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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20230605BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
A61B1/045 611
A61B1/018
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021565283
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2019050080
(87)【国際公開番号】W WO2021124546
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-017752(JP,A)
【文献】特開平11-318909(JP,A)
【文献】特開平02-136122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
A61B 17/00-17/94
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線に電気的に接続され、かつ映像信号を前記信号線に出力する撮像素子と、
前記信号線に電気的に接続され、かつ前記映像信号を受信する受信回路と、
前記映像信号の周波数よりも高い周波数を持つノイズが前記映像信号に混入していることを検知するノイズ検知回路と、
前記映像信号に含まれる前記ノイズを低減させるフィルタ回路と、
前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知されない場合、前記撮像素子の1画素当たりの信号出力時間を第1の時間に設定し、前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知された場合、前記信号出力時間を前記第1の時間よりも長い第2の時間に設定する撮像制御回路と、
前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知されない場合、前記フィルタ回路の機能をオフに設定し、前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知された場合、前記機能をオンに設定するフィルタ制御回路と、
を有する内視鏡システム。
【請求項2】
前記ノイズ検知回路は、前記撮像素子と前記フィルタ回路との間を通る前記映像信号に前記ノイズが混入していることを検知する
請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記ノイズ検知回路は、ブランキング期間における前記映像信号と前記撮像素子におけるオプティカルブラック領域から出力された前記映像信号との一方の電位を所定値と比較することにより、前記ノイズが前記映像信号に混入しているか否かを判断する
請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記撮像制御回路は、前記ブランキング期間のタイミングと前記オプティカルブラック領域から前記映像信号が出力されるタイミングとの一方を示すタイミング情報を出力し、
前記ノイズ検知回路は、前記タイミング情報が示すタイミングで前記映像信号の前記電位を前記所定値と比較する
請求項3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記撮像制御回路は、前記映像信号のフレームレートに基づいて前記タイミング情報を更新する
請求項4に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記映像信号は、互いに異なる電位を持つ第1の映像信号および第2の映像信号を含む差動信号であり、
前記受信回路は、前記第1の映像信号および前記第2の映像信号をシングルエンド信号に変換し、
前記フィルタ回路は、前記シングルエンド信号に含まれる前記ノイズを低減させ、
前記ノイズ検知回路は、前記シングルエンド信号に前記ノイズが混入していることを検知する
請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記ノイズ検知回路は、前記フィルタ回路を通った前記映像信号に前記ノイズが混入していることを検知する
請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記ノイズ検知回路は、ブランキング期間における前記映像信号と前記撮像素子におけるオプティカルブラック領域から出力された前記映像信号との一方の電位を所定値と比較することにより、前記ノイズが前記映像信号に混入しているか否かを判断する
請求項7に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記撮像制御回路は、前記ブランキング期間のタイミングと前記オプティカルブラック領域から前記映像信号が出力されるタイミングとの一方を示すタイミング情報を出力し、
前記ノイズ検知回路は、前記タイミング情報が示すタイミングで前記映像信号の前記電位を前記所定値と比較する
請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記撮像制御回路は、前記映像信号のフレームレートに基づいて前記タイミング情報を更新する
請求項9に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記フィルタ制御回路は、前記ノイズが前記映像信号に混入していることを前記ノイズ検知回路が検知する期間において前記機能をオフに設定する
請求項7に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知された場合、前記撮像制御回路は、前記撮像素子における前記映像信号のフレームレートを低くすることにより、前記信号出力時間を前記第2の時間に設定する
請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記撮像素子は、画素信号を生成する2つ以上の画素の各々から読み出された前記画素信号に基づいて前記映像信号を生成し、
