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  • 特許-ガイドワイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20230606BHJP
   A61M 25/098 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61M25/09 516
A61M25/098
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019073678
(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公開番号】P2020171382
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柘 賢太
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06139511(US,A)
【文献】特開昭63-071243(JP,A)
【文献】特開昭63-181774(JP,A)
【文献】特表2005-533594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
A61M 25/098
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端方向に向かって拡径する拡径部を有するコアシャフトと、
前記コアシャフトの少なくとも先端を覆うように配置されたコイル体と、
前記コイル体の先端に固着した先端固着部と、
前記コアシャフトの先端に配置された放射線不透過性のマーカ部と、を備え、
前記コアシャフトの先端および前記マーカ部のいずれもが、前記先端固着部に接続されておらず、かつ前記コアシャフトの先端および前記マーカ部のいずれもが、前記コアシャフトの長軸方向において、記先端固着部から離間しているガイドワイヤ。
【請求項2】
前記マーカ部の先端形状が、先端方向に向かって突出する曲面形状である請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記コイル体が前記マーカ部に固着されていない請求項1または請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記コイル体が、前記コアシャフトの先端に固着されておらず、かつ前記コアシャフトにおける先端以外の部位に固着されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記拡径部の形状が、テーパ状または段状である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、血管内にカテーテルなどの医療器具を挿入する際、医療器具を処置する部位まで案内するためのガイドワイヤが先行して挿入される。
【0003】
このようなガイドワイヤには、湾曲した血管内を円滑に進行できるように先端部に柔軟性が求められる。その一方で、この柔軟性に伴い生じ得る、ガイドワイヤ先端部のU字状の屈曲が基端方向へ過度に発展するのを防止するため、例えば、コアシャフトの中途にテーパ状または段状の拡径部を設けて剛性を高める技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第5345945号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来のガイドワイヤを用いた場合、屈曲が拡径部に達すると、大きな剛性変化に伴ってコアシャフトが塑性的に折れ曲がる傾向にあり、この折れ曲がったガイドワイヤを術者が認識無しに押し込むと血管の内壁等を圧迫する虞がある。
【0006】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、コアシャフトが過度に変形するのを未然に防止することが可能なガイドワイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のいくつかの態様は、
(1)基端方向に向かって拡径する拡径部を有するコアシャフトと、
前記コアシャフトの少なくとも先端を覆うように配置されたコイル体と、
前記コイル体の先端に固着した先端固着部と、
前記コアシャフトの先端に配置された放射線不透過性のマーカ部と、を備え、
前記コアシャフトの長軸方向において、前記マーカ部と、前記先端固着部とが離間しているガイドワイヤ、
(2)前記マーカ部の先端形状が、先端方向に向かって突出する曲面形状である前記(1)に記載のガイドワイヤ、
