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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230606BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230606BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230606BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230606BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B15/00 U
G03B15/00 V
G03B30/00
G03B17/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019062238
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020160372
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-006522(JP,A)
【文献】国際公開第2015/052982(WO,A1)
【文献】特開2011-100124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0009400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備えた可動体と、
前記可動体を光軸と交差する第1軸線周りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸線と交差する第2軸線周りに揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を前記第1軸線周りおよび前記第2軸線周りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、
前記固定体は、前記可動体の外周側を囲むケース、および、前記ケースとは別体であって前記ケースの被写体側の端部に固定されるカバーを備え、
前記カバーは、前記被写体側から見て前記可動体の一部を覆っており、
前記可動体の前記被写体側の端部は、前記カバーと前記光軸方向で対向する位置において前記被写体側へ突出する凸部を備え、
前記凸部は、前記光軸方向から見て前記第1軸線および前記2軸線から離間した位置に配置され、
前記可動体の前記被写体側の端部は、前記可動体の前記第1軸線上の対角位置において前記カバーと前記光軸方向で対向する隅部を備えることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記揺動支持機構は、前記可動体の前記第1軸線上の対角位置に設けられた2箇所の第1支点部と、前記固定体の前記第2軸線上の対角位置に設けられた2箇所の第2支点部と、ジンバルフレームと、を備え、
前記ジンバルフレームは、前記2箇所の第1支点部に前記第1軸線上で点接触する2箇所の第1支持部、および、前記2箇所の第2支点部に前記第2軸線上で点接触する2箇所の第2支持部を備え、
前記可動体は、前記光学モジュールの外周側を囲むホルダ枠を備え、
前記ホルダ枠の前記第1軸線上の角部に前記第1支点部を構成する凹部が設けられ、前記凹部に前記第1支持部と点接触する第1スラスト受け部材が配置され、
前記隅部は、前記凹部を径方向外側から囲むことを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記振れ補正用駆動機構は、前記可動体に配置される磁石と、前記固定体に配置されるコイルを備え、
前記カバーは、非磁性の金属からなることを特徴とする請求項1または2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記ケースの外周面に、爪部が設けられ、
前記カバーの外周縁に、前記爪部と係合する弾性係合部が設けられていることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記ケースおよび前記カバーは、前記光軸方向から見て矩形であり、
前記カバーの外周縁における3方向の縁に、前記弾性係合部が設けられ、
前記カバーの外周縁における前記弾性係合部が設けられた縁とは異なる方向の縁に、前記ケースの側へ延びる当接部が設けられ、
前記当接部は、前記ケースに対して外周側から当接することを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学モジュールの振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットには、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、光学モジュールが搭載される可動体を揺動あるいは回転させて振れを補正する機構を備えるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが開示される。特許文献1では、固定体側の部品であるケース内に可動体(光学モジュール)、ジンバル機構、および振れ補正用駆動機構が収容される。振れ補正用駆動機構は、磁石およびコイルを備えた磁気駆動機構である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-6522号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、可動体を収容するケースは、可動体の外周側を囲む側面部(角筒状胴部)と、側面部の被写体側の開口部を塞ぐ天面部(端板部)を備えており、側面部と天面部を一体にした一体部品である。天面部は、可動体がケースの被写体側へ飛び出すことを規制する抜け防止、および、外部からの異物の侵入防止の機能を備える。