前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知された場合、前記撮像制御回路は、前記撮像素子において前記画素信号を読み出す前記画素を間引くことにより、前記信号出力時間を前記第2の時間に設定する
請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
前記ノイズ検知回路は、前記ノイズの周波数を判断し、
前記フィルタ回路は、前記フィルタ回路のカットオフ周波数が可変であるように構成され、
前記フィルタ制御回路は、前記ノイズ検知回路によって判断された前記周波数に基づいて前記カットオフ周波数を設定する
請求項1に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来技術の内視鏡システム1001の構成を示す。図6に示す内視鏡システム1001は、内視鏡挿入部1010、操作部1020、接続部1030、本体1040、およびモニタ1050を有する。
【0003】
内視鏡挿入部1010は、スコープであり、かつ被検体OB100の内部に挿入される。内視鏡挿入部1010は、撮像素子1100を有する。撮像素子1100は、内視鏡挿入部1010の先端に配置されている。撮像素子1100は、被検体OB100の内部の光学像を取得し、かつその光学像に基づいて映像信号を生成する。撮像素子1100は、生成された映像信号を出力する。
【0004】
操作部1020は、内視鏡挿入部1010の後端に配置されている。操作部1020は、内視鏡挿入部1010に対する各種操作をユーザから受け付ける。
【0005】
撮像素子1100から出力された映像信号は、内視鏡挿入部1010および操作部1020の内部に配置された信号線S1010によって接続部1030に転送される。接続部1030は、操作部1020と本体1040との間に配置されている。接続部1030は、映像信号受信回路1300を有する。映像信号受信回路1300は、映像信号を受信し、かつ映像信号に所定の処理を施す。
【0006】
本体1040は、画像処理回路1400および撮像制御回路1401を有する。画像処理回路1400は、映像信号受信回路1300から出力された映像信号に画像処理を施す。画像処理回路1400によって処理された映像信号はモニタ1050に出力される。モニタ1050は、映像信号に基づいて映像を表示する。表示された映像に基づいて被検体OB100の観察が実施される。撮像制御回路1401は、撮像素子1100を制御するための制御信号を出力する。撮像制御回路1401から出力された制御信号は、内視鏡挿入部1010および操作部1020の内部に配置された信号線S1011によって撮像素子1100に転送される。
【0007】
患部の処置が実施されるとき、電気メス装置などの高周波信号発生装置が使用される。患部の処置は切断または止血などである。図6において、電気メス装置1060、対極板1070、フットスイッチ1080、およびスネア1090が使用される例が示されている。スネア1090は処置具であり、かつ内視鏡挿入部1010および操作部1020の内部に配置されたチャネルC1010を通って被検体OB100の内部に挿入される。スネア1090が内視鏡挿入部1010の先端から出ている状態で電気メス装置1060が駆動される。対極板1070は、被検体OB100に貼付される。ユーザは、フットスイッチ1080を操作することにより、電気メス装置1060を駆動させる。
【0008】
電気メス装置1060は高周波信号を生成し、かつ高周波信号をスネア1090に伝える。高周波信号がスネア1090を流れているとき、高周波ノイズが信号線S1010に伝わる。そのため、信号線S1010を流れる映像信号VS100に高周波ノイズN100および高周波ノイズN101が混入する。高周波ノイズが混入している映像信号に基づいて映像が表示されたとき、ノイズが映像に現れる。以下では、映像に現れるノイズは画像ノイズと記載される。
【0009】
高周波ノイズに起因する画像ノイズは、主に2つのノイズに分類される。その2つのノイズは、輝点状の画像ノイズおよび帯状の画像ノイズである。高周波ノイズは、数百MHz以上(例えば、200MHz以上)の周波数を持つ成分を含む。この成分に基づくタイミングがA/D変換回路(アナログ-デジタル変換回路)のサンプリングタイミングと一致する場合に輝点状の画像ノイズが発生することが分かっている。
【0010】
上記の事情に鑑み、高周波ノイズを低減させるローパスフィルタ回路を映像信号の信号線上に配置することが提案されている。これにより、輝点状の画像ノイズが軽減されることが期待される。例えば、特許文献1に開示された装置は、ノイズ検知回路が、電気メスの動作に起因する高周波ノイズを検知したときにノイズフィルタをオンにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】日本国特開平2-136122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述したように、高周波ノイズは、数百MHz以上(例えば、200MHz以上)の周波数を持つ成分を含む。この周波数をfnと定義し、fnよりも高い周波数を持つ成分を遮断するローパスフィルタが配置されたと仮定する。そのローパスフィルタのカットオフ周波数をfcと定義した場合、周波数fnはローパスフィルタのカットオフ周波数fcよりも高い。これらに加えて、撮像素子が1画素の映像信号を出力するために必要な時間をTsと定義し、かつその映像信号の周波数をfsと定義する。周波数fsは1/Tsと等しい。映像信号に混入している高周波ノイズを十分に減衰させ、かつ映像信号の波形の劣化を低減させるためには、以下の式(A)に示す関係が成り立つ必要がある。式(A)における定数Cは約10である。
fc≧C/Ts ・・・(A)
【0013】
近年の内視鏡システムに使用される撮像素子は、画素の数が多く、かつ映像信号のフレームレートが高いという特徴を持つ。画素の数を多くすることにより、映像の解像度が高くなる。映像信号のフレームレートを高くすることにより、映像における被写体の動きが滑らかになる。このため、映像信号における1画素当たりの時間Tsが短くなる、すなわち周波数fsが高くなる傾向がある。また、高周波ノイズに含まれる高周波成分の周波数fnは、映像信号の周波数fsに依存しない。そのため、式(A)に示す関係が成り立たない場合がある。
【0014】
