IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社川本製作所の特許一覧 ▶ 川本電産株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-給水装置 図1
  • 特許-給水装置 図2
  • 特許-給水装置 図3
  • 特許-給水装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
F04B49/06 311
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019138733
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021021368
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】502002407
【氏名又は名称】川本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】飯見 一真
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕大
(72)【発明者】
【氏名】濱田 憲
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】深川 豊明
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-89393(JP,A)
【文献】特開2014-222042(JP,A)
【文献】特開2011-32909(JP,A)
【文献】特開平07-019172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、
前記ポンプの駆動に係る指令を入力する操作部と、
複数の機種コード、前記複数の機種コードのそれぞれに対応した前記ポンプの制御に用いるパラメータ、前記複数の機種コードの一つに対応した前記パラメータで前記ポンプを制御する運転モード、及び前記機種コードを前記操作部の操作により選択する選択モードを記憶する記憶部と、
前記運転モードにあるときに前記機種コードに対応する前記パラメータに基づいて前記ポンプを制御し、前記運転モードにあるときに前記ポンプが駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること及び前記操作部が操作されたことを検出すると、または前記所定の状態であること及び外部装置からの信号の受信を検出すると、前記運転モードから前記選択モードに切り替えて前記操作部の操作に応じて前記機種コードを選択する制御部と、
を備える給水装置。
【請求項2】
表示部を具備し、
前記記憶部は、前記給水装置の状態に割り当てられた第1の表示パターン、及び前記複数の機種コードのそれぞれに割り当てられた第2の表示パターンを記憶し、
前記制御部は、前記運転モードにあるときに前記表示部を制御して前記第1の表示パターンを表示し、前記選択モードにあるときに前記表示部を制御して前記第2の表示パターンを表示する、
請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
信号線を有するセンサと、
前記制御部に電気的に接続され、かつ前記信号線が接続される信号線接続部と、
を備え、
前記制御部は、前記運転モードにあるときに、前記信号線が前記信号線接続部から外れていること、及び、前記操作部が操作されたことを検出すると、前記運転モードから前記選択モードに切り替える、請求項1に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記選択モードにあるときに、前記操作部に対して前記機種コードを選択する操作以外の操作がなされるごとに、前記機種コードを切り替え可能なオン状態及び前記機種コードを切り替え不能なオフ状態を切り替える、請求項1に記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記選択モードにあるときに前記所定の状態から前記ポンプが駆動可能な状態に復帰すると、前記選択モードにあるときに選択された機種コードを前記運転モードで用いる機種コードに設定して前記運転モードに復帰する、請求項1に記載の給水装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記運転モードから前記選択モードに切り替わったことを示す第3の表示パターンを記憶し、
前記制御部は、前記運転モードから前記選択モードに切り替えると、前記表示部を制御して前記第3の表示パターンを表示する、
