(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】アイスクリームの充填装置
(51)【国際特許分類】
A23G 9/24 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
A23G9/24
(21)【出願番号】P 2019038227
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】592193144
【氏名又は名称】株式会社愛産製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 正視
(72)【発明者】
【氏名】荒木 紀昌
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-062755(JP,A)
【文献】特開昭60-224450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底の可食容器に
アイスクリームを充填す
る充填装置であって、
間欠移送されて停止した有底の可食容器の開口部に対向して配置され該可食容器に
アイスクリームを充填する充填ノズルと、
前記可食容器の移送平面内に於いて、該可食容器の移送方向に沿って前記充填ノズルを往復移動させる移送方向往復装置と、
前記可食容器の移送平面内に於いて、該可食容器の移送方向に対し直交する方向に前記充填ノズルを往復移動させる直交方向往復装置と、
前記可食容器の移送平面内に対し、前記充填ノズルを昇降させる昇降装置と、
前記充填ノズルを該充填ノズルの中心軸線を中心として回転させる回転装置と、
を有し、
前記回転装置によって前記充填ノズルを自転させつつ、前記移送方向往復装置と前記直交方向往復装置によって該充填ノズルを公転させ、前記充填ノズルからアイスクリームを吐出させると共に前記昇降装置によって該充填ノズルを上昇させるように構成した
ことを特徴とする
アイスクリームの充填装置。
【請求項2】
前記回転装置は、前記充填ノズルに取り付けたねじ歯車と、該ねじ歯車に噛合する駆動ねじ歯車と、該駆動ねじ歯車を回転させるモータと、を有して構成されていることを特徴とする請求項1に記載した
アイスクリームの充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可食容器にアイスクリームを充填するための充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウエハースからなるモナカやウエハース又はワッフルからなる錐型のコーン等にアイスクリームを充填して冷凍した冷菓が提供されている。このような冷菓は、工場段階でモナカやコーン等の可食容器にアイスクリームを充填して冷凍保管し、冷凍した状態で流通されている。
【0003】
このような冷菓として、コーンにアイスクリームを錐状に盛り付けたソフトアイスクリームが提供されている。ソフトアイスクリームを製造する場合、コーンの開口部に対向して吐出ノズルを配置すると共に該吐出ノズルに圧力抜き装置を接続し、連続的に供給されるアイスクリームを圧力抜き装置に一時的に貯留する。そして、貯留したアイスクリーム及び連続的に供給されるアイスクリームを吐出ノズルから吐出させると同時に、該吐出ノズルを上昇させることで、錐状に充填してソフトアイスクリームを製造している。
【0004】
ソフトアイスクリームの特殊なものとして、充填したアイスクリームの表面に筋を形成すると共に段を形成したものや、種類の異なる複数種のアイスクリームを周方向に交互に充填しつつ上方に交互に積層したものも提供されている。
【0005】
充填したアイスクリームの表面に筋を形成すると共に段を形成したソフトアイスクリームを製造するための技術として、特許文献1に記載された発明が提案されている。この発明は、アイスクリームを吐出するノズルと、このノズルを昇降させるエアシリンダーと、スプリングを介在させたカム機構を有する「特殊形状アイスクリームの製造装置」に関するものである。
【0006】
