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特許7289877歯科インプラント、歯科インプラントのための埋入ツール、ならびに歯科インプラントと埋入ツールの組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】歯科インプラント、歯科インプラントのための埋入ツール、ならびに歯科インプラントと埋入ツールの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021122246
(22)【出願日】2021-07-27
(62)【分割の表示】P 2018537815の分割
【原出願日】2017-01-30
(65)【公開番号】P2021176564
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】16153466.4
(32)【優先日】2016-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16190958.5
(32)【優先日】2016-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16206385.3
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506260386
【氏名又は名称】ノベル バイオケア サーヴィシィズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイツェル, イェルク
(72)【発明者】
【氏名】クォーリー, アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォンウィラー, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フィスター, ニキ
(72)【発明者】
【氏名】バーク, エドマンド
(72)【発明者】
【氏名】アメティ, セリフ
(72)【発明者】
【氏名】ソルバーガー, デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト, ニコライ
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0136380(US,A1)
【文献】特表2013-544118(JP,A)
【文献】登録実用新案第3185186(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0022942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラント(201)であって、前記歯科インプラント(201)が、
-歯根尖端(207)及び歯冠端(209)を有する芯体(205)を含み、
前記芯体(205)が、前記歯冠端(209)に対して開いて、及び前記歯冠端(209)から前記歯根尖端(207)に向かって前記インプラント(201)の長手方向に沿って延在するチャネル(236)を含み、ならびに
前記芯体(205)が駆動ゾーン(242)を有し、前記駆動ゾーン(242)で、前記インプラント(201)の前記長手方向に垂直な前記チャネル(236)の断面が、前記断面の円周に沿って配置される複数の放射状凸部を有し、そこで前記放射状凸部の前記放射状の最外側点のそれぞれが、前記断面の中央周辺の対応する円にあり、前記これらの円の少なくとも2つが互いに異なる半径を有し、
前記芯体(205)が指標部分(240)を更に有し、前記指標部分(240)が三方楕円断面を有し、前記指標部分(240)で、前記インプラント(201)の前記長手方向に垂直な前記チャネル(236)の前記断面が三つの主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の中心とその外部輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、歯科インプラント(201)。
【請求項2】
駆動ゾーン(242)と指標部分(240)が別個のものである、請求項1に記載の歯科インプラント(201)。
【請求項3】
患者の骨組織内に請求項1または2に記載の歯科インプラント(1、201、401)を埋入するための埋入ツール(200)であって、
前記埋入ツール(200)が近位部分(202)及び遠位部分(204)を含み、前記遠位部分(204)が前記インプラント(1、201、401)と協調するためにあり、ならびに
前記遠位部分(204)が駆動領域(214)を有し、前記駆動領域(214)が三方楕円断面を有し、前記駆動領域(214)で、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に垂直な前記遠位部分(204)の前記断面が三つの主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の前記中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、埋入ツール(200)。
【請求項4】
求項1または2に記載の歯科インプラント(1、201、401)と、患者の骨組織内に前記歯科インプラントを埋入するための埋入ツール(200)の組み合わせであって、
前記埋入ツール(200)が近位部分(202)及び遠位部分(204)を含み、前記遠位部分(204)が前記インプラント(1、201、401)と協調するためにあり、ならびに
前記遠位部分(204)が駆動セクション(216)を有し、前記駆動セクション(216)で、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に垂直な遠位部分(204)の前記断面が、前記断面の前記円周に沿って交互に配置される、複数の放射状凸部(218)及び複数の放射状凹部(220)を有し、そこで前記放射状凸部(218)の前記放射状の最外側点(222、224)のそれぞれが、前記断面の前記中央周辺の対応する円にあり、前記これらの円の少なくとも2つが互いに異なる半径を有する、組み合わせ
【請求項5】
請求項1または2に記載の歯科インプラント(1、201、401)及び請求項3に記載の埋入ツール(200)の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラントであって、歯根尖端、歯冠端及び前記歯根尖端と前記歯冠端の間に長手方向に沿って延在する外面を有する芯体、ならびに少なくとも前記外面のねじ状部分に配置され、前記芯体から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山を含む、前記歯科インプラントに関する。本発明は更に、特に患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラントであって、歯根尖端及び歯冠端を有する芯体を含み、芯体が、歯冠端に対して開いて、歯冠端から歯根尖端に向かってインプラントの長手方向に延在するチャネルを含む、前記歯科インプラントに関する。更に本発明は、患者の骨組織内に歯科インプラントを埋入するための埋入ツールに関する。本発明は、このようなインプラント及びこのような埋入ツールの組み合わせにも関する。
【背景技術】
【0002】
歯科インプラントは、歯の脱落を補うために、再建治療で広く使用されている。それらは、約4~12週間の治癒期後、歯科補綴またはクラウンとして機能する補綴部分をそこで保持するために、引き抜かれたまたは脱落した歯の場所の顎骨内に通常埋入される。この目的ために、このような歯科インプラントは、意図した場所にねじ込むことによって顎骨または骨組織内に埋入される、適切に成形した金属体として通常構成される。原則として歯科インプラントの歯根尖端は、ねじ山、ほとんどの場合、それによって歯科インプラントが対応して作製されたインプラント床に埋入される自己穿孔式ねじ山を含む。
【0003】
歯科インプラントは、顎骨内へ埋入の後、歯科補綴が直接インプラントに接合する、一体型で構成されてもよい。代替例で、特に患者の口内への埋入を容易にするために、特に例えば歯科技工室での患者の処置以前にインプラントに固定する前に、補綴の特に広範囲な準備を可能にするために、歯科インプラントシステムは多部品型構成でもあり得る。特に概ね二部品型構造が提供されることができ、歯科インプラントシステムは、実際のインプラントまたは支柱部と称される第1のインプラント部品、及びこれに加えて、それによりその上に補綴など提供される歯の補綴部分を取り付けることができる、取付部分またはアバットメントと称される、これと関連する第2のインプラント部品を含む。
【0004】
実際のインプラントまたは支柱部の外面は通常ねじ山を備えており、それは、自己穿孔式ねじ山、または自己穿孔式ねじ山ではない他のものとして設計されることができる。インプラントまたは支柱部は、通常顎骨の対応して作製されたインプラント床に固定される。歯科インプラントの外部領域に提供される、ねじ山の構造は、配置の高一次固定、及び顎骨への歯科インプラントの咀嚼荷重下で生じる力の均一な転送を得るように通常構成される。
【0005】
この目的のため、特にインプラントの骨組織への埋入後の高一次固定のために、ねじ山及びインプラント本体を構成する種々の方法は従来技術から既知である。種々のねじ山の形状及びこれらの組み合わせ、例えばインプラント本体の異なるゾーンの異なるねじ山型または異なるねじ山パラメータのねじ山を形成することを提供してもよい。国際特許出願第WO2008/128757A2号から、上述の型のインプラントは、各ねじ山の外面上の及び/または直接2つの隣接するねじ山間のインプラント本体上の、追加の螺旋状溝を特徴とすることが周知である。他のシステムで、狭い溝を特徴とする、圧縮型ねじ山が提供されてもよい。高一次固定は、インプラントを提供する部位で患者の骨内に穿孔する孔を普通より小さくすることによっても達成することができる。その結果、インプラントがその上に提供されるねじ山と共にインプラントの芯体にねじ込められるとき、周囲の骨材料を圧縮する。しかし、あまりに強い圧縮は骨圧壊中に血管を作って、それによって埋入後の骨の回復を妨げる可能性がある。
【0006】
インプラント及びその上に提供されるねじ山の特別設計における別の広範囲な目的は、いわゆる二次固定または骨結合であり、それはインプラント表面に直接接触する骨材料の再生である。
【0007】
米国特許第2007/0190491A1号には、インプラント本体の非円形断面の形状を備えたインプラント設計が開示されている。この設計で、大部分の天然歯は断面が非円形であり、したがってインプラント本体の類似の断面構造は、骨組織の血管の自然の位置に良好に適合して、その結果、良好かつ迅速な骨結合を支援すると推察されると認識されている。
【0008】
前述したもののような歯科インプラントは、埋入ツール(例えば、インプラントドライバー)によって患者の骨組織内に一般に埋入される。この目的のため、埋入ツールの遠位部分は、インプラントの歯冠部分に提供される窩内に導入される。この遠位部分は、その長手方向軸の周囲の埋入ツールの回転に応じて、インプラントが骨組織内にねじ込まれるように、インプラント窩と協働する。骨組織のインプラントの確実かつ正確な配置を達成するために、埋入ツールは、インプラントに完全に固定される、すなわち完全に嵌入されなければならない。埋入ツールと歯科インプラントの間のいかなる不適合または不整合も、インプラントの骨組織への埋入を複雑にさせ得て、インプラントの不適当な配置のリスクの原因となり得る。
【0009】
更に埋入ツールは、インプラントを拾いあげて、それが骨組織内に埋め入れられることになっている埋入部位へ運ぶために使用してもよい。この場合、ツールとインプラントの間に不適合または不整合が生じる場合、それが所望の場所に到着する前に、インプラントは埋入ツールから落ちる可能性がある。このような出来事は、インプラントが嚥下されるまたは吸引される場合、患者の健康に重大な危険性を引き起こす場合もあり得る。
【0010】
埋入ツールとインプラントの間の摩擦嵌合を達成するために、米国特許第7,131,840B2号は、インプラントドライバーの遠位部分でのOリングの使用を教示する。しかし、この明細書で教示する構成では、埋入ツール及びインプラントが互いに適切に嵌合するか臨床医が確実に判断することができない。
【0011】
埋入ツールをインプラントに接続するための保持部を使用して、埋込とインプラントとの間の接続を改善する別の方法は、米国特許第8,864,494B2号に開示される。インプラントが骨組織に埋入された後、保持部はインプラントから取り外されなければならない。したがってこの方法は、保持部の形で追加の歯科要素の使用を必要とし、臨床医に追加の工程を求め、その結果、インプラント埋入処置を複雑かつ煩雑にする。
【0012】
したがって、埋入ツール(例えばインプラントドライバー)を歯科インプラントに取り付けるための、確実で、効率的及び単純な方法の必要性が残っている。それは、埋入ツール及び歯科インプラントが互いに適切に取り付けられているか明確な表示を提供する。
【0013】
更に、骨組織へのインプラントの確実な埋入と共に、インプラント、特にその窩の損傷または破損の危険性を最小限度に抑えることを提供する、埋入ツールの必要性が残っている。
【0014】
骨組織へのその確実な埋入と共に、インプラント、特にその窩もしくはチャネルの損傷または破損の危険性を最小限度に抑えることを提供する、歯科インプラントの必要性も残っている。
【0015】
上述されるように、歯科インプラントは通常、意図した場所にねじ込むことによって、患者の顎骨または骨組織内に埋入される。この目的のため、歯科インプラントの歯根尖端は、ねじ山、ほとんどの場合、それによって歯科インプラントが対応して作製されたインプラント床に埋入される自己穿孔式ねじ山を含む。
【0016】
ねじ山は、顎骨または骨組織への、インプラントの確実かつ正確な配置ならびに嵌合のための重要な役割を果たす。特にねじ山は、顎骨または骨組織へのインプラントの円滑かつ正確な埋入を可能にして、埋入の後、インプラントと顎骨または骨組織との安定な嵌合を確実にしなければならない。
【0017】
この目的のため、国際特許出願第WO2016/125171号は、ねじ山の歯根尖面が、ねじ山の歯冠面に向かって近位に延在する歯根尖面の凹部を有する、ねじ状歯科インプラントの使用を教示する。しかし、この明細書で開示する構成では、制限された範囲のねじ山の角度、すなわち約15度超のねじ山角度に対してのみ、インプラント配置及び安定性の改善を提供する。したがって、多種多様なインプラントのねじ山角度、特に小さなねじ山角度において、顎骨または骨組織の確実かつ正確な配置及びその嵌合を可能にする、歯科インプラントの必要性が残っている。
【発明の概要】
【0018】
上述したようにこれらの態様を考慮して、一次及び二次固定に関して上述のタイプの歯科インプラントに優れた特性を提供することが、本発明の目的である。骨組織へのその確実な埋入と共に、インプラント、特にその窩もしくはチャネルの損傷または破損の危険性を最小限度に抑えることを提供することは、本発明の更なる目的である。更に、多種多様なインプラントのねじ山角度、特に小さなねじ山角度において、顎骨または骨組織の確実かつ正確な配置及びその嵌合を可能にする歯科インプラントを提供することを、本発明は目的とする。
【0019】
更に、埋入ツール及び歯科インプラントが互いに適切に取り付けられているか確実な表示を効率的に提供する、患者の骨組織内に歯科インプラントを埋入するための埋入ツールを提供することが、本発明の目的である。本発明は、確実な埋入を可能にする患者の骨組織内に歯科インプラントを埋入すると共に、インプラント、特にその窩もしくはチャネルの損傷または破損の危険性を最小限度に抑えるための埋入ツールを提供することも目的とする。本発明は、このような埋入ツール及び歯科インプラントの組み合わせも提供する。
【0020】
これらの目的は、請求項1の技術的特徴を有する歯科インプラントによって、請求項4の技術的特徴を有する歯科インプラントによって、請求項8の技術的特徴を有する歯科インプラントによって、請求項24の技術的特徴を有する歯科インプラントによって、請求項32の技術的特徴を有する歯科インプラントによって、請求項41の技術的特徴を有する埋入ツールによって、請求項42の技術的特徴を有する埋入ツールによって、請求項43の技術的特徴を有する埋入ツールによって、及び請求項54の技術的特徴との組み合わせによって達成される。本発明の好ましい実施形態については、従属クレームから得られる。
具体的には、本発明によれば、以下の[1]~[54]の構成が提供される。
[1]特に患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラント(1)であって、前記歯科インプラント(1)が、
-歯根尖端(4)、歯冠端(6)及び前記歯根尖端(4)と前記歯冠端(6)の間に長手方向に沿って延在する外面(8)を有する芯体(2);
-前記芯体(2)から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山(12);ならびに
-前記芯体(2)によって、または前記ねじ山(12)によって画定されるねじ山外部容積(28)によって画定される特有インプラント容積であって、前記インプラントの長手方向の座標に特有なパラメータの各値について、前記特有インプラント容積の断面が、その中心からこの断面の輪郭までの最小距離に対するその中心からこの断面の輪郭までの最大距離の比率として定義される、偏心パラメータによって特徴づけられる、特有インプラント容積;を含み、
前記特有容積が、
-少なくとも1つの歯冠ゾーンであって、前記偏心パラメータが最大の、好ましくは一定の値を有し、前記歯冠ゾーンが前記インプラントの全長の少なくとも10%の前記歯冠ゾーンの長さにわたって前記インプラントの長手方向軸に沿って延在する、歯冠ゾーン;
-少なくとも1つの歯根尖ゾーンであって、前記偏心パラメータが最小の、好ましくは一定の値を有し、前記歯根尖ゾーンが前記インプラントの全長の少なくとも30%の前記歯根尖ゾーンの長さにわたって前記インプラントの長手方向軸に沿って延在する、歯根尖ゾーン;及び
-前記歯冠ゾーンと前記歯根尖ゾーンの間に配置された少なくとも1つの移行ゾーンであって、前記偏心パラメータが、前記長手方向の座標に特徴的なパラメータの関数として、前記歯根尖ゾーンに隣接する最小値から前記歯冠ゾーンに隣接する最大値まで連続的に、好ましくは直線的に変化し、前記移行ゾーンが前記インプラントの前記全長の少なくとも10%の前記移行ゾーンの長さにわたって前記インプラントの長手方向軸に沿って延在する、移行ゾーン;を含む、歯科インプラント(1)。
[2]前記歯根尖ゾーンで、前記特有インプラント容積の前記断面が基本的に円形形状を有する、[1]に記載の歯科インプラント(1)。
[3]前記歯冠ゾーン及び/または前記成形ゾーンで、前記特有インプラント容積の前記断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の前記中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、[1],[2]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[4]特に患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラント(1)であって、前記歯科インプラント(1)が、
-歯根尖端(4)、歯冠端(6)及び前記歯根尖端(4)と前記歯冠端(6)の間に長手方向に沿って延在する外面(8)を有する芯体(2);ならびに
-前記芯体(2)から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山(12);を含み、
前記芯体(2)が、
-第1の芯成形ゾーン(22)であって、前記第1の芯成形ゾーン(22)で、前記芯体(2)の断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の中心(50)とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、第1の芯成形ゾーン(22);
-芯円形ゾーン(20)であって、前記芯円形ゾーン(20)で、前記芯体(2)の前記断面が基本的に円形に成形される、芯円形ゾーン(20);及び
-前記芯成形ゾーン(22)と前記芯円形ゾーン(20)の間に配置される芯移行ゾーン(26)であって、前記芯移行ゾーン(26)で、前記芯体(2)の断面形状が、前記長手方向の座標に特有なパラメータの関数として、前記芯円形ゾーン(20)に隣接する基本的に円形形状から、前記芯成形ゾーン(22)の断面形状に対応する前記芯体(2)の前記断面の形状へ連続的に変化する、芯移行ゾーン(26);を含む、歯科インプラント(1)。
[5]前記長手方向の座標に特有なパラメータの各値について、前記芯体(2)の前記断面が、その最小半径に対するこの断面の最大半径の比率として定義される偏心パラメータによって特徴づけられる、[3]に記載の歯科インプラント(1)。
[6]特に[3]に記載の、特に患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラント(1)であって、前記歯科インプラント(1)が、
-歯根尖端(4)、歯冠端(6)及び前記歯根尖端(4)と前記歯冠端(6)の間に長手方向に沿って延在する外面(8)を有する芯体(2);ならびに
-前記芯体(2)から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山(12);を含み、
前記芯体(2)が、
-第1の芯成形ゾーン(22)であって、前記第1の芯成形ゾーン(22)で、前記芯体(2)の前記断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の前記中心(50)とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、第1の芯成形ゾーン(22);
-芯円形ゾーン(20)であって、前記芯円形ゾーン(20)で、前記芯体(2)の前記断面が基本的に円形に成形される、芯円形ゾーン(20);及び
-第2の芯成形ゾーン(26’)であって、前記第2の芯成形ゾーン(26’)で、前記芯体(2)の前記断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の前記中心(50)とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、第2の芯成形ゾーン(26’);を含み、
前記第1の芯成形ゾーン(22)で、その最小半径に対する前記芯体(2)の前記断面の最大半径の前記比率として定義される芯偏心パラメータが、前記第2の芯成形ゾーン(26’)より大きい、歯科インプラント(1)。
[7]前記芯円形ゾーン(20)が、前記長手方向で見て、前記歯根尖端(4)に隣接して配置される、[1]~[3]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[8]特に[1]~[4]のいずれか一項に記載の、特に患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラント(1)であって、前記歯科インプラント(1)が、
-歯根尖端(4)、歯冠端(6)及び前記歯根尖端(4)と前記歯冠端(6)の間に長手方向に沿って延在する外面(8)を有する芯体(2);ならびに
-前記芯体(2)から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山(12)であって、前記ねじ山(12)がねじ山外側容積(28)を画定する、ねじ山(12);を含み、
前記ねじ山(12)が、
-第1のねじ山成形ゾーン(30)であって、前記ねじ山成形ゾーン(30)で、前記ねじ山外側容積(28)の前記外側断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の前記中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、ねじ山成形ゾーン(30);
-好ましくは前記歯根尖端(4)に隣接するねじ山円形ゾーン(32)であって、前記ねじ山円形ゾーン(32)で、前記ねじ山外側容積(28)の前記外側断面が基本的に円形に成形される、ねじ山円形ゾーン(32);及び
-前記ねじ山成形ゾーン(30)と前記ねじ山円形ゾーン(32)の間に配置されるねじ山移行ゾーン(34)であって、前記ねじ山移行ゾーン(34)で、前記ねじ山外側容積(28)の前記外側断面形状が、前記長手方向の座標に特有なパラメータの関数として、前記ねじ山円形ゾーン(32)に隣接する基本的に円形形状から、前記ねじ山成形ゾーン(30)の前記外側断面形状に対応する前記ねじ山外側容積(28)の前記外側断面の形状へ連続的に変化する、ねじ山移行ゾーン(34);を含む、歯科インプラント(1)。
[9]前記長手方向の座標に特有なパラメータの各値について、前記ねじ山外側容積(28)の前記外側断面が、その最小半径に対するこの外側断面の前記最大半径の前記比率として定義されるねじ山偏心パラメータによって特徴づけられる、[4]に記載の歯科インプラント(1)。
[10]特に[1]~[9]のいずれか一項に記載の、特に患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラント(1)であって、前記歯科インプラント(1)が、
