(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】電気エネルギーを取得するための発電機アセンブリを備えた機械加工ツール及びそのような取得のための方法
(51)【国際特許分類】
H02N 2/18 20060101AFI20230605BHJP
H02K 7/20 20060101ALI20230605BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20230605BHJP
B23Q 11/12 20060101ALI20230605BHJP
B23B 29/12 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
H02N2/18
H02K7/20
B06B1/04 Z
B23Q11/12 A
B23B29/12 Z
B23B29/12 A
(21)【出願番号】P 2020549053
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2019055020
(87)【国際公開番号】W WO2019174926
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-12-27
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520333435
【氏名又は名称】エービー サンドビック コロマント
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フランク, ペーター
(72)【発明者】
【氏名】リーバウグ, クリスティアン
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0125230(US,A1)
【文献】特開2004-312911(JP,A)
【文献】特開2003-189641(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0215598(US,A1)
【文献】特表昭62-500443(JP,A)
【文献】特開平06-098501(JP,A)
【文献】特開2003-021038(JP,A)
【文献】特開2002-266740(JP,A)
【文献】特開2015-012762(JP,A)
【文献】米国特許第04716657(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/18
H02K 7/20
B06B 1/04
B23Q 11/12
B23B 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切りくず除去加工のための機械加工ツールであって、
ツール本体(2)、並びに
前記ツールにおいて使用される電気エネルギーを取得するための発電機アセンブリであって、前記ツール本体に固定された少なくとも1つの第1の構成要素(5)、及び、前記第1の構成要素に対して移動することによって、前記第1の構成要素との相互作用を通じて、前記第1の構成要素において電気エネルギーを生成するように、前記ツール本体に移動可能に連結された第2の構成要素(10)を有する、発電機アセンブリを備え、
前記発電機アセンブリが、前記第1の構成要素に対して前記第2の構成要素(10)を移動させるために、前記第2の構成要素に当り且つ作用するように、媒体の流れを導くように構成された構成体を備
え、
前記第2の構成要素(10)が、前記ツール本体の部分(12)を取り囲む円形リング(11)を備え、前記リングがこれらのツール本体部分の周りで回転することによって移動するように、前記媒体を前記リングに当たるよう導くべく、前記構成体が構成されている、ことを特徴とする、機械加工ツール。
【請求項2】
前記構成体が、前記ツール本体(2)を通って延在し且つ前記第2の構成要素(10)に向かって開口する少なくとも1つの第1の媒体流路(16)を備える、ことを特徴とする、請求項1に記載の機械加工ツール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の
媒体流路(16)が、前記ツール本体内の第2のチャネル(15)に連結され、前記第2のチャネルは、冷却剤として使用されるような媒体の流れを、前記第2のチャネル(15)から分岐させて前記第2の構成要素(10)に当てるために、前記媒体を前記切りくず除去加工のためのツール部分に導くように設計されている、ことを特徴とする、請求項2に記載の機械加工ツール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の
