(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】電器装置および電気的接続アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02B 11/04 20060101AFI20230605BHJP
H01R 4/48 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
H02B11/04 A
H01R4/48 C
(21)【出願番号】P 2021539157
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(86)【国際出願番号】 CN2019130243
(87)【国際公開番号】W WO2020140883
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】201910003024.5
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521293486
【氏名又は名称】シャンハイ リーディング コネクション メカトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI LEADING CONNECTION MECHATRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM 501-8A102, NO.125 LIUYING ROAD, HONGKOU DISTRICT, SHANGHAI, 200083, CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】521293497
【氏名又は名称】ジィァンスー ルゥォカイ メカニカル アンド エレクトリカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU LUOKAI MECHANICAL AND ELECTRICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.101 YONG’ANLI ROAD, LUOYANG TOWN, WUJIN DISTRICT, CHANGZHOU CITY, 213104, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】シー ヂォン
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-197084(JP,A)
【文献】特開平06-131937(JP,A)
【文献】特開2002-352650(JP,A)
【文献】特開2012-019650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 11/04
H01H 31/02
H01H 33/66
H01R 4/48
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出式構造の電器装置の本体と引出式装置との間に接続される電気的接続装置であって、
引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される引出式装置接続アセンブリと、
締付機構を有する接触片を含んでおり、前記締付機構が前記接触片を本体母線に密着させ締め付ける本体接続アセンブリと、
引出式装置接続アセンブリと本体接続アセンブリとを接続し、本体接続アセンブリ、可撓性アセンブリおよび引出式装置接続アセンブリとともに導電通路を形成する可撓性アセンブリとを含み、
本体接続アセンブリの接触片は、本体母線の位置のずれに応じてずれを生じ、接触片を本体母線に密着させ締め付け、前記可撓性アセンブリは、それ自体が変形して接触片のずれを吸収し、ずれが引出式装置接続アセンブリに伝達されないようにすることを特徴とする電気的接続装置。
【請求項2】
前記本体接続アセンブリは、
本体母線に密着して締め付け、可撓性アセンブリに接続された接触片と、
接触片の外側から締付力を加え、接触片を内向きに収縮させ、本体母線に密着させ締め付ける締付機構と、
接触片の内側から復帰力を加え、接触片を外向きに展開して復帰させる復帰機構とを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【請求項3】
前記締付機構は、締結部材と、軸受部材と、弾性部材と、付勢部材とを含み、
締結部材は、接触片上に実装され、締結部材が締め付けられると、接触片が内向きに収縮し、
弾性部材および付勢部材は、接触片に締付力を加え、
軸受部材は、締結部材と弾性部材との間に実装され、軸受部材は、締結部材動作時の回動を吸収し、前記回動が弾性部材および付勢部材に伝達されないようにすることを特徴とする請求項2に記載の電気的接続装置。
【請求項4】
前記接触片は2枚であり、2枚の接触片が両側から本体母線に密着して締め付け、締結部材は、2枚の接触片上に実装され、締結部材が締め付けられると、2枚の接触片が内向きに収縮し、復帰機構は、2枚の接触片の内側に実装され、復帰機構は、2枚の接触片を外向きに展開して復帰させることを特徴とする請求項3に記載の電気的接続装置。
【請求項5】
前記締結部材はボルトおよびナットであり、前記軸受部材は平面軸受であり、前記弾性部材は皿ばねアセンブリであり、前記付勢部材は押さえ板であり、
接触片にボルトを貫通させるねじ穴を有し、ボルトは、第1の接触片の外側から第1の接触片および第2の接触片をこの順に貫通し、ナットは、第2の接触片の外側から、ボルトの第2の端上に回転実装され、
ボルトの第1の端と第1の接触片との間に、平面軸受、皿ばねアセンブリおよび押さえ板が装着され、皿ばねアセンブリは、数個の皿ばねを含み、
ボルトとナットが相対的に回動して収縮し、2枚の接触片が内向きに収縮し、皿ばねアセンブリおよび押さえ板は、接触片に締付力を加え、
平面軸受は、ボルトとナットの相対的な回動を吸収し、皿ばねと押さえ板が回動しないようにすることを特徴とする請求項4に記載の電気的接続装置。
【請求項6】
前記締結部材はボルトおよびナットであり、前記軸受部材は平面軸受であり、前記弾性部材は皿ばねアセンブリであり、前記付勢部材は押さえ板であり、
2枚の押さえ板は、それぞれ2枚の接触片の外側にあり、それぞれ接触片に固定され、押さえ板には、ボルトを貫通させるねじ穴があり、ボルトは、第1の押さえ板の外側から、第1の押さえ板および第2の押さえ板をこの順に貫通し、ナットは、第2の押さえ板の外側からボルトの第2の端上に回転実装され、
ボルトの第1の端と第1の押さえ板との間に、平面軸受および皿ばねアセンブリが装着され、皿ばねアセンブリは、数個の皿ばねを含み、
ボルトとナットが相対的に回動して収縮し、2枚の押さえ板が内向きに収縮し、皿ばねアセンブリは、押さえ板を介して接触片に締付力を加え、
平面軸受は、ボルトとナットの相対的な回動を吸収し、皿ばねと押さえ板が回動しないようにすることを特徴とする請求項4に記載の電気的接続装置。
【請求項7】
前記復帰機構が復帰ばねであり、復帰ばねはボルト上に実装され、復帰ばねは2枚の接触片または2枚の押さえ板の間に位置し、ボルトとナットが相対的に回動して収縮すると、復帰ばねが圧縮され、ボルトとナットが相対的に回動して拡張すると、復帰ばねが復元し、復帰ばねは、2枚の接触片または2枚の押さえ板の内側にばね力を加え、2枚の接触片を外向きに展開することを特徴とする請求項5または6に記載の電気的接続装置。
【請求項8】
前記可撓性アセンブリは、多層銅箔、多層銅テープまたは平編銅線からなることを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【請求項9】
前記引出式装置接続アセンブリは、
引出式装置上に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続された接続片と、
接続片上に実装された放熱機構とを含むことを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【請求項10】
接続片は2枚であり、2枚の接続片は離隔して設けられ、前記放熱構造は、
中空支持構造であり、2枚の接続片の間に設けられたパッドと、
2枚の接続片の外側からパッドを固定する固定支持体とを含むことを特徴とする請求項9に記載の電気的接続装置。
【請求項11】
前記引出式装置接続アセンブリおよび本体接続アセンブリは、閉じた経路の形成を阻止するために、非磁性材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【請求項12】
分離位置と挿入位置とを有する本体および引出式装置を含む引出式構造の電器装置であって、本体および引出式装置は、請求項1に記載の電気的接続装置を介して接続され、
