IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 西部電機株式会社の特許一覧

特許7290452研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法
<>
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図1
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図2
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図3
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図4
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図5
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図6
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図7
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図8
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図9
  • 特許-研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】研削プログラム生成装置及び研削プログラム生成方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 17/10 20060101AFI20230606BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20230606BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B24B17/10 P
G05B19/4093 A
B23Q15/00 301A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019076785
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020069634
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2018203330
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】川辺 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩明
(72)【発明者】
【氏名】井上 広士
(72)【発明者】
【氏名】福島 敏夫
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-272706(JP,A)
【文献】特開2008-105119(JP,A)
【文献】特開平9-62326(JP,A)
【文献】特開平9-26811(JP,A)
【文献】特開昭62-224550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 17/10
G05B 19/4093
B23Q 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削盤のためのプログラムを生成する研削プログラム生成装置であって、
区間情報入力部と、加工軌跡処理部を備え、
前記区間情報入力部は、加工軌跡の始点位置を特定する始点情報、前記加工軌跡を構成する一つ又は複数の区間における区間終点を特定する区間終点位置、各区間における区間始点と区間終点との間の形状を特定するつなぎ形状情報、並びに、各区間終点における面取加工を行うか否か及び行う場合の面取加工の形状を特定する面取加工情報が入力され、
前記加工軌跡において
最初の区間の始点位置は、加工軌跡の始点位置であり、
2番目以降の区間の始点位置は、直前の区間の区間終点位置であり、
前記加工軌跡において、
前記加工軌跡の終点を含まない前記各区間、当該区間のつなぎ形状情報により特定される形状であって、前記区間終点において面取加工情報によって特定される形状であり
前記加工軌跡の終点を含む前記区間は、当該区間のつなぎ形状情報により特定される形状であり、
前記加工軌跡処理部は、前記区間終点位置、前記つなぎ形状情報及び前記面取加工情報の少なくとも一部が追加、削除又は変更された場合に前記加工軌跡を表示するための描画情報を生成するとともに、前記加工軌跡の加工を実現するためのサブプログラムを生成する、研削プログラム生成装置。
【請求項2】