【0005】
特許文献1では、ケースの角筒状胴部の内面に、振れ補正用駆動機構のコイルが固定され、可動体(光学モジュール)の外面に、磁石が固定される。ジンバル機構は、角筒状胴部と可動体との間に組み立てられている。しかしながら、ケースが一体部品であると、可動体、ジンバル機構、および振れ補正用駆動機構を組み立てる際、一体部品であるケースの天面部を取り外して行うことができない。そのため、組立方法が限定されて作業性が悪い。
【0006】
また、特許文献1では、ケースを磁石に対するヨークとして機能させるため、ケースを磁性金属で形成している。しかしながら、可動体に磁石を搭載し、固定体にコイルを搭載する場合には、固定体側の部品であるケースが磁性金属であると、可動体側に設けられた磁石がケースに吸着されるため、組立時の作業性が低下する。そこで、例えば、樹脂でケースを形成することが提案されている。
【0007】
しかしながら、ケースを樹脂製にする場合、金属製にする場合よりもケースの肉厚が大きい。そのため、ケースが大型化し、振れ補正機能付き光学ユニットが大型化するという問題がある。特に、ケースが一体部品である場合には、天面部も樹脂製になるため、天面部の肉厚が大きい。そのため、ケースの光軸方向の高さが大きくなり、振れ補正機能付き光学ユニットの薄型化に不利である。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、振れ補正機能付き光学ユニットの組立時の作業性を向上させると共に、振れ補正機能付き光学ユニットの薄型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学モジュールを備えた可動体と、前記可動体を光軸と交差する第1軸線周りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸線と交差する第2軸線周りに揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を前記第1軸線周りおよび前記第2軸線周りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、前記固定体は、前記可動体の外周側を囲むケース、および、前記ケースとは別体であって前記ケースの被写体側の端部に固定されるカバーを備え、前記カバーは、前記被写体側から見て前記可動体の一部を覆っており、前記可動体の前記被写体側の端部は、前記カバーと前記光軸方向で対向する位置において前記被写体側へ突出する凸部を備え、前記凸部は、前記光軸方向から見て前記第1軸線および前記2軸線から離間した位置に配置され、前記可動体の前記被写体側の端部は、前記可動体の前記第1軸線上の対角位置または前記第2軸線上の対角位置において前記カバーと前記光軸方向で対向する隅部を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、振れ補正機能付き光学ユニットの固定体は、可動体の外周側を囲むケースと、ケースとは別体であってケースの被写体側の端部に固定されるカバーを備えており、カバーは、被写体側から見て可動体の一部を覆っている。このように、ケースの被写体側の端部に配置されるカバーをケースとは別体にすることで、カバーをケースから取り外した状態で、ケースの内側に配置される可動体、揺動支持機構、および振れ補正用駆動機構の組立を行うことができ、その後にカバーを取り付けることができる。従って、組立時の作業性が向上する。また、カバーをケースとは別体にすることで、ケースと異なる素材からなるカバーを用いることができる。従って、ケースよりもカバーを薄くすることができるので、固定体の光軸方向の薄型化を図ることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニットの薄型化を図ることができる。また、可動体の揺動に伴って光軸方向に移動
する位置に凸部を設けることにより、カバーと凸部とを衝突させることによって可動体の揺動範囲を規制できる。また、凸部の位置および高さを調節することにより、可動体の揺動範囲を調節できる。さらに、可動体の対角位置にカバーと対向する部分(隅部)を設けることにより、可動体の対角方向の揺動範囲を規制できる。
【0011】
本発明において、前記振れ補正用駆動機構は、前記可動体に配置される磁石と、前記固定体に配置されるコイルを備え、前記カバーは、非磁性の金属からなることが好ましい。このようにすると、磁気吸引力によって磁石がカバーに吸着されることを回避できる。従って、振れ補正用駆動機構の組立性の低下を抑制できる。
【0012】
本発明において、前記揺動支持機構は、前記可動体の前記第1軸線上の対角位置に設けられた2箇所の第1支点部と、前記固定体の前記第2軸線上の対角位置に設けられた2箇所の第2支点部と、ジンバルフレームと、を備え、前記ジンバルフレームは、前記2箇所の第1支点部に前記第1軸線上で点接触する2箇所の第1支持部、および、前記2箇所の第2支点部に前記第2軸線上で点接触する2箇所の第2支持部を備え、前記可動体は、前記光学モジュールの外周側を囲むホルダ枠を備え、前記ホルダ枠の前記第1軸線上の角部に前記第1支点部を構成する凹部が設けられ、前記凹部に前記第1支持部と点接触する第1スラスト受け部材が配置され、前記隅部は、前記凹部を径方向外側から囲むことが好ましい。
【0014】
本発明において、前記ケースの外周面に、爪部が設けられ、前記カバーの外周縁に、前記爪部と係合する弾性係合部が設けられていることが好ましい。このようにすると、爪部と弾性係合部との機械的係合により、カバーを固定できる。従って、接着剤による固定よりも固定強度を上げることができる。また、カバーの取付作業が容易であり、カバーの着脱が可能である。
【0015】
