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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】長尺物探傷システムと方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/11 20060101AFI20230605BHJP
   G01N 29/26 20060101ALI20230605BHJP
   G01N 29/44 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
G01N29/11
G01N29/26
G01N29/44
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020057274
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156728
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000198318
【氏名又は名称】株式会社IHI検査計測
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】池津 和輝
(72)【発明者】
【氏名】福本 伸太郎
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-132908(JP,A)
【文献】特開2012-088159(JP,A)
【文献】国際公開第2019/008833(WO,A1)
【文献】特開2010-243375(JP,A)
【文献】特開2014-163805(JP,A)
【文献】特開2005-351864(JP,A)
【文献】特開2011-163773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0259301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01B 17/00 - G01B 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径30mmよりも細い円柱状の長尺物を試験体としてその端面から探傷検査する長尺物探傷システムであって、
前記端面より小径かつ円形の検出面と、該検出面に2次元的に配置された複数の超音波振動子と、を有する、フェーズドアレイ探触子と、
複数の前記超音波振動子から前記長尺物の中心軸を含む検査平面内の集束点に集束させて超音波ビームを発信し、その反射波を受信するフェーズドアレイ探傷装置と、を備え、
前記フェーズドアレイ探傷装置は、受信した前記反射波から前記検査平面内の反射波強度の2次元分布を示す強度分布図である2次元画像を作成する画像処理装置と、
前記中心軸を中心として前記フェーズドアレイ探触子を周方向に旋回させた際に得られる複数の前記2次元画像を記憶する記憶装置と、
複数の前記2次元画像から正常断面画像をノイズとして除去し、除去した残存画像の強度分布が最小となるように、前記正常断面画像を2次元的にシフトさせる、ノイズ除去装置と、を有し、
前記正常断面画像は、前記試験体の正常部に相当する複数の前記2次元画像から選択される、長尺物探傷システム。
【請求項2】
複数の前記超音波振動子は、前記検出面が同心円状に分離され、かつ円の中心を通る基準線に直交する列上に分離し、前記基準線に対し線対称に位置する、請求項1に記載の長尺物探傷システム。
【請求項3】
前記フェーズドアレイ探傷装置は、前記線対称の対の前記超音波振動子を同一条件で制御する複数の制御チャンネルを有する、請求項に記載の長尺物探傷システム。
【請求項4】
前記長尺物は、外周に雄ねじ部を有する、請求項1に記載の長尺物探傷システム。
【請求項5】
請求項1に記載の長尺物探傷システムを用いた長尺物探傷方法であって、
(A)前記長尺物の前記中心軸を中心として基準位置からの旋回角度を変化させて、前記フェーズドアレイ探触子を周方向に旋回させ、
(B)前記フェーズドアレイ探傷装置により、複数の前記超音波振動子から前記長尺物の前記中心軸を含む前記検査平面内の集束点に集束させて超音波ビームを発信し、その前記反射波を受信して記憶し、
(C)受信した前記反射波から複数の前記検査平面における前記旋回角度と反射波強度の前記2次元画像の組み合わせを表示し、
(D)複数の前記2次元画像から前記試験体の正常部に相当する前記正常断面画像を選択し、
