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特許7289828自己免疫疾患の治療における免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤
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  • 特許-自己免疫疾患の治療における免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】自己免疫疾患の治療における免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/06 20060101AFI20230605BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20230605BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230605BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
A61K38/06
A61K31/343
A61K31/5377
A61P13/12
A61P37/02
A61P43/00 121
【請求項の数】 40
(21)【出願番号】P 2020510536
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 US2018047622
(87)【国際公開番号】W WO2019040680
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/549,020
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518455077
【氏名又は名称】ケザール ライフ サイエンシズ
【氏名又は名称原語表記】KEZAR LIFE SCIENCES
【住所又は居所原語表記】4000 Shoreline Court Ste. 300 South San Francisco, CA 94080 (US).
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】ムチャムエル, トニー
【審査官】小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515509(JP,A)
【文献】特表2014-506934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/06
A61K 31/343
A61K 31/5377
A61P 13/12
A61P 37/02
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループス腎炎または全身性エリテマトーデス(SLE)を治療するための免疫プロテアソーム阻害剤を免疫抑制剤と組み合わせて含む医薬組成物であって、
前記免疫プロテアソーム阻害剤が構造:
【化4】

またはその薬学的に許容される塩を有する化合物であり、
前記免疫抑制剤がミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、またはその薬学的に許容される塩である、医薬組成物。
【請求項2】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、1日あたり1~300mgの量を投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、1日あたり40~120mgの量を投与される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、経口、皮下、局所、または静脈内に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が皮下投与される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、7~15日ごとに1回投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、7日ごとに1回投与される、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ミコフェノール酸モフェチルまたはその薬学的に許容される塩が、ミコフェノール酸モフェチルの重量に基づいて、1日あたり0.5~3gの量を投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ミコフェノール酸またはその薬学的に許容される塩が、ミコフェノール酸の重量に基づいて、1日あたり700mg~1500mgの量を投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記免疫抑制剤が1日1回または1日2回投与される、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記免疫抑制剤が、経口、皮下、局所、または静脈内に投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤が同時に投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤が共製剤化される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤が順次投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、前記免疫抑制剤の前に投与される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が前記免疫抑制剤の後に投与される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤の投与による有効性が、前記免疫プロテアソーム阻害剤または前記免抑制剤を単独での投与による有効性よりも大きい、請求項1~16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記有効性が、(a)前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤を投与されていない対象、または(b)前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤の投与前の同一対象のいずれかと比べた場合における、タンパク尿または尿タンパク対クレアチニン比の減少によって示される、請求項1~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記対象が、前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤の投与前の前記対象の前記尿タンパク対クレアチニン比と比較して、少なくとも50%の前記尿タンパク対クレアチニン比の減少を示す、請求項17または18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記対象が、前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤の投与後に0.5以下の尿タンパク対クレアチニン比を示す、請求項17~19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ループス腎炎または全身性エリテマトーデス(SLE)を治療するための免疫プロテアソーム阻害剤を免疫抑制剤と組み合わせて含む医薬組成物の製造のための使用であって、
