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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】間隙充填誘電材料
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/312 20060101AFI20230605BHJP
【FI】
H01L21/312 A
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022027584
(22)【出願日】2022-02-25
(62)【分割の表示】P 2019538227の分割
【原出願日】2018-01-15
(65)【公開番号】P2022068349
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】62/448,488
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/691,096
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ヤムニ・パンディ
(72)【発明者】
【氏名】ヘレン・シャオ・シュー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ティー・ケネディー
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-532792(JP,A)
【文献】特開2015-017195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/312
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイス表面を平坦化するための組成物であって、
前記組成物の1重量%~40重量%の範囲のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂であって、500Daから5,000Daの重量平均分子量を有する、ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂と、
前記組成物の0.01重量%~0.20重量%の範囲のアミノプロピルトリエトキシシラン塩と、
前記組成物の残部を構成する、少なくとも1つの溶媒と、を含む、組成物。
【請求項2】
平坦化組成物を製造するための方法であって、
500Da~5,000Daの重量平均分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂を提供することと、
1つ又は2つ以上の溶媒を提供することと、
前記1つ又は2つ以上の溶媒に前記ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂を溶解して、ポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液を形成することと、
前記ポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液にアミノプロピルトリエトキシシラン塩を溶解して、前記平坦化組成物を形成することと、を含む、方法。
【請求項3】
半導体デバイス用の平坦化フィルムであって、
500Da~5,000Daの重量平均分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)ポリマー鎖から形成された硬化ポリ(メチルシルセスキオキサン)と、
アミノプロピルトリエトキシシラン塩の残渣と、を含む、平坦化フィルム。
【請求項4】
アミノプロピルトリエトキシシラン塩がアミノプロピルトリエトキシシラントリフラートを含む、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
アミノプロピルトリエトキシシラン塩がアミノプロピルトリエトキシシラントリフラートを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
アミノプロピルトリエトキシシラン塩の残渣がアミノプロピルトリエトキシシラントリフラートの残渣を含む、請求項に記載の平坦化フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年1月20日に出願された米国仮特許出願第62/448,488
号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に
明確に組み込まれる。
【0002】
本発明は、誘電材料に関し、具体的には、半導体製造のための誘電材料を間隙充填する
ことに関する。
【背景技術】
【0003】
先進の半導体製造において、半導体デバイスの表面上にスピンコーティングされて、デ
バイス構造間の狭い空間又は間隙を充填し、後続のデバイス層処理に適した比較的平坦な
表面を提供することができる誘電材料が必要とされている。
【0004】
幅約20ナノメートル、更により狭い間隙を有する先進の半導体デバイスの平坦化を提
供する誘電材料の平坦化の改善が望まれている。このような誘電材料は空隙がなく、誘電
材料を通る電流の流れ(漏れ電流)を実質的に抑制することができることが重要である。
【発明の概要】
【0005】
半導体デバイス表面を平坦化するための組成物は、ポリ(メチルシルセスキオキサン)
樹脂と、第四級アンモニウム塩及びアミノプロピルトリエトキシシラン塩のうちの少なく
とも1つと、少なくとも1つの溶媒とを含む。ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂は
、組成物の1重量%~40重量%の範囲である。ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂
は、500Da~5,000Daの重量平均分子量を有する。第四級アンモニウム塩及び
アミノプロピルトリエトキシシラン塩のうちの少なくとも1つは、組成物の0.01重量
%~0.20重量%の範囲である。少なくとも1つの溶媒は、組成物の残部を構成する。
【0006】
様々な実施形態は、半導体デバイス表面を平坦化するための組成物に関する。組成物は
、ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂と、第四級アンモニウム塩及びアミノプロピル
トリエトキシシラン塩のうちの少なくとも1つと、少なくとも1つの溶媒とを含む。ポリ
(メチルシルセスキオキサン)樹脂は、組成物の1重量%~40重量%の範囲である。ポ
リ(メチルシルセスキオキサン)樹脂は、500Da~5,000Daの重量平均分子量
を有する。第四級アンモニウム塩及びアミノプロピルトリエトキシシラン塩のうちの少な
くとも1つは、組成物の0.01重量%~0.20重量%の範囲である。少なくとも1つ
の溶媒は、組成物の残部を構成する。いくつかの実施形態では、第四級アンモニウム塩及
びアミノプロピルトリエトキシシラン塩のうちの少なくとも1つは、アミノプロピルトリ
エトキシシラントリフラートを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの溶媒は
、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートとn-ブチルアセテートとの重量比が
0.5:1~2:1の範囲である、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び
n-ブチルアセテートを含む溶媒混合物である。いくつかの特定の実施形態では、組成物
は組成物の0.05重量%~5重量%の範囲の高沸点溶媒を更に含み、高沸点溶媒は15
4℃~274℃の範囲の沸点を有する。いくつかの更なる実施形態では、高沸点溶媒は、
1-オクタノール、ベンジルアルコール、ヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、アニソール、
及びプロピレンカーボネートのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、
