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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】結合構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20230605BHJP
   F16B 21/06 20060101ALI20230605BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20230605BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
F16B19/00 M
F16B21/06 Z
B60R13/04 A
B60R13/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020030229
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021134831
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】知野見 勇平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昇平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀佳
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-228112(JP,A)
【文献】特開2014-228031(JP,A)
【文献】特開2005-114171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 19/00
F16B 21/00
F16B 21/06
B60R 13/04
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリップを使用した第1部材及び第2部材の結合構造であって、
前記第1部材には結合孔が設けられ、
前記第2部材には前記結合孔に挿入される板状のタブが設けられ、
前記クリップは、前記結合孔と前記タブとの間に設けられ、前記タブを前記結合孔に結合し、
前記クリップは、
可撓性を有するヒンジを介して互いに連結された一対の挟持片と、
前記挟持片のそれぞれの内側面に突設された一対の係止爪と、
前記挟持片のそれぞれの外側面に突設された一対の肩部とを有し、
一対の前記挟持片は、それらの間に前記タブの先端を受容可能であり、
一対の前記係止爪は、前記ヒンジが弾性変形することによって、前記タブに形成された貫通孔を通過して、互いに結合可能又は前記貫通孔の縁に結合可能であり、
一対の前記挟持片が前記結合孔に挿入されたときに、一対の前記肩部が前記結合孔の縁に係止され、
一対の前記係止爪が互いに離れた初期状態において、一対の前記係止爪の間に形成される隙間は、前記タブの板厚よりも大きく設定されている結合構造
【請求項2】
前記初期状態において、一対の前記挟持片がなす角度は鋭角である請求項1に記載の結合構造
【請求項3】
一対の前記挟持片は、それぞれの第1端において前記ヒンジによって結合され、
一対の前記挟持片の前記第1端のそれぞれには、互いに当接することによって一対の前記挟持片の前記ヒンジを中心とした揺動を規制する第1凸部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の結合構造
【請求項4】
前記挟持片のそれぞれの前記第1端と相反する第2端には、互いに近づく方向に突出したガイド片が設けられている請求項3に記載の結合構造
【請求項5】
前記挟持片の前記第1端の内側面には、前記タブに当接可能な第2凸部が突設されている請求項3又は請求項4に記載の結合構造
【請求項6】
前記係止爪のそれぞれは、前記挟持片から略垂直に突出した柱部と、前記柱部の先端から側方に突出し、前記柱部の延在方向と略垂直な係止面を有する爪部とを有する請求項1~請求項5のいずれか1つの項に記載の結合構造
【請求項7】
前記係止爪の一方の前記柱部の横断面積は、前記係止爪の他方の前記柱部の横断面積より大きい請求項6に記載の結合構造
【請求項8】
前記ヒンジの肉厚は、前記挟持片のそれぞれの肉厚よりも小さく、
前記ヒンジは外方に向けて凸となる円弧形状に形成されている請求項1~請求項7のいずれか1つの項に記載の結合構造
【請求項9】