(E)複数の前記2次元画像から前記正常断面画像をノイズとして除去し、除去した残存画像の強度分布が最小となるように、前記正常断面画像を2次元的にシフトさせる、長尺物探傷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカーボルト等の長尺物をその長手方向端面から探傷検査する長尺物探傷システムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力・原子力発電所において、タンクやポンプなどの機器は基礎ボルトでコンクリート基礎に固定されている。
かかる基礎ボルトは、長期使用により埋設部分のネジ部が腐食等で減肉する。そのため、使用状態の基礎ボルトを取り外すことなく検査することが要望されている。
【0003】
この要望を満たす手段として、例えば特許文献1と非特許文献1が既に開示されている。
また、本発明に関連するフェーズドアレイ探傷装置が、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-184068号公報
【文献】国際公開第2019/008833号
【非特許文献】
【0005】
【文献】林 山、福冨 広幸、他、「埋め込み基礎ボルトにおける減肉欠陥の検出及びその深さの推定」、日本機械学会論文集(A編)77巻783号(2011-11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1と非特許文献1(以下、従来例)では、長尺物として直径30mm、長さ300mmの試験体を用い、リニアアレイ探触子を長尺物の端面に固定して試験している。リニアアレイ探触子の振動子寸法は、0.5mm×20mm、間隔0.1mmであり、チャンネル数は32である。
一方、産業界で実際に使用されている基礎ボルトの多くは、直径30mmよりも細く、例えば、直径16mm~24mmのものが多用されている。
しかし、従来例の手段を直径30mmよりも細い基礎ボルトに適用する場合、以下の問題点があった。
【0007】
(1)探触子の小型化が困難
従来例のリニアアレイ探触子は、直径30mm(M30、谷径26.2mm)の端面に合わせて、20mm×20mmの正方形(対角線長:約28.3mm)である。また、この場合に、単一の振動子寸法は0.5mm×20mm、間隔0.1mmである。
【0008】
この探触子を直径30mm未満(例えば16mm)の基礎ボルトに適用するため小型化すると、例えば直径16mm(M16、谷径13.8mm)の端面に合わせて、10mm×10mmの正方形(対角線長:約14.1mm)となる。この場合、単一の振動子寸法は0.2mm×10mm、間隔0.1mmである。
しかし、振動子幅(0.2mm)が狭すぎるため、かかる小型の振動子は製作が非常に困難である。
【0009】
(2)S/N比が悪化する
従来のリニアアレイ探触子の場合は、素子が一方向に配列されているため、超音波ビームの集束が線となってしまう。そのため、点に集束させたい位置以外で超音波ビームが反射してノイズとなるため、S/N比が低い。
また、仮に幅0.2mmの振動子の製作ができても、超音波強度は、振動子面積に比例するので、この場合の超音波強度は従来例の半分以下(例えば40%)まで低下し、さらにS/N比が悪化する。
【0010】
(3)また、振動子寸法の小型化を回避するため、チャンネル数を減らすと、分解能(測定精度)が低下する。
【0011】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、直径30mmよりも細い円柱状の長尺物を対象としてその長手方向端面から探傷検査することができ、かつS/N比と測定精度を高めることができる長尺物探傷システムと方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、直径30mmよりも細い円柱状の長尺物を試験体としてその端面から探傷検査する長尺物探傷システムであって、
前記端面より小径かつ円形の検出面と、該検出面に2次元的に配置された複数の超音波振動子と、を有する、フェーズドアレイ探触子と、
複数の前記超音波振動子から前記長尺物の中心軸を含む検査平面内の集束点に集束させて超音波ビームを発信し、その反射波を受信するフェーズドアレイ探傷装置と、を備え、
前記フェーズドアレイ探傷装置は、受信した前記反射波から前記検査平面内の反射波強度の2次元分布を示す強度分布図である2次元画像を作成する画像処理装置と、
前記中心軸を中心として前記フェーズドアレイ探触子を周方向に旋回させた際に得られる複数の前記2次元画像を記憶する記憶装置と、
複数の前記2次元画像から正常断面画像をノイズとして除去し、除去した残存画像の強度分布が最小となるように、前記正常断面画像を2次元的にシフトさせる、ノイズ除去装置と、を有し、
前記正常断面画像は、前記試験体の正常部に相当する複数の前記2次元画像から選択される、長尺物探傷システムが提供される。
【0013】
また本発明によれば、上記の長尺物探傷システムを用いた長尺物探傷方法であって、
(A)前記長尺物の前記中心軸を中心として基準位置からの旋回角度を変化させて、前記フェーズドアレイ探触子を周方向に旋回させ、
