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特許7290270管ライニング材による管更生工法及び管ライニング材の接合構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】管ライニング材による管更生工法及び管ライニング材の接合構造
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/36 20060101AFI20230606BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20230606BHJP
   F16L 55/163 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B29C63/36
F16L1/00 J
F16L1/00 K
F16L55/163
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019076322
(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公開番号】P2020172081
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513234640
【氏名又は名称】株式会社横島エンジニアリング
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 章一
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】浅利 誠也
(72)【発明者】
【氏名】横島 久子
(72)【発明者】
【氏名】森田 克仁
(72)【発明者】
【氏名】花田 賢師
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲朗
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-003470(JP,A)
【文献】特開平08-324599(JP,A)
【文献】特開昭55-034969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00-63/48,65/00-65/82
F16L 1/00-1/26,5/00-7/02,
51/00-55/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の樹脂吸着材に熱硬化性樹脂を含浸させ、外表面をコーティングフィルムによりコーティングした第1管ライニング材をパイプラインの一端側から中間部分まで反転挿入した後、パイプライン内壁に張り付けて硬化させる段階と、
前記第1管ライニング材のライナーエンドを切断して第1接続用端部を形成する段階と、
管状の樹脂吸着材に熱硬化性樹脂を含浸させ、外表面をコーティングフィルムによりコーティングした第2管ライニング材を前記パイプラインの他端側から反転挿入し、ライナーエンドを前記第1接続用端部に到達させた後、第2管ライニング材を前記パイプライン内壁に張り付けて硬化させる段階と、
前記第2管ライニング材のライナーエンドを切断して前記第1接続用端部と重なり合った状態又は隣接した状態の第2接続用端部を形成する段階と、
前記第1接続用端部と前記第2接続用端部とを内面バンドによって接続する段階と、を備え、
前記パイプライン内壁と硬化後の第1管ライニング材及び第2管ライニング材との間の隙間内に熱硬化性のインターフェイス樹脂を充填することを特徴とする管ライニング材による管更生工法。
【請求項2】
前記第1接続用端部に対し、前記コーティングフィルムを保護する内面保護ライナーを設けることを特徴とする請求項1に記載の管ライニング材による管更生工法。
【請求項3】
前記第1接続用端部と第2接続用端部とが重なり合った状態に対し、重なり合った部分を平坦に切削して前記内面バンドによって接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の管ライニング材による管更生工法。
【請求項4】
