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特許7290288免疫不全及び自己免疫疾患を治療するための、造血幹細胞でFOXP3を発現するレンチウイルスベクター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】免疫不全及び自己免疫疾患を治療するための、造血幹細胞でFOXP3を発現するレンチウイルスベクター
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/867 20060101AFI20230606BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230606BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230606BHJP
   A61K 35/51 20150101ALI20230606BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20230606BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20230606BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230606BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
C12N15/867 Z ZNA
C12N15/12
C12N5/10
C12N7/01
A61P37/06
A61K35/76
A61K35/51
A61K35/28
A61K35/15
A61K48/00
A61K31/7088
A61P1/00 171
A61P25/00
A61P21/04
A61P19/02
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020511428
(86)(22)【出願日】2018-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 US2018047586
(87)【国際公開番号】W WO2019040655
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】62/548,891
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・ビー・コーン
(72)【発明者】
【氏名】マリア・グラツィア・ロンカローロ
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・ピー・ホリス
(72)【発明者】
【氏名】ケイトリン・イー・マシウク
(72)【発明者】
【氏名】ローザ・バチェッタ
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-208548(JP,A)
【文献】J. Exp. Med.,2007年,Vol. 204, No. 7,pp.1543-1551
【文献】Nat. Immunol.,2008年,Vol. 9, No. 2,pp.194-202
【文献】Nature,2010年,Vol. 463,pp.808-812
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 7/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内因性FoxP3プロモーターに動作可能に連結されるヒトFoxP3タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む発現カセットを含む組換えレンチウイルスベクター(LV)であって、
前記発現カセットがヒトFoxP3-CNS1配列、ヒトFoxP3-CNS2配列及びヒトFoxP3-CNS3配列からなるエンハンサーエレメントを前記プロモーターの上流に含み、
前記LVがTAT非依存性及び自己不活性化(SIN)レンチウイルスベクターである、前記レンチウイルスベクター。
【請求項2】
前記ヒトFoxP3タンパク質をコードするヌクレオチド配列がFoxP3 cDNAを含む、請求項1に記載のベクター。
【請求項3】
前記ヒトFoxP3をコードするヌクレオチド配列がコドン最適化される、請求項2に記載のベクター。
【請求項4】
前記ベクターがFoxP3 3’UTRを含む;及び/又は
前記ベクターがΨ領域ベクターゲノムのパッケージングシグナルを含む;及び/又は
前記ベクターがCMVエンハンサー/プロモーターを含む5’LTRを含む;及び/又は
前記ベクターがReV応答性エレメント(RRE)を含む;及び/又は
前記ベクターがインスレーターエレメントを含む;及び/又は
前記ベクターがA2インスレーターを含むインスレーターエレメントを含む;及び/又は
前記ベクターがA2インスレーターを含むインスレーターエレメントをU3領域内に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のベクター。
【請求項5】
前記ベクターがPCCL骨格を含む、請求項4に記載のベクター。
【請求項6】
前記ベクターでトランスフェクトされた細胞が適切な成熟リンパ球においてFoxP3の正常な生理的発現を再現する、請求項5に記載のベクター。
【請求項7】
前記ベクターが配列番号1の核酸を含む、請求項1に記載のベクター。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のベクターでトランスフェクトされたパッケージング細胞。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のベクターによりコードされたレンチウイルス粒子。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクターによりコードされたレンチウイルス粒子に感染した宿主細胞。
【請求項11】
前記細胞が幹細胞である、請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項12】
前記細胞が骨髄由来の幹細胞である、請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項13】
前記細胞が臍帯血由来の幹細胞である、請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項14】
前記細胞が末梢血幹細胞である、請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項15】
前記細胞がヒト造血前駆細胞である、請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項16】
前記ヒト造血前駆細胞がCD34細胞である、請求項15に記載の宿主細胞。
【請求項17】
前記ヒト造血前駆細胞がCD34CD38細胞である、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
ヒトFoxP3タンパク質を発現する核酸を含む、感染性のレンチウイルス粒子であって、
前記ウイルス粒子が請求項1~7のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクターを用いて産生される、レンチウイルス粒子
【請求項19】
FoxP3発現が欠損した哺乳類における制御性T細胞(Treg)機能を回復する治療における使用のための医薬組成物であって、請求項1~7のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター及び/または請求項18に記載のウイルス粒子を含む医薬組成物
【請求項20】
自己免疫障害の治療における使用のための医薬組成物であって、請求項1~7のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター及び/または請求項18に記載のウイルス粒子を含む医薬組成物
【請求項21】
重症筋無力症、多発性硬化症、IPEX(免疫調節不全、多腺性内分泌障害、腸疾患、X連鎖性)及び自己免疫性関節炎からなる群から選択される自己免疫障害の治療における使用のための、請求項20に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月22日に出願された米国特許出願第62/548,891号の利益及びその優先権を主張し、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に援用される。
政府支援の声明
[該当なし]
【0002】
FoxP3遺伝子機能(遺伝性変異により)の先天性欠損症の患者を同種造血幹細胞移植(HSCT)を用いて治療すると、免疫エフェクター細胞の正常集団を産生する正常な幹細胞源に必要なFoxP3遺伝子機能を提供し得る。しかし、同種HSCTは、良好に適合したドナーの必要性及びドナーとレシピエントとの免疫学的相違による移植片拒絶または移植片対宿主病に対するリスクによって限定される。
【0003】
遺伝子を修正したHSCの自家移植によりこれらの免疫性合併症が回避され、非常に有効なHSCTを実行することができる。患者由来の自己T細胞は構成的プロモーターを伴うこの因子(FoxP3)を発現するベクターを用いて修飾される場合があり、これらのT細胞はin vivoで有限寿命を有し、その効果は経時的に衰える場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】US2009/0325868A1
【文献】US2016/0046685A1
【文献】US2014/0065110A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多種類の免疫抑制剤(コルチコステロイド、カルシニューリン阻害剤、代謝拮抗剤ヌクレオシドなど)は遺伝性または後天性自己免疫/自己炎症性疾患の合併症のいくつかを抑制し得るが、部分的にまたは最小限にだけ有効であり、有意な毒性を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において考察される種々の実施形態は以下の1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。
実施形態1:組換えレンチウイルスベクター(LV)であって、
【0007】
内因性FoxP3プロモーターに動作可能に連結されたヒトFoxP3タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む発現カセットを含み、
【0008】
前記LVがTAT非依存性及び自己不活性化(SIN)レンチウイルスベクターである。
【0009】
実施形態2:前記ヒトFoxP3タンパク質をコードするヌクレオチド配列がFoxP3 cDNAである、実施形態1に記載のベクター。
【0010】
実施形態3:前記ヒトFoxP3をコードするヌクレオチド配列がコドン最適化される、実施形態1~2のいずれか1項に記載のベクター。
【0011】
実施形態4:前記ヒトFoxP3タンパク質をコードするヌクレオチド配列が1つ以上のFoxP3エンハンサーエレメントに動作可能に連結される、実施形態1~3のいずれか1項に記載のベクター。
【0012】
実施形態5:前記エンハンサーエレメントがFoxP3の保存された非コード配列1(FoxP3-CNS1)、FoxP3の保存された非コード配列2(FoxP3-CNS2)及びFoxP3の保存された非コード配列3(FoxP3-CNS3)からなる群から選択される、実施形態4に記載のベクター。
【0013】
実施形態6:前記発現カセットがFoxP3-CNS1、FoxP3-CNS2及びFoxP3-CNS3を含む、実施形態5に記載のベクター。
【0014】
実施形態7:前記ベクターがFoxP3 3’UTRを含む、実施形態1~6のいずれか1項に記載のベクター。
【0015】
実施形態8:前記ベクターがΨ領域ベクターゲノムのパッケージングシグナルを含む、実施形態1~7のいずれか1項に記載のベクター。
【0016】
実施形態9:5’LTRがCMVエンハンサー/プロモーターを含む、実施形態1~8のいずれか1項に記載のベクター。
【0017】
実施形態10:前記ベクターがReV応答性エレメント(RRE)を含む、実施形態1~9のいずれか1項に記載のベクター。
【0018】
実施形態11:前記ベクターがセントラルポリプリン配列を含む、実施形態1~10のいずれか1項に記載のベクター。
【0019】
実施形態12:前記ベクターがインスレーターエレメントを含む、実施形態1~11のいずれか1項に記載のベクター。
【0020】
実施形態13:前記ベクターがA2インスレーターを含む、実施形態12に記載のベクター。
【0021】
実施形態14:前記ベクターがA2インスレーターをU3領域内に含む、実施形態13に記載のベクター。
【0022】
実施形態15:前記ベクターが組換えによる野生型レンチウイルスを再構成することができない、実施形態1~14のいずれか1項に記載のベクター。
【0023】
実施形態16:前記ベクターがPCCL骨格を含む、実施形態1~15のいずれか1項に記載のベクター。
【0024】
実施形態17:前記ベクターをトランスフェクトされた細胞が適切な成熟リンパ球においてFoxP3の正常な生理的発現を繰り返す、実施形態1~16のいずれか1項に記載のベクター。
【0025】
実施形態18:前記ベクターが配列番号1の核酸を含む、実施形態1に記載のベクター。
【0026】
実施形態19:実施形態1~18のいずれか1項に記載のベクターをトランスフェクトされたパッケージング細胞。
【0027】
実施形態20:実施形態1~18のいずれか1項に記載のベクターによりコードされたレンチウイルス粒子。
【0028】
実施形態21:実施形態1~18のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクターによりコードされたレンチウイルス粒子に感染した宿主細胞。
【0029】
実施形態22:前記細胞が幹細胞である、実施形態21に記載の宿主細胞。
【0030】
実施形態23:前記細胞が骨髄由来の幹細胞である、実施形態21に記載の宿主細胞。
【0031】
実施形態24:前記細胞が臍帯血由来の幹細胞である、実施形態21に記載の宿主細胞。
【0032】
実施形態25:前記細胞が末梢血幹細胞である、実施形態21に記載の宿主細胞。
【0033】
実施形態26:前記細胞がヒト造血前駆細胞である、実施形態21に記載の宿主細胞。
【0034】
実施形態27:前記ヒト造血前駆細胞がCD34細胞である、実施形態21に記載の宿主細胞。
【0035】
実施形態28:前記ヒト造血前駆細胞がCD34CD38細胞である、実施形態27に記載の宿主細胞。
【0036】
実施形態29:ヒトFoxP3タンパク質を発現する核酸を含む、感染性のレンチウイルス粒子。
【0037】
実施形態30:前記ウイルス粒子が実施形態1~18のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクターを用いて産生される、実施形態29に記載のレンチウイルス粒子。
【0038】
実施形態31:FoxP3発現が欠損した哺乳類において制御性T細胞(Treg)機能を回復する方法であって、
【0039】
実施形態1~18のいずれか1項に記載のレンチウイルス及び/または実施形態29~30のいずれか1項に記載のウイルス粒子を前記対象由来の幹細胞及び/または前駆細胞に形質導入すること、ならびに
【0040】
前記形質導入された細胞またはその細胞由来の細胞を前記対象に移植することを含み、前記細胞またはその細胞由来の誘導物が前記ヒトFoxP3遺伝子を発現し、前記哺乳類における制御性T細胞(Treg)を回復する、前記方法。
【0041】
実施形態32:対象における自己免疫障害を治療する方法であって、実施形態1~18のいずれか1項に記載のレンチウイルス及び/または実施形態29~30のいずれか1項に記載のウイルス粒子を前記対象由来の幹細胞及び/または前駆細胞に形質導入すること、ならびに前記形質導入された細胞またはその細胞由来の細胞を前記対象に移植することを含み、前記細胞またはその細胞由来の誘導物が前記ヒトFoxP3遺伝子を発現し、前記自己免疫障害の1つ以上の病徴を改善する、及び/あるいは前記自己免疫障害を排除する、前記方法。
【0042】
実施形態33:前記自己免疫障害が重症筋無力症、多発性硬化症、IPEX(免疫調節不全、多腺性内分泌障害、腸疾患、X連鎖性)及び自己免疫性関節炎からなる群から選択される障害を含む、実施形態32に記載の方法。
【0043】
実施形態34:前記細胞またはその細胞由来の誘導物がFoxP3の正常な生理的発現を繰り返す、実施形態30~33のいずれか1項に記載の方法。
【0044】
実施形態35:前記細胞が幹細胞である、実施形態30~34のいずれか1項に記載の方法。
【0045】
実施形態36:前記細胞が骨髄腫由来の幹細胞である、実施形態30~34のいずれか1項に記載の方法。
【0046】
実施形態37:前記細胞が臍帯血由来の幹細胞である、実施形態30~34のいずれか1項に記載の方法。
【0047】
実施形態38:前記細胞が末梢血幹細胞である、実施形態30~34のいずれか1項に記載の方法。
【0048】
実施形態39:前記細胞がヒト造血前駆細胞である、実施形態30~34のいずれか1項に記載の方法。
【0049】
実施形態40:前記ヒト造血前駆細胞がCD34細胞である、実施形態39に記載の方法。
【0050】
実施形態41:前記ヒト造血前駆細胞がCD34/CD38細胞である、実施形態40に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1A】パネルA~Bは、FoxP3レポーターベクターがヒト細胞株においてTreg系統特異的な発現を示すことを示す。パネルA:MT-2(Treg様)、Jurkat(T細胞)及びK562(赤血球系)の3つの異なる細胞株における内因性FoxP3タンパク質発現のフローサイトメトリーの測定。赤のヒストグラムはFoxP3発現を表し、灰色のヒストグラムはアイソタイプコントロールの染色細胞の蛍光を表す。パネルB:FoxP3-mStrawberryレポーターベクターが形質導入されたMT-2、JurkatまたはK562細胞におけるmStrawberryレポータータンパク質の発現。y軸はmStrawberry発現に対して陽性である細胞の百分率を表し、x軸は1個の細胞あたりのベクターコピー数を表す。
図1B】パネルA~Bは、FoxP3レポーターベクターがヒト細胞株においてTreg系統特異的な発現を示すことを示す。パネルA:MT-2(Treg様)、Jurkat(T細胞)及びK562(赤血球系)の3つの異なる細胞株における内因性FoxP3タンパク質発現のフローサイトメトリーの測定。赤のヒストグラムはFoxP3発現を表し、灰色のヒストグラムはアイソタイプコントロールの染色細胞の蛍光を表す。パネルB:FoxP3-mStrawberryレポーターベクターが形質導入されたMT-2、JurkatまたはK562細胞におけるmStrawberryレポータータンパク質の発現。y軸はmStrawberry発現に対して陽性である細胞の百分率を表し、x軸は1個の細胞あたりのベクターコピー数を表す。
図2】パネルA~Bは、FoxP3レポーターベクターがマウス類遺伝子性移植片モデルにおいてTreg系統特異的な発現を示すことを示す。パネルA:移植片準備。CD45.2FoxP3-GFP遺伝子導入マウス(FoxP3及びGFPを共発現する)を骨髄ドナーとして使用した。CD45.2FoxP3-GFPマウスからLin細胞を単離し、FoxP3-mStrawberryレセプターベクターを形質導入した。致死的に照射された類遺伝子性CD45.1レシピエントに形質導入されたLin細胞を移植した。Treg系統(FoxP3-GFPを特徴とする)におけるmStrawberryレポーターベクター発現について、移植後10週目にCD45.2ドナー細胞を分析した。パネルB:移植されたマウスの骨髄、脾臓及び胸腺のFoxP3-(GFP-)及びFoxP3+(GFP+)ドナー細胞において、mStrawberryレポーター発現を測定した。y軸は各集団におけるmStrawberry+細胞の百分率を表す。
図3A】パネルA~Dは、FoxP3レポーターベクターがヒト化マウスモデルにおいてTreg系統特異的な発現を示すことを示す。パネルA:実験準備。ヒト臍帯血から単離したCD34+細胞にFoxP3mStrawberryレポーターベクターを形質導入し、新生の免疫が欠損したNSGマウスに移植した。移植後12週目にmStrawberry発現について、移植されたhCD45+細胞を分析した。パネルB:移植されたhCD45+細胞における系統特異的なmStrawberry発現。hCD45+細胞は、NSG骨髄(CD19+B細胞、CD33+骨髄系細胞、CD34+幹及び前駆細胞、ならびにCD3+T細胞)、胸腺(CD4-CD8-ダブルネガティブ[DN]、CD4+CD8+ダブルポジティブ[DP]、CD4CD8+シングルポジティブ[CD8 SP]、CD4+CD8-CD25-[CD4 Tconv細胞]及びCD4+CD8-CD25+[Treg])及び脾臓(CD8 T細胞、CD4+CD25-Tconv細胞及びCD4+CD25+Treg細胞)において系統マーカーによってゲーティングされた。ヒストグラムは各系統内でmStrawberry発現を表す。点線は「mStrawberry高」に関するカットオフを示す。パネルC:各hCD45+系統におけるmStrawberry高細胞の百分率。Nは分析組織1個あたり10~14匹のマウスを表す。データは、異なる臍帯血CD34+ドナーを用いた2つの独立実験を表す。パネルD:ヒト化マウスにおけるFoxP3及びmStrawberryの共発現。移植されたNSG-SGM3マウス由来のヒトCD4+細胞がmStrawberry発現に基づいてソートされ、次にFoxP3発現のために細胞内染色及びフローサイトメトリー解析が行われた。左側のパネルはmStrawberry発現によるヒトCD4+細胞のソーティングを示し、右側のパネルは各ソートされた集団内のFoxP3発現を示す。