前記加工軌跡処理部は、前記加工軌跡の加工を実現するためのサブプログラムを生成できない場合に、実現できない区間を特定し、
前記加工軌跡は、第2区間と、当該加工軌跡において始点に近い直前の区間である第1区間を含み、
前記加工軌跡処理部は、前記第2区間のつなぎ形状情報として曲線形状が特定された場合に、
前記第1区間の面取加工情報として面取加工を行わないこととされているならば、前記第1区間の前記面取加工情報は実現できるものとし、
前記第1区間の面取加工情報として面取加工を行うこととされているならば、前記第1区間の前記面取加工情報は実現できないものとして特定する、請求項1記載の研削プログラム生成装置。
【請求項3】
加工条件を設定して前記サブプログラムを呼び出すメインプログラムを生成するメインプログラム生成部と、
前記メインプログラム、前記サブプログラム及び前記描画情報の組合せを保存する保存処理部と、
記メインプログラム、前記サブプログラム及び前記描画情報の組合せを読み出す読出処理部を備える請求項1又は2に記載の研削プログラム生成装置。
【請求項4】
表示手段は、前記区間終点位置、前記つなぎ形状情報及び前記面取加工情報の少なくとも一部が追加、削除又は変更されるときに、前記区間情報入力部に前記区間終点位置が入力される場合に、前記描画情報と前記サブプログラムの少なくとも一方を表示する、請求項1から3のいずれかに記載の研削プログラム生成装置。
【請求項5】
具情報を設定する工具情報設定部と、
表示手段に、前記加工軌跡の一部又は全部に対して、前記工具情報により特定される工具の形状を表示する工具情報表示部を備え、
前記工具情報表示部は、前記加工軌跡における加工方向に対して、前記工具の形状を左側又は右側に表示する、請求項1から4のいずれかの研削プログラム生成装置。
【請求項6】
記工具情報表示部は、少なくとも一つの区間における終点に前記工具の形状を表示する、請求項5記載の研削プログラム生成装置。
【請求項7】
研削盤のためのプログラムを生成する研削プログラム生成方法であって、
研削プログラム生成装置は、区間情報入力部と、加工軌跡処理部と、メインプログラム生成部を備え、
前記区間情報入力部に、加工軌跡の各区間に関する情報が入力される入力ステップと、
前記加工軌跡処理部が、加工軌跡による加工する処理を行うためのサブプログラムと、前記加工軌跡を表示するための描画情報を生成し、前記メインプログラム生成部が、加工条件を設定して前記サブプログラムを呼び出すメインプログラムを生成するプログラム生成ステップを含み、
前記入力ステップにおいて、前記区間情報入力部は、加工軌跡の始点位置を特定する始点情報、前記加工軌跡を構成する一つ又は複数の区間における区間終点を特定する区間終点位置、各区間における区間始点と区間終点との間の形状を特定するつなぎ形状情報、並びに、各区間終点における面取加工を行うか否か及び行う場合の面取加工の形状を特定する面取加工情報が入力され、
前記加工軌跡において、
最初の区間の始点位置は、加工軌跡の始点位置であり、
2番目以降の区間の始点位置は、直前の区間の区間終点位置であり、
前記加工軌跡において、
前記加工軌跡の終点を含まない前記各区間は、当該区間のつなぎ形状情報により特定される形状であって、前記区間終点において面取加工情報によって特定される形状であり、
前記加工軌跡の終点を含む前記区間は、当該区間のつなぎ形状情報により特定される形状であり、
前記プログラム生成ステップにおいて、前記加工軌跡処理部は、前記区間終点位置、前記つなぎ形状情報及び前記面取加工情報の少なくとも一部が追加、削除又は変更された場合に、前記加工軌跡を表示するための描画情報を生成するとともに、前記加工軌跡の加工を実現するためのサブプログラムを生成する、研削プログラム生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削プログラム生成装置、研削プログラム処理装置及び研削プログラム生成方法に関し、特に、研削盤のための研削プログラムを生成する研削プログラム生成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、研削処理において、まず、CADなどを利用して加工対象物の形状を特定し、その後に、加工用NCプログラムを生成していた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-226562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
研削盤のためのプログラムは、複数の工具や加工手順が複雑に関係するため、例えばワイヤ放電加工機のように工具が固定されているものと異なり、原則として自動生成は困難であり、人手での動作チェックなどが行われている。確かに、命令を手入力して研削処理のためのプログラムを作成することはできる。しかしながら、複雑な形状まで、手作業で作成することは困難である。
【0005】
