(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】電子部品収納ケース
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
H05K5/02 P
H05K5/02 L
(21)【出願番号】P 2019060624
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】須江 俊介
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-151134(JP,A)
【文献】特開2013-019224(JP,A)
【文献】特開2007-299803(JP,A)
【文献】特開平08-248155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に
円板状又は円柱状の電池
と電子部品
とを収納可能な収納部を有し、第1ケース部材と第2ケース部材とに分離可能に構成された電子部品収納ケースであって、
前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の一方に設けられた爪部と、前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の他方に設けられ前記爪部を受けて嵌合する受け部と、を有して長尺状に構成され、前記爪部が前記受け部に嵌合することで前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを分離可能に結合する嵌合部と、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のいずれか一方又は両方の側面を窪ませて形成された溝部と、を備え、
前記嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所は、前記嵌合部の端部であ
り、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材は、相互に結合された状態において矩形状に形成されており、
前記溝部は、矩形状における4つの隅部のうちの少なくともいずれか1箇所に設けられている、
電子部品収納ケース。
【請求項2】
前記溝部は、前記嵌合部のうち隣接して配置された2つの直線部分の延長線上の交点を含む位置に設けられている、
請求項1に記載の電子部品収納ケース。
【請求項3】
内部に
円板状又は円柱状の電池
と電子部品
とを収納可能な収納部を有し、第1ケース部材と第2ケース部材とに分離可能に構成された電子部品収納ケースであって、
前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の一方に設けられた爪部と、前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の他方に設けられ前記爪部を受けて嵌合する受け部と、を有して長尺状に構成され、前記爪部が前記受け部に嵌合することで前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを分離可能に結合する嵌合部と、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のいずれか一方又は両方の側面を窪ませて形成された溝部と、を備え、
前記嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所は、前記嵌合部が屈曲した角部であ
り、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材は、相互に結合された状態において矩形状に形成されており、
前記溝部は、矩形状における4つの隅部のうちの少なくともいずれか1箇所に設けられている、
電子部品収納ケース。
【請求項4】
内部に
円板状又は円柱状の電池
と電子部品
とを収納可能な収納部を有し、第1ケース部材と第2ケース部材とに分離可能に構成された電子部品収納ケースであって、
前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の一方に設けられた爪部と、前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の他方に設けられ前記爪部を受けて嵌合する受け部と、を有して長尺状に構成され、前記爪部が前記受け部に嵌合することで前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを分離可能に結合する嵌合部と、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のいずれか一方又は両方の側面を窪ませて形成された溝部と、を備え、
前記嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所は、前記嵌合部の全体のうち当該嵌合部の直線部分の最も短い部分であ
り、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材は、相互に結合された状態において矩形状に形成されており、
前記溝部は、矩形状における4つの隅部のうちの少なくともいずれか1箇所に設けられている、
電子部品収納ケース。
【請求項5】
前記嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所に面取りが施されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品収納ケース。
【請求項6】
防水性を有する材料で構成され、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とが結合されている状態において前記第1ケース部材と前記第2ケース部材との間に挟み込まれる防水部材を更に備え、
