(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】衛生用品提供用ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20230606BHJP
G06Q 30/0241 20230101ALI20230606BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q30/0241
G07F9/00 T
(21)【出願番号】P 2022091179
(22)【出願日】2022-06-03
【審査請求日】2022-06-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520169878
【氏名又は名称】オイテル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 大一
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第7075553(JP,B1)
【文献】特開2020-093433(JP,A)
【文献】特開2021-099636(JP,A)
【文献】特開2009-069523(JP,A)
【文献】特開2003-242342(JP,A)
【文献】中国実用新案第205028341(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F,G07G,G06Q,A47K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用品をユーザに提供するための衛生用品提供用ディスペンサであって、
前記衛生用品を収納する収納部と、
前記収納部に収納されている前記衛生用品を、前記収納部から排出するための排出部と、
前記ユーザから前記衛生用品の提供を求める要求があった場合、前記要求が妥当であれば、前記衛生用品を排出するように、前記排出部を動作させる制御部と、
画像を表示するディスプレイとを備え、
前記制御部は、前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合と、所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合とのうちの少なくとも何れかである場合、前記要求が妥当であると判定し、
前記ディスプレイは、複数あり、前記複数のディスプレイのうちの1つが、衛生用品提供用ディスペンサ本体に内蔵された内蔵ディスプレイであり、前記複数のディスプレイのうち、前記内蔵ディスプレイ以外は、前記衛生用品提供用ディスペンサ本体から分離されて配置される分離ディスプレイである、衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項2】
人感センサをさらに備え、
前記人感センサによる感知に応じて、前記内蔵ディスプレイから、前記画像の表示を開始する、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項3】
前記分離ディスプレイは、トイレの個室内において、便座の前方方向に配置される、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項4】
前記分離ディスプレイは、トイレの個室の内側または外側のうち少なくとも何れかに配置される、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項5】
前記内蔵ディスプレイと、前記分離ディスプレイとから、同じ画像が表示される、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項6】
前記内蔵ディスプレイと、前記分離ディスプレイとから、異なる画像が表示される、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項7】
前記内蔵ディスプレイから表示される画像は、前記衛生用品提供用ディスペンサの使用方法の説明を含む、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項8】
前記分離ディスプレイから表示される画像は、広告を含む、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項9】
前記衛生用品は、前記広告による収入を資金として購入される、請求項8に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項10】
前記分離ディスプレイから表示される画像は、前記収納部に収納されている前記衛生用品の在庫に関する情報を含む、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【請求項11】
前記分離ディスプレイから表示される画像は、前記収納部に収納されている前記衛生用品の製品に関する情報を含む、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば化粧室に好適に設置され、例えば生理用品やティッシュペーパのような衛生用品を提供するための衛生用品提供用ディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
女性の社会進出により、女性のライフスタイルが大きく変化し、そのことにより生じる問題もある。その1つが女性特有の身体現象である生理に関わる問題である。
【0003】
生理期間中、女性は、経血が漏れないように、ナプキンやタンポン等の生理用品を使用する。したがって、女性は、一般に、生理期間が近付くと、これら生理用品を携行している。
【0004】
生理による経血量は、日によって変化するが、経血のついた生理用品は、長時間放置すると、ばい菌が繁殖する原因になったり、ムレや臭いの原因となる恐れもある。したがって、生理期間中は、通常、2~3時間に1度の頻度で、生理用品を交換する必要がある。
【0005】
したがって、例えば、飲食店やホテルでは、生理が予定よりも早く来てしまい、生理用品を持ち合わせていない女性顧客のために、女性用トイレの(例えば、洗面台のわき)に、籠の中に生理用品をおいてあるところもある。希望者は籠から生理用品を自由に取り出して、使用することができる。
【0006】
これは、理想的なことではあるが、自由に取り出すことができることをよいことに、必要ない場合であっても、持ち帰ることができる。極端な話、生理中ではない人が、すべて持ち去って行くことだってできてしまう。これは、置いてくれた側(例えば、飲食店やホテル)の折角の好意を台無しにする残念な行為であり、実際に使用したい人がいても、使えない場合が生じるという皮肉な結果をもたらす恐れがある。
【0007】
また、生理用品が単に籠の中においてあるだけの状態では、誰でも触れることができることから、使用をためらう人もいる。特に、現在のようなコロナ禍の状況においては、誰が触ったのかも分からないものには触れること自体非常に不安であるからである。
【0008】
一方、このような不安を払拭しつつ、必要とする女性に、生理用品を提供する手段として、非特許文献1のように、生理用品を収納したディスペンサが挙げられる。
【0009】
実際、福利厚生の一環として、このようなディスペンサを、女性用トイレの個室に設置し、生理が予定よりも早く来てしまい、生理用品を持ち合わせていない女性社員が、生理用品を自由に利用できるようにしている企業もある。
【0010】
これによって、生理用品は通常はディスペンサの内部に収納されており、生理用品を取り出す際には、内部から1つずつ排出されるので、生理用品は、不特定多数の人によって触られることはない。したがって、使用希望者は、不快感を抱くことなく、生理用品を安心して使用することができる。
【0011】
この種のディスペンサは、使用希望者の操作によって、生理用品は1つずつ排出されるものの、個数に制限はない。したがって、何度も操作を繰り返すことによって、生理用品を何個でも取り出すことが可能である。
【0012】
したがって、この種のディスペンサでも、前述したように、生理中ではない人であっても、無制限に生理用品を取り出して、持ち帰ることだってできてしまう。
【0013】
一方、特許文献1には、生理用品に対応する吸収性物品を、管理した状態で保管する提供装置が開示されている。この提供装置は、利用者からの利用者情報に基づいて、吸収性物品を提供するか否かを判定し、判定結果に応じて、吸収性物品を1つ排出するように構成されている。
【0014】
この技術によれば、生理用品の無制限な取り出しを阻止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【非特許文献】
【0016】
【文献】https://www.goauntflow.com/(2020年10月15日検索)
【文献】https://apps.apple.com/jp/app/clue/id657189652(2020年11月16日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、このような従来技術では、以下のような問題がある。
【0018】
すなわち、特許文献1で開示された提供装置にはディスプレイがなく、操作に必要な情報の提供は、利用者のスマートフォン等の携帯端末のような端末装置の画面を介して行われる。
【0019】
しかしながら、利用者が、携帯端末を操作して、提供装置から生理用品を受け取り、生理用品を装着するという動作を、すべてトイレの中で行うことを考えた場合、携帯端末の操作は、衛生的にも好ましくなく、できる限り避けたい。
【0020】
また、制限された画面のサイズや、通信状況に応じて応答性が影響を受けるなど、携帯端末による操作は、操作性の観点からも必ずしも好ましいとは言えない。
【0021】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、衛生用品の管理された提供を行う衛生用品提供用ディスペンサのユーザに対して、様々な情報を、画像で提供することによって、ユーザの操作性や快適性の向上を図ることが可能な、ディスプレイを備えた衛生用品提供用ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0023】
すなわち、本発明の第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、衛生用品をユーザに提供するための衛生用品提供用ディスペンサであって、前記衛生用品を収納する収納部と、前記収納部に収納されている前記衛生用品を、前記収納部から排出するための排出部と、前記ユーザから前記衛生用品の提供を求める要求があった場合、前記要求が妥当であれば、前記衛生用品を排出するように、前記排出部を動作させる制御部と、画像を表示するディスプレイとを備え、前記制御部は、前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合と、所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合とのうちの少なくとも何れかである場合、前記要求が妥当であると判定し、前記ディスプレイは、複数あり、前記複数のディスプレイのうちの1つが、衛生用品提供用ディスペンサ本体に内蔵された内蔵ディスプレイであり、前記複数のディスプレイのうち、前記内蔵ディスプレイ以外は、前記衛生用品提供用ディスペンサ本体から分離されて配置される分離ディスプレイである。
