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特許7289987フラックスゲート電流変換器においてノイズを低減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-02
(45)【発行日】2023-06-12
(54)【発明の名称】フラックスゲート電流変換器においてノイズを低減する方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20230605BHJP
   G01R 33/04 20060101ALI20230605BHJP
【FI】
G01R15/18 Z
G01R33/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022506165
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2020070436
(87)【国際公開番号】W WO2021018650
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】19189335.3
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011360
【氏名又は名称】レム・インターナショナル・エスエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】トロンベルト・ステファン
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-94817(JP,A)
【文献】国際公開第2018/115032(WO,A1)
【文献】特開2013-205180(JP,A)
【文献】特開2011-17618(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0046214(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01R 15/00
G01R 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックスゲート電流変換器(2)であって、
可飽和軟磁性コア(4)と、励磁コイル(6)と、を含むフラックスゲート装置(3)と、
制御回路(7)と、前記励磁コイルに交流電流を発生させるために前記制御回路に接続された電圧発生器(9)と、を含む処理回路(5)と、を含み、
前記電圧発生器は、前記可飽和軟磁性コア(4)を交互に飽和させるように構成された、最大正電圧(+Umax)と最大負電圧(-Umax)との間で発振する、前記励磁コイルに印加される電圧を発生させ、
前記制御回路(7)は、複数の交流電圧期間(P)の少なくともサブセットの間に前記可飽和軟磁性コアの飽和を表す閾値電流(S3)に達する励磁コイル電流の検出後、それぞれ時間の異なる可変時間窓であって、第1の時間窓(Tn)、第2の時間窓(Tn+1、Tn+2、Tn+3)の間に、前記最大正電圧(+Umax)および前記最大負電圧(-Umax)の絶対値より小さい振幅の絶対値を有する、前記励磁コイルに印加される電圧を発生させるように構成されていることを特徴とする、フラックスゲート電流変換器。
【請求項2】
前記制御回路は、前記可変時間窓の間、実質的に一定である、前記励磁コイルに印加される設定電圧を発生させるように構成されている、請求項1に記載の電流変換器。
【請求項3】
前記設定電圧は、ゼロ、または前記最大電圧(+Umax、-Umax)の前記絶対値の50%未満の絶対値の非ゼロ電圧である、請求項2に記載の電流変換器。
【請求項4】
前記制御回路は、交流励起電圧期間ごとに少なくとも1つの可変時間窓を生成するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の電流変換器。
【請求項5】
前記可変時間窓は、交流電圧期間(P)の半分ごとに生じる、請求項4に記載の電流変換器。
【請求項6】
前記可変時間窓は、複数の期間にわたって断続的に生じるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の電流変換器。
【請求項7】
前記可変時間窓の間に設定される前記電圧は、実質的に一定である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電流変換器。
【請求項8】
