IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図1
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図2
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図3
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図4
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図5
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図6
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図7
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図8
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図9
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図10
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図11
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図12
  • -報告作成支援装置及び報告作成支援方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】報告作成支援装置及び報告作成支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/783 20190101AFI20230606BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20230606BHJP
   G06F 40/186 20200101ALI20230606BHJP
   G06F 40/174 20200101ALI20230606BHJP
【FI】
G06F16/783
G06Q10/10
G06F40/186
G06F40/174
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022117818
(22)【出願日】2022-07-25
(65)【公開番号】P2023020997
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2021123952
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022049293
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521139058
【氏名又は名称】株式会社ブリングアウト
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【弁護士】
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159248
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 修
(74)【代理人】
【識別番号】100174850
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 絵美
(72)【発明者】
【氏名】小原 正大
【審査官】石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169977(JP,A)
【文献】特開2007-328471(JP,A)
【文献】特開2016-102920(JP,A)
【文献】特開2017-229060(JP,A)
【文献】特開2014-154986(JP,A)
【文献】特開2018-189977(JP,A)
【文献】韓国登録特許第2100214(KR,B1)
【文献】特開2009-211290(JP,A)
【文献】特開平7-182365(JP,A)
【文献】特開2012-221440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 16/783
G06F 40/186
G06F 40/174
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録した面談に基づいて報告の作成を支援するための報告作成支援装置であって、
面談において重要な事項である重要事項を複数設定するための重要事項設定部と、
設定された各重要事項を記録した面談から取得する重要事項取得部と、
前記記録した面談における発話をテキスト化するテキスト化部と、
前記テキスト化した発話テキストに、メタ情報を付与するメタ情報付与部と、
前記発話テキストから、前記設定された重要事項と関連する発話テキストである関連発話テキストを検出する検出部と、
前記検出した関連発話テキストを、ディスプレイの表示領域の一の部分に表示する発話テキスト表示部と、
前記ディスプレイの表示領域の他の部分に、前記重要事項に関連する面談の内容の記入を受付ける記入欄を前記重要事項ごとに表示する記入欄表示部と、
を有する報告作成支援装置。
【請求項2】
前記記録した面談における任意の箇所を範囲設定する範囲設定部を、
さらに有する請求項1に記載の報告作成支援装置。
【請求項3】
前記範囲設定部は、
前記発話テキストに含まれ、前記設定された重要事項と関連するキーワードに基づいて範囲設定する請求項2に記載の報告作成支援装置。
【請求項4】
前記範囲設定部は、
前記記録した面談の映像又は/及び音声に基づき範囲設定する請求項2に記載の報告作成支援装置。
【請求項5】
前記重要事項取得部は、
前記記入欄に記入された重要事項を取得する請求項1又は請求項2に記載の報告作成支援装置。
【請求項6】
前記記入欄表示部は、
前記重要事項の記入状況を表示する請求項1又は請求項2に記載の報告作成支援装置。
【請求項7】
前記発話テキスト表示部は、
前記関連発話テキストを他の発話テキストと異なる態様で表示する請求項1又は請求項2に記載の報告作成支援装置。
【請求項8】
前記発話テキスト表示部は、
重要事項と関連するキーワードであって、前記関連発話テキストに含まれるキーワードを目立たせて表示する請求項1又は請求項2に記載の報告作成支援装置。
【請求項9】
前記重要事項は、営業手法論に基づく重要事項である請求項1又は請求項2に記載の報告作成支援装置。
【請求項10】
前記重要事項取得部は、
記録された面談から前記重要事項に該当する発話を自動取得する請求項1又は請求項2に記載の報告作成支援装置。
【請求項11】
コンピュータが実行する、
記録した面談に基づいて報告の作成を支援するための報告作成支援方法であって、
面談において重要な事項である重要事項を複数設定する重要事項設定ステップと、
設定された各重要事項を記録した面談から取得する重要事項取得ステップと、
前記記録した面談における発話をテキスト化するテキスト化ステップと、
前記発話テキストに、メタ情報を付与するメタ情報付与ステップと、
