(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】裁断機
(51)【国際特許分類】
B26D 1/04 20060101AFI20230606BHJP
B26D 1/14 20060101ALI20230606BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20230606BHJP
B26D 7/08 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B26D1/04 Z
B26D1/14 G
B26D7/20
B26D7/08 Z
(21)【出願番号】P 2019126514
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115821
【氏名又は名称】株式会社リヒトラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 莞二
(72)【発明者】
【氏名】有本 佳照
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋行
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-125477(JP,A)
【文献】特開2018-118325(JP,A)
【文献】特開2009-196052(JP,A)
【文献】実開平06-034948(JP,U)
【文献】特開2010-131282(JP,A)
【文献】特開2003-165090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/04 - 1/24
B26D 7/20
B26D 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被裁断物を設置する設置台と、
該設置台に取り付けられたレールと、
該レールに沿って摺動し、切断刃を有するスライダと
、
前記レールの端部に配置されており、前記レールの長手方向に移動可能な移動部と
を備え、
前記スライダは、前記レールの端部よりも外側に移動することが可能であ
り、
前記スライダが前記レールから脱落しないように、前記移動部は移動するように構成されている
裁断機。
【請求項2】
前記移動部を前記レールに向けて付勢する付勢部材を備える
請求項
1に記載の裁断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、シート状の被裁断物、例えば紙を裁断する裁断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被裁断物を載せる載置台にレールを設け、該レールに、切断刃を有するスライダを設けた裁断機が提案されている。スライダを移動させることによって、被裁断物は裁断される。レールの長さは載置台の長さに対応しており、レールが載置台から突出し、裁断機が不要に大型化することを防止している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記裁断機において、レールの端までスライダを移動させた場合、切断刃が被裁断物の縁まで届かず、被裁断物が完全には裁断されないおそれがある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、大型化を抑制しつつ、被裁断物を完全に裁断することができる裁断機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る裁断機は、被裁断物を設置する設置台と、該設置台に取り付けられたレールと、該レールに沿って摺動し、切断刃を有するスライダとを備え、前記スライダは、前記レールの端部よりも外側に移動することが可能である。
【0007】
本開示においては、スライダはレールの端部よりも外側に移動した場合、切断刃は被裁断物の縁に届き、被裁断物は完全に裁断される。
【0008】
本開示に係る裁断機は、前記レールの端部に配置されており、前記レールの長手方向に移動可能な移動部を備える。
【0009】
本開示においては、スライダがレールの端部まで移動した場合、スライダによって移動部は押され、レールの長手方向に移動する。スライダはレールの外側まで移動し、移動部はスライダのレールからの脱落を防止する。
【0010】
本開示に係る裁断機は、前記移動部を前記レールに向けて付勢する付勢部材を備える。
【0011】
