(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】無線端末及び無線端末における方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/20 20180101AFI20230606BHJP
H04W 48/00 20090101ALI20230606BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20230606BHJP
H04W 76/27 20180101ALI20230606BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20230606BHJP
【FI】
H04W76/20
H04W48/00 110
H04W72/1268
H04W76/27
H04W92/20
(21)【出願番号】P 2022146995
(22)【出願日】2022-09-15
(62)【分割の表示】P 2020195021の分割
【原出願日】2017-11-21
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2017000801
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】二木 尚
(72)【発明者】
【氏名】林 貞福
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】Huawei, HiSilicon,UL data transmission in RRC_INACTIVE[online],3GPP TSG RAN WG2 #96 R2-168544,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_96/Docs/R2-168544.zip>,2016年11月05日
【文献】LG Electronics Inc.,UE dedicated on-demand SI delivery in New RAT[online],3GPP TSG RAN WG2 #96 R2-168416,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_96/Docs/R2-168416.zip>,2016年11月05日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末であって、
トランシーバと、
前記トランシーバを制御するよう構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、RRC_CONNECTED状態、RRC_INACTIVE状態、及びRRC_IDLE状態の間での前記無線端末の状態遷移を制御するよう構成され、
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに、もし前記無線端末が前記RRC_INACTIVE状態であり、且つもし前記無線端末がキャンプオンしている現在セルが前記RRC_CONNECTED状態から前記RRC_INACTIVE状態への状態遷移が起こった第1のセルとは異なるセルであり、且つ前記現在セルが第1の条件を満たした場合、前記RRC_CONNECTED状態に遷移する前に前記現在セルにおいてデータ送信を行うことを前記無線端末に許可さ
れ、
前記第1の条件は、前記現在セルが前記第1のセルにおいて受信したRAN通知エリアに含まれることであり、
もし前記無線端末が前記RRC_INACTIVE状態であり、且つもし前記現在セルが前記RRC_CONNECTED状態から前記RRC_INACTIVE状態への状態遷移が起こった前記第1のセルとは異なるセルであり、且つもし前記現在セルが前記第1の条件を満たさない場合、前記RAN通知エリアの更新手順を実行し、
前記RAN通知エリアの更新手順が完了し前記RRC_INACTIVE状態で送信すべきデータが発生した場合、前記RRC_CONNECTED状態に遷移する前に前記現在セルにおいてデータ送信を行うことが許可される、
無線端末。
【請求項2】
前記第1のセルを制御する第1の基地局と前記現在セルを制御する第2の基地局とは異なる基地局である、
請求項1に記載の無線端末。
【請求項3】
無線端末における方法であって、
RRC_CONNECTED状態、RRC_INACTIVE状態、及びRRC_IDLE状態の間での前記無線端末の状態遷移を制御することを備え、
前記方法は、さらに、もし前記無線端末が前記RRC_INACTIVE状態であり、且つもし前記無線端末がキャンプオンしている現在セルが前記RRC_CONNECTED状態から前記RRC_INACTIVE状態への状態遷移が起こった第1のセルとは異なるセルであり、且つ前記現在セルが第1の条件を満たした場合、前記RRC_CONNECTED状態に遷移する前に前記現在セルにおいてデータ送信を行うことを前記無線端末に許可することを備
え、
前記第1の条件は、前記現在セルが前記第1のセルにおいて受信したRAN通知エリアに含まれることであり、
もし前記無線端末が前記RRC_INACTIVE状態であり、且つもし前記現在セルが前記RRC_CONNECTED状態から前記RRC_INACTIVE状態への状態遷移が起こった前記第1のセルとは異なるセルであり、且つもし前記現在セルが前記第1の条件を満たさない場合、前記RAN通知エリアの更新手順を実行し、
前記RAN通知エリアの更新手順が完了し前記RRC_INACTIVE状態で送信すべきデータが発生した場合、前記RRC_CONNECTED状態に遷移する前に前記現在セルにおいてデータ送信を行うことが許可される、ことをさらに備える、
方法。
【請求項4】
前記第1のセルを制御する第1の基地局と前記現在セルを制御する第2の基地局とは異なる基地局である、
請求項
3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システムに関し、特に無線端末の送信制御に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP(登録商標))は、2020年以降の導入に向けた第5世代移動通信システム(5G)の標準化作業を3GPP Release 14として2016年に開始している(非特許文献1を参照)。5Gは、LTE及びLTE-Advancedの継続的な改良・発展(enhancement/evolution)と新たな5Gエア・インタフェース(新たなRadio Access Technology(RAT))の導入による革新的な改良・発展の組合せで実現されると想定されている。新たなRATは、例えば、LTE/LTE-Advancedの継続的発展が対象とする周波数帯(e.g., 6 GHz以下)よりも高い周波数帯、例えば10 GHz以上のセンチメートル波帯及び30 GHz以上のミリ波帯をサポートする。
【0003】
本明細書では、第5世代移動通信システムは、5G System、又はNext Generation (NextGen) System(NG System)とも呼ばれる。5G Systemのための新たなRATは、New Radio(NR)、5G RAT、又はNG RATと呼ばれる。5G Systemのための新たな無線アクセスネットワーク(Radio Access Network(RAN))は、5G-RAN又はNextGen RAN(NG RAN)と呼ばれる。5G-RAN 内の新たな基地局は、NR NodeB(NR NB)又はgNodeB(gNB)と呼ばれる。5G Systemのための新たなコアネットワークは、5G Core Network(5G-CN)又はNextGen Core(NG Core)と呼ばれる。5G Systemに接続する無線端末(User Equipment(UE))は、5G UE、NextGen UE(NG UE)又は単にUEと呼ばれる。5G SystemのためのRAT、UE、無線アクセスネットワーク、コアネットワーク、ネットワーク・エンティティ(ノード)、及びプロトコルレイヤ等の正式な名称は、標準化作業が進む過程で将来的に決定されるであろう。
【0004】
また、本明細書で使用される“LTE”との用語は、特に断らない限り、5G Systemとのインターワーキングを可能とするためのLTE及びLTE-Advancedの改良・発展を含む。5G System とのインターワークのためのLTE及びLTE-Advancedの改良・発展は、LTE-Advanced Pro、LTE+、又はenhanced LTE(eLTE)とも呼ばれる。さらに、本明細書で使用される“Evolved Packet Core (EPC)”、“Mobility Management Entity (MME)”、“Serving Gateway (S-GW)”、及び“Packet Data Network (PDN) Gateway (P-GW)”等のLTEのネットワーク又は論理的エンティティに関する用語は、特に断らない限り、5G Systemとのインターワーキングを可能とするためのこれらの改良・発展を含む。改良されたEPC、MME、S-GW、及びP-GWは、例えば、enhanced EPC(eEPC)、enhanced MME(eMME)、enhanced S-GW(eS-GW)、及びenhanced P-GW(eP-GW)とも呼ばれる。
【0005】
LTE及びLTE-Advancedでは、Quality of Service(QoS)及びパケットルーティングのために、QoSクラス毎且つPDNコネクション毎のベアラがRAN(i.e., Evolved Universal Terrestrial RAN(E-UTRAN))及びコアネットワーク(i.e., EPC)の両方で使用される。すなわち、Bearer-based QoS(or per-bearer QoS)コンセプトでは、UEとEPC内のP-GWとの間に1又は複数のEvolved Packet System (EPS) bearersが設定され、同じQoSクラスを持つ複数のサービスデータフロー(Service Data Flows(SDFs))はこれらのQoSを満足する1つのEPS bearerを通して転送される。SDFは、Policy and Charging Control (PCC) ルールに基づくSDFテンプレート(i.e., packet filters)にマッチする1又は複数のパケットフローである。また、パケットルーティングのために、EPS bearerを通って送られる各パケットは、このパケットがどのベアラ(i.e., General Packet Radio Service (GPRS) Tunneling Protocol(GTP)トンネル)に関連付けられているかを見分ける(identify)ための情報を包含する。
【0006】
これに対して、5G Systemでは、無線ベアラが5G-RAN において使用されるかもしれないが、5G-CN内及び5G-CNと5G-RANの間のインタフェースにおいてベアラは使用されないことが検討されている(非特許文献1を参照)。具体的には、EPS bearerの代わりにPDU flowsが定義され、1又は複数のSDFsは、1又は複数のPDU flowsにマップされる。5G UEとNG Core内のユーザプレーン終端エンティティ(i.e., EPC内のP-GWに相当するエンティティ)との間のPDU flowは、EPS Bearer-based QoSコンセプトにおけるEPSベアラに相当する。すなわち、5G Systemは、Bearer-based QoSコンセプトの代わりにFlow-based QoS(or per-flow QoS)コンセプトを採用する。Flow-based QoS コンセプトでは、QoSはPDU flow単位で取り扱われる(handled)。そのため、PDU flowはQoS flowとも呼ばれる。なお、5G UEとデータネットワークとの間の関連付け(association)は、PDUセッション(PDU session)と呼ばれる。PDUセッションは、LTE及びLTE-AdvancedのPDNコネクション(PDN connection)に相当する用語である。複数のPDU flows(又はQoS flows)が1つのPDUセッション内に設定されることができる。