前記テキスト化した発話テキストから、前記設定された重要事項と関連する発話テキストである関連発話テキストを検出する検出ステップと、
前記検出した関連発話テキストを、ディスプレイの表示領域の一の部分に表示する発話テキスト表示ステップと、
前記ディスプレイの表示領域の他の部分に、前記重要事項に関連する面談の内容の記入を受付ける記入欄を前記重要事項ごとに表示する記入欄表示ステップと、
を有する報告作成支援方法。
【請求項12】
記録した面談に基づいて報告の作成を支援するための報告作成支援方法であって、
面談において重要な事項である重要事項を複数設定する重要事項設定ステップと、
設定された各重要事項を記録した面談から取得する重要事項取得ステップと、
前記記録した面談における発話をテキスト化するテキスト化ステップと、
前記発話テキストに、メタ情報を付与するメタ情報付与ステップと、
前記テキスト化した発話テキストから、前記設定された重要事項と関連する発話テキストである関連発話テキストを検出する検出ステップと、
前記検出した関連発話テキストを、ディスプレイの表示領域の一の部分に表示する発話テキスト表示ステップと、
前記ディスプレイの表示領域の他の部分に、前記重要事項に関連する面談の内容の記入を受付ける記入欄を前記重要事項ごとに表示する記入欄表示ステップと、
を有する報告作成支援方法の各ステップをコンピュータに実行させる報告作成支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商談や面談などを記録し、記録した面談等についての報告の作成を支援する報告作成支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
営業活動における商談や採用面接といったような各種の面談が行われている。それぞれの面談には、商談であれば自社商品の販売、採用面接であれば優秀な人材の採用といった目的がある。この目的を達するため、あるいは達成までの進捗を確認するなどのために、面談を記録して報告したり分析したりすることが行われている。それらを鑑み、面談の分析や議事録の作成をサポートする技術も開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、議事録作成を支援する技術を開示している。この技術は、録音した会議の音声データに基づき話者ごとの発言をテキスト化し、一定長に区切られた話者の発言内容を、その発言者と対応づけた形式にて時系列で表示する。このように列記された発言内容を編集することで正確な議事録の作成が可能になるというものである。また、特許文献2は、オンライン面談に関する技術であって、面談における会話の内容をテキスト化し、テキスト化した会話の内容及び面談相手の顔画像に基づき面談の雰囲気を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-060850号公報
【文献】特許6824457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術は、会議の最初から最後までの発話がすべて表示されることにより、正確な記録を残すことに寄与するといえる。しかし、会議の内容を端的に報告したり、会議の内容について評価(受注に至ったか否か、顧客の予算の確認ができたか否か、など)するためには、人が会議の記録を見直して、要点をまとめるなどして報告したり、評価したりすることになり、手間がかかり作成者の資質に依存することになる。また、特許文献2に開示の技術は、面談の雰囲気を把握することができるというメリットがあるものの、面談内容を端的に報告することや、商談がどの段階まで進んだかといったことを客観的に判断するためには、やはり人の手間を費やすしかなく、また、それらに関与する者の資質等に依存してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下の報告作成支援装置などを提供する。すなわち、記録した面談に基づいて報告の作成を支援するための報告作成支援装置であって、面談において重要な事項である重要事項を複数設定するための重要事項設定部と、設定された各重要事項を記録した面談から取得する重要事項取得部と、を有する報告作成支援装置を提供する。
【0007】
また、記録した面談に基づいて報告の作成を支援するための報告作成支援方法であって、面談において重要な事項である重要事項を複数設定する重要事項設定ステップと、設定された各重要事項を記録した面談から取得する重要事項取得ステップと、を有する報告作成支援方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、面談の内容や要点を明らかにし、的確な報告や面談内容の評価などに寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図
図2】実施例1の報告作成支援装置を実現するハードウエアの構成例を示す概念図
図3】実施例1の報告作成支援装置の処理の流れの一例を示す図
図4】実施例2の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図
図5】実施例3の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図
図6】発話テキストと記入欄の表示態様の一例を示す概念図
図7図6の例において、ユーザが入力している態様を示す概念図
図8】関連発話テキストを表示する一例を示す概念図
図9】関連発話テキストを表示する他の例を示す概念図
図10】実施例4の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図
図11】設定された範囲に応じて関連発話テキストを表示する例を示す概念図
図12】面談のタイムライン上に、設定した範囲とその範囲の内容を示した概念図
図13】実施例4の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0011】
なお、実施例と請求項の相互の関係は以下の通りである。実施例1は主に請求項1、13から15に関し、実施例2は主に請求項3に関し、実施例3は主に請求項7から12に関し、実施例4は、主に請求項2、4、5に関し、実施例5は主に請求項6に関する。
【0012】
<実施例1>
<概要>
面談は、参加者が集い特定の目的について意見交換、審議を行い、合意や施策などの意思決定を行うものである。したがって、面談がどのようなものであったかを報告するためには、面談の目的に関する重要な意見の表明や合意が形成されたか否かといったことを確認することが有効である。本発明においては、面談における重要な事項を設定し、記録した面談から設定された重要事項を取得することで、的確な面談の報告をすることが可能となる。
【0013】
以下では、報告作成支援装置の機能及び処理の流れ、並びにハードウエアの内容について説明する。なお、以下に記載する本システムの機能ブロックは、ハードウエア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)や主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウエア構成部、またその外部周辺装置用のインタフェース、通信用インタフェース、それらハードウエアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インタフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウエアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本システムの機能ブロックは専用ハードウエアによって実現されても良い。
