(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】抜き出しハンドル及び/又はアーチ部材を備える泌尿器科インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/02 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
A61F2/02
(21)【出願番号】P 2020530343
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(86)【国際出願番号】 IL2018051321
(87)【国際公開番号】W WO2019111247
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-02
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520176670
【氏名又は名称】バタフライ メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BUTTERFLY MEDICAL LTD.
【住所又は居所原語表記】Beit Tavor,2nd entrance,3rd floor,20692 Yokneam (IL)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】バシャール,イェフダ
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/017499(WO,A1)
【文献】特表2008-545453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0065209(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0135830(US,A1)
【文献】国際公開第2015/111063(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泌尿器科インプラントであって、
接続部材と、
互いに対称に対向する第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブと、
インプラント抜き出しハンドルと、
を備え、
前記接続部材は、長手方向に離間した複数のアーチ部材を備え、前記複数のアーチ部材はそれぞれ、第1のアーチ端部と第2のアーチ端部の間に位置する支持されていないアーチ頂部を備え、前記複数のアーチ部材は、最も近位のアーチ部材、最も遠位のアーチ部材、及びこれらの間にある少なくとも一つの中間アーチ部材を含み、
前記第1の長手方向リブ及び前記第2の長手方向リブは、前記泌尿器科インプラントの長手方向軸に関して、潰し状態と拡張状態の間で互いに離れるように、弾性的に移動可能であり、
前記拡張状態は、前立腺部尿道を囲む尿道周囲組織を後退させ又は/且つ支持するための状態であり、
前記インプラント抜き出しハンドルは、
前記最も近位のアーチ部材を含み、
前記インプラント抜き出しハンドルは、引っ張り力を受けると前記接続部材から離れるように、弾性的に移動するように構成され、前記長手方向軸に
対して前記第1の長手方向リブ及び前記第2の長手方向リブが近づくこと
を強制
し、
前記複数のアーチ部材は、前記複数のアーチ部材の前記第1のアーチ端部が第1の長手方向リブ部の長さに沿って一つづつ順次接続され、前記複数のアーチ部材の前記第2のアーチ端部が第2の長手方向リブ部の長さに沿って一つづつ順次接続されるように、それぞれのアーチ端部を介して相互接続されることを特徴とする泌尿器科インプラント。
【請求項2】
前記複数のアーチ部材は、前記拡張状態において遠位に傾斜されることを特徴とする、請求項1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項3】
前記泌尿器科インプラントは、尿道カテーテル内に適合する挿入構成に潰れるように構成され、
前記挿入構成において、前記インプラント抜き出しハンドルは
前記最も遠位のアーチ部材に向かう方向に曲げられることを特徴とする、請求項1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項4】
前記泌尿器科インプラントは、尿道カテーテル内に適合する抜き出し構成に潰れるように構成され、
前記抜き出し構成において、前記インプラント抜き出しハンドルは
前記最も遠位のアーチ部材から離れる方向に曲げられることを特徴とする、請求項
1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項5】
前記接続部材の遠位端は、前記拡張状態において前記第1の長手方向リブ及び前記第2の長手方向リブの遠位端の近くに留まるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項6】
前記接続部材の遠位端は、前記潰し状態において前記第1の長手方向リブ及び前記第2の長手方向リブの遠位端の近くに留まるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項7】
前記インプラント抜き出しハンドルは、前記拡張状態において前記泌尿器科インプラントの近位端で前記泌尿器科インプラントの外形に対応する形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項8】
前記近位端は前記第1の長手方向リブ及び前記第2の長手方向リブによって形成されることを特徴とする、請求項
7に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項9】
前記
支持されていないアーチ頂部は、前記第1の長手方向リブと前記第2の長手方向リブの間の中央に設けられることを特徴とする、請求項
1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項10】
前記拡張状態において、前記
最も近位のアーチ部材の頂部は前記泌尿器科インプラントの本体の近位端に隣接し、引っ張られると、前記頂部は前記泌尿器科インプラントの本体の前記近位端から離れるように、近位方向に移動することを特徴とする、請求項
1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項11】
前記インプラント抜き出しハンドルは前記第1の長手方向リブ及び前記第2の長手方向リブに対称に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項12】
前記インプラント抜き出しハンドルは、前記泌尿器科インプラントが前記潰し状態にあるときに前記泌尿器科インプラントを収容可能なサイズの内腔を囲む格納シースの端部に対して前記インプラント抜き出しハンドルから近位に引っ張られると、前記第1の長手方向リブ及び前記第2の長手方向リブを潰し状態に再度潰すように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の泌尿器科インプラント。
【請求項13】
前記第1の長手方向リブ及び前記第2の長手方向リブはそれぞれ、前記長手方向軸に関して近位に突出する側方コーナー及び遠位に突出する側方コーナーを備え、
前記インプラント抜き出しハンドルは、前記近位に突出する側方コーナーで前記第1の長手方向リブ及び前記第2の長手方向リブに接続され、前記泌尿器科インプラントが前記インプラント抜き出しハンドルから前記格納シースの端部に対して近位に引っ張られると、前記近位に突出する側方コーナーを互いに近づけ
ることを特徴とする、請求項
12に記載の泌尿器科インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年12月6日に出願された米国仮特許出願番号62/595,147及び2018年3月19日に出願された米国仮特許出願番号62/644,627の35USC§119(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、幾つかの実施形態において、泌尿器科医療機器及びその使用の分野に関し、より詳細には、しかし限定的ではなく、前立腺部尿道及び/又は前立腺葉の長さに沿って前立腺部尿道を囲む尿道周囲組織を後退させ又は/且つ支持するための泌尿器科(前立腺)インプラント、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