分離位置において、本体は引出式装置から引き出され、本体母線は本体接続アセンブリから分離しており、本体母線は接触片と接触しておらず、
挿入位置において、本体は、引出式装置に押し込まれ、本体母線は本体接続アセンブリに挿入され、接触片を本体母線に密着させ締め付けることを特徴とする引出式構造の電器装置。
【請求項13】
2つの電気的接続装置と、2つの電気的接続装置に接続された連動機構とを含む、連動する電気的接続アセンブリであって、
2つの電気的接続装置は、引出式構造の電器装置の本体と引出式装置との間に接続され、2つの電気的接続装置は、それぞれ電器装置の入力端子および出力端子に接続され、前記電気的接続装置は、
引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される引出式装置接続アセンブリと、
締付機構を有する接触片を含んでおり、前記締付機構が前記接触片を本体母線に密着させ締め付ける本体接続アセンブリと、
引出式装置接続アセンブリと本体接続アセンブリとを接続し、本体接続アセンブリ、可撓性アセンブリおよび引出式装置接続アセンブリとともに導電通路を形成する可撓性アセンブリとを含み、
本体接続アセンブリの接触片は、本体母線の位置のずれに応じてずれを生じ、接触片を本体母線に密着させ締め付け、前記可撓性アセンブリは、それ自体が変形して接触片のずれを吸収し、ずれが引出式装置接続アセンブリに伝達されないようにし、
前記連動機構は、2つの電気的接続装置の締付機構に接続され、連動機構は、2つの電気的接続装置の締付機構を同期動作させることを特徴とする連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項14】
前記本体接続アセンブリは、
本体母線に密着して締め付け、可撓性アセンブリに接続された接触片と、
接触片の外側から締付力を加え、接触片を内向きに収縮させ、本体母線に密着させ締め付ける締付機構と、
接触片の内側から復帰力を加え、接触片を外向きに展開して復帰させる復帰機構とを含むことを特徴とする請求項13に記載の連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項15】
前記締付機構は、締結部材と、軸受部材と、弾性部材と、付勢部材とを含み、
締結部材は、接触片上に実装され、締結部材が締め付けられると、接触片が内向きに収縮し、
弾性部材および付勢部材は、接触片に締付力を加え、
軸受部材は、締結部材と弾性部材との間に実装され、軸受部材は、締結部材動作時の回動を吸収し、前記回動が弾性部材および付勢部材に伝達されないようにすることを特徴とする請求項14に記載の連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項16】
前記接触片は2枚であり、2枚の接触片が両側から本体母線に密着して締め付け、締結部材は、2枚の接触片上に実装され、締結部材が締め付けられると、2枚の接触片が内向きに収縮し、復帰機構は、2枚の接触片の内側に実装され、復帰機構は、2枚の接触片を外向きに展開して復帰させることを特徴とする請求項15に記載の連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項17】
前記連動機構が絶縁伝動部材であり、絶縁伝動部材は、2つの電気的接続装置の締結部材に接続され、2つの電気的接続装置の締結部材を同期動作させることを特徴とする請求項16に記載の連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項18】
前記締結部材はボルトおよびナットであり、前記軸受部材は平面軸受であり、前記弾性部材は皿ばねアセンブリであり、前記付勢部材は押さえ板であり、
接触片にボルトを貫通させるねじ穴を有し、ボルトは、第1の接触片の外側から第1の接触片および第2の接触片をこの順に貫通し、ナットは、第2の接触片の外側から、ボルトの第2の端上に回転実装され、
ボルトの第1の端と第1の接触片との間に、平面軸受、皿ばねアセンブリおよび押さえ板が装着され、皿ばねアセンブリは、数個の皿ばねを含み、
ボルトとナットが相対的に回動して収縮し、2枚の接触片が内向きに収縮し、皿ばねアセンブリおよび押さえ板は、接触片に締付力を加え、
平面軸受は、ボルトとナットの相対的な回動を吸収し、皿ばねと押さえ板が回動しないようにすることを特徴とする請求項16に記載の連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項19】
前記連動機構が絶縁伝動部材であり、絶縁伝動部材の両端にインターフェースを有し、両端のインターフェースにそれぞれ2つの電気的接続装置のボルトが接続され、2つの電気的接続装置のボルトを同期回動させることを特徴とする請求項18に記載の連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項20】
前記締結部材はボルトおよびナットであり、前記軸受部材は平面軸受であり、前記弾性部材は皿ばねアセンブリであり、前記付勢部材は押さえ板であり、
2枚の押さえ板は、それぞれ2枚の接触片の外側にあり、それぞれ接触片に固定され、押さえ板には、ボルトを貫通させるねじ穴があり、ボルトは、第1の押さえ板の外側から、第1の押さえ板および第2の押さえ板をこの順に貫通し、ナットは、第2の押さえ板の外側からボルトの第2の端上に回転実装され、
ボルトの第1の端と第1の押さえ板との間に、平面軸受および皿ばねアセンブリが装着され、皿ばねアセンブリは、数個の皿ばねを含み、
ボルトとナットが相対的に回動して収縮し、2枚の押さえ板が内向きに収縮し、皿ばねアセンブリは、押さえ板を介して接触片に締付力を加え、
平面軸受は、ボルトとナットの相対的な回動を吸収し、皿ばねと押さえ板が回動しないようにする請求項16に記載の連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項21】
前記連動機構が絶縁伝動部材であり、絶縁伝動部材の両端にインターフェースを有し、両端のインターフェースにそれぞれ2つの電気的接続装置のボルトが接続され、2つの電気的接続装置のボルトを同期回動させることを特徴とする請求項20に記載の連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項22】
前記復帰機構が復帰ばねであり、復帰ばねはボルト上に実装され、復帰ばねは2枚の接触片または2枚の押さえ板の間に位置し、ボルトとナットが相対的に回動して収縮すると、復帰ばねが圧縮され、ボルトとナットが相対的に回動して拡張すると、復帰ばねが復元し、復帰ばねは、2枚の接触片または2枚の押さえ板の内側にばね力を加え、2枚の接触片を外向きに展開することを特徴とする請求項18または20に記載の連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項23】
電気的接続装置と、連動機構とを含む連動する電気的接続アセンブリであって、
前記電気的接続装置は、引出式構造の電器装置の本体と引出式装置との間に接続され、前記電器装置は、多相を有し、前記電気的接続装置は、
引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される引出式装置接続アセンブリと、
各々が電器装置のうちの一相に対応し、各々が締付機構を有する接触片を含み、締付機構は、接触片をこの相の本体母線に密着させ締め付ける、数個の本体接続アセンブリと、
引出式装置接続アセンブリと本体接続アセンブリとを接続し、本体接続アセンブリ、可撓性アセンブリおよび引出式装置接続アセンブリとともに導電通路を形成する可撓性アセンブリとを含み、
本体接続アセンブリの接触片は、本体母線の位置のずれに応じてずれを生じ、接触片を本体母線に密着させ締め付け、前記可撓性アセンブリは、それ自体が変形して接触片のずれを吸収し、ずれが引出式装置接続アセンブリに伝達されないようにし、
前記連動機構は、数個の本体接続アセンブリの締付機構に接続され、連動機構は、数個の本体接続アセンブリの締付機構を同期動作させることを特徴とする連動する電気的接続アセンブリ。
【請求項24】
分離位置と挿入位置とを有する本体および引出式装置を含む引出式構造の電器装置であって、本体および引出式装置は、請求項13または23に記載の連動する電気的接続アセンブリを介して接続され、
分離位置において、本体は引出式装置から引き出され、本体母線は本体接続アセンブリから分離しており、本体母線は接触片と接触しておらず、
挿入位置において、本体は、引出式装置に押し込まれ、本体母線は本体接続アセンブリに挿入され、接触片を本体母線に密着させ締め付けることを特徴とする引出式構造の電器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電器装置分野に関し、さらに具体的には、引出式構造の電器装置における電気的接続部品に関する。
