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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】スロットルグリップ装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 11/02 20060101AFI20230606BHJP
   F02D 11/10 20060101ALI20230606BHJP
   B62K 23/04 20060101ALI20230606BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
F02D11/02 R
F02D11/10 U
B62K23/04
G01B7/30 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019064038
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020165327
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】大城 幸男
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 通之
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-532872(JP,A)
【文献】特開2012-018157(JP,A)
【文献】特開2013-108430(JP,A)
【文献】特表2013-515247(JP,A)
【文献】特開2015-081564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 11/00
B62K 23/04
G01B 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のスロットルグリップの回転角度を検出し、当該回転角度に応じて車両の駆動源を制御可能なスロットルグリップ装置において、
高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信回路と、該送信回路内に形成されて当該送信回路で発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路とが基板上に形成され、前記スロットルグリップの回転方向に沿って形成された電磁界検出部と、
前記スロットルグリップと共に回転し得るとともに、当該スロットルグリップの回転角度に応じた位置で前記電磁界検出部を覆い、当該電磁界検出部の前記送信回路で発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部と、
前記遮蔽部による電磁界の遮蔽で生じた前記受信回路の電圧変化に基づいて前記スロットルグリップの回転角度を検出可能な回転角度検出部と、
を具備するとともに、前記基板は、前記電磁界検出部が複数の層に亘って形成された多層基板とされ、前記回転角度検出部にて複数の検出値を得ることを特徴とするスロットルグリップ装置。
【請求項2】
前記スロットルグリップに対して回転方向に嵌合して取り付けられた別体部材から成るとともに、当該スロットルグリップと連動して回転し得る連動部材を具備し、前記遮蔽部は、前記連動部材に形成されたことを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記電磁界検出部の形状に応じた扇形の金属部材から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスロットルグリップ装置。
【請求項4】
前記電磁界検出部は、前記基板の表面及び裏面のそれぞれに形成されたことを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載のスロットルグリップ装置。
【請求項5】
前記受信回路は、電気的に位相が互いに異なる形状の第1受信回路及び第2受信回路を有して前記基板上に形成されるとともに、前記電磁界検出部が前記スロットルグリップの回転方向に沿って円弧状に形成されたことを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【請求項6】
