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特許7289953ガス検体について監視するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】ガス検体について監視するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/14 20060101AFI20230605BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20230605BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20230605BHJP
   G01N 27/12 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
G08B21/14
G08B17/10 F
G08B25/00 510F
G01N27/12 A
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022039551
(22)【出願日】2022-03-14
(62)【分割の表示】P 2018567063の分割
【原出願日】2017-07-25
(65)【公開番号】P2022091816
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】62/454,516
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/637,381
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519336805
【氏名又は名称】ネクセリス イノベーション ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カミングス,ステファン ランダール
(72)【発明者】
【氏名】スワーツ,スコット ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】フランク,ニコラス ブラニガン
(72)【発明者】
【氏名】ドーソン,ウィリアム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,デヴィオン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ガリー,ベンジャミン エイチ.
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-161169(JP,A)
【文献】特開平10-247527(JP,A)
【文献】特開2007-304086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0229294(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0200475(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101047272(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0092066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-31/00
G01N 27/12
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視システムがガス検体を監視する方法であって、
ガス検体の放出についてガス供給源を監視することと、
前記ガス供給源によって放出される前記ガス検体の量を特徴付ける第1センサ信号を生成することと、
周辺ガスについて周辺環境を監視することと、
前記周辺環境内に存在している前記周辺ガスの量を特徴付ける第2センサ信号を生成することと、
前記第1センサ信号に基づく第1の平均化されたセンサ信号に対する前記第1センサ信号の百分率変化に基づいて第1センサ出力を決定することと、
前記第2センサ信号に基づく第2の平均化されたセンサ信号に対する前記第2センサ信号の百分率変化に基づいて第2センサ出力を決定することと、
前記第1センサ出力及び前記第2センサ出力の差を閾値と比較することと、
前記比較の結果に基づいてアラート信号を生成することと、
を有する方法。
【請求項2】
所与の期間において第1ガスセンサにおいて生成された前記周辺環境内のガスの量を特徴付ける1つ又は複数の監視ベースラインセンサ信号を受け取ること、
前記所与の期間において第2ガスセンサにおいて生成された前記周辺環境内のガスの量を特徴付ける1つ又は複数の基準ベースラインセンサ信号を受け取ることであって、前記所与の期間における前記周辺環境は、前記周辺ガス及び前記ガス検体を実質的に有してはいないこと、
を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の監視ベースラインセンサ信号のスロープをスロープ閾値と比較することと、
前記スロープ閾値超のスロープを有する前記1つ又は複数の監視ベースラインセンサ信号の移動平均(MA)値を求めて第1MAベースラインを決定することと、
前記1つ又は複数のベースライン基準センサ信号の移動平均(MA)値を求めて第2MAベースラインを決定することと、
を更に有し、
前記第1センサ信号に基づく前記第1の平均化されたセンサ信号に対する前記第1センサ信号の前記百分率変化に基づいて前記第1センサ出力を決定することは、前記第1センサ信号と前記第1MAベースラインとの間の監視されたセンサ差に基づいて、且つ、更には、前記第1MAベースラインに基づいて、前記第1MAベースラインに対する百分率変化応答を決定することを有し、且つ、
前記第2センサ信号に基づく前記第2の平均化されたセンサ信号に対する前記第2センサ信号の前記百分率変化に基づいて前記第2センサ出力を決定することは、前記第2センサ信号と前記第2MAベースラインとの間の基準センサ差に基づいて、且つ、更には、前記第2MAベースラインに基づいて、前記第2MAベースラインに対する百分率変化応答を決定することを有する請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1センサ出力及び前記第2センサ出力の差を閾値と比較することは、
前記第1MAベースラインに対する前記百分率変化応答と前記第2MAベースラインに対する前記百分率変化応答の間の差に基づいて全体差センサ信号を生成することと、
前記全体差センサ信号を閾値との関係において比較することと、
を有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ガス供給源を有するエンクロージャと、
監視システムであって、
前記エンクロージャ内におい配置された、且つ、前記ガス供給源によって放出されたガス検体について監視するように構成された、第1ガスセンサ、
前記エンクロージャ内において配置された、且つ、周辺ガスについて周辺環境を監視するように構成された、第2ガスセンサ、
機械可読命令を保存するための一時的ではないメモリ、
前記一時的ではないメモリにアクセスし、且つ、前記機械可読命令を実行するためのプロセッサであって、前記機械可読命令は、前記プロセッサが、
前記ガス供給源によって放出された前記ガス検体の量を特徴付ける第1センサ信号を受け取り、
前記周辺環境内に存在している前記周辺ガスの量を特徴付ける第2センサ信号を受け取り、
前記第1センサ信号に基づく第1の平均化されたセンサ信号に対する前記第1センサ信号の百分率変化に基づいて第1センサ出力を決定し、
前記第2センサ信号に基づく第2の平均化されたセンサ信号に対する前記第2センサ信号の百分率変化に基づいて第2センサ出力を決定し、
前記第1センサ出力及び前記第2センサ出力の差を閾値と比較し、且つ、
前記比較の結果に基づいてアラート信号を生成する、
ようにする、プロセッサ、
を有する監視システムと、
を有するシステム。
【請求項6】
前記機械可読命令は、前記プロセッサが、更に、
所与の期間において第1ガスセンサにおいて生成された前記周辺環境内のガスの量を特徴付ける1つ又は複数の監視ベースラインセンサ信号を受け取り、
前記所与の期間において第2ガスセンサにおいて生成された前記周辺環境内のガスの量を特徴付ける1つ又は複数の基準ベースラインセンサ信号を受け取る、
ようにし、
前記所与の期間における前記周辺環境は、前記周辺ガス及び前記ガス検体を実質的に有してはいない、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記機械可読命令は、前記プロセッサが、更に、
前記1つ又は複数の監視ベースラインセンサ信号のスロープをスロープ閾値と比較し、
前記スロープ閾値超のスロープを有する前記1つ又は複数の監視ベースラインセンサ信号の移動平均(MA)値を求めて第1MAベースラインを決定し、
前記1つ又は複数のベースライン基準センサ信号の移動平均(MA)値を求めて第2MAベースラインを決定する、
ようにし、