【0014】
また、この発明はシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるプログラム、及びプログラムを固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0015】
<機能的構成>
図1は、本実施例の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、報告作成支援装置100は、重要事項設定部101と、重要事項取得部102と、を有する。
【0016】
報告作成支援装置100は、記録した面談に基づいて報告の作成を支援するための装置である。面談は、商談、採用面談、社内面談、社内会議、組織内会議など様々な話し合いを指し、報告を要することが多いものである。また、インターネットや電話回線などを用いたオンラインの商談や会議なども含むものである。報告は、面談の内容、進捗、結果などを知らせるものであり、書面、画像等によりなされる。本装置は、主に録画するなどして記録した面談に基づいて、後述する各構成の機能により報告の作成を支援する。また、面談を記録しつつ後述する各構成を機能させ報告の作成を支援するようにしてもよい。また、本装置は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、サーバ装置などにより実現される。
【0017】
重要事項設定部101は、面談において重要な事項である重要事項を複数設定するための機能を有する。重要事項は、面談の内容や成果について把握や評価などをするために有用で重要な事項をいう。また、重要事項は、商談、社内会議、採用面談といったような面談の種類や目的に応じて設定されることが好ましい。
【0018】
例えば、商談においては、営業手法論(営業手法の理論や考え方)に基づいて重要事項を設定することができる。営業手法論は様々にあり、以下にその一部を示し、営業手法論に基づく重要事項の設定の態様を示す。
【0019】
営業手法論の一つである「BANT+C理論」に基づく事項を重要事項として設定することができる。BANT+Cは、商品等を販売する営業にとって確認すべき重要な情報の頭文字であって、以下の各情報を示している。
B:Budget(予算)予算の有無、いつの時点での予算なのか
A:Authority(決裁権)決裁権の有無、決裁権を持つ者は誰なのか
N:Needs(必要性)抱えている課題の有無、潜在ニーズの顕在化
T:Timeframe(導入時期)導入時期が決まっているか
C:Competitor(競合)他に検討している企業の有無
この理論に基づき、例えば「お客様のご予算」、「決裁者」、「お客様のニーズ」、「導入の日程」、「ネクストアクション」及び「競業企業」といった事項を、重要事項として設定することができる。
【0020】
また、営業手法論の一つに「SPIN営業法」というものがある。これは、顧客の潜在ニーズを掘り起こす営業手法であり、「Situation(状況質問)」、「Problem(問題質問)」、「Implication(示唆質問)」、「Need payoff(解決質問)」の順に4つの質問を顧客に対して行う。まず、顧客の状況を理解するための質問をし(状況質問)、顧客ニーズを明確にし、問題点を把握させる質問をする(問題質問)。そして、課題を示唆し、解決の必要性に気付いてもらう質問をし(示唆質問)、最後に、課題を解決した状態をイメージさせる質問をする(解決質問)。それぞれの質問に対する回答を重要事項として設定することができる。
【0021】
また、営業手法論である営業におけるフレームワークに基づき重要事項を設定してもよい。フレームワークは、経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールであり、あらかじめ決まっているテンプレートに必要な情報を当てはめることで、最短かつ最適な答えを出すことができる。この当てはめるべきことを重要事項として設定することができる。
【0022】
このようなフレームワークは、種々存在する。例えば、「3C分析」は、「Company(自社)」「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」の頭文字であり、この3つの関係性から会社の現状を分析するというものである。また、「SWOT分析」は、「Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)」の頭文字をとったものである。SWOT分析では、自社の強みや弱みなどの内部環境と競合他社や市場トレンドなどの外部環境の関係性を分析する。
【0023】
また、「4P分析」は、「Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)」の4つに基づく分析であり、この4つの事項を競合他社と比較することにより、「どの商品を、どのくらいの価格で、どのように、どうやって売ればいいのか」などを分析するものである。また、「5W1H」は、「When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)」の頭文字であり、情報伝達や共有、文章構成などにおいて活用され、一般的にも使われている。5W1Hには、4P分析の考え方も含まれており、4P分析を整理するために有効である。
【0024】
また、「PEST分析」は、「Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)」の頭文字をとったもので、マクロ環境が自社にどのような影響を与えるのかを分析するフレームワークである。また、「ロジックツリー」は、問題に対して「Why(なぜ)」と「How(どうやって)」を繰り返し、問題を要素分解する方法です。作図しながら思考するため、解決にたどり着きやすいフレームワークである。
【0025】
また、「VRIO」は、「Value(経済的価値)、「Rarity(希少性)、「Imitability(模倣困難性)、「Organization(組織)」の頭文字をとったもので、この4つの観点から経営資源を評価し、その企業独自の強みと弱みを分析するフレームワークである。また、「バリューチェーン分析」は、自社が提供する価値が、顧客に届くまでの個々のプロセス(例えば、企画・材料調達・製造・物流・販売)をつなぎ合わせて整理する分析手法である。これにより、各プロセスの強みと弱みが明確になる。
【0026】
また、「TOWS分析」は、SWOT分析の4つの要素をそれぞれ縦横に配置し、戦略を考えていく手法である。なお、上述した「BANT+C」の考え方も、フレームワークの一つである。
【0027】
