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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】車両の制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20230606BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20230606BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20230606BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H01M10/48 P
B62D5/04
G01R31/392
H01M10/42 P
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019026810
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020136035
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100113011
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 秀和
(72)【発明者】
【氏名】幹田 利幸
(72)【発明者】
【氏名】半澤 弘明
(72)【発明者】
【氏名】奥田 正貴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信悟
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-114039(JP,A)
【文献】特開2012-030733(JP,A)
【文献】特開2013-015088(JP,A)
【文献】特開2018-057078(JP,A)
【文献】特開2019-066387(JP,A)
【文献】国際公開第2016/159086(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
B62D 5/04
H01M 10/42
G01R 31/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたステアバイワイヤシステムにおけるバックアップバッテリと、
前記バックアップバッテリの劣化の有無を判定する劣化判定装置と、を備え、
前記劣化判定装置は、
前記車両のイグニッション電源がオフとされたときの前記バックアップバッテリの電圧である停止時電圧を取得し、
前記車両のイグニッション電源がオンとされたときに、前記停止時電圧が所定の劣化判定閾値Aよりも大きいか否かを判定し、
前記停止時電圧が前記劣化判定閾値Aよりも大きい場合、前記車両のイグニッション電源がオンとされた後の前記バックアップバッテリの電圧である現在電圧を取得し、
前記現在電圧が所定の劣化判定閾値Bよりも大きい場合、前記バックアップバッテリの劣化が進行しているおそれがないと判定し、前記現在電圧が前記劣化判定閾値B以下の場合、前記バックアップバッテリの劣化が進行しているおそれがあると判定する
ように構成されていることを特徴とする車両の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御システムに係り、特に、車両に搭載されたバッテリの劣化の有無を判定する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステアバイワイヤシステムを駆動するためのバッテリの劣化の判定を行う技術が開示されている。この技術では、バッテリの端子電圧等の情報に基づいて、バッテリの劣化度を特定するための値であるSOH(State Of Health)を検出し、検出したSOHと閾値との比較によってバッテリの劣化度を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/123473号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に搭載されるバッテリにリチウムイオンキャパシタバッテリを用いた場合、車両のイグニッション電源をオフにしている間にその電池性能が一時的に自己回復することがある。このため、車両のイグニッション電源をオンにしたときのバッテリの情報のみによって当該バッテリの劣化の有無を判定するシステムでは、劣化の有無を誤判定するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたもので、車両に搭載されるバッテリの劣化有無を精度よく判定することのできる車両の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、車両に搭載されたステアバイワイヤシステムにおけるバックアップバッテリと、バックアップバッテリの劣化の有無を判定する劣化判定装置と、を備えた制御システムを対象としている。劣化判定装置は、車両のイグニッション電源がオフとされたときのバックアップバッテリの電圧である停止時電圧を取得するように構成されている。そして、劣化判定装置は、車両のイグニッション電源がオンとされたときに、停止時電圧が所定の劣化判定閾値Aよりも大きいか否かを判定し、停止時電圧が劣化判定閾値Aよりも大きい場合、車両のイグニッション電源がオンとされた後のバックアップバッテリの電圧である現在電圧を取得し、現在電圧が所定の劣化判定閾値Bよりも大きい場合、バックアップバッテリの劣化が進行しているおそれがないと判定し、現在電圧が劣化判定閾値B以下の場合、バックアップバッテリの劣化が進行しているおそれがあると判定するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両の制御システムによれば、車両のイグニッション電源がオフとされたときのバッテリの情報である第一情報が劣化判定に用いられる。第一情報は、バッテリの自己回復前の状態が反映された情報である。このため、本発明によれば、バッテリの自己回復も考慮した高精度な劣化判定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るステアバイワイヤシステムの構成例を概略的に示す図である。
図2】バックアップバッテリの自己回復特性を示す図である。
図3】実施の形態1のステアバイワイヤシステムにおいて実行される劣化判定制御のルーチンを示すフローチャートである。
図4】実施の形態1のステアバイワイヤシステムにおいて実行される劣化判定制御のルーチンを示すフローチャートである。
図5】実施の形態1のステアバイワイヤシステムにおいて実行されるバックアップバッテリの劣化判定の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
【0010】
実施の形態1.