本発明において、前記ケースおよび前記カバーは、前記光軸方向から見て矩形であり、前記カバーの外周縁における3方向の縁に、前記弾性係合部が設けられ、前記カバーの外周縁における前記弾性係合部が設けられた縁とは異なる方向の縁に、前記ケースの側へ延びる当接部が設けられ、前記当接部は、前記ケースに対して外周側から当接することが好ましい。このように、3方向の縁を機械的係合とし、他の1方向の縁を当接させるのみとすることにより、弾性係合部に爪部を嵌め込む作業を容易にすることができる。従って、カバーの取付作業が容易である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、振れ補正機能付き光学ユニットの固定体は、可動体の外周側を囲むケースとは別体であってケースの被写体側の端部に固定されるカバーを備えており、カバー、被写体側から見て可動体の一部を覆っている。このように、ケースの被写体側の端部に配置されるカバーをケースとは別体にすることで、カバーを取り外した状態でケースの内側に配置される可動体、揺動支持機構、および振れ補正用駆動機構の組立を行うことができ、その後にカバーを取り付けることができる。従って、組立時の作業性の低下を回避できる。また、カバーをケースとは別体にすることで、ケースと異なる素材からなるカバーを用いることができる。従って、ケースよりもカバーを薄くすることができるので、固定体の光軸方向の薄型化を図ることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニットの薄型化を図ることができる。また、可動体の揺動に伴って光軸方向に移動する位置に凸部を設けることにより、カバーと凸部とを衝突させることによって可動体の揺動範囲を規制できる。また、凸部の位置および高さを調節することにより、可動体の揺動範囲を調節できる。さらに、可動体の対角位置にカバーと対向する部分(隅部)を設けることにより、可動体の対角方向の揺動範囲を規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの外観斜視図である。
図2図1の振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の一方側から見た分解斜視図である。
図3図1の振れ補正機能付き光学ユニットの光軸方向の他方側から見た分解斜視図である。
図4】カバーを取り外した振れ補正機能付き光学ユニットの平面図である。
図5図1の振れ補正機能付き光学ユニットの部分断面図(図1のA-A位置の部分断面図)である。
図6】ジンバルフレーム、第1スラスト受け部材、および第2スラスト受け部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の実施形態を説明する。本明細書において、XYZの3軸は互いに直交する軸線方向であり、X軸方向の一方側を+X、他方側を-Xで示し、Y軸方向の一方側を+Y、他方側を-Yで示し、Z軸方向の一方側を+Z、他方側を-Zで示す。Z軸方向は、光学モジュール2の光軸L方向と一致する。また、+Z方向は光軸L方向の一方側(被写体側)であり、-Z方向は光軸L方向の他方側(像側)である。
【0019】
(全体構成)
図1は本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1の振れ補正機能付き光学ユニット1の光軸L方向の一方側(+Z方向)から見た分解斜視図である。図3は、図1の振れ補正機能付き光学ユニット1の光軸L方向の他方側(-Z方向)から見た分解斜視図である。図4は、第1カバー51を取り外した振れ補正機能付き光学ユニット1の平面図である。図5は、図1の振れ補正機能付き光学ユニット1の部分断面図(図1のA-A位置の部分断面図)である。図6は、ジンバルフレーム9、第1スラスト受け部材44、および第2スラスト受け部材46の分解斜視図である。
【0020】
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ等の光学素子を備えた光学モジュール2を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や回転速度、振れ量等に基づき、光学モジュール2の傾きを補正する。
【0021】
図1図5に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール2が搭
載された可動体3と、可動体3を揺動可能に支持するジンバル機構4と、ジンバル機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、固定体5に対して可動体3を揺動させる振れ補正用駆動機構6と、可動体3に接続される第1フレキシブルプリント基板7と、固定体5に取り付けられる第2フレキシブルプリント基板8を備える。第1フレキシブルプリント基板7は、可動体3に接続される側とは反対側の端部に設けられたコネクタ部を備える。また、第2フレキシブルプリント基板8は、固定体5に取り付けられる側とは反対側の端部に設けられた端子部を備える。
【0022】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、光軸L(Z軸)と交差し且つ互いに交差する2軸(X軸およびY軸)回りに可動体3を揺動させて振れ補正を行う。X軸周りの振れ補正と、Y軸周りの振れ補正を行うことにより、ピッチング(縦揺れ)方向の振れ補正、および、ヨーイング(横揺れ)方向の振れ補正を行う。
【0023】
図1図4に示すように、可動体3は、ジンバル機構4により、光軸L(Z軸)と直交する第1軸線R1回りに揺動可能に支持されるとともに、光軸Lおよび第1軸線R1と直交する第2軸線R2回りに揺動可能に支持される。第1軸線R1および第2軸線R2は、X軸およびY軸に対して45度傾いている。第1軸線R1回りの回転および第2軸線R2回りの回転を合成することにより、可動体3は、X軸周りおよびY軸周りに揺動可能である。従って、可動体3は、ジンバル機構4により、X軸周りおよびY軸周りに揺動可能に支持されている。
【0024】