従来技術において、式(A)に示す関係が成り立たない場合、図7に示すように、ローパスフィルタを通過した映像信号の波形が劣化する。そのため、映像信号の本来の値とは異なる値がA/D変換回路によってサンプリングされ、かつ偽の値を持つ映像信号が生成される。その結果、モニタに表示された映像において、患部を含む被写体の画質が劣化する。
【0015】
本発明は、映像信号の波形の劣化を低減させることができる内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、内視鏡システムは、撮像素子、受信回路、ノイズ検知回路、フィルタ回路、撮像制御回路、およびフィルタ制御回路を有する。前記撮像素子は、信号線に電気的に接続され、かつ映像信号を前記信号線に出力する。前記受信回路は、前記信号線に電気的に接続され、かつ前記映像信号を受信する。前記ノイズ検知回路は、前記映像信号の周波数よりも高い周波数を持つノイズが前記映像信号に混入していることを検知する。前記フィルタ回路は、前記映像信号に含まれる前記ノイズを低減させる。前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知されない場合、前記撮像制御回路は、前記撮像素子の1画素当たりの信号出力時間を第1の時間に設定する。前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知された場合、前記撮像制御回路は、前記信号出力時間を前記第1の時間よりも長い第2の時間に設定する。前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知されない場合、前記フィルタ制御回路は、前記フィルタ回路の機能をオフに設定する。前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知された場合、前記フィルタ制御回路は、前記機能をオンに設定する。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様において、前記ノイズ検知回路は、前記撮像素子と前記フィルタ回路との間を通る前記映像信号に前記ノイズが混入していることを検知してもよい。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様において、前記ノイズ検知回路は、ブランキング期間における前記映像信号と前記撮像素子におけるオプティカルブラック領域から出力された前記映像信号との一方の電位を所定値と比較することにより、前記ノイズが前記映像信号に混入しているか否かを判断してもよい。
【0019】
本発明の第4の態様によれば、第3の態様において、前記撮像制御回路は、前記ブランキング期間のタイミングと前記オプティカルブラック領域から前記映像信号が出力されるタイミングとの一方を示すタイミング情報を出力してもよい。前記ノイズ検知回路は、前記タイミング情報が示すタイミングで前記映像信号の前記電位を前記所定値と比較してもよい。
【0020】
本発明の第5の態様によれば、第4の態様において、前記撮像制御回路は、前記映像信号のフレームレートに基づいて前記タイミング情報を更新してもよい。
【0021】
本発明の第6の態様によれば、第2の態様において、前記映像信号は、互いに異なる電位を持つ第1の映像信号および第2の映像信号を含む差動信号であってもよい。前記受信回路は、前記第1の映像信号および前記第2の映像信号をシングルエンド信号に変換してもよい。前記フィルタ回路は、前記シングルエンド信号に含まれる前記ノイズを低減させてもよい。前記ノイズ検知回路は、前記シングルエンド信号に前記ノイズが混入していることを検知してもよい。
【0022】
本発明の第7の態様によれば、第1の態様において、前記ノイズ検知回路は、前記フィルタ回路を通った前記映像信号に前記ノイズが混入していることを検知してもよい。
【0023】
本発明の第8の態様によれば、第7の態様において、前記ノイズ検知回路は、ブランキング期間における前記映像信号と前記撮像素子におけるオプティカルブラック領域から出力された前記映像信号との一方の電位を所定値と比較することにより、前記ノイズが前記映像信号に混入しているか否かを判断してもよい。
【0024】
本発明の第9の態様によれば、第8の態様において、前記撮像制御回路は、前記ブランキング期間のタイミングと前記オプティカルブラック領域から前記映像信号が出力されるタイミングとの一方を示すタイミング情報を出力してもよい。前記ノイズ検知回路は、前記タイミング情報が示すタイミングで前記映像信号の前記電位を前記所定値と比較してもよい。
【0025】
本発明の第10の態様によれば、第9の態様において、前記撮像制御回路は、前記映像信号のフレームレートに基づいて前記タイミング情報を更新してもよい。
【0026】
本発明の第11の態様によれば、第7の態様において、前記フィルタ制御回路は、前記ノイズが前記映像信号に混入していることを前記ノイズ検知回路が検知する期間において前記機能をオフに設定してもよい。
【0027】
本発明の第12の態様によれば、第1の態様において、前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知された場合、前記撮像制御回路は、前記撮像素子における前記映像信号のフレームレートを低くすることにより、前記信号出力時間を前記第2の時間に設定してもよい。
【0028】
本発明の第13の態様によれば、第1の態様において、前記撮像素子は、画素信号を生成する2つ以上の画素の各々から読み出された前記画素信号に基づいて前記映像信号を生成してもよい。前記ノイズ検知回路によって前記ノイズが検知された場合、前記撮像制御回路は、前記撮像素子において前記画素信号を読み出す前記画素を間引くことにより、前記信号出力時間を前記第2の時間に設定してもよい。
【0029】
本発明の第14の態様によれば、第1の態様において、前記ノイズ検知回路は、前記ノイズの周波数を判断してもよい。前記フィルタ回路は、前記フィルタ回路のカットオフ周波数が可変であるように構成されてもよい。前記フィルタ制御回路は、前記ノイズ検知回路によって判断された前記周波数に基づいて前記カットオフ周波数を設定してもよい。
【発明の効果】
【0030】
上記の各態様によれば、内視鏡システムは映像信号の波形の劣化を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施形態の内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態における映像信号の波形を示すタイミングチャートである。
