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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】圧縮ガスのための吸着デバイス
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20230605BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01D53/26 200
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021042162
(22)【出願日】2021-03-16
(62)【分割の表示】P 2018511113の分割
【原出願日】2016-06-14
(65)【公開番号】P2021102211
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】62/212,128
(32)【優先日】2015-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2015/5727
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ラマース カルロ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマンス ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ロンパエイ ヘールト
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-501688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0040765(US,A1)
【文献】特表2000-509354(JP,A)
【文献】特開2010-127080(JP,A)
【文献】登録実用新案第3000280(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02-53/12
B01D 53/26-53/28
B01J 20/00-20/28
B01J 20/30-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理される圧縮ガスの供給のための入口(3A、3B)と処理されたガスのための出口(4A、4B)とを有する容器(2A、2B、25)が、吸着デバイス(1)に設けられ、吸着要素(19A、19B、19)が、該容器(2A、2B、25)に固定され、この吸着要素(19A、19B、19)が、該入口(3A、3B)と該出口(4A、4B)の間を処理される該圧縮ガスの流れ方向に沿って延びる圧縮ガスのための吸着デバイスであって、
前記吸着要素(19A、19B、19)は、吸着剤を含有するコーティングが少なくとも部分的に設けられたモノリシック支持構造を含み、
いくつかの吸着要素(19A)が、前記ガスの前記流れ方向に沿って前記容器(2A、2B、25)に直列に置かれ、該吸着要素(19A)は、互いの上に積み重ねられており、
積み重ねられた前記吸着要素(19A)の間には空隙が形成され、
シール(22)が、互いの上に置かれたどの2つの吸着要素(19A)間にも設けられており、
前記吸着デバイスは、前記容器と前記シール(22)の間を封止する封止リング(33)をさらに備える、ことを特徴とする吸着デバイス。
【請求項2】
前記シール(22)は、互いの上に置かれた前記吸着要素(19A)のそれぞれの周縁の上を延びることを特徴とする請求項1に記載の吸着デバイス。
【請求項3】
圧縮ガスのための吸着デバイスのための吸着要素のスタックから構成されるカートリッジであって、
各吸着要素(19A、19B、19)が、吸着剤を含有するコーティングが少なくとも部分的に設けられたモノリシック支持構造を含み、該吸着要素(19A)は、互いの上に積み重ねられており、積み重ねられた前記吸着要素(19A)の間には空隙が形成され、
シール(22)が、互いの上に置かれたどの2つの吸着要素(19A)間に設けられており、
前記吸着要素は容器内に収容され、
前記カートリッジは、前記容器と前記シール(22)の間を封止する封止リング(33)をさらに備える、
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項4】