図3BC】パネルA~Dは、FoxP3レポーターベクターがヒト化マウスモデルにおいてTreg系統特異的な発現を示すことを示す。パネルA:実験準備。ヒト臍帯血から単離したCD34+細胞にFoxP3mStrawberryレポーターベクターを形質導入し、新生の免疫が欠損したNSGマウスに移植した。移植後12週目にmStrawberry発現について、移植されたhCD45+細胞を分析した。パネルB:移植されたhCD45+細胞における系統特異的なmStrawberry発現。hCD45+細胞は、NSG骨髄(CD19+B細胞、CD33+骨髄系細胞、CD34+幹及び前駆細胞、ならびにCD3+T細胞)、胸腺(CD4-CD8-ダブルネガティブ[DN]、CD4+CD8+ダブルポジティブ[DP]、CD4CD8+シングルポジティブ[CD8 SP]、CD4+CD8-CD25-[CD4 Tconv細胞]及びCD4+CD8-CD25+[Treg])及び脾臓(CD8 T細胞、CD4+CD25-Tconv細胞及びCD4+CD25+Treg細胞)において系統マーカーによってゲーティングされた。ヒストグラムは各系統内でmStrawberry発現を表す。点線は「mStrawberry高」に関するカットオフを示す。パネルC:各hCD45+系統におけるmStrawberry高細胞の百分率。Nは分析組織1個あたり10~14匹のマウスを表す。データは、異なる臍帯血CD34+ドナーを用いた2つの独立実験を表す。パネルD:ヒト化マウスにおけるFoxP3及びmStrawberryの共発現。移植されたNSG-SGM3マウス由来のヒトCD4+細胞がmStrawberry発現に基づいてソートされ、次にFoxP3発現のために細胞内染色及びフローサイトメトリー解析が行われた。左側のパネルはmStrawberry発現によるヒトCD4+細胞のソーティングを示し、右側のパネルは各ソートされた集団内のFoxP3発現を示す。
図3D】パネルA~Dは、FoxP3レポーターベクターがヒト化マウスモデルにおいてTreg系統特異的な発現を示すことを示す。パネルA:実験準備。ヒト臍帯血から単離したCD34+細胞にFoxP3mStrawberryレポーターベクターを形質導入し、新生の免疫が欠損したNSGマウスに移植した。移植後12週目にmStrawberry発現について、移植されたhCD45+細胞を分析した。パネルB:移植されたhCD45+細胞における系統特異的なmStrawberry発現。hCD45+細胞は、NSG骨髄(CD19+B細胞、CD33+骨髄系細胞、CD34+幹及び前駆細胞、ならびにCD3+T細胞)、胸腺(CD4-CD8-ダブルネガティブ[DN]、CD4+CD8+ダブルポジティブ[DP]、CD4CD8+シングルポジティブ[CD8 SP]、CD4+CD8-CD25-[CD4 Tconv細胞]及びCD4+CD8-CD25+[Treg])及び脾臓(CD8 T細胞、CD4+CD25-Tconv細胞及びCD4+CD25+Treg細胞)において系統マーカーによってゲーティングされた。ヒストグラムは各系統内でmStrawberry発現を表す。点線は「mStrawberry高」に関するカットオフを示す。パネルC:各hCD45+系統におけるmStrawberry高細胞の百分率。Nは分析組織1個あたり10~14匹のマウスを表す。データは、異なる臍帯血CD34+ドナーを用いた2つの独立実験を表す。パネルD:ヒト化マウスにおけるFoxP3及びmStrawberryの共発現。移植されたNSG-SGM3マウス由来のヒトCD4+細胞がmStrawberry発現に基づいてソートされ、次にFoxP3発現のために細胞内染色及びフローサイトメトリー解析が行われた。左側のパネルはmStrawberry発現によるヒトCD4+細胞のソーティングを示し、右側のパネルは各ソートされた集団内のFoxP3発現を示す。
図4A】パネルA~Cは、FoxP3欠損マウスHSCへの系統特異的なFoxP3をコードするベクターの導入が機能的なTregの発生を回復することを示す。パネルA:実験準備。FoxP3欠損(scurfy)ドナーマウスからLin細胞を単離し、FoxP3 cDNA及びレポーターmStrawberryの両方を発現するFoxP3をコードするベクターを形質導入した。致死的に照射されたWTCD45.1類遺伝子性レシピエントに形質導入されたLin細胞を移植した。12週間後、mStrawberry+細胞(「修正Treg」)をTreg抑制能力(パネルB)及びTreg表面マーカー発現(パネルC)について評価した。各実験について、scurfyマウス由来の修正TregをWT FoxP3-GFPマウス由来の天然GFP+Tregと比較した。パネルB:ビーズ結合したCD3/CD28抗体の存在下でCell Traceバイオレット標識されたCD4+FoxP3-レスポンダー細胞とともにソートされたTreg(nTreg=天然GFP+TregまたはcTreg=修正mStrawberry Treg)を共培養した。1:1の比でTregをTresp細胞と培養した。培養4日後、各群の標識されたレスポンダー細胞の分割指数を算出することによって、Treg抑制を求めた。データは1~2の複製ウェルの平均+/-SEMを表す。パネルC:WT FoxP3-GFPマウス(上)または移植されたCD45.2修正ドナーscurfy細胞(下)由来の胸腺細胞。右側のパネルは、ゲーティングされた各CD4 SP胸腺細胞集団(GFP-、GFP+、mStrawberry-またはmStrawberry+)におけるTreg表面マーカー(CD25、GITR及びCTLA4)の発現を示す。
図4B】パネルA~Cは、FoxP3欠損マウスHSCへの系統特異的なFoxP3をコードするベクターの導入が機能的なTregの発生を回復することを示す。パネルA:実験準備。FoxP3欠損(scurfy)ドナーマウスからLin細胞を単離し、FoxP3 cDNA及びレポーターmStrawberryの両方を発現するFoxP3をコードするベクターを形質導入した。致死的に照射されたWTCD45.1類遺伝子性レシピエントに形質導入されたLin細胞を移植した。12週間後、mStrawberry+細胞(「修正Treg」)をTreg抑制能力(パネルB)及びTreg表面マーカー発現(パネルC)について評価した。各実験について、scurfyマウス由来の修正TregをWT FoxP3-GFPマウス由来の天然GFP+Tregと比較した。パネルB:ビーズ結合したCD3/CD28抗体の存在下でCell Traceバイオレット標識されたCD4+FoxP3-レスポンダー細胞とともにソートされたTreg(nTreg=天然GFP+TregまたはcTreg=修正mStrawberry Treg)を共培養した。1:1の比でTregをTresp細胞と培養した。培養4日後、各群の標識されたレスポンダー細胞の分割指数を算出することによって、Treg抑制を求めた。データは1~2の複製ウェルの平均+/-SEMを表す。パネルC:WT FoxP3-GFPマウス(上)または移植されたCD45.2修正ドナーscurfy細胞(下)由来の胸腺細胞。右側のパネルは、ゲーティングされた各CD4 SP胸腺細胞集団(GFP-、GFP+、mStrawberry-またはmStrawberry+)におけるTreg表面マーカー(CD25、GITR及びCTLA4)の発現を示す。
図4C】パネルA~Cは、FoxP3欠損マウスHSCへの系統特異的なFoxP3をコードするベクターの導入が機能的なTregの発生を回復することを示す。パネルA:実験準備。FoxP3欠損(scurfy)ドナーマウスからLin細胞を単離し、FoxP3 cDNA及びレポーターmStrawberryの両方を発現するFoxP3をコードするベクターを形質導入した。致死的に照射されたWTCD45.1類遺伝子性レシピエントに形質導入されたLin細胞を移植した。12週間後、mStrawberry+細胞(「修正Treg」)をTreg抑制能力(パネルB)及びTreg表面マーカー発現(パネルC)について評価した。各実験について、scurfyマウス由来の修正TregをWT FoxP3-GFPマウス由来の天然GFP+Tregと比較した。パネルB:ビーズ結合したCD3/CD28抗体の存在下でCell Traceバイオレット標識されたCD4+FoxP3-レスポンダー細胞とともにソートされたTreg(nTreg=天然GFP+TregまたはcTreg=修正mStrawberry Treg)を共培養した。1:1の比でTregをTresp細胞と培養した。培養4日後、各群の標識されたレスポンダー細胞の分割指数を算出することによって、Treg抑制を求めた。データは1~2の複製ウェルの平均+/-SEMを表す。パネルC:WT FoxP3-GFPマウス(上)または移植されたCD45.2修正ドナーscurfy細胞(下)由来の胸腺細胞。右側のパネルは、ゲーティングされた各CD4 SP胸腺細胞集団(GFP-、GFP+、mStrawberry-またはmStrawberry+)におけるTreg表面マーカー(CD25、GITR及びCTLA4)の発現を示す。
図5A】パネルA~Eは、系統特異的なFoxP3 cDNAベクターがscurfyマウス(FoxP3欠損マウスモデル)を救済することができる機能的なTregを生成することを示す。パネルA:実験準備。scurfyまたはWT HSPC(CD45.2)にFoxP3レポーターベクターまたはFoxP3 cDNAベクターを形質導入し、致死的に照射された類遺伝子性(CD45.1)レシピエントに移植した。移植後12週目に移植レシピエントの脾臓からドナーCD45.2+CD4+細胞(推定上のTregを含む)を精製し、scurfy新生児へ肝臓内に注入した。CD4 T細胞の移入後21日目にscurfy新生児の救済を評価した。パネルB:21日目に救済されたscurfy新生児由来の脾臓のCD4細胞。左図はSf-Treg(未修正)を受け取るscurfyマウスを示し、右図はcSf-Treg(修正)を受け取るscurfyマウスを示す。y軸はヒトFoxP3発現(FoxP3 LVによりコードされる)を示すが、x軸はマウスFoxP3発現(両scurfyマウスに無い)を示す。パネルC:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールに対する脾臓対体重の比。パネルD:21日目に救済されたscurfy新生児における脾臓のCD4 T細胞の表現型。赤色の囲みはCD44+CD62L-(活性化)CD4 T細胞を強調し、青色の囲みはCD44-CD62L+(ナイーブ)CD4 T細胞を強調する。パネルE:21日目に救済したscurfy新生児の写真。白矢印は耳の奇形の修正を強調する。
図5BC】パネルA~Eは、系統特異的なFoxP3 cDNAベクターがscurfyマウス(FoxP3欠損マウスモデル)を救済することができる機能的なTregを生成することを示す。パネルA:実験準備。scurfyまたはWT HSPC(CD45.2)にFoxP3レポーターベクターまたはFoxP3 cDNAベクターを形質導入し、致死的に照射された類遺伝子性(CD45.1)レシピエントに移植した。移植後12週目に移植レシピエントの脾臓からドナーCD45.2+CD4+細胞(推定上のTregを含む)を精製し、scurfy新生児へ肝臓内に注入した。CD4 T細胞の移入後21日目にscurfy新生児の救済を評価した。パネルB:21日目に救済されたscurfy新生児由来の脾臓のCD4細胞。左図はSf-Treg(未修正)を受け取るscurfyマウスを示し、右図はcSf-Treg(修正)を受け取るscurfyマウスを示す。y軸はヒトFoxP3発現(FoxP3 LVによりコードされる)を示すが、x軸はマウスFoxP3発現(両scurfyマウスに無い)を示す。パネルC:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールに対する脾臓対体重の比。パネルD:21日目に救済されたscurfy新生児における脾臓のCD4 T細胞の表現型。赤色の囲みはCD44+CD62L-(活性化)CD4 T細胞を強調し、青色の囲みはCD44-CD62L+(ナイーブ)CD4 T細胞を強調する。パネルE:21日目に救済したscurfy新生児の写真。白矢印は耳の奇形の修正を強調する。
図5DE】パネルA~Eは、系統特異的なFoxP3 cDNAベクターがscurfyマウス(FoxP3欠損マウスモデル)を救済することができる機能的なTregを生成することを示す。パネルA:実験準備。scurfyまたはWT HSPC(CD45.2)にFoxP3レポーターベクターまたはFoxP3 cDNAベクターを形質導入し、致死的に照射された類遺伝子性(CD45.1)レシピエントに移植した。移植後12週目に移植レシピエントの脾臓からドナーCD45.2+CD4+細胞(推定上のTregを含む)を精製し、scurfy新生児へ肝臓内に注入した。CD4 T細胞の移入後21日目にscurfy新生児の救済を評価した。パネルB:21日目に救済されたscurfy新生児由来の脾臓のCD4細胞。左図はSf-Treg(未修正)を受け取るscurfyマウスを示し、右図はcSf-Treg(修正)を受け取るscurfyマウスを示す。y軸はヒトFoxP3発現(FoxP3 LVによりコードされる)を示すが、x軸はマウスFoxP3発現(両scurfyマウスに無い)を示す。パネルC:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールに対する脾臓対体重の比。パネルD:21日目に救済されたscurfy新生児における脾臓のCD4 T細胞の表現型。赤色の囲みはCD44+CD62L-(活性化)CD4 T細胞を強調し、青色の囲みはCD44-CD62L+(ナイーブ)CD4 T細胞を強調する。パネルE:21日目に救済したscurfy新生児の写真。白矢印は耳の奇形の修正を強調する。
図6図6はpCCL-CNSp-FOXP3-3UTR-A2ベクター(配列番号1(接合マーカー由来の配列))の構造を示す。ヒトゲノム源の配列:(Tone et al.(2008)Smad3 and NFAT cooperate to induce FoxP3 expression through its enhancer.Nature Immunology,9:194-202)に記載の配列と同一ではないが、それに基づくCNS1(237bp)最小配列;Kim and Leonard(2007)CREB/ATF-dependent T cell receptor-induced FoxP3 gene expression:a role for DNA methylation.JEM,204:1543-1551に公表されたCNS2(359bp);Zheng et al.(2010)Role of conserved non-coding DNA elements in the FoxP3 gene in regulatory T-cell fate,Nature 473:808-813に公表されたCNS3(217bp);Kim and Leonard(2007)、上記から修飾されたプロモーター(382bp)配列;ヒトゲノムNCBI参照配列ファイルNM_014009に基づく5’UTR(187bp);ヒトゲノムNCBI参照配列ファイルNM_01009に基づくFoxP3cDNA(1292bp);ヒトゲノムNCBI参照配列ファイルNM_014009に基づく3’UTR(875bp)。
図7図7はFoxP3レンチウイルスの成分を示す。
図8AB】パネルA~Fは、構成的FoxP3発現がHSPC移植を損なうことを示す。パネルA:形質導入後3日目のコントロールLV(MNDU3-GFP)または構成的FoxP3 LV(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)が形質導入されたマウスのLin-HSPCにおける生存率及びGFP発現。パネルB:移植後7日目のコントロールLV(MNDU3-GFP)または構成的FoxP3 LV(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)が形質導入されたドナー(CD45.1)Lin-HSPCにおける末梢血移植。FACSプロットはドナー細胞(n=マウス10匹/群)におけるドナー(CD45.1)移植及びGFP発現を示す。パネルC:移植後10日及び21日目(n=1群1たりマウス10匹)の移植されたマウスにおける白血球(WBC)数、赤血球(RBC)数及び血小板数。パネルD:移植後のマウスの生存。N=1群あたりマウス10匹。パネルE:形質導入後3日目のコントロールLV(MNDU3-GFP)または構成的FoxP3LV(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)が形質導入されたCBCD34+HSPCにおける生存率及びGFP発現。パネルF:移植後6~8週目のヒト化NSGマウスにおけるhCD45+細胞(hCD45+とmCD45+との合計百分率として表す)の末梢血移植。データは独立ドナー12体由来のCBCD34+細胞を用いてヒト化されたマウスを表し、nは1群あたりマウス16~17匹である。スチューデントt検定。データはパネルBに対する平均±SD、パネルCに対する平均±SEM及びパネルFに対する中央値±IQR及び範囲を表す。パネルC及びFにおけるデータを、スチューデントt検定を用いて分析する。(D)のデータを、ログランク(Mantel-Cox)検定を用いて分析する。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図8CD】パネルA~Fは、構成的FoxP3発現がHSPC移植を損なうことを示す。パネルA:形質導入後3日目のコントロールLV(MNDU3-GFP)または構成的FoxP3 LV(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)が形質導入されたマウスのLin-HSPCにおける生存率及びGFP発現。パネルB:移植後7日目のコントロールLV(MNDU3-GFP)または構成的FoxP3 LV(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)が形質導入されたドナー(CD45.1)Lin-HSPCにおける末梢血移植。FACSプロットはドナー細胞(n=マウス10匹/群)におけるドナー(CD45.1)移植及びGFP発現を示す。パネルC:移植後10日及び21日目(n=1群1たりマウス10匹)の移植されたマウスにおける白血球(WBC)数、赤血球(RBC)数及び血小板数。パネルD:移植後のマウスの生存。N=1群あたりマウス10匹。パネルE:形質導入後3日目のコントロールLV(MNDU3-GFP)または構成的FoxP3LV(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)が形質導入されたCBCD34+HSPCにおける生存率及びGFP発現。パネルF:移植後6~8週目のヒト化NSGマウスにおけるhCD45+細胞(hCD45+とmCD45+との合計百分率として表す)の末梢血移植。データは独立ドナー12体由来のCBCD34+細胞を用いてヒト化されたマウスを表し、nは1群あたりマウス16~17匹である。スチューデントt検定。データはパネルBに対する平均±SD、パネルCに対する平均±SEM及びパネルFに対する中央値±IQR及び範囲を表す。パネルC及びFにおけるデータを、スチューデントt検定を用いて分析する。(D)のデータを、ログランク(Mantel-Cox)検定を用いて分析する。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図8EF】パネルA~Fは、構成的FoxP3発現がHSPC移植を損なうことを示す。パネルA:形質導入後3日目のコントロールLV(MNDU3-GFP)または構成的FoxP3 LV(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)が形質導入されたマウスのLin-HSPCにおける生存率及びGFP発現。パネルB:移植後7日目のコントロールLV(MNDU3-GFP)または構成的FoxP3 LV(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)が形質導入されたドナー(CD45.1)Lin-HSPCにおける末梢血移植。FACSプロットはドナー細胞(n=マウス10匹/群)におけるドナー(CD45.1)移植及びGFP発現を示す。パネルC:移植後10日及び21日目(n=1群1たりマウス10匹)の移植されたマウスにおける白血球(WBC)数、赤血球(RBC)数及び血小板数。パネルD:移植後のマウスの生存。N=1群あたりマウス10匹。パネルE:形質導入後3日目のコントロールLV(MNDU3-GFP)または構成的FoxP3LV(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)が形質導入されたCBCD34+HSPCにおける生存率及びGFP発現。パネルF:移植後6~8週目のヒト化NSGマウスにおけるhCD45+細胞(hCD45+とmCD45+との合計百分率として表す)の末梢血移植。データは独立ドナー12体由来のCBCD34+細胞を用いてヒト化されたマウスを表し、nは1群あたりマウス16~17匹である。スチューデントt検定。データはパネルBに対する平均±SD、パネルCに対する平均±SEM及びパネルFに対する中央値±IQR及び範囲を表す。パネルC及びFにおけるデータを、スチューデントt検定を用いて分析する。(D)のデータを、ログランク(Mantel-Cox)検定を用いて分析する。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。