良性前立腺肥大(BPH)は、良性前立腺肥大症としても知られ、前立腺が尿道を拡大、収縮させる泌尿器科疾患である。BPHは、50歳を超える男性人口の大部分に影響を与えるため、医学的及び商業的に非常に重要である。
【0004】
前立腺肥大の外科的治療は、長年にわたり通常の治療となっている。このような外科的治療の1つの方法は、腺が完全に又は部分的に除去される開放前立腺切除術である。外科的治療の別の方法は、経尿道的前立腺切除術(TURP)である。外科的治療は、患者を衰弱させ、痛みを与え、外傷を与える可能性がある侵襲的手法である。そのような外科的治療は、インポテンス、失禁、出血、感染、及び他の望ましくない問題を含む様々な合併症を引き起こす可能性がある。
【0005】
前立腺肥大を治療する別の手法は、尿道の外部開口部で尿道の閉塞部分内にカテーテルを配置し、尿がカテーテルの内腔を介して膀胱から通過できるようにすることである。このような尿道カテーテルは、典型的には、膀胱頸部で膨らみ、体からカテーテルが排出されることを防止する、位置決め又は保持バルーンを遠位端に採用している。
【0006】
マイクロ波又はレーザーエネルギーによって生成されるような、熱の使用に基づくアブレーション技術が、前立腺の拡大した部分を治療するためのそのようなカテーテルと組み合わせて提供されてもよい。しかし、そのような処置は、患者に痛み及び不快感をもたらす可能性がある。
【0007】
泌尿器科の分野における広範な教示及び実践にも関わらず、良性前立腺肥大症(BPH)を治療するための、向上した新しい泌尿器科医療機器及びその使用の開発及び実践について継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、幾つかの実施形態において、前立腺葉の長さに沿って前立腺部尿道を囲む尿道周囲組織を後退させ又は/且つ支持するための泌尿器科(前立腺)インプラント、システム、及び方法に関する。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、泌尿器科インプラントが提供される。泌尿器科インプラントは、接続部材と、互いに対称に対向する第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブと、インプラント抜き出しハンドルとを備え、第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブは、泌尿器科インプラントの長手方向軸に関して、潰し状態と拡張状態の間で互いに離れるように、弾性的に移動可能であり、拡張状態は、前立腺部尿道を囲む尿道周囲組織を後退させ又は/且つ支持するための状態であり、インプラント抜き出しハンドルは、その一方の側で第1の長手方向リブに、その第2の側で第2の長手方向リブに接続され、インプラント抜き出しハンドルは、引っ張り力を受けると接続部材から離れるように、弾性的に移動するように構成され、長手方向軸に関して第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブが近づくことを容易にし且つ/又は強制する。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態によれば、接続部材は少なくとも1つのアーチ部材を備え、少なくとも1つのアーチ部材は、その一方の端部で前記第1の長手方向リブに、その第2の端部で前記第2の長手方向リブに接続する。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態によれば、アーチ部材は、拡張状態において遠位に傾斜される。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態によれば、泌尿器科インプラントは、尿道カテーテル内に適合する挿入構成に潰れるように構成され、挿入構成において、インプラント抜き出しハンドルは遠位に潰される。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態によれば、泌尿器科インプラントは、尿道カテーテル内に適合する抜き出し構成に潰れるように構成され、抜き出し構成において、インプラント抜き出しハンドルは近位に潰される。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態によれば、接続部材の遠位端は、拡張状態において第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブの遠位端の近くに留まるように構成される。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態によれば、接続部材の遠位端は、潰し状態において第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブの遠位端の近くに留まるように構成される。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、抜き出しハンドルを備える泌尿器科インプラントが提供される。任意に、泌尿器科インプラントは、長手方向軸を有する細長いインプラント本体と、2つ又はそれ以上の長手方向リブとを備え、2つ又はそれ以上の長手方向リブは、長手方向軸に関して、潰し状態と拡張状態の間で互いに離れるように、弾性的に移動可能である。任意に、該装置は、拡張状態に付勢されてもよい。例えば、該装置は、拡張状態において、前立腺部尿道を囲む尿道周囲組織を支持するように構成されてもよい。任意に、該装置は、潰し状態において、尿道に挿入され且つ/又は尿道から抜き出されてもよく(例えば、シース及び/又はカテーテルを使用し、例えば、シースは、2~4mmの間、及び/又は4~6mmの間、及び/又は6~10mmの間の内径を有してもよい)、例えば、該装置は、2~4mmの間、及び/又は4~6mmの間、及び/又は6~8mmの間、及び/又は8~10mmの間の幅に潰されてもよい。幾つかの実施形態において、インプラント抜き出しハンドルを引くことにより、該装置を潰し状態に向かって近位に付勢する。
【0017】
幾つかの実施形態において、インプラント抜き出しハンドルは、インプラント本体、例えばインプラント本体の近位部分に取り付けられてもよい。任意に、長手方向リブの一方の側が第1の長手方向リブに接続され、その第2の側が第2の長手方向リブに接続されている。任意に、インプラント抜き出しハンドルは、引っ張り力を受けるとインプラント本体から離れるように、弾性的に移動するように構成され、長手方向軸に関して第1の長手方向リブと第2の長手方向リブが近づくことを容易にし且つ/又は強制する。
【0018】
幾つかの実施形態において、第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブは、接続部材によって相互接続されている。例えば、接続部材は、長手方向の背部及び/又は1つ又はそれ以上のアーチ部材を含んでもよい。任意に、第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブは、互いに対称的に対向する。任意に、接続部材が弛緩状態にある場合、且つ/又は、装置本体が、装置が潰し状態に向かって潰れるときに長手方向のリブを外側に押す場合に、装置は拡張状態にある。
【0019】
幾つかの実施形態は、インプラント抜き出しハンドルが、拡張された弛緩状態において泌尿器科インプラントの近位端で泌尿器科インプラントの外形に対応するような形状を有することをさらに特徴とする。
【0020】
幾つかの実施形態は、インプラント抜き出しハンドルが頂部を有することをさらに特徴とする。
【0021】
幾つかの実施形態は、該頂部が、第1の長手方向リブと第2の長手方向リブの間の中央に設けられることをさらに特徴とする。
【0022】
幾つかの実施形態は、弛緩状態において、頂部はインプラント本体の近位端に隣接し、引っ張られると、頂部はインプラント本体の近位端から離れるように、近位方向に移動することをさらに特徴とする。
【0023】
幾つかの実施形態は、インプラント抜き出しハンドルが第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブに対称に接続されていることをさらに特徴とする。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、以下を備える泌尿器科インプラントが提供される:
・長手方向軸を有する細長いインプラント本体。
