(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】誤操作防止方法
(51)【国際特許分類】
F16K 35/00 20060101AFI20230606BHJP
F16K 35/02 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
F16K35/00 Z
F16K35/02 C
(21)【出願番号】P 2019046320
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】井上 康孝
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-306245(JP,A)
【文献】登録実用新案第3149985(JP,U)
【文献】特開2011-208726(JP,A)
【文献】特開2015-055319(JP,A)
【文献】特開2007-333165(JP,A)
【文献】特開2010-190297(JP,A)
【文献】実開昭61-059980(JP,U)
【文献】実開昭54-113726(JP,U)
【文献】特開2009-185985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 35/00-35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作用の穴部に操作部材を挿入して、当該操作部材の挿入方向を軸として当該操作部材を回動させることで操作をおこなう操作部における誤操作を防止する誤操作防止方法であって、
前記穴部は、前記操作部材を挿入する挿入方向に直交する断面が多角形の形状からなり、
前記穴部に挿入して回動させても操作がなされない誤操作防止具
であって、弾性力を有する材質からなり、前記穴部への挿入方向の長さが前記穴部の深さよりも長く、前記穴部への挿入方向に直交する断面の径が前記穴部の断面の径よりも大きく、当該断面が前記穴部の形状にかかる多角形よりも多くの角数を持つ多角形である多角柱の誤操作防止具を、前記操作部による操作をしないときに前記穴部に挿入し
、当該誤操作防止具の弾性力によって生じる当該誤操作防止具と前記穴部の側面と間の摩擦力により、当該誤操作防止具を脱落しないように前記穴部に保持しておくことを特徴とする誤操作防止方法。
【請求項2】
操作用の穴部に操作部材を挿入して、当該操作部材の挿入方向を軸として当該操作部材を回動させることで操作をおこなう操作部における誤操作を防止する誤操作防止方法であって、
前記穴部は、前記操作部材を挿入する挿入方向に直交する断面が多角形の形状からなり、
前記穴部に挿入して回動させても操作がなされない誤操作防止具
であって、弾性力を有する材質からなり、前記穴部への挿入方向の長さが前記穴部の深さよりも長く、前記穴部への挿入方向に直交する断面の径が前記穴部の断面の径よりも大きく、当該断面が略円形である円柱の誤操作防止具を、前記操作部による操作をしないときに前記穴部に挿入し
、当該誤操作防止具の弾性力によって生じる当該誤操作防止具と前記穴部の側面と間の摩擦力により、当該誤操作防止具を脱落しないように前記穴部に保持しておくことを特徴とする誤操作防止方法。
【請求項3】
前記誤操作防止具は、前記穴部に挿入されていない方の一端に、誤操作の注意を喚起する表示部材を設けたことを特徴とする請求項1
または2に記載の誤操作防止方法。
【請求項4】
前記誤操作防止具は、前記穴部に挿入されていない方の一端に、操作部を覆う蓋部材を設けたことを特徴とする請求項1
または2に記載の誤操作防止方法。
【請求項5】
前記蓋部材は、前記誤操作防止具と一体で形成されていることを特徴とする請求項
4に記載の誤操作防止方法。
【請求項6】
前記蓋部材の表面に、誤操作の注意を喚起する表示をすることを特徴とする請求項
4または5に記載の誤操作防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作用の穴部に操作部材を挿入して、当該操作部材の挿入方向を軸として当該操作部材を回動させることで操作をおこなう操作部における誤操作を防止する誤操作防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、油圧操作装置には、近接した位置に、複数の異なる弁が存在する場合がある。その場合、作業者は、各弁をしっかり確認して、操作すべき弁と、操作してはいけない弁とをしっかり見極めて、誤操作がないように注意する必要があった。
【0003】
関連する技術として、具体的には、たとえば、操作部(スクリュー)を覆うキャップと、キャップを支持する支持体と、キャップを支持体に固定する固定部材で構成されて、固定部材をキャップの側面に設けたネジ孔から締め込んでキャップを固定する誤操作防止キャップに関する技術がある(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、それぞれの弁の調整用の穴が同じ形状である場合には、いずれも、同じ工具によって調整できてしまうことがある。したがって、本来、調整すべき弁を調整するつもりで、誤って、本来、調整してはいけない弁を調整してしまう虞れが十分にあった。この点については、何らの対策もなく、作業員の注意力にもっぱら頼るようにすることが現状であった。また、その対策のために、多くの費用を投じることも、現実的ではなかった。
【0006】