前記回転角度検出部は、前記送信回路及び受信回路が形成された前記基板に形成されたことを特徴とする請求項1記載のスロットルグリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスロットルグリップの回転角度を検出し、当該回転角度に応じて車両の駆動源を制御可能なスロットルグリップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の二輪車においては、スロットルグリップと連動する連動部材に磁石を取り付けるとともに、その磁石の磁気変化を磁気センサにて検出することにより、連動部材及びスロットルグリップの回転角度を検出してエンジン制御が行われるスロットルグリップ装置を具備したものが提案されている(例えば特許文献1参照)。かかる従来のスロットルグリップ装置によれば、スロットルグリップの回転角度を磁気センサにて非接触で検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-81564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、スロットルグリップと共に回転する磁石の磁気変化を磁気センサにて検出し、スロットルグリップの回転角度を検出しているので、外部から過大な磁気が及ぼされた場合の影響について考慮する必要があるため、外部磁気に対する高い耐性の要求が高まりつつある。また、磁石は、過度な温度変化によって磁力が変化する場合があるので、温度変化による精度の悪化が懸念される。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、磁石を不要とすることができ、外部磁気に対する耐性を向上させることができるとともに温度変化による精度の悪化を回避することができるスロットルグリップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、車両のスロットルグリップの回転角度を検出し、当該回転角度に応じて車両の駆動源を制御可能なスロットルグリップ装置において、高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信回路と、該送信回路内に形成されて当該送信回路で発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路とが基板上に形成され、前記スロットルグリップの回転方向に沿って形成された電磁界検出部と、前記スロットルグリップと共に回転し得るとともに、当該スロットルグリップの回転角度に応じた位置で前記電磁界検出部を覆い、当該電磁界検出部の前記送信回路で発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部と、前記遮蔽部による電磁界の遮蔽で生じた前記受信回路の電圧変化に基づいて前記スロットルグリップの回転角度を検出可能な回転角度検出部とを具備するとともに、前記基板は、前記電磁界検出部が複数の層に亘って形成された多層基板とされ、前記回転角度検出部にて複数の検出値を得ることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記スロットルグリップに対して回転方向に嵌合して取り付けられた別体部材から成るとともに、当該スロットルグリップと連動して回転し得る連動部材を具備し、前記遮蔽部は、前記連動部材に形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のスロットルグリップ装置において、前記遮蔽部は、前記電磁界検出部の形状に応じた扇形の金属部材から成ることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1~3の何れか1つに記載のスロットルグリップ装置において、前記電磁界検出部は、前記基板の表面及び裏面のそれぞれに形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記受信回路は、電気的に位相が互いに異なる形状の第1受信回路及び第2受信回路を有して前記基板上に形成されるとともに、前記電磁界検出部が前記スロットルグリップの回転方向に沿って円弧状に形成されたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1記載のスロットルグリップ装置において、前記回転角度検出部は、前記送信回路及び受信回路が形成された前記基板に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信回路と、該送信回路内に形成されて当該送信回路で発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路とが基板上に形成され、スロットルグリップの回転方向に沿って形成された電磁界検出部と、スロットルグリップと共に回転し得るとともに、当該スロットルグリップの回転角度に応じた位置で電磁界検出部を覆い、当該電磁界検出部の送信回路で発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部と、遮蔽部による電磁界の遮蔽で生じた受信回路の電圧変化に基づいてスロットルグリップの回転角度を検出可能な回転角度検出部とを具備したので、磁石を不要とすることができ、外部磁気に対する耐性を向上させることができるとともに温度変化による精度の悪化を回避することができる。