請求項2に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ能力が可変な給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸や受水槽等の水源の水をポンプで汲み上げて供給する給水装置として、ポンプを駆動するモータにインバータにより電力を供給することでポンプの運転能力を可変な構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、給水装置は、複数の機種コード及び複数の機種コードのそれぞれに対応するパラメータを記憶し、機種コードを切り替える為の専用の操作部により機種コードを切り替えて所望の機種コードを設定し、設定された機種コードに対応するパラメータに基づいてポンプを制御する構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-112257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の給水装置では、専用の操作部を設ける必要があり、給水装置の製造コストが増加するという問題がある。
【0006】
この為、本発明は、製造コストの増加を防止しつつ、機種コードを切り替え可能な給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の給水装置は、ポンプと、前記ポンプの駆動に係る指令を入力する操作部と、複数の機種コード、前記複数の機種コードのそれぞれに対応した前記ポンプの制御に用いるパラメータ、前記複数の機種コードの一つに対応した前記パラメータで前記ポンプを制御する運転モード、及び前記機種コードを前記操作部の操作により選択する選択モードを記憶する記憶部と、前記運転モードにあるときに前記機種コードに対応する前記パラメータに基づいて前記ポンプを制御し、前記運転モードにあるときに前記ポンプが駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること及び前記操作部が操作されたことを検出すると、または前記所定の状態であること及び外部装置からの信号の受信を検出すると、前記運転モードから前記選択モードに切り替えて前記操作部の操作に応じて前記機種コードを選択する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、製造コストの増加を防止しつつ、機種コードを切り替え可能な給水装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る給水装置の構成を示す斜視図。
図2】同給水装置に用いられる電装箱の構成を示すブロック図。
図3】機種コードを選択する制御の一例を示す流れ図。
図4】同給水装置に用いられる表示部の、機種コードを選択した後の表示パターンの一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施系形態に係る給水装置10を、図1乃至図4を用いて説明する。図1は、給水装置10の構成を示す斜視図である。図2は、給水装置10に用いられる電装箱20の構成を示すブロック図である。図3は、給水装置10の機種コードを選択する制御の一例を示す流れ図である。図4は、表示部の、機種コードを選択した後の表示パターンの一例を説明する図である。
【0011】
図1に示すように、給水装置10は、基台11と、カバー12と、ポンプ13と、ポンプ13を駆動するモータ14と、吸込口部15と、吐出口部16と、流量・圧力検出装置17と、蓄圧装置18と、フロートスイッチ19と、電装箱20と、を備える。
【0012】
ポンプ13と、ポンプ13を駆動するモータ14と、吸込口部15と、吐出口部16と、流量・圧力検出装置17と、蓄圧装置18と、電装箱20と、は、基台11上に設置される。これらは、カバー12によって被われる。
【0013】
ポンプ13は、吸込口部15及び吐出口部16に、流体的に接続される。ポンプ13は、駆動することで、吸込口部15から水を吸い込んで増圧して吐出口部16から吐出する。
【0014】
ポンプ13は、複数の機種コードのうち設定された機種コードに基づいて運転される。複数の機種コードのそれぞれは、ポンプ13を制御する為に用いられる複数のパラメータがひもづけられている。
モータ14は、例えばポンプ13上部に固定される。モータ14は、ポンプ13を駆動する。
【0015】
流量・圧力検出装置17は、例えば、ポンプ13及び吐出口部16を連続する流路の一部に設けられる。流量・圧力検出装置17は、流量検出部と、圧力検出部と、を備える。流量検出部は、流路を流れる水の停止流量を検出する。圧力検出部は、流路内の圧力を検出する。流量・圧力検出装置17は、信号線17aを介して、検出結果に応じた信号を出力する。
【0016】
蓄圧装置18は、ポンプ13及び吐出口部16を連続する流路に接続される。
フロートスイッチ19は、ポンプ13が設置される水源である、例えば井戸や受水槽に設置される。フロートスイッチ19は、例えば渇水状態となる水位を検出可能に構成される。フロートスイッチ19は、渇水状態を検出すると、例えば2本の信号線19aを介して信号を出力する。