前記免疫プロテアソーム阻害剤が構造:
【化4】

またはその薬学的に許容される塩を有する化合物であり、前記免疫抑制剤がミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、またはその薬学的に許容される塩である、使用。
【請求項22】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、1日あたり1~300mgの量を投与される、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、1日あたり40~120mgの量を投与される、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、経口、皮下、局所、または静脈内に投与される、請求項21~23のいずれか1項に記載の使用。
【請求項25】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が皮下投与される、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、7~15日ごとに1回投与される、請求項21~25のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、7日ごとに1回投与される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記ミコフェノール酸モフェチルまたはその薬学的に許容される塩が、ミコフェノール酸モフェチルの重量に基づいて、1日あたり0.5~3gの量を投与される、請求項21~27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項29】
前記ミコフェノール酸またはその薬学的に許容される塩が、ミコフェノール酸の重量に基づいて、1日あたり700mg~1500mgの量を投与される、請求項21~27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
前記免疫抑制剤が1日1回または1日2回投与される、請求項21~29のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
前記免疫抑制剤が、経口、皮下、局所、または静脈内に投与される、請求項21~30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤が同時に投与される、請求項21~31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤が共製剤化される、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤が順次投与される、請求項21~31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が、前記免疫抑制剤の前に投与される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記免疫プロテアソーム阻害剤が前記免疫抑制剤の後に投与される、請求項34に記載の使用。
【請求項37】
前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤の投与による有効性が、前記免疫プロテアソーム阻害剤または前記免抑制剤を単独での投与による有効性よりも大きい、請求項21~36のいずれか1項に記載の使用。
【請求項38】
前記有効性が、(a)前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤を投与されていない対象、または(b)前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤の投与前の同一対象のいずれかと比べた場合における、タンパク尿または尿タンパク対クレアチニン比の減少によって示される、請求項21~37のいずれか1項に記載の使用。
【請求項39】
前記対象が、前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤の投与前の前記対象の前記尿タンパク対クレアチニン比と比較して、少なくとも50%の前記尿タンパク対クレアチニン比の減少を示す、請求項37または38に記載の使用。
【請求項40】
前記対象が、前記免疫プロテアソーム阻害剤および前記免疫抑制剤の投与後に0.5以下の尿タンパク対クレアチニン比を示す、請求項37~39のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
真核生物において、タンパク質分解は、ユビキチン経路によって主に介在され、そこで、破壊の標的となるタンパク質が、76個のアミノ酸のポリペプチドのユビキチンに連結される。ひとたび標的化されると、ユビキチン化されたタンパク質は、次いで、多触媒性プロテアーゼである26Sプロテアソームの基質として機能し、その3つの主要なタンパク質分解活性の作用によりタンパク質を短いペプチドに切断する。細胞内タンパク質代謝回転における一般的な機能を有する一方で、プロテアソーム介在性分解は、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI抗原提示、アポトーシス、細胞増殖調節、NF-κB活性化、抗原プロセシング、および炎症促進性シグナルの伝達等の多くのプロセスにおいても重要な役割を果たす。
【0002】
20Sプロテアソームは、4つの環で構成される28個のサブユニットからなる、700kDaの円筒形状の多触媒性プロテアーゼ複合体である。酵母および他の真核生物において、7つの異なるαサブユニットが外側の環を形成し、7つの異なるβサブユニットが内側の環を構成する。αサブユニットは、19S(PA700)および11S(PA28)調節複合体の結合部位として、ならびに2つのβサブユニット環によって形成される内側のタンパク質分解チャンバの物理的障壁として機能する。したがって、インビボでは、プロテアソームは26S粒子(「26Sプロテアソーム」)として存在すると考えられる。インビボ実験により、プロテアソームの20S型の阻害が、26Sプロテアソームの阻害と容易に関連付けられ得ることが示された。粒子形成中のβサブユニットのアミノ末端プロ配列の切断は、触媒求核剤として機能するアミノ末端スレオニン残基を露出させる。したがって、プロテアソームにおける触媒活性を担うサブユニットがアミノ末端求核残基を有し、これらのサブユニットは、N末端求核剤(Ntn)ヒドロラーゼのファミリーに属する(この場合、求核性N末端残基は、例えば、Cys、Ser、Thr、および他の求核性部分である)。このファミリーは、例えば、ペニシリンGアシラーゼ(PGA)、ペニシリンVアシラーゼ(PVA)、グルタミンPRPPアミドトランスフェラーゼ(GAT)、および細菌性グリコシルアスパラギナーゼを含む。異なるペプチド基質の使用により、3つの主要なタンパク質分解活性が真核生物の20Sプロテアソームについて定義されている:大きな疎水性残基の後を切断するキモトリプシン様活性(CT-L)、塩基性残基の後を切断するトリプシン様活性(T-L)、および酸性残基の後を切断するペプチジルグルタミルペプチド加水分解活性(PGPH)。哺乳動物では、ほとんどの細胞と組織が「構成的プロテアソーム」を発現し、3つの活性部位はそれぞれCT-L、C-L、およびT-L活性をコードするβ5、β1、およびβ2である。高次脊椎動物はまた、3つのインターフェロン-γ-誘導性βサブユニット(LMP7、LMP2、およびMECL1)を保有しており、それぞれ構成的プロテアソーム対応物、β5、β1、およびβ2を置き換え、プロテアソームの触媒活性を変化させる。阻害剤、βサブユニットの点突然変異、およびγインターフェロン誘導性βサブユニットの交換が、プロテアソームタンパク分解活性の活性を種々の程度に変化させるため、主要なプロテアソームタンパク分解活性には異なる触媒部位が寄与していると考えられる。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、自己免疫疾患を治療するのに十分な量の(a)免疫プロテアソーム阻害剤および(b)免疫抑制剤を対象に投与することを含む、自己免疫疾患に罹患した対象を治療する方法が提供される。様々な場合において、対象はヒトである。場合によっては、自己免疫疾患はループス腎炎または全身性エリテマトーデス(SLE)である。場合によっては、自己免疫疾患は全身性血管炎または特発性炎症性ミオパチーである。