【0007】
さらに、5G Systemがnetwork slicingをサポートすることも検討されている(非特許文献1を参照)。Network slicingは、Network Function Virtualization(NFV)技術及びsoftware-defined networking(SDN)技術を使用し、複数の仮想化された論理的なネットワークを物理的なネットワークの上に作り出すことを可能にする。各々の仮想化された論理的なネットワークは、ネットワークスライス(network slice)又はネットワークスライス・インスタンス(network slice instance)と呼ばれ、論理的なノード(nodes)及び機能(functions)を含み、特定のトラフィック及びシグナリングのために使用される。5G-RAN若しくは5G-CN又はこれら両方は、Slice Selection Function(SSF)を有する。SSFは、5G UE及び5G-CNの少なくとも一方によって提供される情報に基づいて、当該5G UEのために適した1又は複数のネットワークスライスを選択する。
【0008】
図1は、5G systemの基本アーキテクチャを示している。UEは、gNBとの間に1又はそれ以上のシグナリング無線ベアラ(Signalling Radio Bearers(SRBs))及び1又はそれ以上のデータ無線ベアラ(Data Radio Bearers(DRBs))を確立する。5G-CN及びgNBは、UEのためのコントロールプレーン・インタフェース及びユーザプレーン・インタフェースを確立する。5G-CNとgNB(i.e., RAN)の間のコントロールプレーン・インタフェースは、NG2インタフェース又はNG-cインタフェースと呼ばれ、Non-Access Stratum(NAS)情報の転送、及び5G-CNとgNB間の制御情報の転送に使用される。5G-CNとgNB(i.e., RAN)の間のユーザプレーン・インタフェースは、NG3インタフェース又はNG-uインタフェースと呼ばれ、UEのPDUセッション内の1又はそれ以上のPDU flows(又はQoS flows)のパケット(packets)の転送に使用される。
【0009】
さらにまた、5G System では、RRC_CONNECTED状態及びRRC_IDLE状態に加えて、新たなRRC状態が導入される(例えば、非特許文献1-5を参照)。新たなRRC状態は、RRC_INACTIVE状態またはRRC_INACTIVE_CONNECTED状態と呼ばれる。
【0010】
5G SystemのRRC_CONNECTED状態及びRRC_IDLE状態は、LTEのRRC_CONNECTED状態及びRRC_IDLE状態とそれぞれ同様の特徴を持つ。UEがRRC_CONNECTED状態であるとき、UE及び5G-RANがASコンテキストを維持し、UEの位置がセルレベルで5G-RANによって知られている。RRC_CONNECTED状態であるUEのモビリティは、5G-RANによって制御されるハンドオーバにより取り扱われる。一方、UEがRRC_IDLE状態であるとき、UE及び5G-RANがASコンテキストを解放しており、UEの位置が5G-RANによって知られておらず、UEの位置が5G-CNによってロケーション登録エリア・レベルで知られている。ロケーション登録エリアは、LTEのトラッキングエリア(Tracking Area (TA))に相当する。RRC_IDLE状態であるUEのモビリティは、UEによって制御されるセル再選択により取り扱われる。さらに、ASレイヤのRRC状態は、NASレイヤのコネクション管理(NG Connection Management(NG CM))状態と関連付けられる。RRC_CONNECTED状態であるUEは、UE及び5G-CNにおいてNG-CM-CONNECTED状態であると考えられる。一方、RRC_IDLE状態であるUEは、UE及び5G-CNにおいてNG-CM-IDLE状態であると考えられる。
【0011】
RRC_INACTIVE状態は、RRC_CONNETED状態とRRC_IDLE状態の間の中間的な状態であると言うことができる。RRC_INACTIVE状態の幾つかの特徴はRRC_CONNETED状態のそれらと類似するが、RRC_INACTIVE状態の他の幾つかの特徴はRRC_IDLE状態のそれらと類似する。
【0012】
UEがRRC_INACTIVE状態であるとき、UE及び5G-RANがASコンテキストの少なくとも一部を維持する。RRC_INACTIVE状態であるUEのためにUE及び5G-RANにより保持されるASコンテキストは、例えば、無線ベアラ設定、及びASセキュリティ・コンテキストを含む。さらに、5G-RANは、RRC_INACTIVE状態のUEのための5G-CNとのコントロールプレーン及びユーザプレーン・コネクション(i.e.,
図1のNG2及びNG3インタフェース)を確立したまま維持する。RRC_INACTIVE状態であるUEは、UE及び5G-CNにおいてNG-CM-CONNECTED状態であると考えられる。すなわち、5G-CNは、UEがRRC_CONNECTED状態であるか又はRRC_INACTIVE状態であるかを区別しない。RRC_INACTIVE状態のこれらの特徴は、RRC_CONNETED状態の特徴と類似する。
【0013】
しかしながら、RRC_INACTIVE状態であるUEのモビリティは、RRC_IDLE状態であるUEのそれと類似する。すなわち、RRC_INACTIVE状態であるUEのモビリティは、UEによって制御されるセル再選択により取り扱われる。
【0014】
図2は、現在提案されている3つのRRC状態の間の状態遷移を示している。UEは、RRC_CONNECTED状態とRRC_INACTIVE状態との間で相互に遷移できる(ステップ201及び202)。RRC_CONNECTED状態とRRC_INACTIVE状態との間の遷移は、LTEのために3GPP Release 13において規定されたRRCコネクションの保留(Suspend)及び再開(Resume)手順を再利用することが想定されている。RRC_INACTIVE状態であるUEのために5G-RAN内にストアされているASコンテキストは、RANノード間(gNBs間)で転送されることができる。具体的には、UEがRRC_INACTIVE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する際に、当該UEからのRRCメッセージ(e.g., RRC Connection Resume request)を受信したgNBは、当該UEのASコンテキストを他のgNBから取得(fetch/retrieve)してもよい。
【0015】
RRC_INACTIVE状態であるUEの位置は、新たに定義されるRAN通知エリア(RAN Notification Area(RNA))のレベルで5G-RANによって知られている。RAN通知エリアは、RAN-based Notification Area、RAN paging area、又はRAN location update areaとも呼ばれる。RAN通知エリア(RNA)は、1又はそれ以上のセルを含み、5G-RANにより決定され、5G-RANによりUEに設定される。RRC_INACTIVE状態のUEは、RAN通知エリア内でセル再選択によりセル間を移動しても5G-RANにセル再選択を行ったことを通知(報告)する必要がない。RRC_INACTIVE状態のUEは、RAN通知エリア外のセルを再選択した場合に、5G-RANにRAN通知エリアの更新を要求する。
【0016】
図3は、RRC_INACTIVE状態であるUEのモビリティの例を示している。初めに、UE301は、gNB311のセル351でRRC_CONNECTED状態(321)であり、gNB311から個別(dedicated)無線リソースを割り当てられ、個別無線ベアラ(dedicated radio bearers)322を確立している。gNB311は、UE301のRRC_INACTIVE状態への遷移を決定し、RAN通知エリア340をUE301に設定し、RRCメッセージ(e.g., RRC Suspendメッセージ)をUE301に送信する(323)。gNB311からの指示に応答して、UE301は、RRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態に入る(324)。
【0017】
RRC_INACTIVE状態であるUE301は、セル再選択手順を実行し、gNB312のセル352を再選択する(325)。セル352はUE301に設定されているRAN通知エリア340に含まれるため、UE301は、セル再選択(つまりUE位置情報の更新)を5G-RAN(e.g., セル352又はgNB312)に報告しない。UE301はさらに移動し、gNB313のセル353を再選択する(326)。セル353はUE301に設定されているRAN通知エリア340に含まれていないため、UE301は、RAN通知エリア更新の要求(327)をgNB313に送信する。当該要求(327)は、RRC_INACTIVEからRRC_CONNECTEDへの遷移を要求するRRCメッセージ(e.g., RRC Resume Requestメッセージ)を用いて送信されてもよい。gNB313は、gNB311からUE301のASコンテキストを取得し、取得したASコンテキストを用いて無線ベアラのためのPacket Data Convergence Protocol(PDCP)及びRadio Link Control(RLC)を再確立する。そして、gNB313は、UE301をRRC_CONNECTED状態に遷移させるためにRRCメッセージ(e.g., RRC resumeメッセージ)を送信する。gNB311からの指示に応答して、UE301は、セル353において、RRC_INACTIVE状態からRRC_CONNECTED状態に入る(329)。UE301は、個別無線ベアラ(dedicated radio bearers)330を使用してデータを送信し且つ受信することができる。
【0018】
RRC_INACTIVE状態であるUEのアップリンク(uplink(UL))データ送信について幾つかの提案がある。例えば、非特許文献2及び3は、RRC_INACTIVE状態であるUEが、RRC_CONNECTED状態に入ること無くULデータを送信する手順を提案している。なお、本明細書で使用される“ULデータ”との用語とは、アップリンク・ユーザプレーン・データを意味し、Non-Access Stratum(NAS)メッセージ等のコントロールプレーン・データを含まない。
【0019】
具体的には、非特許文献2は、RRC_INACTIVE状態であるUEが、grant-free無線リソースを使用して、gNBからのUL grantを必要とすることなくULデータ送信を行う手順を開示している(
図4を参照)。例えば、各セルは自身のgrant-free無線リソース(resources)をシステム情報(System Information(SI))においてブロードキャストし、UEは自身の固有のRAN UE IDから導出されるリソース(resource)を選択する。
【0020】
一方、非特許文献3は、UEが、ランダムアクセス手順の第3メッセージ(Message 3(Msg3))、つまりRRCメッセージ(e.g., RRC Connection Resume Request)と同時に(simultaneously)ULデータを送信する手順を開示している(
図5を参照)。非特許文献3の手順においてgNBがULデータを受信した場合、gNBは、RRC_INACTIVE状態に留まるようUEに指示することもできるし、RRC_CONNECETD状態に入るよう指示することもできる。gNBは、UEをRRC_INACTIVE状態に留める場合に“RRC suspend”を示すRRC応答をUEに送り、UEをRRC_CONNECTED状態に遷移させる場合に“RRC resume”を示すRRC応答をUEに送る。すなわち、非特許文献3に示された手順は、UEが完全に(fully)RRC_CONNECTED状態に入ることなくULデータを送信する手順であると言うことができる。あるいは、非特許文献3に示された手順は、UEがRRC_CONNECTED状態になる前にULデータを送信する手順であると言うこともできる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0021】