図4に示すように、ジンバル機構4は、可動体3の第1軸線R1上の対角位置に設けられた第1支点部41と、固定体5の第2軸線R2上の対角位置に設けられた第2支点部42と、ジンバルフレーム9を備える。ジンバルフレーム9は、金属製の板ばねであり、第1軸線R1上の対角位置に設けられた2箇所の第1支持部901、および、第2軸線R2上の対角位置に設けられた2箇所の第2支持部902を備える。ジンバル機構4は、第1支持部901を第1支点部41に点接触させ、第2支持部902を第2支点部42に点接触させるように組み立てられる。これにより、可動体3は、ジンバルフレーム9を介して、第1軸線R1回りに揺動可能に支持されるとともに、第2軸線R2回りに揺動可能に支持される。
【0025】
図2図4に示すように、振れ補正用駆動機構6は、可動体3をX軸周りに回転させる第1磁気駆動機構6Xと、可動体3をY軸周りに回転させる第2磁気駆動機構6Yを備える。本形態では、第1磁気駆動機構6Xおよび第2磁気駆動機構6Yは、それぞれ、1箇所に配置される。
【0026】
第1磁気駆動機構6Xは、1組の磁石61Xおよびコイル62Xを備える。また、第2磁気駆動機構6Yは、1組の磁石61Yおよびコイル62Yを備える。第1磁気駆動機構6Xの磁石61Xおよびコイル62Xは、Y軸方向に対向する。第2磁気駆動機構6Yの磁石61Yおよびコイル62Yは、X軸方向に対向する。本形態では、磁石61X、61Yが可動体3に配置され、コイル62X、62Yが固定体5に配置される。なお、磁石61X、61Yとコイル62X、62Yの配置は、本形態とは逆でも良い。すなわち、磁石61X、61Yを固定体5に配置し、コイル62X、62Yが可動体3に配置してもよい。
【0027】
図4に示すように、可動体3は、X軸方向で光軸Lを挟んで反対側に位置する第1面301および第2面302と、Y軸方向で光軸Lを挟んで反対側に位置する第3面303および第4面304を備える。振れ補正用駆動機構6は、第1面301と第2面302の一方、および、第3面303と第4面304の一方の2面に配置される。本形態では、+X方向を向く第1面301に第2磁気駆動機構6Yが配置される。また、-Y方向を向く第
4面304に第1磁気駆動機構6Xが配置される。振れ補正用駆動機構6が配置される面を2面に限定したことにより、Z軸(光軸L)方向から見た振れ補正機能付き光学ユニット1の形状が小型化される。
【0028】
また、可動体3に接続される第1フレキシブルプリント基板7は、可動体3の外周面のうち、振れ補正用駆動機構6が配置されていない面から外部へ引き出される。本形態では、+Y方向を向く第3面303から第1フレキシブルプリント基板7が引き出される。振れ補正用駆動機構6が配置されていない方向に第1フレキシブルプリント基板7を引き出すことにより、可動体3の側面に沿ってZ軸(光軸L)方向に第1フレキシブルプリント基板7を引き回すことができる。本形態では、後述するように、第1フレキシブルプリント基板7を+Z方向に折り曲げて逆向きに1回折り返した第1折り返し部分71を可動体3の+Y方向の側面に配置している。
【0029】
(可動体)
図2図3に示すように、可動体3は、光学モジュール2と、光学モジュール2を保持するホルダ枠30を備える。光学モジュール2は、光軸L方向から見て矩形のハウジング20と、ハウジング20の-Z方向の端部に配置される基板25と、ハウジング20から+Z方向に突出する筒部26と、筒部26に保持されるレンズ群2A(光学素子)と、ハウジング20の内部に配置されるレンズ駆動機構27(図4図5参照)を備える。
【0030】
レンズ駆動機構27は、光軸L方向に並ぶレンズ群2Aのレンズ位置を調節することにより、被写体に対する焦点合わせを行う。本形態では、レンズ駆動機構27は磁気駆動機構を備える。なお、レンズ駆動機構27は、磁気駆動機構以外の駆動源を備えていてもよい。例えば、モータを備えていてもよい。レンズ駆動機構27は、第1磁気駆動機構6Xまたは第2磁気駆動機構6Yに対して光軸Lを挟んで反対側に配置される。本形態では、レンズ駆動機構27は、光軸Lを挟んで第1磁気駆動機構6Xとは反対側に配置される。
【0031】
ホルダ枠30は、光学モジュール2の外周側を囲む枠状部材である。ハウジング20は+X方向を向く第1側面21、-X方向を向く第2側面22、+Y方向を向く第3側面23、-Y方向を向く第4側面24を備える。ホルダ枠30は、ハウジング20の第1側面21に沿う第1枠部31、第2側面22に沿う第2枠部32、第3側面23に沿う第3枠部33、第4側面24に沿う第4枠部34を備えている。第1枠部31、第2枠部32、および第4枠部34は、ハウジング20に当接している。一方、第3枠部33とハウジング20の第3側面23との間には、隙間Sが設けられている(図5参照)。また、第3枠部33は、-Z方向の端部を+Z方向に切り欠いた切欠き部35を備える。
【0032】
第3枠部33とハウジング20の第3側面23との間に設けられた隙間Sには、第1フレキシブルプリント基板7を1回折り返した第1折り返し部分71が配置される。第1折り返し部分71は、ハウジング20の+Y方向の側面に沿ってZ軸(光軸L)方向に延びている。第1フレキシブルプリント基板7は、第1折り返し部分71の-Z方向の端部において略直角に折り曲げられ、第3枠部33に設けられた切欠き部35に通されて、ホルダ枠30の+Y方向側へ引き出されている。
【0033】
図2図3に示すように、ホルダ枠30は、ジンバル機構4の第1支点部41を備えている。本形態では、第2枠部32と第3枠部33とが繋がる角部の内面、および、第1枠部31と第4枠部34とが繋がる角部の内面の2箇所に、それぞれ、第1支点部41が設けられている。第1支点部41は、径方向外側へ凹む凹部43と、凹部43に配置される第1スラスト受け部材44を備える。図6に示すように、第1スラスト受け部材44は、Z軸(光軸L)方向に延びる板状の第1板部441と、第1板部441の-Z方向の端部から略直角に屈曲して径方向内側へ延びる第2板部442と、第1板部441を貫通する
