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特許7289814安全装置、および、安全装置を備えた飛行体
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  • 特許-安全装置、および、安全装置を備えた飛行体 図1
  • 特許-安全装置、および、安全装置を備えた飛行体 図2
  • 特許-安全装置、および、安全装置を備えた飛行体 図3
  • 特許-安全装置、および、安全装置を備えた飛行体 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】安全装置、および、安全装置を備えた飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64D 17/76 20060101AFI20230605BHJP
   B64D 17/72 20060101ALI20230605BHJP
   B64D 17/52 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
B64D17/76
B64D17/72
B64D17/52
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020056110
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021154836
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】大坪 秀礎
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 博
(72)【発明者】
【氏名】久保 大理
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-1680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 17/76
B64D 17/72
B64D 17/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動部材と、
前記摺動部材を内部に収容し、作動時に当該摺動部材が前記内部から外方に突出するための孔部が設けられたシリンダと、
少なくとも前記シリンダの一部を覆うように配置された有底筒状部と、前記有底筒状部の開口部または側面から外部に向けて突出するように形成された鍔状部とを有し、前記摺動部材により一方向に押し上げられる押し上げ部材と、
前記押し上げ部材の前記鍔状部により支持されつつ押し上げられる射出物と、
前記摺動部材を前記シリンダ内で前記内部から前記外方に突出するように移動させる動力源と、
前記鍔状部に固定して設けられ、前記射出物の前記有底筒状部の周囲方向への移動を防止する少なくとも1つの移動防止部材と、
を備えていることを特徴とする安全装置。
【請求項2】
前記移動防止部材が、
板状であって、かつ、対辺が前記有底筒状部の少なくとも一部に固定され、隣辺が前記鍔状部の少なくとも一部に固定された略三角形状の部材、
第1棒状部と第2棒状部とを有し、前記第1棒状部が前記有底筒状部の少なくとも一部に固定され、前記第2棒状部が前記鍔状部の少なくとも一部に固定された略L字状の部材、または、
前記有底筒状部から径方向に突出するように、前記有底筒状部に固定された突起状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の安全装置。
【請求項3】
前記略三角形状の斜辺の形状が、直線形状、階段形状、略扇形状、略サイクロイド曲線形状であることを特徴とする請求項2に記載の安全装置。
【請求項4】
前記移動防止部材が、前記有底筒状部を中心として回転対称となるように複数設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項5】
前記鍔状部に、少なくとも1つの貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の安全装置。
【請求項6】
前記鍔状部において、複数の前記移動防止部材の間ごとに少なくとも1つの貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の安全装置。
【請求項7】
前記貫通穴が複数設けられており、
前記射出物に連結部材の一端が連結されており、
前記連結部材の他端が、前記貫通穴の1つ以上を介して、前記鍔状部に連結されていることを特徴とする請求項5または6に記載の安全装置。
【請求項8】
機体と、
前記機体に結合される請求項1~7のいずれか1項に記載の安全装置と、