【文献】3GPP TR 23.799 V14.0.0 (2016-12) “3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Study on Architecture for Next Generation System (Release 14)”, December 2016
【文献】3GPP R2-168544, Huawei, HiSilicon, “UL data transmission in RRC_INACTIVE”, 3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #96, Reno, USA 14th-18th November 2016
【文献】3GPP R2-168713, Ericsson, “Baseline solution for small data transmission in RRC_INACTIVE”, 3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #96, Reno, USA 14th-18th November 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本件発明者等は、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信に関して検討を行い、幾つかの課題を見出した。例えば、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信がUE2が希望するときにいつでも行われることは適切でないかもしれない。すなわち、1つの課題は、どこで又はいつUEがRRC_INACTIVE状態でのULデータ送信を許可されるかを決定することである。
【0023】
一例として、UE301がRRC_INACTIVE状態でのULデータ送信(例えば、非特許文献2又は3に示された送信手順)を
図3のセル352において行ったが、gNB312が何らかの問題によりULデータの受信に成功しないことが考えられる。例えば、gNB312がUE301のASコンテキストをgNB311から取得することに成功しなかった場合に、gNB312はULデータの受信に失敗するかもしれない。あるいは、gNB312は、取得したASコンテキストを用いたデータ受信に失敗するかもしれない(例えばASセキュリティ・コンテキストに基づくULデータの復号化(decryption)に失敗した場合)。これらの場合、UEの送信電力が無駄に消費されるかもしれない。さらに、UE301がセル352又は他のセルに再接続する必要が発生してしまった場合、UE301のレイヤ2(e.g., PDCP)が上位レイヤからパケット(e.g., PDCP Service Data Unit (SDU))を受信してから所定の時間が経過し(つまり遅延が発生し)、当該パケットを廃棄してしまうかもしれない。
【0024】
したがって、本明細書に開示される実施形態が達成しようとする目的の1つは、UEがRRC_INACTIVE状態でのULデータ送信を適切な状況で行うことを可能にする装置、方法、及びプログラムを提供することである。なお、この目的は、本明細書に開示される複数の実施形態が達成しようとする複数の目的の1つに過ぎないことに留意されるべきである。その他の目的又は課題と新規な特徴は、本明細書の記述又は添付図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
第1の態様では、無線端末は、トランシーバ、及び少なくとも1つのプロセッサを含む。前記少なくとも1つのプロセッサは、無線アクセスネットワーク(RAN)に関連付けられた1又は複数のセルで前記トランシーバを制御するよう構成されている。前記少なくとも1つのプロセッサは、第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での前記無線端末の状態遷移を制御するよう構成されている。前記第1のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANがアクセス層(Access stratum(AS))コンテキストを維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置がセルのレベルで前記RANによって知られている状態である。前記第2のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストの少なくとも一部を維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANにより設定されたRAN通知エリアのレベルで前記RANによって知られている状態である。前記第3のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストを解放している状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANによって知られていない状態である。前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに、もし前記無線端末が前記第2のRRC状態であり、且つもし前記無線端末がキャンプオンしている現在セル(current cell)が前記第1のRRC状態から前記第2のRRC状態への遷移が行われた第1のセルと異なり、且つもし前記現在セルが所定の条件を満たすなら、前記無線端末が前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順によって送信データを前記現在セルにおいて送信することを許可するよう構成されている。
【0026】
第2の態様では、無線アクセスネットワーク(RAN)に配置される基地局は、メモリ、及び前記メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサを含む。前記少なくとも1つのプロセッサは、第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での無線端末の状態遷移を制御するよう構成されている。前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに、前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順が前記第2のRRC状態である前記無線端末に許可される少なくとも1つの特定のセルを示す設定情報を、前記無線端末に送信するよう構成されている。
【0027】
第3の態様では、無線端末における方法は、(a)第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での前記無線端末の状態遷移を制御すること、及び(b)もし前記無線端末が前記第2のRRC状態であり、且つもし前記無線端末がキャンプオンしている現在セルが前記第1のRRC状態から前記第2のRRC状態への遷移が行われた第1のセルと異なり、且つもし前記現在セルが所定の条件を満たすなら、前記無線端末が前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順によって送信データを前記現在セルにおいて送信することを許可すること、を含む。
【0028】
第4の態様では、無線アクセスネットワーク(RAN)に配置される基地局における方法は、(a)第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での無線端末の状態遷移を制御すること、及び(b)前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順が前記第2のRRC状態である前記無線端末に許可される少なくとも1つの特定のセルを示す設定情報を、前記無線端末に送信すること、を含む。
【0029】
第5の態様では、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、上述の第3又は第4の態様に係る方法をコンピュータに行わせるための命令群(ソフトウェアコード)を含む。
【発明の効果】
【0030】
上述の態様によれば、UEがRRC_INACTIVE状態でのULデータ送信を適切な状況で行うことを可能にする装置、方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】背景技術に係る5G Systemの基本アーキテクチャを示す図である。
【
図2】背景技術に係る5G Systemの3つのRRC状態の状態遷移を示す図である。
【
図3】背景技術に係るRRC_INACTIVE状態のUEのモビリティの一例を示す図である。
【
図4】背景技術に係るRRC_INACTIVE状態でのUL送信手順の一例を示す図である。
【
図5】背景技術に係るRRC_INACTIVE状態でのUL送信手順の一例を示す図である。
【
図6】幾つかの実施形態に係る無線通信ネットワークの構成例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係るUEの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態に係るUEの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態に係るUEの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態に係るgNB及びUEの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】幾つかの実施形態に係るgNBの構成例を示すブロック図である。
【
図12】幾つかの実施形態に係るUEの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0033】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0034】
以下に説明される複数の実施形態は、独立に実施されることもできるし、適宜組み合わせて実施されることもできる。これら複数の実施形態は、互いに異なる新規な特徴を有している。したがって、これら複数の実施形態は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し、互いに異なる効果を奏することに寄与する。
【0035】
以下に示される複数の実施形態は、RRC_INACTIVE状態を使用する5G Systemを主な対象として説明される。しかしながら、これらの実施形態は、RRC_INACTIVE状態又はこれと同様のRRC状態を使用する他の無線通信システムに適用されてもよい。
【0036】
<第1の実施形態>
図6は、本実施形態を含む幾つかの実施形態に係る無線通信ネットワークの構成例を示している。
図6の例では、無線通信ネットワークは、5G UE2、5G-RAN3、及び5G-CN4を含む。
【0037】
5G-CN4は、図示されていないコントロールプレーン・ネットワーク機能(Control Plane Network Functions (CP NFs))及びユーザプレーン・ネットワーク機能(User Plane Network Functions (UP NFs))を含む。5G-CN4は、複数のネットワークスライスを提供してもよい。複数のネットワークスライスは、例えば、それぞれのネットワークスライス上でUEに提供されるサービス又はユースケースによって区別される。ユースケースは、例えば、広帯域通信(enhanced Mobile Broad Band: eMBB)、高信頼・低遅延通信(Ultra Reliable and Low Latency Communication: URLLC)、及び多接続M2M通信(massive Machine Type Communication: mMTC)を含む。