前記嵌合部は、前記防
水部材の外側で、かつ、前記収納部の周囲に沿って配置されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品収納ケース。
【請求項7】
矩形状における4つの隅部のうち前記溝部が設けられていない箇所に、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材を貫いて形成された穴部が形成されている、
請求項
1から6のいずれか一項に記載の電子部品収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子部品収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばホームセキュリティーの分野などで用いられる無線タグは、外部の機器に対して無線通信を行うため、小型で携帯可能なケースの内部に無線通信用の回路基板と電池とを収納して構成されている。電池は、例えば入手性の良いコイン電池などが用いられる。電池は消耗品であるため適宜交換する必要があるが、この電池の交換は、ユーザ自身がケースを開いて行われることが多い。そのため、無線タグなどに用いられるケースは、電池交換のし易さの観点から見れば、ユーザによって簡単に開けることができる構成が要求される。
【0003】
一方で、例えばコイン電池は小型であることから、例えば乳幼児などが無線タグで遊んでいる最中に誤ってケースが開いてしまうと、乳幼児が電池を取り出して誤飲してしまう可能性が高まる。そのため、無線タグなどに用いられるケースは、乳幼児などによる電池の誤飲を防止するという観点から見れば、乳幼児などでは簡単に開けることができない構成とすることが重要である。
【0004】
そこで、従来構成では、ケースに溝を設け、その溝に所定の道具、例えばユーザが普段持っていると想定されるコインなどを差し込んでケースを開ける構成が考えられている。これによれば、ケースを開ける際には溝にコインなどを差し込むという所定の操作が必要になるため、乳幼児などが無線タグで遊んでいる際中に誤ってケースを開けてしまうことを防ぐことができ、その結果、電池の誤飲を抑制することができる。しかしながら、従来構成では、コインなどの道具を用いても、ケースを開ける際には強い力が必要であった。そのため、従来構成では、ケースの開け易さについては改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コインなどの道具を使わずに素手で開けようとした場合には容易には開かず、かつ、コインなどの道具を使った場合には簡単に開けることができる電子部品収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1)
請求項1に係る電子部品収納ケースは、内部に電池を含む電子部品を収納可能な収納部を有し、第1ケース部材と第2ケース部材とに分離可能に構成されている。電子部品収納ケースは、嵌合部と、溝部と、を備える。嵌合部は、前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の一方に設けられた爪部と、前記第1ケース部材又は前記第2ケース部材の他方に設けられ前記爪部を受けて嵌合する受け部と、を有して長尺状に構成され、前記爪部が前記受け部に嵌合することで前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とを分離可能に結合する。溝部は、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のいずれか一方又は両方の側面を窪ませて形成されている。
【0008】
この構成によれば、長尺状の嵌合部によって嵌合箇所をより長く確保することで、第1ケース部材と第2ケース部材とを強固に結合することができる。これにより、電子部品収納ケースを例えば人の素手で開くことを困難にすることができ、その結果、乳幼児などが誤って開けてしまい、電子部品収納ケースの内部に収納されている電池等の部品を誤飲してしまうといった事態を防ぐことができる。そして、ユーザがケースを開けるつまり第1ケース部材と第2ケース部材とを分離させる場合には、ユーザは、ケースの側面に形成された溝部に、例えばコインなどの板状で剛性を有する道具を挿入し、てこの原理で第1ケース及び第2ケースに力を加える。これにより、嵌合部の嵌合が外れて、第1ケース部材と第2ケース部材とが分離する。
【0009】
この場合、長尺状の嵌合部を長くすれば、第1ケース部材と第2ケース部材とをより強固に結合することができるが、ケースを開ける際にも更に強い力が必要となり、コイン等の道具を使っても開け難くなる。そこで、本構成において、前記嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所は、前記嵌合部の端部となっている。
【0010】
すなわち、一般にこのような長尺状の嵌合部を分離させる場合、その分離の初期の段階つまり分離し始める際に最も大きな力を要する。つまり、コイン等の道具から溝部に加えられた力は、嵌合部に伝わり、これにより嵌合部における爪部と受け部との嵌合が外れ始める。そして、一旦、爪部と受け部との嵌合が外れると、その後は、比較的小さな力でも、その外れた部分から連鎖的に外れる。
【0011】
ここで、ユーザの力が嵌合部における長手方向の中央部分に伝わる構成とすると、嵌合部に伝わった力は嵌合部の長手方向に沿って嵌合部全体に分散してしまう。そのため、このような構成では、嵌合部が分離し始める際には、ユーザの力が嵌合部に効率的に伝達され難く、また、力の損失が多いため、嵌合部の爪部と受け部とを分離させ始めるために大きな力が必要となる。
【0012】