図9図9A及び9Bは、系統特異的なFoxP3発現のためのレンチウイルスベクターのデザインを示す。図9A:内因性ヒトFOXP3遺伝子は、ベクターに含まれる制御領域(プロモーター、CNS1、CNS2、CNS3及び3’UTR)の位置を示す。図9B:ベクターマップは、pCCLベクター骨格内のCNS123p-mStrawberry及びCNS123p-FoxP3-mStrawberryコンストラクトのデザインを示す。CNS123p-mStrawberryはmStrawberryを発現させる。CNS123p-FoxP3-mStrawberryはmStrawberryにP2Aで連結されたFoxP3 cDNAを発現させる。
図10A-D】パネルA~E。FoxP3レポーターLVはTreg系統特異的な発現を示す。パネルA:CNS123p-mStrawberryが形質導入されたヒト造血細胞株の分析。左側のパネルにおけるヒストグラムは各細胞株の内因性FoxP3状態を示す。右側のパネルにおけるヒストグラムはCNS123p-mStrawberryが形質導入された各細胞株におけるmStrawberry発現を示す。パネルB:ベクターコピー数の範囲でヒト造血細胞株におけるmStrawberry発現。y軸はmStrawberry発現(左)に対して陽性である細胞の百分率またはmStrawberry蛍光(右)の平均強度を表し、x軸は細胞1個あたりのベクターコピー数を表す(n=細胞株1個あたり12)。パネルC:CNS123p-mStrawberryのin vivoでの系統特異的な発現を評価するための実験計画。CD45.2FoxP3-GFP遺伝子導入マウス(FoxP3及びGFPを共発現する)を骨髄ドナーとして使用した。CD45.2FoxP3-GFPマウスからLin-HSPCを単離し、CNS123p-mStrawberryを形質導入した。致死的に照射された類遺伝子性CD45.1レシピエントに形質導入されたLin-HSPCを移植した。mStrawberryレポーターベクター発現について、移植後20週目に各造血系統内のCD45.2ドナー細胞を分析した。パネルD:ヒストグラムが移植マウスの骨髄、胸腺及び脾臓における各造血系統におけるmStrawberryレポーター発現を示す。個々のヒストグラム線は各マウス(n=マウス9匹)に対して特定した系統におけるmStrawberry発現を表す。パネルE:y軸はBM、脾臓及び胸腺(n=マウス9匹)における各造血系統内のmStrawberry+細胞の百分率を表す。パネルEのデータは平均±SDを表す。
図10E】パネルA~E。FoxP3レポーターLVはTreg系統特異的な発現を示す。パネルA:CNS123p-mStrawberryが形質導入されたヒト造血細胞株の分析。左側のパネルにおけるヒストグラムは各細胞株の内因性FoxP3状態を示す。右側のパネルにおけるヒストグラムはCNS123p-mStrawberryが形質導入された各細胞株におけるmStrawberry発現を示す。パネルB:ベクターコピー数の範囲でヒト造血細胞株におけるmStrawberry発現。y軸はmStrawberry発現(左)に対して陽性である細胞の百分率またはmStrawberry蛍光(右)の平均強度を表し、x軸は細胞1個あたりのベクターコピー数を表す(n=細胞株1個あたり12)。パネルC:CNS123p-mStrawberryのin vivoでの系統特異的な発現を評価するための実験計画。CD45.2FoxP3-GFP遺伝子導入マウス(FoxP3及びGFPを共発現する)を骨髄ドナーとして使用した。CD45.2FoxP3-GFPマウスからLin-HSPCを単離し、CNS123p-mStrawberryを形質導入した。致死的に照射された類遺伝子性CD45.1レシピエントに形質導入されたLin-HSPCを移植した。mStrawberryレポーターベクター発現について、移植後20週目に各造血系統内のCD45.2ドナー細胞を分析した。パネルD:ヒストグラムが移植マウスの骨髄、胸腺及び脾臓における各造血系統におけるmStrawberryレポーター発現を示す。個々のヒストグラム線は各マウス(n=マウス9匹)に対して特定した系統におけるmStrawberry発現を表す。パネルE:y軸はBM、脾臓及び胸腺(n=マウス9匹)における各造血系統内のmStrawberry+細胞の百分率を表す。パネルEのデータは平均±SDを表す。
図11AB】パネルA~F。系統特異的なFoxP3発現はscurfy(FoxP3が欠損した)HSCからTregの発生を回復する。パネルA:Tregの発生を評価するための移植片準備。FoxP3欠損(scurfy)または野生型(FoxP3-GFP)ドナーマウスからLin-HSPCを単離し、CNS123p-mStrawberryまたはCNS123p-FoxP3-mStrawberryを形質導入した。形質導入されたLin-HSPCを致死的に照射されたWTCD45.1類遺伝子性レシピエントに移植した。12週間後、Tregの胸腺及び脾臓の再構成について、各移植片コホート由来のドナー細胞を評価した。各群のTreg集団は、CD4+mStrawberry+細胞(未修正scurfy Treg[Sf-Treg]、修正ScurfyTreg[cSf-Treg])またはCD4+GFP+細胞(野生型Treg[WT-Treg])として確認された。パネルB:Sf、cSfまたはWT BM Lin細胞で再構成されたマウスにおける全ドナー胸腺細胞の系統分布。(n=1アームあたりマウス3~5匹)。パネルC:胸腺のTregの再構成。FACSプロットは移植片レシピエントの胸腺におけるドナーCD45.2+CD4SP細胞を示す。ゲートは胸腺Sf-Treg、cSf-Treg及びWT-Tregを示す。下のパネルは各推定上のTreg集団内にTreg表面マーカーCD25、GITR及びCTLA4の発現を示す。表面マーカー発現について、Sf-Treg及びcSf-TregはmStrawberry発現の上50%を表す細胞によって定義される。ヒストグラムは3つのうちの代表的な実験を表す。パネルD:脾臓のTreg及びTconvのソーティング。脾臓のTreg集団(mStrawberry+またはGFP+ゲート)は、Treg抑制分析についてFACSでソートされた。Tconv集団(mStrawberry-またはGFP-ゲート)は、iTreg誘導分析についてソートされた。パネルE:in vitroでのTreg抑制分析。ビーズが結合したCD3/CD28抗体の存在下、ソートされたTreg(パネルDに示される)をレスポンダーT細胞(Tresp、蛍光性増殖染料で標識された類遺伝子性WTCD4+細胞)と1:1の比で共培養した。培養3日後、フローサイトメトリーで増殖染料の希釈によってTresp増殖を判定した。ヒストグラムは、3つの代表的な実験のうちの1つにおけるTresp増殖を表す。棒グラフは、各Treg培養条件(n=1アームあたり6~9、1アームあたり3つの異なるTreg源由来、各実験について内部の「Tregでない」コントロールに正規化されたデータ)に対する増殖指数を示す。パネルF:ソートされた脾臓のTconv細胞(パネルDに示される)を20ng/mLのIL-2及び20ng/mLのTGFβの存在下で4日間、CD3/CD28抗体で活性化し、iTregを誘発した。FACSプロットは、各群(n=マウス3匹/群)からmStrawberryまたはGFP発現を示す。パネルB、C、E及びFのデータは平均±SDとして提示される。各系統について、Kruskal Wallis検定によってパネルBのデータを分析した。パネルEのデータを、全群に対する総合比較についてKruskal Wallis検定によって分析し、対での比較についてMann-WhitneyU検定によって分析する。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001 NS、有意差なし。
図11CD】パネルA~F。系統特異的なFoxP3発現はscurfy(FoxP3が欠損した)HSCからTregの発生を回復する。パネルA:Tregの発生を評価するための移植片準備。FoxP3欠損(scurfy)または野生型(FoxP3-GFP)ドナーマウスからLin-HSPCを単離し、CNS123p-mStrawberryまたはCNS123p-FoxP3-mStrawberryを形質導入した。形質導入されたLin-HSPCを致死的に照射されたWTCD45.1類遺伝子性レシピエントに移植した。12週間後、Tregの胸腺及び脾臓の再構成について、各移植片コホート由来のドナー細胞を評価した。各群のTreg集団は、CD4+mStrawberry+細胞(未修正scurfy Treg[Sf-Treg]、修正ScurfyTreg[cSf-Treg])またはCD4+GFP+細胞(野生型Treg[WT-Treg])として確認された。パネルB:Sf、cSfまたはWT BM Lin細胞で再構成されたマウスにおける全ドナー胸腺細胞の系統分布。(n=1アームあたりマウス3~5匹)。パネルC:胸腺のTregの再構成。FACSプロットは移植片レシピエントの胸腺におけるドナーCD45.2+CD4SP細胞を示す。ゲートは胸腺Sf-Treg、cSf-Treg及びWT-Tregを示す。下のパネルは各推定上のTreg集団内にTreg表面マーカーCD25、GITR及びCTLA4の発現を示す。表面マーカー発現について、Sf-Treg及びcSf-TregはmStrawberry発現の上50%を表す細胞によって定義される。ヒストグラムは3つのうちの代表的な実験を表す。パネルD:脾臓のTreg及びTconvのソーティング。脾臓のTreg集団(mStrawberry+またはGFP+ゲート)は、Treg抑制分析についてFACSでソートされた。Tconv集団(mStrawberry-またはGFP-ゲート)は、iTreg誘導分析についてソートされた。パネルE:in vitroでのTreg抑制分析。ビーズが結合したCD3/CD28抗体の存在下、ソートされたTreg(パネルDに示される)をレスポンダーT細胞(Tresp、蛍光性増殖染料で標識された類遺伝子性WTCD4+細胞)と1:1の比で共培養した。培養3日後、フローサイトメトリーで増殖染料の希釈によってTresp増殖を判定した。ヒストグラムは、3つの代表的な実験のうちの1つにおけるTresp増殖を表す。棒グラフは、各Treg培養条件(n=1アームあたり6~9、1アームあたり3つの異なるTreg源由来、各実験について内部の「Tregでない」コントロールに正規化されたデータ)に対する増殖指数を示す。パネルF:ソートされた脾臓のTconv細胞(パネルDに示される)を20ng/mLのIL-2及び20ng/mLのTGFβの存在下で4日間、CD3/CD28抗体で活性化し、iTregを誘発した。FACSプロットは、各群(n=マウス3匹/群)からmStrawberryまたはGFP発現を示す。パネルB、C、E及びFのデータは平均±SDとして提示される。各系統について、Kruskal Wallis検定によってパネルBのデータを分析した。パネルEのデータを、全群に対する総合比較についてKruskal Wallis検定によって分析し、対での比較についてMann-WhitneyU検定によって分析する。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001 NS、有意差なし。
図11EF】パネルA~F。系統特異的なFoxP3発現はscurfy(FoxP3が欠損した)HSCからTregの発生を回復する。パネルA:Tregの発生を評価するための移植片準備。FoxP3欠損(scurfy)または野生型(FoxP3-GFP)ドナーマウスからLin-HSPCを単離し、CNS123p-mStrawberryまたはCNS123p-FoxP3-mStrawberryを形質導入した。形質導入されたLin-HSPCを致死的に照射されたWTCD45.1類遺伝子性レシピエントに移植した。12週間後、Tregの胸腺及び脾臓の再構成について、各移植片コホート由来のドナー細胞を評価した。各群のTreg集団は、CD4+mStrawberry+細胞(未修正scurfy Treg[Sf-Treg]、修正ScurfyTreg[cSf-Treg])またはCD4+GFP+細胞(野生型Treg[WT-Treg])として確認された。パネルB:Sf、cSfまたはWT BM Lin細胞で再構成されたマウスにおける全ドナー胸腺細胞の系統分布。(n=1アームあたりマウス3~5匹)。パネルC:胸腺のTregの再構成。FACSプロットは移植片レシピエントの胸腺におけるドナーCD45.2+CD4SP細胞を示す。ゲートは胸腺Sf-Treg、cSf-Treg及びWT-Tregを示す。下のパネルは各推定上のTreg集団内にTreg表面マーカーCD25、GITR及びCTLA4の発現を示す。表面マーカー発現について、Sf-Treg及びcSf-TregはmStrawberry発現の上50%を表す細胞によって定義される。ヒストグラムは3つのうちの代表的な実験を表す。パネルD:脾臓のTreg及びTconvのソーティング。脾臓のTreg集団(mStrawberry+またはGFP+ゲート)は、Treg抑制分析についてFACSでソートされた。Tconv集団(mStrawberry-またはGFP-ゲート)は、iTreg誘導分析についてソートされた。パネルE:in vitroでのTreg抑制分析。ビーズが結合したCD3/CD28抗体の存在下、ソートされたTreg(パネルDに示される)をレスポンダーT細胞(Tresp、蛍光性増殖染料で標識された類遺伝子性WTCD4+細胞)と1:1の比で共培養した。培養3日後、フローサイトメトリーで増殖染料の希釈によってTresp増殖を判定した。ヒストグラムは、3つの代表的な実験のうちの1つにおけるTresp増殖を表す。棒グラフは、各Treg培養条件(n=1アームあたり6~9、1アームあたり3つの異なるTreg源由来、各実験について内部の「Tregでない」コントロールに正規化されたデータ)に対する増殖指数を示す。パネルF:ソートされた脾臓のTconv細胞(パネルDに示される)を20ng/mLのIL-2及び20ng/mLのTGFβの存在下で4日間、CD3/CD28抗体で活性化し、iTregを誘発した。FACSプロットは、各群(n=マウス3匹/群)からmStrawberryまたはGFP発現を示す。パネルB、C、E及びFのデータは平均±SDとして提示される。各系統について、Kruskal Wallis検定によってパネルBのデータを分析した。パネルEのデータを、全群に対する総合比較についてKruskal Wallis検定によって分析し、対での比較についてMann-WhitneyU検定によって分析する。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001 NS、有意差なし。
図12AB】パネルA~E。系統特異的なFoxP3 cDNAベクターは、scurfyマウスを救済することができる機能的なTregを生成する。パネルA:実験準備。CNS123p-mStrawberryまたはCNS123p-FoxP3-mStrawberryをscurfyまたはWT HSPC(CD45.2)に形質導入し、致死的に照射された類遺伝子性(CD45.1)レシピエントに移植した。移植後8週目に移植レシピエントの脾臓からドナーCD45.2+CD4+細胞(推定上のTregを含む)を精製し、scurfy新生児の腹腔内に注入した。CD4 T細胞の移入後21日目にscurfy新生児の救済を評価した。パネルB:21日目の救済したscurfyマウスの写真。白矢印はSf-Tregではなく、cSf-Treg及びWT-Tregのscurfyマウスレシピエントにおける耳皮膚炎の修正を強調する。パネルC:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールに対する脾臓対体重の比(n=3つの独立実験、マウス3~6匹/アーム)。パネルD:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールの脾臓における活性化(CD44+CD62L-)CD4 T細胞の百分率。パネルE:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールにおける血清サイトカインレベル。パネルC~Eのデータは平均±SDとして提示される。パネルC、D及びEのデータを、全群に対する総合比較についてKruskal Wallis検定によって分析し、対での比較についてMann-WhitneyU検定が行われた。p<0.05、**p<0.01、NS、有意差なし。
図12C-E】パネルA~E。系統特異的なFoxP3 cDNAベクターは、scurfyマウスを救済することができる機能的なTregを生成する。パネルA:実験準備。CNS123p-mStrawberryまたはCNS123p-FoxP3-mStrawberryをscurfyまたはWT HSPC(CD45.2)に形質導入し、致死的に照射された類遺伝子性(CD45.1)レシピエントに移植した。移植後8週目に移植レシピエントの脾臓からドナーCD45.2+CD4+細胞(推定上のTregを含む)を精製し、scurfy新生児の腹腔内に注入した。CD4 T細胞の移入後21日目にscurfy新生児の救済を評価した。パネルB:21日目の救済したscurfyマウスの写真。白矢印はSf-Tregではなく、cSf-Treg及びWT-Tregのscurfyマウスレシピエントにおける耳皮膚炎の修正を強調する。パネルC:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールに対する脾臓対体重の比(n=3つの独立実験、マウス3~6匹/アーム)。パネルD:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールの脾臓における活性化(CD44+CD62L-)CD4 T細胞の百分率。パネルE:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールにおける血清サイトカインレベル。パネルC~Eのデータは平均±SDとして提示される。パネルC、D及びEのデータを、全群に対する総合比較についてKruskal Wallis検定によって分析し、対での比較についてMann-WhitneyU検定が行われた。p<0.05、**p<0.01、NS、有意差なし。
図13A-D】パネルA~F。FoxP3レポーターベクターがヒト化マウスモデルにおけるTreg系統特異的な発現を示す。パネルA:ヒト化マウスモデルのための実験準備。CNS123p-mStrawberryをCD34+HSPC(正常なヒト臍帯血由来)に形質導入し、新生児NSGマウス(パネルB、C、E、F)またはNSG-SGM3マウス(パネルD)に移植した。移植後12~16週目にmStrawberry発現について、移植されたhCD45+細胞を分析した。パネルB:各造血系統におけるmStrawberryレポーター発現。分析された系統は、骨髄CD34+幹細胞及び前駆細胞、CD19+B細胞、CD33+骨髄性細胞、ならびにCD3+T細胞、胸腺CD4-CD8-ダブルネガティブ(DN)、CD4+CD8+ダブルポジティブ(DP)、CD4-CD8+シングルポジティブ(CD8 SP)、CD4+CD8-CD25-(CD4 Tconv細胞)及びCD4+CD8-CD25+(Treg)及び脾臓CD8 T細胞、CD4+CD25-Tconv細胞及びCD4+CD25+Treg細胞を含む。各重なったヒストグラムは、個々のマウス(n=2つの異なる臍帯血CD34+ドナーを用いてヒト化されたマウス10~14匹)における系統定義のmStrawberry発現を表す。パネルC:パネルBに示される各系統におけるmStrawberry+細胞の百分率。パネルD:ヒト化マウスにおけるFoxP3及びmStrawberryの共発現。移植NSG-SGM3マウスの2つのプールされた脾臓からヒトCD4+細胞を濃縮した。CD4+細胞をmStrawberry+及びmStrawberry-集団にFACSでソートした後、FoxP3発現のために細胞内染色した。FoxP3細胞内染色プロトコル時、mStrawberry蛍光をクエンチするため、FoxP3分析の前にFACSソーティングが行われた。左側のパネルはmStrawberry発現によるヒトCD4+細胞のソーティングを示し、右側のパネルはソートされた集団内のFoxP3発現を示す。結果は2つの独立実験の代表である。パネルE:NSG競合的再増殖分析のための実験準備。「試験」CB CD34+細胞にCNS123p-mStrawberryまたはCNS123p-FoxP3-mStrawberryを形質導入したが、「競合」CD34+細胞にUBC-mCitrineベクターを形質導入した。1:1の比で試験及び競合細胞をNSG新生児に共移植し、各群(n=1群あたりマウス6匹、2つの異なるCBCD34+ドナーからヒト化した)に対する12週目にBMに移植された競合(mCitrine+)CD34+細胞の百分率を求めた。パネルF:ヒト化マウス由来のT細胞集団のCNS2メチル化分析。図は内因性FOXP3遺伝子内のCNS2及びウイルス性ゲノム内のCNS2の位置を表す。赤色矢印は内因性またはウイルス性CNS2領域の増幅に対して差動的なプライマー結合部位を示す。CNS2の拡張領域は、亜硫酸水素塩シークエンシングによるメチル化状態について分析された9つのCpG部位を表す。FACSプロットは、ヒト化マウス3~5匹のプールされた脾臓から単離されたCD4豊富細胞におけるTreg(CD4+CD25+)及びTconv(CD4+CD25-)を定義するために用いられるソーティングゲートを示す。ヒートマップは、内因性及びウイルス性CNS2内の9つのCpG部位のそれぞれで検出されたメチル化された読み出しの百分率を表す。結果は、2つの異なるCB CD34+ドナー(図18)からヒト化されたプールされたNSGコホートを用いる2つの独立実験の代表である。パネルEのデータは平均±SDを表す。パネルEのデータをMann-WhitneyU検定によって分析し、NSは有意差なしである。
