脂シート94は、障子9の屋外側に配置される透光面材ユニット6にはめ込まれている複層ガラス62よりも光の透過率が低い透光性を有する合成樹脂製のシート材であり、屋内面形成材に相当する。樹脂シート94としては、例えば可撓性を有するフィルム状のシート材が挙げられるが、これに限るものではない。樹脂シート94は、各格子材93の屋内側面93c及び屋外側面93dにも溶着または接着されている。
【0027】
本実施形態の採光部構造によれば、透光面材ユニット6に嵌め込まれた複層ガラス62も障子9に設けられている樹脂シート94も透光性を有しており、また、樹脂シート94は、複層ガラス62よりも透光率が低いので、透光面材ユニット6と障子9との間に日光の照射を抑える部材を設けることなく日光の強い照射を抑えることが可能である。また、障子9は、屋内側から方立にレール10を取り付けて建て込むだけの簡単な構造をなしている。このため、日光の強い照射を抑えつつも採光が得られ簡単な構造をなす採光部構造を提供することが可能である。
【0028】
また、障子9を隣接開口4a側に移動することにより、透光率が低い障子9を、アルミ板材8bの屋内側に移動して、透光面材ユニット6が設けられている開口4側からより多くの光を取り込むことが可能である。
【0029】
また、透光面材ユニット6が設けられている開口4の屋内側から隣接開口4aの屋内側に、レール10が設けられているので、スムーズに障子9を移動させることが可能である。
また、隣接開口4aの屋内側に設けられているアルミ板材8bが、障子9よりも屋外側に配置されているので、レール10を直線状に配置することが可能である。このため、すっきりとした意匠を実現することが可能である。
また、障子9が有する框90の内側を覆うシート材は合成樹脂製の樹脂シート94なので、軽量であり、操作性に優れた障子9を設けることが可能である。
【0030】
また、框90の内側を覆う樹脂シート94は框90及び格子材93に取り付けられているので、樹脂シート94が、例えばフィルム材料のように薄い部材であっても、形成される障子面に撓みが生じることを抑制することが可能である。
【0031】
また、障子9が有する框90は断熱材911c、921cにより、また、各格子材93は、樹脂格子部93bにより屋内側と屋外側とが縁切りされているので、断熱性を備えた障子9を有する採光部構造を提供することが可能である。
【0032】
上記実施形態においては、障子9が左右方向に移動可能に設けられている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、上下方向に移動可能に設けられていても、また、屋内外方向に移動可能に設けられていても、さらに、移動不能に固定されて設けられていても構わない。
【0033】
上記実施形態においては、格子材93が上下の横框材91間に渡るように設けられている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、格子材が、左右の縦框材間に渡るように設けられていても、また、上下の横框材91間に渡る格子材93と左右の縦框材間に渡る格子材とがいずれも設けられる井桁状や、ラチス状であっても構わない。
【0034】
また、上記実施形態においては、樹脂シート94が、障子9の屋内側及び屋内側の両面に設けられている例について説明したが、樹脂シート94は、少なくともいずれか一方に設けられていれば構わない。
【0035】
また、上記実施形態においては、屋内面形成材の一例として樹脂シート94を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。障子9の屋外側に配置される透光面材ユニット6にはめ込まれている面材よりも光の透過率が低い透光性を有する、例えば、すりガラスやガラス板の表面に光の透過率が低い透光性を有するシート材を貼り付けた面材であっても構わない。
【0036】
上記実施形態においては、障子9の框90が断熱材911c、921cを、また、各格子材93が樹脂格子部93bを備えている例について説明したが、高い断熱性能を必要としない場合には、断熱材911c、921c及び樹脂格子部93bは設けられていなくとも構わない。また、框90に断熱材が設けられている場合であっても、アルミニウム格子部が、框90の断熱材911c、921cよりも屋外側の部位と接触していない場合には、樹脂格子部93bは設けられていなくとも構わない。