また、「The Model」という営業手法論に基づいて重要事項を設定することもできる。この概念は、営業プロセスを複数の段階(マーケティング、インサイドセールス、外勤営業、カスタマーサクセス)に区分し分業化する一方で、各段階で情報を可視化、数値化し、部門を超えた連携を軸に売り上げの増大を図るという考え方である。このような場合、段階ごとに重要事項を設定することで、各段階での重要な情報が明確化されて部門間で受け渡すことができて好ましい。また、段階に応じて商談において抑えておくべき事項がSSM(Selling Success Methodology)として定義されている。このSSMを重要事項として設定してもよい。SSMは、14項目あり、以下のとおりである。
1.コンペリングイベント:お客様が受注予定日までに買う理由
2.対象業務と組織:何の業務で、どこの組織が利用するか
3.経営上の優先事項:中期経営計画等でお客様が実現したいこと
4.ROI(費用対効果):投資対効果、お客様の期待値
5.最終意思決定者:最終意思決定者
6.推進者のゴール:推進者の進める原動力
7.レッドフラグ:懸念事項と、その対策
8.意思決定の基準:意思決定を行う基準
9.次のステップ:To Doでなく、5W1Hで何をするか
10.検討スケジュール:ゴールからの逆算スケジュール
11.競合優位性:競合に対してどのように優位なのか
12.社員同士の繋がり:役員同士の繋がり
13.予算情報:予算承認済みか
14.社内役員スポンサー:ケツモチをしてくれる自社役員
上述した重要事項の各例は、面談における顧客とのやり取りから取得するものであるが、面談の背景情報(どのようなお客様か、面談に至った背景など)を重要事項として設定してもよい。また、営業する者からの提案の流れや提案内容、提案したときのお客様の反応や雰囲気がどのようなものであったかを重要事項として設定してもよい。
【0028】
また、営業する者の発言に着目した重要事項を設定してもよい。例えば、不適切な発言(不用意に値引きに言及する、コンプライアンスや法律上問題となる発言をする、など)がなかったかということを重要事項として設定してもよい。また、金融商品、各種保険、不動産などを取引する際に、商品内容やリスクなどの義務付けられた説明を十分に行ったかどうかということを重要事項として設定してもよい。また、説明に対する顧客の反応や納得の程度なども併せて重要事項とすることも好ましい。
【0029】
商談における重要事項を、営業手法論に基づいて設定する態様を複数例示したが、重要事項の設定は、他に存在する営業手法論や今後生じる営業手法論に基づいて行うこともできる。
【0030】
また、商談は会社の活動により生じる面談の重要なひとつであるが、他にも様々なレベルや部門における社内会議や採用面談なども行われる。そこで、社内会議や採用面談などについての報告作成のための重要事項を設定することが好ましい。社内会議について報告をする場合には、例えば「議題」、「経過」、「決定事項」、「アクション」などの各事項を重要事項として設定することができる。また、採用面談において確認すべき事項を重要事項とする場合には、例えば「コミュニケーションスキルの確認」、「志望度・意欲の確認」、「仕事に対する姿勢」、「スキルマッチ」、「ストレス耐性」、「カルチャーマッチ」、「志向性」及び「定着性」の各事項を重要事項として設定することができる。
【0031】
重要事項取得部102は、設定された各重要事項を記録した面談から取得する機能を有する。重要事項の取得は、重要事項に関する発話をテキスト化して取得したり、重要事項に関する発話を記録した音声データや動画像データを重要事項として取得したり、本装置のユーザが上述したテキストや音声データや動画像データに基づき記述することにより取得する。また、記録した面談には録画等により記録した面談に加え、その面談が発生した背景、その面談に利用する資料や物品、面談に関与する者によりなされた準備など、面談を行うのに付随して生じる様々な事象に関する情報や事物が含まれ、それらから重要事項が取得される。後述する実施例3においては、テキスト化した発話とユーザが重要事項を入力するための記入欄の双方を表示することで、ユーザが表示されているテキストを見ながら重要事項を記入し、記入された事項を重要事項として取得することができる。
【0032】
また、記録された面談から重要事項の取得を自動で行うように構成することもできる。例えば、記録した面談をテキスト化し、構文解析及び係り受け解析などを行い、概念辞書を参照して意味解釈をする。解釈結果から各重要事項を抽出し取得することができる。コンピュータに自然言語を理解させる技術は日々進展しており、本発明を実施する際に最良の技術を用いればよい。
【0033】
以上のように、面談の種類や目的に応じた重要事項を設定し、取得することで、それぞれの面談における要点が明らかな報告の作成に寄与するといった効果が得られる。とくに様々な目的や趣旨の面談が生じ得る会社において、要点が明らかで端的な報告の作成支援は、会社の活動を効率的に進めるうえで極めて有益なことである。
【0034】
<ハードウエア構成>
図2は、報告作成支援装置を実現するハードウエアの構成例を示す概念図である。図示するように、報告作成支援装置200は、各種演算処理を行うCPU201と、揮発性記録媒体であるRAM202と、不揮発性の記憶媒体であるフラッシュメモリやHDDなどのストレージ203と、通信インタフェース204と、入出力インタフェース505と、を有している。RAM202は、各種演算処理を行うプログラムをCPU201に実行させるために読み出すとともに、そのプログラムのワーク領域(作業領域)を提供する。また、RAM202には、複数のアドレスが割り当てられており、CPU201で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い、処理を行うことが可能となっている(本明細書を通じて同様である)。
【0035】
ここで、図1の報告作成支援装置100の重要事項設定部101、重要事項取得部102の機能は、主に図2のCPU201、RAM202及び入出力インタフェース205により実現される。
【0036】
<処理の流れ>
図3は、報告作成支援装置の情報処理の流れの一例を示すフロー図である。図示するように、面談において重要な事項である需要事項を複数設定する(S301:重要事項設定ステップ)。そして、設定された各重要事項を記録した面談から取得する(S302:重要事項取得ステップ)。
【0037】
<効果>
本実施例の報告作成支援装置によれば、面談において重要な事項を設定し、設定された各重要事項を取得することで、面談の要点が明確になり、端的な報告の作成に役立つことができる。
【0038】
<実施例2>
<概要>
本実施例は、実施例1を基本とし、テキスト化した発話から、重要事項に関連する発話を検出する報告作成支援装置に関する。
【0039】
<機能的構成>
図4は、実施例2の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、報告作成支援装置400は、重要事項設定部401と、重要事項取得部402と、テキスト化部403と、検出部404と、を有する。重要事項設定部401及び重要事項取得部402は、実施例1の同名の構成と同様の機能を有するので説明は省略する。
【0040】
テキスト化部403は、前記記録した面談における発話をテキスト化する機能を有する。テキスト化は、記録した面談の音声データに基づき、音声認識を行ってテキスト化する。また、音声データから特徴を抽出して話者を特定し、話者ごとにテキスト化することもできる。
【0041】