前記可変時間窓の間に設定される前記電圧は、前記最大電圧(+Umax、-Umax)の絶対値未満で段階的に変動する、又は、前記最大電圧(+Umax、-Umax)の絶対値未満で変動する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電流変換器。
【請求項9】
前記制御回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはASICのいずれかに設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の電流変換器。
【請求項10】
可飽和軟磁性コア(4)と励磁コイル(6)とを含むフラックスゲート装置(3)と、制御回路(7)と前記励磁コイルに交流電流を発生させるために前記制御回路に接続された電圧発生器(9)とを含む処理回路(5)と、を含むフラックスゲート電流変換器(2)を動作させる方法であって、
前記電圧発生器は、前記可飽和軟磁性コア(4)を交互に飽和させるように構成された、最大正電圧(+Umax)と最大負電圧(-Umax)との間で発振する、前記励磁コイルに印加される電圧を発生させ、
前記制御回路(7)は、複数の交流電圧期間(P)の少なくともサブセットの間に前記可飽和軟磁性コアの飽和を表す閾値電流(S3)に達する励磁コイル電流の検出後、それぞれ時間の異なる可変時間窓であって、第1の時間窓(Tn)、第2の時間窓(Tn+1、Tn+2、Tn+3)の間に、前記最大正電圧(+Umax)および前記最大負電圧(-Umax)の絶対値より小さい振幅の絶対値を有する、前記励磁コイルに印加される電圧を発生させることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記制御回路は、前記可変時間窓の間、実質的に一定である、前記励磁コイルに印加される設定電圧を発生させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記設定電圧は、ゼロ、または前記最大電圧(+Umax、-Umax)の前記絶対値の50%未満の絶対値の非ゼロ電圧である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記制御回路は、交流励起電圧期間ごとに少なくとも1つの可変時間窓を生成する、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記可変時間窓は、交流電圧期間(P)の半分ごとに生じる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記可変時間窓は、複数の期間にわたって断続的に生じる、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本発明は、フラックスゲート電流変換器、およびフラックスゲート電流変換器を動作させる方法に関する。
【0002】
フラックスゲート電流変換器は、周知であり、多くの電流感知適用で使用されている。フラックスゲート電流変換器は、典型的には、Neの巻線を有する励磁コイル6によって囲まれた可飽和軟磁性コア4を有する磁場検出器を含む(図1参照)。励磁コイルは、Nmの巻線を有する補償コイルまたは測定コイル8に磁気的に結合される。この構成は、変圧器の特性を有する。多くのフラックスゲート変換器では、測定すべき電流を運ぶ一次導体が、磁場検出器の中央通路を通って延びる。閉ループ変換器では、磁場検出器に磁気的に結合され、フィードバック回路内で信号処理回路に接続された補償コイルがあり、補償コイルは、一次導体によって生成された磁場を相殺しようとする。このような構成は周知である。補償コイルがなく、(測定コイル8で表される)測定すべき電流を運ぶ一次導体のみがある、開ループ方式で、フラックスゲートを使用することも可能である。しかしながら、フラックスゲート磁場検出器が高感度であることを考慮して、これらは主に閉ループ構成で使用される。
【0003】
例えば図2aおよび図2bに示されるように、フラックスゲート電流変換器については、様々な回路構成が知られている。典型的には、そのような変換器は、実質的に正方形の発振励磁コイル電圧を出力する電圧発生器9への電圧制御出力10を生成する制御回路7を含む。実質的に正方形または台形の電圧信号は、図3に示すように、最大負値-U’maxと最大正値+U’maxとの間で発振する。
【0004】