前記挟持片のそれぞれは、長手方向における中間部に外方に向けて凸となる湾曲部を有し、前記係止爪及び前記肩部は前記湾曲部に設けられている請求項1~請求項8のいずれか1つの項に記載の結合構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップを使用した第1部材及び第2部材の結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1部材に設けられた結合孔と、第2部材に設けられ、結合孔に挿入される板状のタブとの間に設けられ、タブを結合孔に結合するクリップが開示されている。特許文献1に係るクリップは、一端において互いに連結された一対の挟持片を有する。各挟持片の間にタブが挿入され、各挟持片はタブと結合する。また、各挟持片は、タブと結合した状態で結合孔に挿入され、結合孔と結合する。これにより、クリップを介して第1部材と第2部材とが結合される。各挟持片は、タブに形成された貫通孔を通過し、互いに結合する係止爪を有する。各係止爪が互いに結合することによって、第1部材と第2部材とを分離するときに、クリップがタブに結合した状態に維持される。すなわち、クリップが結合孔内に残ることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-228031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係るクリップは、一対の係止爪間の隙間が狭いため、クリップをタブに結合させるときに一対の挟持片を変形させ、タブをクリップ間に押し込む必要がある。そのため、タブへのクリップの装着作業が難しいという問題がある。
【0005】
以上の背景を鑑み、本発明は、タブへの装着が容易なクリップを使用した第1部材及び第2部材の結合構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の一態様は、クリップを使用した第1部材及び第2部材の結合構造であって、第1部材(2)には結合孔(2B)が設けられ前記第2部材(3)には前記結合孔に挿入される板状のタブ(3B)が設けられ、前記クリップは、前記結合孔と前記タブとの間に設けられ、前記タブを前記結合孔に結合し、前記クリップ(1)は、可撓性を有するヒンジ(10)前を介して互いに連結された一対の挟持片(11)と、前記挟持片のそれぞれの内側面に突設された一対の係止爪(13、31)と、前記挟持片のそれぞれの外側面に突設された一対の肩部(15)とを有し、一対の前記挟持片は、それらの間に前記タブの先端を受容可能であり、一対の前記係止爪は、前記ヒンジが弾性変形することによって、前記タブに形成された貫通孔(3D)を通過して、互いに結合可能又は前記貫通孔の縁に結合可能であり、一対の前記挟持片が前記結合孔に挿入されたときに、一対の前記肩部が前記結合孔の縁に係止され、一対の前記係止爪が互いに離れた初期状態において、一対の前記係止爪の間に形成される隙間(14、35)は、前記タブの板厚よりも大きく設定されている。
【0007】
この態様によれば、一対の係止爪の間に形成される隙間がタブの板厚よりも大きいため、一対の挟持片の間にタブを容易に挿入することができる。これにより、タブへの装着が容易なクリップを提供することができる。
【0008】
上記の態様において、前記初期状態において、一対の前記挟持片がなす角度は鋭角であるとよい。
【0009】
この態様によれば、一対の係止爪の結合作業が容易である。
【0010】
上記の態様において、一対の前記挟持片は、それぞれの第1端(11A)において前記ヒンジによって結合され、一対の前記挟持片の前記第1端のそれぞれには、互いに当接することによって一対の前記挟持片の前記ヒンジを中心とした揺動を規制する第1凸部(17)が設けられているとよい。
【0011】
この態様によれば、各第1凸部が互いに当接によって各挟持片の揺動範囲が規制される。これにより、ヒンジの変形を抑制してヒンジの損傷を防止することができる。
【0012】
上記の態様において、前記挟持片のそれぞれの前記第1端と相反する第2端には、互いに近づく方向に突出したガイド片(18)が設けられているとよい。
【0013】
この態様によれば、タブが一対の挟持片の間に挿入されるときに、タブがガイド片にガイドされ、タブが係止片に接触することが抑制される。
【0014】
上記の態様において、前記挟持片の前記第1端の内側面には、前記タブに当接可能な第2凸部(21)が突設されているとよい。
【0015】
この態様によれば、各当接部がタブに当接することによって、一対の挟持片のタブに対する位置が定まる。これにより、各係止爪が互いに係合した状態に維持される。
【0016】
上記の態様において、前記係止爪のそれぞれは、前記挟持片から略垂直に突出した柱部(13A)と、前記柱部の先端から側方に突出し、前記柱部の延在方向と略垂直な係止面(13C)を有する爪部(13B)とを有するとよい。
【0017】
この態様によれば、係止爪どうし、又は係止爪と貫通孔の縁とを確実に係止させることができる。
【0018】