【0017】
図2に示すように、電装箱20は、ケーシング21と、表示部22と、作業者等により操作される操作部23と、流量・圧力検出装置接続部24と、フロートスイッチ接続部25と、インバータ26と、受信部29と、記憶部27と、制御部28と、を備える。
【0018】
ケーシング21は、図1に示すように、例えば、薄い箱型に構成される。ケーシング21は、例えば、基台11の上面の外縁部に配置される。
【0019】
表示部22は、後述する運転モードにあるときに、給水装置10の状態を示す表示パターンを表示可能に、かつ、後述する選択モードにあるときに、選択された機種コードに割り当てられた表示パターンを表示可能に構成される。
【0020】
表示部22は、例えば、複数のランプを備える。各ランプは、例えば、単色または多色を、点灯及び点滅の少なくとも一方を可能に構成される。表示部22は、例えば、チャージランプ22aと、アラームランプ22bと、モードランプ22cと、を備える。
【0021】
チャージランプ22aは、例えば、赤色の光を点灯及び点滅可能に構成される。チャージランプ22aは、ケーシング21の表面の視認しやすい位置、例えばケーシング21の側面に配置される。
【0022】
アラームランプ22bは、例えば、7色の光を点灯及び点滅可能に構成される。アラームランプ22bは、ケーシング21の表面の視認しやすい位置、例えばケーシング21の側面に配置される。
【0023】
モードランプ22cは、例えば白色の光を点灯及び点滅可能に構成される。モードランプ22cは、ケーシング21の表面の視認しやすい位置、例えばケーシング21の側面に配置される。
【0024】
操作部23は、ポンプ13が駆動可能な後述する運転モードにあるときに、ポンプ13の駆動に係る指令を作業者等が入力する際に操作可能な操作部である。操作部23は、例えば、ポンプ13の保護機能が働いている状態をリセットする際に所定の操作がなされるリセット釦である。すなわち、ポンプ13の保護機構を解除する指令は、ポンプ13の駆動に係る指令の一例である。なお、保護機能は、例えば、フロートスイッチ19により渇水状態が検出された場合にポンプ13の駆動を停止する機能である。所定の操作は、例えば、押し込み時間が所定時間以内例えば3秒以内となる一度の押圧操作である。操作部23は、ケーシング21の表面の操作しやすい位置、例えばケーシング21の側面に配置される。操作部23に対して押しこみ時間が異なる場合、異なる操作とする。
【0025】
流量・圧力検出装置接続部24には、流量・圧力検出装置17から導出される信号線17aが接続される。流量・圧力検出装置接続部24は、ケーシング21の表面の、信号線17aの接続及び取り外し作業がしやすい位置、例えば側面に配置される。
【0026】
フロートスイッチ接続部25は、フロートスイッチ19の2本の信号線19aが着脱可能に接続可能に構成される。フロートスイッチ接続部25は、一対の端子25a,25bを有する。一方の信号線19aは、端子25aに接続される。他方の信号線19aは、端子25bに接続される。フロートスイッチ接続部25は、ケーシング21の表面の、信号線19aの接続及び取り外し作業がしやすい位置、例えば側面に配置される。
【0027】
インバータ26は、外部電源から供給される交流電流を、制御部28からの指令に応じた周波数の交流電流に変換して出力可能に構成される。また、インバータ26は、モータ14に供給される電流を検出する電流検出部26aを有する。
【0028】
受信部29は、外部装置100からの電波を受信可能に構成される。外部装置100は、例えば、携帯電話等の携帯端末、パソコン等である。
【0029】
記憶部27は、複数の機種コード、例えば機種コード0乃至機種コード135が記憶されている。また、記憶部27は、複数の機種コードのそれぞれに対応する1つ以上のパラメータを記憶する。パラメータは、ポンプ13の制御に用いられるパラメータである。ここで言う、対応するとは、1つの機種コードに対して1つ以上のパラメータが紐づけられていることである。
【0030】
ポンプ13の制御に用いられるパラメータは、例えば、ポンプ13を吐出圧力一定制御モードで制御するパラメータ、吐出圧力一定制御モードでの制御に用いられる吐出圧力値、ポンプ13を電流値一定制御モードで制御するパラメータ、及び電流値一定制御モードでの制御に用いられる電流値、等である。
【0031】
また、記憶部27は、運転モードと、選択モードとを、記憶する。
運転モードは、設定された機種コードに対応するパラメータに基づいてモータ14が駆動されるモードである。
【0032】