組成物は、0.05重量%~8重量%の範囲のフェニルシルセスキオキサンを更に含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の0.25重量%~1重量%の範囲の界面活
性剤を更に含む。いくつかの特定の実施形態では、界面活性剤は、ポリエーテル変性ポリ
ジメチルシロキサン界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、ポリ(メチルシルセス
キオキサン)は、1,200Da~4,300Daの重量平均分子量を有する。
【0007】
様々な実施形態は、平坦化組成物の製造方法に関する。本方法は、500Da~5,0
00Daの重量平均分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂を提供するこ
とと、1つ又は2つ以上の溶媒を提供することと、1つ又は2つ以上の溶媒中にポリ(メ
チルシルセスキオキサン)樹脂を溶解して、ポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液を形
成することと、ポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液中に第四級アンモニウム塩及びア
ミノプロピルトリエトキシシラン塩のうちの少なくとも1つを溶解して、平坦化組成物を
形成することと、を含む。いくつかの実施形態では、第四級アンモニウム塩及びアミノプ
ロピルトリエトキシシラン塩のうちの少なくとも1つは、アミノプロピルトリエトキシシ
ラントリフラートを含む。いくつかの実施形態では、もう1つの溶媒を提供することは、
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びn-ブチルアセテートを一緒にブレ
ンドすることを含み、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートとn-ブチルアセ
テートとの重量比は0.5:1~2:1の範囲である。いくつかの特定の実施形態におい
て、1つ又は2つ以上の溶媒を提供することは、プロピレングリコールメチルエーテルア
セテート及びn-ブチルアセテートと一緒に高沸点溶媒をブレンドすることを更に含み、
高沸点溶媒は154℃~274℃の範囲の沸点を有する。いくつかの実施形態では、方法
は、フェニルシルセスキオキサンを提供することと、フェニルシルセスキオキサンを溶媒
中に溶解して、フェニルシルセスキオキサン溶液を形成することと、フェニルシルセスキ
オキサン溶液をポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液とブレンドして、平坦化組成物を
形成することと、を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、ポリ(メチルシルセ
スキオキサン)溶液中に界面活性剤を溶解させることを更に含む。いくつかの実施形態で
は、この方法は、一連の少なくとも2つの0.1ミクロンフィルタを通して平坦化組成物
を濾過することを更に含む。
【0008】
様々な実施形態は、半導体デバイス用の平坦化フィルムを含む。フィルムは、500D
a~5,000Daの重量平均分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)ポリマ
ー鎖から形成された硬化ポリ(メチルシルセスキオキサン)を含む。いくつかの実施形態
では、平坦化フィルムは、第四級アンモニウム塩及びアミノプロピルトリエトキシシラン
塩のうちの少なくとも1つの残渣を更に含む。特定の実施形態では、第四級アンモニウム
塩及びアミノプロピルトリエトキシシラン塩のうちの少なくとも1つの残渣は、アミノプ
ロピルトリエトキシシラントリフラートの残渣を含む。いくつかの実施形態では、平坦化
フィルムは、フェニルシルセスキオキサンの残渣を更に含む。
【0009】
添付の図面を考慮して、本発明の実施形態についての以下の記載を参照することによっ
て、本発明の上述及び他の特性及び有利性、並びにそれらを達成する様式がより明らかに
なり、本発明自体がより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】平坦化される表面微細構造を示す半導体デバイスの一部分の概略断面図である。
図2】本開示の実施形態による平坦化フィルムによる表面微細構造の平坦化を示す、図1の半導体デバイスの一部分の概略断面図である。
図3】高分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂から形成された平坦化フィルムのTEM顕微鏡写真である。
図4】本開示の実施形態に従って形成された平坦化フィルムのTEM顕微鏡写真である。
図5】本開示の実施形態に従って形成された別の平坦化フィルムのTEM顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、半導体デバイス表面を平坦化するために、半導体デバイスの表面
上にスピンコーティングするための組成物において、ポリ(メチルシルセスキオキサン)
樹脂を用いることができる。本開示の実施形態によるポリ(メチルシルセスキオキサン)
組成物を硬化させることによって形成された平坦化フィルムは、優れた誘電特性及び低い
漏れ電流レベルを示すことが分かった。平坦化フィルムはまた、窒素中、450℃以下で
熱的に安定であり、寸法的に安定であることも分かった。
【0012】
図1は、平坦化される表面微細構造を示す半導体デバイスの一部分の概略断面図である
図1は、基板12及び複数のフィン14を含むデバイス10を示す。基板12は、例え
ば、二酸化シリコン又は窒化シリコンなどの絶縁材料の層とすることができる。基板12
は、他のデバイス層(図示せず)の上にあってもよい。複数のフィン14は、例えば、ド
ープシリコン、銅、又はアルミニウムなどの導電性材料のフィンであってもよい。複数の
フィン14は複数の間隙16を形成し、各間隙16は図1に示すように隣接する一対のフ
ィン14によって画定される。図1に更に示すように、各間隙16は幅W及び深さDを有
するものとして説明することができる。したがって、各間隙16はアスペクト比によって
更に画定され得る。本開示の目的のために、各間隙16のアスペクト比は、その深さDと
その幅Wとの比として、しばしばD:Wとして表される。4:1、6:1、8:1、若し
くは10:1又はそれ以上のような高アスペクト比を有する間隙は、平坦化フィルムで完
全に又は実質的に完全に充填することが困難であり得る。
【0013】
図2は、本開示の実施形態による平坦化フィルムによる表面微細構造の平坦化を示す、
図1の半導体デバイス10の一部分の概略断面図である。図2は、本開示の実施形態によ
る、ポリ(メチルシルセスキオキサン)組成物から平坦化フィルム18を形成した後のデ
バイス10を示す。平坦化フィルム18は、複数の間隙16のそれぞれを充填して優れた
誘電特性を提供し、隣接するフィン14間の漏れ電流を最小化にする。平坦化フィルムは
また、実質的に平坦な表面を提供し、その上に後続のデバイス層(図示せず)を形成する
ことができる。
【0014】
図1及び図2は、本開示の実施形態による平坦化フィルムを採用することができる一例
を示す。本開示の実施形態による平坦化フィルムは、導電性、非導電性、及び半導体材料
の異なる配置を伴う多くの他の微細構造上で採用できることが理解される。
【0015】
組成物中のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂の重量平均分子量(Mw)を5,0
00ダルトン(Da)以下に制限することにより、組成物は、約20ナノメートル幅及び
それより狭く、少なくとも4:1のアスペクト比を有する間隙を含む微細構造を有する先
進の半導体デバイスの平坦化を提供することができることが分かった。対照的に、10,
000Daを超えるMwを有するポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂を含む組成物は
、後に硬化したフィルム中の空隙を含む重大な欠陥を伴わずに、少なくとも4:1のアス
ペクト比で20ナノメートル幅の間隙を充填できないことが分かった。いかなる理論にも