【0035】
本発明の第2の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、人感センサをさらに備え、前記人感センサによる感知に応じて、前記内蔵ディスプレイから、前記画像の表示を開始する、第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
【0036】
本発明の第3の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、前記分離ディスプレイは、トイレの個室内において、便座の前方方向に配置される、第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
【0037】
本発明の第4の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、前記分離ディスプレイは、トイレの個室の内側または外側のうち少なくとも何れかに配置される、第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
【0038】
本発明の第5の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、前記内蔵ディスプレイと、前記分離ディスプレイとから、同じ画像が表示される、第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
【0039】
本発明の第6の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、前記内蔵ディスプレイと、前記分離ディスプレイとから、異なる画像が表示される、第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
【0040】
本発明の第7の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、前記内蔵ディスプレイから表示される画像は、前記衛生用品提供用ディスペンサの使用方法の説明を含む、第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
【0041】
本発明の第8の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、前記分離ディスプレイから表示される画像は、広告を含む、第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
本発明の第9の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、前記衛生用品が、前記広告による収入を資金として購入される、第8に態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
【0042】
本発明の第10の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、前記分離ディスプレイから表示される画像は、前記収納部に収納されている前記衛生用品の在庫に関する情報を含む、第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
【0043】
本発明の第11の態様の衛生用品提供用ディスペンサは、前記分離ディスプレイから表示される画像は、前記収納部に収納されている前記衛生用品の製品に関する情報を含む、第1の態様の衛生用品提供用ディスペンサである。
【発明の効果】
【0044】
本発明の衛生用品装置ディスペンサは、ディスプレイから、様々な情報を、ユーザに対して画像で提供できるので、ユーザの操作性や快適性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るディスペンサの外形の例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ディスペンサの内部構造の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、生理用品が収納部に収納された状態におけるディスペンサの内部構造を示す
図2に対応する正面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態におけるディスペンサの排出メカニズムを説明するための、収納部の底面部分を示す側断面図である。
【
図5】
図5は、円筒型の排出ローラを例示する
図3に対応する図である。
【
図6】
図6は、調節プレートの一例を示す正面図である。
【
図7】
図7は、生理用品の排出時における収納部の底面部分を示す側断面図である。
【
図8】
図8は、ディスペンサの電子回路構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、履歴情報テーブルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態におけるディスペンサの排出メカニズムを説明するための、収納部の底面部分を示す側断面図(積み重ねられた生理用品が片寄った場合)である。
【
図11】
図11は、本実施形態におけるディスペンサの排出メカニズムを説明するための、収納部の底面部分を示す側断面図(生理用品の排出が完了した場合)である。
【
図12】
図12は、生理用品が収納部に収納された状態におけるディスペンサの内部構造を示す
図2に対応する正面図(在庫が減少した場合)である。
【
図13A】
図13Aは、本実施形態に係るディスペンサの動作例を説明する処理フロー図である。
【
図13B】
図13Bは、本実施形態に係るディスペンサの動作例を説明する処理フロー図である。
【
図14】
図14は、変形例1のディスペンサを説明するための概念図である。
【
図15】
図15は、ディスプレイをディスペンサの筐体から分離して任意の場所に設置した場合の一例を示す概念図である。
【
図16】
図16は、変形例2のディスペンサを説明するための概念図である。
【
図17】
図17は、トイレの個室104の外側にディスプレイ12b(out)が設置された状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0047】
本発明の実施形態に係る衛生用品提供用ディスペンサについて説明する。なお、本明細書では、衛生用品提供用ディスペンサを、簡略のため、以降、単に「ディスペンサ」と称する。
【0048】
図1は、本実施形態に係るディスペンサの外形の例を示す斜視図である。
【0049】
ディスペンサ10は、衛生用品を筐体11の内部に収納しており、収納している衛生用品を、ユーザからの提供要求に応じて、排出口13R、13Lから排出する装置である。
【0050】
衛生用品としては、ナプキンやタンポン等の生理用品Sが好適である。したがって、以下の説明では、衛生用品の例として、生理用品Sを用いて説明する。したがって、ディスペンサ10は、
図1に例示されるように、女性用トイレの各個室に設置される。
【0051】
なお、本実施形態に係るディスペンサ10が取り扱う衛生用品は、生理用品Sに限定されるものではなく、ティッシュペーパなど、薄くて柔らかいものであれば、生理用品と同様に取り扱い可能である。
【0052】
ディスペンサ10の筐体11は、筐体本体11aと、筐体本体11aを塞ぐ前蓋11bとから構成される。前蓋11bの外側表面には、ディスプレイ12、2つの排出口13R、13L、カードリーダ等のユーザ情報読取部16、および人感センサ14が設けられる。また、筐体本体11aの外側表面には、鍵15が設けられる。
【0053】
ディスペンサ10は、動作中のときは、筐体本体11aが、前蓋11bによって閉じられ、前蓋11bが開かないように、鍵15がかけられている。
【0054】
このように、ディスペンサ10は、生理用品Sを内部に収納する構造となっているので、生理用品Sが誰かに触られたり、無制限に持ち出されないように管理できる。
【0055】
図2は、ディスペンサの内部構造の一例を示す斜視図である。
【0056】
ディスペンサ10の内部構造は、開閉可能な筐体11内に収納されている。ディスペンサ10は、鍵15を開けると、
図2に例示するように筐体11を開くことが可能となる。生理用品Sを内部に補充する場合や、故障の修理のように、不具合を解消する場合などには、鍵15を開けて筐体11を開くことによって行う。
【0057】
筐体本体11aの内部には、同一仕様の2つの収納部21R、21Lが並設されている。収納部21R、21Lは、ディスペンサ10が提供する生理用品Sを収納するための空間である。
【0058】
収納部21Rは、互いに平行に対向して設けられた直立する一対の仕切板20Rl、20Rrの間に画定されている。同様に、収納部21Lもまた、互いに平行に対向して設けられた直立する一対の仕切板20Ll、20Lrの間に画定されている。
【0059】
なお、収納部21R、21Lの符号における数字「21」の後の「R」は、「右」を、「L」は「左」を示す。すなわち、収納部21Rは、右側の収納部21を示し、収納部21Lは、左側の収納部21を示す。以降、右側の収納部21Rと、左側の収納部21Lとに共通の一般的な説明をする場合、単に「収納部21」のように、数字のみの符号を付して説明する。同様に、収納部21以外の部位についても、符号における数字の後の「R」は「右」を、「L」は「左」を示し、右側部位と左側部位とに共通の一般的な説明をする場合、数字のみの符号を付して説明する。
【0060】
図3は、生理用品が収納部に収納された状態におけるディスペンサの内部構造を示す
図2に対応する正面図である。
【0061】
図3に示すように、生理用品Sは、収納部21R、21Lの内部に層状に積み重ねて収納される。したがって、仕切板20Rlと仕切板20Rrとの間の距離、つまり収納部21Rの幅hr、および仕切板20Llと仕切板20Lrとの間の距離、つまり収納部21Lの幅hlともに、生理用品Sを収納可能なサイズに調整されている。
【0062】
このような構成の収納部21Rおよび収納部21Lにはそれぞれ、例えば20~30個の生理用品Sを収納することができる。また、積み重ねられた生理用品Sの上方向への膨らみを抑えるために、最上位に積まれた生理用品Sの上に、100グラム程度の重りmを載せる。
【0063】
ディスペンサ10は、ユーザからの妥当な提供要求Cに応じて、収納部21R、21Lに収納されている生理用品Sのうち、最下位に位置する生理用品Sを、収納部21R、21Lの底面とほぼ同じ高さに設けられた排出口13R、13Lから排出する。
【0064】