-歯根尖端(4)、歯冠端(6)及び前記歯根尖端(4)と前記歯冠端(6)の間に長手方向に沿って延在する外面(8)を有する芯体(2);ならびに
-前記芯体(2)から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山(12)であって、前記ねじ山(12)がねじ山外側容積(28)を画定する、ねじ山(12);を含み、
前記ねじ山(12)が、
-第1のねじ山成形ゾーン(30)であって、前記第1のねじ山成形ゾーン(30)で、前記ねじ山外側容積(28)の前記外側断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の前記中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、第1のねじ山成形ゾーン(30);
-好ましくは前記歯根尖端(4)に隣接するねじ山円形ゾーン(32)であって、前記ねじ山円形ゾーン(32)で、前記ねじ山外側容積(28)の前記外側断面が基本的に円形に成形される、ねじ山円形ゾーン(32);及び
-第2のねじ山成形ゾーン(34’)であって、前記第2のねじ山成形ゾーン(34’)で、前記ねじ山外側容積(28)の前記外側断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の前記中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、第2のねじ山成形ゾーン(34’);を含み、
前記第1のねじ山成形ゾーン(30)で、その最小半径に対する前記ねじ山外側容積(28)の前記外側断面の前記最大半径の前記比率として定義される芯偏心パラメータが、前記第2のねじ山成形ゾーン(34’)より大きい、歯科インプラント(1)。
[11]前記芯成形ゾーン(22)及び/または前記ねじ山成形ゾーン(30)が、前記歯冠端(6)に隣接する頂プラットホームゾーン(24)である、[4]~[10]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[12]前記主方向が、前記芯体(2)の長手方向中心軸(64)に対して対称に配置される、[3]~[10]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[13]前記芯体(2)の長手方向中心軸に対して及び極大値または極小値に対して、前記ねじ山外側容積(28)の前記外側輪郭が、前記芯体(2)の前記外側輪郭に適合する、[3]~[11]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[14]前記芯成形ゾーン(22)の及び/または前記移行ゾーン(26)の少なくとも一部の前記芯体(2)が三方楕円断面を有する、[3]~[12]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[15]前記移行ゾーン(26)の前記芯体(2)が、好ましくは1度~12度の範囲の円錐角を有する先細形状である、[1]~[14]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[16]前記移行ゾーン(26)が、前記長手方向で見て、前記歯根尖端(4)から約2~4mmの距離で始まる、[1]~[15]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[17]前記ねじ山(12)が平坦なねじ山である、[1]~[16]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[18]前記平坦なねじ山の自由幅(58)が、前記長手方向の座標パラメータへ依存して及び前記芯体(2)の前記歯根尖端(4)を起点として、前記歯根尖端(4)からの距離の増加と共に連続的に増加している、[14]に記載の歯科インプラント(1)。
[19]複数の切削溝(46)が少なくとも1つの前記移行ゾーン(26)に提供される、[1]~[18]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[20]前記切削溝(46)の前記数が主方向の前記数に等しい、[16]に記載の歯科インプラント(1)。
[21]前記切削溝(46)が前記芯体(2)の長手方向中心軸に対して対称に配置される、[1]~[20]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[22]前記各切削溝(46)が、前記芯体(2)の前記長手方向中心軸の周囲の配向方向で見て、隣接した主方向に対して所与の回転ずれで配置される、[19]~[21]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[23]前記芯体(2)が、前記歯冠端(6)に対して開いて、及び前記歯冠端(6)から前記歯根尖端(4)に向かって前記インプラント(1)の前記長手方向に沿って延在するチャネル(10)を含み、ならびに
前記芯体(2)が駆動ゾーンを有し、前記駆動ゾーンで、前記インプラント(1)の前記長手方向に垂直な前記チャネル(10)の前記断面が、前記断面の円周に沿って配置される複数の放射状凸部を有し、そこで前記放射状凸部の前記放射状の最外側点のそれぞれが、前記断面の中央(50)周辺の対応する円にあり、前記これらの円の少なくとも2つが互いに異なる半径を有する、[1]~[22]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1)。
[24]特に患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラント(201)であって、前記歯科インプラント(201)が、
-歯根尖端(207)及び歯冠端(209)を有する芯体(205)を含み、
前記芯体(205)が、前記歯冠端(209)に対して開いて、及び前記歯冠端(209)から前記歯根尖端(207)に向かって前記インプラント(201)の長手方向に沿って延在するチャネル(236)を含み、ならびに
前記芯体(205)が駆動ゾーン(242)を有し、前記駆動ゾーン(242)で、前記インプラント(201)の前記長手方向に垂直な前記チャネル(236)の断面が、前記断面の円周に沿って配置される複数の放射状凸部を有し、そこで前記放射状凸部の前記放射状の最外側点のそれぞれが、前記断面の中央周辺の対応する円にあり、前記これらの円の少なくとも2つが互いに異なる半径を有する、歯科インプラント(201)。
[25]前記芯体(205)が駆動部分(240)を更に有し、前記駆動部分(240)で、前記インプラント(201)の前記長手方向に垂直な前記チャネル(236)の前記断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の中心とその外部輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、[23]または[24]に記載の歯科インプラント(201)。
[26]前記駆動ゾーン(242)が前記駆動部分(240)の頂端に配置される、[25]に記載の歯科インプラント(201)。
[27]前記駆動部分(240)が先細形状を有し、その結果、前記駆動部分(240)で、前記インプラント(201)の前記長手方向に垂直な前記チャネル(236)の前記断面の横方向寸法が、前記歯冠端(209)から前記歯根尖端(207)に向かう方向に沿って減少する、[25]または[26]に記載の歯科インプラント(201)。
[28]前記主方向の数が3つ以上である、[25]~[26]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(201)。
[29]前記放射状凹部の前記放射状の最内側点が、前記断面の前記中央周辺の単一の円にある、[23]~[28]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(201)。
[30]前記放射状凸部が第1の放射状凸部及び第2の放射状凸部を含み、
前記第1の放射状凸部の前記放射状の最外側点が、前記断面の前記中央周辺の単一の第1の円にあり、
前記第2の放射状凸部の前記放射状の最外側点が、前記断面の前記中央周辺の単一の第2の円にあり、
前記第2の円が、前記第1の円より小さい半径を有し、ならびに
前記第1の放射状凸部及び前記第2の放射状凸部が、それらの間に配置された前記対応する放射状凹部と共に、前記断面の前記円周に沿って交互に配置される、[23]~[29]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(201)。
[31]前記芯体(205)が、前記歯根尖端(207)と前記歯冠端(209)の間で前記インプラント(201)の前記長手方向に沿って延在する外面を有し、
前記インプラント(201)が、前記芯体(205)から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山(203)を更に含み、
前記ねじ山(203)が、前記芯体(205)の前記歯根尖端(207)に向いている歯根尖面、及び前記芯体(205)の前記歯冠端(209)に向いている歯冠面を有し、
前記ねじ山(203)がその内部に形成される縦溝を有し、前記縦溝が前記ねじ山(203)の歯根尖端から前記ねじ山(203)の歯冠端に向かって延在し、ならびに
前記ねじ山(203)が、その歯根尖部で、その歯冠面に形成された凹部を有し、前記凹部が、前記ねじ山(203)の厚みの一部に沿って前記歯冠面から前記歯根尖面に向かう方向に延在し、前記凹部が前記縦溝に対して開いている、[23]~[30]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(201)。
[32]特に患者の骨組織内への埋入のための歯科インプラント(401)であって、前記歯科インプラント(401)が、
-歯根尖端(404)、歯冠端(406)、及び前記歯根尖端(404)と前記歯冠端(406)の間で前記インプラント(401)の長手方向に沿って延在する外面(408)を有する芯体(402);及び、
-前記芯体(402)から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山(412);を含み、
前記ねじ山(412)が、前記芯体(402)の前記歯根尖端(404)に向いている歯根尖面(414)、及び前記芯体(402)の前記歯冠端(406)に向いている歯冠面(416)を有し、
前記ねじ山(412)がその内部に形成される縦溝(418)を有し、前記縦溝(418)が前記ねじ山(412)の歯根尖端から前記ねじ山(412)の歯冠端に向かって延在し、ならびに
前記ねじ山(412)が、その歯根尖部で、その歯冠面(416)に形成された凹部(420)を有し、前記凹部420が、前記ねじ山(412)の厚みの一部に沿って前記歯冠面(416)から前記歯根尖面(414)に向かう方向に延在し、前記凹部(420)が前記縦溝(418)に対して開いている、歯科インプラント(401)。
[33]前記凹部(420)が、前記ねじ山(412)の厚みの20%~90%に沿って前記歯冠面(416)から前記歯根尖面(414)に向かう方向に延在する、[31]または[32]に記載の歯科インプラント(401)。
[34]前記歯冠面(416)から前記歯根尖面(414)に向かう方向への前記凹部(420)の延伸が、前記凹部(420)が開いている前記縦溝(418)から円周方向に離れる前記方向に沿って減少する、[31]~[33]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(401)。
[35]前記凹部(420)が、前記凹部(420)の幅方向に、前記ねじ山(412)の幅の50%~90%にわたって延在する、[31]~[34]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(401)。
[36]前記凹部(420)が、前記ねじ山(412)の最歯根尖での完全な回転で、前記ねじ山(412)の前記歯冠面(416)に形成される、[28]~[32]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(401)。
[37]前記ねじ山角度が15度以下である、[31]~[34]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(401)。
[38]前記インプラント(1’’’’)の歯冠面(100)が、前記インプラント(1’’’’)の前記歯冠端(6)の前記円周に沿って交互に配置される前記歯冠面(100)の最高点及び最小点を備えた、波状輪郭を有し、ならびに
前記歯冠面(100)の前記最高点で、前記インプラント(1’’’’)の前記歯冠端(6)が先細形状を有し、その結果、インプラント(1’’’’)の前記長手方向に垂直な前記歯冠端(6)の前記断面の前記横方向寸法が、前記インプラント(1’’’’)の前記歯根尖端(4)から前記インプラント(1’’’’)の前記歯冠端(6)に向かう方向に沿って減少する、[1]~[37]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1’’’’)。
[39]前記芯体(502)が、前記歯冠端(506)に対して開いて、及び前記歯冠端(506)から前記歯根尖端(504)に向かって前記インプラント(501)の前記長手方向に沿って延在するチャネル(510)を含み、ならびに前記チャネル(510)が円錐部分(514)を含む、[1]~[38]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(501)。
[40]前記円錐部分(514)が、前記インプラント(501)の前記長手方向に沿って前記インプラント(501)の前記歯冠端(506)から延在するように、配置される、[36]に記載の歯科インプラント(501)。
[41]患者の骨組織内に歯科インプラントを、特に[1]~[40]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1、201、401)を埋入するための埋入ツール(200)であって、
前記埋入ツール(200)が近位部分(202)及び遠位部分(204)を含み、前記遠位部分(204)が前記インプラント(1、201、401)と協調するためにあり、
前記遠位部分(204)が保持要素(206)を有し、
前記保持要素(206)が、前記埋入ツール(200)を前記歯科インプラント(1、201、401)に取り付けるための取付部分(208)を含み、
前記保持要素(206)が、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に対して垂直な全方向に、少なくとも弾性変形可能であり、ならびに
前記取付部分(208)が、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に対して実質的に垂直な1つ以上の方向に延在する、少なくとも1つの突起部(210)を含む、埋入ツール(200)。
[42]患者の骨組織内に歯科インプラントを、特に[1]~[40]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1、201、401)を埋入するための埋入ツール(200)であって、
前記埋入ツール(200)が近位部分(202)及び遠位部分(204)を含み、前記遠位部分(204)が前記インプラント(1、201、401)と協調するためにあり、ならびに
前記遠位部分(204)が駆動領域(214)を有し、前記駆動領域(214)で、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に垂直な前記遠位部分(204)の前記断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の前記中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、埋入ツール(200)。
[43]患者の骨組織内に歯科インプラントを、特に[1]~[40]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1、201、401)を埋入するための埋入ツール(200)であって、
前記埋入ツール(200)が近位部分(202)及び遠位部分(204)を含み、前記遠位部分(204)が前記インプラント(1、201、401)と協調するためにあり、ならびに
前記遠位部分(204)が駆動セクション(216)を有し、前記駆動セクション(216)で、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に垂直な遠位部分(204)の前記断面が、前記断面の前記円周に沿って交互に配置される、複数の放射状凸部(218)及び複数の放射状凹部(220)を有し、そこで前記放射状凸部(218)の前記放射状の最外側点(222、224)のそれぞれが、前記断面の前記中央周辺の対応する円にあり、前記これらの円の少なくとも2つが互いに異なる半径を有する、埋入ツール(200)。
[44]前記遠位部分(204)が更に駆動領域(214)を有し、前記駆動領域(214)で、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に垂直な前記遠位部分(204)の前記断面が複数の主方向を有し、これらの主方向で、前記断面の前記中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径が相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる、[41]に記載の埋入ツール(200)。
[45]前記駆動領域(214)が先細形状を有し、その結果、前記駆動領域(214)で、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に垂直な前記遠位部分(204)の前記断面の前記横方向寸法が、前記埋入ツール(200)の近位端から前記埋入ツール(200)の遠位端に向かう方向に沿って減少する、[42]または[44]に記載の埋入ツール(200)。
[46]主方向の数が3つ以上である、[42]、[44]及び[45]のいずれか一項に記載の埋入ツール(200)。
[47]前記遠位部分(204)が更に駆動セクション(216)を有し、前記駆動セクション(216)で、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に垂直な遠位部分(204)の前記断面が、前記断面の前記円周に沿って交互に配置される、複数の放射状凸部(218)及び複数の放射状凹部(220)を有し、そこで前記放射状凸部(218)の前記放射状の最外側点(222、224)のそれぞれが、前記断面の前記中央周辺の対応する円にあり、前記これらの円の少なくとも2つが互いに異なる半径を有する、[41]及び[44]~[46]のいずれか一項に記載の埋入ツール(200)。
[48]前記駆動セクション(216)、前記保持要素(206)及び前記駆動領域(214)が、前記埋入ツール(200)の遠位端から前記埋入ツール(200)の近位端に向かう方向にこの順序で配置される、[41]~[43]のいずれか一項に従属する[47]に記載の埋入ツール(200)。
[49]前記遠位部分(204)が更に駆動セクション(216)を有し、前記駆動セクション(216)で、前記埋入ツール(200)の前記長手方向に垂直な遠位部分(204)の前記断面が、前記断面の前記円周に沿って交互に配置される、複数の放射状凸部(218)及び複数の放射状凹部(220)を有し、そこで前記放射状凸部(218)の前記放射状の最外側点(222、224)のそれぞれが、前記断面の前記中央周辺の対応する円にあり、前記これらの円の少なくとも2つが互いに異なる半径を有する、[42]、[45]及び[46]のいずれか一項に記載の埋入ツール(200)。
[50]前記埋入ツール(200)が2つの分離部(230、232)からなり、それが互いに取り付けられている、特に互いに取り外し可能に取り付けられている、[41]~[49]のいずれか一項に記載の埋入ツール(200)。
[51]前記2つの分離部(230)のうちの1つが前記駆動セクション(216)を含み、ならびに前記2つの分離部(232)のうちの他のものが前記保持要素(206)及び前記駆動領域(214)を含む、[47]または[45]に従属する[50]に記載の埋入ツール(200)。
[52]前記保持要素(206)が、前記保持要素(206)の遠位端から前記保持要素(206)の近位端まで延在する少なくとも1つの切欠部を有する、[41]及び[44]~[51]のいずれか一項に記載の埋入ツール(200)。
[53]前記保持要素(206)が中空体であり、及び前記少なくとも1つの切欠部が前記保持要素(206)の外壁を貫通する、[52]に記載の埋入ツール(200)。
[54][1]~[40]のいずれか一項に記載の歯科インプラント(1、201、401)及び[41]~[53]のいずれか一項に記載の埋入ツール(200)の組み合わせ。
【0021】
本発明によれば、実施形態において、本目的は、
-歯根尖端(4)、歯冠端(6)及び前記歯根尖端(4)と前記歯冠端(6)の間に長手方向に沿って延在する外面(8)を有する芯体(2);
-前記芯体(2)から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山(12);ならびに
-前記芯体(2)によって、または前記ねじ山(12)によって画定されるねじ山外側容積(28)によって画定される特有インプラント容積;を含む、特に患者の骨組織への埋入のための歯科インプラント(1)により達成される。そこでは、インプラントの長手方向の座標に特有なパラメータの各値について、前記特有インプラント容積の断面は、その中心からこの断面の輪郭までの最小距離に対するその中心からこの断面の輪郭までの最大距離の比率として定義される、偏心パラメータによって特徴づけられる。前記特有容積は、
-少なくとも1つの歯冠ゾーンであって、前記偏心パラメータが最大の、好ましくは一定の値を有し、前記歯冠ゾーンがインプラントの全長の少なくとも10%の歯冠ゾーンの長さにわたってインプラントの長手方向軸に沿って延在する、歯冠ゾーン;
-少なくとも1つの歯根尖ゾーンであって、前記偏心パラメータが最小の、好ましくは一定の値を有し、前記歯根尖ゾーンがインプラントの全長の少なくとも30%の歯根尖ゾーンの長さにわたってインプラントの長手方向軸に沿って延在する、歯根尖ゾーン;及び
前記歯冠ゾーンと前記歯根尖ゾーンの間に配置された少なくとも1つの移行ゾーンであって、前記偏心パラメータが、前記長手方向の座標に特有なパラメータの関数として、前記歯根尖ゾーンに隣接する最小値から前記歯冠ゾーンに隣接する最大値まで連続的に、好ましくは直線的に変化し、前記移行ゾーンがインプラントの全長の少なくとも10%の移行ゾーンの長さにわたってインプラントの長手方向軸に沿って延在する、移行ゾーン、を含む。
【0022】
換言すれば、本実施形態では、その芯体によってまたはそのねじ山外側容積によって画定されるインプラントは、少なくとも3つの機能的部分を含み、そのそれぞれは、割り当てられた機能を提供するために特定の最小限の機能的長さを有する。これらの機能的ゾーンまたは部分の第1のものは、芯体及び/またはねじ山外側容積がその形状に特定の偏心を有する歯冠ゾーンであり、断面に示されるように半径に多くの最大値及び最小値を備える。第2の機能的ゾーンまたは部分は、芯体またはねじ山外側容積が最小の偏心距離、好ましくはほぼ円形断面を有する歯根尖ゾーンである。第1と第2ゾーンの間に位置する第3の機能的ゾーンは、第1と第2ゾーンの間のその長さにわたって偏心距離の円滑な移行を提供する移行ゾーン(したがって、断面対称)である。この設計によって、低偏心、好ましくはその歯根尖端のインプラントの均一な円形断面に起因して、骨材料へのインプラントの円滑かつ簡単な埋入は支援される。これに対し、埋入の最終段階、インプラントが骨材料に深く固定されるとき、その偏心が原因で、インプラントの比較的高偏心の歯冠ゾーンは、ねじ込められる際、周囲の骨材料に交互の圧縮及び弛緩期を提供する。同様に移行ゾーンは非常に望ましい円滑な移行を提供し、したがって埋入の際、骨材料の交互の圧縮/弛緩期の円滑な増加を提供する。
【0023】
好ましい実施形態において、その偏心部で、インプラントは、ねじ込められる際、骨材料の圧縮と弛緩期の間の特に円滑な振動のために設計される。この目的のため、前記歯冠ゾーン及び/または前記成形ゾーン及び/または前記移行ゾーンの好ましい実施形態では、前記特有インプラント容積の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。本発明によれば、一実施形態において、この目的は、インプラントの芯体が少なくとも第1の芯ゾーン、特に成形した芯ゾーンとして設計されたものを含む、設計によって達成される。第1の芯ゾーンで、芯体の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。更に本実施形態において、芯体は第2の芯ゾーン、特に円形芯ゾーンを含む。第2のゾーンで、前記芯体の断面は基本的に円形であり、インプラントの長手方向で見て、前記第1の成形ゾーンと前記第2の円形ゾーンの間に配置した移行ゾーンである。移行ゾーンで、前記芯体の断面形状は、長手方向の座標に特有なパラメータの関数として、前記第2の円形ゾーンに隣接する基本的に円形形状から、前記芯体の断面が、特に断面の一般的形状及び/またはその特有なパラメータの値に関して、前記第1または成形ゾーンの断面形状に対応する、形状へ変化する。