(B)前記フェーズドアレイ探傷装置により、複数の前記超音波振動子から前記長尺物の前記中心軸を含む前記検査平面内の集束点に集束させて超音波ビームを発信し、その前記反射波を受信して記憶し、
(C)受信した前記反射波から複数の前記検査平面における前記旋回角度と反射波強度の前記2次元画像の組み合わせを表示し、
(D)複数の前記2次元画像から前記試験体の正常部に相当する前記正常断面画像を選択し、
(E)複数の前記2次元画像から前記正常断面画像をノイズとして除去し、除去した残存画像の強度分布が最小となるように、前記正常断面画像を2次元的にシフトさせる、長尺物探傷方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フェーズドアレイ探触子が、長尺物の端面より小径かつ円形の検出面を有するので、直径30mmよりも細い円柱状の長尺物を検査対象としてその長手方向端面から探傷検査することができる。
【0015】
また、フェーズドアレイ探触子が、円形の検出面に2次元的に配置された複数の超音波振動子を有する。これにより、従来より多いチャンネル数(例えば64チャンネル)であっても、単一の振動子寸法を大きく(例えば、最小でも0.75mm×0.75mmに)でき、かつ容易に製作できる。従って、超音波強度は、振動子面積に比例するので、この場合の超音波強度は従来例よりも強くなり、S/N比が改善される。
【0016】
さらに、本発明によれば、フェーズドアレイ探傷装置が、複数の超音波振動子から長尺物の中心軸を含む平面内の集束点に集束させて超音波ビームを発信し、その反射波を受信する。
これに対し、リニアアレイ探触子の場合は、素子が一方向に配列されているため、超音波ビームの集束が線となってしまい、点に集束させたい位置以外で超音波ビームが反射してしまう。
従って、本発明によれば、集束点の超音波強度は、従来例のリニアアレイ探触子よりも大幅に強くなり、S/N比と測定精度をさらに高めることができる。
【0017】
また、本発明によれば、画像処理装置により、受信した反射波から検査平面内の反射波強度の2次元画像を作成することができる。
さらに、ノイズ除去装置を備え、作成した2次元画像から正常断面画像をノイズとして除去するので、2次元画像に共通に含まれる正常断面画像を消去して、2次元画像中の相違箇所を顕在化できる。
【0018】
従って、本発明によれば、直径30mmよりも細い円柱状の長尺物を対象としてその長手方向端面から探傷検査することができ、かつS/N比と測定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による長尺物探傷システムの全体構成図である。
図2】フェーズドアレイ探触子の具体例を示す側面図(A)と底面図(B)である。
図3】フェーズドアレイ探触子を上面から見た超音波振動子(素子)の配列図である。
図4】長尺物が直径30mm未満(例えば16mm)の基礎ボルトである場合を示している。
図5図4の長尺物(基礎ボルト)を対象とする本発明の長尺物探傷方法の全体フロー図である。
図6】実施例2の試験体モデルの説明図である。
図7】実施例2のシミュレーション結果の比較図である。
図8】選択ステップS3とノイズ除去ステップS4の説明図である。
図9】実施例3の試験体TPの説明図である。
図10】実施例3の試験結果の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
図1は、本発明による長尺物探傷システム100の全体構成図である。
長尺物探傷システム100は、直径30mmよりも細い円柱状の長尺物1を試験体TPとしてその端面1aから内部を探傷検査する探傷装置である。
この図において、長尺物探傷システム100は、フェーズドアレイ探触子10とフェーズドアレイ探傷装置20を備える。
【0022】
図2は、フェーズドアレイ探触子10の具体例を示す側面図(A)と底面図(B)である。また、図3は、フェーズドアレイ探触子10を上面から見た超音波振動子14(素子)の配列図である。
以下、フェーズドアレイ探触子10を「探触子10」と、超音波振動子14を「振動子14」と略称する。
【0023】
図2図3において、探触子10は、円柱状の長尺物1(試験体TP)の端面1aより小径かつ円形の検出面12と、検出面12に2次元的に配置された複数の振動子14と、を有する。
【0024】
各振動子14は、圧電素子とそれを上下方向に挟持する1対の電極とからなる。圧電素子は、小さな格子状や円柱状に分割された圧電素子を配列し、隙間にエポキシ樹脂などを充填したコンポジットタイプが好ましく、水晶または圧電セラミックからなり、電極間に電圧を印加することで超音波ビームを発生する。また、圧電素子は、受信した超音波ビームの強度に比例した電圧を電極間に発生する。
【0025】