この排出は、収納部21の下に配置された排出ローラ30の回転によって行われる。このため、
図2に示すように、収納部21の底面の一部に穴が開けられ、その穴から、排出ローラ30の一部が露出するように、排出ローラ30が配置される。
図2には、収納部21Rの底面の一部から露出する2つの排出ローラ30Rと、収納部21Lの底面の一部から露出する2つの排出ローラ30Lとが例示されている。
【0065】
排出ローラ30が正方向に回転すると、最下位に位置する生理用品Sが、ディスペンサ10手前側(
図3中手前側)に移動する。例えば排出ローラ30の外周にシリコンラバー―を巻くなどして、排出ローラ30の表面にシリコンラバーを配置することが好ましい。シリコンラバーは高い静止摩擦係数を有しているので、排出ローラ30の正方向への回転時に、最下位に位置する生理用品Sの移動を確実かつ、より容易にする。
【0066】
図4は、本実施形態におけるディスペンサの排出メカニズムを説明するための、収納部の底面部分を示す側断面図である。
【0067】
図4に例示するように、収納部21の最下位の生理用品S1の下面の一部は、排出ローラ30と接触する。
【0068】
排出ローラ30は、ステッピングモータ32からの駆動力を受けて回転する。ステッピングモータ32は、排出ローラ30に直接接続される。したがって、
図3に戻って示すように、ステッピングモータ32もまた、収納部21の下に配置される。
【0069】
ステッピングモータ32が、排出ローラ30を正回転方向Dに回転させる駆動力を排出ローラ30へ提供すると、排出ローラ30が正回転することで、最下位の生理用品S1は、排出方向Eへ移動する。排出方向Eは、ディスペンサ10手前側(
図3中手前側)に相当する。
【0070】
一方、ステッピングモータ32が、排出ローラ30を逆回転方向Fに回転させる駆動力を排出ローラ30へ提供すると、排出ローラ30が逆回転することで、最下位の生理用品S1は、排出方向Eと逆方向である非排出方向Gへ移動する。非排出方向Gは、ディスペンサ10奥側(
図3中奥側)に相当する。
【0071】
前述したように、排出ローラ30およびステッピングモータ32をともに収納部21よりも下に配置することで、筐体11の奥行のサイズを、可能な限り薄型化できる。薄型化は、限られたトイレの空間、特に、トイレ内のユーザとディスペンサ10との間隔を、必要以上に狭めないという観点から、非常に好ましい。これによって、ユーザは、ディスペンサ10が配置されているトイレを使用する場合でも、特に圧迫感を感じることなく、ごく自然に利用できるからである。
【0072】
図5は、円筒型の排出ローラを例示する
図3に対応する図である。
【0073】
排出ローラ30は、最下位の生理用品Sを、排出方向Eまたは非排出方向Gに移動させることが可能であれば、その構成は限定されず、
図3に示すような3つの車輪型の排出ローラ30に代えて、例えば、
図5に示すように、1つの収納部21に対して、1つの円筒型の排出ローラ30とすることもできる。
【0074】
また、ステッピングモータ32の動作音は非常に小さいので、ディスペンサ10から生理用品Sが排出される際に、ステッピングモータ32が動作している場合でも、動作音はほとんど聞こえないので、ディスペンサ10を使用中であることを、隣の個室の人に気が付かれることも無い。
【0075】
ところで、生理用品Sの厚みは、製造メーカや、銘柄によって異なる。
図4に例示されるように、排出口13の開口高さTbは、どの銘柄の生理用品Sであっても通過できるように、最も厚い銘柄の生理用品Sの厚みよりも大きめに決定されている。
【0076】
厚みよりも高い開口高さTbを有する排出口13から生理用品Sが排出される場合、特に、厚みの薄い銘柄の生理用品Sが排出される場合は、
図4に示す例では、最下位の生理用品S1だけではなく、最下位の生理用品S1の上に積まれている生理用品S2も同時に排出される、つまり、2つの生理用品S1、S2が同時に排出されてしまう恐れがある。
【0077】
これでは、生理用品Sを1つずつ排出するという機能を実現できないのみならず、2つの生理用品S1、S2が同時に排出口13から出ようとすることによって、排出口13で詰まってしまい、不具合をもたらす恐れもある。
【0078】
このようなことを回避するために、排出口13の前方(排出方向E側)に、調節プレート23を配置する。
【0079】
【0080】
調節プレート23は、ゲート状の板によって実現され、生理用品Sの各銘柄に応じて決定された高さIの開口部Jを有している。このような調節プレート23を、排出口13の前方(排出方向E側)に配置することで、銘柄に関わらず、1つの生理用品Sだけが確実に排出されるようになる。このため、2つの生理用品S(例えば、生理用品S1、S2)が、同時に開口部Jを通過することはないので、排出詰まりが生じることはない。
【0081】
このような調節プレート23は、生理用品Sの各銘柄に応じて複数種類が準備されている。また、調節プレート23は、ディスペンサ10の排出口13の前方(排出方向E側)に、着脱可能である。
【0082】
したがって、複数種類の調節プレート23の中から、収納部21に収納されている生理用品Sの銘柄に応じて、適切な調節プレート23を選択し、選択した調節プレート23を、排出口13の前方に配置する。
【0083】
調節プレート23は、着脱可能であるので、収納部21に収納されている生理用品Sが、別の銘柄に変わった場合には、それに応じて、適切な別の調節プレート23に容易に交換することができる。
【0084】
これによって、収納する生理用品Sの銘柄を変えた場合であっても、排出口13の高さTbを変えることなく、つまり、ディスペンサ10本体の改造を要することなく、調節プレート23を交換するだけで、1度に1つの生理用品Sのみを確実に排出することができる。
【0085】
図4に戻って示すように、調節プレート23の前方には、調節プレート23の開口部Jを、ディスペンサ10の外部側から閉じる盗難防止用蓋24が配置される。盗難防止用蓋24は、
図4中右側から左側へ押しても、動かないようになっている。また、ディスペンサ10の外部側から
図4中右側へ引っ張ることもできない構成となっている。したがって、悪意のあるユーザが、ディスペンサ10に収納されている生理用品Sを盗もうとして、排出口13から収納部21側へ手や工具を入れようとしても、それはできない。
【0086】
その一方で、盗難防止用蓋24は、ディスペンサ10の内部側からの押圧力に対しては、自由に開くようになっている。したがって、収納部21からの生理用品Sの排出を阻害しない。これを
図7を用いて説明する。
【0087】
図7は、生理用品の排出時における収納部の底面部分を示す側断面図である。
【0088】
すなわち、盗難防止用蓋24は、排出ローラ30の正回転方向Dへの回転によって排出方向Eに移動する生理用品S1によって内部側から押圧されると、
図7に示すように開くので、生理用品S1は、ディスペンサ10の外部へ排出される。
【0089】
このような盗難防止用蓋24によって、生理用品Sのディスペンサ10からの排出を阻害することなく、ディスペンサ10の外部からの生理用品Sの盗難を阻止することができる。
【0090】
次に、ディスペンサ10の電子回路構成について説明する。
【0091】
図8は、ディスペンサの電子回路構成例を示すブロック図である。
【0092】
ディスペンサ10は、電子回路として、バス41によって互いに接続されたCPU42、記録媒体読取部44、通信部45、メモリ50、および記憶装置60をさらに備えている。また、前述したディスプレイ12、人感センサ14、およびユーザ情報読取部16に加え、後述する在庫センサ22および排出センサ25もバス41に接続される。
【0093】
メモリ50は、制御プログラム51を記憶しているとともに、書込可能データエリア52を確保している。
【0094】
通信部45は、例えばインターネットのような通信ネットワーク200を介して、管理サーバ300や、広告サーバ(図示せず)等と通信することができる。
【0095】
制御プログラム51は、ディスペンサ10の動作全体を制御するためのプログラムであって、メモリ50に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体43から記録媒体読取部44を介してメモリ50に読み込まれ記憶されたものであってもよい。制御プログラム51は、ユーザの操作によって書き換えできないようになっている。一方、書込可能データエリア52は、書き換えが可能なデータを記憶するエリアである。
【0096】
CPU42は、コンピュータであって、メモリ50に記憶されている制御プログラム51に従い回路各部の動作を制御する。
【0097】
記憶装置60は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなり、画像データ記憶部62を記憶している。
【0098】
画像データ記憶部62は、スポンサーからの広告や、ディスペンサ10の使用方法を説明するための、映像あるいは静止画である画像データを記憶している。
【0099】
画像データは、ディスプレイ12から表示される。画像データの表示時間は、ユーザのトイレ個室への1回の入室毎に2分程度とし、それ以上長くは表示しない。これによって、ユーザが、ディスプレイ12から表示される画像データに見入ってしまい、ついトイレに長居するようなことがないにようにしている。2分間での効果的な表示のために、画像データの長さは、例えば、15秒尺程度とする。また、画像データの種類は、例えば、広告と、ディスペンサ10の使用方法の説明のように、2種類程度とする。すなわち、ディスプレイ12から画像データを表示する場合、1つが15秒程度の2種類の画像データを、2分間の間に繰り返し表示する。
【0100】
なお、新たな画像データを画像データ記憶部62に登録する場合には、新たな画像データを記録した外部記録媒体43を、記録媒体読取部44によって読み取り、画像データ記憶部62に書き込むことによって行う。あるいは、通信部45によって、例えばインターネットのような通信ネットワーク200を介して、管理サーバ300や、広告サーバ(図示せず)等から画像データを取得し、取得した画像データを、画像データ記憶部62に書き込むことによって行ってもよい。
【0101】
ディスプレイ12、人感センサ14、およびユーザ情報読取部16は、
図1に示すように、前蓋11bの外側表面に設けられる。
【0102】
人感センサ14は、例えば赤外線センサによって実現され、トイレの個室に入ったユーザを感知し、感知信号Aを出力する。出力された感知信号Aは、バス41を介してメモリ50へ送られる。
【0103】
制御プログラム51は、メモリ50へ感知信号Aが送られたことに応じて、画像データ記憶部62に記憶された画像データの、ディスプレイ12からの表示を開始させる。また、通信部45を使って、通信ネットワーク200を介して、図示しない広告サーバから配信される広告の画像データを受信し、受信した広告の画像データのディスプレイ12からの表示を開始させてもよい。
【0104】