特許文献1に記載されたアイスクリームの製造装置では、コーンに対向させたノズルからアイスクリームを吐出しつつ、カム機構によって該ノズルを上昇させ、この上昇過程でスプリングによって上下方向に振動させることで、盛り上げ方向に段を形成したソフトアイスクリームを製造している。特に、ノズルには複数の溝が形成されており、これらの溝からアイスクリームが吐出されるため、コーンに充填されたソフトアイスクリームの表面には各溝に対応する筋と、上下振動に対応する段とが形成されている。
【0007】
また、種類の異なる複数種のアイスクリームを周方向に交互に充填しつつ上方に交互に積層したソフトアイスクリームを製造するための技術として、特許文献2に記載された発明が提案されている。この発明は、円筒の内部に、外周に複数の供給溝を形成すると共にこれらの溝と連通する複数の穴を有する円柱を配置し、この円柱に連続させて注入パイプを配置して構成された「アイスクリームの充填装置」に関するものである。
【0008】
特許文献2に記載されたアイスクリームの充填装置では、円柱に形成された溝毎に異なるアイスクリームを供給すると共に円柱を間欠回転させ、供給されたアイスクリームを複数の注入パイプから吐出させてコーンに充填することで、隣接するアイスクリームを明確に区切っている。そして、吐出ノズルを上昇させて再度複数のアイスクリームを交互に充填することで、上下左右に隣接するアイスクリームを明確に区切って積層させたソフトアイスクリームを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第1108279号公報
【文献】特許第1985277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
最近のアイスクリームでは、螺旋状に盛り上がり、且つ表面に鋭角の凹凸が形成されたもの、或いは複数種のアイスクリームが相互に配置されると共に積層されたものが主流になっている。
【0011】
しかし、特許文献1に記載された発明では、表面に凹凸が形成されたアイスクリームを製造することはできるものの、螺旋状に盛り上げることができないという問題がある。また、特許文献2に記載された発明では、複数種のアイスクリームを交互に且つ積層して充填することができるものの、螺旋状に盛り上げることができないという問題がある。
【0012】
このため、可食容器に対しアイスクリームを螺旋状に盛り上げることができる充填装置の開発と、この充填装置を利用した冷菓の製造装置の開発が要求されているのが実情である。
【0013】
本発明の目的は、可食容器に対しアイスクリームを螺旋状に充填することができる充填装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明に係るアイスクリームの充填装置は、有底の可食容器にアイスクリームを充填する充填装置であって、間欠移送されて停止した有底の可食容器の開口部に対向して配置され該可食容器にアイスクリームを充填する充填ノズルと、前記可食容器の移送平面内に於いて、該可食容器の移送方向に沿って前記充填ノズルを往復移動させる移送方向往復装置と、前記可食容器の移送平面内に於いて、該可食容器の移送方向に対し直交する方向に前記充填ノズルを往復移動させる直交方向往復装置と、前記可食容器の移送平面内に対し、前記充填ノズルを昇降させる昇降装置と、前記充填ノズルを該充填ノズルの中心軸線を中心として回転させる回転装置と、を有し、前記回転装置によって前記充填ノズルを自転させつつ、前記移送方向往復装置と前記直交方向往復装置によって該充填ノズルを公転させ、前記充填ノズルからアイスクリームを吐出させると共に前記昇降装置によって該充填ノズルを上昇させるように構成したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るアイスクリームの充填装置では、有底の可食容器に対しアイスクリームを充填する際に充填ノズルの軸線を中心として回転させつつ、移送方向及び移送方向に対し直交方向に往復運動させることで、可食容器に対する公転運動と自転運動を合成することができる。更に、充填ノズルからアイスクリームを吐出しつつ、上昇させることで、可食容器に対しアイスクリームを螺旋状に盛り上げて充填することができる。
【0016】
特に、移送方向往復装置、直交方向往復装置、及び昇降装置の移動速度や移動距離を夫々調整することで、可食容器の寸法の変更や、アイスクリームの充填高さの変更に対し容易に対応することができる。