前記シール(22)は、互いの上に置かれた前記吸着要素(19A)のそれぞれの周縁の上を延びることを特徴とする請求項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮ガス、例えば、圧縮空気のための吸着デバイスに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、吸着デバイスが、吸着剤、例えば、乾燥剤又は「デシカント」が置かれた容器を含む圧縮ガスのための吸着デバイスに関する。当該容器には、処理される圧縮ガスを供給するための入口と、処理されたガスを排出するための出口とが設けられる。
【背景技術】
【0003】
当該吸着剤は、一般的に再生可能吸着剤、又は言い換えれば、ある一定の飽和度に達した後に再生することができる吸着剤の形態に実現される。簡略化のために、以下では主として乾燥剤の形態にある吸着剤を参照するが、本発明は、他の吸着剤にも拡張される。例えば、乾燥デバイスを用いて、実際に、乾燥剤の形態に構成された吸着剤が乾かされるガスから水分を抽出する時に、この乾燥剤が、吸着した水分で益々飽和状態になることになることも該当する。従って、圧縮ガスを乾かすためにある一定の時間にわたって乾燥剤を用いた後に、この乾燥剤を例えばそれを乾燥剤から水分を抽出する再生ガス流れに露出することによって再生することが通例である。そのような再生ガス流れは、例えば、乾燥剤の再生を実現することができる程に十分に低い相対湿度を有する乾燥ガス及び/又は高温ガスの画分で構成することができる。
【0004】
圧縮ガスのための乾燥デバイスの一部の実施形態では、乾燥剤の2又は3以上の容器が使用される。2つの容器を使用すると、乾燥デバイスのこの原理は、二塔乾燥器とも呼ばれる。そのようなタイプの乾燥デバイスでは、例えば圧縮器から由来する圧縮ガスは、例えば上記容器のうちの第1のものを通過させることができ、そこでそれは、後置冷却器及び凝縮分離器(当該後置冷却器の一部を形成する又はしない場合がある)を通過した後に当該容器内で乾燥剤によって乾かされることになる。この容器は、結果的に乾燥容器として作用する。
【0005】
同時に、再生ガス流れは、第2の上記の容器を通して案内され、それによってこの第2の容器内の乾燥剤は、この乾燥剤から水分を抽出することによって再生させることができる。これは、既に乾かされた、例えば、乾燥容器の下流で取り出されたガスを利用することにより、及び/又は例えば圧縮中に圧縮器内で発生した熱を回収することによって加熱されたガス流れを供給することにより行うことができる。この最後の場合に、それは、「圧縮の熱」又はHOC乾燥器と呼ばれる。他の公知の再生原理も、勿論、使用することができる。
【0006】
乾燥容器内の乾燥剤がある一定の飽和度に達した時に、第1の容器と第2の容器を通るガス流れは、第1の容器内の乾燥剤が今度は再生ガス流れによって再生されることになり、一方で第2の容器が乾燥化容器の役割を受け持つことになるように切り換えることができる。このようにして2又は3以上の容器は、乾燥工程の連続性が実現されるように、乾燥圧力容器及び再生圧力容器として交互に作動することになる。いくつかの容器を有するそのような乾燥デバイスの例は、例えば、US 2003/023.941、US 4.783.432、US 6.375.722、EP 1.776.171、及びWO 2006/050.582に記載されている。
【0007】
いくつかの容器を有するそのような吸着デバイスに使用される乾燥剤は、シリカゲル、活性アルミナ、又は分子ふるい材料、又はその組合せの粒子から多くの場合に構成される。公知のように、活性アルミナは、水酸化アルミニウムAl(OH)3の熱脱水又は活性化によって生成され、一方で分子ふるいは、合成ゼオライト(結晶アルミノケイ酸塩)から構成される。
【0008】
粒子形態の乾燥剤を含むそのようなタイプの乾燥デバイスの制約は、互いに対して移動する粒子又は更に流動化に対抗するために容器を通るガス速度を制限しなければならないことから構成される。実際に、粒子が運動状態に置かれることに起因して、それらの間に摩擦が発生することになり、これは、次に、粉塵形成及び乾燥機能の低下に至る。そのような粉塵形成の他の原因は、例えば、圧力変動及び/又は熱衝撃である。更に、二塔乾燥器にわたる圧力降下は、相対的に大きく、デシカント粒子は、かなり高い熱質量を有する。
【0009】
乾燥剤が回転ドラムに置かれ、一方で乾燥ゾーン及び再生ゾーンが容器内を延びる圧縮ガスのための代替乾燥デバイスが公知である。そのような乾燥デバイスの作動中に、乾燥ドラムは、この乾燥ドラム内の乾燥剤が乾燥ゾーンと再生ゾーンを通して交互に取られることになるように、この目的で設けられた駆動手段によって回転させられることになる。乾燥ゾーン内の圧縮ガスの乾燥と再生ゾーン内の乾燥剤の再生が同時に実現するように、乾かされる圧縮ガスは、乾燥ゾーンを通して案内されることになり、一方で再生ガス流れは、再生ゾーンを通して案内される。