隣接する振動子14の間には隙間11が設けられ、それぞれ独立して作動するようになっている。隙間11の大きさ(ギャップ幅)は後述する例では0.05mmである。
【0026】
図3において、複数の振動子14は、中心Oを中心とする同心円状に分離され、かつ周方向にそれぞれ分離して位置する。また各振動子14は、同心円の中心Oを通る基準線Rに直交する方向に列上に分離されており、基準線Rに対し線対称に位置する。
【0027】
基準線Rは、この例では図中のY軸である。
振動子14の出力はその大きさに比例する。また線対称の振動子14の大きさは、同一に形成されている。
【0028】
図3において、探触子10の検出面12は、直径Dの円形であり、基準線Rに対し対称の複数の円弧状部分に分割された複数のセグメント15を有する。セグメント15は、上述した圧電素子の電極の一方に相当する。
【0029】
セグメント15は、この例では中心の円形部分とその他の円弧状部分からなる。なお、セグメント15の形状はこの例に限定されず、その他の形状であってもよい。
また、隣接するセグメント15の間の隙間11の大きさ(ギャップ幅)は、一定であることが好ましいが変化してもよい。以下、ギャップ幅が一定又は一定に近い場合、セグメント間の隙間11を分割線16と呼ぶ。
【0030】
セグメント15の分割線16は、この例では、複数の円形分割線16aと複数の直線分割線16bと、からなる。
【0031】
図3において、直線分割線16bは、互いに平行であり、円形の中心Oを通る基準線Rに直交し、かつ円形分割線16aの両端に接している。この場合、直線分割線16bは、基準線Rと円形分割線16aの交点を通り、互いに平行な直線である。
【0032】
円形分割線16aは、この例では7本であり、検出面12の円形を8つの円環状部分(リング状部分)に分割している。直線分割線16bは、この例では14本であり、リング状部分を多数(113)の円弧状部分(中央の一つの円を含む)に分割している。
【0033】
図3において、セグメント15の内側に記載された「数字」は、セグメント番号Iである。セグメント番号Iは、Y軸(基準線R)に対し線対称位置のセグメント15に同一の番号が付されている。
この結果、検出面12は、円形分割線16aと直線分割線16bで分割された113のセグメント15を有するが、セグメント番号Iは、1~64である。
上述した探触子10は、リング分割型アニュラーアレイ探触子である。
【0034】
図1において、フェーズドアレイ探傷装置20は、複数の振動子14から長尺物1の中心軸Z-Zと基準線Rを含む平面内(以下、検査平面2)の集束点3に集束させて超音波ビーム4を発信し、その反射波5を受信する。
以下、フェーズドアレイ探傷装置20を「探傷装置20」と略称する。
【0035】
図1において、探傷装置20は、線対称の対の振動子14を同一条件で制御する複数の制御チャンネル21を有する。
すなわち図3において、例えば、セグメント番号Iが10、11、12、14と15のセグメント15は、Y軸(基準線R)に対し線対称に位置しており、同一の制御チャンネル21により同一条件で制御される。
Y軸に対し線対称に位置する他の対の振動子14も同様である。
【0036】
上述した探触子10と探傷装置20により、長尺物1の中心軸Z-Zと基準線Rを含む検査平面2において、基準線上に遅延則を設け、各素子から検査平面内の集束点3に超音波ビーム4を集束させることができる。
この場合、点である集束点3に集束した超音波ビーム4の超音波強度は、検出面12に2次元的に配置されたすべての振動子14からの超音波ビーム4の総和となるため、線状に集束するリニアアレイ探触子と比較して、同一の計測点において非常に強くできる。
【0037】
図1において、探傷装置20は、画像処理装置22とノイズ除去装置24を有する。
画像処理装置22は、受信した反射波5から検査平面2内の反射波強度の2次元画像6を作成する。
ノイズ除去装置24は、複数の2次元画像6から正常断面画像7をノイズとして除去する。正常断面画像7とは、正常な断面(検査平面2)から得られる次元画像6を意味する。正常断面画像7は正常な検査平面2を含む複数の2次元画像6から経験的に容易に選択することができる。
【0038】
図1において、探傷装置20は、コンピュータ(PC)であり、さらに、記憶装置26、演算装置、入力装置、及び出力装置28を備える。
記憶装置26は、中心軸Z-Zを中心として探触子10を周方向に旋回させた際に得られる複数の2次元画像6を記憶する。
正常断面画像7は、複数の2次元画像6から選択される。この選択は、例えばユーザによる。
出力装置28は、例えばディスプレイ装置であり、受信した反射波5、2次元画像6、選択した正常断面画像7、ノイズ除去後の探傷画像8を表示する。
【0039】
