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特許7290107ファイバープレイスメント用ドライテープ材料およびその製造方法、ならびにそれを用いた強化繊維積層体および繊維強化樹脂成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ファイバープレイスメント用ドライテープ材料およびその製造方法、ならびにそれを用いた強化繊維積層体および繊維強化樹脂成形体
(51)【国際特許分類】
   B29B 15/14 20060101AFI20230606BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20230606BHJP
   D06M 15/59 20060101ALI20230606BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
B29B15/14
B32B5/28 A
D06M15/59
B29K105:08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019517119
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2019006728
(87)【国際公開番号】W WO2019171982
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2018039436
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三浦 真吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 將之
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-501121(JP,A)
【文献】特表2017-521291(JP,A)
【文献】特表2012-510385(JP,A)
【文献】特開2016-179547(JP,A)
【文献】国際公開第2017/083631(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/04- 5/10、 5/24
B29B 11/16、15/08-15/14
B32B 1/00-43/00
B29C 39/00-43/58、70/00-70/88
D06M 15/59
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)~(iii)を満たす強化繊維ストランドを複数本有し、前記複数本の強化繊維ストランドが、不織布形状の第2の樹脂材料によって互いに拘束・一体化されていることを特徴とするファイバープレイスメント用ドライテープ材料。
(i)前記強化繊維ストランドは、該強化繊維ストランドの前駆体と実質的に等しいフィラメント数を有し、断面の幅方向における両端部の厚みT1(μm)およびT3(μm)が、いずれも前記強化繊維ストランドの中央部における厚みT2(μm)に対して50~200%の範囲内である
(ii)前記強化繊維ストランドは、フィラメント数N〔単位:K〕および幅W〔mm〕が4.8<N/W<12の関係を満たす
(iii)前記強化繊維ストランドは、ガラス転移温度Tgまたは融点Tmが40℃以上200℃以下の加熱溶融性の粒子形状の第1の樹脂材料によって該強化繊維ストランドに含まれる複数の強化繊維フィラメント同士が固定されることで形態保持されている
【請求項2】
前記強化繊維ストランドは、隣接する強化繊維ストランドとの間に隙間を有し、該強化繊維ストランドの長手方向と平行に配置されている、請求項1に記載のファイバープレイスメント用ドライテープ材料。
【請求項3】
前記第1の樹脂材料が、前記強化繊維ストランドの表面に見える状態で付着・部分含浸、または、表面から見えない状態で前記強化繊維ストランドの内部に含浸することで、該強化繊維ストランドに含まれる複数の強化繊維フィラメントを固定・拘束している、請求項1または2に記載のファイバープレイスメント用ドライテープ材料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のファイバープレイスメント用ドライテープ材料を配列・積層し、その層間を固着させた強化繊維積層体。
【請求項5】
請求項4に記載の強化繊維積層体に、マトリックス樹脂を含浸・硬化させた繊維強化樹脂成形体。
【請求項6】
下記(i)(ii)の順により得られる強化繊維ストランド複数本を、不織布形状の第2の樹脂材料によって互いに拘束・一体化することを特徴とするファイバープレイスメント用ドライテープ材料の製造方法。
(i)前記強化繊維ストランドの前駆体をスリットすることなく、前記強化繊維ストランドの断面において、幅方向における両端部の厚みT1(μm)およびT3(μm)のいずれもが、幅方向における中央部の厚みT2(μm)に対して50~200%の範囲内となるように、厚み調整を行なうとともに、前記強化繊維ストランドのフィラメント数N〔単位:K〕および幅W〔mm〕の関係が4.8<N/W<12を満たすよう幅調整を行なう
(ii)ガラス転移温度Tgまたは融点Tmが40℃以上200℃以下の加熱溶融性の粒子形状の第1の樹脂材料を表面に配置し、加熱、冷却により、複数の強化繊維フィラメント同士が固定された強化繊維ストランドを得
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化繊維テープ材料、ならびにそれを配置・積層してなる強化繊維積層体及びその成形品、さらに強化繊維テープ材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
強化繊維と樹脂とからなる繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastic:FRP)は、軽量かつ高強度という特性から、航空、宇宙、自動車用途などに用いられている。FRPの生産性と高強度を両立する成形法として、例えばレジン・トランスファー・モールディング成形法(Resin Transfer Molding:RTM)やVaRTM成形法(Vacuum-assisted Resin Transfer Molding)等のように、強化繊維積層体にあとから樹脂を含浸・硬化させる成形法が挙げられる。RTM成形法は、マトリックス樹脂を予備含浸していないドライな強化繊維束群で構成される強化繊維基材からなる強化繊維積層体を、成形型に配置して、液状で低粘度のマトリックス樹脂を注入することにより、後からマトリックス樹脂を含浸・固化させてFRPを成形する成形法である。特に高い生産性が必要な場合は、樹脂注入時は成形型内キャビティを最終成形品厚みより厚くしておき、型閉じにより高速含浸させることで繊維強化プラスチックの成形時間を短縮する技術などが用いられる。また近年では、強化繊維積層体に液状の樹脂を塗布したのちに型締めを行い、樹脂を含浸させるウェットプレスモールディング法も用いられる。
【0003】