このように、ディスペンサ10は、ディスプレイ12から広告を表示できるので、ディスペンサ10によって生理用品Sを提供する事業者は、広告スポンサーを募り、ディスプレイ12から、広告を表示することによって広告収入を得、その収入の一部で生理用品Sを購入し、ディスペンサ10に補充するサイクルを繰り返すことによって、ユーザに対して生理用品Sを無償で提供し続けるというビジネスモデルを実施することも可能となる。
【0105】
次に、ユーザがディスペンサ10に対して行う生理用品Sの提供要求の方法の例について説明する。
【0106】
ユーザがディスペンサ10に対して、生理用品Sの提供要求Cを行う方法については、本明細書では特に限定しないが、例えば、ユーザが、ユーザ情報読取部16からユーザ情報を入力することによって行ったり(読取方式)、あるいは、スマートフォン等のユーザデバイス151に、専用アプリAPをインストールし、この専用アプリAPを使って、管理サーバ300を経由して行なったり(アプリ方式)することができる。
【0107】
まず、読取方式による生理用品Sの提供要求Cの方法について以下に説明する。
【0108】
読取方式によって生理用品Sの提供要求Cを行う場合、ユーザは、非接触方式でも、接触方式でも、ユーザ情報読取部16からユーザ情報を入力できる。
【0109】
非接触方式でのユーザ情報入力の例として、NFC技術の適用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16を、NFC対応受信機とし、ユーザは、NFC対応型カード150(例えば、交通系カード、社員証や学生証等の身分証、クレジットカード、キャッシュカード等のICカード)やユーザデバイス151(例えば、スマートフォン)を、ユーザ情報読取部16にかざす。ユーザ情報読取部16は、NFC対応型カード150やユーザデバイス151から情報j(例えば、カードの番号、デバイス番号等)を読み取る。ユーザ情報読取部16は、この読み取った情報jを、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力する。このように、NFC技術を適用する場合、NFC対応型カード150のみならず、スマートフォンのようなユーザデバイス151でも利用可能である。
【0110】
また、非接触方式の別のユーザ情報入力の例として、ビーコンやRFID等の無線技術の適用が挙げられる。ビーコンを使用する場合、ユーザ情報読取部16を、ビーコン受信機とし、ユーザは、ビーコンIDを送信するビーコンデバイス152を、ユーザ情報読取部16に近づける。ユーザ情報読取部16は、ビーコン識別情報IDを受信し、この受信したビーコン識別情報IDを、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力する。
【0111】
RFIDを使用する場合、ユーザ情報読取部16を、RFIDリーダとし、ユーザは、RFIDタグ153をユーザ情報読取部16に近づける。ユーザ情報読取部16は、RFID識別情報idを受信し、この受信したRFID識別情報idを、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力する。
【0112】
非接触方式のさらに別の例として、QRコード(登録商標)154の利用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16を、QRコードリーダとし、ユーザは、所定の情報が埋め込まれたQRコード154を、ユーザ情報読取部16に読み取らせる。そして、ユーザ情報読取部16は、QRコード154から、所定の情報qを取得し、この所定の情報qを、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力する。
【0113】
非接触方式の他の例として、生体情報認証の利用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16を、生体認証装置とする。生体認証装置は、ユーザUの生体情報rを認証し、認証した生体情報rを、ユーザ情報ujとして、メモリ50へ出力する。生体情報rとしては、例えば、指紋、掌形、網膜、虹彩、顔、静脈パターンなどが挙げられるが、例えば、生体情報rとして、顔認証情報を利用する場合、ユーザ情報読取部16を、顔認証装置とし、ユーザUは、ユーザ情報読取部16に自分の顔を向ける。そして、ユーザ情報読取部16が、顔特徴情報を取得し、この顔特徴情報を、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力する。
【0114】
一方、接触方式でのユーザ情報入力の例として、磁気カード155の利用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16を、磁気リーダとし、ユーザは、磁気カード155を、ユーザ情報読取部16に読み取らせる。そして、ユーザ情報読取部16は、磁気カード155から、例えばカード番号のような磁気情報pを取得し、この磁気情報pを、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力する。
【0115】
接触方式の別の例として、指紋情報の利用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16を指紋リーダとし、ユーザUは、ユーザ情報読取部16に指を載せる。そして、ユーザ情報読取部16は、指紋情報vを読み取り、この指紋情報vを、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力する。
【0116】
接触方式のさらに別の例として、NFC非対応型のICカードの利用が挙げられる。NFC非対応型ICカード156の場合、非接触で情報を読み取ることができないので、ユーザ情報読取部16を、ICカードリーダとし、ユーザは、ICカードに記憶された例えばカード番号のようなカード情報wを、ユーザ情報読取部16に読み取らせる。ユーザ情報読取部16は、このカード情報wを、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力する。
【0117】
メモリ50へユーザ情報ujが出力されると、制御プログラム51は、ユーザ情報ujを、提供要求Cとして認識する。
【0118】
次に、アプリ方式による生理用品Sの提供要求Cの方法について以下に説明する。
【0119】
アプリ方式によって生理用品Sの提供要求Cを行う場合、ユーザは、先ず、スマートフォンやタブレット等の自分のユーザデバイス151に、専用アプリAPをインストールする必要がある。
【0120】
専用アプリAPのインストール方法については、特に限定しないが、例えば、ディスペンサ10によって生理用品Sを提供する事業者は、専用アプリAPをダウンロードするためのサイト(例えば、管理サーバ300)のサイトを示す情報(例えば、QRコード(登録商標)や、バーコード)を印刷したシールを、筐体11に貼付けたり、あるいはこのサイトを示す情報を、ディスプレイ12から表示することによって、ユーザへ通知する。そして、この通知に従って、ユーザが、自分のユーザデバイス151を使って、サイトにアクセスし、専用アプリAPをダウンロードし、インストールする。
【0121】
専用アプリAPのインストール後、ユーザは、専用アプリAPに従ってユーザデバイス151からユーザ情報ujを入力することによってユーザ登録を行った後、生理用品Sの提供を要求することができる。この要求に応じて、専用アプリの管理サーバ300において、ユーザ情報ujに基づいて提供要求Cが生成され、生成された提供要求Cが、通信ネットワーク200を介して送信され、通信部45によって受信され、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0122】
制御プログラム51は、これら提供要求Cの妥当性を判定する。このために、制御プログラム51はまず、提供要求Cを、ディスペンサ10に付与されているディスペンサ識別番号dとともに、通信部45から、通信ネットワーク200を介して、管理サーバ300へ出力し、記憶させる。
【0123】
管理サーバ300には、すべてのディスペンサ10から、このようにディスペンサ識別情報dとともに提供要求Cが出力される。前述したように、提供要求Cには、ユーザ情報ujが含まれている。また、後述するが、提供要求Cに対して、ディスペンサ10による生理用品Sの提供が正しくなされた場合には、制御プログラム51によって、通信部45を介して、提供済を示すOK情報が、管理サーバ300へ送信される。
【0124】
一方、制御プログラム51によって、この提供要求Cが妥当ではないと判定されたり、あるいは、ディスペンサ10の不具合等によって、生理用品Sが提供されなかった場合には、制御プログラム51によって、通信部45を介して、非提供を示すNG情報が、管理サーバ300へ送信される。
【0125】
したがって、管理サーバ300は、
図9に例示されるように、提供要求Cが送信された時刻tと、提供要求Cに対応するユーザ情報ujと、送信元のディスペンサ10のディスペンサ識別情報dと、提供済か非提供かのステータスsaとからなるレコードRを蓄積する履歴情報テーブル310を管理することができる。
【0126】
制御プログラム51は、通信部45を介して管理サーバ300にアクセスし、管理サーバ300において管理されている履歴情報テーブル310を参照して、提供要求Cの妥当性を判定する。
【0127】
この妥当性の判定基準としては、限定される訳ではないが、この提供要求Cをしたユーザへ、直近に生理用品Sが提供された時刻から、所定時間(例えば、2時間)以上経過している場合、要求が妥当であると判定したり(第1の判定基準)、および/または、所定期間(例えば、過去1カ月)中にこのユーザに提供された生理用品Sの数が、所定数に達していない場合、要求が妥当であると判定する(第2の判定基準)という具合である。
【0128】
これらいずれの判定基準を採用するにせよ、制御プログラム51は、提供要求Cの妥当性を判定するために、管理サーバ300において管理されている履歴情報テーブル310を参照する。例えば、提供要求Cに関連するユーザ情報ujに関するレコードRを、履歴情報テーブル310から抽出し、さらにステータスsaが「OK」となっているレコードRに絞り込む。この絞り込まれたレコードRを参照すれば、このユーザへ生理用品Sが提供された直近の時刻も、過去1カ月間の生理用品Sの提供数も把握できるので、制御プログラム51は、提供要求Cの妥当性を判定することができる。
【0129】
以下に、
図9を用いて、最新の提供要求Cが、第1の判定基準を満たしているか否かを、制御プログラム51が判定する場合の具体例を説明する。ここでは、第1の判定基準として使用される所定時間を2時間とする。
【0130】
図9の例では、レコードR115が、最新の提供要求Cである。レコードR115は、ユーザ情報ujが「B2346」であり、要求時の時刻tが「20191204142341」、すなわち2019年12月4日14時23分41秒であることを示している。
【0131】
図9において、ユーザ情報ujが「B2346」であり、かつステータスが「OK」となっているレコードは、レコードR107である。したがって、レコードR115の要求元のユーザが、ディスペンサ10から直近に生理用品Sの提供を受けた時刻は、レコードR107に記録されている時刻tである。