検出部404は、前記テキスト化した発話テキストから、前記設定された重要事項と関連する発話テキストである関連発話テキストを検出する機能を有する。関連発話テキストの検出は、例えば、発話テキストを言語解析し重要事項と関連するキーワードを抽出し、抽出したキーワードを含む発話テキストを関連発話テキストとして抽出する。例えば、「お客様のご予算」という重要事項に関する関連発話テキストの検出には、「予算」、「費用」、「支払」、「料金」などの言葉をキーワードとして用い、このキーワードを含む発話テキストを関連発話テキストとして検出する。
【0042】
また、重要事項に関する発話テキストのなかに頻繁に表れるワードを抽出して、関連発話テキストを検出するためのキーワードとして登録してもよい。また、すでに関連発話テキストを検出するためのキーワードとして登録されているキーワードが、検出された関連発話テキストにどれだけ含まれているかにより、検出するためのキーワードとしての良し悪しを評価するように構成することもできる。
【0043】
また、関連発話テキストの検出は、学習済みモデルを用いて検出するように構成することができる。例えば、テキスト化した発話テキストについて、特定の重要事項に関連する箇所に人間がマーカーをつけたデータ(正解データという)を大量に集積し、これをアルゴリズムにインプットする。併せて、その特定の重要事項に関連するキーワード(上記の関連発話テキストを検出するためのキーワードであってもよい)もアルゴリズムに入力して機械学習を実行して学習済みモデルを作成する。作成した学習済みモデルに発話テキストをインプットすることで、その発話テキストにおいて特定の重要事項に関連するテキストが関連発話テキストとして検出される。
【0044】
検出部により、記録した面談から設定された各重要事項と関連する関連発話テキストが検出され、これを蓄積し加工することにより、面談における重要事項が明らかになり、その面談についての報告作成の支援を行うことができる。
【0045】
ユーザが属する組織やユーザが面談する相手方の組織等によって、重要事項と、これを検出するために適したキーワードが異なることが少なくない。そこで、上記のモデルを作成するためのアルゴリズムをユーザ自らが作成(既存のアルゴリズムを修正・改変することも含む。以下同じ)できるように構成してもよい。本報告作成支援装置に関連発話テキストを検出する重要事項についての正解データをセットしておき、併せてその重要事項に関連するキーワードの入力をユーザから受け付けるように構成する。
【0046】
例えば、重要事項が「予算」の場合、「予算」、「費用」、「支払」、「料金」、「支出」などの言葉をキーワードとすることで、ユーザの業種や商材などが様々であっても、関連発話テキストの検出に十分機能することができる。しかし、重要事項が「決裁権」で、商談の相手が一般的な企業である場合、「社長」、「取締役」、「常務」などのキーワードが適しているが、商談の相手が学校である場合、これらのキーワードは不適当であり、「校長」、「教頭」、「理事長」などのキーワードが適したものとなる。したがって、ユーザ自らがキーワードを選択し入力できるように構成することが好ましい。このような事例は、「ニーズ」や「競合他社」などの重要事項においても存在する。
【0047】
また、上記のアルゴリズムを作成する際に、重要事項に関連するキーワードを入力する場合、重要事項に応じた候補となるキーワードを表示するように構成することもできる。また、候補として表示されたキーワードをユーザが削除や追加できるように構成してもよい。このように構成することで、ユーザにとって重要事項に関連するキーワードの入力が行いやすくなる。
【0048】
さらに、入力された重要事項に関連するキーワードにより作成されたアルゴリズムによる関連発話テキストの検出精度を算出して数値として提示するように構成することができる。検出精度は、入力された重要事項についての正解データと対比し、正解数、正解のうち予想を当てられたもの、予想判定数、予想判定のうち予想を外した数、予想を外す(偽陽性)原因となった余分なキーワード、予想出来なかったもの(偽陰性)を予想するために必要なキーワード、精度指標であるF値などにより算出する。F値は、具体的には、分類問題におけるプレシジョン(適合率)とリコール(再現率)とから求められ、適合率と再現率の重視バランスに応じた評価(F1(均衡)、F0.5(適合率重視)、F2(再現率重視))を、数値(0~1)で示すことができる。
【0049】
入力するキーワードを取捨選択し試行しつつ検出精度を検証することで、検出精度の向上を図ることができる。例えば、偽陰性を防ぐためにキーワードを追加する際は、様々な候補ワードから直感的に確からしいワードをキーワードとして選べばよい(例えば、重要事項が「予算」のトピックを当てるのであれば、「学年」は関係無いが「予算」や「決裁」は関係ありそうなどが分かる)。この際、検出に適さないキーワードを追加してしまった場合は、別の正解データの発話テキストで偽陽性率が上がり、キーワードを外すようにレコメンドする(例えば「学年」を追加した場合、他の偽陽性率が上がるが、「予算」を追加した場合は偽陽性率が上がらずに、正答数が上がっている)。
【0050】
また、関連発話テキストの検出は、上述したような重要事項と関連するキーワードを用いるだけでなく、他の事項を用いて行うこともできる。例えば、発話タイミングを用いて関連発話テキストの検出を行うことができる。具体的には、発話タイミングについて面談の全区間のうち何割の時間が経過したかを0~1の間のスコアで評価する。例えば「予算」の重要事項の検出において、通常の商談であれば会話の後半にお客様の予算について伺うことが多いので、このスコアが0.5~1になる。つまりスコアが0~0.5となる商談の前半の発言を検出対象から除去することで検出の精度を上げることができる。
【0051】
また、話者の発言比率を用いて関連発話テキストの検出を行うこともできる。話者の発言比率は、任意の区間で区切った後、話者ごとの発言時間から発言割合を計算してもっとも会話した人の発言比率を数値化したものであり、0~1の間で評価される。例えば商品説明などでは営業担当が喋り続けるので、この値が0.7以上となる。一方で前述の「予算」を聞き出す際は、お客様と営業担当の発言時間が半々(0.5以下)ほどになり、このような話者の発言比率も重要事項の検出の精度を上げるための参考情報として有効に利用することができる。
【0052】
以上のように、検出部により、ユーザの業種、商材、相手方などに適した検出結果が得られ、より報告作成支援に寄与する報告作成支援装置を提供することができる。
【0053】
<ハードウエア構成>
本実施例の報告作成支援装置は、実施例1に準じ図2に示したハードウエア構成により実現することができる。図4に示した実施例2の報告作成支援装置のテキスト化部403と検出部404の機能は、主に図2のCPU201、RAM202により実現される。
【0054】
<処理の流れ>
本実施例の報告作成支援装置の処理の流れは、実施例1の報告作成支援装置の処理の流れと基本的に同様である。そして、本実施例の報告作成支援装置においては、記録した面談における発話をテキスト化するテキスト化ステップと、テキスト化した発話テキストから、設定された重要事項と関連する発話テキストである関連発話テキストを検出する検出ステップと、がさらに含まれる。
【0055】
<効果>
本実施例の報告作成支援装置によれば、設定した重要事項と関連する発話テキストが検出されるため、面談における重要事項が明らかになり、報告の作成に寄与することが可能となる。
