IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-振れ補正機能付き光学ユニット 図1
  • 特許-振れ補正機能付き光学ユニット 図2
  • 特許-振れ補正機能付き光学ユニット 図3
  • 特許-振れ補正機能付き光学ユニット 図4
  • 特許-振れ補正機能付き光学ユニット 図5
  • 特許-振れ補正機能付き光学ユニット 図6
  • 特許-振れ補正機能付き光学ユニット 図7
  • 特許-振れ補正機能付き光学ユニット 図8
  • 特許-振れ補正機能付き光学ユニット 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230606BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20230606BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230606BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230606BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20230606BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20230606BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230606BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B17/56 A
G03B17/02
H04N23/50
H04N23/57
H04N23/68
G03B30/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019082554
(22)【出願日】2019-04-24
(65)【公開番号】P2020181039
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-235188(JP,A)
【文献】特開2017-116578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0373272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 - 5/08
G03B 17/02 - 17/22
G03B 17/56 - 17/58
H04N 5/222 - 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を備えた可動体と、
前記可動体を光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構と、
前記ジンバル機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、
前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記可動体と前記ジンバルフレームとを前記第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、前記固定体と前記ジンバルフレームとを前記第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備え、
前記第1接続機構は、前記可動体と前記ジンバルフレームの一方に設けられる第1球体、および、前記可動体と前記ジンバルフレームの他方に設けられて前記第1球体が点接触する第1凹曲面を備え、
前記第2接続機構は、前記固定体と前記ジンバルフレームの一方に固定される第2球体、および、前記固定体と前記ジンバルフレームの他方に設けられて前記第2球体が点接触する第2凹曲面を備え、
前記可動体は、前記光軸に沿う光軸方向に延びる筒状の外周面を備える外装ケースと、前記外装ケースの前記第1軸方向の対角位置において前記外周面から外周側へ突出する突出部を備え、
前記外周面は、
前記光軸を挟んで反対側に位置する第1側面および第2側面と、
前記第1側面および前記第2側面と直交し且つ前記光軸を挟んで反対側に位置する第3側面および第4側面と、
前記第1側面と前記第3側面とが繋がる角部および前記第2側面と前記第4側面とが繋がる角部を面取りした前記第1軸方向の面取り部と、
前記第1側面と前記第4側面とが繋がる角部および前記第2側面と前記第3側面とが繋がる角部を面取りした前記第2軸方向の面取り部と、を備え、
前記突出部は、前記第1軸方向の面取り部から突出し、
前記第1球体および前記第1凹曲面の一方は、前記突出部に配置されることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記光学素子はレンズであり、
前記可動体は、前記レンズと、前記レンズの光軸上に配置される撮像素子と、前記外装ケースと、を備えたカメラモジュールであり、
前記突出部は、前記カメラモジュールに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記突出部は、前記外装ケースと一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記振れ補正用駆動機構は、前記可動体に設けられた磁石と、前記固定体に設けられたコイルを備え、
前記磁石は、前記外装ケースに固定されることを特徴とする請求項2または3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記カメラモジュールは、前記レンズを駆動する磁気駆動機構を備え、
前記外装ケースは、磁性材からなることを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記カメラモジュールは、前記レンズを駆動する磁気駆動機構を備え、
前記外装ケースは非磁性部材からなり、
前記磁石は、磁性板を介して前記外装ケースに固定されることを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記第1接続機構は、前記第1球体および前記第1凹曲面の一方が設けられたジンバルフレーム受け部材を備え、
前記突出部は、前記ジンバルフレーム受け部材が配置される収容部を備えることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記ジンバルフレームは、
前記光軸方向から見て前記外装ケースと重なる第1フレーム部分と、
前記第1フレーム部分の前記第1軸方向の対角位置から前記光軸方向へ延びる第1支持部用延設部と、
前記第1フレーム部分の前記第2軸方向の対角位置から前記光軸方向へ延びる第2支持部用延設部と、を備え、
前記第1支持部用延設部は、前記第1軸方向に弾性変形可能であり、
前記第1球体および前記第1凹曲面の一方は、前記第1支持部用延設部に設けられ、前記突出部に配置される、前記第1球体および前記第1凹曲面の他方と前記第1軸方向に弾性接触し、
前記第2支持部用延設部は、前記第2軸方向に弾性変形可能であり、
前記第2球体および前記第2凹曲面の一方は、前記第2支持部用延設部に設けられ、前記固定体に配置される、前記第2球体および前記第2凹曲面の他方と前記第2軸方向に弾性接触することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記第1支持部用延設部は、外周側へ向かう弾性力を発生させ、
前記第1球体および前記第1凹曲面の一方は、前記第1支持部用延設部に設けられ、前記突出部に配置される、前記第1球体および前記第1凹曲面の他方に対して、内周側から弾性接触することを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項10】
前記突出部は、前記第1支持部用延設部の外周側に配置される壁部と、前記壁部の前記
光軸方向の端部と前記外装ケースの外周面とを接続する接続部と、を備えることを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項11】