【背景技術】
【0002】
引出式構造を有する電器装置(Electrical Appliance Apparatus)としては、気中遮断器、配線用遮断器、引き出し装置付き自動切替スイッチ、中圧遮断器、スイッチギヤ等が挙げられる。引出式構造の装置は、本体と、引出式装置とを含む。本体においてブリッジ型接点を本体母線として用い、引出式装置において接触ブリッジを設け、本体母線との電気的接続を実現するために用いる。引出式装置における接触ブリッジは、外付けされた出入力端子に接続される。本体を引出式装置に押し入れるときに、本体母線が接触ブリッジと接触して導電通路を形成し、本体が外付けされた出入力端子と連通する。本体を引き出し装置から引き出すときに、本体母線が接触ブリッジから離脱し、導電通路が切断され、テストやメンテナンスに便利なよう、隔離を実現する。本体母線と接触ブリッジは、引出式構造の電器装置の電気的接続装置を構成する。一部の製品では、接触ブリッジを本体上に設けている場合もあるが、こうした配置においても、依然として母線と接触ブリッジにより引出式構造の電器装置の電気的接続装置を構成しており、基本原理は前述の構造と同じである。
【0003】
図1aおよび
図1bは、引出式構造の電器装置で用いられている先行技術の電気的接続装置の構造図を示す。
図1aおよび
図1bに示すように、引出式装置に実装されている接触ブリッジは、接触片101と、軸102と、引張ばね103と、支持体104とを含む。接触片101は、複数枚あり、形状と大きさが同一の2枚の接触片101が対向して配置され1セットをなす。複数セットの接触片を積み重ね、対称な2列の積み重ねられた接触片に組み立てる。各接触片101の外側の中央に近い位置に溝を形成し、軸102は溝内に配置されている。引張ばね103の中央は、2列の接触片101の間に位置し、引張ばね103の両端は、それぞれ一対の軸102上に固定されている。各接触片間の互いの摩擦を少なくして仕切りの作用を奏する支持体104が、各セットの接触片101の間に挿入され、支持体104は、2列の接触片の両端および中間に配置されている。接触片101と、軸102と、引張ばね103と、支持体104とは、共同で、
図1aおよび
図1bに示す接触ブリッジを形成する。接触ブリッジの一端(
図1aに示す左側の端)には、2列の接触片上で互いに向かい合う一端の端部が、共同で、本体母線105を挟むクランプを構成する。接触ブリッジの他端(
図1aに示す右側の端)には、引出式装置上の外付けの出入力端子106が接続される。
【0004】
接触片101ごとに、本体母線105と接触する接点が形成されている。2列の接触片は、共同で複数の接点領域を形成する。2列の接触片の間に、本体母線105を置くための間隙があり、本体母線105をこの間隙に挿入するときに有効な接触を形成できることを確実にするため、この間隙の幅は、本体母線105の厚みよりも小さく設けられる。本体を引出式装置に押し入れるときに、本体母線105が2列の接触片の間の間隙に挿入される。本体母線105の厚みは間隙よりも大きいため、本体母線105が2列の接触片を押し開き、押し開かれた接触片が、引張ばね103に変形を生じさせる。引張ばね103の変形によって生じたばね力が接触片に作用し、2列の接触片を内向きに締め付ける。このような作用の下で、本体母線を押し入れ続けるのに伴い、2列の接触片がよりきつく母線を締め付ける。このように、より多くの接触片が母線に接触して接点を形成し、接点の数量が多いほど、接触の抵抗が小さくなる。動作過程において接点が確実に接触することを保証するため、引張ばねのばね力を増加させ、本体母線に対する接触片の締付力を増加させ、接点の数および接触安定性を保証し、接触抵抗を小さくする。しかしながら、引張ばねのばね力を増加させることによる欠点も十分に明らかである。本体を引出式装置に押し入れるとき、本体母線と接触片との間の摩擦力および本体母線が2列の接触片を押し開くときに必要な力は、押し入れる際に克服することが必要な主たる抵抗力である。引張ばねのばね力が増加するとき、接触片を押し開くのに必要な力および本体母線と接触片との間の摩擦力が、どちらも大幅に増加する。通常、単一の接触ブリッジが提供する締付力は、800N程度である。3極遮断器は、3つの入力電気的接続装置と3つの出力電気的接続装置とを含む、少なくとも6つの電気的接続装置を有するため、締付力を増加すると、本体母線を接触ブリッジに挿入する抵抗力が倍増し、最終的に本体母線を電気的接続装置に挿入することが難しくなり、引き出し装置全体の駆動装置の操作力が受け入れ難いほど大きくなる。
【0005】
また、接触片101と、軸102と、引張ばね103と、支持体104とからなる接触ブリッジは、接触片が所在する平面内でのみ小範囲の回動を接触片に許すことができ、接触片の動きの自由度は極めて小さい。本体母線の角度にずれが存在する場合、この構造の接触ブリッジは、本体母線の位置または角度のずれに適応し、それを除去することができない。こうしたずれは、本体母線と有効に接触する接触片の数を減少させ、接点数および接触面積がどちらも低下し、使用性能および使用寿命に不利となる。さらに、こうしたずれにより、本体母線を間隙に挿入できなくなり、屈折を形成し、2列の接触片を押し開く展開力、本体母線と接触片との間の摩擦力が増大する。4000A以上の大容量製品の中には、横向きの幅が比較的広く、電気的接続装置の各々の位置ずれが大きく、単一の入力端子または出力端子に2つまたは3つの電気的接続装置を有しているものがあり、こうした引き出し装置の操作力が倍増する。
【0006】
総括すると、先行技術において用いられている電気的接続装置には、下記の欠陥が存在する。設置の難しさと使用性能との間に明らかな矛盾が存在する。使用性能の観点から、締付力が大きいほどよく、接点の数を増やし、接触面積を大きくし、接触抵抗を下げることが望まれる。接触面積が大きいと、使用中の発熱も少なくし、電気的接続装置全体の使用寿命を延長させる。しかしながら、締付力が増加すると、実装の抵抗力が大幅に高まり、実装の難しさが倍増し、機器の実装および保守に非常に不利となる。締付力を低下させると、設置には便利であるが、締付力が不足する場合、本体母線と接触片との噛み合わせが不十分となり、接点の数が少なくなり、一部の接点に接続不良が発生するなどの問題が起こる。接点の数が少ないと、接触面積が小さくなり、接触抵抗が増加し、接続不良の接点の発熱量が大きくなり、使用中に接触箇所の温度が高くなりすぎ、焼けることがある。接触ブリッジの実装精度に対する要求が高く、本体母線の角度または位置のずれに適応し、それを除去することができず、本体母線の角度または位置のずれは、接触性能の低下をもたらし、使用性能および使用寿命を低下させる。しかしながら、本体母線の角度および位置の精度を高めることは、実装の難しさを高めることになる。
【0007】
先行技術の電気的接続装置の構造は、設置と使用性能との間の矛盾を解決することができず、両者の間で折衷案をとるしかない。しかしながら、折衷案では、最適な使用性能を得ることができない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、挿入および締め付けの操作を分離し、本体母線にできる限り密着させて接触面積を増加させた電気的接続装置、この電気的接続装置からなる連動する電気的接続アセンブリ、および上記電気的接続装置または電気的接続アセンブリを用いた電器装置を提案することを目的とする。
【0009】
本発明の一実施例により、引出式構造の電器装置の本体と引出式装置との間に接続される電気的接続装置であって、引出式装置接続アセンブリと、本体接続アセンブリと、可撓性アセンブリとを含む、電気的接続装置を提案する。引出式装置接続アセンブリは、引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される。本体接続アセンブリは締付機構を有する接触片を含んでおり、締付機構は接触片を本体母線に密着させ締め付ける。可撓性アセンブリは、引出式装置接続アセンブリと本体接続アセンブリとを接続し、本体接続アセンブリ、可撓性アセンブリおよび引出式装置接続アセンブリは、導電通路を形成する。本体接続アセンブリの接触片は、本体母線の位置のずれに適応してずれを生じ、接触片を本体母線に密着させ締め付け、可撓性アセンブリは、それ自体が変形して接触片のずれを吸収し、ずれが引出式装置接続アセンブリに伝達されないようにする。
【0010】
本発明の一実施例により、前述した電気的接続装置によって接続される、分離位置と挿入位置とを有する本体および引出式装置を含み、分離位置において、本体は引出式装置から引き出され、本体母線は本体接続アセンブリから分離しており、本体母線は接触片と接触していない、引出式構造の電器装置を提案する。挿入位置において、本体は、引出式装置に押し込まれ、本体母線は本体接続アセンブリに挿入され、接触片を本体母線に密着させ締め付ける。
【0011】