また、特許文献1などに記載の方法では、利用者は、加工対象物の形状を自由に設計できるものの、一般的なCADなどを使用するため、設計している形状と研削処理のためのプログラムとの関係は、設計時にチェックすることができない。
【0006】
よって、本発明は、利用者が加工形状を特定するときに、リアルタイムに確認することが可能な研削プログラム生成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の観点は、研削盤のための研削プログラムを生成する研削プログラム生成装置であって、区間情報入力部と、加工軌跡処理部を備え、前記区間情報入力部は、加工軌跡の始点を特定する始点情報、及び、前記加工軌跡を構成する一つ又は複数の区間における区間終点を特定する区間終点情報が入力され、前記始点情報は、始点位置を含み、前記区間終点情報は、つなぎ形状、区間終点位置及び面取加工を含み、前記加工軌跡は、少なくとも前記加工軌跡の終点を含まない前記各区間に対して、当該区間の区間終点情報により特定されるつなぎ形状として、前記区間終点において面取加工を行い、前記加工軌跡処理部は、少なくとも前記区間終点情報が追加、削除又は変更された場合に、加工軌跡が実現できるか否かをチェックし、加工軌跡が実現できるならば、前記加工軌跡を表示するための描画情報を生成するとともに、前記加工軌跡を実現するためのサブプログラムを生成し、加工軌跡が実現できないならば、実現できない区間終点を特定する。
【0008】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の研削プログラム生成装置であって、前記つなぎ形状は、曲線形状を含み、前記加工軌跡処理部は、ある区間で曲線形状が特定された場合に、前記加工軌跡において前記始点に近い直前の区間の区間終点情報で面取加工を行うことが特定されているならば、直前の区間の区間終点を、面取加工が実現できないものとして特定する。
【0009】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の研削プログラム生成装置であって、加工条件を設定して前記サブプログラムを呼び出すメインプログラムを生成するメインプログラム生成部と、前記メインプログラム、前記サブプログラム及び前記描画情報の組合せを保存する保存処理部と、保存された前記描画情報を表示した後に、前記メインプログラム、前記サブプログラム及び前記描画情報の組合せを読み出す読出処理部を備える。
【0010】
本願発明の第4の観点は、第1から第3のいずれかの観点の研削プログラム生成装置であって、表示手段は、前記区間情報入力部に前記区間終点情報が入力される場合に、前記描画情報と前記サブプログラムの一方を表示する。
【0011】
本願発明の第5の観点は、研削盤のためのプログラムを生成する研削プログラム処理装置であって、利用者により入力された加工軌跡特定情報及び/又は分析対象プログラムに基づいて加工軌跡を特定する加工軌跡処理部と、工具情報を設定する工具情報設定部と、表示手段に、前記加工軌跡の一部又は全部に対して、前記工具情報により特定される工具の形状を表示する工具情報表示部を備え、前記工具情報表示部は、前記加工軌跡における加工方向に対して、前記工具の形状を左側又は右側に表示する。
【0012】
本願発明の第6の観点は、第5の観点の研削プログラム処理装置であって、前記加工軌跡特定情報は、前記加工軌跡を構成する一つ又は複数の区間を特定する情報であり、前記工具情報表示部は、前記加工軌跡特定情報に基づき特定された加工軌跡に対して、少なくとも一つの区間における終点に前記工具の形状を表示し、前記分析対象プログラムに基づき特定された加工軌跡に対して、少なくとも一つのブロック情報に対応する区間の終点に前記工具の形状を表示する。
【0013】
本願発明の第7の観点は、研削盤のための研削プログラムを生成する研削プログラム生成方法であって、研削プログラム生成装置が備える加工軌跡処理部が、加工軌跡による加工する処理を行うためのサブプログラムと、前記加工軌跡を表示するための描画画像を生成し、前記研削プログラム生成装置が備えるメインプログラム生成部が、加工条件を設定して前記サブプログラムを呼び出すメインプログラムを生成するプログラム生成ステップを含む。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の各観点によれば、利用者が、加工軌跡を構成する各区間を特定して加工軌跡全体を特定するときに、加工軌跡処理部が、リアルタイムに、加工軌跡の描画情報とサブプログラムを生成することなどにより、利用者は描画情報を利用して視覚的に形状などを確認することもでき、かつ、生成されたサブプログラムにより具体的に確認することも可能になる。
【0015】