【0038】
5G-RAN3は、gNB1A及びgNB1Bを含む複数のgNBを含む。各gNB1(e.g., gNB1A、gNB1B)は、少なくとも1つのセル11(e.g., セル11A、セル11B)を運用する。各gNB1は、5G-CN4に接続され、1又はそれ以上のネットワークスライスをサポートしてもよい。言い換えると、1又はそれ以上のネットワークスライスが、各gNB1のセル11においてサポートされている又は使用可能であってもよい。幾つかの実装において、5G-RAN3は、end-to-endネットワークスライシングをUE2に提供するために、UE2のために選択された5G-CN4のネットワークスライス(Core Network (CN)スライスと呼ぶ)に関連付けられたRANスライス及び無線(radio)スライスをUE2に割り当てる。各RANスライスは、gNB1を含む5G-RAN3内のインフラストラクチャのストレージ及びプロセッシング・リソースを提供する。各無線スライスは、時間リソース、周波数リソース、符号リソース、信号系列リソース、若しくは空間リソース又はこれらの任意の組合せを含む無線リソースを提供する。
【0039】
UE2は、アップリンク及びダウンリンク通信のために、1又は複数のgNB1によって提供される1又は複数のセル11を使用する。UE2は、RRC_CONNECTED状態、RRC_INACTIVE状態、及びRRC_IDLE状態を含む複数のRRC状態をサポートする。5G-RAN3(gNB1)及びUE2は、RRC_CONNECTED状態、RRC_INACTIVE状態、及びRRC_IDLE状態を含む複数のRRC状態の間でのUE2の状態遷移を制御する。
【0040】
例えば、gNB1Aは、UE2をRRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態に遷移させる場合に、RRCメッセージ(e.g., RRC Connection Release、RRC Connection Suspend、又はRRC Connection Deactivate)でRAN通知エリア情報をUE2に送信し、該UE2にRAN通知エリアを設定する。RAN通知エリアは、1又はそれ以上のgNB1によって提供される1又はそれ以上のセルを含み、UE2は、gNB1Aからの当該RRCメッセージの受信に応答してRRC_INACTIVE状態に入る。RRC_INACTIVE状態のUE2は、UE2主導のセル再選択によってセル間を移動し、RAN通知エリア内でのセル再選択(つまりUE位置情報の更新)を5G-RAN3に報告することを必要としない。一方、UE2は、設定されたRAN通知エリア外のセル(e.g., セル11B)を再選択したことに応答して、再選択されたセル11BのgNB1BにRAN通知エリアの更新を要求する(又は、設定されたRAN通知エリアを出たことをgNB1Bに通知する)。gNB1Bは、UE2のための新たなRAN通知エリアを決定し、決定されたRAN通知エリアをUE2に設定する。すなわち、既に説明したように、RRC_INACTIVE状態のUE2の位置は、RAN通知エリア・レベルで5G-RAN3に知られている。
【0041】
既に説明したように、RAN通知エリア(RNA)は、1又はそれ以上のセルを含み、5G-RAN3により決定され、5G-RAN3によりUE2に設定される。RAN通知エリアは、RAN-based Notification Area、RAN paging area、又はRAN location update areaとも呼ばれる。
【0042】
RAN通知エリア情報は、例えば当該RAN通知エリアにどのセルが含まれるかを示す情報を少なくとも含んでもよい。さらに、RAN通知エリアに対して、識別子(e.g., エリア番号)が付与されてもよい。また、RAN通知エリアの識別子(e.g., RNA ID)と、それに包含されるセル(群)の関係は、所定のエリア内において一意に決まるようにされてもよい。この場合、RAN通知エリア情報は、RAN通知エリアの識別子と包含されるセルの情報(e.g., セル識別子)を含んでもよい。
【0043】
gNB1Aは、自身のセル11AでRAN通知エリア情報を報知してもよい。このとき、RAN通知エリア情報は複数のRAN通知エリアを含み、それぞれに条件(e.g., カテゴリ、タイプ)が付与され、UE2が自身に該当するRAN通知エリアを選択してもよい。当該条件は、例えばUE2が使用している(又は希望する)ネットワークスライスのスライスカテゴリ若しくはスライスタイプ(e.g., Slice/Service Type: SST)、端末のカテゴリ若しくはタイプ、UE2の受信品質若しくはそれに基づくカバレッジレベル、UE2の移動特性(e.g., UE speed, 静止端末か否か)、又はこれらの任意の組み合わせでもよい。
【0044】
UE2に設定されるRAN通知エリアは、UE2のロケーション登録エリア(i.e., LTEのトラッキングエリア(TA)に相当するエリア)と同一であってもよい。各ネットワークスライスに個別のRAN通知エリア(i.e. Slice specific RNA)が設定される場合、複数のRAN通知エリアのうち少なくとも1つがロケーション登録エリア(e.g., TA)と同一でもよい。RNAがTAと同じである場合、gNB1からUE2に送信されるRAN通知エリア情報において当該RNAに含まれるセルリストを示す情報要素(e.g., RanAreaCellList Information Element (IE))が省略されてもよい(つまり、Optional IE)。これに代えて、RAN通知エリア情報は、セルリストを示す情報要素の代わりに、TA識別子を示す情報要素(e.g., TrackingAreaCode IE)を含んでもよい(つまり、Choice)。言い換えると、gNB1は、RAN通知エリアを示すために、RanAreaCellList IE及びTrackingAreaCode IEのいずれか一方を選択してもよい。
【0045】
RAN通知エリア情報に複数のRAN通知エリアを含めて送信するために、gNB1Aは、他のgNB(e.g., gNB1B)からRAN通知エリア情報(e.g., RAN通知エリアの識別子と、RAN通知エリアを構成するセルの識別子との組み合わせ)を、gNB間インタフェース(Xn)を介して受信してもよい。当該他のgNBは、gNB1Aのセル(e.g., セル11A)が属するRAN通知エリアとは異なる他のRAN通知エリアに属するセルを管理するgNBであってもよい。同様に他のgNBから受信するRAN通知エリアに関する情報は、gNB1Aのセル(e.g., セル11A)が属するRAN通知エリアとは異なる他のRAN通知エリアに関する情報であってもよい。
【0046】
UE2が複数のネットワークスライスを使用している(又は希望している)場合、UE2は、最も優先度の高いネットワークスライスを基準にRAN通知エリアを選択してもよいし、実際に使用しているネットワークスライスを基準にRAN通知エリアを選択してもよい。あるいは、UE2は、RAN通知エリア情報に含まれるネットワークスライスカテゴリ又はタイプのリストの上位に含まれるネットワークスライスを基準にRAN通知エリアを選択してもよい。
【0047】
ネットワークスライスの個別情報(e.g., 識別子、カテゴリ又はタイプ)が明示されていないRAN通知エリア(デフォルトRAN通知エリア)が、前述のRAN通知エリア情報に含まれてもよい。この場合、例えば当該デフォルトRAN通知エリアは、ネットワークスライスに依らずにUE2に対して有効であるRAN通知エリアとされてもよいし、RAN通知エリア情報で明示的に通知されたネットワークスライスを除く他のネットワークスライスに対して有効であるRAN通知エリアとされてもよい。さらに、RAN通知エリア情報が複数のRAN通知エリアを含む場合、UE2はセル再選択後のセルが複数のRAN通知エリアの少なくともいずれか1つに含まれる限り、gNB1に位置情報の更新要求を送信しなくてもよい。
【0048】
上述のRRCメッセージによる指示の代わりに、gNB1は、RRC_INACTIVE状態への遷移をトリガする所定のタイマの値をUE2に通知し、当該タイマの値及び対応するタイマに基づくRRC_INACTIVE状態への遷移をUE2に実行させてもよい。例えば、RRC_CONNECTED状態のUE2は、ユーザ・データの送信または受信を行う毎に当該タイマをリスタート(つまり、タイマをリセットし、再びスタート)し、タイマが満了したらRRC_INACTIVE状態へ遷移してもよい。
【0049】
UE2は、さらに、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信を行うよう構成されている。すなわち、UE2は、UE2がRRC_INACTIVE状態であるときに、RRC_CONNECTED状態に入ること無くULデータを送信する手順(第1の送信手順)をサポートする。RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信は、UE2がRRC_INACTIVE状態に留まったままでULデータを送信する手順により行われてもよい。さらに又はこれに代えて、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信は、UE2がRRC_CONNECTED状態になる前にULデータを送信する手順により行われてもよい。言い換えると、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信は、UE2が完全に(fully)RRC_CONNECTED状態に入ることなくULデータを送信する手順により行われてもよい。さらに言い換えると、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信は、UE2がRRC_INACTIVE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する手順の間に行われてもよい。
【0050】
幾つかの実装において、UE2は、RRC_INACTIVE状態であるUE2がgrant-free無線リソースを使用してgNBからの個別のUL grantを必要とすることなくULデータ送信を行う手順を実行してもよい(例えば、非特許文献2に示された送信手順)。さらに又はこれに代えて、UE2は、ランダムアクセス手順の第3メッセージ(Message 3(Msg3))、つまりRRCメッセージ(e.g., RRC Connection Resume Request)と同時にULデータを送信する手順を実行してもよい(例えば、非特許文献3に示された送信手順)。
【0051】
本実施形態に係るUE2(e.g., UE2内のコントローラ)は、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信がUE2に許可されるか否かを決定するために以下のように動作する。UE2(e.g., UE2内のコントローラ)は、もしUE2がRRC_INACTIVE状態であり、且つもしUE2がキャンプオンしている現在セル(i.e. サービングセル)がRRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態への遷移が行われた第1のセルと異なり、且つもし現在セルが所定の条件を満たすなら、UE2が第1の送信手順によってULデータを現在セルにおいて送信することを許可する。当該第1の送信手順は、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信を提供する。すなわち、当該第1の送信手順では、UE2がRRC_CONNECTED状態にならずにULデータを送信する、又はUE2がRRC_CONNECTED状態になる前に(つまりRRC_CONNECTED状態への遷移が完了する前に)ULデータを送信する。
【0052】