【0024】
換言すれば、本発明による歯科インプラントは、円形または基本的に円形の断面を有する円形ゾーンを含み、好ましい実施形態では、それはインプラントの歯根尖端に近接してまたはそれに隣接して配置される。この文脈において及び更に下記の内容において「基本的に円形」とは、公差などに起因する、最小の歪曲または偏差、例えば軽微な偏心距離を可能にする、高度に円形形状に近くなっている形状を定義する。その断面円形に起因するこの円形ゾーンは、インプラントが骨材料内にねじ込められる第1の時間中、骨組織に過剰な応力を加えずにねじ山と骨材料との比較的簡単な嵌合を可能にする。それに対し、インプラントの別のゾーンで、インプラントの中心領域に更に近くにまたはインプラントの他端付近に配置される好ましい実施形態では、芯体は、多くの丸い突出部または半径の極大値を特徴とする非円形断面を有して設計される。この領域で、インプラント本体が骨組織内にねじ込められるとき、骨組織に加わる圧縮力は、断面の局所半径が最大になるとき(インプラント本体の回転移動に起因)の最大圧縮と、断面の局所半径が最小になるときの最小圧縮の間の振動方法で変化する。特に比較的堅い骨組織を特徴とする頂ゾーンで、埋入の後、極小値を特徴とするこの成形輪郭は、最小値の近くに低骨応力の領域をもたらし、それによって骨材料の強化された再生を可能にして、血管への過剰に強力な圧縮の悪影響を著しく最小化する。
【0025】
これらのゾーンの異なる2つの間の円滑かつ有用な移行を可能にするために、本発明によるインプラントは、一対の1つの円形ゾーンと1つの非円形ゾーンの間に位置する芯体の追加のゾーンを提供する。この移行ゾーンは、それぞれの円形ゾーンに近接した範囲のそれぞれの円形ゾーンの断面に適合する円形断面から、このゾーンに近接した範囲の非円形断面のそれぞれのゾーンの断面に適合する非円形突出部のある断面に変化する(長手方向で見られる)一時的な断面を備える。この移行ゾーンに起因して、形状の即時かつ突然の変化、骨組織への剪断効果及び骨組織への他の損傷効果を回避し得る。組み合わせで、及び特に円形ゾーンがインプラントの歯根尖端に近接してまたはその近くに配置される好ましい実施形態では、インプラントはしたがって、その後の段階で骨組織への振動的圧縮効果によってねじ込められる第1期の骨組織とねじ山との比較的簡単な嵌合を提供する。
【0026】
本発明の代替的実施形態では、類似または同等の効果は、円形ゾーンと成形ゾーンの間の移行が段階的に遂行される、芯体の設計によって達成することができる。この代替的実施形態はしたがって独創的だとみなされて、第1の実施形態から分離した本発明に従って、またはそれと組み合わせて使用してもよい。
【0027】
本発明のこの代替的実施形態では、上で明らかになった目的は、インプラントの芯体が少なくとも第1の成形芯ゾーンを含む、設計によって達成される。第1の成形芯ゾーンで、芯体の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。更に本実施形態において、芯体は第2の芯ゾーン、特に円形芯ゾーンを含む。第2のゾーンで、前記芯体の断面は基本的に円形であり、好ましい実施形態では、インプラントの歯根尖端及び第2の芯成形ゾーンに近接して、またはその近くに配置されている。第2の芯成形ゾーンで、芯体の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。前記第1の芯成形ゾーンで、前記芯体の断面の最大半径対その最小半径の比率として定義される芯偏心パラメータは、前記第2の芯成形ゾーンより大きい。換言すれば、この実施形態では、基本的に円形または丸い形状から、成形または非円形形状への移行は、異なる偏心パラメータによって2つ以上の非円形成形ゾーンを提供することによって、段階的に遂行されることができる。
【0028】
本発明の更に別の代替的実施形態では、類似または同等の効果は、芯について上述した実施形態の1つまたは両方の設計に類似したねじ山の外側輪郭の設計によって達成することができる。この代替的実施形態はしたがって独創的だとみなされて、第1の実施形態から分離した本発明に従って、またはそれと組み合わせて使用してもよい。
【0029】
特に説明のために、ねじ山の外側輪郭は、ねじ山によって画定される外側容積または包絡容積を利用して記載することができる。本発明のこの代替的実施形態では、上で明らかになった目的は、インプラントのねじ山が、特に第1のねじ山成形ゾーンとして設計された第1のねじ山ゾーンを含む、設計によって達成される。第1のねじ山成形ゾーンで、ねじ山を囲む外側容積は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。更に、この実施形態では、ねじ山はねじ山円形ゾーンを含み、好ましい実施形態では、それはインプラントの歯根尖端に隣接して配置される。ねじ山円形ゾーンで、前記外面包囲容積の断面は基本的に円形であり、インプラントの長手方向で見て、前記第1の成形ゾーンと前記円形ゾーンの間に配置した移行ゾーンである。移行ゾーンで、ねじ山を包囲する前記外側容積の断面形状は、長手方向の座標に特有なパラメータの関数として、前記ねじ山円形ゾーンに隣接する基本的に円形形状から、前記包囲容積の断面が、特に断面の一般的形状及び/またはその特有なパラメータの値に関して、前記第1の成形ゾーンの断面形状に対応する、形状へ変化する。別の方法としてまたは更に、第1のねじ山成形ゾーンとは異なる偏心距離を備える第2のねじ山成形ゾーンを提供することによる段階的移行も、提供されてよい。
【0030】
本発明の有利な実施形態は、従属クレームの主題である。
【0031】
好ましい実施形態において、芯体の及び/またはねじ山の前記第1のまたは成形ゾーンは、頂プラットホームゾーンとして構成されて、インプラントの歯冠端に隣接して配置される。特に頂プラットホームゾーンは、歯科補綴に直接接続するように、すなわちインプラントの一体型用として、または歯科補綴を保持するアバットメントに直接接続するように、すなわちインプラントの二部品もしくは多部品型用として設計されてもよい。それ自体が独立の発明とみなされる更なる好ましい実施形態では、芯体及び/またはねじ山の外側輪郭により提供される前記形成された頂プラットホームゾーンは、インプラントの長手方向で見て、少なくとも2.5mm、好ましくは少なくとも3mmの長さを有する。驚くことに、成形した非円形ゾーンは、円形形状の輪郭と比較して、極小値で骨組織により少ないまたは低下した応力を誘発し、インプラントの埋入後、より少ない細胞死及びより少ない骨の再形成、頂プレート、頬側壁及び舌壁と定義される重要な骨構造の迅速な骨付着ならびに改善した保守をもたらす。その結果、骨材料の再生、更には骨結合は、重要な骨構造の領域の成形ゾーンの極小値を提供することによって大幅に向上する。骨結合の目的のために、これらの効果を、頂プレートの少なくとも2.5mmまたは好ましくは少なくとも3mmの最上層に提供することは非常に有用であるとみなされる。
【0032】
芯体及び/またはねじ山を包囲する外側容積の断面は、円形形状からのそれぞれの断面の偏差に特有の偏心パラメータによって特徴づけられることができる。この説明及び開示の目的のために及び本発明によれば、この偏心パラメータは、その最小半径に対する断面の最大半径の比率として定義され、その結果、偏心パラメータは円形形状において値1になる。この偏心パラメータは、前記長手方向、例えばインプラントの長手方向軸(y)の座標に特有な各パラメータ値について評価されることができる。先端ゾーン(=円形断面、偏心パラメータ=1)と第1または成形ゾーン(=突出したまたは非円形面、偏心パラメータ>1)の間に特に円滑な移行を提供するために、好ましい実施形態では、芯体及び/または外側ねじ山の前記移行ゾーンの偏心パラメータは、長手方向の座標パラメータへの線形従属がある。
【0033】
断面の各半径が極大値を有する、回転方向の移行ゾーンの、及び/または芯体の及び/またはねじ山の第1または成形ゾーンの主方向は、骨組織への所望の効果によって、特に個別に選択した角度によって配置されることができる。しかし、別の好ましい実施形態では、それらは、前記芯体または前記外面包囲容積の長手方向中心軸に対してそれぞれ対称に配置される(軸対称)。この設計は、工程中のねじり込みの結果として周囲の骨組織に加えた圧縮の程度での比較的円滑かつ規則的な変化を可能にする。
【0034】
特に好ましいとみなされる実施形態では、前記芯体の長手方向中心軸に対して及び極大値または極小値に対して、ねじ山の外部形状または外面包囲容積として定義される、インプラントの外側プロファイルは、前記芯体の外側輪郭に適合する。換言すれば、この好ましい実施形態では、芯体の半径が極大値を有する長手方向軸に対するその配向で、ねじ山を包囲する外側容積の外側輪郭は、同様に極大値をとる。この輪郭への適合は、好ましくは+/-20度の許容差範囲内の各主方向の重なりにより達成され得て、好ましい実施形態では正確であり得る。「適合」設計は、インプラントを骨組織内に埋入すると共に、芯体の外面及びねじ山の外面両方のインプラントの外側形状に従って、骨が凝縮かつ弛緩する、具体的な利点を有する。(芯体の外面及びねじ山の外面両方の)主方向の間の最小半径上の骨組織の弛緩は、特に高い骨対インプラント接触、及び強化した初期安定性を可能にする。
【0035】
都合のよいことに、移行ゾーン及び/または成形ゾーンの主方向の数は3つであり、すなわち成形ゾーン及び/または移行ゾーンの芯体は三方楕円断面を有する。長手方向に対する主方向の対称な配置の好ましい実施形態と組み合わせて、この三方楕円形は、120度の2つの隣接した主方向の間の回転オフセット角をもたらす。
【0036】
インプラントは、その移行ゾーンに起因して、圧縮を変化させることにより(成形ゾーンで、好ましくは頂プラットホームゾーンで)骨組織の成形及び直接処置への骨組織(円形ゾーンの)のねじ山の第1の嵌合の間に、円滑かつ有用な移行(工程のねじ込め中)のために特異的に設計される。これらのゾーン間の円滑な移行は、特に有利な実施形態で更に改善されることができ、そこで移行ゾーンの芯体は、1度と12度の間の、好ましくは4度と8度の間の円錐/テーパ角を好ましくは備えた円錐または先細形状である。特に好ましい実施形態では、円錐/テーパ角は、インプラントの全長及び直径に従って選択される。
【0037】
骨環境の必要条件に関してインプラントの適切かつ便利な寸法を考慮して、好ましい実施形態では、移行ゾーンは、長手方向で見て、インプラントの歯根尖端から約2~4mmの距離で始まる。換言すれば、代替のまたは追加の好ましい実施形態では、インプラントの歯根尖部の円形芯及び/またはねじ山ゾーンの位置決めは、高一次固定の可能性を最大にするために、非常に有用であるとみなされる。これは原則として有用であるが、更に具体的には抜歯窩にあり、即時の荷重プロトコルが好ましい可能性がある。有意な歯根尖の嵌合を提供するために、円形ゾーンは、インプラントの長手方向で見て、少なくとも2.5mmの長さを好ましくは有する。
【0038】
芯体の幾何学的設計に加えて、特に好ましい実施形態では、高一次固定での骨組織との確実な嵌合を支援するために、したがってねじ山も特に設計される。この目的のため、ねじ山は好ましくは平坦なねじ山である。更により有利なことに、平坦なねじ山の自由幅は、インプラントの長手方向の座標パラメータへ依存して及び芯体の歯根尖端を起点として、前記歯根尖端からの距離の増加と共に連続的に増加している。この設計で、歯根尖端に近接した領域のねじ山は、比較的鋭角で小さな外側幅を特徴とすることができ、それによって、ねじ山が骨組織に入るとき、高切削能力を提供する。骨組織の特定の位置にインプラントがねじ込められる(すなわちより遠くの骨組織に入るインプラント)工程で、平坦なねじ山の幅は連続的に増加し、それによって、骨組織のそれぞれの局所間隙を連続的に広げて、骨組織とインプラントの間の接触領域を常に強化する。インプラントの性質の更なる改善は、代替のまたは追加の好ましい実施形態のねじ山輪郭の追加の変形によって得られてもよい。それ自体も独創的とみなされている、特に独立の発明とみなされている、この変形で、ねじ山は、歯根尖面及び歯冠面を有する輪郭を好ましくは有する。そこで歯根尖面は、インプラントの長手方向軸に基本的に直交するように配置され、すなわち、歯根尖面の面法線はインプラントの長手方向軸と基本的に平行に配向される。この設計によって、歯根尖面と周囲の骨材料との確実な接触は、非円形外部面輪郭の結果として-ねじ山の歯根尖面の横方向の延伸が最小半径と最大半径の間を変化する場合であっても、維持できる。この実施形態では、歯冠面は、周囲の骨構造の要求に従って好ましくは選択される。好ましくは、それは、長手方向軸に対してある角度で、好ましくは約60度で配向され、すなわち頂面の面法線は、インプラントの長手方向軸に対してある角度で、好ましくは約30度で配向され、それによってねじ山全体がバットレスねじ山を形成する。この発明の形状、特に歯根尖面の配向が原因で、歯根尖面は、非常に効率的に咬合力の荷重を吸収できる。同様に頂面は、この形状で、骨を切削する工程を改善する、比較的小さくかつ鋭利な自由端、及びインプラントが嵌入される際に圧縮を提供する、より強力なねじ山のための比較的広くかつ大きな基部を提供する。
【0039】
特にねじ山の輪郭のこの設計は、芯体の外側輪郭の断面形状及び/またはねじ山を包囲する外側容積と組み合わせる際に有用である。この成形輪郭、特に三方楕円断面は、インプラントが骨材料にねじ込められるとき、インプラントの長手方向に骨圧縮の振動効果を生じさせる。その効果は、歯根尖面の配向を使用して制限されてもよい、または減少してもよい。代替のまたは追加の好ましい実施形態では、好ましくは主方向の数に等しい、複数の切削溝はインプラントの移行ゾーン及び/または成形ゾーンに提供される。これらの切削溝は、ねじ込まれる際にインプラント本体の強化された切削能力を可能にする。好ましくはこれらの切削溝は、芯体の長手方向中心軸に対して対称に配置される。特に独立発明と考えられ及び本発明に従った実施形態では、それは他の切削溝システムを改善するためにも使用され得る。各切削溝は、芯体の長手方向中心軸の周囲の配向方向で見て、隣接した主方向に対して所与の回転ずれで配置される。
【0040】
好ましくは配向方向の切削溝は、インプラントがねじ込まれる際、主方向と関連する極大値が骨材料の最大圧縮をもたらすことを考慮して、芯体及び/または外側ねじ山の隣接する主方向に対して配置される。一方で最大を過ぎた後の弛緩は、骨材料がある程度までインプラントの中央軸に向かって逆戻りするのを可能にする。本発明のこの態様による弛緩は、切削溝の切削効果を選択的に改善するために使用される。好ましくは、極大値と関連する切削溝の位置は、骨の正常化効果を達成するためのものである。換言すれば、回転方向に切削溝を配置することにより、その結果、骨材料を弛緩することは、軟骨ではなく硬骨を切削するとき、特に高効率で切削することによって嵌合され、そうしてより軟性の骨特性でのインプラントの安定性を保持する。
【0041】
好適な発明の実施形態では、これは、各主方向に対するオフセット角αに切削溝を配置することによって達成される。この実施形態では、角αは、それ自体が独立した発明とみなされる選択基準に従って選択される。この選択基準によれば、インプラントの長手方向軸から切削端の放射状延長部の外側限界によって画定される切削端の半径が、対応する主方向の最大半径未満の20と75μmの間になるように、切削縁48は配置されなければならない。この基準は、圧縮後このおおよその量によって、その密度が元に戻るまたは弛緩することによる、骨の特異的弾性を考慮する。好ましい実施形態では、切削端の半径は最大半径より小さい約35μmになるように選択され、そこでは芯体の残りの形状パラメータに従って、約106度の好ましいオフセット角αに転換される。インプラントを顎骨にねじ込めるとき、骨組織の通常の特性及び通常の寸法及び回転速度に関して、隣接する主方向に対する縦溝の配置の回転ずれは好ましくは80度~120度、特に約108度である。
【0042】
特に高一次固定及び高二次固定の両方を含む本発明で達成される利点は、特定の幾何学的設計によって達成することができる。本発明によるインプラントは、芯体及び/またはねじ山について、基本的に円形断面を有する円形ゾーンを特徴とする。それは、骨組織を連続して圧縮し、弛緩させることを可能にして、それによって頂領域または歯冠領域で頬側骨を保持するのを助ける、非円形、好ましくは三方楕円断面を有する成形ゾーンと組み合わせて、インプラントの減少した回転またはぐらつきでねじ山と骨組織との円滑な嵌合を可能にする。これらのゾーン間に提供される異なる偏心を有する、移行ゾーン及び/または追加の成形ゾーンは、円滑な移行を可能にし、骨組織が圧縮効果に穏やかに適応するのを可能にし、骨の摩擦及び不必要な研削または切削を低減する。
【0043】
本発明の一態様によれば、患者の骨組織内に歯科インプラントを、特に本発明による歯科インプラントを埋入するための埋入ツールを提供する。埋入ツールは近位部分及び遠位部分を含み、遠位部分はインプラントと協調するためにある。遠位部分は保持要素を有し、保持要素は、埋入ツールを歯科インプラントに取り付けるための取付部分を含む。保持要素は、埋入ツールの長手方向に対して垂直な全方向に、少なくとも弾性変形可能である。取付部分は、埋入ツールの長手方向に対して実質的に垂直な1つ以上の方向に、延在する少なくとも1つの突起部を含む。
【0044】
保持要素は、埋入ツール(例えば、埋入ツールの残部)と一体化して形成されてよい、またはそれに一体化して取り付けられてもよい。
【0045】
埋入ツールの保持要素全体は、弾性変形可能である。保持要素は、その全体の長さに沿って弾性変形可能である。保持要素の長さは、その長手方向(すなわちその軸方向)に沿って、つまり埋入ツールの長手方向(すなわち、埋入ツールの近位部分から埋入ツールの遠位端部に向かう方向)に沿って延在する。
【0046】
埋入ツールの近位部分は、埋入ツールを使用する際、臨床医により近い部分である。埋入ツールの遠位部分は、埋入ツールを使用する際、埋入部位により近い部分である。
【0047】
埋入ツールの遠位部分は、インプラントとの協調のためにある。特に遠位部分は、インプラントの歯冠部分の対応する部分(例えば窩)と協働してもよい。遠位部分は、少なくとも部分的に窩内に導入されてもよい。埋入ツールの遠位部分は、その長手方向軸の周囲の埋入ツールの回転に応じて、インプラントが骨組織内にねじ込まれるように、インプラントと、例えばインプラント窩と協働する。遠位ツール部分とインプラントの間の協調または相互作用により、その長手方向軸周囲に、例えば手動でまたはモーターを使用して適用される回転力は、インプラントを骨組織にねじり込むために、インプラントへ移される。
【0048】
埋入ツールの遠位部分は、インプラントと協働する部分として、駆動部を有してもよい。駆動部は、抗回転構造を含んでもよい、またをそれでもよい。抗回転構造は、ツールとインプラントが、例えば少なくとも部分的に、ツールの遠位部分をインプラント窩内に導入することによって、互いに嵌合するとき、ツールの長手方向軸周囲で埋入ツールとインプラントの間の相対回転を回避するように構成される。こうして、その長手方向軸周囲で埋入ツールに適用される回転力は、インプラントへ移される。埋入ツールの抗回転構造は、回転対称ではない(例えば、非円形)埋入ツールの長手方向に対して垂直な断面(すなわち、外側断面)を有してもよい。埋入ツールの遠位部分の抗回転構造は、インプラントの対応する抗回転構造と協働してもよい。インプラントの抗回転構造は、回転対称ではない(例えば、非円形)インプラントの長手方向に対して垂直な断面(例えば、内側断面)を有してもよい。ツール及びインプラントの抗回転構造の断面は、実質的に同一でもよい、または同一もしくは対応する形状を有してもよい。
【0049】
例えば、埋入ツールの遠位部分の駆動部は、下で更に詳述されるように駆動領域及び/または駆動部分でもよい。埋入ツールの駆動領域及び/または駆動セクションは、それぞれインプラントの駆動部分及び/または駆動ゾーンと協働できる。
【0050】
したがって保持要素全体は、埋入ツールの長手方向に対して少なくとも垂直な全方向にまたはそれに沿って、すなわち保持要素の全横断方向(すなわち保持要素の全半径方向)に、またはそれに沿って、弾性的に変形することができる。
【0051】
埋入ツールの長手方向に対して垂直な方向の埋入ツールの遠位部分の残部の弾性変形性は、保持要素のそれより低くてもよい。埋入ツールの遠位部分の残部は、埋入ツールの長手方向に対して垂直な方向に弾性変形可能でなくてもよい。
【0052】
保持要素は、埋入ツール(例えば、埋入ツールの残部)と一体化して形成されてよい、またはそれに一体化して取り付けられてもよい。したがって保持要素は、埋入ツールの一体部分を形成してもよい。
【0053】
保持要素の取付部分は、埋入ツールの長手方向に対して実質的に垂直な1つ以上の方向に、保持要素の残部の外面から延在する少なくとも1つの突起部または凸部を含む。
【0054】
取付部分の少なくとも1つの突起部または凸部は、歯科インプラントの歯冠部分に形成される対応する空洞に受容されるように構成される。
【0055】
埋入ツールは、保持要素の取付部分を歯科インプラントに取り付けることによって歯科インプラントに取り付けられる。
【0056】
保持要素の取付部分を歯科インプラントに取り付けるとき、保持要素は、保持要素の横断方向に沿って、すなわち半径方向に沿って、最初に弾性的に変形する、すなわち弾性的に圧縮されて、少なくとも1つの突起部または凸部が歯科インプラントの対応する空洞に受容されるとき、保持要素の復元力が原因で、その後その最初の形状に回復する。したがって取付部分は、確実かつ効率的な方法のスナップ嵌めによって、歯科インプラントに取り付けられることができる。取付部分の少なくとも1つの突起部または凸部と、歯科インプラントの対応する空洞と嵌合は、ユーザー(例えば歯科技工室の臨床医または技師)に、保持要素及びしたがって埋入ツールも歯科インプラントに適切に取り付けられたことが明白かつ明確であることを提供する、可聴及び/または触覚フィードバックを提供する。
【0057】
その部分だけよりも保持要素全体が、その横断方向に沿って弾性的に変形可能である。このように保持要素の特に高度の可撓性は、得られる。更に保持要素全体は、歯科インプラントへの埋入ツールの取り付けの際、弾性的に変形し、そうして保持部品が異なる歯科インプラントに繰り返し嵌合して、それから取り外される場合でも、保持要素の摩耗または破損のリスクを最小限度に抑える。
【0058】
したがって本発明の埋入ツールは、埋入ツールが歯科インプラントに適切に取り付けられているかの確実かつ効率的な表示を提供する。
【0059】
保持要素は、埋入ツール(例えば、埋入ツールの残部)と一体化して形成されてよい。本明細書で「一体化して形成される」という用語は、保持要素及び埋入ツール(例えば、埋入ツールの残部)が一体型構成で形成されることを意味する。一体型構成で保持要素及び埋入ツールを形成することは、埋入ツールが、特に単純かつ効率的な方法、例えば射出成形、フライス削り(例えばCNCフライス削り)などによって製造されるのを可能にする。保持要素は、埋入ツール(例えば、埋入ツールの残部)に一体化して取り付けられてもよい。本明細書で「一体化して取り付けられる」とは、保持要素及び/または埋入ツールを損傷する及び/または破壊することなく、保持要素が埋入ツールから取りはずすまたは分離することができないように、保持要素が埋入ツールに取り付けられることを意味する。
【0060】
保持要素が埋入ツールと一体化して形成される、またはそれに一体化して取り付けられる場合、埋入ツールの特に頑丈かつ安定的構成が得られる。
【0061】
保持要素は、例えば埋入ツールの長手方向に対して実質的に円形断面を有する、実質的に円筒状形状を有してもよい。
【0062】
保持要素の取付部分の少なくとも1つ以上の突起部または凸部は、埋入ツールの長手方向に対して実質的に垂直な1つ以上の方向に、すなわちその1つ以上の横断方向に延在する。特に取付部分は、保持要素の複数の横断方向に、すなわち保持要素の円周方向の保持要素の残部の外面の一部に沿って延在する、少なくとも1つの突起部または凸部を含むことができる。少なくとも1つの突起部または凸部は、保持要素の残部の外周の1%以上、1.5%以上、2%以上、5%以上、10%以上、20%以上または30%以上に沿って延在してもよい。
【0063】
埋入ツールは、例えば、金属(例えばステンレス鋼)、ポリマーまたは複合材料から作製されてもよい。
【0064】
保持要素及び埋入ツールの残部は、同一材料からまたは異なる材料から作製されてもよい。保持要素が埋入ツールの残部と異なる材料で作製される場合、保持要素により提供される保持力は、特に単純な方法で設定されることができる。
【0065】
保持要素は、保持要素の遠位端から保持要素の近位端まで延在する少なくとも1つの部分を有してもよく、少なくとも1つの部分は保持要素の残部より可撓性である。保持要素のこの可撓部分は、保持要素の弾性変形性に寄与する、またはそれを提供する。したがって保持要素は、単純かつ効率的な方法の弾性的に変形可能なやり方で構成されることができる。
【0066】