さらに、第3の観点にあるように、加工処理を行うためのサブプログラムと、サブプログラムを呼び出すメインプログラムを同時に設計することができ、かつ、これらに併せて描画情報を保存することにより、ファイルを読み出すときに、描画情報により、事前に視覚的に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る研削盤の(a)構成の一例を示すブロック図、及び、(b)~(d)動作の一例を示すフロー図である。
図2図1の研削盤1の具体的な一例を示す図である。
図3図1の加工軌跡処理部7による加工軌跡を特定する処理の一例を示す図である。
図4図1の表示部13の具体的な表示画面の一例を示す第1図である。
図5図1の表示部13の具体的な表示画面の一例を示す第2図である。
図6図1の表示部13の具体的な表示画面の一例を示す第3図である。
図7】本発明の他の実施の形態に係る研削盤の(a)構成の一例を示すブロック図、(b)動作の一例を示すフロー図、及び、(c)工具情報の入力画面の一例を示す図である。
図8図7の表示部73の具体的な表示画面の一例を示す第1図である。
図9図7の表示部73の具体的な表示画面の一例を示す第2図である。
図10図7の表示部73の具体的な表示画面の一例を示す第3図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る研削盤の(a)構成の一例を示すブロック図、及び、(b)~(d)動作の一例を示すフロー図である。
【0019】
図1(a)を参照して、研削盤1は、研削プログラム生成装置2を備える。図2は、図1の研削盤1の具体的な一例を示す。図2の研削盤は、図2(b)にあるように、工作対象物を回転させ、砥石を接触させることにより、外径加工や端面加工、ストレート加工、テーパ加工、さらに、R加工(面取加工)などを実現することができる。従来、研削盤に組み込まれるコンピュータは、制御を行うためのものであって、プログラム生成などを行うまでには十分な処理能力がなく、プログラム生成は、別のコンピュータで行っていた。そのため、特許文献1のように、研削盤とは別に流通するCADなどを利用して、研削盤用のデータ等を生成していた。現在、研削盤1には一般的なPCなどと同等の処理能力を有するコンピュータが組み込まれており、研削盤1に組み込まれたコンピュータで、加工用プログラム生成などの処理を行うことができる。研削プログラム生成装置2は、研削盤1に組み込まれたコンピュータを利用して実現することができる。
【0020】
研削プログラム生成装置2は、区間情報入力部3と、点情報記憶部5と、加工軌跡処理部7と、メインプログラム生成部9と、処理情報記憶部11と、表示部13と、保存処理部17と、読出処理部19と、保存情報記憶部21を備える。
【0021】
研削プログラム生成装置2は、メインプログラムと、サブプログラムと、描画情報を生成する。
【0022】
描画情報は、研削盤1が加工する加工軌跡を表示するためのものである。サブプログラムは、加工軌跡による加工形状のためのプログラムである。本実施例では、研削盤1は、加工対象物を回転させつつ、切削工具を接触させて加工を行う。加工軌跡は、加工対象物の回転軸を含む断面におけるものとする。加工軌跡は、一つ又は複数の区間により構成されている。各区間の始点を「区間始点」といい、終点を「区間終点」という。
【0023】
メインプログラムは、加工条件を設定し、サブプログラムを呼び出すプログラムである。加工条件は、例えばオフセット値である。加工対象物は、通常、例えば荒加工や仕上げ加工など、複数回、加工を行う。メインプログラムは、複数回の加工のそれぞれに対して、加工条件を設定してサブプログラムを呼び出すことにより実現する。
【0024】
区間情報入力部3は、利用者が、加工軌跡を構成する各区間の区間始点及び区間終点に関する情報を入力する。点情報記憶部5は、各区間の区間始点及び区間終点に関する情報を記憶する。
【0025】
利用者は、加工軌跡の始点に関する始点情報を入力し、各区間の区間終点に関する区間終点情報を順番に指定する。ある区間における区間終点に関する情報は、続く区間の区間始点に関する情報となる。そのため、利用者は、加工軌跡の始点に関する始点情報を入力し、各区間の区間終点に関する区間終点情報を順番に指定することにより、各区間の区間始点及び区間終点に関する情報を入力することができる。
【0026】
区間始点に関する情報は、区間始点の位置を示す区間始点位置である。
【0027】
区間終点に関する情報は、つなぎ形状と、区間終点位置と、面取加工を含む。つなぎ形状は、当該区間における区間始点と区間終点との間の形状を特定するものである。本実施例では、直線(ストレート加工)、テーパ(テーパ加工)、及び、円弧である。区間終点位置は、区間終点の位置を示すものである。つなぎ形状が「直線」では、区間終点の断面上の位置を指定する。つなぎ形状が「テーパ」では、面の角度が指定されるため、区間終点の断面上の位置について、所定の方向(水平方向や垂直方向など)の位置が指定される。つなぎ形状が「円弧」では、例えば、時計回りか反時計回りか、区間終点及び半径などが特定される。面取加工は、区間終点における面取加工の形状を特定するものであり、利用者は、面取加工を行わないこと、C面加工を行うこと、R面加工を行うこと、などを特定する。