一方、UE2(e.g., UE2内のコントローラ)は、もし現在セル(サービングセル)が当該所定の条件を満たさないなら、当該第1の送信手順によって現在セルにおいてULデータを送信することを許可せず、第2の送信手順によってULデータを現在セルにおいて送信することを許可してもよい。当該第2の送信手順は、RRC_CONNECTED状態でのULデータ送信を提供する。すなわち、当該第2の送信手順では、UE2がRRC_INACTIVE状態からRRC_CONNECTED状態になった後に(つまりRRC_CONNECTED状態への遷移が完了した後に)ULデータを送信する。
【0053】
図7は、UE2の動作の一例(処理700)を示すフローチャートである。処理700は、送信されるべきULデータがUE2にある場合に実行されてもよい。例えば、UE2のAccess Strutum (AS)レイヤが上位レイヤ(e.g., Non Access Strutum (NAS)レイヤ)からULデータを受け取った場合に、処理700が実行されてもよい。ステップ701では、UE2内のコントローラは、UE2のRRC状態を判定する。もしUE2がRRC_INACTIVE状態であるなら、当該コントローラは現在セル(サービングセル)を判定する(ステップ702)。もし現在セルがRRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態への遷移が行われた第1のセルと異なるなら、当該コントローラは、現在セルが所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップ703)。もし現在セルが所定の条件を満たすなら、当該コントローラは、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信をUE2に許可する(ステップ704)。
【0054】
一例では、現在セル(サービングセル)に関する所定の条件は、現在セルが第1のセルと同じgNBによって管理されているとの条件を含む。UE2内のコントローラは、現在セルが第1のセルと同じgNBによって管理されているか否かを判定するために、現在セルにおいて受信した現在セル又は現在セルを管理するgNBの識別子(e.g., global gNB ID, truncated gNB ID, or temporary gNB ID)を、第1のセル又は第1のセルを管理するgNBの識別子と比較してもよい。
【0055】
RRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態への遷移をUE2に指示したgNB1は、当該UE2のASコンテキストを保持している。したがって、もしこのgNB1により運用される他のセルにUE2が移動しても、gNB1は、自身で維持している当該UE2のASコンテキストを、当該UE2によるRRC_INACTIVE状態でのULデータ送信を支援するために利用できる。
【0056】
他の例では、現在セルに関する所定の条件は、現在セルが、RRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態へ遷移するときにUE2が第1のセルのgNBによって指定された(又は既に設定されていた)少なくとも1つの特定のセルに含まれるとの条件を含む。当該少なくとも1つの特定のセルは、RAN通知エリアを構成する少なくとも1つのセルのサブセットであってもよい。あるいは、当該少なくとも1つの特定のセルは、RAN通知エリアを構成する少なくとも1つのセルと同一であってもよい。あるいは、当該少なくとも1つの特定のセルは、第1のセルと同じgNBによって運用されるその他の1又はそれ以上のセルであってもよい。すなわち、一例において、RAN通知エリアは、1つのgNBによって運用される1又は複数のセルから構成されるエリアと同義でもよい。
【0057】
さらに他の例では、現在セルに関する所定の条件は、現在セルが、RRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態へ遷移するときにUE2が第1のセルのgNBによって指定された(又は既に設定されていた)RAN通知エリアとは別に設定される特定のエリアに含まれるとの条件を含む。当該特定のエリアは、例えばUE Context利用可能エリア(UE Context available Area: UCA)と呼ばれてもよい。当該UE Context利用可能エリアは、所定の識別子(e.g., UCA Identity)で規定されてもよい。この場合、当該識別子が、各セルにおいてシステム情報としてgNBから送信されてもよい。これに代えて、UE Context利用可能エリアは、1又はそれ以上のセルで規定されてもよい。UE2は、現在セルのUE Context利用可能エリアの識別子又はセル識別子が、設定されたUE Context利用可能エリアのそれに対応するか否かを判定すればよい。
【0058】
現在セルに関する所定の条件は、ベアラ又はflow(i.e., PDU flow又はQoS flow)毎に異なってもよい。例えば、RAN通知エリアはUE毎(又はサービングセル単位)であるのに対し、上述のUE Context利用可能エリアはベアラ毎又はflow毎に設定されてもよい。
【0059】
図8は、現在セルに関する所定の条件の判定処理の一例(処理800)を示すフローチャートである。ステップ801では、UE2内のコントローラは、現在セルが第1のセルと同じgNBによって管理されているか否かを判定する。ステップ802では、もし現在セルが第1のセルと同じgNBによって管理されているなら、当該コントローラは、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信をUE2に許可する。
【0060】
図9は、現在セルに関する所定の条件の判定処理の他の例(処理900)を示すフローチャートである。ステップ901では、UE2内のコントローラは、現在セルが第1のセルのgNBによりUE2に対して指定された少なくとも1つの特定のセルに含まれるか否かを判定する。ステップ902では、もし現在セルが少なくとも1つの特定のセルに含まれるなら、当該コントローラは、RRC_INACTIVE状態でのULデータ送信をUE2に許可する。
【0061】
上述のUE2内のコントローラにより行われる処理(e.g., 処理800又は処理900)は、UE2のASレイヤ(e.g., RRC, PDCP, RLC, or MACサブレイヤ)の処理であってもよい。さらに、当該コントローラにより行われる処理は、ASレイヤ内の複数のサブレイヤの処理であってもよい。
【0062】
以下では、gNB1の動作の例を説明する。上述したように、一例において、gNB1は、RRC_CONNECTED状態にならずに又はRRC_CONNECTED状態になる前に(つまりRRC_CONNECTED状態への遷移が完了する前に)ULデータを送信する第1の送信手順がRRC_INACTIVE状態であるUE2に許可される少なくとも1つの特定のセルを示す設定情報を、UE2に送信してもよい。gNB1は当該設定情報を個別信号(e.g., dedicated RRC signaling)で送信してもよいし、自身のセル11でシステム情報として送信(報知)してもよい。
図10は、gNB1の動作の一例(処理1000)を示すシーケンス図である。ステップ1001では、gNB1は、少なくとも1つの特定のセルを示す設定情報をUE2に送信する。gNB1は、当該gNB1によって運用されるセル11においてUE2がRRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態へ遷移するときに、当該設定情報をUE2に送信してもよい。
【0063】
既に説明したように、gNB1によってUE2に指定される特定のセル(cell(s))は、当該gNBによって運用される1又はそれ以上のセルであってもよい。この場合、特定のセル(cell(s))を示す設定情報は、当該設定情報を送るgNB1によって運用される1又はそれ以上のセルを示すセルリストを含んでもよい。これにより、UE2は、特定のセル(cell(s))の設定情報に基づいて、現在キャンプオンしているセル11が最初のgNB1によって運用されているか否かを判定できる。幾つかの実装において、特定のセル(cell(s))のリストは、ネイバーセルリストとしてgNB1からUE2に提供されてもよい。この場合、gNB1からUE2に送られるネイバーセルリストは、当該gNB1によって運用されるセルのみを示す第1のサブリスト、及び他のgNBsによって運用されるセルを示す第2のサブリストを含んでもよい。ネイバーセルリストが第1サブリスト及び第2のサブリストを含む場合、UE2は、たとえ明示的なgNB1の識別子が無かったとしても、第1のサブリストがgNB1のセルのみを構成要素として含むことを認識し、且つ第2のサブリストがgNB1以外の他のgNBのセルを構成要素として含むことを認識してもよい。例えば、UE2は、ネイバーセルリストの上位の情報要素(又は付与されるサブリストの識別子の値が大きい方)を第1のサブリストとして認識し、下位の情報要素(又は付与されるサブリストの識別子の値が小さい方)を第2のサブリストとして認識してもよい。
【0064】
さらに又はこれに代えて、gNB1によってUE2に指定される特定のセル(cell(s))は、UE2のためのRAN通知エリアを構成するセル(cell(s))のサブセットであってもよい。。この場合、特定のセル(cell(s))を示す設定情報は、RAN通知エリアに含まれる各セルが特定のセルであるか否かを示してもよい。
【0065】
さらにまた、既に説明したように、一例において、gNB1は、第1の送信手順がRRC_INACTIVE状態であるUE2に許可されるセルをUE2に知らせるために、RAN通知エリアとは別の“特定のエリア”をUE2に設定してもよい。当該特定のエリアは、例えばUE Context利用可能エリア(UE Context available Area: UCA)と呼ばれてもよい。gNB1は、UE Context利用可能エリアに含まれる1又はそれ以上のセルを示す設定情報をUE2に送信してもよい。gNB1は、UE Context利用可能エリアに関する当該設定情報を個別信号(e.g., dedicated RRC signaling)で送信してもよいし、自身のセル11でシステム情報として報知(broadcast)してもよい。
【0066】
gNB1は、セル11を提供するgNB1を特定し、且つUE2がgNB1を他のgNBと区別できるようにするために、自身の各セル11においてgNB1の識別子(e.g., gNB ID, Truncated gNB ID, or Temporary network identity)を送信してもよい。gNB1の識別子は、システム情報(System Information(SI))において送信されてもよい。当該システム情報は、各セル11でブロードキャストされるブロードキャスト・システム情報ブロックに含まれてもよい。これに代えて、当該システム情報は、UE2からの要求メッセージに応答して当該UE2に送信されるオンデマンド・システム情報ブロックに含まれてもよい。これにより、UE2は、自身がキャンプオンしているセル11を提供するgNB1を特定し、これを他のgNBと区別することができる。
【0067】
これに代えて、セル11のセル識別子(e.g., Physical Cell ID、Physical Cell IDとCarrier frequency(e.g., ARFCN)、又はCell Global ID)が、当該セルを運用するgNB1を特定するために使用されてもよい。言い換えると、gNB1の識別子がセル11のセル識別子内に埋め込まれてもよい。これにより、UE2は、自身がキャンプオンしているセル11を提供するgNB1を当該セル11のセル識別子に基づいて特定し、これを他のgNBと区別することができる。
【0068】
さらに又はこれに代えて、gNB1が後述するCloud Radio Access Network(C-RAN)構成を有し、gNB1が1又は複数のTransmission Reception Point(TRP又はTRxP)を管理している場合、セル11を形成するTRPの識別子(e.g., TRP ID)が当該TRPを運用するgNB1を特定するために使用されてもよい。言い換えると、gNB1の識別子がTRPのTRP識別子内に埋め込まれてもよい。
【0069】