【0010】
回転乾燥ドラムが設けられたそのような乾燥デバイスの例は、例えば、WO 00/033.943、WO 00/074.819、WO 01/078.872、WO 01/087.463、WO 02/038.251、WO 2007/079533、WO 2005/070.518、WO 2006/012.711、GB 1.226.348、GB 1.349.732、GB 1.426.292、US 3.490.201、US 5.385.603、及びUS 8.349.054に記載されている。
【0011】
圧縮ガスを乾かすための公知の乾燥デバイスに使用される乾燥剤又はデシカントは、例えば、シリカゲル、分子ふるい、活性アルミナ、又はその組合せから構成される。公知のように、乾燥剤は、例えばUS 5.683.532に記載されているように、例えば巻き上げられて容器内にハニカム構造を形成するガラス繊維又はセラミック繊維の波形構造のような支持体上に固定することができる。
【0012】
実際に、圧縮ガスを乾かすための公知の乾燥デバイスを用いると、乾燥剤の不十分な再生及びその過飽和の事象におけるようなある一定の条件下で、乾燥剤は、複雑な分解過程を受けることになり、これは、一部の場合に、例えば、回転部内の乾燥剤としてのシリカゲルの場合に、シリカゲルの結合剤機能が低下し、これが支持ガラス繊維母材の構造強度の損失に至ることに起因して、かつ同じくシリカゲル構造の加水分解及び破壊の結果としてシリカゲルの吸着機能が低下することに起因して、最終的に乾燥デバイスの故障をもたらす可能性がある。
【0013】
すなわち、シリカゲル回転部の吸着挙動及び吸着機能は、高湿及び高温の苛酷な条件下では、回転部の有効寿命中に実質的に変化することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】US 2003/023.941
【文献】US 4.783.432
【文献】US 6.375.722
【文献】EP 1.776.171
【文献】WO 2006/050.582
【文献】WO 00/033.943
【文献】WO 00/074.819
【文献】WO 01/078.872
【文献】WO 01/087.463
【文献】WO 02/038.251
【文献】WO 2007/079533
【文献】WO 2005/070.518
【文献】WO 2006/012.711
【文献】GB 1.226.348
【文献】GB 1.349.732
【文献】GB 1.426.292
【文献】US 3.490.201
【文献】US 5.385.603
【文献】US 8.349.054
【文献】US 5.683.532
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、吸着剤を利用する従来の公知の吸着デバイスに付随する欠点のうちの1又は2以上に対するソリューションを与える圧縮ガスのための吸着デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的に対して、本発明は、圧縮ガスのための吸着デバイスに関し、この吸着デバイスには、処理される圧縮ガスの供給のための入口と処理されたガスのための出口とを有する容器が設けられ、吸着要素が、上記容器内に固定され、この吸着要素は、上記入口と上記出口の間を処理される圧縮ガスの流れ方向に沿って延び、かつ本発明により、吸着剤を含むコーティングが少なくとも部分的に設けられたモノリシック支持構造から構成される。
【0017】
本発明によるそのような吸着デバイスの利点は、吸着剤の遊離粒子が使用されないので移動又は流動化のリスクがないことである。その結果、粉塵形成が阻止され、一方で吸着デバイスを通して処理される圧縮ガスの相対的に高い流量が可能である。
【0018】
更に、本発明によるそのような吸着デバイスは、容器を垂直に、傾斜して、又は更に水平に置くことを可能にし、水平に置くことは、例えば粒状乾燥剤を利用する従来の乾燥デバイスを用いると、そのような公知の乾燥デバイスの水平使用が粒子の再配置及び内部漏出経路の形成に至り、かつ結果的に乾燥器性能の低下に至る可能性があるので可能ではない。
【0019】
本発明の好ましい特性により、上記モノリシック支持構造は、以下の材料、すなわち、セラミック材料、金属ホイル、繊維構造、及びポリマーのうちの1又は2以上を含む。特に良好な結果は、コーディエライトを含有するセラミック構造を使用して取得される。
【0020】