前記第1センサ信号に基づく前記第1の平均化されたセンサ信号に対する前記第1センサ信号の前記百分率変化に基づいて前記第1センサ出力を決定することは、前記第1センサ信号と前記第1MAベースラインとの間の監視されたセンサ差に基づいて、且つ、更には、前記第1MAベースラインに基づいて、前記第1MAベースラインに対する百分率変化応答を決定することを有し、且つ、
前記第2センサ信号に基づく前記第2の平均化されたセンサ信号に対する前記第2センサ信号の前記百分率変化に基づいて前記第2センサ出力を決定することは、前記第2センサ信号と前記第2MAベースラインとの間の基準センサ差に基づいて、且つ、更には、前記第2MAベースラインに基づいて、前記第2MAベースラインに対する百分率変化応答を決定することを有する請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1センサ出力及び前記第2センサ出力の差を閾値と比較することは、
前記第1MAベースラインに対する前記百分率変化応答と前記第2MAベースラインに対する前記百分率変化応答の間の差に基づいて全体差センサ信号を生成することと、
前記全体差センサ信号を閾値との関係において比較することと、
を有する請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府のライセンス権
本発明の一部分は、海軍省契約番号第N00024-15-C-4002号の下において、政府の支援によって実施されたものである。政府は、本発明における一定の権利を保有している。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月29日付けで出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR MONITORING FOR A GAS ANALYTE」という名称の米国特許出願第15/637,381号、2016年6月29日付けで出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR ANALYTE DETECTION AND CONTROL」という名称の米国仮特許出願第62/356,111号、並びに、2017年2月3日付けで出願された「SYSTEMS INCLUDING AN ENERGY STORAGE ENCLOSURE AND MONITORING THEREOF」という名称の米国仮特許出願第62/454,516号の利益を主張するものであり、これらの特許文献の内容は、引用により、本明細書に包含される。
【0003】
技術分野
本開示は、一般に、ガス検体について監視するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
多くの用途において、望ましくない及び/又は危険なガスが周辺環境に放出される潜在性が存在している。これらのガスの結果として生じる増大する危険に対して迅速に反応する能力が必要とされており、その理由は、特定のガスは、周辺の環境及び人間の生命に対して影響を及ぼしうることが知られているからである。この影響は、壊滅的なものとなる可能性を有しており、且つ、システム障害、機械障害、プラント障害、装置障害、爆発、火災、並びに、いくつかの例においては、死亡さえも、もたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電池は、危険なガスが周辺環境に対して有しうる危険に寄与することが知られている。例えば、電池が劣化を開始した際に、電池は、「熱暴走」と呼称される状態の影響を受けやすくなる可能性がある。チェックされない状態で放置された場合に、この状態は、電池の漏れ及び/又は爆発をもたらしうる。熱暴走は、電池(例えば、電池のセル)内の短絡、不適切な電池の使用法、物理的な乱用、製造上の欠陥、又は極端な外部温度に対する電池の曝露によって始まる可能性がある。熱暴走は、引き出されうるものよりも多くの熱を生成しうるポイントまで電池の内部反応レートが増大した際に、発生し、これにより、内部反応レート及び生成される熱の両方における更なる増大をもたらす。
【0006】
熱暴走状態の影響は、電池タイプに依存しうる。例えば、鉛酸蓄電池などの注液式電解質電池においては、熱暴走状態は、水素の放出を引き起こし、その結果、危険なガスが周辺環境に漏出する事態に至りうる。ラップトップ、セル電話機、及びこれらに類似したものなどの装置内において使用されうる、パウチ型のリチウムイオン電池などの、封止型の電池においては、熱暴走状態は、膨張を引き起こす可能性があり、その結果、封止型電池の爆発及び危険な電解質ガスの周辺環境への放出をもたらしうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
一例においては、方法は、ガス検体についてガス供給源を監視することを含むことができる。方法は、ガス供給源から放出されるガス検体の量を特徴付けるセンサ信号を生成することを更に含むことができる。方法は、センサ信号を受け取り、且つ、閾値との関係においてセンサ信号を評価することを更に含むことができる。方法は、評価の結果に基づいてアラート信号を生成することを更に含むことができる。
【0008】
別の例においては、システムは、ガス供給源を収容するエンクロージャと、監視システムと、を含むことができる。監視システムは、エンクロージャ内において配置されうると共にガス供給源によって放出されたガス検体について監視するように構成されうるガスセンサを含むことができる。監視システムは、機械可読命令を保存するための一時的ではないメモリと、メモリにアクセスすると共に機械可読命令を実行するためのプロセッサと、を更に含むことができる。機械可読命令は、プロセッサが、ガス供給源によって放出されたガス検体の量を特徴付ける、ガスセンサによって生成されたセンサ信号を受け取り、閾値との関係においてセンサ信号を評価し、且つ、評価の結果に基づいてアラート信号を生成するようにすることができる。
【0009】
更なる一例においては、方法は、ガス検体の放出についてガス供給源を監視すること、及びガス供給源によって放出されたガス検体の量を特徴付ける第1センサ信号を生成すること、を含むことができる。方法は、周辺ガスについて周辺環境を監視すること、及び周辺大気中に存在している周辺ガスの量を特徴付ける第2センサ信号を生成すること、を更に含むことができる。方法は、第1平均化センサ信号との関係における第1センサ信号の百分率変化に基づいて第1センサ出力を判定すること、及び第2平均化センサ信号との関係における第2センサ信号の百分率変化に基づいて第2センサ出力を判定すること、を更に含むことができる。方法は、第2センサ出力との関係において第1センサ出力を評価すること、及び評価の結果に基づいてアラート信号を生成すること、を更に含むことができる。
【0010】
別の例においては、システムは、ガス供給源を収容するエンクロージャと、監視システムと、を含むことができる。監視システムは、エンクロージャ内において配置されうると共にガス供給源によって放出されるガス検体について監視するように構成されうる第1ガスセンサを含むことができる。監視システムは、エンクロージャ内において配置されると共に周辺ガスについて周辺環境を監視するように構成されうる第2ガスセンサを更に含むことができる。監視システムは、機械可読命令を保存するための一時的ではないメモリと、メモリにアクセスすると共に機械可読命令を実行するためのプロセッサと、を更に含むことができる。機械可読命令は、プロセッサが、ガス供給源によって放出されたガス検体の量を特徴付ける第1センサ信号を受け取り、且つ、周辺大気中に存在している周辺ガスの量を特徴付ける第2センサ信号を受け取るようにすることができる。機械可読命令は、プロセッサが、第1平均化センサ信号との関係における第1センサ信号の百分率変化に基づいて第1センサ出力を判定し、且つ、第2平均化センサ信号との関係における第2センサ信号の百分率変化に基づいて第2センサ出力を判定するように更にすることができる。機械可読命令は、プロセッサが、第2センサ出力との関係において第1センサ出力を評価し、且つ、評価の結果に基づいてアラート信号を生成するように、更にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
図1】ガス検体監視システムの一例を示す。
図2】時間の関数としてプロットされたガス検体によって生成されたセンサ信号を示すグラフの一例を示す。
図3】別のガス検体監視システムの一例を示す。
図4】エンクロージャの一例を示す。
図5】エンクロージャの更なる例を示す。
図6】エンクロージャの別の例を示す。
図7】エンクロージャの更なる例を示す。
図8】ガス検体についてガス供給源を監視する例示用の方法を示すフロー図の一例を示す。
図9】ガス検体についてガス供給源を監視する例示用の方法を示すフロー図の別の例を示す。