【0017】
また、例えば充填ノズルから異なる色、或いは異なる味を有する複数種のアイスクリームを吐出させた場合、これらのアイスクリームが充填された後の可食容器を特定の面からみたとき、同じ模様で表現し、或いは異なる模様で表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施例に係る充填装置の構成を説明する正面図である。
【
図2】本実施例に係る充填装置の構成を説明する平面図である。
【
図3】本実施例に係る充填装置のフレーム構成を説明する側面図である。
【
図4】本実施例に係る充填装置の要部を説明する部分側面図である。
【
図5】コーンに対してアイスクリームを充填する工程を説明する図である。
【
図6】コーンに対してアイスクリームを充填する工程を説明する図である。
【
図7】アイスクリームが充填された冷菓を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るアイスクリームの充填装置(以下単に「充填装置」という)について説明する。本発明に係る充填装置は、アイスクリームを有底の可食容器に充填するに際し、この可食容器に対して充填ノズルを公転させると共に自転させつつ、昇降させるように構成したものである。このように、充填ノズルを公転及び自転させることで、充填ノズルから吐出させたアイスクリームの表面を常に同じ面とすること、或いは常に異なる面とすることが可能である。そして、公転及び自転に加えて、充填ノズルを昇降させることで、可食容器に対しアイスクリームを螺旋状に盛り上げて充填することが可能となる。
【0020】
本発明に於いて、充填ノズルの構造は特に限定するものではなく、1個の吐出口を有する構造であって良く、2個以上の吐出口を有する構造であって良い。特に、充填ノズルに種類の異なる複数のアイスクリームを供給すると共に、供給されたアイスクリームを複数の吐出口から吐出し得るように構成することによって、複数種の異なるアイスクリームを隣接させた状態で吐出させて可食容器に充填することが可能となる。
【0021】
また、有底の可食容器の形状や種類も特に限定するものではなく、充填すべきアイスクリームとの相性を考慮して最適なものを選択することが好ましい。例えば、アイスクリームである場合、可食容器としては、ウエハースからなるモナカやウエハース又はワッフルからなる錐型のコーン等を対象とすることが好ましい。
【0022】
モナカやコーンからなる可食容器の内面を如何なる構成にするかは限定するものではなく、ウエハースやワッフルの地肌のままであって良く、例えばチョコレート等の食品によって被覆してあっても良い。特に最近では、予め内面にチョコレート層を形成したモナカやコーンにアイスクリームを充填することが好まれている。
【0023】
以下、
図1~
図4により本発明に係る充填装置Aの一実施例について説明する。尚、
図2は充填ノズル1を公転及び自転させるための構成を説明するための要部の平面図であり、
図3は充填装置Aのフレーム構成を説明するための要部の側面図である。
【0024】
本実施例に係る充填装置A
は、二種のアイスクリームDa、Db(例えばバニラアイスとチョコアイス)を、コンベアBによって間欠的に移送される可食容器としてのコーンCに螺旋状に盛り上げて充填(
図7参照)し得るように構成されている。即ち、本実施例に係る充填装置Aは、アイスクリームの製造ラインに組み込まれ、移送された円錐状のコーンCの上端開口部に対向した充填ノズル1によって、該コーンCに対し二種のアイスクリームDa、Dbを螺旋状に盛り上げて充填することが可能である。
【0025】
図に示す充填装置Aは、二種のアイスクリームDa、DbをコーンCに充填する充填ノズル1と、この充填ノズル1をコンベアBの移送方向(Y方向)に沿って往復移動させる移送方向往復装置となるY方向往復装置20と、充填ノズル1をコンベアBの移送方向に対し直交する方向(X方向)に往復移動させる直交方向往復装置となるX方向往復装置30と、充填ノズル1をY、X方向からなる面に対して昇降させる昇降装置40と、充填ノズル1を該充填ノズル1の中心軸線を中心として回転させる回転装置50と、を有して構成されている。
【0026】