前記第1接続用端部と第2接続用端部とが隣接した状態に対し、液状の熱硬化性樹脂を含浸させたグラスファイバーを隣接部分に設けて前記内面バンドによって接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の管ライニング材による管更生工法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用水、農業用水、下水道等に用いられて老朽化したパイプラインを管ライニング材によって更生する管更生工法及びこの管更生工法に用いる管ライニング材の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化したパイプラインを管ライニング材によって更生する場合、パイプラインの施設方向に沿って立坑を掘削し、この立坑を通して管ライニング材をパイプラインの内部に挿入することにより行われている。従来よりなされている管更生工法としては、特許文献1に開示されたものがある。この工法は、管状の樹脂吸着材に液状の熱硬化性樹脂を含浸させた管ライニング材を用いるものである。すなわち、未硬化の管ライニング材をパイプライン内に反転挿入し、管ライニング材の内部に流体圧を作用させて、パイプライン内壁に押し付けた状態とし、この状態で管ライニング材を硬化させるものである。
【0003】
例えば、管径が900mm、厚さ(t)が11mmの管ライニング材は、運搬の都合上、最大長さが200mであった。そのため、管ライニング材を挿入する立坑は200mごとに設けられていた。管ライニング材を200m以上に長くすれば、立坑の数を減らせるが、管ライニング材の重量が嵩むため運搬上の法的な制限があった。そのため、立坑の間隔を長くするには限界があり、長くできない分、立坑を多く掘削する必要があるとの問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-25456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、立坑の施工工数を少なくして、実施できる管ライニング材による管更生工法及びこの管更生工法に用いることができる管ライニング材の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の管ライニング材による管更生工法は、管状の樹脂吸着材に熱硬化性樹脂を含浸させ、外表面をコーティングフィルムによりコーティングした第1管ライニング材をパイプラインの一端側から中間部分まで反転挿入した後、パイプライン内壁に張り付けて硬化させる段階と、前記第1管ライニング材のライナーエンドを切断して第1接続用端部を形成する段階と、管状の樹脂吸着材に熱硬化性樹脂を含浸させ、外表面をコーティングフィルムによりコーティングした第2管ライニング材を前記パイプラインの他端側から反転挿入し、ライナーエンドを前記第1接続用端部に到達させた後、第2管ライニング材を前記パイプライン内壁に張り付けて硬化させる段階と、前記第2管ライニング材のライナーエンドを切断して前記第1接続用端部と重なり合った状態又は隣接した状態の第2接続用端部を形成する段階と、前記第1接続用端部と前記第2接続用端部とを内面バンドによって接続する段階と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の管更生工法では、前記パイプライン内壁と硬化後の第1管ライニング材及び第2管ライニング材との間の隙間内に熱硬化性のインターフェイス樹脂を充填することを特徴とする。
【0008】
又、前記第1接続用端部に対し、前記コーティングフィルムを保護する内面保護ライナーを設けることを特徴とする。
【0009】
又、前記第1接続用端部と第2接続用端部とが重なり合った状態に対し、重なり合った部分を平坦に切削して前記内面バンドによって接続することを特徴とする。
【0010】
又、前記第1接続用端部と第2接続用端部とが隣接した状態に対し、液状の熱硬化性樹脂を含浸させたグラスファイバーを隣接部分に設けて前記内面バンドによって接続することを特徴とする。
【0011】
本発明の管ライニング材の接続構造は、管状の樹脂吸着材に熱硬化性樹脂を含浸させ、外表面をコーティングフィルムによってコーティングした第1管ライニング材及び第2管ライニング材をパイプラインの内部で接続する構造であって、前記第1管ライニング材が前記パイプラインの一端側から中間部分まで反転挿入され、パイプライン内壁に張り付けて硬化された状態でライナーエンドが切断されて第1接続用端部が形成され、前記第2管ライニング材が前記パイプラインの他端側から前記第1接続用端部に到達するまで反転挿入され、パイプライン内壁に張り付けて硬化されライナーエンドが切断されることにより前記第1接続用端部と重なり合った状態又は隣接した状態の第2接続用端部が形成されており、前記第1接続用端部と前記第2接続用端部とが内面バンドによって接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の接続構造では、前記パイプライン内壁と硬化後の第1管ライニング材及び第2管ライニング材との間の隙間内に熱硬化性のインターフェイス樹脂が充填されていることを特徴とする。
【0013】