束縛されるものではないが、低分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)によって提供さ
れるより低い粘度は、20ナノメートル幅及び高アスペクト比で間隙の充填を可能にする
と考えられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、組成物中のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂の重量平
均分子量(Mw)は、500Da、600Da、700Da、800Da、1,000D
a、若しくは1,200Da程度まで少なく、又は1,600Da、2,100Da、2
,600Da、3,400Da、4,300Da、若しくは5,000Da程度まで多く
、又は前述の値のいずれか2つによって定義される任意の範囲内である。例えば、いくつ
かの実施形態では、組成物中のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂のMwは、500
Da~5,000Da、600Da~4,300Da、1,000Da~2,100Da
、1,200Da~4,300Da、又は1,200Da~1,600Daの範囲である
。いくつかの実施形態では、組成物中のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂のMwは
、約1,300Daである。Mwは、当該技術分野において既知であるように、ゲル透過
クロマトグラフィによって測定することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物中のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂中のシリ
コンの少なくとも90%は、5,000Da以下の重量平均分子量を有するポリ(メチル
シルセスキオキサン)ポリマー鎖中に存在し、組成物中のポリ(メチルシルセスキオキサ
ン)樹脂中のシリコンの10%未満は、5,000Daを超える重量平均分子量を有する
ポリ(メチルシルセスキオキサン)ポリマー鎖中に存在する。いくつかの実施形態では、
組成物中のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂中のシリコンの少なくとも92%、9
4%、96%、98%、又は99%(又は前述の値のいずれかの間の任意の値)は、5,
000Da以下の重量平均分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)ポリマー鎖
中に存在し、組成物中のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂中に存在するシリコンの
8%、6%、4%、2%又は1%(又は前述の値のいずれかの間の任意の値)以下は、5
,000Daを超える重量平均分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)ポリマ
ー鎖中に存在する。
【0018】
組成物は、500Da~5,000Daの重量平均分子量を有するポリ(メチルシルセ
スキオキサン)樹脂と、ポリ(メチルシルセスキオキサン)を溶液にするための少なくと
も1つの溶媒とを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の溶媒は
、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、n-ブチルアセテート、ケトン
、又はアルコールなどの単一の溶媒を含むことができる。グリコールエーテルとしては、
例えば、プロピレングリコールプロピルエーテル又はプロピレングリコールメチルエーテ
ルを含み得る。グリコールエーテルアセテートとしては、例えば、プロピレングリコール
メチルエーテルアセテート(PGMEA)、2-エトキシエチルアセテート、又は2-メ
トキシエチルアセテートを含み得る。ケトンは、例えば、アセトン又はジエチルケトンを
含み得る。アルコールとしては、例えば、イソプロピルアルコール、ブタノール、又はエ
タノールを含み得る。他の実施形態では、少なくとも1つの溶媒は、前述の溶媒のうちの
2つ以上の混合物を含む。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの溶媒は、
PGMEAなどの比較的中程度の沸点を有する溶媒と、n-ブチルアセテートなどの比較
的低い沸点を有する別の溶媒との混合物を含むことができる。PGMEAをn-ブチルア
セテートとブレンドすることにより、得られる平坦化フィルムは、溶媒としてPGMEA
のみを含む実施形態と比較した場合に、より少ない剥離及び風紋欠陥を示すことが分かっ
た。
【0019】
いくつかの実施形態では、PGMEAとn-ブチルアセテートの重量比は、0.5:1
、0.6:1、0.7:1、0.8:1若しくは0.9:1程度まで下がり、又は1.1
:1、1.2:1、1.4:1、1.6:1、1.8:1若しくは2:1程度まで上がり
、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される任意の範囲内であり得る。例え
ば、いくつかの実施形態では、PGMEAのn-ブチルアセテートに対する比は、0.5
:1~2:1、0.6:1~1.8:1、0.7:1~1.6:1、0.8:1~1.4
:1若しくは0.9:1~1.2:1の範囲である。いくつかの実施形態では、PGME
Aとn-ブチルアセテートの重量比は、約1:1である。いくつかの実施形態では、少な
くとも1つの溶媒は、前述の比率のうちのいずれかのPGMEA及びn-ブチルアセテー
トからなる。
【0020】
いくつかの実施形態では、組成物中のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂の濃度は
、組成物の総重量の1重量パーセント(重量%)、5重量%、10重量%、若しくは15
重量%程度まで少なく、又は25重量%、30重量%、35重量%、若しくは40重量%
程度まで多く、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される任意の範囲内であ
り得、組成物の残部は少なくとも1つの溶媒である。いくつかの実施形態では、組成物中
のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂の濃度は、組成物の総重量の1重量%~40重
量%、5重量%~35重量%、10重量%~30重量%、若しくは15重量%~25重量
%の範囲であり得、組成物の残部は少なくとも1つの溶媒である。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、第四級アンモニウム塩及び/又はアミノプロピル
トリエトキシシラン塩を更に含むことができる。硝酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テ
トラブチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラブチルアンモニウ
ム、及び/又はアミノプロピルトリエトキシシラントリフラートなどのアミノプロピルト
リエトキシシラン塩などの第四級アンモニウム塩を添加することで、組成物が半導体デバ
イスの表面上にコーティングされた後に加熱される際に生じ得る組成物のガス放出を低減
することができることが分かった。このようなガス放出は、様々な半導体プロセスに悪影
響を及ぼし、長期のデバイスの信頼性を低下させ、半導体デバイスを製造するため使用さ
れる機器の耐用年数を短くする可能性がある。
【0022】
いくつかの実施形態では、組成物中の第四級アンモニウム塩及び/又はアミノプロピル
トリエトキシシラン塩の濃度は、組成物の総重量の0.01重量%、0.02重量%、0
.04重量%、0.06重量%、若しくは0.08重量%程度まで少なく、又は0.12
重量%、0.14重量%、0.16重量%、0.18重量%、若しくは0.20重量%程
度まで多く、又は前述の値のいずれか2つによって定義される任意の範囲内であり得る。
いくつかの実施形態では、組成物中の第四級アンモニウム塩及び/又はアミノプロピルト
リエトキシシラン塩の濃度は、組成物の総重量の0.01重量%~0.20重量%、0.