前記第1支持部用延設部は、内周側へ向かう弾性力を発生させ、
前記第1球体および前記第1凹曲面の一方は、前記第1支持部用延設部に設けられ、前記突出部に配置される、前記第1球体および前記第1凹曲面の他方に対して、外周側から弾性接触することを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールなどの光学モジュールの振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットには、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、光学モジュールが搭載される可動体を所定の軸回りに揺動あるいは回転させて振れを補正する機構を備えるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが開示される。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体を固定体に対して所定の軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構を備える。ジンバル機構は、矩形枠状のジンバルフレーム(可動枠)と、ジンバルフレームを可動体および固定体と接続する接続機構と、を備える。接続機構は、球体と、球体が接触する半球状凹部を備える球体支持部と、を備える。
【0004】
接続機構は、光軸と直交し且つ互いに直交する軸方向を第1軸および第2軸とした場合に、ジンバルフレームの第1軸方向の対角位置において可動体とジンバルフレームの一方に設けられた球体と、他方に設けられた球体支持部を備えるとともに、ジンバルフレームの第2軸方向の対角位置において固定体とジンバルフレームの一方に設けられた球体と、他方に設けられた球体支持部を備える。これにより、可動体がジンバルフレームに対して第1軸周りに揺動可能に支持されると共に、可動体およびジンバルフレームが固定体に対して第2軸周りに揺動可能に支持される。
【0005】
特許文献1では、可動体は、カメラモジュールと、カメラモジュールを外周側から保持するホルダ(カメラモジュールホルダ)を備えている。カメラモジュールホルダの第1軸(第1軸線)方向の対角位置には、可動体とジンバルフレーム(可動枠)とを接続する第1接続機構が構成される。第1接続機構は、カメラモジュールホルダの第1軸(第1軸線)方向の対角位置に設けられた第1接点バネ保持部と、第1接点バネ保持部に固定される接点バネと、ジンバルフレーム(可動枠)の第1軸方向の対角位置に溶接される球体とを備えており、接点バネの半球状凹部(接点部)と球体とを点接触させることにより、第1接続機構が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-15847号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
振れ補正機能付き光学ユニットを小型化するために、可動体およびジンバル機構を簡素で省スペースな構成にすることが求められている。特許文献1では、可動体がカメラモジュールの外周側を囲む別部材のホルダ(カメラモジュールホルダ)を備えており、ホルダにジンバル機構の第1接続機構を構成する接点バネが配置される。従って、可動体の構成が複雑化し、可動体が大型化するという問題があった。そのため、振れ補正機能付き光学ユニットを小型化するのに不利な構造であった。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、ジンバル機構によって支持される可動体を小
型化し、振れ補正機能付き光学ユニットを小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を備えた可動体と、前記可動体を光軸と交差する第1軸回りに揺動可能に支持すると共に、前記可動体を前記光軸および前記第1軸と交差する第2軸回りに揺動可能に支持するジンバル機構と、前記ジンバル機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を前記第1軸回りおよび前記第2軸回りに揺動させる振れ補正用駆動機構と、を有し、前記ジンバル機構は、ジンバルフレームと、前記可動体と前記ジンバルフレームとを前記第1軸回りに回転可能に接続する第1接続機構と、前記固定体と前記ジンバルフレームとを前記第2軸回りに回転可能に接続する第2接続機構と、を備え、前記第1接続機構は、前記可動体と前記ジンバルフレームの一方に設けられる第1球体、および、前記可動体と前記ジンバルフレームの他方に設けられて前記第1球体が点接触する第1凹曲面を備え、前記第2接続機構は、前記固定体と前記ジンバルフレームの一方に固定される第2球体、および、前記固定体と前記ジンバルフレームの他方に設けられて前記第2球体が点接触する第2凹曲面を備え、前記可動体は、前記光軸に沿う光軸方向に延びる筒状の外周面を備える外装ケースと、前記外装ケースの前記第1軸方向の対角位置において前記外周面から外周側へ突出する突出部を備え、前記外周面は、前記光軸を挟んで反対側に位置する第1側面および第2側面と、前記第1側面および前記第2側面と直交し且つ前記光軸を挟んで反対側に位置する第3側面および第4側面と、前記第1側面と前記第3側面とが繋がる角部および前記第2側面と前記第4側面とが繋がる角部を面取りした前記第1軸方向の面取り部と、前記第1側面と前記第4側面とが繋がる角部および前記第2側面と前記第3側面とが繋がる角部を面取りした前記第2軸方向の面取り部と、を備え、前記突出部は、前記第1軸方向の面取り部から突出し、前記第1球体および前記第1凹曲面の一方は、前記突出部に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、可動体の外装ケースから突出する突出部にジンバル機構の第1接続機構が配置される。従って、外装ケースの外周側には、対角位置に配置された突出部以外に新たな構造物を設ける必要がないので、可動体の外形を小さくすることができる。従って、可動体を小型化でき、振れ補正機能付き光学ユニットを小型化できる。また、外装ケースは、光軸方向から見て前記第1軸および前記第2軸を対角方向とする矩形の角部を面取りした八角形の平面形状であるため、第1軸方向の対角位置に突出部を配置するスペースを確保できる。従って、可動体の外形を光軸と直交する方向で小さくすることができる。
【0011】
本発明において、前記光学素子はレンズであり、前記可動体は、前記レンズと、前記レンズの光軸上に配置される撮像素子と、前記外装ケースと、を備えたカメラモジュールであり、前記突出部は、前記カメラモジュールに設けられていることが好ましい。このように、可動体がカメラモジュールである場合に、カメラモジュールの第1軸方向の対角位置に突出部を設けて第1接続機構を配置することにより、カメラモジュールの外周側に新たな構造物を設ける必要がない。従って、可動体を光軸と直交する方向で小型化できる。
【0012】
本発明において、前記突出部は、前記外装ケースと一体に形成されていることが好ましい。このようにすると、突出部を別部材にした場合と比較して、部品点数を削減できる。また、突出部を固定する作業を行う必要がないので、組立作業を簡略化できる。また、突出部が脱落するおそれがない。
【0014】
本発明において、前記振れ補正用駆動機構は、前記可動体に設けられた磁石と、前記固定体に設けられたコイルを備え、前記磁石は、前記外装ケースに固定されることが好ましい。このようにすると、磁石を固定するためにカメラモジュールの外周側に新たな構造物を設ける必要がない。従って、可動体を光軸と直交する方向で小型化できる。
【0015】
この場合に、前記カメラモジュールは、前記レンズを駆動する磁気駆動機構を備え、前記外装ケースは、磁性材からなることが好ましい。このようにすると、振れ補正用駆動機
構を構成する磁石が発生させる磁界を外装ケースによって遮蔽できる。従って、カメラモジュールに搭載されるレンズ駆動用の磁気駆動機構に対して、外装ケースに固定された振れ補正用駆動機構の磁石が磁気的影響を及ぼすことを抑制できる。
【0016】