【0056】
<実施例3>
<概要>
本実施例は、実施例1又は実施例2を基本とし、ディスプレイに発話テキストを表示するとともに重要事項の記入を受付ける記入欄を表示することを特徴とする報告作成支援装置に関する。
【0057】
<機能的構成>
図5は、実施例3の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、報告作成支援装置500は、重要事項設定部501と、重要事項取得部502と、テキスト化部503と、検出部504と、発話テキスト表示部505と、記入欄表示部506を有する。発話テキスト表示部505と記入欄表示部506以外の各構成は、実施例1又は実施例2の同名の構成と同様の機能を有するので説明は省略する。
【0058】
発話テキスト表示部505は、テキスト化した発話テキストを、ディスプレイの表示領域の一の部分に表示する機能を有する。また、記入欄表示部506は、ディスプレイの表示領域の他の部分に、設定された重要事項の記入を受付ける記入欄を重要事項ごとに表示する機能を有する。これらの構成により、ディスプレイの表示領域に、発話テキストと記入欄の双方が表示される。ユーザは、重要事項を意識しつつ発話テキストを見ることができ、表示されている発話テキストを見ながら重要事項を記入欄に記入することができる。また、重要事項ごとに記入欄が表示されるため、複数設定した重要事項を漏れなく記入することができる。
【0059】
図6は、発話テキストと記入欄の表示態様の一例を示す概念図である。図6に示すように、ディスプレイの表示領域601において、向かって左側で下方の領域602に発話テキストが表示されている。また、発話テキストは話者ごとに(〇〇、□□さん、△△さん)、話者名と併せて表示されている。また、発話テキストを表示する領域の上方には、記録した面談の動画を表示する領域603が設けられており、ユーザは記録した面談の動画を視聴することもできる。
【0060】
また、ディスプレイの表示領域601において、向かって右側の領域には重要事項ごとの記入欄が表示されている。具体的には、「お客様のご予算」の記入欄604と、「決裁者」の記入欄605と、「お客様のニーズ」の記入欄606と、「導入の日程」の記入欄607とが表示されている。なお、設定した複数の重要事項についての記入欄がすべて一画面に表示される必要はなく、スクロール等によりユーザが記入できるように表示されればよい。
【0061】
図7は、図6に例示した表示態様により、ユーザが記入している態様を示す概念図である。図7に示すように、ユーザは、表示領域702に表示されている発話テキストを確認しながら、重要事項「お客様のご予算」の記入欄704に「100円までなら医業部長(□□さん)の決裁権で契約できる。」と記入し、「お客様のニーズ」の記入欄706に「新入社員のOJTでの利用希望。」と記入し、「導入の日程」の記入欄707に「GW明けから利用したい。」と記入している。
【0062】
また、未だ記入されていない「決裁者」の記入欄705を太枠で表示するとともに、「この項目は入力されていません」との文言を太字下線付きで表示している。このように重要事項の記入状況を表示することで、重要事項の取得漏れを防ぐことができる。また、重要事項ごとの記入状況の表示のほかに、すべての重要事項のうち記入が済んでいる重要事項の数を表示するようにしてもよい。例えば、7つの重要事項を設定していて5つの重要事項についての記入が済んでいる場合に、重要事項の記入数として「5/7」を表示する。このように、重要事項の記入状況を示すことで、その面談での重要事項の取得状況が客観的に分かり、面談の進捗などを評価することができる。
【0063】
なお、発話テキストの表示領域と記入欄の表示領域のレイアウトは図6図7の例に限られず、発話テキストと記入欄の双方が表示される限り様々態様でそれぞれ表示領域のレイアウトを設定することができる。
【0064】
また、実施例1において説明した重要事項取得部は、記入欄に記入された事項を重要事項として取得することができる。ユーザの記入により取得される重要事項を集積し適宜加工することで、ユーザによる報告作成を支援することができる。
【0065】
また、発話テキスト表示部は、実施例2において説明した検出部により検出された関連発話テキストを表示するように構成することができる。関連発話テキストは、設定された重要事項と関連する発話テキストである。図8は、関連発話テキストを表示する一例を示す概念図である。
【0066】
図8に示すように、ディスプレイの表示領域801の左側の領域802には、発話テキストが表示されている。表示領域の右側の領域には「お客様のご予算」という重要事項の記入欄803が表示されている。記入欄内のポインタと文字入力カーソルが示すように、この記入欄は入力状態になっている。記入欄を入力状態とすることで、その記入欄に係る重要事項と関連する発話テキストが検出部により検出される。そして、検出された関連発話テキストが表示される。
【0067】
図8においては、「お客様のご予算」という重要事項に関連する発話テキストとして、〇〇による「今回の教育にあてられるご予算はいくら位を想定されていますか。」、□□さんによる「年間100万までならスムーズに導入できそうです。」、△△さんによる「一年間分の料金をまとめて払うことはできますか。」の各発話テキストが関連発話テキストとして表示されている。このように、記入しようとした重要事項に係る関連発話テキストが表示されることで、ユーザは簡便かつ要領よく重要事項を記入することができる。また、記入欄ごとに「検索する」や「search」などのボタンを設け、そのボタンを関連発話テキストの検出及び表示のトリガとしてもよい。
【0068】
発話テキスト表示部は、関連発話テキストを他の発話テキストと異なる態様で表示するように構成することができる。また、重要事項と関連するキーワードであって、関連発話テキストに含まれるキーワードを目立たせて表示するように構成することもできる。図9は、関連発話テキストを表示する他の例を示す概念図である。図9に示すように、ディスプレイの表示領域901の左側の領域902には、発話テキストが表示されている。一方で、表示領域901の右側の領域には重要事項の記入欄が表示されており、「お客様のご予算」の記入欄903は入力状態となっている。
【0069】
発話テキストの表示は、「お客様のご予算」の記入欄が入力状態になっていることを受けて、この重要事項に関連する□□さんの「年間100万までならスムーズに導入できそうです。」という関連発話テキストと、△△さんの「一年間分の料金をまとめて払うことは可能ですか。」という関連発話テキストの表示領域904が網掛けとなり、□□さんの「連休明けから利用できますか。」という発話テキストの表示態様と異なるものになっている。
【0070】
また、□□さんの関連発話テキストに含まれる「100万」の語は、「お客様のご予算」という重要事項に関連するキーワードであり、下線付きの太字により目立たせて表示させている。同様に△△さんの関連発話テキストに含まれる「料金」の語も目立たせて表示させている。このように表示することにより、入力しようとしている重要事項と関連する発話テキストや語がユーザにとって把握しやすくなり、効率よく重要事項の記入をすることができる。
【0071】
<ハードウエア構成>