なお、ここで説明されたgNB1の識別子は、gNB1によって運用されている1又は複数のセルから成るエリアをUE2が知るために使用される。したがって、このgNB1の識別子は、gNB1によって運用されている1又は複数のセルから成るエリアを特定するための「エリア識別子」であると言うこともできる。すなわち、gNB1は、自身が運用する1又は複数のセルにおいてエリア識別子を送信する。UE2内のコントローラは、現在セルで受信したエリア識別子が第1のセルのそれと同じであるなら、RRC_INACTIVE状態でのデータ送信をUE2に許可してもよい。
【0070】
以上の説明から理解されるように、本実施形態に係るUE2は、RRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態への遷移が行われた第1のセルにおいてRRC_INACTIVE状態のまま送信すべきULデータが発生した場合、第1の送信手順によってULデータ送信を許可される。一方、もしUE2がRRC_INACTIVE状態であり、且つもしUE2がキャンプオンしている現在セル(サービングセル)がRRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態への遷移が行われた第1のセルと異なり、且つもし現在セルが所定の条件を満たすなら、UE2が第1の送信手順によってULデータを現在セルにおいて送信することを許可する。これにより、UE2がRRC_INACTIVE状態でのULデータ送信を許可される状況を限定することができる。したがって、本実施形態は、UEがRRC_INACTIVE状態でのULデータ送信を適切な状況で行うことを可能にできる。
【0071】
<第2の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態で説明されたUE2の動作の変形例を提供する。本実施形態の無線通信ネットワークの構成例は、
図6と同様である。
【0072】
本実施形態に係るUE2(e.g., UE2内のコントローラ)は、もしUE2がRRC_INACTIVE状態でセル再選択を実行し、且つもし現在セル(つまり、セル再選択のターゲットセル)がUE2に設定されたRAN通知エリアに属しておらず、且つUE位置情報の更新手順またはRAN通知エリアの更新手順が実行されていないなら、UE位置情報の登録手順またはRAN通知エリアの更新手順を行った後に上述の第1又は第2の送信手順による現在セルでのULデータの送信を許可するよう構成されている。UE2は、RAN通知エリア更新要求メッセージをgNB1に送信する。当該メッセージは、RRC_INACTIVEからRRC_CONNECTEDへの遷移を要求するRRCメッセージ(e.g., RRC Resume Requestメッセージ)を用いて送信されてもよい。gNB1がRAN通知エリア更新要求メッセージをUE2から受信した場合、gNB1は、RRC_INACTIVE状態に留まるようUE2に指示することもできるし、RRC_CONNECETD状態に入るよう指示することもできる。gNB1は、UE2をRRC_INACTIVE状態に留める場合に“RRC suspend”を示すRRC応答をUEに送り、UE2をRRC_CONNECTED状態に遷移させる場合に“RRC resume”を示すRRC応答をUE2に送る。これに代えて、UE2は、RRC_CONNECTEDに完全に遷移した後に、RAN通知エリア更新要求メッセージをgNB1に送信してもよい。これにより、UE2は、設定されたRAN通知エリア外のセルを再選択した場合に、まずRAN通知エリアの更新手順を実行する。したがって、本実施形態は、UE2がRRC_INACTIVE状態でのULデータ送信を行うセルがRAN通知エリア外であるために、gNB1がULデータの受信に成功しない状況を回避できる。
【0073】
なお、UE2は、UE位置情報の登録手順またはRAN通知エリアの更新手順の完了メッセージ(e.g., RRC Connection Resume Complete)を用いてULデータを送信してもよい。言い換えると、UE2は、RANレベルのUE位置情報の登録手順内またはRAN通知エリアの更新手順内においてULデータを送信してもよい。
【0074】
続いて以下では、上述の複数の実施形態に係るgNB1およびUE2の構成例について説明する。
図11は、上述の実施形態に係るgNB1の構成例を示すブロック図である。
図11を参照すると、gNB1は、Radio Frequencyトランシーバ1101、ネットワークインターフェース1103、プロセッサ1104、及びメモリ1105を含む。RFトランシーバ1101は、UE2を含むNG UEsと通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ1101は、複数のトランシーバを含んでもよい。RFトランシーバ1101は、アンテナアレイ1102及びプロセッサ1104と結合される。RFトランシーバ1101は、変調シンボルデータをプロセッサ1104から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナアレイ1102に供給する。また、RFトランシーバ1101は、アンテナアレイ1102によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、これをプロセッサ1104に供給する。RFトランシーバ1101は、ビームフォーミングのためのアナログビームフォーマ回路を含んでもよい。アナログビームフォーマ回路は、例えば複数の移相器及び複数の電力増幅器を含む。
【0075】
ネットワークインターフェース1103は、ネットワークノード(e.g., 5G-CN4の制御ノード及び転送ノード)と通信するために使用される。ネットワークインターフェース1103は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインターフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0076】
プロセッサ1104は、無線通信のためのデジタルベースバンド信号処理(データプレーン処理)とコントロールプレーン処理を行う。プロセッサ1104は、複数のプロセッサを含んでもよい。例えば、プロセッサ1104は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., Digital Signal Processor(DSP))とコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., Central Processing Unit(CPU)又はMicro Processing Unit(MPU))を含んでもよい。プロセッサ1104は、ビームフォーミングのためのデジタルビームフォーマ・モジュールを含んでもよい。デジタルビームフォーマ・モジュールは、Multiple Input Multiple Output(MIMO)エンコーダ及びプリコーダを含んでもよい。
【0077】
メモリ1105は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。揮発性メモリは、例えば、Static Random Access Memory(SRAM)若しくはDynamic RAM(DRAM)又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、マスクRead Only Memory(MROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの任意の組合せである。メモリ1105は、プロセッサ1104から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1104は、ネットワークインターフェース1103又は図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ1105にアクセスしてもよい。
【0078】
メモリ1105は、上述の複数の実施形態で説明されたgNB1による処理を行うための命令群およびデータを含む1又はそれ以上のソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)1106を格納してもよい。いくつかの実装において、プロセッサ1104は、当該ソフトウェアモジュール1106をメモリ1105から読み出して実行することで、上述の実施形態で説明されたgNB1の処理を行うよう構成されてもよい。
【0079】
図12は、UE2の構成例を示すブロック図である。Radio Frequency(RF)トランシーバ1201は、gNB1と通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ1201は、複数のトランシーバを含んでもよい。RFトランシーバ1201により行われるアナログRF信号処理は、周波数アップコンバージョン、周波数ダウンコンバージョン、及び増幅を含む。RFトランシーバ1201は、アンテナアレイ1202及びベースバンドプロセッサ1203と結合される。RFトランシーバ1201は、変調シンボルデータ(又はOFDMシンボルデータ)をベースバンドプロセッサ1203から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナアレイ1202に供給する。また、RFトランシーバ1201は、アンテナアレイ1202によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、これをベースバンドプロセッサ1203に供給する。RFトランシーバ1201は、ビームフォーミングのためのアナログビームフォーマ回路を含んでもよい。アナログビームフォーマ回路は、例えば複数の移相器及び複数の電力増幅器を含む。
【0080】
ベースバンドプロセッサ1203は、無線通信のためのデジタルベースバンド信号処理(データプレーン処理)とコントロールプレーン処理を行う。デジタルベースバンド信号処理は、(a) データ圧縮/復元、(b) データのセグメンテーション/コンカテネーション、(c) 伝送フォーマット(伝送フレーム)の生成/分解、(d) 伝送路符号化/復号化、(e) 変調(シンボルマッピング)/復調、及び(f) Inverse Fast Fourier Transform(IFFT)によるOFDMシンボルデータ(ベースバンドOFDM信号)の生成などを含む。一方、コントロールプレーン処理は、レイヤ1(e.g., 送信電力制御)、レイヤ2(e.g., 無線リソース管理、及びhybrid automatic repeat request(HARQ)処理)、及びレイヤ3(e.g., アタッチ、モビリティ、及び通話管理に関するシグナリング)の通信管理を含む。
【0081】
例えば、ベースバンドプロセッサ1203によるデジタルベースバンド信号処理は、Packet Data Convergence Protocol(PDCP)レイヤ、Radio Link Control(RLC)レイヤ、MACレイヤ、およびPHYレイヤの信号処理を含んでもよい。また、ベースバンドプロセッサ1203によるコントロールプレーン処理は、Non-Access Stratum(NAS)プロトコル、RRCプロトコル、及びMAC CEの処理を含んでもよい。
【0082】
ベースバンドプロセッサ1203は、ビームフォーミングのためのMIMOエンコーディング及びプリコーディングを行ってもよい。
【0083】
ベースバンドプロセッサ1203は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., DSP)とコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., CPU又はMPU)を含んでもよい。この場合、コントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサは、後述するアプリケーションプロセッサ1204と共通化されてもよい。
【0084】