前記機体に結合され、前記機体を推進させる推進機構と、を備えることを特徴とする飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラシュート又はパラグライダー等の射出物を射出する安全装置、および、当該安全装置を備えた飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律制御技術および飛行制御技術の発展に伴って、例えばドローンと呼ばれる複数の回転翼を備えた飛行体の産業上における利用が加速しつつある。ドローンは、例えば複数の回転翼を同時にバランスよく回転させることによって飛行し、上昇および下降は回転翼の回転数の増減によって行い、前進および後進は回転翼の回転数の増減を介して機体を傾けることによって成し得る。このような飛行体は今後世界的に拡大することが見込まれている。
【0003】
一方で、上記のような飛行体の落下事故のリスクが危険視されており、飛行体の普及の妨げとなっている。こうした落下事故のリスクを低減するために、安全装置が製品化されつつある。
【0004】
上記安全装置として、たとえば特許文献1には、摺動部材と、前記摺動部材を内部に収容し、作動時に当該摺動部材が前記内部から外方に突出するための孔部が設けられたシリンダと、少なくとも前記シリンダの一部を覆うように配置された有底筒状部と、前記有底筒状部の開口部または側面の途中部分から外部に向けて突出するように形成された鍔状部とを有し、前記摺動部材により一方向に押し上げられる押し上げ部材と、前記押し上げ部材の前記鍔状部により支持されつつ押し上げられる射出物と、前記摺動部材を前記シリンダ内で前記内部から前記外方に突出するように移動させる動力源と、を備えているものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2016/0221681号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の安全装置においては、射出物がパラシュートなどであった場合、輸送中の振動などによって、押し上げ部材の鍔状部の上で、押し上げ部材の有底筒状部の周囲方向にずれてしまうおそれがあり、射出物の初期状態(たとえばパラシュートなどを折り畳んで最初に設置した展開に好ましい状態)を保持できなくなってしまうおそれがある。この場合、安全装置の作動時における射出物の展開がしづらくなり、射出物がずれていない状態の場合と比べて、射出物の展開が完了するまで遅くなってしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、輸送中でも射出物がずれにくい押し上げ部材を有した安全装置と、この安全装置を備えた飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る安全装置は、摺動部材と、前記摺動部材を内部に収容し、作動時に当該摺動部材が前記内部から外方に突出するための孔部が設けられたシリンダと、少なくとも前記シリンダの一部を覆うように配置された有底筒状部と、前記有底筒状部の開口部または側面から外部に向けて突出するように形成された鍔状部とを有し、前記摺動部材により一方向に押し上げられる押し上げ部材と、前記押し上げ部材の前記鍔状部により支持されつつ押し上げられる射出物と、前記摺動部材を前記シリンダ内で前記内部から前記外方に突出するように移動させる動力源と、前記鍔状部に固定して設けられ、前記射出物の前記有底筒状部の周囲方向への移動を防止する少なくとも1つの移動防止部材と、を備えているものである。
【0009】
(2) 上記(1)の安全装置においては、板状であって、かつ、対辺が前記有底筒状部の少なくとも一部に固定され、隣辺が前記鍔状部の少なくとも一部に固定された略三角形状の部材、第1棒状部と第2棒状部とを有し、前記第1棒状部が前記有底筒状部の少なくとも一部に固定され、前記第2棒状部が前記鍔状部の少なくとも一部に固定された略L字状の部材、または、前記有底筒状部から径方向に突出するように、前記有底筒状部に固定された突起状の部材であることが好ましい。
【0010】
(3) 上記(2)の安全装置においては、前記略三角形状の斜辺の形状が、直線形状、階段形状、略扇形状、略サイクロイド曲線形状であることが好ましい。
【0011】
(4) 上記(1)~(3)の安全装置においては、前記移動防止部材が、前記有底筒状部を中心として回転対称となるように複数設けられていることが好ましい。
【0012】
(5) 上記(1)~(4)の安全装置においては、前記鍔状部に、少なくとも1つの貫通穴が設けられていることが好ましい。
【0013】
(6) 別の観点として、上記(4)の安全装置において、前記鍔状部において、複数の前記移動防止部材の間ごとに少なくとも1つの貫通穴が設けられていることが好ましい。
【0014】
(7) 上記(5)または(6)の安全装置においては、前記貫通穴が複数設けられており、前記射出物に連結部材の一端が連結されており、前記連結部材の他端が、前記貫通穴の2つ以上を介して、前記鍔状部に連結されていることが好ましい。