これに対し、本構成において、前記嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所は、前記嵌合部の端部となっている。このため、嵌合部の爪部と受け部とを分離させる初期の段階において、コイン等の道具から溝部に加えられた力を嵌合部の端部に集中させることができる。これにより、コイン等の道具から溝部に加えられた力を嵌合部に効率的に伝えることができ、その結果、従来よりも軽い力で嵌合部を分離させてケースを開くことができる。
【0013】
このように、本構成の電子部品収納ケースは、コインなどの道具を使わずに素手で開ける場合には容易には開かず、かつ、コインなどの道具を使った場合には簡単に開けることができる。その結果、本構成によれば、乳幼児などが誤って電子部品収納ケースを開けてしまい、内部の電池等を誤飲等してしまうことを防止できるという安全性と、電池交換等の際に電子部品収納ケースを軽い力で容易に開けることができるという作業性と、の両者の向上を図ることができる。
【0014】
(請求項2)
請求項2に係る構成において、前記溝部は、前記嵌合部のうち隣接して配置された2つの直線部分の延長線上の交点を含む位置に設けられている。これによれば、コインなどの道具を溝部に挿入した場合に、そのコインの作用点を、嵌合部のうち隣接する2つの直線部分の端部に極力近づけることができる。このため、ユーザがコイン等の道具を用いて溝部に加えた力が、嵌合部のうち隣接する2つの直線部分の端部に効率良く伝達される。そして、嵌合部は2箇所の端部でほぼ同時に外れ始め、その後、他の部分も直線部分に沿って順次外れていく。このように、本構成によれば、嵌合部の2箇所の端部をほぼ同時に外し始めることができるため、第1ケース部材と第2ケース部材とを更に簡単にかつ素早く分離つまり電子部品収納ケースを開くことができる。
【0015】
(請求項3)
請求項3に係る電子部品収納ケースは、上記請求項1に係る電子部品収納ケースと同様に、嵌合部と、溝部と、を備える。そして、本構成において、前記嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所は、前記嵌合部が屈曲した角部である。
【0016】
本構成によっても、上記請求項1に係る構成と同様の作用効果が得られる。すなわち、本構成によっても、コイン等の道具から溝部に加えられた力を、嵌合部の角部に集中させることができる。これにより、コイン等の道具から溝部に加えられた力を、嵌合部に効率的に伝えることができ、その結果、従来よりも軽い力で嵌合部を分離させてケースを開くことができる。
【0017】
(請求項4)
請求項4に係る電子部品収納ケースは、上記請求項1に係る電子部品収納ケースと同様に、嵌合部と、溝部と、を備える。そして、本構成において、前記嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所は、前記嵌合部の全体のうち当該嵌合部の直線部分の最も短い部分である。
【0018】
これによれば、嵌合部20の全体のうち他の直線部分よりも短いため、これら他の直線部分に対して力を作用させた場合に比べてより小さい力で嵌合を外すことができる。そのため、これによれば、上記各請求項の構成には及ばないものの、従来構成に比べれば軽い力で嵌合部を分離させて電子部品収納ケースを開くことができる。
【0019】
(請求項5)
請求項5に係る構成において、嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所に面取りが施されている。すなわち、嵌合部全体のうち前記溝部に最も近い箇所は、コイン等の道具を用いて電子部品収納ケースを開く際に、その開け初めの際において力が作用する箇所である。そして、この開け初めに力が作用する箇所に面取りを施すことで、この面取りを施した部分における爪部と受け部との嵌合を弱くすることができる。この結果、ユーザがコイン等の道具を用いた場合には、より小さな力で電子部品収納ケースを開くことができる。
【0020】
(請求項6)
請求項6に係る構成において、電子部品収納ケースは、防水性を有する材料で構成され、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材とが結合されている状態において前記第1ケース部材と前記第2ケース部材との間に挟み込まれる防水部材を更に備えている。そして、前記嵌合部は、前記防止部材の外側で、かつ、前記収納部の周囲に沿って配置されている。
【0021】
これによれば、防水部材の外側において嵌合部の爪部と受け部とを嵌合させることで、第1ケース部材と第2ケース部材とで防水部材を強く圧縮することができる。このため、第1ケース部材と第2ケース部材との結合部分の隙間から外部の水分の侵入を効率良く抑制できる。これにより、電子部品収納ケース内の高い防水性を確保することができ、その結果、水分の影響による電池や電子部品の不具合を抑制することでできる。
【0022】
ここで、例えば電子部品収納ケース内に収納される電子部品として回路基板が用いられるが、通常、回路基板は、同一形状のものを複数枚一括して製造するため、矩形形状のものが多い。そのため、電子部品収納ケース及び収納部を矩形にすることで、内部に矩形の電子基板をスペースの無駄無く配置することができる。しかし、電子部品収納ケース内に収納される例えばコイン電池は円板状であるため、電子部品収納ケース及び収納部を矩形にすると、隅部がデッドスペースとなって無駄になる。
【0023】
そこで、本構成において、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材は、相互に結合された状態において矩形状に形成されており、前記溝部は、矩形状の角部に設けられている。これによれば、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材を矩形状に形成することで、回路基板等の矩形状の電子部品を効率良くスペースの無駄なく配置することができる。更に、前記溝部は、矩形状の角部に設けられている。このように、電子部品収納ケース及び収納部を矩形にした場合にデッドスペースになりがちな角部に溝部を設けることで、収納部内のスペースを有効活用でき、その結果、電子部品収納ケースの大型化を抑制しつつ、溝部の領域を極力広く確保して電子部品収納ケースを開ける際の操作性を向上させることができる。