図3】本発明の第1の実施形態の変形例の内視鏡システムが有するノイズ検知回路の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第2の実施形態の内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第3の実施形態の内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図6】従来技術の内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図7】従来技術における映像信号の波形を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の内視鏡システム1の構成を示す。図1に示す内視鏡システム1は、内視鏡挿入部10、操作部20、接続部30、本体40、およびモニタ50を有する。内視鏡挿入部10は、撮像素子100を有する。接続部30は、ローパスフィルタ回路300、映像信号受信回路301、およびノイズ検知回路302を有する。本体40は、画像処理回路400、フィルタ制御回路401、および撮像制御回路402を有する。
【0034】
内視鏡システム1の概略構成について説明する。撮像素子100は、信号線S10に電気的に接続され、かつ映像信号を信号線S10に出力する。映像信号受信回路301は、信号線S10に電気的に接続され、かつ映像信号を受信する。ノイズ検知回路302は、映像信号の周波数よりも高い周波数を持つノイズが映像信号に混入していることを検知する。以下では、このノイズは高周波ノイズと記載される。高周波ノイズに含まれる任意の成分の周波数は、映像信号に含まれる任意の成分の周波数よりも高い。ローパスフィルタ回路300は、映像信号に含まれる高周波ノイズを低減させる。ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知されない場合、撮像制御回路402は撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間を第1の時間に設定する。ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知された場合、撮像制御回路402は撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間を第1の時間よりも長い第2の時間に設定する。ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知されない場合、フィルタ制御回路401はローパスフィルタ回路300の機能をオフに設定する。ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知された場合、フィルタ制御回路401はローパスフィルタ回路300の機能をオンに設定する。
【0035】
内視鏡システム1の詳細な構成について説明する。内視鏡挿入部10は、スコープであり、かつ被検体OB10の内部に挿入される。撮像素子100は、内視鏡挿入部10の先端に配置されている。撮像素子100は、CCD(Charge Coupled Devices)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のようなイメージセンサである。
【0036】
撮像素子100は、被検体OB10の内部の光学像を取得し、かつその光学像に基づいて映像信号を生成する。撮像素子100は、生成された映像信号を出力する。撮像素子100は、図1に示されていない2つ以上の画素を有する。撮像素子100は、画素信号を生成する2つ以上の画素の各々から読み出された画素信号に基づいて映像信号を生成する。以下では、映像信号がアナログ信号である例を説明する。本発明の1つ以上の実施形態において、映像信号はデジタル信号であってもよい。
【0037】
操作部20は、内視鏡挿入部10の後端に配置されている。操作部20は、内視鏡挿入部10に対する各種操作をユーザから受け付ける。
【0038】
撮像素子100から出力された映像信号は、内視鏡挿入部10および操作部20の内部に配置された信号線S10によって接続部30に転送される。接続部30は、操作部20と本体40との間に配置されている。
【0039】
ローパスフィルタ回路300は、信号線S10に電気的に接続されている。ローパスフィルタ回路300は、映像信号の伝送経路において撮像素子100と映像信号受信回路301との間に配置されている。撮像素子100から出力された映像信号がローパスフィルタ回路300に入力される。ローパスフィルタ回路300の状態は、オン状態およびオフ状態の一方に設定される。ローパスフィルタ回路300の状態は、オン状態およびオフ状態の間で切り替えることができる。
【0040】
ローパスフィルタ回路300の状態がオン状態であるとき、ローパスフィルタ回路300は、カットオフ周波数fcよりも高い周波数を持つ信号を遮断し、かつカットオフ周波数fc以下の周波数を持つ信号を通過させる。高周波ノイズの周波数fn(例えば、200MHz以上)はカットオフ周波数fcよりも高いため、映像信号における高周波ノイズが低減される。ローパスフィルタ回路300は、高周波ノイズが低減された映像信号を映像信号受信回路301に出力する。ローパスフィルタ回路300の状態がオフ状態であるとき、ローパスフィルタ回路300は、カットオフ周波数fcよりも高い周波数を持つ信号を遮断する機能を停止する。ローパスフィルタ回路300は、撮像素子100から出力された映像信号を映像信号受信回路301に出力する。
【0041】
ローパスフィルタ回路300の代わりにバンドパスフィルタ回路が使用されてもよい。そのバンドパスフィルタ回路の状態がオン状態であるとき、そのバンドパスフィルタ回路は、高周波ノイズの周波数よりも高い周波数を持つ信号を遮断し、かつ高周波ノイズの周波数以下の所定の周波数帯域に含まれる周波数を持つ信号を通過させる。
【0042】
映像信号受信回路301は、ローパスフィルタ回路300から出力された映像信号を受信し、かつ映像信号に所定の処理を施す。例えば、映像信号がアナログ信号である場合、映像信号受信回路301はA/D変換を映像信号に施すことにより、映像信号をデジタル信号に変換する。映像信号受信回路301は増幅等の処理を映像信号に施してもよい。
【0043】