樹脂を含浸・硬化させることで成形される強化繊維積層体は、従来、織物やノンクリンプファブリック(Non Crimp Fabric:NCF)のような、強化繊維束に樹脂が含浸されていないドライな強化繊維束群から構成される一定幅の(すなわち、略矩形の)布帛形態をした強化繊維基材から所望の形状を切り出し、それを三次元形状に賦形、固着することで形成されていた。ところがこのように一定幅の布帛から所望形状を切り出すと、その後に残る端材が多く生成される。すなわち、強化繊維の廃棄量が多くなる。このように、あらかじめ一定幅の布帛形態をした強化繊維基材を製造しておく従来の手法では、製造コストが高くなるという課題があった。
【0004】
このような課題に対し、強化繊維束を、製品形状に合わせた所望の形状となるよう、必要な箇所のみに配置するファイバープレイスメント法が注目されている。ファイバープレイスメント法によれば、必要な箇所に必要な量の強化繊維を配置するため、廃棄される強化繊維の量を大幅に低減することができる。さらにファイバープレイスメント法で製造される強化繊維基材は、従来の織物やNCFに比べて、強化繊維束のクリンプが少なく真直性に優れるため、樹脂を注入・硬化して得られるFRPは高い力学的強度を有する。
【0005】
ファイバープレイスメント法に用いられるドライテープ材料に関する従来技術として、例えば特許文献1(特表2012-510385号公報)では、テープ端部のほつれを避け、テープを構成するストランド幅の標準偏差が0.25mm以下となるような材料およびその製造方法が提案されている。
【0006】
また特許文献2(特表2017-521291号公報)では、プリフォームの製作時から該プリフォームに樹脂を注入含浸して繊維強化樹脂成形体とする成形工程にかけて、ストランドの厚み変化を抑制できるドライテープ材料およびその製造方法が提案されている。この技術では、2種類のバインダーを用いて一方向繊維束内全体を固定することで、繊維強化樹脂成形体の最終厚さに近い低バルク特性を達成できる。
【0007】
また、炭素繊維束の幅制御技術について、文献3(特開2005-280348号公報)では、糸幅を拡幅後、狭幅させる技術が提案されている。この技術では、12Kの強化繊維束を拡幅・狭幅することにより幅7.9mmになるよう制御を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特表2012-510385号公報
【文献】特表2017-521291号公報
【文献】特開2005-280348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ファイバープレイスメント法で製造された強化繊維基材は、強化繊維束の真直性ゆえ樹脂注入時の樹脂流路が少なく、従来の織物やNCFに比べて極端に含浸性が悪い。含浸性が悪いと、注入成形における樹脂注入に要する時間が長くなることで生産サイクルが長くなり、注入成形の高生産性というメリットが失われてしまう。また、注入成形では注入する樹脂が高粘度化する前に(すなわち、ポットライフ内に)樹脂注入を完了する必要があるが、強化繊維基材の含浸性が悪いと使用可能な樹脂やプロセスに制限が生じる。
【0010】
特に、ファイバープレイスメント法においては、ドライテープ材料はガイドローラーによって面方向に押し付けられ、配置ローラーで圧力を受けながら型上に配置されることで、テープ本来の幅が変化してしまうことがある。これにより強化繊維束間の隙間(ギャップ)が埋められると、樹脂流路をふさいでしまうことになり、樹脂注入成形時には強化繊維基材内で樹脂の高速流動がしにくくなる。従って、配置されるドライテープ材料に対しては、寸法安定性に優れ、強化繊維基材の樹脂流動流路を確保できる材料であることが求められる。
【0011】
一方で、ドライテープ材料としては、隣接するストランドどうしの隙間によって樹脂流路を多数確保するために、細幅で配置可能な材料であることが求められる。そのため、ドライテープ材料を構成する強化繊維ストランドはその製造工程途中において幅を制御される。しかし、強化繊維ストランドは幅を狭める工程を通過する際に、端部が擦過して、盛り上がったり片側に寄ったりすることにより、強化繊維ストランド中央部の厚みに比べて、端部の厚みが不均一になりやすい。そして、このようにして巻き取られた強化繊維ストランドからなるドライテープ材料は、特に、ファイバープレイスメント法による配置時に、配置ローラーで圧力を受けながら型上に配置される際に、テープ本来の幅が変化してしまい、強化繊維基材としての含浸性も低下する。
【0012】
ここで、特許文献1に記載の発明では、テープ材料配置時の繊維束間隔を一定とすることができるが、例えばテープを構成する24Kのフィラメントからなる強化繊維束は幅5~12mmの幅を有する。このような強化繊維束からなるテープをファイバープレイスメント法により一方向に配置した際には、強化繊維束の幅が5mm以上であるため、繊維束間に細かな流路が数多くは形成されず、成形時の樹脂流動性を十分に確保することはできない。また、前記強化繊維束の製造工程においては、幅調整によって強化繊維ストランド端部が盛り上がってしまい、配置工程における強化繊維ストランド加圧時に幅・厚みの寸法変化が起きてしまう課題がある。従って、特に高速で樹脂を流した際に強化繊維束内に未含浸が生じやすくなる一方、得られたFRPにおいては、強化繊維束周辺に樹脂リッチ領域が形成され、この樹脂リッチ領域を起点に破壊が生じやすく、力学的強度が低下する懸念がある。
【0013】
また、特許文献2に記載の発明では、幅0.1~61cmのテープが提案されているものの、該テープは、特定のフィラメント数を有するストランドを狭めて1本としているものではなく、ウエブ状のものから、スリットし、フィラメント数を分割することで、細幅化しているものである。そのため、生産性が大きく低下することが懸念される。また、このテープ状材料は、強化繊維ストランドの厚み変化を抑制するものであって、ドライテープ材料配置工程時における幅変化や寸法安定性については課題が残る。
【0014】
さらに、特許文献3に記載の発明は、強化繊維束の幅を制御することで、後工程で得られる織物の品質安定性を確保するものであるが、ファイバープレイスメント用のテープ材料を製作するものではない。またこれにより得られる強化繊維束は厚みおよび幅変化を抑制できるものではなく、フィラメント数N[K]に対する幅W[mm]の割合N/Wも1.6以下となり、仮にファイバープレイスメント用のテープとして用いたとしても、細かな流路は形成されず、樹脂流動性を確保できるものではない。
【0015】
本発明は、かかる従来技術の課題を解決するものであり、具体的には、引き揃えて強化繊維基材とする際に樹脂の含浸性が良好であり、かつ、ファイバープレイスメント法に適した高い生産性を提供することができ、成形した際には高い力学的強度が得られるテープ材料およびその製造方法を提供するものである。また、かかるテープ材料から得られる積層シート基材(強化繊維積層体)およびそのシート基材から得られる繊維強化樹脂成形体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下のいずれかの形態により実現することが可能である。
