(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】基板作業機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20230605BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20230605BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
G06F8/65
(21)【出願番号】P 2021551059
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 JP2019040116
(87)【国際公開番号】W WO2021070346
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 秀範
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056254(JP,A)
【文献】特開平06-102954(JP,A)
【文献】特開2015-026273(JP,A)
【文献】特開2008-225929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板作業機であって、
前記基板作業機を制御する制御部と、
前記制御部の外部に配置され、前記基板作業機の作業プログラムを記憶する不揮発性メモリと、
前記作業プログラムがバージョンアップされたときに、前記制御部への電源供給をオフすると共に、前記電源供給がオフされてから所定期間が経過すると前記制御部への電源供給をオンするように構成されているリブート回路と、を備え、
前記リブート回路は、前記基板作業機の起動の際にエラーが生じたときにも動作するように構成されている、基板作業機。
【請求項2】
前記リブート回路は、
前記作業プログラムがバージョンアップされたことを検出すると、前記制御部への前記電源供給をオフする指令を出力する電源供給オフ指令処理と、
前記電源供給オフ指令処理から所定時間後に前記制御部への前記電源供給をオフするオフディレイ処理と、
前記オフディレイ処理から所定時間後に前記制御部への前記電源供給をオンするオンディレイ処理と、を実行可能に構成されている、請求項
1に記載の基板作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、基板作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2016-115861号公報には、基板作業機の一種である、基板に電子部品を実装する部品実装機の一例が開示されている。特開2016-115861号公報に開示される基板作業機では、作業プログラムが不揮発性メモリ等の記憶部に記憶されており、作業プログラムはバージョンアップされることがある。作業プログラムのバージョンアップ等を行った後には、バージョンアップ等を行った作業プログラムをインストールするために、電源を再起動する必要がある。電源の再起動は、作業者により、手動で電源をオフし、続けて、手動で電源をオンすることによって実行されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、従来の基板作業機では、作業プログラムのバージョンアップ等のように電源を再起動する必要が生じた場合、作業者が手動で再起動を行っている。このため、作業者が再起動をするという手間がかかると共に、作業者が再起動するまで作業プログラムが更新されないという問題があった。
【0004】
本明細書は、作業プログラムがバージョンアップされた際に、自動で再起動させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する基板作業機は、基板作業機を制御する制御部と、制御部の外部に配置され、基板作業機の作業プログラムを記憶する不揮発性メモリと、作業プログラムがバージョンアップされたときに、制御部への電源供給をオフすると共に、電源供給がオフされてから所定期間が経過すると制御部への電源供給をオンするように構成されているリブート回路と、を備えている。
【0006】
上記の基板作業機では、リブート回路によって、作業プログラムがバージョンアップされたときに制御部への電源供給を遮断し、その後、制御部を自動で再起動することができる。このため、作業者が手動で再起動する手間を省くことができ、作業者による再起動を待つことなく自動で作業プログラムを更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例に係る基板作業機の一例である、部品実装機の概略構成を示す図。
【
図3】部品実装機の制御装置の機能を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0009】
本明細書に開示する基板作業機では、リブート回路は、作業プログラムがバージョンアップされたことを検出すると、制御部への電源供給をオフする指令を出力する電源供給オフ指令処理と、電源供給オフ指令処理から所定時間後に制御部への電源供給をオフするオフディレイ処理と、オフディレイ処理から所定時間後に制御部への電源供給をオンするオンディレイ処理と、を実行可能に構成されていてもよい。このような構成によると、基板作業機の再起動を好適に実行することができる。
【実施例】
【0010】
以下、実施例に係る基板作業機について説明する。ここで、
図1及び