ノイズ検知回路302は、信号線S10に電気的に接続されている。撮像素子100から出力された映像信号がノイズ検知回路302に入力される。ノイズ検知回路302は、撮像素子100とローパスフィルタ回路300との間の信号線S10における映像信号に高周波ノイズが混入していることを検知する。つまり、ノイズ検知回路302は、撮像素子100とローパスフィルタ回路300との間を通る映像信号に高周波ノイズが混入していることを検知する。ノイズ検知回路302は、高周波ノイズが映像信号に混入しているか否かを判断し、判断結果をフィルタ制御回路401および撮像制御回路402に通知する。
【0044】
例えば、ノイズ検知回路302は、撮像素子100の有効画素の信号値以外の信号値に基づいて、高周波ノイズが映像信号に混入しているか否かを判断する。具体的には、ノイズ検知回路302は、ブランキング期間における映像信号と撮像素子100におけるオプティカルブラック領域から出力された映像信号との一方の電位を所定値と比較することにより、高周波ノイズが映像信号に混入しているか否かを判断する。ブランキング期間は、水平ブランキング期間または垂直ブランキング期間である。オプティカルブラック領域は、撮像素子100において有効画素以外の画素を含む。例えば、複数の画素が画素領域に配置され、有効画素は画素領域の中央部に配置され、オプティカルブラック領域はその中央部の周辺に配置されている。
【0045】
ブランキング期間のタイミングとオプティカルブラック領域から映像信号が出力されるタイミングとの一方を示すタイミング情報が撮像制御回路402から出力される。ノイズ検知回路302は、そのタイミング情報が示すタイミングで映像信号の電位を所定値と比較する。ブランキング期間のタイミングを示すタイミング情報が撮像制御回路402から出力された場合、ノイズ検知回路302は、ブランキング期間における映像信号の電位を所定値と比較する。オプティカルブラック領域から映像信号が出力されるタイミングを示すタイミング情報が撮像制御回路402から出力された場合、ノイズ検知回路302は、オプティカルブラック領域から出力された映像信号の電位を所定値と比較する。
【0046】
高周波ノイズが映像信号に混入していない場合、ブランキング期間における映像信号の電位およびオプティカルブラック領域から出力された映像信号の電位は、既知の値を持つ。高周波ノイズが映像信号に混入している場合、ブランキング期間における映像信号の電位およびオプティカルブラック領域から出力された映像信号の電位は、既知の値と異なる値を持つ。ノイズ検知回路302は、映像信号の電位を所定値と比較することにより、高周波ノイズが映像信号に混入しているか否かを判断することができる。
【0047】
ローパスフィルタ回路300は、操作部20または本体40に配置されてもよい。ローパスフィルタ回路300が操作部20に配置されている場合、映像信号受信回路301は操作部20または本体40に配置され、かつノイズ検知回路302は操作部20に配置される。ローパスフィルタ回路300が本体40に配置されている場合、映像信号受信回路301は本体40に配置され、かつノイズ検知回路302は操作部20または本体40に配置される。
【0048】
画像処理回路400は、映像信号受信回路301から出力された映像信号に画像処理を施す。画像処理回路400によって処理された映像信号はモニタ50に出力される。モニタ50は、映像信号に基づいて映像を表示する。表示された映像に基づいて被検体OB10の観察が実施される。
【0049】
フィルタ制御回路401は、ノイズ検知回路302から通知された判断結果に基づいて、ローパスフィルタ回路300の機能をオンまたはオフに設定する。高周波ノイズが映像信号に混入していないとノイズ検知回路302が判断した場合、フィルタ制御回路401はローパスフィルタ回路300の機能をオフに設定する。高周波ノイズが映像信号に混入しているとノイズ検知回路302が判断した場合、フィルタ制御回路401はローパスフィルタ回路300の機能をオンに設定する。ノイズ検知回路302は、第1のフレーム期間において高周波ノイズに関する判断を実施する。フィルタ制御回路401は、第1のフレーム期間の直後の第2のフレーム期間においてローパスフィルタ回路300の機能をオンまたはオフに設定する。
【0050】
撮像制御回路402は、撮像素子100を制御するための制御信号を出力する。撮像制御回路402から出力された制御信号は、内視鏡挿入部10および操作部20の内部に配置された信号線S11によって撮像素子100に転送される。また、撮像制御回路402は、ノイズ検知回路302から通知された判断結果に基づいて、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間を制御する。その信号出力時間は、1フレーム期間の長さを、画素信号が読み出される画素の数で割ることにより取得される時間と同じである。
【0051】
高周波ノイズが映像信号に混入していないとノイズ検知回路302が判断した場合、撮像制御回路402は、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間を所定時間に設定する。例えば、撮像制御回路402は、信号出力時間をTs1に設定する。高周波ノイズが映像信号に混入しているとノイズ検知回路302が判断した場合、撮像制御回路402は、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間を所定時間よりも長い時間に設定する。例えば、撮像制御回路402は、信号出力時間をTs2に設定する。信号出力時間Ts2は、信号出力時間Ts1よりも長い。
【0052】
具体的には、ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知された場合、撮像制御回路402は、撮像素子100における映像信号のフレームレートを低くする。これにより、映像信号のフレームレートは下がるが、1フレーム当たりの有効画素の数は変化しない。あるいは、ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知された場合、撮像制御回路402は、撮像素子100において画素信号を読み出す画素を間引く。つまり、撮像制御回路402は、撮像素子100に、撮像素子100が有する2つ以上の画素の一部のみから画素信号を読み出させる。これにより、映像信号のフレームレートは変化しないが、1フレーム当たりの有効画素の数は減少する。
【0053】