あるいは、前記カメラモジュールは、前記レンズを駆動する磁気駆動機構を備え、前記外装ケースは非磁性部材からなり、前記磁石は、磁性板を介して前記外装ケースに固定されることが好ましい。このようにすると、振れ補正用駆動機構を構成する磁石が発生させる磁界を磁性板によって遮蔽できる。従って、カメラモジュールに搭載されるレンズ駆動用の磁気駆動機構に対して、外装ケースに固定された振れ補正用駆動機構の磁石が磁気的影響を及ぼすことを抑制できる。
【0017】
本発明において、前記第1接続機構は、前記第1球体および前記第1凹曲面の一方が設けられたジンバルフレーム受け部材を備え、前記突出部は、前記ジンバルフレーム受け部材を収容する収容部を備えることが好ましい。このようにすると、第1接続機構を外部からの影響を受けにくい位置に配置することができる。
【0018】
本発明において、前記ジンバルフレームは、前記光軸方向から見て前記外装ケースと重なる第1フレーム部分と、前記第1フレーム部分の前記第1軸方向の対角位置から前記光軸方向へ延びる第1支持部用延設部と、前記第1フレーム部分の前記第2軸方向の対角位置から前記光軸方向へ延びる第2支持部用延設部と、を備え、前記第1支持部用延設部は、前記第1軸方向に弾性変形可能であり、前記第1球体および前記第1凹曲面の一方は、前記第1支持部用延設部に設けられ、前記突出部に配置される、前記第1球体および前記第1凹曲面の他方と前記第1軸方向に弾性接触し、前記第2支持部用延設部は、前記第2軸方向に弾性変形可能であり、前記第2球体および前記第2凹曲面の一方は、前記第2支持部用延設部に設けられ、前記固定体に設けられた、前記第2球体および前記第2凹曲面の他方と前記第2軸方向に弾性接触することが好ましい。このようにすると、第1支持部用延設部および第2支持部用延設部の弾性力により、第1球体と第1凹曲面、および、第2球体と第2凹曲面を弾性接触させることができる。従って、第1球体と第1凹曲面、および、第2球体と第2凹曲面を確実に当接させることができるので、ジンバル機構による支持位置のぶれを抑制できる。
【0019】
本発明において、前記第1支持部用延設部は、外周側へ向かう弾性力を発生させ、前記第1球体および前記第1凹曲面の一方は、前記第1支持部用延設部に設けられ、前記突出部に配置される、前記第1球体および前記第1凹曲面の他方に対して、内周側から弾性接触することが好ましい。このようにすると、ジンバルフレームの第1支持部用延設部からの弾性力を受ける部材が第1支持部用延設部の外周側に配置される。従って、ジンバル機構を組み立てる際に、第1支持部用延設部の弾性力を受ける部材の位置を視認しながら組み立てることができる。よって、ジンバル機構を組み立てやすい。
【0020】
この場合に、前記突出部は、前記第1支持部用延設部の外周側に配置される壁部と、前記壁部の前記光軸方向の端部と前記外装ケースの外周面とを接続する接続部と、を備えることが好ましい。このようにすると、壁部によって第1支持部用延設部からの弾性力を受けることができるので、支持位置のぶれが少ない。また、接続部は、壁部の光軸方向の端部に接続されているので、突出部の構成を簡略化できるとともに、突出部の周方向の幅を小さくすることができる。
【0021】
あるいは、本発明において、前記第1支持部用延設部は、内周側へ向かう弾性力を発生させ、前記第1球体および前記第1凹曲面の一方は、前記第1支持部用延設部に設けられ、前記突出部に配置される、前記第1球体および前記第1凹曲面の他方に対して、外周側から弾性接触することが好ましい。このようにすると、第1支持部用延設部の弾性力を受
ける部材が第1支持部用延設部の内周側に配置される。従って、第1支持部用延設部の外周側に弾性力を受ける部材を配置する必要がないので、突出部を小型化できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、可動体の外装ケースから突出する突出部にジンバル機構の第1接続機構が配置される。従って、外装ケースの外周側には、対角位置に配置された突出部以外に新たな構造物を設ける必要がないので、可動体の外形を小さくすることができる。従って、可動体を小型化でき、振れ補正機能付き光学ユニットを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの外観斜視図である。
図2図1の振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図3図1の振れ補正機能付き光学ユニットの平面図である。
図4】可動体およびジンバルフレームを第1軸に沿って切断した断面図(図3のA-A断面図)である。
図5】ジンバルフレーム、第1ジンバルフレーム受け部材、および第2ジンバルフレーム受け部材の分解斜視図である。
図6】第1支点部を内周側から見た部分断面斜視図、および、第1支点部の分解斜視図である。
図7】第1ジンバルフレーム受け部材および第2ジンバルフレーム受け部材の分解斜視図である。
図8図1の振れ補正機能付き光学ユニットにおける第1接続機構および変形例1の第1接続機構を模式的に示す断面図である。
図9】変形例2の第1接続機構、および、変形例3の第1接続機構を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の実施形態を説明する。本明細書において、XYZの3軸は互いに直交する軸線方向であり、X軸方向の一方側を+X、他方側を-Xで示し、Y軸方向の一方側を+Y、他方側を-Yで示し、Z軸方向の一方側を+Z、他方側を-Zで示す。Z軸方向は、カメラモジュール2の光軸L方向と一致する。また、+Z方向は光軸L方向の一方側(被写体側)であり、-Z方向は光軸L方向の他方側(像側)である。
【0025】
(全体構成)
図1は本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。図2は、図1の振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。図3は、図1の振れ補正機能付き光学ユニット1の平面図である。振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ等の光学素子を備えたカメラモジュール2を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、カメラモジュール2の傾きを補正する。
【0026】
図1図3に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール2を備えた可動体3と、可動体3を揺動可能に支持するジンバル機構4と、ジンバル機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、固定体5に対して可動体3を揺動させる振れ補正用駆動機構6と、可動体3に接続される第1フレキシブルプリント基板(不図示)と、固
定体5に取り付けられる第2フレキシブルプリント基板8を備える。
【0027】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、光軸L(Z軸)と交差し且つ互いに交差する2軸回りに可動体3を揺動させて振れ補正を行う。X軸回りの振れ補正と、Y軸回りの振れ補正を行うことにより、ピッチング(縦揺れ)方向の振れ補正、および、ヨーイング(横揺れ)方向の振れ補正を行う。
【0028】
図1に示すように、可動体3は、ジンバル機構4により、光軸L(Z軸)と直交する第1軸R1回りに揺動可能に支持されるとともに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りに揺動可能に支持される。第1軸R1および第2軸R2は、X軸およびY軸に対して45度傾いている。第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、可動体3は、X軸回りおよびY軸回りに揺動可能である。従って、可動体3は、ジンバル機構4により、X軸回りおよびY軸回りに揺動可能に支持されている。
【0029】
図2図3に示すように、ジンバル機構4は、可動体3の第1軸R1上の対角位置に設けられた第1支点部41と、固定体5の第2軸R2上の対角位置に設けられた第2支点部42と、ジンバルフレーム9を備える。ジンバルフレーム9は、金属製の板ばねであり、第1軸R1上の対角位置に設けられた2箇所の第1支持部901、および、第2軸R2上の対角位置に設けられた2箇所の第2支持部902を備える。ジンバル機構4は、第1支持部901を第1支点部41に点接触させ、第2支持部902を第2支点部42に点接触させるように組み立てられる。これにより、可動体3は、ジンバルフレーム9を介して、第1軸R1回りに揺動可能に支持されるとともに、第2軸R2回りに揺動可能に支持される。