図13EF】パネルA~F。FoxP3レポーターベクターがヒト化マウスモデルにおけるTreg系統特異的な発現を示す。パネルA:ヒト化マウスモデルのための実験準備。CNS123p-mStrawberryをCD34+HSPC(正常なヒト臍帯血由来)に形質導入し、新生児NSGマウス(パネルB、C、E、F)またはNSG-SGM3マウス(パネルD)に移植した。移植後12~16週目にmStrawberry発現について、移植されたhCD45+細胞を分析した。パネルB:各造血系統におけるmStrawberryレポーター発現。分析された系統は、骨髄CD34+幹細胞及び前駆細胞、CD19+B細胞、CD33+骨髄性細胞、ならびにCD3+T細胞、胸腺CD4-CD8-ダブルネガティブ(DN)、CD4+CD8+ダブルポジティブ(DP)、CD4-CD8+シングルポジティブ(CD8 SP)、CD4+CD8-CD25-(CD4 Tconv細胞)及びCD4+CD8-CD25+(Treg)及び脾臓CD8 T細胞、CD4+CD25-Tconv細胞及びCD4+CD25+Treg細胞を含む。各重なったヒストグラムは、個々のマウス(n=2つの異なる臍帯血CD34+ドナーを用いてヒト化されたマウス10~14匹)における系統定義のmStrawberry発現を表す。パネルC:パネルBに示される各系統におけるmStrawberry+細胞の百分率。パネルD:ヒト化マウスにおけるFoxP3及びmStrawberryの共発現。移植NSG-SGM3マウスの2つのプールされた脾臓からヒトCD4+細胞を濃縮した。CD4+細胞をmStrawberry+及びmStrawberry-集団にFACSでソートした後、FoxP3発現のために細胞内染色した。FoxP3細胞内染色プロトコル時、mStrawberry蛍光をクエンチするため、FoxP3分析の前にFACSソーティングが行われた。左側のパネルはmStrawberry発現によるヒトCD4+細胞のソーティングを示し、右側のパネルはソートされた集団内のFoxP3発現を示す。結果は2つの独立実験の代表である。パネルE:NSG競合的再増殖分析のための実験準備。「試験」CB CD34+細胞にCNS123p-mStrawberryまたはCNS123p-FoxP3-mStrawberryを形質導入したが、「競合」CD34+細胞にUBC-mCitrineベクターを形質導入した。1:1の比で試験及び競合細胞をNSG新生児に共移植し、各群(n=1群あたりマウス6匹、2つの異なるCBCD34+ドナーからヒト化した)に対する12週目にBMに移植された競合(mCitrine+)CD34+細胞の百分率を求めた。パネルF:ヒト化マウス由来のT細胞集団のCNS2メチル化分析。図は内因性FOXP3遺伝子内のCNS2及びウイルス性ゲノム内のCNS2の位置を表す。赤色矢印は内因性またはウイルス性CNS2領域の増幅に対して差動的なプライマー結合部位を示す。CNS2の拡張領域は、亜硫酸水素塩シークエンシングによるメチル化状態について分析された9つのCpG部位を表す。FACSプロットは、ヒト化マウス3~5匹のプールされた脾臓から単離されたCD4豊富細胞におけるTreg(CD4+CD25+)及びTconv(CD4+CD25-)を定義するために用いられるソーティングゲートを示す。ヒートマップは、内因性及びウイルス性CNS2内の9つのCpG部位のそれぞれで検出されたメチル化された読み出しの百分率を表す。結果は、2つの異なるCB CD34+ドナー(図18)からヒト化されたプールされたNSGコホートを用いる2つの独立実験の代表である。パネルEのデータは平均±SDを表す。パネルEのデータをMann-WhitneyU検定によって分析し、NSは有意差なしである。
図14】(図10に対応する):マウス造血系統のフローサイトメトリーの定義脾臓(Gr1+、B220+、CD8+、CD4+FoxP3-CD4+FoxP3+)、骨髄(cKit+)及び胸腺(DN、DP、CD8 SP、CD4+FoxP3-CD4+FoxP3+)における定義された各集団について、ゲーティングが示される。
図15】パネルA及びB。scurfy新生児のHSC移植片。パネルA:Lin細胞を用いるHSC移植後の生存曲線。scurfyまたはWT新生児(d0~d1)を500Radで照射し、その後、LV修飾Lin細胞の肝内注入を行った。各子は、ドナーマウス1匹の大腿骨及び脛骨から精製された総Lin細胞投与量を得た(1E6~6E6のLin細胞/マウスの範囲)。WT Lin細胞及び未修正scurfy Lin細胞にはCNS123p-mStrawberryレポーターLVを形質導入した一方、修正scurfy Lin細胞にはCNS123p-FoxP3-mStrawberryLVを形質導入した。結果は、1治療群あたりマウス合計6~16匹とともに、移植された同腹仔9匹(scurfy及びWT同腹仔を含む)からプールされたデータを表す。死亡マウスは、自発的に死んだか、または治療群が見えないと獣医が判断した瀕死状態であるため、安楽死させたマウスである。パネルB:Lin細胞を得るscurfy新生児の21日の末梢血移植。百分率は、CD45.2+ドナー細胞を総CD45+(CD45.2及びCD45.1/CD45.2)細胞の百分率として表す。赤で記した印は、研究の最後まで(114日)生存しているマウスにおける移植を表す。
図16A】パネルA~D。(図12に対応する):パネルA:養子移入のためのCD4精製細胞産物の特徴「アーム」はレシピエント新生児(scurfy[Sf]または野生型[WT]+注入された細胞産物(PBS=偽PBS注入、Sf-CD4=未修正scurfyCD4、cSf-CD4=修正ScurfyCD4、WT-CD4=野生型CD4)の遺伝子型を定義する。パネルB:養子移入の前の磁性ビーズ精製CD4+細胞の代表的なFACS分析。プロットは、汚染するレシピエントCD45.1+細胞が無い場合、高純度のCD4+細胞を示す。パネルC:失敗したscurfy救済(cSf-CD4 VCN<2)及び成功したscurfy救済(cSf-CD4>3)における活性化された脾臓のCD4細胞の比較。パネルD:レシピエントマウスにおけるCD4活性化(CD44+CD62L-)を抑制しないcSf-CD4産物(VCN<2)の特徴。
図16B-D】パネルA~D。(図12に対応する):パネルA:養子移入のためのCD4精製細胞産物の特徴「アーム」はレシピエント新生児(scurfy[Sf]または野生型[WT]+注入された細胞産物(PBS=偽PBS注入、Sf-CD4=未修正scurfyCD4、cSf-CD4=修正ScurfyCD4、WT-CD4=野生型CD4)の遺伝子型を定義する。パネルB:養子移入の前の磁性ビーズ精製CD4+細胞の代表的なFACS分析。プロットは、汚染するレシピエントCD45.1+細胞が無い場合、高純度のCD4+細胞を示す。パネルC:失敗したscurfy救済(cSf-CD4 VCN<2)及び成功したscurfy救済(cSf-CD4>3)における活性化された脾臓のCD4細胞の比較。パネルD:レシピエントマウスにおけるCD4活性化(CD44+CD62L-)を抑制しないcSf-CD4産物(VCN<2)の特徴。
図17】パネルA及びB。図13に対応する。ヒト化NSGマウスのヒト造血系統のフローサイトメトリーの特徴。パネルA:脾臓(CD8+、CD4+CD25-D4+CD25+)、骨髄(CD33+、CD19+、CD3+、CD34+)及び胸腺(DN、DP、CD8 SP、CD4+CD25-CD4+CD25+)における定義された各集団について、ゲーティングが示される。パネルB:NSG骨髄における移植されたヒト細胞の系統分布。百分率は、各系統の相対寄与を総hCD45+細胞の百分率として表す。n=2つの独立実験からプールされたマウス13匹。
図18A】パネルA~C。(図13に対応する)。内因性及びウイルス性CNS2のメチル化分析。パネルA:FoxP3 CNS2内の9つのCpG部位でのメチル化された読み出しの百分率が、FoxP3 LV修飾CD34+細胞を用いてヒト化されたNSGマウスからソートされたTreg及びTconv細胞について示される。値は、雌の臍帯血CD34+細胞を用いた2つの独立実験について示される。上の行は、内因性CNS2に関するメチル化された読み出しの絶対数を示す。真ん中の行は、2X染色体のベースライン50%のメチル化を占める内因性CNS2に関する正規化された読み出しを示す。下の行は、ウイルス性CNS2におけるメチル化された読み出しの百分率を示す。パネルB:FoxP3 CNS2メチル化分析のための分析コントロール。FoxP3 cDNA LVゲノムをコードするプラスミドDNAがポジティブコントロールとしてCpGメチルトランスフェラーゼで処理された一方、未処理のcDNA LVプラスミドはネガティブコントロールとして使用された。ウイルス性CNS2部位のためにパイロシークエンシングプライマーを用いたCpGメチル化について、試料を分析した。コントロールはパイロシークエンシングメチル化分析の能力を実証し、ウイルス性CNS2プライマーを有する各CpG部位で全範囲のメチル化を検出する。パネルC:FoxP3 cDNAベクターが形質導入されたJurkat及びMT2細胞における内因性及びウイルス性FoxP3 CNS2のメチル化分析。
図18BC】パネルA~C。(図13に対応する)。内因性及びウイルス性CNS2のメチル化分析。パネルA:FoxP3 CNS2内の9つのCpG部位でのメチル化された読み出しの百分率が、FoxP3 LV修飾CD34+細胞を用いてヒト化されたNSGマウスからソートされたTreg及びTconv細胞について示される。値は、雌の臍帯血CD34+細胞を用いた2つの独立実験について示される。上の行は、内因性CNS2に関するメチル化された読み出しの絶対数を示す。真ん中の行は、2X染色体のベースライン50%のメチル化を占める内因性CNS2に関する正規化された読み出しを示す。下の行は、ウイルス性CNS2におけるメチル化された読み出しの百分率を示す。パネルB:FoxP3 CNS2メチル化分析のための分析コントロール。FoxP3 cDNA LVゲノムをコードするプラスミドDNAがポジティブコントロールとしてCpGメチルトランスフェラーゼで処理された一方、未処理のcDNA LVプラスミドはネガティブコントロールとして使用された。ウイルス性CNS2部位のためにパイロシークエンシングプライマーを用いたCpGメチル化について、試料を分析した。コントロールはパイロシークエンシングメチル化分析の能力を実証し、ウイルス性CNS2プライマーを有する各CpG部位で全範囲のメチル化を検出する。パネルC:FoxP3 cDNAベクターが形質導入されたJurkat及びMT2細胞における内因性及びウイルス性FoxP3 CNS2のメチル化分析。
【発明を実施するための形態】
【0052】
各種実施形態では、FoxP3の生理的遺伝子発現を調節するために内因性遺伝子エレメントを用いてFoxP3を発現するレンチウイルスベクター及びこのようなベクターの使用を提供する。特に、各種実施形態では、FoxP3(例えば、IPEX疾患)の遺伝子欠損を治療するか、または他の自己免疫及び自己炎症性症状(例えば、炎症性腸疾患、1型糖尿病、SLE、JRA、多発性硬化症など)を治療するコドン最適化されたFoxP3遺伝子またはcDNAを発現するために、ヒトFoxP3遺伝子自体由来の内因性転写制御エレメントを用いるレンチウイルスベクターを提供する。これらのベクターを使用して、これらの配列を自己造血幹細胞に導入し、適切な成熟リンパ球におけるFoxP3遺伝子産物の正常な生理的発現パターンを再現することができる。
【0053】
この方法は、非特異的なエンハンサー/プロモーターを使用して、複数の血液細胞型における異所性発現に至るかつ不要な効果につながるであろうこれらの遺伝子の構成的発現を引き起こす遺伝子導入ベクターとは対照的である。内因性転写制御エレメントを使用すると、遺伝子の精密で、正確で、的確な発現に至り、発現の正常なパターンが模倣される。例えば、後述するように、これにより有意な治療効果と種々の臨床状況が生まれると考えられている。
【0054】
スカルフィンとしても知られるFOXP3(フォークヘッドボックスP3)は、免疫系応答に関与するタンパク質である(Brunkow et al.(2001)Nat.Genet.27(1):68-73)。FOXタンパク質ファミリーのメンバーであるFOXP3は、制御性T細胞の発生及び機能における調節経路のマスターレギュレーターとして機能するように見える(例えば、Hori et al.(2003)Science,299(5609):1057-1061;Fontenot et al.(2003)Nat.Immunol.,4(4):330-336;Fontenot et al.(2005)Immunity,22(3):329-341を参照)。一般に、制御性T細胞は免疫応答を下降させる。自己免疫疾患において、制御性T細胞の欠損は他の自己免疫細胞が体自身の組織を攻撃することを許容し得る(例えば、Josefowicz et al.(2012)Ann.Rev.Immunol.30:531-564;Zhang et al.(2007)J.Cell.Physiol.211(3):590-597を参照)。
【0055】
制御性T細胞(Treg)は免疫応答を調節し、免疫寛容を維持する際に中心的な役割を果たす。Treg養子移入治療は、種々の免疫障害に対する臨床治療を提供することが期待されている(例えば、Sakaguchi et al.(2006)Immunol.Rev.212:8-27;Sakaguchi et al.(2008)Cell,133(5):775-787;Liston and Gray(2014)Nat.Rev.Immunol.14(3):154-165を参照)。Tregは主に2つの異なる経路で発生する。1つ目は、高親和性を有する胸腺抗原提示による胸腺におけるTreg前駆細胞からの直接発生である。このTregは内在性Treg(nTreg)または胸腺Treg(tTreg)と呼ばれる。2つ目は、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-βでの抗原提示による末梢でのナイーブCD4 T細胞からの分化である。このTregはin vitroでの誘導性Treg(iTreg)または末梢での誘導性Treg(pTreg)と呼ばれる(例えば、Chen et al.(2003)J.Exp.Med.198(12):1875-1886;Josefowicz and Rudensky(2009)Immunity,30(5):616-625を参照)。両Tregは類似の抑制活性を有し、Tregに対するマスター転写因子であるフォークヘッドボックスP3(FoxP3)を顕著に発現する。Tregサイン遺伝子を発現し、エフェクターT細胞(Teff)遺伝子を抑制することによるTreg機能の分化及び維持には、FoxP3発現が必要である(例えば、Bennett et al.(2001)Nat.Genet.27(1):20-21;Hori et al.(2003)Science,299(5609):1057-1061;Fontenot et al.(2003)Nat.Immunol.4(4):330-336;Bettelli et al.(2005)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,102(14):5138-5143;Ichiyama et al.(2008)J.Biol.Chem.283(25):17003-17008を参照)。
【0056】
reg細胞の機能の低下はヒト及びマウスにおける種々の自己免疫障害に関連する(Paust and Cantor(2005)Immunol.Rev.204:195-207)。FoxP3発現のレベルの低下はTreg機能の障害と相関し、重症筋無力症及び多発性硬化症などの自己免疫疾患において見られた(例えば、Huan et al.(2005)J.Neurosci.Res.81:45-52;Balandina et al.(2005)Blood,105:735-741)。Treg機能の最も顕著な欠損がヒト自己免疫疾患IPEX(免疫調節不全、多腺性内分泌障害、腸疾患、X連鎖性)及びscurfyマウスにおける相当する疾患において観察される(例えば、Levy-Lahad and Wildin(2001)J.Pediatr.138:577-580;Godfrey et al.(1991)Am.J. Pathol.138:1379-1387)。罹患している男性は、CD4T細胞に媒介された致死的な多臓器リンパ増殖性疾患を発症する(例えば、Clark et al.(1999)J.Immunol.162:2546-2554;Blair et al.(1994)J.Immunol.153:3764-3774を参照)。その機能に影響を及ぼすFoxP3遺伝子における突然変異が、IPEX及びscurfy疾患の分子的機序であることが分かった。
【0057】
前述したことを考慮すると、FoxP3発現が欠損した哺乳類において制御性T細胞(Treg)機能を回復するために、本明細書に記載されるFoxP3を発現するレンチウイルスベクターを効果的に使用することができると考えられる。同様に、対象における自己免疫障害を治療するために、本明細書に記載されるFoxP3を発現するレンチウイルスベクターを効果的に使用することができると考えられる.特定の実施形態では、自己免疫障害はFoxP3発現及び/またはFoxP3突然変異の減少を特徴とする自己免疫障害である。例示的な自己免疫障害は重症筋無力症、多発性硬化症、IPEX(免疫調節不全、多腺性内分泌障害、腸疾患、X連鎖性)、自己免疫関節炎などを含むが、これらに限定されない。
【0058】
一般に、これら方法は、自己造血幹細胞にレンチウイルスベクターの配列を導入するために、内因性FoxP3プロモーター(及びある特定の実施形態では、FoxP3エンハンサー(例えば、CNS1及び/またはCNS2及び/またはCNS3))の制御下でFoxP3遺伝子またはcDNAを含む、本明細書に記載されるレンチウイルスベクターの使用に関連する。形質導入された細胞は、その細胞が適切な成熟リンパ球におけるFoxP3遺伝子産物の正常な生理的発現パターンを再現する対象に再導入され、これにより疾患を寛解させるかつ/または治癒させる。
【0059】
各種実施形態では、組換えレンチウイルスベクター(LV)のベクターが提供され、当該ベクターは内因性FoxP3プロモーターに動作可能に連結したヒトFoxP3タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸コンストラクトを含む発現カセットを含む。非限定的でないが、特定の例示的な実施形態では、前記LVがTAT非依存性及び自己不活性化(SIN)レンチウイルスベクターである。特定の実施形態では、ヒトFoxP3タンパク質をコードするヌクレオチド配列はFoxP3 cDNAを含む。特定の実施形態では、ヒトFoxP3タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、1つ以上のFoxP3エンハンサーエレメント(例えば、FoxP3-CNS1及び/またはFoxP3-CNS2及び/またはFoxP3-CNS3)に動作可能に連結された。非限定的でないが、例示的なベクターを図6及び7に示す。一実施形態では、ベクターは表1に示される配列(配列番号1)を含む。
【0060】
本明細書に記載されるベクターを含むパッケージング細胞及び本明細書に記載されるベクターを用いて産生されたウイルス粒子も提供される。
【0061】
TAT非依存性及び自己不活性化レンチウイルスベクター。
安全性を更に向上するために、各種実施形態では、本明細書に記載される、内因性プロモーターの制御下でヒトFoxP3タンパク質をコードする核酸を含むLVがTAT依存性自己不活性化(SIN)配位を含む。したがって、各種実施形態では、本明細書に記載されるLVにおいて、野生型LTRに対してプロモーター活性を低減したLTR領域を使用することが望ましい。バイオセイフティーの特徴を提供する効果的に「自己不活性化(SIN)」するコンストラクトを提供することができる。SINベクターは、形質導入された細胞における全長ベクターRNAの産生がかなり低減するか、または一斉に無効にするものである。この特徴により複製可能なリコンビナント(RCR)が吐き出されるリスクを最小化する。さらに、ベクター組込み部位に隣接する細胞のコード配列が異常に発現するリスクを減らす。
【0062】
SINデザインにより、LTRと導入遺伝子の発現を引き起こしているプロモーターとの干渉の可能性が減る。SIN LVは内部プロモーターの全活性を許容することが多い。
【0063】
SINデザインによりLVのバイオセイフティーが向上する。HIV LTRの大部分はU3配列からなる。U3領域は感染細胞においてかつ細胞活性化に対応して、HIVゲノムの基本及び誘導性発現を調節するエンハンサー及びプロモーターエレメントを含む。これらのプロモーターエレメントのいくつかはウイルス複製に必要不可欠である。ウイルス単離菌のうち、エンハンサーエレメントのいくつかは高度に保存され、ウイルス性病原体において重要な病原性因子として関係づけられてきた。エンハンサーエレメントが作用し、ウイルスの異なる細胞の標的における複製率に影響を与え得る。
【0064】
ウイルス転写が5’LTRのU3領域の3’末端で開始する場合、これらの配列はウイルスmRNAの一部ではなく、3’LTRからのそのコピーは組み込まれたプロウイルスの両LTRの発生用テンプレートとして働く。レトロウイルスベクターコンストラクトにおいてU3領域の3’コピーが変化する場合、プロデューサー細胞においてインタクトな5’LTRからベクターRNAが依然として産生されるが、標的細胞において再生され得ない。このようなベクターの形質導入により後代ウイルスにおいて両LTRが不活性化する。したがって、レトロウイルスは自己不活性化(SIN)し、これらのベクターはSIN導入ベクターとして知られる。
【0065】
特定の実施形態では、ベクターDNA、すなわち、ベクターRNAを産生するために用いられるDNAの3’LTRのU3領域への欠損の導入により自己不活性化が達成される。RT時、この欠損はプロウイルスDNAの5’LTRへ導入される。通常、U3配列を十分に排除すことにより、LTRの転写活性を一斉にかなり減少させるか、または無効にすることによって、形質導入された細胞における全長ベクターRNAの産生をkなり減少させるか、または無効にすることが望まれる。しかし、ウイルスRNAのポリアデニル化、U3、R及びU5に通常、広がる機能に関与するLTRのこれらのエレメントを保持することが一般的に望ましい。したがって、特定の実施形態では、ポリアデニル化決定要因を温存しながら、できるだけLTRから転写的に重要なモチーフの多くを排除することが望ましい。