・互いに対称に対向する第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブ。第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブは、インプラント本体に接続され、長手方向軸に関して、潰し状態と前立腺部尿道を囲む尿道周囲組織を後退させ又は/且つ支持するための弛緩状態との間で互いに離れるように、弾性的に移動可能である。
・インプラント本体から近位に離れて設けられたインプラント抜き出しハンドル。インプラント抜き出しハンドルは、その一方の側で第1の長手方向リブに、その第2の側で第2の長手方向リブに対称に接続されている。
【0025】
幾つかの実施形態において、インプラント抜き出しハンドルは、第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブによって形成される泌尿器科インプラントの外形に対応する形状を有し、インプラント抜き出しハンドルの抜き出しハンドル頂部は、インプラント本体の近位端に隣接して設けられる。
【0026】
幾つかの実施形態において、インプラント抜き出しハンドルは、そこから生じる引っ張り力を受けると、抜き出しハンドル頂部が、長手方向軸に向かって及び/又は沿って近位方向に向き、インプラント本体の近位端から離れるように、弾性的に移動するように構成され、長手方向軸に関して第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブを近づけることを容易にし且つ/又は強制する。
【0027】
幾つかの実施形態において、インプラント本体は背部材を備える。
【0028】
幾つかの実施形態において、インプラント抜き出しハンドルは、泌尿器科インプラントが潰し状態にあるときに泌尿器科インプラントを収容可能なサイズの内腔を囲む格納シースの端部に対してインプラント抜き出しハンドルから近位に引っ張られると、第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブを潰し状態に再度潰すように構成される。
【0029】
幾つかの実施形態において、第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブはそれぞれ、長手方向軸に関して近位に突出する側方コーナー及び遠位に突出する側方コーナーを備え、インプラント抜き出しハンドルは、近位に突出する側方コーナーで第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブに接続され、泌尿器科インプラントがインプラント抜き出しハンドルから格納シースの端部に対して近位に引っ張られると、近位に突出する側方コーナーを互いに近づけることを容易にする。
【0030】
幾つかの実施形態において、第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブはそれぞれ、湾曲しており、背部材の近位端に接合された近位リブ端、背部材の遠位端に接合された遠位リブ端、及び対応する近位リブ端及び遠位リブ端の間に設けられた細長いリブ縁部を備え、リブ縁部は、背部材が前立腺部尿道の前葉間溝内に及びそれに沿って配置されるときに、対応する後外側葉間溝に配置するためのサイズ及び形状を有する。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、以下のステップを含む泌尿器科インプラントを抜き出す方法が提供される:
・前立腺部尿道内に抜き出しシースの端部を配置するステップ。
・抜き出しシースから前立腺部尿道内に遠位に出現してインプラント抜き出しハンドルの中間部分に留められる留め具を使用するステップ。
・インプラント抜き出しハンドルから抜き出しシースの端部に対して近位に泌尿器科インプラントを引っ張ることで、泌尿器科インプラントを潰し状態に達するまで再度潰し、抜き出しシースの内腔内に泌尿器科インプラントをさらに引き出すステップ。
【0032】
幾つかの実施形態において、泌尿器科インプラントを引っ張るステップによりインプラント抜き出しハンドルを変形させて、内部で生じる変形応力により、第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブを潰し状態に達するまで互いに近づける。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態の一態様において、前立腺部尿道壁を後退させ又は/且つ支持するための泌尿器科インプラントが提供される。泌尿器科インプラントは、長手方向軸を有する細長いインプラント本体を備え、長手方向軸は、横断面に垂直で、中央平面に沿ってインプラント本体の頭側端部と尾側端部の間で延びる。任意に、長手方向軸は、インプラント本体を2つの対称な半分に分割する。
【0034】
幾つかの実施形態において、インプラント本体は、長手方向に離間した複数のアーチ部材を備え、複数のアーチ部材はそれぞれ、第1のアーチ端部と第2のアーチ端部の間に位置する支持されていないアーチ頂部を備え、中央平面に垂直なアーチ部材面を形成する。
【0035】
幾つかの実施形態において、複数のアーチ部材は、複数のアーチ部材のアーチ端部を介して相互接続されている。例えば、複数のアーチ部材の第1のアーチ端部が第1の長手方向リブ部の長さに沿って連続的に接続されてもよく、且つ/又は、複数のアーチ部材の第2のアーチ端部が第2の長手方向リブ部の長さに沿って連続的に接続されてもよい。任意に、第1の長手方向リブ部及び第2の長手方向リブ部はそれぞれ、横断面を通って延在する。
【0036】
幾つかの実施形態において、複数のアーチ部材はそれぞれ、インプラント本体が中央平面を横切る横断方向の圧縮力を受けるとインプラント本体の弾性収縮性を促進するように、弾性的に曲げ可能である。
【0037】
幾つかの実施形態において、インプラント本体は、前立腺部尿道壁の前部を後退させ又は/且つ支持するようなサイズ及び構成にされて、前部に対向する前立腺部尿道壁の支持されていない後部の潰れを可能にする。
【0038】
幾つかの実施形態において、インプラント本体は、第1の長手方向リブ部から出現する第1の側方スペーサと、第2の長手方向リブ部から出現する第2の側方スペーサとをさらに備え、第1の側方スペーサ及び第2の側方スペーサは、中央平面に平行な矢状圧縮力を受けると、独立して収縮可能である。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態の一態様において、部分的に収縮した前立腺部尿道の壁を支持し又は/及び引き出す方法が提供される。該方法は、
泌尿器科インプラントを設けるステップと、
インプラント本体が、部分的に収縮した前立腺部尿道内への無傷挿入用に構成された、選択された収縮サイズ及び形状に収縮された状態で、泌尿器科インプラントを部分的に収縮した前立腺部尿道に配置するステップであって、各アーチ頂部は、前立腺部尿道の壁の前部の中央線に隣接して配置されるステップと、
インプラント本体を解放するステップであって、これにより、複数のアーチ部材が第1の長手方向リブ部及び前記第2の長手方向リブ部を中央平面に関して互いに離れるように自律的に移動させて、部分的に収縮した前立腺部尿道の壁と接触し、前立腺部尿道の壁を押すことで前立腺部尿道を後退させることを可能にするステップと、
を含む。
【0040】
本明細書で使用される全ての技術的及び/又は科学的な単語、用語又は/及び句は、本明細書で特に定義又は記述されない限り、本発明に関する技術の当業者によって一般に理解されるものと同一又は類似の意味を有する。本明細書に記載されている方法、材料、及び例は、単なる例示であり、必ずしも限定することを意図するものではない。本明細書に記載されているものと同等又は類似の方法又は/及び材料が、本発明の実施形態を実施又は/及び試験する際に使用されてもよいが、例示的な方法又は/及び材料を以下に説明する。矛盾がある場合は、定義を含む特許明細書により確認されるであろう。
【0041】
本発明の幾つかの実施形態の実施は、選択されたタスクを、手動で、自動的に、又はそれらの組み合わせで実行又は完了することを含んでもよい。さらに、本発明の幾つかの実施形態の実際の計装及び機器によれば、幾つかの選択されたタスクは、コンピュータ化されたオペレーティングシステムを使用して、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらのうちの組み合わせによって実施されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明の幾つかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書で説明される。ここで図面を詳細に参照して、示される詳細は例としてのもので、本発明の幾つかの実施形態の例示的な説明の目的のためであることが強調される。この点に関して、添付の図面と共に行われる説明は、本発明の幾つかの実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。図面は次のとおりである。