保持要素の遠位端から保持要素の近位端へ延在する少なくとも1つの部分は、保持要素の残部の材料より可撓性である材料から作製され得る、またはそれから形成され得る。代替的にまたは追加的に少なくとも1つの部分は、保持要素の残部の構成もしくは構造より高度の可撓性を備えた、構成または構造を有することができる。例えば少なくとも1つの部分は、例えばその内部に穿孔、凹部、開口部などを提供することによって、より可撓性になり得る。また例えば少なくとも1つの部分は、保持要素の残部より薄い厚み(すなわち、壁厚)を有してもよい。
【0067】
保持要素は、保持要素の遠位端から保持要素の近位端まで延在する、2つ以上、3つ以上の、または4つ以上の部分を有してもよく、これらの部分は保持要素の残部より可撓性である。
【0068】
保持要素は、保持要素の遠位端から保持要素の近位端まで延在する、少なくとも1つの切欠部または凹部を有してもよい。少なくとも1つの切欠部または凹部は、保持要素の弾性変形性に寄与する、またはそれを提供する。このような少なくとも1つの切欠部または凹部を備える保持要素を形成することは、特に保持要素の可撓性構造を提供する。更に、保持要素は特に単純な構造を有する。
【0069】
保持要素は中空及び/または管状体でもよく、少なくとも1つの切欠部または凹部は保持要素の外壁を貫通する。保持要素は、保持要素の長手方向に(すなわち、埋入ツールの長手方向)に垂直な断面に、開口環形または円環形(すなわちその円周に開口部を有する環形状、または実質的にC形状)有することができる。
【0070】
保持要素は、閉環形または閉円環形(すなわち、その円周に開口部のない環形状)を有してもよい。
【0071】
保持要素は埋入ツール(例えば、埋入ツールの残部)と、保持要素と埋入ツール(例えばその残部)の間に配置される1つ以上の連結部によって、一体化して形成されてよい、またはそれに一体化して取り付けられてもよい。1つ以上の連結部は、保持要素と保持要素の長手方向の埋入ツールの間に配置されてもよい。1つ以上の連結部のそれぞれは、保持要素の円周方向に保持要素の一部のみに沿って延在してもよい。
【0072】
このように保持要素は、特に単純かつ確実な方法で埋入ツールと一体化されることができる。
【0073】
1つ以上の連結部のうちの少なくとも1つまたはいくつかは、保持要素の円周の1%以上、1.5%以上、2%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上または40%以上に沿って延在してもよい。1つ以上の連結部のそれぞれは、保持要素の円周の10%以上、20%以上、30%以上または40%以上に沿って延在してもよい。
【0074】
保持要素は、複数の連結部によって、例えば2つは連結部、3つの連結部、4つの連結部または5つの連結部によって、埋入ツールと一体化して形成されてよい、またはそれに一体化して取り付けられてもよく、連結部は保持要素と埋入ツール(例えばその残部)の間に配置される。連結部は、保持要素の円周方向の隣接する連結部の間に間隙があるように、保持要素の円周方向に互いから分離されてもよい、すなわちそれぞれ配置されてもよい。連結部は、保持要素の円周方向に互いから等距離を隔てて分離されてもよい、または保持要素の円周方向に異なる間隔で互いから分離されてもよい。連結部は、保持要素の円周に沿って、すなわち保持要素の円周方向に、同じまたは異なる延伸を有することができる。
【0075】
保持要素は、単一の連結部によって、埋入ツール(例えばその残部)と一体化して形成されてよい、またはそれに一体化して取り付けられてもよい。保持要素は、保持要素の遠位端から保持要素の近位端まで延在する、単一の部分を有してもよく、単一の部分は保持要素の残部より可撓性である。単一の連結部は、保持要素の半径方向の単一の部分に対して反対に配置されてもよい、または保持要素の円周方向の単一の部分に隣接して配置されてもよい。
【0076】
保持要素は、単一の連結部によって、埋入ツールと一体化して形成されてよい、またはそれに一体化して取り付けられてもよい。保持要素は、保持要素の遠位端から保持要素の近位端まで延在する、単一の切欠部または凹部を有してもよい。単一の連結部は、保持要素の半径方向の切欠部もしくは凹部に対して反対に配置されてもよい、または保持要素の円周方向の切欠部もしくは凹部に隣接して配置されてもよい。
【0077】
保持要素は、単一の連結部によって、埋入ツールと一体化して形成されてよい、またはそれに一体化して取り付けられてもよい。単一の連結部は、保持要素の半径方向の取付部分の少なくとも1つの切欠部もしくは凹部に対して反対に配置されてもよい、または保持要素の円周方向の取付部分の少なくとも1つの切欠部もしくは凹部に隣接して配置されてもよい。
【0078】
保持要素は、少なくとも2つの連結部によって、埋入ツールと一体化して形成されてよい、またはそれに一体化して取り付けられてもよい。少なくとも2つの連結部は、保持要素の半径方向で互いに対して反対に配置されてもよい。
【0079】
埋入ツールの取付部分は、複数の、例えば2つ以上、3つ以上、4つ以上または5つ以上の突起部または凸部を含んでもよく、それぞれは埋入ツールの長手方向に対して実質的に垂直な1つ以上の方向に延在する。
【0080】
複数の突起部または凸部は、保持要素の円周方向に同じまたは異なる延伸を有することができる。複数の突起部または凸部は、保持要素の残部の外面から同一のまたは異なる隆起する高さ、すなわち、埋入ツールの長手方向に実質的に垂直な1つ以上の方向のこの外面からの高さを有してもよい。
【0081】
取付部分の複数の突起部または凸部は、保持要素の円周方向に順次または連続的に配置されてもよく、すなわち、その結果、1つはこの円周方向の他の後配列される。複数の突起部または凸部は、保持要素の円周方向に互いから等距離を隔て分離されてもよい、または異なる間隔で互いから分離されてもよい。
【0082】
取付部分の複数の突起部または凸部は、歯科インプラントの歯冠部分に形成される対応する空洞(複数可)に受容されるように構成される。
【0083】
上述されるように、保持要素は、保持要素の遠位端から保持要素の近位端まで延在する少なくとも1つの部分を有してもよく、少なくとも1つの部分は保持要素の残部より可撓性である。保持要素は、保持要素の遠位端から保持要素の近位端まで延在する、少なくとも1つの切欠部または凹部を有してもよい、またはそれを画定してもよい。埋入ツールの取付部分の少なくとも1つの突起部または凸部は、保持要素の少なくとも1つ以上の可撓部、または少なくとも1つの切欠部もしくは凹部に隣接して配置されてもよい。このように、保持要素と歯科インプラント間の特に確実かつ効果的なスナップ嵌め接続は、確実にされることができる。
【0084】
埋入ツールは視覚インジケータ(例えばマーキング)を有してもよく、それは、埋入ツール及び歯科インプラントが互いに適切に取り付けられているか更なる表示を提供するように構成される。例えば、視覚インジケータは、コーティング、レーザーマーク、溝などを含んでもよい、またはそれであり得る。視覚インジケータは、埋入ツールの遠位部分に提供されてもよい。
【0085】
保持要素は単一物質から形成され得る。保持要素は、例えば、金属(例えばチタン、チタン合金またはステンレス鋼)、ポリマーまたは複合材料から作製されてもよい。このように保持要素は、特に単純かつ確実な方法の弾性的に変形可能なやり方で構成されることができる。
【0086】
保持要素の材料は、金属、超弾性、非晶質などでもよい。
【0087】
保持要素は、例えば射出成形、フライス削り(例えばCNCフライス削り)などによって製造されてもよい。例えば保持要素は、例えば標識として色分けを提供するように、着色したプラスチックを用いた射出成形により製造されてもよい。保持要素が金属(例えばチタン、チタン合金またはステンレス鋼)から作製される場合、保持要素は陽極酸化されてもよい。
【0088】
本発明の一態様によれば、患者の骨組織内に歯科インプラントを、特に本発明による歯科インプラントを埋入するための埋入ツールを提供する。埋入ツールは近位部分及び遠位部分を含み、遠位部分はインプラントと協調するためにある。遠位部分は駆動領域を有し、駆動領域で、埋入ツールの長手方向に垂直な遠位部分の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。
【0089】
埋入ツールの遠位部分の駆動領域は、インプラントと協調する。駆動領域は、抗回転構造、例えば上述される抗回転構造を構成する。駆動領域は、ツールとインプラントが、例えば少なくとも部分的に、ツールの遠位部分をインプラント窩内に導入することによって、互いに嵌合するとき、ツールの長手方向軸周囲で埋入ツールとインプラントの間の相対回転を回避するように構成される。
【0090】
上述の駆動領域の断面形状は、その長手方向軸周囲で埋入ツールに適用される回転力のインプラントへの効率的、確実及び均一な移行を可能にする。そうして埋入ツールは、患者の骨組織へのインプラントの確実な埋入と共に、インプラント、特にその窩の損傷または破損の危険性を最小限度に抑えることを可能にする。
【0091】
埋入ツールの遠位部分の駆動領域は、インプラントの対応する抗回転構造、特に駆動部分と協働するように構成される。インプラントの駆動部分で、インプラントの長手方向に対して垂直なインプラントの窩またはチャネルの断面、すなわち内側断面は、複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。埋入ツールの駆動領域とインプラントの駆動部分の断面は、実質的に同一でもよい。
【0092】
埋入ツールの駆動領域の断面は、円形形状からのそれぞれの断面の偏差に特有の偏心パラメータによって特徴づけられることができる。この説明及び開示の目的のために及び本発明によれば、この偏心パラメータは、その最小半径に対する断面の最大半径の比率として定義され、その結果、偏心パラメータは円形形状において値1になる。埋入ツールの駆動領域の断面の偏心パラメータは、1超である。偏心パラメータは、例えば、1.1~1.6、1.2~1.5または1.3~1.4の範囲でもよい。
【0093】
この偏心パラメータは、埋入ツールの長手方向の座標に特有なパラメータの各値について評価されることができる。駆動領域の偏心パラメータは、埋入ツールの長手方向で一定でもよい。あるいは駆動領域の偏心パラメータは、埋入ツールの長手方向で変化してもよく、例えばツールの近位端からツールの遠位端に向かう方向に減少してもよい。駆動領域の偏心パラメータには、埋入ツールの長手方向の座標パラメータへの線形従属を有してもよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、断面の各半径が極大値を有する、埋入ツールの駆動領域の主方向は、埋入ツールの長手方向中心軸に対して対称に、特に軸方向に対称に配置される。
【0095】
埋入ツールの駆動領域の主方向の数は、3つ以上、4つ以上、5つ以上または6つ以上でもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、埋入ツールの駆動領域の主方向の数は3つであり、すなわち駆動領域は三方楕円断面を有する。上述のとおり、埋入ツールの長手方向に対する主方向の対称な配置と組み合わせて、この三方楕円形は、120度の2つの隣接した主方向の間の回転オフセット角をもたらす。
【0097】
駆動領域は先細形状を有してもよく、その結果、駆動領域で、埋入ツールの長手方向に垂直な遠位部分の断面の横方向寸法または延伸は、埋入ツールの近位端から埋入ツールの遠位端に向かう方向に沿って減少する。
【0098】
駆動領域で、埋入ツールの長手方向に垂直な遠位部分の断面の領域、すなわち遠位部分の断面領域は、埋入ツールの近位端から埋入ツールの遠位端に向かう方向に沿って減少してもよい。
【0099】
本発明の一態様によれば、患者の骨組織内に歯科インプラントを、特に本発明による歯科インプラントを埋入するための埋入ツールを提供する。埋入ツールは近位部分及び遠位部分を含み、遠位部分はインプラントと協調するためにある。遠位部分は、駆動部を有する。駆動セクションで、埋入ツールの長手方向に垂直な遠位部分の断面は、断面の円周に沿って交互に配置される、複数の放射状凸部及び複数の放射状凹部を有する。放射状凸部の放射状の最外側点のそれぞれは、断面の中央周辺の対応する円にある。これらの円の少なくとも2つは、互いに異なる半径を有する。
【0100】
埋入ツールの遠位部分の駆動セクションは、インプラントと協調する。駆動セクションは、抗回転構造、例えば上述される抗回転構造を構成する。駆動セクションは、ツールとインプラントが、例えば少なくとも部分的に、ツールの遠位部分をインプラント窩内に導入することによって、互いに嵌合するとき、ツールの長手方向軸周囲で埋入ツールとインプラントの間の相対回転を回避するように構成される。上述の駆動セクションの断面形状は、その長手方向軸周囲で埋入ツールに適用される回転力のインプラントへの効率的、確実及び均一な移行を可能にする。そうして埋入ツールは、患者の骨組織へのインプラントの確実な埋入と共に、インプラント、特にその窩の損傷または破損の危険性を最小限度に抑えることを可能にする。
【0101】
埋入ツールの遠位部分の駆動セクションは、インプラントの対応する抗回転構造、特に駆動セクションと協働するように構成される。インプラントの駆動ゾーンで、インプラントの長手方向に垂直なインプラントの窩またはチャネルの断面、すなわち内側断面は、断面の円周に沿って交互に配置される、複数の放射状凸部及び複数の放射状凹部を有する。そこで放射状凸部の放射状の最外側点のそれぞれは、断面の中央周辺の対応する円にあり、これらの円の少なくとも2つは、互いに異なる半径を有する。埋入ツールの駆動セクションとインプラントの駆動ゾーンの断面は、実質的に同一でもまたは互いに対応してもよい。放射状凹部の放射状の最内側点は、断面の中央周辺の単一の円にあってもよい。したがって放射状凹部のすべての放射状の最内側点は、断面の中央周辺の同じ円にあってもよい。あるいは、放射状凹部の放射状の最内側点のうちの少なくとも2つは、互いに異なる半径を有する、断面の中央周辺の異なる円にあってもよい。
【0102】
駆動セクションの埋入ツールの遠位部分の断面は、同数の放射状凸部と放射状凹部を有してもよい。放射状凸部及び/または放射状凹部の数は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上または9以上でもよい。特に好ましい実施形態では、断面は、6つの放射状凸部及び6つの放射状凹部を有する。
【0103】
放射状凸部は、1つ以上の第1の放射状凸部及び1つ以上の第2の放射状凸部を含んでもよい。そこで、1つ以上の第1の放射状凸部の1つ以上の放射状の最外側点のすべては、断面の中央周辺の単一の第1の円にあり、及び1つ以上の第2の放射状凸部の1つ以上の放射状の最外側点のすべては、断面の中央周辺の単一の第2の円にある。
【0104】
第2の円は、第1の円より小さい半径を有してもよい。第1の放射状凸部及び第2の放射状凸部は、それらの間に配置された対応する放射状凹部と共に、断面の円周に沿って交互に配置される。
【0105】
第1の放射状凸部の数は、第2の放射状凸部の数と同じでもよい。
【0106】
駆動セクションの埋入ツールの遠位部分の断面の放射状凸部は、第1の放射状凸部及び第2の放射状凸部のみを含んでもよい。すなわち第1及び第2の放射状凸部以外、これ以上放射状凸部は断面に存在しなくてもよい。
【0107】
駆動セクションの断面の放射状凸部及び/または放射状凹部はそれぞれ、曲線形状、例えば少なくとも部分的に円形形状、少なくとも部分的に楕円形状、少なくとも部分的に卵形状などを有してもよい。
【0108】
駆動セクションの断面の放射状凸部及び放射状凹部は、互いに直接的にまたは直に隣接して配置されてもよい。放射状凸部は、2つの放射状凹部と直接的にまたは直に隣接してもよく、逆もまた同様である。
【0109】
本発明の埋入ツールの遠位部分は、上述のとおり、駆動領域及び駆動セクションを有してもよい。駆動領域は、駆動セクションの近位に配置されてもよい。
【0110】
埋入ツールの遠位部分に駆動領域及び駆動セクションの両方を提供することによって、インプラントの骨組織への埋入の際、インプラント、特にその窩へのいかなる損傷または破損も、特に確実に回避されることができる。特に、インプラントの2つの対応する抗回転構造(例えば駆動領域及び駆動セクション)と協働できる、埋入ツールの遠位部分の2つの抗回転構造(すなわち駆動領域及び駆動セクション)の存在に起因して、骨組織へのその埋入の際、インプラントに適用される回転力または荷重は、2つの構造により分担されることができる。したがって、インプラントのこれらの2つの構造のいずれかへの任意の損傷を最小限度に抑えることができる。そうしてインプラントのこれらの構造の1つまたは両方は、インプラントの骨組織への埋入後、アバットメント、スキャンポスト、インプレッションポストなどについての指標として確実かつ効率的に使用することができる。
【0111】
本発明の埋入ツールの遠位部分は、上述のとおり、保持要素及び駆動領域を有してもよい。駆動領域は、保持要素の近位に配置されてもよい。
【0112】
本発明の埋入ツールの遠位部分は、上述のとおり、保持要素及び駆動セクションを有してもよい。駆動セクションは、保持要素の遠位に配置されてもよい。
【0113】
本発明の埋入ツールの遠位部分は、上述のとおり、保持要素、駆動領域及び駆動セクションを有してもよい。駆動セクションは、保持要素の遠位に配置されてもよい。駆動領域は、保持要素の近位に配置されてもよい。駆動セクション、保持要素及び駆動領域は、埋入ツールの遠位端から埋入ツールの近位端に向かう方向にこの順序で配置されてもよい。
【0114】
埋入ツールは材料の単一片からなってもよい。この場合、埋入ツールのすべての要素は、互いに一体化して形成される。
【0115】
埋入ツールは、2つの分離部、例えば遠位部及び近位部からなってもよく、それは互いに取り付けられている、特に互いに取り外し可能に取り付けられている。
【0116】
埋入ツールの2つの分離部は、互いに恒久的に取り付けられてもよい。
【0117】
例えば埋入ツールの遠位部は、埋入ツールの近位部の対応する凹部に適合する凸部を有してもよい。遠位部及び近位部は、凸部を凹部内に挿入することによって、互いに取り付けられてもよい、特に互いに取り外し可能に取り付けられてもよい。凸部及び凹部は、埋入ツールの長手方向軸の周囲で互いに対して遠位部及び近位部の任意の回転を防ぐために、対応する抗回転形状または構造を有してもよい。
【0118】
遠位部の抗回転構造は、回転対称ではない埋入ツールの長手方向に対して垂直な断面(例えば、凸部の外側断面)を有してもよく、例えばそれは非円形、例えば楕円形、卵形、多角形(例えば長方形、正方形、六角形)などである。埋入ツールの遠位部の抗回転構造は、埋入ツールの近位部の対応する抗回転構造と協働することができる。埋入ツールの近位部の抗回転構造は、回転対称ではない埋入ツールの長手方向に対して垂直な断面(例えば、凹部の内側断面)を有してもよく、例えばそれは非円形、例えば楕円形、卵形、多角形(例えば長方形、正方形、六角形)などである。遠位部及び近位部の抗回転構造の断面は、実質的に同一でもよい。
【0119】
上述のとおり2つの分離部、例えば遠位部及び近位部の形態で埋入ツールを提供することは、埋入ツールの製造、特に保持要素の製造をより単純かつより容易にする。特に保持要素が埋入ツールの近位部に提供されている場合、これが当てはまる。例えば保持要素の製造は、フライス削りによって実施することができる。
【0120】
埋入ツールの2つの分離部のうちの1つ、特に遠位部は、駆動セクションを含んでもよく、2つの分離部のうちの他のもの、特に近位部は、保持要素及び駆動領域を含んでもよい。このように埋入ツールの製造、特に保持要素の製造は、更に単純化されることができる。
【0121】
保持要素は、2つの分離部のうちの他のもの、特に近位部と一体化して形成されてもよい。
【0122】
保持要素は、2つの分離部のうちの他のもの、特に近位部に一体化して取り付けられてもよい。
【0123】
本発明は、本発明による歯科インプラントと本発明による埋入ツールの組み合わせを更に提供する。
【0124】
本発明の歯科インプラント及び埋入ツールについての上に提供した説明、特徴ならびに定義は、本発明の組み合わせに十分に当てはまる。
【0125】
本発明の組み合わせは、本発明の歯科インプラント及び埋入ツールについて既に上述した効果及び利点を提供する。
【0126】
歯科インプラントは、保持部品の取付部分の少なくとも1つの突起部または凸部を受容するために、その歯冠部分に形成される少なくとも1つの空洞を有することができる。
【0127】
本発明の一態様によれば、特に患者の骨組織への埋入のために、歯根尖端及び歯冠端を有する芯体を含む、歯科インプラントが提供される。芯体は、歯冠端に対して開いて、歯冠端から歯根尖端に向かうインプラントの長手方向に延在するチャネル及び窩を含む。芯体は駆動ゾーンを有し、その駆動ゾーンに、インプラントの長手方向に垂直なチャネルの断面は、断面の円周に沿って配置される複数の放射状凸部を有する。放射状凸部の放射状の最外側点のそれぞれは、断面の中央周辺の対応する円にある。これらの円の少なくとも2つは、互いに異なる半径を有する。インプラントの長手方向に垂直なインプラントの窩またはチャネルの内側断面は、断面の円周に沿って交互に配置される、複数の放射状凸部及び複数の放射状凹部を有することができる。
【0128】
歯科インプラントの長手方向は、インプラントの歯冠端からインプラントの歯根尖端に向かって延在する。インプラントの長手方向に垂直なチャネルの断面は、チャネルの内側断面である。
【0129】
インプラントの芯体の駆動ゾーンは、埋入ツール、特に上述の本発明の埋入ツール、すなわちその駆動セクションと協働する。駆動ゾーンは、抗回転構造、例えば上述される抗回転構造を構成する。駆動ゾーンは、ツールとインプラントが、例えば少なくとも部分的に、ツールの遠位部分をインプラントのチャネルまたは窩内に導入することによって、互いに嵌合するとき、ツールの長手方向軸周囲で埋入ツールとインプラントの間の相対回転を回避するように構成される。
【0130】
上述の駆動ゾーンの断面形状は、その長手方向軸周囲で埋入ツールに適用される回転力のインプラントへの効率的、確実及び均一な移行を可能にする。そうしてインプラントは、患者の顎骨または骨組織へのその確実な埋入と共に、インプラント、特にそのチャネルもしくは窩の損傷または破損の危険性を最小限度に抑えることを可能にする。
【0131】
インプラントの駆動ゾーンは、埋入ツールの遠位部分の対応する抗回転構造、特に駆動セクションと協働するように構成される。インプラントの駆動ゾーンと埋入ツールの駆動セクションの断面は、実質的に同一でもよい。
【0132】
駆動ゾーンのチャネル断面の放射状凹部の放射状の最内側点は、断面の中央周辺の単一の円にあってもよい。したがって放射状凹部のすべての放射状の最内側点は、断面の中央周辺の同じ円にあってもよい。あるいは、放射状凹部の放射状の最内側点のうちの少なくとも2つは、互いに異なる半径を有する、断面の中央周辺の異なる円にあってもよい。
【0133】
駆動ゾーンのチャネルの断面は、同数の放射状凸部と放射状凹部を有してもよい。放射状凸部及び/または放射状凹部の数は、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上または8つ以上でもよい。特に好ましい実施形態では、断面は、6つの放射状凸部及び6つの放射状凹部を有する。
【0134】
放射状凸部は、1つ以上の第1の放射状凸部及び1つ以上の第2の放射状凸部を含んでもよい。そこで、1つ以上の第1の放射状凸部の1つ以上の放射状の最外側点のすべては、断面の中央周辺の単一の第1の円にあり、及び1つ以上の第2の放射状凸部の1つ以上の放射状の最外側点のすべては、断面の中央周辺の単一の第2の円にある。
【0135】
第2の円は、第1の円より小さい半径を有してもよい。
【0136】
1つ以上の第1の放射状凸部の1つ以上の放射状の最外側点のうちの少なくとも1つは、角度許容差範囲内で、歯科インプラントの芯の極大値の角位置に適合する角位置に位置することができる。許容差範囲は、約+-10度、好ましくは+-5度であり得る。1つ以上の第1の放射状凸部の放射状の最外側点は、歯科インプラントの芯の極大値と同じ(または実質的に同じ)角位置に位置することができる。
【0137】
1つ以上の第1の放射状凸部の放射状の最外側点の数は、インプラント芯体の極大値の数と同じであり得る。
【0138】
1つ以上の第2の放射状凸部の1つ以上の放射状の最外側点のうちの少なくとも1つは、角度許容差範囲内で、歯科インプラントの芯の極小値の角位置に適合する角位置に位置することができる。許容差範囲は、約+-10度、好ましくは+-5度であり得る。1つ以上の第2の放射状凸部の放射状の最外側点は、歯科インプラントの芯の極大値と同じ(または実質的に同じ)角位置に位置することができる。
【0139】
駆動ゾーンの最外側点の上述した構成は、最大の材料が、所与の断面の前記最外側点とインプラントの芯体の周辺の間に存在することを確実にする。
【0140】
第1の放射状凸部及び第2の放射状凸部は、それらの間に配置された対応する放射状凹部と共に、断面の円周に沿って交互に配置される。
【0141】
第1の放射状凸部の数は、第2の放射状凸部の数と同じでもよい。
【0142】
駆動ゾーンのチャネルの断面の放射状凸部は、第1の放射状凸部及び第2の放射状凸部のみを含んでもよい。すなわち第1及び第2の放射状凸部以外、これ以上放射状凸部は断面に存在しなくてもよい。
【0143】