充填装置Aは、コンベアBと一体的に構成されている。このため、充填装置Aの構成を説明するのに先立って、コンベアBの構成を簡単に説明する。コンベアBはコンベアフレーム15に回転可能に取り付けた一対のチェン16を有しており、このチェン16には予め設定された間隔で複数の支持板17が取り付けられている。支持板17にはコーンCを嵌合して支持するために複数の支持孔17aが、充填装置Aに配置された充填ノズル1の数及び間隔と等しく形成されている。
【0027】
コンベアBの充填装置AよりもY方向上流側には、支持板17の支持孔17a毎にコーンCを供給するコーン供給部(図示せず)が配置されており、このコーン供給部によって支持板17に形成された支持孔17a毎にコーンを供給し得るように構成されている。尚、コーン供給部は、従来より利用されているコーン収容部に複数のコーンを収容しておき、収容されたコーンを吸着して支持孔17aに供給し得るように構成されていても良く、作業員が手作業でコーンを供給するものであっても良い。
【0028】
コンベアBのチェン16は、例えばゼネバ等の図示しない間欠駆動装置によって間欠駆動され、支持板16を一定のピッチで、移送、停止させるように構成されている。
【0029】
また、コンベアBに配置された充填装置AよりもY方向下流側にはコーンCに充填されたアイスクリームDa、Dbに被蓋するキャップ供給部(図示せず)が配置されており、必要に応じてキャップを被蓋したコーンCを冷却する冷却部(図示せず)が配置されている。
【0030】
そして、コンベアBの支持板17をY方向上流側から下流側に移送する過程で、該支持板17に対するコーンCの供給、コーンCに対するアイスクリームDa、Dbの充填、充填されたアイスクリームDa、Dbに対するキャップによる被蓋することが可能である。更に、キャップによって被蓋されたコーンCを冷却して充填形状を保持することも可能である。
【0031】
充填装置Aは、コンベアBを横断する方向に配置され、該コンベアBのコンベアフレーム15に一体的に構成された門型のフレーム19を有しており、該フレーム19を利用してY方向往復装置20、X方向往復装置30、及び昇降装置40が構成されている。
【0032】
フレーム19は、コンベアBのコンベアフレーム15に取り付けられた一対のブラケット19aと、夫々のブラケット19aに2本ずつ垂直に起立して配置されたスタンド19bと、一対のブラケット19aに配置された合計4本のスタンド19bの頂部を連結することでコンベアBを横断して設けたガーター19cと、を有している。
【0033】
フレーム19の夫々のブラケット19aに於けるコンベアBの移送方向に沿って配置された2本のスタンド19bの中間部には、昇降装置40を構成するねじ軸41が垂直方向に起立して配置されている。このねじ軸41は上端部がガーター19cを貫通して配置されており、該ガーター19cに取り付けた昇降モータ42とタイミングベルト43を介して接続されている。
【0034】
昇降モータ42は図示しない制御装置によって制御されるサーボモータを利用しており、回転方向、回転速度を適宜制御し得るように構成されている。このため、昇降モータ42の回転方向及び回転速度を設定することで、ねじ軸41は設定された回転方向と回転速度で駆動される。
【0035】
スタンド19bには昇降台44が昇降可能に取り付けられている。この昇降台44は昇降装置40を構成するものであり、所定位置にねじ軸41と螺合したナット45が取り付けられている。また、昇降台44に於ける各スタンド19bに対応する位置には直線軸受46が配置されており、該直線軸受46に各スタンド19bが嵌合することで、昇降台44は円滑に昇降し得るように構成されている。従って、昇降モータ42に設定された回転方向と回転速度に対応させて、昇降台44を円滑に上昇又は下降させることが可能である。
【0036】
上記の如くしてスタンド19bに昇降可能に取り付けられた昇降台44に、Y方向移動装置20及びX方向移動装置30が夫々構成されている。
【0037】
昇降台44は、
図2に示すように、コンベアBによる移送方向であるY方向に沿って形成された平行部44aと、コンベアBを横断する方向であるX方向に形成された横断部44bと、からなる平面視がコ字状に形成されている。
【0038】