媒体流路(16)が、前記リング(11)の内壁(21)に対して90度とは異なる、前記リングの形状に対して径方向というよりも接線方向のような角度で、前記リングの内壁に当たるよう媒体の流れを向けるように終端し、前記角度が、1度から80度、1度から60度、又は1度から30度である、ことを特徴とする、請求項
2又は3に記載の機械加工ツール。
【請求項5】
前記リング(11)は、前記リングを回転させるように前記媒体の流れが当たり且つ前記媒体の流れに対する抵抗を生成するように設計された凹凸のある輪郭を有する内壁(21)を有する、ことを特徴とする、請求項
1~4のいずれか一項に記載の機械加工ツール。
【請求項6】
前記リング(11)の前記内壁(21)の前記輪郭が、前記リングの前記内壁の周りに配置された複数のポケット状凹部(18)を備える、ことを特徴とする、請求項
5に記載の機械加工ツール。
【請求項7】
前記リング(11)には、偶数のポケット状凹部(18)が設けられている、ことを特徴とする、請求項
6に記載の機械加工ツール。
【請求項8】
前記第2の構成要素(10)が、少なくとも1つの磁石(14)を備え、前記第1の構成要素(5)が、前記磁石(14)を通過するときに前記磁石と相互作用しながら前記第1の構成要素(5)において電気エネルギーを生成する第1の部材(8)を備える、ことを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の機械加工ツール。
【請求項9】
前記第1の構成要素(5)が、前記ツール本体(2)に固定された一端(7)を有するカンチレバー(6)を備え、前記第1の部材(8)が、磁性体であり、前記カンチレバーに配置されて、前記第2の構成要素(10)の前記少なくとも1つの磁石(14)との相互作用によって前記カンチレバーを撓ませ且つ振動させ、前記第1の構成要素が、前記カンチレバー(6)に固定され且つ電気エネルギーを生成するために前記カンチレバーと共に撓み且つ振動する圧電材料の第2の部材(9)を備える、ことを特徴とする、請求項
8に記載の機械加工ツール。
【請求項10】
前記第1の部材が、前記第2の構成要素の前記少なくとも1つの磁石を通過したときに、電磁気誘導によって内部に電気エネルギーを生成するような導体の巻線である、ことを特徴とする、請求項
8に記載の機械加工ツール。
【請求項11】
前記第2の構成要素(10)には、前記第1の構成要素(5)の前記第1の部材(8)を連続的に通過させて、前記第1の構成要素において電気エネルギーを生成するために、前記第2の構成要素の延長部に沿って分配された複数の磁石(14)が設けられている、ことを特徴とする、請求項
8から
10のいずれか一項に記載の機械加工ツール。
【請求項12】
前記第2の構成要素(10)には、偶数の磁石(14)が設けられている、ことを特徴とする、請求項
11に記載の機械加工ツール。
【請求項13】
前記第2の構成要素(10)の前記磁石(14)が、前記第2の構成要素の前記延長部に沿って1つおきのN極及び1つおきのS極などの、前記第1の部材(8)の通過の際に前記第1の部材に最も近くなるように配置された異なる極を有する、ことを特徴とする、請求項
11又は
12に記載の機械加工ツール。
【請求項14】
複数の第1の構成要素(5)において電気エネルギーを生成するために、前記第2の構成要素(10)と相互作用するように、前記第2の構成要素の移動経路に沿って相互に距離を保って前記ツール本体(2)に固定された、これらの第1の構成要素(5)を備える、ことを特徴とする、請求項1から
13のいずれか一項に記載の機械加工ツール。
【請求項15】
少なくとも1つの第1の構成要素(5)の前記カンチレバー(6)が、別の第1の構成要素(5)の前記カンチレバー(6)とは異なる共振周波数を有し、前記別の第1の構成要素のカンチレバーに対して前記第2の構成要素(10)の異なる速度で最大限に振動する、ことを特徴とする、請求項
9又は
14に記載の機械加工ツール。
【請求項16】
前記円形リング(11)が、各少なくとも1つの磁石(14)に対して、軸方向に開口する凹部(13)であって、前記第2の構成要素(10)が前記第1の構成要素(5)に対して移動しているときに、前記第1の構成要素の前記第1の部材(8)に向けられるように到達する凹部を備える、ことを特徴とする、請求項
8及び請求項
1から
6のいずれか一項に記載の機械加工ツール。
【請求項17】
前記リング(11)が、真鍮、アルミニウム、又はステンレス鋼などの、非磁性材料から作製されている、ことを特徴とする、請求項
1から
6及び請求項
16のいずれか一項に記載の機械加工ツール。
【請求項18】
切りくず除去加工のための機械加工ツールにおいて使用される電気エネルギーを取得するための方法であって、前記機械加工ツールが、ツール本体(2)、並びに、前記ツールにおいて使用される電気エネルギーを取得するための発電機アセンブリであって、前記ツール本体に固定された少なくとも1つの第1の構成要素(5)、及び前記ツール本体に移動可能に連結された第2の構成要素(10)を有する、発電機アセンブリを備え、前記方法が、前記第1の構成要素との相互作用によって、前記第1の構成要素において電気エネルギーを生成するために、前記第2の構成要素を前記第1の構成要素に対して移動させるステップを含み、