(1) 下記(i)~(iii)を満たす強化繊維ストランドを複数本有し、前記複数本の強化繊維ストランドが、第2の樹脂材料によって互いに拘束・一体化されていることを特徴とするファイバープレイスメント用ドライテープ材料。
(i)前記強化繊維ストランドは、断面の幅方向における両端部の厚みT1(μm)およびT3(μm)が、いずれも前記強化繊維ストランドの中央部における厚みT2(μm)に対して50~200%の範囲内である
(ii)前記強化繊維ストランドは、フィラメント数N〔単位:K〕および幅W〔mm〕が4.8<N/W<12の関係を満たす
(iii)前記強化繊維ストランドは、ガラス転移温度Tgまたは融点Tmが40℃以上200℃以下の加熱溶融性の第1の樹脂材料によって形態保持されている
(2) 前記強化繊維ストランドは、隣接する強化繊維ストランドとの間に隙間を有し、該強化繊維ストランドの長手方向と平行に配置されている、前記(1)に記載のファイバープレイスメント用ドライテープ材料。
(3) 前記第1の樹脂材料が、前記強化繊維ストランドの表面に見える状態で付着・部分含浸、または、表面から見えない状態で前記強化繊維ストランドの内部に含浸することで、該強化繊維ストランドに含まれる複数の強化繊維フィラメントを固定・拘束している、前記(1)または(2)に記載のファイバープレイスメント用ドライテープ材料。
(4) 下記(i)~(iii)を満たす強化繊維ストランドを1本有し、前記1本の強化繊維ストランドが、第2の樹脂材料によって拘束・一体化されていることを特徴とするファイバープレイスメント用ドライテープ材料。
(i)前記強化繊維ストランドは、断面の幅方向における両端部の厚みT1(μm)およびT3(μm)が、いずれも前記強化繊維ストランドの中央部における厚みT2(μm)に対して50~200%の範囲内である
(ii)前記強化繊維ストランドは、フィラメント数N〔単位:K〕および幅W〔mm〕が、4.8<N/W<12の関係を満たす
(iii)前記強化繊維ストランドは、ガラス転移温度Tgまたは融点Tmが40℃以上200℃以下の加熱溶融性の第1の樹脂材料によって形態保持されている
(5) 前記(1)~(4)のいずれかに記載のファイバープレイスメント用ドライテープ材料を配列・積層し、その層間を固着させた強化繊維積層体。
(6) 前記(5)に記載の強化繊維積層体に、マトリックス樹脂を含浸・硬化させた繊維強化樹脂成形体。
(7) 下記(i)(ii)の順により得られる強化繊維ストランド複数本を、第2の樹脂材料によって互いに拘束・一体化することを特徴とするファイバープレイスメント用ドライテープ材料の製造方法。
(i)前記強化繊維ストランドの断面において、幅方向における両端部の厚みT1(μm)およびT3(μm)のいずれもが、幅方向における中央部の厚みT2(μm)に対して50~200%の範囲内となるように厚み調整を行なうとともに、前記強化繊維ストランドのフィラメント数N〔単位:K〕および幅W〔mm〕の関係が4.8<N/W<12を満たすよう幅調整を行なう
(ii)ガラス転移温度Tgまたは融点Tmが40℃以上200℃以下の加熱溶融性の第1の樹脂材料を表面に配置し、加熱、冷却により強化繊維ストランドを得る
(8) 下記(i)(ii)の順により得られる強化繊維ストランド1本を、第2の樹脂材料によって拘束・一体化することを特徴とするファイバープレイスメント用ドライテープ材料の製造方法。
(i)前記強化繊維ストランドの断面において、幅方向における両端部の厚みT1(μm)およびT3(μm)のいずれもが、幅方向における中央部の厚みT2(μm)に対して50~200%の範囲内となるように厚み調整を行なうとともに、前記強化繊維ストランドのフィラメント数N〔単位:K〕および幅W〔mm〕の関係が4.8<N/W<12を満たすよう幅調整を行なう
(ii)ガラス転移温度Tgまたは融点Tmが40℃以上200℃以下の加熱溶融性の第1の樹脂材料を表面に配置し、加熱、冷却により強化繊維ストランドを得る
(9) 前記(ii)において、表面に配置する前記第1の樹脂材料が粒子形状である、前記(7)または(8)に記載のファイバープレイスメント用ドライテープ材料の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明のテープ材料および積層シート基材(強化繊維積層体)によれば、強化繊維基材とした際に樹脂の含浸性が良好であり、かつ、ファイバープレイスメント法に適した高い生産性を提供することができ、樹脂注入して得られた成形体においても高い力学的強度が得られる。
【0018】
また、本発明の方法で得られたテープ材料を用いると、FRPの生産性・力学特性を向上できるほか、注入する樹脂の種類やプロセスウインドウの幅を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る炭素繊維テープ材料(ドライテープ材料)を構成する強化繊維ストランドおよびその前駆体である強化繊維フィラメント集合体の概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る炭素繊維テープ材料の概略図であって、強化繊維ストランドが第1の樹脂材料で形態保持されている様子を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る炭素繊維テープ材料の概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る炭素繊維テープ材料の概略図である。
図5】本発明の一実施形態に係る、炭素繊維テープ材料からなる強化繊維シート(強化繊維積層体)の概略図である。
図6】本発明の一実施形態に係るドライテープ材料の製造方法の一工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明におけるドライテープ材料は、
下記(i)~(iii)を満たす強化繊維ストランドを複数本有するファイバープレイスメント用ドライテープ材料であって、前記複数本の強化繊維ストランドが、第2の樹脂材料によって互いに拘束・一体化されている、または、
下記(i)~(iii)を満たす強化繊維ストランドを1本有するファイバープレイスメント用ドライテープ材料であって、前記1本の強化繊維ストランドが、第2の樹脂材料によって拘束・一体化されている。
(i)前記強化繊維ストランドは、断面の幅方向における両端部の厚みT1(μm)およびT3(μm)が、いずれも前記強化繊維ストランドの中央部における厚みT2(μm)に対して50~200%の範囲内である
(ii)強化繊維ストランドは、フィラメント数N〔単位:K〕および幅W〔mm〕が4.8<N/W<12の関係を満たす
(iii)強化繊維ストランドは、ガラス転移温度Tgまたは融点Tmが40℃以上200℃以下の加熱溶融性の第1の樹脂材料によって形態保持されている。
【0021】
本発明に用いられる強化繊維としては、特に制限はなく、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維、天然繊維、鉱物繊維等を使用できる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。中でも、成形体の比強度、比剛性が高く軽量化の観点から、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維を好ましく用いることができる。得られる成形品の経済性を高める観点からは、ガラス繊維を好ましく用いることができる。さらに、得られる成形品の衝撃吸収性や賦形性を高める観点から、アラミド繊維を好ましく用いることができる。また、得られる成形体の導電性を高める観点から、ニッケルや銅、イッテルビウム等の金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。