【0028】
加工軌跡処理部7は、サブプログラム及び描画情報を生成する。メインプログラム生成部9は、メインプログラムを生成する。処理情報記憶部11は、例えばメインメモリであり、加工軌跡処理部7及びメインプログラム生成部9が処理に使用できるように、メインプログラム、サブプログラム及び描画情報を保持する。
【0029】
表示部13は、入力された情報や、メインプログラム、サブプログラム、描画情報などを表示する。
【0030】
保存処理部17は、保存情報記憶部21(例えばハードディスクなど)に対して、加工軌跡処理部7及びメインプログラム生成部9が生成した、メインプログラム、サブプログラム及び描画情報などの組合せ(以下、「保存情報」という。)を保存する。読出処理部19は、保存情報記憶部21からメインプログラム、サブプログラム及び描画情報などの組合せを読み出す。
【0031】
図1(b)を参照して、メインプログラム生成部9の処理の一例を説明する。利用者は、呼び出すサブプログラムを特定する情報を入力する(ステップSTM1)。続いて、利用者は、複数の回数の加工のそれぞれに対し、加工条件を設定する(ステップSTM2)。メインプログラム生成部9は、各加工回数に設定された加工条件で、特定されたサブプログラムを呼び出すプログラムを生成する(ステップSTM3)。
【0032】
図1(c)を参照して、加工軌跡処理部7の処理の一例を説明する。本実施例では、加工軌跡を構成する各区間に対して、区間始点及び区間終点に関する情報を用いて、加工軌跡を表示するための描画情報と、加工する形状のサブプログラムを、リアルタイムに生成することにより、利用者は、点に関する情報を入力する際に、描画情報により視覚的に確認できることに加えて、サブプログラムにより具体的に確認することができる。
【0033】
利用者は、加工軌跡の始点に関する始点情報を入力する(ステップSTS1)。区間情報入力部3は、点情報記憶部5に、始点情報を記憶する。
【0034】
区間情報入力部3は、点情報記憶部5に対して、利用者が編集(追加・削除・変更など)した加工軌跡における各区間の区間終点に関する区間終点情報を記憶する。加工軌跡処理部7は、区間終点情報が編集されたか否かを判断する(ステップSTS2)。区間終点情報が編集されるまで待機し、区間終点情報が編集されたならば、編集後の区間終点情報に基づき、リアルタイムに、描画情報とサブプログラムを生成し、処理情報記憶部11に記憶する(ステップSTS3)。加工軌跡処理部7は、処理を終了するか否かを判断し(ステップSTS4)、終了しないならばステップSTS2に戻り、終了するならば、処理を終了する。
【0035】
図1(d)を参照して、読出処理部19による保存情報記憶部21に保存した保存情報を読み出す処理について説明する。読出処理部19は、利用者が保存情報記憶部21に保存された保存情報を読み出す指示をすると、保存情報記憶部21に保存された保存情報の一覧を表示し(ステップSTR1)、利用者が保存情報の一つを特定したか否かを判断する(ステップSTR2)。利用者が保存情報の一つを特定するまで待機し、保存情報の一つを特定したならば、保存情報に含まれる描画情報に基づき加工軌跡を表示する(ステップSTR3)(図6(b)参照)。読出処理部19は、利用者が、特定した保存情報を読み出す指示をしたか否かを判断する(ステップSTR4)。利用者が異なる保存情報を特定したならば、ステップSTR3の処理に戻る。利用者が特定した保存情報を読み出す指示をしたならば、読出処理部19は、特定した保存情報を処理情報記憶部11に読み出す(ステップSTR5)。
【0036】
図3を参照して、加工軌跡の特定の一例を説明する。この例では、加工対象物は円柱であり、高さ20mm、底面の直径は36mmである。断面図では、左右の面が円である。回転軸は、円柱の円の中心をとおるものである。X軸は上向き、Z軸は右向きであり、これらの原点は、断面図の右側の中心である。なお、簡単のために、断面では、上半分のみを記載している。実際の断面図は、下半分にも回転軸に線対称な形状を表示する(図4(a)参照)。
【0037】
加工軌跡の始点位置S1は、左側の面の円の中心であり、Xは0mm、Zは-20mmである。
【0038】
利用者は、最初に、最初の区間(始点を含む区間)の区間終点E1に関する情報を入力する。つなぎ形状は「直線」であり、E1の座標は、Xが13.8mm、Zが-20mmである。面取加工は「R」(R面加工)である。図3(b)にあるように、加工軌跡処理部7は、この時点では、S1とE1を直線で結んだ加工軌跡を示す描画情報及びサブプログラムを生成する。
【0039】
続いて、利用者は、2番目の区間(E1を始点とする区間)の区間終点E2に関する情報を入力する。つなぎ形状は「直線」であり、E2の座標は、Xが13.8mm、Zが-13mmである。面取加工は「C」(C面加工)である。図3(c)にあるように、加工軌跡処理部7は、E1とE2を直線で結び、E1をR面加工した加工軌跡を示す描画情報及びサブプログラムを生成する。