駆動ゾーンのチャネルの断面の放射状凸部及び/または放射状凹部はそれぞれ、曲線形状、例えば少なくとも部分的に円形形状、少なくとも部分的に楕円形状、少なくとも部分的に卵形状などを有してもよい。
【0144】
駆動ゾーンのチャネルの断面の放射状凸部及び放射状凹部は、互いに直接的にまたは直に隣接して配置されてもよい。放射状凸部は、2つの放射状凹部と直接的にまたは直に隣接してもよく、逆もまた同様である。
【0145】
芯体は駆動部分を更に有してもよく、駆動部分で、インプラントの長手方向に垂直なチャネルの断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。
【0146】
インプラントの芯体の駆動部分は、埋入ツール、特に上述の本発明の埋入ツール、すなわちその駆動領域と協働する。駆動部分は、抗回転構造、例えば上述される抗回転構造を構成する。駆動部分は、ツールとインプラントが、例えば少なくとも部分的に、ツールの遠位部分をインプラントのチャネルまたは窩内に導入することによって、互いに嵌合するとき、ツールの長手方向軸周囲で埋入ツールとインプラントの間の相対回転を回避するように構成される。
【0147】
上述の駆動部分の断面形状は、その長手方向軸周囲で埋入ツールに適用される回転力のインプラントへの効率的、確実及び均一な移行を可能にする。そうしてインプラントは、患者の顎骨または骨組織へのその確実な埋入と共に、インプラント、特にそのチャネルもしくは窩の損傷または破損の危険性を最小限度に抑えることを可能にする。
【0148】
インプラントの駆動部分は、埋入ツールの遠位部分の対応する抗回転構造、特に駆動領域と協働するように構成される。インプラントの駆動部分と埋入ツールの駆動領域の断面は、実質的に同一でもよい。
【0149】
インプラントの駆動部分の断面は、円形形状からのそれぞれの断面の偏差に特有の偏心パラメータによって特徴づけられることができる。この説明及び開示の目的のために及び本発明によれば、この偏心パラメータは、その最小半径に対する断面の最大半径の比率として定義され、その結果、偏心パラメータは円形形状において値1になる。インプラントの駆動部分の断面の偏心パラメータは、1超である。偏心パラメータは、例えば、1.1~1.6、1.2~1.5または1.3~1.4の範囲でもよい。
【0150】
この偏心パラメータは、歯科インプラントの長手方向の座標に特有なパラメータの各値について評価されることができる。駆動部分の偏心パラメータは、インプラントの長手方向で一定でもよい。あるいは駆動部分の偏心パラメータは、インプラントの長手方向で変化してもよく、例えばインプラントの歯冠端からインプラントの歯根尖端に向かう方向に減少してもよい。駆動部分の偏心パラメータは、インプラントの長手方向の座標パラメータへの線形従属を有してもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、断面の各半径が極大値を有する、インプラントの駆動部分の主方向は、インプラントの長手方向中心軸に対して対称に、特に軸方向に対称に配置される。
【0152】
インプラントの駆動部分の主方向の数は、3つ以上、4つ以上、5つ以上または6つ以上でもよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、インプラントの駆動部分の主方向の数は3つであり、すなわち駆動部分は三方楕円断面を有する。上述のとおり、インプラントの長手方向に対する主方向の対称な配置と組み合わせて、この三方楕円形は、120度の2つの隣接した主方向の間の回転オフセット角をもたらす。
【0154】
駆動部分は先細形状を有してもよく、その結果、駆動部分で、インプラントの長手方向に垂直なチャネルの断面の横方向寸法または延伸は、芯体の歯冠端から芯体の歯根尖端に向かう方向に沿って減少する。
【0155】
駆動部分で、インプラントの長手方向に垂直なチャネルの断面の領域、すなわちチャネルの断面領域は、芯体の歯冠端から芯体の歯根尖端に向かう方向に沿って減少してもよい。
【0156】
本発明のインプラントの芯体はしたがって、上述のとおり駆動ゾーン及び駆動部分を有してもよい。駆動領域は、駆動部分の頂端に配置されてもよい。
【0157】
インプラントの芯体に駆動ゾーン及び駆動部分の両方を提供することによって、インプラントの顎骨または骨組織への埋入の際、インプラント、特にそのチャネルもしくは窩へのいかなる損傷または破損も、特に確実に回避されることができる。特に、埋入ツールの遠位部分の2つの対応する抗回転構造(例えば駆動セクション及び駆動領域)と協働できる、インプラントの芯体の2つの抗回転構造(すなわち駆動ゾーン及び駆動部分)の存在に起因して、骨組織へのその埋入の際、インプラントに適用される回転力または荷重は、2つの構造により分担されることができる。したがって、インプラントのこれらの2つの構造のいずれかへの任意の損傷を最小限度に抑えることができる。そうしてインプラントのこれらの構造の1つまたは両方は、インプラントの顎骨または骨組織への埋入後、アバットメント、スキャンポスト、インプレッションポストなどについての指標として確実かつ効率的に使用することができる。
【0158】
芯体は、歯根尖端と歯冠端の間でインプラントの長手方向に沿って延在する外面を有してもよい。
【0159】
歯科インプラントは、芯体から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山を更に含んでもよく、ねじ山は、芯体の歯根尖端に向いている歯根尖面、及び芯体の歯冠端に向いている歯冠面を有する。
【0160】
ねじ山は、その内部に形成される縦溝、すなわち切削溝を有してもよく、縦溝は、ねじ山の歯根尖端からねじ山の歯冠端に向かって延在する。
【0161】
ねじ山は、その歯根尖部で、その歯冠面に形成された凹部を有してもよく、凹部は、ねじ山の厚みの一部に沿って歯冠面から歯根尖面に向かう方向に延在する。凹部は縦溝に対して開いている、すなわち縦溝に開いている。
【0162】
本発明の一態様によれば、特に患者の骨組織への埋入のために、歯根尖端、歯冠端、及び歯根尖端と歯冠端の間でインプラントの長手方向に沿って延在する外面を有する芯体を含む、歯科インプラントが提供される。インプラントは、芯体から外向きに延在する少なくとも1つのねじ山を更に含む。ねじ山は、芯体の歯根尖端に向いている歯根尖面、及び芯体の歯冠端に向いている歯冠面を有する。ねじ山は、その内部に形成される縦溝、すなわち切削溝を有する。縦溝は、ねじ山の歯根尖端からねじ山の歯冠端に向かって延在する。ねじ山は、その歯根尖部で、その歯冠面に形成された凹部を有し、凹部は、ねじ山の厚みの一部に沿って歯冠面から歯根尖面に向かう方向に延在する。凹部は縦溝に対して開いている、すなわち縦溝に開いている。
【0163】
ねじ山の厚さは、ねじ山の歯冠面からねじ山の歯根尖面に向かう方向に延在する。ねじ山の幅は、芯体から外側に放射状方向に延在する。ねじ山の長さは、インプラントの長手方向に延在する。
【0164】
上述のとおり、ねじ山に縦溝及び凹部を提供することによって、インプラントは自己穿孔式になる。更に縦溝及び凹部の配置は、インプラントを顎骨または骨組織に嵌入するのに必要な埋入トルクまたは回転力を低減するのを助ける。これは、特に硬骨の場合に有利である。インプラントを嵌入するとき、その軸方向の加圧は必要とされない。むしろインプラントは、その回転に応じて、埋入部位内にそれ自体を効率的かつ確実に入れる。
【0165】
凹部は、切削機能、すなわち骨組織を切削する機能を有する。したがって凹部は、効率的に骨材料を切削し、除去して、更に芯体の歯冠端の方へ除去された骨材料を輸送するのを助ける。
【0166】
特にインプラントを埋入部位、例えば抜歯部位に埋め込むとき、例えばインプラントと骨組織の間の傾斜したまたは角度のある配置が原因で、そこでインプラントは横向きに切断しなければならず、本発明のインプラントは骨にその円滑かつ正確な配置を確実にする。更に凹部は、骨壁が均一ではなく、したがって通常穿孔から生じる円筒形状の骨切断を作製することができない、骨組織の準備不足の孔または抜歯窩へのインプラントの埋入に大いに役立つ。
【0167】
本発明のインプラントはしたがって、低減した力及び高度な精度で骨組織へのその埋入を可能にする。このように、インプラントと骨組織の特に安定かつ頑丈な接続または嵌合、すなわち高い埋入安定性は、達成されることができる。
【0168】
ねじ山の歯冠面の凹部の配置に起因して、上述の効果は、広範囲のインプラントのねじ山角度にわたって、すなわち実質的にすべてのインプラントのねじ山角度について、特に小さなインプラントのねじ山角度について、達成されることができる。
【0169】
したがって本発明は、多種多様なインプラントのねじ山角度、特に小さなねじ山角度において、顎骨または骨組織の確実かつ正確な配置及びその嵌合を可能にする、歯科インプラントを提供する。歯科インプラントは、少なくとも1つのねじ山を含む。歯科インプラントは、複数のねじ山、例えば2つ以上のねじ山、3つ以上のねじ山または4つ以上のねじ山を含んでもよい。
【0170】
少なくとも1つのねじ山は、その内部に形成される少なくとも1つの縦溝、すなわち少なくとも1つの切削溝を有する。少なくとも1つの縦溝は、少なくとも1つの縦溝の長さ方向に、ねじ山の歯根尖端からねじ山の歯冠端に向かって延在する。したがって少なくとも1つの縦溝は、ねじ山の歯根尖端で開始して、そこからねじ山の歯冠端に向かって延在する。少なくとも1つの縦溝は、ねじ山の長さの20%以上、30%以上、40%以上、50%以上または60%以上にわたって延在してもよい。
【0171】
少なくとも1つの縦溝は、インプラントの長手方向に実質的に平行な方向に、またはインプラントの長手方向に対して傾いたもしくは傾斜した方向に延在してもよい。後者の場合、少なくとも1つの縦溝の延伸方向とインプラントの長手方向の間の角度は、2度~20度、5度~15度、または8度~12度の範囲でもよい。
【0172】
少なくとも1つの縦溝は、少なくとも1つの縦溝の幅方向に、芯体の円周の一部に沿って延在する。少なくとも1つの縦溝は、芯体の円周の10%~30%、15%~25%、または18%~22%にわたって延在してもよい。ねじ山は、その内部に形成された複数の縦溝、すなわち複数の切削溝を有してもよい。複数の縦溝のうちの1つは、ねじ山の歯根尖端からねじ山の歯冠端に向かって延在する。ねじ山は、その内部に形成された2つ以上の縦溝、3つ以上の縦溝または4つ以上の縦溝を有してもよい。
【0173】
複数の縦溝は、ねじ山の長さに沿って及び/またはねじ山の円周に沿って、すなわち芯体の円周に沿って千鳥配列または位置をずらした配置で配置されてもよい。
【0174】
ねじ山は、その歯冠面に形成された少なくとも1つの凹部を有し、少なくとも1つの凹部は、ねじ山の厚みの一部に沿って歯冠面から歯根尖面に向かう方向に延在する。したがって少なくとも1つの凹部は、ねじ山の歯冠面で開始して、そこからねじ山の歯根尖面に向かって延在する。少なくとも1つの凹部は、ねじ山の厚さ方向でねじ山に完全には貫通しない。少なくとも1つの凹部は、ねじ山の歯冠面に対して開いている、すなわちそれに開いている。
【0175】
更に凹部は縦溝に対して開いている、すなわち縦溝に開いている。凹部は縦溝に隣接して、すなわち直接または直に隣接して提供される。
【0176】
少なくとも1つの凹部は、ねじ山の厚みの20%~90%、30%~80%、40%~70%または50%~60%に沿って歯冠面から歯根尖面に向かう方向に延在してもよい。このように、インプラントの十分な安定性を維持しつつ、凹部が骨切削工程に効率的に役立つことできることが確保され得る。
【0177】
利用可能な骨が低容量の場合(例えば、抜歯窩)、第1のねじ山が骨に切り込まれる際、穿設孔は小型であり得て、その結果先端から得られるインプラントの良好な安定性が得られる。歯冠面から歯根尖面(すなわち、少なくとも1つの凹部の深さ)に向かう方向への少なくとも1つの凹部の延伸は、歯冠または歯根尖面に平行な方向に沿って一定でもよい。
【0178】
歯冠面から歯根尖面(すなわち、少なくとも1つの凹部の深さ)に向かう方向への少なくとも1つの凹部の延伸は、歯冠または歯根尖面に平行な方向に沿って変化してもよい。この場合、歯冠面から歯根尖面に向かう方向への少なくとも1つの凹部の最大延伸は、ねじ山の厚みの20%~90%、30%~80%、40%~70%または50%~60%の範囲でもよい。歯冠面から歯根尖面に向かう方向への少なくとも1つの凹部の最大延伸は、縦溝に直接隣接して配置される凹部の部分に存在してもよい。
【0179】
歯冠面から歯根尖面に向かう方向への少なくとも1つの凹部の延伸は、凹部が開いている縦溝から円周方向に離れる方向に沿って減少してもよい。このように、凹部の特に効果的な切削機能を得ることができる。
【0180】
少なくとも1つの凹部は、湾曲した形状を有してもよい。例えば少なくとも1つの凹部は、球体もしくは楕円体の一部または部分、例えば4分の1の球体または4分の1の楕円体の形状を有してもよい。少なくとも1つの凹部のこのような湾曲形状は、凹部及びしたがって更にインプラントが特に単純かつ費用効率の高い方法で製造されるのを可能にする。
【0181】
少なくとも1つの凹部は、ねじ山の幅方向に、ねじ山の幅の50%~90%、60%~80%、または65%~75%にわたって延在してもよい。
【0182】
少なくとも1つの凹部は、インプラントの回転方向の縦溝の上流側に配置されてもよい。インプラントの回転方向は、インプラントが骨組織内にねじ込められる方向である。
【0183】
少なくとも1つの凹部は、ねじ山の第1の完全または最大限の回転で、ねじ山の歯冠面に形成されてもよい。ねじ山の第1の完全または最大限の回転は、完全な回転がねじ山の歯根尖端から始まってねじ山の歯冠端に向かって進んで計数されるとき、第1の完全な回転である。ねじ山の第1の完全な回転は、したがってねじ山の最歯根尖での完全な回転である。少なくとも1つの凹部のこのような配置は、インプラントの顎骨または骨組織との特に安定かつ頑丈な嵌合を可能にする。
【0184】
少なくとも1つの凹部は、ねじ山の第2の完全または最大限の回転で、ねじ山の歯冠面に形成されてもよい。少なくとも1つの凹部は、ねじ山の第3の完全または最大限の回転で、ねじ山の歯冠面に形成されてもよい。
【0185】
ねじ山は、その歯冠面に形成された複数の凹部を有する。例えば複数の凹部のうちの1つは、ねじ山の第1及び第2の完全または最大限の回転で、ねじ山の歯冠面のそれぞれに形成されてもよい。複数の凹部のうちの1つは、ねじ山の第1、第2及び第3の完全または最大限の回転で、ねじ山の歯冠面のそれぞれに形成されてもよい。
【0186】
ねじ山角度、すなわち、インプラントの長手方向に対して垂直な平面に対するねじ山の傾斜角度は、25度以下、20度以下、15度以下、12度以下または10度以下でもよい。特に好ましい実施形態では、ねじ山角度は10度以下である。
【0187】
このような小さなねじ山角度は、インプラントの特に円滑かつ正確な配置を可能にする、インプラントが、よりゆっくり、すなわちインプラントの回転当たりのより少ない前進運動で骨組織内に導入されるという利点を提供する。
【0188】
上述のように、本発明のインプラントの凹部は、このような小さなねじ山角度を有するねじ山と組み合わせて特に良好に働く。特にねじ山の歯冠面の凹部の配置は、凹部の存在に起因して、ねじ山角度の局所増加を提供できる。例えばねじ山角度は、局所的に20度~40度、または25度~35度に増大してもよい。
【0189】
したがって凹部は、骨組織の切削に大いに寄与することができる。
【0190】
本開示の上記及び他の特徴は、添付の図面とともに検討すれば、下記の説明と添付の特許請求の範囲から、更に十分に明らかになるであろう。これらの図面は、本開示によるいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、本開示の範囲を限定するとはみなされないという理解のもと、添付の図面を用いて、更に具体的かつ詳細に本開示について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0191】
図1】本発明の一実施形態による、歯科インプラントの側面斜視図である。
図2】本発明による、別の歯科インプラントの側面斜視図である。
図3】区別したゾーンを備えた、本発明による歯科インプラントの実施形態の側面図である。
図4図3のインプラントの縦断面図である。
図5図2のインプラントの縦断面図である。
図6】本発明によるインプラントの異なる実施形態の図である。
図7】本発明によるインプラントの異なる実施形態の図である。
図8】本発明によるインプラントの異なる実施形態の図である。
図9】本発明によるインプラントの異なる実施形態の図である。
図10】本発明によるインプラントの異なる実施形態の図である。
図11】本発明によるインプラントの異なる実施形態の図である。
図12】本発明によるインプラントの異なる実施形態の図である。
図13】切削溝を備えた、本発明によるインプラントの異なる実施形態の側面図である。
図14】切削溝を備えた、本発明によるインプラントの異なる実施形態の側面図である。
図15】切削溝を備えた、本発明によるインプラントの異なる実施形態の側面図である。
図16】切削溝を備えた、本発明によるインプラントの異なる実施形態の側面図である。
図17】切削溝を備えた、本発明によるインプラントの異なる実施形態の側面図である。
図18】切削溝を備えた、本発明によるインプラントの異なる実施形態の側面図である。
図19図11のインプラントの好ましい実施形態の歯冠部分の側面斜視図である。
図20】本発明の実施形態による歯科インプラントの側面図である。
図21図20のインプラントの断面の概略である。
図22図1図2図11のインプラントの縦断面図である。
図23図22の一部の拡大図である。
図24】骨材料内への埋入後の図1図2図11のインプラントの一部の縦断面図である。
図25】上から見た図1図2図11のインプラントの2つの図である。
図26図1図2及び図11のインプラントの縦断面斜視図である。
図27図1図2及び図11のインプラントの縦断面斜視図である。
図28】インプラントの他の内部接続を示す、本発明の別の実施形態による歯科インプラントの上部の縦断面斜視図である。
図29】本発明の別の実施形態による歯科インプラントの歯冠部分の側面斜視図である。
図30図29の歯科インプラントの側面斜視図である。
図31図29の歯科インプラントの側面図である。
図32】本発明の別の実施形態による歯科インプラントの先端部分の側面図である。
図33】本発明の別の実施形態による歯科インプラントの底面斜視図である。
図34】本発明の別の実施形態による歯科インプラントの側面斜視図である。
図35】インプラントの長手方向軸に沿ったインプラントの特定の部分における、偏心の可能な変化を示すグラフである。
図36】本発明の第1の実施形態による埋入ツールを示す。図36(a)は埋入ツール全体の側面図である。図36(b)は埋入ツールの遠位部分を拡大した側面図である。図36(c)は埋入ツールの遠位部分の斜視図である。
図37】本発明の第1の実施形態による埋入ツールを示す。図37(a)は埋入ツールの遠位部分の分解斜視図である。図37(b)は埋入ツールの遠位部分の分解側面図である。図37(c)は埋入ツールの遠位部分の分解断面図である。図37(d)は、埋入ツールの遠位部分の一部が歯科インプラントに挿入されている状態を示す、断面図である。
図38】本発明の第1の実施形態による埋入ツールを示す。図38(a)は埋入ツール全体の側面図である。図38(b)は、図38(a)の線C-Cによる埋入ツールの遠位部分の断面図である。図38(c)は埋入ツールの遠位部分の側面図である。図38(d)は、図38(c)の線A-Aによる埋入ツールの遠位部分の断面図である。図38(e)は、埋入ツールの第1の実施形態の変形で、図38(c)の線A-Aによる埋入ツールの遠位部分の断面図である。図38(f)は、図38(c)の線B-Bによる埋入ツールの遠位部分の断面図である。
図39】本発明の第1の実施形態による埋入ツールと歯科インプラントの組み合わせを示す。図39(a)は、埋入ツールがインプラントに取り付けられている状態での組み合わせの側面図である。図39(b)は、図39(a)の線D-Dによる埋入ツールの遠位部分及びインプラントの歯冠部分の断面図である。図39(c)は、図39(b)の線E-Eによるインプラントの歯冠部分の断面図である。
図40】本発明の第2の実施形態による埋入ツールを示す。図40(a)及び(b)は異なる角度による埋入ツールの遠位部分の斜視図である。
図41】本発明の実施形態による歯科インプラントを示す。図41(a)はインプラントの側面図である。図41(b)はインプラントの底面図である。図41(c)は図41(b)の線H-Hによるインプラントの断面図である。
図42】本発明の実施形態による歯科インプラントを示す。図42(a)は図41(c)に示す矢印Kの方向のインプラントの頂部の側面図である。図42(b)は図41(c)に示す矢印Jの方向のインプラントの頂部の側面図である。図42(c)は図41(c)に示す丸で囲んだ領域Mの拡大図である。図42(d)は図41(b)に示す丸で囲んだ領域Gの拡大図である。
図43】本発明の別の実施形態による歯科インプラントを示す。図43(a)はインプラントの側面図である。図43(b)は図43(a)の線B-Bによるインプラントの断面図である。図43(c)はインプラントの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0192】
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【0193】
同一部分は、すべての図で同じ参照番号で表す。示すように個々の特徴は、そのすべてが本発明の範囲内であると見なされる、更なる変形に組み込まれてもよい。
【0194】
図1に示す歯科インプラント1は、歯科補綴またはクラウンとして機能する補綴部分をそこで保持するために、引き抜かれたまたは脱落した歯の場所の患者の顎骨で使用するために提供される。示すように例示的実施形態において、歯科インプラント1は、いわゆる多部品型構成用に設計されて、患者の骨組織への埋入のためいわゆる支柱部として構成される。歯科インプラント1が使用されることを目的とする歯科インプラントシステムは、取付部分またはアバットメントとも称され、インプラント1と協働することができる歯の補綴部分または他の任意の補綴要素を固定するために提供される、それと関連する第2のインプラント部品(図示せず)も含む。しかし、あるいは及び更に本発明によれば、歯科インプラント1は、一体型歯科インプラントシステムで使用するようにも構成される可能性があり、そこでその頂領域の歯科インプラント1は、直接歯の補綴部分または補綴要素を取り付けるための手段も保有する。
【0195】
インプラント1は、その本体として、歯根尖端4、歯冠端6、及び歯根尖端4と歯冠端6の間に長手方向に沿って延在する外面8を有する芯体2を含む。一体型構成で、芯体2の歯冠端6は、歯科補綴が適切に及び高い機械的安定度を備えて取り付けられることができるように、適切に設計される可能性がある。しかし示す例で、歯科インプラントシステムの多部品型構成に起因して、歯冠端6は、第2のインプラント部品またはアバットメントとの高い機械的安定度の接続を形成するように設計される。歯の補綴部分または補綴を取付部分またはアバットメントに適切に固定した後、このような高い機械的安定性を提供するために、インプラント1は、アバットメントの対応する接続ピンが嵌入されることができる受容チャネル10を特徴とする。接続ピンを受容チャネル10に押し込むことによって、インプラント1及びアバットメントは互いに機械的に接続される。インプラント1及びアバットメントの機械的接続は、関連する接続ねじを介して達成され、それの雄ねじは、インプラント1に提供される雌ねじにねじ込められ、それによって接続ねじのねじ頭は、インプラント1上へアバットメントを押圧する。
【0196】
その外面8に、インプラント1の芯体2は、芯体2から外向きに延在する外ねじ12を備えている。ねじ山12は、特に自己穿孔式ねじ山として歯根尖端4に近接したゾーンに構成され、それによってインプラント1は、意図した場所にねじ込むことによって、顎骨に嵌入されることができる。ねじ山12の傾斜度は、均一または可変であり得る。
【0197】
そのねじ山12を含むインプラント1は、特に所望の高一次及び二次固定、ならびに顎骨への歯科インプラント1の咀嚼荷重下で生じる力の均一な転送を考慮して、特に設計されている。この目的のために、インプラントは、多くの特異ゾーンまたはセクションを含み、そのそれぞれは、高一次固定または高二次固定に特異的に寄与すると示される。
【0198】
第1に、歯科インプラント1の芯体2は、示すように好ましい実施形態では、歯根尖端4に隣接して位置する円形ゾーン20を含む。芯円形ゾーン20で、インプラント1の芯体2は、インプラント1が骨材料内にねじ込められる第1の時間中、骨組織に過剰な応力を加えずにねじ山12と骨材料との比較的簡単な嵌合ために設計される。この目的のため、芯円形ゾーン20で、芯体2は円形断面を有する。インプラント1の歯根尖部の芯円形ゾーン20の位置決めは、高一次固定の可能性を最大にするために、非常に有用であるとみなされる。これは原則として有用であるが、更に具体的には抜歯窩にあり、即時の荷重プロトコルが好ましい可能性がある。有意な歯根尖の嵌合を提供するために、円形ゾーン20は、インプラントの長手方向で見て、示された実施形態では、少なくとも2.5mmの長さを有する。
【0199】