励磁コイル電圧は、フラックスゲート装置3の軟磁性コア4を交互に飽和させ、その飽和がデューティサイクルのタイミングt1’、t2’に影響を与える。測定すべき電流を運ぶ一次導体によって生成されるような磁場は、可飽和軟磁性コアを一方の方向に、他方の方向よりも速く飽和させ、したがって正および負の電圧信号の持続時間に非対称性を生じさせる。タイミングt1’/t2’の持続時間は、外部磁場の振幅の測定値を提供し、したがって、測定すべき電流の振幅および方向を決定するために使用することができる。このような原理は周知である。
【0005】
実質的に0である外部磁場について励磁コイル電流の絶対値(正値)を示す、図3を参照すると最もよく分かるように、半期の初期段階S1’の間、励磁コイル電流Imeasは、段階S2’まで上昇しており、段階S2’では、閾値点S3’まで、磁性コアが飽和し、閾値点S3’では、制御回路が閾値飽和を検出し、励磁コイル6に供給する電圧発生器9の電圧を反転させる。
【0006】
図4に最もよく示されているように、励磁コイルに印加された励磁信号は、補償コイルまたは測定コイルに接続されたユーザネットワーク上でノイズを生成し、それによって、特定の状況では、これらの障害は、電磁的および電磁適合性(EMI/EMC)に関する規格を超える大きさを有する。ノイズは、励磁コイルに印加される交流電圧の振幅を減少させることによって減少させることができるが、これは、測定出力のノイズ対信号比を増加させることによって測定精度にも影響する。
【0007】
上記を鑑みて、本発明の目的は、高い測定信号対ノイズ比を有し、電流変換器がユーザネットワークに接続されている場合に低い電磁干渉を発生する、フラックスゲート電流変換器、およびフラックスゲート電流変換器を動作させる方法を提供することである。特に、電磁干渉は、電磁干渉および電磁適合性規格(EMI/EMC規格)に対応する閾値未満であるべきである。
【0008】
費用対効果が高く、信頼性があるフラックスゲート電流変換器を提供することが有利である。
【0009】
取り付けおよび操作が容易なフラックスゲート電流変換器を提供することが有利である。
【0010】
本発明の目的は、請求項1に記載のフラックスゲート電流変換器、および請求項10に記載のフラックスゲート電流変換器を動作させる方法を提供することによって達成されている。
【0011】
可飽和軟磁性コアと励磁コイルとを含むフラックスゲート装置と、制御回路と励磁コイルに交流電流を発生させるために制御回路に接続された電圧発生器とを含む処理回路と、を含むフラックスゲート電流変換器が本明細書に開示され、電圧発生器は、軟磁性コアを交互に飽和させるように構成された、最大正電圧(+Umax)と最大負電圧(-Umax)との間で発振する電圧を発生させる。制御回路は、複数の交流電圧期間(P)の少なくともサブセットの間に磁性コアの飽和を表す閾値電流(S3)に達する励磁コイル電流の検出後、可変時間窓(Tn、Tn+1、Tn+2、Tn+3)の間に、前記最大正電圧(+Umax)および前記最大負電圧(-Umax)電圧の絶対値より小さい振幅の絶対値を有する電圧を発生させるように構成される。
【0012】
従来の解決策と比較して、可変時間窓は、有利には、EMIノイズを低減するために高調波を拡散させる効果を有し、したがって、電流変換器が、低い電磁干渉を発生させるにもかかわらず、測定信号対ノイズ比を増加させることを可能にする。
【0013】
有利な実施形態では、制御回路は、可変時間窓の間、実質的に一定である設定電圧を発生させるように構成される。
【0014】
有利な実施形態では、設定電圧は、ゼロ、または前記最大電圧(+Umax、-Umax)の絶対値の50%未満の絶対値の非ゼロ電圧である。
【0015】
有利な実施形態では、制御回路は、交流励起電圧期間ごとに少なくとも1つの可変時間窓を生成するように構成される。
【0016】
有利な実施形態では、可変時間窓は、交流電圧期間(P)の半分ごとに生じる。
【0017】
別の実施形態では、可変時間窓は、複数の期間にわたって断続的に生じるように構成される。
【0018】
有利な実施形態では、可変時間窓の間に設定される電圧は、実質的に一定である。
【0019】
別の実施形態では、可変時間窓の間に設定される電圧は、一定でない。
【0020】
有利な実施形態では、制御回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)に設けられる。他の実施形態では、制御回路は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはASIC内に設けられてもよい。
【0021】