(3)前記コイル体が前記マーカ部に固着されていない前記(1)または(2)に記載のガイドワイヤ、
(4)前記コイル体が、前記コアシャフトの先端に固着されておらず、かつ前記コアシャフトにおける先端以外の部位に固着されている前記(1)から(3)のいずれか1項に記載のガイドワイヤ、および
(5)前記拡径部の形状が、テーパ状または段状である前記(1)から(4)のいずれか1項に記載のガイドワイヤ、
である。
【0008】
なお、本明細書において、「先端方向」とは、ガイドワイヤの長軸方向に沿う方向であって、コイル体に対して先端固着部が位置する方向を意味する。「基端方向」とは、ガイドワイヤの長軸方向に沿う方向であって、先端方向と反対側の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端方向の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端方向の端部をそれぞれ示す。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、コアシャフトが過度に変形するのを未然に防止することが可能なガイドワイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態を示す概略的側面図である。
図2A】第1の実施形態におけるマーカ部の形状の一例を示す一部拡大概略的側面図である。
図2B】第1の実施形態におけるマーカ部の形状の一例を示す一部拡大概略的側面図である。
図2C】第1の実施形態におけるマーカ部の形状の一例を示す一部拡大概略的側面図である。
図3A図1の使用状態を示す概略図側面図である。
図3B図1の使用状態を示す概略図側面図である。
図4】第1の実施形態の変形例を示す概略的側面図である。
図5】第2の実施形態を示す概略的側面図である。
図6】第2の実施形態の変形例を示す概略的側面図である。
図7】第3の実施形態を示す概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当該ガイドワイヤは、基端方向に向かって拡径する拡径部を有するコアシャフトと、上記コアシャフトの少なくとも先端を覆うように配置されたコイル体と、上記コイル体の先端に固着した先端固着部と、上記コアシャフトの先端に配置された放射線不透過性のマーカ部と、を備え、上記コアシャフトの長軸方向において、上記マーカ部と、上記先端固着部とが離間している。
【0012】
以下、第1~第3の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。また、図面に示したガイドワイヤの寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、実際の寸法に対応するものではない。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態を示す概略的側面図である。当該ガイドワイヤ1は、図1に示すように、概略的に、コアシャフト11と、コイル体21と、先端固着部31と、マーカ部41とにより構成されている。
【0014】
コアシャフト11は、基端方向に向かって拡径する拡径部11kを有するシャフトである。当該ガイドワイヤ1における拡径部11kの形状は段状である。当該ガイドワイヤ1は、拡径部11kがコアシャフト11の長軸方向の一カ所に設けられており、コアシャフト11は、拡径部11kよりも先端方向に位置する外径一定の小径部11aと、拡径部11kよりも基端方向に位置し小径部11aの外径よりも大きな外径を有する大径部11bとにより構成されている。
【0015】
なお、拡径部の形状は、その基端の外径(ガイドワイヤ1では大径部11bの外径に相当)が先端の外径(ガイドワイヤ1では小径部11aの外径に相当)よりも大きければ、長軸方向における中途の形状は特に限定されない。
【0016】
コアシャフト11の長軸方向の寸法は、全長が通常1,800~3,000mm、小径部11aが通常5mm~100mmである。コアシャフト11の外径は、小径部11aが通常0.03mm~0.1mm、大径部11bが通常0.25mm~0.46mmである。
【0017】
コアシャフト11を構成する材料としては、ガイドワイヤ1の柔軟性を確保すると共に、抗血栓性および生体適合性を付与する観点から、例えば、SUS304などのステンレス鋼、Ni-Ti合金などの超弾性合金等を採用することができる。
【0018】