昇降台44の平行部44a及び横断部44bには、X方向往復装置30を構成する複数のX方向直線ガイド31がX方向に沿って、予め設定された位置に配置されている。前記複数のX方向直線ガイド31を接続して、同図に二点鎖線で示すように平面視がコ字状に形成されたX方向移動台32が配置されている。
【0039】
また、横断部44bにはX方向に沿って正回転及び逆回転可能なX方向駆動モータ33と、該X方向駆動モータ33によって駆動されるねじ軸34が配置されている。そして、ねじ軸34に螺合したナット35がX方向移動台32と連結されている。
【0040】
X方向駆動モータ33は図示しない制御装置によって制御されるサーボモータを利用しており、回転方向、回転速度を適宜制御し得るように構成されている。このため、X方向駆動モータ33の回転方向及び回転速度を設定することで、ねじ軸34は設定された回転方向と回転速度で駆動される。
【0041】
従って、X方向駆動モータ33が設定された回転方向及び回転速度で回転したとき、X方向移動台32がX方向直線移動ガイド31に案内されてX方向、即ち、コンベアBの移送方向を横断する方向に移動することが可能である。
【0042】
X方向移動台33にはY方向に沿ってY方向往復装置20を構成する一対のY方向直線ガイド21が配置されている。このY方向直線ガイド21を接続して、同図に示すように平面視がコ字状のY方向移動台22が配置されている。
【0043】
また、X方向移動台33にはY方向に沿ってY方向駆動モータ23と、該Y方向駆動モータ23によって駆動されるねじ軸24が配置されている。そして、ねじ軸24に螺合したナット25がY方向移動台22と連結されている。
【0044】
Y方向駆動モータ23は図示しない制御装置によって制御されるサーボモータを利用しており、回転方向、回転速度を適宜制御し得るように構成されている。このため、Y方向駆動モータ23の回転方向及び回転速度を設定することで、ねじ軸24は設定された回転方向と回転速度で駆動される。従って、Y方向駆動モータ23に設定された回転方向と回転速度に対応して、Y方向移動台22はY方向に沿って往復移動する。
【0045】
コ字状に形成されたY方向移動台22には、Y方向に沿って両側に平行部22aが形成されており、該平行部22aを連結して凹型に形成された取付ブラケット27が配置されている。この取付ブラケット27には、複数の充填ノズル1(本実施例では6本)が予め設定された間隔を持って配置されている。
【0046】
取付ブラケット27に配置された複数の充填ノズル1には、夫々外周部に回転装置50を構成するスクリューギヤ51が取り付けられている。また、取付ブラケット27には回転駆動モータ53が取り付けられると共に、該回転駆動モータ53によって駆動される軸54が支持されている。この軸54には複数の充填ノズル1に取り付けたスクリューギヤ51毎に対向する位置に夫々スクリューギヤ52が配置されており、夫々のスクリューギヤ52が対向する充填ノズル1に取り付けたスクリューギヤ51に噛合している。
【0047】
回転駆動モータ53は図示しない制御装置によって制御されるサーボモータを利用しており、回転方向、回転速度を適宜制御し得るように構成されている。このため、回転駆動モータ53の回転方向及び回転速度を設定することで、軸54は設定された回転方向と回転速度で駆動されてスクリューギヤ52、51を回転させる。従って、回転駆動モータ53に設定された回転方向と回転速度に対応して、充填ノズル1は中心軸を中心として回転(自転)する。
【0048】
前述したように、各モータ42、33、23、53は夫々サーボモータを利用しており、精度の高い回転数と回転速度を実現することが可能である。このため、各ねじ軸41、34、24をボールねじとし、各ナット45、35、25をボールナットとしている。従って、昇降台44、X方向移動台32、Y方向移動台22の動きの精度及び応答精度を向上させることが可能である。また、軸54も同様に回転の精度及び応答精度を向上させることが可能である。
【0049】
Y方向移動台22に取り付けた取付ブラケット27にはアイスクリームDa、Dbを吐出してコーンCに充填するための充填ノズル1が配置されている。また、各充填ノズル1にはバルブ2が接続されており、該バルブ2に2系列の供給配管3a、3bが接続されている。そして、弁シリンダー2aによって夫々のバルブ2の開閉ロッド2bを昇降させることで、充填ノズル1と供給配管3a、3bとの接続を遮断し、或いは連通し得るように構成されている。