【0015】
(8) 本発明に係る飛行体は、機体と、前記機体に結合される請求項1~7のいずれか1項に記載の安全装置と、前記機体に結合され、前記機体を推進させる推進機構と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、輸送中でも射出物がずれにくい押し上げ部材を有した安全装置と、この安全装置を備えた飛行体とを提供することができる。また、押し上げ部材の移動防止部材は、移動防止部材がない場合に比べて、押し上げ部材の強度を向上させることができる。特に、金属製の押し上げ部材に対して、樹脂製または複合材などの押し上げ部材および移動防止部材とした場合、部品強度を保持しつつも軽量化を達成することができる。
【0017】
また、軽量化した分、押し上げ部材および移動防止部材に対する動力源の動力を低下させても、軽量化前と同様の性能を維持することも可能である。すなわち、動力源を軽量化することも可能となる。たとえば、動力源がガス発生器である場合、ガス発生器に内包されるガス発生剤の容量を少なくすることができるとともに、ガス発生器自体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る安全装置を示す断面図である。
図2図1の押し上げ部材の上視図である。
図3図1の安全装置が適用される飛行体を示す図である。
図4図1の移動防止部材の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る安全装置について、図1図4を参照しながら説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る安全装置100は、摺動部材であるピストン部材10と、当該ピストン部材10を収容し、作動時に当該ピストン部材10が外方(図1では上方向)に突出するための孔部13が設けられたシリンダ14と、ピストン部材10により一方向(図1では上方向)に押し上げられる押し上げ部材15と、当該押し上げ部材15により支持されつつ押し上げられる射出物16と、ピストン部材10をシリンダ14内で移動させる動力源としてのガス発生器(マイクロガスジェネレータ等)17と、ピストン部材10、シリンダ14、押し上げ部材15、射出物16、およびガス発生器17を収容する有底円筒状の収容器18と、収容器18の開口端部を閉塞する蓋部21と、を少なくとも備えている。
【0021】
なお、本実施形態において、射出物16はパラシュート又はパラグライダーである。また、ガス発生器17は、シリンダ14の下方の開口端に圧入又はかしめ、又は溶接された状態で、ピストン部材10の後述の本体部11の下方に配置されている。また、シリンダ14の下部は、収容器18の底部に固定されている。
【0022】
ピストン部材10は、シリンダ14の内径とほぼ同じ外径の部分を備える本体部11と、この本体部11に接続され、上方に延びかつ本体部11よりも小径の棒状部12と、を有している。棒状部12の上端は、シリンダ14の孔部13を介して押し上げ部材15の後述の有底筒状部19の上端内面に固定されている。また、シリンダ14内の上部には、ピストン部材10の棒状部12の一部を取り囲むように配置されたストッパー23が設けられている。すなわち、棒状部12はストッパー23に挿通された状態で配されている。このことによって、ピストン部材10が上方に移動した際に、本体部11がストッパー23に接触して停止することで、本体部11がシリンダ14内から外方に放出されないようになっている。
【0023】
また、図1に示すように、押し上げ部材15は、樹脂製、または、樹脂と金属、CFRPもしくは繊維強化樹脂などとの複合材などからなり、シリンダ14の一部、つまり当該シリンダ14のうちガス発生器17が配されている側の開口端付近を除く外側の部分を覆うように配置された有底筒状部19と、当該有底筒状部19の開口縁部にフランジ(鍔状部)として設けられ射出物16を支持する円盤状の支持部20と、を有している。このような構成において、支持部20の底部は、初期状態で収容器18の底部内面と離間して設けられている。また、支持部20には、作動時において射出物16の底部と支持部20との間で発生する負圧の影響を軽減して射出物16が射出されやすくするための貫通穴26を少なくとも1つ(本実施形態では8個)有している。また、支持部20の外周部は、収容器18の内側に接触しないように形成されている。また、支持部20の上面には、射出物16について有底筒状部19の周囲方向への移動を防止する移動防止部材27が少なくとも1つ(本実施形態では8部)設けられている。
【0024】