【0022】
本発明に用いる強化繊維ストランドは、例えば強化繊維に有機繊維、有機化合物や無機化合物を混合してもよく、サイジング材を付着させたものであったりしてもよい。
【0023】
本発明におけるドライテープ材料とは、1本の強化繊維ストランドそのものであってもよく、複数の強化繊維ストランドから構成されていても良い。
【0024】
ここで、本発明において、強化繊維ストランドは、断面の幅方向における両端部の厚みT1(μm)およびT3(μm)が、いずれも前記強化繊維ストランドの中央部における厚みT2(μm)に対して50~200%の範囲内であることが重要である。かかる構成によりドライテープ材料をファイバープレイスメント法により配置して強化繊維基材とする際、樹脂の含浸性が良好となり、かつ、高い生産性を達成することができる。また、得られた成形体においては高い力学的強度が得られる。さらに、該ドライテープ材料を用いると、FRPの生産性・力学特性を向上できるほか、注入する樹脂の種類やプロセスウインドウの幅を広げることもできる。
【0025】
より具体的には、T1(μm)およびT3(μm)が、T2(μm)に対して200%以下であることにより、ドライテープ材料がファイバープレイスメント法にて配置される際の、強化繊維ストランドの幅変化を抑制することが可能となる。強化繊維ストランドの端部が中央部に比べて極端に厚い場合、強化繊維ストランドは、ファイバープレイスメント法にて型に押し付けられるため、端部が押付けられることで拡がってしまうが、T1(μm)およびT3(μm)が、T2(μm)に対して200%以下である場合、端部の幅が拡がることをおさえられる。このような強化繊維ストランドからなるテープを用いることで、樹脂含浸流路となるストランド間の隙間を確保することが可能となり、樹脂含浸時の生産性を向上させることができる。上限値は175%より小さいことが好ましく、150%より小さいことがより好ましい。T1(μm)およびT3(μm)が、T2(μm)に対して100%に近いほど、その効果はより顕著になる。
【0026】
一方、強化繊維ストランド端部の厚みが、強化繊維ストランド中央部に対して小さい場合には、強化繊維ストランドからなるドライテープ材料がファイバープレイスメント法にて型の上に配置される際、強化繊維ストランドの中央部が押付けられることで、強化繊維ストランドは幅方向に全体的に拡がる。このとき、T1(μm)およびT3(μm)が、T2(μm)に対して50%以上である場合、強化繊維ストランドは、比較的幅方向全体にわたってローラーで押付けられるので、該ローラーによる荷重が一か所に集中せず分散されることになる。そのため、強化繊維ストランドの幅が拡がることをおさえられる。従って、その下限値は50%以上であることが重要であり、75%以上であることがより好ましい。
【0027】
そして、強化繊維ストランドは、幅W〔mm〕とフィラメント数N〔単位K〕について、4.8<N/W<12の関係を満たすことが重要である。下限値は5.8より大きいことが好ましく、7.8より大きいことがより好ましい。
【0028】
N/Wが4.8より大きい場合、強化繊維ストランドのフィラメント数が一定であれば、ストランド幅をより小さくすることができる。すなわち、N/Wを4.8よりも大きくするということは、強化繊維ストランドのフィラメント数が一定と考えた場合定数N/4.8よりも小さい幅の強化繊維ストランドを用いるということである。そのため、該強化繊維ストランドで構成されたドライテープ材料には、隣り合う複数本の強化繊維ストランドの間に隙間(ギャップ)を細かく配置することができる。その結果、該ドライテープ材料をファイバープレイスメント法にて一方向に配列すると、複数本の強化繊維ストランドの間に存在する隙間をマトリックス樹脂の流路として確保することができ、成形時のマトリックス樹脂流動を容易にすることができる。一方、強化繊維ストランドのストランド幅が一定であれば、フィラメント数Nを増やすことができる。すなわち、N/Wを4.8よりも大きくするということは、フィラメント数Nが定数4.8Wよりも多い強化繊維ストランドを用いるということである。そのため、該強化繊維ストランドで構成されたドライテープ材料をファイバープレイスメント法にて一方向に配列すると、得られる基材の1層当りの目付けを大きくすることができ、基材の積層に要する時間を短縮し、生産性を向上することができる。
【0029】
N/Wの値が大きくなることで、その効果はより顕著になる。ただし、N/Wの値が大きくなり過ぎると、強化繊維ストランドのフィラメント数が一定であれば、ストランド幅が小さくなり過ぎて強化繊維ストランドの配置時間が大幅に増える課題が生じたり、強化繊維ストランドのストランド幅が一定であれば、フィラメント数Nが増えすぎて基材の厚みの制御が困難になるほか、強化繊維ストランド内へのマトリックス樹脂含浸が困難になったりするおそれがある。このような観点から、N/Wの上限値は12であることが重要であり、10より小さいことが好ましく、8より小さいことがより好ましい。
【0030】
また、本発明で用いる、強化繊維ストランドの形態を保持する加熱溶融性の第1の樹脂材料は、そのガラス転移点温度Tg(℃)または融点Tm(℃)が40℃以上200℃以下であることが重要である。なお、加熱溶融性の第1の樹脂材料が、例えば結晶性ポリマーのように、ガラス転移点温度Tg(℃)と融点Tm(℃)の両方を有する場合には、融点Tm(℃)が40℃以上200℃以下であることが重要である。このような第1の樹脂材料は、加熱により粘度が低下した後、冷却する等して常温に戻った状態のときに、強化繊維ストランドを構成するフィラメント同士を固定し、強化繊維ストランドとして一定の形態を保持することがより確実になる。
【0031】
次に、本発明に係るテープ材料について図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0032】
テープ材料を構成する強化繊維ストランドおよびその前駆体としての強化繊維フィラメント集合体の概略図を図1に示す。強化繊維ストランド10のフィラメント数とは、強化繊維ストランド10を構成する強化繊維フィラメント(単糸)101の数である。強化繊維ストランド10は、前駆体としての強化繊維フィラメント集合体20の幅や厚みを調整し、第1の樹脂材料でその形態を保持することで得られる。なお、強化繊維フィラメント集合体20において、強化繊維フィラメント101はサイジング材などの集束材により集束されているが、形状が完全には固定されておらず、張力開放時に形態が変化してしまう場合もある。
【0033】