万が一、誤って、本来、調整してはいけない弁を調整してしまうと、それを修正するのに専門家の派遣を要請しなければならない場合があり、そうなると、時間と不要な費用が発生するとともに、その間における、機器運用に多くの支障をきたすという問題点があった。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、構成が簡易で、かつ、安価な治具などを用いて、確実に誤操作を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる誤操作防止方法は、操作用の穴部に操作部材を挿入して、当該操作部材の挿入方向を軸として当該操作部材を回動させることで操作をおこなう操作部における誤操作を防止する誤操作防止方法であって、前記穴部に挿入して回動させても操作がなされない誤操作防止具を、前記操作部による操作をしないときに前記穴部に挿入しておくことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる誤操作防止方法は、上記発明において、前記誤操作防止具が、前記穴部への挿入方向の長さが、前記穴部の深さよりも長いことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる誤操作防止方法は、上記発明において、前記穴部が、前記操作部材を挿入方向に直交する断面が多角形の形状からなり、前記誤操作防止具が、前記穴部への挿入方向に直交する断面が、前記穴部の形状とは異なる形状であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる誤操作防止方法は、上記発明において、前記誤操作防止具が、弾性力を有する材質からなることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる誤操作防止方法は、上記発明において、前記誤操作防止具が、前記穴部に挿入されていない方の一端に、誤操作の注意を喚起する表示部材を設けたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる誤操作防止方法は、上記発明において、前記誤操作防止具が、前記穴部に挿入されていない方の一端に、操作部を覆う蓋部材を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる誤操作防止方法は、上記発明において、前記蓋部材が、前記誤操作防止具と一体で形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる誤操作防止方法は、上記発明において、前記蓋部材の表面に、誤操作の注意を喚起する表示をすることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる誤操作防止方法は、操作用の穴部に操作部材を挿入して、当該操作部材の挿入方向を軸として当該操作部材を回動させることで操作をおこなう操作部における誤操作を防止する誤操作防止方法であって、誤操作防止具を、前記操作をしないときに前記操作部を覆うように装着しておくことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる誤操作防止方法は、上記発明において、前記誤操作防止具の表面に、誤操作の注意を喚起する表示をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明にかかる誤操作防止方法によれば、構成が簡易で、かつ、安価な治具などを用いて、確実に誤操作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一般的な油圧操作ハウジングの一例を示す説明図である。
【
図2】一般的な油圧操作ハウジングの内部構成の一例を示す説明図である。
【
図3】一般的な手動圧力降下弁の外観の一例を示す説明図である。
【
図4】一般的なスローリーク弁の外観の一例を示す説明図である。
【
図5】この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具を装着した状態を示す説明図(その1)である。
【
図6】この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具を装着した状態を示す説明図(その2)である。
【
図7A】この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具の構成の別の一例を示す説明図(その1)である。
【
図7B】この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具の構成の別の一例を示す説明図(その2)である。
【
図8A】この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具の構成の別の一例を示す説明図(その3)である。
【
図8B】この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具の構成の別の一例を示す説明図(その4)である。
【
図9A】この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具の構成の別の一例を示す説明図(その5)である。
【