本発明の一実施例により、2つの電気的接続装置と、この2つの電気的接続装置に接続された連動機構とを含む、連動する電気的接続アセンブリを提案する。2つの電気的接続装置は、引出式構造の電器装置の本体と引出式装置との間に接続され、2つの電気的接続装置は、それぞれ電器装置の入力端子および出力端子に接続され、この電気的接続装置は、引出式装置接続アセンブリと、本体接続アセンブリと、可撓性アセンブリとを含む。引出式装置接続アセンブリは、引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される。本体接続アセンブリは締付機構を有する接触片を含んでおり、締付機構は接触片を本体母線に密着させ締め付ける。可撓性アセンブリは、引出式装置接続アセンブリと本体接続アセンブリとを接続し、本体接続アセンブリ、可撓性アセンブリおよび引出式装置接続アセンブリは、導電通路を形成する。本体接続アセンブリの接触片は、本体母線の位置のずれに適応してずれを生じ、接触片を本体母線に密着させ締め付け、可撓性アセンブリは、それ自体が変形して接触片のずれを吸収し、ずれが引出式装置接続アセンブリに伝達されないようにする。連動機構は、2つの電気的接続装置の締付機構に接続され、前記連動機構は絶縁され、連動機構は、2つの電気的接続装置の締付機構を同期動作させる。
【0012】
本発明の一実施例により、電気的接続装置と、連動機構とを含む、連動する電気的接続アセンブリを提案する。電気的接続装置は、引出式構造の電器装置の本体と引出式装置との間に接続され、この電器装置は、多相を有し、電気的接続装置は、引出式装置接続アセンブリと、数個の本体接続アセンブリと、可撓性アセンブリとを含む。引出式装置接続アセンブリは、引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される。数個の本体接続アセンブリの各本体接続アセンブリは、電器装置のうちの一相に対応し、本体接続アセンブリの各々は、締付機構を有する接触片を含み、締付機構は、接触片をこの相の本体母線に密着させ締め付ける。可撓性アセンブリは、引出式装置接続アセンブリと本体接続アセンブリとを接続し、本体接続アセンブリ、可撓性アセンブリおよび引出式装置接続アセンブリは、導電通路を形成する。ここで、本体接続アセンブリの接触片は、本体母線の位置のずれに応じてずれを生じ、接触片を本体母線に密着させ締め付け、可撓性アセンブリは、それ自体が変形して接触片のずれを吸収し、ずれが引出式装置接続アセンブリに伝達されないようにする。連動機構は、数個の本体接続アセンブリの締付機構に接続され、連動機構は、数個の本体接続アセンブリの締付機構を同期動作させる。
【0013】
本発明の一実施例により、前述した連動する電気的接続アセンブリによって接続される、分離位置と挿入位置を有する本体および引出式装置を含み、分離位置において、本体は引出式装置から引き出され、本体母線は本体接続アセンブリから分離しており、本体母線は接触片と接触していない、引出式構造の電器装置を提案する。挿入位置において、本体は、引出式装置に押し込まれ、本体母線は本体接続アセンブリに挿入され、接触片を本体母線に密着させ締め付ける。
【0014】
本発明の電気的接続装置は、構造上、挿入と締め付け操作との間の矛盾を解決し、本体母線を接触片の間に挿入した後に締め付け操作を行うことができ、十分大きな締付力を加えて接触を確保することができ、締付力が本体母線の設置に対して影響を及ぼすことがない。さらに、この電気的接続装置は、可撓性アセンブリが設けられ、可撓性アセンブリは、それ自体が変形してある程度のずれを吸収することができ、本体母線の位置のずれに伴い接触片がある程度ずれるようにすることができ、本体母線に十分密着させ、接触面積および接触安定性を保証する。連動機構には、2つの電気的接続装置の締付機構が接続され、2つの電気的接続装置は、通常、それぞれ入力端子および出力端子が接続され、連動機構は、複数セットの電気的接続装置が各々の本体母線を同時に締め付けるようにし、操作方法を簡素化する。
【0015】
本発明によれば、本体母線を電気的接続装置に挿入する際に、本体母線と電気的接続装置との間の互いの作用力、先行技術における接触片を押し開く展開力、および本体母線と接触片との間の摩擦力が存在せず、引出式装置の駆動装置は非常に小さい力で電器装置の本体を押し動かし、本体母線を電気的接続装置に挿入することを実現できる。
【0016】
電気的接続装置は、必要に応じて大きな締付力を配して本体母線を締め付け、電器装置全体の接触抵抗を大幅に小さくすることができ、特に、長期的な使用において消費電力を大幅に低減し、使用コストを大幅に削減することができ、電器装置の定格電流が高いほど、こうした長所はより顕著である。一方、接触抵抗を小さくすることにより、製品の温度上昇が抑制され、電器装置の発熱が小さくなり、大きな放熱スペースを考慮する必要がなく、製品の寸法を小さくするのに役立ち、長期的な使用の信頼性が向上する。
【0017】
弾性部材の存在により、大きな締付力を提供するだけでなく、2つの電気的接続装置の間の締め付けストロークのずれを吸収し、同期動作後の2つの電気的接続装置の締付力の差異を小さくし、大きな締付力が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の上述したおよびその他の特徴、性質および長所は、以下の図面および実施例を組み合わせた記述によって、より明らかになり、図面中の同じ符号は、同じ特徴を常に表す。
【0019】
【
図1】
図1aおよび
図1bは、引出式構造の電器装置で用いられている先行技術の電気的接続装置の構造図を示す。
【
図2】
図2aおよび
図2bは、本発明による第1の実施例の電気的接続装置の構造図を示す。
【
図3】
図3aおよび
図3bは、本発明の一実施例による電気的接続装置において使用される平面軸受の構造図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例による電気的接続装置において使用されるパッドの構造図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例の電気的接続装置を用いた引出式構造の電器装置の構造図を示す。
【
図6】
図6aおよび
図6bは、本発明の第2の実施例による電気的接続装置の構造図を示す。
【
図7】
図7aおよび
図7bは、本発明の第3の実施例による電気的接続装置の構造図を示す。
【
図8】
図8は、異なる構造の本体母線に応じるために異なる構造の本体接続アセンブリを有する、本発明の電気的接続装置の変形例の構造図を示す。
【
図9】
図9は、異なる構造の本体母線に応じるために異なる構造の本体接続アセンブリを有する、本発明の電気的接続装置の変形例の構造図を示す。
【
図11】
図11は、第1の実施例の電気的接続装置からなる、本発明の一実施例による連動する電気的接続アセンブリの構造図を示す。
【
図12】
図12aおよび
図12bは、本発明の一実施例による連動する電気的接続アセンブリの使用状態図を示す。
【
図13】
図13は、本発明の別の実施例による連動する電気的接続アセンブリの構造図を示す。
【
図14】
図14は、本発明の別の実施例による連動する電気的接続アセンブリの構造図を示す。
【
図15】
図15aおよび
図15bは、本発明の別の実施例の連動する電気的接続アセンブリの構造図を示す。
【
図16】
図16aおよび
図16bは、本発明の連動する電気的接続アセンブリに適した引出式構造の電器装置の分離位置および挿入位置の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、挿入および締め付けの操作を分離し、本体母線にできる限り密着させて接触面積を増加させた電気的接続装置、この電気的接続装置からなる連動する電気的接続アセンブリ、および上記電気的接続装置または電気的接続アセンブリを用いた電器装置を提案する。
【0021】
以下、まず電気的接続装置を紹介する。
図2aおよび
図2bは、本発明の第1の実施例による連動する電気的接続アセンブリにおける電気的接続装置の構造図を示し、
図2aは、この電気的接続装置の斜視構造図であり、