強化繊維ストランド端部の厚みT1(μm)、T3(μm)とは、図1に示すように、強化繊維ストランドの進行方向と同一平面上における、進行方向に対して垂直方向をなす方向(強化繊維ストランドの長手方向に対して垂直な二方向のうち幅広な方向)をストランド幅方向とみなしたときに、該ストランド幅方向の断面における、各端から1mm内側の部分の厚みとする。また、ストランド中央部厚みT2とは、ストランド幅方向の断面の中央部分、すなわち左右の端からの距離が等しい部分の厚みを指す。
【0034】
強化繊維ストランド10の各厚みT1(μm)、T2(μm)、T3(μm)は以下のように測定する。強化繊維ストランドは、200~3000cNの範囲の一定張力でボビンから引き出した状態で、常温硬化性の樹脂を付与して含浸・硬化することで、その形態を保存する。得られたサンプルを包埋して、断面を観察することで、その端部および中央部における強化繊維ストランド厚みを測定することができる。
【0035】
強化繊維ストランド10におけるフィラメント数は以下のとおり測定する。測定しようとする強化繊維ストランド10にエポキシ樹脂を含浸・硬化させる。その後、硬化させた強化繊維ストランド10の長手方向と垂直方向に切断して断面が判別できるようにした後に、断面を研磨し、デジタルマイクロスコープ(例えばキーエンス製VHX-1000)で断面観察を行う。得られた画像に対して2値化処理を施し、強化繊維ストランド10に含まれる強化繊維フィラメントの各断面を抽出してカウントした数をフィラメント数とする。
【0036】
また、強化繊維ストランド10の幅は以下のとおり測定する。超高速・高精度寸法測定器(例えば、株式会社キーエンス製 LS-9500)を用いて、強化繊維ストランド10を、200~3000cNの範囲の一定張力、2.5m/分の一定速度で10m巻き出しながらストランド幅を計測する。ストランド幅は、強化繊維ストランド10の進行方向と同一平面上における、進行方向に対して垂直方向をなす、強化繊維ストランド10の外寸(一方の端から他方の端までの最大距離)を指す。ストランド幅は1秒ごとに計測し、得られたデータの平均値を強化繊維ストランド幅とする。
【0037】
なお、ドライテープ材料から強化繊維ストランドの厚み、フィラメント数、幅を測定するにあたっては、該ドライテープ材料から強化繊維ストランド10を1本のみ取り出し、200~3000cNの範囲の一定張力を付与した状態で、常温硬化性の樹脂を含浸・硬化することで、その形態を保存する。その後、得られたサンプルを包埋して、断面を観察した後、上述と同様の方法で測定することができる。ドライテープ材料が複数の強化繊維ストランド10から構成されている場合、強化繊維ストランド10の間に設けられている隙間を境界として、強化繊維ストランド10を1本のみ取り出すものとする。
【0038】
強化繊維ストランド10の幅Wは、30mm未満であることが好ましく、10mm未満がより好ましく、5mm未満であることがさらに好ましい。強化繊維ストランド10の幅が30mm以上になる場合、ファイバープレイスメント法によって平行配置された際の強化繊維ストランド10の間に形成される隙間同士の間隔が大きくなってしまい、マトリックス樹脂流路が細かく配置されない。そのため、成形時に強化繊維ストランド10内の厚み方向へマトリックス樹脂が含浸しにくくなり、生産性が低下してしまう懸念がある。また、マトリックス樹脂流動に長時間を要し、マトリックス樹脂注入成形に必要なマトリックス樹脂粘度が上昇してしまい、未含浸部位が発生しやすく、著しく成形品の力学特性が悪化する懸念もある。強化繊維ストランド10の幅が30mm未満であると、強化繊維ストランド10の間に形成される隙間同士の間隔を狭めて、隙間の数を増やして配置することができるため、所望のマトリックス樹脂流路を確保できるとともに、強化繊維ストランド10の配置本数も増やすことができる。また、強化繊維ストランド10の幅が10mm未満である場合、マトリックス樹脂流路の配置本数をより増やすことができ、さらに、幅が5mm未満である場合は、該配置本数をさらに増やすことができ、成形時に高い生産性を実現するとともに、成形品の力学特性等を向上させることができる。
【0039】
強化繊維ストランド10のフィラメント数N(単位:K=1,000本)は、60K(60,000)本以下であることが好ましい。強化繊維ストランド10の単繊維数が60K本より多い場合、強化繊維ストランド10の繊維目付が高くなり、ファイバープレイスメント法で強化繊維ストランド10を引き揃えて基材にした際に1層あたりの炭素繊維目付が高くなりすぎるため、配向設計の許容範囲を狭めてしまうおそれがある。
【0040】
ここで、強化繊維ストランド10の幅Wは、強化繊維フィラメント集合体20の幅W’より小さいことが好ましい。強化繊維フィラメント集合体20の幅W’に比べて強化繊維ストランド10の幅Wが小さいと、ファイバープレイスメント法でドライテープ材料を配置して基材にしようとする際、隣り合う強化繊維ストランド10の間に設ける隙間(ギャップ)を結果的に細かい間隔で配置できることになり、強化繊維ストランド10間の隙間を樹脂流路として十分確保することができる。
【0041】
また、強化繊維ストランド10と強化繊維フィラメント集合体20のフィラメント数は実質的に等しいことが好ましい。強化繊維フィラメント集合体20をスリットして所定のフィラメント数に調整するということを避けることで、ファイバープレイスメント法で強化繊維ストランド10を引き揃えて基材とする際に、強化繊維ストランド10の配置回数を低減でき、生産性を向上することができる。
【0042】
次に、本発明の一実施形態に係る炭素繊維テープ材料の概略図(強化繊維ストランドに第1の樹脂材料が付与され形態保持されている状態を示す図)を図2に示す。
【0043】
強化繊維ストランド10の形態保持に用いられる加熱溶融性の第1の樹脂材料は、強化繊維ストランド10を構成するフィラメント同士を固定し、強化繊維ストランドとして一定の形態を保持することができれば、図2(a)に示されるように粒子102のような形状でも、図2(b)に示されるように不織布103の形状でもよい。第1の樹脂材料は、これらの形状に限定されるものではなく、フィルム、メッシュ、エマルジョン、コーティング、または強化繊維ストランド束に巻きつける補助糸でも良い。
【0044】
第1の樹脂材料の材質としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、さらに、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、およびこれら樹脂を2種類以上ブレンドした樹脂等を用いることができる。
【0045】
これらの加熱溶融性の第1の樹脂材料は、強化繊維積層体とした際の層間を固着する接着機能のほか、含浸時におけるマトリックス樹脂流路を確保する目的や、高いじん性を発揮する材質の樹脂を使用することで層間を強化する目的でも使用することができる。
【0046】
強化繊維ストランド10の固定形態としては、強化繊維ストランド10の表面に第1の樹脂材料が見える状態で付着・部分含浸して、強化繊維ストランドに含まれる複数の強化繊維フィラメントを拘束していても良く、表面から見えない状態で強化繊維ストランド10の内部に含浸して、強化繊維ストランドに含まれる複数の強化繊維フィラメントを拘束していても良い。この他にも、第1の樹脂材料を強化繊維ストランド10に巻き付ける、または被覆することもできる。