【
図1】
図1A~
図1Dは、本発明の幾つかの実施形態による、収縮状態(
図1C)及び開存状態(
図1D)で示される男性の尿道の断面図を概略的に示す。
図1E及び
図1Fは、本発明の幾つかの実施形態による、インプラント抜き出しハンドルを備える例示的な泌尿器科インプラントの図を示す。
【
図2】本発明の幾つかの実施形態による、前立腺部尿道モデルで配置される
図1の泌尿器科インプラントを示す。
【
図3】
図3A~
図3Fは、本発明の幾つかの実施形態による、
図1の泌尿器科インプラントを抜き出す例示的な方法の段階を表す様々な状況を示す。
【
図4】
図4A~
図4Dは、本発明の幾つかの実施形態による、2つの離間したアーチを有する例示的な泌尿器科インプラントの図を概略的に示す。
【
図5】
図5A~
図5Cは、本発明の幾つかの実施形態による、2つの側方スペーサを有する例示的な泌尿器科インプラントの図を概略的に示す。
【
図6】
図6A~
図6Cは、本発明の幾つかの実施形態による、3つの離間したアーチ、2つの側方スペーサ、及び抜き出しハンドルを有する例示的な泌尿器インプラントの図を示す。
【
図7】本発明の一実施形態による、泌尿器科インプラントを抜き出す方法のフローチャート図である。
【
図8】本発明の一実施形態による泌尿器科インプラントのブロック図である。
【
図9】本発明の一実施形態による、拡張状態における3つのアーチの泌尿器科インプラントの斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態による、拡張状態における3つのアーチの泌尿器科インプラントの概観図である。
【
図11】本発明の一実施形態による、尿道内に挿入するための潰し状態における3つのアーチの泌尿器科インプラントの側面図である。
【
図12】本発明の一実施形態による、尿道内に挿入するための潰し状態における3つのアーチの泌尿器科インプラントの概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、幾つかの実施形態において、泌尿器科医療機器及びその使用分野に関し、より詳細には、しかし限定的ではなく、前立腺部尿道の壁及び/又は前立腺葉の長さに沿って前立腺部尿道を囲む尿道周囲組織を後退させ又は/且つ支持するための泌尿器科(前立腺)インプラント、システム、及び方法に関する。
【0044】
図1A~
図1Dは、男性の尿道の断面図を概略的に示す。
図1Bは、前立腺部尿道を含む身体部分の拡大図である。尿道は、体から尿と精液を除去するため、膀胱を尿道口に接続する。さらに、前立腺部尿道は、そのほぼ中間の長さで精嚢から精液を運ぶための射精管と接続する。前立腺部尿道は膀胱頸部から始まり、長さ約3cmの前立腺を通り抜ける。膀胱から(尾側に)ほぼ垂直に始まり、その後、前方に湾曲する。これを考慮して、発明者は、前立腺部尿道の湾曲を模倣する湾曲した本体を有する泌尿器科インプラントが、即時の移植段階と前立腺部尿道での長期間の配置との両方に有利であり、健康で開存性のある前立腺部尿道に物理的に作用しそれを維持すると考える。
【0045】
図1C、
図1Dは、線1C:1Cに沿う前立腺部尿道の断面を示す。
図1Cは収縮状態の前立腺部尿道を示すが、通常の状態は、三つ葉(3葉)の形状により類似する。一方、
図1Dは、前葉が完全に開いているが、2つの後葉が実質的に閉じている、部分的に開いた開存状態を示す。本発明の発明者は、
図1Dに示す開存状態は自然な完全に開いた状態に対してさえも利点を有すると考える。なぜなら、それは、射精管を介して前立腺部尿道の後方部分に到達する精液の膀胱に向かう逆行する(頭側への)流れを抑制するからである。
【0046】
図1E、
図1Fは、例示的な泌尿器科インプラント100の図を示し、
図2は、前立腺部尿道モデル200に配置された泌尿器科インプラント100を示す。泌尿器科インプラント100は以下を備える:
(1)長手方向軸Xを有する背部材101を備える細長い本体。
(2)第1の長手方向リブ102及び第2の長手方向リブ103が、互いに対称に対向し、細長い本体(背部材)101に接続されている。第1の長手方向リブ及び第2の長手方向リブは、背部長手方向軸Xに関して、潰し状態(例えば、
図3Eに示す)と、前立腺部尿道200を囲む尿道周囲組織を後退させ又は/且つ支持するための弛緩状態(例えば、
図1E、
図1Fに示す)との間で互いに離れるように、弾性的に移動可能である。
(3)背部材101から近位に離れて設けられ(ギャップ105を参照)、その一方の側106で第1の長手方向リブ102に、その第2の側107で第2の長手方向リブ103に対称に接続されたインプラント抜き出しハンドル104。
【0047】
インプラント抜き出しハンドル104は、第1の長手方向リブ102及び第2の長手方向リブ103によって形成される泌尿器科インプラント100の外形に対応する形状を有し、その抜き出しハンドル頂部120は、インプラント本体101の近位端121に隣接して設けられる。
【0048】
インプラント抜き出しハンドル104は、そこから生じる引っ張り力を受けると、抜き出しハンドル頂部120が長手方向軸Xに向かって及び/又は沿って近位方向に向いてインプラント本体の近位端121から離れるように、弾性的に移動するように構成され、長手方向軸Xに関して第1の長手方向リブ102及び第2の長手方向リブ103が近づくことを容易にし且つ/又は強制する。
【0049】
インプラント抜き出しハンドル104は、(
図3に関する説明において以下でさらに詳述するように)潰し状態にあるときに泌尿器科インプラントを収容可能なサイズの内腔を囲む格納シースの端部に対して泌尿器科インプラント100がインプラント抜き出しハンドル104から近位に引っ張られると、第1の長手方向リブ102及び第2の長手方向リブ103を潰し状態に再度潰すように構成される。
【0050】
第1の長手方向リブ102及び第2の長手方向リブ103はそれぞれ、長手方向軸Xに関して近位に突出する側方コーナー108及び遠位に突出する側方コーナー109を備える。インプラント抜き出しハンドル104は、近位に突出する側方コーナー108で第1の長手方向リブ102及び第2の長手方向リブ103に接続され、泌尿器科インプラント100がインプラント抜き出しハンドル104から抜き出しシースの端部に対して近位に引っ張られると、近位に突出する側方コーナー108を互いに近づけることを容易にする。
【0051】
第1の長手方向リブ102及び第2の長手方向リブ103はそれぞれ、湾曲しており、背部材101の近位端111に接合された近位リブ端110、背部材101の遠位端113に接合された遠位リブ端112、及び対応する近位リブ端110及び遠位リブ端112の各対の間に設けられたリブ縁部114を備える。リブ縁部114は、背部材101が前立腺部尿道200の前葉間溝201内に及びそれに沿って配置されるときに、対応する後外側葉間溝に配置するためのサイズ及び形状を有する。
【0052】
インプラント抜き出しハンドル104は、第1長手方向リブ102及び第2の長手方向リブ103の近位部115に沿って、近位リブ端110によって形成される外形に対応するような形状を有する。
【0053】
図3A~
図3Fは、泌尿器科インプラント100を抜き出す例示的な方法の段階を表す様々な状況を示す。泌尿器科インプラント100は、その遠位部116で弾性テザー202を使用して繋がれ、インプラント100を引っ張っている間、前立腺部尿道の壁からかかる通常の機械的抵抗を示し、モデリングする。
【0054】
図3Aは、前立腺部尿道内に配置する場合のように、泌尿器科インプラント100の近位端115に近接して抜き出しシース300の端部301を配置することを示す。
【0055】
図3Bは、抜き出しシース300から遠位に出現する留め(把持)器具302の使用(前立腺部尿道内への出現のシミュレーション)を示す。
【0056】
図3Cは、インプラント抜き出しハンドル104の中間部分を把持し(留め)、インプラント抜き出しハンドル104から近位に泌尿器科インプラント100を引っ張る留め具302を示す。
【0057】
図3Dは、端部301に対して引っ張られた泌尿器科インプラント100を示す。その後、泌尿器科インプラント100は、潰し状態に達するまで再度潰されて(
図3E)、抜き出しシース300の内腔303内にさらに引き出される(
図3F)。
