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特許7290463ハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具及び当該冶具を用いた組立式埋設ボックスの組立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具及び当該冶具を用いた組立式埋設ボックスの組立て方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20230606BHJP
   B66C 1/42 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
E02D29/12 B
E02D29/12 Z
B66C1/42 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019094074
(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公開番号】P2020190076
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(73)【特許権者】
【識別番号】000139702
【氏名又は名称】株式会社安田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】武藤 信行
(72)【発明者】
【氏名】青木 淳
(72)【発明者】
【氏名】井口 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】桑原 伸行
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-098245(JP,U)
【文献】特開2003-189917(JP,A)
【文献】登録実用新案第3047320(JP,U)
【文献】実開平05-063766(JP,U)
【文献】登録実用新案第3221012(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/12
B66C 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の上端部に上部ろくろを固定し、当該上部ろくろから3本以上の折畳み骨が放射状に伸び、各折畳み骨は、3段に折り畳み可能な親骨、子骨、先骨を相互に回転自在に接続して成り、
前記支柱に上下摺動自在に設けた下部ろくろを支柱に沿って上げると、当該下部ろくろから放射状に伸びてその先端を前記親骨に回転自在に接続された支持骨に前記親骨が押され、前記折畳み骨の弾性によって前記親骨、子骨及び先骨が外方に伸びる、折り畳み傘の骨構成を有し、
前記折畳み骨の最外側の先骨の全部又は一部の外側に、板状当接部の上端部が内側に湾曲した湾曲部からなるガイド片を回転自在に取付け、前記支柱の下部に当該支柱を起立させるスタンド架台を有し、当該支柱は高さを伸縮できる長さ調整部を有し、前記下部ろくろは支柱の任意の箇所で固定自在としたことを特徴とする、ハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具。
【請求項2】
ブロック状部材を積み重ねて成るハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックスの組み立てにおいて、
請求項1の治具を前記組立式埋設ボックスの下部のブロック状部材の中に設置し、
前記下部ろくろを支柱に沿って上方に上げ、支柱の上端部に設けた上部ろくろから放射状に広がる複数の折畳み骨を開き、前記ガイド片の板状当接部を下部のブロック状部材の上端内周面に押し当て、かつ、各ガイド片の湾曲部を前記ブロック状部材の上端縁から上方に突出させた状態で前記下部ろくろを固定し、
当該ブロック状部材の上から上部のブロック状部材を吊り下げて下ろし、前記各ガイド片を前記上部のブロック状部材の下端縁から内周に入れて、下部のブロック状部材の上に上部のブロック状部材を積み重ねることを特徴とする、請求項1に記載のハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具を用いた組立式埋設ボックスの組立て方法。
【請求項3】
支柱の下部に下部ろくろを固定し、当該下部ろくろから3本以上の折畳み骨が放射状に伸び、各折畳み骨は、3段に折り畳み可能な親骨、子骨、先骨を回転自在に接続して成り、
前記支柱に上下摺動自在に設けた上部ろくろを支軸に沿って下げると、当該上部ろくろから放射状に伸びてその先端を前記親骨に回転自在に接続された支持骨に前記親骨が押され、前記折畳み骨に設けたバネ部材のバネの力又は前記折畳み骨の弾性によって前記親骨、子骨及び先骨が外方に伸びる、折り畳み傘の骨構成を上下逆にした骨構造を有し、
前記折畳み骨の最外側の先骨の全部又は一部の外側に、板状当接部の上端部が内側に湾曲した湾曲部から成るガイド片を回転自在に取付け、前記支柱の下部に当該支柱を起立させるスタンド架台を設け、当該支柱は高さを伸縮できる長さ調整部を有し、前記上部ろくろは支柱の任意の箇所で固定自在としたことを特徴とする、ハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具。
【請求項4】
ブロック状部材を積み重ねて成るハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックスの組み立てにおいて、