移動防止部材27は、樹脂製、または、樹脂と金属、CFRPもしくは繊維強化樹脂などとの複合材などからなる略三角形状の部材であり、有底筒状部19を中心として、回転対称となるように複数設けられている。また、これらの移動防止部材27の間ごとに貫通穴26が設けられている。なお、図示しないが、貫通穴26の1つ以上には、ひもまたはワイヤーなどの連結部材の一端が連結されており、当該連結部材の他端には射出物16が連結されている。
【0025】
したがって、移動防止部材27は、移動防止部材27がない場合に比べて、押し上げ部材15の強度を向上させることができる。特に、金属製の押し上げ部材および移動防止部材に対して、樹脂製、または、樹脂と金属、CFRPもしくは繊維強化樹脂などとの複合材などからなる押し上げ部材15および移動防止部材27とした場合、部品強度を保持しつつも軽量化を達成することができる。
【0026】
また、樹脂製、または、樹脂と金属、CFRPもしくは繊維強化樹脂などとの複合材などとした押し上げ部材15について金属製よりも軽量化できた分、押し上げ部材15および移動防止部材27などの動力源であるガス発生器17の動力を低下させても、軽量化前と同様の性能を維持することも可能である。すなわち、ガス発生器17を軽量化することも可能となる。たとえば、金属製押し上げ部材の場合と比較して、ガス発生器17に内包されるガス発生剤の容量を少なくすることができるとともに、ガス発生器17自体を小型化できる。
【0027】
収容器18の射出物16の射出方向における下流側の端部、つまり収容器18の上端に蓋部21が設けられている。蓋部21の端部の一部は、蓋開閉機構22に開閉可能に軸支されている。なお、蓋開閉機構22は、ガス発生器17の作動に合わせて、モータなどの駆動装置によって自動で蓋部21を開放するものであってもよい。
【0028】
また、図1に示すように、収容器18の底部には、収容器18内部と外部とを連通する複数の貫通穴24が設けられている。また、収容器18の側壁部には、収容器18内部と外部とを連通する複数の貫通穴25が設けられている。なお、押し上げ部材15が収容器18内において急速で移動する際には、当該押し上げ部材15と収容器18の底面との間の領域に負圧が生じる。そのため、押し上げ部材15を移動させ難くなる。そこで、上記貫通穴24、25を設けることで、負圧現象を低減することができ、押し上げ部材15をスムーズに移動させることが可能となる。
【0029】
また、射出物16は、収容器18内において当該収容器18の内面と押し上げ部材15の有底筒状部19の外側面との間に、たとえば有底筒状部19の外側面を取り巻くように収容されている。なお、射出物16は、たとえば紐(図示略)の一端に接続されており、当該紐の他端は収容器18内部又は後述する飛行体30の機体31に接続される。
【0030】
ガス発生器17は、点火器のみ用いても良いし、点火器およびガス発生剤を備えたガス発生器を用いても良い。また、火薬式の点火器により小型のガスボンベにおける封板を開裂させ、内部のガスを外部へと排出するハイブリッド型、ストアード型のガス発生器を用いてもよい。この場合、ガスボンベ内の加圧ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素、二酸化炭素などの不燃性のガスあるいはこれらの混合物を用いることができる。また、加圧ガスが放出される際に確実にピストンを推進させるために、ガス発生剤組成物またはテルミット組成物等からなる発熱体をガス発生器に具備させてもよい。
【0031】
なお、主に、ピストン部材10、シリンダ14、押し上げ部材15、ガス発生器17、などで、射出物16を射出する射出部を構成している。
【0032】
以上のような構成において、安全装置100が搭載されるたとえば飛行体などが落下する際にガス発生器17が作動すると、当該作動により発生するガスの圧力によってピストン部材10がシリンダ14内を上方に推進する。これにより、ピストン部材10の棒状部12に接続された有底筒状部19を有する押し上げ部材15が収容器18内において上方に推進する。これによって、蓋部21が押し上げ部材15の上方部によって押し上げられ、開放されると共に、射出物16が収容器18内から外方(図1紙面の上方向)に射出される。射出物16のパラシュート又は揚力発生部材のパラグライダーは収容器18から射出された後、展開される。
【0033】
なお、安全装置100は、図3に示したように、飛行体30の機体31に連結部材40を介して連結固定されている。このとき、図1に示したように、連結部材40は、貫通穴24を閉塞しない位置において、収容器18と機体31とを連結している。したがって、飛行体30は、機体31と、当該機体31に結合される安全装置100と、機体31に結合され、当該機体31を推進させる1つ以上の推進機構(たとえばプロペラ等)32と、機体31の下部に設けられた複数の脚部33と、を備えている。ここで、実際には、ガス発生器17の下部の電極に通電用のソケットが嵌合されているが、説明の便宜上、図1においては省略して表現している。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、輸送中でも射出物16がずれにくい押し上げ部材15を有した安全装置100と、この安全装置を備えた飛行体30とを提供することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0036】