上記の態様において前記係止爪の一方の前記柱部の横断面積は、前記係止爪の他方の前記柱部の横断面積より大きいとよい。
【0019】
この態様によれば、設計時における係止爪どうしの結合力の調整が容易になる。
【0020】
上記の態様において、前記ヒンジの肉厚は、前記挟持片のそれぞれの肉厚よりも小さく、前記ヒンジは外方に向けて凸となる円弧形状に形成されているとよい。
【0021】
この態様によれば、ヒンジを簡素な構成で形成することができる。
【0022】
上記の態様において、前記挟持片のそれぞれは、長手方向における中間部に外方に向けて凸となる湾曲部(12)を有し、前記係止爪及び前記肩部は前記湾曲部に設けられているとよい。
【0023】
この態様によれば、各挟持片の湾曲部が変形することによって、各係止爪の結合が可能になると共に、各挟持片が結合孔に突入することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上の構成によれば、タブへの装着が容易なクリップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係るクリップ、第1部材及び第2部材を示す斜視図
図2】第1実施形態に係るクリップの斜視図
図3】第1実施形態に係るクリップの側面図
図4】第1実施形態に係るクリップ、第1部材及び第2部材の結合過程を示す説明図
図5】第1実施形態に係るクリップ、第1部材及び第2部材の結合構造を示す断面図
図6】第2実施形態に係るクリップの斜視図
図7】第2実施形態に係るクリップの側面図
図8】第2実施形態に係るクリップ及び第2部材の結合過程を示す説明図
図9】第2実施形態に係るクリップが第2部材に装着された状態を示す斜視図
図10図9のX-X断面図
図11】第2実施形態に係るクリップ、第1部材及び第2部材の結合構造を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明のクリップの第1及び第2実施形態について説明する。図1図5及び図11に示すように、第1及び第2実施形態に係るクリップ1は、第1部材2と第2部材3とを結合するために使用される。第1部材2は、板状に形成された板状部2Aと、板状部2Aに形成された貫通孔である結合孔2Bとを有する。第2部材3は、板状に形成された基部3Aと、基部3Aから略垂直に突出した板状のタブ3Bとを有する。タブ3Bはペグともいう。タブ3Bは、板状をなすタブ本体3Cを有する。タブ本体3Cには、厚み方向に貫通する第1貫通孔3Dが形成されている。タブ3Bは、タブ本体3C部の両側縁のそれぞれに本体部に対して略垂直に突出した一対の縁壁3Eを有してもよい。各縁壁3Eは、タブ本体3Cの表面側及び裏面側の両方に突出しているとよい。第2部材3のタブ3Bは、第1部材2の結合孔2Bに挿入される。クリップ1は、結合孔2Bとタブ3Bとの間に設けられ、タブ3Bを結合孔2Bに結合する。
【0027】
例えば、第1部材2はフレームであり、第2部材3はフレームを覆うカバーであってよい。具体的には、第1部材2は車載カメラを車体に支持するためのカメラブラケットであり、第2部材3はカメラブラケットを覆うカメラカバーであってよい。また、第1部材2はカップホルダを車体に取り付けるためのブラケットであり、第2部材3はカップホルダの外表面を形成するアウタシェルであってよい。また、第1部材2は車体フレームであり、第2部材3は車体フレームに取り付けられるバンパフェースであってよい。また、第1部材2は車両のインストルメントパネルのフレームであり、第2部材3はインストルメントパネルの外表面を形成するアウタシェルであってよい。また、第1部材2は車体パネル又はドアパネルであり、第2部材3は車体パネル又はドアパネルを覆うガーニッシュであってよい。
【0028】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るクリップ1は、図2及び図3に示すように、可撓性を有するヒンジ10を介して互いに連結された一対の挟持片11を有する。一対の挟持片11は互いに対称な形状を有する。各挟持片11は、第1端11Aから第2端11Bに略直線状に延びている。各挟持片11の第1端11Aは、ヒンジ10によって互いに結合されている。
【0029】
クリップ1は、例えば樹脂の射出成形品であってよい。ヒンジ10は、一対の挟持片11に一体に形成されたインテグラルヒンジである。ヒンジ10の肉厚は、挟持片11のそれぞれの肉厚よりも小さく設定されている。これにより、ヒンジ10は挟持片11よりも高い可撓性を有する。ヒンジ10は、外方に向けて凸となる円弧形状に形成されている。詳細には、ヒンジ10は、第2端11B側と相反する方向に凸となる円弧形状に形成されている。
【0030】