図10】ガス検体についてガス供給源を監視する例示用の方法を示すフロー図の更なる例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本開示は、一般に、ガス検体について監視するシステム及び方法に関する。いくつかの例においては、ガス供給源は、電池を含むことが可能であり、且つ、ガス検体は、オフガス(off-gas)である。従って、本明細書において記述されているシステム及び方法は、電池のオフガスについて監視することができる。例は、本明細書においては、電池のオフガスの状態の監視に関係するものとして記述されているが、本明細書において記述されているシステム及び方法は、ガス供給源を含む任意の環境において実装されうることを理解されたい。例えば、環境は、限定を伴うことなしに、安全環境、研究室などの試験環境、データセンタなどのストレージ環境、燃焼システムなどの産業環境、商業環境、居住環境、軍事環境、車両などの輸送環境、商業及び居住装置及び/又は機器などの製品、或いは、これらに類似した環境を含みうる。従って、本開示の範囲は、本明細書において記述されている特定の例に限定されるものではない。
【0013】
本明細書において使用されている「ガス検体」という用語は、ガス供給源によって放出及び/又は生成されるガスを意味しうる。従って、「ガス検体」という用語は、漏洩ガス、オフガス、化学反応のガス副産物、或いは、これらに類似したものを含みうる。ガス検体は、揮発性電解質溶剤、電池の電解質混合物の揮発性成分、或いは、これらに類似したものなどの、電解質ガスを含みうる。揮発性電解質種は、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、又はこれらに類似したものを含みうる。これに加えて、ガス検体は、リチウムイオン電池のオフガス、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、エタン、水素、酸素、二酸化窒素、揮発性有機化合物、硫化水素、酸化硫黄、アンモニア、塩素、プロパン、オゾン、エタノール、炭化水素、シアン化水素、燃焼可能ガス、可燃性ガス、有毒ガス、腐食ガス、酸化ガス、還元ガス、又はこれらに類似したものを含みうる。
【0014】
一例においては、ガス供給源は、電池を含むことができる。本明細書において記述されているシステム及び方法は、ガス検体について電池を監視するように実装することができる。その製品寿命にわたって、電池は、漸進的に劣化する可能性があり、その結果、容量、サイクル寿命、及び安全性が低下しうる。劣化した電池は、ガスを放出する可能性があり、本明細書においては、このガスを「ガス検体」と呼称する場合がある。ガス検体は、充電サイクル又は放電サイクルなどのサイクル状態において、電池によって放出されうる。電池の劣化の1つ又は複数の原因は、不適切な電池の使用法、物理的な乱用、製造上の欠陥、極端な外部温度に対する電池の曝露、過充電、又はこれらに類似したものを含みうる。本明細書において記述されているシステム及び方法は、熱暴走状態の早期の警告を提供するべく、サイクル状態においてガス検体を検出することができる。一例においては、早期の警告は、可聴アラーム、視覚的アラーム、消火、その他のシステム及びユーザーとの間の通信を含みうる。サイクル状態において検出されるガス検体は、電池が熱暴走のリスクを有しうるという警告として解釈することができる。早期の警告を提供することにより、熱暴走状態に応答して発生しうる火災、爆発、及び負傷を大幅に軽減することができる。
【0015】
更には、早期の警告を提供することにより、電池の動作限度を大幅に延長することが可能であり、且つ、さもなければ生じる頻繁なハイパワー放電又は小さな放電深度などの「乱用的」サービスではなく、高価値の貨幣化が可能となる。これに加えて、産業標準である80%の容量を超えた寿命の延長が可能である。本明細書において記述されているシステム及び方法は、制御の改善及び全体的な電池システム費用の低減などの、実質的な利益を提供することができる。更には、本明細書において記述されているシステム及び方法は、任意のタイプの電池ガス検体を監視するように構成することができる。従って、本明細書において記述されているシステム及び方法は、リチウムイオン電池、鉛酸蓄電池、又はこれらに類似したものを監視するべく、使用することができる。
【0016】
本明細書において記述されているシステム及び方法は、電池エンクロージャなどの、複数のエンクロージャを有するように構成することができる。従って、本明細書において記述されているシステム及び方法は、電池エンクロージャ内において配置された1つ又は複数の電池によって放出されるガス検体について監視するべく、使用することができる。本明細書において使用されている「電池エンクロージャ」という用語は、1つ又は複数の電池を部分的にカプセル化しうる任意のハウジングを意味している。一例においては、エンクロージャは、換気型のエンクロージャ又は非換気型のエンクロージャを含むことができる。換気型のエンクロージャは、吸気口及び排気口を含みうる換気システムを含むことができる。更なる例においては、エンクロージャは、電池保存キャビネット、出荷コンテナ、又は電池ラックを含みうる。
【0017】
更には、本明細書において使用されている「プロセッサ」という用語は、コンピュータ、コントローラ、集積回路(IC:Integrated Circuit)、マイクロチップ、又はロジックを実装する能力を有する任意のその他の装置などの、機械可読命令を実行する能力を有する任意の装置を意味しうる。本明細書において使用されている「メモリ」という用語は、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)、不揮発性メモリ(例えば、ハードディスクドライブ、半導体ドライブ、フラッシュメモリ、又はこれらに類似したもの)、或いは、これらの組合せなどの、一時的ではないコンピュータストレージ媒体を意味しうる。
【0018】
例は、本明細書においては、半導体ガスセンサと関連するものとして記述されているが、化学-抵抗センサ、電気化学センサ、半導体金属酸化物センサ、触媒センサ、熱伝導度センサ、金属酸化物半導体、電位差計測センサ、光センサ、赤外線(IR:InfraRed)センサ、電流計測センサ、又はこれらに類似したものなどの、任意のタイプのガスセンサが使用されうることを理解されたい。非限定的な例においては、Nexceris, LLCによって提供されているNTM SenseH2(登録商標)又はNTM SenseH2(登録商標)-Rセンサなどの、水素センサを使用することができる。
【0019】
更には、本明細書においては、ガスセンサの例が記述されているが、その他のセンサも使用されうることを理解されたい。従って、本明細書において記述されているシステム及び方法は、ガス監視以外のその他のタイプの監視用途にも等しく適用可能であることを理解されたい。これらのセンサは、温度センサ、圧力センサ、近接性センサ、高度センサ、湿度センサ、放射センサ、煙センサ、導電度センサ、pHセンサ、加速度計、速度センサ、レーダー、ドップラーレーダー、レベルセンサ、ソナーセンサ、ラムダセンサ、又はこれらに類似したものを含みうる。一例として、本明細書において記述されているシステム及び方法は、環境状態(例えば、温度、圧力、近接性、高度、湿度、放射、煙、導電度、pH、加速度、速度、距離、速さ、動き、液体や酸素レベルなどのレベル、並びに、これらに類似したもの)の変化について監視することが可能であり、環境状態の変化を特徴付けるセンサ信号を生成することが可能であり、センサ信号を(例えば、プロセッサにおいて)受け取ることが可能であり、閾値との関係においてセンサ信号を評価することが可能であり、且つ、評価の結果に基づいてアラート信号を生成することができる。従って、本明細書において記述されているシステム及び方法は、ガス監視のものを超えた広い適用可能性の範囲を有することができる。
【0020】
図1は、ガス検体についてガス供給源102を監視するように構成されうる監視システム100の一例を示している。一例においては、ガス供給源102は、電池を含むことができる。システム100は、ガスセンサ104を含むことができる。ガスセンサ104は、ガスセンサ104がガス供給源102のガス検体検知範囲内に位置するように、ガス供給源102との関係において位置決めすることができる。例えば、ガス供給源102が、エンクロージャ(又は、別のシステム)(図1には示されていない)内において配置されている場合に、ガスセンサ104は、エンクロージャ(又は、その他のシステム)内において、且つ、ガス供給源102のガス検体検知範囲内において、位置決めすることができる。別の例においては、エンクロージャは、電池が周辺環境から封止されるように、封止型の電池エンクロージャであってもよい。ガスセンサ104は、ガス検体についてガス供給源102を監視するように構成することができる。ガス供給源102内のガス検体は、ガス供給源102がガス検体を放出中でありうるガス供給源102の状態に関係付けられうる。
【0021】
ガスセンサ104は、半導体ガスセンサを含むことができる。一例においては、ガスセンサ104は、半導体ガスセンサであってもよい。半導体ガスセンサは、共通物質(common material)を含むことができる。共通物質は、二酸化すず又はこれに類似したものを含むことができる。共通物質の電気抵抗値は、百万分の1(ppm:parts-per-million)を単位として計測されるガスが共通物質との接触状態となった際に、減少しうる。いくつかの例においては、共通物質の電気抵抗値は、ガスが共通物質と接触状態となった際に増大しうる。ガスセンサ104は、共通物質内の電気抵抗値の変化を検出すると共にガスの所与の量を表す信号を生成するように構成されうる1つ又は複数の更なるコンポーネント(図1には示されていない)を含むことができる。