【0066】
SINデザインがZufferey et al.(1998)J Virol.72(12):9873-9880及び米国特許第5,994,136号に詳細に記述される。しかし、それらに記述されるように、3’LTRでの欠損の長さには制限がある。最初にU3領域の5’末端はベクター導入に必須の他の機能を果たすため、組込み(端末ジヌクレオチド+att配列)に必要である。したがって、端末ジヌクレオチド及びatt配列は、欠損され得るU3配列の5’境界を表してもよい。加えて、いくらか緩やかに定義された領域は、R領域における下流のポリアデニル化部位の活性に影響を与え得る。3’LTRからのU3配列の過剰な欠損により、プロデューサー細胞におけるベクターのタイター及び標的細胞における導入遺伝子発現の両方について有害な結果とともにベクター転写物のポリアデニル化が低減され得る。
【0067】
追加のSINデザインは米国公開公報第2003/0039636号に記述される。そこで記述されるように、特定の実施形態では、LTRから除去されたレンチウイルス配列が非レンチウイルスレトロウイルス由来の相当する配列と置き換えられ、ハイブリッドLTRを形成する。特に、LTR内のレンチウイルスR領域は、非レンチウイルスレトロウイルス由来のR領域と全体的にまたは部分的に置き換えることができる。特定の実施形態では、レンチウイルスTAR配列、ウイルスの複製を強化するためにTATタンパク質と相互作用する配列がR領域から、好ましくは全体的に除去される。次に、TAR配列は非レンチウイルスレトロウイルス由来のR領域の相当する部分と置き換えられ、ハイブリッドR領域を形成する。LTRは更に修飾され、レンチウイルスU3及びU5領域の全部または一部を除去するか、及び/または非レンチウイルス配列と置き換えることができる。
【0068】
したがって、特定の実施形態では、SIN構成によりそのTAR配列の全部または一部が欠如するハイブリッドレンチウイルスR領域を含むレトロウイルスLTRが提供され、その結果、TATにより任意に可能な活性化が排除され、TAR配列またはそのタンパク質は非レンチウイルスレトロウイルス由来のR領域の相当する部分と置き換えられ、ハイブリッドR領域を形成する。具体的な実施形態では、レトロウイルスLTRはハイブリッドR領域を含み、ハイブリッドR領域はHIV TAR配列を欠いているR領域の一部(例えば、US2003/0039636の配列番号10に示されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる部分)及びHIV R領域からTAR配列が欠けていることに相当するMoMSV R領域の一部(例えば、2003/0039636の配列番号9に示されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる部分)を含む。他の具体的な実施形態では、ハイブリッドR領域全体が2003/0039636の配列番号11に示されるヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。
【0069】
R領域が誘導され得る好適なレンチウイルスは例えば、HIV(HIV-1及びHIV-2)、EIV、SIV及びFIVを含む。非レンチウイルス配列が誘導され得る好適なレトロウイルスは、例えば、MoMSV、MoMLV、Friend、MSCV、RSV及びスプーマウイルスを含む。例示的な一実施形態では、レンチウイルスはHIVであり、非レンチウイルスレトロウイルスはMoMSVである。
【0070】
US2003/0039636に記載された別の実施形態では、ハイブリッドR領域を含むLTRは左側の(5’)LTRであり、ハイブリッドR領域の上流にプロモーター配列を更に含む。好適なプロモーターは起点が非レンチウイルスであり、例えば、非レンチウイルスレトロウイルス(例えば、MoMSV U3領域)由来のU3領域を含む。特別の一実施形態では、U3領域はUS2003/0039636の配列番号12に示されるヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、左側の(5’)LTRはハイブリッドR領域の下流にレンチウイルスU5領域を更に含む。一実施形態では、U5領域はゲノムの組込みに必要なHIVatt部位を含むHIV U5領域である。別の実施形態では、U5領域はUS2003/0039636の配列番号13に示されるヌクレオチド配列を含む。さらに別の実施形態では、左側の(5’)ハイブリッドLTR全体はUS2003/0039636の配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0071】
他の例示的な実施形態では、ハイブリッドR領域を含むLTRは右側の(3’)LTRであり、ハイブリッドR領域の上流に修飾された(例えば、切断された)レンチウイルスのU3領域を更に含む。修飾されたレンチウイルスのU3領域はatt配列を含み得るが、染色体の組込みの後での複製の第1ラウンドをウイルスの転写が越えることができないという点で、プロモーター活性を有する任意の配列を欠き、ベクターをSINにさせ得る。特別の実施形態では、ハイブリッドR領域の上流の修飾されたレンチウイルスのU3領域は、レンチウイルスのU3att部位までかつそれを含むレンチウイルス(例えば、HIV)のU3領域の3’末端からなる。一実施形態では、U3領域はUS2003/0039636の配列番号15に示されるヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、右側の(3’)LTRはハイブリッドR領域の下流にポリアデニル化配列を更に含む。別の実施形態では、ポリアデニル化配列はUS2003/0039636の配列番号16に示されるヌクレオチド配列を含む。さらに別の実施形態では、右側の(5’)LTR全体はUS2003/0039636の配列番号2または17に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0072】
したがって、HIVのLVの場合、このようなベクターがベクタータイターの著しい減少なしでLTR TATAボックス(例えば、-418から-18の欠損)の除去を含む顕著なU3欠損を許容することが発見された。これらの欠損によりLTRの転写性能力が約90%以下に減少したという点で、LTR領域を実質的に転写的に不活性化する。
【0073】
導入ベクターコンストラクトにおいて上流のLTRの一部が構成的に活性なプロモーター配列と置き換えられる場合、Tatのトランス作用性機能が不要になることも証明された(例えば、Dull et al.(1998)J Virol.72(11):8463-8471を参照)。さらに、我々はトランスでのrevの発現が、gag及びpolのみを含有するパッケージングコンストラクトからの高タイターのHIV由来ベクター系統の産生が許容されることを示す。このデザインは相補性を条件として、パッケージング機能の発現をプロデューサー細胞においてのみ利用可能にする。得られる遺伝子デリバリーシステムはHIV-1の9つの遺伝子のうちの3つのみを保存し、形質導入粒子の産生のため、4つの別々の転写性ユニットに依存する。
【0074】
実施例1で例示される一実施形態では、内因性FoxP3プロモーターに動作可能に連結されたFoxP3 cDNA及び任意にFoxP3制御性制御エレメントを発現するカセットは、pCCL LV骨格に存在し、その骨格は5’LTRにおいて置換されるCMVエンハンサー/プロモーターを有するSINベクターである。
【0075】
CMVプロモーターが通常、高レベルの非組織特異的な発現を提供すると認識される。類似の構成型活性を有する他のプロモーターはRSVプロモーター及びSV40プロモーターを含むが、これらに限定されない。β-アクチンプロモーター、ユビキチンCプロモーター、延長因子1αプロモーター-、チューブリンプロモーターなど哺乳類のプロモーターも使用され得る。
【0076】
前述のSIN構成は例示的であり、非限定的である。多くのSIN構成は当業者に既知である。上記のように、特定の実施形態では、LTR転写は約95%~約99%だけ減少する。特定の実施形態では、LTRは、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%転写的に不活性化し得る。
【0077】
パッケージングシグナル
各種実施形態では、本明細書に記載されるベクターはパッケージングシグナルを含む。「パッケージングシグナル」、「パッケージング配列」または「プサイ配列」は、配列がパッケージングシグナルをレトロウイルス粒子に含む核酸のパッケージングに向けるのに十分な任意の核酸配列である。この用語は天然に存在するパッケージング配列、更にはその設計された変異体を含む。レンチウイルスを含む多くの異なるレトロウイルスのパッケージングシグナルは、当該技術分野において既知である。
【0078】
Rev応答性エレメント(RRE)
特定の実施形態では、本明細書に記載されるLVはRev応答エレメント(RRE)を含み、スプライシングされていないRNAの核外移行を強化する。RREは当業者に周知である。例示的なRREはHIV NL4-3ゲノム(Genbankアクセッション番号AF003887)における位置7622~8459に存在するRRE、ならびにHIVまたは他のレトロウイルスの他の株からのRREを含むが、これらに限定されない。このような配列は、GenbankからまたはURL hiv-web.lanl.gov/content/indexのデータベースからすぐに利用できる。
【0079】
セントラルポリプリン配列(cPPT)
各種実施形態では、本明細書に記載されるベクターはセントラルポリプリン配列を含む。レンチウイルス(例えば、HIV-1)ベクターコンストラクトにおけるセントラルポリプリン配列(cPPT)を含む断片の挿入は、報告によれば、セントラルDNAフラップを介してウイルスcDNAの核内移行を容易にすることにより、大幅に形質導入効率を向上することが知られている。
【0080】
発現刺激による転写後調節エレメント(PRE)
特定の実施形態では、本明細書に記載されるLVは、転写物内の転写後調節エレメントの存在によりタンパク質量で異種核酸(例えば、ヒトFoxP3 cDNA)の発現を増加させる、様々な転写後調節エレメント(PRE)のいずれかを含み得る。特定の実施形態では、特にレンチウイルスコンストラクトが中程度のプロモーターに関連する実施形態では、PREが特に有用となり得る。
【0081】
1種類のPREは発現カセット内に配置されるイントロンであり、これは遺伝子発現を刺激することができる。しかし、イントロンはレンチウイルスのライフサイクル事象時、スプライシングされ得る。したがって、イントロンがPREのものとして用いられる場合、イントロンは通常、ベクターゲノム転写物に逆の配向に配置される。
【0082】
スプライシング事象に依存しない転写後調節エレメントは、ウイルスのライフサイクル時に除去されないという利点を提示する。いくつかの例は、単純ヘルペスウイルスの転写後プロセッシングエレメント、B型肝炎ウイルス転写後調節エレメント(HPRE)及びウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である。これらのうち、HPREにおいて見られない追加シス作用エレメントを含むため、WPREが通常、好ましい。この調節エレメントは通常、導入遺伝子の翻訳ユニットの終止コドンの外であるが、導入遺伝子のRNA転写物に含まれるようにベクター内に位置する。
【0083】
WPREは特徴があり、米国特許第6,136,597号に記載されている。それに記載されるように、WPREは核から細胞質にRNAの効率的な輸送を媒介するRNA輸出エレメントである。シス作用性核酸配列の挿入により導入遺伝子の発現が向上し、エレメント及び導入遺伝子は単一の転写物内に含まれる。センス配向のWPREの存在は、導入遺伝子発現を最大7~10倍だけ増加させることを示した。レトロウイルス粒子の形成に導く一連の事象時、通常、イントロンがスプライシングで切り出されるため、レトロウイルスベクターが完全なイントロン含有遺伝子の代わりにcDNAの形態で配列を移行させる。イントロンは、スプライシング機構を有する一次転写物の相互作用を媒介する。スプライシング機構と輸送機構との連結のため、スプライシング機構によるRNAのプロセシングによりそれらの細胞質の排出が容易になることから、cDNAは非効率的に発現されることが多い。したがって、ベクターのWPREの包含により、導入遺伝子の発現が向上される。
【0084】
インスレーターエレメント
特定の実施形態では、バイオセイフティーを更に高めるために、インスレーターが本明細書に記載されるLVに挿入される。インスレーターは、ゲノムの全体にわたって存在するDNA配列エレメントである。インスレーターはクロマチンを修正し、局所の遺伝子発現を変更するタンパク質を結合する。本明細書に記載されベクターにおけるインスレーターの配置により、1)隣接の染色体による発現の位置効果の斑入りからのベクターの遮蔽(すなわち、バリア活性)及び2)ベクターによる遺伝子発現の挿入性トランス活性化からの隣接の染色体の遮蔽(エンハンサーブロッキング)を含む種々の可能な利点が得られる。したがって、インスレーターはゲノムまたは遺伝子コンテクストに埋め込まれた遺伝子または転写単位の発現が当該ゲノムまたは遺伝子コンテクスト内の調節シグナルに影響され得る、遺伝子または転写単位の独立機能を保存するのに役立てることができる(例えば、Burgess-Beusse et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99:16433;and Zhan et al.(2001)Hum.Genet.,109:471を参照)。本コンテクストにおいて、インスレーターは組込み部位の効果からレンチウイルスを発現した配列の保護に寄与し得、これはゲノムDNAに存在するシス作用性エレメントによって媒介され、導入された配列のデレギュレーションした発現を導き得る。各種実施形態では、一方または両方のLTRあるいはインスレーター配列が細胞ゲノムに組み込まれるベクターの領域におけるそのほかの場所に挿入されるLVが提供される。
【0085】
第一及び最良の特徴がある脊椎動物クロマチンインスレーターは、ニワトリβ-グロビン遺伝子座制御領域内に位置する。このエレメントはDNaseI過敏性部位-4(cHS4)を含み、このエレメントはニワトリβ-グロビン遺伝子座の5’境界を構成するように見える(Prioleau et al.(1999)EMBO J.18:4035-4048)。cHS4エレメントを含む1.2kbの断片は、細胞株におけるグロビン遺伝子プロモーター及びエンハンサーの相互作用を遮断する能力(Chung et al.(1993)Cell,74:505-514)、ならびにショウジョウバエ(Id.)、形質転換細胞(Pikaart et al.(1998)Genes Dev.12:2852-2862)及びトランスジェニック哺乳類(Wang et al.(1997)Nat.Biotechnol.,15:239-243;Taboit-Dameron et al.(1999)Transgenic Res.,8:223-235)における発現カセットを位置効果から保護する能力を含む標準的なインスレーター活性を示す。この活性の多くは250bpの断片に含まれる。この伸展内に亜鉛フィンガーDNA結合タンパク質CTCFと相互作用する49bpのcHS4コア(Chung et al.(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,94:575-580)は、エンハンサーブロッキング分析(Bell et al.(1999)Cell,98:387-396)と関係づけられる。
【0086】
例示的で公的なインスレーターはFB(FII/BEAD-A)、すなわち77bpのインスレーターエレメントであり、これはニワトリβ-グロビン5’HS4インスレーターの最小CTCF結合部位エンハンサーブロッキング成分、ならびにRamezani et al.(2008)Stem Cell 26:3257-3266に記載のヒトT細胞レセプターα/δブロッキングエレメントα/δI(BEAD-I)インスレーター由来の相同領域を含む。FB「合成」インスレーターは完全なエンハンサーブロッキング活性を有する。このインスレーターは例示的であり、非限定的である。他の好適なインスレーターが用いられ、例えば、全長ニワトリβ‐グロビンHS4またはそのインスレーターサブ断片、アンキリン遺伝子インスレーター及び他の合成インスレーターエレメントを含む。
【0087】
特定の実施形態では、U3領域に含まれるA2インスレーターがある。
【0088】
形質導入された宿主細胞及び細胞形質導入の方法
本明細書に記載される組換えLV及び得られるウイルスは、核酸(例えば、ヒトFoxP3タンパク質をコードする核酸)配列を哺乳類の細胞に導入することができる。細胞への送達のために、本発明のベクターは好適なパッケージング細胞株とともに使用されるか、または必要なレトロウイルス遺伝子(例えば、gag及びpol)を含む他のベクタープラスミドとともにin vitroで細胞に同時トランスフェクトし、本発明のベクターをパッケージして、細胞を感染することができる複製不全ウイルス粒子形成することが好ましい。
【0089】
本明細書に記載される組換えLV及び得られるウイルスは、核酸(例えば、ヒトFoxP3タンパク質をコードする核酸)配列を哺乳類の細胞に導入することができる。細胞への送達のために、本発明のベクターは通常、好適なパッケージング細胞株とともに使用されるか、または必要なレトロウイルス遺伝子(例えば、gag及びpol)を含む他のベクタープラスミドとともにin vitroで細胞に同時トランスフェクトし、本発明のベクターをパッケージして、細胞を感染することができる複製不全ウイルス粒子形成する。
【0090】
ベクターは通常、パッケージング細胞株にトランスフェクションにより導入される。パッケージング細胞株はベクターゲノムを含むウイルス粒子を産生する。トランスフェクションの方法は当業者には周知である。パッケージングベクター及び導入ベクターのパッケージング細胞株への同時トランスフェクション後、組み換えウイルスを培地から回収し、当業者により用いられる標準方法によりタイターを測定した。したがって、パッケージングコンストラクトは一般にはネオマイシン、DHFR、グルタミンシンセターゼなどの優性選択マーカーとともに、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクションまたは電気穿孔法によりヒト細胞株に導入し、その後、クローンの適切な薬剤及び単離の存在下で選択する。特定の実施形態では、選択マーカー遺伝子はコンストラクトにおけるパッケージング遺伝子に物理的に連結され得る。
【0091】
パッケージング機能が好適なパッケージング細胞により発現されるように構成される安定な細胞株が知られている(例えば、米国特許第5,686,279号を参照し、これにはパッケージング細胞が記載される)。一般に、ウイルス粒子の産生のために、レンチウイルスGag及びPol遺伝子の発現と適合性がある任意の細胞またはこのような発現を支持するように操作され得る任意の細胞を使用してもよい。例えば、293T細胞及びHT1080細胞などのプロデューサー細胞が使用されてもよい。
【0092】
パッケージング細胞に取り込まれるレンチウイルスベクターとともにパッケージング細胞は、プロデューサー細胞を形成する。したがって、プロデューサー細胞は対象となる治療遺伝子(例えば、ヒトFoxP3遺伝子またはcDNA)を運ぶパッケージ化された感染性ウイルス粒子を生成するか、または放出することができる細胞または細胞株である。これらの細胞がガラスまたはプラスチックなどの表面に付着する場合、これらの細胞が成長するか、残存するか、または最適に機能を維持することを意味する足場依存性が更にあり得る。レンチウイルスベクターが複製可能な場合、レンチウイルスベクターパッケージング細胞として使用される足場依存性細胞株のいくつかの例は、HeLaまたは293細胞及びPERC.6細胞である。
【0093】
したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載されるレンチウイルスベクターを含むウイルス粒子に細胞を接触することを含む、細胞のゲノムに組み込まれる細胞に遺伝子を供給する方法が提供される。細胞(例えば、組織または器官の形状で)はウイルス粒子にex vivoで接触され(例えば、感染する)、遺伝子(例えば、FoxP3遺伝子またはcDNA)が発現される対象(例えば、哺乳類、動物またはヒト)に供給され得る。各種実施形態では、細胞は対象(すなわち、対象から)に自家移植され得るか、または対象に自家移植され得ない(すなわち、同種または異種間)。さらに、本明細書に記載されるベクターを分割及び非分割細胞に供給することができるため、細胞は例えば、骨髄細胞、間葉系幹細胞(例えば、脂肪組織から得られる)、ならびにヒト及び動物供給源から誘導される他の一次細胞を含む幅広い系統由来であり得る。あるいは、ウイルス粒子はin vivoで対象または対象の局限された範囲(例えば、骨髄)に直接投与され得る。
【0094】
勿論、上記のように、本明細書に記載されるレンチウイルスベクターは、ヒト造血前駆細胞または造血幹細胞の形質導入、骨髄、末梢血または臍帯血液から得られたいずれか、ならびにCD4T細胞、末梢血BまたはTリンパ球細胞などの形質導入において特に有用である。特定の実施形態では、特に好ましい標的はCD34細胞である。特定の実施形態では、特に好ましい標的はCD34/CD38細胞である。
【0095】
遺伝子治療