【0024】
本構成は、矩形状における4つの隅部のうち前記溝部が設けられていない箇所に、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材を貫いて形成された穴部が形成されている。ユーザは、穴部に例えば円環状のキーリングを通すことができる。これにより、ユーザが嵌合部の爪部及び受け部を外して第1ケース部材と第2ケース部材とを分離した場合であっても、第1ケース部材と第2ケース部材とがバラバラに離散してしまうことを防止できる。そして、この穴部を、矩形状における4つの隅部のうち前記溝部が設けられていない箇所に形成することによって、デッドスペースになりがちな隅部を有効活用することができる。これにより、穴部を設けるために第1ケース部材及び第2ケース部材を拡大する必要がなく、その結果、電子部品収納ケースの大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態による電子部品収納ケースについて、上ケース部材を取り外した状態を示す平面図
【
図2】第1実施形態による電子部品収納ケースについて、
図1のX2-X2線に沿って示す断面図
【
図3】第1実施形態による電子部品収納ケースについて、
図1のX3-X3線に沿って示す断面図
【
図4】第1実施形態による電子部品収納ケースについて、
図1における溝部周辺を拡大して示す図
【
図5】第1実施形態による電子部品収納ケースについて、当該電子部品収納ケースを開く際の手順を示す断面図
【
図6】第2実施形態による電子部品収納ケースについて、上ケース部材を取り外した状態を示す平面図
【
図7】第3実施形態による電子部品収納ケースについて、上ケース部材を取り外した状態を示す平面図
【
図8】その他の実施形態による電子部品収納ケースについて、上ケース部材を取り外した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、複数の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0027】
(第1実施形態)
第1実施形態について、
図1~
図5を参照して説明する。
図1に示す電子部品収納ケース10(以下、ケース10と称する)は、例えば樹脂製であって、全体として矩形の板状に構成されている。本実施形態の場合、ケース10は、全体として正方形の板状又はブロック状に形成されている。また、本実施形態の場合、ケース10の4つの隅部は、角が落とされて湾曲したいわゆるR形状に形成されている。
【0028】
図2及び
図3に示すように、ケース10は、内部に収納部101を備えている。収納部101は、例えば矩形状の空間である。この場合、
図1に示すように、収納部101の4つの隅部のうち1つは、隅切部102として形成されている。隅切部102は、矩形状の収納部101の角を落としていわゆる隅切した形状に形成されている。収納部101には、電池51を含む電子部品52が収納される。
【0029】
図2及び
図3にも示すように、ケース10は、第1ケース部材11と第2ケース部材12とを備えている。なお、
図1及び
図4は、第2ケース部材12が取り外された状態を示しており第2ケース部材12は表されていないが、説明を容易にするため、第2ケース部材12に関する構成については二点鎖線の引き出し線で符号を付している。
【0030】
第1ケース部材11と第2ケース部材12とは、外力が加えられることによって相互に分離可能に構成されている。この場合、収納部101は、第1ケース部材11と第2ケース部材12との間に設けられた空間、すなわち、周囲を第1ケース部材11及び第2ケース部材12に囲まれた空間である。
【0031】
収納部101内に収納される電池51は、第1ケース部材11と第2ケース部材12とのうちいずれか一方に、直接的又は電子部品52等を介して着脱可能に固定される。また、収納部101内に収納される電子部品52は、第1ケース部材11と第2ケース部材12とのうちいずれか一方に着脱不可能に固定される。この場合、第1ケース部材11と第2ケース部材12とのうち、電池51及び電子部品52が固定される方を下ケース部材と称し、電池51及び電子部品52が固定されない方を上ケース部材と称することもできる。
【0032】
本実施形態の場合、
図2及び
図3に示すように、電子部品52は、第1ケース部材11に設けられた取付部111を介して第1ケース部材11に固定されている。また、電池51は、電子部品52に着脱可能に設けられている。この場合、電子部品52が固定された第1ケース部材11を下ケース部材と称し、電子部品52が固定されていない第2ケース部材12を上ケース部材と称する。
【0033】
ケース10は、嵌合部20を備えている。嵌合部20は、第1ケース部材11と第2ケース部材12とを分離可能に結合させる機能を有する。嵌合部20は、爪部201と受け部202とを有して構成されている。爪部201は、第1ケース部材11又は第2ケース部材12の一方に設けられている。また、受け部202は、第1ケース部材11及び第2ケース部材12のうちの他方つまり爪部201が設けられていない方に設けられている。本実施形態の場合、爪部201は第1ケース部材11に設けられており、受け部202は第2ケース部材12に設けられている。この場合、爪部201と受け部202とは、相互に対向する位置に設けられている。
【0034】
図2に示すように、第1ケース部材11と第2ケース部材12とが結合された状態において、爪部201と受け部202とは、ケース10の面方向に並んで対向している。本実施形態の場合、第1ケース部材11に設けられた爪部201は、第2ケース部材12に設けられた受け部202の内側に配置されている。爪部201と受け部202とは、それぞれケース10の面方向へ突出及び窪んだ形状に形成されている。
【0035】