【0047】
強化繊維ストランド10を固定するために必要な第1の樹脂材料の量は、強化繊維ストランド10の重量に対して25wt%以下であることが好ましく、20wt%以下であることがより好ましく、15wt%以下であることがさらに好ましい。第1の樹脂材料の量が25wt%よりも大きくなると、ドライテープ材料をファイバープレイスメント法により配列、積層して強化繊維積層体とし、成形する際、マトリックス樹脂の流動性が低下し生産性が低下するだけでなく、マトリックス樹脂の流動に長時間を要し、マトリックス樹脂の注入成形に必要なマトリックス樹脂粘度が上昇してしまい、未含浸部位が発生し、著しく成形品の力学特性が悪化する。
【0048】
次に、複数本の強化繊維ストランド10を並べてドライテープ材料とした概略図を図3に示す。
【0049】
ドライテープ材料50、60は、複数本の強化繊維ストランド10が、第2の樹脂材料によって互いに拘束・一体化されている。それぞれの強化繊維ストランド10は、該強化繊維ストランド10の幅方向に平行(並列)に配置されていることが好ましい。さらに、ドライテープ材料を構成する複数の強化繊維ストランド10同士の間には隙間が存在することが好ましい。
【0050】
ドライテープ材料が強化繊維ストランド10を複数本含み、それらが互いに一体化されていることにより、ドライテープ材料の単位長さあたりの強化繊維フィラメント数および重量は大きくなり、ファイバープレイスメント法で強化繊維ストランド10を引き揃えて基材とするのに要する時間を短縮し、生産性を向上することができる。また、ドライテープ材料を構成する複数本の強化繊維ストランド10間に隙間があることで、ファイバープレイスメント法にて一方向に配列し基材とした場合、マトリックス樹脂の流路を確保することができる。また、ドライテープ材料をファイバープレイスメント法にて隙間なく一方向に配列して基材とした場合にも、ドライテープ材料内で固定されている複数の強化繊維ストランド10の間に隙間が設けられているため、成形時のマトリックス樹脂流動性を確保することができる。
【0051】
第2の樹脂材料の材質としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、さらに、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、フッ素系樹脂、およびアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、およびこれら樹脂を2種類以上ブレンドした樹脂等を用いることができる。
【0052】
これらの加熱溶融性の第2の樹脂材料は、強化繊維積層体とした際の層間を固着する接着機能のほか、含浸時におけるマトリックス樹脂流路を確保する目的や、高いじん性を発揮する材質の樹脂を使用することで層間を強化する目的でも使用することができる。
【0053】
複数本の強化繊維ストランド10を互いに一体化する第2の樹脂材料としては、強化繊維ストランドを拘束・一体化することができれば図3(a)に示されるように粒子104のような形状で、また、図3(b)に示されるように不織布105のような形状でもよい。またこれらの形状に限定されるものではなく、フィルム、メッシュ、エマルジョン、コーティング、または強化繊維ストランドに巻きつける補助糸でも良い。
【0054】
第2の樹脂材料が第1の樹脂材料とは異なる材質、異なる形態である場合、第2の樹脂材料自体は、ストランドの形態を保持する必要はなく、複数本の強化繊維ストランド10が分離しないようにそれらにまたがって、貼り付けられていればよい。例えば、粒子形状の樹脂材料が溶融することで複数のストランド両方の端部にまたがって接着していればよい。
【0055】
一方、第2の樹脂材料は、第1の樹脂材料と同様の材質、同様の形態でも良い。その場合、それらの樹脂材料は、強化繊維ストランド10の形状を固定し保持する機能と、複数の強化繊維ストランド10同士を拘束するための両方の機能を満たすことが好ましい。その方法としては、不織布形状の第1、第2の樹脂材料が、複数の強化繊維ストランド10の表面にまたがって貼り付けられつつ、各強化繊維ストランド10を固定していても良いし、粒子形状の樹脂材料が溶融することで、各強化繊維ストランド10を固定しつつ、複数のストランド両方の表面および端部にまたがって接着していても良い。
【0056】
また、ドライテープ材料を1本の強化繊維ストランドから構成する場合において、第2の樹脂材料は、該強化繊維ストランド自体を拘束・一体化するものである。例えば図4に示すように、粒子102のような形状の第1の樹脂材料でフィラメント同士を固定した強化繊維ストランド10を、さらに不織布105のような第2の樹脂材料で覆ってドライテープ材料80とすればよい。
【0057】
次に、ドライテープ材料を用いた強化繊維積層体の概略図を図5に示す。
【0058】
強化繊維積層体70は、ドライテープ材料60を配列・積層し、その層間を固着することで形状が保持されたものである。このような構成をとることで、強化繊維積層体70を構成する強化繊維ストランド10同士の隙間を任意の距離に設定して配置することができる。その結果、成形時におけるマトリックス樹脂の流動性を十分確保することができ、生産性が向上する。
【0059】
また、ドライテープ材料を用いた強化繊維積層体70に、マトリックス樹脂を含浸して硬化させて繊維強化樹脂成形体とすることが好ましい。前記構成をとることにより、繊維強化樹脂成形品は、その内部まで樹脂が完全含浸し、高い力学特性を有することができる。
【0060】
以上のようなファイバープレイスメント用ドライテープは、下記(i)(ii)の順により得られる複数本の強化繊維ストランドを、第2の樹脂材料によって互いに拘束・一体化することで得られる。
(i)前記強化繊維ストランドの断面において、幅方向における両端部の厚みT1(μm)およびT3(μm)のいずれもが、幅方向における中央部の厚みT2(μm)に対して50~200%の範囲内となるように厚み調整を行うとともに、前記強化繊維ストランドのフィラメント数N〔単位:K〕および幅W〔mm〕の関係が4.8<N/W<12を満たすよう幅調整を行う
(ii)ガラス転移温度Tgまたは融点Tmが40℃以上200℃以下の加熱溶融性の第1の樹脂材料を表面に配置し、加熱、冷却により強化繊維ストランドを得る
本発明の一実施形態に係るドライテープ材料の製造方法の一工程を図6に示す。
【0061】
強化繊維ストランド10は、強化繊維フィラメント集合体20をスリットせず、幅や厚みを狭めた後、加熱溶融性の第1の樹脂材料でその形状を固定することにより得られる。このとき、前記(i)(ii)を満足するようにする。強化繊維フィラメント集合体20の幅や厚みを狭める工程を通過させることにより、強化繊維フィラメント集合体20のフィラメント数Nを実質的に変化させることなく幅Wや厚みを変化させることができ、幅に対するフィラメント数(N/W)を相対的に大きくすること、換言すれば、フィラメント数に対するストランド幅を相対的に小さくすることができる。このため、複数本の強化繊維ストランド10同士の間にマトリックス樹脂流路となる隙間を数多く確保できるドライテープ材料を製造することができる。
【0062】
