(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】帯掛機
(51)【国際特許分類】
B65B 13/18 20060101AFI20230606BHJP
【ＦＩ】
B65B13/18 A
【請求項の数】
2
(21)【出願番号】P 2021144119
(22)【出願日】2021-09-03
(65)【公開番号】P2023037399
(43)【公開日】2023-03-15
【審査請求日】2021-09-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592060215
【氏名又は名称】大蔵工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】馬場 和人
(72)【発明者】
【氏名】岩沢 康太朗
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開２００９－２４８９８５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００７－０４５４６８（ＪＰ，Ａ）
【文献】特表平０９－５０８０８９（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｂ６５Ｂ １３／１８
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状をなすように構成されたテープガイドと、テープロールから前記テープガイドへのテープの送り込みと、前記送り込みでループが形成されたテープの引き締めを行うテープ制御部と
を備え、被結束物にテープを帯掛する帯掛機であって、
前記テープガイドは、
前記テープガイドの外側から内側に前記テープを送り込むための送り込み部と、
前記送り込み部をふさがないように折り返して、前記テープガイドの内側に沿って二重に配置されるように経路を構成する１つのエンドレスベルトと、
前記エンドレスベルトを前記経路に沿って回転させるための駆動部と、
前記テープガイドの前記テープが送り込まれる側に配置され、前記テープガイドの内側から外側に向けた空気の流れを作るファンと、
ダクトの役割を果たす外枠部と、
を有し、
前記エンドレスベルトには、複数の穴が形成されており、
前記テープは、前記経路の内側に位置する前記エンドレスベルトに前記送り込み部を通じて供給され、
前記駆動部は、前記エンドレスベルトの前記テープが覆う位置には配置されておらず、
前記テープ制御部は、
前記テープを挟み、送り込みと引き締めを行うローラと、
前記ローラと前記送り込み部との間に配置された、前記テープを導くためのテープ送りガイドと
を備え、
前記ローラは、前記エンドレスベルトによって運ばれるテープの速さよりも速くテープを送り込み、
前記テープ送りガイドは、あらかじめ定めた長さの範囲の前記テープを収納でき、収納されている前記テープが前記あらかじめ定めた長さの範囲内の長い状態のときには、前記テープは当該テープ送りガイドに沿った状態となって前記テープの移動を制限する力を生じさせ、
前記テープを送り込むときは、前記ローラが前記テープを挟む力は、前記テープ送りガイドに収納されている前記テープが前記あらかじめ定めた長さの範囲外になることを防ぐために、前記テープの移動を制限する力が生じたときにスリップするように調整されている
ことを特徴とする帯掛機。
【請求項2】
請求項１記載の帯掛機であって、前記ファンは、前記テープの送り込みのときの方が、引き締めのときよりも強く動作する
ことを特徴とする帯掛機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被結束物にテープを帯掛して結束する帯掛機に関する。
【背景技術】
【0002】
帯掛機はテープガイドにテープロールからテープを送り込んでテープのループを形成し、そのループを引き締めて被結束物にテープを帯掛するもので、テープガイドはループ状をなすように構成される。このような帯掛機として、特許文献１～３などが知られている。なお、一般的な従来の帯掛用のテープは、厚さは５０～１００μｍ程度であり、幅は２０～５０ｍｍ程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２００１－２０６３０８号公報