この構成において、嵌合部20つまり爪部201及び受け部202は、第1ケース部材11と第2ケース部材12とが接近する方向への力が作用することにより、相互に嵌合する。これにより第1ケース部材11と第2ケース部材12とは、爪部201と受け部202との作用により結合される。また、嵌合部20つまり爪部201及び受け部202は、第1ケース部材11と第2ケース部材12とが離間する方向への力が作用することにより、嵌合が解除される。これにより、第1ケース部材11と第2ケース部材12とが分離されて、収納部101が外部に露出する。
【0036】
図1に示すように、嵌合部20は、収納部101の周囲を囲むように配置されている。本実施形態の場合、嵌合部20は、収納部101の矩形の各辺に対応して設けられており、収納部101の各辺に沿って直線状に延びた細長い帯状に形成されている。嵌合部20は、収納部101の4つの角部つまり隅部に対応する位置でそれぞれ途切れている。すなわち、嵌合部20は、平面視で矩形状の収納部101の4つの角部つまり隅部において部分的に離間している。なお、以下の説明では、嵌合部20において、収納部101の各辺に対応した直線部分を、それぞれ第1直線部21、第2直線部22、第3直線部23、及び第4直線部24と称する。
【0037】
ケース10は、溝部13を備えている。溝部13は、ケース10を開ける際、つまり第1ケース部材11と第2ケース部材12とを相互に分離させる際に、例えばコインなどの道具を挿入してケース10に外力を加えるための構成である。本実施形態の場合、溝部13は、
図1に示すように、ケース10の4つの角部つまり隅部のうちの1つに設けられている。
【0038】
図3に示すように、溝部13は、第1ケース部材11及び第2ケース部材12のいずれか一方又は両方の側面を窪ませて形成されており、第1ケース部材11と第2ケース部材12とに囲まれている。この場合、側面とは、ケース10の四方の面、つまりケース10において電池51の径方向の外側に位置する面である。本実施形態の場合、溝部13は、第1ケース部材11の隅部つまり角部の側面からケース10の中心方向へ円弧状に窪ませて形成されている。なお、溝部13は、第1ケース部材11及び第2ケース部材12のうち第2ケース部材12の側面を窪ませて形成されたものでも良いし、第1ケース部材11及び第2ケース部材12の両方の側面を窪ませて形成されたものでも良い。
【0039】
本実施形態の場合、
図4にも示すように、溝部13は、収納部101の隅切部102に対向する位置、つまり隅切部102の外側に設けられている。また、溝部13は、嵌合部20のうち隅切部102を挟んで設けられた第1直線部21と第2直線部22との延長線上の交点Pを含むように形成されている。換言すれば、溝部13は、嵌合部20のうち隣接して配置された2つの直線部分21、22の延長線上の交点Pを含む位置に設けられている。これにより、溝部13は、交点Pよりもケース10の中心O側までコイン90を挿入可能に構成されている。換言すれば、溝部13の奥までコイン90を挿入した場合、交点Pは溝部13に挿入されたコイン90と重なる。この場合、コイン90を溝部13の奥前挿入した場合におけるコイン90の中心Cと、上述した交点Pと、溝部13の頂点Mと、ケース10の中心Oとが、直線上に並ぶように配置されている。
【0040】
この構成において、嵌合部20全体のうち溝部13に最も近い箇所、つまり、つまり、嵌合部20全体のうち溝部13から嵌合部20までの距離が最短となる箇所は、第1直線部21の端部211及び第2直線部22の端部221となる。この場合、溝部13から第1直線部21の端部211までの距離と、溝部13から第2直線部22の端部221までの距離とは等しい。なお、溝部13から第1直線部21の端部211までの距離と、溝部13から第2直線部22の端部221までの距離とは異なっていても良い。
【0041】
また、第1直線部21の端部211及び第2直線部22の端部221には、面取りが施されている。つまり、第1直線部21の端部211及び第2直線部22の端部221は、直角部分が傾斜状に切り落とされて、溝部13側へ向かって先細るような鋭角に形成されている。この場合、端部211、221は、完全な鋭角である必要はなく、他の部分に比べて第1直線部21及び第2直線部22の短手方向つまり幅方向の寸法が短くなっていれば良い。また、端部211、221は、完全な鋭角である必要はなく、丸みを帯びた形状であっても良い。
【0042】
また、ケース10は、
図1等に示すように、穴部14を有している。穴部14は、例えばキーリング91を挿入するための穴であり、キーリング穴とも称する。穴部14は、矩形状この場合正方形状のケース10において、溝部13の対角となる角部に設けられており、第1ケース部材11及び第2ケース部材12をケース10の厚み方向に貫いて形成されている。穴部14は、コイン90を溝部13の奥側まで挿入した場合におけるコイン90の中心Cと、上述した交点Pと、溝部13の頂点Mと、ケース10の中心Oと、を結んだ直線上に配置されている。この場合、溝部13の頂点Mとは、溝部13のうちケース10の中心Oに最も近い点である。
【0043】
本実施形態のケース10は、例えば無線タグ装置1に適用することができる。無線タグ装置1は、例えばホームセキュリティシステムの一部を構成するもので、防犯センサ等の警備機器を制御する制御装置に対し、各種設定や警備状態の解除等の操作を行う際の認証に用いるためのものである。無線タグ装置1は、ケース10の収納部101内に、上述した電池51及び電子部品52の他、防水部材15を収納して構成されている。すなわち、ケース10は、防水部材15を更に備えている。
【0044】
電池51は、例えば円板状のコイン電池やその他の円柱状の小型の電池であり、適宜の交換が必要な消耗品である。電池51は、電子部品52を動作させるための電力を供給する。電池51は、電子部品52の基板上に着脱可能に取り付けられている。本実施形態の場合、電池51は、コイン電池であり、電子部品収納ケース10の中心位置つまり収納部101の中心位置に配置されている。すなわち、電池51の中心位置は、電子部品収納ケース10の中心位置つまり収納部101の中心位置Oとほぼ一致している。電子部品52は、例えば基板に半導体素子等を実装した電子回路であり、外部の機器との無線通信を行う機能等を有する。