【0030】
可動体3の第1支点部41とジンバルフレーム9の第1支持部901とは、ジンバル機構4において、可動体3を第1軸R1回りに回転可能に支持する第1接続機構47を構成する。また、固定体5の第2支点部42とジンバルフレーム9の第2支持部902とは、ジンバル機構4において、ジンバルフレーム9を第2軸R2回りに回転可能に支持する第2接続機構48を構成する。
【0031】
図1図3に示すように、振れ補正用駆動機構6は、可動体3をX軸回りの駆動力を発生させる第1磁気駆動機構6Xと、可動体3をY軸回りの駆動力を発生させる第2磁気駆動機構6Yを備える。本形態では、第1磁気駆動機構6Xおよび第2磁気駆動機構6Yは、それぞれ、1箇所に配置される。第1磁気駆動機構6Xは、可動体3の-Y方向側に配置される。また、第2磁気駆動機構6Yは、可動体3の+X方向側に配置される。このように、振れ補正用駆動機構6が配置される位置を2箇所に限定したことにより、Z軸方向(光軸L方向)から見た振れ補正機能付き光学ユニット1の形状が小型化される。
【0032】
第1磁気駆動機構6Xは、1組の磁石61Xおよびコイル62Xを備える。また、第2磁気駆動機構6Yは、1組の磁石61Yおよびコイル62Yを備える。第1磁気駆動機構6Xの磁石61Xおよびコイル62Xは、Y軸方向に対向する。第2磁気駆動機構6Yの磁石61Yおよびコイル62Yは、X軸方向に対向する。本形態では、磁石61X、61Yが可動体3に配置され、コイル62X、62Yが固定体5に配置される。なお、磁石61X、61Yとコイル62X、62Yの配置は、本形態とは逆でも良い。すなわち、磁石61X、61Yを固定体5に配置し、コイル62X、62Yを可動体3に配置してもよい。
【0033】
(可動体)
図4は、可動体3およびジンバルフレーム9を第1軸R1に沿って切断した断面図であり、図3のA-A位置で切断した断面図である。図2図4に示すように、可動体3は、
カメラモジュール2を備える。カメラモジュール2は、外装ケースであるハウジング20と、ハウジング20の-Z方向の端部に配置される基板25と、ハウジング20から+Z方向に突出する筒部26と、筒部26に保持されるレンズ群2A(光学素子)と、ハウジング20の内部に配置されるレンズ駆動機構27と、基板25に搭載される撮像素子28を備える。撮像素子28は、レンズ群2Aの光軸L上に配置される。
【0034】
図2に示すように、ハウジング20(外装ケース)は、光軸L方向から見て8角形の平面形状をしている。ハウジング20は、+X方向を向く第1側面21、-X方向を向く第2側面22、+Y方向を向く第3側面23、-Y方向を向く第4側面24を備える。第1側面21には、第2磁気駆動機構6Yの磁石61Yが固定される。また、第4側面24には、第1磁気駆動機構6Xの磁石61Xが固定される。本形態では、ハウジング20は樹脂製であるため、第1側面21および第4側面24には、ヨーク部材63が固定される。ヨーク部材63は磁性板であり、磁石61Yおよび磁石61Xは、ヨーク部材63(磁性板)を介してハウジング20の外面に固定される。磁石61X、61Yは、径方向外側を向く面の磁石が、Z軸(光軸L)方向の略中央に位置する着磁分極線を境にして異なるように着磁されている。
【0035】
ハウジング20は、第1軸R1方向の対角位置を面取りした面取り部29A、29B、および、第2軸R2方向の対角位置を面取りした面取り部29C、29Dを備える。面取り部29Aは、ハウジング20の第1側面21と第3側面23とが繋がる角部に設けられ、+X方向および+Y方向に対して45°傾いている。また、面取り部29Bは、ハウジング20の第2側面22と第4側面24とが繋がる角部に設けられ、-X方向および-Y方向に対して45°傾いている。ハウジング20には、面取り部29A、29Bから外周側へ突出する突出部10が設けられている。本形態では、突出部10はハウジング20と一体に形成されている。突出部10は、-Z方向に凹む凹部43を備える。なお、突出部10は、ハウジング20とは別部材であってもよい。
【0036】
レンズ駆動機構27は、光軸L方向に並ぶレンズ群2Aのレンズ位置を調節することにより、被写体に対する焦点合わせを行う。本形態では、レンズ駆動機構27は磁気駆動機構を備える。なお、レンズ駆動機構27は、磁気駆動機構以外の駆動源を備えていてもよい。例えば、モータを備えていてもよい。レンズ駆動機構27は、第1磁気駆動機構6Xまたは第2磁気駆動機構6Yに対して光軸Lを挟んで反対側に配置される。本形態では、レンズ駆動機構27は、光軸Lを挟んで第1磁気駆動機構6Xとは反対側に配置される。
【0037】
可動体3は、ジンバル機構4の第1支点部41を備えている。本形態では、カメラモジュール2の第1軸R1方向の対角位置に設けられた2箇所の突出部10に、それぞれ、第1支点部41が設けられている。第1支点部41は、突出部10に設けられた凹部43と、凹部43に配置される第1ジンバルフレーム受け部材440を備える。
【0038】
(固定体)
固定体5は、樹脂製のケース50と、ケース50のコイル配置穴56に配置されるコイル62X、62Yと、コイル62X、62Yに対して径方向外側から被さるようにケース50の外面に固定される第2フレキシブルプリント基板8を備える。ケース50は、可動体3の外周側を囲む枠状部材である。ケース50は、可動体3の+X方向側および-X方向側においてY軸方向に平行に延びる第1枠部51および第2枠部52と、可動体3の+Y方向側および-Y方向側においてX軸方向に平行に延びる第3枠部53および第4枠部54を備える。
【0039】
ケース50は、第1磁気駆動機構6Xのコイル62X、および、第2磁気駆動機構6Yのコイル62Yが接着剤等により固定されるコイル配置穴56を備える。本形態では、コ
イル配置穴56は、第1枠部51および第4枠部54を貫通する。コイル62X、62Yは、長円形の空芯コイルであり、+Z方向側および-Z方向側に位置する2本の長辺が有効辺として利用される。ケース50には、第1枠部51および第4枠部54に対して径方向外側から第2フレキシブルプリント基板8が固定される。第2フレキシブルプリント基板8は、第4枠部54のコイル配置穴56に対して径方向外側から重なる第1基板部分81、および、第1枠部51のコイル配置穴56に対して径方向外側から重なる第2基板部分82を備える。第1基板部分81にコイル62Xが固定され、第2基板部分82にコイル62Yが固定された上で、ケース50のコイル配置穴56にコイル62X、62Yが配置されるように、第2フレキシブルプリント基板8がケース50に固定される。
【0040】
第1基板部分81とコイル62Xとの間、および、第2基板部分82とコイル62Yとの間には、それぞれ、矩形の磁性板64が配置される。第1基板部分81とコイル62Xとの間に配置された磁性板64は、磁石61Xと対向しており、可動体3をX軸回りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成している。また、第2基板部分82とコイル62Yとの間に配置された磁性板64は、磁石61Yと対向しており、可動体3をY軸回りの回転方向における基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成している。
【0041】
磁性板64は、コイル62X、62Yの中心穴と重なる位置に矩形の貫通穴を備えており、貫通穴には、磁気センサ65が配置される。磁気センサ65は、例えば、ホール素子である。振れ補正機能付き光学ユニット1は、コイル62Xの中心に配置される磁気センサ65の出力から、可動体3のX軸回りの揺動角度を検出する。また、コイル62Yの中心に配置される磁気センサ65の出力から、可動体3のY軸回りの揺動角度を検出する。
【0042】
ケース50は、第2軸R2方向の対角位置の2箇所に、それぞれ、ジンバル機構4の第2支点部42を備えている。第2支点部42は、ケース50の内面において径方向外側へ凹む凹部45と、凹部45に配置される第2ジンバルフレーム受け部材460を備える。