【0132】
レコードR107の時刻tは、「20191204093529」、すなわち2019年12月4日午前9時35分29秒である。
【0133】
レコードR115が示す時刻tは、レコードR107が示す時刻tの4時間48秒12秒後であり、所定時間である2時間以上経過している。したがって、制御プログラム51は、レコードR115の提供要求Cは、第1の判定基準を満たしていると判定する。
【0134】
なお、上記の具体的な説明により、第2の判定基準を満たしているか否かの判定も理解できると思われるので、第2の判定基準を満たしているか否かを判定する際の具体例を用いた説明は省略する。
【0135】
提供要求Cが妥当であると判定すると、制御プログラム51は、ステッピングモータ32Rまたはステッピングモータ32Lの何れかに駆動命令を出力する。
【0136】
通常であれば、制御プログラム51は、右側の系統の排出口13Rと、左側の系統の排出口13とから交互に生理用品Sを排出するために、右側の系統のステッピングモータ32Rと、左側の系統のステッピングモータ32Lとへ交互に駆動命令を出力する。すなわち、前回の提供要求Cに対してステッピングモータ32Rへ駆動命令が出力され、排出口13Rから生理用品Sが排出された場合、制御プログラム51は、今回の提供要求Cに対しては、排出口13Lから生理用品Sを排出するために、ステッピングモータ32Lへ駆動命令を出力する。
【0137】
しかしながら、制御プログラム51は、後述するように、何れかの系統に排出詰まりなどの不具合が生じた場合には、不具合が解消されるまで、正常に動作している系統のステッピングモータ32のみへ駆動命令を出力する。これによって、ディスペンサ10は、一方の系統に不具合が生じた場合であっても、不具合の生じていない他方の系統から生理用品Sを排出でき、サービスを継続できるという冗長性を備えている。
【0138】
図3には、排出ローラ30Rに駆動力を提供するステッピングモータ32Rと、排出ローラ30Lに駆動力を提供するステッピングモータ32Lとが示されている。これによって、ステッピングモータ32Rへ駆動命令が出力された場合、ステッピングモータ32Rが駆動し、これに応じて排出ローラ30Rが回転する。一方、ステッピングモータ32Lへ駆動命令が出力された場合、ステッピングモータ32Lが駆動し、これに応じて排出ローラ30Lが回転するようになる。
【0139】
ところで、排出ローラ30が、正回転方向Dにだけしか回転しないと、
図10に例示するように、収納部21内で、積み重ねられた生理用品S1~S5の全てが全体的に排出口13側に寄ってしまい、最下位の生理用品S1の前方側(図中右側)の上端を、1つ上の生理用品S2の前方下部が覆ってしまう恐れがある。このような状態で最下位の生理用品S1を排出しようとすると、その上の生理用品S2も、最下位の生理用品S1の前方側の上端を覆ったまま、同時に排出方向Eへ移動し、2つの生理用品S1、S2が、調節プレート23のゲートJを通過しようとすることによって、排出詰まりが生じる可能性がある。
【0140】
このようなことを回避するために、制御プログラム51からの駆動命令は、収納部21から生理用品Sを排出する際には、ステッピングモータ32を、一旦逆方向にわずかに駆動させてから、正方向に駆動させる。これによって、排出ローラ30は、一旦逆回転方向Fにわずかに(例えば約45度)回転し、収納部21に収納されている生理用品Sを、後方側(
図10中左側)に振るように移動させる。これによって、積み重ねられている生理用品S1~S5の排出口13側への片寄りを矯正する。
【0141】
その後、駆動命令は、ステッピングモータ32を正方向に駆動させる。これによって、排出ローラ30が、正回転方向Dに回転し、生理用品S1を排出方向Eへ送り出す。
【0142】
このように、生理用品S1を排出する際に、排出ローラ30を一旦逆回転方向Fに若干量回転させ、その後、正回転方向Dに回転させることによって、詰まりのない確実な排出を実現する。
【0143】
排出口13の下方には、排出センサ25が設けられており、
図7に示すように、排出時に排出方向Eへ移動する生理用品S1が上を覆うことによって、排出センサ25はオンとなり、検知信号Kを出力する。出力された検知信号Kは、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0144】
制御プログラム51は、このような検知信号Kに応じて、生理用品S1の排出が開始されたことを認識する。
【0145】
ステッピングモータ32による排出ローラ30の正回転方向Dへの回転が継続されると、
図11に示すように、生理用品S1の、排出口13からの排出が完了する。これによって、ユーザは、排出された生理用品S1を受け取ることができる。また、排出センサ25の上はもはや生理用品S1によって覆われなくなるので、排出センサ25はオフとなり、検知信号Kの出力を終了する。
【0146】
制御プログラム51は、排出センサ25からの検知信号Kの終了に応じて、生理用品S1の排出が正常に終了したと認識し、駆動しているステッピングモータ32を停止させ、排出ローラ30の回転を終了させるとともに、通信部45から、通信ネットワーク200を介して、管理サーバ300へ、ディスペンサ識別情報dおよびOK情報を送信する。
【0147】
管理サーバ300は、ディスペンサ識別情報dおよびOK情報を受信し、履歴情報テーブル310のうち、このディスペンサ識別情報dに対応する最新のレコードRの(すなわち、未記入の)ステータスsaに、「OK」と書き込む。
【0148】
収納部21から生理用品S1が排出されると、収納部21では、重りmによる重力の作用によって、
図11に示すように、残っている生理用品Sがそれぞれ降下し、今度は、生理用品S2が最下位となる。このように残っている生理用品Sがそれぞれ降下すると、制御プログラム51は、生理用品S1の排出を行ったステッピングモータ32を、逆方向に駆動させる。これによって、排出ローラ30は、逆回転方向Fに回転する。この逆回転の目的も、前述した排出時における逆回転と同様に、積み重ねられている生理用品S2~S6の排出口13側への片寄りを矯正するものであるが、回転量は、前述した排出時における逆回転量よりも2~3倍多く、例えば90~120度とする。
【0149】
生理用品S1の排出が正しく行われた場合は、以上のように動作する。
【0150】
次に、生理用品S1の排出が正しく行われなかった場合について説明する。
【0151】
生理用品S1の排出が開始されたにも関わらず、万が一、詰り等によって排出口13から生理用品Sが排出されない場合、ステッピングモータ32の駆動が継続していても、排出センサ25はオフにはならず、検知信号Kを出力し続ける。検知信号Kが出力され続けている時間が、正常に生理用品Sが排出されるのに要する時間よりも有意に長い場合、制御プログラム51は、詰まり等による排出異常が発生したと判定する。
【0152】
例えば、検知信号Kの出力が開始された後、通常であれば、2~3秒後に、生理用品Sが排出され、検知信号Kの出力が終了するところ、5~6秒経過しても、検知信号Kが出力され続けている場合、制御プログラム51は、排出異常が発生したと判定し、駆動しているステッピングモータ32の駆動を停止させ、排出ローラ30の回転を停止させ、代わりに、他方の系統から生理用品Sを排出させるとともに、排出異常が発生した旨を、メンテナンス作業者へ通知する。これに応じて、メンテナンス作業者は、対象のディスペンサ10へ赴き、適切な復旧措置を行う。
【0153】
生理用品Sの排出時の動作は、前述した通りであるので、重複説明を避けるが、他方の系統からの生理用品S1の排出が正常に終了すると、制御プログラム51は、通信部45を介して、管理サーバ300へ、ディスペンサ識別情報dおよびOK情報を送信し、これを受けて、管理サーバ300は、履歴情報テーブル310のうち、このディスペンサ識別情報dに対応する最新のレコードの(すなわち、未記入の)ステータスsaに、「OK」と書き込む。
【0154】
他方の系統からの生理用品S1の排出も正常になされなかった場合、つまり2つの系統の何れからも生理用品S1の排出が正常にできなかった場合、制御プログラム51は、通信部45を介して、管理サーバ300へ、ディスペンサ識別情報dおよびNG情報を送信する。
【0155】
これを受けて、管理サーバ300は、履歴情報テーブル310のうち、このディスペンサ識別情報dに対応する最新のレコードの(すなわち、未記入の)ステータスsaに、「NG」と書き込む。
【0156】
次に収納部21内の生理用品Sの在庫管理について説明する。
【0157】
収納部21から生理用品Sが正常に排出されると、収納部21に収納されている生理用品Sの在庫が減る。そこで、ディスペンサ10は、収納部21内の生理用品Sの在庫量を把握するための在庫センサ22を備えている。
【0158】
具体的には、ディスペンサ10は、収納部21R内の生理用品Sの在庫量を把握するためには、積み重ね方向(高さ方向)Taにおいて同じ高さに配置された1対の在庫センサ22Rl、22Rrを、方向Taに沿って高さの異なる3箇所に設けている。
【0159】
すなわち、収納部21Rに収納されている生理用品Sの在庫量は、3対の在庫センサで把握する。
図2および
図3に併せて示されるように、第1対の在庫センサ22Rl(#1)、22Rr(#1)は、収納部21Rの底面近傍の高さに、仕切板20Rl、20Rrに埋め込まれることによって設けられている。第2対の在庫センサ22Rl(#2)、22Rr(#2)は、第1対の在庫センサ22Rl(#1)、22Rr(#1)よりも高い高さ(例えば、収納部21Rの高さを100%とした場合、下面から10%の高さ)に、仕切板20Rl、20Rrに埋め込まれることによって設けられている。第3対の在庫センサ22Rl(#3)、22Rr(#3)は、第2対の在庫センサ22Rl(#2)、22Rr(#2)よりも高い高さ(例えば、収納部21Rの下面から30%の高さ)に、仕切板20Rl、20Rrに埋め込まれることによって設けられている。
【0160】
また、対を形成する在庫センサ22Rl、22Rrは、収納部21Rの底面から同じ高さに、対面するように配置されており、対の一方(例えば、在庫センサ22Rl)が、例えば発光ダイオードのように、光を発する発光部であり、対の他方(例えば、在庫センサ22Rr)が、発光部からの光を受光する、例えばフォトダイオードのような受光部である。
【0161】
したがって、第1対の在庫センサ22Rl(#1)、22Rr(#1)の場合、在庫センサ22Rl(#1)を発光部とし、在庫センサ22Rr(#1)を受光部とすることができる。同様に、第2対の在庫センサ22Rl(#2)、22Rr(#2)の場合、在庫センサ22Rl(#2)を発光部とし、在庫センサ22Rr(#2)を受光部とすることができ、第3対の在庫センサ22Rl(#3)、22Rr(#3)の場合、在庫センサ22Rl(#3)を発光部とし、在庫センサ22Rr(#3)を受光部とすることができる。
【0162】