また、基板は、電磁界検出部が複数の層に亘って形成された多層基板とされたので、回転角度検出部にて多数の検出値を得ることができ、冗長性をより一層向上させることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、スロットルグリップに対して回転方向に嵌合して取り付けられた別体部材から成るとともに、当該スロットルグリップと連動して回転し得る連動部材を具備し、遮蔽部は、連動部材に形成されたので、スロットルグリップ装置を使用中においても、電磁界検出部と遮蔽部との間のクリアランスを一定に保持することができ、スロットルグリップの回転角度を精度よく検出することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、遮蔽部は、電磁界検出部の形状に応じた扇形の金属部材から成るので、遮蔽部による電磁界の遮蔽位置と受信回路の電圧変化とを精度よく対応させることができ、スロットルグリップの回転角度をより一層精度よく検出することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、電磁界検出部は、基板の表面及び裏面のそれぞれに形成されたので、回転角度検出部にて複数の検出値を得ることができ、冗長性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るスロットルグリップ装置の外観を示す3面図
図2】同スロットルグリップ装置の内部構成を示す断面図
図3】同スロットルグリップ装置における連動部材を示す3面図
図4】同連動部材(遮蔽部が取り付けられる前の状態)を示す斜視図
図5】同連動部材(遮蔽部が取り付けられた状態)を示す斜視図
図6】同スロットルグリップ装置のスロットルグリップを示す斜視図
図7】同スロットルグリップ装置のケース部材を示す3面図
図8】同ケース部材(リターンスプリング及びフリクション部材が取り付けられた状態)を示す斜視図
図9】同スロットルグリップ装置における電磁界検出部の基板を示す3面図
図10】同スロットルグリップ装置の遮蔽部を示す3面図
図11】同スロットルグリップ装置における連動部材(遮蔽部)及び基板(電磁界検出部)の位置関係を示すために基板の表面側から見た状態を示す正面図
図12】同スロットルグリップ装置における連動部材(遮蔽部)及び基板(電磁界検出部)の位置関係を示すために基板の裏面側から見た状態を示す正面図
図13】同スロットルグリップ装置における電磁界検出部の作動原理を示すための模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るスロットルグリップ装置は、二輪車のハンドルパイプHに取り付けられたスロットルグリップGの回転角度を検出し、その検出信号を二輪車が搭載するECU等電子制御装置に送信して車両の駆動源(エンジン等)を制御可能なもので、図1、2に示すように、ケースCと、ケース部材Dと、連動部材1と、リターンスプリング2と、フリクション部材3と、電磁界検出部4を有する基板7と、遮蔽部5と、回転角度検出部6とを有して構成されている。
【0018】
スロットルグリップGは、運転者が把持しつつハンドルパイプHの軸を中心として回転操作可能とされたもので、図6に示すように、連動部材1と嵌合して連結可能な嵌合部Gaが基端部に形成されている。ケースCは、ハンドルパイプHにおけるスロットルグリップGの基端側に固定されたもので、本スロットルグリップ装置の筐体を構成している。かかるケースCの内部には、連動部材1、リターンスプリング2、フリクション部材3等の種々構成部品を組み付けて成るケース部材Dが収容されている。
【0019】
本実施形態に係るケース部材Dは、図7に示すように、リターンスプリング2が取り付けられる第1凹部Daと、フリクション部材3が取り付けられる第2凹部Dbとが形成されている。リターンスプリング2は、一端がスロットルグリップG、他端がケース部材Dに固定された捩りコイルバネから成り、スロットルグリップGの回転操作に伴って初期位置に向かって付勢力を付与し得るようになっている。また、フリクション部材3は、コイルスプリングsにて連動部材1に向かって付勢して組み付けられたもので、スロットルグリップGの回転操作に伴って摩擦力を付与し得るようになっている。
【0020】
さらに、本実施形態に係るケース部材Dは、図2に示すように、連動部材1が回転可能に取り付けられている。かかる連動部材1は、図3に示すように、スロットルグリップGの嵌合部Gaと嵌合し得る被嵌合部1aが形成され、スロットルグリップGに対して回転方向に嵌合して取り付けられた別体部材から成るとともに、スロットルグリップGと連動して回転し得るものである。
【0021】
すなわち、運転者がスロットルグリップGを把持しつつ回転操作すると、連動部材1がコイルスプリングsの付勢力に抗してケース部材D内で回転するとともに、フリクション部材3による摩擦力が付与されて操作感を得ることができるようになっている。また、スロットルグリップGに対する把持力を緩めると、コイルスプリングsの付勢力によって自然と初期位置に戻るよう構成されている。
【0022】