貫通孔443に径方向内側から固定される球体444を備える。ホルダ枠30に設けられた凹部43の-Z方向の内面に対して第2板部442がZ軸(光軸L)方向に当接することにより、第1支点部41がZ軸(光軸L)方向に位置決めされる。
【0034】
第1スラスト受け部材44は金属製であり、球体444は、溶接により第1板部441に固定される。球体444は、ジンバルフレーム9に設けられた第1支持部901と点接触する。第1支持部901は、球体444の半径よりも曲率半径が大きい凹曲面であり、径方向内側から球体444に弾性接触する。
【0035】
ホルダ枠30は、第1枠部31、第2枠部32、第3枠部33、および第4枠部34の+Z方向の端面から突出する凸部36を備える。凸部36は、第1枠部31と第2枠部32のY軸方向の中央、および、第3枠部33と第4枠部34のX軸方向の中央にそれぞれ1箇所ずつ設けられている。4箇所の凸部36は、+Z方向への突出高さが同一である。凸部36は、可動体3の第1軸線R1周りおよび第2軸線R2周りの揺動範囲を規制するストッパとして機能する。すなわち、可動体3が第1軸線R1周りおよび第2軸線R2周りに揺動する際、凸部36が固定体5と当たることによって可動体3の揺動範囲が規制される。
【0036】
後述するように、固定体5は、可動体3の外周部分とZ軸(光軸L)方向に対向する第1カバー51を備える。凸部36は、可動体3の外周部分の被写体側(+Z方向)の端部に設けられており、凸部36と第1カバー51とが光軸L方向で対向する。従って、凸部36が第1カバー51と当たることによって可動体3の揺動範囲が規制される。上記のように、凸部36は、ホルダ枠30のX軸方向の中央、および、Y軸方向の中央に設けられている。従って、凸部36は、光軸L方向から見て第1軸線R1および第2軸線R2から離間した位置に設けられている。
【0037】
また、可動体3の外周部分の被写体側(+Z方向)の端部は、第1軸線R1方向の対角位置において第1カバー51と光軸L方向に対向する隅部38を備える。本形態では、隅部38は、ホルダ枠30の第1軸線R1方向の対角位置に設けられている。隅部38は、ジンバル機構4の第1支点部41を構成する凹部43を径方向外側から囲む部分であり、ジンバルフレーム9の径方向外側に位置する。隅部38は、凸部36よりも-Z方向側に位置する。可動体3が第2軸線R2周りに揺動する際、隅部38が第1カバー51と当たることによって可動体3の揺動範囲が規制される。
【0038】
ホルダ枠30は、第1磁気駆動機構6Xの磁石61X、および、第2磁気駆動機構6Yの磁石61Yが配置される磁石配置用凹部37を備える。本形態では、第1枠部31および第4枠部34に磁石配置用凹部37が形成される。磁石配置用凹部37は、径方向内側へ凹んでいる。本形態では、ホルダ枠30が樹脂製であるため、磁石配置用凹部37には、板状のヨーク部材63が配置される。磁石配置用凹部37の内面にヨーク部材63が固定され、磁石61X、61Yは、ヨーク部材63の径方向外側の面に固定される。磁石61X、61Yは、径方向外側を向く面の磁石が、Z軸(光軸L)方向の略中央に位置する着磁分極線を境にして異なるように着磁されている。
【0039】
(固定体)
固定体5は、ケース50と、ケース50に固定される第1カバー51および第2カバー52と、配線カバー53を備える。本形態では、ケース50は樹脂からなり、第1カバー51、第2カバー52、および配線カバー53は、非磁性の金属からなる。ケース50は、可動体3の外周側を囲む外枠部50Aと、外枠部50Aの-Z方向側の端部から+Y方向へ突出する配線収容部50Bを備える。第1カバー51は、外枠部50Aの+Z方向の端部に固定される。第2カバー52は、外枠部50Aおよび配線収容部50Bの-Z方向
の端部に固定される。配線カバー53は、配線収容部50Bの+Z方向の端部に固定される。
【0040】
第1カバー51、第2カバー52、および配線カバー53の外周縁には、弾性係合部58が設けられている。また、ケース50の外周面には、爪部59が設けられている。弾性係合部58は、Z軸(光軸L)方向に延びる金属片であり、爪部59が嵌まる開口部を備えている。爪部59は、ケース50の外周面に形成された凹部の内面から径方向外側へ突出する。第1カバー51、第2カバー52、および配線カバー53は、弾性係合部58を爪部59に係合させることにより、ケース50に固定される。
【0041】
第1カバー51には、+Y方向を除く3方向の縁にそれぞれ、Z方向に延びる弾性係合部58が2箇所ずつ設けられている。外枠部50Aの+Z方向の端部の外周面には、第1カバー51に設けられた弾性係合部58のそれぞれと対応する位置に爪部59が設けられている。また、第1カバー51は、弾性係合部58が設けられた3方向とは異なる方向(+Y方向)の縁から略直角に屈曲して-Z方向へ延びる当接部57を備える。当接部57は、第1カバー51からケース50へ向かう方向(-Z方向)へ延びている。当接部57は、外枠部50Aの第3枠部503に対して外周側(+Y方向)から当接する。
【0042】
第2カバー52には、4方向の縁にそれぞれ、+Z方向に延びる弾性係合部58が2箇所ずつ設けられている。外枠部50Aおよび配線収容部50Bの-Z方向の端部の外周面には、第2カバー52に設けられた弾性係合部58のそれぞれと対応する位置に爪部59が設けられている。配線カバー53には、+X方向および-X方向の2方向の縁にそれぞれ、-Z方向に延びる弾性係合部58が2箇所ずつ設けられている。配線収容部50Bの+Z方向の端部の外周面には、配線カバー53に設けられた弾性係合部58のそれぞれと対応する位置に爪部59が設けられている。
【0043】
第1カバー51は、外枠部50Aの内側に配置される可動体3の外周部分とZ軸方向に対向しており、可動体3が+Z方向へ飛び出すことを規制している。第1カバー51は、略矩形の開口部510を備えている。本形態では、ジンバルフレーム9の一部が、開口部510から+Z方向に突出する。また、ジンバルフレーム9の径方向の中央に設けられた中央穴90からは、光学モジュール2の筒部26が+Z方向に突出する。第1カバー51は、固定体5の+Z方向の端部に位置している。従って、本形態では、光学モジュール2およびジンバルフレーム9の一部が、固定体5の+Z方向の端部よりも+Z方向側に突出している。