以下の式(1)に示す関係がローパスフィルタ回路300のカットオフ周波数fcと信号出力時間Ts2との間に成り立つ。式(1)における定数Cは約10である。式(1)に示す関係が成り立つため、映像信号に混入している高周波ノイズは十分に減衰し、かつ映像信号の波形の劣化が低減される。
fc≧C/Ts2 ・・・(1)
【0054】
撮像制御回路402は、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間をTs1またはTs2に設定するための制御信号を信号線S11に出力する。ノイズ検知回路302は、第1のフレーム期間において高周波ノイズに関する判断を実施する。撮像制御回路402は、第1のフレーム期間の直後の第2のフレーム期間において撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間をTs1またはTs2に設定する。
【0055】
図2は、映像信号の波形を示す。信号線S10を流れる映像信号VS10に高周波ノイズN10および高周波ノイズN11が混入している。ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知されるため、ローパスフィルタ回路300の機能がオンに設定され、かつ撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間がTs2に設定される。ローパスフィルタ回路300によって処理された映像信号VS11において、高周波ノイズN12および高周波ノイズN13は十分に低減されている。また、式(1)に示す関係が成り立つように信号出力時間が変更されるため、映像信号VS11の本来の波形が維持されやすい。
【0056】
撮像制御回路402から出力された制御信号は、撮像素子100に入力される。高周波ノイズが映像信号に混入していないとノイズ検知回路302が判断した場合、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間は、その制御信号に基づいてTs1に設定される。高周波ノイズが映像信号に混入しているとノイズ検知回路302が判断した場合、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間は、その制御信号に基づいてTs2に設定される。
【0057】
撮像制御回路402は、ブランキング期間のタイミングとオプティカルブラック領域から映像信号が出力されるタイミングとの一方を示すタイミング情報をノイズ検知回路302に出力する。撮像制御回路402が、映像信号のフレームレートを低くすることにより撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間を変更した場合、上記のタイミングが変化する。そのため、撮像制御回路402は、映像信号のフレームレートに基づいてタイミング情報を更新し、かつ更新されたタイミング情報をノイズ検知回路302に出力する。
【0058】
図1において、電気メス装置60、対極板70、フットスイッチ80、およびスネア90が使用される例が示されている。スネア90は処置具であり、かつ内視鏡挿入部10および操作部20の内部に配置されたチャネルC10を通って被検体OB10の内部に挿入される。スネア90が内視鏡挿入部10の先端から出ている状態で電気メス装置60が駆動される。対極板70は、被検体OB10に貼付される。ユーザは、フットスイッチ80を操作することにより、電気メス装置60を駆動させる。
【0059】
電気メス装置60が駆動されていないとき、電気メス装置60は高周波信号を生成しない。そのため、ノイズ検知回路302は、高周波ノイズが映像信号に混入していないと判断する。フィルタ制御回路401はローパスフィルタ回路300の機能をオフに設定する。撮像制御回路402は、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間をTs1に設定する。
【0060】
電気メス装置60が駆動されているとき、電気メス装置60は高周波信号を生成し、かつ高周波信号をスネア90に伝える。高周波信号がスネア90を流れているとき、高周波ノイズが信号線S10に伝わる。そのため、信号線S10を流れる映像信号に高周波ノイズが混入する。ノイズ検知回路302は、高周波ノイズが映像信号に混入していると判断する。フィルタ制御回路401はローパスフィルタ回路300の機能をオンに設定する。撮像制御回路402は、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間をTs1よりも長いTs2に設定する。ローパスフィルタ回路300は、映像信号に混入している高周波ノイズを低減させる。前述した式(1)に示す関係が成り立つように信号出力時間が変更されるため、映像信号の波形の劣化は低減される。
【0061】
撮像素子100がA/D変換回路を有していてもよい。その場合、撮像素子100は、デジタル映像信号を出力する。映像信号がデジタル信号である場合、ローパスフィルタ回路300、映像信号受信回路301、およびノイズ検知回路302は、プロセッサおよび論理回路の少なくとも1つで構成されてもよい。映像信号がアナログ信号およびデジタル信号のいずれの場合であっても、フィルタ制御回路401および撮像制御回路402は、プロセッサおよび論理回路の少なくとも1つで構成されてもよい。
【0062】
例えば、プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、およびGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも1つである。例えば、論理回路は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field-Programmable Gate Array)の少なくとも1つである。ローパスフィルタ回路300、映像信号受信回路301、ノイズ検知回路302、フィルタ制御回路401、および撮像制御回路402は、1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。ローパスフィルタ回路300、映像信号受信回路301、ノイズ検知回路302、フィルタ制御回路401、および撮像制御回路402は、1つまたは複数の論理回路を含むことができる。
【0063】