たとえば、本発明には、以下の変形例が含まれる。なお、以下の変形例において、上記実施形態と下2桁が同じ符号の部位は、特に説明する場合を除き、上記実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略する。また、特に説明していない部位は、上記実施形態と同様であるので、説明および図示を省略することがある。また、以降の各変形例においては、原則として、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。これらの事項は、以降の変形例においても同様とする。
【0037】
上記実施形態における移動防止部材27は、直角三角形に近似する略三角形状の部材であったが、これに限られない。たとえば、図4(a)~(c)に示したような移動防止部材127、227、327などの略三角形状の斜辺が様々な形状(階段形状、略扇形状、略サイクロイド曲線形状など)のもの、図4(d)に示したような略L字状部材427(第1棒状部427aは押し上げ部材の有底筒状部に固定、第2棒状部427bは押し上げ部材の支持部(鍔状部)に固定)、図4(e)に示したような略I字状の突起部527などであってもよい。なお、図4(e)の突起部527は、押し上げ部材の有底筒状部の側面から突出するように、当該側面に面527aが固定されている。また、突起部527の一端部527bは、押し上げ部材の支持部(鍔状部)に固定されていてもよいし、されていなくてもよい。また、面527aの図4紙面の縦方向の長さは、押し上げ部材の有底筒状部の側面と同じ長さ(高さ)でもよいし、短くてもよい。また、一端部527bは、押し上げ部材の有底筒状部の径方向に沿って延設されるものであるが、射出物の収容器への設置を阻害するものでなく、かつ、射出物の回転移動を防止できるものであれば、どのような長さであってもよい。
【0038】
また、上記実施形態では動力源としてガス発生器を採用したが、摺動部材がシリンダ内を推進するための駆動力を当該摺動部材に付与することが可能なものであればその構成は限定されるものではなく、たとえばバネ等の弾性体を採用してもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、収容器18を円筒状に形成したが、これに限定されるものではなく、たとえば四角筒のような他の形状に形成してもよい。
【0040】
また、上記実施形態におけるピストン部材10をテレスコピック構造として構成してもよい。
【0041】
また、上記実施形態において、射出物としてパラシュート又はパラグライダーを採用する場合、当該パラシュート又はパラグライダーがパッキングされていてもよい。なお、当該パッキングは作動時に破れるまたは剥がれるように構成されている。
【0042】
さらに、上記実施形態では、射出物として、パラシュート又はパラグライダーを挙げたが、これに限らず、揚力発生部材を含むものを射出物として射出してもよい。揚力発生部材としては、たとえば、パラフォイル、ロガロ型パラシュート、シングルサーフェース型パラシュート、飛行機の翼、プロペラ、バルーン等が挙げられる。また、揚力発生部材がコントロールラインを有する場合、安全装置は、コントロールラインを利用して、射出した揚力発生部材の傾斜角度の変更などを行うことができる操舵機構を備えておくことが望ましい。この操舵機構は、たとえば、揚力発生部材に連結された複数のコントロールラインをそれぞれ巻き取る複数のリールと、これらのリールの動力となるモータと、を備えたものであり、モータの駆動により、コントロールラインを巻き取ったり、出したりすることで、適宜、揚力発生部材を引っ張ったり、引っ張りを緩めたりすることができる。
【0043】
また、上記実施形態では、シリンダ、動力源、および収容器は、機体にゴムバンド、ベルト、ひも、その他(機械的接合、ボルト、ファスナー、接着剤)等の手段により固定されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
10 ピストン部材
11 本体部
12 棒状部
13 孔部
14 シリンダ
15 押し上げ部材
16 射出物
17 ガス発生器
18 収容器
19 有底筒状部
20 支持部
21 蓋部
22 蓋開閉機構
23 ストッパー
24、25、26 貫通穴
27 移動防止部材
30 飛行体
31 機体
32 推進機構
33 脚部
40 連結部材
100 安全装置
127、227、327、427、527 移動防止部材
427a 第1棒状部
427b 第2棒状部
527a 面
527b 一端部
図1
図2
図3
図4