又、前記第1接続用端部に対し、前記コーティングフィルムを保護する内面保護ライナーが設けられていることを特徴とする。
【0014】
又、前記第1接続用端部と第2接続用端部とが重なり合った状態に対し、重なり合った部分が平坦に切削されて前記内面バンドによって接続されていることを特徴とする。
【0015】
又、前記第1接続用端部と第2接続用端部とが隣接した状態に対し、液状の熱硬化性樹脂を含浸させたグラスファイバーが隣接部分に設けられて前記内面バンドによって接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、第1管ライニング材と第2管ライニング材に分割してパイプライン内で第1管ライニング材と第2管ライニング材を接続してパイプラインを更生するため、パイプライン内における管ライニング材の全長を長くすることができ、その分、施工する立坑のピッチを長くでき、立坑の数を少なくすることができる。例えば、立坑を200mごとの施工ではなく、400mごとに施工にできるため、立坑の数を減らすことができる。管ライニング材は従来と同様に最大が200mものを使用でき、パイプラインの更生が可能となる。又、第1管ライニング材と第2管ライニング材の接続部分の強度及び水密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1管ライニング材を第1立坑に挿入した状態を示す断面図である。
図2】第1管ライニング材を第1立坑からパイプラインに反転挿入した状態を示す断面図である。
図3】第1管ライニング材をパイプライン内壁に張り付けた状態を示す断面図である。
図4】第1管ライニング材に第1接続用端部を形成した状態の断面図である。
図5】第2管ライニング材を第2立坑に挿入した状態を示す断面図である。
図6】第2管ライニング材を第1立坑からパイプラインに反転挿入した状態を示す断面図である。
図7】第2管ライニング材をパイプライン内壁に張り付けた状態を示す断面図である。
図8】パイプライン内の第2管ライニング材の状態を示す断面図である。
図9】第1接続用端部と第2接続用端部とが重なり合った状態で接続した状態の断面図である。
図10】第1接続用端部と第2接続用端部とが重なり合った状態をハンドレイアップによって接続した状態を示す断面図である。
図11】第1接続用端部と第2接続用端部とが隣接した状態をハンドレイアップよって接続した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、図1図7に示すように、地盤1中に埋設されて老朽化したパイプライン2の更生を管ライニング材によって行うものである。パイプライン2は管径が例えば900mmであり、このパイプライン2に対して400mピッチで立坑3、4を設ける。すなわち第1立坑3に対し、400m離れた位置に第2立坑4を設け、これらの立坑3、4の間のパイプライン2を管ライニング材によって更生する。管ライニング材は管径900mmであり、2つの立坑3、4の間に適用する場合、長さが400mとなる。後述するように、管ライニング材は管状の樹脂吸着材の外表面にポリエチレンフィルム等のコーティングフィルムがコーティングされると共に、樹脂吸着材には液状の不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が含浸されており、その重量は約50kg/m~100kg/mとなるため、400mの長さの1本の管ライニング材は運搬上の法的な制限がある。
本発明では、パイプライン2の一端側の立坑3からパイプライン2のほぼ中間部分まで更生する第1管ライニング材10と、他端側の立坑4からパイプライン2のほぼ中間部分まで更生する第2管ライニング材20gとに管ライニング材を分割してパイプライン2を更生するものである。このことにより、長さ(200m)の管ライニング材10、20の運搬は従来どおり可能となる。一方、立坑の施工は、400mの間隔に広げることができる。
【0019】
本発明に用いる第1管ライニング材10及び第2管ライニング材20は、いずれもポリエステルフェルトとグラスファイバーとが複合された樹脂吸着材を管径900mmの管径管状に加工し、外表面をポリエチレン等のコーティングフィルムによって気密的にコーティングし、樹脂吸着材に液状の不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を含浸させることにより製造される。製造された管ライニング材10、20は400mの半分の長さであり、それぞれの重量は約15t、それを収納する水槽は約3t、未硬化の管ライニング材10、20を冷却するための冷水と氷が約5tであり、それぞれの管ライニング材10、20を運搬する総重量は約23tとなる。従って、25tのトレーラ5を用いることにより工場から施工現場への運搬を行うことができる(図1図5参照)。