【0004】
様々な場合において、免疫プロテアソーム阻害剤と免疫抑制剤は同時に投与され、場合によっては共製剤化され得る。場合によっては、免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤は順次投与される(例えば、免疫抑制剤の前または後に免疫プロテアソーム阻害剤)。
【0005】
様々な場合において、免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤を投与する有効性は、免疫プロテアソーム阻害剤または免疫抑制剤を単独で投与する有効性よりも大きい。様々な場合において、有効性は、(a)免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤を投与していない対象、または(b)免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤の投与前の同一の対象と比較して、タンパク尿または尿タンパク対クレアチニン比が減少することによって示される。様々な場合において、対象は、免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤の投与前の対象の尿タンパク対クレアチニン比と比較して、少なくとも50%の尿タンパク対クレアチニン比の減少を示す。様々な場合において、対象は、免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤の投与後、0.5以下の尿タンパク対クレアチニン比を示す。
【0006】
場合によっては、免疫プロテアソーム阻害剤は、式(I)の構造またはその薬学的に許容される塩を有し、
【化1】
式中、KはCH(OH)またはOであり、EはNまたはCHであり、Rは、CH、CHOH、CH(OH)CHまたはCHCNであり、R
【化2】
であり、R
【化3】
である。場合によっては、化合物は構造
【化4】
を有するか、またはその薬学的に許容される塩である。様々な場合において、免疫プロテアソーム阻害剤は1日あたり1~300mgの量で投与される。様々な場合において、免疫プロテアソーム阻害剤は1日あたり40~120mgの量で投与される。様々な場合において、免疫プロテアソーム阻害剤は、経口、皮下、局所、または静脈内、好ましくは皮下投与される。様々な場合において、免疫プロテアソーム阻害剤は、7~15日ごとに1回、好ましくは7日ごとに1回投与される。
【0007】
様々な場合において、免疫抑制剤は、コルチコステロイド、抗縮瞳剤、サイトカインアンタゴニスト、B細胞枯渇剤、非ステロイド性抗炎症剤、または抗マラリア剤を含む。場合によっては、免疫抑制剤は、アスピリン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、スルファサラジン、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、ベリムマブ、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、アザチオプリン、リツキシマブ、オクレジルマブ、エンタネルセプト、アダリムマブ、トシリズマブ、トシリズマブ、シシリンシクロホスファミド、およびタクロリムスのうちの1つ以上を含む。場合によっては、免疫抑制剤は経口、皮下、局所、または静脈内投与される。
【0008】
場合によっては、免疫抑制剤は、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、またはその薬学的に許容される塩を含む。そのような場合には、ミコフェノール酸モフェチル、またはその薬学的に許容される塩は、ミコフェノール酸モフェチルの重量に基づいて、1日あたり0.5~3gの量で投与することができ、またはミコフェノール酸、またはその薬学的に許容されるスラットは、ある量で投与されるミコフェノール酸の重量に基づいて、1日あたり700mg~1500mgの量で投与される。そのような場合には、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、またはその薬学的に許容される塩は、1日1回または1日2回投与することができる。
【0009】
場合によっては、免疫抑制剤は、ヒドロキシクロロキン、アザチオプリン、またはシクロホスファミド、またはその薬学的に許容される塩である。場合によっては、ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩は、ヒドロキシクロロキンの重量に基づいて、1日あたり150~325mgの量で投与される。場合によっては、アザチオプリンまたはその薬学的に許容される塩は、アザチオプリンの重量に基づいて1日あたり1~4mg/kgの量で投与される。場合によっては、シクロホスファミドまたはその薬学的に許容される塩は、シクロホスファミドの重量に基づいて、2~4週間ごとに500~1000mg/mの量で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】25~35週間にわたって、ビヒクル(丸)、5mg/kg KZR-616を週1回皮下投与(四角)、30mg/kgミコフェノール酸モフェチル(MMF)を1日1回経口投与(上向き三角形)、または、5mg/kg KZR-616を週に1回皮下投与およびMMFを30mg/kgを1日1回経口投与(下向き三角形)した、マウスの総タンパク尿スコアを示す。右上の図はこれらの処置の重度のタンパク尿の抑制を示し、左下はこれらの処置を受けたときの24~36週間にわたるマウスの生存率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、自己免疫疾患を治療するのに十分な量の免疫プロテアソーム阻害剤と免疫抑制剤との併用療法を投与することを含む、自己免疫疾患に罹患した対象を治療する方法が提供される。免疫プロテアソーム阻害剤および/または免疫抑制剤は、その薬学的に許容される塩として存在してもよい。「薬学的に許容される塩」との用語は、本明細書で提供される化合物の比較的非毒性の無機または有機酸付加塩を指す。これらの塩は、本明細書で提供される化合物の最終単離および精製中にその場で、またはその遊離塩基形態の化合物を適切な有機または無機酸と別々に反応させ、こうして形成された塩を単離することにより調製することができる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトネート、ラクトビオン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、およびアミノ酸塩などが含まれる。(例えば、Berge et al.(1977)「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.66:1-19.)