図3に示す、外部から荷重が加わっていないクリップ1の初期状態において、一対の挟持片11の間に形成される角は鋭角をなす。すなわち、一対の挟持片11は、V字形に形成されている。ヒンジ10は所定の初期形状を有し、初期形状において一対の挟持片11を所定の相対位置に維持する。一対の挟持片11がなす角度は、例えば、20°以上90°未満、好ましくは30°以上70°未満であるとよい。一対の挟持片11は、それらの間にタブ3Bの先端を受容可能である。
【0031】
図2及び図3に示すように、各挟持片11は、第1端11Aから第2端11Bに延びる内側面11Cと外側面11Dとを有する。各挟持片11の各内側面11Cは、互いに対向している。各挟持片11は、長手方向における中間部に外方に向けて凸となる湾曲部12を有する。各湾曲部12は、互いに離れる方向に突出している。
【0032】
クリップ1は、挟持片11のそれぞれの内側面11Cに突設された一対の係止爪13を有する。係止爪13のそれぞれは、挟持片11の内側面11Cから略垂直に突出した柱部13Aと、柱部13Aの先端から柱部13Aの側方に突出する爪部13Bとを有する。爪部13Bは、柱部13Aの延在方向と略垂直な係止面13Cと、係止面13Cの突出端から柱部13Aの先端に延びる傾斜面13Dとを有する。
【0033】
図3に示すように、一方の柱部13Aは、他方の柱部13Aに対して第2端11B側にオフセットして配置されている。一方の柱部13Aに設けられた爪部13Bは第1端11Aに向けて突出し、他方の柱部13Aに設けられた爪部13Bは第2端11Bに向けて突出している。各挟持片において、挟持片11の第1端11Aから第2端11Bに延びる方向を延在方向、挟持片11の内側面11Cから外側面11Dに向かう方向を厚み方向、延在方向及び厚み方向に直交する方向を幅方向とする。他の実施形態では、一対の柱部13Aは、互いに挟持片11の幅方向にオフセットして配置されてもよい。この場合、各爪部13Bは幅方向において互いに近づく方向に突出しているとよい。
【0034】
一方の柱部13Aの横断面積は、他方の柱部13Aの横断面積より大きく設定されていることが好ましい。すなわち、各柱部13Aの横断面積は、互いに相違する。各係止爪を互いに係合させるとき、及び互いに離脱させるときに必要な荷重を調整する場合には、横断面積が小さい方の柱部13Aの横断面積を調整するとよい。これにより、各係止爪を互いに係合させるとき、及び互いに離脱させるときに必要な荷重の調整が容易になる。
【0035】
クリップ1の初期状態において、一対の係止爪13は互いに離れている。詳細には、クリップ1の初期状態において、一対の挟持片11がなす角度は鋭角であり、かつ一対の係止爪13の間に形成される隙間14は、タブ3Bのタブ本体3Cの板厚よりも大きく設定されている。隙間14は、各柱部の先端間に形成されている。また、図3に示すように、ヒンジ10の揺動軸線に沿った方向から見て、隙間14とヒンジ10とを結ぶ直線が各係止爪13と交わらないように、隙間14及び各係止爪13が配置されている。一対の係止爪13は、ヒンジ10が弾性変形することによって、タブ3Bに形成された第1貫通孔3Dを通過して、互いに結合可能である。
【0036】
クリップ1は、挟持片11のそれぞれの外側面11Dには突設された一対の肩部15を有する。肩部15は、湾曲部12に設けられている。肩部15は、第2端11B側を向く肩面15Aを含む。一対の挟持片11が結合孔2Bに挿入されたときに、一対の肩部15は結合孔2Bの縁に係止される。
【0037】
一対の挟持片11の第1端11Aのそれぞれには、互いに当接することによって一対の挟持片11のヒンジ10を中心とした揺動を規制する第1凸部17が設けられている。各第1凸部17は、ヒンジ10の外方に延出している。クリップ1の初期状態において、一対の第1凸部17は互いに離れている。一対の挟持片11がヒンジ10を中心として互いに離れる方向に揺動すると、一対の第1凸部17が互いに当接して一対の挟持片11の揺動を規制する。第1凸部17は、各挟持片11の揺動範囲を規制し、ヒンジ10の損傷を防止する。
【0038】
挟持片11のそれぞれの第2端11Bには、互いに近づく方向に突出したガイド片18が設けられている。各ガイド片18は、対応する挟持片11の内側面11Cから略垂直に突出しているとよい。
【0039】
挟持片11のそれぞれの第2端11Bには、互いに離れる方向に突出したフランジ19が設けられている。各フランジ19は、対応する挟持片11の外側面11Dから略垂直に突出しているとよい。
【0040】
各挟持片11の第1端11Aの内側面11Cには、第2凸部21が突設されているとよい。第2凸部21は、挟持片11の内側面11Cにおいてヒンジ10と係止爪13の間の部分に設けられている。クリップ1がタブ3Bに装着された状態で、各第2凸部21はタブ3Bの対応する側面に当接可能である。すなわち、タブ3Bは一対の第2凸部21に挟持される。第2凸部21は、選択的な構成であるため、クリップ1から省略されてもよい。