図9B】この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具の構成の別の一例を示す説明図(その6)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる誤操作防止方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
(弁操作部の概要)
まず、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における操作部の概要について説明する。
図1は、一般的な油圧操作ハウジングの一例を示す説明図である。また、
図2は、一般的な油圧操作ハウジングの内部構成の一例を示す説明図である。
【0022】
図1において、油圧操作ハウジング100の中には、油圧操作ハウジング100内の向かって左側に弁操作部101が設けられている。
図2は、その弁操作部101の拡大図である。
【0023】
図2において、弁操作部101には、近接した位置に、手動圧力降下弁201と、スローリーク弁202の2つの弁が存在する。
図2において、手動圧力降下弁201が、向かって左側であり、スローリーク弁202が、向かって右側であり、手動圧力降下弁201よりも、少し低い位置に設けられている。
【0024】
手動圧力降下弁201は、作業員が、巡視のデータを見て所望の動き(具体的には、たとえば、ポンプ動作40回/日以下)がでない時に機器の動作を確認するために用いる。したがって、この手動圧力降下弁201は、作業者が操作する弁であり、作業者に対して、操作する権限を与えている。
【0025】
一方、スローリーク弁202は、通常の作業においては、作業員が操作することはなく、作業者には、操作する権限が与えられていないことが多い。このスローリーク弁202は、原則としてメーカーの担当者である専門家が調整するものであり、外温、気温などによって油の粘度が変わるので、その外温、気温などに応じて対応するように調整しなければならないので、スローリーク弁202の調整はかなり難しい。
【0026】
後述する
図3および
図4からもわかるように、手動圧力降下弁201とスローリーク弁202とは、調整用の穴(六角穴)が同じ形状であることから、いずれも、同じ工具によって調整できる。したがって、手動圧力降下弁201を調整するつもりで、誤って、本来、調整してはいけないスローリーク弁202を調整してしまう虞れがあった。
【0027】
万が一、誤って、スローリーク弁202を調整してしまうと、メーカーの担当者に修正を依頼しなければならず、修正するのに不要な費用が発生するとともに、機器運用に支障をきたすという問題点がある。
【0028】
図3は、一般的な手動圧力降下弁の外観の一例を示す説明図(上面図)である。手動圧力降下弁201は、油圧操作ハウジング100内において、上向きに備えられている。
図3に示すように、手動圧力降下弁201の上面には、『圧力降下弁』と記載されている。また、その上面の中央付近に、操作用の穴部300が設けられている。また、上面には、『常時閉』と記載されており、これは、この弁が、通常時は閉じられている状態であることを示している。
【0029】
この穴部300に、図示を省略する操作部材(具体的には、たとえば、六角レンチなどの操作工具)を上側からまっすぐ下側へ挿入する。そうすると、操作部材の先端が、穴部300の底面に当接する。その状態で、操作部材の挿入方向を軸として操作部材を回動させることで、操作をおこなうことができる。
【0030】
穴部300の操作部材を挿入方向に直交する断面、すなわち、穴部300を上面から見ると、
図3からもわかるように、多角形(具体的には、たとえば、六角形)の形状となっている。したがって、この穴部300の六角形にあったサイズの六角レンチを、この穴部300に挿入し、穴部300に挿入した六角レンチを用いて、この穴部300を回動させることで、この手動圧力降下弁201の開閉を調整することができる。
【0031】
より具体的には、六角レンチを時計回りに回動させると、手動圧力降下弁201が開き、反対に、反時計回りに回動させると、手動圧力降下弁201が閉じることになる。それは、上面の穴部300の周囲付近に記載された2つの矢印の方向と『開』および『閉』の記載からもわかる。
【0032】
手動圧力降下弁201は、巡視のデータを見て所望の動作回数(具体的には、たとえば、ポンプ動作40回/日以下)となっていない時に、機器の動作を確認しながら、所望の動作回数となるように、油が流れる量の調整をおこなう。手動圧力降下弁201は、また、通常、冬期など、油の粘度が下がってしまう場合においては、手動圧力降下弁201を用いる調整頻度が多くなる。
【0033】
図4は、一般的なスローリーク弁の外観の一例を示す説明図(上面図)である。スローリーク弁202は、油圧操作ハウジング100内において、手動圧力降下弁201と同様に、上向きに備えられており、
図4にも示すように、その上面には、『スローリーク弁』と記載されている。また、その上面の中央付近に、操作用の穴部400が設けられている。また、上面には、『常時開』と記載されており、通常時は開かれている状態であることを示している。
【0034】
スローリーク弁202は、手動圧力降下弁201と同様に、穴部400に操作部材(具体的には、たとえば、六角レンチなど)を上側からまっすぐ下側へ挿入する。そうすると、操作部材の先端が、穴部400の底面に当接する。その状態で、操作部材の挿入方向を軸として操作部材を回動させることで、操作をおこなうことができる。
【0035】
穴部400の操作部材を挿入方向に直交する断面、すなわち、