コイル体21は、コアシャフト11の少なくとも先端を覆うように配置されたコイル状(螺旋状)の部材である。このコイル体21は、例えば、素線21aを巻回してコイル状に形成したもの(図1参照)、円筒状の部材にスリット加工等を施してコイル状に形成したもの(不図示)等と採用することができる。コイル体21に素線21aを用いる場合、素線21aとしては、1本若しくは複数本の単線それぞれ、または1本若しくは複数本の撚線それぞれを用いることができる。但し、単線とは1本の単一線を意味し、撚線とは複数本の単一線を予め互いに撚り合って形成した一束の線群を意味する。
【0019】
コイル体21を構成する素線21a(単線または撚線)の直径は、通常0.01~0.10mmである。
【0020】
コイル体21を構成する線材としては、ガイドワイヤ1の柔軟性を確保すると共に、抗血栓性および生体適合性を付与する観点から、例えば、SUS316などのステンレス鋼;Ni-Ti合金などの超弾性合金;白金、タングステンなどの放射線不透過性の金属等を採用することができる。
【0021】
コイル体21の基端は、例えば、コアシャフト11の段部(拡径部11k)に接合することができる。一方、コイル体21の先端は、例えば、後述する先端固着部31に接合することができる。コイル体21と、コアシャフト11および先端固着部31との接合方法としては、例えば、ロウ材を用いた蝋付け法等を採用することができる。上記ロウ材としては、例えば、Sn-Pb合金、Pb-Ag合金、Sn-Ag合金、Au-Sn合金などの金属ロウ等が挙げられる。
【0022】
なお、コイル体21は、コアシャフト11の先端に固着されておらず、かつコアシャフト11における先端以外の部位に固着されていることが好ましい。このような態様としては、具体的には、例えば、コイル体21の基端のみが接合部21bにてコアシャフト11に接合されているガイドワイヤ1(図1参照)等が挙げられる。このように、コイル体21が、コアシャフト11の先端に固着されておらず、かつコアシャフト11における先端以外の部位に固着されていることで、コイル体21とコアシャフト11の先端とが固着されていない分、長軸方向におけるコアシャフト11先端での剛性の急激な変化を抑制することができ、塑性変形したり破断するのをより防止することができる。
【0023】
先端固着部31は、コイル体21の先端に固着した部位である。この先端固着部31は、具体的には、例えば、先端部が先端方向に向かって凸状に湾曲した略半球形状となるように形成することができる。先端固着部31の基端には、例えばコイル体21の先端などが接合される。
【0024】
先端固着部31は、例えば、コイル体21などのガイドワイヤ1を構成する部材の一部を溶融して成形したり、ロウ材を溶融して成形することで形成することができる。上記ロウ材としては、例えば、コイル体21の接合方法にて説明したものと同様のもの等が挙げられる。
【0025】
マーカ部41は、コアシャフト11の先端に配置された放射線不透過性の部材である。このマーカ部41は、コアシャフト11の長軸方向において、先端固着部31と離間するように配置されている。マーカ部41の形状は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、先端方向に向かって突出する曲面形状のマーカ部411(図2A参照)、略円柱状のマーカ部412(図2B参照)、略円盤状のマーカ部413(図2C参照)等を採用することができる。
【0026】
これらの中では、マーカ部41の形状は、先端形状が先端方向に向かって突出する曲面形状となるように形成されていることが好ましい。このような曲面形状のマーカ部41としては、具体的には、例えば、先端方向に曲面を有するような略半球形状のマーカ部411(図2A参照)等が挙げられる。これにより、ガイドワイヤ1の先端部が屈曲した際、コイル体21がマーカ部41に引っ掛かることなく円滑に屈曲することができる。
【0027】
マーカ部41を構成する放射線不透過性の材料としては、例えば、金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金など)等が挙げられる。マーカ部41を構成する材料は、例えば、放射線透過性の材料と放射線不透過性の材料とが混在したもの、放射線透過性の材料の表面に放射線不透過性の材料をコーティングしたものなど、放射線透過性の材料と放射線不透過性の材料とを組み合わせたものであってもよい。
【0028】
マーカ部41とコアシャフト11との接合方法としては、例えば、コイル体21の接合方法にて説明したものと同様のもの等が挙げられる。なお、マーカ部41は、コイル体21に固着されていないことが好ましい。このようにマーカ部41がコイル体21に固着されていないことで、コイル体21がマーカ部41に対して拘束されることなく円滑に屈曲することができる。
【0029】