【0058】
示されているように、泌尿器科インプラント100を引っ張ると(例えば、前立腺部尿道壁からの機械的抵抗下にあるとき)、インプラント抜き出しハンドル104が変形して、内部で生じる変形応力により、第1の長手方向リブ102及び第2の長手方向リブ103が潰し状態に達するまで互いに近づけられる。
【0059】
単数の文法形式で書かれている次の用語「1つの」及び「その」はそれぞれ、本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」又は「1つ又はそれ以上」を意味する。本明細書で「1つ又はそれ以上」という語句を使用することにより、「1つの」及び「その」の意図する意味が変わることはない。したがって、「1つの」及び「その」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書で特に明確に定義又は記載されている場合を除いて、又は、文脈により明らかにそうではないことが示されている場合を除いて、複数の記載されている実体物又は対象物を指し、包含してもよい。例えば、「ユニット」、「装置」、「アセンブリ」、「機構」、「コンポーネント」、「要素」、及び「ステップ又は手順」という語句はそれぞれ、本明細書で使用される場合、複数のユニット、複数の装置、複数のアセンブリ、複数の機構、複数のコンポーネント、複数の要素、及び複数のステップ又は手順を指し、包含してもよい。
【0060】
「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「備える」、及び「備えている」といった用語、及び、これらの言語的/文法的な異形、派生語、及び/又は同根語はそれぞれ、本明細書で使用される場合、「含むがこれに限定しない」ことを意味し、記載されたコンポーネント、機能、特性、パラメータ、整数、又はステップを指定するものとして解釈されることとなり、1つ又はそれ以上の追加のコンポーネント、機能、特性、パラメータ、整数、ステップ、又はこれらのうちの集まりの追加を排除しない。これらの用語はそれぞれ、「から本質的になる」という語句と意味的に同等とみなされる。
【0061】
図4A~
図4Dは、2つの離間したアーチを有する例示的な泌尿器科インプラント400の図を概略的に示す。
図4Aは、インプラント400が、その頭側端部401が前立腺部尿道における膀胱頸部に隣接する部分に、その尾側端部402が前立腺部尿道への射精管の開口部に近接するように差し込まれている場合の、インプラント400の側面図を示す。インプラント400は、前立腺部尿道の全長又はその一部のみに沿って延在する(例えば、膀胱頸部から尾側に隣接する部分から、射精管の開口部に頭側に隣接する部分まで延在する)ようなサイズであってもよい。インプラント400は、前立腺部尿道の開口部を膀胱頸部へ収縮させる体の突出に対して支持されるように、任意に形成され構成されている。インプラント400は、長手方向軸404を有する細長いインプラント本体403を備える。長手方向軸404は、横断面405に垂直で、中央平面406に沿って頭側端部401と尾側端部402の間で延び、インプラント本体403を2つの対称な半分に分割する。
【0062】
インプラント本体403は、最も尾側のアーチ部材407と最も頭側のアーチ部材408を含む、長手方向に離間したアーチ部材を備え、アーチ部材407とアーチ部材408はそれぞれ、第1のアーチ端部410と第2のアーチ端部411の間に位置する支持されていないアーチ頂部409を備え、中央平面406に垂直なアーチ部材面を形成する。アーチ部材面は、最も頭側のアーチ部材407のアーチ頂部409、第1のアーチ端部410及び第2のアーチ端部411によって形成される最も頭側のアーチ部材面412aと、最も尾側のアーチ部材408のアーチ頂部409、第1のアーチ端部410及び第2のアーチ端部411によって形成される最も尾側のアーチ部材面412bとを含む。各2つの最も近いアーチ頂部409の間の距離は、任意に5mmから15mmの範囲内である。
【0063】
アーチ部材407、408は、第1のアーチ端部410が第1の長手方向リブ部413の長さに沿って連続的に接続され、第2のアーチ端部411が第2の長手方向リブ部414の長さに沿って連続的に接続されるように、それぞれのアーチ端部を介して相互接続されている。第1の長手方向リブ部413及び第2の長手方向リブ部414はそれぞれ、横断面405を通って延在する。
【0064】
図4Dに示すように、アーチ部材407、408はそれぞれ、中央平面406を横切る横断方向の圧縮力TFを受けるとインプラント本体403の弾性収縮性を促進するように、弾性的に曲げ可能である。インプラント本体403は、前立腺部尿道壁の前部を後退させ又は/且つ支持するようなサイズ及び構成にされて、該前部に対向する前立腺部尿道壁の支持されていない後部の潰れを可能にする。任意に又はさらに、インプラント本体403は、該後部を介して膀胱頸部に向かう流れからの精液の逆流に対する、潰れた支持されていない後部の物理的抵抗を促進するようなサイズ及び構成にされる。
【0065】
横断面405と最も頭側のアーチ部材面412aとの交角は、20~40度の範囲内の最も頭側の角度βを形成する。横断面405と最も尾側のアーチ部材面412bとの交角は、10~50度の範囲内の最も尾側の角度αを形成する。
【0066】
図5A~
図5Cは、
図2に示す先述のバリエーションと構造及び機能が類似又は同一である泌尿器科インプラント400の例示的な変形例400’の図を概略的に示し、これはさらに、2つの側方スペーサ:第1の長手方向リブ部413から出現する第1の側方スペーサ415と、第2の長手方向リブ部414から出現する第2の側方スペーサ416とを備える。側方スペーサは、中央平面406に平行な矢状圧縮力SFを受けると、独立して収縮可能である。
【0067】
第1の側方スペーサ及び第2の側方スペーサはそれぞれ、前立腺部尿道の後面の湾曲に類似するように湾曲した支持リブ部417を備える。少なくとも1つの支持接続部を介して、第1の支持リブ部417は第1の長手方向リブ部413と相互接続され、第2の支持リブ部417は第2の長手方向リブ414と相互接続され、少なくとも1つの支持接続部には、第1の支持接続部418と第2の支持接続部419が含まれる。支持リブ部417及び/又は支持接続部418、419は、
図5Cに概略的に示すように、側方スペーサ415、416の弾性収縮性を促進するように弾性的に曲げ可能である。これにより、矢状圧縮力SFを受けると、第1の長手方向リブ部413と第2の長手方向リブ部414のうち対応するものへ支持リブ部417を回復可能に近づけることを容易にする。
【0068】
第1の側方スペーサ415及び第2の側方スペーサ416はそれぞれ、第1の支持リブ部417又は第2の支持リブ部417と、第1の長手方向リブ部413又は第2の長手方向リブ部414と、第1の支持接続部418及び第2の支持接続部419とで、閉図形を形成する。該閉図形は、前立腺部尿道壁を後退させ又は/且つ支持するように構成された接触面を囲む。任意に、該閉図形はメニスカスレンズ形状に類似し、第1の支持リブ部417及び第2の支持リブ部417がメニスカスレンズ形状の凸面として形成され、第1の長手方向リブ部413及び第2の長手方向リブ部414がメニスカスレンズ形状の凹面として形成される。該閉図形は、支持接続部418、419と、第1の支持リブ部417又は第2の支持リブ部417と、第1の長手方向リブ部413又は第2の長手方向リブ部414とを備える薄いストリップで形成される。
【0069】
第1の長手方向リブ部413及び第2の長手方向リブ部414はそれぞれ、第1の支持接続部418を伴う第1の上部コーナー420と、第2の支持接続部419を伴う第2の上部コーナー421を形成している。最も尾側のアーチ部材408は、それぞれの第1の上部コーナー420間に延在する。最も頭側のアーチ部材407は、それぞれの第2の上部コーナー421の間に延在する。
【0070】
図6A~
図6Cは、前立腺部尿道壁を後退させ又は/且つ支持する例示的な泌尿器科インプラント500の図を示す。インプラント500は、長手方向軸502を有する細長いインプラント本体501を備える。長手方向軸502は、横断面503に垂直で、中央平面506に沿ってインプラント本体501の頭側端部504と尾側端部505の間で延び、インプラント本体501を2つの対称な半分に分割する。
【0071】