選択モードは、操作部23に対して、運転モードにあるときの所定の操作と同じ操作、または、当該所定の操作とは異なる操作をすることで、機種コードを選択するモードである。本実施形態では、例えば、選択モードは、操作部23に対して運転モードにあるときの所定の操作とは異なる操作がなされると、機種コードが選択されるモードである。ここで、所定の操作とは異なる操作は、例えば、操作部23の長押し操作である。長押し操作は、運転モードでの所定の操作と認識される押し込み時間より長い時間押し込みが維持される操作である。長押し操作は、例えば、操作部23の押し込み時間が所定時間を超える時間例えば3秒を越える時間となる操作である。なお、長押しは、運転モードでの所定の操作と認識される押し込み時間より長い時間押し込みが維持されればよく、他の例では、運転モードでの所定の操作として認識される押し込み時間が例えば3秒以内である場合、5秒以上でもよい。
【0033】
また、記憶部27は、表示部22の表示パターンを記憶する。表示パターンは、運転モードであるときの給水装置10の状態の表示に用いられる第1の表示パターンと、複数の機種コードに割り当てられた第2の表示パターンと、運転モードから選択モードに切り替わった直後に用いられる第3の表示パターンと、を有する。第1の表示パターンと第2の表示パターンと第3の表示パターンは、異なる。
【0034】
第1の表示パターンは、チャージランプ22a、アラームランプ22b、及びモードランプ22cのそれぞれに個別に設定されている。例えば、チャージランプ22aは、第1の表示パターンとして、点灯することで、給水装置10の状態の一例として外部電源から電力供給がある状態を表示する。また、アラームランプ22bは、第1の表示パターンとして、色1で点滅することで、給水装置10の状態の一例であるフロートスイッチ19が渇水状態を検出したことを表示する。また、モードランプ22cは、第1の表示パターンとして、点灯することで、給水装置10の状態の一例であるポンプ13を吐出圧力一定制御モードで駆動している状態を表示する。また、モードランプ22cは、第1の表示パターンとして、点滅することで、給水装置10の状態の一例であるポンプ13を電流値一定制御モードで駆動している状態を表示する。
【0035】
第2の表示パターンは、複数の機種コードのそれぞれに対して1つ設定されている。換言すると、第2の表示パターンは、複数の表示パターンを含む。図4は、複数の機種コードのそれぞれに割り当てられた表示パターンを示している。
【0036】
図4に示すように、第2の表示パターンは、例えば、機種コード1が選択されている状態を示す表示パターンとして、チャージランプ22a及びモードランプ22cが消灯され、アラームランプ22bが色1で点滅するパターンを有する。また、第2の表示パターンは、機種コード2が選択されている状態を示す表示パターンとして、チャージランプ22a及びモードランプ22cが消灯され、アラームランプ22bが色1で点灯される表示パターンを有する。また、第2の表示パターンは、機種コード3が選択されている状態を示す表示パターンとして、チャージランプ22a及びモードランプ22cが消灯され、アラームランプ22bが色2で点滅される表示パターンを有する。機種コード4乃至機種コード135のそれぞれが選択されている状態を示す表示パターンについても、それぞれ、設定されている。
【0037】
第3の表示パターンは、例えば、ランプ22a,22b,22cをそれぞれ同時に2回点滅する表示パターンである。
【0038】
制御部28は、表示部22と、操作部23と、流量・圧力検出装置接続部24と、フロートスイッチ接続部25と、インバータ26と、記憶部27と、受信部29と、が接続される。
【0039】
制御部28は、ポンプ13が駆動可能な状態であると、記憶部27に記憶された運転モードを選択する。ポンプ13が駆動可能な状態とは、外部電源から電力が供給されており、流量・圧力検出装置接続部24に流量・圧力検出装置17の信号線17aが接続され、フロートスイッチ接続部25にフロートスイッチ19の信号線19aが接続されている状態である。
【0040】
制御部28は、運転モードを選択すると、設定されている機種コードに対応するパラメータに基づいてモータ14を制御することでポンプ13を制御する。また、制御部28は、運転モードを選択すると、第1の表示パターンに従って表示部22を制御する。
【0041】
制御部28は、運転モードにあるときに、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること及び操作部23が操作されたことを検出すると、またはポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること及び外部装置100からの信号の受信を検出すると、運転モードから選択モードに切り替える。
【0042】
上述の、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態は、本実施形態では一例として、ポンプ13を運転する為に接続されるケーブルの少なくとも1本が取り外された状態である。本実施形態では、ポンプ13を運転する為に接続されるケーブルは、一例として、信号線17aと、2本の信号線19aである。
【0043】