【0043】
(ジンバルフレーム9)
図5は、ジンバルフレーム9、第1ジンバルフレーム受け部材440、および第2ジンバルフレーム受け部材460の分解斜視図である。ジンバルフレーム9は、Z軸方向から見て略正方形の第1フレーム部分91と、第1フレーム部分91における第1軸R1方向の対角位置から略直角に屈曲して-Z方向へ延びる第1支持部用延設部93と、第1フレーム部分91における第2軸R2方向の対角位置から略直角に屈曲して-Z方向へ延びる第2支持部用延設部94を備える。第1フレーム部分91の中央には、第1フレーム部分91を貫通する中央穴90が設けられている。図3に示すように、第1フレーム部分91は、Z軸(光軸L)方向から見てカメラモジュール2のハウジング20と重なっている。
【0044】
図1図4に示すように、第1フレーム部分91は、第2軸R2方向の中央に位置する中央部分911が-Z方向に凹んでおり、第2軸R2方向の両端の角部分912が中央部分911より+Z方向側に位置する。つまり、第1フレーム部分91は、第2軸R2方向の角部分912が中央部分911よりも可動体3から離間している。従って、ジンバルフレーム9の-Z方向側で可動体3が第1軸R1回りに揺動して可動体3の第2軸R2方向の両端(本形態では、ハウジング20の第2軸R2方向の角部)がZ軸方向に移動した場合においても、可動体3とジンバルフレーム9との衝突を回避できる。
【0045】
また、中央部分911は、第1フレーム部分91の第1軸R1方向の角部まで延びている。ここで、第1フレーム部分91の第1軸R1方向の角部は、可動体3が第2軸R2回りに揺動する際、第2支点部42を中心として第2軸R2回りに揺動するジンバルフレーム9がZ軸(光軸L)方向に最も大きく移動する部位である。このように、ジンバルフレ
ーム9は、第1フレーム部分91の第1軸R1方向の角部を含む中央部分911が-Z方向に凹んだ形状であるため、可動体3が揺動する際のジンバルフレーム9の動作スペースをZ軸(光軸L)方向で小さくすることができる。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1を設置するスペースのZ軸(光軸L)方向の高さを小さくすることができる。
【0046】
図2図5に示すように、第1支持部用延設部93は、第1フレーム部分91の角部から-Z方向に直線状に延びている。第1支持部用延設部93は、先端部分に第1凹曲面901aを有する第1支持部901を備える。第1凹曲面901aは、プレス加工によって形成されており、径方向内側に窪む。第1凹曲面901aは、第1支点部41に設けられた第1球体444の半径よりも曲率半径が大きい。また、第1支持部用延設部93は、第1支持部901の+Z方向に、光軸L回りの周方向の両端縁を切り欠いた一対の第1切欠き凹部93aを備える。
【0047】
図1図4に示すように、第1支持部用延設部93は、カメラモジュール2の第1軸R1方向の両側でハウジング20の面取り部29A、29Bに沿って-Z方向へ延びている。ハウジング20の面取り部29A、29Bから外周側へ突出する突出部10には、可動体3側に設けられたジンバル機構4の支点部である第1支点部41が配置されており、第1支持部用延設部93の先端部は、第1支点部41によって支持される。これにより、第1接続機構47が構成され、可動体3とジンバルフレーム9とは、第1軸R1回りに回転可能に接続される。
【0048】
第2支持部用延設部94は、第1フレーム部分91の角部から-Z方向へ延びる第1部分941と、第1部分941から略直角に屈曲して径方向外側へ延びる第2部分942と、第2部分942から略直角に屈曲して-Z方向へ延びる第3部分943を備えている。第3部分943は、先端部分に、第2凹曲面902aを有する第2支持部902を備える。第2凹曲面902aは、プレス加工によって形成されており、径方向内側へ窪む。第2凹曲面902aは、第2支点部42に設けられた後述する第2球体464の半径よりも曲率半径が大きい。また、第2支持部用延設部94は、第2支持部902の+Z方向に、光軸L回りの周方向の両端縁を切り欠いた一対の第2切欠き凹部94aを備える。第1支持部用延設部93の+Z方向の端と第2支持部用延設部94のZ方向の端とは、第1フレーム部分91により接続されている。
【0049】
また、第2支持部用延設部94は、第1部分941がカメラモジュール2の第2軸R2方向の両側でハウジング20の面取り部29C、29Dに沿って-Z方向へ延びており、第3部分943は、第1部分941よりも外周側で-Z方向へ延びている。ケース50の第2軸R2の対角位置の内面には、固定体5側に設けられたジンバル機構4の支点部である第2支点部42が配置されており、第2支持部用延設部94の先端部は、第2支点部42によって支持される。これにより、第2接続機構48が構成され、固定体5とジンバルフレーム9とは、第2軸R2回りに回転可能に接続される。
【0050】
(第1接続機構47および第2接続機構48の詳細)
図6(a)は第1支点部41を内周側から見た部分断面斜視図であり、図3のB-B位置で切断した断面斜視図である。図6(b)は、第1支点部41の分解斜視図である。図7は、第1ジンバルフレーム受け部材440および第2ジンバルフレーム受け部材460の分解斜視図である。なお、第1ジンバルフレーム受け部材440および第2ジンバルフレーム受け部材460は同一形状の部材であるため、図7では第1ジンバルフレーム受け部材440および第2ジンバルフレーム受け部材460を単一の図で示す。
【0051】
第1接続機構47は、ジンバルフレーム9の第1支持部901と、可動体3に設けられた第1支点部41と、を備える。図2図5に示すように、第1支点部41は、カメラモ
ジュール2の第1軸R1方向の両側においてハウジング20から外周側へ突出する突出部10に設けられた凹部43と、各凹部43に配置される第1スラスト受け部材44と、各第1スラスト受け部材44の第1球体固定部101(図7参照)に固定された第1球体444と、を備える。第1スラスト受け部材44および第1球体444は、第1支持部901と点接触する第1ジンバルフレーム受け部材440を構成している。各凹部43は、第1ジンバルフレーム受け部材440を収容する収容部である。
【0052】
図3図4図6(b)に示すように、突出部10は、ハウジング20の外周面と対向する壁部11と、壁部11とハウジング20とを接続する接続部12、13を備える。本形態では、ハウジング20の面取り部29Aから突出する突出部10は、面取り部29Aの外周側において光軸L方向に延びる壁部11と、壁部11の光軸L方向の端部(本形態では、-Z方向の端部)から内周側へ延びて面取り部29Aの-Z方向の端部と繋がる接続部12と、壁部11の光軸L周りの周方向の両側から内周側へ延びる一対の接続部13と、を備える。同様に、ハウジング20の面取り部29Bから突出する突出部10は、面取り部29Bの外周側において光軸L方向に延びる壁部11と、壁部11の光軸L方向の端部(本形態では、-Z方向の端部)から内周側へ延びて面取り部29Bの-Z方向の端部と繋がる接続部12と、壁部11の光軸L周りの周方向の両側から内周側へ延びる一対の接続部13と、を備える。
【0053】
図6(b)に示すように、凹部43は、壁部11および接続部12、13によって囲まれている。凹部43は、第1軸R1方向に延びる底面43aと、底面43aの外周端から+Z方向に延びる背面43bと、底面43aの光軸L回りの周方向の両端から+Z方向に延びる一対の側面43cと、によって規定されている。底面43aは、周方向の中央部分に、一定幅で第1軸R1方向に延びる第1溝43dを備える。背面43bは、周方向の中央部分に、Z軸方向に一定幅で延びる第2溝43eを備える。第1溝43dと第2溝43eとは連通する。
【0054】
第1スラスト受け部材44および第1球体444は、金属製である。図5図7に示すように、第1スラスト受け部材44は、Z軸方向に延びる板状の第1板部441と、第1板部441の-Z方向の端部から略直角に屈曲して径方向内側へ延びる第2板部442と、第1板部441を第1軸R1方向に貫通する第1固定孔443と、第1板部441の+Z方向の端部における周方向の両側から略直角に屈曲して径方向内側へ延びる一対の第3板部445と、を備える。一対の第3板部445の内周側の端部は、周方向を互いに離間する方向に屈曲している。第1固定孔443は、Z軸方向において、第2板部442と一対の第3板部445との間に位置する。