02重量%~0.18重量%、0.04重量%~0.16重量%、0.06重量%~0.
14重量%、若しくは0.08重量%~0.12重量%の範囲であり得る。いくつかの実
施形態では、組成物中の第四級アンモニウム塩及び/又はアミノプロピルトリエトキシシ
ラン塩の濃度は、約0.1重量%であり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、組成物は、高沸点溶媒を更に含むことができる。高沸点溶媒
の添加は、平坦化フィルムの間隙充填及び平坦化特性を更に改善できることが分かった。
いかなる理論にも束縛されるものではないが、高い蒸気圧を有する高沸点溶媒は、スピン
コーティング及びその後の焼成プロセスの間、組成物中により長く留まる傾向があると考
えられる。高沸点溶媒は、組成物の流体特性を改善し、組成物の高アスペクト比特徴間の
間隙を平坦にしかつ充填する組成物の能力を改善すると考えられる。いくつかの実施形態
では、高沸点溶媒の沸点は、154℃、170℃、180℃、若しくは190℃程度に低
く、又は213℃、230℃、245℃、若しくは274℃程度に高く、又は前述の値の
うちの任意の2つの間の値であり得る。いくつかの実施形態では、高沸点溶媒の沸点は、
154℃~274℃、170℃~245℃、180℃~230℃、又は190℃~213
℃の範囲であり得る。高沸点溶媒の例としては、1-オクタノール、ベンジルアルコール
、ヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレング
リコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレ
ングリコールn-ブチルエーテル、アニソール、及びプロピレンカーボネートが挙げられ
る。
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物中の高沸点溶媒の濃度は、組成物の総重量の0.05
重量%、0.07重量%、0.1重量%若しくは0.2重量%程度まで少なく、又は0.
7重量%、1重量%、2重量%、若しくは5重量%程度まで多く、又は前述の値のいずれ
か2つによって定義される任意の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、組成物中
の高沸点溶媒の濃度は、組成物の総重量の0.05重量%~5重量%、0.07重量%~
2重量%、0.1重量%~1重量%、若しくは0.2重量%~0.7重量%の範囲であり
得る。いくつかの実施形態では、組成物中の高沸点溶媒の濃度は、組成物の総重量の約0
.5重量%であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は、フェニルシルセスキオキサンを更に含むことがで
きる。フェニルシルセスキオキサンは、可塑剤として作用し、組成物の流体特性を更に改
善することができる。いくつかの実施形態では、組成物中のフェニルシルセスキオキサン
の濃度は、組成物の総重量の0.05重量%、0.1重量%、0.2重量%若しくは0.
3重量%程度まで少なく、又は1重量%、2重量%、4重量%、若しくは8重量%程度ま
で多く、又は前述の値のいずれか2つによって定義される任意の範囲内であり得る。いく
つかの実施形態では、組成物中のフェニルシルセスキオキサンの濃度は、組成物の総重量
の0.05重量%~8重量%、0.1重量%~4重量%、0.2重量%~2重量%、若し
くは0.3重量%~1重量%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、組成物中のフ
ェニルシルセスキオキサンの濃度は、組成物の総重量の約0.5重量%であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤を更に含むことができる。界面活性剤
は、剥離及び風紋欠陥を更に低減することができ、これは、組成物が直径300mmのウ
ェハなどのより大きな直径の半導体デバイスウェハ上にスピンコーティングされる場合に
特に有用であり得ることが分かった。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、BYK-
Chemie(Wesel、Germany)から入手可能なBYK(登録商標)-30
6又はBYK(登録商標)-307などのポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン界面
活性剤であり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物中の界面活性剤の濃度は、組成物の総重量の0.25
重量%、0.3重量%、0.4重量%若しくは0.5重量%程度まで少なく、又は0.7
重量%、0.8重量%、0.9重量%、若しくは1重量%程度まで多く、又は前述の値の
いずれか2つによって定義される任意の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、組
成物中の界面活性剤の濃度は、組成物の総重量の0.25重量%~1重量%、0.30重
量%~0.90重量%、0.40重量%~0.80重量%、若しくは0.50重量%~0
.70重量%の範囲であり得る。
【0028】
本開示の実施形態による平坦化組成物の製造方法は、500Da~5,000Daの重
量平均分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂を提供することと、上記の
実施形態のいずれかによる1つ又は2つ以上の溶媒を提供することと、を含み得る。ポリ
(メチルシルセスキオキサン)樹脂を1つ又は2つ以上の溶媒に溶解させて、ポリ(メチ
ルシルセスキオキサン)溶液を形成することができる。上記の実施形態のいずれかによる
第四級アンモニウム塩及び/又はアミノプロピルトリエトキシシラン塩を、ポリ(メチル
シルセスキオキサン)溶液中に溶解して、平坦化組成物を形成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の溶媒を提供することは、上記の実施形態
のいずれかによる比で、PGMEAとn-ブチルアセテートとを一緒にブレンドすること
を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の溶媒を提供することは、上記
の実施形態のいずれかに従って高沸点溶媒中でブレンドすることを更に含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、平坦化組成物を製造する方法は、上記の実施形態のいずれか
に記載のフェニルシルセスキオキサンを提供することを更に含み得る。フェニルシルセス
キオキサンを1つ又は2つ以上の溶媒に溶解してフェニルシルセスキオキサン溶液を形成
することができる。1つ又は2つ以上の溶媒は、ポリ(メチルシルセスキオキサン)を溶