【0012】
免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤は、同時にまたは別々に投与することができる。場合によっては、それらが同時に投与される場合、2つの薬剤が共処方される。それらが別々に投与される場合には、免疫抑制剤は、免疫プロテアソーム阻害剤の前に投与される。それらが別々に投与される他の場合には、免疫抑制剤は、免疫プロテアソーム阻害剤の後に投与される。
【0013】
本明細書に開示する方法は、(a)免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤を投与していない対象、または(b)免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤の投与前と同一の対象のいずれかと比較してタンパク尿または尿タンパク対クレアチニン比の減少をもたらすことができる。タンパク尿または尿タンパク対クレアチニン比の測定は、当技術分野で知られている任意の手段によることができる。場合によっては、対象は、免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤の投与前の対象の尿タンパク対クレアチニン比と比較して、少なくとも50%の尿タンパク対クレアチニン比の減少を示す。場合によっては、対象は、免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤の投与前の対象の尿タンパク対クレアチニン比と比較して、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%の、尿タンパク対クレアチニン比の減少を示す。場合によっては、対象は、免疫プロテアソーム阻害剤および免疫抑制剤の投与後、0.5以下の尿タンパク対クレアチニン比を示す。場合によっては、比率は、0.4以下、0.35以下、0.3以下、0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.15以下、または0.1以下である。
【0014】
自己免疫疾患
本明細書で提供される方法は、自己免疫疾患の治療に有用である。本明細書で使用される「自己免疫疾患」は、個体自身の組織から生じかつそれに対する疾患または障害である。自己免疫疾患の例としては、限定されないが、乾癬および皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚疾患等の炎症反応、全身性強皮症および硬化症、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎等)に関連する反応、呼吸窮迫症候群(成人呼吸窮迫症候群(ARDS)を含む)、皮膚炎、髄膜炎、脳炎、ぶどう膜炎、大腸炎、糸球体腎炎、湿疹および喘息等のアレルギー状態ならびにT細胞の浸潤および慢性的な炎症反応を伴う他の症状、アテローム性動脈硬化症、白血球接着不全、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、真性糖尿病(例えば、I型真性糖尿病またはインスリン依存性真性糖尿病)、多発性硬化症、レイノー症候群、自己免疫性甲状腺炎、アレルギー性脳脊髄炎、シェーグレン症候群、若年発症糖尿病、ならびに典型的には結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症および血管炎に見られるサイトカインおよびTリンパ球によって媒介される急性および遅延型過敏症に関連する免疫応答、悪性貧血(アジソン病)、白血球減少症を伴う疾患、中枢神経系(CNS)炎症性疾患、多臓器損傷症候群、溶血性貧血(クリオグロビン血症またはクームス陽性貧血を含むがこれらに限定されない)、重症筋無力症、抗原-抗体複合体媒介疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質症候群、アレルギー性神経炎、グレーブス病、ランバート・イートン筋無力症候群、類天疱瘡、天疱瘡、自己免疫性多腺性内分泌障害、ライター病、全身硬直症候群、ベーチェット病;病巨細胞性動脈炎、免疫複合腎炎、IgA腎症、IgMポリニューロパチー、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)または自己免疫性血小板減少症が挙げられる。特定の場合には、自己免疫疾患は全身性エリテマトーデスまたはループス腎炎である。場合によっては、自己免疫疾患は全身性血管炎または特発性炎症性ミオパチーである。
【0015】