1.ステアバイワイヤシステム
図1は、実施の形態1に係るステアバイワイヤシステムの構成例を概略的に示す図である。実施の形態1に係る制御システムは、ステアバイワイヤシステム1である。ステアバイワイヤシステム1は、車両に搭載されており、ステアバイワイヤ方式で車両の車輪WHを転舵する。つまり、ステアバイワイヤシステム1は、ステアバイワイヤ方式の車両を実現する。
【0011】
図1に示される例において、ステアバイワイヤシステム1は、ステアリングホイール10、ステアリングシャフト20、反力アクチュエータ30、転舵アクチュエータ40、制御装置100、及び電源装置200を備えている。
【0012】
ステアリングホイール10(ハンドル)は、ドライバが操舵に用いる操作部材である。ステアリングシャフト20は、ステアリングホイール10に連結されており、ステアリングホイール10と共に回転する。
【0013】
反力アクチュエータ30は、ステアリングホイール10に対して反力トルクを擬似的に付与する。反力アクチュエータ30は、例えば反力モータである。反力モータは、減速機(図示せず)を介してステアリングシャフト20につながっている。反力アクチュエータ30を作動させることにより、ステアリングシャフト20ひいてはステアリングホイール10に反力トルクを付与することができる。
【0014】
転舵アクチュエータ40は、車輪WHを転舵する。転舵アクチュエータ40は、例えば転舵モータである。転舵モータのロータは、減速機(図示せず)を介して転舵軸42につながっている。転舵軸42は、車輪WHに連結されている。転舵モータが回転すると、その回転運動は転舵軸42の直線運動に変換され、それにより車輪WHが転舵される。すなわち、転舵モータの回転により、車輪WHを転舵することができる。
【0015】
制御装置100は、本実施の形態に係るステアバイワイヤシステム1を制御する。この
制御装置100は、プロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースを備えるマイクロコ
ンピュータを含んでいる。当該マイクロコンピュータは、ECU(Electronic Control U
nit)とも呼ばれる。
【0016】
制御装置100は、ステアリングホイール10の操作に応じて転舵アクチュエータ40
を制御することによって、車輪WHの転舵を制御する。また、制御装置100は、ステアリングホイール10の操作に応じて反力アクチュエータ30を制御することによって、ステアリングホイール10に付与される反力トルクを制御する。
【0017】
電源装置200は、ステアバイワイヤシステム1の各構成要素(反力アクチュエータ30、転舵アクチュエータ40、制御装置100、等)に電力を供給する。電源装置200は、電力系統1又は電力系統2を介して各構成要素に接続されている。電源装置200は、電力系統1又は電力系統2を介して各構成要素に電力を供給する。具体的には、制御装置100は、ステアバイワイヤシステム1の各構成要素への電力供給が電力系統1を介して行われている場合、転舵1及び反力トルク1を制御する。また、制御装置100は、ステアバイワイヤシステム1の各構成要素への電力供給が電力系統2を介して行われている場合、転舵2及び反力トルク2を制御する。
【0018】
電源装置200は、車両電源210とバックアップ電源250とを含んでいる。車両電源210は、高圧バッテリ212と、補機バッテリ214と、DC-DCコンバータ216と、リレーボックス218と、を含んでいる。高圧バッテリ212は、例えばリチウムイオン電池である。DC-DCコンバータ216は、高圧バッテリ212の直流電圧(例えば288V)を、各構成要素(反力アクチュエータ30、転舵アクチュエータ40、等)に供給するための低電圧(例えば12V)に変換する。補機バッテリ214は主に補機類の動作に使用される12Vの鉛蓄電池である。DC-DCコンバータ216及び補機バッテリ214はリレーボックス218に接続されている。リレーボックス218は、各構成要素(反力アクチュエータ30、転舵アクチュエータ40、等)に供給する電力の供給源を、車両電源210と、後述するバックアップ電源250との間で切り替えるための装置である。
【0019】
バックアップ電源250は、車両電源210の故障(失陥)時にバックアップとして用いられる電源である。バックアップ電源250は、バックアップバッテリ252と、バッテリECU254とを含んでいる。バックアップバッテリ252は、例えば12Vのリチウムイオンキャパシタバッテリである。
【0020】