【0055】
図7に示すように、第1固定孔443の直径D1は第1球体444の直径D2よりも短い。第1球体444は、第1固定孔443に部分的に嵌り込んだ状態で、溶接によって、第1板部441固定される。第1板部441の内周側の面における第1固定孔443の開口縁部分は、第1球体が固定される第1球体固定部101である。第1球体固定部101に第1球体444が固定された状態では、図4に示すように、第1球体444は第1軸R1方向における外周側の端(第1支持部901とは反対側の端)が第1固定孔443の内側に位置する。従って、第1球体444は、第1板部441から外周側に突出しない。
【0056】
第1固定孔443は、第1スラスト受け部材44を、第1球体444が固定される側とは反対側(外周側)から行われるパンチ抜き加工により形成される。これにより、第1板部441において、第1固定孔443の第1球体444が固定される側とは反対側の開口縁部分は、開口端に向かって外側に拡径する形状となっている。また、パンチ抜き加工を行うと、第1板部441において第1固定孔443の第1球体444が固定される側の端面にはバリが発生するが、このバリは、潰し加工、或は、研磨加工によって、除去される
【0057】
第1球体444は、溶接により第1板部441に固定される。より具体的には、第1球体444を第1スラスト受け部材44の第1固定孔443に落とし込んで、第1球体444が部分的に第1固定孔443に嵌った状態とする。そして、第1板部441の第1球体444が固定される側とは反対側から、第1固定孔443の内部にレーザーを照射する。これにより、第1球体444と第1スラスト受け部材44における第1固定孔443の内壁面との境界部分に溶接を施す。
【0058】
図6(a)に示すように、第1ジンバルフレーム受け部材440が凹部43に挿入される際、第1スラスト受け部材44の第3板部445が凹部43の一対の側面43cに当接する。これにより、第1支点部41は、光軸L回りの周方向で位置決めされる。また、第1スラスト受け部材44の第2板部442が凹部43の底面43aに当接することにより、第1支点部41は、Z軸(光軸L)方向に位置決めされる。第1スラスト受け部材44は、第1溝43dおよび第2溝43eに塗布された接着剤により、凹部43に固定される。凹部43に第1スラスト受け部材44が固定されると、図4に示すように、第1板部441に固定された第1球体444とハウジング20の面取り部29A、29Bとが第1軸R1方向に対向する。尚、第1スラスト受け部材44の第3板部445が凹部43の一対の側面43cに当接しなくても、狭い隙間をもっていてもよく、この狭い隙間によって挿入される際の傾きを防止できる。
【0059】
ジンバルフレーム9と可動体3とを接続する際には、図3図4に示すように、ジンバルフレーム9の第1支持部用延設部93を、凹部43に固定された第1ジンバルフレーム受け部材440の内周側へ挿入する。これにより、第1支持部用延設部93に設けた第1支持部901と、可動体3に固定した第1スラスト受け部材44の第1板部441とを対向させ、第1板部441に固定された第1球体444を第1凹曲面901aに挿入して、第1球体444と第1支持部901と点接触させる。これと並行して、第1支持部用延設部93の一対の第1切欠き凹部93aに、第1スラスト受け部材44の一対の第3板部445を挿入する。これにより、第1接続機構47を構成する。
【0060】
ここで、第1支持部用延設部93は、第1軸R1方向に弾性変形可能であるため、第1球体444と第1支持部901とを接触させる際、第1支持部用延設部93を内周側へ撓ませて接触させる。これにより、第1支持部用延設部93は、外周側へ向かう弾性力を発生させる状態となり、第1支持部901は第1球体444に内周側から弾性接触する。従って、第1球体444は、第1支持部901から外れにくい。また、第1接続機構47が構成された状態では、第1スラスト受け部材44の第2板部442と、第1支持部用延設部93とは、Z軸方向で隙間を開けて対向する。
【0061】
次に、第2接続機構48は、ジンバルフレーム9の第2支持部902と、固定体5に設けられた第2支点部42と、を備える。図2に示すように、第2支点部42は、ケース50の第1枠部51と第4枠部54とが繋がる角部の内面、および、第2枠部52と第3枠部53とが繋がる角部の内面のそれぞれにおいて径方向外側へ凹む凹部45と、各凹部45に配置される第2スラスト受け部材46と、各第2スラスト受け部材46の第2球体固定部104に固定された第2球体464と、を備える。第2スラスト受け部材46および第2球体464は、第2支持部902と点接触する第2ジンバルフレーム受け部材460を構成している。
【0062】
図2に示すように、各凹部45は、第2軸R2方向に延びる底面45aと、底面45aの外周端から+Z方向に延びる背面45bと、底面45aの光軸L回りの周方向の両端から+Z方向に延びる一対の側面45cと、によって規定されている。底面45aは、周方
向の中央部分に、一定幅で第2軸R2方向に延びる第1溝45dを備える。背面45bは、周方向の中央部分に、Z軸方向に一定幅で延びる第2溝45eを備える。第1溝45dと第2溝45eとは連通する。
【0063】
第2スラスト受け部材46および第2球体464は、金属製である。ここで、第2スラスト受け部材46は、第1スラスト受け部材44と同一の部材である。第2球体464は第1球体444と同一の部材である。
【0064】
図5図7に示すように、第2スラスト受け部材46は、Z軸方向に延びる板状の第1板部461と、第1板部461の-Z方向の端部から略直角に屈曲して径方向内側へ延びる第2板部462と、第1板部461を第2軸R2方向に貫通する第2固定孔463と、第1板部461の+Z方向の端部における周方向の両側から略直角に屈曲して径方向内側へ延びる一対の第3板部465と、を備える。一対の第3板部465の内周側の端部は、周方向を互いに離間する方向に屈曲している。第2固定孔463は、Z軸方向において、第2板部462と一対の第3板部465との間に位置する。
【0065】
図7に示すように、第2固定孔463の直径D1は第2球体464の直径D2よりも短い。第2球体464は、第2固定孔463に部分的に嵌り込んだ状態で、溶接によって、第1板部461固定される。第1板部461の内周側の面における第2固定孔463の開口縁部分は、第2球体が固定される第2球体固定部104である。第2球体固定部104に第2球体464が固定された状態では、第2球体464は第2軸R2方向における外周側の端(第2支持部902とは反対側の端)が第2固定孔463の内側に位置する。従って、第2球体464は、第1板部461から外周側に突出しない。
【0066】
第2固定孔463は、第2スラスト受け部材46を、第2球体464が固定される側とは反対側(外周側)から行われるパンチ抜き加工により形成される。これにより、第2板部462において、第2固定孔463の第2球体464が固定される側とは反対側の開口縁部分は、開口端に向かって外側に拡径する。また、パンチ抜き加工を行うと、第2板部462において第2固定孔463の第2球体464が固定される側の端面にはバリが発生するが、このバリは、潰し加工、或は、研磨加工によって、除去される。
【0067】
第2球体464は、溶接により第1板部461に固定される。より具体的には、第2球体464を第2スラスト受け部材46の第2固定孔463に落とし込んで、第2球体464が部分的に第2固定孔463に嵌った状態とする。そして、第1板部461の第2球体464が固定される側とは反対側から、第2固定孔463の内部にレーザーを照射する。これにより、第2球体464と第2スラスト受け部材46における第2固定孔463の内壁面との境界部分に溶接を施す。
【0068】