好ましくは、上記吸着剤は、以下の材料、すなわち、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、金属-有機組成物、炭素分子ふるい(CMS)、含浸吸着剤、及び混成吸着剤のうちの1又は2以上を含有する。特に、親水性ゼオライト支持体が好ましい。良好な結果は、シリコン/アルミニウム比が2と3の間であるフォージャサイト又はゼオライトタイプXを利用することによって取得される。
【0021】
本発明の特定の実施形態により、吸着デバイスは、ガスの流れ方向に沿って上記容器内に直列に置かれたいくつかの吸着要素を含む。
【0022】
本発明はまた、圧縮ガスのための吸着デバイスのための吸着要素に関し、この吸着要素は、吸着剤を含有するコーティングが少なくとも部分的に設けられたモノリシック支持構造を含む。
【0023】
これに加えて、本発明はまた、吸着剤を含有するコーティングが少なくとも部分的に設けられたモノリシック支持構造が設けられた吸着要素のスタックを含むカートリッジに関する。
【0024】
本発明の特性をより良く示す意図により、添付図面を参照していかなる限定性も伴わずに本発明による吸着デバイスの少数の好ましい実施形態を一例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による吸着デバイスを概略的に示す図である。
図2】本発明による吸着要素のカートリッジを示す図である。
図3図2にF3で示した部分をより大きい縮尺で示す図である。
図4図1による吸着デバイスの変形を示す図である。
図5】容器内で吸着要素のスタックの装着状態にある図3の変形を示す図である。
図6】容器内で装着状態にある吸着要素のスタックの上縁の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明による吸着デバイス1の可能な実施形態を概略的に示し、これは、この場合に乾燥デバイスを形成し、かつ処理される(この場合に乾かされる)圧縮ガスの供給のためのそれぞれ入口3A及び3Bと、処理された(この場合に乾かされた)圧縮ガスの排出のためのそれぞれ出口4A及び4Bとが各々設けられた2つの容器2A及び2Bを含む。
【0027】
それぞれの出口4A及び4Bは、圧縮器6、この例では空気圧縮器の圧力パイプ5に出口パイプ5A及び5Bを通じて接続される。出口パイプ5A及び5Bの各々は、この目的でそれぞれ設けられた出口バルブ7A及び7Bを用いて遮断することができる。
【0028】
一方で出口バルブ7A及び7Bそれぞれと出口4A及び4Bそれぞれとの間では、排出バルブ9A及び9Bそれぞれを用いて閉止することができ、かつ必ずというわけではないがこの場合に共通出口10に接続された排出パイプ8A及び8Bそれぞれへの接続部が、各出口パイプ5A及び5B上に設けられる。
【0029】
上記入口3A及び3Bは、2つの遮断バルブ12A及び12Bの第1のセットが直列に置かれた接続パイプ11によって互いに接続される。当該バルブ12A及び12Bは、2つの遮断バルブ14A及び14Bの第2のセットが直列に置かれたバイパスパイプ13によって迂回される。
【0030】
接続パイプ11とバイパスパイプ13は、熱交換器16及び凝縮分離器17が固定された冷却パイプ15によって互いに接続される。冷却パイプ15の一端は、第1のセットの遮断バルブ12A及び12Bの間で接続パイプ11に接続され、一方で冷却パイプ15の他端は、第2のセットの遮断バルブ14A及び14Bの間でバイパスパイプ13に接続される。
【0031】
この例では、出口バルブ7A及び7B、排出バルブ9A及び9B、並びに遮断バルブ12A、12B、14A、14Bの各々は、図面に明瞭化の目的で含めていないこの目的で設けられた制御ケーブルを通じて又は無線でのいずれかで制御ユニット18に接続された制御可能遮断バルブの形態に構成される。
【0032】
本発明により、この場合に乾燥要素の形態にある吸着要素19A及び19Bそれぞれは、上記容器2A及び2Bの各々に、より具体的には、乾かされるガスの流路内に、又は言い換えれば、一方で上記入口3A及び3Bそれぞれと他方で上記出口4A及び4Bそれぞれとの間の処理される圧縮ガスの流れ方向に従って固定される。
【0033】
第1の容器2Aに関して、上記入口3Aと反対に吸着要素19Aの入口側20Aが延び、一方で出口4Aと反対に吸着要素19Aの出口側21Aが延びる。
【0034】
同様に、第2の容器2B内の吸着要素19Bは、入口3B及び出口4Bそれぞれと反対に延びる入口側20B及び出口側21Bを有する。
【0035】