強化繊維ストランド10の幅や厚みを狭める方法としては、強化繊維フィラメント集合体20を、引き抜き前より幅が狭くなるようなガイドローラーを通過させる方法や、厚みと幅が決まったダイを通過させる方法、これらを多段階的に組み合わせて、幅を狭めたり厚みを調整する方法を適用できる。また幅を狭めたり厚みを調整する際には、強化繊維フィラメント集合体20表面に付着した集束材の粘度を下げるために、加熱しながら行うこともできる。また、集束材を含む樹脂バス(樹脂槽)を通過させながら行うこともできる。
【0063】
以上のように厚みや幅が調整された強化繊維ストランド10は、加熱溶融性の第1の樹脂材料によりその形状が固定される。その結果、ドライテープ材料から基材を製作する際に、強化繊維ストランド10の配置の自由度が高められ、強化繊維ストランド10の間の隙間を確保することができる。すなわち、強化繊維ストランド10が形状変化しにくいため、該強化繊維ストランド10を所望の間隔をあけて配置することができる。
【0064】
そして、本発明では、ファイバープレイスメント法を用いて、ドライテープ材料を平行に配置した基材を形成し、各基材を織ることなく重ね合わせて、各基材の層間を接着することにより、強化繊維積層体を製作することができる。
【実施例
【0065】
本発明に係るドライテープ材料について、実施例に基づいて説明する。
【0066】
(実施例1)
<強化繊維フィラメント集合体>
強化繊維フィラメント集合体として、予めサイジング処理を施した、東レ株式会社製炭素繊維「トレカ」(登録商標)T800SC、炭素繊維フィラメント数が24,000本(N=24K)を用いた。
【0067】
<ドライテープ材料>
図示しない炭素繊維ストランド製造装置を用いて、幅W’=8mm、フィラメント数N〔K〕=24(N/W=3)の炭素繊維フィラメント集合体を平行に引き出して、厚みを調整しながらスリットせずに幅を狭めた炭素繊維ストランド(10)(端部と中央部の厚みの比率は、T1/T2=111、T3/T2=142)を得た。その後、軟化点温度80℃の加熱溶融樹脂粒子(平均粒径:0.2mm)を炭素繊維フィラメント集合体の表面に散布し、溶融、冷却することで、その形態が固定された炭素繊維ストランドを得た。
【0068】
3本の炭素繊維ストランドの間にそれぞれ0.2mmの隙間を設けるように幅方向に平行に引きそろえた後、軟化点温度180℃の不織布(材質:ポリアミド)をその表面に配置し、加熱して3本の炭素繊維ストランドを互いに拘束・一体化させることにより、ドライテープ材料を得た。
【0069】
<積層シート基材>
図示しないファイバープレイスメント装置を用いて、架台上にドライテープ材料を、それぞれのテープ間に0.2mmの隙間を設けるように一方向に引き揃えて配置し、1000mm×1000mmの正方形形状となるようにドライテープ材料を切断しながら配置を繰り返して基材を製作し、それぞれの基材を構成する炭素繊維束の配向方向が直交するように積層し、各層間を接着することで積層シート基材を製作した。
【0070】
<強化繊維積層体>
複数の前記積層シート基材を強化繊維積層体目付けが2.4kg/mとなるように積層し、平面状の型上に配置した後、バッグフィルムとシーラントにて密閉して真空に減圧した状態で、80℃のオーブンで1時間加熱した。その後、オーブンから取り出し、強化繊維積層体型を室温まで冷却した後に放圧して強化繊維積層体を得た。
【0071】
(実施例2)
厚みを調整し、強化繊維ストランドの厚みの比率が、T1/T2=127、T3/T2=170のストランドをドライテープ材として用いた以外は、実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
【0072】
(実施例3)
強化繊維ストランドの厚みの比率が、T1/T2=164、T3/T2=121のストランドをドライテープ材として用いた以外は、実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
【0073】
(比較例1)
強化繊維ストランドの厚みの比率が、T1/T2=294、T3/T2=124のストランドをドライテープ材として用いた以外は、実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
【0074】
(実施例4)
<強化繊維フィラメント集合体>
強化繊維フィラメント集合体として、予めサイジング処理を施した、東レ株式会社製炭素繊維「トレカ」(登録商標)T800SC、炭素繊維フィラメント数が24,000本(N=24K)を用いた。
【0075】
<ドライテープ材料>
図示しない炭素繊維ストランド製造装置を用いて、幅W’=8mm、フィラメント数N〔K〕=24(N/W=3)の炭素繊維フィラメント集合体を平行に引き出して、スリットせずに幅Wを4mm(N/W=6)に狭めた。その後、軟化点温度80℃の加熱溶融樹脂粒子(平均粒径:0.2mm)を炭素繊維フィラメント集合体の表面に散布し、溶融、冷却することで、幅Wが4mm(N/W=6)で、その形態が固定された炭素繊維ストランド(T1/T2=95、T3/T2=110)を得た。得られたストランド3本をドライテープ材料として用い、以下、実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
【0076】
(実施例5)
ドライテープ材料として、強化繊維ストランドの幅が4mm(N/W=6)、T1/T2=113、T3/T2=109のストランド1本をドライテープ材料として用いた以外は、実施例4と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
【0077】
(実施例6)
幅を4.8mm(N/W=5)、T1/T2=84、T3/T2=87とした以外は実施例4と同様の手順で得た強化繊維ストランド2本を、隙間なく平行に引きそろえて配置し、実施例4と同様の手順でドライテープ材料とした。また、このドライテープ材料を用いて、実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
【0078】
(実施例7)
図示しない炭素繊維ストランド製造装置を用いて、幅W’=8mm、フィラメント数N〔K〕=24(N/W=3)の炭素繊維フィラメント集合体2本を平行に重ねるように引き出して、厚みと幅が決まった加熱ダイを通過させ、炭素繊維フィラメント集合体2本を一体化した状態で幅Wを5mm(N/W=9.6)に狭めた。その後、軟化点温度80℃の加熱溶融樹脂粒子(平均粒径:0.2mm)を炭素繊維フィラメント集合体の表面に散布し、溶融、冷却することで、幅Wが5mm(N/W=9.6)で、その形態が固定された炭素繊維ストランド(T1/T2=89、T3/T2=80)を得た。得られたストランド2本をドライテープ材料として用いて、実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
【0079】
(比較例2)
幅8mmの強化繊維フィラメント集合体の幅を狭めないまま、実施例4と同様の手順で得た強化繊維ストランド1本をドライテープ材料として用いた以外は、実施例1と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