解するために提供される1つ又は2つ以上の溶媒と同じであっても異なっていてもよい。
例えば、ポリ(メチルシルセスキオキサン)は、PGMEAとn-ブチルアセテートとの
1:1混合物に溶解させることができ、フェニルシルセスキオキサンをPGMEAに溶解
させることができる。フェニルシルセスキオキサン溶液をポリ(メチルシルセスキオキサ
ン)溶液とブレンドして、平坦化組成物を形成することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、平坦化組成物の製造方法は、上記の実施形態のいずれかに記
載の界面活性剤を提供することと、ポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液中に界面活性
剤を溶解して平坦化組成物を形成することと、を更に含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、平坦化組成物は、均質な溶液のため、ローラミキサ上で一晩
混合することができる。いくつかの実施形態では、平坦化組成物は、一連の少なくとも2
つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過することができる。
【0033】
使用中、本開示の実施形態による平坦化組成物は、半導体デバイスウェハの表面上にス
ピンコーティングすることができ、表面の微細構造を平坦化することができる。次いで、
半導体デバイスウェハを、120℃~280℃の範囲の温度で1分~5分の範囲で焼成し
て、平坦化組成物から1つ又は2つ以上の実質的に全ての溶媒を外に出すことができる。
次いで、半導体デバイスウェハを約400℃~約450℃の範囲の温度で硬化させて、平
坦化フィルムを形成することができる。平坦化フィルムは、半導体デバイスの恒久的な部
分であってもよい。
【0034】
本開示の実施形態による平坦化フィルムは、500Da~5,000Daの重量平均分
子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)ポリマー鎖から形成された硬化ポリ(メ
チルシルセスキオキサン)を含むことができる。いくつかの実施形態では、平坦化フィル
ムは、アミノプロピルトリエトキシシラントリフラートなどの、上記の実施形態のいずれ
かによる第四級アンモニウム塩及び/又はアミノプロピルトリエトキシシラン塩の残渣を
更に含むことができる。いくつかの実施形態では、平坦化フィルムは、上記の実施形態の
いずれかによるフェニルシルセスキオキサンの残渣を更に含むことができる。いくつかの
実施形態では、平坦化フィルムは、BYK(登録商標)-307などのポリエーテル変性
ポリジメチルシロキサン界面活性剤を含む、上記の実施形態のいずれかによる界面活性剤
残渣を更に含むことができる。
【0035】
本発明は、例示的な設計に対するものとして説明したが、本発明は、本開示の趣旨及び
範囲内で更に修正することができる。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野におけ
る既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を包含することが意図さ
れている。
【実施例
【0036】
比較例1
高分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)
ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂GR650は、Techneglas、Per
rysburg、Ohioから入手した。ポリ(メチルシルセスキオキサンの重量平均分
子量(Mw)は、PGMEAとn-ブチルアセテートとの50/50混合物中に45重量
%のポリ(メチルシルセスキオキサン)の溶液を調製し、次いで溶液を0.1ミクロンの
フィルタで濾過することによって求めた。次いで、当該技術分野において既知のように、
濾過された溶液をゲル透過クロマトグラフィ(gel permeation chro
matography、GPC)によって分析して、Mwを決定した。ポリ(メチルシル
セスキオキサン)のMwは、10,223Daであることが分かった。
【0037】
10,223Daのポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂100グラム(g)を、プ
ロピレングリコールモノモエチルエーテルアセテート(PGMEA)400gに添加した
。この組み合わせをローラミキサで一晩混合して、均質性を確保した。得られた溶液を、
一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過した。この溶液を、幅約20nm及び
深さ約80nm~100nmの高アスペクト比特徴を含む、直径200mmのパターン化
試験ウェハ上にスピンコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、それぞれ
60秒間、一連の3枚のホットプレート上で焼成し、当該ホットプレートは、140℃、
150℃、及び210℃の温度をそれぞれ有した。焼成したフィルムを有するウェハを、
窒素環境の中425℃のホットプレート上で5分間硬化させ、直ちに冷却プレート上で冷
却した。パターン化されたウェハを、トンネル電子顕微鏡(tunneling ele
ctron microscope、TEM)分析によって間隙充填について評価した。
図3は、10,223Daのポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂から形成された平坦
化フィルムのTEM顕微鏡写真を示す。図3に示すように、高いアスペクト比の特徴にお
いて多くの空隙が観察された。ホットプレートの焼成中に著しいガス放出が観察された。
【0038】
実施例2
低分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)
約1.5KDaの分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂GR650は
、Techneglas、Perrysburg、Ohioから入手した。ポリ(メチル
シルセスキオキサンの実際の重量平均分子量(Mw)は、PGMEAとn-ブチルアセテ
ート50/50の混合物中に45重量%のポリ(メチルシルセスキオキサン)の溶液を調
製し、次いで溶液を0.1ミクロンのフィルタで濾過することによって求めた。次いで、
当該技術分野において既知のように、濾過された溶液をゲル透過クロマトグラフィ(GP
C)によって分析して、Mwを決定した。ポリ(メチルシルセスキオキサン)のMwは、
1,323Daであることが分かった。
【0039】
1,323Daのポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂100gを、プロピレングリ