図2bは、この電気的接続装置の側面構造図である。図に示すように、この電気的接続装置は、引出式装置接続アセンブリ202と、本体接続アセンブリ204と、可撓性アセンブリ206とを含む。引出式装置接続アセンブリ202は、引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される。本体接続アセンブリ204は締付機構を有する接触片を含んでおり、締付機構は接触片を本体母線に密着させ締め付ける。可撓性アセンブリ206は、引出式装置接続アセンブリ202と本体接続アセンブリ204とを接続している。本体接続アセンブリ204、可撓性アセンブリ206および引出式装置接続アセンブリ202は、導電通路を形成する。本体接続アセンブリ204の接触片は、本体母線の位置のずれに応じてずれを生じ、接触片を本体母線に密着させ締め付ける。可撓性アセンブリ206は、それ自体が変形して接触片のずれを吸収し、ずれが引出式装置接続アセンブリ202に伝達されないようにする。本体母線の実装過程において、位置、角度または形状に僅かにずれが生じることは免れ難い。本発明の電気的接続装置は、可撓性アセンブリ206により本体母線のこうしたずれを吸収する。本発明の電気的接続装置の本体接続アセンブリの接触片は、本体母線の実際の状態に伴い、本体母線に密着させ締め付けるが、本体母線に位置または角度のずれが存在する場合、本体接続アセンブリ204の接触片にもそれに応じた位置または角度のずれが生じる。このようにして、本体母線の位置または角度のずれが接触性能に影響しないようにし、本体接続アセンブリの接触片は、本体母線との接触面積および接触安定性を保証することができる。可撓性アセンブリ206は、一定範囲内で変形する能力を有する。一実施例において、可撓性アセンブリ206は、多層銅箔、多層銅テープまたは平編銅線からなる。本体接続アセンブリ204の接触片に、本体母線の位置または角度のずれに伴いずれが生じた場合、可撓性アセンブリ206は、それ自体が変形して接触片のずれを吸収し、このずれが引出式装置接続アセンブリ202に伝達されないようにする。引出式装置接続アセンブリ202は、引出式装置上に固定実装され引出式装置に接続される出入力端子である。引出式装置接続アセンブリ202は、剛性構造であり、位置および実装角度はどちらも変化を生じることができず、可撓性アセンブリ206の変形を用いて本体接続アセンブリ204の接触片の位置または角度のずれが吸収され、引出式装置接続アセンブリに伝達されないようにする。
【0022】
図2aおよび
図2bに示すように、本体接続アセンブリ204は、接触片241と、締め付け構造と、復帰機構とを含む。接触片241は2枚であり、2枚の接触片241が両側から本体母線208に密着して締め付ける(
図5を参照)。接触片は、可撓性アセンブリに接続されている。図示した実施例においては、可撓性アセンブリ206も2枚であり、1枚の接触片241は、それぞれ1枚の可撓性アセンブリ206に接続されている。締付機構は、2枚の接触片241の外側から締付力を加え、2枚の接触片を内向きに収縮させ、本体母線208に密着させ締め付ける。復帰機構は、2枚の接触片241の内側から復帰力を加え、2枚の接触片241を外向きに展開して復帰させる。一実施例において、締付機構は、締結部材と、軸受部材と、弾性部材と、付勢部材とを含む。締結部材は、2枚の接触片241上に実装され、締結部材が締め付けられると、2枚の接触片が内向きに収縮する。弾性部材および付勢部材は、2枚の接触片241に締付力を加える。軸受部材は、締結部材と弾性部材との間に実装され、軸受部材は、締結部材動作時の回動を吸収し、回動が弾性部材および付勢部材に伝達されないようにする。
図2aおよび
図2bに示す実施例では、締結部材はボルト242およびナット243であり、軸受部材は平面軸受244であり、弾性部材は皿ばねアセンブリ245であり、付勢部材は押さえ板246である。接触片241には、ボルト242を貫通させるねじ穴がある。ボルト242は、第1の接触片(上方接触片)の外側(上方)から、第1の接触片および第2の接触片(下方接触片)をこの順に貫通し、ナット243は、第2の接触片の外側(下方)から、ボルトの第2の端上に回転実装される。第1の実施例では、ボルト242は、半ねじであり、ボルト242の頭部が大きく、頭部は第1の接触片の外側に位置し、ボルト242の軸部は第1の接触片および第2の接触片を貫通し、ナット243はボルト242の軸部に締め付けられる。ボルト242の第1の端(頭部)と第1の接触片(上方接触片)との間に、平面軸受244と、皿ばねアセンブリ245と、押さえ板246とが装着される。皿ばねアセンブリ245は、数個の皿ばねを含む。皿ばねアセンブリ245における皿ばねの数は、必要な締付力の大きさに応じて確定することができる。比較的大きな締付力が必要な場合、皿ばねの数を増やすことができ、比較的小さな締付力が必要な場合、少ない数の皿ばねを用いることができる。実際の使用においては、適切な数の皿ばねを配置して単一の電気的接続装置に1500N以上の締付力を発生させる。その有効締付力は、先行技術における電気的接続装置の800Nの締付力よりも遥かに大きい。皿ばねに発生させた締付力を接触片241上に均等に分配するために、押さえ板246を用いる。押さえ板246は、締付力を接触片上に均等に分配して本体母線を締め付け、均等に分配された締付力は、接触片と本体母線との間の接触面積をさらに大きくし、接触もさらに安定する。締め付け操作を行うとき、ボルト242とナット243が相対的に回動して収縮し、2枚の接触片241が内向きに収縮し、皿ばねアセンブリ245および押さえ板246は、接触片241に締付力を加え、本体母線を締め付ける。平面軸受244がボルトとナットの相対的な回動を吸収し、上記回動が皿ばねと押さえ板に伝達されないようにする一方で、平面軸受244は、それ自体の回動によりボルト242とナット243が相対的に回動する際に必要な回転操作力を小さくすることができる。
図3aおよび
図3bは、電気的接続装置において用いられる平面軸受の構造図を示す。ここで、
図3aは、平面軸受の分解構造図であり、
図3bは、平面軸受の組立構造図である。図示した実施例では、平面軸受として用いられているものはころ平面軸受であるが、他の実施例では、玉平面軸受を用いてもよい。
図2aおよび
図2bに示す実施例では、復帰機構は復帰ばね247であり、復帰ばね247はボルト242上に実装される。復帰ばね247は、2枚の接触片241の間に位置し、締め付け操作を行う際に、ボルトとナットが相対的に回動して収縮し、復帰ばね247が圧縮される。復帰操作を行う際に、ボルトとナットが相対的に回動して拡張し、復帰ばね247が復元し、復帰ばね247は、2枚の接触片241の内側にばね力を加えて、2枚の接触片241を外向きに展開して復帰させる。復帰ばね247の作用の下で、ボルトとナットが緩められた後、2枚の接触片241は、初期の位置に戻り、大きな間隔を有することができ、本体母線を抜き出しやすくすることができる。
【0023】
図2aおよび
図2bに示す実施例では、引出式装置接続アセンブリ202は、接続片221と、放熱機構とを含む。接続片221は、引出式装置上に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される。図示した実施例では、接続片221は2枚であり、2枚の接続片221は離隔して配置されている。2枚の接続片221は、それぞれ1枚の可撓性アセンブリ206に接続されている。つまり、1枚の接触片241は、1枚の可撓性アセンブリ206を介して、1枚の接続片221に接続され、上下合計2セットである。放熱機構は、接続片上に実装されている。図示した実施例では、放熱構造は、パッド222と、固定支持体223とを含む。パッド222は、中空支持構造であり、パッド222は、2枚の接続片221の間に設けられる。
図4は、本発明の一実施例による電気的接続装置において使用されるパッドの構造図を示す。パッド222の中空支持構造は、放熱に有利である。2つの固定支持体223は、2枚の接続片221の外側からパッド222を固定し、2枚の接続片221の間でパッド222を固定して、間隔を形成し、出入力端子の母線の実装に便利なようにする。
【0024】
図5は、本発明の一実施例の電気的接続装置を用いた引出式構造の電器装置の構造図を示す。引出式構造を有する電器装置(Electrical Appliance Apparatus)としては、気中遮断器、配線用遮断器、引き出し装置付き自動切替スイッチ、中圧遮断器、スイッチギヤ等が挙げられる。引出式構造の装置は、本体と、引出式装置とを含む。本発明の電気的接続装置は、引出式構造の電器装置の本体と引出式装置との間に接続される。引出式装置接続アセンブリは、引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される。本体接続アセンブリの締付機構は、接触片を本体母線208に密着させ締め付ける。
【0025】
図6aおよび
図6bは、本発明の第2の実施例による電気的接続装置の構造図を示す。第2の実施例の電気的接続装置における引出式装置接続アセンブリおよび可撓性アセンブリの構造は、基本的に第1の実施例と同じである。本体接続アセンブリにおける接触片および復帰機構の構造も、基本的に第1の実施例と同じであり、違いは締付機構が異なることである。記述を簡潔にするために、この実施例の電気的接続装置における引出式装置接続アセンブリ、可撓性アセンブリ、本体接続アセンブリにおける接触片および復帰機構については再度記述しない。関連する内容は、前述した第1の実施例についての説明を参照することができる。