バッテリECU254は、プロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースを備えるマイクロコンピュータを含んでいる。バッテリECU254は、必要に応じて、リレーを制御し、車両電源210とバックアップ電源250の切り替えを行う。具体的には、バッテリECU254は、車両電源210の状態を示す車両電源状態情報を取得する。例えば、車両電源状態情報は、高圧バッテリ212及び補機バッテリ214の動作状態と出力電圧、残存電力、等を含む。バッテリECU254は、取得した車両電源状態情報に基づいて車両電源210の故障(失陥)を検出する。そして、バッテリECU254は、車両電源210の故障(失陥)を検出した場合、各構成要素(反力アクチュエータ30、転舵アクチュエータ40、等)に供給する電力の供給源を、車両電源210からバックアップ電源250へと切り替える。
【0021】
また、バッテリECU254は、バックアップバッテリ252の劣化の有無を判定する劣化判定制御を行う。バッテリECU254は、バックアップバッテリ252の状態を示す情報を取得する。このような情報は、バックアップバッテリ252の出力電圧等を含む。バッテリECU254は、取得された情報に基づいてバックアップバッテリ252の劣化の有無を判定する劣化判定装置としての機能を備えている。劣化判定制御については、詳細を後述する。
【0022】
2.ステアバイワイヤシステムの動作
上述したように、車両電源210の正常時には、ステアバイワイヤシステム1は、車両電源210から反力アクチュエータ30及び転舵アクチュエータ40へと電力の供給を行う。そして、ステアバイワイヤシステム1は、車両電源210の故障を検出した場合、反力アクチュエータ30及び転舵アクチュエータ40への電力供給源をバックアップ電源250へと切り替えて走行する退避走行を行う。また、ステアバイワイヤシステム1は、車両電源210の故障を検出した場合、バックアップ電源250の状態をメータ等に表示し、ドライバへと修理を促す。
【0023】
ここで、バックアップ電源250は、突然の使用要求が出される場合に備えて、必要十分な蓄電量が確保されているか否かの検査を予め行っておくことが望ましい。このような検査の態様としては、例えば、以下の方法が考えられる。すなわち、バッテリECU254は、先ず、車両のイグニッション電源をON(オン)/OFF(オフ)するスイッチ(IGスイッチ)がOFFからONにされ、バックアップ電源250が起動された後の初期検査において、バックアップ電源250のバックアップバッテリ252の電圧値を計測する。そして、計測された電圧値が所定の判定閾値以上の値であれば、バックアップバッテリ252の状態は正常であるとし、バックアップ電源250への切り替えを許可する。一方、計測された電圧値が所定の判定閾値未満の値であれば、バックアップバッテリ252の状態は異常であるとし、バックアップ電源250への切り替えを禁止するとともに、ドライバへと故障を通知する。
【0024】
上記の検査方法には、次のような課題がある。それは、バックアップバッテリ252が劣化していたとしても、車両の停車中に一時的に自己回復することにがあるということである。図2は、バックアップバッテリの自己回復特性を示す図である。この図に示すように、IGスイッチをOFFとした時には電圧が低い場合であっても、次のIGスイッチをONとするまでの車両の停止期間中に電圧が一時的に自己回復する特性を示している。このような特性は、特にリチウムイオンキャパシタバッテリにおいて顕著に表れる。
【0025】
バックアップバッテリ252が劣化している場合、自己回復によって電圧が一時的に上昇したとしても、その後すぐに低下してしまう。したがって、上記検査方法のように、車両のIGスイッチをONとした後にバックアップバッテリ252の初期検査を行うと、劣化しているバッテリであっても正常と判定してしまうおそれがある。この場合、仮にバックアップバッテリ252への切り替えが行われると、想定されていた時間よりも短時間で電圧が低下して操舵失陥となり、退避走行の継続が困難になるおそれがある。
【0026】
そこで、実施の形態1のステアバイワイヤシステム1は、フローチャートに沿った以下の劣化判定制御を行うことによって、バックアップバッテリ252の劣化判定の精度を高めることとしている。以下、実施の形態1のステアバイワイヤシステム1において実行されるバックアップバッテリ252の劣化判定制御の具体的処理について、フローチャートを参照して詳しく説明する。
【0027】
3.実施の形態1の劣化判定制御の具体的処理
図3及び図4は、実施の形態1のステアバイワイヤシステムにおいて実行される劣化判定制御のルーチンのフローチャートである。なお、図3に示すフローチャートは、車両のIGスイッチがOFFとされたときにバッテリECU254によって実行されるルーチンである。また、図4に示すフローチャートは、車両のIGスイッチがONとされたときにバッテリECU254によって実行されるルーチンである。
【0028】
図3に示すルーチンでは、車両のIGスイッチがOFFとされたときのバックアップバッテリ252の停止時電圧Vaが計測される(ステップS100)。計測された停止時電圧Vaは、車両のIGスイッチがOFFとされたときのバックアップバッテリ252の状態を示す第一情報として、バッテリECU254のメモリに記憶される。