全身性エリテマトーデス(SLE)は複雑な多臓器自己免疫疾患であり、赤血球、血小板、血清タンパク質、リン脂質に加えて、特に核の成分、特にDNA、RNA、およびヒストンなど、様々な自己抗体の発生を特徴とする。
【0016】
SLEは若い成人に影響を及ぼし、男性よりも女性で頻繁に発生し(比率9:1)、白人(100,000あたり約40症例)よりも、アフリカ系アメリカ人、アフリカカリブ海、ヒスパニック、およびアジアの人口(100,000あたり約200症例)でより一般的である)。米国には約250,000人のSLE患者がいると推定されている(Feldman et al.,2013;Helmick et al.,2008)。
【0017】
臨床症状は、比較的軽度の皮膚発疹および関節炎から糸球体腎炎、抗体媒介溶血性貧血および血小板減少症、血管炎、心疾患、ならびに発作、精神病、および脳血管事故を含む中枢神経系障害にまで及ぶ(Wallace、2015)(Tsokos、2011)。臨床症状は患者間でかなり異なり、SLEの個々の兆候と症状には複数の病因があるため、SLEの正確な診断は困難である。分類基準は、米国リウマチ学会(ACR)によって開発された(Hochberg、1997;Tsokos、2011)。
【0018】
SLEは、アポトーシス細胞成分の除去の欠陥、T細胞寛容誘導の中断、抗二本鎖DNA(抗dsDNA)などの核抗原(ANA)に対する抗体の産生など、免疫系の複数の成分の機能不全の結果であると考えられている(Kaul et al.,2016)。抗原とこれらのANA複合体は、抗原抗体(Ag-Ab)複合体を作製し、様々な組織に沈着し、補体活性化(例えば、関節炎および糸球体腎炎)を介して炎症反応を開始するか、または抗体が直接宿主細胞を標的にして、食作用をもたらす免疫エフェクター機構活性化するタイプII過敏反応(例えば、溶血性貧血または免疫性血小板減少症)を介して炎症反応を開始する。これらの炎症反応は、過剰な補体活性化、炎症性サイトカインの分泌、およびマクロファージと好中球の活性化につながる。
【0019】
SLEの治療法はない。治療は、グルココルチコステロイド、アスピリン、他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、および抗マラリア薬を含む様々な抗炎症薬および免疫抑制薬による炎症の制御を目的としている(Hahn、2011)。SLEで承認された3種類の治療のうち、NSAIDは1948年に承認された。ヒドロキシクロロキンとコルチコステロイドは1955年に承認された。また、B細胞活性化因子(BAFF)を標的とするモノクローナル抗体であるベリムマブは2011年に承認された(Lamore、Parmar、Patel、&Hilas、2012)。
【0020】
ループス腎炎(LN)は、SLEの最も深刻な合併症の1つである。1g/日を超えるタンパク尿と活動性尿沈渣(血尿、膿尿、ギプス)の存在を特徴とするLNは、SLEの初期診断から10年以内に患者の約50%に発症する(Bertsias et al.,2012)、(EMAドラフトガイドライン2015年2月)。LNは、透析または腎移植を必要とする末期腎疾患のリスクの増加、および死亡のリスクの増加など、かなりの罹患率と関連する。LNの有病率は米国で約74,000であり、人種によって異なり、白人の約20%、SLEの黒人、ヒスパニック、アジア人の最大60%で発生する(Feldman et al.,2013;Fernandez et al.,2007 ;Seligman、Lum、Olson、Li、&Criswell、2002)。
【0021】
LNは、Ag-Ab複合体(主にDNA-抗DNA)が糸球体メサンギウムおよび糸球体基底膜に沈着し、血清補体を活性化するときに生じる。結果として生じる炎症反応は、機能の喪失を伴う糸球体上皮の損傷を引き起こす。多くの場合、メサンギウムの増殖とそれに続く糸球体の硬化が伴う。病理組織学的には、LNは免疫蛍光法により同定されたAg-Ab複合体を含む正常な糸球体構造から、末期腎疾患に関連する糸球体の増殖性糸球体腎炎または広範囲の硬化に至るまで、様々な形態をとることができる。糸球体腎炎の増殖性および膜性の形態は、多くの場合ネフローゼレベルに達するタンパク尿と最も頻繁に関連する。LNは2003年国際腎臓学会/腎病理学会(ISN/RPS)分類(Weening et al.,2004)に従って分類される。
【0022】