制御部28は、本実施形態では、信号線17aと二本の信号線19aとの合計三本の信号線のうちの少なくとも1つの信号線が取り外された状態であること及び操作部23が操作されたことを検出すると、または、信号線17aと二本の信号線19aとの合計三本の信号線のうちの少なくとも1つの信号線が取り外された状態であること及び外部装置100からの信号の受信を検出すると運転モードから選択モードに切り替える。
【0044】
ここで言う操作部23に対する操作は、例えば運転モードでのポンプ13の駆動に係る指令の入力する所定の操作とは異なる操作である。この操作の一例は、操作部23に対する長押し操作である。長押し操作は、運転モードでの所定の操作と認識される押し込み時間より長い時間押し込みが維持される操作である。
【0045】
なお、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること及び操作部23が操作されたことを検出するとは、当該所定の状態になった後、操作部23が操作されてもよく、または、当該所定の状態にするべく操作をしながら操作部23が操作されてもよい。具体的には、本実施形態では、信号線17aと二本の信号線19aとの合計3本の信号線の少なくとも一方が取り外された状態で、操作部23が長押し操作されること、または、操作部23の長押し操作をしながら信号線17aと二本の信号線19aとの合計3本の信号線の少なくとも一方が取り外すことである。
【0046】
同様に、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること及び外部装置100からの信号の受信を検出するとは、当該所定の状態になった後、外部装置100からの信号を受信してもよく、または、当該所定の状態にするべく操作をしながら外部装置100からの信号を受信してもよい。
【0047】
また、制御部28は、運転モードから選択モードへの切り替えが完了すると、記憶部27に記憶されている第3の表示パターンに従って表示部22を制御して、表示部22により運転モードから選択モードに切り替えたことを表示する。
【0048】
また、制御部28は、選択モードにあるときは、操作部23が操作されることで機種コードを、例えば機種コードに付された番号順に切り替える。ここでいう操作部23の操作は、運転モードから選択モードへの切り替えの操作と異なる操作であれば、運転モードにあるときのポンプ13の駆動に係る指令を入力する所定の操作と同じであっても異なる操作であってもよい。本実施形態では、制御部28は、選択モードにあるときは、操作部23が、押し込み時間が運転モードでの所定の操作と認識される所定時間以内となる1度の押し込み操作がなされるごとに、機種コードを、例えば機種コードに付される番号にそって切り替える。
【0049】
また、制御部28は、選択モードにあるときは、記憶部27に記憶されている第2の表示パターンにしたがって表示部22を制御して、表示部22により、選択された機種コードに割り当てられた表示を行う。
【0050】
また、制御部28は、選択モードにあるときに、ポンプ13が駆動できない状態のうちの予め設定された所定の状態からポンプ13が駆動可能な状態に復帰すると、その時点で選択されている機種コードを、運転モードで用いる機種コードに設定して運転モードに復帰する。制御部28は、本実施形態では、信号線17aと二本の信号線19aとの合計3本の信号線のうち外れている信号線が接続部24,25に接続されると、その時点で選択されている機種コードを、運転モードで用いる機種コードに設定して運転モードに復帰する。
【0051】
また、制御部28は、選択モードにある状態で、操作部23に対して、機種コードを選択する操作とは異なる操作がなされるごとに、機種コードの選択が不能となるオフ状態と機種コードの選択が可能なオン状態とが切り替わる。すなわち、運転モードに復帰することなく、オン状態とオフ状態とが切り替わる。選択モードにある状態での操作部23に対する機種コードを選択する操作とは異なる操作の一例は、運転モードから選択モードに切り替えるときの操作と同じ操作である。
【0052】
つぎに、制御部28の運転モードでの制御の一例を説明する。制御部28は、運転モードでは、設定されている機種コードにひもづけられたパラメータに基づいてモータ14を駆動してポンプ13を駆動する。また、制御部28は、給水装置10の状態に応じて表示部22を第1の表示パターンで制御して、給水装置10の状態を表示する。例えば、制御部28は、設定された機種コードがポンプ13を吐出圧力一定制御モードで運転するパラメータを含む場合は、モードランプ22cを点灯する。制御部28は、設定された機種コードがポンプ13を電流値一定制御モードで運転するパラメータを含む場合は、モードランプ22cを点滅させる。
【0053】
つぎに、制御部28の、機種コードを切り替える制御の一例を、図3を用いて説明する。