プロセッサが、プログラムを読み込み、かつ読み込まれたプログラムを実行してもよい。プログラムは、プロセッサの動作を規定する命令を含む。つまり、プロセッサの機能はソフトウェアにより実現されてもよい。そのプログラムは、例えばフラッシュメモリのような「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」により提供されてもよい。そのプログラムは、そのプログラムを保持するコンピュータから、伝送媒体を経由して、あるいは伝送媒体中の伝送波により内視鏡システム1に伝送されてもよい。プログラムを伝送する「伝送媒体」は、情報を伝送する機能を有する媒体である。情報を伝送する機能を有する媒体は、インターネット等のネットワーク(通信網)および電話回線等の通信回線(通信線)を含む。上述したプログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上述したプログラムは、差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。コンピュータに既に記録されているプログラムと差分プログラムとの組合せが、前述した機能を実現してもよい。
【0064】
第1の実施形態において、ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知された場合、フィルタ制御回路401はローパスフィルタ回路300の機能をオンに設定し、かつ撮像制御回路402は撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間を所定時間よりも長い時間に設定する。これにより、内視鏡システム1は、映像信号の波形の劣化を低減させることができる。
【0065】
(第1の実施形態の変形例)
本発明の第1の実施形態の変形例において、ローパスフィルタ回路300は、カットオフ周波数fcが可変であるように構成されている。また、ノイズ検知回路302は、図3に示すノイズ検知回路302aに変更される。ノイズ検知回路302aは、高周波ノイズの周波数を判断する機能を有する。フィルタ制御回路401は、ノイズ検知回路302aによって判断された高周波ノイズの周波数に基づいてローパスフィルタ回路300のカットオフ周波数fcを設定する。
【0066】
ノイズ検知回路302aは、サンプリング回路3020および信号処理回路3021を有する。サンプリング回路3020は、映像信号を非常に高いサンプリングレートでサンプリングする。信号処理回路3021は、サンプリングされた信号に高速フーリエ変換を施し、映像信号に含まれる成分の周波数スペクトルを得る。信号処理回路3021は、その周波数スペクトルに基づいて、高周波ノイズが映像信号に混入しているか否かを判断する。
【0067】
図3に示す周波数スペクトルFS1には、映像信号成分CV1および高周波ノイズ成分CN1が含まれる。映像信号成分CV1の周波数は既知であるため、信号処理回路3021は映像信号成分CV1と高周波ノイズ成分CN1とを区別することができる。高周波ノイズが映像信号に混入している場合、信号処理回路3021は高周波ノイズの周波数を判断する。高周波ノイズが映像信号に混入していると信号処理回路3021が判断した場合、信号処理回路3021は高周波ノイズの周波数を示す情報をフィルタ制御回路401および撮像制御回路402に出力する。
【0068】
高周波ノイズの周波数を示す情報がノイズ検知回路302aから出力された場合、フィルタ制御回路401は、ローパスフィルタ回路300の機能をオンに設定する。また、フィルタ制御回路401は、ローパスフィルタ回路300のカットオフ周波数fcを、高周波ノイズの周波数よりも低い周波数に設定する。
【0069】
高周波ノイズの周波数を示す情報がノイズ検知回路302aから出力された場合、撮像制御回路402は、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間をTs1よりも長いTs2に設定する。フィルタ制御回路401は、新しく設定されたローパスフィルタ回路300のカットオフ周波数fcを撮像制御回路402に通知し、かつ撮像制御回路402は、以下の式(2)が成り立つか否かを判断してもよい。式(2)における定数Cは約10である。
fc≧C/Ts1 ・・・(2)
【0070】
ノイズ検知回路302aによって高周波ノイズが検知され、かつ式(2)が成り立つ場合、撮像制御回路402は撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間をTs1に設定してもよい。つまり、撮像制御回路402は信号出力時間を変更しなくてもよい。ノイズ検知回路302aによって高周波ノイズが検知され、かつ式(2)が成り立たない場合のみ、撮像制御回路402は撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間をTs2に設定してもよい。
【0071】
第1の実施形態の変形例において、内視鏡システム1は、高周波ノイズの周波数に基づいてローパスフィルタ回路300のカットオフ周波数fcを設定することができる。
【0072】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態の内視鏡システム1aの構成を示す。図1に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0073】
図1に示す接続部30は接続部30aに変更される。図4に示すノイズ検知回路302が映像信号を取得する位置は、図1に示すノイズ検知回路302が映像信号を取得する位置と異なる。映像信号受信回路301から出力された映像信号がノイズ検知回路302に入力される。ノイズ検知回路302は、ローパスフィルタ回路300を通った映像信号に高周波ノイズが混入していることを検知する。
【0074】
ローパスフィルタ回路300の機能がオンに設定された状態では、高周波ノイズが映像信号に混入している場合であっても、その高周波ノイズはローパスフィルタ回路300によって低減される。そのため、高周波ノイズが映像信号に混入していることをノイズ検知回路302が正しく検知することが難しい。フィルタ制御回路401は、高周波ノイズが映像信号に混入していることをノイズ検知回路302が検知する期間においてローパスフィルタ回路300の機能をオフに設定する。例えば、フィルタ制御回路401は、ブランキング期間または撮像素子100におけるオプティカルブラック領域から映像信号が出力される期間においてローパスフィルタ回路300の機能をオフに設定する。