図6aに示すように、この実施例の電気的接続装置の締付機構の作用は、同様に、2枚の接触片の外側から締付力を加え、2枚の接触片を内向きに収縮させ、本体母線に密着させて締め付けることである。この締付機構は、締結部材と、軸受部材と、弾性部材と、付勢部材とを含む。締結部材は、2枚の接触片上に実装され、締結部材が締め付けられると、2枚の接触片が内向きに収縮する。弾性部材および付勢部材は、2枚の接触片に締付力を加える。軸受部材は、締結部材と弾性部材との間に実装され、軸受部材は、締結部材動作時の回動を吸収し、回動が弾性部材および付勢部材に伝達されないようにする。
図6aおよび
図6bに示す実施例では、締結部材は両ねじボルト342であり、軸受部材は平面軸受344であり、弾性部材は皿ばねアセンブリ345であり、付勢部材は押さえ板346である。
図6bは、両ねじボルト342の構造図を示し、両ねじボルト342の中央部は接続部301であり、接続部の両側は2つのねじ山領域302である。2つのねじ山領域302におけるねじ山は互いに逆向きであり、そのうち一方を順方向ねじ山と定義すると、他方は逆方向ねじ山である。ねじ山領域302の外側で、両ねじボルト342の両端に、1つの受動部303をそれぞれ有する。
図6aに示すように、接触片には、両ねじボルト342を貫通させるねじ穴がある。両ねじボルト342は、第1の接触片(上方接触片)の外側(上方)から、第1の接触片および第2の接触片(下方接触片)をこの順に貫通する。第2の実施例の押さえ板346上には、ねじ穴が設けられ、2枚の押さえ板346を用いて、それぞれ両ねじボルト342の2つのねじ山領域と係合する。上方の押さえ板346は、上方のねじ山領域に回転実装され、ここで、上方のねじ山領域を順方向ねじ山と定義する。下方の押さえ板346は、下方のねじ山領域に回転実装され、下方のねじ山領域を逆方向ねじ山と定義する。両ねじボルト342の上方のねじ山領域は、第1の接触片の外側(上方)に位置し、下方のねじ山領域は、第2の接触片の外側(下方)に位置する。このように、2枚の押さえ板346は、それぞれ第1の接触片の上方および第2の接触片の下方に位置し、外側から2枚の接触片に密着する。両ねじボルト342において、上方の押さえ板346と第1の接触片(上方接触片)との間に、平面軸受344および皿ばねアセンブリ345が装着される。皿ばねアセンブリ345は、数個の皿ばねを含む。皿ばねアセンブリ345における皿ばねの数は、必要な締付力の大きさに応じて確定することができる。この実施例では、押さえ板346は、締付力を接触片上に均等に分配する作用を奏するだけでなく、第1の実施例におけるナットに代わって、両ねじボルト343と係合し、締め付け、緩める作用を奏する。この実施例における復帰機構は、依然として復帰ばね347であり、復帰ばね347は両ねじボルト342上に実装される。復帰ばね347は、2枚の接触片の間に位置する。締め付け操作を行う際に、両ねじボルト342の両端のうち少なくとも一方を回動し、両ねじボルトの順逆方向のねじ山領域の共同作用の下で、上下2枚の押さえ板346が同時に収縮して接触片に作用し、接触片を本体母線に締め付ける。緩める操作を行う際にも、上下2枚の押さえ板で同時に母線を緩める。両ねじボルトと2枚の押さえ板が同時に作動して締め付ける、または緩めることにより、操作速度が速くなり、倍に向上し、引き出し装置の操作時間および操作スペースを削減するのに有利である。
【0026】
図7aおよび
図7bは、本発明の第3の実施例による電気的接続装置の構造図を示す。第3の実施例の電気的接続装置は、第1の実施例の電気的接続装置を簡素化したものとみなすことができる。第3の実施例では、接触片241、可撓性アセンブリ206および接続片221が、いずれも1枚である。
図7aに示した実施例では、上方の接触片241、可撓性アセンブリ206および接続片221が残されているが、下方の接触片、可撓性アセンブリおよび接続片は取り消されており、押さえ板246が1枚残されているだけである。締付機構の作用の下で、上方の接触片および下方の押さえ板は、共同で本体母線を締め付け、上方の接触片は、本体母線に密着する。
図7bに示した実施例では、
図7aとは正反対に、下方の接触片241、可撓性アセンブリ206および接続片221が残されているが、上方の接触片、可撓性アセンブリおよび接続片は取り消されており、押さえ板246が1枚残されているだけである。接触片を2枚でなく1枚用いる点を除き、第3の実施例の電気的接続装置および第1の実施例的電気的接続装置の他のアセンブリはいずれも類似している。
【0027】
上述した引出式構造を有する電器装置としては、気中遮断器、配線用遮断器、引き出し装置付き自動切替スイッチ、中圧遮断器、スイッチギヤ等の複数のものが挙げられる。異なる電器装置における本体母線は、異なる構造を有する可能性があり、異なる構造の本体母線に対応するため、本発明は、各種変形例を提案し、これらの変形例の電気的接続装置において、異なる構造の本体接続アセンブリを有し、異なる構造の本体母線に対応する。
図8および
図9は、本発明の連動する電気的接続アセンブリの電気的接続装置に用いることができるその他の変形例の構造図を示す。なお、記述を簡潔にするために、変形例の記述および図示は、主に異なる構造の本体母線およびこれに対応する本体接続アセンブリに重点を置く。引出式装置接続アセンブリ、可撓性アセンブリおよび本体接続アセンブリにおける同じ構造など、共通性を有するその他の構造については、明細書において詳しく記述せず、関連する記述は前述の説明を参照することができる。同様に、図面における共通性を有する構造についても、簡素化して示す。示される構造は、前述の2つの実施例における対応する部品と異なる可能性があるが、これは表現形態上の簡素化であり、前述の実施例において示した対応する部品の構造と同様に、これらの変形例において応用することができると理解する必要がある。
【0028】
まず、
図8に示した変形例では、本体母線408は、幅広の寸法を有し、これに対応して、接触片441も幅広の寸法を有する。接触片441および本体母線408が幅広である場合、ボルトおよびナットを1つ用いるだけでは、接触片および本体母線全体に有効に分布する締付力を確保することができないため、
図8に示した変形例では、接触片441において2セットのボルト442およびナット443が用いられている。2セットのボルト442およびナット443は平行に設けられ、各セットのボルトおよびナットならびに対応する軸受部材、弾性部材および付勢部材の構造は、
図3aおよび3bに示した実施例と同じである。接触片441上に、2つのねじ穴が平行に設けられ、2つのボルト442をそれぞれ貫通させ、2つのナット443がそれぞれ2つのボルト442を締め付ける。図示しないが、
図8の変形例では、依然としてボルトに復帰ばねを実装してもよい。
図8に示した変形例では、本体母線408上に2つのU型溝481がある。U型溝481の位置はボルト442の位置に対応している。U型溝は、本体母線を接触片の間に挿入する際に、案内し位置決めする作用を奏することができる。なお、前記実施例の記載において、本体母線にU型溝を設けるかどうかについて言及していないが、本体母線にU型溝を設けることは共通性を有する構造であり、同様に前記実施例に応用することができると理解することができる。
図8に示した変形例では、2セットのボルトが用いられているため、それに応じて、絶縁伝動部材も2つ配置されており、1つの絶縁伝動部材が、それぞれそのうちの一方のボルトに対応する。
【0029】
図9に示した変形例では、ボルトは接触片541を貫通しておらず、接触片541の両側を跨いでおり、押さえ板546を用いて接触片541に締付力を加えている。
図9に示した変形例の締付機構は、締結部材と、軸受部材と、弾性部材と、付勢部材とを含んでもよい。締結部材はボルトおよびナットであり、軸受部材は平面軸受であり、弾性部材は皿ばねアセンブリであり、付勢部材は押さえ板である。
図9に示すように、2枚の押さえ板546は、それぞれ2枚の接触片541の外側に密着し、それぞれ接触片541に固定される。押さえ板546には、ボルトを貫通させるねじ穴があり、ボルト542は、第1の押さえ板の外側から、第1の押さえ板および第2の押さえ板をこの順に貫通し、ナットは、第2の押さえ板の外側からボルトの第2の端上に回転実装される。
図9に示した変形例では、ボルトは、押さえ板のみを貫通し、接触片自体は貫通しない。ボルト542は、接触片の両側から接触片541を跨ぐ。ボルトの第1の端と第1の押さえ板との間に、平面軸受および皿ばねアセンブリが装着され、皿ばねアセンブリは、数個の皿ばねを含む。ボルトとナットが相対的に回動して収縮し、2枚の押さえ板が内向きに収縮し、皿ばねアセンブリは、押さえ板を介して接触片に締付力を加える。平面軸受は、ボルトとナットの相対的な回動を吸収し、皿ばねと押さえ板が回動しないようにする。
図9に示した変形例のボルト上に、復帰ばねを実装してもよい。復帰ばねは、2枚の押さえ板の間に位置し、ボルトとナットが相対的に回動して拡張したときに、復帰ばねが復元し、復帰ばねは、2枚の押さえ板の内側にばね力を加え、2枚の押さえ板を介して2枚の接触片を外向きに展開する。