前記第2の構成要素を移動させるステップが、媒体の流れを前記第2の構成要素(10)に当たるように導くことを含
み、前記第2の構成要素(10)が、前記ツール本体の部分(12)を取り囲む円形リング(11)を備え、前記リングがこれらのツール本体部分の周りで回転することによって移動するように、前記媒体を前記リングに当たるよう導くことを含む、ことを特徴とする、方法。
【請求項19】
前記第2の構成要素を前記第1の構成要素に対して移動させるために、冷却剤として使用される及び/又は前記切りくず除去加工において生成された切りくずを除去するための媒体が、前記第2の構成要素に当たり且つ作用するように導かれる、ことを特徴とする、請求項
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の切りくず除去加工のための機械加工ツール、並びに、添付の独立方法請求項の前文に記載の電気エネルギーを取得するための方法に関する。
【0002】
本発明は、任意の特定の種類の機械加工のための機械加工ツールに限定されるものではなく、例えば、ツール本体は、旋削、ミリング、掘削、又はボーリングによる加工対象物の切りくず除去加工のための切削インサートの形態を採る固定された切れ刃を備えた部材を有してよい。したがって、回転と非回転の両方の機械加工ツールが含まれる。一体化された切れ刃を有するツールも可能である。また、本発明は、かかる機械加工ツールのいかなるサイズにも限定されない。雄型及び雌型のモジュール式インターフェースを担持するいわゆる延長部もまた、本発明によって包含されると考えられるべきである。
【0003】
機械加工ツール内に電気エネルギーを取得するための発電機アセンブリが存在する理由は、これにより、周囲に無線接続された異なる種類のセンサのようなモニタリング電子機器を内蔵する機械加工ツールの提供が可能になるからである。第1の構成要素に対する発電機アセンブリの第2の構成要素の移動によって生成される電気エネルギーは、キャパシタ、電気バッテリ、又は他の適切なエネルギー蓄積部材に蓄積されるか、又はセンサなどのツール内で電気の使い手に直接的に供給され得る。
【0004】
電気エネルギーを生成するための第2の構成要素と第1の構成要素の相互作用は、例えば、磁石と内部に電流を生成する導体の巻線との相対移動によって、又は部材を撓ませ且つ振動させることによって電気エネルギーを生成するための圧電材料のかかる部材が設けられたカンチレバーに接続された別の磁石に対する磁石の移動によって行われてもよい。
【背景技術】
【0005】
導入部で定義された種類の機械加工ツールは、国際公開第2014/195054A1号を通じて知られている。この既知の機械加工ツールの発電機アセンブリ内の第2の構成要素は、ツール本体上に回転可能にジャーナルされ、ツール本体に対して及びそれによって慣性エネルギーによってツール本体に固定された第1の構成要素に対して、主にツール本体の回転を加速及び遅延させるときなどに、移動するようにされている。これは、ツール本体が、その機械加工ツールの発電機アセンブリによる電気エネルギーの生成を得るために回転しなければならないことを意味する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、既に知られているそのような機械加工ツールに関して少なくとも幾つかの面で改良された、導入部で定義された種類の機械加工ツールを提供することである。
【0007】
この目的は、かかる機械加工ツールに、添付の請求項1の特徴付け部に存在する特徴を提供することによって得られる発明によるものである。したがって、機械加工ツールの発電機アセンブリに、第2の構成要素を第1の構成要素に対して移動させるために、第2の構成要素に当たり且つ作用させるように、媒体の流れを導くように構成された構成体を提供することによって、電気エネルギーが、機械加工ツールのツール本体の移動のいかなる要求もなしに、機械加工ツールの発電機アセンブリによって取得され得る。これは、旋削に使用されるような非回転機械加工ツールにおいてもセンサを無線で提供することを可能にするために、電気エネルギーが効率的に取得され得ることを意味する。更に、ツール本体運動の加速及び停止によって生じる急激な変動なしに、機械加工ツールの発電機アセンブリによって電気エネルギーの制御された生成を得ることが可能となり、機械加工ツールのセンサが属する電気システムの部材の応力を低減させる。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、構成体は、ツール本体を通って延在し且つ第2の構成要素に向かって開口する少なくとも1つの第1の媒体流路を備える。