【0045】
電池51、電子部品52、及び防水部材15は、ケース10の収納部101内に収納されている。防水部材15は、防水性、柔軟性、及び弾性を有する例えばゴム材で構成されている。防水部材15は、ケース10外部の水分が収納部101内に侵入することを抑制する又は防ぐ機能を有する。防水部材15は、容器部151と、シール部152と、を一体に有している。容器部151は、
図2及び
図3等に示すように、収納部101の内側に沿った容器状に形成されており、第2ケース部材12側が開放されている。容器部151は、収納部101内に配置されている。そして、電池51、電子部品52は、防水部材15のうち容器部151内に収納されている。すなわち、防水部材15の容器部151は、電池51及び電子部品52と、第1ケース部材11との間に設けられている。
【0046】
シール部152は、容器部151の上端の縁部からケース10の平面方向の外側へ向かって延び出ており、その先端部が例えば略円柱形に膨らんでいる。この場合、シール部152を含む防水部材15は、嵌合部20の内側つまり嵌合部20に対してケース10の中心O側に設けられている。換言すれば、嵌合部20は、防水部材15に対してケース10における外側に設けられている。
【0047】
第1ケース部材11と第2ケース部材12とが結合されている状態において、シール部152は、第1ケース部材11と第2ケース部材12との間に押し潰されて挟み込まれている。このため、第1ケース部材11と第2ケース部材12とはシール部152を介して水密に密着しており、これにより、第1ケース部材11と第2ケース部材12との隙間から水分が侵入することが抑制又は防止される。なお、防水部材15は、弾性及び柔軟性をそれほど有さない部材、例えばプラスチック等で構成されていても良い。また、シール部152は、例えば金属製のシールリングで構成しても良い。
【0048】
以上説明した実施形態によれば、ケース10は、内部に電池51を含む電子部品52を収納可能な収納部101を有し、第1ケース部材11と第2ケース部材12とに分離可能に構成されている。ケース10は、嵌合部20と、溝部13と、を備える。嵌合部20は、第1ケース部材11又は第2ケース部材12の一方に設けられた爪部201と、第1ケース部材11又は第2ケース部材12の他方に設けられ爪部201を受けて嵌合する受け部202と、を有している。本実施形態の場合、爪部201は第1ケース部材11に設けられており、受け部202は第2ケース部材12に設けられている。嵌合部20は、長尺状に構成されており、爪部201が受け部202に嵌合することで第1ケース部材11と第2ケース部材12とを分離可能に結合する。そして、溝部13は、第1ケース部材11及び第2ケース部材12のいずれか一方又は両方の側面を窪ませて形成されている。本実施形態の場合、溝部13は、第1ケース部材11の側面を窪ませて形成されている。
【0049】
この構成によれば、長尺状の嵌合部20によって嵌合箇所をより長く確保することで、第1ケース部材11と第2ケース部材12とを強固に結合することができる。これにより、電子部品収納ケース10を例えば人の素手で開くことを困難にすることができ、その結果、乳幼児などが誤って開けてしまい、電子部品収納ケース10の内部に収納されている電池51等の部品を誤飲してしまうといった事態を防ぐことができる。
【0050】
そして、ユーザがケース10を開けるつまり第1ケース部材11と第2ケース部材12とを分離させる場合には、例えば
図5の(A)、(B)に示すように、ユーザは、ケース10の側面に形成された溝部13に、例えばコイン90などの板状で剛性を有する道具を挿入し、てこの原理で第1ケース部材11及び第2ケース部材12に力を加える。これにより、嵌合部20の嵌合が外れて、第1ケース部材11と第2ケース部材12とが分離する。
【0051】
この場合、長尺状の嵌合部20を長くすれば、第1ケース部材11と第2ケース部材12とをより強固に結合することができるが、ケース10を開ける際にも更に強い力が必要となり、コイン90等の道具を使っても開け難くなる。そこで、本実施形態において、嵌合部20全体のうち溝部13に最も近い箇所は、嵌合部20の端部211、221となっている。
【0052】
すなわち、一般にこのような長尺状の嵌合部20を分離させる場合、その分離の初期の段階つまり分離し始める際に最も大きな力を要する。つまり、コイン90等の道具から溝部13に加えられた力は、嵌合部20に伝わり、これにより嵌合部20における爪部201と受け部202との嵌合が外れ始める。そして、一旦、爪部201と受け部202との嵌合が外れると、その後は、比較的小さな力でも、その外れた部分から連鎖的に外れる。
【0053】
ここで、ユーザの力が嵌合部20の長手方向の中央部分に伝わる構成とすると、嵌合部20に伝わった力は嵌合部20の長手方向に沿って嵌合部20全体に分散してしまう。そのため、このような構成では、嵌合部20が分離し始める際には、ユーザの力が嵌合部20に効率的に伝達され難く、また、力の損失が多いため、嵌合部20の爪部201と受け部202とを分離させ始めるために大きな力が必要となる。
【0054】
これに対し、本実施形態によれば、嵌合部20全体のうち溝部13に最も近い箇所は、嵌合部20の端部211、221となっている。このため、嵌合部20の爪部201と受け部202とを分離させる初期の段階において、コイン90等の道具から溝部13に加えられた力を、嵌合部20の端部211、221に集中させることができる。これにより、コイン90等の道具から溝部13に加えられた力を、嵌合部20に効率的に伝えることができ、その結果、従来よりも軽い力で嵌合部20を分離させてケース10を開くことができる。
【0055】