図2を参照して、基板作業機の一例として、部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、部品実装機10は、部品実装部22と、インターフェース装置24と、制御装置30を備えている。部品実装部22は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、基板コンベア20を備える。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ上に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0012】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。装着ヘッド16は、一又は複数の吸着ノズル6を着脱可能に保持し、吸着ノズル6を用いて部品フィーダ12が供給する電子部品4を取り上げ、当該電子部品4を回路基板2上へ装着する。このとき、ヘッド移動装置18が、部品フィーダ12及び回路基板2に対して、装着ヘッド16を移動させる。これによって、複数の部品フィーダ12のうち特定の部品フィーダ12から電子部品4が取り上げられ、回路基板2の予め定められた位置に電子部品4が装着される。基板コンベア20は、回路基板2の搬入、支持及び搬出を行う。インターフェース装置24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。
【0013】
図3に示すように、制御装置30は、CPU32及びメモリ34を備えるコンピュータを用いて構成されている。メモリ34は、不揮発性メモリであり、管理装置8(
図1参照)から送信される作業プログラム(例えば、生産プログラム等)を記憶する。CPU32は、メモリ34に記憶される作業プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。なお、CPU32は、「制御部」の一例である。
【0014】
制御装置30は、さらにリブート回路36を備えている。リブート回路36は、図示しない電源回路からCPU32への電源供給を制御するハード回路であり、CPU32の再起動が必要となったときに再起動するように構成されている。具体的には、メモリ34に記憶される作業プログラムがバージョンアップされると(すなわち、ダウンロードされると)、更新(インストール)のためにCPU32を再起動する必要が生じる。このような場合に、リブート回路36は、作業プログラムのバージョンアップをトリガーにして、CPU32を再起動させる。
【0015】
リブート回路36についてさらに詳細に説明する。まず、リブート回路36の構成について説明する。
図4は、リブート回路36の構成の一例を示している。
図4の左側の数字は、アドレス番号を示している。また、
図4に示すリレーCR1、マグネットスイッチMS1及びタイマTR1、TR2の構成は特に限定されないが、本実施例ではコイルを用いて構成されている。コイルに通電することにより、リレーCR1、マグネットスイッチMS1及びタイマTR1、TR2はオンになる。
【0016】
図4に示すように、アドレス125には、CPU32への電源供給をオフする指令を出力する電源オフI/O38と、リレーCR1が設けられている。メモリ34に記憶される作業プログラムがバージョンアップされると、電源オフI/O38によりCPU32への電源供給をオフする指令が出力され、それによりリレーCR1がオンになる。
【0017】
アドレス100~102は、CPU32へ電源供給するR相、S相及びT相の3相ラインを示している。アドレス100には、マグネットスイッチMS1により開閉される接点Aが設けられている。なお、
図4において接点Aと共に記載される数字「120」は、接点Aを開閉するマグネットスイッチMS1が設けられているアドレス番号120を示している。また、アドレス101及び102にも、マグネットスイッチMS1により開閉される接点B及びCがそれぞれ設けられている。接点B及びCを開閉するマグネットスイッチMS1は、アドレス120に設けられている。アドレス120に設けられるマグネットスイッチMS1がオンになると、接点A~Cが閉じ、CPU32への電源供給がオンになる。
【0018】
アドレス120、121、122、124は、S相とT相との間を接続している。アドレス120には、タイマTR1により開閉される接点Dと、マグネットスイッチMS1が設けられている。接点Dを開閉するタイマTR1は、アドレス121に設けられている。アドレス121に設けられるタイマTR1がオンになると、タイマTR1がオンしてから設定時間が経過した後に接点Dが解放され、それによりマグネットスイッチMS1がオフになる。
【0019】
アドレス121には、リレーCR1により開閉される接点Eと、タイマTR2により開閉される接点Fと、タイマTR1が設けられている。接点Eを開閉するリレーCR1は、アドレス125に設けられており、接点Fを開閉するタイマTR2は、アドレス124に設けられている。アドレス125に設けられるリレーCR1がオンになると、接点Eが閉じられ、それによりタイマTR1がオンになる。また、アドレス124に設けられるタイマTR2がオンになると、タイマTR2がオンしてから設定時間が経過した後に接点Fが解放され、それによりタイマTR1がオフになる。
【0020】
アドレス122には、タイマTR1により開閉される接点Gが設けられている。接点Gを開閉するタイマTR1は、アドレス121に設けられている。アドレス121に設けられるタイマTR1がオンになると、タイマTR1がオンしてから設定時間が経過した後に接点Gが閉じられ、それによりタイマTR1がオンになる。