さらに他の実施形態では、本発明は造血幹細胞を含むヒト細胞の集団を前記レンチウイルスベクターの1つと、前記集団におけるヒト造血前駆細胞の形質導入をベクターにより引き起こす条件下で接触させることを含む、ヒト造血幹細胞に形質導入する方法に関する。幹細胞は最終的な用途に応じて、in vivoまたはin vitroで形質導入されてもよい。ヒト幹細胞の遺伝子治療などのヒト遺伝子治療との関係においても、幹細胞にin vivoで形質導入し、あるいはin vitroで形質導入し、その後、ヒトコントロールに形質導入された幹細胞を注入してもよい。この実施形態の一態様では、ヒト幹細胞は当業者に周知の方法を用いて、ヒト、例えば、ヒト患者から除去され、上記のように形質導入され得る。次に、形質導入された幹細胞を同一または異なるヒトに再導入する。
【0096】
幹細胞/前駆細胞遺伝子治療
各種実施形態では、本明細書に記載されるレンチウイルスベクターは、ヒト造血前駆細胞または造血幹細胞(HSC)の形質導入、骨髄、末梢血または臍帯血液から得られたいずれか、ならびにCD4T細胞、末梢血BまたはTリンパ球細胞などの形質導入において特に有用である。特定の実施形態では、特に好ましい標的はCD34細胞である。特定の実施形態では、好ましい標的はCD34/CD38細胞である。
【0097】
特定の実施形態では、細胞、例えば、CD34細胞、樹状細胞、末梢血細胞または腫瘍細胞にex vivoで形質導入される場合、一般に、1×10~50×10にも相当する1~50の多重感染度(MOI)で細胞10個あたりウイルスベクターのユニットを形質導入する順番で、ウイルス粒子が当該細胞と共にインキュベートされる。これは、MOI1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45及び50に相当するベクターの量を含み得る。通常、ベクターの量はHT-29形質導入単位(TU)の観点から発現され得る。
【0098】
特定の実施形態では、細胞に基づく治療は幹細胞及び/または造血前駆体を提供することを伴い、FoxP3タンパク質を発現する核酸をコードするレンチウイルスを細胞に形質導入し、その治療を必要とする対象(例えば、FoxP3欠損及び/または突然変異を有する対象、例えば、自己免疫不全を有する対象)に形質導入された細胞を導入する。
【0099】
特定の実施形態では、当該方法は、細胞、例えば、対象由来の幹細胞の集団を単離することを伴い、任意に組織培養において細胞を拡大して、細胞内のレンチウイルスベクターの存在によりin vitroでFoxP3を産生するレンチウイルスベクターを投与する。次に、細胞を対象に戻し、例えば、細胞はFoxP3を産生する白血球の集団を提供し、それによりFoxP3欠損及び/または突然変異を修正することができる。特定の実施形態では、内因性プロモーターの存在に関して、更に特定の実施形態では、内因性エンハンサー(例えば、FoxP3の保存された非コード配列1(FoxP3-CNS1)及び/またはFoxP3の保存された非コード配列2(FoxP3-CNS2)及び/またはFoxP3の保存された非コード配列3(FoxP3-CNS3))に関して、FoxP3発現はFoxP3の正常な生理的発現を繰り返す。
【0100】
いくつかの実施形態では、細胞の集団を使用することができ、この細胞は細胞株由来または対象以外の個体由来の細胞でもよい。対象から幹細胞、免疫系細胞などを単離し、対象にその細胞を戻す方法が当該技術分野において周知である。このような方法が、化学療法を受けている患者に、例えば、骨髄移植、末梢血幹細胞移植などのために使用される。
【0101】
幹細胞が使われる場で、このような細胞が骨髄(BM)、臍帯血(CB)、動員末梢血幹細胞(mPBSC)などを含む多くの供給源から誘導され得ることが認識される。特定の実施形態では、人工多能性幹細胞(IPSC)の使用が検討される。造血幹細胞(HSC)を単離し、このような細胞に形質導入され、哺乳類の対象に導入する方法は当業者に周知である。
【0102】
特定の実施形態では、本明細書(図6及び7、ならびに配列番号1を参照)に記載されるレンチウイルスベクターが欠損したまたは不完全なFoxP3発現を特徴とする条件に対する幹細胞遺伝子治療で、例えば、本明細書に記載される自己免疫性疾患を有する患者の骨髄幹細胞にFoxP3タンパク質コードする核酸を導入した後、自家移植することによって使用される。
【0103】
ベクターの直接導入
特定の実施形態では、本明細書に記載されるベクターの直接導入による対象の直接治療が検討される。レンチウイルス組成物は非経口で(例えば、静脈内)、皮内で、皮下で、経口で(例えば、吸入)、経皮で(局所的)、経粘膜で、直腸で及び膣を含むが、これらに限定されない任意の使用可能な経路で送達のために調製され得る。送達の一般的に用いられる経路は吸入、非経口及び経粘膜を含む。
【0104】
各種実施形態では、医薬組成物は薬学的に許容されるキャリアと組み合わせて、LVを含み得る。本明細書に使用されるように「薬学的に許容されるキャリア」という用語は、医薬品の投与と適合する溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗カビ剤、等張及び吸収遅延剤などを含む。補助活性化合物も当該組成物に組み込むことができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される活性薬剤、すなわち、レンチウイルスベクター、ウイルス粒子など及び/またはベクターを共に投与される他の薬剤は、インプラント及びマイクロカプセル化デリバリーシステムを含む制御放出製剤などの、体からの迅速な排除から当該化合物を保護するキャリアとともに調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの生分解可能な生体適合性ポリマーを使用することができる。このような組成物の調製方法は、当業者に明らかである。好適な材料もAlza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手することができる。リポソームも薬学的に許容されるキャリアとして使用することができる。これらは例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるように当業者に既知の方法に従って調製することができる。いくつかの実施形態では、当該組成物は特定の細胞型にまたはウイルスに感染している細胞を標的とする。例えば、組成物は単クローン抗体を用いて細胞表面マーカー、例えば、感染細胞の表面に発現する内因性マーカーまたはウイルス抗原を標的とし得る。
【0106】
投与の容易さ及び投与量の均一性のための単位剤形で組成物を調製することが有利である。本明細書で使用される「単位剤形」とは治療される対象に単位投与量として適する物理的に別々の単位を意味する。医薬キャリアに関連して所望の治療効果を生むために、各単位は算出されたLVの所定量を含む。
【0107】
単位投与量は単回注入として投与される必要はないが、設定された期間の持続注入を含んでもよい。本明細書に記載されるLVの単位投与量は、HeLaまたは293などの細胞株上のベクターをタイター測定することにより定義されるレンチウイルスベクターの形質導入単位(T.U.)の観点から、好都合に記載されてもよい。特定の実施形態では、単位投与量は10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013T.U.以上の範囲で変動し得る。
【0108】
医薬組成物は必要に応じて、種々の間隔及び様々な期間で、例えば、約1~約10週間、約2~約8週間、約3~約7週間、約4週間、約5週間、約6週間などで週あたり1回投与され得る。不定の基準で治療組成物を投与することが必要になり得る。当業者は、特定の要因が対象の疾患または障害の重症度、以前の治療、公衆衛生及び/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むが、これらに限定されない対象を効果的に治療するために必要とする投与量及びタイミングに影響を与え得ることを理解する。LVを有する対象の治療は単一治療を含むか、または多くの場合、一連の治療を含み得る。
【0109】
遺伝子治療ベクターの投与のための代表的な投与量及び好適な投与量を決定する方法は当該技術分野において既知である。LVの適切な投与量が特定のレシピエント及び投与様式に依存し得ることが更に理解される。任意の特定の対象に適切な投与量レベルは、対象の年齢、体重、公衆衛生、性及び食事、投与時間、投与経路、排泄の割合、他の投与された治療薬などを含む様々な要因に依存し得る。
【0110】
特定の実施形態では、レンチウイルス遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注入、局所投与または定位注入により対象に供給され得る(例えば、Chen et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:3054を参照)。特定の実施形態では、ベクターは経口的にまたは吸入で供給され、カプセル化されるか、または他の方法で操作され、分解から当該ベクターを保護し、組織または細胞への取り込みを向上させてもよい。医薬製剤は許容される希釈液中のLVを含むか、またはLVが包埋される徐放マトリックスを含み得る。代替的にまたは加えて、本明細書に記載されるレトロウイルスまたはレンチウイルスベクターの場合のようにベクターが組換え細胞から無処置で産生され得る場で医薬製剤はベクターを生成する1つ以上の細胞を含み得る。本明細書に記載されるLVを含む医薬組成物は投与のための指示書とともに任意に容器、パックまたはディスペンサーに含まれ得る。
【0111】
前記組成物、方法及び使用は例示的であり、限定されないことを意図する。本明細書に提供される教示を用いて、当該組成物、方法及び使用に関する他の変形形態は当業者に容易に利用できる。
【実施例
【0112】
以下の実施例は、請求された発明を制限しないが、例示するために提供される。
【0113】
実施例1
pCCL-CNSp-FOXP3-3UTR-A2ベクターの評価
図6及び7は、内因性FoxP3プロモーター及びエンハンサー(CNS1、CNS2及びCNS3)の制御下でFoxP3をコードするレンチウイルスベクターの構造を示す。特に、図6はpCCL-CNSp-FOXP3-3UTR-A2ベクター(下表1にも示される配列番号1(接合マーカー由来の配列))の構造を示す。ヒトゲノム源の配列は、Tone et al.(2008)Nat.Immunol.9:194-202に記載の配列に基づくが、同一ではない最小の配列であるCNS1(237bp)、Kim and Leonard(2007)J.Exp.Med.204:1543-1551に記載されるCNS2(359bp)、Zheng et al.(2010)Nature,473:808-813に記載されるCNS3(217bp)、Kim and Leonard(2007)、上記に記載される配列から修飾されるFoxP3プロモーター(382bp)、ヒトゲノムNCBI参照配列ファイルNM_014009に基づく5’UTR(187bp)、ヒトゲノムNCBI参照配列ファイルNM_014009に基づくFoxP3 cDNA(1292bp)ヒトゲノムNCBI参照配列ファイルNM_014009に基づく3’UTR(875bp)を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0114】
図1に示されるように、FoxP3レポーターベクターが上記コンストラクトに基づくことを示し、ヒト細胞株においてTreg系統特異的な発現を示す。特に、パネルAはMT-2(T-reg様)、Jurkat(T細胞)及びK562(赤血球系)の3つの様々な細胞株における内因性FoxP3タンパク質発現のフローサイトメトリーの測定を示す。パネルBはFoxP3-mStrawberryレポーターベクターが形質導入されたMT-2、JurkatまたはK562細胞におけるmStrawberryレポータータンパク質の発現を示す。y軸はmStrawberry発現に対して陽性である細胞の百分率を表し、x軸は細胞1個あたりのベクターコピー数を表す。
【0115】
図2は、FoxP3レポーターベクターがマウス類遺伝子性移植片モデルにおいてTreg系統特異的な発現を示すことを示す。CD45.2 FoxP3-GFPトランスジェニックマウス(FoxP3及びGFPを同時発現する)が骨髄ドナーとして使われた。CD45.2FoxP3-GFPマウスからLin細胞を単離し、FoxP3-mStrawberryレセプターベクターを形質導入した。致死的に照射された類遺伝子性CD45.1レシピエントに形質導入されたLin細胞を移植した。Treg系統(FoxP3-GFPに特徴づけられる)におけるmStrawberryレポーターベクター発現について、移植後10週目にCD45.2ドナー細胞を分析した。パネルBに示されるように、移植したマウスの骨髄、脾臓及び胸腺のFoxP3-(GFP-)及びFoxP3+(GFP+)ドナー細胞においてmStrawberryレポーター発現を測定した。y軸は各集団におけるmStrawberry+細胞の百分率を表す。
【0116】
図3は、FoxP3レポーターベクターがヒト化マウスモデルにおいてTreg系統特異的な発現を示すことを示す。ヒト臍帯血から単離したCD34+細胞にFoxP3mStrawberryレポーターベクターを形質導入し、新生の免疫欠損NSGマウスに移植した。mStrawberry発現について、移植後12週間目に移植されたhCD45+細胞を分析した。パネルBに示されるように、移植されたhCD45+細胞における系統特異的なmStrawberry発現。hCD45+細胞はNSG骨髄(CD19+B細胞、CD33+骨髄系細胞、CD34+幹細胞及び前駆細胞、ならびにCD3+T細胞)、胸腺(CD4-CD8-ダブルネガティブ[DN]、CD4+CD8+ダブルポジティブ[DP]、CD4CD8+シングルポジティブ[CD8SP]、CD4+CD8-CD25-[CD4 Tconv細胞]及びCD4+CD8-CD25+[Treg])及び脾臓(CD8 T細胞、CD4+CD25- Tconv細胞及びCD4+CD25+Treg細胞)において系統マーカーによってゲーティングされた。ヒストグラムは各系統内でmStrawberry発現を表す。点線は「mStrawberry高」に関するカットオフを示す。パネルは各hCD45+系統におけるmStrawberry高細胞の百分率を示す。データは異なる臍帯血CD34+ドナーを用いて2つの独立実験を表す。パネルDはヒト化マウスにおけるFoxP3及びmStrawberryの共発現を示す。移植されたNSGSGM3マウス由来のヒトCD4+細胞をmStrawberry発現に基づいてソートした後、細胞内染色及びFoxP3発現に対するフローサイトメトリー解析が行われた。左側のパネルはmStrawberry発現によるヒトCD4+細胞のソーティングを示し、右側のパネルはソートされた集団内のFoxP3発現を示す。
【0117】
図4は、FoxP3欠損マウスHSCへの系統特異的なFoxP3をコードするベクターの導入が機能的なTreg発生を回復することを示す。パネルAは実験準備を示す。Lin細胞をFoxP3欠損(scurfy)ドナーマウスから単離し、FoxP3 cDNA及びレポーターmStrawberry両方を発現するFoxP3コードベクターを形質導入した。致死的に照射されたWT CD45.1類遺伝子性レシピエントに形質導入されたLin細胞を移植した。12週間後、mStrawberry+細胞(「修正Treg」)をTreg抑制能力(パネルB)及びTreg表面マーカー発現(パネルC)について評価した。各実験について、scurfyマウス由来の修正TregをWT FoxP3-GFPマウス由来の天然GFP+Tregと比較した。パネルBに示されるように、ビーズ結合したCD3/CD28抗体の存在下でCell Traceバイオレット標識されたCD4+FoxP3-レスポンダー細胞とともにソートされたTreg(nTreg=天然GFP+TregまたはcTreg=修正mStrawberry Treg)を共培養した。1:1の比でTregをTresp細胞とともに培養した。培養4日後、各群の標識されたレスポンダー細胞の分割指数を算出することによってTreg抑制を求めた。データは1~2の複製ウェルからの平均+/-SEMを表す。パネルC:WT FoxP3-GFPマウス(上)または移植したCD45.2修正ドナーscurfy細胞(下)由来の胸腺細胞。右側は各ゲートしたCD4 SP胸腺細胞集団(GFP-、GFP+、mStrawberry-またはmStrawberry+)におけるTreg表面マーカー(CD25、GITR及びCTLA4)の発現を示す。
【0118】
図5のパネルA~Eは、系統特異的なFoxP3 cDNAベクターがscurfyマウス(FoxP3欠損マウスモデル)を救済することができる機能的なTregを生成することを示す。パネルA:実験準備。scurfyまたはWT HSPC(CD45.2)にFoxP3レポーターベクターまたはFoxP3 cDNAベクターを形質導入し、致死的に照射された類遺伝子性(CD45.1)レシピエントに移植した。移植後12週目にドナーCD45.2+CD4+細胞(推定上のTregを含む)を移植レシピエントの脾臓から精製し、scurfy新生児の肝臓内に注入した。CD4T細胞の移植後21日目にscurfy新生児の救出を評価した。パネルB:21日目に救済したscurfy新生児由来の脾臓のCD4細胞。左図はSf-Treg(未修正)を受け取ったscurfyマウスを示すが、右図はcSf-Treg(修正した)を受け取ったscurfyマウスを示す。y軸はヒトFoxP3発現(FoxP3 LVによりコードされる)を示すが、x軸はマウスFoxP3発現(両scurfyマウスで欠ける)を示す。パネルC:救済されたscurfyマウスまたはWT同腹仔コントロールに対する脾臓対体重の比。パネルD:21日目に救済されたscurfy新生児における脾臓のCD4 T細胞の表現型。赤色の囲みはCD44+CD62L-(活性化)CD4 T細胞を強調し、青色の囲みはCD44-CD62L+(ナイーブ)CD4 T細胞を強調する。パネルE:21日目に救済したscurfy新生児の写真。白矢印は耳奇形の修正を強調する。
【0119】
実施例2
IPEX症候群のための造血幹細胞遺伝子治療
IPEX(免疫調節不全、多腺性内分泌障害、腸疾患、X連鎖性)症候群は、FOXP3、すなわち制御性T細胞(Treg)の発生及び機能に必要な系統決定転写因子における突然変異により生じる荒廃的な自己免疫疾患である。Tregは自己反応性T細胞応答の抑制に重要であるため、IPEX患者におけるその機能不全が重度の自己免疫に繋がる。同種造血幹細胞(HSC)移植は治効があり得るが、好適なドナーが利用不可能であることが多い。本実施例では、我々は自己由来HSC移植に対する手法及び内因性調節エレメントの制御下で発生的に適切なFoxP3発現を回復するためのレンチウイルスベクター(LV)を用いる遺伝子治療を実証する。マウス類遺伝子性移植モデル及びLV修飾HSCを移植したヒト化マウスは、CD4+CD25+FoxP3+Tregに制限される高レベルのLV発現を示す。scurfy(FoxP3null)HSCのLV形質導入はin vivoでT細胞増殖を抑制し、in vivoでscurfy自己免疫表現型を救済する機能的なFoxP3+Tregの発生を回復する。これらの所見から自己由来HSC移植によってIPEX患者の治療への道を整え、異なる供給源の自己免疫不全の患者の新規な治療に対する有益な洞察を提供することができる。
【0120】
ここで、より具体的に、我々は生理的なFoxP3発現を繰り返すヒトFOXP3遺伝的エレメントによって調節されるLVの発生を説明する。マウス及びヒトHSPCへのこのベクターの導入によりTreg制限された発現がもたらされ、FoxP3欠損HSPCから機能的なTreg発育を回復させる。我々はこの手法がscurfyマウス(IPEXのFoxP3nullマウスモデル)の自己免疫表現型を治療することができる抑制性FoxP3+Tregを発生することを実証する。加えて、健康なドナー由来のLV修飾ヒトHSPCを移植したヒト化マウスモデルが高レベルのTreg特異的なLV発現を示し、この方法がヒトIPEX患者において同じように有効であり得ることを示唆している。
【0121】
結果
構成的に活性なプロモーターからの異所性FoxP3発現がHSPC機能を弱める
現在までに成功している多くのLVベースの遺伝子療法では、構成的に活性なプロモーターを利用して治療用タンパク質の高レベルの発現を引き起こす。構成的FoxP3発現がIPEX HSPC遺伝子治療に対する好適な手法であるかを決定するために、我々は最初にHSPC移植及び機能に関する異所性FoxP3発現の効果を判定することを試みた。ここで、我々は高レベルのFoxP3(MNDU3-FoxP3-IRES-GFP)を発現するLVを利用し、その効果を制御ベクター(MNDU3-GFP)と比較した。MNDU3-FoxP3-IRES-GFPが形質導入されたマウスLin細胞は、生存率への識別可能な効果が無しで成功しているLV形質導入及び発現(約30%GFP+細胞)を示した(図8、パネルA)。LV修飾細胞がマウスに移植された場合、循環CD45.1+(ドナー)GFP+細胞は移植後7日目に末梢血で容易に検出され(図8、パネルB)、細胞が初期移植が可能であったことを示唆している。しかし、初期の移植後期間(10~21日)は赤血球数の急速な減少、ならびに白血球及び血小板数を再構成しないことを特徴とし(図8、パネルC)、MNDU3-FoxP3-IRES-GFPを用いて修飾されたHSPCを受け取るマウスにおいて死亡率60%を得た(図8、パネルD)。ヒトHSPCへの構成的FoxP3発現の効果を決定するために、NSG新生児はMNDU3-GFPまたはMNDU3-FoxP3-IRES-GFPが形質導入された臍帯血CD34+HSPCでヒト化された。形質導入後3日目にGFP+細胞において細胞死が観察されなかった(図8、パネルE)が、MNDU3-FoxP3-IRES-GFPを形質導入されたHSPCを受け取るマウスにおいて、末梢血におけるhCD45+細胞のNSF移植が顕著に損なわれた(図8、パネルF)。まとめると、これらの結果からHSPCにおけるFoxP3の異所性発現が造血にネガティブに影響を及ぼすことが示唆されている。