それに対し第2に、芯体2は芯成形ゾーン22を含む。図に示す実施形態では、芯成形ゾーン22は、インプラント2の他端の近くに、すなわち歯冠端6の隣に配置され、それによって頂プラットホームゾーン24を構成するが、あるいは、それは芯体2のいくつかの中央または中間の範囲にも配置される可能性がある。歯科補綴を保持するアバットメントに接続するように設計された歯冠端6に隣接して示した実施形態において、このゾーン22で、芯体2は、複数の主方向を特徴する非円形断面を備えて設計され、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。
【0200】
この芯成形ゾーン22の断面設計に起因して、芯体2が骨組織内にねじ込められるとき、骨組織に加わる圧縮力は、断面の局所半径が最大になるとき(インプラント本体の回転移動に起因)の最大圧縮と、断面の局所半径が最小になるときの最小圧縮の間の振動方法で変化する。したがって、インプラント本体がねじ込められるとき、このゾーンで、周囲の骨組織は、圧縮が低下するとき高圧縮の期間と緩和の期間の間で変化する、変動する圧縮下に置かれる。示す好ましい実施形態では、成形ゾーン22は、インプラント1の頂端に配置される。したがってインプラント1の埋入の後、成形ゾーン22は、比較的硬骨組織を特徴とする、患者の顎の頂ゾーンで停止する。埋入の後、極小値を特徴とするこの成形輪郭は、最小値の近くに低骨応力の領域をもたらし、それによって骨材料の強化された再生を可能にして、血管への過剰に強力な圧縮の悪影響を著しく最小化する。その結果、骨材料の再生、更には骨結合は、重要な骨構造の領域の成形ゾーン22の極小値を提供することによって大幅に向上する。骨結合の目的のために、これらの効果を、頂プレートの少なくとも2.5mmまたは好ましくは少なくとも3mmの最上層に提供することは非常に有用であるとみなされる。したがって、第1の成形ゾーン22は、インプラントの長手方向で見て、示された実施形態では、少なくとも2.5mmの長さを有する。
【0201】
第3にインプラント1の芯体2は、インプラント1の長手方向で見て、芯円形ゾーン20と芯成形ゾーン22の間に位置する移行ゾーン26を含む。ゾーン20、22の間の円滑かつ有用な移行を可能にするために、移行ゾーン26は、芯円形ゾーン20に近接した範囲の芯円形ゾーン20の断面に適合する円形断面から、成形ゾーン22に近接した範囲の成形ゾーン22の断面に適合する非円形突出部のある断面に変化する(長手方向で見られる)一時的な断面を備える。この移行ゾーン26に起因して、形状の即時かつ突然の変化、骨組織への剪断効果及び骨組織への他の損傷効果を回避し得る。
【0202】
本発明の代替的実施形態を図2に示す。この実施形態は、別途にまたは図1の実施形態と組み合わせて使用することができる。この代替的実施形態では、図1の実施形態と類似の歯科インプラント1’も、芯円形ゾーン20及び芯成形ゾーン22を含む芯体2を備えている。しかし、移行ゾーン26の代わりにまたはそれに加えて、歯科インプラント1’は第2の芯成形ゾーン26’を含む。第1の芯成形ゾーン22のように、第2の芯成形ゾーン26’で、芯体2の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。第2の芯成形ゾーン26’は、インプラント1の長手方向で見て、ゾーン20、22の間に位置する。ゾーン20、22の間の所望の円滑かつ有用な移行を可能にするために、第1の芯成形ゾーン22のこの実施形態では、芯体2の断面の最大半径対その最小半径の比率として定義した芯偏心パラメータは、第2の芯成形ゾーン26’より大きい。更なるオプションとして、明らかにこの第2の成形ゾーン26’はそれ自体が、異なる偏心を有する、この種類の個々の成形ゾーンの配列または数から構成されてもよい。
【0203】
図3は、図1図2のインプラント1、1’の略図を示し、そこでゾーン20、22、26、26’は識別可能で同定された。示した例で、移行ゾーン26は、長手方向で見て、インプラント1の歯根尖端4から約2~3mmの距離で始まる。
【0204】
芯体2のこの設計概念、すなわち3つのゾーン20、22及び26または26’をそれぞれ提供することは、本発明の概念のための実施形態の1つの第1の可能性がある群と考えられる。第1の群の実施形態とは別々にまたは組み合わせて使用することができる、本発明の概念のための実施形態の代替の別個の第2の群で、有用な切削特性及び骨処理のための類似または同等の効果は、芯体2について上述した設計に類似したねじ山12の外側輪郭の設計によって達成することができる。図4で、インプラント1の実施形態は、組み合わせた本発明の実施形態のこれらの代替の群の両方を特徴とすることが示されるが、それらは同様にそれぞれ独立して使用してもよい。ねじ山12の外側輪郭の設計のより良好な説明のために、以下で、それは「外側容積」、または図4による長手方向断面図で明確に表されるように、ねじ山12の外側輪郭によって画定される包囲容積28と称される。
【0205】
示す組み合わせた実施形態では、インプラント1のねじ山12も同様に、第1または成形ねじ山ゾーン30を含む。そこで、ねじ山12を囲む外側容積28は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。更にこの実施形態では、ねじ山12はねじ山円形ゾーン32を含み、示す好ましい実施形態では、それもインプラント1の歯根尖端4に隣接して配置される。そこで、外面包囲容積28の断面は基本的に円形であり、インプラントの長手方向で見て、前記第1の成形ゾーン30と前記第2の円形ゾーン32の間に配置したねじ山移行ゾーン34である。そこで、ねじ山12を包囲する前記外側容積28の断面形状は、長手方向の座標に特有なパラメータの関数として、前記円形ゾーン32に隣接する基本的に円形形状から、前記包囲容積28の断面が、特に断面の一般的形状及び/またはその特有なパラメータの値に関して、前記第1または成形ゾーン30の断面形状に対応する、形状へ変化する。
【0206】
本発明の実施形態のこの群の代替的実施形態を図5に示す。この実施形態は、別途にまたは図4の実施形態と組み合わせて使用することができる。この代替的実施形態では、図4の実施形態と類似の歯科インプラント1’も、ねじ山円形ゾーン32及びねじ山成形ゾーン30を含むねじ山12の包囲容積28を特徴とする。しかし、ねじ山移行ゾーン34の代わりにまたはそれに加えて、歯科インプラント1’は第2のねじ山成形ゾーン34’を含む。第1のねじ山成形ゾーン30のように、第2のねじ山成形ゾーン34’で、外側容積28の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。第2のねじ山成形ゾーン34’は、インプラント1の長手方向で見て、ゾーン30、32の間に位置する。ゾーン30、32の間の所望の円滑かつ有用な移行を可能にするために、第1のねじ山成形ゾーン30のこの実施形態では、その最小半径に対する外側容積28の断面の最大半径の比率として定義したねじ山偏心パラメータは、第2のねじ山成形ゾーン34’より大きい。更なるオプションとして、明らかにこの第2の成形ゾーン34’はそれ自体が、異なる偏心を有する、この種類の個々の成形ゾーンの配列または数から構成されてもよい。
【0207】
インプラント1、1’は、その移行ゾーン26、26’、34、34’に起因して、圧縮を変化させることにより(成形ゾーン22、30で)骨組織の成形及び直接処置への骨組織(芯円形ゾーン20及び/またはねじ山円形ゾーン32の)のねじ山12の第1の嵌合の間に、円滑かつ有用な移行(工程のねじ込め中)のために特異的に設計される。これらのゾーン間の円滑な移行を更にもっと改善するために、移行ゾーン26の芯体2は、1度と12度の間の、好ましくは4度と8度の間の円錐/テーパ角を特に備えた円錐または先細形状である。
【0208】
芯体2の断面は、断面の最大半径対その最小半径の比率として定義した偏心パラメータによって特徴づけられることができる。円形形状で値1になる偏心パラメータは、円形形状からのそれぞれの断面の偏差によって特徴がある。円形断面を有する芯円形ゾーン20と非円形断面を有する芯成形ゾーン22の間に特に円滑な移行を提供するために、移行ゾーン26のこの偏心パラメータは、長手方向のインプラント1の座標パラメータへの線形従属を有する。示す例で、その芯成形ゾーン22の芯体2は、約1.1の偏心値を有する。同じ概念は、ねじ山12の移行ゾーン34、及びねじ山成形ゾーン30の外側容積28の偏心パラメータで使用することができる。
【0209】
以下で、インプラント1、1’の個々の要素及び部品ならびにその形状パラメータに関する種々の考慮事項は、インプラント1による実施形態の群を参照することによって考察する。明らかに、それらは同様に、インプラント1’による実施形態の群に、または実施形態例のこれらの群の組み合わせに適用されてもよい。
【0210】
インプラント1の長手方向の種々の芯ゾーン20、22、26(またはそれぞれ26’)及び種々のねじ山ゾーン30、32、34(またはそれぞれ34’)の位置及び境界は、異なっている実施形態で異なってもよく、そのうちの7つは図6図9の一般例として示される。これらの表示のそれぞれで、図6a、図7a、図8a、図9aは、各インプラント1の斜視図を示し、図6b、図7b、図8b、図9bは、各インプラント1の長手方向断面図を示す。図6c~図6e、図7c~7e、図8c~8e及び図9c~9eは、芯体2の外側輪郭及び包囲容積28の外側輪郭の断面を示す。
【0211】
図6の実施形態では、その断面の芯体2及び包囲容積28は、頬側骨を増加させ、骨の正常化を補助するために、頂中央部分~歯冠端6まで三方楕円である。
【0212】
それに対し図7の実施形態では、移行線4上方の頂ゾーン42で、芯体2の断面は、三方楕円の包囲容積28の外側輪郭を有する円形(図7cに示すように)である。骨の正常化効果及び増加した頬側骨のための外側三方楕円形状を維持すると共に、トルク及び初期安定性ならびに埋入中のインプラント強度を改善するために、これは行われる。
【0213】
図8で示す実施形態では、芯体2の断面は、インプラント1の全体の長さにわたって円形であり、包囲容積28の外側輪郭だけは、歯根尖端の近くの円形から歯冠端6の近くの三方楕円形に変化する。
【0214】
図9は、インプラント1の中央の芯体2の断面(図9d)が円形であるが、頂ゾーン42で三方楕円形である、実施形態を示す。図9dに示すように、中央領域で、芯体2の円形断面を有する領域は、包囲容積28の三方楕円断面の領域と重なり合う。
【0215】
例として図10は、それぞれの形状のCNC機械加工のための可能性がある入力データと共に、インプラント1の実施形態を示す。図10aで、インプラント1は長手方向断面図に示されるが、図10bは側面図のインプラント1を示す。図10cは、インプラント1の実施形態のねじ山の外側容積28の長手方向断面図であり、前記インプラントは最小半径の側に存在している。外側容積28の輪郭は、図10cに示される線の少なくとも1つに適合する工具の輪郭を備える、CNC機械加工によって得られてもよい。原材をこの形状に機械加工した後、ねじ山12はねじ山溝を彫刻することによって機械加工され、その深さは図10dに示すように輪郭によって付与される。これにより、上述のとおり芯体2の最終形状をもたらす。
【0216】
インプラント1の設計の三方楕円形は、円形モードが図10fに示される、CNC機械加工によって得られてもよい。図10fからわかるように、差分楕円形パラメータeは、芯体2/外側容積28の形状についての代替的定義であり、断面の最大半径とその最小限の半径の差により定義され、約4mmの通常直径において、好ましくは約0.23mmとなるように選択される。
【0217】
図10cは、前記軸yに沿ってゾーンを画定する軸y(インプラント長手方向軸)に沿った複数の長手方向座標/位置Y01~Y05も示す。Y01は、座標0mmの位置である。図10cで示す実施形態では、楕円形パラメータeの値は、前記軸に沿った座標yに応じて変化する。例えば第1のゾーンY01~Y02で、楕円形パラメータeは、0.10と0.50mmの間、より好ましくは0.20と0.25mmの間に含まれて/それから選択される定数値を有することができる。更に、前記ゾーンY1~Y2(外側ゾーン1または第1の外側ゾーン)は、一定の偏心を有するゾーンであり得る。前記ゾーンY1~Y2で、外側容積28の最大直径ODは定数であり得て、4mmの値を有してもよい。ゾーンY2~Y3(外側ゾーン2または第2の外側ゾーン)内で、楕円形パラメータeは、位置Y2で0.20と0.30mmの間に含まれて/それから選択される値、及び位置Y03の0mmの値から変化する値を有してもよい。前記ゾーンY02~Y03で、外側容積28の最大直径ODは4と3.54mmの間で変化してもよい。楕円形パラメータの偏差及び/または上で定義した偏心距離の変化は、前記ゾーンY2~Y3で線形でもよい。最後に楕円形パラメータeは、位置Y03とY05の間に0mmの値を有してもよい。非限定例として、外側容積28は、3.54と3.40mmの間を変化する直径を備えた、位置Y03とY04(外側ゾーン3または第3の外側ゾーン)の間に円錐形を有することができる。外側容積28は、3.40と1.80mmの間を変化する直径を備えた、位置Y04とY05(外側ゾーン4または第4の外側ゾーン)の間に円錐形も有することができる。
【0218】
明らかに各ゾーンの長さは、インプラントの全長に依存するが、13mmの全長を有するインプラントに関する非限定例として、Y2はY1から2.30mmに位置でき、Y3はY1から5mmに位置でき、Y4はY1から11.70mmに位置でき、及びY5はY1から13mmに位置できる。
【0219】
図10dは、図10aのインプラント1の芯体2の長手方向断面を示す。図10dは、軸yに沿って位置する複数の長手方向座標/位置Y6~Y09も示す。前記位置は更に、前記軸yに沿ってゾーンを定める。Y1は、座標0mmの位置である。図10dで示す実施形態では、楕円形パラメータeの値は、前記軸に沿った座標yに応じて変化する。例えば、第1の領域Y1~Y6で、楕円形パラメータeは、0.10と0.50mmの間に含まれて/それから選択される定数値を有することができる。前記第1のゾーンで、最大芯径ODは、4と3.60mmの間で長手方向軸に沿って変化する。前記ゾーンY1~Y6(芯ゾーン1または第1の芯ゾーン)は、一定の偏心距離を有することができる。ゾーンY6~Y7(外側ゾーン2または第2の外側ゾーン)内で、楕円形パラメータeは、位置Y6で0.10と0.50mmの間に含まれて/それから選択される値、及び位置Y7の0mmの値から変化する値を有してもよい。楕円形パラメータの偏差は、前記ゾーンY6~Y7で線形でもよい。前記ゾーンY6~Y7で、最大芯径ODは3.30と2.70mmの間で変化してもよい。最後に楕円形パラメータeは、位置Y07とY09の間に0mmの値を有してもよい。非限定的な実施例として、芯体2は、2.70と2.2mmの間で変化する芯径を有する位置Y07とY08の間に円錐形(芯ゾーン3または第3の芯ゾーン)、及び2.2と1.6mmの間で変化する芯径を有する位置Y08とY09の(芯ゾーン4または第4の芯ゾーン)間に円錐形を有してもよい。
【0220】
明らかに各ゾーンの長さは、インプラントの全長に依存するが、13mmの全長を有するインプラントに関する非限定例として、Y6はY1から2.30mmに位置でき、Y7はY1から5mmに位置でき、Y8はY1から11.70mmに位置でき、及びY9はY1から13mmに位置できる。
【0221】
本発明の更に別の実施形態を図11に示す。この実施形態は、別途にまたは図1及び/または図2の実施形態と組み合わせて使用することができる。図11に示すこの代替的実施形態では、図1及び/または図2の実施形態と類似の歯科インプラント1’’も、芯円形ゾーン20、芯成形ゾーン22,円形ねじ山ゾーン32及びねじ山成形ゾーン30を含む芯体2を備えているが、この代替的実施形態はこれらのゾーンのうちの1つ以上なしで使用されてもよい。この代替的実施形態では、歯冠部分のねじ山12は、ねじ山12の外側幅または面で画定する追加の溝38と重なり合う。この追加の溝は、インプラントへの骨付着を促進する。その溝深さによるこの溝37は、その底部で底部レベルを画定する。代替的実施形態の設計のより良好な説明において、以下で、それは、ねじ山12の溝38の底部レベルによって画定される「底部容積」と呼ばれる。換言すれば、この「底部」容積(「溝芯容積」とも称される)は、すべての溝の最内側点、またはインプラント1’’の長手方向軸に最も近い溝のすべての点を通過する容積である。図11に示す組み合わせた実施形態では、インプラント1のねじ山12の溝38も同様に、第1または成形溝ゾーン40を含む。そこでねじ山12の底部容積の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。
【0222】
図10の類似で、例として図12は、インプラント1’’においてそれぞれの形状のCNC機械加工のための可能性がある入力データを示す。特に図12aは、外側容積28の右側面図を示す。図12bは、外側容積28の縦断面図である。図12cは、外側容積28の左側面図である。図12dは、芯体2の右側面図である。図12eは、芯体2の縦断面図である。図12fは、芯体2の左側面図である。図12gは、底部容積の右側面図である。図12hは、底部容積の縦断面図である。図12iは、底部容積の左側面図である。図12jは、CNC機械加工の円形モードである。図12jからわかるように、差分楕円形パラメータは、芯体2/外側容積28/底部容積の形状についての代替的定義であり、断面の最大半径とその最小半径の間の差異によって定義され、約4.20mmの通常最大直径において、好ましくは約0.10と0.50の間で選択され、より好ましくは約0.23mmであり得る。
【0223】
図12の実施形態では、インプラントの長手方向軸yに沿った芯体2/外側容積28/底部容積について楕円形パラメータe及びしたがって偏心パラメータの変化は、図10に関して説明したものに類似し、言及は前記説明でなされている。図10及び図12の実施形態の主要な差異は、インプラントの長さ及び図12の実施形態の溝の存在である。非限定例として、図12のインプラントは、9mmの全長を有してもよく、Y01から以下の座標、
-外側容積28(図12bを参照)について、2.30mmのY02、4.5mmのY03、8.10mmのY04及び9mmのY05;
-芯体について、2.30mmのY07、5mmのY08、7mmのY09及び9mmのY10;
-「底部容積」または「溝芯容積」について、0.75mmのY11、2.30mmのY12、4.50mmのY13及び7.90mmのY14;を備えた位置を有してもよい。
【0224】
非限定例として、位置Y01とY02の間に、インプラントは、4.20mmの最大外径ODを有してもよい。位置Y02とY03の間に、インプラントは、4.20と3.80mmの間で変化する最大外径ODを有してもよい。位置Y03とY04の間に、インプラントは、3.80と3.57mmの間で変化する外径を備えた円錐形を有してもよく、位置Y04とY05との間で、インプラントは、3.57と1.90mmの間で変化する外径を有してもよい。
【0225】
更に非限定例として、位置Y01とY07の間に、インプラントは、4.20と3.78mmの間で変化する最大芯径ODを有してもよい。位置Y07とY08の間に、インプラントは、3.78と2.84mmの間で変化する最大芯径を有してもよい。位置Y08とY09との間に、インプラントは、2.84と2.31mmの間で変化する外径を有してもよく、位置Y09とY10との間に、インプラントは、2.31と1.68mmの間で変化する外径を有してもよい。
【0226】
更に「底部」容積または「溝芯容積」は、y軸に沿って変化する差分楕円形パラメータeを有してもよい。非限定例として、楕円形パラメータeは、0.10と0.50mmの間に含まれる/それから選択される定数値または変化値を有してもよい。一実施形態において、「底部」容積または「溝芯容積」は、以下のとおり変化するパラメータを有してもよい。
-Y1からY11(第1の底部容積ゾーン)で、差分楕円形パラメータeは、0.10と0.50mmの間に含まれる値(例えば定数)を有してもよく、偏心は一定でもよい。
-Y11からY12(第2の底部容積ゾーン)で、eは、0.20と0.30mmの間で選択される始動値から0mmの最終値で変化してもよく、変化は線形でもよく、偏心も直線的に変化してもよい。
-Y12からY13(第3の底部容積ゾーン)で、eは0mmの値を有してもよく、「底部」容積または「溝芯容積」は軸yに向かって漸減する円錐形を有してもよい。
-Y13からY14(第4の底部容積ゾーン)で、eは0mmの値を有してもよく、「底部」容積または「溝芯容積」は円錐形を有してもよい。
【0227】
差分楕円形パラメータe(及びしたがって偏心値)は、芯体2、外側容積28及び/または底部容積のそれぞれ1つについて、所与の断面で異なり得るという点に留意する必要がある。楕円形パラメータeは、0.10と0.50mmの間に含まれる/それから選択される値を有することができる。いくつかの実施形態では、楕円形パラメータeは、0.15、0.20、0.23または0.30mmの値を有することができる。
【0228】
本発明によるインプラントはしたがって、
-最大、例えば一定の偏心を有するインプラントの長手方向軸yに沿って延在する少なくとも1つの歯冠ゾーン(第1の成形ゾーンとも呼ばれる)または部分を有する、包囲容積21及び/または芯体2及び/または溝芯容積を含むことができる。前記最大偏心は1.05と1.2の間に含まれることができ、例えばインプラントの全長の0と80%の間に延在することができる。いくつかの実施形態では、歯冠ゾーンは、インプラントの全長の約30%、45%、60%または70%に延在し、
-少なくとも1つの移行ゾーンまたは部分は前記最大偏心と最小偏心の間で変化する偏心を有するインプラントの長手方向軸yに沿って延在し、前記変化は線形であることができ、
-少なくとも1つの歯根尖ゾーン(円形ゾーンとも呼ばれる)または部分は、前記最大一定偏心を有するインプラントの長手方向軸yに沿って延在する。
【0229】
本発明によるインプラントはしたがって、
-最大、例えば一定の偏心を有するインプラントの長手方向軸yに沿って延在する少なくとも1つの歯冠ゾーン(第1の成形ゾーンとも呼ばれる)または部分を有する、包囲容積21及び/または芯体2及び/または溝芯容積を含むことができる。前記最大偏心は、1.05と1.2の間に含まれることができる。歯冠ゾーンは、インプラントの全長の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%に延在することができ、
-少なくとも1つの移行ゾーンまたは部分は前記最大偏心と最小偏心の間で変化する偏心を有するインプラントの長手方向軸yに沿って延在し、前記変化は線形であることができ、移行ゾーンは、インプラントの全長の少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または少なくとも25%に延在することができ、
-少なくとも1つの歯根尖ゾーン(円形ゾーンとも呼ばれる)または部分は、前記最大一定偏心を有するインプラントの長手方向軸yに沿って延在する。歯根尖ゾーンは、インプラントの全長の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%または少なくとも50%に延在することができる。
【0230】
下記の表は、インプラントの全長に応じて、インプラントの各ゾーンの長さの異なる非限定的な可能性がある値を示す。
【0231】
図35は、特定の実施形態のインプラントの長手方向軸に沿った位置による、芯体2の及び/またはねじ山包囲領石28の及び/または溝成形ゾーン40の偏心の異なる値(変化または展開)を示すグラフである。図35でわかるように、芯体2の及び/またはねじ山包囲領石28の及び/または溝成形ゾーン40の歯根尖ゾーンは、位置Aと位置Bの間に1に等しい一定の最小偏心を有することができる。芯体2及び/またはねじ山包囲領石28及び/または溝成形ゾーン40は、位置Bで開始する移行ゾーンも有することができ、偏心は、位置Cでの最大偏心値まで、前記一定の最小偏心から変化する。位置Cの後、芯体2及び/またはねじ山包囲領石28及び/または溝成形ゾーン40は、歯冠ゾーンを有することができ、そこで偏心は一定の最大値を有する。前述したように、前記一定の最大偏心は1.05と1.2の間に含まれることができる。
【0232】
いくつかの実施形態において、特に芯体2及び/またはねじ山包囲容積28について、位置Aは、インプラントの歯根尖端及びインプラントの歯冠端を表すことができ、位置Dはインプラントの歯冠端を表すことができる。位置A,B,C及びDは、芯体2の、ねじ山包囲容積28の、または溝成形ゾーン40の同じ座標を必ずしも有しない。芯体2の、ねじ山包囲容積28の、または溝成形ゾーン40の最歯根尖位置であるとして、位置Aは理解されるべきである。図35でわかるように、偏心曲線の形状は鋭角部を有さず、それはすべての位置で1つのみの接線を有する実線である。
【0233】