まず、制御部28は、運転モードから選択モードに切り替える条件を検出したか否かを判断する。(ステップST1)。制御部28は、具体的には、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること、及び、操作部23に対して所定の操作がなされたことまたは外部装置100から運転モードから選択モードへの切り替えの信号を受信すると、選択モードへの切り替える条件が成立したと判断する。
【0054】
より具体的には、制御部28は、信号線17a及び二本の信号線19aの合計3本の信号線の少なくとも1つが外れた状態で操作部23が長押しされたことを検出すると、条件成立と判断する。または、制御部28は、操作部23に対して長押し操作がなされている最中に、信号線17aと二本の信号線19aとの合計三本の信号線の少なくとも1つが外されたことを検出すると、条件成立と判断する。または、制御部28は、信号線17a及び二本の信号線19aの合計3本の信号線の少なくとも1つが外れた状態で外部装置100から切り替えの信号を受信すると、条件成立と判断する。または、制御部28は、外部装置100から切り替えの信号を受信している最中に、信号線17aと二本の信号線19aとの合計三本の信号線の少なくとも1つが外されたことを検出すると、条件成立と判断する。
【0055】
制御部28は、選択モードに切り替える条件が成立したと判断すると、運転モードから選択モードに切り替える。そして、制御部28は、運転モードから選択モードへの切り替えると、当該切り替えたことを示すべく、表示部22を制御して第3の表示パターンの表示を行う(ステップST2)。具体的には、制御部28は、ランプ22a,22b,22cをそれぞれ同時に2回点滅する。作業者は、表示部22による第3の表示パターンの表示を見ることで、運転モードから選択モードに切り替わったことを確認できる。
【0056】
制御部28は、選択モードに切り替えると、操作部23に対する操作に応じて、機種コードを選択する(ステップST3)。制御部28は、表示部22を第2の表示パターンで制御して、選択された機種コードに応じた表示を行う。作業者等は、表示部22により表示を確認し、所望の機種コードに切り替わるまで、操作部23の操作を繰り返す。
【0057】
制御部28は、ポンプ13が駆動可能な状態に復帰すると、具体的には信号線17a,19aのうち外れている信号線が接続されたことを検出すると(ステップST4のYES)、信号線が接続された時点で選択されている機種コードを運転モードで用いる機種コードに設定して、運転モードに復帰する(ステップST5)。制御部28は、運転モードに復帰すると、ステップST1に戻る。
【0058】
なお、制御部28は、選択モードにあるときに、操作部23に対して、運転モードから選択モードに切り替える所定の操作と同じ操作がなされると、具体的には操作部23が長押し操作されると、選択モードのオン状態とオフ状態とを切り替える。
【0059】
このように構成される給水装置10は、既存の操作部23を利用して、運転モード及び選択モードを切り替えることが可能である。この為、電装箱20に、運転モード及び選択モードを切り替える操作部を、別途に設ける必要がないので、給水装置10の製造コストが増加することを防止できる。さらに、制御部28の運転モードから選択モードへの切り替えの条件に、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であることの検出を含めることで、運転モードから選択モードに、作業者等の意図に反して切り替わることを防止できる。すなわち、運転モードにあるときに、作業者等が誤って操作部23に対して長押し操作をして、運転モードから選択モードに切り替わることを防止できる。
【0060】
さらに、制御部28が選択モードにあるときに、表示部22を制御して第2の表示パターンを表示することで、選択されている機種コードを作業者が確認可能である。さらに、運転モードで第1の表示パターンの表示を行う表示部22を用いて選択モードで第2の表示パターンの表示を行うことで、第2の表示パターンの表示を行う表示部を別途に要しないので給水装置10の製造コストが増加することを防止できる。
【0061】
さらに、運転モードから選択モードに切り替える為の、操作部23に対する所定の操作を、運転モードでポンプ13の駆動に係る指令を入力する所定の操作とは異なる操作とすることで、作業者等が、信号線17aと二本の信号線19aとの合計三本の信号線の少なくとも1つが外れたことに気づかない状態で操作部23に対してこの所定の操作を行っても、運転モードから選択モードに切り替わることを防止できる。すなわち、作業者等が意図せずに運転モードから選択モードに切り替わることを防止できる。
【0062】
さらに、ポンプ13の駆動に係る指令を入力する操作とは異なる操作を、長押し操作とすることで、運転モードから選択モードに切り替える操作を簡単な操作にできる。
【0063】
