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  • 特許-電気接続箱の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】電気接続箱の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20230606BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019013279
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020124014
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 啓稀
(72)【発明者】
【氏名】中山 拓哉
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-234849(JP,A)
【文献】特開平07-245846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/08-3/20
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を内部に収容可能であり且つ前記電子部品に電気的に接続される電線を外部に向けて引出可能である電気接続箱を製造するための、電気接続箱の製造方法であって、
前記電気接続箱は、
前記電子部品を保持可能な本体部と、前記本体部に組み付けられるカバー部と、を有し、前記本体部及び前記カバー部の少なくとも一方は、前記本体部から延びる前記電線を前記本体部と前記カバー部との間に画成される空間の内部から外部に挿通可能な開口箇所を有するように構成され、
前記本体部は、
当該本体部を貫通する少なくとも2つの貫通孔を有し、
当該製造方法は、
前記電気接続箱の内部から前記開口箇所を経て前記電気接続箱の外部に向かう所定の経路に沿うように前記電線の形状を整えながら、前記少なくとも2つの前記貫通孔の一つを通じて前記空間の内部へ入り且つ他の一つを通じて前記空間の外部へ出るように設けられた紐状体を引き締めて前記電線を前記本体部に向けて押し付けることにより、前記経路に沿う形状を有するように前記電線に対して癖付けを施す、第1工程と、
前記癖付けが施された前記電線が前記本体部と前記カバー部との間に収容され且つ前記開口箇所を経て外部に向かうように、前記本体部に前記カバー部を組み付ける、第2工程と、を備え
前記第2工程にて、前記本体部に前記カバー部が組み付けられた後、前記紐状体を前記貫通孔を通じて引き抜くことにより、前記紐状体を前記本体部から取り外す、
電気接続箱の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法において、
前記少なくとも2つの前記貫通孔は、前記本体部に前記電子部品を収容して保持する収容箇所と前記本体部の外壁との間に存在する空隙、又は、前記収容箇所同士の間に存在する空隙である、
電気接続箱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リレー及びヒューズ等の電子部品が内蔵された電気接続箱が提案されている。具体的には、従来の電気接続箱の一つでは、それら電子部品と外部機器とを繋ぐための電線束が、電気接続箱に設けられた開口箇所(即ち、電線束の引出口)を介して、電気接続箱の内部から外部に向けて引き出されている(例えば、特許文献1~3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-195358号公報
【文献】特開平9-290700号公報