患者の約50%がこれらの治療レジメンに反応し、タンパク尿の改善があるが、タンパク尿の正常化および血清クレアチニンの安定化または改善としてしばしば定義される完全腎反応(CRR)を1年の治療後に達成するのは約25%のみである(Rovin et al.,2012;Wofsy、Hillson、&Diamond、2012)。CRRに到達すると、末期腎疾患のリスクが劇的に低下する(Chen、Korbet、Katz、Schwartz、&Lewis、2008年)。したがって、LN患者の約75%が導入療法に対して最適以下の反応を示す。これらの患者は、その後、長期コルチコステロイドと組み合わせて、リツキシマブ、シクロスポリン、タクロリムス、または他の薬剤を含む様々な代替免疫抑制薬または実験薬による治療を受けることがある(Dall’Era、2017)。これらの患者は、免疫抑制剤による継続的な治療による合併症に加えて、末期腎疾患の発症のリスクが依然としてある。
【0023】
免疫プロテアソーム阻害剤
プロテアソームは、慢性炎症症状および自己免疫疾患における薬剤開発の標的として位置づけられてきた(Elliott、Zollner、&Boehncke、2003)。ボルテゾミブは、免疫エフェクター細胞からのサイトカイン放出を阻害し、関節リウマチ(RA)(Palombella et al.,1998)およびSLE(Neubert et al.,2008)を含む自己免疫障害のいくつかの動物モデルで抗炎症活性を示した。より最近では、ボルテゾミブは標準的な免疫抑制療法に失敗した難治性SLEおよびLNの患者で臨床活性を有することが示された(Alexander et al.,2015;de Groot et al.,2015;Zhang et al.,2017)。しかし、貧血および血小板減少症などの二重標的プロテアソーム阻害に関連する全身毒性は、慢性投与を制限する(Bross et al.,2004)。さらに、ボルテゾミブは、神経細胞のセリンプロテアーゼHtrA2のオフターゲット阻害によって引き起こされる可能性が高い末梢神経障害の用量制限副作用と関連する(Arastu-Kapur et al.,2011)。末梢神経障害は、ペプチドケトエポキシドプロテアソーム阻害剤であるカーフィルゾミブによって誘発されない(Arastu-Kapur et al.,2011;Dimopoulos et al.,2016)。
【0024】
選択的免疫プロテアソーム阻害剤であるONX 0914の発見は、二重標的プロテアソーム阻害剤の免疫調節および抗炎症効果が、免疫エフェクター細胞および炎症組織における免疫プロテアソーム活性の阻害に起因することを実証した(Ichikawa et al.,2012;Muchamuel et al.,2009)。ONX 0914は、カーフィルゾミブのトリペプチドケトエポキシド類似体であり、インビトロおよびマウスへの投与時に免疫プロテアソームを選択的に阻害する。ONX 0914曝露は、免疫エフェクター細胞のサイトカイン産生を阻害し、Th1およびTh17などの炎症性T細胞サブセットの数と活性を減らし、調節性T細胞(Treg)の数を増やし、自己抗体形成を阻害した(Ichikawa et al.,2012;Kalim、Basler、Kirk、&Groettrup、2012)、(Muchamuel et al.,2009)。RAのマウスモデルでは、ONX 0914は関節特異的炎症を予防し、サイトカイン産生を低下させ、最大耐量(MTD)の1/10の用量で関節損傷を改善することがわかった(Muchamuel et al.,2009)。ONX 0914によるマウスの処置は、脾臓リンパ球の数を減らすことも、複数の感染モデルでのウイルス除去を損なうこともなかった(Muchamuel et al.,2009;Mundt、Engelhardt、Kirk、Groettrup、&Basler、2016)。さらに、ONX 0914は、多発性硬化症およびSLEのマウスモデルで治療的に活性があることが示されており、ボルテゾミブと同等の活性を示したが、忍容性は良好であった(Basler et al.,2014;Ichikawa et al.,2012)。
【0025】
開示された方法で企図される免疫プロテアソーム阻害剤には、WO07/149512(例えば、ONX 0914)、WO96/13266(例えば、ボルテゾミブVELCADE(登録商標))、およびWO14/152134に記載されているものが含まれ、その開示は参照によって全体がそれぞれ組み込まれる。企図された特定の免疫プロテアソーム阻害剤の中には、式(I)の構造を有するものまたはその薬学的に許容される塩が含まれ、
【化5】

式中、
KはCH(OH)またはOであり、
EはNまたはCHであり、
は、CH、CHOH、CH(OH)CHまたはCHCNであり、

【化6】
であり、
は、
【化7】
である。
より具体的な実施形態では、式(I)の化合物は、式(I’)の立体化学を有することができる。
【化8】
【0026】