ツール本体の内側のそのようなチャネル内で、第1の構成要素に対する第2の構成要素の移動を得るために使用される媒体の流れを、第2の構成要素に向けて導くことが適切である。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの第1のチャネルが、ツール本体内の第2のチャネルに連結され、第2のチャネルは、冷却剤として使用されるような媒体の流れを、第2のチャネルから分岐させて第2の構成要素に当てるために、かかる媒体を切りくず除去加工のためのツール部分に導くように設計されている。第1の構成要素において電気エネルギーを生成するべく、第1の構成要素に対する第2の構成要素の相対的な移動を得るために、冷却剤として使用される及び/又は切りくず除去加工によって生成された切りくずを除去するための媒体を使用することによって、もはや第2の構成要素の移動のために使用される媒体の流れを生成するための追加の手段を設ける必要はない。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、第2の構成要素は、ツール本体の部分を取り囲む円形リングを備え、このリングがこれらのツール本体部分の周りで回転することによって移動するように、媒体をリングに当たるよう導くべく、この構成体が構成され、本実施形態の更なる開発によれば、リングは、媒体の流れが当たり且つ媒体の流れに対する抵抗を生成するように設計された凹凸のある輪郭を有する内壁を有し、それによりリングを回転させる。リングの内壁のこのような輪郭は、ツール本体の周りでのリングの効率的な「押し」をもたらすことになる。この場合、リングの内壁の輪郭は、リングの内壁の周りに配置された複数のポケット状凹部を有利に備え、本発明の別の一実施形態によれば、リングには、偶数のポケット状凹部が設けられる。かかる凹部が偶数であることによって、リングの内部周囲の周りの凹部の対称的な構成体が可能となり、これは、媒体がリングに当たることによって開始される対称な遇力を加える。これにより、リングの回転移動の所望の振れが保証される。また、リングとツール本体の接続部に軸受けを使用することによっても、良好な品質の振れを生成することができる。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの第1のチャネルは、リングの内壁に対して90度とは異なる、リングの形状に対して径方向というよりも接線方向のような角度で、リングの内壁に当たるよう媒体の流れを向けるように終端する。この角度は、1度~80度、1度~60度、又は1度~30度である。リングの内壁への媒体の流れのこのような方向は、リングをツール本体に対して移動させるのに好適である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、第2の構成要素は、少なくとも1つの磁石を備え、第1の構成要素は、磁石を通過するときに磁石と相互作用しながら第1の構成要素において電気エネルギーを生成する、第1の部材を備える。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、次いで、第1の構成要素は、ツール本体に固定された一端を有するカンチレバーを備えてよく、第1の部材は、磁性体であり、カンチレバーに配置されて、第2の構成要素の少なくとも1つの磁石との相互作用によってカンチレバーを撓ませ且つ振動させ、第1の構成要素は、カンチレバーに固定され且つ電気エネルギーを生成するためにカンチレバーと共に撓み且つ振動する圧電材料の第2の部材を備える。第2の構成要素の少なくとも1つの磁石の極の向きに応じて、この少なくとも1つの磁石は、圧電材料の第2の部材において電気エネルギーを生成するべく、カンチレバーを撓ませ且つ振動させるために、第1の部材を通過するときに、第1の部材を引き寄せるか又は反発させる。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、第1の構成要素において電気エネルギーを生成するための別の選択肢は、第2の構成要素の少なくとも1つの磁石によって通過されたときに、電磁誘導によって内部に電気エネルギーを生成するように、導体の巻き線の形態を採る第1の部材を有することである。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、第2の構成要素には、第1の構成要素の第1の部材を連続的に通過して、第1の構成要素において電気エネルギーを生成させるために、第2の構成要素の延長部に沿って分配された複数の磁石が設けられている。第2の構成要素に複数の磁石を設けることにより、第1の構成要素における電力エネルギーの効率的な生成が可能となる。この場合、第2の構成要素に偶数個の磁石を設けることが好適である。