図4からもわかるように、多角形(六角形)の形状である。したがって、この穴部400の六角形にあったサイズの六角レンチを、この穴部400に挿入し、六角レンチを回動させることで、このスローリーク弁202の開閉を調整することができる。これも、手動圧力降下弁201と同様である。
【0036】
より具体的には、六角レンチを反時計回りに回動させると、スローリーク弁202が開き、反対に、時計回りに回動させると、スローリーク弁202が閉じることになる。それは、上面の穴部400の周囲付近に記載された反時計回りの矢印の方向と『開』の記載からもわかる。
【0037】
このように、手動圧力降下弁201とスローリーク弁202とは、調整用の穴(六角穴)が同じ形状でそのサイズもほぼ同じであることから、いずれも、同じ操作部材(操作工具)によって調整できてしまう。したがって、作業員は、手動圧力降下弁201を調整するつもりで、誤って、本来、調整してはいけないスローリーク弁202を調整してしまう虞れがあった。
【0038】
仮に、誤ってスローリーク弁202を調整してしまうと、上述のように、それを修正するのに不要な費用が発生するとともに、機器運用(具体的には、たとえば、ポンプ動作40回/日以下)に支障をきたしてしまう。
【0039】
(誤操作防止具の内容)
図5および
図6は、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具を装着した状態を示す説明図である。
図5は、
図4と同様に、スローリーク弁202を上から見た上面図を示しており、
図6は、
図5において矢印Aの方向から見たスローリーク弁202の側面図を示している。
【0040】
図5および
図6において、穴部400には、誤操作防止具500が挿入されている。誤操作防止具500は、穴部400に挿入して、六角レンチと同じように回動させても、弁の調整操作がなされない構成となっている。この誤操作防止具500を、スローリーク弁202による操作をしないときに穴部400に挿入しておくことによって、スローリーク弁202の誤操作を防止することができる。
【0041】
すなわち、スローリーク弁202を操作しようとした場合に、操作のための六角レンチを穴部400に挿入しようとすると、その穴部400には、すでに、誤操作防止具500が挿入されているため、すぐには六角レンチを穴部400に挿入することができない状態である。
【0042】
それを確認した作業員は、すぐには六角レンチを穴部400に挿入することができない状態から、ここに六角レンチを挿入して、操作してはいけないのではないかと考え、状況を冷静に判断して、これは、作業員が操作することが許される手動圧力降下弁201ではなく、作業員が操作することが許されないスローリーク弁202であることを把握することができるようになる。
【0043】
このように、誤操作防止具500の存在によって、作業員が、慌てて操作してしまうことによって、操作が禁止されているスローリーク弁202の操作をしてしまうというヒューマンエラーを確実に防止することができる。
【0044】
図6からもわかるように、誤操作防止具500は、穴部400への挿入方向の長さが、穴部400の深さよりも長くするとよい。このように構成することによって、誤操作防止具500の長手方向の先端が、穴部400の底面に当接した状態で、誤操作防止具500の長手方向の他端が、穴部400から突出する。
【0045】
誤操作防止具500が穴部400から突出するので、作業員が突出した部分を指などでつまむことで、誤操作防止具500を穴部400から容易に着脱することが可能となる。ただし、突出する部分が長すぎると、突出した部分の重みで、誤操作防止具500が穴部400から脱落しやすくなる。したがって、誤操作防止具500は、穴部から約5mm程度、突出させるようにするとよい。
【0046】
また、誤操作防止具500は、穴部400への挿入方向に直交する断面が、穴部400の多角形の形状(たとえば六角形)とは異なる形状であるとよい。具体的には、穴部400の多角形よりも多くの角数を持つ多角形あるいは円に近い形状であるとよい。それにより、誤操作防止具500の側面が、穴部400の側面に引っかからず、誤操作防止具500を回動させても、誤操作防止具500が、穴部400内で空転する。したがって、誤操作防止具500の回動に連動して、穴部400の弁操作がなされないようにすることができる。
【0047】
より具体的には、誤操作防止具500は、穴部400への挿入方向に直交する断面が円である円柱形状であってもよい。誤操作防止具500が円柱形状であれば、穴部400が六角形である場合に、誤操作防止具500が穴部400の六角形の側面には引っかからずに、穴部400内で空転する。
【0048】
また、誤操作防止具500は、弾性力を有する材質から構成されていてもよい。具体的には,ゴムやスポンジなどの材質であるとよい。このように、誤操作防止具500が弾性力を有していれば、穴部400の側面との間における摩擦力が増加し、誤動作防止具500が、不用意に穴部400から脱落しづらくなるようにすることができる。また、誤操作防止具500は、ゴムやスポンジなどの材質を用いることによって、スローリーク弁202の穴部400を傷つけないようにすることができる。
【0049】
誤操作防止具500は、より具体的には、シャープペンシルのノック部分に収納される“消しゴム”のようなものであればよい。この消しゴムは、略円柱形状であり、弾性力を有する。誤操作防止具500は、このような、構造が簡易でかつ安価な材質のものが望ましい。
【0050】