【0037】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0038】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
建物の外壁を構成し、左右方向に間隔を空けて躯体に取り付けられている一対の縦材、及び、上下方向に間隔を空けて前記一対の縦材間に掛け渡されている一対の横材により形成されている開口の屋外側に設けられ、透光性を有する透光屋外面材を備えた透光面材ユニットと、前記開口の屋内側に設けられ、前記透光屋外面材よりも光の透過率が低い透光性を有する屋内面形成材を備えた障子と、を有することを特徴とする採光部構造である。
【0039】
このような採光部によれば、透光屋外面材も屋内面形成材も透光性を有しており、また、屋内面形成材は、透光屋外面材よりも透光率が低いので、透光屋外面材と屋内面形成材との間に日光の照射を抑える部材を設けることなく日光の強い照射を抑えることが可能である。このため、日光の強い照射を抑えつつも採光が得られ簡単な構造をなす採光部構造を提供することが可能である。
【0040】
かかる採光部構造であって、前記一対の縦材のうちの一方の前記縦材を共有し前記開口と隣接して設けられている隣接開口の屋外側に設けられ、遮光性を有する遮光屋外面材を有する遮光面材ユニットと、前記隣接開口の屋内側に設けられ、遮光性を有する遮光屋内面材と、を備え、前記障子は、前記隣接開口の屋内側に移動可能であることを特徴とする。
【0041】
このような採光部構造によれば、障子を隣接開口側に移動することにより、透光率が低い障子を、遮光屋内面材の屋内側に移動して、開口側からより多くの光を取り込むことが可能である。
【0042】
かかる採光部構造であって、前記開口を形成する前記横材の屋内側と、前記隣接開口を形成する前記横材の屋内側とに、前記障子を案内するレールが設けられていることを特徴とする。
このような採光部構造によれば、開口の屋内側から隣接開口の屋内側に渡って設けられているレールにより、スムーズに障子を移動させることが可能である。
【0043】
かかる採光部構造であって、前記遮光屋内面材は、前記レールよりも屋外側に配置されていることを特徴とする。
このような採光部構造によれば、隣接開口の屋内側の遮光屋内面材が、障子よりも屋外側に配置されているので、レールを直線状に配置することが可能である。このため、すっきりとした意匠を実現することが可能である。
【0044】
かかる採光部構造であって、前記障子は、框を有し、屋内面形成材は、前記框に取り付けられている合成樹脂製のシート材であることを特徴とする。
このような採光部構造によれば、障子が有する框に取り付けられている屋内面形成材としてのシート材は合成樹脂製なので、軽量で操作性に優れた障子を設けることが可能である。
【0045】
かかる採光部構造であって、前記框は、上下方向に間隔を空けて配置される2本の横框材と、横方向に間隔を空けて配置される2本の縦框材とが接合されて矩形状をなし、前記2本の横框材間または/および前記2本の縦框材間に渡る格子材を有し、前記合成樹脂製のシート材は、前記框及び前記格子材に取り付けられていることを特徴とする。
【0046】
このような採光部構造によれば、合成樹脂製のシート材が框及び2本の横框材間または2本の縦框材間の少なくとも一方に渡る格子材に取り付けられているので、合成樹脂製のシート材にて形成される障子面に撓みが生じることを抑制することが可能である。
【0047】
かかる採光部構造であって、前記框はアルミニウム製であり、前記框には、断熱材が設けられていることを特徴とする。
このような採光部構造によれば、断熱性を備えた障子を有する採光部構造を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 躯体、1a 柱、1b スラブ、2 方立、3 額縁、4 開口、
4a 隣接開口、6 透光面材ユニット、
7 遮光面材ユニット、8a 屋内面材、8b アルミ板材、9 障子、
10 レール、62 複層ガラス、72 アルミ面材、90 框、
91 横框材、92 縦框材、93 格子材、94 樹脂シート、
911c 断熱材、912c 断熱材、