コールモノモエチルエーテルアセテート(PGMEA)400gに添加した。この組み合
わせをローラミキサで一晩混合して、均質性を確保した。得られた溶液を、一連の2つの
0.1ミクロンフィルタを通して濾過した。溶液を、直径200mmのブランクのシリコ
ンウェハ上にスピンコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、それぞれ6
0秒間、一連の3枚のホットプレート上で焼成し、当該ホットプレートは、140℃、1
50℃、及び210℃の温度をそれぞれ有した。焼成したフィルムを有するウェハを、窒
素環境の中425℃のホットプレート上で5分間硬化させ、直ちに冷却プレート上で冷却
した。コーティングされた200mmのウェハを50倍の倍率で光学顕微鏡下において、
フィルム欠陥について評価した。剥離及び風紋欠陥が観察された。ホットプレートの焼成
中に著しいガス放出も観察された。
【0040】
実施例3
低分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)及び溶媒ブレンド
210gのPGMEA及び210gのn-ブチルアセテートを一緒にブレンドして、溶
媒混合物を形成した。1,323ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂100gを溶媒
混合物420gと混ぜ合わせた。この組み合わせをローラミキサで一晩混合して、均質性
を確保した。この溶液を、一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過した。
【0041】
溶液を、直径200mmのブランクのシリコンウェハ上にスピンコーティングした。キ
ャストフィルムを有するウェハを、それぞれ60秒間、一連の3枚のホットプレート上で
焼成し、当該ホットプレートは、140℃、150℃、及び210℃の温度をそれぞれ有
した。焼成したフィルムを有するウェハを、窒素環境の中425℃のホットプレート上で
5分間硬化させ、直ちに冷却プレート上で冷却した。ウェハを光学顕微鏡下で50倍の倍
率で観察した。剥離又は風紋欠陥は観察されなかった。ホットプレートの焼成中に著しい
ガス放出が観察された。
【0042】
実施例4
低分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)、溶媒ブレンド、アミノプロピルトリエト
キシシラン塩
210gのPGMEA及び210gのn-ブチルアセテートを一緒にブレンドして、溶
媒混合物を形成した。1,323Daポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂100gを
、溶媒混合物420gと混ぜ合わせた。この組み合わせをローラミキサで一晩混合して、
均質性を確保した。得られた溶液を、一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過
した。0.33gのアミノプロピルトリエトキシシラントリフラートをポリ(メチルシル
セスキオキサン)の溶液に添加し、均一性を確保するためにローラミキサで1時間混合し
、次に一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過した。
【0043】
この溶液を、幅約20nm及び深さ約80nm~100nmの高アスペクト比特徴を含
む、直径200mmのブランクのシリコンウェハと、直径200mmのパターン化試験ウ
ェハ上にスピンコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、それぞれ60秒
間、一連の3枚のホットプレート上で焼成し、当該ホットプレートは、140℃、150
℃、及び210℃の温度をそれぞれ有した。焼成したフィルムを有するウェハを、窒素環
境の中425℃のホットプレート上で5分間硬化させ、直ちに冷却プレート上で冷却した
。コーティングされたブランクのシリコンウェハを光学顕微鏡下で50倍の倍率で観察し
た。剥離又は風紋欠陥は観察されなかった。いずれのホットプレートでの焼成においても
、コーティングされたブランクのシリコンウェハ上でガス放出は観察されなかった。パタ
ーン化された試験ウェハを、トンネル電子顕微鏡(TEM)分析によって間隙充填につい
て評価した。図4は、1,323Daのポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂から形成
された平坦化フィルムのTEM顕微鏡写真を示す。図4に示すように、平坦化及び間隙充
填は良好であり、高アスペクト比の特徴において、空隙は観察されなかった。
【0044】
実施例5
低分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)、溶媒ブレンド、フェニルシルセスキオキ
サン
410gのPGMEA及び410gのn-ブチルアセテートを一緒にブレンドして、溶
媒混合物を形成した。1,323Daポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂100gを
、溶媒混合物420gと混ぜ合わせた。この組み合わせをローラミキサで一晩混合して、
均質性を確保した。得られた溶液を、一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過
した。23gのフェニルシルセスキオキサンを77gのPGMEAと混ぜ合わせて、フェ
ニルシルセスキオキサン溶液を形成した。フェニルシルセスキオキサン溶液をローラミキ
サ上で一晩混合して均質性を確保し、次いで一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通し
て濾過した。0.33gのアミノプロピルトリエトキシシラントリフラートをポリ(メチ
ルシルセスキオキサン)の溶液に添加し、均一性を確保するためにローラミキサで1時間
混合し、次に一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過した。
【0045】
ポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液をフェニルシルセスキオキサン溶液と3つの割
合で混ぜ合わせて、評価用の3つの別々のバッチを作成した。第1のバッチでは、90g
のポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液を、10gのフェニルシルセスキオキサン溶液
と混ぜ合わせた。第2のバッチでは、80gのポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液を
、20gのフェニルシルセスキオキサン溶液と混ぜ合わせた。第3のバッチでは、70g
のポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液を、30gのフェニルシルセスキオキサン溶液
と混ぜ合わせた。
【0046】
溶液のそれぞれを、3つの異なる直径200mmのブランクのシリコンウェハ上にスピ
ンコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、それぞれ60秒間、一連の3
枚のホットプレート上で焼成し、当該ホットプレートは、140℃、150℃、及び21
0℃の温度をそれぞれ有した。焼成したフィルムを有するウェハを、窒素環境の中425
℃のホットプレート上で5分間硬化させ、直ちに冷却プレート上で冷却した。ウェハを検
査したところ、平坦化フィルムが曇っていることが分かった。
【0047】
実施例6
低分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)、溶媒ブレンド、界面活性剤
210gのPGMEA及び210gのn-ブチルアセテートを一緒にブレンドして、溶
媒混合物を形成した。1,323Daポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂100gを
、溶媒混合物420gと混ぜ合わせた。この組み合わせをローラミキサで一晩混合して、
均質性を確保した。得られた溶液を、一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過
した。
【0048】
界面活性剤BYK(登録商標)-307を、ポリ(メチレンシルセスキオキサン)の溶
液に3重量パーセントで添加した。第1のバッチでは、界面活性剤が溶液の1重量%にな
るように、1.5gの界面活性剤をポリ(メチルシルセスキオキサン)の溶液150gに
添加した。第2のバッチでは、界面活性剤が溶液の0.5重量%になるように、0.75
gの界面活性剤をポリ(メチルシルセスキオキサン)の溶液150gに添加した。第3の
バッチでは、界面活性剤が溶液の0.25重量%になるように、0.375gの界面活性
剤をポリ(メチルシルセスキオキサン)の溶液150gに添加した。得られた溶液をそれ
ぞれローラミキサで1時間混合して均質性を確保し、次いで一連の2つの0.1ミクロン
フィルタを通して濾過した。
【0049】
各溶液を異なる直径300mmのブランクのシリコンウェハ上にスピンコーティングし
た。キャストフィルムを有するウェハを、それぞれ60秒間、一連の3枚のホットプレー
ト上で焼成し、当該ホットプレートは、140℃、150℃、及び210℃の温度をそれ
ぞれ有した。焼成したフィルムを有するウェハを、窒素環境の中425℃のホットプレー
ト上で5分間硬化させ、直ちに冷却プレート上で冷却した。コーティングされたウェハを
光学顕微鏡下で50倍の倍率で観察した。1重量%の界面活性剤溶液でコーティングされ
たウェハにおいて、剥離及び風紋欠陥が観察された。0.5重量%溶液又は0.25重量
%溶液でコーティングされたウェハにおいては、剥離又は風紋欠陥は観察されなかった。
【0050】
実施例7
低分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)、高沸点溶媒
420gのPGMEA及び420gのn-ブチルアセテートを一緒にブレンドして、溶
媒混合物を形成した。200gの1,323Daポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂
を、840gの溶媒混合物と混ぜ合わせた。この組み合わせをローラミキサで1時間混合
して、溶液を形成した。8個の100gの溶液のポーションを調製した。それぞれ0.5
gの8個の高沸点溶媒を、0.06gのアミノプロピルトリエトキシシラントリフラート
と共に8個の異なる100gのポーションに添加して、0.5重量%の高沸点溶媒を含有
する溶液を形成した。得られたポーションをそれぞれローラミキサで30分間混合した後
、一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過した。使用した8個の高沸点溶媒は
、1-オクタノール、ベンジルアルコール、ヘキシルアルコール、エチレングリコール、
ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル
、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びアニソールであった。
【0051】
このプロセスを2回繰り返し、添加する高沸点溶媒(1g及び5g)の量を増加させて
、1重量%の高沸点溶媒を含有する溶液を形成する8個の100gのポーションの第2の
セット、及び5重量%の高沸点溶媒を含有する溶液を形成する8個の100gのポーショ
ンの第3のセットを製造する。
【0052】
24個のポーションのそれぞれを、異なる直径100mmのブランクのシリコンウェハ
上にスピンコーティングした。キャストフィルムを有する24個のウェハを、それぞれ6
0秒間、一連の3枚のホットプレート上で焼成し、当該ホットプレートは140℃、15
0℃、及び210℃の温度をそれぞれ有した。焼成したフィルムを有するウェハを、窒素
環境の中425℃のホットプレート上で5分間硬化させ、直ちに冷却プレート上で冷却し
た。コーティングされたウェハを光学顕微鏡下で50倍の倍率で観察した。結果を表1に
示す。表1に示すように、0.5重量%の高沸点溶媒を含有する溶液でコーティングされ
た全てのウェハは、いかなる欠陥もないことが分かった。1重量%の高沸点溶媒を含有す
る溶液でコーティングされたウェハの大部分は、いかなる欠陥も含まないことが分かった
。5重量%の高沸点溶媒を含有する溶液でコーティングされたウェハの一部は、いかなる
欠陥も含まないことが分かった。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例8
低分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)、溶媒ブレンド、アミノプロピルトリエト
キシシラン塩
約5KDaの分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂GR650は、T
echneglas、Perrysburg、Ohioから入手した。ポリ(メチルシル
セスキオキサンの実際の重量平均分子量(Mw)は、PGMEAとn-ブチルアセテート
50/50の混合物中に45重量%のポリ(メチルシルセスキオキサン)の溶液を調製し
、次いで溶液を0.1ミクロンのフィルタで濾過することによって求めた。次いで、当該
技術分野において既知のように、濾過された溶液をゲル透過クロマトグラフィ(GPC)
によって分析して、Mwを決定した。ポリ(メチルシルセスキオキサン)のMwは、4,
114Daであることが分かった。
【0055】
26gのPGMEA及び26gのn-ブチルアセテートを一緒にブレンドして、溶媒混