誤操作防止具500には、作業者の注意を喚起する意味も含め、所定の色に着色するようにしてもよい。具体的には、赤色や黄色など、作業者が直感的に危険などを察知し、対応に慎重になるような色とするのがよい。
【0051】
図7Aおよび
図7Bは、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具の構成の別の一例を示す説明図である。
図7Aは、
図5と同様に、スローリーク弁202を上から見た上面図を示している。また、
図7Bは、
図6と同様に、
図7Aにおいて矢印Bの方向から見たスローリーク弁202の側面図を示している。
【0052】
図7Aおよび
図7Bにおいて、誤操作防止具500の長手方向の先端が、穴部400の底面に当接した状態で、誤操作防止具500の長手方向の他端が、穴部400から突出しており、さらに、他端に表示部材700を設ける。
【0053】
表示部材700は、
図7Aからもわかるように、矩形の形状で、サイズもスローリーク弁202の円形形状のサイズよりも小さい。また、表示部材700は、
図7Bからもわかるように、厚さはほとんどなくてもよい。ただし、表示部材の形状については、これに限定されるものではなく、それ以外の形状であってもよい。
【0054】
表示部材700には、誤操作の注意を喚起する文字、記号、図形など、または、それらを組み合わせたものを記すことができる。具体的には、
図7Aに示したように『操作禁止』という文字を記している。また、注意をより喚起するための、表示部材700の背景を赤色や黄色などに着色するようにしてもよい。
【0055】
誤操作防止具500に、この表示部材700を設けることによって、表示部材700の表示を見て、この弁は操作してはいけないということが直感的にわかるので、作業者が誤操作をしてしまうこと(操作してはいけない弁を操作してしまうこと)をより確実に防止することができる。
【0056】
誤操作防止具500の変形例を
図8Aおよび
図8Bに示す。
図8Aおよび
図8Bは、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具の構成の別の一例を示す説明図である。
図8Aに対して、
図8Bは、
図8Aの誤操作防止具800をひっくり返した状態を示している。
【0057】
図8Aおよび
図8Bにおいて、誤操作防止具800は、挿入部材801と、蓋部材802とを有する構成となっている。ここで、挿入部材801は、スローリーク弁202の穴部400に挿入する部材である。また、蓋部材802は、挿入部材801の一端と接続されている。蓋部材802は、スローリーク弁202の上面とほぼ同じサイズでほぼ同じ形状である円形の形状をしている。
【0058】
そして、挿入部材801の他端を、穴部400の底面に当接するように挿入すると、蓋部材802が、スローリーク弁202の上面を覆うように構成される。これにより、誤操作防止具800(の挿入部材801)が穴部400から、不用意に脱落することをより確実に防止することができる。
【0059】
誤操作防止具800において、挿入部材801と蓋部材802は、別々に形成され、両者を接着剤などを用いて接着することによって、接続してもよい。また、両者を一体形成により製造するようにしてもよい。その場合は、接着するなどの両者の接続のための作業は不要となる。
【0060】
誤操作防止具800において、より具体的には、たとえば、いわゆる“ラムネの蓋”のような形状をしているものであればよい。誤操作防止具800は、このような、構造が簡易でかつ安価な材質のものであることが望ましい。
【0061】
蓋部材802には、
図7Aに示した表示部材700と同様に、誤操作の注意を喚起する文字、記号、図形など、または、それらの組み合わせを記すことができる。具体的には、
図8Aに示したように『操作禁止』という文字を記している。また、注意をより喚起するための、蓋部材802の背景を赤色や黄色などに着色するようにしてもよい。これにより、作業員は、この弁は操作してはいけないことが直感的にわかる。
【0062】
誤操作防止具500の別の変形例を
図9Aおよび
図9Bに示す。
図9Aおよび
図9Bは、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法における誤操作防止具の構成の別の一例を示す説明図である。
図9Aに対して、
図9Bは、
図9Aの誤操作防止具900をひっくり返した状態を示している。
【0063】
図9Aおよび
図9Bにおいて、誤操作防止具900は、円筒状の形状をしており、開口部901を有する。誤操作防止具900は、より具体的には、いわゆる“ペットボトルの蓋”のような形状をしている。誤操作防止具900は、このような、構造が簡易でかつ安価な材質のものであることが望ましい。
【0064】
誤操作防止具900は、
図9Aに示すように、開口部901を下にして、スローリーク弁202をすっぽりと覆うように、スローリーク弁202に嵌め込む。したがって、開口部901の形状とスローリーク弁202の操作部の円柱形状とはほぼ同じであり、また、開口部901のサイズは、スローリーク弁202の操作部の円柱形状よりも少しだけ大きければよい。
【0065】
誤操作防止具900の上面には、
図7Aに示した表示部材700、
図8Aに示した蓋部材802と同様に、誤操作の注意を喚起する文字、記号、図形、または、それらの組み合わせなどを記すことができる。具体的には、
図9Aに示したように『操作禁止』という文字を記している。また、注意をより喚起するための、誤操作防止具900の上面の背景を赤色や黄色などに着色するようにしてもよい。これにより、作業員は、この弁は操作してはいけないことが直感的にわかる。