次に、当該ガイドワイヤ1の使用態様について説明する。まず、ガイドワイヤ1をその先端から血管内に挿入し、体外に露出しているガイドワイヤ1を操作して先端部を押し進める。その際、ガイドワイヤ1は、例えば、血管の分岐部等において血管を容易に選択できるように、通常、あらかじめガイドワイヤ1の先端部の一部を意図的に屈曲させた後に血管内に挿入する。このような屈曲は、ガイドワイヤ1が血管内を進行する際にも不作為に発生することがる。
【0030】
ここで、ガイドワイヤ1先端部の屈曲の度合いは、屈曲させる力の程度により異なる。例えば、屈曲させる力が小さいときには、図3Aに示すように、コアシャフト11の小径部11aは屈曲せずにコイル体21の先端部のみが屈曲し得る。これは、ガイドワイヤ1の長軸方向における剛性が、コアシャフト11の小径部11a先端にて高まる(基端方向に向かって剛性が急激に高まる)ためである。上記屈曲させる力が大きくなると、図3Bに示すように、コイル体21の先端部とこの先端部に対応するコアシャフト11の小径部11aとの両者が屈曲し得る。したがって、屈曲させる力が小さいときには、ガイドワイヤ1先端部の屈曲が小径部11aの先端を超えて基端方向へ発展するのを抑制することができる。また、ガイドワイヤ1先端部の屈曲が小径部11aの先端を超えた場合、放射線照射下においてマーカ部41の位置を把握することで、コアシャフト11の小径部11aが過度に屈曲するのを防止することができる。その結果、コアシャフト11の屈曲が拡径部11kまで発展してコアシャフト11が塑性的に変形するのを防止することができる。
【0031】
次に、ガイドワイヤ1の先端部が処置する部位まで到達した後、ガイドワイヤ1の基端をカテーテルなどの医療器具(不図示)の先端からその内腔に挿入し、上記医療器具の基端から突出させた後、この医療器具をガイドワイヤ1に沿って押し進める。次いで、上記医療器具が処置する部位に到達した後、上記医療器具を用いて各種処置を行う。次いで、上記処置が完了した後、医療器具およびガイドワイヤ1を血管から引き抜くことで一連の手技が終了する。
【0032】
以上のように、当該ガイドワイヤ1は、上記構成であるので、ガイドワイヤ1がコアシャフト11の先端を超えて基端方向に屈曲しているか否をマーカ部41により視認することができる。それ故、マーカ部41を手がかりに小径部11aの屈曲状態を見ながら、当該コアシャフト11が過度に変形(例えば、コアシャフト11の塑性変形や破断など)するのを未然に防止することができる。
【0033】
なお、上述した第1の実施形態では、小径部11aと大径部11bとにより構成された一つの拡径部11kを有するガイドワイヤ1について説明したが、拡径部は複数あってもよく、例えば、二つの拡径部11km11、11km12を有し小径部11am11、11am12の外径が段階的に変わるコアシャフト11m1を備えたガイドワイヤ1m1(図4参照)であってもよい。
【0034】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態を示す概略的側面図である。当該ガイドワイヤ2は、図5に示すように、概略的に、コアシャフト12と、コイル体21と、先端固着部31と、マーカ部41とにより構成されている。当該ガイドワイヤ2は、コアシャフト12を備えている点で、第1の実施形態と異なっている。なお、コイル体21、先端固着部31、およびマーカ部41の構成は、第1の実施形態のものと同様な構成であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、以下に示すコアシャフト12の構成以外は、第1の実施形態のものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0035】
コアシャフト12は、基端方向に向かって拡径する拡径部12kを有するシャフトである。当該ガイドワイヤ2におけるコアシャフト12の拡径部12kの形状はテーパ状である(拡径部12kを、「テーパ部12a」とも称する)。当該ガイドワイヤ2は、テーパ部12aがコアシャフト12の長軸方向の一カ所に設けられており、テーパ部12aの先端がコアシャフト12の先端と一致しかつテーパ部12aの基端が外径一定の大径部12bに連続している。
【0036】
なお、コイル体21は、その基端が接合部21bにてコアシャフト12のテーパ部12aに接合されている。
【0037】
以上のように、当該ガイドワイヤ2は、コアシャフト12の拡径部12kの形状がテーパ状である。それ故、マーカ部41を手がかりに屈曲する度合いを見ながら、コアシャフト12が過度に変形するのを未然に防止することができる。
【0038】