また、本明細書では、可飽和軟磁性コアと励磁コイルとを含むフラックスゲート装置と、制御回路と励磁コイルに交流電流を発生させるために制御回路に接続された電圧発生器とを含む処理回路と、を含むフラックスゲート電流変換器を動作させる方法も開示され、電圧発生器は、軟磁性コアを交互に飽和させるように構成された、最大正電圧(+Umax)と最大負電圧(-Umax)との間で発振する電圧を発生させる。制御回路は、複数の交流電圧期間(P)の少なくともサブセットの間に磁性コアの飽和を表す閾値電流(S3)に達する励磁コイル電流の検出後、可変時間窓(Tn、Tn+1、Tn+2、Tn+3)の間に、前記最大正電圧(+Umax)および前記最大負電圧(-Umax)電圧の絶対値より小さい振幅の絶対値を有する電圧を発生させる。
【0022】
有利な実施形態では、制御回路は、可変時間窓の間、実質的に一定である設定電圧を発生させる。
【0023】
有利な実施形態では、設定電圧は、ゼロ、または前記最大電圧(+Umax、-Umax)の絶対値の50%未満の絶対値の非ゼロ電圧である。
【0024】
有利な実施形態では、制御回路は、交流励起電圧期間ごとに少なくとも1つの可変時間窓を生成する。
【0025】
有利な実施形態では、可変時間窓は、交流電圧期間(P)の半分ごとに生じる。
【0026】
別の実施形態では、可変時間窓は、複数の期間にわたって断続的に生じる。
【0027】
本発明のさらなる目的および有利な特徴は、特許請求の範囲、詳細な説明、および添付の図面から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】フラックスゲート電流変換器の従来のフラックスゲート測定ヘッドの概略的な簡略図である。
図2a】従来のフラックスゲート電流変換器の概略的な回路図を示す。
図2b】従来のフラックスゲート電流変換器の概略的な回路図を示す。
図3】従来のフラックスゲート電流変換器の励磁コイルにおける経時的な電圧、または電流のプロットを示す。
図4】ユーザネットワークに接続された従来のフラックスゲート電流変換器の測定出力の周波数スペクトルを概略的に示す。
図5】本発明の一実施形態によるフラックスゲート電流変換器の励磁コイルにおける経時的な電圧、または電流のプロットを示す。
図5a】本発明の一実施形態によるフラックスゲート電流変換器の励磁コイル電圧の他の実施形態を概略的に示す。
図5b】本発明の一実施形態によるフラックスゲート電流変換器の励磁コイル電圧の他の実施形態を概略的に示す。
図6】本発明の一実施形態によるフラックスゲート電流変換器の概略的な回路図を示す。
図7】ユーザネットワークに接続された従来のフラックスゲート電流変換器によって出力された、経時的なEMIノイズの振幅を示す。
図8】ユーザネットワークに接続された本発明の一実施形態によるフラックスゲート電流変換器によって出力された、経時的なEMIノイズの振幅を示す。
【0029】
図5および図6を参照すると、本発明の一実施形態によるフラックスゲート電流変換器2は、フラックスゲート測定ヘッド3の形態の磁場検出器と、フラックスゲート測定ヘッドに接続された信号処理回路5と、を含む。
【0030】
フラックスゲート測定ヘッド3は、フラックスゲート磁場検出器の分野でそれ自体が既知の様々な構成を有することができ、そのような構成は、少なくとも可飽和軟磁性コア4と、Neの巻線で磁性コアに巻き付けられた励磁コイル6と、を含む。
【0031】
フラックスゲート電流変換器は、励磁コイル6および可飽和軟磁性コア4に磁気的に結合するNmの巻線8を有する補償コイルをさらに含むことができる。補償コイル8は、測定すべき電流を運ぶ一次導体によって生成される磁場を相殺しようとする磁場を生成するために、フィードバックループにおいて処理回路5に接続され得る。上述の閉ループフラックスゲート変換器の原理は、それ自体周知であり、本明細書において詳細に説明する必要はない。
【0032】
代替の実施形態では、フラックスゲート電流変換器は、補償コイルを有さない開ループ変換器であってもよく、その場合、励磁コイル6と可飽和軟磁性コア4との間の結合は、磁性コアおよび励磁コイルの中央通路を直接通過し得るか、または数Nmで表される複数の巻線を有し得る、測定コイル8に直接結合する。
【0033】
処理回路5は、コマンドまたは制御回路7と、電圧発生器9と、を含む。
【0034】
制御回路7は、励磁コイルのための交流電圧信号を生成するために電圧発生器9を制御する電圧制御出力10を含む。処理回路は、励磁コイル測定回路12と、ユーザのために測定信号を出力する変換器測定出力14と、をさらに含む。制御回路によって出力される測定信号は、変換器が測定しようとする、一次導体に流れる一次電流の値を表す。