【0066】
このように、誤操作防止具900が、スローリーク弁202をすっぽりと覆うことによって、作業者がこの弁を誤操作してしまうことをより確実に防止することができる。また、穴部400に誤操作防止具900を挿入しなくて済むので、スローリーク弁202の穴部400を傷つけることがない。
【0067】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、操作用の穴部400に操作部材を挿入して、当該操作部材の挿入方向を軸として当該操作部材を回動させることで操作をおこなうスローリーク弁202(操作部)における誤操作を防止する誤操作防止方法であって、穴部400に挿入して回動させても操作がなされない誤操作防止具500、800を、スローリーク弁202による操作をしないときに穴部400に挿入しておくので、作業者が誤操作をしてしまうことをより確実に防止する。
【0068】
また、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、誤操作防止具500が、穴部400への挿入方向の長さが、穴部400の深さよりも長いので、誤操作防止具500の穴部400から突出した部分をつまむことができるので、誤操作防止具500の着脱を容易におこなうことができる。
【0069】
また、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、穴部400が、操作部材を挿入方向に直交する断面が多角形(六角形)の形状からなり、誤操作防止具500が、穴部400への挿入方向に直交する断面が、穴部400の形状とは異なる形状(円形など)であるので、穴部400に挿入した誤操作防止具500が、穴部400内で引っかからずに空転するので、誤動作防止具500が回動しても、それにより、弁操作がおこなわれなくて済む。
【0070】
また、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、誤操作防止具500が、弾性力を有する材質からなるので、誤操作防止具500と穴部400との間で摩擦力が生じ、穴部400に挿入した誤操作防止具500が、穴部400から不用意に脱落することを防止することができる。また、誤操作防止具500の弾性力により、穴部400の内部を傷つけることがない。
【0071】
また、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、誤操作防止具500が、穴部400に挿入されていない方の一端に、誤操作の注意を喚起する表示部材700を設けるので、作業者は、当該穴部400にかかる操作部(スローリーク弁202)は操作してはいけないものであることを、より直感的に理解することができる。
【0072】
また、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、誤操作防止具800(の挿入部材801)が、穴部400に挿入されていない方の一端に、操作部(スローリーク弁202)を覆う蓋部材802を設けたので、作業員が、操作してはいけないこの弁の操作を誤ってしてしまうことを防止することができる。
【0073】
また、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、蓋部材802が、誤操作防止具800(の挿入部材801)と一体で形成されているので、誤操作防止具800の組み立ての手間を省くことができる。
【0074】
また、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、蓋部材802の表面に、誤操作の注意を喚起する表示をするので、作業者による誤操作の防止をより確実にすることができる。
【0075】
また、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、操作用の穴部400に操作部材を挿入して、当該操作部材の挿入方向を軸として当該操作部材を回動させることで操作をおこなう操作部における誤操作を防止する誤操作防止方法であって、誤操作防止具900を、操作をしないときにスローリーク弁202(操作部)を覆うように装着しておくので、誤操作防止具900が、スローリーク弁202をすっぽりと覆って、作業者が誤操作をしてしまうことをより確実に防止し、また、穴部400に直接、誤操作防止具を挿入しないので、スローリーク弁202の穴部400が傷つかない。
【0076】
また、この発明にかかる実施の形態の誤操作防止方法は、誤操作防止具900の表面に、誤操作の注意を喚起する表示をするので、作業者による誤操作の防止をより確実にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、この発明にかかる誤操作防止方法は、操作用の穴部に操作部材を挿入して、当該操作部材の挿入方向を軸として当該操作部材を回動させることで操作をおこなう操作部における誤操作を防止する誤操作防止方法であり、特に、構成が簡易で、かつ、安価な治具などを用いて、確実に誤操作を防止することができる誤操作防止方法に適している。
【符号の説明】
【0078】
100 油圧操作ハウジング
101 弁操作部
201 手動圧力降下弁
202 スローリーク弁
300、400 穴部
500、800、900 誤操作防止具
700 表示部材
801 挿入部材
802 蓋部材
901 開口部