【0050】
このため、2系列の供給配管3a、3bを介して各供給孔に異なるアイスクリームを供給し、弁シリンダー2aによってバルブ2を開閉することで充填ノズル1からのアイスクリームの吐出、停止を制御することが可能である。
【0051】
充填ノズル1は、取付ブラケット27に固定された本体1aと、外周にスクリューギヤ51が取り付けられて本体1aに対し回転可能に接続された回転部材1bと、供給されたアイスクリームを吐出する分割吐出部材1cと、回転部材1bを構成し先端に分割吐出部材1cを取り付けたオワンノズル1dと、を有して構成されている。
【0052】
本体1aの内部には供給配管3a、3bと接続された流通路が形成されており、これらの配管3a、3bから供給されたアイスクリームを夫々独立した状態で回転部材1bに供給し得るように構成されている。
【0053】
回転部材1bは、内部に室を有することでお椀状に形成されたオワンノズル1dを有しており、該オワンノズル1dの先端に分割吐出部材1cが取り付けられている。回転部材1bの中心には一方のアイスクリームDaが供給される分配部材が取り付けられており、該分配部材を中心とした複数の位置に他方のアイスクリームDbがオワンノズル1dに流通する通孔が形成されている。
【0054】
分配部材は先端が分割吐出部材1cに嵌合し、該分配部材の先端と分割吐出部材1cの先端との間に所定の隙間を形成して配置されている。そして、分配部材の中心にはアイスクリームDaの流通路が形成され、流通路の端部には分配部材の外周面に開口した複数の分配孔(本実施例では3個)が形成されている。更に、分配部材の外周面であって各分配孔の両側には、仕切壁が形成されている。
【0055】
従って、分割吐出部材1cの先端側の内部には、分配部材の外周面の先端に形成された仕切壁によって仕切られた複数の通路(本実施例では6個)が形成されている。そして、これらの通路のうち1個置きに3個は分配部材の開口と接続され、残りの3個はオワンノズル1dと接続されている。
【0056】
また、分割吐出部材1cの先端部分はテーパ状に形成されており、該テーパ状部の先端面には、分配部材から供給されたアイスクリームDa及びオワンノズル1dから供給されたアイスクリームDbを吐出する吐出孔が形成されている。この吐出孔の形状は特に限定するものではなく、円形の孔や意匠性を発揮し得る孔などであって良い。
【0057】
本実施例では、分割吐出部材1cの先端面の吐出孔は、分配部材に形成された仕切壁によって仕切られた複数の通路毎に対応させて、中心から放射状に配置された6個の細長孔によって形成されている。特に、夫々の細長孔の縁部はギザギザ状に形成されている。このため、分割吐出部材1cから平たい帯状で且つ表面にギザギザの凹凸が形成されたアイスクリームを吐出することが可能となる。
【0058】
次に、上記の如く構成された充填装置AによってコーンCに2種のアイスクリームDa、Dbを充填する際の工程について
図5~
図6により説明する。
【0059】
先ず、充填ノズル1に接続したバルブ2を閉止した状態で、図示しないアイスクリームの供給装置から、供給配管3aに例えばアイスクリームDaとしてバニラアイスを供給すると共に、供給配管3bにアイスクリームDbとして例えばチョコアイスを供給する。
【0060】
昇降モータ42によって昇降台44を下降させておき、Y方向駆動モータ23とX方向駆動モータ33を同期させて駆動する。このとき、コーンCの上端開口部の径に対応させて、充填ノズル1の分割吐出部材1cに形成した吐出孔の外径がコーンCの上端開口部の内周面と一致するように、Y方向駆動モータ23とX方向駆動モータ33の正回転及び逆回転の数を設定しておく。このように設定してY方向駆動モータ23、X方向駆動モータ33を駆動することで、充填ノズル1をコーンCに対して公転させることが可能である。
【0061】
そして、Y方向駆動モータ23、X方向駆動モータ33を同期させて駆動すると同時に回転駆動モータ53を駆動することで、充填ノズル1はコーンCの上端開口部の内周面の内側を公転しつつ自転する。
【0062】