【0122】
FoxP3発現のための系統特異的なレンチウイルスベクターの発生
異所性FoxP3発現を有する障害性造血の観察から、我々は発生的に適切なFoxP3発現を与えるLVを設計することを考えた。このタスクを達成するための主な課題は、LVゲノムサイズ8~10kbを超えない主要なFOXP3調節エレメントを含み、これを超えると、LVが低いタイター及び形質導入効率を呈する。内因性FoxP3発現を繰り返すために、我々はFOXP3遺伝子内に以前に特徴づけられた3つの保存された調節領域、保存された非コード配列(CNS)1、CNS2及びCNS3を利用した(図9A)。3つのCNSエレメントはFOXP3プロモーターから上流に加えられ、FOXP3 3’UTRは発現カセットの後に加えられた(図9B)。場合により、安全性を向上し、発現の位置斑入りを低減するために、ウイルス3’LTR領域に先に記述したエンハンサーブロッキングインスレーターエレメント(「A2」)を加え(Liu et al.2015)、このコンストラクトはVSV-G-偽型第3世代自己不活性化(SIN)LVにクローニングした(Dull et al.1998)。蛍光レポーターmStrawberryのみ(「CNS123p-mStrawberry」と称される)または2Aエレメント結合(「CNS123p-FoxP3-mStrawberry」)によるFOXP3cDNA及びmStrawberryの発現を起こすために、2つのLVはこのコンストラクトを使用して設計された。
【0123】
内因的に調節されたLV CNS123p-mStrawberryがTreg系統について高特異性を示す
我々は最初に異なる造血系統(K562[赤血球系、FoxP3-]、Jurkat[Tconv様、FoxP3-]及びMT-2[Treg様、FoxP3+]、図10、パネルA)由来のヒト細胞株におけるCNS123p-mStrawberryレポーターLVの特異性を評価した。フローサイトメトリーによる形質導入された細胞の分析では、非常に高いベクターコピー数(最大約25コピー/細胞)でさえ、FoxP3-細胞型における発現の低い固有「漏れやすさ」を有するFoxP3+MT-2細胞に制限されるmStrawberry発現が明らかになった(図10、パネルB)。高レベルのFoxP3を正常に発現するMT-2細胞において、mStrawberryの平均蛍光強度(MFI)はコピー数が増加すると比例的に増加した(図10、パネルB)。これらの結果からCNS123pエレメントがFoxP3+細胞の非常に特異的な遺伝子発現を与え、不適当な細胞型において基本の発現を欠いていることが示唆されている。
【0124】
CNS123p-mStrawberryレポーターLVのin vivoでの系統特異性を評価するために、我々は造血発生全体に形質導入されたHSPC及びそれらの後代におけるLV発現を評価するマウス類遺伝子性移植システムを使用した。ここで、我々はFoxP3-GFPレポーターマウス(FoxP3及びGFPを同時発現する)の骨髄由来のCD45.2系統マーカーネガティブ(lin)HSPCにCNS123p-mStrawberryを形質導入し、類遺伝子性CD45.1レシピエントに修飾細胞を移植した(図10、パネルC)。移植後20週目に、ドナーCD45.2細胞(図14に示される系統ゲーティング)の造血系統においてmStrawberry発現を評価した。ここで、我々はCNS123p-mStrawberryからのmStrawberry発現が内因性FOXP3遺伝子由来のGFP発現と密接に整合することが分かった。cKit+HSPC、B220+B細胞、Gr1+顆粒球、CD8+T細胞及びCD4+GFP-Tconv細胞におけるmStrawberry発現は無視でき、mStrawberry発現はTreg系統(CD4+GFP+)に制限された(図9、パネルD及びE)。これらの結果からCNS123p-mStrawberryの発現が造血発生全体に内因性FoxP3発現と非常に調和することが示唆されている。
【0125】
scurfyマウス由来のFoxP3欠損HSCのLV修正は抑制性機能を有する機能的なTregを生成する
我々は、CNS123p-FoxP3-mStrawberry LVがscurfy(FoxP3欠損)HSCの生理的FoxP3発現の回復により機能的なTreg発生を可能にすることができるかどうかを判定した。scurfyマウスはFOXP3のフォークヘッド領域にフレームシフト突然変異を有し、自己免疫反応を抑制することができない非機能的(FoxP3-)Tregを産生する。治療がない場合、scurfyマウスは、出生後約21日で胎生期リンパ増殖性疾患に屈する。したがって、十分な数のscurfyHSCを得るために、新生児scurfyマウス(CD45.2)は出生時、WT脾細胞(CD45.1)の注入により救出され、成体期に生き残った。機能的なTreg発生の回復を評価するために、我々はCD45.2 HSPCの3つの異なる供給源である、(1)CNS123p-mStrawberryを形質導入したscurfyLin細胞、(2)CNS123p-FoxP3-mStrawberryを形質導入したscurfyLin細胞及び(3)CNS123p-mStrawberryを形質導入したWT FoxP3-GFPLin細胞のうちの1つを有するWT CD45.1レシピエントを移植した(図11、パネルA)。
【0126】
事前の働きはlck近位(胸腺細胞特異的)プロモーター下でのFoxP3の過剰発現が胸腺リンパ球新生を大幅に変えることができることを示したため(Khattri et al.2001)、我々は最初に系統特異的なCNS123p-FoxP3-mStrawberry LVが胸腺細胞分化を変えるかどうかを判断した。ここで、再構成されたドナー胸腺細胞内の系統分布がWT、scurfyまたは修正scurfyHSCを移植したレシピエントマウスと異ならないことが分かり(図11、パネルB)、FoxP3 cDNAの系統特異的な回復により胸腺系統分布が変わらないことを示唆した。
【0127】
次に、我々はレシピエント胸腺における修正scurfy Treg(cSf-Treg)の頻度を評価した。WT FoxP3-GFP HSCで再構成された移植レシピエントはCD4シングルポジティブな(CD4 SP)集団内に3.7±0.6%(平均±SD)のGFP+細胞を示したが、LV修正scurfyHSCで再構成されたレシピエントは2.1±0.4%のmStrawberry+細胞を示し、修正scurfyHSPCがFoxP3を発現するCD4 SP胸腺細胞を産生することを確認した(図11、パネルC)。Treg表面マーカーの発現について、GFP+またはmStrawberry+ドナー胸腺細胞を更に評価した。胸腺における未修正(FoxP3-)Sf-TregをWT-Tregと比較して、Treg表面マーカーCD25及びGITRの発現の減少を示した(図11、パネルC)。対照的に、最高レベルのLV発現(mStrawberry高)を有するcSf-TregはWT-Tregと同等のCD25及びGITR発現を示し、CNS123p-FoxP3-mStrawberryからのFoxP3の発現が胸腺において表現型Treg発生を回復することを示唆した。
【0128】
次に、我々は脾臓のcSf-Tregの抑制性機能を特徴づけた。3つの群の推定上のTreg(Sf-Treg、cSf-Treg及びWT-Treg)を移植レシピエントの脾臓からFACSでソートし(図11、パネルD)、サプレッサー:エフェクター比1:1でWT CD4 T細胞増殖を抑制するそれらの能力について評価した(図11、パネルE)。予想されるように、非修正(FoxP3-)Sf-Tregはコントロール(Tregなし)に対するT細胞増殖を抑制しなかった。しかし、cSf-TregはWT-Tregの有意な抑制性能力と同等のものを示し、CNS123p-FoxP3-mStrawberryが機能的な能力を有する修正Tregを生成することを確認した。
【0129】
胸腺由来Treg(nTreg)に加えて、FoxP3も、Tconvが免疫寛容原性コンテクストにおける強いTCRシグナルを受けるとき発生する末梢性Treg(pTreg)の生成において重要な役割を果たす(Curotto de Lafaille et al.2004)。このプロセスはTGFβの存在下でFoxP3-Tconv細胞のTCR刺激によりin vitroでシミュレーションされ、抑制性機能を有するFoxP3+誘導性Treg(iTreg)を生成することができる(Chen et al.2003)。修正scurfyCD4 Tconv細胞がiTregを生成することができたかどうかを判定するために、cSf Tconv(CD4+mStrawberry)細胞またはWT Tconv(CD4+GFP-)細胞をFACSでソートし、TGFβの存在下でCD3/CD28ビーズを用いて活性化した。TGFβでの活性化の4日後、cSf Tconvは修正Sf-Tconv細胞が新規FoxP3誘導をできることを実証するmStrawberry(図11、パネルF)のロバスト誘導を示した。まとめると、我々のデータからscurfyHSCのLV修正が機能的なTregコンパートメントの生理的な回復を促進することが示唆されている。
【0130】
系統特異的なFoxP3 LV(CNS123p-FoxP3-mStrawberry)はscurfyマウスを救出することができるTregを生成する
Treg機能の最もストリンジェントな検定は、自己免疫のin vivoでの抑制による新生児scurfyマウスにおける臨床疾患サインを元に戻す能力である。このために、我々は最初にLV修正LinHSPCを新生児scurfyマウスに移植することを試みた。新生児scurfyマウスは500Radの全身放射(TBI)で条件づけし、WT HSPC、未修正Sf HSPCまたは修正Sf HSPCのいずれかを腹腔内に注入した。ドナー細胞の検出可能な(低いが)移植にもかかわらず、すべてのアームにおいて長期生存は低く、scurfyモデルの精製HSPC移植の低い有効性を示唆した(図15)。
【0131】
WT HSPC(FoxP3十分なHSPCに対するポジティブコントロール)を移植されたscurfyマウスの生存の低さは、HSPCが成熟Tregを生成し、このモデルシステムにおける自己免疫応答を制御するずっと前に発生することができる不可逆多臓器自己免疫損傷の急速な発症によるものと推測された。したがって、我々は成熟TregがWTレシピエントマウスにHSPC移植術により発生し、その後、scurfy新生児に養子移入のために精製された代替の方法を続行した。scurfyまたはWT HSPC(Lin-CD45.2+)には、CNS123p-mStrawberryまたはCNS123p-FoxP3-mstrawberry LVを形質導入し、類遺伝子性WTレシピエント(CD45.1)に移植した。移植後8週目にドナーCD45.2+CD4+細胞を移植レシピエントの脾臓から精製し、推定上のTregを含有する3群のバルクCD4+細胞である、未修正scufryCD4+(Sf-CD4+)、修正scurfyCD4+(cSf-CD4+)または野生型CD4+(WT-CD4+)を得た(図12、パネルA)。導入前の精製CD45.2+CD4+細胞のFACS分析では、レシピエントCD45.1細胞を検出可能に汚染することはなく、約95%のCD4+純度を示した(図16)。
【0132】
8.6×10~2.1×10の推定上のTreg(GFP+またはmStrawberry+、図16)を表す精製CD45.2+CD4+細胞をscurfy新生児の腹膜内に注入した。自己免疫表現型の修正について、日齢21日目にscurfyマウスを分析した。21日齢の未処置の(偽PBS注入)scurfy新生児は、鱗片に覆われた皮膚、小さく厚い耳(図12、パネルB)及び脾腫(図12、パネルC)を含む疾患進行の典型的な表現型徴候を示した。未処置のマウスも高い百分率の活性化CD62L-CD44+CD4 T細胞(図12、パネルD)を含む炎症性免疫表現型を呈し、同齢のWTコントロールに比べて炎症性血清サイトカイン(図12、パネルE)のレベルの上昇も示した。WT-CD4及び細胞1個あたり3より大きいVCを含むcSf-CD4細胞の投与により、これらのマウスは同齢のWTコントロールと表現型的に識別不能であるscurfy表現型のすべての測定の完全な修正が得られた。対照的に、未修正Sf-CD4細胞を受け取るscurfyマウスは、BMT及びCD4精製方法が移植レシピエントから任意の汚染CD45.1 WT Tregを運ばないことを確認する疾患寛解の徴候を示さなかった。さらに、VCNが2未満のcSf Tregを受け取るscurfyマウスは、scurfy表現型の不完全な修正を示し(図16)、このモデルにおいてin vivoでの抑制性能力を有するTregを生成するために高レベルの遺伝子修飾が必要であることを示唆した。まとめると、これらの結果からFoxP3欠損HSCのLV修正がin voviで自己免疫応答を抑制することができるCD4+Tregを生成することが実証される。
【0133】
CNS123p-mStrawberry LVはヒト化マウスモデルの毒性のない高レベルの系統特異的な発現を示す
この治療のIPEX患者への適用性を評価するために、我々はヒト化異種移植片モデルのCNS123p-mStrawberryレポーターLVの発現パターンを次に調査した。臍帯血から単離された健康なヒトCD34+HSPCにはCNS123p-mStrawberryを形質導入し、NSG新生児に移植した(図13、パネルA)。移植後12~16週目に移植されたhCD45+細胞を分析した。NSG BMにおける移植されたヒト細胞1個あたりのベクターコピーの平均±SD数は4.1±2.5であり、LVを用いたLT-HSCの効率的な修飾を示唆した。BMにおける移植されたヒトCD45+細胞はT細胞活性化から無症状移植片対宿主疾患及び潜在的人工産物の欠如を示すこのモデル系(59%のCD19+B細胞、10%のCD33+骨髄性細胞、2.5%のCD34+HSPC、3.3%のCD3+T細胞、図17)を代表する系統分布を呈した。
【0134】
フローサイトメトリーにより細胞を分析し、各造血系統のCNS123p-mStrawberryからmStrawberry発現を求めた(図13、パネルB及びC)。BMにおけるmStrawberry発現はCD33+骨髄系統、CD19+B細胞系統またはCD34+HSPC系統における検出可能な発現なしで、CD3+T細胞に制限された。胸腺におけるmStrawberry発現はDN、DP、CD4SPまたはCD8SPステージにおける最小の発現であり、CD4+CD25+Treg(平均36%のmStrawberry+)に対して選択的だった。低レベルの発現はCD4+CD25-Tconv細胞(17%のmStrawberry+)及びCD8+T細胞(4%のmStrawberry+)において観察されたが、脾臓におけるmStrawberry発現はCD4+CD25+Treg(46%のmStrawberry+)においてが最も高かった。分析された各マウスについて、mStrawberry蛍光の強度はCD4+CD25+Tregサブセットにおいて最も高かった(図13、パネルB)。
【0135】
CD25はFoxP3+Tregを同定する有用な表面マーカーであるが、CD25は活性化T細胞にも発現し、FoxP3+Tregに特異的ではない。したがって、我々は細胞内のFoxP3染色でCNS123p-mStrawberryのTreg系統特異性をより厳しく決定した。ここで、我々はNSG-SGM3マウスを利用した。このマウスは従来のNSGモデルと比較して、多数のFoxP3+Tregを生成した(Billerbeck et al.2011)。ヒト臍帯血CD34+HSPCにはCNS123p-mStrawberryを形質導入し、NSG-SGM3新生児に移植した。移植後12週目にヒトCD4+細胞を脾臓から単離し、FoxP3染色の前にmStrawberry+及びmStrawberry-集団にFACSでソートした(図13、パネルD)。我々は81%のmStrawberry+細胞もFoxP3+であるが、2.5%のmStrawberry-細胞だけがFoxP3+であったことが分かり、ヒト化マウスモデルにおいてCNS123p-mStrawberry発現及び内因性FoxP3発現の高い一致を示唆した。
【0136】
MNDU3プロモーターからの構成的FoxP3発現を調査している我々の先行研究では、HSCにおける異常なFoxP3発現が移植に有害であることを示唆した。したがって、我々はCNS123p-FoxP3-mStrawberry(HSPCにおいて発現しない)を用いた系統特異的な我々の発現手法が、競合的移植モデルにおける効率的なHSC移植を考慮することを確認しようと努力した。CD34+「試験細胞」にはCNS123p-mStrawberryまたはCNS123p-FoxP3-mStrawberryを形質導入し、同数の蛍光標識(UBC-mCitrine形質導入)された競合細胞と結合し、新生児NSGマウスに移植した(図13、パネルE)。移植後12週目に蛍光標識された競合細胞の相対寄与をCD34+系統内で評価した。ここで、群の間に競合細胞の相対的な割合の違いは見られなかった。このことから、MNDU3-FoxP3からの構成的FoxP3発現とは異なり、CNS123p-FoxP3-mStrawberryからの系統特異的なFoxP3発現がHSC移植への有害な影響を示さないことが示唆されている。
【0137】
次に、我々はCNS2メチル化がLV発現を調節するのに果たす役割を評価した。胸腺リンパ球新生時、CNS2領域の活性脱メチル化はTreg系統への遺伝的な関与を誘発する重大な事象である(Toker et al.2013)。脱メチル化されたCNS2は、FoxP3プロモーター上のそのエンハンサー機能により安定な高レベルのFoxP3発現を維持する(Zheng et al.2010;Li et al.2014a)ことから、我々はCNS123p-FoxP3-mStrawberry内に含まれるウイルスCNS2エレメント内にCpGメチル化パターンを評価することに関心があった。ここで、我々はLVが形質導入されたCD34+CB細胞によって再構成されたNSGマウスから脾臓を単離し、Tconv細胞(CD4+CD25-)及びTreg(CD4+CD25+)のために、プールされた脾細胞をソートした(図13、パネルF)。Tconv及びTregサブセット由来のゲノムDNAを、各配列に特異的なパイロシークエンシングプライマーを利用して、内因性及びウイルス性CNS2に存在する9つの調節されたCpG部位のメチル化について分析した。予想通り、内因性FOXP3 CNS2内のCpG部位は、ソートされたTconv細胞においてメチル化され、ソートされたTregにおいて脱メチル化された。興味深いことに、ウイルス性CNS2は両集団において完全に脱メチル化されたままで、HSCからのTreg分化時、ウイルス性CNS2が内因性CNS2と同様に調節されないことが示唆されている。
【0138】
考察
2001年におけるIPEX及びscurfyのための突然変異を有する原因となる遺伝子としてのFoxP3の遺伝子が特性決定されて(Wildin et al.2001b;Bennett et al.2001)以来、数多くの研究により、免疫寛容を維持する際、FoxP3+Tregにとっての重要な役割が更に明らかにされてきた。Tregが全くないことから生じる重度の自己免疫によりIPEXが非常に有益な疾患になり、ヒトTreg発生及び免疫寛容の機序の我々の理解が深まった。
【0139】
安全プロフィールを向上しつつ、HSCに対する効率的なウイルスの遺伝子移入を起こす最近の開発から、幅広い遺伝的な血液障害に有効な第I/II相臨床試験に至る遺伝子治療の分野の範囲が非常に広がっている(Morgan et al.2017)。この方法が近年、成功したと仮定すると、我々は発生中の造血系内で生理的なFoxP3発現を回復し、機能的なTregの発生及び自己免疫の回復に至ることになる、IPEXを治療するためのLVベースの治療を開発しようとした。
【0140】
FoxP3は細胞運命決定における重要な役割を果たす転写因子であるため、我々は造血系の全体にわたる不適当なFoxP3発現が正常な造血発生及び長期移植に有害となると推測した。実際、我々は構成的MNDU3プロモーターによって引き起こされる構成的FoxP3発現が結果として、ヒト及びマウスHSPC移植モデルにおいて長期移植の障害になることが分かった。この認識は、強い胸腺プロモーター下での高レベルのFoxP3発現が結果として、異常な胸腺リンパ球新生及び発生中の胸腺細胞におけるアポトーシスの増加を起こすことを示す先行研究と一致する(Khattri et al.2001;Tai et al.2013)。興味深いことに、Santoni de Sio et al.では、HSC移植の亢進と、構成的に活性なEF1aプロモーター下でFoxP3を発生するLVが形質導入された臍帯血HSPCからの異常なT細胞発生が見られた(Santoni de Sio et al.2017)。これらの矛盾する結果は、(EF1a対MNDU3プロモーターの相対強度によって引き起こされる)異なるレベルの構成的FoxP3発現がHSC生物学への差次的な効果を有し得ることが示唆され得る。まとめると、我々の及び他の所見から、IPEX症候群の理想的なHSCベースの遺伝子治療により異常な及び遍在するFoxP3発現が回避されるべきことを示唆している。
【0141】