【0044】
本形態では、固定体5の+Z方向の端部である第1端部5A(図5参照)は、第1カバー51の+Z方向の面である。また、後述するように、ジンバルフレーム9は、第1端部5Aよりも+Z方向に位置する第1フレーム部分91を備える。そして、可動体3は、第1端部5Aよりも+Z方向に位置する可動体突出部分である筒部26を備える。
【0045】
外枠部50Aは、可動体3の+X方向側および-X方向側においてY軸方向に平行に延びる第1枠部501および第2枠部502と、可動体3の+Y方向側および-Y方向側においてX軸方向に平行に延びる第3枠部503および第4枠部504を備える。配線収容部50Bは、第1枠部501および第2枠部502の-Z方向の端部から+Y方向に平行に延びる第5枠部505および第6枠部506と、第5枠部505および第6枠部506の+Y方向の端部に接続され、X軸方向に延びる第7枠部507を備える。
【0046】
外枠部50Aは、ジンバル機構4の第2支点部42を備えている。本形態では、第1枠部501と第3枠部503とが繋がる角部の内面、および、第2枠部502と第4枠部504とが繋がる角部の内面の2箇所に、それぞれ、第2支点部42が設けられている。第
2支点部42は、径方向外側へ凹む凹部45と、凹部45に配置される第2スラスト受け部材46を備える。図6に示すように、第2スラスト受け部材46は、光軸L方向に延びる第1板部461と、第1板部461の-Z方向の端部から略直角に屈曲して径方向内側へ延びる第2板部462と、第1板部461を貫通する貫通孔463に径方向内側から固定される球体464を備える。外枠部50Aに設けられた凹部45の-Z方向の内面に対して第2板部462がZ軸(光軸L)方向に当接することにより、第2支点部42がZ軸(光軸L)方向に位置決めされる。
【0047】
第2スラスト受け部材46は金属製であり、球体464は、溶接により第1板部461に固定される。球体464は、ジンバルフレーム9に設けられた第2支持部902と点接触する。第2支持部902は、球体464の半径よりも曲率半径が大きい凹曲面であり、径方向内側から球体464に弾性接触する。
【0048】
外枠部50Aは、第1磁気駆動機構6Xのコイル62X、および、第2磁気駆動機構6Yのコイル62Yが接着剤等により固定されるコイル配置穴54を備える。本形態では、コイル配置穴54は、第1枠部501および第4枠部504を貫通する。コイル62X、62Yは、長円形の空芯コイルであり、+Z方向側および-Z方向側に位置する2本の長辺が有効辺として利用される。外枠部50Aには、第1枠部501および第4枠部504に対して径方向外側から第2フレキシブルプリント基板8が固定される。第2フレキシブルプリント基板8は、第4枠部504のコイル配置穴54に対して径方向外側から重なる第1基板部分81、および、第1枠部501のコイル配置穴54に対して径方向外側から重なる第2基板部分82を備える。
【0049】
第1基板部分81とコイル62Xとの間、および、第2基板部分82とコイル62Yとの間には、それぞれ、矩形の磁性板64が配置される。第1基板部分81とコイル62Xとの間に配置された磁性板64は、磁石61Xと対向しており、可動体3をX軸周りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成している。また、第2基板部分82とコイル62Yとの間に配置された磁性板64は、磁石61Yと対向しており、可動体3をY軸周りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成している。
【0050】
磁性板64は、コイル62X、62Yの中心穴と重なる位置に矩形の貫通穴を備えており、貫通穴には、磁気センサ65が配置される。磁気センサ65は、例えば、ホール素子である。振れ補正機能付き光学ユニット1は、コイル62Xの中心に配置される磁気センサ65の出力から、可動体3のX軸周りの揺動角度を検出する。また、コイル62Yの中心に配置される磁気センサ65の出力から、可動体3のY軸周りの揺動角度を検出する。
【0051】
(ジンバルフレーム)
図6に示すように、ジンバルフレーム9は、Z軸方向から見て略正方形の第1フレーム部分91と、第1フレーム部分91における4箇所の角部から略直角に屈曲して-Z方向へ延びる第2フレーム部分92を備える。第2フレーム部分92は、第1フレーム部分91の第1軸線R1方向の両側の第1対角位置、および、第1フレーム部分91の第2軸線R2方向の両側の第2対角位置に配置される。第1フレーム部分91の中央には、第1フレーム部分91を貫通する中央穴90が設けられている。図5に示すように、第1フレーム部分91は、Z軸(光軸L)方向から見て光学モジュール2のハウジング20およびホルダ枠30と重なっている。
【0052】
第1フレーム部分91は、Z軸(光軸L)方向から見て第1軸線R1方向および第2軸線R2方向を対角方向とする正方形の矩形部分910と、矩形部分910の第1軸線R1方向の両側の角部から径方向外側へ突出する第1突出部分913と、矩形部分910の第
2軸線R2方向の両側の角部から径方向外側へ突出する第2突出部分914を備える。図4に示すように、第1フレーム部分91は、第2フレーム部分92と接続される4箇所の角部(第1突出部分913および第2突出部分914)のうち、第2軸線R2方向の角部に配置される第2突出部分914を除き、Z軸(光軸L)方向から見てホルダ枠30の内周側に位置する。
【0053】