図1及び図5に示すように、管ライニング材10、20はいずれもライナーエンド11、21に温水シャワーホース12、22が連結された状態でトレーラ5上に折り畳まれて積載され、施工現場に運搬される。以下、パイプライン2の管更生手順を説明する。
【0020】
(第1管ライニング材10の設置)
図1に示すように、第1立坑3に事前に設置された補助チューブ30とカラー31とを通し、第1管ライニング材10の一端を折り返し、この一端を締め付けバンド等によってカラー31に取り付ける。そして、給水ホース32を用いて補助チューブ30の開口部から折り返された第1管ライニング材10の外表面に注水する。
【0021】
このとき、定められた水頭圧が確保できるように注水口である補助チューブ30の開口部の高さを調整し、反転圧力を確保する。第1管ライニング材10は、水頭圧の作用で順次反転される。第1立坑3の底部でパイプライン2の入口に方向を変える。第1管ライニング材10は、注水量に応じ、水に浮遊しつつ、パイプライン2の内部に運ばれ、反転挿入される。これを継続することにより第1立坑3からパイプライン20の中間部分まで第1管ライニング材10が反転挿入される(図2参照)。
【0022】
図2は第1管ライニング材10がパイプライン20の中間部分まで反転挿入された以降の状態を示し、ライナーエンド11で、注水した水が閉止されることにより、補助チューブ30まで水頭を上げることが可能となり、第1管ライニング材10の内部が加圧され、第1管ライニング材10がパイプライン2内壁に押圧されて内壁への張り付け状態となる。
この水位を維持し、ライナーエンド11に連結されている温水シャワーホース12で注水した水を温水サクションホース33によって、循環加熱する。水は、第1管ライニング材10内の水を排水管34から水槽35に導き、ポンプ36、ボイラ37によって加熱しながら循環させる。これにより水温が上昇し、およそ70℃以上になると、第1管ライニング材10に含浸された熱硬化性樹脂が硬化し、第1立坑3からパイプライン2の中間部分に第1管ライニング材10の硬化物が張り付け状態で設置される。
【0023】
(第1管ライニング材10の端部処理)
第1管ライニング材10の硬化が完了した後、図3に示すように、両端部を切断する。両端部はパイプライン2と垂直な断面となるよう切削仕上げする。この切断・切削加工はパイプライン2の中間部に作業員が入って作業を行なう。
【0024】
図4は第1管ライニング材10への端部の処理を示す。図2に示すように、パイプライン2の中間部分にはライナーエンド11が位置しており、このライナーエンド11を含む領域を垂直断面となるように切断して第1接続用端部13を形成する。
反転により第1管ライニング材10の最内面の、第1接続用端部13の最先端の端部より少なくとも300mm以上のポリエチレンからなるコーティングフィルム14を削り取る。このとき最先端の端部を斜めに切削加工するのがよい。これらの切削加工は、第2管ライニング材20との接着を良好にすることを目的としている。
次に、コーティングフィルム14の面を保護するため、コーティングフィルム14の面の端部に、内面保護ライナー15を設け、内面保護ライナー15の端部を固定用バンド16で押圧し固着させる。この後、図5図8に示すように、第2管ライニング材20のライナーエンド21が内面保護ライナー15内に挿入される。
【0025】
(第2管ライニング材20の設置)
硬化後の第1管ライニング材10への端部処理が終了した後、パイプライン2の他端側の第2立坑4から管径900mm、長さ200mの第2管ライニング材20をパイプライン2に反転挿入する。
図5及び図6は、第2管ライニング材20のパイプライン2への反転挿入を示し、図1及び図2で示す第1管ライニング材10の反転挿入と同様に行われる。すなわち、図5に示すように、第2管ライニング材20を補助チューブ30及びカラー31に通し、折り返した一端を締め付けバンド等によってカラー31に気密的に取り付け、給水ホース32を用いて補助チューブ30の開口部から折り返された第2管ライニング材20の外表面に注水する。
【0026】
第2管ライニング材20がパイプライン20の中間部分まで反転挿入されたとき、ライナーエンド21により反転を停止し、第2管ライニング材20をパイプライン2の内壁に張り付け、図6に示すようにポンプ36、ボイラ37、温水サクションホース33によって注水した水を循環供給して加温し、含浸している熱硬化性樹脂を硬化させる。第2管ライニング材20が硬化した後、図7に示すようにパイプライン2と垂直な断面となるよう両端部を切断する。
【0027】