図4は、長尺物1が直径30mm未満(例えば16mm)の基礎ボルトである場合を示している。この場合、長尺物1は、外周に雄ねじ部を有する。すなわち、基礎ボルトの外周には例えばM16、谷径13.8mmの雄ねじ部が設けられており、その一部に欠損部E(例えば腐食部)がありこれを検出する必要がある。
欠損部Eの端面1aからの軸方向距離を欠陥距離L1とする。また、欠陥距離L1を含むその周辺範囲を検査範囲Aとする。
欠損部Eは、1箇所に限定されず、複数であってもよい。また欠陥距離L1、検査範囲Aも複数であってもよい。
【0040】
図3に示した探触子10をM16の基礎ボルト(長尺物1)に適用する場合、検出面12の直径DをM16の谷径13.835mmよりも小径に設定する必要がある。直径Dが谷径より大きいと、外周部の振動子14からの超音波ビーム4が端面近傍の雄ねじ部で散乱されノイズとなるからである。
後述する実施例では、検出面12の直径Dを約12mmに設定した。
【0041】
図5は、図4の長尺物1(基礎ボルト)を対象とする本発明の長尺物探傷方法の全体フロー図である。
本発明の方法は、上述した長尺物探傷システム100を用い、S1~S5の各ステップ(工程)を有する。
【0042】
旋回ステップS1では、長尺物1の中心軸Z-Zを中心として、基準線Rの位置を基準位置からの旋回角度θを変化させて、探触子10を周方向に旋回させる。旋回角度θは、好ましくは角度検出器により正確に検出する。
旋回角度θは、0~360度の範囲内で検査範囲Aの位置に応じて設定する。旋回角度θのピッチ(例えば1度)は、必要とする分解能に基づき、決定する。
【0043】
探傷ステップS2では、探傷装置20により、複数の振動子14から長尺物1の中心軸Z-Zを含む平面(検査平面2)内の集束点3に集束させて超音波ビーム4を発信し、その反射波5を受信して記憶する。
検査平面2は、上述したように基準線Rと中心軸Z-Zを含む平面である。この構成により、基準線Rを含む検査平面2に探触子10により強い超音波ビーム4を発信し集束点3に集束させることができる。
この際、長尺物1の表面における検査範囲Aに対応させて、図4に示すように、検査平面2の中心軸Z-Zに対する超音波ビーム4の中心軸4aがなす角度(以下、照射角度α)を最小照射角度α1から最大照射角度α2まで変化させる。
最小照射角度α1は、0度以上、最大照射角度α2は20度以下であることが好ましい。散乱及びモード変換によりノイズ源となる超音波を減らすためである。
また、同時に集束点3の位置を、長尺物1の欠損部近傍の検査範囲Aにおいて一定のピッチで軸方向及び半径方向に移動する。一定のピッチ(後述の例では1mm)は、必要とする分解能に基づき、決定する。
上述したステップS2により、長尺物1の欠損部近傍の検査範囲Aの各点からの反射波5を受信して記憶することができる。
上述したステップS1とステップS2は、好ましくは交互に実施する。
【0044】
上述したステップS1とステップS2により、欠損部近傍の検査範囲Aに対する複数の組み合わせ(旋回角度θと反射波5の組み合わせ)が記憶装置26に記憶される。
【0045】
画像表示ステップS3では、出力装置28(ディスプレイ装置)を用いて、受信した反射波5から検査平面2における複数の旋回角度θと2次元画像6の組み合わせを表示する。
2次元画像6は、検査平面内の反射波強度の2次元分布を示す強度分布図でも、経過時間と反射波強度の関係を示す時間変化図でもよい。
【0046】
選択ステップS4では、旋回角度θと2次元画像6の複数の組み合わせから試験体TPの正常部に相当する正常断面画像7を選択する。この選択は、例えばユーザによる。
【0047】
ノイズ除去ステップS5では、複数の2次元画像6から正常断面画像7をノイズとして除去する。
このステップS4において、2次元画像6から正常断面画像7を除去した残存画像の強度分布が最小となるように、正常断面画像7を2次元的にシフトさせる、ことが好ましい。
【0048】
上述した長尺物探傷方法により、2次元画像6に共通に含まれる正常断面画像7を消去して、2次元画像中の相違箇所を顕在化できる。
【実施例1】
【0049】
長尺物1として、細長い角柱を用い、その側面にねじ山形状を模擬した試験体モデルを作成し、シミュレーションソフト(Civa2017)を用いたシミュレーションを実施した。
【0050】
表1は、超音波の周波数が5,7,10MHzの場合の波長λ、素子サイズbと波長λの比(b/λ)、及び探触子径Deが12mmの場合のDe/4λの値を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
素子サイズbと波長λの比(b/λ)が1以上の場合に、グレーティングローブ(grating lobe)が発生することが知られている。グレーティングローブとは、合成した波形よりも大きい角度で正面以外の方向に拡散した超音波ビームが発生する現象である。
グレーティングローブは、b/λが0.5以下の場合には、発生しない。また、b/λが0.5を超え、1.0未満の場合には、ステアリング角により発生する可能性がある。