また、本発明の別の一実施形態によれば、第2の構成要素の磁石は、第2の構成要素の延長部に沿って1つおきのN極及び1つおきのS極などの、第1の部材の通過の際に第1の部材に最も近くなるように配置された異なる極を有する。このような極の切り替えによって、電気エネルギーの生成がまた更に効率的になる。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、機械加工ツールは、複数の第1の構成要素において電気エネルギーを生成するために、第2の構成要素と相互作用するように、第2の構成要素の移動経路に沿って相互に距離を保ってツール本体に固定された、これらの第1の構成要素を備える。機械加工ツールの発電機アセンブリによる電気エネルギーの生成は、複数の第1の構成要素を有することによって増加されてよい。
【0017】
最後に述べられる実施形態の更なる開発によれば、少なくとも1つの第1の構成要素のカンチレバーは、別の第1の構成要素のカンチレバーとは異なる共振周波数を有し、別の第1の構成要素のカンチレバーに対して第2の構成要素の異なる速度で最大限に振動する。これは、発電機アセンブリにおける電気エネルギーの生成が、1つの第1の構成要素のみが存在し得るか又は全ての第1の構成要素が同一であるよりも、ツール本体に対する、それによって、第1の構成要素に対する第2の構成要素の速度にあまり依存しないことを意味する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、円形リングは、各少なくとも1つの磁石に対して、軸方向に開口する凹部であって、第2の構成要素が第1の構成要素に対して移動しているときに、第1の構成要素の第1の部材に向けられるように到達する凹部を備える。本発明の別の一実施形態によれば、リングは、黄銅、アルミニウム、又はステンレス鋼などの、非磁性材料から作製される。
【0019】
本発明の目的は、第2の構成要素を第1の構成要素に対して移動させるために、媒体の流れを第2の構成要素に当たるように導くステップを方法に提供することによって得られる、電気エネルギーを取得するための方法に関する。第2の構成要素を第1の構成要素に対して移動させるために、冷却剤として使用される及び/又は切りくず除去加工によって生成された切りくずを除去するための媒体を、第2の構成要素に当たり且つ作用させるように導くという、かかる方法及びその実施形態の利点は、本発明による機械加工ツールの上述の説明から明らかである。
【0020】
本発明のその他の有利な特徴及び利点が、後述の説明から明らかになる。
【0021】
添付の図面を参照して、実施例として挙げられる本発明の実施形態の具体的な説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1及び
図1aは、それぞれ、本発明の第1の実施形態による機械加工ツールの斜視図及び分解図である。
【
図1a】
図1及び
図1aは、それぞれ、本発明の第1の実施形態による機械加工ツールの斜視図及び分解図である。
【
図2】組み立てられた状態の
図1の機械加工ツールのII‐IIによる断面図である。
【
図3】
図1によるツールの
図1のIII‐IIIによる断面図である。
【
図4】
図1による機械加工ツールのIV‐IVによる断面図である。
【
図5】
図1による機械加工ツールの断面の一部分の拡大図である。
【
図6】
図6及び
図6aは、本発明の第2の実施形態による機械加工ツールの、それぞれ、
図1と
図1aに対応する図である。
【
図6a】
図6及び
図6aは、本発明の第2の実施形態による機械加工ツールの、それぞれ、
図1と
図1aに対応する図である。
【
図7】
図7及び
図7aは、本発明の第3の実施形態による機械加工ツールの、それぞれ、
図1と
図1aに対応する図である。
【
図7a】
図7及び
図7aは、本発明の第3の実施形態による機械加工ツールの、それぞれ、
図1と
図1aに対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び
図1aは、本発明の第1の実施形態による機械加工ツール1の構造を概略的に示している。ここで、
図1~
図5を参照しながら、このツールの特徴を説明する。機械加工ツールは、チャック3を備えたツール本体2を有し、切れ刃を備えた部材が、旋削、ミリング、又はボーリングなどのあらゆる種類の機械加工用に固定されるツール保持部材4が、ツール本体に固定されている。
【0024】
機械加工ツールは、図面で示されてないツールの内蔵型モニタリング電子機器において使用される電気エネルギーを取得するための発電機アセンブリを有する。この発電機アセンブリは、ツール本体2に固定された1つの第1の構成要素5を有する。この第1の構成要素は、ツール本体の周縁に固定された一端7を有し且つツール本体の中心軸Cに対して垂直に延在するカンチレバー6を備える。磁石8の形態を採る第1の部材が、カンチレバーの自由端の近くに配置されている。圧電材料のプレート9の形態を採る第2の部材が、カンチレバーが撓んだら撓むように、カンチレバーに固定されている。第1の構成要素は、カバー22によって保護されている。