【文献】特開2006-191784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自動車などの車両に電気接続箱を搭載するにあたり、電気接続箱の小型化・薄型化の要望が高まっている。更に、電気系統の複雑化などに伴い、電気接続箱に接続される電線の数は増大する傾向にある。これらの結果、電気接続箱の内部で電線を取り回すことができるスペース(例えば、多数の電線が繋がる本体部とロアカバー等のカバー部との間のスペース)に余裕がなくなり、更に電線の数の増大に伴って電線束を曲げ難くなり、本体部にカバー部を組み付ける作業が困難になっている。換言すると、電気接続箱の小型化・薄型化に伴い、電気接続箱の生産性を向上させ難くなっている。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気接続箱の小型化・薄型化と生産性の向上とを両立可能な電気接続箱の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱の製造方法は、下記[1]~[]を特徴としている。
[1]
電子部品を内部に収容可能であり且つ前記電子部品に電気的に接続される電線を外部に向けて引出可能である電気接続箱を製造するための、電気接続箱の製造方法であって、
前記電気接続箱は、
前記電子部品を保持可能な本体部と、前記本体部に組み付けられるカバー部と、を有し、前記本体部及び前記カバー部の少なくとも一方は、前記本体部から延びる前記電線を前記本体部と前記カバー部との間に画成される空間の内部から外部に挿通可能な開口箇所を有するように構成され、
前記本体部は、
当該本体部を貫通する少なくとも2つの貫通孔を有し、
当該製造方法は、
前記電気接続箱の内部から前記開口箇所を経て前記電気接続箱の外部に向かう所定の経路に沿うように前記電線の形状を整えながら、前記少なくとも2つの前記貫通孔の一つを通じて前記空間の内部へ入り且つ他の一つを通じて前記空間の外部へ出るように設けられた紐状体を引き締めて前記電線を前記本体部に向けて押し付けることにより、前記経路に沿う形状を有するように前記電線に対して癖付けを施す、第1工程と、
前記癖付けが施された前記電線が前記本体部と前記カバー部との間に収容され且つ前記開口箇所を経て外部に向かうように、前記本体部に前記カバー部を組み付ける、第2工程と、を備え
前記第2工程にて、前記本体部に前記カバー部が組み付けられた後、前記紐状体を前記貫通孔を通じて引き抜くことにより、前記紐状体を前記本体部から取り外す、
電気接続箱の製造方法であること。
[2]
上記[1]に記載の製造方法において、
前記少なくとも2つの前記貫通孔は、前記本体部に前記電子部品を収容して保持する収容箇所と前記本体部の外壁との間に存在する空隙、又は、前記収容箇所同士の間に存在する空隙である、
電気接続箱の製造方法であること
【0007】
上記[1]の構成の製造方法によれば、紐状体(例えば、所定の幅を有する薄板上のベルト)により、電気接続箱の本体部から延びる電線が、電気接続箱の内部から開口箇所(例えば、引出口)を経て電気接続箱の外部に向かう所定の経路(電線の引き出し経路)に沿うように形状を整えながら、本体部に向けて押し付けられる。これにより、電線に対し、上述した経路に沿う形状を有するような癖付けが施される。そして、癖付けが施された電線を覆うように、本体部にカバー部(例えば、ロアカバー)が組み付けられる。よって、癖付けが施されていない電線を覆うように強引に本体部にカバー部を組み付ける場合に比べ、本体部にカバー部を組み付ける作業が容易になる。また、上述した経路から外れた電線が意図せず本体部とカバー部との間に挟まれること(いわゆる噛み込み)を抑制できる。更に、紐状体を用いることで、複数の電線に対して一纏めに癖付けを施し得るため、電線の数が増大しても電線の癖付けが容易になる。したがって、本構成の製造方法は、電気接続箱の小型化・薄型化と生産性の向上とを両立可能である。
更に、上記[1]の構成の製造方法によれば、紐状体によって電線を押し付けたまま、カバー部が本体部に組み付けられる。そのため、紐状体による電線の押し付けが解除される場合に比べ、電線の形状が所定の経路に沿った形状に強固に保たれる。よって、本体部にカバー部を組み付ける工程が容易になり、電気接続箱の生産性を向上できる。
【0008】
上記[2]の構成の製造方法によれば、電気接続箱に一般に存在する「電子部品の収容箇所と外壁との間に存在する隙間」や「電子部品の収容箇所同士の間に存在する隙間」を利用し、紐状体が上述した空間の内外に挿通される。そのため、紐状体を通すための専用の貫通孔を電気接続箱に設ける必要がない。よって、電気接続箱の品番や仕様によらず、種々様々な電気接続箱に対し、本構成の製造方法を適用できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電気接続箱の小型化・薄型化と生産性の向上とを両立可能な電気接続箱の製造方法を提供できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す本体部及び下カバー部を底面側から見た斜視図である。