なお、逆に、在庫センサ22Rrを発光部とし、在庫センサ22Rlを受光部とすることもできる。
【0163】
発光部は、受光部に向けて光を発することができるように調整され、受光部は、発光部からの光を受光できるように調整されている。受光部は、発光部からの光を受光すると、検出信号Mを出力する。
【0164】
例えば、
図3に例示されるように、収納部21Rに収納されている生理用品Sの在庫が十分である(在庫が30%以上ある)場合、発光部であるどの在庫センサ22Rl(#1)、(#2)、(#3)が発光した光も、生理用品Sによって遮られるために、対応する受光部である在庫センサ22Rr(#1)、(#2)、(#3)によって受光されない。したがって、どの在庫センサ22Rr(#1)、(#2)、(#3)からも検出信号Mは出力されない。
【0165】
一方、
図12に例示するように、収納部21Rに収納されている生理用品Sの在庫が減少し、残り30%を下回るようになると、発光部である在庫センサ22Rl(#3)が発光する光が、受光部である在庫センサ22Rr(#3)によって受光されるようになり、在庫センサ22Rr(#3)から検出信号M(R#3)が出力される。
【0166】
収納部21Rに収納されている生理用品Sの在庫がさらに減少し、残り10%を下回るようになると、発光部である在庫センサ22Rl(#2)が発光する光も、受光部である在庫センサ22Rr(#2)によって受光されるようになり、在庫センサ22Rr(#2)からも検出信号M(R#2)が出力されるようになる。
【0167】
収納部21Rに収納されている生理用品Sの在庫がまったくなくなると、発光部である在庫センサ22Rl(#1)が発光する光も、受光部である在庫センサ22Rr(#1)によって受光されるようになり、在庫センサ22Rr(#1)からも検出信号M(R#1)が出力されるようになる。
【0168】
出力された検出信号Mは、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0169】
制御プログラム51は、受光部であるどの在庫センサ22Rrからも検出信号Mが出力されない場合には、収納部21Rに収納されている生理用品Sの在庫は十分あると把握し、在庫センサ22Rr(#3)から検出信号M(R#3)が出力され始めると、在庫が30%を切ったと把握し、さらに在庫センサ22Rr(#2)から検出信号M(R#2)が出力され始めると、在庫が10%を切ったと把握し、さらに在庫センサ22Rr(#1)から検出信号M(R#1)が出力され始めると、在庫がなくなったと把握する。
【0170】
収納部21Lについても、同様な在庫管理を行うために、第1対の在庫センサ22Ll(#1)、22Lr(#1)が、収納部21Lの底面近傍の高さに、第2対の在庫センサ22Ll(#2)、22Lr(#2)が、第2対の在庫センサ22Rl(#2)、22Rr(#1)と同じ高さに、第3対の在庫センサ22Ll(#3)、22Lr(#3)が、第3対の在庫センサ22Rl(#3)、22Rr(#3)と同じ高さに、仕切板20Rl、20Rrに埋め込まれることによって設けられている。
【0171】
制御プログラム51は、把握した在庫情報(例えば、30%以上、10~30%、10%以下)を、ディスプレイ12から表示させることができる。また、これら情報を、通信部45を介して管理サーバ300へ通知することもできる。
【0172】
これを受けて管理サーバ300は、例えば、在庫が10%を下回ったディスペンサ10がある場合、在庫補充作業者に対して、このディスペンサ10に生理用品Sを補充するように要求することができる。また、制御プログラム51が、通信部45を介して、在庫補充作業者に対して、このディスペンサ10に生理用品Sを補充するように要求することもできる。
【0173】
これに応じて、在庫補充作業者が、このディスペンサ10に赴き、鍵15を開錠して前蓋11bを開き、電源をオフにした後、筐体本体11aの収納部21に生理用品Sを補充する。そして、補充を完了すると、電源を再びオンにした後、前蓋11bを閉じて筐体本体11aを塞いで鍵15をかける。これによって、生理用品Sを希望するユーザに対して、引き続き生理用品Sの提供サービスを実施することができる。
【0174】
なお、補充する生理用品Sは、ディスペンサ10毎に同一の銘柄とすることが好ましい。なぜなら、前述したように、生理用品Sの銘柄に応じて高さが異なり、排出トラブルが生じる可能性があるからである。
【0175】
したがって、ディスペンサ10毎に指定された生理用品Sの銘柄に関する製品情報(メーカ、製品名、タイプ等)を、書込可能データエリア52に記憶しておき、ディスプレイ12から、この製品情報を、ディスプレイ12から表示させることもできる。
【0176】
なお、補充する生理用品Sは、前述したように、ディスプレイ12から表示される広告に応じて広告スポンサーから得られた広告収入の一部で購入したものとすることができる。
【0177】
次に、以上のように構成した本実施形態に係るディスペンサの動作例について説明する。
【0178】
図13A~
図13Bは、本実施形態に係るディスペンサの動作例を説明する処理フロー図である。
【0179】
ディスペンサ10は、
図1に例示するように、女性用トイレの個室に設置されている。
【0180】
ディスペンサ10の前蓋11bには、人感センサ14が配置されており、トイレの個室にユーザが入ると、このユーザは、人感センサ14によって感知され、人感センサ14から感知信号Aが出力される(ST1)。
【0181】
人感センサ14からの感知信号Aは、バス41を介してメモリ50へ送られ、これに応じて、制御プログラム51によって、ディスプレイ12から、画像データの表示が開始される(ST2)。
【0182】
画像データは、画像データ記憶部62に記憶された広告データやディスペンサ10の使用方法の説明であっても、また、通信部45を使って、通信ネットワーク200を介して、図示しない広告サーバから配信されるものであってもよい。
【0183】
ディスプレイ12からの画像データの表示時間は、ユーザのトイレ個室への1回の入室毎に2分程度とし、それ以上長くは表示しない。これによって、ユーザが、ディスプレイ12から表示される画像データに見入ってしまい、ついトイレに長居するようなことはない。2分間での効果的な表示のために、画像データの長さは、例えば、15秒尺程度とされている。したがって、ディスプレイ12から、2種類の画像データが表示される場合、1つが15秒程度の2種類の画像データが、2分間の間に繰り返し表示される。
【0184】
このように、ディスプレイ12から広告を表示できるので、ディスペンサ10によって生理用品Sを提供する事業者は、広告スポンサーを募り、ディスプレイ12から、広告を表示することによって広告収入を得、その収入の一部で生理用品Sを購入し、ディスペンサ10に補充するサイクルを繰り返すことによって、ユーザに対して生理用品Sを無償で提供するというビジネスモデルを実施できる。
【0185】
ユーザは、ディスプレイ12から表示されるディスペンサ10の使用方法の説明に従って、ディスペンサ10に対して、生理用品Sの提供要求Cを行う(ST3)。
【0186】
生理用品Sの提供要求Cを行う方法には、本明細書では特に限定しないが、例えば、ユーザが、ユーザ情報読取部16からユーザ情報を入力することによって行う「読取方式」や、スマートフォン等のユーザデバイス151に、専用アプリAPをインストールし、この専用アプリAPを使ってユーザデバイス151から行う「アプリ方式」等がある。
【0187】
読取方式では、非接触方式あるいは接触方式でも、ユーザ情報読取部16からユーザ情報を入力できる。
【0188】
非接触方式でのユーザ情報入力の例として、NFC技術の適用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16は、NFC対応受信機とされ、ユーザは、NFC対応型カード150(例えば、交通系カード、社員証や学生証等の身分証、クレジットカード、キャッシュカード等のICカード)やユーザデバイス151(例えば、スマートフォン)を、ユーザ情報読取部16にかざす。これらカード150やユーザデバイス151から情報(例えば、カードの番号、デバイス番号等)は、ユーザ情報読取部16によって読み取られ、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力される。このように、NFC技術を適用する場合、NFC対応型カード150のみならず、スマートフォンのようなユーザデバイス151でも利用可能である。
【0189】
また、非接触方式の別のユーザ情報入力の例として、ビーコンやRFID等の無線技術の適用が挙げられる。ビーコンを使用する場合、ユーザ情報読取部16は、ビーコン受信機とされ、ユーザが、ビーコン識別情報IDを送信するビーコンデバイス152を、ユーザ情報読取部16に近づけると、ユーザ情報読取部16によってビーコン識別情報IDが受信され、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0190】
RFIDを使用する場合、ユーザ情報読取部16が、RFIDリーダとされ、ユーザが、RFIDタグ153をユーザ情報読取部16に近づけると、ユーザ情報読取部16によってRFID識別情報idが受信され、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0191】
非接触方式のさらに別の例として、QRコード154の利用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16が、QRコードリーダとされ、ユーザは、所定の情報qが埋め込まれたQRコード154を、ユーザ情報読取部16に読み取らせる。そして、ユーザ情報読取部16によって、QRコード154から、所定の情報qが取得され、取得された情報qが、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0192】
非接触方式の他の例として、生体情報認証の利用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16は、生体認証装置とされ、生体認証装置によって、ユーザUの生体情報が認証され、認証された生体情報rが、ユーザ情報ujとして、メモリ50へ出力される。
【0193】
一方、接触方式でのユーザ情報入力の例として、磁気カード155の利用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16は、磁気リーダとされ、例えばカード番号のような磁気情報pが、磁気リーダによって読み取られ、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0194】
接触方式の別の例として、指紋情報vの利用が挙げられる。この場合、ユーザ情報読取部16は指紋リーダとされる。ユーザが、ユーザ情報読取部16に指を載せると、ユーザ情報読取部16によって、指紋情報がv読み取られ、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0195】