本発明により、吸着要素19A及び19Bは、必ずというわけではないが好ましくは、コーディエライト、例えば、CorningによるCelcor(登録商標)を含有するセラミック構造から構成されるモノリシック支持構造を含む。これに代えて、本発明により、ムライト、γ-又はα-アルミナ、又はシリコンカーバイド(SiC)のような他のセラミック材料、金属ホイル、又は例えばガラス繊維、セラミック繊維、又は他の繊維、又は異なるタイプの繊維の混合物に基づく繊維構造、又はポリマーのような他の材料も当該支持構造の製造に使用することができる。
【0036】
上記リストは包括的ではなく、他の材料の使用が除外されないことは言うまでもない。
【0037】
本発明により、モノリシック支持構造が上記及び/又は他の材料のうちの2又は3以上の組合せで製造されることも除外されない。
【0038】
支持構造の材料は、好ましくは200と1200の間のCPSI(1平方インチ当たりのセル数)、より好ましくは350と450の間のCPSIを含有する。
【0039】
支持構造の壁厚は、好ましくは2と11ミル(ミリインチ)の間、より好ましくは3と9ミルの間、更に好ましくは5と7.5ミルの間である。最も好ましい実施形態では、壁厚は、6と7ミルの間、好ましくは約6.5ミルである。
【0040】
支持構造の壁の孔隙率は、好ましくは5%よりも高く、より好ましくは10%よりも高く、更に良好には20%よりも高い。
【0041】
形成されるセルは、好ましくは正方形形状を有するが、三角形、正弦形、円形、及び六角形などのような他の形状を呈することができる。
【0042】
本発明により、上記モノリシック支持構造には、吸着剤を含有するコーティングが少なくとも部分的に設けられる。
【0043】
本発明により、当該吸着剤は、以下の材料、すなわち、ゼオライト、好ましくは親水性ゼオライトであるが疎水性ゼオライトも可能であり、このゼオライトは、例えばフォージャサイトゼオライトタイプX、例えばTosohのZeolum F9、又はゼオライトタイプX及びAの混合物とすることができるもの、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、金属-有機組成物、炭素分子ふるい(CMS)、含浸吸着剤、及び混成吸着剤、及び/又は他の材料のうちの1又は2以上を含有することができる。
【0044】
上記リストは包括的ではなく、本発明により他の材料も可能である。
【0045】
吸着剤の選択は、例えば、吸着デバイスを窒素発生器として用い、かつ処理される圧縮ガスが圧縮空気である時に、乾燥又は酸素又は二酸化炭素のような他の分子の除去のようなどの処理を処理されるガスが受ける必要があるかに依存する。
【0046】
吸着剤の粒子サイズの分布は、好ましくは、D50が10μmよりも小さく、より好ましくは、4μmよりも小さいようなものである。
【0047】
上記吸着剤に加えて、上記コーティングは、好ましくは、結合剤材料、好ましくは、コロイド状シリカ、例えば、Grace DavisonのLudox-AS 40、アルミナ、及び/又は粘土のような無機結合剤材料も含有する。
【0048】
更に、メチルセルロース、アクリル樹脂、及びビニル樹脂など、及び/又はセルロース群からの材料のような有機結合剤材料を必要に応じて使用することができる。
【0049】
図1の例では、各容器2A及び2Bは、唯1つの吸着要素19A及び19Bそれぞれを収容するが、本発明は、本発明による吸着デバイス1の変形により、図2に示すように、ガスの流れ方向に沿って容器2A及び/又は2B内に直列に2又は3以上の吸着要素19A又は19Bを同じく置くことができるので、そのように限定されない。
【0050】
図2は、この例ではディスク形であって全てが平坦な上面及び底面を呈する互いの上に積み重ねられたいくつかの吸着要素19Aの例を示している。
【0051】
各場合に、互いの上に積み重ねられた2つの吸着要素19Aの間にこれらの吸着要素19Aの周縁にわたってシール22、この場合に積み重ねられた吸着要素19Aのインタフェースの間を延びるリング形シールが好ましくは設けられ、少なくとも1つの半径方向リップが内向きに向けられ、この場合に2つのV字形半径方向リップ23が内向きに向けられる。
【0052】
ガスに対してそれ程透過性ではない弾性材料、例えば、ポリオレフィンで好ましくは製造された収縮スリーブ24が、吸着要素のスタック全体の周囲壁にわたって固定される。当該収縮スリーブ24はまた、吸着要素のスタックの高さの一部だけにわたって固定することができる。
【0053】
積み重ねられた吸着要素19Aのセットは、本発明の特定の態様に従って置換可能又は交換可能であるカートリッジをこのように形成する。
【0054】
本発明による吸着デバイス1の作動は非常に単純であり、以下の通りである。
【0055】
第1の事例では、この例では第1の容器2Aは、乾燥化容器の役割を満たすことになり、一方で吸着要素19B(すなわち、ここでは乾燥要素である)は、第2の容器2B内で再生されることになる。