図9に示した実施例では、ボルトを接触片の外側に移したので、本体母線508上にU型溝が設けられていない。ボルトが接触片を貫通しない場合、本体母線508は、接触片の間のさらに深い位置まで入り込むことができ(ボルトに妨げられない)、本体母線が接触片のさらに多くの距離まで入り込む必要がある場合、または本体母線の長さが長い場合には、
図9に示した変形例の構造を用いることができる。
図8と同様に、
図9に示した変形例では、2セットのボルトが用いられているため、それに応じて、絶縁伝動部材も2つ配置されており、1つの絶縁伝動部材が、それぞれそのうちの一方のボルトに対応する。
【0030】
本発明の電気的接続装置の動作環境には、交番磁界が存在しており、強磁性を有する材料が交番磁界にある場合、内部で渦電流が誘導され、特に閉じた経路を形成する場合、強磁性の材料内部の渦電流損が大きくなり、発熱が非常に深刻になり、これも電器装置の安全上の憂慮である。
図10a、
図10bおよび
図10cは、本発明の電気的接続装置の渦電流損の除去の原理図を示す。
図10a、
図10bおよび
図10cに示すように、通過する交流電流Iの周囲に交番の磁界経路B(すなわち、交番磁界)が生じる。引出式装置接続アセンブリおよび本体接続アセンブリ全体でいずれも強磁性の材料を採用している場合、交番磁界の作用の下で、引出式装置接続アセンブリおよび本体接続アセンブリにおいて渦状の誘導電流iが形成され、誘導電流iは、大きな渦電流損を生じ、深刻な発熱をもたらす。そのため、大電流が通過する場合には、それが発生する経路において、少なくとも一区間に非磁性材料を採用して、閉じた経路の形成を阻止する必要がある。これにより電源周波数の交流電流で発生する誘導電流iを回避または大幅に減少させ、渦電流損および発熱を低減することができる。したがって、本発明の実施例では、引出式装置接続アセンブリおよび本体接続アセンブリは、閉じた経路の形成を阻止するために、非磁性材料を含む。非磁性材料は、その中で構成されるパッド、固定支持体、押さえ板等の部品に用いることができる。
【0031】
実用を考慮すると、遮断器またはスイッチアセンブリは、通常、入力および出力の2つの端子を有するので、電気的接続装置はいずれも対をなして使用する。同じループの入力端子および出力端子の2つの電気的接続装置への適用について、これらが同期動作し、同期して本体母線の締め付け、または緩めることが望まれる。したがって、本発明は、連動する電気的接続アセンブリをさらに提案する。
図11は、本発明の一実施例による連動する電気的接続アセンブリの構造図を示す。図に示すように、この連動する電気的接続アセンブリは、2つの電気的接続装置200と、2つの電気的接続装置に接続された連動機構210とを含む。2つの電気的接続装置200は、それぞれ電器装置の入力端子および出力端子に接続されている。こうした適用において、連動機構210は、電気的に絶縁されており、2つの電気的接続装置の間で導電通路が形成され短絡をもたらさないことを確実にする。連動機構210は、機械において、2つの電気的接続装置が同期動作することを保証する必要がある。
図11に示した連動する電気的接続アセンブリの実施例では、用いられる電気的接続装置200は、
図2aおよび
図2bに示した第1の実施例の電気的接続装置である。電気的接続装置の具体的な構造に関しては、ここでは再度繰り返し記述しない。
【0032】
図11に示した実施例を参照すると、本発明の連動する電気的接続アセンブリにおいて、連動機構210は、2つの電気的接続装置の本体接続アセンブリにおける締付機構に接続されており、連動機構210は絶縁されており、連動機構210は、電気的に2つの電気的接続装置200を絶縁して隔離するが、機械動作においては、連動機構210は、2つの電気的接続装置の締付機構を同期動作させる。連動機構210の構造は、電気的接続装置の締付機構の構造に適合している。
図2aおよび
図2bに示した電気的接続装置について、連動機構210は絶縁伝動部材であり、絶縁伝動部材は、2つの電気的接続装置の締結部材に接続され、2つの電気的接続装置の締結部材を同期動作させる。
図2aおよび
図2bに示した電気的接続装置について、締結部材は半ねじボルト242およびナット243であり、絶縁伝動部材210は、主に2つの半ねじボルト242に接続される。絶縁伝動部材210の両端には、インターフェースを有し、両端のインターフェースには、それぞれ2つの電気的接続装置のボルト242が接続され、2つの電気的接続装置のボルト242を同期回動させ、さらに同期して本体母線を締め付けるか、または緩める。実施例では、ボルト242が半ねじボルトであり、ボルト両端の形状が異なるため、装着時に、
図11における上方の電気的接続装置のボルト242の頭部は上を向き、下方の電気的接続装置のボルト242の頭部は下を向く。このようにして、絶縁伝動部材210の両端は、どちらもボルトの軸部に接続され、絶縁伝動部材210の両端に、スクリューの形状に対応するインターフェースを設け、ボルトの軸部をインターフェースに挿入して連動を実現することができる。スクリューおよびインターフェースの形状は、一般に、四角形や六角形などの多角形であり、多角形にすることによって、スクリューがインターフェースの中で滑ることを防止し、伝動中のトルクに対する損失を低減できる。また、弾性部材としての皿ばねは、本実施例において、締付力を提供するだけでなく、2つの電気的接続装置の締め付けストロークのずれを吸収する。一方の電気的接続装置によって締め付け操作を実施する際に、連動機構210が他方の電気的接続装置を同時に動作させる。弾性部材である皿ばねは圧縮ストロークを有するため、2つの電気的接続装置のストロークのずれが弾性部材によって吸収され、複数の皿ばねを配置することにより、大きな圧縮ストロークおよび締付力を有することができる。この実施例では、2つの電気的接続装置の締付力は、どちらも1500N~2000Nの間を保持しているが、もちろん、皿ばねを増やすことにより、さらに大きな締付力を生じさせてもよい。
【0033】
図12aおよび
図12bは、本発明の一実施例による連動する電気的接続アセンブリの使用状態図を示す。引出式構造を有する電器装置としては、気中遮断器、配線用遮断器、引き出し装置付き自動切替スイッチ、中圧遮断器、中圧スイッチギヤ等が挙げられる。引出式構造の装置は、本体と、引出式装置とを含む。前述のように、遮断器またはスイッチアセンブリは、通常、入力および出力の2つの端子を有するので、電気的接続装置はいずれも対をなして使用する。本発明の連動する電気的接続アセンブリは、2つの電気的接続装置200と、この2つの電気的接続装置に接続された連動機構210とを含み、2つの電気的接続装置200は、それぞれ同じループの入力端子および出力端子に接続され、電気的接続装置は、引出式構造の電器装置の本体と引出式装置との間に接続される。引出式装置接続アセンブリは、引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される。本体接続アセンブリの締付機構は、接触片を本体母線208に密着させ締め付ける。連動機構210には、2つの電気的接続装置200が接続され、連動機構210は、2つの電気的接続装置200が同期して入力端子および出力端子の本体母線を締め付け、または緩めることができるようにする。さらに、連動機構210は、絶縁されており、電気的接続装置の間で導電により短絡が生じることを回避することができる。
【0034】
連動する電気的接続アセンブリは、他の実施例で開示した電気的接続装置により構成されていてもよく、例えば、
図6aおよび
図6bで開示した第2の実施例の電気的接続装置により構成されていてもよい。
図6aおよび
図6bに示した電気的接続装置について、
図11に示した絶縁伝動部材210は、依然として連動機構として用いることができる。
図2aおよび
図2bに示した第1の実施例の電気的接続装置における半ねじボルトの頭部は外側に位置し、軸部は内向きに延伸して連動機構210に接続される。
図6aおよび
図6bに示した第2の実施例の電気的接続装置における両ねじボルトは、両端がどちらもスクリュー構造であり、連動機構に接続されるものもスクリュー構造であり、1つ前の実施例と同じである。同様に、この実施例で用いられている絶縁伝動部材210は、両端がどちらもボルトの軸部に接続され、絶縁伝動部材210の両端は、スクリューの形状に対応するインターフェースを設け、ボルトの軸部をインターフェースに挿入して連動を実現することができる。スクリューおよびインターフェースの形状は、一般に、四角形や六角形などの多角形であり、多角形にすることによって、スクリューがインターフェースの中で滑ることを防止し、伝動中のトルクに対する損失を低減できる。
【0035】
遮断器およびスイッチギヤなどの電器装置は、実用の際に多相の形式に配置されることがあり、電器装置の入力端子および出力端子は、どちらも多相の結線を設ける必要がある。多相の配置についても、本発明は、連動する電気的接続アセンブリを提案する。