【0025】
発生機アセンブリは、ツール本体2に移動可能に連結された第2の構成要素10を有し、第2の構成要素は、ツール本体の周りで回転することができる。この第2の構成要素は、ツール本体の部分12を取り囲む非磁性材料の円形リング11を備える。リングには、軸方向に開口する複数の凹部13が設けられ、それぞれに磁石14が設けられている(特に
図5参照)。
【0026】
ツール本体2は、冷却剤として使用される及び/又は切りくず除去加工によって生成された切りくずを除去するための媒体を導くために、ツール保持部材4の端部に向かってツール本体の中心軸Cに沿って延在する第2のチャネル15を有する。2つの第1のチャネル16が、ツールホルダの内側の第2のチャネル15に連結して、ツールの中心軸Cと垂直に媒体の流れを分岐させ、リング11の内壁21に向かって開口してる。
図3には、これらの2つの第1のチャネル16が、プラグ23を備えた端部を有し、その前に、枝路17が、リングの内壁21に対して略接線方向にあるような90度より小さい角度を作りながら、リングに至る様子が示されている。リングの内壁は、チャネル枝路17を通って内壁に当たる媒体の流れに対する抵抗を生成するように設計された輪郭を有する。このために、内壁の輪郭は、空間の内壁の周りに配置された複数のポケット状凹部18を有する。したがって、媒体の流れがリングの内壁に当たると、これは、
図3に見られるように、リングを反時計方向に回転させることになる。冷却剤として使用され及び/又は切りくず除去加工によって生成された切りくずを除去するために、媒体の流れが、2つのチャネル19、20を通ってツール本体を通過し続けることになる。
【0027】
本発明のこの実施形態による機械加工ツールにおいて使用される電気エネルギーは、以下の方法で、機械加工ツールの発電機アセンブリによって取得されることになる。ツールの切りくず除去加工のための気体又は液体の媒体の流れは、第1のチャネル16及びその枝路17を通して導かれ、リング11の内壁21に当たり、ポケット状凹部18において抵抗を受け、それによって、リング11をツール本体2の周りで回転させる。リング11の磁石14は、カンチレバー6の磁石8を通過するときに、磁石8と相互作用して、その磁石を引き付けるか又は反発させて、その結果、カンチレバーは撓み且つ振動することとなる。次いで、カンチレバー6に固定された圧電材料の部材9も撓み且つ振動し、その圧電特性によって電流を生成し、この電流は、電気エネルギー蓄積手段に導かれるか、又はこのエネルギーを消費するセンサなどの装備に直接導かれることになる。
【0028】
図6は、第1の実施形態と同じ原理による電気エネルギーの取得に関して機能する、本発明の第2の実施形態による機械加工ツールを概略的に示している。この実施形態は、リング11内に受け入れられる1つだけの磁石14を有することによって、且つ、
図5で示されている種類の4つの第1の構成要素5を有することによって、第1の実施形態とは異なり、少なくとも1つの第1の構成要素のカンチレバーが、好適には、別の第1の構成要素のカンチレバーとは異なる共振周波数を有し、別の第1の構成要素のカンチレバーに対して第2の構成要素(磁石14を有するリング11)の異なる速度で最大限に振動する。また、リング11の内壁は、この実施形態では、凹部のない滑らかな輪郭を有することも示されている。リングの内壁に当たるように導かれる強度及び方向に関して適正な媒体の流れによって、ツール本体の周りのリング11の回転を得ることは依然として可能であろう。
【0029】
本発明の第3の実施形態では、ツール本体2とツール保持部材4が、ツールのインサートの切れ刃に加えられる高い力に対するツールの抵抗を改善するために1つのピースに一体化されており、次いで、第2の構成要素は、
図6aで示されているように、2つの半分のリング24、25などの2以上の円弧状のピースを備えてよく、ねじ接続部26、27などの適切な接続によってリングを共同で形成する。この実施形態は、
図7及び
図7aで示されている。
【0030】
本発明は、無論、上述の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなしに、その修正に対する多くの可能性が当業者には明らかであろう。
【0031】
この構成体は、リングの内壁に向かって開口する1つ又は3つ以上の第1のチャネルを有してもよい。
【0032】
第2の構成要素は、ツール本体の周りを回転するのではなく、ツール本体の周囲に沿って2つの最端の位置の間を往復移動するように、媒体の流れから影響を受けてもよい。
【0033】
また、第2の構成要素のリングは、磁極領域(pole area)を有する磁性材料から作製することもできる。