【0022】
ガスセンサ104は、ガス供給源102によって放出されたガス検体の量を特徴付けるセンサ信号を生成するように構成することができる。センサ信号は、共通物質の所与の電気抵抗値に基づいて生成することができる。例えば、電池の1つ又は複数の電池状態において、ガスセンサ104は、電池によって放出されたガス検体の量を特徴付ける1つ又は複数のセンサ信号を生成するように、構成することができる。1つ又は複数の電池状態は、充電状態と、放電状態と、を含みうる。健全な電池は、充電及び/又は放電している間には、実質的にガス検体を放出することができない。電池の健全性は、時間とともに劣化を開始しうることから、電池は、充電及び/又は放電している間に、ガス検体に対応するガス種を放出しうる。
【0023】
システム100は、プロセッサ106を更に含むことができる。プロセッサ106は、データ及び機械可読命令を保存するためのメモリ108を含むことができる。或いは、この代わりに、メモリ108は、図1に示されているように、プロセッサ106の外部に位置することもできる。プロセッサ106は、メモリ108にアクセスすると共にメモリ108内において保存されている機械可読命令を実行するように、構成することができる。一例においては、プロセッサ106は、本明細書において記述されている1つ又は複数の方法を実行するべく、メモリ108にアクセスすると共に機械可読命令を実行するように、構成することができる。例えば、プロセッサ106は、ガス供給源102によって放出されたガス検体の量を特徴付ける1つ又は複数のセンサ信号を受け取るように、構成することができる。プロセッサ106は、1つ又は複数の閾値レベル(帯域)に従って1つ又は複数のセンサ信号を分析するように、更に構成することができる。1つ又は複数の帯域は、ガスセンサ104によって生成されるセンサ信号が監視システム100の既知のベースラインを上回る有意な量だけ変化した際の判定を提供するべく、使用することができる。既知のベースラインは、例えば、ガス供給源102の所与のガス供給源状態においてガスセンサ104によって生成される1つ又は複数のセンサ信号の関数でありうる。
【0024】
1つ又は複数の帯域は、N個のサンプルの移動平均(MA:moving average)を含むことが可能であり、この場合に、Nは、1超の整数であり、上部帯域は、移動平均を上回る、KにN個のサンプルの標準偏差を乗算したものにおいて位置しており(MA+Kα)、この場合に、Kは、1超の数値であり、且つ、下部帯域は、移動平均を下回る、KにN個のサンプルの標準偏差を乗算したものに位置している(MA-Kα)。N個のサンプルのMAは、N個のサンプルを合計し、且つ、合計をNによって除算することにより、算出することができる。一例においては、K及びNパラメータは、ユーザー定義可能なパラメータであってもよい。Kパラメータは、ボラティリティ係数に対応しうる。パラメータ「α」は、1つ又は複数のセンサ信号のN個のサンプルの標準偏差に対応しうる。
【0025】
一例においては、K及びNパラメータは、ガスセンサ104によって生成される所与のセンサ信号におけるノイズについて補償するべく、設定することができる。プロセッサ106は、本明細書において記述されているように、アクション可能なイベントからノイズを弁別するように構成することができる。アクション可能なイベントは、可聴アラート、視覚的アラート、消火、安全システムなどの別のシステムとの間の通信、又はこれらに類似したものを含むことができる。更なる一例においては、K及びNパラメータは、所与のセンサ信号内においてエラーを導入しうる温度変動、湿度変動、これらの両方、或いは、これらに類似したものなどの外部要因について補償するべく、設定することができる。これに加えて、又はこの代わりに、K及びNパラメータは、ガスセンサ104の物理的特性によって生成されうる所与のセンサ信号内のエラーについて補償するべく、設定することができる。例えば、K及びNパラメータは、ガスセンサのドリフトについて補償するべく、設定することができる。K及びNパラメータは、ドリフトが所与のセンサ信号に導入されるようにしうるガスセンサ104の物理的特性の変化が実質的に軽減されうるように、ガスセンサ104の動作寿命において、調節することができる。従って、K及びNパラメータを調節することにより、ガスセンサ104によって生成される所与のセンサ信号におけるドリフトエラーを大幅に軽減することができる。
【0026】
システム100のガス検体ベースラインを定義することができる。ガス検体ベースラインは、所定の期間にわたってガス供給源102によって放出されるガス検体の量を特徴付けることができる。所定の期間は、ガス供給源102と関連する1つ又は複数のガス供給源状態と関係付けられうる。1つ又は複数のガス供給源状態は、ガス放出状態と、非ガス放出状態と、を含むことができる。従って、ガス放出状態においては、供給源102は、ガス検体を放出中でありうる。電池の例において、電池が健全な状態にある間に、サイクル状態において電池によって放出されるガス検体の量を特徴付けるように、システム100の電池ガス検体ベースラインを定義することができる。健全な電池は、ガス検体を実質的に放出することができない。
【0027】
ガスセンサ104は、1つ又は複数のベースラインセンサ信号を生成するように構成することができる。プロセッサ106は、MA閾値を判定するべく、MAを1つ又は複数のベースラインセンサ信号に適用するように更に構成することができる。1つ又は複数のベースラインセンサ信号のMAは、1つ又は複数のベースラインセンサ信号を合計し、且つ、合計をNによって除算することにより、算出することが可能であり、この場合に、Nは、1つ又は複数のベースラインセンサ信号の数である。プロセッサ106は、MA閾値を上回る、Kに1つ又は複数のセンサ信号の標準偏差を乗算したもの、において位置している上部帯域閾値を判定するように、更に構成することができる。プロセッサ106は、MA閾値を下回る、Kに1つ又は複数のベースラインセンサ信号の標準偏差を乗算したもの、において位置している下部帯域閾値を判定するように、更に構成することができる。
【0028】
これに加えて、又はこの代わりに、プロセッサ106は、(例えば、所与の百分率範囲及び/又はゼロの値範囲内の)実質的にゼロに等しい値を有するN個のサンプルの標準偏差によって生成されうる偽陽性イベントについて補償するべく、感度閾値を判定するように構成することができる。例えば、N個のサンプルの標準偏差が実質的にゼロである際には、監視システム100は、誤った応答を生成する可能性がある。偽陽性イベントは、ガスセンサ104が、非ガス検体関係応答(例えば、ガス供給源102によって放出されたガス検体に基づいてはいない応答)を生成するようにしうる1つ又は複数のイベントを含みうる。本明細書において記述されている更なる偽陽性イベントは、ガスセンサが、対応しているガス供給源によって放出されるもの以外の1つ又は複数のガス(或いは、検体)に基づいて信号応答を生成するようにしうるイベントを含みうる。感度閾値は、MAと、最小感度MSと基準の間の差値と、の関数であってもよい。例えば、感度閾値は、MA*(1-MS)という式によって定義することができる。最小感度MSは、ユーザー定義可能であってもよい。
【0029】
プロセッサ106は、最大値を有する閾値を識別するべく、感度閾値を上部帯域閾値と下部帯域閾値のうちの1つとの関係において比較するように、更に構成することできる。最大値を有する閾値は、本明細書において記述されているアラート閾値として使用することができる。感度閾値を帯域閾値との関係において比較することにより、MA閾値から十分に分離されうる所与のアラート閾値を確立することができる。N個のサンプルの標準偏差がゼロに実質的に等しい値を有する際には、対応する閾値は、MA閾値の実質的に近傍に位置することが可能であり、この結果、偽陽性イベントが生成されうる。但し、感度閾値を帯域閾値との関係において比較することにより、例えば、MA閾値とアラート閾値の間の十分な分離を提供すれば、偽陽性イベントを大幅に軽減することができる。
【0030】
プロセッサ106は、ガス供給源102のガス放出状態においてガス検体について監視し、且つ、所定の時点において、ガス供給源102によって放出されるガス検体の量を特徴付ける監視センサ信号を生成するように、更に構成することができる。電池の例においては、電池の健全性が劣化を開始しうることから、電池は、ガス検体を放出しうる。ガス検体は、サイクル状態において検出することが可能であり、且つ、電池が熱暴走のリスクを有するという警告として解釈することができる。ガスセンサ104は、サイクル状態においてガス検体について監視し、且つ、所定の時点において、電池によって放出されるガス検体の量を特徴付ける監視センサ信号を生成するように、構成することができる。プロセッサ106は、監視センサ信号を受け取るように更に構成することができる。プロセッサ106は、監視センサ信号をアラート閾値との関係において比較するように更に構成することができる。プロセッサ106は、比較の結果に基づいてアラート信号110を生成するように更に構成することができる。