電磁界検出部4は、図9に示すように、高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信コイル4a(送信回路)と、該送信コイル4a内に形成されて当該送信コイル4aで発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路(4b、4c)とが基板7上に形成され、スロットルグリップGの回転方向に沿って円弧状に形成されたものである。より具体的には、本実施形態に係る電磁界検出部4は、図13に示すように、円弧状に延びた送信コイル4a内(実際には、送信コイル4aは円弧状に延びて形成されている)に互いに位相が90度ずれた第1受信回路4b(Cos形状)及び第2受信回路4c(Sin形状)が形成されており、送信コイル4aで発生した電磁界を第1受信回路4b及び第2受信回路4cにて受信することにより、それぞれ電圧(2次電圧)が生じるよう構成されている。
【0023】
遮蔽部5は、スロットルグリップGと共に回転し得るとともに、当該スロットルグリップGの回転角度に応じた位置で電磁界検出部4を覆い、当該電磁界検出部4の送信コイル4aで発生した電磁界を遮蔽するもので、図10に示すように、電磁界検出部4の形状に応じた扇形の金属部材(本実施形態においては銅部材)から成る。本実施形態に係る遮蔽部5は、扇形に形成された基板Kの上面に固定された扇形の金属部材(銅部材)から成るととともに、図4、5に示すように、当該基板Kに形成された取付穴Kaを連動部材1に形成されたボス部pに挿通して組み付けることにより、基板K及び遮蔽部5が連動部材1の取付部1bに精度よく取り付けられるようになっている。
【0024】
そして、遮蔽部5は、図11、12に示すように、連動部材1の回転に伴って電磁界検出部4の延設方向に沿って円弧状に移動し得るよう組み付けられるとともに、連動部材1と共に円弧状に移動する過程において、側縁が送信コイル4aに対して略直交するよう扇形に形成されている。なお、本実施形態に係る遮蔽部5は、基板Kに固定されているが、基板Kや他の部材等を介さずに連動部材1に直接取り付けられるものであってもよい。
【0025】
回転角度検出部6は、遮蔽部5による電磁界の遮蔽で生じた受信回路(第1受信回路4b及び第2受信回路4c)の電圧変化に基づいてスロットルグリップGの回転角度を検出可能なもので、図9に示すように、本実施形態においては基板7に取り付けられたマイコン等から成る。かかる回転角度検出部6は、図13に示すように、端子(a1、a2)を介して送信コイル4a、端子(b1、b2)を介して第1受信回路4b及び端子(c1、c2)を介して第2受信回路4cとそれぞれ電気的に接続されている。
【0026】
そして、遮蔽部5にて電磁界検出部4が覆われると、その覆われた領域において、第1受信回路4b及び第2受信回路4cで生じる電圧(2次電圧)が低下するとともに、第1受信回路4b及び第2受信回路4cの電気的な位相が互いに90度ずれた形状(Cos形状及びSin形状)とされているので、回転角度検出部6にて電圧変化を検出することにより、遮蔽部5の電磁界検出部4に対する相対位置(すなわち、連動部材1及びスロットルグリップGの位置及び回転角度)を検出することができる。
【0027】
このようにして、回転角度検出部6にて検出されたスロットルグリップGの回転角度は、配線hを介して車両の駆動源制御装置等に送信されるとともに、その送信されたスロットルグリップGの回転角度に応じて、車両のエンジンやモータ等の駆動源が制御され、車両を任意に走行し得るようになっている。
【0028】
ここで、本実施形態に係る電磁界検出部4は、基板7の表面7a及び裏面7bのそれぞれに形成されており、連動部材1が回転すると遮蔽部5によって、その回転角度に応じて位置で表面7aの電磁界検出部4及び裏面7bの電磁界検出部4のそれぞれを覆い、各電磁界検出部4の送信コイル4aで発生した電磁界を遮蔽するようになっている。また、本実施形態に係る回転角度検出部6は、電磁界検出部4と同様、基板7の表面7a及び裏面7bのそれぞれに形成されており、各電磁界検出部4における第1受信回路4b及び第2受信回路4cで生じた電圧低下をそれぞれ検出してスロットルグリップGの回転角度を検出し得るようになっている。
【0029】
本実施形態によれば、高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信コイル4aと、該送信コイル4a内に形成されて当該送信コイル4aで発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路(本実施形態においては電気的に位相が互いに異なる第1受信回路4b及び第2受信回路4c)とが基板7上に形成され、スロットルグリップGの回転方向に沿って円弧状に形成された電磁界検出部4と、スロットルグリップGと共に回転し得るとともに、当該スロットルグリップGの回転角度に応じた位置で電磁界検出部4を覆い、当該電磁界検出部4の送信コイル4aで発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部5と、遮蔽部5による電磁界の遮蔽で生じた受信回路(第1受信回路4b及び第2受信回路4c)の電圧変化に基づいてスロットルグリップGの回転角度を検出可能な回転角度検出部6とを具備したので、磁石を不要とすることができ、外部磁気に対する耐性を向上させることができるとともに温度変化による精度の悪化を回避することができる。また、磁石を不要とすることができるので、スロットルグリップ装置の薄型化を図ることができる。