図1図6に示すように、第1フレーム部分91の矩形部分910は、第2軸線R2方向の中央に位置する中央部分911が-Z方向に凹んでおり、第2軸線R2方向の両端の角部分912が中央部分911より+Z方向側に位置する。つまり、第1フレーム部分91は、第2軸線R2方向の角部分912が中央部分911よりも可動体3から離間している。従って、ジンバルフレーム9の-Z方向側で可動体3が第1軸線R1周りに揺動して可動体3の第2軸線R2方向の両端(本形態では、ハウジング20の第2軸線R2方向の角部)がZ軸方向に移動した場合においても、可動体3とジンバルフレーム9との衝突を回避できる。
【0054】
また、中央部分911は、第1フレーム部分91の第1軸線R1方向の角部まで延びている。ここで、第1フレーム部分91の第1軸線R1方向の角部は、可動体3が第2軸線R2周りに揺動する際、第2支点部42を中心として第2軸線R2周りに揺動するジンバルフレーム9がZ軸(光軸L)方向に最も大きく移動する部位である。このように、第1フレーム部分91の第1軸線R1方向の角部が最も-Z方向に凹んだ形状である場合には、可動体3が揺動する際のジンバルフレーム9の動作スペースをZ軸(光軸L)方向で小さくすることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1を設置するスペースのZ軸(光軸L)方向の必要高さを小さくすることができる。
【0055】
第2フレーム部分92は、ジンバルフレーム9の第1軸線R1上の2箇所の角部に設けられた第1支持部用延設部93と、ジンバルフレーム9の第2軸線R2上の2箇所の角部に設けられた第2支持部用延設部94を備える。第1支持部用延設部93は、第1フレーム部分91の第1軸線R1方向の角部に設けられた第1突出部分913から-Z方向に直線状に延びている。第1支持部用延設部93の先端部分には、径方向内側へ凹んだ凹曲面である第1支持部901がプレス加工によって形成されている。第2支持部用延設部94は、第1フレーム部分91の第2軸線R2方向の角部に設けられた第2突出部分914から-Z方向へ延びる第1部分941と、第1部分941から略直角に屈曲して径方向外側へ延びる第2部分942と、第2部分942から略直角に屈曲して-Z方向へ延びる第3部分943を備えている。第3部分943の先端部分には、径方向内側へ凹んだ凹曲面である第2支持部902がプレス加工によって形成されている。
【0056】
第1支持部用延設部93は、第1カバー51の開口部510における第1軸線R1方向の角部を径方向外側へ切り欠いた切欠き部511に配置される。切欠き部511の-Z方向側には、可動体3側に設けられたジンバル機構4の支点部である第1支点部41が配置されており、第1支持部用延設部93の先端部は、第1支点部41によって支持される。また、第2支持部用延設部94は、第1カバー51の開口部510における第2軸線R2方向の角部を径方向外側へ切り欠いた切欠き部512に配置される。切欠き部512の-Z方向側には、固定体5側に設けられたジンバル機構4の支点部である第2支点部42が配置されており、第2支持部用延設部94の先端部は、第2支点部42によって支持される。
【0057】
第1支持部用延設部93および第2支持部用延設部94は、径方向に弾性変形する。従って、第1支持部用延設部93の先端部に設けられた第1支持部901は、第1支点部41に設けられた球体444と弾性接触する。また、第2支持部用延設部94の先端部に設けられた第2支持部902は、第2支点部42に設けられた球体464と弾性接触する。
これにより、第1支持部用延設部93および第2支持部用延設部94が第1支点部41および第2支点部42から外れにくくなっており、支点部のぶれを抑制している。
【0058】
(第1フレキシブルプリント基板7の引き回し形状)
第1フレキシブルプリント基板7は、ホルダ枠30の内側において1回折り返されて第1折り返し部分71を形成した後、ホルダ枠30の切欠き部35から+Y方向へ引き出され、外枠部50A内で折り返されて、外枠部50Aにおける第3枠部503の-Z方向の端部を+Z方向に切り欠いた切欠き部508から配線収容部50Bの内側へ延びている。第1フレキシブルプリント基板7は、配線収容部50Bの内側で+Y方向へ延びて逆向きに1回折り返された第2折り返し部分72と、第2折り返し部分72の+Z方向側に重なる第3折り返し部分73を備える。
【0059】
配線カバー53は、-Y方向の縁の略中央を+Y方向へ切り欠いた切欠き部531を備えている。第1フレキシブルプリント基板7の第3折り返し部分73は、切欠き部531から配線収容部50Bの外側へ引き出され、配線カバー53に沿って+Y方向側へ延びている。第1フレキシブルプリント基板7は、配線カバー53に固定される固定部74を備える。固定部74は、切欠き部531の縁に固定される。
【0060】
第1フレキシブルプリント基板7は、可撓性基板70と、可撓性基板70に固定される補強板75を備える。補強板75は、第1折り返し部分71、第2折り返し部分72、および、固定部74の3箇所に配置される。第1折り返し部分71および第2折り返し部分72においては、逆向きに屈曲した可撓性基板70の屈曲部分の間に補強板75が配置される。従って、補強板75は、可撓性基板70に挟まれてスペーサとして機能している。固定部74に設けられた補強板75は、配線カバー53と可撓性基板70との間に配置され、配線カバー53と可撓性基板70との間でスペーサとして機能している。
【0061】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール2を備えた可動体3と、可動体3を光軸Lと交差する第1軸線R1周りに揺動可能に支持すると共に、可動体3を光軸Lおよび第1軸線R1と交差する第2軸線R2周りに揺動可能に支持する揺動支持機構であるジンバル機構4と、ジンバル機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、可動体3を第1軸線R1周りおよび第2軸線R2周りに揺動させる振れ補正用駆動機構6と、を有する。固定体5は、可動体3の外周側を囲むケース50、および、ケース50とは別体であってケース50の被写体側(+Z方向)の端部に固定される第1カバー51を備える。第1カバー51は、被写体側(+Z方向)から見て可動体3の一部を覆っている。