なお、上述した第2の実施形態では、テーパ部12aと大径部12bとにより構成されたガイドワイヤ2について説明したが、複数の拡径部を有しかつ外径が基端方向に向かって段階的に変わるコアシャフトを備えたガイドワイヤであってもよい。このようなガイドワイヤとしては、例えば、コアシャフト12m2の先端から基端方向に向かって、テーパ状に拡径するテーパ部12am21(拡径部12km21)、外径一定の小径部12cm2、テーパ状に拡径するテーパ部12am22(拡径部12km22)、および外径一定の大径部12bm2の順で構成されるコアシャフト12m2を備えたガイドワイヤ2m2(図6参照)等が挙げられる。
【0039】
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態を示す概略的側面図である。当該ガイドワイヤ3は、図7に示すように、概略的に、コアシャフト12と、コイル体21と、内側コイル体51と、先端固着部31と、マーカ部43とにより構成されている。当該ガイドワイヤ3は、内側コイル体51およびマーカ部43を備えている点で、第2の実施形態と異なっている。なお、コアシャフト12、コイル体21、および先端固着部31の構成は、第2の実施形態のものと同様な構成であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。また、以下に示す内側コイル体51およびマーカ部43の構成以外は、第2の実施形態のものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0040】
内側コイル体51は、コイル体21の内側に設けられ、かつコアシャフト12の少なくとも先端を覆うように配置されたコイル状(螺旋状)の部材である。この内側コイル体51は、例えば、素線51aを巻回してコイル状に形成したもの(図7参照)、円筒状の部材にスリット加工等を施してコイル状に形成したもの(不図示)等と採用することができる。内側コイル体51に素線51aを用いる場合、素線51aとしては、1本若しくは複数本の単線それぞれ、または1本若しくは複数本の撚線それぞれを用いることができる。
【0041】
内側コイル体51を構成する素線51a(単線または撚線)の直径は、通常0.01~0.10mmである。
【0042】
内側コイル体51を構成する線材としては、ガイドワイヤ3の柔軟性を確保すると共に、抗血栓性および生体適合性を付与する観点から、例えば、上述したコイル体21と同様の材料等を採用することができる。
【0043】
内側コイル体51の基端は、例えば、接合部51bにてコアシャフト12の拡径部12k(テーパ部12a)に接合することができる。一方、内側コイル体51の先端は、例えば、先端固着部31に接合することができる。
【0044】
マーカ部43は、コアシャフト12の先端に配置された放射線不透過性の部材である。このマーカ部43は、コアシャフト12の長軸方向において、先端固着部31と離間するように配置されている。当該ガイドワイヤ3におけるマーカ部43の形状は、略1/4球形状である。この略1/4球形状を構成する二平面のうちの一平面43aはコアシャフト12の先端に接合され、他平面43bは内側コイル体51の内周に当接できるように配置されている。
【0045】
以上のように、当該ガイドワイヤ3は、マーカ部43の形状が略1/4球形状であるので、上述した他平面43bが内側コイル体51の内周に当接可能である分、ガイドワイヤ3の屈曲方向に指向性(コイル体21および内側コイル体51がマーカ部43の湾曲面43cへ沿う側への容易な屈曲)を付与することができる。また、当該ガイドワイヤ3は、内側コイル体51を備えているので、長軸方向におけるガイドワイヤ3の剛性変化をより多段に形成することができる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0047】
例えば、上述した実施形態では、コアシャフト11、12が先端から基端方向に向かって一方的に拡径する拡径部11k、12kを有するガイドワイヤ1~3について説明したが、本発明の効果を損なわない限り、コアシャフトの一部に基端方向に向かって縮径する部位を有するガイドワイヤであってもよい。
【0048】
また、第3の実施形態で上述した内側コイル体51は、任意の構成要素である。図示していないが、本発明は、例えば、内側コイル体51を備えていないガイドワイヤや、第1および第2の実施形態のガイドワイヤ1、2に更に内側コイル体を備えたガイドワイヤであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1~3、1m1、2m2 ガイドワイヤ
11、12、11m1、12m2 コアシャフト
11k、12k、11km11、11km12、12km21、12km22 拡径部
21 コイル体
31 先端固着部
41、411、412、413、43 マーカ部
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7