【0040】
続いて、利用者は、3番目の区間(E2を始点とする区間)の区間終点E3に関する情報を入力する。つなぎ形状は「直線」であり、E3の座標は、Xが9mm、Zが-13mmである。面取加工は「なし」である。図3(d)にあるように、加工軌跡処理部7は、E2とE3を直線で結び、E2をC面加工した加工軌跡を示す描画情報及びサブプログラムを生成する。
【0041】
続いて、利用者は、4番目の区間(E3を始点とする区間)の区間終点E6に関する情報を入力する。つなぎ形状は「直線」であり、E6の座標は、Xが9mm、Zが0mmである。面取加工は「なし」である。図3(e)にあるように、加工軌跡処理部7は、E3とE6を直線で結んだ加工軌跡を示す描画情報及びサブプログラムを生成する。
【0042】
次に、利用者は、順番「3」の区間終点に関する情報において、区間終点E4に関する情報に変更する。つなぎ形状は「円弧」であり、半径が4.8mm、時計回りで、E4の座標は、Xが9mm、Zが-8.2mmである。加工軌跡処理部7は、E2とE4を円弧で結び、E4とE6を直線で結ぶ。しかしながら、E2では、C面加工を行うことができない。そのため、表示部13において、順番「2」での区間終点に関する情報において、面取加工の指定に関してエラー表示を行う。図3(f)にあるように、利用者が順番「2」での面取加工を「なし」に変更すると、加工軌跡処理部7は、図3(g)にあるように、S、E1、E2、E4及びE6を順に経由する加工軌跡を示す描画情報及びサブプログラムを生成する。
【0043】
次に、図3(h)にあるように、利用者は、順番「3」の区間終点に関する情報において、つなぎ形状を「テーパ」に変更したとする。ここで、テーパの角度はZ軸から時計回りに40°であり、区間終点位置は、Xの座標が9mmで特定されているとする。加工軌跡処理部7は、テーパの角度とXの座標から、区間終点E5を特定する。そして、E2とE5を直線で結び、E5とE6を直線で結ぶ。加工軌跡処理部7は、図3(i)にあるように、S、E1、E2、E5及びE6を順に経由する加工軌跡を示す描画情報及びサブプログラムを生成する。
【0044】
図4図5及び図6は、具体的なシステムにおける表示部13の表示画面の一例を示す。図2の表示画面41に表示されるものである。図4(a)を参照して、利用者が「ファイル」(符号51)を指定すると、メインプログラム、サブプログラム及び描画情報を生成する処理を行う。
【0045】
利用者が「ファイル」(符号51)を指示し、「作成」(符号57)を指示すると、符号55において、メインプログラム(MAIN)とサブプログラム(SUB)のいずれに対して、情報を入力するかを指示する。図4はサブプログラムを指示した場合を示し、図6はメインプログラムを指示した場合を示す。なお、「編集」を指示したならばプログラムを編集することができ、「入出力」を指示したならば既存の形式でプログラムを保存したり読み込んだりすることができる。
【0046】
利用者は、加工対象物の形状を特定し、始点位置を特定する。そして、区間終点に関する情報を順番に特定する。ここで、形状(つなぎ形状)及びコーナ(面取加工)は、プルダウンメニューで選択することができる。図5は、形状について、プルダウンメニューにより選択できる項目と、各項目に対応して入力ができる欄とできない欄を示す。形状(つなぎ形状)が「直線」の場合、図5(a)にあるように、区間終点のX及びZの座標を入力する。「テーパ」の場合、図5(b)及び(c)にあるように、「角度」と区間終点のXの座標又はZの座標を入力する。「円弧」の場合、図5(d)及び(e)にあるように、時計回り(CW)か反時計回り(CCW)かを選択し、区間終点のX及びZ座標と「半径」を入力する。また、この例では、「コーナ量」として、面取加工の大きさを指定することができる。「送り速度」を各区間毎に入力することができる。
【0047】
利用者は、区間終点を入力するに伴い、リアルタイムに表示するものを描画情報(PICTURE PREVIEW)とサブプログラム(PROGRAM PREVIEW)のいずれとするかを選択することができる(符号59)。図4(a)では、描画情報が表示され、図4(b)では、サブプログラムが表示されている。
【0048】
図6(a)を参照して、メインプログラムに関する表示画像の例を説明する。利用者は、メインプログラムを指定すると(符号55)、保存情報のファイル名、メインプログラム番号、サブプログラム番号を特定する。図6(a)では、ファイル名は「TEST_IN001」、メインプログラム番号「1」、サブプログラム番号「2」として特定されている。そして、加工回数に応じて、加工条件を設定する。図6(a)では、各加工回数に対して、X方向(図の上向き)とZ方向(図の右向き)のそれぞれに対し、切り込み、初期位置、最終切り込みを設定している。