第2ジンバルフレーム受け部材460がケース50の凹部45に挿入される際、第2スラスト受け部材46の第3板部465が凹部45の一対の側面45cに当接する。これにより、第2支点部42は、光軸L回りの周方向で位置決めされる。また、第2スラスト受け部材46の第2板部462が、凹部45の底面45aに当接することにより、第2支点部42はZ軸(光軸L)方向に位置決めされる。第2スラスト受け部材46は、第1溝45dおよび第2溝45eに塗布された接着剤により、凹部45に固定される。尚、第2スラスト受け部材46の第3板部465が凹部45の一対の側面45cに当接しなくても、狭い隙間をもっていてもよく、この狭い隙間によって挿入される際の傾きを防止できる。
【0069】
ジンバルフレーム9と固定体5とを接続する際には、図3に示すように、ジンバルフレーム9の第2支持部用延設部94を固定体5の第2軸R2方向の対角位置においてハウジング20とケース50との間に挿入する。これにより、第2支持部用延設部94に設けた
第2支持部902と、固定体5に固定した第2スラスト受け部材46の第1板部461とを対向させ、第1板部461に固定された第2球体464を第2凹曲面902aに挿入して、第2球体464と第2支持部902と点接触させる。これと並行して、第2支持部用延設部94の一対の第2切欠き凹部94aに、第2スラスト受け部材46の一対の第3板部465を挿入する。これにより、第2接続機構48を構成する。
【0070】
ここで、第2支持部用延設部94は、第2軸R2方向に弾性変形可能であるため、第2球体464と第2支持部902とを接触させる際、第2支持部用延設部94を内周側へ撓ませて接触させる。これにより、第2支持部用延設部94は、外周側へ向かう弾性力を発生させる状態となり、第2支持部902は第2球体464に内周側から弾性接触する。従って、第2球体464は第2支持部902から外れにくい。また、第2接続機構48が構成された状態では、第2スラスト受け部材46の第2板部462と、第2支持部用延設部94とは、Z軸方向で隙間を開けて対向する。
【0071】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1では、ジンバル機構4は、ジンバルフレーム9と、可動体3とジンバルフレーム9とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構47と、固定体5とジンバルフレーム9とを第2軸R2回りに回転可能に接続する第2接続機構48と、を備える。第1接続機構47は、可動体3とジンバルフレーム9の一方に設けられる第1球体444、および、可動体3とジンバルフレーム9の他方に設けられて第1球体444が点接触する第1凹曲面901aを備え、第2接続機構48は、固定体5とジンバルフレーム9の一方に固定される第2球体464、および、固定体5とジンバルフレーム9の他方に設けられて第2球体464が点接触する第2凹曲面902aを備える。可動体3は、外装ケースであるハウジング20と、ハウジング20の第1軸R1方向の対角位置においてハウジング20から外周側へ突出する突出部10を備え、第1球体444および第1凹曲面901aの一方は、突出部10に配置される。
【0072】
このように、本形態では、可動体3の外装ケースであるハウジング20から突出する突出部10にジンバル機構4の第1接続機構47が配置される。従って、ハウジング20の外周側には、対角位置に配置された突出部10以外に新たな構造物を設ける必要がないので、可動体3の外形を小さくすることができる。従って、可動体3を小型化でき、振れ補正機能付き光学ユニット1を小型化できる。また、可動体3の外形を小さくするこができるため、可動体3の軽量化を図ることができる。
【0073】
本形態において、可動体3は、光学素子であるレンズ群2Aと、レンズ群2Aの光軸L上に配置される撮像素子28と、外装ケースであるハウジング20と、を備えたカメラモジュール2であり、突出部10は、カメラモジュール2に設けられている。このように、カメラモジュール2の第1軸R1方向の対角位置に突出部10を設けることにより、第1接続機構47を配置するためにカメラモジュール2の外周側に新たな構造物を設ける必要がない。従って、可動体3を光軸Lと直交する方向で小型化できる。
【0074】
本形態において、突出部10は、ハウジング20(外装ケース)と一体に形成されている。このようにすると、突出部10を別部材にした場合と比較して、部品点数を削減できる。また、突出部10を固定する作業を行う必要がないので、組立作業を簡略化できる。また、突出部10が脱落するおそれがない。
【0075】
本形態のハウジング20(外装ケース)は、光軸L方向から見て第1軸R1方向の角部を面取りした面取り部29A、29Bを備え、突出部10は、面取り部29A、29Bから突出する。例えば、ハウジング20は、光軸L方向から見て第1軸R1および第2軸R2を対角方向とする矩形の角部を面取りした八角形の平面形状である。このようにすると
、第1軸R1方向の対角位置に突出部10を配置するスペースを確保できる。従って、可動体3の外形を光軸Lと直交する方向で小さくすることができる。
【0076】
本形態の振れ補正用駆動機構6は、可動体3に設けられた磁石61X、61Yと、固定体5に設けられたコイル62X、62Yを備え、磁石61X、61Yは、ハウジング20(外装ケース)に固定される。このようにすると、磁石61X、61Yを固定するためにカメラモジュール2の外周側に新たな構造物を設ける必要がない。従って、可動体3を光軸Lと直交する方向で小型化できる。
【0077】
本形態では、カメラモジュール2は、レンズ群2Aを駆動するレンズ駆動機構27を備え、ハウジング20は非磁性部材である樹脂からなる。振れ補正用駆動機構6の磁石61X、61Yは、外装ケースであるハウジング20の外周面に磁性板であるヨーク部材63を介して固定される。従って、磁石61X、61Yが発生させる磁界をヨーク部材63によって遮蔽できるため、ハウジング20の内側に配置されるレンズ駆動機構27に対して、ハウジング20の外側に固定された磁石61X、61Yが磁気的影響を及ぼすことを抑制できる。
【0078】
本形態において、第1接続機構47は、第1球体444が設けられた第1ジンバルフレーム受け部材440を備える。また、突出部10は、第1ジンバルフレーム受け部材440を収容する収容部である凹部43を備えている。従って、外部からの影響を受けにくい位置に第1接続機構47を配置することができる。
【0079】
本形態のジンバルフレーム9は、光軸L方向から見てハウジング20と重なる第1フレーム部分91の第1軸R1方向の対角位置から光軸L方向へ延びる第1支持部用延設部93を備えており、第1支持部用延設部93は、第1軸R1方向に弾性変形可能であり、第1支持部用延設部93に設けられた第1凹曲面901aは、突出部10に設けられた第1球体444と第1軸R1方向に弾性接触する。また、ジンバルフレーム9は、第1フレーム部分91の第2軸R2方向の対角位置から光軸L方向へ延びる第2支持部用延設部94を備えており、第2支持部用延設部94は、第2軸R2方向に弾性変形可能であり、第2支持部用延設部94に設けられた第2凹曲面902aは、固定体5に設けられた第2球体464と第2軸R2方向に弾性接触する。このような構成により、第1支持部用延設部93および第2支持部用延設部94の弾性力により、第1球体444と第1凹曲面901a、および、第2球体464と第2凹曲面902aを弾性接触させることができる。従って、第1球体444と第1凹曲面901a、および、第2球体464と第2凹曲面902aを確実に当接させることができるので、ジンバル機構4による支持位置のぶれを抑制できる。
【0080】
本形態において、第1支持部用延設部93は、外周側へ向かう弾性力を発生させ、第1支持部用延設部93に設けられた第1凹曲面901aは、突出部10に設けられた第1球体444に対して、内周側から弾性接触する。このように、第1支持部用延設部93の弾性力を受ける部材を第1支持部用延設部93の外周側に配置した場合には、ジンバル機構4を組み立てる際に、第1支持部用延設部93の弾性力を受ける部材の位置を視認しながら組み立てることができる。よって、ジンバル機構4を組み立てやすい。
【0081】
本形態の突出部10は、第1支持部用延設部93の外周側に配置される壁部11と、壁部11の光軸L方向の端部とハウジング20の外周面とを接続する接続部12と、壁部11の光軸L周りの周方向の両端部とハウジング20の外周面とを接続する一対の13と、を備える。このようにすると、壁部11によって第1支持部用延設部93から外周方向への弾性力を受けることができるので、ジンバル機構4による支持位置のぶれが少ない。また、接続部12に対して第1スラスト受け部材44の第2板部442を当接させることに