異常なFoxP3発現の有害な効果を回避するために、我々は発生的に適切なFoxP3発現を与えるようにヒトFOXP3遺伝子の内因性エレメントを用いてLVを設計した。系統特異的なLVの設計の際の主要な課題の1つは、同時に小さいLVゲノムを維持しながら、高いcDNA発現レベルを増進することができる内因性FOXP3エンハンサーエレメントを保持することです。大きいLVゲノムは通常、タイターの低減及び形質導入効率の減少を示すため(Kumar et al.2001;Cante-Barrett et al.2016)、HSCの治療修正を達成することを困難にする。このことは、遺伝子座調節領域(LCR)由来の大きなエンハンサーエレメントを含むLVを使用して異常ヘモグロビン症を治療して、ヒトβ-グロビン遺伝子の赤血球特異的な発現を引き起こす臨床の試みにおいて容易に明らかになった(Cavazzana-Calvo et al.2010)。ここで、我々は高タイター(FoxP3 cDNAベクターの未処理のタイターは2.25×106であった)を示し、マウス及びヒトHSCにおける高コピー数を達成することができ、Treg系統内にFoxP3発現の治療レベルを示す7.0kbの系統特異的なLVを設計した。これらの因子の全ては、IPEX患者の治療に好ましい臨床解釈を示唆している。
【0142】
Treg特異的な発現を有するLVを設計するために、我々はENCODEデータベースに含まれている情報を利用し、FOXP3、ならびに同定したCNS1、CNS2及びCNS3において重要なTreg特異的なエンハンサー領域としてTreg特異的なDNAse過敏症の領域を同定した。3つのCNS領域は高度に保全され、FoxP3発現及びTreg発生に関する各領域の遺伝的除去の効果を実証するマウスモデルについて以前に特徴があった(Zheng et al.2010)。CNS3は「パイオニアエレメント」として特徴があり、胸腺細胞Treg発生時、FoxP3発現の初期誘導に重要である。CNS1は多くのSmad結合部位を有するTGFβ応答性エレメントであると考えられ、pTregの誘導に重要である。CNS2は関与したTregにおける安定的なFoxP3発現の維持の原因である(Li et al.2014)。近年の証拠では、CNS2エンハンサー領域に関与したTregにおける高レベルのFoxP3発現を引き起こすことが可能な胸腺Treg発生時、CNS2の脱メチル化がTet酵素によって開始される活性なプロセスであることが示唆されている(Toker et al.2013;Yue et al.2016)。興味深いことに、我々がNSG Tconv/Tregサブセットにおいて、それぞれ内因性CNS2メチル化/脱メチル化の予測パターンを観察すると共に、ウイルス性CNS2配列はすべてのサブセットにおいて完全に脱メチル化された。このことは、HSC状態(LV形質導入を介して)での脱メチル化されたCNS2領域の導入により、LV内のこの領域が発生全体にわたり、メチル化されていないままにすることができることを示唆している。対照的に、内因性FOXP3遺伝子は、胸腺リンパ球新生及びTreg発生時、発生している特異的な脱メチル化を有する胚形成の初期に包括的にメチル化させることができる。内因性及びウイルス性CNS2メチル化の間の不一致にかかわらず、LV発現はTreg系統に対して高次に選択的なままであり、脱メチル化されたCNS2が単独でFoxP3発現を引き起こさないこと、ならびにCNS1、CNS3及びFoxP3プロモーターが更なる特異性を与え得ることが示唆されている。さらに、CNS2の過剰メチル化がFoxP3発現の低減(Li et al.2014)及び自己免疫障害の患者におけるTreg機能の障害(Guo et al.2016)に関連する場合、脱メチル化されたCNS2を維持するLVは自己免疫障害におけるFoxP3発現を向上するために有利であること推測することは、この可能性が調査されていないにもかかわらず、魅力的である。
【0143】
中枢性寛容シグナル(nTreg)においてまたは寛容誘発シグナル(pTreg)に応答する末梢性FoxP3-Tconvからの両方でFoxP3+Tregが発生する。Haribhai et al.による中心的な研究は、nTreg及びpTregサブセットの両方がscurfyマウスにおける自己免疫欠損を制御する際に非重複の役割を果たし、自己抗原への免疫寛容の基本保全のために重要であることを示唆している(Haribhai et al.2011)。したがって、IPEXの有効な治療は、胸腺及び末梢性Treg発生の両方を理想的に回復する。FoxP3 cDNAを系統特異的に発現することがTreg機能及び表現型を回復するのに十分なFoxP3発現レベルを達成するかどうかを判断するために、我々はscurfyHSCにおけるCNS123p-FoxP3-mStrawberryを試験した。nTreg発生の回復は、修正scurfy胸腺細胞により示されるTreg表現型(GITR+、CD25+)及びCD4+mStrawberry+脾細胞のin vitroでの抑制性能力によって証明される。我々の研究では、TGFβの存在下での活性化により新規のFoxP3発現を誘発する修正scurfyCD4細胞の能力によって示される、pTregコンパートメントの回復も示唆される。
【0144】
臨床解釈の前に考慮する重要な因子は、IPEX患者の自己免疫を回復するために必要なHSC修正及び移植のレベルである。IPEX患者の同種HSC移植の報告では、自己免疫の回復の成功が部分的なドナーキメラ現象で達成することができることを実証している(Barzaghi et al.2018)。これらの症例のいくつかにおいては、ドナーTregが低レベルの総ドナー移植にもかかわらず、Tregコンパートメントにおける完全なドナーキメラ現象を有する選択的有利を呈することが示された(Kasow et al.2011;Seidel et al.2009)。CD4+細胞の養子移入を有するscurfy新生児を救済する我々の研究においては、精製されたCD4産物における3より大きいVCNが自己免疫を修正する十分に高いFoxP3発現を有するTregを生成するために必要であった。このことは、LV構造体に含まれるFoxP3エンハンサーの我々の設計した組み合せが、FoxP3発現を促進するときに内因性遺伝子よりも低い効率になること、あるいはLVに含まれるヒト調節エレメントがマウス細胞において最適以下の発現を提供することを示唆し得る。にもかかわらず、我々のNSG異種移植片の研究は、3より大きいVCNがヒトCD34+細胞において容易に達成することができることを示す。更なる研究では、ヒトIPEX HSCからの機能的なTregの発生を回復するために必要な補正VCNを評価することを目標とする。
【0145】
要約すると、我々はFoxP3欠損HSCからTreg発生をうまく回復するする内因的に調節されたLVの発生を実証する。表現型及び機能においてWT Tregと密接に似ている修正Tregは、重要なことに、scurfyマウスの自己免疫表現型を逆転させることができる。さらに、ヒト化マウスモデルはLT-HSCの効率的な遺伝子修飾及び高レベルの系統特異的な発現を示し、IPEX患者にこの治療の好ましい解釈を示唆している。より広範には、この研究は、HSCレベルで免疫系を再プログラミングして免疫寛容を回復することの第一実証を示す。IPEXは奇病であるが、その重症度及び適切な治療の不足により優れたゲートウェイ疾患とみなされ、免疫寛容を調節する新規なHSCベースの治療の開発に生物学的洞察を提供する。これらの所見は、自己由来HSCTによるIPEX患者の治療の道を開き、異なる供給源の自己免疫不全の患者に新規な治療への有益な洞察を提供することができる。
【0146】
材料及び方法
レンチウイルスベクター
MNDU3-GFP(Logan et al.2004)及びUBC-mCitrine(Baldwin et al.2015)の構築が記載されている。MNDU3-FoxP3-IRES-GFPは、Dr.Gay Crooksからの親切な贈り物であった。CNS123p-mStrawberry及びCNS123p-FoxP3-mStrawberryレンチウイルスベクターは、空のCCL骨格にクローニングされた(Dull et al.1998)。NEBuilder(R)HiFi DNA組み立てキット(New England Biolabs)レンチウイルスベクターを用いてクローニングされる適合性のある端を有するgBlocks(登録商標)(Integrated DNA Technologies)として断片を合成した。VSV-Gシュードタイプを使用して、レンチウイルスベクターをパッケージ化し、濃縮し、記載されるようにタイターを測定した(Cooper et al.2011)。
【0147】
細胞株
MT2細胞は、Dr.Douglas RichmanからNIH AIDS Reagent Program,Division of AIDS,NIAID,NIH:MT-2 Cellsより入手した。(Haertle et al.1988;Harada,Koyanagi,and Yamamoto 1985)。Jurkat及びK562細胞はATCCから入手した。細胞は、R10(RPMI[Gibco]/10%のFBS[Gibco]/1xPenicillin/Streptomycin/Glutamine[PSG、Gemini Bio Products])で維持された。細胞を1E6細胞/mLで培養し、濃度(1E5 TU/mL~1E8 TU/mL、MOI 0.1~100)でCNS123p-mStrawberryを形質導入し、翌日、新しいR10に変えた。培養の10日後、細胞をmStrawberry発現についてフローサイトメトリーによって分析し、ゲノムDNAをベクターコピー数解析のために単離した。
【0148】
マウス
実験に関連するすべての動物は、the Division of Laboratory Madicineのthe UCLA Animal Research Committeeにより承認されたプロトコルに従って世話をし、取り扱った。B6(CD45.2)、B6.SJL(CD45.1)、B6-FoxP3GFP(CD45.2)、B6-scurfy、NSG及びNSG-SGM3マウスは、Jackson labs coloniesから購入し、UCLAで維持した。以下の飼育方法はscurfyマウスに使用した。ヘテロ接合型雌のscurfyマウス(CD45.2、X/XSf、表現型が正常)を野生型B6(CD45.2)またはB6.SJL(CD45.1)雄と交配し、サブコロニーのCD45.2、CD45.1及びCD45.1/CD45.2scurfyマウスを産んだ。60×10個のWT脾細胞の腹腔内注入により雄のscurfy新生児(Xsf/Y)を救済し、ヘテロ接合型雌のscurfy(X/XSf)と再交配し、雌のscurfy(Xsf/Xsf)を得た。救出された雄のscurfy(Xsf/Y)及び雌のscurfy(Xsf/Xsf)マウスを交配し、すべての子がFoxP3欠損である同腹仔を得た。雄及び雌のscurfyマウスは識別不能な疾患の進展を示し、同じ意味で使用された。
【0149】
マウス類遺伝子性移植片
骨髄細胞は、乳鉢及び乳棒で無菌に単離された大腿骨、脛骨、骨盤、脊椎及び上腕骨を破砕することによって得られた。系統除去キット(Miltenyi Biotec)を用い、製造業者の取扱説明書に従いLin細胞を得た。2×10個のLin細胞/mLでマウス形質導入媒体(Span SFEM[Stem Cell Technologies]、1x PSG[Gemini Bio Products]、100ng/mLのmTPO、10ng/ml mSCF[Peprotech]、5mg/mLのポリブレン[Sigma Aldrich])にLin細胞を再懸濁し、retronectin(Takara)コートウェル(RTで2時間、20ng/mL)で播種し、一晩、LVでインキュベートした。養子移入に修正Tregを生成するために用いられる移植において、1mg/mLのポロキサマーKP338(BASF)を添加し、遺伝子転写効率を向上させた。
【0150】
形質導入後、細胞を回収し、洗浄し、PBSに再懸濁した。6~10週齢のB6.SJL(CD45.1)またはB6(CD45.2)レシピエントは、線量間が3~4時間で分割線量600+600Radを用いて1200Rad(線量率約100Rad/分)で照射した。最終放射線量の1~4時間後に、後眼窩注入により細胞を注入した。移植された細胞線量は、マウス1匹当たりLin細胞5E5~1E6個に及ぶ。
【0151】
細胞1個当たりのベクターコピー(VC)の決定
PureLinkゲノムDNAキット(Invitroen)を用いて試料からゲノムDNAを抽出した。ddPCRを用いて平均VC/細胞を測定した。1×ddPCR Master Mix(Bio-Rad)、プライマー及びHIV-1Psi範囲に特異的なプローブ(当該プライマー及びプローブに対してそれぞれ400nM及び100nM)を含む容量22μL、DraI(40U;New England Biolabs)、ならびに1.1μLのゲノムDNAサンプルからなる反応混合物を調製した。QX100 Droplet Generator(Bio-Rad)を用いて、液滴を発生させた。熱サイクル条件は、95℃で10分間、94℃で30秒間及び60℃で1分間(55サイクル)、98℃で10分間(1サイクル)及び12℃保持からなる。QX200 Droplet Reader/Quantasoft V1.7(Bio-Rad)を用いて特定の増幅された部分の濃度を定量化し、常染色体ヒト遺伝子SDC4遺伝子に対するプライマーまたはマウス試料にuc378遺伝子を用いて正規化した。プライマー/プローブシーケンスは、表2に示される。
【表2】
【0152】
マウスCD4単離
70μMメッシュフィルターによる無菌除去及び脾臓の穏やかな破壊によって、マウス脾細胞を得た。調整前塩化アンモニウム系溶解バッファー(BD Biosciences)を用いてRBC溶解が行われた。CD4単離キット(Miltenyi Biotec)を用いてCD4+細胞に対して脾細胞を濃縮した。簡単に述べると、脾細胞はCD4-細胞を標識しているビオチン化された抗体のカクテルを用いて標識され、抗ビオチン磁気ビーズを用いて標識した。CD4+細胞を貫流内で回収しながら、LSカラム(Miltenyi Biotec)上で分離した。scurfy新生児にCD45.2+CD4+細胞の養子移入を利用する実験において、抗CD45.1ビオチン化された抗体を初期の培養工程で添加し、任意の残存するレシピエントCD45.1細胞を除去した。
【0153】
Treg抑制分析
FACSソーティングの前に、CD4豊富脾細胞をCD4-APC(Clone RM4-5、BD)及びGhost 780バイアビリティー色素(Tonbo Biosciences)を用いて、標識した。抑制性機能の評価のために、生育可能なCD4+GFP+(WT Treg)またはCD4+mStrawberry+(scurfy Treg)をソートした。5μM Cell Traceバイオレット増殖色素(Thermo Fisher)を用いて、37℃で20分間、Tresp細胞(WT B6 CD4+細胞)を標識し、洗浄し、サイトカインなしでR10において1:1の比でソートされたTregと共培養した。実験は、96ウェルUボトムプレートの2.5E4~5E4個/ウェルのTresp細胞に及ぶ。マウスCD3/CD28 TActivator Dynabeads(ThermoFisher)を培養液にビーズ1個:Tresp細胞1個の比で添加した。細胞は3日間、培養し、増殖色素を希薄するためにFACS分析を行った。FlowJo V7.6.5(TreeStar)を用いて増殖指数を算出した。
【0154】
修正Tregを用いたscurfy新生児の救出及び分析
scurfy新生児は、29ゲージインスリンシリンジを用いて、50uLのPBS内の精製CD4+細胞を腹膜内に注入された。CD4細胞の絶対数及び各集団の相対Treg含有量が図16に記載される。顎下穿刺によって21日齢scurfyマウスから血清分離管(RAM Scientific)に血液を回収し、10分間、500xgで遠心分離し、サイトカイン分析のために血漿を得た。Luminexプラットフォームを用いてUCLA Immune Assessment Coreによってサイトカインを分析した。
【0155】
ヒト化異種移植片
臍部のCBは膣及び帝王切開後、UCLA Medical Centerで得られた。得られたすべての試料は、IRB審査を免除されている匿名の医療廃棄物とみなされた。Ficoll-Paque PLUS(GE Healthcare)密度遠心分離を用いて、回収の48時間内にNMCを単離し、製造業者の取扱説明書(Miltenyi Biotec)に従ってCD34濃縮を行った。単一コード由来のCD34+細胞を90%のFBS(Gibco)/10%のDMSO(Sigma Aldrich)においてクライオバイアル内で凍結し、後の使用のために保存した。融解しながら、CD34+細胞をヒト形質導入媒体(X-vivo-15[Lonza]、1x PSG[Gemini io Products]、50ng/mLのSCF、50ng/mLのTPO、50ng/mLのFlt3L[Peprotech])に再懸濁した。細胞を24時間、形質導入媒体で培養し、さらに24時間、LVでインキュベートした。形質導入後、CD34+細胞を回収し、PBSで洗浄し、氷上で30分間、OKT3(Tonbo Biosciences、1μg/100μL)でインキュベートし、GVHDがCD34+移植片に存在するT細胞を汚染することを防いだ(Wunderlich et al.2014)。移植直前に、137Cs源及び線量率100Rad/分を用いて線量125Radで1~3日齢新生児NSGマウスを照射した。各マウスは1~3×10個のCD34+細胞を受け取った。
【0156】
フローサイトメトリー
BM由来の単一細胞懸濁液は、上述するように大腿骨を破砕することによって得られた。胸腺及び脾臓は、組織を70uMストレーナーにより破砕することによって調製された。試料は、以下の方法を用いてフローサイトメトリーのために準備した。50uLのFACSバッファー(リン酸緩衝食塩水[PBS、Corning]/0.5%のBovine Serum Albumin[BSA、Sigma])に再懸濁し、1μLの各抗体及び0.5μLのGhost 780バイアビリティー色素(Tonbo Biosciences)で4℃で20~30分間、細胞をインキュベートした。
【0157】
すべての抗体はBD Biosciencesから購入された。ヒト細胞の分析のために、次の抗体を使用した。CD45-APC、CD45-FITC、CD33-BV421、CD19-PE-Cy7、CD34-FITC、CD34-PE-Cy7、CD4-FITC、CD4-PE-Cy7、CD8-APC、CD25-V450、CD25-PerCPCy5.5。マウス細胞の分析のために、次の抗体を使用した。CD45.1-FITC、CD45.1-V450、CD45.1-APC、CD45.2-FITC、CD45.2-V450、CD4-PECy7、CD4-APC、CD8-PE-Cy7、Gr1-APC、B220-PerCp、CD3-PerCp、cKit-APC、CD44-PerCpCy5.5、CD62L-PE-Cy7、GITR-APC、CD25-APC、CTLA4-APC。
【0158】
細胞内のFoxP3染色のために、上述するように、まず細胞を細胞表面マーカー及び固定可能なバイアビリティー色素で染色した。洗浄後、製造業者の指示に従ってFoxP3染色バッファーセット(eBioscience)を用いて細胞を固定し、透過処理した。ヒトFoxP3-PEまたはヒトFoxP3-APC(ebioscience、clone 236A/E7)をRTで30~60分間、添加した。アイソタイプコントロールを用いてFoxP3+ゲートを設定した。LSRIIまたはLSR-Fortessaフローサイトメータ(BD Biosciences)上に試料を獲得した。FlowJo V10(TreeStar)を用いてデータを解析した。
【0159】
メチル化分析/亜硫酸水素塩シークエンシング
Purelink Genomic DNAミニキット(Invitrogen)を用いて、ソートされたTreg(CD4+CD25+)及びTconv(CD4+CD25-)サブセットからゲノムDNAを抽出した。EpigenDxによってヒトFoxP3遺伝子のCNS2のCpGジヌクレオチドメチル化分析が行われ、RNase処理されたゲノムDNAの亜硫酸水素塩処理により判定され、PCR増幅及びパイロシークエンシング(EpigenDx分析ADS783-FS2)が行われた。ウイルス性CNS2を独自に認識する以下のプライマーを用いて、合成LV DNAからのFoxP3 CNS2のメチル化分析のためのEpigenDxによって、カスタム分析が行われた。FoxP3 CNS2 Viral F:TGGAGTTAGATTGTTTGGGA(配列番号11);FoxP3 CNS2 Viral R:CACCTATAAATCCAAATACCCCAC (配列番号12)。
【0160】
実施例2のための参照
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【0161】
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【0162】
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【0193】
本明細書に記載された実施例及び実施形態は例示的な目的のためだけであり、それに関する様々な変形例または変化は当業者に提案され、本出願の精神及び範囲、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。本明細書に引用されたすべての刊行物、特許及び特許出願は、すべての目的のためにその全体が参照により援用される。
配列表
配列番号1
pCCL-CNSp-FOXP3-3UTR-A2。接合マーカー由来の配列:
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
図1A
図1B
図2
図3A
図3BC
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5BC
図5DE
図6
図7
図8AB
図8CD
図8EF
図9
図10A-D】
図10E
図11AB
図11CD
図11EF
図12AB
図12C-E】
図13A-D】
図13EF
図14
図15
図16A
図16B-D】
図17
図18A
図18BC
【配列表】
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