【0041】
次に、クリップ1を使用した第1部材2及び第2部材3の結合方法及び結合構造について説明する。最初に、作業者はクリップ1をタブ3Bに装着する。図1及び図4に示すように、作業者は一対の挟持片11の間にタブ3Bのタブ本体3Cを挿入する。このとき、一対の係止爪13の間に形成される隙間14がタブ本体3Cの厚みよりも大きいため、タブ本体3Cは隙間14を通過して各係止爪13との当接をさけることができる。すなわち、タブ本体3Cはクリップ1から抵抗力を受けることなく一対の挟持片11の間に突入することができる。また、タブ本体3Cは一対のガイド片18にガイドされて、一対の係止爪13の間の隙間14に誘導される。そのため、タブ本体3Cの挿入時にタブ本体3Cが係止爪13に引っ掛かることが抑制される。
【0042】
次に、作業者は一方の係止爪13をタブ本体3Cに形成された第1貫通孔3Dに突入させる。そして、作業者は一対の挟持片11を互いに近づく方向にヒンジ10を中心として揺動させ、他方の係止爪13を第1貫通孔3Dに突入させる。これにより、図5に示すように、一対の係止爪13はそれぞれの係止面13Cで互いに係止され、一対の挟持片11は初期状態に対して互いに近づいた状態、すなわち結合状態に維持される。これにより、クリップ1はタブ3Bに装着される。この状態では一対の係止爪13の係止が解除されない限り、クリップ1はタブ3Bから脱離しない。このとき、各挟持片11はタブ3Bの一対の縁壁3Eの間に配置され、タブ3Bに対する位置が定まる。また、一対の第2凸部21がタブ本体3Cに当接することによって、タブ3Bに対するクリップ1の位置が定まる。また、一対の第2凸部21がタブ本体3Cに当接することによって、タブ本体3Cに対する各挟持片11の位置が定まり、一対の係止爪13が互いに係合した状態に維持される。
【0043】
クリップ1が装着されたタブ3Bが結合孔2Bに挿入されることによって、図5に示すように、タブ3Bがクリップ1を介して結合孔2Bに結合される。クリップ1が結合孔2Bに挿入されるとき、一対の挟持片11の湾曲部12は結合孔2Bの縁に押されて互いに近づく方向に弾性変形する。一対のフランジ19が第1部材2の板状部2Aの表面に当接することによって、クリップ1の結合孔2Bに対する挿入深さが定まる。各湾曲部12が結合孔2Bの縁を通過すると、各湾曲部12は復元し、各肩部15が結合孔2Bの縁に係止される。各肩部15が結合孔2Bの縁に係止されることによって、クリップ1が結合孔2Bから脱落し難くなる。一対のフランジ19と一対の肩部15とに間に結合孔2Bの縁が挟持される構成にしてもよい。この場合、一対のフランジ19と一対の肩部15によって、第1部材2に対するクリップ1のがたつきを抑制される。なお、一対のフランジ19と一対の肩部15は、結合孔2Bの縁を挟持しなくてもよい。以上のようにして、クリップ1を介して第2部材3が第1部材2に結合される。
【0044】
第2部材3から第1部材2を分離させる場合には、作業者は第2部材3を第1部材2から離れる方向に引っ張るとよい。これにより、一対の挟持片11の湾曲部12は結合孔2Bの縁に押されて弾性変形し、一対の肩部15は結合孔2Bを通過することができる。このとき、一対の係止爪13のそれぞれがタブ本体3Cの第1貫通孔3Dを通過しているため、クリップ1はタブ本体3Cと一体に移動する。その結果、クリップ1がタブ3Bに装着された状態で、第2部材3は第1部材2から分離される。クリップ1が結合孔2B内に残留しないため、第1部材2及び第2部材3の分離作業の作業性が良い。
【0045】
第1実施形態に係るクリップ1によれば、タブ3Bへの装着が容易なクリップ1を提供することができる。一対の係止爪13の間に形成される隙間14がタブ3Bの板厚よりも大きいため、タブ3Bにクリップ1を装着するときに、一対の挟持片11の間にタブ3Bを容易に挿入することができる。クリップ1の初期状態において各挟持片11の間の角度が鋭角であるため、作業者は各挟持片11を指で挟み込むことによってクリップ1をタブ3Bに容易に装着することができる。
【0046】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るクリップ30は、第1実施形態に係るクリップ1と比較して係止爪31の構成が主に異なる。また、第2実施形態に係るクリップ30は、ガイド片18に代えて板ばね片32を有すると共に、第3凸部33を有する。第2実施形態に係るクリップ30の他の要素は、第1実施形態に係るクリップ1の要素と同じである。
【0047】
図6及び図7に示すように、第2実施形態に係るクリップ30の各係止爪31は、第2実施形態に係るクリップ30の係止爪31と同様に、挟持片11から略垂直に突出した柱部31Aと、柱部31Aの先端から側方に突出する爪部31Bとを有する。爪部31Bは、柱部31Aの延在方向と略垂直な係止面31Cと、係止面31Cの突出端から柱部31Aの先端に延びる傾斜面31Dとを有する。