アプリケーションプロセッサ1204は、CPU、MPU、マイクロプロセッサ、又はプロセッサコアとも呼ばれる。アプリケーションプロセッサ1204は、複数のプロセッサ(複数のプロセッサコア)を含んでもよい。アプリケーションプロセッサ1204は、メモリ1206又は図示されていないメモリから読み出されたシステムソフトウェアプログラム(Operating System(OS))及び様々なアプリケーションプログラム(例えば、通話アプリケーション、WEBブラウザ、メーラ、カメラ操作アプリケーション、音楽再生アプリケーション)を実行することによって、UE2の各種機能を実現する。
【0085】
幾つかの実装において、
図12に破線(1205)で示されているように、ベースバンドプロセッサ1203及びアプリケーションプロセッサ1204は、1つのチップ上に集積されてもよい。言い換えると、ベースバンドプロセッサ1203及びアプリケーションプロセッサ1204は、1つのSystem on Chip(SoC)デバイス1205として実装されてもよい。SoCデバイスは、システムLarge Scale Integration(LSI)またはチップセットと呼ばれることもある。
【0086】
メモリ1206は、揮発性メモリ若しくは不揮発性メモリ又はこれらの組合せである。メモリ1206は、物理的に独立した複数のメモリデバイスを含んでもよい。揮発性メモリは、例えば、SRAM若しくはDRAM又はこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、MROM、EEPROM、フラッシュメモリ、若しくはハードディスクドライブ、又はこれらの任意の組合せである。例えば、メモリ1206は、ベースバンドプロセッサ1203、アプリケーションプロセッサ1204、及びSoC1205からアクセス可能な外部メモリデバイスを含んでもよい。メモリ1206は、ベースバンドプロセッサ1203内、アプリケーションプロセッサ1204内、又はSoC1205内に集積された内蔵メモリデバイスを含んでもよい。さらに、メモリ1206は、Universal Integrated Circuit Card(UICC)内のメモリを含んでもよい。
【0087】
メモリ1206は、上述の複数の実施形態で説明されたUE2による処理を行うための命令群およびデータを含む1又はそれ以上のソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)1207を格納してもよい。幾つかの実装において、ベースバンドプロセッサ1203又はアプリケーションプロセッサ1204は、当該ソフトウェアモジュール1207をメモリ1206から読み出して実行することで、上述の実施形態で図面を用いて説明されたUE2の処理を行うよう構成されてもよい。
【0088】
図11及び
図12を用いて説明したように、上述の実施形態に係るgNB1及びUE2が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、Programmable ROM(PROM)、Erasable PROM(EPROM)、フラッシュROM、Random Access Memory(RAM))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0089】
<その他の実施形態>
上述の実施形態で説明された5G-RAN3は、Cloud Radio Access Network(C-RAN)コンセプトに基づいて実装されてもよい。C-RANは、Centralized RANと呼ばれることもある。したがって、上述の実施形態で説明されたgNB1により行われる処理及び動作は、C-RANアーキテクチャに含まれるDigital Unit(DU)によって、又はDU及びRadio Unit(RU)の組み合せによって提供されてもよい。DUは、Baseband Unit(BBU)又はCentral Unit(CU)と呼ばれる。RUは、Remote Radio Head(RRH)、Remote Radio Equipment(RRE)、Distributed Unit(DU)、又はTransmission and Reception Point(TRP又はTRxP)とも呼ばれる。すなわち、上述の実施形態で説明された各gNB1によって行われる処理及び動作は、任意の1又は複数の無線局(又はRANノード)によって提供されてもよい。
【0090】
上述した実施形態において、UE2は、さらに、UE2における送信すべきULデータのサイズ(e.g., PDCP SDUサイズ又は数、PDCPバッファ量)に応じて、又は送信すべきULデータの種別(e.g., traffic type, service type, QoS, use case)に応じて、どの手順によりULデータを送信するかを決定してもよい。例えば、UE2は、上述した実施形態において、第1の送信手順によるULデータ送信を行うことが許可されると判定した場合、さらにULデータのサイズ又はULデータの種別に関する所定の第2の条件を考慮してもよい。ULデータのサイズに関する第2の条件は、ULデータのサイズが所定の閾値より小さいこと、であってもよい。ULデータの種別に関する第2の条件は、ULデータが所定のものに相当すること、であってもよい。具体例として、UE2は、第2の条件が満たされる場合、第1の送信手順によるULデータ送信を行い、満たされない場合には第2の送信手順によるULデータ送信を行うようにしてもよい。なお、当該第2の条件は、予めgNB1からUE2へ設定されていてもよいし、各セルにてシステム情報として送信されていてもよい。後者の場合、UE2はセル再選択に応答して、当該システム情報を受信するようにしてもよい。さらに、当該第2の条件は、UE2がRRC_CONNECTED状態からRRC_INACTIVE状態に遷移したセルに滞在している場合と、当該セルからセル再選択を行って他のセルに移動した場合とで異なってもよい。言い換えると、RRC_INACTIVE状態でのセル再選択が行われている状況とRRC_INACTIVE状態でのセル再選択が行われていない状況を含む異なる状況のための異なる第2の条件がUE2に設定されてもよい。
【0091】
上述の実施形態では、第1の送信手順の2つのオプションが提示された。第1のオプションでは、UE2はRRC_INACTIVE状態に留まったままでULデータを送信する。例えば、第1のオプションでは、RRC_INACTIVE状態であるUE2がgrant-free無線リソースを使用してgNBからの個別のUL grantを必要とすることなくULデータを送信してもよい(例えば、非特許文献2に示された送信手順)。これに対して、第2のプションでは、UE2は、RRC_INACTIVE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する手順の間にULデータを送信する。例えば、第2のオプションでは、UE2は、ランダムアクセス手順の第3メッセージ(Message 3(Msg3))、つまりRRCメッセージ(e.g., RRC Connection Resume Request)と同時にULデータを送信してもよい(例えば、非特許文献3に示された送信手順)。UE2は、第1のオプション及び第2のオプションの両方をサポートし、第1のオプションと第2のオプションのどちらを使用するかを所定の第3の条件に基づいて決定してもよい。第3の条件は、ULデータのサイズ(又は、バッファサイズ)が所定の閾値より小さいこと、であってもよい。具体的には、UE2は、ULデータのサイズが所定の閾値より小さい場合に第1のオプションを使用し、ULデータのサイズが所定の閾値より大きい場合に第2のオプションを使用してもよい。さらに又はこれに代えて、UE2は、現在セルでのシステム情報(e.g., explicit available indication, or Radio resource configuration for corresponding option)を受信し、どちらのオプションが許可されているか(又はサポートされているか)で判定してもよい。
【0092】
さらに、上述した実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない。すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0093】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0094】
(付記1)
無線端末であって、
トランシーバと、
無線アクセスネットワーク(RAN)に関連付けられた1又は複数のセルで前記トランシーバを制御するよう構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での前記無線端末の状態遷移を制御するよう構成され、
前記第1のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANがアクセス層(Access stratum(AS))コンテキストを維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置がセルのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第2のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストの少なくとも一部を維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANにより設定されたRAN通知エリアのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第3のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストを解放している状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANによって知られていない状態であり、
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに、もし前記無線端末が前記第2のRRC状態であり、且つもし前記無線端末がキャンプオンしている現在セルが前記第1のRRC状態から前記第2のRRC状態への遷移が行われた第1のセルと異なり、且つもし前記現在セルが所定の条件を満たすなら、前記無線端末が前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順によって送信データを前記現在セルにおいて送信することを許可するよう構成されている、
無線端末。
【0095】
(付記2)
前記所定の条件は、前記現在セルが前記第1のセルと同じ基地局によって管理されているとの条件を含む、
付記1に記載の無線端末。
【0096】
(付記3)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記現在セルが前記第1のセルと同じ基地局によって管理されているか否かを判定するために、前記現在セルにおいて受信した前記現在セル又は前記現在セルを管理する基地局の識別子を、前記第1のセル又は前記第1のセルを管理する基地局の識別子と比較するよう構成されている、
付記2に記載の無線端末。
【0097】
(付記4)
前記所定の条件は、前記現在セルが、前記第1のRRC状態から前記第2のRRC状態へ遷移するときに前記無線端末が前記第1のセルの基地局によって指定された少なくとも1つの特定のセルに含まれるとの条件を含む、
付記1~3のいずれか1項に記載の無線端末。
【0098】
(付記5)
前記少なくとも1つの特定のセルは、前記RAN通知エリアを構成する少なくとも1つのセルのサブセットである、
付記4に記載の無線端末。
【0099】
(付記6)
前記少なくとも1つの特定のセルは、前記RAN通知エリアを構成する少なくとも1つのセルと同一である、
付記4に記載の無線端末。
【0100】
(付記7)
前記少なくとも1つのプロセッサは、もし前記現在セルが前記所定の条件を満たさないなら、前記第1の送信手順によって前記現在セルにおいて送信することを許可せず、前記無線端末が前記第2のRRC状態から前記第1のRRC状態になった後にアップリンクデータを送信する第2の送信手順によって前記送信データを前記現在セルにおいて送信することを許可するよう構成されている、