従って、グレーティングローブの発生を抑制する観点から、周波数が5又は7MHzが好ましく、10MHzは不適切であるといえる。
【0053】
De/4λの値は、近距離音場限界距離x0として知られている。近距離音場限界距離x0より近い近距離音場では、超音波強度の変動が大きく、近距離音場限界距離x0を超えると距離xの増加とともに音圧が次第に小さくなる。
そのため、安定したデータを得るには、計測範囲を近距離音場限界距離x0を超えた位置に設定することが好ましい。
従って、安定したデータを得るため、端面1aからの欠陥距離L1を周波数が5MHzの場合は30mm以上、7MHzの場合は43mm以上とすることが好ましい。
【0054】
上記観点に基づき、従来例のリニアアレイ探触子と図3に示した探触子10(リング分割型アニュラーアレイ探触子)とを周波数5MHzでシミュレーションを実施した。
その結果、探触子10ではねじ山形状からの反射波強度の2次元画像6が明瞭に得られるが、リニアアレイ探触子では、ほとんど検出できず、リニアアレイ探触子と比較してリング分割型アニュラーアレイ探触子が優れていることがわかった。
【0055】
また、同じ探触子10を用い、周波数を5,7,10MHzで比較した結果、周波数を7MHzの場合にねじ部から最も強い反射波強度が得られた。
さらに、チャンネル数を25chと64chで比較した結果、64chの方が、反射波強度が強く、かつ分解能が高いことがわかった。
【0056】
以上の結果から、リニアアレイ探触子よりもリング分割型アニュラーアレイ探触子が優れており、周波数は7MHz、チャンネル数は64chが最も適していることがわかった。
【実施例2】
【0057】
図6は、実施例2の試験体モデルの説明図であり、(A)は試験体モデルの側面図、(B)(C)(D)は、(A)のX部拡大図である。
このうち、(B)は欠陥のないねじ山形状、(C)は模擬欠陥として、ねじ山の1つが欠落したねじ山形状、(D)は模擬欠陥として、ねじ山の1つが谷部まで欠けたねじ山形状である。
以下、(B)を正常モデル、(C)をねじ山腐食モデル、(D)をねじ谷腐食モデルと呼ぶ。
【0058】
図6(A)において、試験体モデルは、16mm×16mm×250mmの直方体であり、その一面(図で右側面)に水平のねじ形状を模擬した。
この図において、全長Lは250mm、端面1aからの欠陥距離L1は120mm、検査範囲Aは端面1aから40~200mmとした。
【0059】
図6(B)の正常モデルにおいて、模擬ねじ形状は、ピッチP=2mm、ねじ山高さh=2.375mmとした。
図6(C)のねじ山腐食モデルにおいて、端面から欠陥距離L1=120mmに位置する1つのねじ山を谷位置までの2.375mm(斜線範囲)が腐食されたねじ山を模擬した。
図6(D)のねじ谷腐食モデルにおいて、端面から欠陥距離L1=120mmに位置する1つのねじ山の頂点から3.175mm(斜線範囲)が腐食されたねじ谷を模擬した。
【0060】
探触子として、図3に示した探触子10(リング分割型アニュラーアレイ探触子)をシミュレーションに適用した。
また、M16の基礎ボルト(長尺物1)に適用できるように、検出面12の直径DをM16の谷径13.8mmよりも小径(12mm)に設定した。
【0061】
探触子10と探傷装置20のシミュレーション条件は、以下の通りである。
(1)探触子タイプ:垂直
(2)素子配列パターン:アニュラフェーズドアレイ
(3)探触子径:φ12mm
(4)リング数:8リング(64ch)
(5)リング間ギャップ:0.05mm
(6)周波数:7MHz
【0062】
また、シミュレーション条件として、探触子10を端面1aに対し垂直に設置した。さらに、ねじの谷の位置を焦点とし、深さ40mmから200mmまで垂直方向に1mmピッチで焦点を移動し、超音波は縦波として計算した。
【0063】
図7は、実施例2のシミュレーション結果の比較図である。
実施例2では、試験体モデルが細長い角柱であり、ねじ山形状はその側面にあり、平歯状である。そのため、上述した旋回ステップS1は不要である。
【0064】
図7は、上述したステップS2、S3で得られた反射波強度の2次元画像6である。2次元画像6は、この例では、検査平面内の反射波強度の2次元分布を示す強度分布図である。
この図において、(B)(C)(D)は、それぞれ図6の(B)(C)(D)に対応している。
【0065】
図中のAは検査範囲、Bは模擬ねじ形状、α1は最小照射角度、α2は最大照射角度、L1は欠陥距離の位置である。
【0066】
実施例2から以下のことが明らかとなった。
(1)端面1aから40~200mmの検査範囲Aにおいて模擬ねじの凹凸によるエコー(反射波5)が確認された。強い反射波5の位置を図中に細長い楕円形で示す。楕円形の中心はねじ谷に位置しており、ねじ谷の反射が主であることがわかる。