図13は、多相の配置に適した、本発明のもう1つの実施例の連動する電気的接続アセンブリの構造図を示す。
図13に示すように、この連動する電気的接続アセンブリは、電気的接続装置と、連動機構とを含み、電気的接続装置は、引出式構造の電器装置の本体と引出式装置との間に接続され、この電器装置は、多相を有し、電気的接続装置は、引出式装置接続アセンブリ602と、数個の本体接続アセンブリ604と、可撓性アセンブリ606とを含む。引出式装置接続アセンブリ602は、引出式装置に固定され、引出式装置の出入力端子に電気的に接続される。数個の本体接続アセンブリ604の各本体接続アセンブリは、電器装置のうちの一相に対応し、本体接続アセンブリ604の各々は、締付機構を有する接触片を含み、締付機構は、接触片をこの相の本体母線に密着させ締め付ける。可撓性アセンブリ606は、引出式装置接続アセンブリ602と本体接続アセンブリ604とを接続し、本体接続アセンブリ604、可撓性アセンブリ606および引出式装置接続アセンブリ602は、導電通路を形成する。図示した実施例では、数個の本体接続アセンブリ604に合わせ、これに応じて数個の可撓性アセンブリ606が配置されており、1つの可撓性アセンブリ606が、それぞれ1つの本体接続アセンブリ604に対応する。各々の本体接続アセンブリ604の接触片は、対応する相の本体母線の位置のずれに適応してずれを生じ、接触片を本体母線に密着させ締め付け、可撓性アセンブリ606は、それ自体が変形して接触片のずれを吸収し、ずれが引出式装置接続アセンブリ602に伝達されないようにする。
図13に示した実施例では、各々の本体接続アセンブリは、接触片と、締め付け構造と、復帰機構とを含み、締付機構は、半ねじボルトおよびナットであり、本体接続アセンブリの構造は、
図2aおよび
図2bに示した第1の実施例と類似している。連動機構610は、数個の本体接続アセンブリの締付機構に接続され、連動機構は、数個の本体接続アセンブリの締付機構を同期動作させる。この実施例では、各々の本体接続アセンブリが同じ結線端の多相であるため、互いの間に絶縁の要求がなく、連動機構610で必ず絶縁の必要があることが要求されない。
図13に示した実施例における連動機構610は、比較的長いスクリューを有する半ねじボルトを用い、そのスクリューを2つの本体接続アセンブリに貫通させ接続し、スクリューにより連動を実現するか、または2つの半ねじボルトのスクリュー間に伝動部材を追加するかのいずれかを採用して実現することができ、この伝動部材の構造は、前述の実施例における絶縁伝動部材と類似のものとすることができる。この伝動部材には絶縁の要求がなく、導電性であっても、絶縁されていてもよい。伝動部材の主たる作用は機械連動であるため、絶縁されるよう設けることも可能であり、これによって、軸部で導電により事故が発生することを防止できる。
【0036】
図14は、本発明の別の実施例による連動する電気的接続アセンブリの構造図を示す。
図14に示した実施例は、
図11および
図13の実施例の組み合わせとみなすことができる。
図14に示した実施例では、連動する電気的接続アセンブリは、2つの電気的接続装置700と、この2つの電気的接続装置に接続された連動機構710とを含み、2つの電気的接続装置700は、それぞれ電器装置の入力端子および出力端子に接続される。1つの電気的接続装置700自体が、1つの多相の電気的接続装置であり、多相に対応して配置された数個の本体接続アセンブリ704を有する。各々の電気的接続装置の内部で、数個の本体接続アセンブリ704の間にも連動機構708が設けられている。
図14に示した実施例では、連動機構710は、入力端子と出力端子との間の連動機構であり、絶縁の要求があり、
図11に示した実施例における絶縁伝動部材210に類似したものを採用して実現する必要がある。連動機構708は、同じ結線端の多相間の連動機構であり、絶縁の要求がなく、
図13に示した実施例における連動機構610に類似したものを採用して実現することができ、絶縁しても絶縁しなくてもどちらでもよい。
【0037】
図15aおよび
図15bは、本発明の別の実施例の連動する電気的接続アセンブリの構造図を示す。
図15aおよび
図15bに示した連動する電気的接続アセンブリは、
図11に示した連動する電気的接続アセンブリを簡素化したものと考えることができる。
図15aおよび
図15bに示した実施例では、絶縁伝動部材210が接続する2つの電気的接続装置の接触片241、可撓性アセンブリ206および接続片221は、いずれも1枚である。そのうち、
図15aに示した実施例では、2つの電気的接続装置でどちらも上方の接触片241、可撓性アセンブリ206および接続片221が残されているが、下方の接触片、可撓性アセンブリおよび接続片は取り消されており、押さえ板246が1枚残されているだけである。締付機構の作用の下で、上方の接触片および下方の押さえ板は、共同で本体母線を締め付け、上方の接触片は、本体母線に密着する。
図15bに示した実施例では、
図15aとは正反対に、2つの電気的接続装置でどちらも下方の接触片241、可撓性アセンブリ206および接続片221が残されているが、上方の接触片、可撓性アセンブリおよび接続片は取り消されており、押さえ板246が1枚残されているだけである。接触片を2枚でなく1枚用いる点を除き、この実施例の連動する電気的接続アセンブリは、
図11に示した実施例の連動する電気的接続アセンブリの他の部品はいずれも類似している。
【0038】
本発明の連動する電気的接続アセンブリの重要な作用は、挿入および締め付け操作の間の矛盾を解決することである。そのため、本発明の連動する電気的接続アセンブリに適した引出式構造の電器装置の本体および引出式装置は、分離および挿入の2種類の接続状態を有する。
図16aおよび
図16bは、本発明の連動する電気的接続アセンブリに適した引出式構造の電器装置の分離位置および挿入位置の模式図を示す。図示したように、この引出式構造の電器装置の本体601および引出式装置602は、分離位置と挿入位置を有する。
図16aに示したように、分離位置において、本体601は引出式装置602から引き出され、本体母線608は本体接続アセンブリ604から分離しており、本体母線は接触片と接触していない。
図16bに示したように、挿入位置では、本体601は引出式装置602に押し込まれ、本体母線608は本体接続アセンブリ604に挿入され、次いで、締付機構の動作により接触片を本体母線に密着させ締め付ける。
【0039】
本発明の電気的接続装置は、構造上、挿入と締め付け操作との間の矛盾を解決し、本体母線を接触片の間に挿入した後に締め付け操作を行うことができ、十分大きな締付力を加えて接触を確保することができ、締付力が本体母線の設置に対して影響を及ぼすことがない。さらに、この電気的接続装置は、可撓性アセンブリが設けられ、可撓性アセンブリは、それ自体が変形してある程度のずれを吸収することができ、本体母線の位置のずれに伴い接触片がある程度ずれるようにすることができ、本体母線に十分密着させ、接触面積および接触安定性を保証する。連動機構には、2つの電気的接続装置の締付機構が接続され、2つの電気的接続装置は、通常、それぞれ入力端子および出力端子が接続され、連動機構は、複数セットの電気的接続装置が各々の本体母線を同時に締め付けるようにし、操作方法を簡素化する。
【0040】
本発明によれば、本体母線を電気的接続装置に挿入する際に、本体母線と電気的接続装置との間の互いの作用力、先行技術における接触片を押し開く展開力、および本体母線と接触片との間の摩擦力が存在せず、引出式装置の駆動装置は非常に小さい力で電器装置の本体を押し動かし、本体母線を電気的接続装置に挿入することを実現できる。
【0041】
電気的接続装置は、必要に応じて大きな締付力を配して本体母線を締め付け、電器装置全体の接触抵抗を大幅に小さくすることができ、特に、長期的な使用において消費電力を大幅に低減し、使用コストを大幅に削減することができ、電器装置の定格電流が高いほど、こうした長所はより顕著である。一方、接触抵抗を小さくすることにより、製品の温度上昇が抑制され、電器装置の発熱が小さくなり、大きな放熱スペースを考慮する必要がなく、製品の寸法を小さくするのに役立ち、長期的な使用の信頼性が向上する。
【0042】
弾性部材の存在により、大きな締付力を提供するだけでなく、2つの電気的接続装置の間の締め付けストロークのずれを吸収し、同期動作後の2つの電気的接続装置の締付力の差異を小さくし、大きな締付力が維持される。
【0043】
上記実施例は、当業者が本発明を実現または使用できるよう提供したものであり、当業者は、本発明の構想を逸脱せずに、上記実施例に対して様々な修正または変更を行うことができ、したがって、本発明の保護範囲は、上記実施例に限られず、特許請求の範囲で言及した創造的な特徴に適合する最大範囲とすべきである。