【0031】
例えば、プロセッサ106は、監視センサ信号を感度閾値及び下部帯域閾値のうちの1つとの関係において比較するように構成することができる。プロセッサ106は、監視センサ信号が感度閾値及び下部帯域閾値のうちの1つ以下であることに応答してアラート信号110を生成するように、構成することができる。或いは、この代わりに、プロセッサ106は、監視センサ信号を感度閾値及び上部帯域閾値のうちの1つとの関係において比較するように構成することができる。プロセッサ106は、監視センサ信号が感度閾値及び上部帯域閾値のうちの1つ以上であることに応答してアラート信号110を生成するように、構成することができる。
【0032】
プロセッサ106は、ガス供給源102のガス放出状態においてガス検体について監視し、且つ、対応する期間においてガス供給源102によって放出されるガス検体の量を特徴付ける複数の監視センサ信号を生成するように、更に構成することができる。プロセッサ106は、バッファ閾値未満である複数の監視センサ信号の数を判定するべく、複数の監視センサ信号を評価するように構成することができる。バッファ閾値は、監視システム100における偽陽性イベントについて補償することができる。バッファ閾値は、アラート信号の生成に必要とされる監視センサ信号の数を識別する値に対応しうる。プロセッサ106は、本明細書において記述されているように、複数の監視センサ信号のうちの直近の監視センサ信号をアラート閾値との関係において比較し、且つ、比較の結果に基づいてアラート信号110を生成するように、構成することができる。
【0033】
プロセッサ106は、時間に伴って監視センサ信号に基づいてアラート閾値を更新するように更に構成することができる。プロセッサ106は、所与の監視センサ信号が現時点のアラート閾値と交差することに応答して、所与の監視センサ信号をアラート閾値として保持する(例えば、ラッチする)ように構成することができる。従って、プロセッサ106は、MA計算を停止することが可能であり、且つ、アラート閾値を更新することができる。プロセッサ106は、本明細書において記述されているように、所与の監視センサを更新済みのアラート閾値との関係において比較し、且つ、比較の結果に基づいてアラート信号110を生成するように、更に構成することができる。
【0034】
プロセッサ106は、1つ又は複数のシステムが1つ又は複数の先制的な対策をとるようにするべく、アラート信号110を1つ又は複数のシステムに送信するように更に構成することができる。1つ又は複数の先制的な対策は、自動的なシャットダウン(例えば、システム、装置、電池など)、消火器制御装置の起動、可聴アラーム、保守警告、テキストメッセージ、電子メール、又はこれらに類似したものを含みうる。電池の例においては、サイクル状態において検出されたガス検体は、電池が熱暴走のリスクを有しうるという警告として解釈することができる。早期の警告を提供することにより、熱暴走状態に応答して生成されうる火災、爆発、及び負傷を大幅に軽減することができる。従って、監視システム100は、生成段階において熱暴走状態を検出することができる。従って、生成段階において熱暴走シナリオを検出することにより、危険な状態及び電池に対する損傷を防止するべく、予防対策を実装することができる。
【0035】
図2は、時間の関数としてプロットされたガス検体によって生成されたセンサ信号202を示すグラフ200の一例を示している。センサ信号202は、ガス検体状態についてガス供給源(例えば、ガス供給源102)を監視するように構成されうるガスセンサ(例えば、図1に示されているガスセンサ104)によって生成することができる。グラフ200は、水平軸204と、垂直軸206と、を含みうる。水平軸204は、時間に対応することが可能であり、且つ、本明細書においては、時間軸206と呼称されうる。垂直軸206は、時間に伴ってガスセンサによって生成されるセンサ信号の大きさに対応することが可能であり、且つ、本明細書においては、大きさ軸206と呼称されうる。大きさ軸206の第1の大きさ208は、上部帯域閾値に対応することが可能であり、大きさ軸206の第2の大きさ210は、MA閾値に対応することが可能であり、且つ、大きさ軸206の第3の大きさ212は、下部帯域閾値に対応しうる。代替例においては、第3の大きさ212は、感度閾値に対応することが可能であり、第1の大きさ208は、上部帯域閾値に対応することが可能であり、且つ、第2の大きさ210は、MA閾値に対応しうる。
【0036】
グラフ200は、第1範囲214を更に含むことができる。第1範囲214は、ガス供給源が非ガス放出状態などの所与の状態にある、時間軸206上の期間を表すことができる。電池の例においては、第1範囲214は、電池が健全な状態にありうる、且つ、従って、ガス検体を実質的に放出中ではない状態でありうる、時間軸206上の期間を表すことができる。図2に示されているように、第1範囲214においては、ガスセンサによって生成されたセンサ信号202は、大きさ軸206の第2の大きさ210の実質的に近傍に位置しうる。グラフ200は、遷移イベント216を更に含むことができる。遷移イベント216は、ガス供給源がガス放出状態などの別の状態に遷移中でありうる時点に対応している。従って、遷移イベントにおいて、ガス供給源は、ガス検体を放出中でありうる。電池の例においては、遷移イベントは、電池がガス検体を放出することを開始しうる時点に対応している。更なるガス検体が第1範囲214においてガス供給源によって放出されるのに伴って、ガス供給源によって放出されるガス検体の量に基づいてガスセンサによって生成されるセンサ信号202は、図2に示されているように、大きさ軸206の第3の大きさ212に向かって減少を開始しうる。
【0037】
グラフ200のアラートイベント218において、センサ信号220の大きさは、第3の大きさ212と実質的に等しい状態となりうる。アラートイベント216は、ガス供給源が相当な量のガス検体を放出中でありうる時点に対応しうる。相当な量のガス検体は、本明細書においては、望ましくない量のガス検体及び/又は危険な量のガス検体と呼称される場合がある。電池の例においては、アラートイベント218は、電池が、相当な量のガス検体を放出中でありうる時点に対応しうる。これは、熱暴走リスクとして解釈することができる。アラートイベント216においては、望ましくない及び/又は危険な量のガスがガス供給源によって放出されつつあるという早期の警告を提供するべく、アラート(例えば、図1に示されているアラート信号110)を(例えば、図1に示されているプロセッサ106によって)生成することができる。電池の例においては、アラートは、電池が熱暴走のリスクを有するという早期の警告を提供することができる。
【0038】
グラフ200は、第2範囲220を更に含むことができる。第2範囲220は、ガス供給源が、ガス放出状態などの、その他の状態にある、時間軸206上の期間を表すことができる。第2範囲220においては、1つ又は複数の危険リスクが生じる可能性があり、これは、チェックされない状態に放置された場合には、周囲の環境及び/又はガス供給源に対する損傷を結果的にもたらす可能性がある。アラートイベント216において早期の警告を提供することにより、1つ又は複数の危険なリスクを軽減するべく、先制的なアクションをとることができる。電池の例においては、第2範囲220は、電池が劣化した状態にある、時間軸206上の期間を表しうる。電池が劣化した状態における動作を継続した場合には、電池は、熱暴走を経験する可能性があり、これは、電池又は周辺外部環境に対する損傷をもたらしうる。アラートイベント216において早期の警告を提供することにより、熱暴走のリスクを回避するべく、本明細書において記述されている熱暴走の先制的なアクションをとることができる。
【0039】
図3は、ガス検体についてガス供給源302を監視するように構成されうる監視システム300の一例を示している。一例においては、ガス供給源302は、電池を含むことができる。システム300は、第1ガスセンサ304を含むことができる。第1ガスセンサ304は、第1ガスセンサ304がガス供給源302のガス検知範囲内に位置するように、ガス供給源302との関係において位置決めすることができる。第1ガスセンサ304は、ガス検体状態についてガス供給源302を監視するように構成することができる。ガス検体状態は、ガス供給源302がガス検体を放出中でありうる、ガス供給源302の状態に関係付けられうる。システム300は、第2ガスセンサ306を更に含むことができる。一例においては、第1及び第2ガスセンサ304及び306は、図1に示されているように、ガスセンサ104などの半導体ガスセンサに対応しうる。
【0040】