図3図3は、紐状体が取り付けられた状態にある図1に示す本体部を底面側から見た斜視図である。
図4図4(a)~図4(c)は、本体部に下カバー部を組み付ける際の手順について説明するための図3のA-A断面に相当する図である。
図5図5は、下カバー部が組み付けられた本体部を底面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、図1図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る電気接続箱1の製造方法について説明する。本例において、電気接続箱1は、リレー及びヒューズ等が取り付けられるリレーボックスである。電気接続箱1は、典型的には、車両に搭載され、種々の車載電装品と電気的に接続されて使用される。
【0014】
図1に示すように、電気接続箱1の筐体部10は、上方に開口する矩形箱状の樹脂製の本体部11と、本体部11の下端縁に組み付けられて本体部11の底面との間に電線を取り回すための電線収容空間17(図4(c)参照)を画成する樹脂製の下カバー部12と、本体部11の上端縁に組み付けられて本体部11の上面を覆う樹脂製の上カバー部13と、を備える。下カバー部12は、上方が開口する矩形箱状の形状を有し、上カバー部13は、下方が開口する矩形箱状の形状を有する。
【0015】
本体部11の内部には、基板を含む保持部20が固定配置されており、保持部20の上面側には、複数(本例では、2つ)のリレー21と、複数(本例では、3つ)のヒューズ22とが取り付けられ、保持されている。
【0016】
保持部20の下面側には、複数のコネクタ接続部(図示省略)が設けられている。複数のコネクタ接続部には、図2に示すように、複数の電線wにより構成される電線束W1及び電線束W2の何れか一方又は両方の一端部に接続された複数のコネクタ23が接続されている。複数のコネクタ23は、本体部11の底面から露出するように本体部11の底壁に配置されている。この結果、電線束W1,W2を構成する複数の電線wが、本体部11の底面から電線収容空間17の内部に導出されている。
【0017】
本体部11の底壁には、図2に示すように、上下方向(厚さ方向)に貫通する複数の貫通孔24が設けられている。複数の貫通孔24は、本体部11の底壁の外縁部近傍にて当該外縁部の周方向に間隔を空けて位置している。本例では、貫通孔24として、本体部11に電子部品(具体的には、リレー21及びヒューズ22)を収容する収容箇所と本体部11の側壁14との間に存在する空隙が使用されている。この空隙は、例えば、電気接続箱1内に水が侵入した場合における排水用の水抜き孔として用いられ得る。
【0018】
なお、貫通孔24として、本体部11に電子部品を収容する収容箇所同士の間に存在する空隙が使用されてもよい。更には、本体部11の側壁14そのものが、所定間隔を空けて平行に近接する2枚の壁で構成されている場合、2枚の壁の間の空隙が貫通孔24として使用されてもよい。
【0019】
下カバー部12の側壁14には、図1に示すように、複数(本例では、2つ)の引出口15が形成されている。引出口15は、本例では、側壁14に形成された上方に開口し且つ下方に窪んだU字状の凹部の縁部から側壁14の外側に向けて一体に突出するU字状のフード部16により構成されている。
【0020】
電線束W1は、2つの引出口15のうち一方の引出口15を介して電線収容空間17の内部から外部に導出され、電線束W2は、他方の引出口15を介して電線収容空間17の内部から外部に導出されている。電線束W1,W2の他端部はそれぞれ、例えば、種々の車載電装品と電気的に接続される。これにより、電線束W1,W2を介してリレー21及びヒューズ22と、種々の車載電装品とが電気的に接続される。
【0021】