上述のように芯体2及び/またはねじ山12の幾何学的設計に加えて、その詳細も独立発明と考えられている好ましい代替的実施形態では、更なる手段は、高一次固定での骨組織との確実な嵌合を支援するために提供されてよい。この目的のため、図13図18に示す実施形態では、切削溝46はインプラント1、1’、1’’のねじ状部分に提供される。図13図18はそれぞれ、各インプラントの斜視図を示し、種々の芯/ねじ山ゾーン20、22、26、30、32、34はハッチング線で変化を示す。これらの実施形態において、選択部分で、またはすべての芯体2及びねじ山12で、複数の切削溝46、好ましくは芯体2及び/またはねじ山12の主方向の数に等しい切削溝46は、インプラント1の移行ゾーン26に及び/または他のゾーン20、22に提供されてもよい。これらの切削溝46はそれぞれ、インプラント1にねじ込まれる際、骨材料を除去する切削端48(図19を参照)を特徴とし、それによって、ねじ込まれる間、インプラント1の強化した切削能力を可能にする。明らかに溝38は図13図18の実施形態で示されていないが、別の代替的実施形態では、示されるこれらのいずれかは溝38を備えていてもよい。配置及び/または設計に関して、切削溝46は、独立の発明と考えられている、ならびに図に示すように、上述したようにインプラント1及び/またはインプラント1’及び/またはインプラント1’’の特徴と共に、または従来のインプラントもしくはねじシステムで使用されてもよい、特定の特徴を有する。
【0234】
図13図15は、切削溝の位置及び/または長さが、好ましくは個々のインプラント設計の特定の要求に従って変化する、図1のインプラント1の実施形態を示す。これらの実施形態は、長手方向に、移行ゾーン28、34の一部及び成形ゾーン22、30の一部に沿って延在する、切削溝46の数により変化を形成する。
【0235】
図13に示す実施形態では、芯体2及び外側ねじ山は、芯円形ゾーン20及びねじ状円形ゾーン32の両方が配置される、すなわち歯根尖端4に隣接する外側輪郭に適合するように構成される。これらに隣接して、芯移行ゾーン26及びねじ山移行ゾーン34の両方は、重なり合うやり方で配置される。歯冠端6に隣接して、芯成形ゾーン220はねじ山成形絵ゾーン30と共に配置され、両方ともこの実施形態で三方楕円断面を有する。
【0236】
それに対し図14は、異なるタイプ及び断面のゾーンが部分的に重なり合う実施形態を示す。特に歯根尖端4に隣接して、芯円形ゾーン20及びねじ山円形ゾーン32の両方は配置され、それぞれは歯根尖端4から開始する。芯2において、ハッチング線の変化で示されるように-長手方向で見て、ねじ山12がまだその円形ゾーン32内にある一方で、芯円形ゾーン20から芯移行ゾーン26への移行は43に配置される。交差位置43aで、コア移行ゾーン26は終わり、コア成形ゾーン22は開始し、コア成形ゾーン22内の位置で、ねじ山円形ゾーン32はねじ山移行ゾーン34内を横切る。歯冠端10に更に向かう位置で、交差位置43bで、芯成形ゾーン22は再び終わり、別の移行ゾーン26に移行する。同じ交差位置43bで、ねじ山移行ゾーン34はねじ山成形ゾーン30内に移行する。したがって、この本実施形態では、芯及びねじ山の種々のゾーンは、種々の組み合わせで部分的に互いに重なり合う。
【0237】
芯体2及び外側ねじ山12が、芯円形ゾーン20及びねじ状円形ゾーン32の両方が配置される、すなわち歯根尖端4に隣接する外側輪郭に適合するように構成される実施形態を、図15は再度示す。これらに隣接して、芯移行ゾーン26及びねじ山移行ゾーン34の両方は、重なり合うやり方で配置される。歯冠端10に隣接して、芯成形ゾーン22はねじ山成形絵ゾーン30と共に配置され、両方ともこの実施形態で三方楕円断面を有する。
【0238】
図16図18による例に示すように、切削溝46は、インプラント1の長手方向軸と基本的に平行(図16の例)、インプラント1の長手方向軸に対して傾斜(図17のように)、または図18に示すように芯体2の外面8に湾曲して巻きつくなどの種々の配向を有してもよい。
【0239】
別の好ましい実施形態は、インプラント1’’の基本的なインプラント設計に基づいて図19に示される。図19は、インプラント1’’の頂または歯冠部分の側面図を示す。明らかに、切削溝46の数及び配置に関して、示される概念は同様に、任意の他の好ましいインプラント概念ために、または従来のインプラント/ねじ設計のために使用されてもよい。更にそれ自体が独立の発明とみなされている図19で示す実施形態において、切削溝46はインプラント1’’のねじ状領域に配置される。「z方向」の、すなわちインプラント1’’の長手方向のその配置に関して、それらは、その隣接する切削溝46に対する移動により配置され、その結果、その位置で、切削溝46はねじ山12の傾斜度に従う。この設計によって、それは、インプラント1’’を骨組織内へねじ込める際、個々のねじ山12を骨組織に嵌合することが、連続の切削端46による同じ骨ゾーンへの切削効果を提供することを確実にすることができる。
【0240】
図20は、長手方向に、移行ゾーン28、34の一部及び成形ゾーン22、30の一部に沿って延在する、切削溝46の数による変化における、図1のインプラント1を示す。図21は、図20に示す位置の図20のインプラント1の断面を示す(概略的に)。図21でわかるように、芯体2及びその外面8の断面は三方楕円形を有する。換言すれば、その芯成形ゾーン22で、芯体2の断面(及びねじ山12の包囲容積28の断面)は、複数の(すなわち3つの)主方向を有する。これらの主方向で、断面の中心50とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値(「最大半径」)になり、したがって隣接する方位より高い値になる。図21の図中で、これらの主方向の1つは、線52によって表される垂直上向き方向に並行に配向される。この主方向の芯体2の外側輪郭の半径の極大値は、位置54にある。中心50に関して主方向の対称な配置に起因する、他の2つの主方向は、線52に対して120度の角度にある。
【0241】
この例の切削溝46も中心50周囲に対称に配置され、すなわち2つの隣接する切削溝の間の角度も同様に120度である。回転配向の切削溝46は、半径の極大値がねじ込み工程中に超えた後、骨組織の弛緩効果を考慮して、骨材料の切削効率を最大化するために適切に配置される。この目的のため、各切削溝46は、中心50または芯体2の長手方向中心軸の周囲の配向方向で見て、隣接した主方向に対して所与の回転ずれで配置される。図21で、芯体2を上面(そこで埋入の際、芯体は右手方向(または時計回り)に回される)から示し、回転ずれは、線52によって表される主要な最大値と、切削溝46のそれぞれの切削端48の方を向いた点線56によって表される次の続く切削端46の間の角度αによって表される。
【0242】
示す実施形態では、この角αは、それ自体が独立した発明とみなされる選択基準に従って選択される。この選択基準によれば、点線56と外面8の交差点、すなわち中心50から切削端48の放射状延長部の外側限界によって画定される切削端の半径が、最大半径未満の20と75μmの間になるように、切削縁48は配置されなければならない。この基準は、圧縮後このおおよその量によって、その密度が元に戻るまたは弛緩することによる、骨の特異的弾性を考慮する。示す実施形態では、切削端の半径は最大半径より小さい約35μmになるように選択され、そこで芯体の残りの形状パラメータに従って、約106度の好ましい角αに転換される。
【0243】
この好ましいオフセット角は更に、骨材料の弾性を確実に考慮するために、最大半径の値によって変化してもよい。芯体2及び/または外側容積28の好ましい先細形状設計のため、この最大半径は、インプラント1の長手方向の座標の関数として変化してもよく、それによって更に、長手方向のこの座標に依存する好ましいオフセット角を提供する。結果として、得られた切削溝46は、インプラント1の芯体2の周囲に螺旋状でもよい。
【0244】
原則として、ねじ山12は、任意の便利なねじ山輪郭、特に平坦なねじ山であってよい。ねじ山12の自由幅58は、インプラント1の長手方向の各位置に依存して、歯根尖端4からの距離の増加と共に連続的に増加している。この設計で、歯根尖端4に近接した領域のねじ山12は、比較的鋭角で小さな外側幅を特徴とすることができ、それによって、ねじ山12が骨組織に入るとき、高切削能力を提供する。骨組織の特定の位置にインプラント1がねじ込められる(すなわちより遠くの骨組織に入るインプラント)工程で、ねじ山12の幅58は連続的に増加し、それによって、骨組織のそれぞれの局所間隙を連続的に広げて、骨組織とインプラントの間の接触領域を常に強化する。
【0245】
図に示す発明の実施形態では、芯体2及び/またはねじ山12の非円形断面と有用に相互作用するために、ねじ山12は、特定の輪郭を有するように設計される。それ自体も独創的とみなされている、特に独立の発明とみなされている、この変形で、図22及び図23の拡大した表示でわかるように、ねじ山12は、歯根尖面60及び歯冠面62を備える輪郭を好ましくは有する。そこで歯根尖面60は、インプラント1の長手方向軸64に基本的に直交するように配置され、すなわち、歯根尖面60の面法線はインプラント1の長手方向軸64と基本的に平行に配向される。更に歯冠面62は、長手方向軸64に対して約60度の角度で配向され、すなわち歯冠面62の面法線は、インプラント1の長手方向軸64に対して約30度の角度で配向される。この角度は、線66によって表される。換言すれば、ねじ山12は全体で、いわゆるバットレスねじ山を形成する。
【0246】
それ自体が独立の発明とみなされている歯根尖面60の配向の特定の選択に起因する、非円形、例えば三方楕円形形状の潜在的効果は補正されてもよい。この効果は、ねじ山12が挿入されて、接触している骨の振動である。これは、インプラント1が埋め込まれるとき、ねじ山12が間隔をおいて骨と接触しているだけであることを意味する。
【0247】
ねじ山12の歯根尖側を長手方向軸に対して90度にすることによって、歯根尖面は、埋入の後、ねじ山の完全長にわたって改善した接触になる。これは、図24に従って拡大した部分に示される。長手方向断面の図24は、骨材料70に埋入された後のインプラント1の一部を示す。
【0248】
更にそれ自体が独立の発明とみなさる、好ましい実施形態では、その歯根尖面60でのねじ山12の深さは、埋入の後の強化した高一次固定に関して選択される。この目的のため、この好ましい実施形態は、埋入の後の、芯及び/またはねじ山成形ゾーン22、30で及び/または芯及び/またはねじ山移行ゾーン26、34で、咀嚼力を吸収するために、理想的には、ねじ山の歯根尖面60は、最大限に可能な範囲まで骨材料70と物理的に接触しなければならないことを考慮に入れる。この点において、成形/移行ゾーンの最小半径のゾーンは、直前の最大値が通過した、埋入後の最終位置を推定し、それによって骨組織が押し出される空洞72を作製する。それにもかかわらず、ねじ山の歯根尖面60が骨材料70の一部に載ることができる、骨材料に確実なプラットホーム74を提供するために、その舌尖表面60のねじ山12の深さは、包囲容積28の外側輪郭の最大半径と最小半径の差異より大きくなるように、好ましくは少なくとも2倍になるように選択される。
【0249】
更にそれ自体が独立の発明とみなされている、更に別の好ましい実施形態では、インプラント1(同様にインプラント1’、1’’)は、インプラント1と関連するアバットメントを互いに機械的に接続するための最新の接続システム80を備えている。以下に、最新の接続システム80についての種々の実施形態が、インプラント1を基準にして記載される。明らかに、すべての実施形態は、例えば上述のようにインプラント1’’、1’’’による他の任意のインプラント型のために、同様に有利に使用されてもよい。
【0250】
接続システム80は、インプラント1は、アバットメントの対応する接続ピンが嵌入されることができる受容チャネル10を特徴とする。図25a及び図25bで、図4の矢印82が表す方向からのインプラント1の上面を示す。図25でわかるように、インプラント1の非円形ゾーン22、30の断面または外側輪郭は三方楕円形であり、それによって、移行ゾーン26、34及び成形ゾーン22、30にそれぞれ3つの主方向を提供する。断面の各半径が極大値を有する、これらの主方向は、芯体2の長手方向中心軸に対して対称に配置される。図25の表示からも明らかなように、ねじ山12の外側輪郭で定義されるインプラント1の外側プロファイルは、芯体2の外側輪郭に適合する、またはそれに「従う」。したがって、芯体2の半径が極大値を有するその配向で、ねじ山12の外側輪郭は同様に極大値をとる。更に、移行ゾーン26の芯体2の円錐形または先細形状に起因して、成形ゾーン22の芯体2の最小半径は、円形ゾーン20のねじ山12の外側輪郭の半径より大きい。
【0251】
更に受容チャネル10は、インプラント1のねじ山12の外側輪郭及び芯体2の外側輪郭の両方に適合する、またはそれに「従う」、外部プロファイルまたは外部輪郭も有する。したがって、芯体2の半径及びねじ山12の外側輪郭が極大値を有するその配向で、受容チャネル10の輪郭は同様に極小値をとり、すなわち、それも三方楕円形である。更に受容チャネル10も先細りになり、その断面は底端84に接近すると狭くなる。この形状に起因して、アバットメントのその関連する接続ピンと共に受容チャネル10は、埋入されるとき、アバットメントの正しい回旋性を保証する、いわゆる割出し構造を提供する。図25ならびに図26及び図27によるインプラント1の長手方向断面図でもわかるように、アバットメントの適切なアセンブリにおいて、その下方または底端84の受容チャネル10は、割出し輪郭86を備える。図26図27示す好ましい実施形態のこの「第2の割出し」はトルクス(登録商標)様断面を有し、適切なツールを埋入することによって、インプラントの埋入に必要なトルクを伝導するために使用してもよい。割出し輪郭86に起因して、このトルクを、実際の受容チャネル10の割出し輪郭に影響を及ぼさずに加えることができる。
【0252】
図28に示すように、第2の割出しを備えたインプラント1’’’の代替的実施形態では、第2の割出し輪郭は、その非円形断面を備えた受容チャネル10により提供されるように、第1の割出し輪郭と一体化してもよい。図示した実施形態に従うこれは、受容チャネル10の先細状側壁に切り込まれる、多くの細孔88によって達成される。インプラント1’’’を骨材料内に埋入するのに必要なトルクを加えるために、ねじ回し方式に対応するツールは細孔88に嵌合するのに適用してもよく、それによって、受容チャネル10の内側表面に負荷がなく、したがって埋入の間、損傷を受けることができないことを確認する。示した実施形態で受容チャネル10の三方楕円形断面に関して、細孔88は横断面に「適合して」配置されることができる、すなわち、それは半径の極大値を特徴とする主方向に配置されてもよい、またはそれは主方向に対して一定のオフセットに配置されてもよい。
【0253】
図26図28で示すように、すべての好ましい実施形態では、インプラント1、1’、1’’、1’’’は更に高度に有用な機能を備えており、更にそれ自体がまたは上述の機能の任意の数と組み合わせて、独立の発明とみなさる。この特徴によれば、その内側接続システム80の一部としてのインプラント1、1’、1’’、1’’’は、関連する第2のインプラント部品(例えばアバットメント)の接続ピンなどをインプラント1、1’、1’’の受容チャネルに適切かつ完全に嵌入した後、ユーザーにフィードバックを伝えるフィードバック構造90を含む。このフィードバックを提供するために、フィードバックシステム90は、その底端84で示した実施形態で受容チャネル10を円形に包囲する、受容チャネルの内側表面に配置された細孔または溝92を含む。この円形溝92は、欧州特許出願第16151231.4号に記載のものなどの歯科嵌合の1つ以上の対応する突起部(複数可)、及び/または同じ出願人による欧州特許出願第15178180.4号に記載のものなどの保持要素の突起部と相互作用できる、またはそれを受容することができ、両方の出願は参照により本明細書に組み込まれる。接続ピンが受容チャネル10に完全かつ十分に埋入されるとすぐに、これらの突起部は可聴な「カチリ」という音で溝92内にはまり、それによって、ユーザーは接続ピンの受容チャネル10への適切な埋入が完了したことを確認する。
【0254】
図29図30及び図31(側面図)で示すようにインプラント1’’’’の更に別の代替的実施形態では、歯冠端6は特定の成形された設計を有する。更にそれ自体がまたは上述の機能の任意の数と組み合わせて、独立の発明とみなさるこの特徴は、埋入の際、 改善した全体的システム強度と共にインプラント1’’’’の改善した位置の配向を提供する。このことは、インプラント1’’’’の頂/上または歯冠面100の幅、すなわちインプラント1’’’’の壁幅が、図29及び図30に示すように、逆勾配ならびに頂部分及び谷部分の結果として、谷部分で大きな幅及び山部分で小さな幅に変化するという事実によって実現される。
【0255】
具体的には、インプラント1’’’’の歯冠面100は、歯冠面100の最高点及び最低点を備える波状、波形または正弦曲線輪郭を有する。すなわち、インプラント1’’’’の長手方向の最大高さ及び最小高さは、インプラント1’’’’の歯冠端6の円周に沿って交互に配置される。歯冠面100の最高点で、好ましくはこれらの最高点の近くで、インプラント1’’’’の歯冠端6は先細形状または構成、すなわち逆勾配形状または構成を有する。その結果、インプラント1’’’’の長手方向に垂直な歯冠端6の断面の横方向寸法または延伸は、インプラント1’’’’の歯根尖端4からインプラント1’’’’の歯冠端6に向かう方向に沿って減少する(図29及び図30を参照)。
【0256】
インプラント1’’’’のこの波状、波形または正弦曲線輪郭、及び逆勾配形状または構成に起因して、インプラント1’’’’の壁幅、すなわち歯冠端6でのインプラント1’’’’の壁の幅も変化する。具体的には、壁幅は、歯冠面100の最低点でより大きく、歯冠面100の最高点でより小さい。
【0257】
それ自体がまたは上述の機能の任意の数と組み合わせて、歯冠面100の上述の特徴は独立の発明と考えられる。これらの特徴は、インプラントの配向の特に確実かつ単純な識別を可能にする。図29に示す実施形態では、その芯成形ゾーン22の及び更にねじ山成形ゾーン30-輪郭に適合する好ましい設計に起因して-のインプラント1’’’’は、三方楕円断面を有する、すなわち各断面が、半径が極大値である3つの主方向を特徴とする。この断面形状との同期化において、これらの主方向に適合する位置で、インプラント1’’’’の長手方向軸に平行方向に示されるように、歯冠端6は更に極大値を有する。換言すれば、インプラント1’’’’の歯冠面100は平らな表面でなくて、むしろ上述されるように、成形ゾーン22、30で定義される主方向に配置されるその最高点を有する、波形、正弦曲線構造を有する。
【0258】
インプラント1’’’’’の更に別の好ましい実施形態では、先端または歯根尖端4は、特にこのセクションの外側ねじ山12に対して、骨材料内への埋入を容易にするために特に設計されてもよい。この目的のため、少なくともねじ山12の歯根尖部は、図32でわかるように鋸歯状である。この実施形態では、少なくとも切削端を有する複数の溝102は、ねじ山12の歯根尖及び/または歯冠面で定義されることができる。
【0259】
ねじ山12の歯根尖半分で少なくとも定義される(または、粉砕したもしくは切削した)ことができる、少なくとも1つの中断した歯根尖切削溝104を有する、本発明によるインプラントの実施形態を図33は示す。図33でわかるように、前記切削溝はインプラントの芯内に延在しない。この実施形態によるインプラントは、このような切削溝のうちの2つ以上を有することもできる。またこの実施形態では、ねじ山は鋸歯状のねじ山と考えることができる。
【0260】
前記鋸歯状のねじ山は、患者の抜歯窩で使用されるとき、孔へのインプラントの埋入を助ける。窩壁の角度がインプラントの軸に対して垂直ではないので、壁の片面は最初にインプラントに接触し、インプラントの位置決めに影響する。この効果を低減するのを助けるために、鋸歯状のねじ山は、インプラント側面の骨を切削する。
【0261】
更にそれ自体がまたは上述の機能の任意の数と組み合わせたこれらの特徴は、独立の発明とみなさる。
【0262】
上述の実施形態のいずれかの、またはこれらの任意の組み合わせのインプラント1、1’、1’’、1’’’、1’’’’、1’’’’’は、その全体の全長において好ましくは、患者の個別治療によって与えられる特定の要件に従って設計される。上の図で示した実施形態では、それぞれのインプラントの全長の通常の「標準」値は約13mmであり得る。他の実施形態では、インプラントは、例えば約7mmの全長を有する「短いバージョン」で設計されてもよい。この実施形態の一例を図34に示す。
【0263】
図36は、本発明の第1の実施形態による埋入ツール200を示す。
【0264】
埋入ツール200は、患者の骨組織内に歯科インプラントを埋入するための埋入ツールである。埋入ツール200は、図36(a)に示すように近位部分202及び遠位部分204を含む。遠位部分204は、インプラントを骨組織内にねじ込めるために、インプラントと協調するように構成される。
【0265】
遠位部分204は保持要素206を有する。保持要素206は、埋入ツール200を歯科インプラントに取り付けるための取付部分208を含む。保持要素206は、埋入ツール200の長手方向に対して垂直な全方向に、すなわち保持要素206のすべての横断方向に沿って、少なくとも弾性変形可能である。取付部分208は、埋入ツール200の長手方向に対して実質的に垂直な複数の方向に、すなわち保持要素206の複数の横断方向に沿って、延在する1つの突起部210(図36(b)を参照)を含む。
【0266】
保持要素206は、埋入ツール200の2つの部分のうちの1つ、すなわち近位部と一体化して形成される(図37(a)及び(b)を参照)。具体的には、保持要素206は、保持要素206と保持要素206の長手方向の近位部の間に配置される、2つの連結部212により埋入ツール200の近位部と一体化して形成される(図36(c)及び図37(a)を参照)。連結部212のそれぞれは、例えば図37(a)及び(b)に概略的に示されるように、保持要素206の円周方向に保持要素206の一部のみに沿って延在する。連結部212は、保持要素206の半径方向で互いに対して実質的に反対側に配置される。
【0267】
保持要素206は、保持要素206の長手方向に対して実質的に円形断面を有する、実質的に円筒状形状を有する(図37(a)を参照)。保持要素206は、中空の管状体として形成される。保持要素206は、閉環形または閉円環形(すなわち、その円周に開口部のない環形状)を有する。そのすべての横断方向に沿って保持要素206の弾性変形性は、保持要素206の材料及び壁厚を適切に選択することによって提供される。
【0268】
保持要素206は、例えば、金属(例えばチタン、チタン合金またはステンレス鋼)、ポリマーまたは複合材料から作製されてもよい。保持要素206は、埋入ツール200を歯科インプラントに取り付けるとき、その横断方向に弾性的に圧縮されることができる(図37(d)及び図39を参照)。
【0269】
取付部分208の突起部210は、図37(d)及び図39に関連して以下で詳細に述べるように、埋入ツール200がスナップ嵌めによって歯科インプラントに取り付けられるのを可能にする。
【0270】
図37(a)に示すように、取付部分208の突起部210は、2つの連結部212の間に提供される。このように、取付部分208と歯科インプラントの特に確実かつ効果的なスナップ嵌めは、確実にされることができる。
【0271】
埋入ツール200の遠位部分204は駆動領域214を有する(図36図38を参照)。駆動領域214で、埋入ツール200の長手方向に垂直な遠位部分204の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる(図38(d)を参照)。
【0272】
埋入ツール200の遠位部分204の駆動領域214は、インプラントと協調する。駆動領域214は抗回転構造を構成する。駆動領域214は、ツール200とインプラントが、例えば部分的にツール200の遠位部分204をインプラント窩内に導入することによって、互いに嵌合するとき、ツール200の長手方向軸周囲で埋入ツール200とインプラントの間の相対回転を回避するように構成される。
【0273】
駆動領域214は、以下に更に詳述されるように、インプラントの対応する抗回転構造、すなわち駆動部分と協働するように構成される(図37(d)及び図39を参照)。
【0274】
断面の各半径が極大値を有する、埋入ツール200の駆動領域214の主方向は、埋入ツール200の長手方向中心軸に対して軸方向に対称に配置される(図38(d)を参照)。駆動領域214の主方向の数は3つであり、すなわち駆動領域214は、図38(d)に示すように三方楕円断面を有する。埋入ツール200の長手方向に対する主方向の対称な配置と組み合わせて、この三方楕円形は、120度の2つの隣接した主方向の間の回転オフセット角をもたらす。
【0275】
駆動領域214は先細形状を有し、その結果、駆動領域214で、埋入ツール200の長手方向に垂直な遠位部分204の断面の横方向寸法または延伸は、埋入ツール200の近位端から埋入ツール200の遠位端に向かう方向に沿って減少する(図36図37及び図38を参照)。
【0276】
駆動領域214は、保持要素206の近位に配置される。
【0277】
駆動領域214の断面形状は、その長手方向軸周囲で埋入ツール200に適用される回転力のインプラントへの効率的、確実及び均一な移行を可能にする。
【0278】
図38(e)に示す埋入ツール200の第1実施形態の変更で、ツール200には駆動領域がない。むしろ図38(e)で示すように、図38(c)の線A-Aに沿った断面は円形形状を有する。