接触方式のさらに別の例として、NFC非対応型のICカードの利用が挙げられる。NFC非対応型ICカード156の場合、非接触で情報を読み取ることができないので、ユーザ情報読取部16は、ICカードリーダとされ、ユーザは、ICカード156に記憶された例えばカード番号のようなカード情報wを、ユーザ情報読取部16に読み取らせる。カード情報wは、ユーザ情報読取部16によって読み取られ、ユーザ情報ujとして、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0196】
メモリ50へユーザ情報ujが出力されると、制御プログラム51によって、ユーザ情報ujは、提供要求Cとして認識される。
【0197】
次に、アプリ方式による生理用品Sの提供要求Cの方法について以下に説明する。
【0198】
アプリ方式によって生理用品Sの提供要求Cを行う場合、ユーザは、先ず、スマートフォンやタブレット等の自分のユーザデバイス151に、専用アプリAPをインストールする。
【0199】
ユーザは、ユーザデバイス151に専用アプリAPをインストールした後、専用アプリAPに従ってユーザデバイス151を使ってユーザ登録を行うと、ディスペンサ10に対して生理用品Sの提供を要求できるようになる。この要求に応じて、専用アプリAPを運営するサーバ(例えば、管理サーバ300)において、ユーザ情報ujに基づいて提供要求Cが生成され、生成された提供要求Cが、通信ネットワーク200を介して送信され、通信部45によって受信され、バス41を介してメモリ50へ出力される。
【0200】
このように様々な方法によって、提供要求Cが送られると、制御プログラム51によって、提供要求Cが、ディスペンサ10に付与されているディスペンサ識別情報dとともに、通信部45から、通信ネットワーク200を介して、管理サーバ300へ出力され、記憶される。
【0201】
このようにして管理サーバ300には、すべてのディスペンサ10から、ディスペンサ識別情報dとともに提供要求Cが出力される。管理サーバ300では、
図9に例示されるような履歴情報テーブル310が管理されており、ディスペンサ10から、ディスペンサ識別情報dとともに提供要求Cが出力された場合、これに応じて、履歴情報テーブル310に、新たなレコードRが書き込まれる(ST4)。
【0202】
なお、履歴情報テーブル310に新たなレコードRが書き込まれた時点では、ユーザ情報ujと、時刻tと、ディスペンサ10のディスペンサ識別情報dは書き込まれるが、ステータスsaは空欄である。ステータスsaには、その後、生理用品Sが提供されたことを示すOK情報がディスペンサ10から送信された場合、「OK」と書き込まれ、不具合等によって生理用品Sが提供されなかったことを示すNG情報がディスペンサ10から送信された場合、「NG」と書き込まれる。
【0203】
履歴情報テーブル310は、制御プログラム51によって、提供要求Cの妥当性を判定するために参照される(ST5)。
【0204】
この妥当性の判定基準としては、限定される訳ではないが、ユーザへ生理用品Sが直近に提供された時刻から、所定時間(例えば、2時間)以上経過している場合、妥当であると判定する「第1の判定基準」や、所定期間(例えば、過去1カ月)中にユーザに提供された生理用品Sの数が、所定数に達していない場合、妥当であると判定する「第2の判定基準」を採用できる。
【0205】
このような判定基準を使って提供要求Cの妥当性を判定する場合、制御プログラム51によって、以下のような処理が行われる。
【0206】
先ず、履歴情報テーブル310から、提供要求Cに関連するユーザ情報ujに関する過去のレコードRが抽出される。次に、抽出されたレコードRから、ステータスsaが「OK」となっているレコードRが絞り込まれる。この絞り込まれたレコードRから、ユーザへ生理用品Sが直近に提供された時刻tと、過去1カ月間の生理用品Sの提供数とが把握される。
【0207】
したがって、このユーザへ生理用品Sが直近に提供された時刻から、所定時間以上経過しているか否か(第1の判定基準を満たしているか否か)と、所定期間中に提供された生理用品Sの数が、所定数に達していないか否か(第2の判定基準を満たしているか否か)とが、制御プログラム51によって判定される。
【0208】
制御プログラム51では、例えば、第1の判定基準と第2の判定基準との両方が満たされている場合に、提供要求Cを妥当と判定するなど、提供要求Cの妥当性が判定される。
【0209】
提供要求Cが妥当であると判定される(ST6:Yes)と、制御プログラム51によって、ステッピングモータ32Rまたはステッピングモータ32Lの何れかに駆動命令が出力される(ST7)。
【0210】
一方、提供要求Cが妥当であると判定されなかった場合(ST6:No)、制御プログラム51から駆動命令は出力されないので、ディスペンサ10から生理用品Sは排出されず、処理を終了する。
【0211】
ステップST7において駆動命令が出力される場合、通常であれば、制御プログラム51からは、右側の系統の排出口13Rと、左側の系統の排出口13とから交互に生理用品Sを排出するために、右側の系統のステッピングモータ32Rと、左側の系統のステッピングモータ32Lとへ交互に駆動命令が出力される。
【0212】
しかしながら、制御プログラム51は、何れかの系統において排出詰まりなどの不具合が生じた場合には、不具合が解消されるまで、正常に動作している系統のステッピングモータ32のみへ駆動命令が出力される。このように、ディスペンサ10は、一方の系統に不具合が生じた場合であっても、不具合の生じていない他方の系統から生理用品Sを排出することで、サービスを継続できるという冗長性を備えている。
【0213】
ところで、排出ローラ30が、正回転方向Dにだけしか回転しないと、
図10に例示するように、積み重ねられた生理用品ST1~ST5の全てが全体的に排出口13側に片寄ってしまい、最下位の生理用品S1の前方側(図中右側)の上端を、1つ上の生理用品S2の前方下部が覆ってしまう恐れがある。
【0214】
これは排出詰まりをもたらす可能性があるので、ステップST8で制御プログラム51から出力された駆動命令は、ステッピングモータ32を、一旦逆方向にわずかに駆動させてから、正方向に駆動させる。これによって、排出ローラ30は、一旦逆回転方向Fにわずかに(例えば約45度)回転し、収納部21に収納されている生理用品Sを、後方側に振るように移動させる。これによって、積み重ねられている生理用品S1~S5の排出口13側への片寄りが矯正される(ST8)。
【0215】
その後、駆動命令は、ステッピングモータ32を正方向に駆動させる。これによって、排出ローラ30が、正回転方向Dに回転し(ST9)、生理用品S1が排出方向Eに排出される(ST10)。
【0216】
このように、生理用品S1を排出する際に、排出ローラ30を一旦逆回転方向Fに若干量回転させ、その後、正回転方向Dに回転させることによって、詰まりのない確実な排出が可能となる。
【0217】
排出口13の下方には、排出センサ25が設けられており、
図7に示すように、排出時に排出方向Eへ移動する生理用品S1が上を覆うことによって、排出センサ25はオンとなり、排出センサ25から検知信号Kが出力される(ST11)。
【0218】
検知信号Kは、バス41を介してメモリ50へ出力され、これに応じて、制御プログラム51によって、生理用品S1の排出の開始が認識される。
【0219】
ステッピングモータ32による排出ローラ30の正回転方向Dへの回転が開始されると、通常であれば2~3秒後に、生理用品Sの排出が完了し(ST13)、ユーザは、排出された生理用品Sを取ることができる。これにより、排出センサ25の上はもはや生理用品S1によって覆われなくなるので、生理用品Sの排出が完了する前に、排出センサ25はオフとなり、排出センサ25からの検知信号Kの出力は終了する(ST12:Yes)。
【0220】
ステップST12における排出センサ25からの検知信号Kの終了に応じて、制御プログラム51によって、生理用品S1の排出が正常に終了したと認識され、ステッピングモータ32が停止され、排出ローラ30の回転が終了される(ST14)。
【0221】
ステップST12における排出センサ25からの検知信号Kの終了に応じてさらに、制御プログラム51によって、管理サーバ300へ、ディスペンサ識別情報dおよびOK情報が送信され、履歴情報テーブル310のうち、このディスペンサ識別情報dに対応する最新のレコードRの(すなわち、未記入の)ステータスsaに、「OK」と書き込まれ、履歴情報テーブル310が更新される(ST15)。
【0222】
収納部21では、ステップST13における生理用品S1の排出に応じて、重りmによる重力の作用によって、
図11に示すように、残っている生理用品Sがそれぞれ降下し、今度は、生理用品S2が最下位となる(ST16)。このように残っている生理用品Sがそれぞれ降下すると、制御プログラム51によって、生理用品S1の排出を行ったステッピングモータ32が、逆方向に駆動するように指示される。これによって、排出ローラ30が、逆回転方向Fに回転する(ST17)。この逆回転の目的も、ステップST8においてなされる逆回転と同様に、積み重ねられている生理用品S2~S6の排出口13側への片寄りを矯正するものであるが、回転量は、ステップST8における逆回転量よりも2~3倍多く、例えば90~120度である。
【0223】
なお、
図13Bでは、便宜上、ステップST12において排出センサ25がオフになった後、ステップST13、ST14、ST15、およびST16が、連続的に実施されるように記載されているが、実際には、ステップST13、ST14、ST15、ST16は、並列的に実施される。ステップST17は、ステップST16の後になされる。
【0224】
一方、ステップST10において生理用品S1の排出が開始されたにも関わらず、排出詰り等によって排出口13から生理用品Sが排出されないなど、生理用品S1の排出が正しく行われなかった場合は、ステップST12において、ステッピングモータ32による排出ローラ30の正回転方向Dへの回転が継続されても、生理用品S1の、排出口13からの排出は完了せず、排出センサ25の上は生理用品S1によって覆われ続けるので、排出センサ25はオフにならず、検知信号Kを出力し続ける(ST12:No)。
【0225】
このように検知信号Kが出力され続けている時間が、正常に生理用品Sが排出されるのに要する時間よりも有意に長い場合、制御プログラム51によって、排出異常が発生したと判定され(ST18)、排出異常が発生した旨が、メンテナンス作業者へ通知される。これに応じて、メンテナンス作業者が、対象のディスペンサ10へ赴き、適切な復旧措置を行う。
【0226】
また、ステップST18の後、制御プログラム51によって、動作中のステッピングモータ32(例えば、ステッピングモータ32R)の駆動が停止され(ST19)、代わりに、他方の系統のステッピングモータ32(例えば、ステッピングモータ32L)の駆動が開始され(ST20)、その後は、ステップST7の処理に移る。これによって、異常が発生した系統の代わりに、他方の系統から生理用品Sが排出される。
【0227】