【0035】
図6の実施形態に示されるような一般的な回路レイアウトは、それ自体既知であり、他のそれ自体既知のフラックスゲート回路レイアウトが、本発明の範囲内で使用されてもよい。しかしながら、本発明によれば、制御回路7は、セミフラックスゲート期間(サイクル)の終了時の電圧の反転間の電圧信号における、レイテンシTn、Tn+1、Tn+2、Tn+3を含む、電圧発生器9への電圧出力コマンド信号を生成するように構成されている。
【0036】
処理回路5は、例えば、信号処理回路の分野でそれ自体周知であるようなFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)に実装され得る。他の実施形態では、処理回路5は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはASIC(特定用途向け集積回路)内に実装されてもよい。
【0037】
図5で最もよく分かるように、電圧が初期段階S1の間に+Umaxまたは-Umaxの最大振幅に切り換えられると、励磁コイルの電流Ifluxは上昇し、磁性コア4が段階S2の間に飽和に達し、そして、制御回路7によって検出される閾値に達する。この閾値点S3から、制御回路は、可変時間窓Tn、Tn+1、Tn+2、Tn+3を挿入し、ここで、電圧は、ゼロの値にスイッチオフされるか、または、電圧発生器9が出力する最大振幅値+Umaxと-Umaxとの間である非ゼロ値に設定される。
【0038】
図5に示す例では、各セミフラックスゲート期間(各セミサイクル)後の可変時間窓中の電圧は、ゼロに設定される。本発明の範囲内で、変形例によれば、電圧の絶対値が、電圧発生器によって生成される最大電圧+Umaxおよび-Umaxの絶対値よりも小さく、好ましくは50%よりも小さいままであれば、可変時間窓の間に設定された1より多い電圧レベル、または可変時間窓内で変化する電圧を有することが可能である。
【0039】
図5で最もよく分かるように、ゼロまたは非ゼロの中間電圧を有する可変時間窓は、複数のサイクルにわたって少なくとも2つの異なる時間を有する(本明細書では期間Pとも称する)。図示の実施形態では、励起電圧信号の第1の半サイクルにおける時間窓Tnは、もう一方の半サイクルのフラックスゲート信号の第2の時間窓の時間窓Tn+1とは異なり、第1および第2の半サイクルは期間Pを形成する。最大電圧から反対符号の最大電圧への切り替えの間の可変時間窓の間、時間の測定は、外部磁場の測定に使用される電流信号から無視される(無視または除去される)。したがって、測定すべき一次電流の画像である外部磁場の測定値を提供するため、または補償電流の制御のために、可変時間窓を含まない期間P中の半サイクルt1およびt2の時間のみが、電流測定出力の計算に使用される。
【0040】
可変時間窓Tn、Tn+1、Tn+2、Tn+3の間に印加されるゼロまたは非ゼロ電圧は、有利には、図6に示すような従来のフラックスゲート電流変換器によって生成されるノイズと比較して、本発明の一実施形態によるフラックスゲート電流変換器によって放出されるノイズを示す図7に示すように、EMIノイズを有意に減少させる効果を有する。
【0041】
好ましくは、複数の期間にわたって使用される、換言すれば2つより多い異なる時間を有する、2つより多い異なる時間窓Tn、Tn+1、Tn+2、Tn+3が存在し、これによって、可変時間窓は、EMIノイズを低減するために、高調波を拡散させる効果を有する。図5に示された実施形態は、交流電圧サイクルの各半期間について可変時間窓を示しているが、本発明の範囲内では、期間P当たり電圧振幅が低減された1つのみの可変時間窓を有するか、または、断続的に、例えば第2もしくは第3の期間Pごとにのみ、設けることが可能である。
【0042】
図5図5aおよび図5bに示されるように、可変時間窓Tn中の電圧は、一定であってもよく(図5)、または段階的であってもよく(図5b)、または変動してもよく(図5a)、ただし、可変時間窓中の電圧は、最大値+Umaxおよび-Umaxの絶対振幅未満、好ましくは最大値の50%未満の絶対振幅を有するものとする。
【0043】
しかしながら、回路の単純化のために、好ましい実施形態は、可変時間窓Tn、Tn+1、Tn+2、Tn+3の間に、好ましくは0ボルトで、単一の設定定電圧を有することである。
【0044】
〔特徴部のリスト〕
フラックスゲート電流変換器2
フラックスゲート装置3
可飽和軟磁性コア4
励磁コイル(Neの巻線)6
補償コイルまたは測定コイル(Nmの巻線)8