第2ガスセンサ306は、例えば、周辺環境308内の周辺ガスについて監視するように構成することができる。本明細書において使用されている「周辺環境」という用語は、ガス供給源302の1つ又は複数のガス供給源状態においてガス供給源302によって放出されるガス検体が実質的に存在しない状態において留まりうる空間のエリアを意味しうる。1つ又は複数のガス供給源状態は、ガス放出状態と、非ガス放出状態と、を含むことができる。本明細書において使用されている「周辺ガス」という用語は、第1及び第2ガスセンサ304及び306においてセンサ信号応答を生成しうる任意のガス(又は、検体)を意味している。一例においては、周辺ガスは、塗料及び燃料蒸気を含むことができる。第2ガスセンサ306は、第2ガスセンサ306が、ガス供給源302のガス検体検知範囲内に位置しないように、ガス供給源302との関係において位置決めすることができる。従って、第2ガスセンサ306は、ガス供給源302によって放出されたガス検体に対する感受性を実質的に有していない状態となりうる。このような第1及び第2ガスセンサ304及び306の構成は、本明細書において更に詳細に記述するように、監視システム300内における偽陽性イベントを大幅に軽減することができる。
【0041】
第1ガスセンサ304は、ガス供給源102によって放出されたガス検体の量を特徴付ける第1センサ信号を生成するように構成することができる。第1センサ信号は、第1ガスセンサ304の共通物質の所与の電気抵抗値に基づいて生成することができる。第1ガスセンサ304は、所定の期間にわたってガス供給源302の1つ又は複数のガス供給源状態においてガス検体の量を特徴付ける複数の第1センサ信号を生成するように構成することができる。例えば、充電サイクル及び/又は放電サイクルにおいて、健全な電池は、ガス検体を実質的に放出することができない。電池の健全性は、劣化を開始しうることから、電池は、充電サイクル及び/又は放電サイクルにおいてガス検体に対応するガス種を放出しうる。
【0042】
第2ガスセンサ304は、周辺環境308内の周辺ガスの量を特徴付ける第2センサ信号を生成するように構成することができる。第2センサ信号は、第2ガスセンサ304の共通物質の所与の電気抵抗値に基づいて生成することができる。第2ガスセンサ304は、所定の期間にわたってガス供給源302の1つ又は複数のガス供給源状態において周辺環境内の周辺ガスの量を特徴付ける複数の第2センサ信号を生成するように構成することができる。
【0043】
一例においては、電池は、換気型のエンクロージャ(例えば、図5に示されている電池エンクロージャ502又は図6に示されている電池エンクロージャ602)のハウジング内において配置することができる。第1ガスセンサ304は、電池との関係においてガス経路に沿って換気型エンクロージャ内において下流に(例えば、図5に示されている排気口506又は図6に示されている排気口606などの換気型の電池エンクロージャの排気口において)配置することができる。第2ガスセンサ304は、電池との関係においてガス経路に沿って換気型エンクロージャ内において上流に(例えば、図5に示されている吸気口504又は図6に示されている吸気口604などの換気型電池エンクロージャの吸気口において)配置することができる。
【0044】
換気型エンクロージャ内においては、電池によって生成された熱を除去するべく、吸気口は、周辺ガスを含みうる、周辺環境308内の周辺空気を引き込むように、且つ、周辺空気がガス経路を下って排気口まで流れるようになるように、構成することが可能であり、排気口は、ガスを放出するように構成することができる。周辺空気が、電池が配置されうるガス経路を流れ下ることに伴って、電池によって生成された熱を大幅に除去することにより、電池の動作温度を低減することができる。電池との関係において第1ガスセンサ304を下流に位置決めすることにより、ガス検体がガス経路を下るように流れており、且つ、第1ガスセンサ304の検知範囲内に位置している際に、第1ガスセンサ304は、電池によって放出されたガス検体を検出することができる。但し、第1ガスセンサ304が下流に位置決めされていることから、吸気口によって引き込まれた周辺ガスに起因して、第1ガスセンサ304が、センサ応答を生成する可能性がある。
【0045】
本明細書において記述されている1つ又は複数の方法は、第1及び第2ガスセンサ304及び306の両方によって生成されたセンサ信号に基づいて、周辺ガスに対する監視システム300の感受性を大幅に軽減することができる。従って、本明細書において記述されている1つ又は複数の方法は、監視システム300内における偽陽性イベントを低減することが可能であり、且つ、これにより、熱暴走状態についての誤った警告を低減することができる。偽陽性イベントは、第1ガスセンサ304が、ガス供給源302によって放出されたもの以外のガス(又は、検体)に応答して第1センサ信号を生成するようにしうる1つ又は複数のイベントを含みうる。電池の例においては、偽陽性イベントは、第1ガスセンサ304が、電池が熱暴走のリスクを有するという誤ったアラートを結果的にもたらしうる誤った応答を生成するようにする可能性がある。誤ったアラートは、電池が熱暴走のリスクを有しえないにも拘らず、熱暴走防止対策が実装されるという結果をもたらしうる。
【0046】
監視システム300は、プロセッサ310を更に含むことができる。プロセッサ310は、データ及び機械可読命令を保存するためのメモリ312を含むことができる。或いは、この代わりに、メモリ312は、図3に示されているように、プロセッサ310の外部に位置することもできる。プロセッサ310は、メモリ312にアクセスすると共にメモリ312内において保存されている機械可読命令を実行するように、構成することができる。
【0047】
一例においては、プロセッサ310は、本明細書において記述されている1つ又は複数の方法を実行するべく、メモリ312にアクセスすると共に機械可読命令を実行するように、構成することができる。プロセッサ310は、偽陽性イベントが監視システム300に対して及ぼしうる影響について補償しうる1つ又は複数の方法を実行するように構成することができる。従って、電池が熱暴走のリスクを有するという誤ったアラートの生成に対する監視システム300の感受性を大幅に軽減することができる。従って、本明細書において記述されている監視システム300は、換気型エンクロージャなどの開放型の電池環境において利用することができる。
【0048】
偽陽性イベントの影響について補償するべく、プロセッサ310は、第1ガスセンサ304及び第2ガスセンサ306によって生成されたセンサ信号の間の任意の部分間可変性について補償するべく、監視システム300のベースライン基準を確立するように構成することができる。例えば、第1ガスセンサ304及び第2ガスセンサ306を所与の期間にわたって周辺ガス及びガス検体の両方が実質的に存在していない周辺空気に曝露させることができる。所与の期間は、1分、1時間、1日、又はこれらに類似したものに対応しうる。プロセッサ310は、所与の期間にわたって第1ガスセンサ304によって生成された1つ又は複数の第1ベースラインセンサ信号及び第2ガスセンサ306によって生成された1つ又は複数の第2ベースラインセンサ信号を受け取るように構成することができる。
【0049】
プロセッサ310は、1つ又は複数の第1ベースラインセンサ信号のスロープを評価するように更に構成することができる。例えば、プロセッサ310は、1つ又は複数の第1ベースラインセンサ信号のうちのそれぞれの信号のスロープを算出すると共に算出されたスロープをスロープ閾値との関係において比較するように、構成することができる。第1ベースラインセンサ信号のスロープがスロープ閾値以上である場合には、本明細書において記述されているように、第1ガスセンサ304内の抵抗値の百分率変化を算出するべく、第1ベースラインセンサ信号を使用することができる。
【0050】
プロセッサ310は、時間MAをセンサ信号に適用することにより、第1及び第2ガスセンサ304及び306の抵抗値の百分率変化を算出するように更に構成することができる。例えば、プロセッサ310は、第1MAベースラインを生成するべく、スロープ閾値超のスロープを有する1つ又は複数の第1ベースラインセンサ信号にMAを適用するように、更に構成することができる。第1MAベースラインを生成するべく、1つ又は複数の第1ベースラインセンサ信号のN個のサンプルを合計することが可能であり、且つ、Nによって除算することが可能であり、この場合に、Nは、1つ又は複数の第1ベースラインセンサ信号の数である。プロセッサ310は、第2MAベースラインを生成するべく、MAを1つ又は複数の第2ベースラインセンサ信号に適用するように、構成することができる。第2MAベースラインを生成するべく、1つ又は複数の第2ベースラインセンサ信号のN個のサンプルを合計することが可能であり、且つ、Nによって除算することが可能であり、この場合に、Nは、1つ又は複数の第2ベースラインセンサ信号の数である。周辺ガスが監視システム300に対して及ぼしうる影響について補償するべく、第1及び第2MAベースラインを使用することができる。
【0051】