インプラント本体501は、最も尾側のアーチ部材507、最も頭側のアーチ部材508、及び中間アーチ部材509を含む、長手方向に離間したアーチ部材部材を備える。各アーチ部材は、第1のアーチ端部511と第2のアーチ端部512の間に位置する支持されていないアーチ頂部510を備え、中央平面506に垂直なアーチ部材面を形成する。各アーチ部材は、頂部510を含み、そのアーチ端部を介してのみ、その長さに沿って支持されていない又は相互接続されているが、第1のアーチ端部511は、第1の長手方向リブ部513の長さに沿って連続的に接続され、第2のアーチ端部512は、第2の長手方向リブ部514の長さに沿って連続的に接続されている。第1の長手方向リブ部513及び第2の長手方向リブ部514は両方とも、横断面503を通って延在する。各2つの最も近いアーチ頂部510の間の距離は、5mmから15mmの範囲内である。
【0072】
アーチ部材507、508、509はそれぞれ、中央平面506を横切る横断方向の圧縮力を受けるとインプラント本体501の弾性収縮性を促進するように、長手方向軸502の周りで弾性的に曲げ可能である。インプラント本体501は、前立腺部尿道壁の前部を後退させ又は/且つ支持するようなサイズ及び構成にされて、該前部に対向する前立腺部尿道壁の支持されていない後部の潰れを可能にする。また、インプラント本体501は、該後部を介して膀胱頸部に向かう流れからの精液の逆流に対する、潰れた支持されていない後部の物理的抵抗を促進するようなサイズ及び構成にされる。
【0073】
横断面503と、最も頭側のアーチ部材508のアーチ頂部510、第1のアーチ端部511及び第2のアーチ端部512によって形成される最も頭側のアーチ部材面515との交角は、20~40度の範囲内の最も頭側の角度βを形成する。横断面503と、最も尾側のアーチ部材507のアーチ頂部510、第1のアーチ端部511及び第2のアーチ端部512によって形成される最も頭側のアーチ部材面516との交角は、10~50度の範囲内の最も尾側の角度αを形成する。中間アーチ部材509のアーチ頂部510、第1のアーチ端部511及び第2のアーチ端部512は、横断面503に平行な中間アーチ部材面を形成する。
【0074】
第1の側方スペーサ517は、第1の長手方向リブ513から出現し、第2の側方スペーサ518は、第2の長手方向リブ514から出現し、それぞれ、中央平面506に平行な矢状圧縮力を受けると、独立して収縮可能である。第1の側方スペーサ517及び第2の側方スペーサ518は、アーチ部材が長手方向軸502の周りで曲げられてインプラント本体501が収縮されると中央平面506に向かって互いに近づくように構成される。第1の側方スペーサ517は、第1の長手方向リブ部513と相互接続された第1の支持リブ部519を備え、第2の側方スペーサ518は、第2の長手方向リブ514と相互接続された第2の支持リブ部520を備え、それぞれ、第1の支持接続部521及び第2の支持接続部522を介して接続されている。支持リブ部519、520及び/又は支持接続部521、522は、側方スペーサ517、518の弾性収縮性を促進するように弾性的に曲げ可能である。第1の側方スペーサ517及び第2の側方スペーサ518の弾性収縮性は、矢状圧縮力を受けると、支持リブ部519、520をそれぞれ(第1又は第2の)長手方向リブ部(513又は514)へ回復可能に近づけることを容易にする。
【0075】
第1の側方スペーサ517及び第2の側方スペーサ518はそれぞれ、それぞれの支持リブ部と長手方向リブ部と、第1の支持接続部521及び第2の支持接続部522とで、閉図形を形成する。該閉図形は、前立腺部尿道壁を後退させ又は/且つ支持するように構成された接触面を囲み、メニスカスレンズ形状に類似し、支持リブ部519、520がメニスカスレンズ形状の凸面として形成され、第1の長手方向リブ部513及び第2の長手方向リブ部514がメニスカスレンズ形状の凹面として形成される。該閉図形は、それぞれの支持接続部と支持リブ部と長手方向リブ部とを備える薄いストリップで形成される。
【0076】
第1の長手方向リブ部513及び第2の長手方向リブ部514はそれぞれ、第1の支持接続部521を伴う第1の上部コーナー523と、第2の支持接続部522を伴う第2の上部コーナー524を形成している。最も頭側のアーチ部材508は、対応する(それぞれの)第1の上部コーナー523間に延在する。最も尾側のアーチ部材507は、対応する(それぞれの)第2の上部コーナー524の間に延在する。
【0077】
各アーチ部材のアーチ頂部510は、長手方向軸502に関して第1の長手方向リブ部513及び第2の長手方向リブ部514よりも上に、それらから離れるように配置されており、インプラントが前立腺部尿道壁を支持するとき、アーチ頂部510は、前立腺部尿道壁の前部の中央線に隣接して配置され、第1の長手方向リブ部513及び第2の長手方向リブ部514は、前立腺部尿道壁の後部の近くに配置される。
【0078】
インプラント本体501は、(
図6A~
図6Cに示すように)弛緩して潰れていない構成では、10~40mmの範囲内の全高H及び8~30mmの範囲内の幅Wを有する。インプラント本体501が弛緩して潰れていない構成にあるとき、アーチ部材は、対応するアーチ部材面に沿って0~60度の範囲内の公称角度を形成する。インプラント本体501は、アーチ部材が公称角度よりも少なくとも20%小さい角度まで圧縮されたときに、少なくとも100grfの収縮抵抗力を加えるように構成され、これにより前立腺部尿道壁を後退させ又は/且つ支持して、前立腺部尿道を横断して、選択された公称開口サイズで形成される。選択された公称開口サイズは、任意に、少なくとも10mm四方の断面積を有する。
【0079】
インプラント500はさらにインプラント抜き出しハンドル525を備え、インプラント抜き出しハンドル525は、インプラント本体501に対して尾側に離れて設けられ、その一方の側526で第1の側方スペーサ517に、その第2の側527で第2の側方スペーサ518に対称に接続されている。インプラント抜き出しハンドル525は、第1の側方スペーサ517及び第2の側方スペーサ518によって形成される泌尿器科インプラント500の外形に対応する形状を有し、その抜き出しハンドル頂部528は、最も尾側のアーチ部材507のアーチ頂部510に隣接して設けられている。インプラント抜き出しハンドル525は、そこから生じる引っ張り力PL(
図6Bの点線で概略的に示す)を受けると、抜き出しハンドル頂部528は、長手方向軸502に向かって及び/又は沿って尾方向に向き、最も尾側のアーチ部材507のアーチ頂部510から離れるように、弾性的に移動するように構成される。
【0080】
インプラント抜き出しハンドル525は、インプラント500が、任意に反対側の表面(例えば、インプラントが潰し状態にあるときにインプラントを収容可能なサイズの内腔を囲む格納シースの端部など)に対して、インプラント抜き出しハンドル525を介して/インプラント抜き出しハンドル525から尾側に引っ張られると、第1の側方スペーサ517及び第2の側方スペーサ518を収縮させるように構成される。
【0081】
第1の支持リブ部519及び第2の支持リブ部520はそれぞれ、最も尾側の支持接続部522を伴う下部コーナー529を形成する。インプラント抜き出しハンドル525は、その一方の側526で第1の側方スペーサ517において一方の下部コーナー529に、その第2の側527で第2の側方スペーサ518において他方の下部コーナー529に接続されている。
【0082】
本発明はさらに、本発明の泌尿器科インプラント、例えばインプラント400(任意で特にそのバリエーション400’)又はインプラント500などを使用することで、部分的に収縮した前立腺部尿道の壁を支持し又は/及び引き出す方法を説明する。該方法は次のステップの少なくとも1つを含み、次のステップは必ずしも同じ順序である必要はない。
・アーチ部材407及び408/507、508及び509を弾性的に曲げ、第1及び第2の長手方向リブ部413及び414/513及び514を互いに近づけることで、弛緩した非収縮構成からインプラント本体401/501を収縮させる。
・インプラント本体401/501が、部分的に収縮した前立腺部尿道内への無傷挿入用に構成された、選択された収縮サイズ及び形状に収縮された状態で、インプラント400/500を部分的に収縮した前立腺部尿道に配置する。各アーチ頂部409/510は、前立腺部尿道壁の前部の中央線に隣接して配置される。
・インプラント本体401/501を解放することにより、アーチ部材407及び408/507、508及び509が第1及び第2の長手方向リブ部413及び414/513及び514を中央平面406/506に関して互いに離れるように自律的に移動させて、部分的に収縮した前立腺部尿道の壁と接触し、前立腺部尿道の壁を押すことで前立腺部尿道を後退させることを可能にする。解放するステップは、前立腺尿道壁の前部を後退させ又は/且つ支持することと、該前部に対向する前立腺部尿道壁の支持されていない後部の潰れを可能にすることとを含んでもよい。また、解放するステップは、インプラント本体が、該後部を介して膀胱頸部に向かう流れからの精液の逆流に対する、潰れた支持されていない後部の物理的抵抗を促進することを可能にすることを含んでもよい。