処理回路5
コマンド回路7
電圧制御出力10
励磁コイル測定回路12
測定抵抗Rmeas
変換器測定出力14
電圧発生器9

励磁コイル電流Imeas
【0045】
〔実施の態様〕
(1) フラックスゲート電流変換器(2)であって、
可飽和軟磁性コア(4)と、励磁コイル(6)と、を含むフラックスゲート装置(3)と、
制御回路(7)と、前記励磁コイルに交流電流を発生させるために前記制御回路に接続された電圧発生器(9)と、を含む処理回路(5)と、を含み、
前記電圧発生器は、前記軟磁性コア(4)を交互に飽和させるように構成された、最大正電圧(+Umax)と最大負電圧(-Umax)との間で発振する、前記励磁コイルに印加される電圧を発生させ、
前記制御回路(7)は、複数の交流電圧期間(P)の少なくともサブセットの間に前記磁性コアの飽和を表す閾値電流(S3)に達する励磁コイル電流の検出後、可変時間窓(Tn、Tn+1、Tn+2、Tn+3)の間に、前記最大正電圧(+Umax)および前記最大負電圧(-Umax)電圧の絶対値より小さい振幅の絶対値を有する、前記励磁コイルに印加される電圧を発生させるように構成されていることを特徴とする、フラックスゲート電流変換器。
(2) 前記制御回路は、前記可変時間窓の間、実質的に一定である、前記励磁コイルに印加される設定電圧を発生させるように構成されている、実施態様1に記載の電流変換器。
(3) 前記設定電圧は、ゼロ、または前記最大電圧(+Umax、-Umax)の前記絶対値の50%未満の絶対値の非ゼロ電圧である、実施態様2に記載の電流変換器。
(4) 前記制御回路は、交流励起電圧期間ごとに少なくとも1つの可変時間窓を生成するように構成されている、実施態様1~3のいずれかに記載の電流変換器。
(5) 前記可変時間窓は、交流電圧期間(P)の半分ごとに生じる、実施態様4に記載の電流変換器。
【0046】
(6) 前記可変時間窓は、複数の期間にわたって断続的に生じるように構成されている、実施態様1~3のいずれかに記載の電流変換器。
(7) 前記可変時間窓の間に設定される前記電圧は、実質的に一定である、実施態様1~6のいずれかに記載の電流変換器。
(8) 前記可変時間窓の間に設定される前記電圧は、一定でない、実施態様1~6のいずれか記載の電流変換器。
(9) 前記制御回路は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはASICのいずれかに設けられている、実施態様1~8のいずれかに記載の電流変換器。
(10) 可飽和軟磁性コア(4)と励磁コイル(6)とを含むフラックスゲート装置(3)と、制御回路(7)と前記励磁コイルに交流電流を発生させるために前記制御回路に接続された電圧発生器(9)とを含む処理回路(5)と、を含むフラックスゲート電流変換器(2)を動作させる方法であって、
前記電圧発生器は、前記軟磁性コア(4)を交互に飽和させるように構成された、最大正電圧(+Umax)と最大負電圧(-Umax)との間で発振する、前記励磁コイルに印加される電圧を発生させ、
前記制御回路(7)は、複数の交流電圧期間(P)の少なくともサブセットの間に前記磁性コアの飽和を表す閾値電流(S3)に達する励磁コイル電流の検出後、可変時間窓(Tn、Tn+1、Tn+2、Tn+3)の間に、前記最大正電圧(+Umax)および前記最大負電圧(-Umax)電圧の絶対値より小さい振幅の絶対値を有する、前記励磁コイルに印加される電圧を発生させることを特徴とする、方法。
【0047】
(11) 前記制御回路は、前記可変時間窓の間、実質的に一定である、前記励磁コイルに印加される設定電圧を発生させる、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記設定電圧は、ゼロ、または前記最大電圧(+Umax、-Umax)の前記絶対値の50%未満の絶対値の非ゼロ電圧である、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記制御回路は、交流励起電圧期間ごとに少なくとも1つの可変時間窓を生成する、実施態様10~12のいずれかに記載の方法。
(14) 前記可変時間窓は、交流電圧期間(P)の半分ごとに生じる、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記可変時間窓は、複数の期間にわたって断続的に生じる、実施態様10~12のいずれかに記載の方法。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図5a
図5b
図6
図7
図8