付記1~6のいずれか1項に記載の無線端末。
【0101】
(付記8)
前記少なくとも1つのプロセッサは、もし前記無線端末が前記第2のRRC状態であり、且つもし前記現在セルが前記RAN通知エリアに属しておらず、且つ前記RAN通知エリアの更新手順が実行されていないなら、前記更新手順を行った後に又は前記更新手順内において前記第1又は第2の送信手順による前記現在セルでの前記送信データの送信を許可するよう構成されている、
付記7に記載の無線端末。
【0102】
(付記9)
前記第1の送信手順では、前記無線端末は、前記第1のRRC状態に遷移すること無く前記送信データを送信する、
付記1~8のいずれか1項に記載の無線端末。
【0103】
(付記10)
前記第1の送信手順では、前記無線端末は、前記第2のRRC状態から前記第1のRRC状態に遷移する手順の間に、前記送信データを送信する、
付記1~9のいずれか1項に記載の無線端末。
【0104】
(付記11)
前記第1の送信手順では、前記無線端末は、前記第2のRRC状態に留まったままで前記送信データを送信する、
付記1~9のいずれか1項に記載の無線端末。
【0105】
(付記12)
前記RAN通知エリアは、前記無線端末が前記第2のRRC状態であるときにセル再選択によってセル間を移動しても前記セル再選択を前記RANに報告しなくてもよいエリアである、
付記1~11のいずれか1項に記載の無線端末。
【0106】
(付記13)
無線アクセスネットワーク(RAN)に配置される基地局であって、
メモリと、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での無線端末の状態遷移を制御するよう構成され、
前記第1のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANがアクセス層(Access stratum(AS))コンテキストを維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置がセルのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第2のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストの少なくとも一部を維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANにより設定されたRAN通知エリアのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第3のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストを解放している状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANによって知られていない状態であり、
前記少なくとも1つのプロセッサは、さらに、前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順が前記第2のRRC状態である前記無線端末に許可される少なくとも1つの特定のセルを示す設定情報を、前記無線端末に送信するよう構成されている、
基地局。
【0107】
(付記14)
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記基地局によって運用される第1のセルにおいて前記無線端末が前記第1のRRC状態から前記第2のRRC状態へ遷移するときに、前記設定情報を前記無線端末に送信するよう構成されている、
付記13に記載の基地局。
【0108】
(付記15)
前記少なくとも1つの特定のセルは、前記第1のセルと同じ前記基地局によって運用される少なくとも1つのセルであり、
前記設定情報は、前記基地局によって運用される少なくとも1つのセルを示すセルリストを含む、
付記14に記載の基地局。
【0109】
(付記16)
前記少なくとも1つの特定のセルは、前記RAN通知エリアを構成する少なくとも1つのセルのサブセットであり、
前記設定情報は、前記RAN通知エリアに含まれる各セルが前記少なくとも1つの特定のセルに含まれるか否かを示す、
付記14に記載の基地局。
【0110】
(付記17)
無線端末における方法であって、
第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での前記無線端末の状態遷移を制御すること、及び
もし前記無線端末が前記第2のRRC状態であり、且つもし前記無線端末がキャンプオンしている現在セルが前記第1のRRC状態から前記第2のRRC状態への遷移が行われた第1のセルと異なり、且つもし前記現在セルが所定の条件を満たすなら、前記無線端末が前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順によって送信データを前記現在セルにおいて送信することを許可すること、
を備え、
前記第1のRRC状態は、前記無線端末及び無線アクセスネットワーク(RAN)がアクセス層(Access stratum(AS))コンテキストを維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置がセルのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第2のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストの少なくとも一部を維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANにより設定されたRAN通知エリアのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第3のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストを解放している状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANによって知られていない状態である、
方法。
【0111】
(付記18)
無線アクセスネットワーク(RAN)に配置される基地局における方法であって、
第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での無線端末の状態遷移を制御すること、及び
前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順が前記第2のRRC状態である前記無線端末に許可される少なくとも1つの特定のセルを示す設定情報を、前記無線端末に送信すること、
を備え、
前記第1のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANがアクセス層(Access stratum(AS))コンテキストを維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置がセルのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第2のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストの少なくとも一部を維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANにより設定されたRAN通知エリアのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第3のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストを解放している状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANによって知られていない状態である、
方法。
【0112】
(付記19)
無線端末における方法をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記方法は、
第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での前記無線端末の状態遷移を制御すること、及び
もし前記無線端末が前記第2のRRC状態であり、且つもし前記無線端末がキャンプオンしている現在セルが前記第1のRRC状態から前記第2のRRC状態への遷移が行われた第1のセルと異なり、且つもし前記現在セルが所定の条件を満たすなら、前記無線端末が前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順によって送信データを前記現在セルにおいて送信することを許可すること、
を備え、
前記第1のRRC状態は、前記無線端末及び無線アクセスネットワーク(RAN)がアクセス層(Access stratum(AS))コンテキストを維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置がセルのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第2のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストの少なくとも一部を維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANにより設定されたRAN通知エリアのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第3のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストを解放している状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANによって知られていない状態である、
プログラム。
【0113】
(付記20)
無線アクセスネットワーク(RAN)に配置される基地局における方法をコンピュータに行わせるためのプログラムであって、
前記方法は、
第1のRRC状態、第2のRRC状態、及び第3のRRC状態の間での無線端末の状態遷移を制御すること、及び
前記第1のRRC状態になる前にアップリンクデータを送信する第1の送信手順が前記第2のRRC状態である前記無線端末に許可される少なくとも1つの特定のセルを示す設定情報を、前記無線端末に送信すること、
を備え、
前記第1のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANがアクセス層(Access stratum(AS))コンテキストを維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置がセルのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第2のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストの少なくとも一部を維持する状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANにより設定されたRAN通知エリアのレベルで前記RANによって知られている状態であり、
前記第3のRRC状態は、前記無線端末及び前記RANが前記ASコンテキストを解放している状態であり、且つ前記無線端末の位置が前記RANによって知られていない状態である、
プログラム。
【0114】
この出願は、2017年1月5日に出願された日本出願特願2017-000801を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0115】
1 gNodeB (gNB)
2 User Equipment (UE)
3 5G Radio Access Network(5G-RAN)
4 5G Core Network(5G-CN)
11 セル
1101 RFトランシーバ
1104 プロセッサ
1105 メモリ
1201 RFトランシーバ
1203 ベースバンドプロセッサ
1204 アプリケーションプロセッサ
1206 メモリ