第1ガスセンサ304は、1つ又は複数のガス供給源状態においてガス供給源302を監視するように、構成することができる。第1ガスセンサ304は、ガス放出状態においてガス検体についてガス供給源320を監視し、且つ、所与の時点においてガス供給源320によって放出されたガス検体の量を特徴付ける監視センサ信号を生成するように、構成することができる。所与の時点は、ガス供給源302がガス検体を放出中でありうる時点に対応しうる。電池の例においては、健全な電池は、例えば、充電サイクル及び/又は放電サイクルにおいてガス検体を実質的に放出することができない。電池の健全性は、劣化を開始しうることから、電池は、充電サイクル及び/又は放電サイクルにおいてガス検体を放出しうる。第1ガスセンサ304は、サイクル状態においてガス検体について電池を監視し、且つ、所与の時点において電池によって放出されるガス検体の量を特徴付ける監視センサ信号を生成するように、構成することができる。
【0052】
プロセッサ310は、監視センサ信号を受け取るように、更に構成することができる。プロセッサ310は、監視センサ差を生成するべく、第1MAベースラインから監視センサ信号を減算するように、更に構成することができる。プロセッサ310は、第1MAベースラインとの関係において百分率変化応答を判定するべく、第1MAベースラインによって監視センサ差を除算するように、更に構成することができる。第2ガスセンサ306は、ガス放出状態において周辺ガスについて周辺環境308を監視し、且つ、所与の時点における周辺大気308中の周辺ガスの量を特徴付ける基準センサ信号を生成するように、構成することができる。電池の例においては、第2ガスセンサ306は、充電サイクル及び/又は放電サイクルにおいて周辺環境308を監視するように、構成することができる。プロセッサ310は、基準センサ差を生成するべく、基準センサ信号を第2MAベースラインから減算するように更に、構成することができる。プロセッサ310は、第2MAベースラインとの関係において百分率変化応答を判定するべく、第2MAベースラインによって基準センサ差を除算するように、更に構成することができる。
【0053】
従って、プロセッサ310は、第1平均化センサ信号(例えば、第2MAベースライン)との関係における第1センサ信号(例えば、監視センサ信号)の百分率変化に基づいて第1センサ出力(例えば、監視センサ差)を判定し、且つ、第2平均化センサ信号(第2MAベースライン)との関係における第2センサ信号(例えば、基準センサ信号)の百分率変化に基づいて第2センサ出力(例えば、基準センサ差)を判定するように、構成することができる。
【0054】
プロセッサ310は、全体差センサ信号を生成するべく、第2MAベースラインとの関係における百分率変化応答から第1MAベースラインとの関係における百分率変化応答を減算するように、更に構成することができる。従って、第1及び第2センサ304及び306の両方に共通しているガス濃度の変化をゼロ化するべく、基準ガス信号を利用することができる。従って、第1及び第2センサ304及び306の両方によって検出された周辺ガスを監視システム300によって識別することができる。プロセッサ310は、閾値との関係において全体差センサ信号を比較するように、更に構成することができる。プロセッサ310は、比較の結果に基づいてアラート信号314を生成するように、更に構成することができる。
【0055】
例えば、プロセッサ310は、全体差センサ信号が閾値以下であるかどうかを判定するべく、閾値との関係において全体差センサ信号を比較するように、構成することができる。或いは、この代わりに、プロセッサ310は、全体差センサ信号が閾値以上であるかどうかを判定するべく、閾値との関係において全体差センサ信号を比較するように、構成することができる。プロセッサ310は、全体差ガス信号が閾値以下である(或いは、この代わりに、以上である)ことに応答してアラート信号314を生成するように、構成することができる。一例においては、閾値は、感度閾値、上部帯域閾値、及び下部帯域閾値のうちの1つを含むことができる。これらの閾値は、本明細書において記述されている方法に従ってプロセッサ310によって判定することができる。
【0056】
例えば、プロセッサ310は、MAベースラインを上回る、Kに1つ又は複数の第1ベースラインセンサ信号の標準偏差を乗算したもの、において位置する上部帯域閾値を判定するように、更に構成することができる。プロセッサ106は、MAベースラインを下回る、Kに1つ又は複数の第1ベースラインセンサ信号の標準偏差を乗算したもの、において位置する下部帯域閾値を判定するように、更に構成することができる。プロセッサ310は、1つ又は複数の第1ベースラインセンサ信号のMAと、最小感度MSと基準の間の差値と、に基づいて感度閾値を判定するように、構成することができる。感度閾値は、MA*(1-MS)という式によって定義することが可能であり、この場合に、1は、基準に対応しうる。
【0057】
プロセッサ310は、全体差センサ信号を感度閾値及び下部帯域閾値のうちの1つと比較するように、更に構成することができる。或いは、この代わりに、プロセッサ310は、全体差センサ信号を感度閾値及び上部帯域閾値のうちの1つと比較するように構成することもできる。プロセッサ310は、全体差センサ信号が感度閾値及び下部帯域閾値のうちの1つ以下である(或いは、感度閾値及び上部帯域閾値のうちの1つ以上である)ことに応答してアラート信号314を生成するように、構成することができる。
【0058】
1つ又は複数のシステムが本明細書において記述されている1つ又は複数の先制的な対策をとるようにするべく、アラート信号314を1つ又は複数のシステムに送信することができる。電池の例においては、サイクル状態において検出されたガス検体は、電池が熱暴走のリスクを有しうることの警告として解釈することができる。早期の警告を提供することにより、熱暴走状態に応答して生じうる火災、爆発、及び負傷を大幅に軽減することができる。従って、監視システム300は、生成段階において熱暴走状態を検出することができる。従って、生成段階において熱暴走シナリオを検出することにより、危険な状態及び電池に対する損傷を防止するべく、予防対策を実装することができる。
【0059】
監視システム300は、1つ又は複数のエンクロージャを有するように構成することができる。一例においては、エンクロージャは、図4に示されているものなどの、電池エンクロージャ400であってもよい。電池エンクロージャ400は、電池(図4には示されていない)、第1ガスセンサ304、及び第2ガスセンサ306を収容するべく、ハウジング402を含むことができる。図4においては、第2ガスセンサ406は、第2ガスセンサ306が電池によって放出されるガス検体に対する感受性を実質的に有しえないように、電池との関係において位置決めすることができる。一例においては、プロセッサ310は、電池エンクロージャ400の外側において位置決めすることができる。或いは、この代わりに、プロセッサ310は、電池エンクロージャ400内において位置決めすることもできる。
【0060】
別の例においては、エンクロージャは、図5に示されているものなどの電池エンクロージャ500であってもよい。電池エンクロージャ502は、電池(図5には示されていない)を収容するべく、ハウジング502を含むことができる。電池エンクロージャ500は、吸気口504を含むことができる。吸気口504は、電池を冷却するべく、周辺空気をハウジング502に引き込むように、構成することができる。第2ガスセンサ306は、吸気口504内において位置決めすることができる。電池エンクロージャ500は、排気口506を更に含むことができる。排気口506は、ハウジング502内のガスを周辺環境に放出するように構成することができる。放出されるガスは、吸気口504によって引き込まれた周辺空気、電池によって放出されたガス検体、又はこれらの混合物を含みうる。第1ガスセンサ304を排気口506内において位置決めすることができる。図5においては、第2ガスセンサ306は、第2ガスセンサ306が電池02によって放出されたガス検体に対する感受性を実質的に有しえないように、電池との関係において位置決めすることができる。一例においては、プロセッサ310は、電池エンクロージャ500の外側において位置決めすることができる。或いは、この代わりに、プロセッサ310は、電池エンクロージャ500内において位置決めすることもできる。
【0061】
更なる一例においては、エンクロージャは、図6に示されているものなどのリチウムイオン電池充電及び保存エンクロージャ600であってもよい。リチウムイオン電池充電及び保存エンクロージャ600は、電池(図6には示されていない)を収容するべく、ハウジング602を含むことができる。この例における電池は、リチウムイオン電池に対応しうる。リチウムイオン電池充電及び保存エンクロージャ600は、吸気口602を含むことができる。吸気口604は、リチウムイオン電池を冷却するべく、周辺空気をハウジング602に引き込むように、構成することができる。第2ガスセンサ606は、吸気口604内において位置決めすることができる。リチウムイオン電池充電及び保存エンクロージャ600は、排気口606を更に含むことができる。排気口606は、ハウジング602内のガスを周辺環境に放出するように、構成することができる。放出されるガスは、吸気口604によって引き込まれた周辺空気、リチウムイオン電池によって放出されたガス検体、或いは、これらの混合物を含みうる。第1ガスセンサ604を排気口606内において位置決めすることができる。図6においては、第2ガスセンサ306は、第2ガスセンサ306が、リチウムイオン電池によって放出されるガス検体に対する感受性を実質的に有しえないように、リチウムイオン電池との関係において位置決めすることができる。一例においては、プロセッサ310は、リチウムイオン電池充電及び保存エンクロージャ600の外側において位置決めすることができる。或いは、この代わりに、プロセッサ310は、リチウムイオン電池充電及び保存エンクロージャ600内において位置決めすることもできる。