なお、このように他方の系統を動作させたにも関わらず、他方の系統からも生理用品S1を正常に排出できなかった場合、つまり2つの系統の何れからも生理用品S1が排出されなかった場合、制御プログラム51から、通信部45を介して、管理サーバ300へ、ディスペンサ識別情報dおよびNG情報が送信され、管理サーバ300では、履歴情報テーブル310のうち、このディスペンサ識別情報dに対応する最新のレコードRの(すなわち、未記入の)ステータスsaに、「NG」が書き込まれ、履歴情報テーブル310が更新される。
【0228】
以上説明したように、本実施形態に係るディスペンサ10は、ディスプレイ12から、様々な情報を、ユーザに対して画像で提供できるので、ユーザの操作性や快適性の向上を図ることができる。これによって、ユーザは、ディスペンサ10をスムーズに利用して、生理用品Sを取得できる。したがって、ディスペンサ10は、予定外に生理がきてしまい、生理用品Sを持ち合わせていないユーザに対して、利便性を提供することができる。
【0229】
しかも、提供される生理用品Sは、提供前には筐体11内に収納されており、不特定多数の人によって触れられることはないので、ユーザは、提供された生理用品Sを、安心して使用することができる。
【0230】
なお、本実施形態に係るディスペンサ10は、ユーザから生理用品Sの提供要求があった場合であっても、提供要求に応じて無制限に生理用品Sを提供するのではなく、要求の妥当性を確認した場合にのみ提供する。したがって、大量の生理用品Sが一度に持ち去られるようなことはなく、常に在庫が十分あるように管理されるので、生理用品Sを、本当に使用を必要としているユーザに、確実に提供することが可能となる。
【0231】
さらには、本実施形態に係るディスペンサ10は、以下のように、ハードウェア設計の観点からも、様々な工夫がなされている。
【0232】
例えば、ディスペンサ10は、生理用品Sの排出のための動力源として、ステッピングモータ32を導入することにより、動作音の静寂化を実現するので、ユーザは、トイレの個室の外にいる人に気付かれることなくディスペンサ10を使用することができる。
【0233】
また、ディスペンサ10は、収納部21の下に、ステッピングモータ32と排出ローラ30とを配置することによって、ディスペンサ10の薄型化を実現するので、ユーザは、ディスペンサ10が設置されたトイレの個室に入っても、圧迫感を感じることなく、トイレやディスペンサ10を利用することができる。
【0234】
さらには、ディスペンサ10は、排出ローラ30の逆回転による片寄りの矯正や、排出系を二系統備える冗長構成の採用により、ユーザが生理用品Sを受け取ることが可能である確率は極めて高く、高い信頼性で生理用品Sを提供することができる。
【0235】
次に、ディスペンサ10による様々な画像の提供例を、以下の変形例1~2で説明する。なお、以下の変形例1~2では、既出の説明については重複説明を避け、異なる点について説明する。
(変形例1)
図14は、変形例1のディスペンサ10Aを説明するための概念図である。
【0236】
ディスペンサ10Aは、ディスプレイ12がディスペンサ本体の筐体11(前蓋11b)から分離可能であることが、ディスペンサ10とは異なる。したがって、ディスプレイ12は、筐体11に内蔵したまま使用することもできるし、
図14に示すように、筐体11から分離して任意の場所に設置することもできる。
【0237】
ディスプレイ12は、例えば、タブレット端末で実現できる。
【0238】
ディスプレイ12を、筐体11に内蔵したまま使用する場合の構成、動作、および作用効果は、前述した実施形態で説明した通りである。
【0239】
一方、ディスプレイ12を筐体11から分離して任意の場所に設置する場合、ディスプレイ12は、対応するディスペンサ10Aと、無線または有線によって通信する。これによって、ディスプレイ12は、ディスペンサ10A本体から分離されていても、筐体11に内蔵されている場合と同様に、広告、ディスペンサ10Aの使用方法の説明、生理用品Sの在庫情報、生理用品Sの製品情報等の画像データを表示することができる。
【0240】
図15は、ディスプレイ12をディスペンサ10Aの筐体11から分離して任意の場所に設置した場合の一例を示す概念図である。
【0241】
図15は、ディスプレイ12を、トイレの個室内において、便座100の前方側に配置した例を示している。
図15では、便座100の前方が個室のドア102となっているが、ドアに限らず壁面でもよい。
【0242】
ディスプレイ12が便座100の前方側に配置されていることによって、ユーザは、トイレの個室を使用している間、目線の正面にディスプレイ12があるので、ディスプレイ12から表示される画像を、より快適に見ることができる。
【0243】
このように、ディスペンサ10Aは、ディスプレイ12から、様々な情報を、ユーザに対して画像で提供できるので、ユーザの操作性や快適性の向上を図ることが可能となる。
【0244】
(変形例2)
図16は、変形例2のディスペンサ10Bを説明するための概念図である。
【0245】
変形例2のディスペンサ10Bの概念は、実施形態のディスペンサ10と、変形例1のディスペンサ10Aとの組み合わせである。
【0246】
すなわち、ディスペンサ10Bは、複数のディスプレイ12を備えており、そのうちの1つが、
図1で説明したような筐体11(前扉11b)に内蔵されたディスプレイ12と同じディスプレイ12aであり、それ以外のディスプレイ12は、
図15で説明したように、筐体11から分離可能なディスプレイ12bである。ディスプレイ12bは、例えば、タブレット端末で実現できる。
【0247】
図17は、トイレの個室104の外側にディスプレイ12b(out)が設置された状態を示す概念図である。
【0248】
ディスプレイ12bは、
図16に例示するように、トイレの個室104の内側に設置されるディスプレイ12b(in)に限らず、
図17に例示するように、トイレの個室104の外側に設置されるディスプレイ12b(out)であることもできる。
【0249】
また、ディスプレイ12bは、1つに限らず、複数あってもよい。したがって、
図16と
図17とを合わせたように、ディスプレイ12b(in)とディスプレイ12b(out)との両方を設置することもできる。
【0250】
このように、筐体11から分離された1つまたは複数のディスプレイ12bを設置する場合であっても、各ディスプレイ12bは、対応するディスペンサ10Bと、無線または有線によって通信する。これによって、ディスプレイ12bは、ディスペンサ本体から分離されていても、筐体11に内蔵されているディスプレイ12aと同様に、広告、ディスペンサ10Bの使用方法の説明、生理用品Sの在庫情報、生理用品Sの製品情報等の画像データを表示することができる。
【0251】
したがって、すべてのディスプレイ12a、12bから、同じ画像データを表示することが可能である。
【0252】
また、ディスプレイ12a、12bのおのおのから表示する画像データを、以下のように分担することもできる。
【0253】
例えば、ディスプレイ12bからは、常時あるいは必要に応じて、広告や、収納部21に収納されている生理用品Sの製品情報や、その在庫情報を表示する一方、ディスプレイ12aからは、人感センサ14による感知に応じて、ディスペンサ10Bの使用方法の説明の画像の表示を開始するという具合である。
【0254】
さらには、例えば、
図16および
図17に示すように、ディスプレイ12bとして、個室104の外側のディスプレイ12b(out)と、個室104の内側のディスプレイ12b(in)との両方が設置されている場合、ディスプレイ12b(out)から、収納部21に収納されている生理用品Sの製品情報や、在庫情報を常時表示する一方、ディスプレイ12b(in)からは、人感センサ14による感知に応じて、広告を表示するようにもできる。
【0255】
したがって、この例によれば、ユーザは、トイレに入ると、先ずディスプレイ12b(out)を見て、生理用品Sの製品情報や、在庫情報を確認し、個室104に入ると、人感センサ14による感知に応じて、ディスプレイ12aから表示が開始される、ディスペンサ10Bの使用方法の説明の画像を見て、ディスペンサ10Bの使用が終わった後は、正面にあるディスプレイ12b(in)から快適に広告を見ることができる。
【0256】
このような複数のディスプレイ12a、12bの使い分けによって、変形例2のディスペンサ10Bは、ユーザに対して有用な様々な情報を、適切な場所から、適切なタイミングで表示できるので、ユーザの操作性や快適性の向上を図ることが可能となる。
【0257】
以上、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0258】
10、10A、10B ディスペンサ
11 筐体
11a 筐体本体
11b 前蓋
12、12a、12b ディスプレイ
13 排出口
14 人感センサ
15 鍵
16 ユーザ情報読取部
20 仕切板
21 収納部
22 在庫センサ
23 調節プレート
24 盗難防止用蓋
25 排出センサ
30 排出ローラ
32 ステッピングモータ
41 バス
42 CPU
43 外部記録媒体
44 記録媒体読取部
45 通信部
50 メモリ
51 制御プログラム
52 書込可能データエリア
60 記憶装置
62 画像データ記憶部
100 便座
102 ドア
104 個室
150 NFC対応型カード
151 ユーザデバイス
152 ビーコンデバイス
153 RFIDタグ
154 QRコード
155 磁気カード
156 NFC非対応型ICカード
200 通信ネットワーク
300 管理サーバ
310 履歴情報テーブル
A 感知信号
AP 専用アプリ
B カード等
C 提供要求
d ディスペンサ識別番号
D 正回転方向
E 排出方向
F 逆回転方向
G 非排出方向
h 幅
I 高さ
ID ビーコン識別情報
id RFID識別情報
J 開口部
K 検知信号
M 検出信号
m 重り
p 磁気情報
q QRコードからの情報
r 生体情報
R レコード
sa ステータス
S 生理用品
t 時刻
Ta 方向
Tb 開口高さ
U ユーザ
uj ユーザ情報
v 指紋情報
w カード情報
【要約】
【課題】 衛生用品の管理された提供を行う衛生用品提供用ディスペンサのユーザに対して、様々な情報を、画像で提供することによって、ユーザの操作性や快適性の向上を図る。
【解決手段】衛生用品をユーザに提供するための衛生用品提供用ディスペンサは、前記衛生用品を収納する収納部と、前記収納部に収納されている前記衛生用品を、前記収納部から排出するための排出部と、前記ユーザから前記衛生用品の提供を求める要求があった場合、前記要求が妥当であれば、前記衛生用品を排出するように、前記排出部を動作させる制御部と、画像を表示するディスプレイとを備え、前記制御部は、前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合と、所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合とのうちの少なくとも何れかである場合、前記要求が妥当であると判定する。
【選択図】
図1