(2)エコー(反射波5)の減衰は約-0.15dB/mmであり、非常に小さい。従って、各ねじ谷を中心とする楕円形で示す反射波5の大きさと形状の検査深さによる差はほとんどなかった。
(3)図7(C)のねじ山腐食モデルにおいて、図7(B)の正常モデルと比較して、腐食部位(欠陥距離L1)のエコーが少し低下していた。なお、その部位よりも深い位置にあるねじ谷のエコーは得られていた。
(4)図7(D)のねじ谷腐食モデルにおいて、図7(B)の正常モデルと比較して、腐食部位(欠陥距離L1)のエコーが大きく低下していた。また、その部位よりも深い位置にあるねじ谷のエコーは、ほとんど検出できなかった。
【0067】
図8は、上述した選択ステップS4とノイズ除去ステップS5の説明図である。
図7の(B)(C)(D)を図4に示した1本の基礎ボルトからの2次元画像6であると考える。例えば、図7(B)(C)(D)が旋回角度θ=0,90,180度に対応すると考える。
【0068】
この場合、上述した選択ステップS4において、図7(B)の正常モデルの2次元画像6を正常断面画像7として選択する。
また、上述したノイズ除去ステップS5において、図7(C)(D)の2つの2次元画像6から正常断面画像7をノイズとして除去する。
この結果、図8(C)(D)に示すように、2次元画像6に共通に含まれる正常断面画像7を消去して、2次元画像中の相違箇所をノイズ除去後の探傷画像8として顕在化できる。
【実施例3】
【0069】
長尺物1として、M16×L250mmのアンカーボルトを用い、その側面に人工欠陥を模擬した円柱状の試験体TPを製作し、試験した。
図9は、実施例3の試験体TPの説明図であり、(A)は試験体TPの側面図、(B)はねじ山形状の拡大図である。
【0070】
図9(A)において、円柱状の長尺物1の直径dは16mm、全長Lは250mmである。
人工欠陥として、端面1a(上面)から欠陥距離L1=50,80,120mmの位置に、欠陥長b=12mm、外径からの欠陥深さc=2,3,5mmの試験体TPをそれぞれ準備した。
【0071】
図9(B)において、ねじ山形状は、ピッチP=2mm、ねじ山高さh=1.08mmである。
【0072】
探触子10には、図3に示したリング分割型アニュラーアレイ探触子を新たに設計し製作した。
M16の基礎ボルト(長尺物1)に適用するため、検出面12の直径DをM16の谷径13.8mmよりも小径に設定した。
【0073】
新たに設計し製作した探触子10は、図2図3と同じであり、各部の寸法は以下の通りである。
(1)探触子タイプ:垂直
(2)素子配列パターン:図3のアニュラフェーズドアレイ
(3)探触子径:φ11.95mm
(4)振動子数:8リング×15列=113振動子
(5)チャンネル数:64ch(左右対称素子短絡)
(6)1ch素子外径:φ0.75mm
(7)ギャップ:0.05mm
(8)周波数:7MHz
【0074】
図10は、実施例3の試験結果の比較図である。
実施例3では、人工欠陥を欠陥距離L1の全周に準備した。そのため、上述した旋回ステップS1は不要である。
【0075】
図10は、上述したステップS2、S3で得られた反射波強度の2次元画像6である。2次元画像6は、この例では左図が経過時間と反射波強度の関係を示す時間変化図、右図が図7と同様の強度分布図である。
この図において、(A)は人工欠陥のない場合、(B)は欠陥距離L1=50mm、(C)は欠陥距離L1=80mm、(D)は欠陥距離L1=120mmに人工欠陥がある場合である。なお、減肉深さc=3mmは共通である。
【0076】
実施例3から以下のことが明らかとなった。
(1)図10(A)から、人工欠陥のない試験体では、アンカーボルトの端面1aから60mm程度までのねじ部からの反射エコー強度は高いが、端面1aから60mm以降は反射エコー強度が低くなった。深い位置のねじ部からの反射エコーは減衰等の影響により強度が低下したと推定される。
(2)欠陥距離L1=50mmの試験体の試験結果では、深さc=2mm,3mmおよび4mmの人工欠陥を検出した。しかし、ねじ部分からの反射エコーも強度が高く、減肉の形状・大きさによっては検出が困難になる可能性がある。
(3)人工欠陥位置がL1=80mmの試験体およびL1=120mmの試験体の結果では、欠陥深さc=4mmの人口欠陥は検出できたが、欠陥深さc=2mmおよび3mmは検出が困難であった。検出が困難だった原因として、減肉位置が深くなるに従って減衰の影響が大きくなり、ねじ部と人工欠陥からの反射エコーのS/N比が低くなる。また、人工欠陥が浅いと超音波ビームが反射する面積が低くなることから、反射エコー強度は低くなるため、人工欠陥の検出性が低下したと考えられる。
【0077】
次に、長尺物1が図4に示した単一のアンカーボルトであり、その側面の一部に欠陥がある円柱状の試験体TPを探傷検査する場合を想定する。