このように、本実施形態のケース10は、コイン90などの道具を使わずに素手で開ける場合には容易には開かず、かつ、コイン90などの道具を使った場合には簡単に開けることができる。その結果、本実施形態によれば、乳幼児などが誤ってケース10を開けてしまい、内部の電池51等を誤飲等してしまうことを防止できるという安全性と、電池51の交換等の際にケース10を軽い力で容易に開けることができるという作業性と、の両者の向上を図ることができる。
【0056】
また、溝部13は、嵌合部20のうち隣接して配置された2つの直線部分、この場合、第1直線部21と第2直線部22との延長線上の交点Pを含む位置に設けられている。これによれば、コイン90などの道具を溝部13に挿入した場合に、そのコイン90の作用点を、嵌合部20のうち隣接する2つの直線部分21、22の端部211、221に極力近づけることができる。このため、ユーザがコイン90等の道具を用いて溝部13に加えた力が、嵌合部20のうち隣接する2つの直線部分21、22の端部211、221に効率良く伝達され、これにより、嵌合部20は2箇所の端部211、221でほぼ同時に外れ始め、その後、他の部分も直線部分211、221に沿って順次外れていく。このように、本実施形態によれば、嵌合部20の2箇所の端部211、221をほぼ同時に外し始めることができるため、第1ケース部材11と第2ケース部材12とを更に簡単にかつ素早く分離つまりケース10を開くことができる。
【0057】
また、嵌合部20全体のうち溝部13に最も近い箇所、この場合、第1直線部21の端部211と第2直線部22の端部221とに面取りが施されている。すなわち、嵌合部20全体のうち溝部13に最も近い箇所211、221は、コイン90等の道具を用いてケース10を開く際に、その開け初めの際において力が作用する箇所である。そして、この開け初めに力が作用する箇所211、221に面取りを施すことで、この面取りを施した部分における爪部201と受け部202との嵌合を弱くすることができる。この結果、ユーザがコイン90等の道具を用いた場合には、より小さな力でケース10を開くことができる。
【0058】
また、ケース10は、防水部材15を更に備えている。防水部材15は、防水性を有する材料で構成され、第1ケース部材11と第2ケース部材12とが結合されている状態において第1ケース部材11と第2ケース部材12との間に挟み込まれている。そして、嵌合部20は、防水部材15の外側で、かつ、収納部101の周囲に沿って配置されている。
【0059】
これによれば、防水部材15の外側において嵌合部20の爪部201と受け部202とを嵌合させることで、第1ケース部材11と第2ケース部材12とで防水部材15を強く圧縮することができる。このため、第1ケース部材11と第2ケース部材12との結合部分の隙間から外部の水分の侵入を効率良く抑制できる。これにより、ケース10内の高い防水性を確保することができ、その結果、水分の影響による電池51や電子部品52の不具合を抑制することでできる。
【0060】
ここで、例えばケース10内に収納される電子部品52として回路基板が用いられるが、通常、回路基板は、同一形状のものを複数枚一括して製造するため、矩形形状のものが多い。そのため、ケース10及び収納部101を矩形にすることで、収納部101内に矩形の電子基板をスペースの無駄無く配置することができる。しかし、ケース10内に収納される例えばコイン電池51は円板状であるため、ケース部材11及び収納部101を矩形にすると、角部つまり隅部がデッドスペースとなって無駄になる。
【0061】
そこで、本実施形態によれば、第1ケース部材11及び第2ケース部材12は、相互に結合された状態において矩形状に形成されている。そして、溝部13は、矩形状の角部に設けられている。これによれば、第1ケース部材11及び第2ケース部材12を矩形状に形成することで、回路基板等の矩形状の電子部品52を効率良くスペースの無駄なく配置することができる。更に、溝部13は、矩形状の角部に設けられている。このように、ケース10及び収納部101を矩形にした場合にデッドスペースになりがちな角部に溝部13を設けることで、収納部101内のスペースを有効活用でき、その結果、ケース10の大型化を抑制しつつ、溝部13の領域を極力広く確保してケース10を開ける際の操作性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、矩形状における4つの隅部のうち溝部13が設けられていない箇所に、第1ケース部材11及び第2ケース部材12を貫いて形成された穴部14が形成されている。ユーザは、穴部14に例えば円環状のキーリング91を通すことができる。これにより、ユーザが嵌合部20の爪部201及び受け部202を外して第1ケース部材11と第2ケース部材12とが分離した場合であっても、第1ケース部材11と第2ケース部材12とがバラバラに離散してしまうことを防止できる。そして、この穴部14を、矩形状における4つの隅部のうち溝部13が設けられていない箇所に形成することによって、デッドスペースになりがちな隅部を有効活用することができる。これにより、穴部14を設けるために第1ケース部材11及び第2ケース部材12を拡大する必要がなく、その結果、ケース10の大型化を抑制することができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図6を参照して説明する。
上記第1実施形態において、第1直線部21と第2直線部22とは相互に離間していた。これに対し、
図6に示すように、本実施形態において、第1直線部21と第2直線部22とは繋がっている。この場合、第1直線部21と第2直線部22とは、角部25において直角に屈曲している。このため、嵌合部20全体のうち溝部13に最も近い箇所は、嵌合部20が直角に屈曲した角部25である。そして、この角部25には、上記第1実施形態における端部211、221と同様に、面取りが施されている。