合物を形成した。10gの4,114Daポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂を、5
2gの溶媒混合物及び0.1gのアミノプロピルトリエトキシシラントリフラートと混ぜ
合わせた。この組み合わせをローラミキサで30分間混合して、均質性を確保した。得ら
れた溶液を、一連の2つの0.1ミクロンフィルタを通して濾過した。
【0056】
この溶液を、幅約20nm及び深さ約80nm~100nmの高アスペクト比特徴を含
む、直径200mmのブランクのシリコンウェハと、直径200mmのパターン化試験ウ
ェハ上にスピンコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、それぞれ60秒
間、一連の3枚のホットプレート上で焼成し、当該ホットプレートは、140℃、150
℃、及び210℃の温度をそれぞれ有した。焼成したフィルムを有するウェハを、窒素環
境の中425℃のホットプレート上で5分間硬化させ、直ちに冷却プレート上で冷却した
。コーティングされたブランクのシリコンウェハを光学顕微鏡下で50倍の倍率で観察し
た。剥離又は風紋欠陥は観察されなかった。いずれのホットプレートでの焼成においても
、コーティングされたブランクのシリコンウェハ上でガス放出は観察されなかった。パタ
ーン化された試験ウェハを、トンネル電子顕微鏡(TEM)分析によって間隙充填につい
て評価した。図5は、4,114Daのポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂から形成
された平坦化フィルムのTEM顕微鏡写真を示す。図5に示すように、平坦化及び間隙充
填は良好であり、高アスペクト比の特徴において、空隙は観察されなかった。
【0057】
実施例9
低分子量ポリ(メチルシルセスキオキサン)
250gのPGMEA及び250gのn-ブチルアセテートを一緒にブレンドして、溶
媒混合物を形成した。1,323Daポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂100gを
溶媒混合物500gに添加した。脱イオン水において、2%の硝酸テトラメチルアンモニ
ウム0.15gをポリ(メチルシルセスキオキサン)の溶液と混ぜ合わせ、その組み合わ
せをローラミキサで一晩混合して均一性を確保した。得られた溶液を、一連の2つの0.
1ミクロンフィルタを通して濾過した。
【0058】
溶液を、直径200mmのブランクのシリコンウェハ上にスピンコーティングした。キャストフィルムを有するウェハを、それぞれ60秒間、一連の3枚のホットプレート上で焼成し、当該ホットプレートは、100℃、140℃、及び210℃の温度をそれぞれ有した。焼成したフィルムを有するウェハを、窒素環境の中425℃のホットプレート上で5分間硬化させ、直ちに冷却プレート上で冷却した。コーティングされた200mmのウェハを50倍の倍率で光学顕微鏡下において、フィルム欠陥について評価した。剥離及び風紋欠陥は観察されなかった。ホットプレートの焼成中に著しいガス放出は観察されなかった。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
半導体デバイス表面を平坦化するための組成物であって、
前記組成物の1重量%~40重量%の範囲のポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂であって、500Daから5,000Daの重量平均分子量を有する、ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂と、
前記組成物の0.01重量%~0.20重量%の範囲の第四級アンモニウム塩及びアミノプロピルトリエトキシシラン塩のうちの少なくとも1つと、
前記組成物の残部を構成する、少なくとも1つの溶媒と、を含む、組成物。
[2]
前記少なくとも1つの溶媒が、
プロピレングリコールメチルエーテルアセテートと、
n-ブチルアセテートと、を含む溶媒混合物であり、前記プロピレングリコールメチルエーテルアセテートとn-ブチルアセテートとの重量比が0.5:1~2:1の範囲である、[1]に記載の組成物。
[3]
前記組成物の0.05重量%~8重量%の範囲のフェニルシルセスキオキサンを更に含む、[1]に記載の組成物。
[4]
前記ポリ(メチルシルセスキオキサン)が、1,200Da~4,300Daの重量平均分子量を有する、[1]に記載の組成物。
[5]
平坦化組成物を製造するための方法であって、
500Da~5,000Daの重量平均分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂を提供することと、
1つ又は2つ以上の溶媒を提供することと、
前記1つ又は2つ以上の溶媒に前記ポリ(メチルシルセスキオキサン)樹脂を溶解して、ポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液を形成することと、
前記ポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液に第四級アンモニウム塩及びアミノプロピルトリエトキシシラン塩のうちの少なくとも1つを溶解して、前記平坦化組成物を形成することと、を含む、方法。
[6]
前記もう1つの溶媒を提供することが、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びn-ブチルアセテートと、を一緒にブレンドすることを含み、前記プロピレングリコールメチルエーテルアセテートとn-ブチルアセテートとの重量比が、0.5:1~2
:1の範囲である、[5]に記載の方法。
[7]
前記1つ又は2つ以上の溶媒を提供することが、前記プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び前記n-ブチルアセテートと一緒に高沸点溶媒をブレンドすることを更に含み、前記高沸点溶媒は154℃~274℃の範囲の沸点を有する、[6]に記載の方法。
[8]
フェニルシルセスキオキサンを提供することと、
前記フェニルシルセスキオキサンを溶媒中に溶解して、フェニルシルセスキオキサン溶液を形成することと、
前記フェニルシルセスキオキサン溶液を、前記ポリ(メチルシルセスキオキサン)溶液とブレンドして、前記平坦化組成物を形成することと、を更に含む、[5]に記載の方法。
[9]
半導体デバイス用の平坦化フィルムであって、
500Da~5,000Daの重量平均分子量を有するポリ(メチルシルセスキオキサン)ポリマー鎖から形成された硬化ポリ(メチルシルセスキオキサン)を含む、半導体デバイス用の平坦化フィルム。
[10]
第四級アンモニウム塩及びアミノプロピルトリエトキシシラン塩のうちの少なくとも1つの残渣を更に含む、[9]に記載の平坦化フィルム。
図1
図2
図3
図4
図5