【0030】
さらに、スロットルグリップGに対して回転方向に嵌合して取り付けられた別体部材から成るとともに、当該スロットルグリップGと連動して回転し得る連動部材1を具備し、遮蔽部5は、連動部材1に形成されたので、スロットルグリップ装置を使用中においても、電磁界検出部4と遮蔽部5との間のクリアランスを一定に保持することができ、スロットルグリップGの回転角度を精度よく検出することができる。
【0031】
またさらに、本実施形態に係る遮蔽部5は、電磁界検出部4の形状(弧状)に応じた扇形の金属部材から成るので、遮蔽部5による電磁界の遮蔽位置と受信回路(第1受信回路4b及び第2受信回路4c)の電圧変化とを精度よく対応させることができ、スロットルグリップGの回転角度をより一層精度よく検出することができる。なお、本実施形態に係る遮蔽部5は、銅金属から成るものとされているが、送信コイル4aで発生した電磁界を遮蔽し得る他の金属であってもよい。
【0032】
また、本実施形態に係る電磁界検出部4は、基板7の表面7a及び裏面7bのそれぞれに形成されたので、回転角度検出部6にて複数の検出値を得ることができ、冗長性を向上させることができる。例えば、基板7の表面7a側の回転角度検出部6にて検出されたスロットルグリップGの回転角度に基づいて駆動源の制御を行わせるとともに、基板7の裏面7b側の回転角度検出部6にて検出されたスロットルグリップGの回転角度に基づいて駆動源とは異なる他の制御を行わせることができる。
【0033】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば基板7に代えて、電磁界検出部4が複数の層に亘って形成された多層基板としてもよい。このように、電磁界検出部4が複数の層に亘って形成された多層基板から成る基板7とすれば、回転角度検出部4にて多数の検出値を得ることができ、冗長性をより一層向上させることができる。また、スロットルグリップGを正回転及び逆回転可能なものとし、正回転時のスロットルグリップGの回転角度の検出と逆回転時のスロットルグリップGの回転角度の検出とをそれぞれ行わせるようにしてもよい。
【0034】
また、本実施形態に係る電磁界検出部4及び回転角度検出部6は、基板7の表面7a及び裏面7bのそれぞれに形成されているが、基板7の表面7a及び裏面7bの何れか一方のみに形成さえたものであってもよい。さらに、本実施形態に係る回転角度検出部6は、電磁界検出部4が形成された基板7に形成されているが、他の基板に形成されたものであってもよい。またさらに、本実施形態に係る電磁界検出部4は、スロットルグリップGの回転方向に沿って円弧状に形成されているが、多角形状等、他の形状に延びて形成されていてもよい。なお、適用される車両は、本実施形態の如く二輪車に限定されるものではなく、ハンドルバーHを有した他の車両(例えばATVやスノーモービル等)に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
高周波信号を供給することにより電磁界を発生する送信回路と、該送信回路内に形成されて当該送信回路で発生した電磁界を受信して電圧を生じさせ得る受信回路とが基板上に形成され、スロットルグリップの回転方向に沿って形成された電磁界検出部と、スロットルグリップと共に回転し得るとともに、当該スロットルグリップの回転角度に応じた位置で電磁界検出部を覆い、当該電磁界検出部の送信回路で発生した電磁界を遮蔽する遮蔽部と、遮蔽部による電磁界の遮蔽で生じた受信回路の電圧変化に基づいてスロットルグリップの回転角度を検出可能な回転角度検出部とを具備するとともに、基板は、電磁界検出部が複数の層に亘って形成された多層基板とされ、回転角度検出部にて複数の検出値を得ることを特徴とするスロットルグリップ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 連動部材
1a 被嵌合部
1b 取付部
2 リターンスプリング
3 フリクション部材
4 電磁界検出部
4a 送信コイル(送信回路)
4b 第1受信回路
4c 第2受信回路
5 遮蔽部
6 回転角度検出部
7 基板
7a 表面
7b 裏面
G スロットルグリップ
Ga 嵌合部
H ハンドルバー
C ケース
D ケース部材
Da 第1凹部
Db 第2凹部
K 基板
h 配線
s コイルスプリング
p ボス部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13