【0075】
第1の実施形態と同様に、ノイズ検知回路302は、ブランキング期間における映像信号と撮像素子100におけるオプティカルブラック領域から出力された映像信号との一方の電位を所定値と比較する。これにより、ノイズ検知回路302は、高周波ノイズが映像信号に混入しているか否かを判断する。
【0076】
第1の実施形態と同様に、撮像制御回路402は、ブランキング期間のタイミングとオプティカルブラック領域から映像信号が出力されるタイミングとの一方を示すタイミング情報を出力する。ノイズ検知回路302は、タイミング情報が示すタイミングで映像信号の電位を所定値と比較する。
【0077】
ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知された場合、第1の実施形態と同様に、撮像制御回路402は、撮像素子100における映像信号のフレームレートを低くする。あるいは、ノイズ検知回路302によって高周波ノイズが検知された場合、第1の実施形態と同様に、撮像制御回路402は、撮像素子100において画素信号を読み出す画素を間引く。これらのいずれかの方法により、撮像制御回路402は、撮像素子100の1画素当たりの信号出力時間を所定時間よりも長い時間に設定する。
【0078】
撮像制御回路402が映像信号のフレームレートを変更する場合、第1の実施形態と同様に、撮像制御回路402は、映像信号のフレームレートに基づいてタイミング情報を更新する。
【0079】
ローパスフィルタ回路300は、操作部20または本体40に配置されてもよい。ローパスフィルタ回路300が操作部20に配置されている場合、映像信号受信回路301は操作部20または本体40に配置される。映像信号受信回路301が操作部20に配置されている場合、ノイズ検知回路302は操作部20または本体40に配置される。映像信号受信回路301が本体40に配置されている場合、ノイズ検知回路302は本体40に配置される。ローパスフィルタ回路300が本体40に配置されている場合、映像信号受信回路301およびノイズ検知回路302は本体40に配置される。
【0080】
ローパスフィルタ回路300のカットオフ周波数fcが可変であるようにローパスフィルタ回路300が構成され、かつノイズ検知回路302が、図3に示すノイズ検知回路302aに変更されてもよい。フィルタ制御回路401は、ノイズ検知回路302aによって検知された高周波ノイズの周波数に基づいてローパスフィルタ回路300のカットオフ周波数fcを設定してもよい。
【0081】
第2の実施形態において、第1の実施形態と同様に、内視鏡システム1aは、映像信号の波形の劣化を低減させることができる。
【0082】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態の内視鏡システム1eの構成を示す。図1に示す構成と同じ構成の説明を省略する。
【0083】
図1に示す接続部30は接続部30eに変更される。接続部30eは、ローパスフィルタ回路300、映像信号受信回路301、ノイズ検知回路302、および差動信号受信回路303を有する。
【0084】
第3の実施形態において、映像信号は、互いに異なる電位を持つ第1の映像信号および第2の映像信号を含む差動信号である。撮像素子100は第1の映像信号および第2の映像信号を信号線S10に出力する。差動信号受信回路303は、信号線S10に電気的に接続されている。差動信号受信回路303は、第1の映像信号および第2の映像信号を受信し、かつ第1の映像信号および第2の映像信号をシングルエンド信号に変換する。
【0085】
ローパスフィルタ回路300は、映像信号の伝送経路において差動信号受信回路303と映像信号受信回路301との間に配置されている。差動信号受信回路303から出力されたシングルエンド信号がローパスフィルタ回路300に入力される。ローパスフィルタ回路300は、シングルエンド信号に含まれる高周波ノイズを低減させる。
【0086】
差動信号受信回路303から出力されたシングルエンド信号がノイズ検知回路302に入力される。ノイズ検知回路302は、ローパスフィルタ回路300を通る前のシングルエンド信号に高周波ノイズが混入していることを検知する。
【0087】
ローパスフィルタ回路300のカットオフ周波数fcが可変であるようにローパスフィルタ回路300が構成され、かつノイズ検知回路302が、図3に示すノイズ検知回路302aに変更されてもよい。フィルタ制御回路401は、ノイズ検知回路302aによって検知された高周波ノイズの周波数に基づいてローパスフィルタ回路300のカットオフ周波数fcを設定してもよい。
【0088】
第3の実施形態において、差動信号受信回路303は、第1の映像信号および第2の映像信号をシングルエンド信号に変換することにより、映像信号に混入しているノイズを除去することができる。しかしながら、差動信号受信回路303によって生成されたシングルエンド信号において、高周波ノイズが残っている可能性がある。ノイズ検知回路302は、シングルエンド信号に残っている高周波ノイズを検知することができる。また、ローパスフィルタ回路300は、シングルエンド信号に残っている高周波ノイズを低減させることができる。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態およびその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の各実施形態によれば、内視鏡システムは映像信号の波形の劣化を低減させることができる。
【符号の説明】
【0091】
1,1a,1e,1001 内視鏡システム
10,1010 内視鏡挿入部
20,1020 操作部
30,30a,30e,1030 接続部
40,1040 本体
50,1050 モニタ
60,1060 電気メス装置
70,1070 対極板
80,1080 フットスイッチ
90,1090 スネア
100,1100 撮像素子
300 ローパスフィルタ回路
301,1300 映像信号受信回路
302,302a ノイズ検知回路
303 差動信号受信回路
400,1400 画像処理回路
401 フィルタ制御回路
402,1401 撮像制御回路
3020 サンプリング回路
3021 信号処理回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7