本実施例の報告作成支援装置は、実施例1又は実施例2に準じ図2に示したハードウエア構成により実現することができる。図5に示した本実施例の報告作成支援装置の発話テキスト表示部505と記入欄表示部506の機能は、主に図2のCPU201、RAM202、入出力インタフェース205により実現される。
【0072】
<処理の流れ>
本実施例の報告作成支援装置の処理の流れは、実施例1又は実施例2の報告作成支援装置の処理の流れと基本的に同様である。そして、本実施例の報告作成支援装置においては、テキスト化した発話テキストを、ディスプレイの表示領域の一の部分に表示する発話テキスト表示ステップと、ディスプレイの表示領域の他の部分に、前記重要事項の記入を受付ける記入欄を前記重要事項ごとに表示する記入欄表示ステップと、がさらに含まれる。
【0073】
<効果>
本実施例の報告作成支援装置によれば、効率よく報告の作成をするための有効なテンプレートを提供することができる。
【0074】
<実施例4>
<概要>
本実施例は、実施例1から実施例3のいずれかを基本とし、記録した面談における任意の箇所を範囲設定し、あるいは、面談をテキスト化した発話テキストの任意の箇所を範囲設定することを特徴とする報告作成支援装置に関する。このように構成することで、記録した面談を区切って参照等することができるため、報告の作成が行いやすくなる。
【0075】
<機能的構成>
図10は、実施例2を基本とした実施例4の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図10に示すように、報告作成支援装置1000は、重要事項設定部1001と、重要事項取得部1002と、テキスト化部1003と、検出部1004と、範囲設定部1005を有する。範囲設定部1005以外の各構成は、実施例1又は実施例2の同名の構成と同様の機能を有するので説明は省略する。
【0076】
範囲設定部1005は、前記記録した面談における任意の箇所を範囲設定する機能を有する。範囲設定は、時間情報と関連付けて行う。時間情報は、時刻を用いてもよいし、面談の記録の開始時からの経過時間を用いることができる。任意の箇所とは、例えば、設定されている重要事項についてのやり取りが行われている箇所などである。
【0077】
範囲設定は、記録した面談に対して行うことも、面談における発話をテキスト化した発話テキストに対して行うこともできる。また、範囲設定は、記録した面談や発話テキストに対してユーザが自ら行ってもよいし、ユーザの関与なしで範囲設定が行われるように構成することもできる。
【0078】
記録した面談を範囲設定することにより、重要事項の取得がしやすくなったり、報告作成支援に寄与することができる。また、面談の内容を分析したり評価したりすることにも資する。また、設定した範囲単位で、その内容等の分析や評価をすることもできるので、重要度の低い範囲を除去し、重要度が高い範囲のみを表示や保存の対象とするなどの編集を可能とするように構成してもよい。
【0079】
範囲設定は、記録した面談の映像又は/及び音声に基づき範囲設定するように構成することができる。例えば、記録した面談の映像中の面談参加者の顔や表情から感情を判別し、怒りの感情が判別された場合に、怒りの感情が判別できる範囲にて範囲設定することができる。また、判別した感情が変化した時点を範囲の始点とし、変化して表出した感情の程度や強度が収まったり別の感情に変わった時点を終点として、範囲設定することができる。
【0080】
また、顔の表情を認識して範囲設定に用いるように構成してもよい。例えば、笑顔が認識できた期間を範囲設定してもよい。また、怒りの表情や悲しみの表情を認識した期間を範囲設定してもよい。また、記録した面談の音声に基づき、話者を認識し、話者が切り替わったタイミングにより範囲設定したり、所定の時間の沈黙の発生や会話速度の変化などに基づいて範囲設定するようにしてもよい。
【0081】
また、発話テキストに含まれ、設定されている重要事項と関連するキーワードに基づいて、範囲設定を行うように構成することもできる。例えば、キーワードについての発話と、その周囲の発話や会話を含むやり取りをひとまとめとして範囲設定する。「お客様のご予算」という重要事項に関連するキーワードである「予算」、「100万」、「料金」などを含む発話テキストが検出部(実施例2)により抽出され、その発話テキストの周囲の発話を含めてひとまとめの範囲を設定する。周囲の発話の範囲は、質問-回答のセット、自然言語処理による文脈の特定、クラスタリングなどを用いて特定することができる。また、これまでの範囲設定におけるデータと結果(設定された範囲)を元に学習された機械学習アルゴリズムを用いて範囲設定するように構成してもよい。例えば、発話テキストを単語の共起関係などに基づきいくつかのクラスに分類する。そして、クラスに集められた単語が意味する内容を推定し、推定された意味内容に基づき範囲を設定する。
【0082】
上述したように、範囲設定することで、設定された各範囲に対してナンバリングや符号・名称等を付すことで識別できるようになり、後に参照して報告を作成する際に役立つことになる。また、重要事項と関連して範囲設定することができるので、有意な単位に面談を区切って参照等することができるので、面談の把握がやりやすく、効率的で的確な報告の作成に役立つ。
【0083】
また、実施例3で説明した発話テキスト表示部は、範囲設定部により設定された範囲に応じて発話テキストを表示するように構成することができる。図11は、設定された範囲に応じて関連発話テキストを表示する例を示す概念図である。例えば、「お客様のご予算」という重要事項に基づき範囲設定した場合、図11に示すように、ディスプレイの表示領域1101の左側の領域1102に「<お客様のご予算>に関係する会話」のタイトル1103を表示するとともに、「お客様のご予算」に関する会話が行われている範囲における発話テキストが表示されている。また、記入欄表示部は、ディスプレイの表示領域1101の右側の領域の「お客様のご予算」の記入欄1104を入力状態で示している。このように所定の重要事項に関連する会話が発話テキストとして表示されることで、ユーザは、その重要事項に関して記述がしやすくなるため、報告作成に役立つことになる。
【0084】
また、設定された範囲が、記録した面談のどの位置に存在するかを表示するように構成することも好ましい。図12は、面談のタイムラインを表示するとともに、タイムライン上に、設定した範囲とその範囲の内容を示した概念図である。図12に示すように、表示されているタイムライン1201には、設定された範囲を示すバー1202と、その範囲が関連する需要事項「ニーズ」1203とが表示されている。また、「予算」に関連して設定された範囲と「決裁者」に関連して設定された範囲についてのバーもそれぞれ表示されている。図12で例示したように、複数種の範囲が設定されている場合には、各範囲を示すバーの色や模様などを種毎に変えることが判別しやすくするために好ましい。図12においては、「予算」に関連して設定された範囲が、同じ模様の3本のバーが隣接している範囲を1つの範囲として表示している。ここで、各バーの間は発話のない時間を示している。なお、発話のない時間を含む場合であっても、発話のない時間を含めて1本のバーで設定範囲を表示するように構成してもよい。
【0085】
また、図12に示したようなタイムラインを、記入欄や発話テキストとともに表示することも好ましい。入力しようとする重要事項に関する発話が、面談において何時なされたのかがよく分かる。また、重要事項ごとに表示されるので、面談がどのように進行したのかといったことも容易に把握することができる。