【文献】特開２０１３－２３３９３３号公報
【文献】特開２００２－０８００１３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の帯掛機では、テープは送り込みと引き締めを行うローラによって、テープガイドにテープロールからテープを送り込む。つまり、テープガイド内ではテープは引っ張られるのではなく、押されることでループを形成する。そのため、テープにはある程度の剛性が必要であり、柔らかいテープ（材質が柔らかいテープ、同じ材質でも薄いテープの両方を含む）を帯掛に用いることはできなかった。
【0005】
そこで、本発明は、従来よりも柔らかいテープを利用できる帯掛機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の帯掛機は、テープガイドとテープ制御部とを備え、被結束物にテープを帯掛する。テープガイドは、ループ状をなすように構成されている。テープ制御部は、テープロールからテープガイドへのテープの送り込みと、送り込みでループが形成されたテープの引き締めを行う。テープガイドは、送り込み部、エンドレスベルト、駆動部、ファン、外枠部を有する。送り込み部は、テープガイドの外側から内側にテープを送り込むための空間である。エンドレスベルトは、送り込み部をふさがないように折り返して、テープガイドの内側に沿って二重に配置されるように経路を構成する。エンドレスベルトには、複数の穴が形成されている。駆動部は、エンドレスベルトを経路に沿って回転させる。ファンは、テープガイドのテープが送り込まれる側に配置され、テープガイドの内側から外側に向けた空気の流れを作る。外枠部は、ダクトの役割を果たす。テープは、経路の内側に位置するエンドレスベルトに送り込み部を通じて供給される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の帯掛機によれば、ダクトの役目を果たす外枠部とファンとエンドレスベルトに形成された穴によって、テープガイドの内側から外側に空気の流れが作られる。エンドレスベルトには複数の穴が形成されているので、経路の内側に位置するエンドレスベルトにテープが供給されると、エンドレスベルトがテープを吸引する。よって、テープが従来よりも柔らかい場合でも曲がることなく、テープガイドに沿ってループを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の帯掛機の構成例を示す図。
【図3】テープを送り込み始めたときの様子を示す図。
【図4】テープを送り込む途中の様子を示す図。
【図5】テープの送り込みが終了したときの様子を示す図。
【図6】テープの引き締めを行っているときの様子を示す図。
【図7】テープの引き締めが終了したときの様子を示す図。
【図8】テープを結束したときの様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
図１に本発明の帯掛機の構成例を示す。図２は、図１のＡ－Ａでの断面図である。図３はテープを送り込み始めたときの様子を示す図、図４はテープを送り込む途中の様子を示す図、図５はテープの送り込みが終了したときの様子を示す図、図６はテープの引き締めを行っているときの様子を示す図、図７はテープの引き締めが終了したときの様子を示す図、図８はテープを結束したときの様子を示す図である。
【0011】
帯掛機１００は、テープガイド１０１とテープ制御部２５０とを備え、被結束物９００にテープ３１０を帯掛する。テープガイド１０１は、ループ状をなすように構成されている。テープ制御部２５０は、テープロール３００からテープガイド１０１へのテープ３１０の送り込みと、送り込みでループが形成されたテープ３１０の引き締めを行う。
【0012】
テープガイド１０１は、送り込み部１２０、エンドレスベルト１３０、駆動部１４０、ファン１５０、ファン固定部１１１、外枠部１１０、受け板１９０、テープストッパ１２５、ヒータ１８０などを有する。テープ制御部２５０は、ローラ２１１，２１２、テープ送りガイド２２１，２２２、情報処理部２３０などを備え、テープロール３００を収納できる。