すなわち、図10の(A)(B)(C)(D)を図4に示した1本の基礎ボルトからの2次元画像6であると考える。例えば、図10(A)(B)(C)(D)が旋回角度θ=0,90,180,270度にそれぞれ対応すると考える。
【0078】
この場合、上述したステップS1,S2により、検査範囲Aに対する複数の組み合わせ(旋回角度θと2次元画像6の組み合わせ)が記憶装置26に記憶される。
このうち、欠陥がない旋回角度θ(例えばθ=0度)の2次元画像6は、図10(A)に相当し、欠陥がある旋回角度θ(例えばθ=90,180,270度)の2次元画像6は、図10(B)(C)(D)に相当する。
【0079】
この場合、上述した選択ステップS4において、図10(A)の人工欠陥のない2次元画像6を正常断面画像7として選択する。
また、上述したノイズ除去ステップS5において、図10(B)(C)(D)の3つの2次元画像6から正常断面画像7をノイズとして除去する。
【0080】
この際、2次元画像6から正常断面画像7を除去した残存画像の強度分布が最小となるように、正常断面画像7を2次元的にシフトさせることが好ましい。
「2次元的にシフト」とは、2次元画像6が図7のような強度分布図の場合、検査平面内のねじ部のピッチPに相当する時間と半径方向のズレに相当する距離とを変化させることを意味する。また、2次元画像6が時間変化図である場合には、検査平面内のねじ部のピッチPに相当する時間のみの変化でもよい。
これにより、検査時のズレに起因する2次元画像6と正常断面画像7のズレを最小化することができる。
【0081】
この結果、長尺物1が側面の一部に欠陥がある単一のアンカーボルトである場合に、図10(A)を正常断面画像7として選択し、その他の2次元画像6から正常断面画像7をノイズとして除去することで、2次元画像中の相違箇所をノイズ除去後の探傷画像8として顕在化できる。
【0082】
上述した本発明の実施形態によれば、フェーズドアレイ探触子10が、長尺物1の端面1aより小径かつ円形の検出面12を有するので、直径30mmよりも細い円柱状の長尺物1を検査対象としてその長手方向端面から探傷検査することができる。
【0083】
また、フェーズドアレイ探触子10が、円形の検出面12に2次元的に配置された複数の超音波振動子14を有する。これにより、従来より多いチャンネル数(例えば64チャンネル)であっても、単一の振動子寸法を大きく(例えば、最小でも0.75mm×0.75mmに)でき、かつ容易に製作できる。従って、超音波強度は、振動子面積に比例するので、この場合の超音波強度は従来例よりも強くなり、S/N比が改善される。
【0084】
さらに、本発明によれば、探傷装置20が、複数の超音波振動子14から長尺物1の中心軸Z-Zを含む検査平面2内の集束点3に集束させて超音波ビーム4を発信し、その反射波5を受信する。
これに対し、リニアアレイ探触子の場合は、素子が一方向に配列されているため、超音波ビーム4の集束が線となってしまい、点に集束させたい位置以外で超音波ビーム4が反射してしまう。
従って、本発明によれば、集束点3の超音波強度は、従来例のリニアアレイ探触子よりも大幅に強くなり、S/N比と測定精度をさらに高めることができる。
【0085】
また、本発明によれば、画像処理装置22により、受信した反射波5から検査平面内の反射波強度の2次元画像6を作成することができる。
さらに、ノイズ除去装置24を備え、作成した2次元画像6から正常断面画像7をノイズとして除去するので、2次元画像6に共通に含まれる正常断面画像7を消去して、2次元画像中の相違箇所を顕在化できる。
【0086】
従って、本発明によれば、直径30mmよりも細い円柱状の長尺物1を対象としてその長手方向端面から探傷検査することができ、かつS/N比と測定精度を高めることができる。
【0087】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0088】
A 検査範囲、B 模擬ねじ形状、b 欠陥長、c 欠陥深さ、
D 直径、E 欠損部、h ねじ山高さ、L 全長、
L1 欠陥距離、O 中心、P ピッチ、
R 基準線、TP 試験体、Z-Z 中心軸、α 照射角度、
α1 最小照射角度、α2 最大照射角度、θ 旋回角度、
1 長尺物(基礎ボルト)、1a 端面、2 検査平面、3 集束点、
4 超音波ビーム、4a 超音波ビームの中心軸、5 反射波、
6 2次元画像、7 正常断面画像、8 探傷画像、
10 フェーズドアレイ探触子、11 隙間、12 検出面、
14 超音波振動子、15 セグメント、16 分割線、
16a 円形分割線、16b 直線分割線、
20 フェーズドアレイ探傷装置、22 画像処理装置、
24 ノイズ除去装置、26 記憶装置、28 出力装置、
100 長尺物探傷システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10