【0086】
また、図12に示したようなタイムラインに、面談での様々な事象をヒートマップ化して併せて表示してもよい。例えば、会話速度、沈黙、話者が切り替わった回数などをヒートマップで表示することで、面談の把握、分析、評価等を行いやすくなる。
【0087】
また、ある設定した範囲が別の設定範囲に切り替わることがユーザにとって認識できるように、発話テキストを表示することが好ましい。例えば、面談の進行において、「予算」に関連することで設定された範囲から、「決裁者」に関連して設定された範囲へ切り替わる際に、「予算」に関連する範囲に含まれる発話テキストの表示を識別するために付される線や枠などの彩色と、「決裁者」に関連する範囲に含まれる発話テキストの表示を識別するために付される線や枠などの彩色とを、異なるようにすることで、彩色が変化することで発話テキストが関連する事項(話題、重要事項など)が切り替わったことが、ユーザにとって容易に分かり、報告作成などが行いやすくなる。
【0088】
<ハードウエア構成>
本実施例の報告作成支援装置は、実施例1から実施例3のいずれかに準じ、図2に示したハードウエア構成により実現することができる。図10に示した本実施例の報告作成支援装置の範囲設定部1005の機能は、主に図2のCPU201、RAM202により実現される。
【0089】
<処理の流れ>
本実施例の報告作成支援装置の処理の流れは、実施例1から実施例3のいずれかの報告作成支援装置の処理の流れと基本的に同様である。そして、本実施例の報告作成支援装置においては、記録した面談における任意の箇所を範囲設定する範囲設定ステップと、がさらに含まれる。
【0090】
<効果>
本実施例の報告作成支援装置によれば、面談又は発話テキストを適当に区切ることができ、面談の分析や評価、報告の作成などを行いやすくすることができる。
【0091】
<実施例5>
<概要>
本実施例は、実施例1から実施例4のいずれかを基本とし、発話テキストにメタ情報を付与することを特徴とする報告作成支援装置に関する。このように構成することで、発話テキストの分類や整理、報告の作成などを行いやすくすることができる。
【0092】
<機能的構成>
図13は、実施例4を基本とした実施例5の報告作成支援装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図13に示すように、報告作成支援装置1300は、重要事項設定部1301と、重要事項取得部1302と、テキスト化部1303と、検出部1304と、範囲設定部1305と、メタ情報付与部1306を有する。メタ情報付与部1306以外の各構成は、実施例1から実施例4のいずれかの実施例における同名の構成と同様の機能を有するので説明は省略する。
【0093】
メタ情報付与部1306は、発話テキストにメタ情報を付与する機能を有する。付与されるメタ情報の例としては、対話行為タグがある。これは、話者が発話に対して持つ意図の種類である。例えば、「質問(YesNo)」、「質問(What)」、「応答(YesNo)」、「応答(平叙)」、「要求」、「確認」、「相槌」、「フィラー」、「自己開示」などである。
【0094】
発話テキストに対するメタ情報の付与は、実施例4で説明した範囲設定にも用いることができる。例えば、「質問」と「回答」の1セットで範囲設定する。商談を例とする場合、営業担当者が発した質問を始点とし、その質問に対するクライアントの回答が得られるまでを範囲として設定する。このように範囲設定することで、有意な単位で発話テキストの範囲設定をすることができる。
【0095】
なお、メタ情報の付与は、設定された範囲内の発話テキストに対して行われ、また、設定された範囲外の発話テキストや、範囲設定がなされる前の段階の発話テキストに対して行ってもよい。
【0096】
また、メタ情報は、発話テキストの絞り込み検索に用いることもできる。例えば、営業担当者による発話テキストであって、「質問」のメタ情報が付与された発話テキストには、営業担当者が質問をする際によく使うキーワードが含まれていることが多い。そのようなキーワードを登録し、発話テキストの検索に用いることで、質問についての発話テキストを探しやすくなる。また、よく使うキーワードは、質問する内容(事項)によって異なるので、質問事項と関連付けたキーワードとして登録をすると、より細やかな検索を行うことができる。また、質問事項は、実施例1で説明した重要事項と密接に関連していることが多いので、質問事項と関連付けたキーワードを、その質問事項と関連する重要事項とさらに関連付けて登録しておくことで、重要事項に関連する発話テキストの検索も容易になったり、重要事項に応じた範囲設定をユーザに対してサジェストすることも可能になる。
【0097】
また、設定された範囲に含まれる各メタ情報を集計し表示するように構成してもよい。ある範囲での面談における「質問」と「回答」の回数を集計(単位時間当たりの回数でもよい)し表示することで、例えば、その回数が多ければ、営業担当者が深掘り質問ができているかが分かり、そこでの会話の質を判断することができる。また、「否定」や「肯定」のメタ情報から会話の傾向を把握することもできる。このように、メタ情報に基づき面談を評価したり、採点するなどのように構成することができる。
【0098】
また、メタ情報を用いて発話テキストを自然な粒度で分割したり、フィルターできるように構成することもできる。例えば、通常の文章の区切りに加えて、音声処理的に話者の切り替わったタイミングや、発話テキストに付与したメタ情報が変わったタイミング(質問→回答)などに基づき、読みやすく分析等しやすい単位で発話テキストを分割する。また、「相槌」や「挨拶」など、面談の内容を理解するうえで実質的な意味の少ない発言を除去して発話テキストを表示するように構成することもできる。このように、メタ情報を用いて分割やフィルターして表示することで、表示された記入欄への記入が行いやすくなるなど報告作成支援に寄与する。
【0099】
<ハードウエア構成>
本実施例の報告作成支援装置は、実施例1から実施例4のいずれかに準じ、図2に示したハードウエア構成により実現することができる。図13に示した本実施例の報告作成支援装置のメタ情報付与部1306の機能は、主に図2のCPU201、RAM202により実現される。
【0100】
<処理の流れ>
本実施例の報告作成支援装置の処理の流れは、実施例1から実施例4のいずれかの報告作成支援装置の処理の流れと基本的に同様である。そして、本実施例の報告作成支援装置においては、発話テキストに、メタ情報を付与するメタ情報付与ステップが、さらに含まれる。
【0101】
<効果>
本実施例の報告作成支援装置によれば、発話テキストにメタ情報を付与することで、発話テキストの種別等に基づく面談の分析などを行うことが容易になり、報告作成に役立つ。
【符号の説明】
【0102】
100:報告作成支援装置
101:重要事項設定部
102:重要事項取得部
403:テキスト化部
404:検出部
505:発話テキスト表示部
506:記入欄表示部
201:CPU
202:RAM
203:ストレージ
204:通信インタフェース
205:入出力インタフェース


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13