本開示においては、スライダをレールの端部から中央側に移動させた場合、付勢部材の付勢力によって、移動部は元の位置に戻される。移動部は不要に突出せず、小型化を維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る裁断機にあっては、スライダはレールの端部よりも外側に移動した場合、切断刃は被裁断物の縁に届き、被裁断物は完全に裁断され、被裁断物の裁断後、スライダは元の位置に戻ることができ、裁断機の大型化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】展開した状態の裁断機を略示する斜視図である。
【
図2】折り畳んだ状態の裁断機を略示する斜視図である。
【
図4】
図3に示すIV―IV線を切断線とした断面図である。
【
図5】マットホルダの上面とレールとの離間距離を説明する説明図である。
【
図11】マットホルダ及び第一移動板の略示部分拡大右側面図である。
【
図12】レールユニットの開閉を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を実施の形態に係る裁断機を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では、図に示す上下前後左右を使用する。
図1は、展開した状態の裁断機1を略示する斜視図である。裁断機1は、前後方向に延びる裁断部20と、裁断部20の左側に配置された左ベース2と、裁断部20の右側に配置された右ベース7とを備える。裁断部20は前後に延びるレールユニット28を備え、レールユニット28にはスライダ30が摺動可能に取り付けられている。スライダ30は切断刃30fを備え、スライダ30が押し下げられた場合、切断刃30fは下方に突出する。
【0015】
左ベース2は、前後方向に延びた矩形箱状をなす設置台3を備える。設置台3の上面は、被裁断物を設置する設置面3aを構成する。設置台3の下側は開口している。設置台3の上面前端部には、上方に突出した位置決め部3bが形成されている。位置決め部3bは被裁断物を位置決めする。設置台3の左側面における前後方向中央部に凹部6が形成されている。
【0016】
右ベース7は、前後方向に延びた矩形箱状をなす設置台8を備える。設置台8の上面は、被裁断物を設置する設置面8aを構成する。設置台8の下側は開口している。設置台8の上面前端部には、上方に突出した位置決め部8bが形成されている。位置決め部8bは被裁断物を位置決めする。設置台8の左側面における前後方向中央部に凹部(図示略)が形成されている。
【0017】
図2は、折り畳んだ状態の裁断機1を略示する斜視図である。左ベース2及び右ベース7はヒンジ構造(図示略)を介して、裁断部20に回転可能に連結されている。
図2に示すように、左ベース2及び右ベース7それぞれの底面を対面させるようにして、裁断機1は折り畳まれる。裁断機1の前側及び後側は面一に構成されている。そのため、折り畳まれた裁断機1は前側又は下側を底にして起立させることができる。左ベース2及び右ベース7を開閉させる場合に、ユーザは左ベース2の凹部6及び右ベース7の凹部(図示略)に指を引っ掛けて、開閉を行うことができる。
【0018】
裁断機1は、一般家庭内の狭いスペース、例えば本棚に収納させることができる。即ち、一般家庭において、裁断機1を手軽に使用することができる。ユーザは、折り畳むことによって、狭いスペースに裁断機1を容易に収納させることができる。なおスライダ30はレールユニット28から取り外すことができる。スライダ30の取り外し方法については、後述する。
【0019】
図3は、裁断部20を略示する平面図、
図4は、
図3に示すIV―IV線を切断線とした断面図である。裁断部20は、前後に延びた箱状のマットホルダ21を備える。マットホルダ21の上側は開口している。
【0020】
マットホルダ21の左右方向中央部に、前後に延びた保持溝21aが形成されている。保持溝21aの左右側面それぞれに、前後に並んだ複数の位置決め突起21bが形成されている。保持溝21aの左側面に形成された位置決め突起21bと、保持溝21aの右側面に形成された位置決め突起21bは左右方向に対向する。保持溝21aにはカッターマット25が保持されており、位置決め突起21bは左右方向においてカッターマット25を位置決めする。
【0021】
カッターマット25の上側にレールユニット28が設けられている。レールユニット28とマットホルダ21とは、係合構造(図示略)によって、係合されている。レールユニット28は、二つのレールホルダ28a、28aと、二つのレール28b、28bとを備える。レールホルダ28aは、カッターマット25に対して直角な板状をなし、マットホルダ21の内側にて、マットホルダ21の前端部及び後端部に設けられている。