【0056】
圧縮器6は、ガス、例えば、雰囲気を引き込み、このガスを圧縮する。圧縮された高温ガスは、次に、、開いた出口バルブ7Bを通じて圧力パイプ5を通じて出口パイプ5Bを通って第2の容器2Bの出口4Bに搬送される。
【0057】
高温圧縮ガスは、乾燥剤に存在する吸着要素19Bから水分を抽出するのに十分に低い相対湿度を有することになり、従って、この吸着要素19Bを再生することになる。言い換えれば、デシカントは、第2の容器2B内で乾かされる。
【0058】
高温湿潤ガスは、次に、開いた遮断バルブ14Bを通じて冷却パイプ15まで駆動され、そこでそれは、熱交換器16及び凝縮分離器17を順番に通って案内され、次に、開いた遮断バルブ12A及び接続パイプ11を通じて第1の容器2Aの入口3Aまで搬送される。
【0059】
100%飽和した低温圧縮ガスは、入口3Aを通じて第1の容器2Aに入り、吸着要素19Aを通して案内されることになる。
【0060】
支持構造上に存在する吸着剤は、吸着要素19Aを通って圧縮ガスが流れる間にガスから水分を抽出することになる。この例では、吸着剤は、結果的に乾燥剤又はデシカント材料の役割を満たすことになる。
【0061】
吸着要素19Aをその出口側21Aで離れるガスは、入口3Aを通じて容器2Aに入ったガスよりも乾燥していることになる。
【0062】
乾燥圧縮ガスは、次に、出口4Aを通じて、出口パイプ5A及び開いた排出バルブ9Aを通って排出パイプ8Aまで、かつそれに接続されて乾燥圧縮ガスの消費者に接続することができる出口10まで流れる。
【0063】
ある一定の循環時間の後に、両方の容器2A及び2Bの作動を切り換えることができ、第2の容器2Bは、乾燥化容器の役割を受け持つことができ、一方で第1の容器2A内のデシカントは、再生することができる。
【0064】
本発明による吸着デバイス1は粒状デシカントを利用しないという事実により、容器2A及び2Bは、垂直、水平、又はいずれかの他の姿勢のようなあらゆる姿勢に置くことができる。
【0065】
吸着剤は、支持構造に取り付けられるので、粒状デシカントの場合のような流動化のリスクがなく、その結果、吸着要素を通る高いガス速度においてさえも粉塵形成は発生することができない。
【0066】
図2に示すように、互いの上に置かれたいくつかの吸着要素19Aが使用される時に、ガスは、乾かされるガスとして又は再生ガスとしてのいずれかで連続する吸着要素を順番に通って流れることになる。
【0067】
連続する吸着要素19Aの間の上記シール22の存在は、漏出が一方で吸着要素19Aのスタックの側壁と他方で容器2Aの内壁との間で発生する可能性を阻止する。残りに関しては、同じことは、当然ながら同じく可能であって上記シール22を設けることができる第2の容器2B内のいくつかの吸着要素19Bのそのようなスタックの使用に適用される。
【0068】
図4は、吸着要素19が回転可能に固定された唯1つの容器25がこの場合に存在する本発明による吸着デバイス1の別の実施形態を示している。吸着要素19は、例えば、電気モータ26の形態にある駆動手段に取り付けられる。
【0069】
公知の回転ドラム乾燥器の場合のように、再生ゾーンと吸着ゾーン(この場合に乾燥ゾーン)が容器内を延びる。この場合に圧縮器6から出ている圧力パイプ5は、公知のHOC乾燥器の場合のように再生ゾーンの入口に接続する。再生ゾーンの出口は、接続パイプ27を通じて公知の方法で吸着ゾーンの入口に接続される。熱交換器16及び凝縮分離器17が、当該接続パイプ27に設けられる。
【0070】
最後に、再生ゾーンの出口は、排出パイプ8を通じて出口10に接続される。
【0071】
図4による吸着デバイスの作動は、乾燥剤が設けられた回転ドラムを有する公知のHOC乾燥器のものと同様である。しかし、吸着要素19の構造に起因して、本発明によるそのような改善された吸着デバイスは、強度低下に起因する故障を受けにくい。要するに、本発明の吸着デバイスにおける吸着要素のモノリシック支持構造は、高湿及び高温という苛酷な条件下であっても構造強度を失わない。
【0072】
図面に示す本発明による吸着デバイス1の実施形態は、両方共に全開流量HOC乾燥器であるが、本発明は、本発明による吸着デバイス1が必ずしも全開流量原理に従って作動しなくてもよいのでそのように限定されない。同様に、本発明により、吸着剤の再生に圧縮熱を使用することも必要とされず、むしろ工程自体から又は他に由来し、かつ圧縮ガス又はその他のものであるあらゆる再生ガスを使用することができる。
【0073】
図5は、この場合に吸着要素19Aのスタックが容器2Aに固定され、この容器2Aの壁の一部を見ることができる請求項3の詳細の変形を示している。