様々な場合において、免疫プロテアソーム阻害剤は、以下に示すような構造を有する化合物、
【化9】
、またはその薬学的に許容される塩であり得る。
【0027】
具体的には、構造
【化10】
、またはその薬学的に許容される塩を有する免疫プロテアソーム阻害剤が企図される。あるいは、この化合物は、全体を通してKZR-616と称される。
【0028】
KZR-616は、ラットおよびサルに投与した場合、インビトロでヒト細胞の免疫プロテアソームの強力かつ選択的な阻害、および血液および組織の強力かつ選択的な阻害を誘導する。KZR-616は、110受容体/リガンドおよび酵素アッセイを含む生化学アッセイの幅広い多様性パネルにおいて、非プロテアソーム標的を阻害しなかった。
【0029】
インビトロで、KZR-616は、免疫プロテアソームのLMP7サブユニットの強力かつ選択的な阻害(β5に対する)を示し、治療上適切な濃度で免疫プロテアソームの複数のサブユニットを標的にすることができる。KZR-616による免疫プロテアソームサブユニットの阻害は、カーフィルゾミブとONX 0914の両方と同様の不可逆的なメカニズムを介して起こる(Bennett&Kirk、2008;Huber et al.,2012)。インビトロでは、KZR-616は複数の免疫細胞タイプでサイトカイン産生を阻害し、炎症性Tヘルパー細胞サブセットの活性を低下させ、調節性T細胞の数を増やし、形質細胞形成と自己抗体産生を阻害する。
【0030】
KZR-616は、週1回(例えば、7日ごと)から隔月(例えば、15日ごと)まで、例えば7日ごと、8日ごと、9日ごと、10日ごと、11日ごと、12日ごと、13日ごと、14日ごと、または15日ごとに1回に投与できる。KZR-616の用量は1~300mg/日である。投与頻度が1日1回未満(例えば、7日ごと)の場合、対象に与えられる総投与量は、その量、例えば7日ごとに1回与えられる7~2100mgに乗じられる。場合によっては、KZR-616の用量は40~120mg/日である(1日未満の投与頻度で投与することもできる)。したがって、KZR-616の1日量は、その量が毎日与えられることを示すものではなく、より少ない頻度で対象に投与される他の1日量と組み合わせることができる。
【0031】
免疫プロテアソーム阻害剤は、経口、皮下、局所、または静脈内投与することができる。いくつかの特定の場合には、免疫プロテアソーム阻害剤は皮下投与される。
【0032】
免疫抑制剤
本明細書に開示される併用療法の方法には、免疫抑制剤の使用が含まれる。本明細書で使用する「免疫抑制剤」とは、本明細書で治療されている対象の免疫系を抑制または弱める(mask)ように作用する物質を指す。そのようなものとして、サイトカイン産生を抑制する、自己抗原発現を下方制御または抑制する、またはMHC抗原を弱める物質が考えられる。そのような薬剤の例には、コルチコステロイド、抗縮瞳剤、サイトカインアンタゴニスト、B細胞枯渇剤、非ステロイド性抗炎症剤、および抗マラリア剤が含まれる。
【0033】
企画される免疫抑制剤には、5-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジン(米国特許第4,665,077号を参照);非ステロイド系抗炎症薬(NSAID);ガンシクロビル、タクロリムス、コルチゾールまたはアルドステロンなどのグルココルチコイド、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、またはロイコトリエン受容体拮抗薬などの抗炎症薬;アザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチル(MMF)などのプリン拮抗薬。シクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブロモクリプチン;ダナゾール;ダプソン;グルタルアルデヒド(米国特許第4,120,649号に記載されているように、MHC抗原を覆う);MHC抗原およびMHCフラグメントの抗イディオタイプ抗体。シクロスポリンA;コルチコステロイドまたはグルココルチコステロイドまたはグルココルチコイド類似体などのステロイド、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、およびデキサメタゾン。メトトレキサートなどのジヒドロ葉酸還元酵素阻害薬(経口または皮下);ヒドロキシクロロキン;スルファサラジン;レフルノミド;抗インターフェロンα、β、γ抗体、抗腫瘍壊死因子α抗体(インフリキシマブまたはアダリムマブ)、抗TNFα免疫アヘシン(エタネルセプト)、抗腫瘍壊死因子などのサイトカインまたはサイトカイン受容体拮抗薬ベータ抗体、抗インターロイキン-2抗体および抗IL-2受容体抗体。