【0013】
受け板１９０、テープストッパ１２５、ヒータ１８０は、特許文献１などに示されたものと同様の構成とすればよい。また、図示していないが、結束後にテープ３１０を切るためのカッタなども備えればよい。また、帯掛機１００は、動作の制御のために図示していないセンサなども備えている。ただし、これらは従来技術と同じなので、説明は省略する。
【0014】
送り込み部１２０は、テープガイド１０１の外側から内側にテープ３１０を送り込むための空間（外枠部１１０の切れ目）である。エンドレスベルト１３０は、送り込み部１２０をふさがないように折り返して、テープガイド１０１の内側に沿って二重に配置されるように経路を構成する。図１では、１つのエンドレスベルト１３０を備える構成であるが、複数の区間に区切り、区間ごとに経路を構成するようにエンドレスベルトを配置してもよい。エンドレスベルト１３０には、複数の穴１３１が形成されている。
【0015】
駆動部１４０は、エンドレスベルト１３０を経路に沿って回転させる。図１，２では、ローラ状の駆動部１４０を示している。駆動部１４０を回転させるモータは図示していない。また、図中に示した駆動部１４０すべてをモータで回転させる必要はない。エンドレスベルト１３０を経路に沿って回転させるために必要な数の駆動部１４０をモータで回転させ、残りはエンドレスベルト１３０の回転に伴って回転するようにしてもよい。
【0016】
ファン１５０は、テープガイド１０１のテープ３１０が送り込まれる側に配置され、テープガイド１０１の内側から外側に向けた空気の流れ１５１を作る。ファン１５０は、ファン固定部１１１に取り付けられる。外枠部１１０は、ダクトの役割を果たす。具体的には、テープ３１０がエンドレスベルト１３０の穴１３１を覆っている部分は、その先の空気を吸い込む。したがって、少なくとも外枠部１１０は、テープガイド１０１の内側全体において、テープ３１０の位置に応じてダクトの役割を果たす。また、穴１３１を小さくし、エンドレスベルト１３０と外枠１１０との隙間を小さくすれば、外枠１１０はテープ３１０の有無にかかわらずテープガイド１０１の内側全体にわたってダクトの役割を果たす。なお、テープ３１０は、経路の内側に位置するエンドレスベルト１３０に送り込み部１２０を通じて供給される。
【0017】
ファン１５０がテープガイド１０１のテープ３１０が送り込まれる側に配置されているので、テープ３１０が送り込まれる位置での空気の流れが最も大きくなる。なお、テープ３１０がない状態ではエンドレスベルト１３０の穴１３１が解放されているので、テープ３１０を吸引する力は弱くなりやすい。そのため、ファン１５０をテープガイド１０１のテープ３１０が送り込まれる付近に配置することが望ましい。また、テープ３１０が移動するにしたがって穴１３１が塞がっている範囲が広くなるので、ファン１５０から遠い位置でも吸引力を確保できるようになる。
【0018】
ローラ２１１，２１２は、テープ３１０を挟み、送り込みと引き締めを行う。例えば、ローラ２１２はモータ（図示していない）によって回転し、ローラ２１１はテープ３１０を挟む力を制御し、テープ３１０の移動に伴って回転するようにすればよい。挟む力を強くすれば、テープ３１０はローラ２１２の回転にしたがって移動しやすくなる。一方、挟む力を弱くすれば、テープ３１０の移動を制限する力（抵抗）が加わったときに、スリップ（滑り）を生じやすくできる。
【0019】
情報処理部２３０は、図示していないが従来技術と同様に配置されているセンサからの情報を取得し、駆動部１４０、ローラ２１１，２１２、ファン１５０などを制御する。例えば、ファン１５０は、テープ３１０の送り込みのときの方が、引き締めのときよりも強く動作するように制御すればよい。このように制御すれば、送り込みのときは柔らかいテープでもループを形成しやすくなり、かつ、引き締めのときにはテープをエンドレスベルト１３０から離しやすくなる。
【0020】
テープ送りガイド２２１，２２２は、ローラ２１１，２１２と送り込み部１２０との間に配置され、テープ３１０を導く。テープ送りガイド２２１，２２２は、あらかじめ定めた長さの範囲のテープ３１０を収納できる。例えば、図４，５のように、テープ３１０がテープ送りガイド２２１に沿った状態が、あらかじめ定めた長さの範囲の最も長い場合である。また、図７，８のように、テープ３１０がテープ送りガイド２２２に沿った状態が、あらかじめ定めた長さの範囲の最も短い場合である。