本体部11に下カバー部12及び上カバー部13を組み付ける際には、下カバー部12を本体部11に組み付けた後に上カバー部13を本体部11に組み付けてもよいし、上カバー部13を本体部11に組み付けた後に下カバー部12を本体部11に組み付けてもよい。なお、下カバー部12及び上カバー部13の本体部11への組み付け完了状態において、本体部11と下カバー部12との間の隙間、及び、本体部11と上カバー部13との間の隙間を封止するための止水部材が、本体部11側、及び/又は、下カバー部12及び上カバー部13側に設けられていることが好適である。
【0022】
以下、図3及び図4を参照しながら、本体部11に下カバー部12を組み付ける際の手順について説明する。本体部11の底面から導出される複数の電線wは、当初は癖付けが施されていないので、図4(a)に示すように、本体部11の底面からランダムな方向にランダムな態様でそれぞれ延びている。よって、このような癖付けが施されていない複数の電線wを覆うように強引に本体部11に下カバー部12を組み付けて、複数の電線wを電線収容空間17の内部に適正な態様で格納しつつ引出口15から電線収容空間17の外部へ導出させることは、非常に困難である。この傾向は、電気接続箱1の小型化・薄型化により電線収容空間17が狭くなるほど、また電線wの本数が増えるほど、顕著になる。
【0023】
この問題に対処するため、本例では、本体部11に下カバー部12を組み付ける前に、先ず、図3及び図4(a)に示すように、紐状体30(典型的には、帯状のベルト)が、一対の貫通孔24の一方を通して電線収容空間17の内部に入り且つ一対の貫通孔24の他方を通して電線収容空間17の外部へ出るように、且つ、本体部11の底面から導出する電線wが上下方向にて紐状体30と本体部11の底面との間に位置するように、本体部11に取り付けられる。図3に示す例では、3対の貫通孔24(計6つの貫通孔24)を利用して、3本の紐状体30(30a,30b,30c)が、互いに異なる位置・態様で、本体部11に取り付けられている。
【0024】
次いで、図4(b)に示すように、複数の電線wが電線収容空間17の内部から引出口15を経て電気接続箱1の外部に向かう所定の経路(図2を参照)に沿うように複数の電線wの形状を整えながら、紐状体30の一端部を把持装置40(図3参照)により固定し、紐状体30の他端部を巻取装置50(図3参照)を用いて巻き取ることで、紐状体30が引き締められる。これにより、複数の電線wが本体部11の底面に向けて押し付けられることで、複数の電線wが所定の経路(図2を参照)に沿う形状を有するように複数の電線wに対して癖付けが施される。
【0025】
次いで、紐状体30の引き締め(即ち、複数の電線wの押し付け)を維持しながら、図4(c)に示すように、癖付けが施された複数の電線wが電線収容空間17に収容され且つ引出口15を経て外部に向かうように、下カバー部12が本体部11に組み付けられる。
【0026】
次いで、紐状体30の引き締め(即ち、複数の電線wの押し付け)が解除されて、紐状体30が本体部11から引き抜かれる。これにより、図5に示すように、下カバー部12の本体部11への組み付けが完了する。
【0027】
以上、本発明の実施形態に係る電気接続箱1の製造方法によれば、紐状体30(例えば、帯状のベルト)により、電気接続箱1の本体部11の底面から延びる複数の電線wが、電気接続箱1の電線収容空間17(図4(c)参照)から引出口15を経て電気接続箱1の外部に向かう所定の経路(図2参照)に沿うように形状を整えながら、本体部11の底面に向けて押し付けられる。これにより、複数の電線wに対し、上述した経路に沿う形状を有するように癖付けが施される。そして、癖付けが施された複数の電線wを覆うように、本体部11に下カバー部12が組み付けられる。よって、癖付けが施されていない複数の電線wを覆うように強引に本体部11に下カバー部12を組み付ける場合に比べ、本体部11に下カバー部12を組み付ける作業が容易になる。また、紐状体30を用いることで、電線wの数が増大しても、電線wの癖付けが容易になる。したがって、本発明の実施形態に係る電気接続箱1の製造方法は、電気接続箱1の小型化・薄型化と生産性の向上とを両立可能である。
【0028】
更に、本発明の実施形態に係る電気接続箱1の製造方法によれば、電気接続箱1に一般に存在する「電子部品の収容箇所と外壁との間に存在する隙間」や「電子部品の収容箇所同士の間に存在する隙間」を貫通孔24として使用することで、紐状体30が電線収容空間17の内外に挿通される。よって、紐状体30を通すための専用の貫通孔を電気接続箱1に設ける必要がない。その結果、本構成の製造方法を、一般の電気接続箱に容易に適用できる。