さらに、制御部28は、選択モードにあるときに、機種コードを選択する操作とは異なる操作の一例である長押し操作が操作部23に対してなされるごとに、選択操作が可能なオン状態と選択不能なオフ状態とが切り替える構成である。この為、作業者等が所望の機種コードとなるまで操作部23を操作している最中に別の作業をする必要が生じた場合等に、オフ状態とすることで、選択している機種コードが不意に変更されることを防止できる。
【0064】
さらに、ポンプ13の駆動ができない状態のうち予め設定された所定の状態を、信号線17aと二本の信号線19aとの合計三本の信号線の少なくとも1つが、接続部24,25から外れている状態としたことで、信号線17a,19aの少なくとも1つを外すだけでよいので、運転モードから選択モードへの切り替え作業を比較的簡単にできる。
【0065】
さらに、制御部28は、選択モードにあるときに、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態から駆動可能な状態に復帰させることで、選択されていた機種コードを運転モードで用いる機種コードに設定して運転モードに切り替える。この為、操作部23に、機種コードを設定する為の操作、及び選択モードから運転モードに切り替える為の操作を割り当てる必要がない。この為、操作部23に対する操作の種類が増加することを防止できるので、作業者等の負担を軽減できる。
【0066】
さらに、制御部28は、運転モードから選択モードに切り替えると、表示部22を制御して第3の表示パターンを表示する。この為、作業者等は、選択モードに切り替わったことを確認できる。
【0067】
上述したように、本発明の一実施形態によれば、製造コストの増加を防止しつつ、機種コードを切り替え可能な給水装置を提供できる。
【0068】
なお、上述した例では、外部装置100から信号を受信する構成として、電波を受信可能な受信部29が電装箱20に設けられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。外部装置100からの信号を受信可能な構成として、例えば、外部装置100が信号線を介して着脱可能に接続される構成であってもよい。この変形例の一例としては、電装箱20に、外部装置100からの信号を送信する信号線が着脱可能に接続される接続部が設けられ、制御部28は、信号線を介して外部装置100からの信号を受信可能に構成される。
【0069】
また、上述した例では、給水装置10は、運転モードにあるときに、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること及び操作部23が操作されたことまたは外部装置100から切り替えの信号を受信したことを検出すると、運転モードから選択モードに切り替える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。
【0070】
他の例では、給水装置10は、受信部29を有さない構成であってもよい。すなわち、給水装置10は、運転モードにあるときに、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること及び操作部23が操作されたことを検出すると、運転モードから選択モードに切り替える構成であり、外部装置100からの信号は切り替えの条件に含めない構成であってもよい。または、他の例では、給水装置10は、運転モードにあるときに、ポンプ13が駆動できない状態のうち予め設定された所定の状態であること及び外部装置100から切り替えの信号の受信を検出したときのみ、運転モードから選択モードに切り替える構成であってもよい。
【0071】
また、制御部28は、さらに、給水装置10の電源投入時に、選択モードとなる構成であってもよい。すなわち、制御部28は、作業者等が給水装置10の電源を投入すると、ポンプ13が駆動可能な状態であっても、操作部23に対する操作をすることなくまたは外部装置100から信号を受信することなく、選択モードとなる。そして、制御部28は、給水装置10に対して所定の操作がなされると、選択モードから運転モードに切り替えるとともに、選択された機種コードを運転モードで用いる機種コードに設定する。
【0072】
ここで言う、給水装置10に対する所定の操作は、例えば、操作部23に対して、選択モードから運転モードに切り替える為の操作として割り当てられた所定操作である。この、操作部23に対する所定の操作は、選択モードのオン状態及びオフ状態を切り替える操作とは異なる操作の1つである。または、給水装置10に対する所定の操作は、例えば、信号線17a,19a等の制御部28に電気的に接続される信号線の着脱であってもよい。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0074】
10…給水装置、13…ポンプ、14…モータ、17…流量・圧力検出装置、17a…信号線、19…フロートスイッチ、19a…信号線、20…電装箱、21…ケーシング、22…表示部、23…操作部、24…流量・圧力検出装置接続部、25…フロートスイッチ接続部、26…インバータ、27…記憶部、28…制御部。
図1
図2
図3
図4