【0048】
一方の柱部31Aは挟持片11の幅方向における一方の側縁から突出し、他方の柱部31Aは挟持片11の幅方向における他方の側縁から突出している。すなわち、各柱部31Aは、挟持片11の幅方向に互いにオフセットしている。各爪部31Bは、対応する柱部31Aの先端から互いに相反する方向に突出している。各柱部31Aは、挟持片11の延在方向への変形を抑制するために、挟持片11の延在方向に所定の幅を有するとよい。各柱部31Aは、挟持片11の幅方向を向く板状に形成されているとよい。
【0049】
クリップ30の初期状態において、一対の係止爪31は互いに離れている。クリップ30の初期状態において、一対の挟持片11がなす角度は鋭角であり、かつ一対の係止爪31の間に形成される隙間35は、タブ3Bのタブ本体3Cの板厚よりも大きく設定されている。隙間35は、各柱部の先端間に形成されている。また、図7に示すように、ヒンジ10の揺動軸線に沿った方向から見て、隙間35とヒンジ10とを結ぶ直線が各係止爪31と交わらないように、隙間35及び各係止爪31が配置されている。
【0050】
挟持片11のそれぞれの第2端11Bには、互いに近づく方向に突出した板ばね片32が設けられている。各板ばね片32は、弾性変形可能な板片であり、対応する挟持片11の内側面11Cから係止爪31側に傾斜して延びている。
【0051】
各挟持片11の内側面11Cにおける第2凸部21と係止爪31との間の部分には、第3凸部33が突設されている。第3凸部33の突出長さは、第2凸部21の突出長さよりも長く設定されている。
【0052】
図8に示すように、タブ本体3Cの第1貫通孔3Dよりも先端側には、タブ本体3Cを貫通する第2貫通孔3Fが形成されている。
【0053】
第2実施形態に係るクリップ30をタブ本体3Cに装着するときには、図8に示すように、一対の挟持片11の間にタブ3Bのタブ本体3Cが挿入される。このとき、一対の係止爪31の間に形成される隙間35がタブ本体3Cの厚みよりも大きいため、タブ本体3Cはクリップ30から抵抗力を受けることなく一対の挟持片11の間に突入することができる。この状態から、図9及び図10に示すように、各係止爪31が第1貫通孔3Dに突入し、爪部31Bにおいて第1貫通孔3Dの縁に引っ掛かることによって、タブ本体3Cにクリップ30が係止される。各係止爪31が第1貫通孔3Dにそれぞれ係止されることによって、クリップ30は初期状態に対して各挟持片11の距離が互いに近接した結合状態に維持される。
【0054】
また、一対の第3凸部33は第2貫通孔3Fに突入し、一対の第2凸部21はタブ本体3Cに当接する。また、一対の板ばね片32はタブ本体3Cに弾性変形しつつ当接し、各挟持片11をタブ本体3Cから離れる方向に付勢する。これにより、係止爪31が第1貫通孔3Dの縁に係止された状態に維持される。
【0055】
以上のようにして、クリップ30はタブ3Bに装着される。クリップ30が装着されたタブ3Bが結合孔2Bに挿入されることによって、図11に示すように、タブ3Bがクリップ30を介して結合孔2Bに結合される。
【0056】
第2部材3から第1部材2を分離させる場合には、作業者は第2部材3を第1部材2から離れる方向に引っ張るとよい。このとき、一対の係止爪31のそれぞれがタブ本体3Cの第1貫通孔3Dに係止されているため、クリップ30はタブ本体3Cと一体に移動する。その結果、クリップ30がタブ3Bに装着された状態で、第2部材3は第1部材2から分離される。クリップ30が結合孔2B内に残留しないため、第1部材2及び第2部材3の分離作業の作業性が良い。
【0057】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば係止爪13、31の位置及び形状は適宜変更してもよい。例えば、爪部13B、31Bの突出方向は、係合する対象に応じて変更するとよい。
【符号の説明】
【0058】
1、30 :クリップ
2 :第1部材
2A :板状部
2B :結合孔
3 :第2部材
3A :基部
3B :タブ
3C :タブ本体
3D :第1貫通孔
10 :ヒンジ
11 :挟持片
11A :第1端
11B :第2端
11C :内側面
11D :外側面
12 :湾曲部
13、31 :係止爪
13A、31A :柱部
13B、31B :爪部
13C、31C :係止面
13D、31D :傾斜面
14、35 :隙間
15 :肩部
15A :肩面
17 :第1凸部
18 :ガイド片
19 :フランジ
21 :第2凸部
32 :板ばね片
33 :第3凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11