【0029】
更に、本発明の実施形態に係る電気接続箱1の製造方法によれば、紐状体30によって電線wを押し付けたまま、下カバー部12が本体部11に組み付けられる。そのため、紐状体30による電線wの押し付けが解除される場合に比べ、電線wの形状が所定の経路に沿った形状に強固に保たれる。よって、本体部11に下カバー部12を組み付ける工程が容易になり、電気接続箱1の生産性を全体として向上できる。
【0030】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0031】
上記実施形態では、紐状体30の引き締め(即ち、複数の電線wの押し付け)を維持しながら下カバー部12が本体部11に組み付けられ、その後に、紐状体30の引き締めを解除して紐状体30が本体部11から引き抜かれている。これに対し、紐状体30の引き締めを解除して紐状体30が本体部11から引き抜かれた後に、下カバー部12が本体部11に組み付けられてもよい。
【0032】
更に、上記実施形態では、電気接続箱1の電線収容空間17と外部とを繋ぐ引出口15は、下カバー部12側に設けられている。これに対し、引出口は、本体部11側に設けられてもよいし、下カバー部12と本体部11とによって画成されてもよい。
【0033】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱1の製造方法の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電子部品(21,22)を内部に収容可能であり且つ前記電子部品(21,22)に電気的に接続される電線(w)を外部に向けて引出可能である電気接続箱(1)を製造するための、電気接続箱(1)の製造方法であって、
前記電気接続箱(1)は、
前記電子部品(21,22)を保持可能な本体部(11)と、前記本体部(11)に組み付けられるカバー部(12)と、を有し、前記本体部(11)及び前記カバー部(12)の少なくとも一方は、前記本体部(11)から延びる前記電線(w)を前記本体部(11)と前記カバー部(12)との間に画成される空間(17)の内部から外部に挿通可能な開口箇所(15)を有するように構成され、
前記本体部(11)は、
当該本体部(11)を貫通する少なくとも2つの貫通孔(24)を有し、
当該製造方法は、
前記電気接続箱(1)の内部から前記開口箇所(15)を経て前記電気接続箱(1)の外部に向かう所定の経路に沿うように前記電線(w)の形状を整えながら、前記少なくとも2つの前記貫通孔(24)の一つを通じて前記空間(17)の内部へ入り且つ他の一つを通じて前記空間(17)の外部へ出るように設けられた紐状体(30)を引き締めて前記電線(w)を前記本体部(11)に向けて押し付けることにより、前記経路に沿う形状を有するように前記電線(w)に対して癖付けを施す、第1工程と、
前記癖付けが施された前記電線(w)が前記本体部(11)と前記カバー部(12)との間に収容され且つ前記開口箇所(15)を経て外部に向かうように、前記本体部(11)に前記カバー部(12)を組み付ける、第2工程と、を備える、
電気接続箱の製造方法。
[2]
上記[1]に記載の製造方法において、
前記少なくとも2つの前記貫通孔(24)は、前記本体部(11)に前記電子部品(21,22)を収容して保持する収容箇所と前記本体部(11)の外壁(14)との間の空隙、又は、前記収容箇所同士の間に存在する空隙である、
電気接続箱の製造方法。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の製造方法において、
前記第2工程にて、前記本体部(11)に前記カバー部(12)が組み付けられた後、前記紐状体(30)を前記前記貫通孔(24)を通じて引き抜くことにより、前記紐状体(30)を前記本体部(11)から取り外す、
電気接続箱の製造方法。
【符号の説明】
【0034】
1 電気接続箱
11 本体部
12 下カバー部(カバー部)
14 側壁(外壁)
15 引出口(開口箇所)
17 空間(電線収容空間)
21 リレー(電子部品)
22 ヒューズ(電子部品)
24 貫通孔
30 紐状体
w 電線
図1
図2
図3
図4
図5