より、第1支点部41をZ軸(光軸L)方向に位置決めできる。
【0082】
(変形例)
(1)図8(a)は、図1の振れ補正機能付き光学ユニット1における第1接続機構47を模式的に示す断面図であり、図8(b)は、変形例1の第1接続機構47Aを模式的に示す断面図である。上記形態では、第1接続機構47における第1球体444および第1凹曲面901aの配置として、図8(a)に示すように、可動体3に設けられた突出部10に第1球体444が配置され、ジンバルフレーム9の第1支持部用延設部93に第1凹曲面901aが設けられる構成を採用しているが、第1球体444と第1凹曲面901aの配置を逆にした構成を採用することもできる。
【0083】
図8(b)に示すように、変形例1では、ジンバルフレーム9の第1支持部用延設部93Aの先端部に、第1球体固定部101を備えた第1固定孔443が形成される。第1球体444は、第1球体固定部101に外周側から部分的に嵌った状態とされ、溶接により第1支持部用延設部93Aに固定される。一方、可動体3には、ハウジング20に設けられた突出部10Aの凹部43Aに第1ジンバルフレーム受け部材440Aが固定される。変形例1の第1ジンバルフレーム受け部材440Aは、径方向外側へ凹む第1凹曲面901aを有する第1支持部901を備えている。
【0084】
上記形態では、第1接続機構47が構成される際、第1支持部用延設部93を内周側へ撓ませて組み立てるので、図8(a)に示すように、第1支持部用延設部93は、外周側へ向かう弾性力F1を発生させる。変形例1においても、同様に、第1支持部用延設部93Aを内周側へ撓ませて組み立てるので、第1支持部用延設部93Aは、外周側へ向かう弾性力F1を発生させる。従って、変形例1の第1接続機構47Aは、第1凹曲面901aに対して第1球体444が内周側から弾性接触するため、上記形態と同様に、ジンバル機構4による支持位置のぶれを抑制できる。また、変形例1の第1接続機構47Aは、上記形態と同様に、第1支持部用延設部93Aの弾性力を受ける部材を第1支持部用延設部93Aの外周側に配置しているため、ジンバル機構4を組み立てやすい。
【0085】
(2)図9(a)は、変形例2の第1接続機構47Bを模式的に示すであり、図9(b)は、変形例3の第1接続機構47Cを模式的に示す断面図である。上記形態では、第1支持部用延設部93は、外周側へ向かう弾性力F1を発生させているが、変形例2、3では、内周側へ向かう弾性力F2を発生させる構成を採用する。
【0086】
図9(a)に示すように、変形例2では、ジンバルフレーム9の第1支持部用延設部93Bは、径方向外側へ凹む第1凹曲面901aを有する第1支持部901を備えている。一方、可動体3において、ハウジング20に設けられた突出部10Bには、第1球体444を備えた第1ジンバルフレーム受け部材440Bが固定される。変形例2の突出部10Bは、第1ジンバルフレーム受け部材440Bの外周側に配置される壁部を備えておらず、第1ジンバルフレーム受け部材440Bは、第1球体444を第1軸R1方向で外周側に向けた姿勢で固定される。
【0087】
変形例2では、第1接続機構47Bが構成される際、第1支持部用延設部93Bを外周側へ撓ませて組み立てる。従って、図9(a)に示すように、第1支持部用延設部93Bは、内周側へ向かう弾性力F2を発生させる。これにより、変形例2の第1接続機構47Bは、第1球体444に対して第1凹曲面901aが外周側から弾性接触するため、上記各形態と同様に、ジンバル機構4による支持位置のぶれを抑制できる。
【0088】
図9(b)に示すように、変形例3では、ジンバルフレーム9の第1支持部用延設部93Cの先端部に、第1球体固定部101を備えた第1固定孔443が形成される。第1球
体444は、第1球体固定部101に内周側から部分的に嵌った状態とされ、溶接により第1支持部用延設部93Cに固定される。一方、可動体3には、ハウジング20に設けられた突出部10Cに第1ジンバルフレーム受け部材440Cが固定される。変形例3の第1ジンバルフレーム受け部材440Cは、径方向内側へ凹む第1凹曲面901aを有する第1支持部901を備えており、第1凹曲面901aを第1軸R1方向で外周側に向けた姿勢で固定される。
【0089】
変形例3では、第1接続機構47Bが構成される際、変形例2と同様に、第1支持部用延設部93Cを外周側へ撓ませて組み立てる。従って、図9(b)に示すように、第1支持部用延設部93Cは、内周側へ向かう弾性力F2を発生させる。これにより、変形例3の第1接続機構47Cは、第1凹曲面901aに対して第1球体444が外周側から弾性接触するため、上記各形態と同様に、ジンバル機構4による支持位置のぶれを抑制できる。
【0090】
(3)上記形態の突出部10は、壁部11の光軸L方向の端部とハウジング20の外周面とを接続する接続部12と、壁部11の光軸L周りの周方向の両端部とハウジング20の外周面とを接続する一対の接続部13と、を備えた形態であるが、接続部13を設けず、壁部11および接続部12のみを備えた形状にすることもできる。このようにすると、接続部13を設けない分、突出部10の構成を簡略化でき、突出部10の周方向の幅を小さくすることができる。
【0091】
(4)上記形態では、カメラモジュール2のハウジング20が非磁性部材であるが、ハウジング20を磁性材からなるものとすることができるこのようにすると、振れ補正用駆動機構6の磁石61X、61Yが発生させる磁界をハウジング20によって遮蔽できる。従って、カメラモジュール2に搭載されるレンズ駆動機構27(磁気駆動機構)に対して、振れ補正用駆動機構6の磁石61X、61Yが磁気的影響を及ぼすことを抑制できる。ハウジング20をヨーク部材として機能させることができるため、上記形態のヨーク部材63を省略でき、ハウジング20に対して直接磁石61X、61Yを固定することができる。
【符号の説明】
【0092】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…カメラモジュール、2A…レンズ群、3…可動体、4…ジンバル機構、5…固定体、6…振れ補正用駆動機構、6X…第1磁気駆動機構、6Y…第2磁気駆動機構、8…第2フレキシブルプリント基板、9…ジンバルフレーム、10、10A、10B、10C…突出部、20…ハウジング、21…第1側面、22…第2側面、23…第3側面、24…第4側面、25…基板、26…筒部、27…レンズ駆動機構、28…撮像素子、29A、29B、29C、29D…面取り部、41…第1支点部、42…第2支点部、43、43A…凹部、43a…底面、43b…背面、43c…側面、43d…第1溝、43e…第2溝、44…第1スラスト受け部材、45…凹部、45a…底面、45b…背面、45c…側面、45d…第1溝、45e…第2溝、46…第2スラスト受け部材、47、47A、47B、47C…第1接続機構、48…第2接続機構、50…ケース、51…第1枠部、52…第2枠部、53…第3枠部、54…第4枠部、56…コイル配置穴、61X、61Y…磁石、62X、62Y…コイル、63…ヨーク部材、64…磁性板、65…磁気センサ、81…第1基板部分、82…第2基板部分、90…中央穴、91…第1フレーム部分、93、93A、93B、93C…第1支持部用延設部、93a…第1切欠き凹部、94…第2支持部用延設部、94a…第2切欠き凹部、101…第1球体固定部、104…第2球体固定部、440、440A、440B、440C…第1ジンバルフレーム受け部材、441…第1板部、442…第2板部、443…第1固定孔、444…第1球体、445…第3板部、460…第2ジンバルフレーム受け部材、461…第1板部、462…第2板部、463…第2固定孔、464…第2球体、4
45…第3板部、901a…第1凹曲面、901…第1支持部、902a…第2凹曲面、902…第2支持部、911…中央部分、912…角部分、941…第1部分、942…第2部分、943…第3部分、D1…第1固定孔および第2固定孔の直径、D2…第1球体および第2球体の直径、L…光軸、R1…第1軸、R2…第2軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9