【0049】
図6(b)を参照して、利用者が保存情報の読み出しを指示した場合、保存情報の一覧を表示する。利用者が「TEST_IN002」のファイルを指示した場合、このファイルに保存されている描画情報を表示する。これにより、読出処理部19が加工軌跡に関する具体的な処理を行うことなく、利用者は、ファイル全体の読み出し処理を行う前に、断面形状を確認することができる。利用者は、表示された断面形状を確認して、ファイル全体を読み出す指示を行う。
【実施例2】
【0050】
図7は、本発明の他の実施の形態に係る研削盤の(a)構成の一例を示すブロック図、(b)動作の一例を示すフロー図及び(c)工具情報の入力画面の一例を示す図である。
【0051】
図7(a)を参照して、研削盤61は、研削プログラム処理装置62(本願請求項の「研削プログラム処理装置」の一例)を備える。研削プログラム処理装置62は、区間情報入力部63(本願請求項の「区間情報入力部」の一例)と、点情報記憶部65と、加工軌跡処理部67(本願請求項の「加工軌跡処理部」の一例)と、メインプログラム生成部69と、処理情報記憶部71と、表示部73(本願請求項の「表示手段」の一例)と、保存処理部77(本願請求項の「保存処理部」の一例)と、読出処理部79(本願請求項の「読出処理部」の一例)と、保存情報記憶部81を備える。
【0052】
図7(a)の区間情報入力部63、点情報記憶部65、加工軌跡処理部67、メインプログラム生成部69、処理情報記憶部71、表示部73、保存処理部77、読出処理部79、及び、保存情報記憶部81は、それぞれ、図1(a)の区間情報入力部3、点情報記憶部5、加工軌跡処理部7、メインプログラム生成部9、処理情報記憶部11、表示部13、保存処理部17、読出処理部19、及び、保存情報記憶部21と同様に動作する。
【0053】
さらに、加工軌跡処理部67は、例えば保存情報記憶部に加工処理を実現するための分析対象プログラムが記憶されており、この分析対象プログラムを解析して、分析対象プログラムによる加工軌跡を特定することもできる。本実施例では、加工軌跡処理部67は、先の実施例と同様に、利用者が入力した、始点位置、つなぎ形状、区間終点及び面取加工を特定する情報(本願請求項の「加工軌跡特定情報」の一例)などにより加工軌跡を特定することができる。また、加工軌跡処理部67は、分析対象プログラムを解析して加工軌跡を特定することもできる。さらに、例えば分析プログラムを解析して、利用者による入力に応じて修正するように、両方によって加工軌跡を特定することもできる。
【0054】
本実施例では、研削プログラム処理装置62は、さらに、工具情報設定部83(本願請求項の「工具情報設定部」の一例)と、工具情報記憶部85と、工具情報表示部87(本願請求項の「工具情報表示部」の一例)を備える。
【0055】
図7(b)は、工具情報設定部83、工具情報記憶部85及び工具情報表示部87の動作の一例を示すフロー図である。まず、工具情報設定部83は、工具の初期値を設定する(ステップSTK1)。
【0056】
利用者により工具情報が設定されたか否かを判断する(ステップSTK2)。図7(c)は、利用者による設定画面の一例である。設定されていないならば、ステップSTK4に進む。設定されるならば、工具情報設定部83は、工具情報記憶部85に対して、設定された工具の情報を設定し(ステップSTK3)、ステップSTK4に進む。ここで、工具は、研削に使用するものであり、台形の形状であるとする。工具情報は、A、B、C、D及びEの5つを設定することができる。また、各工具は、その形状として、台形の形状の下底の長さ(H)、高さ(W)及び下底の一方端の角度R、並びに、工具の傾きθを設定することができる。H、W、R及びθの組合せを工具情報という。
【0057】
ステップSTK4において、工具情報設定部83は、利用者により選択された工具が変更されたか否かを判断する。工具情報記憶部85は、A、B、C、D及びEという5種類の工具を記憶する。この例では、一つのプログラムにおいて使用する工具は、一種類であるとする。ステップSTK4では、例えば、利用者が工具Aを選択した状態から工具Bを選択した状態に変更したように、利用者が選択する工具を変更したか否かを判断する。変更したならばステップSTK5で工具を変更してステップSTK6に進む。変更していないならば、ステップSTK6に進む。
【0058】
ステップSTK6において、工具情報表示部87は、表示部73に、工具を表示するか否かを判断する。工具を表示しないならば、ステップSTK2に戻る。工具を表示するならば、特定区間のみを表示するか否かを判断する(ステップSTK7)。特定区間のみを表示するならば、利用者が指定する特定区間の終点位置に工具を表示し(ステップSTK8)、ステップSTK2に戻る。そうでないならば、すべての区間の終点位置に工具を表示し(ステップSTK9)、ステップSTK2に戻る。
【0059】