【0022】
レールホルダ28aには、レール28bの端面形状に倣う形状を有する二つの凹部(図示略)が形成されている。二つのレール28bの前端部は、前側に配置されたレールホルダ28aの二つの凹部にそれぞれ嵌合し、二つのレール28bの後端部は、後側に配置されたレールホルダ28aの二つの凹部にそれぞれ嵌合する。二つのレール28bは左右方向に離れている。左右方向における二つのレール28bの間に、カッターマット25は配置される。
【0023】
レール28bの下面には、前後に延びる溝が形成されており、該溝に、帯状の滑り止め部材28cが取り付けられている。滑り止め部材28cは、例えばゴム材によって構成されている。滑り止め部材28cの下面には凹凸が形成されている。
【0024】
図5は、マットホルダ21の上面21cとレール28bとの離間距離を説明する説明図である。レール28bの下面は、左右方向において滑り止め部材28cよりもカッターマット25側に位置し、マットホルダ21の上面21c又は上面21cを延長した面に対向する第一対向面28dと、左右方向において滑り止め部材28cよりもカッターマット25の反対側に位置し、マットホルダ21の上面21c又は上面21cを延長した面に対向する第二対向面28eとを含む。
【0025】
第一対向面28dと、上面21c又は上面21cを延長した面との対向間距離(上下間距離)をL1とし、第二対向面28eと、上面21c又は上面21cを延長した面との対向間距離をL2とし、滑り止め部材28cと上面21c又は上面21cを延長した面との対向間距離をL3とする。前述したように、滑り止め部材28cの下面には凹凸が形成されているところ、L3は、滑り止め部材28cの最下位置と上面21c又は上面21cを延長した面との間の距離となる。
【0026】
L1、L2及びL3の大小関係は、L1>L3>L2となる。また、L2とL3との差分の絶対値Aと、L1とL3との差分の絶対値Bとの大小関係は、AはB以下となる。後述するばね21d及びばねカバー21eによって、レール28bは上方に押し上げられ、レール28bと、上面21cとの間に被裁断物が挿入される。そしてレール28bを下げることによって、被裁断物は滑り止め部材28cによって、押さえられ、被裁断物の移動が抑制される。
【0027】
差分Aによって、滑り止め部材28cは第二対向面28eよりも下方に突出せず、被裁断物の挿入を妨げない。また、差分Aを差分B以下に設定することによって、差分Aは微小な大きさとなり、例えば、被裁断物の厚みよりも小さくなる。そのため、滑り止め部材28cは被裁断物を押さえることができ、その機能を発揮することができる。
【0028】
図6は、マットホルダ21の平面図である。
図6に示すように、マットホルダ21の左側の上面21cには、上側が開口したレバー収納室21fが形成されている。レバー収納室21fの後端部分は右側に延び、保持溝21aに連なる。
【0029】
レバー収納室21fには、平面視L形のレバー27が収納される。レバー27の長辺部の左右方向中央部から、二つの枢軸27aが右側及び左側にそれぞれ突出する。レバー27の短辺部の先端部分には、凹部21gが形成されている。レバー27の長辺部はレバー収納室21fに収納され、レバー27の短辺部はレバー収納室21fの右側に延びた部分及び保持溝21aに収納される。凹部21gは保持溝21aに収納され、保持溝21aの底に配置される。二つの枢軸27aは、レバー収納室21fの内側にて、回転可能に支持される。
【0030】
カッターマット25が保持溝21aに保持される場合、凹部21gはカッターマット25の下側に配置される。ユーザがレバー27の長辺部前端を押した場合、枢軸27a回りにレバー27は回転し、凹部21gは上方に移動し、カッターマット25を押し上げて、カッターマット25gは保持溝21aから取り外される。
【0031】
図7は、マットホルダ21の右側面図である。
図6及び
図7に示すように、マットホルダ21の前端部及び後端部には、二つのばね21dがそれぞれ収納されている。ばね21dの上側には、ばねカバー21eが設けられている。ばね21d及びばねカバー21eの上側には、レールホルダ28aが配置されている(
図4参照)。ばね21dの付勢力によって、ばねカバー21eを介して、レールホルダ28aは押し上げられる。即ち、レールユニット28は押し上げられる。
【0032】
図8は、マットホルダ21の底面図、
図9は、マットホルダ21の正面図、
図10は、マットホルダ21の背面図、
図11は、マットホルダ21及び第一移動板31の略示部分拡大右側面図である。
【0033】
図8、