抗CD11aおよび抗CD18抗体を含む抗LFA-1抗体。抗L3T4抗体;異種抗リンパ球グロブリン;pan-T抗体、好ましくは抗CD3または抗CD4/CD4a抗体:LFA-3結合ドメインを含む可溶性ペプチド(1990年7月26日に公開されたWO90/08187);ストレプトキナーゼ;TGF-ベータ;ストレプトドルナーゼ;宿主からのRNAまたはDNA;FK506:RS-61443;デオキシスペルグアリン;ラパマイシン;T細胞受容体(Cohen et al.,U.S.Pat.No.5,114,721);T細胞受容体フラグメント(Offner et al.,Science、251:430-432(1991);WO90/11294;Ianeway、Nature、341:482(1989);およびWO91/01133);およびT10B9などのT細胞受容体抗体(EP340,109)が含まれる。
【0034】
場合によっては、免疫抑制剤は、アスピリン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、スルファサラジン、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、ベリムマブ、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、アザチオプリン、リツキシマブ、オクレジルマブ、エンタネルセプト、アダリムマブ、トシリズマブ、シシリマブ、トシリズマブシクロホスファミド、およびタクロリムスのうちの1つ以上である。
【0035】
場合によっては、免疫抑制剤は、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、またはその薬学的に許容される塩を含む。ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、またはその薬学的に許容される塩は、ミコフェノール酸モフェチルまたはミコフェノール酸の重量に基づいて、1日あたり500mg~3gまたは700mg~1500mgの量で投与することができる。場合によっては、免疫抑制剤は1日1回または2回投与される。
【0036】
場合によっては、免疫抑制剤は、ヒドロキシクロロキン、アザチオプリン、またはシクロホスファミド、またはその薬学的に許容される塩を含む。ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩は、ヒドロキシクロロキンの重量に基づいて、1日あたり150~325mgの量で投与することができる。アザチオプリンまたはその薬学的に許容される塩は、アザチオプリンの重量に基づいて1日あたり1~4mg/kgの量で投与することができる。シクロホスファミドまたはその薬学的に許容される塩は、シクロホスファミドの重量に基づいて、2~4週間ごとに500~1000mg/mの量で投与することができる。
【0037】
免疫抑制剤は、経口投与、皮下投与、局所投与、または静脈内投与することができる。
【実施例
【0038】
NZB/W F1マウスは、Jackson Laboratoriesから購入した。すべてのマウスは、Kezar Life Sciencesの動物施設に収容した。すべての実験プロトコルは、動物資源に関するKezar委員会によってレビューおよび承認された。腎炎が確立されたNZB/WF1マウス(24週齢で永続的にタンパク尿が≧1+タンパク尿)は、ビヒクルのみ、2.5mg/kg KZR-616 SC QW、30mg/kg QD×7 PO MMF、または2.5mg/kg KZR-616 SC QW KZR-616および30mg/kg QD×7 PO MMFで処置した。尿検査紙(urine dipsticks)(BayerのUristix)でタンパク尿を毎週1回監視し、生存を観察した。
【0039】
標準の治療処置MMFと組み合わせた免疫プロテアソーム阻害を調べるために、NZB/wマウスにビヒクルのみ、2.5mg/kg KZR-616 SC QW、30mg/kg QD×7 PO MMF、またはKZR-616とMMFの組み合わせを投与した。未処置のマウスと比較して、2.5mg/kg KZR-616または30mg/kg MMF処置は、タンパク尿のレベルを有意に低下させ、生存を増加させた。MMFと組み合わせたKZR-616は、ビヒクルまたはKZR-616およびMMF処置単独と比較して、有意に高い疾患抑制(タンパク尿で測定した)および長期生存を示した。

参考文献
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図1