【0064】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られる。すなわち、本実施形態によっても、コイン90等の道具から溝部13に加えられた力を、嵌合部20の角部25に集中させることができる。これにより、コイン90等の道具から溝部13に加えられた力を、嵌合部20に効率的に伝えることができ、その結果、従来よりも軽い力で嵌合部20を分離させてケース10を開くことができる。
なお、本実施形態において、第1直線部21と第2直線部22とは角部25において角を有して折れ曲がっていればよく、必ずしも直角に折れ曲がっている必要はない。
【0065】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について
図7を参照して説明する。
上記第1実施形態において、第1直線部21と第2直線部22とは相互に離間していた。これに対し、本実施形態において、第1直線部21と第2直線部22とは接続部26を介して接続されている。接続部26は、第1直線部21の端部と第2直線部22との端部とを最短距離で接続しており、直線状に形成されている。この場合、接続部26の長さ寸法は、他の直線部21、22、23、24よりも短い。
【0066】
すなわち、接続部26は、嵌合部20の全体のうち当該嵌合部20の直線部分の最も短い部分である。したがって、本実施形態の場合、接続部26は、嵌合部20全体において直線部分が最も短いという意味で最短部26と称することもできる。そして、本実施形態において、嵌合部20全体のうち溝部13に最も近い箇所は、嵌合部20の全体のうち当該嵌合部20の直線部分の最も短い部分、つまり接続部26となっている。また、接続部26は、矩形この場合正方向のケース10における角部に設けられている。
【0067】
この場合、接続部26は、嵌合部20の全体のうち他の直線部分21、22、23、24よりも短いため、これら他の直線部分21、22、23、24に対して力を作用させた場合に比べてより小さい力で嵌合を外すことができる。そのため、これによれば、上記各実施形態には及ばないものの、従来構成に比べれば軽い力で嵌合部20を分離させてケース10を開くことができる。
【0068】
(その他の実施形態)
なお、ケース10つまり第1ケース部材11及び第2ケース部材12は、上述したような正方形状に限られない。ケース10は、例えば
図8に示すように、全体として長方形状に構成しても良い。この場合、電池51は、長方形状の収納部101の中央部分に配置しても良いし、
図8に示すように、長方形状の収納部101の長手方向の一方側に寄せて配置しても良い。
【0069】
また、溝部13は、
図8に示すように、嵌合部20のうち離間した部分の間に設けても良い。すなわち、
図8の例において、第1直線部21は、ケース10の幅方向つまり短手方向の中央部分において離間している。第1直線部21のうち離間した2つの端部212、212は対向している。この場合、コイン90を溝部13の奥前挿入した場合におけるコイン90の中心Cと、溝部13の頂点Mと、ケース10の中心Oとが、直線上に並ぶように配置されている。
【0070】
また、この場合、離間した2つの端部212、212を結んだ直線の中心Kが、コイン90を溝部13の奥前挿入した場合におけるコイン90の中心Cと、溝部13の頂点Mと、ケース10の中心Oとを結んだ直線上に並ぶように配置されている。また、この場合も、穴部14は、コイン90を溝部13の奥側まで挿入した場合におけるコイン90の中心Cと、溝部の頂点Mと、上述した中心KPと、ケース10の中心Oと、を結んだ直線上に配置されている。
これによっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0071】
なお、上記説明した実施形態において、ユーザがケース10を開ける際に使用する道具として硬貨などのコイン90を例示して説明したが、当然ながら道具はコイン90に限られず、例えばマイナスドライバーなどの工具であっても良い。
【0072】
この場合、ケース10を開けて内部のコイン電池51を交換する際であっても、ユーザが例えば硬貨などのコインや他の工具を所持していない場合も考えられる。しかし、ケース10を開けて内部のコイン電池51を交換する際、ユーザは、交換に使用する新しいコイン電池51を必ず所持していると想定される。そこで、上記各実施形態において、ユーザがケース10を開ける際に使用する道具としては、例えば交換に使用するコイン電池を想定しても良い。この場合、一般に硬貨などのコインに比べてコイン電池の方が厚みを有する。そのため、上記各実施形態において、溝部13を、コイン電池51も挿入可能な寸法とする。
【0073】
ここで、従来構成においても、ケースを開けるための道具としてコイン電池を想定することも考えられる。しかしながら、従来構成においては、道具を用いた場合でもケースを開ける際には大きな力を要していたため、例えばコイン電池をその道具として採用した場合には、コイン電池が折れ曲がったりするなどの損傷するおそれがあった。
【0074】
これに対し、上記各実施形態によれば、従来に比べてより小さな力でケース10を開けることができる。そのため、コイン電池51を溝部13に挿入してケース10を開けた場合であっても、コイン電池51が損傷することを抑制できる。したがって、上記各実施形態によれば、溝部13にコイン電池51してケース10を開けるようにすることができ、その結果、ユーザの利便性を更に向上させることができる。
【0075】
なお、上記説明した各実施形態は、上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0076】
図面中、1は無線タグ装置、10は電子部品収納ケース、101は収納部、11は第1ケース部材、12は第2ケース部材、13は溝部、14は穴部、15は防水部材、20は嵌合部、201は爪部、202は受け部、211、221は端部、25は角部、26は嵌合部の全体のうち当該嵌合部の直線部分の最も短い部分、51は電池、52は電子部品、を示す。