【0074】
この例では、シール22は、必ずというわけではないが例えばアルミニウム、別の金属、又はポリマーのリング28を含み、このリング28の内径は、この例ではディスク形である吸着要素19Aの外径よりも幾分大きい。
【0075】
リング28は、互いの上に置かれた吸着要素19Aの端部の周縁の上を延びる。その内縁上に、当該リング28には、内向きに向けられた半径方向縁部29が設けられ、それに対して吸着要素の当該端部が固定される。
【0076】
良好なシールを得て漏出経路を阻止するために、例えばある量の接着剤又は別の密封要素の形態にある密封層30及び31それぞれが、当該縁部29のいずれかの側の周囲全体にわたって固定される。
【0077】
この例では、リング28には、その外周にわたって2つの実質的に平行なリブ32が互いからの軸方向距離に設けられ、その間にこの場合にO-リングの形態にあるシール33が固定される。本発明により、リブ32の存在は厳密に必要というわけではない。例えば、唯1つのリブは、その上にシール33が乗るように設けることができ、又はシールのリング28上に不動に装着することができ、又はこの一体部分を形成することができる。
【0078】
互いの上に積み重ねられた吸着要素から構成されるカートリッジを装着する時に、図5に示すように、シール33は、容器2Aの内壁に対して押圧することになる。このようにして、この構成は、吸着要素19A相互間の漏出だけでなく、カートリッジと容器の壁の間の漏出も阻止されることを保証する。
【0079】
ここでもまた、当該実施形態が容器2Aにおける適用に限定されず、図1の容器2Bにおいて及び/又は図4の容器25において又は本発明によるあらゆる他のタイプの吸着デバイス1において全く同様に適用することができることは明らかである。
【0080】
図6は、容器2Aに装着された状態にある吸着要素19Aのスタックの上部の上縁の詳細を示している。容器2Aの壁を図面の右に示している。同じ構成は、吸着要素のスタックの下縁上に、又は容器に唯1つの吸着要素が使用される時にはそのような個別の吸着要素の上面及び/又は底面上に可能である。
【0081】
V字形シール34が、吸着要素19Aの自由周縁、言い換えれば、別の吸着要素19Aに向けられていない周縁にわたって押圧され、この全てが、シールの第1のアーム35が、吸着要素19Aの軸方向上面に対して押圧し、一方でこのシール34の第2のアーム37が、吸着要素19Aの半径方向外壁38に対して押圧するようにするためである。
【0082】
この場合に、V字形シール34は、上面上又は言い換えれば2つのアーム35及び38が互いに接続される側面上にローブ状突起39を呈する。
【0083】
本発明の好ましい特性により、シール34の一部を容器2Aの内壁に対して半径方向に押圧する押圧手段が設けられる。この例では、当該押圧手段は、シール34のローブ状突起39に対してバネ41によって押圧される円錐リング40を含む。この目的に対して、円錐リング40の円錐面は、当該シール34に向けられ、かつ例えば容器2Aのカバーに対してバネをその他端によって押圧する。容器2Aの内壁に対して押圧されるシール34の部分は、必ずしもローブ状でなくでもよく、この部分は、多くの異なる方法で構成することができることは言うまでもない。
【0084】
円錐リング40の最大外径は、必ずというわけではないが好ましくは容器2Aの内径とほぼ同じくらい大きい。
【0085】
これに代えて、図6に一例として示す構成では、吸着要素19Aのスタックから構成されるカートリッジの上部及び底部でのシールは、例えば図5に示す原理と類似の接着リング及びO-リングを利用することにより、異なる方法で取得することができる。
【0086】
以上の説明では、水分を吸着するための乾燥デバイスの形態にある吸着デバイスを主として記述したが、本発明は、酸素及び/又は二酸化炭素などのようなある一定のガス分子を吸着することができる吸着要素を有する窒素発生器などのような他のタイプの吸着デバイスにも関連する。例えば、圧縮空気からそのようなガス分子を除去することにより、公知のように窒素を発生させることができる。
【0087】
本発明は、一例として説明して図面に示した実施形態に決して限定されず、むしろ圧縮ガスのための本発明による吸着デバイスは、本発明の範囲から逸脱することなく多くの形態及び寸法に実現することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 吸着デバイス
2A、2B 容器
5 圧力パイプ
15 冷却パイプ
19A、19B 吸着要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6