【0080】
(比較例3)
幅を5mm(N/W=4.8)とした以外は実施例4と同様の手順で得た強化繊維ストランドを2本、炭素繊維ストランドの間にそれぞれ0.2mmの隙間を設けるように幅方向に平行に引きそろえた後、実施例4と同様の手順でドライテープ材料とした。また、このドライテープ材料を用いて、実施例4と同様の手順で強化繊維積層体を得た。
【0081】
(比較例4)
図示しない炭素繊維ストランド製造装置を用いて、幅W’=8mm、フィラメント数N〔K〕=24(N/W=3)の炭素繊維フィラメント集合体を平行に引き出して、厚みと幅が決まった加熱ダイを通過させ、幅Wを1.8mm(N/W=13.3)に狭めた。その後、軟化点温度80℃の加熱溶融樹脂粒子(平均粒径:0.2mm)を炭素繊維フィラメント集合体の表面に散布し、溶融、冷却したが、得られた炭素繊維ストランドは形態が固定されず、幅が2.1mmに広がったため、所望の炭素繊維ストランドを得られなかった。
【0082】
(評価)
各実施例・比較例において製作した強化繊維積層体について、図示しない含浸試験装置にて、面外方向(厚み方向)の樹脂含浸試験をおこなった。表1に、実施例1~3および比較例1で得た強化繊維積層体の面外方向の含浸係数Kzを、比較例1の値を1とした場合の比で示した。また、表2に、実施例4~7および比較例2、3で得た強化繊維積層体の面外方向の含浸係数Kzを、比較例2の値を1とした場合の比で示した。
【0083】
ここで含浸係数Kzとは、次式で表すDarcy則に用いられる、繊維基材の含浸性の指標である。
V = Kz ∇P/i (1)
V:流体の含浸速度 Kz:含浸係数 ∇P:圧力勾配 i:流体粘度
〔実施例1〕
強化繊維ストランドの厚みを調整し厚みの比率をT1/T2=111、T3/T2=142とした3本のストランド間に0.2mmの隙間を有するドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、含浸試験の結果、成形時に未含浸が発生しない程度の優れた含浸性が得られ、強化繊維ストランドの厚みが、T1/T2=294、T3/T2=124である比較例1に対して、含浸係数Kzは6倍に向上した。
【0084】
〔実施例2〕
強化繊維ストランドの厚みを調整し厚みの比率をT1/T2=127、T3/T2=170とした3本のストランド間に0.2mmの隙間を有するドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、含浸試験の結果、成形時に未含浸が発生しない程度の良好な含浸性が得られ、強化繊維ストランドの厚みが、T1/T2=294、T3/T2=124である比較例1に対して、含浸係数Kzは3倍に向上した。
【0085】
〔実施例3〕
強化繊維ストランドの厚みを調整し厚みの比率をT1/T2=164、T3/T2=121とした3本のストランド間に0.2mmの隙間を有するドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、含浸試験の結果、成形時に未含浸が発生しない程度の良好な含浸性が得られ、強化繊維ストランドの厚みが、T1/T2=294、T3/T2=124である比較例1に対して、含浸係数Kzは2倍に向上した。
【0086】
〔比較例1〕
強化繊維ストランドの厚みを調整し厚みの比率をT1/T2=294、T3/T2=124とした3本のストランド間に0.2mmの隙間を有するドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、含浸試験の結果、成形時に未含浸が発生しうる程度の低い含浸性となった。
【0087】
〔実施例4〕
強化繊維ストランドを狭めて幅Wを4mm(N/W=6)とした3本のストランド間に0.2mmの隙間を有するドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、含浸試験の結果、成形時に未含浸が発生しない程度の優れた含浸性が得られ、強化繊維ストランドを狭めずN/Wが3である比較例2に対して、含浸係数Kzは6倍に向上した。また、実施例4では、1本のドライテープ材料あたりのストランド数が3本であるため、1本のドライテープ材料あたりのストランド数が1本である比較例2に対して、0.3倍の配置回数で強化繊維積層体を製作することができ、積層に要する時間を短縮することができた。
【0088】
〔実施例5〕
強化繊維ストランドを狭めて幅Wを4mm(N/W=6)とした1本のストランドからなるドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、含浸試験の結果、成形時に未含浸が発生しない程度の優れた含浸性が得られ、強化繊維ストランドを狭めずN/Wが3である比較例2に対して、含浸係数Kzは6倍に向上した。
【0089】
〔実施例6〕
強化繊維ストランドを狭めて幅Wを4.8mm(N/W=5)とした2本のストランドが隙間なく並んだドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、含浸試験の結果、成形時に未含浸が発生しない程度の良好な含浸性が得られ、強化繊維ストランドを狭めず、N/Wが3である比較例2に対して、含浸係数Kzは2倍に向上した。また、実施例6に記載のドライテープ材料を用いたとき、強化繊維積層体を製作するためのドライテープ材料の配置回数は、比較例2に対して0.5倍であり、積層に要する時間を短縮することができた。
【0090】
[実施例7]
強化繊維ストランドを狭めて幅Wを5mm(N/W=9.6)とした2本のストランド間に0.2mmの隙間を有するドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、含浸試験の結果、成形時に未含浸が発生しない程度の優れた含浸性が得られ、強化繊維ストランドを狭めずN/Wが3である比較例2に対して、含浸係数Kzは4倍に向上した。
【0091】
〔比較例2〕
幅Wが8mm(N/W=3)のストランドからなるドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、含浸試験の結果、成形時に未含浸が発生しうる程度の低い含浸性となった。
【0092】
〔比較例3〕
幅Wが5mm(N/W=4.8)の2本のストランド間に0.2mmの隙間を有するドライテープ材料を用いた強化繊維積層体は、成形時に未含浸が発生しうる程度の低い含浸性となった。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明で得られるドライテープ材料やこれを用いた強化繊維積層体は、マトリックス樹脂の含浸性に優れるため、特に、航空機や自動車、船舶等向けの大型部材や、風車ブレードのような一般産業用途の部材にも好適である。
【符号の説明】
【0096】
10 強化繊維ストランド
20 強化繊維フィラメント集合体
30、40 ドライテープ材料
50、60 ドライテープ材料
70 強化繊維積層体
80 ドライテープ材料
101 強化繊維フィラメント
102 加熱溶融性樹脂を主成分とする粒子
103 加熱溶融性樹脂を主成分とする不織布
104 粒子
105 不織布
図1
図2
図3
図4
図5
図6