図11に示すように、マットホルダ21の前部の底には、下方に突出したフック21hが設けられている。フック21hは保持溝21aの反対側に配置されている。フック21hの先端は後方に向けられている。フック21hよりも前側且つ左側に、ばね受け21kが形成されている。ばね受け21kは前方に向けて突出した筒部を有する。
【0034】
フック21hの前側に、ボタンユニット34が設けられている。ボタンユニット34は正面視U字形状をなし、左前部分に、前方に突出したボタン34aが形成されている。ボタンユニット34の左後隅部に、ばね受け34bが形成されている。ばね受け34bは後方に向けて突出した筒部を有する。ばね35が二つばね受け21k、34bの間に配置されている。ボタンユニット34は、ばね35の付勢力によって、前方に付勢されている。ボタン34aは後述するボタン孔33aに挿入され、外部に露出する。ボタンユニット34は、後方に移動した場合に、レールユニット28とマットホルダ21との係合を解除する。
【0035】
図9に示すように、マットホルダ21の前端部の外面には、カッターマット25に対して直角な第一移動板31(移動部)、第一端板30a、及び第二端板30bが設けられている。第一移動板31、第一端板30a、及び第二端板30bは上下に延びる。左右方向において、第一移動板31は中央に配置され、二つのレール28bの間に配置されている。第一端板30aは第一移動板31の左側に配置され、第二端板30bは第一移動板31の右側に配置される。第二端板30bの右上隅に窪み30gが形成されている。
【0036】
第一移動板31の左辺部に、右側に向けて突出した円弧状の凹部が形成され、第一端板30aの右辺部に、左側に向けて突出した円弧状の凹部が形成されている。二つの凹部によって、円形のボタン孔33aが形成されている。第二端板30bの背面には長穴状のガイド溝30eが形成されている。
【0037】
図8及び
図11に示すように、第一移動板31の背面から二つの脚31a、31bが後方に突出している。脚31bは脚31aの左側に配置されている。マットホルダ21の前端部には、前後に貫通した二つの挿入孔(図示略)が設けられている。二つの脚31a、31bは前記二つの挿入孔に摺動可能に挿入されている。脚31bの先端部には、下方に向けて突出したフック31cが形成されている。フック31cの先端部は前方に向けられている。
【0038】
脚31a、31bは、挿入孔を通して、前後方向に移動可能であり、マットホルダ21の内側及び外側を移動可能である。第一移動板31は、マットホルダ21の外側にて前後方向に移動可能であり、マットホルダ21の前端部に対して接近するか又は離れることができる。第一移動板31のフック31cと、マットホルダ21のフック21hとの間に、ばね36が掛けられている。ばね36の付勢力によって、第一移動板31は後方に付勢されている。
【0039】
図8に示すように、マットホルダ21の後部の底には、下方に突出したフック21jが設けられている。フック21jは保持溝21aの反対側に配置されている。フック21jの先端は前方に向けられている。
【0040】
図10に示すように、マットホルダ21の後端部の外面には、カッターマット25に対して直角な第二移動板32(移動部)、第三端板30c、及び第四端板30dが設けられている。第二移動板32、第三端板30c、及び第四端板30dは上下に延びる。左右方向において、第二移動板32は中央に配置され、二つのレール28bの間に配置されている。第三端板30cは第二移動板32の左側に配置され、第四端板30dは第二移動板32の右側に配置される。第四端板30dの背面には長穴状のガイド溝30eが形成されている。
【0041】
図8に示すように、第二移動板32の正面から二つの脚32a、32bが前方に突出している。脚32bは脚32aの左側に配置されている。マットホルダ21の後端部には、前後に貫通した二つの挿入孔(図示略)が設けられている。二つの脚32a、32bは前記二つの挿入孔に摺動可能に挿入されている。脚32bの先端部には、下方に向けて突出したフック32cが形成されている。フック32cの先端部は後方に向けられている。
【0042】
脚32a、32bは、挿入孔を通して、前後方向に移動可能であり、マットホルダ21の内側及び外側を移動可能である。第二移動板32は、マットホルダ21の外側にて前後方向に移動可能であり、マットホルダ21の後端部に対して接近するか又は離れることができる。第二移動板32のフック32cと、マットホルダ21のフック21jとの間に、ばね37が掛けられている。ばね37の付勢力によって、第二移動板32は後方に付勢されている。
【0043】
ユーザはスライダ30を押し下げて、レール28bに沿って移動させ、被裁断物を裁断することができる。スライダ30がレール28bの前端に至った場合、