【0062】
本形態では、このように、ケース50の被写体側(+Z方向)の端部に配置される第1カバー51をケース50とは別体にしている。従って、第1カバー51を取り外した状態で、ケース50の内側に配置される可動体3、ジンバル機構4、および振れ補正用駆動機構6の組立を行うことができ、その後に第1カバー51を取り付けることができる。従って、組立時の作業性が向上する。また、第1カバー51をケース50とは別体にすることで、ケース50の肉厚よりも第1カバー51の肉厚を薄くすることができる。例えば、ケース50と第1カバー51とを異なる素材で形成できるので、ケース50が樹脂製である場合に、第1カバー51を金属製にすることができる。このようにすれば、第1カバー51を薄肉化しても強度を確保できるため、ケース50よりも第1カバー51を薄くすることができる。従って、第1カバー51を薄肉化することができるため、固定体5の光軸L方向の薄型化を図ることができる。よって、振れ補正機能付き光学ユニット1の薄型化を図ることができる。
【0063】
本形態では、振れ補正用駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61X,61Yと、固定体5に配置されるコイル62X,62Yを備え、第1カバー51は、非磁性の金属からなる。このようにすると、磁気吸引力によって可動体3に配置される磁石61X、61Yが第1カバー51に吸着されることを回避できる。従って、振れ補正用駆動機構6の組立性の低下を抑制できる。
【0064】
本形態では、可動体3の被写体側(+Z方向)の端部は、第1カバー51と光軸L方向で対向する位置において被写体側(+Z方向)へ突出する凸部36を備え、凸部36は、光軸L方向から見て第1軸線R1および2軸線から離間した位置に配置される。このように、可動体3の揺動よって光軸L方向に移動する位置に凸部36を設けることにより、第1カバー51と凸部36とを衝突させることによって可動体3の揺動範囲を規制できる。従って、第1カバー51をストッパとして、可動体3の揺動範囲を規制できる。また、凸部36の位置および高さを調節することにより、可動体3の揺動範囲を調節できる。
【0065】
本形態では、可動体3の被写体側(+Z方向)の端部は、可動体3の第1軸線R1上の対角位置において第1カバー51と光軸L方向で対向する隅部38を備える。このように、可動体3の対角位置に第1カバー51と対向する部分(隅部38)を設けることにより、可動体3の対角方向の揺動範囲を規制できる。
【0067】
本形態では、ケース50の外周面に、爪部59が設けられ、第1カバー51の外周縁に、爪部59と係合する弾性係合部58が設けられている。このようにすると、爪部59と弾性係合部58との機械的係合によって第1カバー51を固定できる。従って、接着剤による固定よりも固定強度を上げることができる。また、第1カバー51の取付作業が容易であり、第1カバー51の着脱が可能である。
【0068】
本形態では、ケース50および第1カバー51は、光軸L方向から見て矩形であり、第1カバー51の外周縁における+X方向、-X方向、-Y方向の3方向の縁に、弾性係合部58が設けられている。また、第1カバー51の外周縁における弾性係合部58が設けられた3方向の縁とは異なる方向(+Y方向)の縁に、ケース50の側へ延びる当接部57が設けられ、当接部57は、ケース50に対して外周側から当接する。このように、3方向の縁を機械的係合とし、他の1方向の縁を当接させるのみとした場合には、4方向の縁を全て機械的係合とした場合よりも、弾性係合部58に爪部59を嵌め込む作業が容易である。従って、第1カバー51の取付作業が容易である。
【符号の説明】
【0069】
1、1A…振れ補正機能付き光学ユニット、2…光学モジュール、2A…レンズ群、3…可動体、4…ジンバル機構、5…固定体、5A…第1端部、6…振れ補正用駆動機構、6X…第1磁気駆動機構、6Y…第2磁気駆動機構、7…第1フレキシブルプリント基板、8…第2フレキシブルプリント基板、9…ジンバルフレーム、20…ハウジング、21…第1側面、22…第2側面、23…第3側面、24…第4側面、25…基板、26…筒部、27…レンズ駆動機構、30…ホルダ枠、31…第1枠部、32…第2枠部、33…第3枠部、34…第4枠部、35…切欠き部、36…凸部、37…磁石配置用凹部、38…隅部、41…第1支点部、42…第2支点部、43…凹部、44…第1スラスト受け部材、45…凹部、46…第2スラスト受け部材、50…ケース、50A…外枠部、50B…配線収容部、51…第1カバー、52…第2カバー、53…配線カバー、54…コイル配
置穴、57…当接部、58…弾性係合部、59…爪部、61X、61Y…磁石、62X、62Y…コイル、63…ヨーク部材、64…磁性板、65…磁気センサ、70…可撓性基板、71…第1折り返し部分、72…第2折り返し部分、73…第3折り返し部分、74…固定部、75…補強板、81…第1基板部分、82…第2基板部分、90…中央穴、91…第1フレーム部分、92…第2フレーム部分、93…第1支持部用延設部、94…第2支持部用延設部、1301…第1面、302…第2面、303…第3面、304…第4面、441…第1板部、442…第2板部、443…貫通孔、444…球体、461…第1板部、462…第2板部、463…貫通孔、464…球体、501…第1枠部、502…第2枠部、503…第3枠部、504…第4枠部、505…第5枠部、506…第6枠部、507…第7枠部、508…切欠き部、510…開口部、511、512…切欠き部、531…切欠き部、901…第1支持部、902…第2支持部、910…矩形部分、911…中央部分、912…角部分、913…第1突出部分、914…第2突出部分、941…第1部分、942…第2部分、943…第3部分、L…光軸、R1…第1軸線、R2…第2軸線、S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6