尚、回転駆動モータ53の回転数は、Y方向駆動モータ23、X方向駆動モータ33の回転数と一定の関係を有する必要はない。即ち、充填ノズル1がコーンCに対して1回公転する際に、該充填ノズル1を1回自転させてもよく、1回以上自転させても、1回転以下で自転させても良い。このように、充填ノズル1の公転数と自転数を適宜設定することで、コーンCに充填したアイスクリームDa、Dbによって異なる模様を表現する可能である。このため、充填ノズル1の公転数と自転数の関係は、意匠性に対応させて適宜設定することが好ましい。
【0063】
上記の如くして充填ノズル1を公転、自転させつつ、弁シリンダー2aを操作してバルブ2を開放する。バルブ2の開放により、アイスクリームDaは本体1aから回転部材1bに取り付けられた分配部材を通って先端に形成された分配孔から3分割して吐出され、分割吐出部材1cの先端面に形成された吐出孔から表面にギザギザ模様のついた帯状に吐出される。また、アイスクリームDbは、本体1aからオワンノズル1dを介して分割吐出部材1cの内周面と、分配部材の外周面との間に形成された3つの通路を通り、該分割吐出部材1cの先端面に形成された吐出孔から表面にギザギザ模様のついた帯状に吐出される。
【0064】
充填ノズル1からアイスクリームDa、Dbを吐出すると略同時に昇降モータ42を駆動して昇降台44を上昇させることで、公転及び自転しつつアイスクリームDa、Dbを吐出している充填ノズル1を上昇させる。このようにして充填ノズル1からコーンCに対してアイスクリームDa、Dbを螺旋状に充填することが可能である(
図5(a)参照)。
【0065】
充填ノズル1から吐出された帯状のアイスクリームDa、Dbは互いに分離した状態であり、コーンCに充填されたときに隣接したアイスクリームDa、Dbが初めて接触する。このため、コーンCに充填されたアイスクリームDa、Dbは境界が明確に表現され、意匠性に優れたものとなる。
【0066】
昇降モータ42による充填ノズル1の上昇に伴って、Y方向駆動モータ23、X方向駆動モータ33の回転を制御して、Y方向の移動距離、X方向の移動距離を減少させることで、充填ノズル1の公転径を小さくし、
図6(c)に示すように、アイスクリームDa、Dbを円錐状に充填することが可能となる。
【0067】
そして、充填ノズル1が予め設定された高さに到達したとき、弁シリンダー2aを操作してバルブ2を閉鎖してアイスクリームDa、Dbの供給を停止する。同時にコンベアBに信号を送り、該コンベアBを1ピッチ移送させて充填装置Aに新たなコーンCを送り込む。
【0068】
上記の如く、Y方向駆動モータ23、X方向駆動モータ33、回転駆動モータ53及び昇降モータ42の駆動を制御することで、
図5(a)~
図5(c)、
図6(a)~
図6(c)に示すように、アイスクリームDaとアイスクリームDbを交互に連続させてコーンCに充填することが可能である。尚、
図5、
図6に於ける平面図は正面図に示すアイスクリームDa、Dbの吐出状態を説明するために部分的に記載したものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る充填装置は、ウエハースやワッフル等からなる可食容器としてのコーンにアイスクリームを意匠性を考慮して充填する際に利用して有利である。
【符号の説明】
【0070】
A 充填装置
B コンベア
C コーン
Da、Db アイスクリーム
1 充填ノズル
1a 本体
1b 回転部材
1c 分割吐出部材
1d オワンノズル
2 バルブ
2a 弁シリンダー
2b 開閉ロッド
3a、3b 供給配管
15 コンベアフレーム
16 チェン
17 支持板
17a 支持孔
19 フレーム
19a ブラケット
19b スタンド
19c ガーター
20 Y方向往復装置
21 Y方向直線ガイド
22 Y方向移動台
22a 平行部
23 Y方向駆動モータ
24、34、41 ねじ軸
25、35、45 ナット
27 取付ブラケット
30 X方向往復装置
31 X方向直線ガイド
32 X方向移動台
33 X方向駆動モータ
40 昇降装置
42 昇降モータ
43 タイミングベルト
44 昇降台
44a 平行部
44b 横断部
46 直線軸受
50 回転装置
51、52 スクリューギヤ
53 回転駆動モータ
54 軸