図6及び
図7にて、一点鎖線で示すように、第一移動板31は、ばね36の付勢力に抗して、前方に移動する。そのため、切断刃30fによって被裁断物の前縁部を確実に裁断することができる。スライダ30がレール28bの後端に至った場合、
図6及び
図7にて、一点鎖線で示すように、第二移動板32は、ばね37の付勢力に抗して、前方に移動する。そのため、切断刃30fによって被裁断物の後縁部を確実に裁断することができる。
【0044】
図12は、レールユニット28の開閉を説明する説明図である。二つのレールホルダ28a、28aは、前後方向にて外向きに突出した枢軸28gをそれぞれ備える。各枢軸28gは、第二端板30b及び第四端板30dのガイド溝30eに、それぞれ挿入されている。
【0045】
レールホルダ28aは、ばね21dによって上方に付勢されており、枢軸28gはガイド溝30eの上部に配置される。例えば、被裁断物がレールユニット28と、マットホルダ21との間に挿入され、レールユニット28が押し下げられた場合、枢軸28gはガイド溝30eの下部に配置される。
【0046】
ボタン34aが押された場合、ボタンユニット34は後方に移動し、レールユニット28とマットホルダ21との係合は解除される。
図12の矢印にて示すように、レールユニット28は、枢軸28g回りに、右側に向けて回転することができる。レールユニット28を回転させた場合、カッターマット25が露出する。ユーザはカッターマット25を交換することができる。また、スライダ30は、第一移動板31、第二移動板32、第一~第四端板30a~30dに対向しないので、スライダ30をレール28bから取り外すことができ、ユーザは切断刃30fを交換することができる。窪み30gを設けているので、スライダ30をレール28bの前側から取り外す際に、スライダ30は、第二端板30bに干渉しない。なお第四端板30dに窪みを設けてもよい。この場合、レール28bの後側から取り外す際に、スライダ30は、第四端板30dに干渉しない。また第二端板30b及び第四端板30dの両方に窪みを設けてもよい。
【0047】
上述のばね21d、35~37は付勢部材の一例であり、これに限定されない。例えば、ばねに代えて、ゴム材を使用してもよい。レールユニット28の前端部に、ボタン34aが設けられているが、レールユニット28の後端部にボタンを設けてもよい。また、レールユニット28の前端部及び後端部の両方にボタンを設けてもよい。二つのボタン又は一方のボタンを押すことによって、レールユニット28とマットホルダ21との係合は解除される。
【0048】
実施の形態に係る裁断機にあっては、スライダ30がレール28bの端部まで移動した場合、スライダ30によって第一移動板31又は第二移動板32は押され、レール28bの長手方向に移動する。そのため、切断刃30fは被裁断物の縁に届き、被裁断物は完全に裁断され、被裁断物の裁断後、第一移動板31又は第二移動板32は元の位置に戻ることができ、裁断機の大型化が抑制される。第一移動板31又は第二移動板32はスライダ30がレール28bから脱落することを防止する。
【0049】
またスライダ30をレール28bの端部から中央側に移動させた場合、ばね36、37(付勢部材)の付勢力によって、第一移動板31及び第二移動板32は元の位置に戻される。第一移動板31及び第二移動板32は不要に突出せず、裁断機の小型化を維持することができる。
【0050】
また滑り止め部材28cと第二対向面28eとの間の距離は、滑り止め部材28cと第一対向面28dとの間の距離以下であるので、レール28bとマットホルダ21との間に被裁断物は円滑に挿入され、挿入後は、滑り止め部材28cによって被裁断物の移動は防止される。
【0051】
実施の形態に係る裁断機は、折り畳み可能に構成されているが、折り畳み不可能に構成されていてもよい。
【0052】
また第一移動板31及び第二移動板32を設けずに、レール28bの長手方向において、スライダ30がレール28bの端部よりも外側に突出することができるように構成してもよい。この場合においても、スライダ30はレール28bの端部よりも外側に移動し、切断刃30fは被裁断物の縁に届き、被裁断物は完全に裁断される。
【0053】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
3、8 設置台
21 マットホルダ
21a 保持溝
25 カッターマット
28 レールユニット
28a レールホルダ
28b レール
28c 滑り止め部材
28d 第一対向面
28e 第二対向面
30 スライダ
30f 切断刃
31 第一移動板(移動部)
32 第二移動板(移動部)
36、37 ばね(付勢部材)