例えば図8のようにプログラムの作成処理の場合には、特定された加工軌跡に対して、プログラム生成情報を利用して、少なくとも一つの区間に前記工具の形状を表示する。また、例えば図10のようにプログラムから作画する処理の場合には、プログラムの少なくとも一つのブロック情報に対応する区間に工具の形状を表示する。区間における表示位置は、例えば区間の終点である。例えば、図7(d)は、図3(c)に対応するものである。図7(d)において、点E1a及び点E1bは、それぞれ、点E1に関する面取加工の開始点及び終了点である。加工区間P1、P2及びP3は、それぞれ、点Sから点E1a、点E1aから点E1b、及び、点E1bからE2を加工する区間である。図7(d)では、区間の終点位置E1が面取加工による加工区間P2とは異なる。このような場合に、工具は、プログラムの作成処理の場合にはS、点E1と点E2から計算される点(例えば図7(d)のE1b)、及び、E2の全部、又は、選択された区間のものに表示する。他方、プログラムから作図する処理の場合には、加工区間P1、P2及びP3を加工するための3つのプログラム指令で構成されるため、S、E1a、E1b及びE2の全部、又は、選択された区間のものに表示する。
【0060】
図8は、プログラムの作成処理において、工具を表示する画面の一例を示す(図4参照)。この例では、「9」ブロックの区間について、終点位置に工具を表示する。
【0061】
利用者は、101の「編集」ボタンを指定すると、図7(c)の画面が表示されて工具情報を設定する。項目103は、利用者が表示する工具を特定するためのものである。工具情報表示部87は、項目103により特定された工具を表示する。利用者は、項目105の行を指定することにより「9」ブロックを特定する。また、利用者は、項目107の「ノーズR補正」の「G41」と「G42」いずれかを選択することにより、加工方向に対して左側か右側かを指定することができる。この実施例では、「ノーズR補正」の指定に応じて工具を左側か右側のいずれか一方に表示するため、利用者は、内側を加工するか外側を加工するかを明確に把握することができる。
【0062】
項目109及び項目111の「工具描画」の部分は、利用者が工具を表示するか否かを指定するためのものである。工具を表示しないならば、いずれのチェックボックスもチェックしない。指定ブロックのみを表示する場合には、項目109の「指定ブロック」のチェックボックスにチェックし、項目111の「全ブロック」のチェックボックスはチェックしない。全部の区間に工具を表示するならば、項目111の「全ブロック」のチェックボックスをチェックする。
【0063】
図8では、選択された工具は「E」であり、「指定ブロック」がチェックされ、「全ブロック」はチェックされていない。指定ブロックとして、「9」ブロックが選択されている。また、ノーズR補正は「G42」が指定されており、工具の位置は、加工方向に対して右側である。
【0064】
加工軌跡を表示する箇所113において、「*」は加工の開始位置を示す。加工軌跡において選択された「9」ブロックに対応する区間115を別の色で表示し、その区間終点の位置において、加工方向に対して右側に工具117を表示している。
【0065】
図9は、工具の表示例を示す。図9(a)は、図8と同様に、特定の区間の終点位置に工具Aを表示したものである。図9(b)は、全区間の終点位置に工具Aを表示したものである。図9(c)は、工具を変更した例を示し、全区間の終点位置に工具Dを表示したものである。図9(d)は、異なる加工軌跡について、内側を加工する場合に、特定の区間の終点位置で工具Eを表示し、拡大したものである。本実施例によれば、加工軌跡に加えて工具が表示されるために、干渉の有無を容易に把握することができる。
【0066】
図10は、プログラムから加工軌跡を作画する処理において、工具を表示する画面の一例を示す。本実施例では、加工軌跡処理部67は、プログラムから加工軌跡を描画することができる。この加工軌跡とともに、工具を表示する例を示す。
【0067】
図10(a)は、「23」ブロックが選択され、それを強調表示するとともに、その区間の終点位置に、利用者が選択した工具Aを描画した例を示す。
【0068】
図10(b)は、「23」ブロックが選択されて強調されているが、工具描画の「全ブロック」のチェックボックスがチェックされており、全区間の終点位置に工具Aを表示した例を示す。
【符号の説明】
【0069】
1,61 研削盤、2 研削プログラム生成装置、3,63 区間情報入力部、5,65 点情報記憶部、7,67 加工軌跡処理部、9,69 メインプログラム生成部、11,71 処理情報記憶部、13,73 表示部、17,77 保存処理部、19,79 読出処理部、21,81 保存情報記憶部、62 研削プログラム処理装置、83 工具情報設定部、85 工具情報記憶部、87 工具情報表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10