【0029】
ステップS100の処理の後、車両のIGスイッチがOFFからONにされると、図4に示すルーチンが開始される。図4に示すルーチンでは、先ず、メモリに記憶されている前回の停止時電圧Vaが読み出される(ステップS200)。次の処理では、停止時電圧Vaが所定の劣化判定閾値Aよりも大きいか否かが判定される(ステップS202)。ここでの劣化判定閾値Aは、バックアップバッテリ252の劣化を判定するための電圧の閾値である。判定の結果、停止時電圧Vaが所定の劣化判定閾値A以下の値である場合、バックアップバッテリ252の自己回復がなされる前の状態において劣化が進行しているおそれがあると判断されて、次のステップS204の処理へと移行する。
【0030】
ステップS204の処理では、公知の手法を用いてバックアップバッテリ252の詳細な劣化検査が行われる。次のステップの処理では、ステップS204の劣化検査の結果に基づいて、バックアップバッテリ252が正常であるか否かが判定される(ステップS206)。その結果、判定の成立が認められない場合、次のステップS210の処理に移行して、バックアップバッテリ252に異常が発生していると判定される。一方、判定の成立が認められた場合、次のステップS208の処理に移行して、バックアップバッテリ252が正常であると判定される。
【0031】
ステップS202の判定において、停止時電圧Vaが所定の劣化判定閾値Aより大きい値である場合、バックアップバッテリ252の自己回復がなされる前の状態においては、バックアップバッテリ252が劣化しているおそれはないと判断されて、次のステップS212の処理へと移行する。
【0032】
次のS212の処理では、IGスイッチがONとされた後の現在のバックアップバッテリ252の現在電圧Vbが計測される。ここでの現在電圧Vbは、車両のIGスイッチがONとされたときのバックアップバッテリ252の状態を示す第二情報に相当する。次のステップでは、現在電圧Vbが所定の劣化判定閾値Bよりも大きいか否かが判定される(ステップS214)。ここでの劣化判定閾値Bは、バックアップバッテリ252の劣化を判定するための電圧の閾値である。なお、ここでの劣化判定閾値Bは、ステップS202の処理において用いられる劣化判定閾値Aと同値であってもよいし、また、異なる値であってもよい。
【0033】
判定の結果、現在電圧Vbが所定の劣化判定閾値B以下の値である場合、バックアップバッテリ252の劣化が進行しているおそれがあると判断されて、上記のステップS204の処理へと移行する。一方、現在電圧Vbが所定の劣化判定閾値Bより大きい値である場合、バックアップバッテリ252の劣化が進行しているおそれがないと判断されて、上記のステップS208の処理へと移行する。
【0034】
図5は、実施の形態1のステアバイワイヤシステムにおいて実行されるバックアップバッテリの劣化判定の効果を説明するための図である。この図に示すように、実施の形態1のステアバイワイヤシステム1において実行される劣化判定によれば、IGスイッチがOFFとされたときのバックアップバッテリ252の停止時電圧Vaに基づいて劣化ありと判定された場合には、現在電圧Vbによる判定結果に依らずに異常ありと判定される。これにより、IGスイッチがOFFとされている車両の停止期間にバックアップバッテリ252が一時的に自己回復したときに起こり得る誤判定を効果的に防ぐことが可能となる。
【0035】
4.実施の形態1の制御システムの変形例
上述した実施の形態1の制御システムは、以下のように変形した態様を採用することとしてもよい。
【0036】
制御システムはステアバイワイヤシステム1に限らない。すなわち、制御システムは、電源装置200から電力が供給されるシステムであれば、電動パワーステアリングシステム(EPS)等の他のシステムでもよい。
【0037】
また、電源装置200はバックアップ電源250を備えず車両電源210のみで構成されていてもよい。この場合、制御システムにおいて実行される劣化判定制御では、車両電源210の高圧バッテリ212の劣化を判定する構成とすればよい。
【0038】
劣化判定制御で用いられるバックアップバッテリ252の情報は、出力電圧の情報に限らない。すなわち、劣化判定制御では、バックアップバッテリ252の電圧と相関のある他の値を判定に用いることとしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ステアバイワイヤシステム
10 ステアリングホイール
20 ステアリングシャフト
30 反力アクチュエータ
40 転舵アクチュエータ
42 転舵軸
100 制御装置
200 電源装置
210 車両電源
212 高圧バッテリ
214 補機バッテリ
216 DC-DCコンバータ
218 リレーボックス
250 バックアップ電源
252 バックアップバッテリ
254 バッテリECU
図1
図2
図3
図4
図5