【0083】
選択された収縮サイズは、任意に、支持リブ部を対応する第1又は第2の長手方向リブ部に近づけることにより支持リブ部417/519及び520と支持接続部418及び419/521及び522の少なくとも1つを弾性的に曲げることからも得られ、支持リブ部を対応する第1又は第2の長手方向リブ部に近づけることは、任意に、配置中に前立腺部尿道壁から支持リブ部に加えられる力から得られる。
【0084】
図7は、本発明の実施形態の泌尿器科インプラントを抜き出す方法のフローチャート図である。幾つかの実施形態において、泌尿器科インプラントは抜き出しハンドルを備える。任意に、インプラントは(例えば、
図1E、
図1F、
図2、
図3A、
図3B、
図8に示すように)弛緩状態で提供される。例えば、インプラントは、尿道周囲組織を支持するために、及び/又は、尿道を開いたままにするために、尿道内部で拡張されてもよい。任意に、抜き出しハンドルをインプラント本体に関して近位に引っ張ることにより(755)、(例えば、
図3C、
図8に示すように)インプラントが潰される(757)。例えば、リブは、装置の長手方向軸にほぼ向かって及び/又は尿道壁から離れて、潰されてもよい(757)。幾つかの実施形態において、抜き出しハンドルは、留め具によってシース(例えばカテーテル)内に引っ張られてもよい(755)。任意に、装置が引っ張られると、抜き出しハンドルは、頂部がシースに向くくさび形状をとってもよい。例えば、ハンドルがシース内に引っ張られると(755)、シースの内壁によってハンドルの傾斜した側部が一緒に押され、ハンドルをさらに潰す(759)。任意に、ハンドルの側部は、インプラントのリブに接続され、且つ/又は、ハンドルをさらに潰すことで(759)、インプラントのリブをさらに潰し(757)、インプラントをシース内に引き込むことを容易にする。
【0085】
図8は、本発明の実施形態の泌尿器科インプラントシステムのブロック図である。幾つかの実施形態において、インプラントは、例えばアーチ及び/又は背部(スパイン)などの接続部材808を備える。任意に、接続部材808は、1つ又はそれ以上の長手方向リブ802、803に接続する。任意に、リブ802、803は、互いに離れて(例えば、体の長手方向軸から側方に離れて)尿道内の支持組織まで広がる。任意に、リブ802、803及び/又は接続部材808は抜き出しハンドル804に取り付けられる。例えば、抜き出しハンドル804は、接続部材808の近くに配置されてもよい。幾つかの実施形態において、抜き出しハンドル804が近位に引っ張られると、リブ802、803は、互いに向かって(例えば、体の長手方向軸に向かって側方に)収縮する。例えば、収縮により、尿道から装置を引き出し易くなる可能性がある。任意に、インプラント及び/又は抜き出しハンドル804はくさび状部886及び/又は頂部888を備えてもよい。例えば、抜き出しハンドル804及び/又は頂部888を近位に引っ張ることにより、頂部888をインプラントの近くに配置する。任意に、インプラント及び/又は抜き出しハンドル804及び/又は頂部888を抜き出しシース880内に近位に引き込むことにより、くさび状部886がシース880内に引き込まれる。例えば、くさび状部886をシース880内に引き込むことにより、シース880の壁がくさび状部886を内向きに押し、これにより、インプラントを側方内向きにさらに潰してもよい。例えば、リブ802、803は、本体801の長手方向軸に向かって潰れてもよい。例えば、シース880の遠位端がインプラントの近くに配置され、且つ/又は、留め具882が抜き出しシース880の遠位端から出されてもよい。任意に、留め具882は、その近位端からシース880に通されてもよい。留め具882は、抜き出しハンドル804に固定され、且つ/又は、抜き出しシース880内に近位に引っ張られて、抜き出しハンドル804を引っ張り、且つ/又は、インプラントを潰し、且つ/又は、くさび状部886をシース880内に引き込み、且つ/又は、インプラント全体をシース880内に引き込んでもよい。
【0086】
図9は、本発明の実施形態の、拡張状態における3つのアーチの泌尿器科インプラントの斜視図である。例示的な装置は3つのアーチ部材を備える。例えば、最も近位のアーチは抜き出しハンドル904を含み、且つ/又は、2つの遠位のアーチ908a、908bは接続部材を含む。任意に、近位のアーチ(ハンドル904)は接続部材も含む。例えば、ハンドル904及び/又は接続部材908a、908bは2つの長手方向リブ901間を接続する。任意に、各長手方向リブ901は閉じた形態を有してもよい。例えば、閉じた形態は、(例えば2つの尖った端部を有する)アーモンド形状を含んでもよい。例えば、アーモンド形状により装置が潰れることを容易にしてもよい。代替的に又は追加的に、閉じた形状は、楕円形、及び/又は矩形、及び/又は平行四辺形、及び/又は点及び/又は曲線を有するアーモンド形状(例えば、1つ又はそれ以上のアーチを有するリブがくさび形状(例えばパイ形状)を形成してもよい)、及び/又は別の形を含んでもよい。任意に、装置は、拡張状態に付勢され、且つ/又は、拡張状態で弛緩される。
【0087】
幾つかの実施形態において、装置は、装置が膀胱内に移動するのを阻止するように構成される。例えば、最も遠位のアーチ908a及び/又は中間のアーチ908a及び/又はハンドル904は、遠位に傾斜する。任意に、装置の遠位端が膀胱に向いている(例えば、インプラントの近位端が尾側に向き、且つ/又は、遠位端が頭側に向いている)状態でインプラントが前立腺部尿道に配置されている場合、アーチの遠位傾斜により、装置が膀胱に向かって遠位に移動することが防止される。例えば、装置を遠位に押すと、アーチが真っ直ぐになり、且つ/又は、尿道の壁に食い込み、装置の遠位への移動が阻止される。任意に、異なる接続部材が異なる方向に傾けられてもよい。例えば、
図6Aに示すように、遠位のコネクタ508は近位に傾斜されてもよく、且つ/又は、近位のコネクタ507は遠位に傾斜されてもよく、且つ/又は、中間コネクタ509はリブ514に対して垂直に向けられてもよい。
【0088】
幾つかの実施形態において、接続部材は、曲げ部及び/又は折れ部を含んでいてもよい(例えば、アーチ908a、908b及びハンドル904はそれぞれ、装置の軸に沿ってその中心にU形状折れ部991を含んでもよい)。例えば、折れ部991は、装置をより柔軟にし、且つ/又は、装置が潰れることを容易にしてもよい。幾つかの実施形態において、リブ及び/又はアーチは、異なるサイズの尿道内に適合するのに十分な柔軟性(可撓性)を有するように構成される。例えば、リブのアーモンド形状及び/又は接続部材の折れ部991が、装置の柔軟性を向上させてもよい。例えば、装置は、6~11mmの間の高さを有する尿道内に適合するのに十分に柔軟であってもよい。
【0089】
幾つかの実施形態において、ハンドル904は、他のアーチ908a、908bのうち1つ又はそれ以上よりも容易に曲げられるように構成される。例えば、ハンドル904は、より薄い材料からなるものであってもよい(例えば、0~10%の間でより薄く、且つ/又は10~50%の間でより薄く、且つ/又は50~80%の間でより薄く、例えば、アーチの材料については0.4~0.6mmの間であってもよく、且つ/又は、ハンドルの材料の厚さは0.2~0.4mmの間であってもよい)。
【0090】
幾つかの実施形態では、ハンドルの柔軟性は、接合部(ジョイント)の方向及び/又はその湾曲によって強化されてもよい。例えば、ハンドル904は、略近位に向く接合部を備えるリブ901に接続され、ハンドル904は、遠位に湾曲する。例えば、ハンドル904とリブ901の接合部では、ハンドルは、リブ901を接合するアーチ908、908bの方向よりも遠位に向いている。例えば、ハンドル904は、アーチ908a、908bよりも湾曲している。
【0091】
幾つかの実施形態において、最も遠位のコネクタ908aは、対象の膀胱に衝突するのを回避するような位置である。例えば、コネクタ908aは、リブ901の近位部分(例えば、リブ901及び/又は装置の本体の長さの50%の遠位及び/又は装置の長さの25%の遠位)に接続されてもよい。任意に、アーチ908a、908b及び/又はハンドル904は、拡張構成(例えば
図9、
図10に示すように)及び/又は潰し構成(例えば
図11、