第2管ライニング材20のランナーエンド21は、第1管ライニング材10における第1接続用端部13(切除前のライナーエンド11)と重なり、第1管ライニング材10の内面保護ライナー15内に挿入された状態となっている(図8参照)。反転挿入により、第2管ライニング材20の最内面には、ポリエチレンからなるコーティングフィルム24が露出している。
なお、第1管ライニング材10及び第2管ライニング材20のライナーエンド11、21には、長さ約1~3mのライナー補強材(高強度繊維で補強した材料)が仕込まれていて、管ラインニング材10、20の他の部分より強化されている。そして、ライナーエンド21の先端部には、約0.5m~2.0mの未含浸部27が残されている。
【0028】
(接続部分の処理)
第2管ライニング材20のライナーエンド21を切断することにより第2接続用端部23を形成する。この第2接続用端部23の内面を平らに仕上げ、内面バンドが良好に取り付けられるように接続部分6の内面仕上げを行なう。接続の方法は、大別すると図9図10に示す重ね合わせタイプと図11に示す隣接タイプとに区分される。重ね合わせタイプは、第1接続用端部13と第2接続用端部23とが重なり合った状態であり、隣接タイプは第1接続用端部13と第2接続用端部23とが隣接した状態である。
【0029】
図9により重ね合わせタイプを説明する。
第1管ラインニング材10の第1接続用端部13に重なり合い硬化した第2管ライニング材20の第2接続用端部23を切削して、内面が平らになるよう仕上げる。内面が平らに仕上がると、重なり合っている第1接続用端部13及び第2接続用端部23の接続部分6に内面バンド41を固着する。
内面バンド41は、幅が200mm~600mmの管状平板ゴムパッキン42と、管状平板ゴムパッキン42を押し拡げる板厚2.0mm~6.0mmで幅30mm~100mmの管状ステンレスバンド43とからなる。管状ステンレスバンド43は、管状平板ゴムパッキン42の両端部に対応して一対が設けられている。そして、管状ステンレスバンド43が、管状平板ゴムパッキン42を接続部分6の内面に押圧させる。押し拡げた管状ステンレスバンド43の圧力によって、管状平板ゴムパッキン43を第1接続用端部13及び第2接続用端部23の接続部分に内側から押し付けて固定することにより接続部分6に内面バンド41が固着される。
【0030】
図10は他の重ね合わせタイプを示す。
第2管ライニング材20を切断し、第2接続用端部23の内面が平らになった後、コーティングフィルム14、24が剥がされた部分にグラスファイバー(ガラスマット)と、ビニールエステル、エポキシ、ポリエステル等の液状熱硬化性樹脂を用い、ハンドレイアップ部44でラミネート仕上げし、接続強度を向上させる。ラミネート仕上げが完了することにより接続部分6に管状平板ゴムパッキン42及び管状ステンレス板43からなる内面バンド41を設置する。
【0031】
図11により隣接タイプを説明する。
第1管ライニング材10の第1接続用端部13と第2管ライニング材20の第2接続用端部23との間に50mm~300mmの間隔が設けられるように第2管ライニング材20を切断する。これらの接続用端部13、23の端部は、斜めに仕上げると効果的である。この間隔はグラスファイバー(ガラスマット)と液状の熱硬化性樹脂を用いたハンドレイアップ部44でラミネート仕上げをし内面を平らに加工する。ラミネート仕上げをした面に管状平板ゴムパッキン42及び管状ステンレス板43からなる内面バンド41を固着して接続部分6の処理が完了する。
【0032】
以上に加えて、本発明では、図9図11に示すように、管ライニング材10、20の熱収縮により発生したパイプライン2の内壁と硬化した第1管ライニング材10及び第2管ライニング材20との間の隙間に液状の熱硬化性のインターフェイス樹脂46を充填することにより隙間を埋める処理を行う。隙間があることにより硬化した管ライニング材10、20が熱による寸法変化を発生し、接続部分6に大きな応力が作用して破断する危険性がある。このため、インターフェイス樹脂46を第1管ライニング材10及び第2管ライニング材20の接続部分6から少なくとも15m以上の長さで充填することが好ましい。
【0033】
以上のように、本発明では、第1管ライニング材10と第2管ライニング材20とに分割してパイプライン2を更生するため、管ライニング材10,20の運搬が可能となり、管径が大きく長い場合であってもパイプライン2の更生が可能となる。又、第1管ライニング材10と第2管ライニング材20の接続部分6の強度及び水密性を確保することができる。
【符号の説明】
【0034】
2 パイプライン
3 第1立坑
4 第2立坑
10 第1管ライニング材
11、21 ライナーエンド
14、24 コーティングフィルム
20 第2管ライニング材
41 内面バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11