【0062】
別の例においては、電池エンクロージャは、図7に示されているものなどの出荷コンテナ700であってもよい。出荷コンテナ700は、電池(図7には示されていない)、第1ガスセンサ304、及び第2ガスセンサ306を収容することができる。図7においては、第2ガスセンサ306は、第2ガスセンサ306が、電池によって放出されたガス検体に対する感受性を実質的に有しえないように、電池との関係において位置決めすることができる。一例においては、プロセッサ310は、出荷コンテナ700の外側において位置決めすることができる。或いは、この代わりに、プロセッサ310は、出荷コンテナ700内において位置決めすることもできる。
【0063】
以上の上述の構造的及び機能的特徴に鑑み、実装されうる方法については、図8図10を参照して更に十分に理解することができよう。説明の簡潔性を目的として、図8図10の方法は、順番に実行するものとして図示及び記述されているが、いくつかの態様は、その他の実施形態においては、本明細書において図示及び記述されているものとは異なる順序において、及び/又は、その他の態様と同時に、発生しうることから、このような方法は、図示の順序によって限定されるものではないことを理解及び認識されたい。更には、方法を実装するべく、すべての図示されている特徴が必要とされうるわけでもない。方法又はその一部分は、1つ又は複数の一時的ではないストレージ媒体内において保存された命令として実装することができるのみならず、処理リソース(例えば、図1に示されているプロセッサ106及び/又は図3に示されているプロセッサ310)によって実行することもできる。
【0064】
図8は、ガス検体についてガス供給源を監視する方法800の一例を示している。例えば、方法800は、図1に示されているように、監視システム100によって実装することができる。方法は、ガス検体についてガス供給源を監視することにより、802において始まっている。804において、ガス供給源によって放出されたガス検体の量を特徴付けるセンサ信号を生成することができる。806において、センサ信号を受け取ることができる。808において、センサ信号をアラート閾値との関係において評価することができる。810において、評価の結果に基づいて、アラート信号を生成することができる。
【0065】
図9は、ガス検体についてガス供給源を監視する方法900の別の例を示している。例えば、方法900は、図3に示されている監視システム300によって実装することができる。方法は、ガス検体の放出についてガス供給源を監視することにより、902において始まっている。904において、周辺ガスの存在について周辺環境を監視することができる。906において、ガス供給源によって放出されたガス検体の量を特徴付ける第1センサ信号を生成することができる。908において、周辺環境内に存在している周辺ガスの量を特徴付ける第2センサ信号を生成することができる。910において、第1平均化センサ信号との関係における第1センサ信号の百分率変化に基づいて、第1センサ出力を判定することができる。912において、第2平均化センサ信号との関係における第2センサ信号の百分率変化に基づいて、第2センサ出力を判定することができる。914において、第1センサ出力を第2センサ出力との関係において評価することができる。916において、評価の結果に基づいて、アラート信号を生成することができる。
【0066】
図10は、ガス検体についてガス供給源を監視する方法1000の更なる例を示している。例えば、方法1000は、図3に示されている監視システム300によって実装することができる。方法は、第1ガスセンサによって生成された1つ又は複数のベースラインセンサ信号を受け取ることにより、1002において始まっている。1004において、第2ガスセンサによって生成された1つ又は複数のベースライン基準センサ信号を受け取ることができる。1006において、1つ又は複数のベースラインセンサ信号のうちのそれぞれの信号のスロープを評価することができる。1008において、所与のベースラインセンサ信号のスロープがスロープ閾値以上である場合には、方法は、1010に進むことが可能であり、さもなければ、方法は、1012に進むことができる。1012において、方法1000における更なる使用のために、所与のベースラインセンサ信号を除外することができる。1010において、第1MAベースラインを生成するべく、スロープ閾値超のスロープを有する1つ又は複数の監視ベースラインセンサ信号にMAを適用することができる。第1MAベースラインを生成するべく、1つ又は複数のベースラインセンサ信号のN個のサンプルを合計することが可能であり、且つ、Nによって除算することが可能であり、この場合に、Nは、1つ又は複数のベースラインセンサ信号の数である。1012において、第2MAベースラインを生成するべく、1つ又は複数のベースライン基準センサ信号にMAを適用することができる。第2MAベースラインを生成するべく、1つ又は複数のベースライン基準センサ信号のN個のサンプルを合計することが可能であり、且つ、Nによって除算することが可能であり、この場合に、Nは、1つ又は複数のベースライン基準センサ信号の数である。第1及び第2MAベースラインを使用することにより、周辺ガスが監視システム300に対して及ぼしうる影響について補償することができる。
【0067】
1014において、ガス検体についてガス供給源を監視し、且つ、例えば、ガス供給源の所与の状態において、所与の時点においてガス供給源によって放出されるガス検体の量を特徴付ける監視センサ信号を生成するように、第1ガスセンサを構成することができる。所与の時点は、ガス供給源がガス検体を放出中でありうる時点に対応しうる。更には、1014において、監視センサ差を生成するべく、第1MAベースラインから監視センサ信号を減算することができる。更には、1014において、第1MAベースラインとの関係における百分率変化応答を判定するべく、監視センサ差を第1MAベースラインによって除算することができる。1016において、周辺環境内の周辺ガスについて監視し、且つ、例えば、ガス供給源の所与の状態において、所与の時点において周辺ガスの量を特徴付ける基準センサ信号を生成するように、第2ガスセンサを構成することができる。更には、1016において、基準センサ差を生成するべく、第2MAベースラインから基準センサ信号を減算することができる。更には、1016において、第2MAベースラインとの関係における百分率変化応答を判定するべく、基準センサ差を第2MAベースラインによって除算することができる。
【0068】
1018において、全体差センサ信号を生成するべく、第2MAベースラインとの関係における百分率変化応答から第1MAベースラインとの関係における百分率変化応答を減算することができる。1020において、全体差センサ信号をアラート閾値との関係において比較することができる。全体差センサ信号がアラート閾値超である場合には、方法は、1022に進むことが可能であり、さもなければ、方法は、1028に進むことができる。1022においては、アラート(例えば、図3に示されているアラート信号314)を生成することができる。1028においては、アラートを生成することはできない。アラートは、1つ又は複数のシステムが本明細書において記述されている1つ又は複数の先制的な対策をとるようにするべく、1つ又は複数のシステムに送信することができる。
【0069】
「実質的に(substantially)」及び「約(about)」という用語は、本明細書においては、任意の定量的比較、値、計測、又はその他の表現に帰されうる不確実性の固有の程度を表すべく、利用されうることに留意されたい。又、これらの用語は、本明細書においては、定量的表現が、対象の主題の基本的機能の変化を結果的にもたらすことなしに、記述されている基準から変化しうる程度を表すべく、利用されている。
【0070】
以上の特定の例が、本明細書においては、図示及び記述されているが、特許請求されている主題の精神及び範囲を逸脱することなしに、様々なその他の変化及び変更が実施されうることを理解されたい。更には、特許請求されている主題の様々な態様が、本明細書においては、記述されているが、このような態様は、組合せにおいて利用される必要はない。従って、添付の請求項は、特許請求されている主題の範囲に含まれる、すべてのこのような変更及び変形を含むものと解釈されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10