図12に示すように、及び/又は、例えば
図13の遠位のコネクタ1308aによって示されるように)にあるリブ901の遠位端の近くに留まるように構成される。代替的に又は追加的に、接続部材(例えば1つ及び/又は複数のアーチ)が、1つ又は両方の潰し状態(例えば、挿入のための潰し状態、及び/又は、抜き出しのための潰し状態)において(拡張状態においてではない)、リブの1つ、幾つか及び/又は全てに対して遠位に延びてもよい。代替的に又は追加的に、幾つかの実施形態において、接続部材は、拡張状態及び/又は拡張及び潰し状態において、リブの1つ、幾つか及び/又は全てに対して遠位に延びてもよい。
【0092】
図10は、本発明の実施形態による、拡張状態における3つのアーチの泌尿器科インプラントの概観図である。
【0093】
図11は、本発明の一実施形態による、尿道内に挿入するための潰し状態における3つのアーチの泌尿器科インプラントの側面図である。例えば、対象の挿入前に、装置は挿入状態に潰され、カテーテル980に挿入される。任意に、挿入構成において、ハンドル904は、装置の本体に向かって遠位に(例えば、リブ901及び/又はアーチ908a、908bに向かって)折り曲げられる。任意に、挿入構成において、ハンドル904は、アーチ908a、908bの1つ、幾つか又は全てと同じ方向に折り曲げられる。
【0094】
図12は、本発明の一実施形態による、尿道内に挿入するための潰し状態における3つのアーチの泌尿器科インプラントの概観図である。
【0095】
図13は、本発明の実施形態による、尿道から抜き出すための潰し状態における4つのアーチの泌尿器科インプラント1301の側面図である。例えば、インプラント1301を抜き出すとき、抜き出しハンドル1304が近位に引っ張られる。抜き出しハンドル1304を近位に引っ張ること及び/又は装置をシース980内に引っ張ることにより、任意に、インプラント1301が潰される(例えば、
図3A~
図3F、
図7、
図8に示すように)。インプラント1301を収縮させることにより、任意に、装置をシース980内に引き込むこと、及び/又は装置を尿道から抜き出すこと、及び/又は尿道から装置を再配置することを容易にする。幾つかの実施形態において、引き出されて潰された状態では、ハンドル1304が近位に引っ張られ、且つ/又は、接続部材(例えば、遠位のアーチl308a、中間のアーチl308b及び/又は近位のアーチl308c)が全て遠位に折り曲げられ、且つ/又は、装置の本体(例えば、リブ1301を含む)は内側に潰れる。
【0096】
幾つかの実施形態において、異なるサイズのインプラントが利用可能であってもよい。 例えば、4つのアーチのインプラント1301は3つのアーチのインプラント901よりも大きくてもよい。
【0097】
「からなる」及び「から構成される」という語句はそれぞれ、本明細書で使用される場合、「含みこれに限定される」を意味する。任意に、抜き出しハンドルは、その近位端に及び/又は装置の近くにある。
【0098】
「から本質的になる」という語句は、本明細書で使用される場合、記述されている実体又は項目(システム、システムユニット、システムサブユニット、装置、アセンブリ、サブアセンブリ、機構、構造、コンポーネント、要素、又は、周辺機器、ユーティリティ、アクセサリ、又は、材料、方法又はプロセス、ステップ又は手順、サブステップ又はサブ手順)は、開示された発明の例示的な実施形態の全体又は一部であり、且つ/又は、開示された発明の例示的な実施形態を実施するために使用され、システムユニット、システムサブユニット、装置、アセンブリ、サブアセンブリ、機構、構造、コンポーネント、要素、又は、周辺機器、ユーティリティ、アクセサリ、又は、材料、ステップ又は手順、サブステップ又はサブ手順である開示された発明の少なくとも1つの追加的な「特徴又は特性」であり、ただし、そのような追加的な「特徴又は特性」がそれぞれ、クレームされている実体又は項目の基本的で新規で独創的な特性又は特別な技術的機能を実質的に変更しない場合に限る。
【0099】
「方法」という用語は、本明細書で使用される場合、既知の、又は、既知のステップ、手順、方法、手段、及び/又は技法から開示された発明の関連分野の実務者によって容易に開発されるステップ、手順、方法、手段、及び/又は技法を含むがこれに限定されない所定のタスクを達成するためのステップ、手順、方法、手段、及び/又は技法を指す。
【0100】
この開示全体を通じて、パラメータ、特徴、特性、物体、又は寸法の数値は、数値範囲の形式で記述され又は説明されてもよい。そのような数値範囲の形式は、本明細書で使用される場合、本発明の幾つかの例示的な実施形態の実施を示し、本発明の例示的な実施形態の範囲を頑なに制限するものではない。したがって、記述され又は説明されている数値範囲は、その記述され又は説明されている数値範囲内の全ての可能な部分的な範囲及び個々の数値(数値は、負数を含まない整数、整数、又は分数として表されてもよい)も指し、包含する。例えば、記述され又は説明されている数値範囲「1~6」は、例えば「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」などの全ての可能な部分的な範囲、及び、例えば「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」、「6」などの、記述され又は説明されている「1~6」の数値範囲内の個々の数値も指し、包含する。これは、記述され又は説明されている数値範囲の数値の幅、範囲、又は大きさに関係なく適用される。
【0101】
この開示全体を通して、「近位」という用語は、医療装置又はインプラントの入口点に最も近い位置にある患者の体における位置を意味し、「遠位」という用語は、そのような入口点から最も離れて位置する患者の体における位置を意味する。
【0102】
さらに、数値範囲の記述又は説明について、「約第1の数値と約第2の数値の間の範囲内」という語句は、「約第1の数値~約第2の数値の範囲内」という語句と同等であり、同じ意味であるとみなされる。したがって、これらの2つの同等に意味する語句は、互換的に使用されてもよい。例えば、室温の数値範囲の記述又は説明について、「室温は約20℃と約25℃の間の範囲の温度を指す」という句は、「室温は約20℃~約25℃の範囲の温度を指す」と同等であるとみなされる。
【0103】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、記述された数値の±10%を指す。
【0104】
「動作可能に接続される」という語句は、本明細書で使用される場合、対応する同義語句「動作可能に接合される」及び「動作可能に取り付けられる」を同等に指し、動作可能接続、動作可能接合、又は動作可能取り付けは、物理的又は/及び電気的又は/及び電子的又は/及び機械的又は/及び電気機械的な方法又は性質に従い、ハードウェア又は/及びソフトウェアの様々なタイプ及び種類の機器及びコンポーネントに関連する。
【0105】
明確にするために、複数の別個の実施形態の文脈又は形式で例示的に説明され提示されている、本発明の特定の態様、特性、及び特徴が、1つの実施形態の文脈又は形式における任意の適切な組み合わせ又は部分的組み合わせで例示的に説明され提示されてもよいことを十分に理解されたい。逆に、1つの実施形態の文脈又は形式における組み合わせ又は部分的組み合わせで例示的に説明され提示されている、本発明の様々な態様、特性、及び特徴が、複数の別個の実施形態の文脈又は形式で例示的に説明され提示されてもよい。
【0106】
本発明は、特定の例示的な実施形態及びその例によって例示的に説明され提示されているが、その多くの代替、変更、及び/又は変形が当業者に明らかであろうことは明白である。したがって、そのような全ての代替、変更、及び/又は変形は、添付の特許請求の広い範囲の主旨に含まれ、特許請求の広い範囲に包含されることが意図される。
【0107】
この開示で引用され又は参照される全ての公開公報、特許、及び/又は特許出願は、個々の公開公報、特許、及び/又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的に及び個別に示される程度まで、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書における任意の参照の引用又は同定は、そのような参照が本発明の先行技術を表す又はそれに対応することの承認として解釈され又は理解されるべきではない。セクションの見出しが使用されている限りにおいて、見出しは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。