【0021】
テープ３１０は、エンドレスベルト１３０とローラ２１１，２１２によって送り込まれるので、エンドレスベルト１３０とローラ２１１，２１２の速度を調和させる必要がある。上述のローラ２１１，２１２でのテープ３１０のスリップと、テープ送りガイド２２１，２２２のあらかじめ定めた長さの範囲は、エンドレスベルト１３０とローラ２１１，２１２の速度の差を調整する役割を果たす。具体的には、テープ制御部２５０は、エンドレスベルト１３０によって運ばれるテープ３１０の速さよりも、ローラ２１１，２１２がテープ３１０を送り込む速さを少し速くする。また、ローラ２１１，２１２がテープ３１０を挟む力は、テープ３１０を送り込むときはスリップが生じやすい設定にすればよい。
【0022】
テープ３１０を送り込むときには、テープ送りガイド２２１，２２２に収納されるテープ３１０は次第に増えていき、最終的には、図４，５のように、テープ３１０がテープ送りガイド２２１に沿った状態となる。この状態になると、テープ３１０が移動しにくくなるので、移動を制限する力（抵抗）が生じる。この場合にスリップが生じるように、ローラ２１１とローラ２１２がテープ３１０を挟む力を調整すればよい。テープ３１０が柔らかい場合は挟む力の調整は難しくなる。そこで、テープ送りガイド２２１に沿った状態のときに、ローラ２１１，２１２付近ではテープ３１０を曲げる力が加わりにくいように（力がテープ３１０の長さ方向に加わるように）、テープ送りガイド２２１の形状を調整すればよい。このように制御すると、送り込みのときにテープ３１０がテープ送りガイド２２１に沿った状態になるとスリップを生じさせることができ、送り込み過ぎを避けることができる。
【0023】
テープ３１０を引き締めるときは、図６に示すようにテープ３１０はエンドレスベルト１３０から離れるので、エンドレスベルト１３０とローラ２１１，２１２の速度を調和させる必要はない。図７に示すように、テープ３１０の引き締めが終了するとテープ３１０はテープ送りガイド２２２に沿った状態となる。上述のように、この状態は、あらかじめ定めた長さの範囲の最も短い場合である。この状態でローラ２１１，２１２が回り続けると、スリップが生じる。つまり、ローラ２１１，２１２は、テープ送りガイド２２１，２２２に収納されているテープ３１０があらかじめ定めた長さの範囲外になることを防ぐためにスリップする。なお、エンドレスベルト１３０とローラ２１１，２１２の速度の調和が十分確保できるのであれば、スリップしやすくなるようにローラ２１１，２１２の挟む力を調整する必要はない。
【0024】
本発明の帯掛機によれば、ダクトの役目を果たす外枠部とファンとエンドレスベルトに形成された穴によって、テープガイドの内側から外側に空気の流れが作られる。エンドレスベルトには複数の穴が形成されているので、経路の内側に位置するエンドレスベルトにテープが供給されると、エンドレスベルトがテープを吸引する。よって、テープが従来よりも柔らかい場合でも曲がることなく、テープガイドに沿ってループを形成できる。したがって、従来よりも柔らかい材質のテープ、従来よりも薄いテープを帯掛に利用できる。
【符号の説明】
【0025】
１００ 帯掛機 １０１ テープガイド
１１０ 外枠部 １１１ ファン固定部
１２０ 送り込み部 １２５ テープストッパ
１３０ エンドレスベルト １３１ 穴
１４０ 駆動部 １５０ ファン
１８０ ヒータ １９０ 受け板
２１１，２１２ ローラ ２２１，２２２ テープ送りガイド
２３０ 情報処理部 ２５０ テープ制御部
３００ テープロール ３１０ テープ
１１０ 外枠部 １１１ ファン固定部
１２０ 送り込み部 １２５ テープストッパ
１３０ エンドレスベルト １３１ 穴
１４０ 駆動部 １５０ ファン
１８０ ヒータ １９０ 受け板
２１１，２１２ ローラ ２２１，２２２ テープ送りガイド
２３０ 情報処理部 ２５０ テープ制御部
３００ テープロール ３１０ テープ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】