【0021】
アドレス124には、タイマTR1により開閉される接点Hと、タイマTR2が設けられている。接点Hを開閉するタイマTR1は、アドレス121に設けられている。アドレス121に設けられるタイマTR1がオンになると、タイマTR1の設定時間後に接点Hが閉じられ、それによりタイマTR2がオンになる。タイマTR1とタイマTR2は別個に設けられている。このため、タイマTR1の設定時間とタイマTR2の設定時間は、それぞれ独立して適宜設定することができる。
【0022】
次に、リブート回路36の動作について説明する。メモリ34に記憶される作業プログラムがバージョンアップされると、まず、電源供給オフ指令処理が実行される。具体的には、アドレス125に設けられた電源オフI/O38からCPU32への電源供給をオフする指令が出力され、それによりアドレス125に設けられたリレーCR1がオンになる。
【0023】
次いで、オフディレイ処理が実行される。オフディレイ処理は、電源供給オフ指令処理から所定時間経過後にCPU32への電源供給をオフにする処理である。具体的には、電源供給オフ指令処理によりリレーCR1がオンになると、アドレス121の接点Eが閉じられ、それによりタイマTR1がオンになる。
【0024】
タイマTR1がオンになると、タイマTR1がオンしてから設定時間が経過した後に、アドレス120の接点Dが解放されると共に、アドレス122の接点G及びアドレス124の接点Hが閉じられる。アドレス120の接点Dが解放されることにより、マグネットスイッチMS1がオフになる。これにより、アドレス100~102の各接点A~Cが解放され、CPU32への電源供給がオフとなる。また、アドレス122の接点Gが閉じられることにより、アドレス121に設けられるタイマTR1のオン状態が維持される。さらに、アドレス124の接点Hが閉じられることにより、タイマTR2がオンになる。このように、アドレス121に設けられるタイマTR1がオンになることにより、タイマTR1の設定時間後に、CPU32への電源供給オフと、タイマTR1のオン状態の維持と、タイマTR2のオンが同時に実行される。
【0025】
次に、オンディレイ処理が実行される。オンディレイ処理は、オフディレイ処理から所定時間経過後にCPU32への電源供給をオンにする処理である。具体的には、オフディレイ処理によりタイマTR2がオンになると、タイマTR2がオンしてから設定時間だけ経過した後にアドレス121の接点Fが解放され、それによりタイマTR1がオフになる。
【0026】
タイマTR1がオフになると、アドレス120の接点Dが閉じられると共に、アドレス122の接点G及びアドレス124の接点Hが解放される。アドレス120の接点Dが閉じられることにより、マグネットスイッチMS1がオンになる。これにより、アドレス100~102の接点A~Cが閉じられ、CPU32への電源供給がオンとなる。
【0027】
本実施例では、リブート回路36は、メモリ34に記憶される作業プログラムがバージョンアップされると、電源供給オフ指令処理と、オフディレイ処理と、オンディレイ処理を順に実行するように構成されている。すなわち、リブート回路36により、作業プログラムのバージョンアップ後に、CPU32は自動で再起動される。このため、作業者が手動で再起動する手間を省くことができると共に、作業者による再起動を待つことなく自動で作業プログラムを更新することができる。
【0028】
なお、本実施例では、部品実装機10がリブート回路36を備えていたが、このような構成に限定されない。本実施例のリブート回路は、他の種類の基板作業機に設けることができ、例えば、はんだ印刷機や基板検査機等に設けてもよい。
【0029】
また、本実施例では、メモリ34に記憶される作業プログラムがバージョンアップされたときに、リブート回路36によりCPU32を再起動していたが、このような構成に限定されない。CPU32を再起動する必要が生じたときに、リブート回路36によりCPU32を再起動するように構成されていればよく、リブート回路のトリガーとなる動作は、作業プログラムのバージョンアップに限定されない。例えば、リブート回路は、基板作業機(又は基板作業機が備えるCPU)の起動の際にエラーが生じたことがトリガーとなるように構成されていてもよい。この場合、起動時にエラーが発生するとリブート回路により再起動されるため、正常に起動されるまで何度も再起動を繰り返すことになる。例えば、起動時のエラーが基板作業機の故障等によるものであり、その原因が1つであれば、再起動の度に同じ種類のエラーが発生する。したがって、エラーの種類を手掛かりとして基板作業機の故障部位の特定を行うことができる。一方、起動時のエラーが基板作業機の故障等によるものであっても、その原因が起動毎に異なるものであれば、再起動毎に発生するエラーの種類も変化する。このため、発生している複数のエラーの種類と、これらエラーの種類の組合せを手掛かりとして基板作業機の故障部位の特定を行うことができる。このように、リブート回路によりエラー発生時に何度も再起動させることによって、起動時のエラーを解析することができる。
【0030】
また、本実施例では、リブート回路36は、CPU32への電源供給のオン/オフを切り替えるように構成されていたが、このような構成に限定されない。リブート回路は、作業プログラムがバージョンアップされたときにCPU32を再起動できるように構成されていればよく、例えば、部品実装機10等の基板作業機本体の電源供給のオン/オフを切り替えるよう構成されていてもよい。
【0031】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。