【0279】
埋入ツール200の遠位部分204は更に駆動セクション216を有する駆動セクション216で、埋入ツール200の長手方向に垂直な遠位部分204の断面は、断面の円周に沿って交互に配置される、複数の放射状凸部218及び複数の放射状凹部220を有する(図38(f)を参照)。放射状凸部218の放射状の最外側点222、224のそれぞれは、図38(f)に示すように、断面の中央周辺の対応する円にある。
【0280】
駆動セクション216の埋入ツール200の遠位部分204の断面は、同数の、すなわちそれぞれ6つの放射状凸部218と放射状凹部220を有する。
【0281】
放射状凸部218は、第1の放射状凸部及び第2の放射状凸部を含む。そこで、第1の放射状凸部の放射状の最外側点222のすべては、断面の中央周辺の単一の第1の円にあり、及び第2の放射状凸部の放射状の最外側点224のすべては、断面の中央周辺の単一の第2の円にある。第2の円は、第1の円より小さい半径を有する(図38(f)を参照)。第1の放射状凸部及び第2の放射状凸部は、それらの間に配置された対応する放射状凹部220と共に、断面の円周に沿って交互に配置される。第1の放射状凸部の数は、第2の放射状凸部の数と同じである。
【0282】
駆動セクション216の断面の放射状凸部218及び/または放射状凹部220はそれぞれ、曲線形状、例えば少なくとも部分的に円形形状、少なくとも部分的に楕円形状、少なくとも部分的に卵形状などを有する。放射状凸部218及び放射状凹部220は、互いに直接隣接して配置される。
【0283】
放射状凹部220の放射状の最内側点226は、断面の中央周辺の単一の円228にある。したがって放射状凹部220のすべての放射状の最内側点226は、断面の中央周辺の同じ円228にある。
【0284】
駆動セクション216は、0.5~1.2mmの範囲で埋入ツールの長手方向に長さを有してもよい。
【0285】
埋入ツール200の遠位部分204の駆動セクション216は、インプラントと協調する。駆動セクション216は抗回転構造を構成する。駆動セクション216は、ツール200とインプラントが、例えば少なくとも部分的にツール200の遠位部分204をインプラント窩内に導入することによって、互いに嵌合するとき、ツール200の長手方向軸周囲で埋入ツール200とインプラントの間の相対回転を回避するように構成される。
【0286】
駆動セクション216は、以下に更に詳述されるように、インプラントの対応する抗回転構造、すなわち駆動ゾーンと協働するように構成される(図37(d)及び図39を参照)。
【0287】
したがって本発明の第1の実施形態による埋入ツール200の遠位部分204は、駆動領域214及び駆動セクション216を有する。駆動領域214は、駆動セクション216の近位に配置される(図36図38を参照)。
【0288】
インプラントの2つの対応する抗回転構造(すなわち駆動領域及び駆動セクション)と協働できる、埋入ツール200の遠位部分204の2つの抗回転構造(すなわち駆動領域214及び駆動セクション216)の存在に起因して、骨組織へのその埋入の際、インプラントに適用される回転力または荷重は、2つの構造により分担されることができる。したがって、インプラントのこれらの2つの構造のいずれかへの任意の損傷を最小限度に抑えることができる。そうしてインプラントのこれらの構造の1つまたは両方は、インプラントの骨組織への埋入後、アバットメント、スキャンポスト、インプレッションポストなどについての指標として確実かつ効率的に使用することができる。
【0289】
駆動領域214及び駆動セクション216は、インプラントに対して埋入ツール200を正確に配置するのに更に有用である。これらの要素の断面形状に起因して、ツール200とインプラントの間の3つの相対回転位置だけが可能である。
【0290】
埋入ツール200の遠位部分204は、上述されるように保持要素206を更に有する。駆動セクション216、保持要素206及び駆動領域214は、埋入ツール200の遠位端から埋入ツール200の近位端に向かう方向にこの順序で配置される。
【0291】
埋入ツール200は2つの分離部、すなわち遠位部230及び近位部232からなり、それらは図37(a)~(c)に示すように互いに取り付けられている。
【0292】
埋入ツールの遠位部230は、埋入ツール200の近位部232の対応する凹部に適合する凸部を有する(図37(c)及び(d)を参照)。遠位部230及び近位部232は、凸部を凹部内に挿入することによって互いに取り付けられる。凸部は、凸部の遠位に配置される遠位部230のプレス嵌め肩234を用いた摩擦嵌合によって、凹部内部の所定位置に保持される(図37(b)を参照)。プレス嵌め肩234は、液体に対する封止機能を更に有する。
【0293】
凸部及び凹部は、埋入ツール200の長手方向軸の周囲で互いに対して遠位部230及び近位部232の任意の回転を防ぐために、対応する抗回転構造を有する。遠位部230の抗回転構造は、埋入ツール200の長手方向に対して垂直な断面、すなわち凸部の外側断面を有し、それは非円形、すなわち実質的に正方形である(図37(a)を参照)。埋入ツール200の遠位部230の抗回転構造は、埋入ツール200の近位部232の対応する抗回転構造と協働することができる。埋入ツール200の近位部232の抗回転構造は、埋入ツール200の長手方向に対して垂直な断面、すなわち凹部の内側断面を有し、それは非円形、すなわち実質的に正方形である。遠位部230及び近位部232の抗回転構造の断面は、実質的に同一である。
【0294】
遠位部230は駆動セクション216を含み、ならびに近位部232は保持要素206及び駆動領域214を含む。このように埋入ツール200の製造、特に保持要素206の製造は、特に単純化されることができる。
【0295】
保持要素206は近位部232と一体化して形成される。図37(d)及び図39は、本発明の第1の実施形態による埋入ツールと本発明の実施形態による歯科インプラント201の組み合わせを示し、その状態で、埋入ツール200の遠位部分204の一部はインプラント201内に埋め込まれる。これらの図面に示される状態で、埋入ツール200はインプラント201と完全に嵌合される。
【0296】
歯科インプラント201は金属(例えばチタン、チタン合金またはステンレス鋼)から作製される。
【0297】
歯科インプラント201は、患者の骨組織内への埋入のためのものである。歯科インプラント201は、図39(a)に示すように、歯根尖端207及び歯冠端209を有する芯体205を含む。
【0298】
歯科インプラント201は、保持要素206を含む埋入ツール200の遠位部分204の一部を受容するために、インプラント201の歯冠部分に形成した窩またはチャネル236を有する(図37(d)及び図39(b)を参照)。芯体205はチャネル236を含む。チャネル236は歯冠端209に対して開き、歯冠端209から歯根尖端207に向かってインプラント201の長手方向に延在する(図39(a)及び(b)を参照)。
【0299】
インプラント201の歯冠部分は、保持要素206の取付部分208の突起部210を受容するために空洞238を備えて形成される(図37(d)及び図39(b)を参照)。したがって保持要素206の取付部分208は、スナップ嵌めによってインプラント201の歯冠部分内に確実に保持されることができる。
【0300】
更に歯科インプラント201は、インプラント201を患者の顎骨組織内にねじ込めるための外側ねじ状部分203を有する(図39(a)及び(b)を参照)。
【0301】
埋入ツール200がインプラント201に取り付けられるとき、埋入ツール200の遠位部分204の一部は、インプラント201のチャネル236に埋入される。その結果、保持要素206の取付部分208の突起部210は、インプラント201の歯冠部分に形成された空洞238に受容される。したがって保持要素206は、スナップ嵌めによってこの歯冠部分内にしっかり保持されて、そうして埋入ツール200をインプラント201にしっかり取り付ける。
【0302】
埋入ツール200をインプラント201に取り付ける工程で、保持要素206のチャネル236内への埋入の際、保持要素206は、その横断方向に最初に弾性的に変形し、すなわち弾性的に圧縮され、その後突起部210が空洞238に受容されると、その最初の形状に回復する。突起部210のこの「スナップ嵌め」工程は、埋入ツールがインプラント201に適切に埋め込まれたことを示す、可聴及び触覚フィードバックを埋入ツール200のユーザー(例えば歯科技工室の臨床医または技師)に提供する(図37(d)及び図39を参照)。
【0303】
埋入ツール200のこの完全に嵌合した状態において、埋入ツール200は、インプラント201を拾いあげて、それが骨組織内に埋め入れられることになっている埋入部位へ運ぶために使用してもよい。ツール200とインプラント201との確実な嵌合に起因して、それが所望の位置に達する前に、埋入ツール200から外れるインプラント201の任意の危険度は確実に回避されることができる。
【0304】
更に埋入ツール200のこの完全に嵌合された状態で、埋入ツール200の遠位部分204の駆動領域214及び駆動セクション216は、図39(b)及び(c)に示されるように、インプラント201の駆動部分240及び駆動ゾーン242とそれぞれ嵌合している。インプラント201の芯体205は駆動部分240及び駆動ゾーン242を有する。駆動ゾーン242は、図39(b)に示すように、駆動部分240の頂端に配置される。インプラント201の駆動部分240で、インプラント201の長手方向に対して垂直なインプラント201のチャネル236の断面、すなわち内側断面は、複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。埋入ツール200の駆動領域214とインプラント201の駆動部分240の断面は、実質的に同一である。
【0305】
駆動部分240は先細形状を有し、その結果、駆動部分240で、インプラント201の長手方向に垂直なチャネル236の断面の横方向寸法は、図39(b)に示すように、歯冠端209から歯根尖端207に向かう方向に沿って減少する。
【0306】
インプラント201の駆動ゾーン242で、インプラント201の長手方向に垂直なインプラント201のチャネル236の断面、すなわち内側断面は、断面の円周に沿って交互に配置される、複数の放射状凸部及び複数の放射状凹部を有し、断面の円周に沿って交互に配置される複数の放射状凹部を有することができる。そこで放射状凸部の放射状の最外側点のそれぞれは、図39(c)に示すように、断面の中央周辺の対応する円にある。
【0307】
駆動ゾーン242のインプラント201のチャネル236の断面は、同数の、すなわちそれぞれ6つの放射状凸部と放射状凹部を有する(図39(c)を参照)。
【0308】
駆動ゾーン242の放射状凸部は、第1の放射状凸部及び第2の放射状凸部を含む。そこで、第1の放射状凸部の放射状の最外側点すべては、断面の中央周辺の単一の第1の円にあり、及び第2の放射状凸部の放射状の最外側点のすべては、断面の中央周辺の単一の第2の円にある。第2の円は、第1の円より小さい半径を有する。第1の放射状凸部及び第2の放射状凸部は、それらの間に配置された対応する放射状凹部と共に、駆動ゾーン242の断面の円周に沿って交互に配置される。第1の放射状凸部の数は、第2の放射状凸部の数と同じである。
【0309】
駆動ゾーン242の断面の放射状凸部及び放射状凹部はそれぞれ、曲線形状、例えば少なくとも部分的に円形形状、少なくとも部分的に楕円形状、少なくとも部分的に卵形状などを有する。放射状凸部及び放射状凹部は、互いに直接隣接して配置される。
【0310】
放射状凹部の放射状の最内側点は、断面の中央周辺の単一の円にある。したがって放射状凹部のすべての放射状の最内側点は、断面の中央周辺の同じ円にある。
【0311】
駆動ゾーン242は、0.5~1.2mmの範囲で歯科インプラント201の長手方向に長さを有してもよい。
【0312】
埋入ツール200の駆動セクション216とインプラント201の駆動ゾーン242の断面は、実質的に同一である。
【0313】
したがってインプラント201は、埋入ツール200の遠位部分204の駆動領域214及び駆動セクション216と、インプラント201の駆動部分240及び駆動ゾーン242の間のそれぞれの協調または相互作用によって、骨組織内へねじ込められることができる。上述のように、駆動部分240及び駆動ゾーン242と協働できる、駆動領域214及び駆動セクション216の存在に起因して、骨組織へのその埋入の際、インプラント201に適用される回転力または荷重は、2つの構造により分担されることができ、そうしてインプラント201への損傷の危険性を最小限度に抑える。
【0314】
図40は、本発明の第2の実施形態による埋入ツール300を示す。第2の実施形態による埋入ツール300は、とりわけ埋入ツール300が単一材料片からなるという点で、第2の実施形態による埋入ツール200とは異なる。したがって埋入ツール300のすべての要素は、互いに一体化して形成される。
【0315】
埋入ツール300の一般的な構造及び機能は、埋入ツール200と実質的に同じである。具体的には、埋入ツール300は近位部分(図示せず)及び遠位部分304を含む。遠位部分304は、図40(a)及び(b)に示すように、埋入ツール300の遠位端から埋入ツール300の近位端に向かう方向にこの順序で配置される、駆動セクション316、保持要素306及び駆動領域314を有する。更に埋入ツール300は、特に保持要素306の製造に関して、埋入ツール300の製造を容易にする、駆動セクション316で切欠部320を有する。
【0316】
図41及び図42は、本発明の実施形態による歯科インプラント401を示す。
【0317】
歯科インプラント401は、患者の顎骨または骨組織内への埋入のための自己穿孔式歯科インプラントである。歯科インプラント401は、図41(a)に示すように、歯根尖端404、歯冠端406、及び歯根尖端404と歯冠端406の間でインプラント401の長手方向に沿って延在する外面408を有する芯体402を含む。
【0318】
歯科インプラント401は金属(例えばチタン、チタン合金またはステンレス鋼)から作製される。
【0319】
インプラント401は、芯体402から外向きに延在するねじ山412を更に含む(図41(a)及び(c)ならびに図42(a)及び(b)を参照)。ねじ山412は約10度のねじ山角度を有する。
【0320】
ねじ山412は、芯体402の歯根尖端404に向いている歯根尖面414、及び芯体402の歯冠端406に向いている歯冠面416を有する。ねじ山412は、そこに形成した第1の縦溝418、すなわち第1の切削溝418を有する(図41(a)及び(b)ならびに図42(b)を参照)。第1の縦溝418は、ねじ山412の歯根尖端からねじ山412の歯冠端に向かって延在する。図42(b)に示すように、第1の縦溝418は、ねじ山412の第1の3つの完全な回転を越えて延在する。
【0321】
ねじ山412は、その歯根尖部で、その歯冠面416に形成された凹部420を有し、凹部420は、ねじ山412の厚みの一部に沿って歯冠面416から歯根尖面414に向かう方向に延在する。凹部420は、図41(a)及び図42(b)に示すように、第1の縦溝418に対して開いている。凹部420は、第1の縦溝418に隣接して、すなわち直接隣接して提供される。凹部420は、切削機能、すなわち骨組織を切削する機能を有する。
【0322】
ねじ山412は更に、第2の縦溝418’及び第3の縦溝418’’を有する(図41(a)及び(b)ならびに図42(a)及び(d)を参照)。第1~第3の縦溝418、418’、418’’は、ねじ山412の長さに沿って及びねじ山412の円周に沿って、千鳥配列または位置をずらした配置で配置される。具体的には第2の縦溝418’は、図41(a)に示すように、ねじ山412の長さ及び円周に沿って、第1の溝418に対して千鳥配列にまたは位置をずらして配置される。第3の縦溝418’’は、インプラント401の半径方向に第1の縦溝418に対して対向配置され、ねじ山412の実質的に同じ高さまたは長さの位置に配置される(図41(b)ならびに図42(a)及び(b)を参照)。第1~第3の縦溝418、418’、418’’及び凹部420は、インプラント401を自己穿孔式にする。
【0323】
第1及び第3の縦溝418、418’’は、インプラント401の長手方向に対して傾いたもしくは傾斜した方向に延在する(図42(a)及び(b)を参照)。第2の縦溝418’は、インプラント401の長手方向に実質的に平行な方向に延在する(図41(a)を参照)。
【0324】
第1~第3の縦溝418、418’、418’’は、縦溝の幅方向に、芯体402の円周の一部に沿って延在する。
【0325】
歯冠面416から歯根尖面414に向かう方向への凹部420の延伸は、歯冠面416に平行な方向に沿って変化する(図41(c)ならびに図42(b)及び(c)を参照)。特に凹部420の深さは、図42(b)に示すように、第1の縦溝418から周囲方向に離れる方向に沿って減少する。このように、凹部420の特に効果的な切削機能を達成する。
【0326】
したがって凹部420の最大深さは、第1の縦溝418に直接隣接して配置される凹部420の部分に存在する。
【0327】
具体的には、凹部420は、図41(c)ならびに図42(b)及び(c)に示すように、おおよそ1/4球形状を有する。凹部420のこの形状は、凹部420及びしたがって更にインプラント401が特に単純かつ費用効率の高い方法で製造されるのを可能にする。
【0328】
凹部420は、インプラント401の回転方向の第1の縦溝418の上流側に配置される(図42(b)を参照)。
【0329】
凹部420は、図41(a)及び(c)ならびに図42(b)に示すように、ねじ山412の第1の完全な回転で、すなわちねじ山412の最歯根尖での完全な回転で、ねじ山412の歯冠面416に形成される。凹部420のこの配置は、インプラント401の顎骨または骨組織との特に安定かつ頑丈な嵌合を可能にする。
【0330】
凹部420は、効率的に骨材料を切削し、除去して、更に芯体402の歯冠端406に向かって除去された骨材料を輸送するのを助ける。
【0331】
本実施形態のインプラント401は、低減した力及び高度な精度で骨組織へのその埋入を可能にする。このように、インプラント401と骨組織の特に安定かつ頑丈な接続または嵌合、すなわち高い埋入安定性は、達成されることができる。
【0332】
ねじ山412の歯冠面416の凹部420の配置に起因して、これらの効果は、ねじ山412の実質的にすべてのインプラントのねじ山角度について、特に小さなインプラントのねじ山角度(例えば約10度のねじ山角度)について達成することができる。
【0333】
図43は、本発明の実施形態による歯科インプラント501を示す。
【0334】
歯科インプラント501は、患者の顎骨または骨組織内への埋入のための自己穿孔式歯科インプラントである。歯科インプラント501は、図43(a)に示すように、歯根尖端504、歯冠端506、及び歯根尖端504と歯冠端506の間でインプラント501の長手方向に沿って延在する外面508を有する芯体502を含む。インプラント501は、芯体502から外向きに延在するねじ山512を更に含む(図43(a)及び(b)を参照)。
【0335】
歯科インプラント501は金属(例えばチタン、チタン合金またはステンレス鋼)から作製される。
【0336】
歯科インプラント501の外側形状は、例えば図1図3図6及び図7に示される上述の歯科インプラントのいずれか、例えば歯科インプラント1と実質的に同一でもよい。
【0337】
具体的には、歯科インプラント501は第1の芯成形ゾーンを有してもよく、そこで芯体502の断面は複数の主方向を有し、これらの主方向で、断面の中心とその外側輪郭の間の距離に相当する半径は相対的な最大値になり、したがって隣接する方位より高い値になる。特に、第1の芯成形ゾーンの芯体502は三方楕円断面を有してもよい(図43(c)を参照)。
【0338】
歯科インプラント501は、芯体502の断面が基本的に円形に成形される芯成形ゾーンを有してもよい。
【0339】
歯科インプラント501は、芯成形ゾーンと芯円形ゾーンの間に位置する芯移行ゾーンを有してもよい。芯移行ゾーンで、芯体502の断面形状は、長手方向の座標に特有なパラメータの関数として、芯円形ゾーンに隣接する基本的に円形形状から、芯体502の断面が第1の芯成形ゾーンの断面形状に対応する、形状へ連続的に変化する。特に芯移行ゾーンの芯体502は、三方楕円断面を有してもよい。
【0340】
歯科インプラント501は、インプラント501の歯冠部分に形成した窩またはチャネル510を有する(図43(a)~(c)を参照)。チャネル510はインプラント501の歯冠端506に対して開き、歯冠端506からその歯根尖端504に向かってインプラント501の長手方向に延在する。
【0341】
芯体502は、インプラント501の長手方向に対して垂直なチャネル510の断面が実質的に六角形状を有する、六角噛合凹部515を有する。
【0342】
チャネル510は、円錐部分514、六角噛合凹部515、及びインプラント501の歯冠端506からインプラント501の歯根尖端504に向かう方向にこの順番で配置される、内側ねじ状部分516を含む(図43(b)及び(c)を参照)。円錐部分514及び六角噛合凹部515は、アバットメント及び埋入ツール200、300の先端部分を受容するように構成され、内側ねじ状部分516は、アバットメントを歯科インプラント501に固定するための連結ねじを受容するように構成される。
【0343】
円錐部分514は歯科インプラント501の長手方向軸に対して内向きに先細になる側壁を有し、インプラント501の歯冠端506のチャネル510により広い最初の開口部を提供する。円錐部分514の特定の形状は、歯科インプラント501の長手方向軸に対する円錐半角を画定する。この円錐半角は約10度と約20度の間でもよい。すなわち、円錐部分514の内壁と歯科インプラント501の長手方向中心線の間の角度は、約10度と約20度間でもよい。一実施形態において、円錐半角は約12度である。
【0344】
インプラント501の長手方向の円錐部分514の長さとインプラント501の長手方向の六角噛合凹部515の長さの間の比は、約1:1でもよい。円錐部分514の長さは少なくとも約1mmでもよく、六角噛合凹部515の長さは少なくとも約1mmでもよい。円錐部分514の長さは、インプラント501の上面から、円錐部分514の先細面が終了するチャネル510の部分まで垂直方向に測定した距離である。六角噛合凹部515の長さは、円錐部分514の端から六角噛合凹部515の端まで垂直方向に測定される。
【0345】
円錐部分514及び六角噛合凹部515の比率ならびに長さは、十分に長い先細形状接続の利点を有利に組み合わせて、効果的な封止及び十分に長い六角噛合凹部515を提供する。その結果、インプラント501が患者の顎骨内に埋め込まれるとき、十分な駆動トルクがインプラント501に伝送されることができる。
【0346】
上述の本発明の歯科インプラントのすべての実施形態の特徴は、互いと組み合わせる、または互いに分離してとられることができる。上述の本発明の埋入ツールのすべての実施形態の特徴は、互いと組み合わせる、または互いに分離してとられることができる。
【符号の説明】
【0347】
1,1´,1´´,1´´´,1´´´´,201,401,501 歯科インプラント
2,205,402,502 芯体
4,207,404,504 歯根尖端
6,209,406,506 歯冠端
8,408,508 外面
10,236,510 受容チャネル
12,203,412,512 ねじ山
20 芯円形ゾーン
22 芯成形ゾーン
24 頂プラットホームゾーン
26 芯移行ゾーン
26´ 第2の芯成形ゾーン
28 包囲容積
30 ねじ山成形ゾーン
32 ねじ山円形ゾーン
34 ねじ山移行ゾーン
34´ 第2のねじ山成形ゾーン
38 溝
40 溝成形ゾーン
42 頂ゾーン
43 交差位置
44 移行線
46 切削溝
48 切削端
50 断面の中央
52 線
54 地点
56 点線
58 自由幅
60 歯根尖面
62 歯冠面
64 長手方向軸
66 線
70 骨組織
72 空洞
74 プラットホーム
80 接続システム
82 矢印
84 底端
86 割出し輪郭
88 細孔
90 フィードバック構造
92 溝
100 歯冠面
102 溝
104 歯根尖切削溝
200,300 埋入ツール
202 近位部分
204,304 遠位部分
206,306 保持要素
208 取付部分
210 突起部
212 連結部
214,314 駆動領域
216,316 駆動セクション
218 放射状凸部
220 放射状凹部
222,224 放射状凸部の放射状の最外側点
226 放射状凹部の放射状の最内側点
228 断面中心円周の円
230 遠位部
232 近位部
234 プレス嵌め肩
238 空洞
240 駆動部分
242 駆動ゾーン
320 切欠部
414 歯根尖ねじ山面
416 歯冠ねじ山面
418,418’,418’’ 縦溝
420 凹部
514 円錐部分
515 六角噛合凹部
516 内部のねじ状部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図11
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図17
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