請求項3の治具を前記組立式埋設ボックスの下部のブロック状部材の中に設置し、前記上部ろくろを支柱に沿って下方に下げ、支柱の下部に設けた下部ろくろから放射状に広がる複数の折畳み骨を開き、前記ガイド片の板状当接部を下部のブロック状部材の上端内周面に押し当て、かつ、各ガイド片の湾曲部を前記ブロック状部材の上端縁から上方に突出させた状態で前記上部ろくろを固定し、
当該ブロック状部材の上から上部のブロック状部材を吊り下げて下ろし、前記各ガイド片を前記上部のブロック状部材の下端縁から内周に入れて、下部のブロック状部材の上に上部のブロック状部材を積み重ねることを特徴とする、請求項3に記載のハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具を用いた組立式埋設ボックスの組立て方法。
【請求項5】
前記ガイド片の板状当接部の外面に孔を設け、当該孔内にローラを回転自在に軸支し、当該ローラの1側を僅かに板状当接部の外面から突出させたことを特徴とする、請求項1又は3のハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具。
【請求項6】
ブロック状部材を積み重ねて成るハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックスの組み立てにおいて、
請求項5の治具を用いて組立式埋設ボックスの下部の第1のブロック状部材の上端縁から各ガイド片を突出させてこれらをガイドとして上部の第2のブロック状部材を前記第1のブロック状部材の上に積み重ねた後、さらに上部の第3のブロック状部材を積み重ねる場合に、当該組立式埋設ボックス用治具の各ガイド片のローラを前記内周面に当接させて回転させながら、前記第2のブロック状部材の内周面に沿って前記組立式埋設ボックス用治具を引き上げることを特徴とする、請求項5のハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具を用いた組立式埋設ボックスの組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電力用又は通信用のケーブルや電線の接続や点検等を行うハンドホールやマンホールがある。また、下水管きょの保守、点検等を行うためのマンホールがある。この発明はこれらのハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックスを組み立てる際に使用する治具及び当該治具を用いた組立式埋設ボックスの組立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレハブタイプの上記ハンドホールやマンホールは、地表面に掘った穴の中でブロック状の部材を下から積み重ねて組み合わせる。施工にあたっては、クレーンなどを使用して各部材を組み上げていく。
【0003】
各部材の上端の接合面には止水用の接着剤のついたシール材が付いており、一度接合すると取ることが出来ない。従って、上から重ねる部材が、もし所定の位置からずれてしまった場合、再度シール材を取付けなければならず、その作業に極めて手間がかかる。また、接合部を合わせようとその付近に作業者の手を添えるなどした場合、指などを挟む危険がある。また、このように各部材の接合部のシール材が密着していないと当該接合部から雨水や地下水が侵入する等の止水効果が失われる。
【0004】
そこで、上下のブロック状部材を重ねる際のガイドが開発された。特許文献1のものはその一例である。
【0005】
特許文献1のものは、上下段で組み立てられるハンドホール・マンホール等の埋設ボックスにおける下段に位置するボックスベースの開口部端の内側面に着脱自在に取り付けられる取付け部と、開口部の上方に突出されていて所定の吊下げ機器に連繋されると共に上段に積み重ねられるボックススラブの下部内側面が当接されることで、ボックススラブを位置決めさせる連繋案内部とから成る、ハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用案内吊り金具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3186436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1の案内吊り金具は、ボックスベースの四隅の内側面に設けられたネジ穴を利用し、そのネジ穴に螺着したボルトで上記吊り金具を固定する。しかしながら、ハンドホールやマンホールによっては前記ネジ穴がないものがある。そのようなハンドホールやマンホールには適用できない。従って、汎用性がないものである。
【0008】
また、特許文献1とは別に、ハンドホールやマンホールのブロック状部材の外側にガイド治具を取付ける方法もあるが、各ブロック状部材を正確に接合するためにはハンドホールやマンホールの外側と内側とですり合わせる必要があり、外側にガイド治具を取付けた場合、内側に作業者が入って調整するか、ガイド治具を内側にも取り付けなければならず、安全面、作業効率の面でも芳しいものではない。
【0009】
また、特にマンホールの場合は高さが3m以上のものもあり、その場合には、上段部材の作業は高所作業(2m以上)となり、作業者は安全帯を装着して梯子や脚立に昇って当該マンホールの外側や内側で組立て作業をするが、安全帯のロープを取付ける支持材がない中で不安定な体勢での作業となり、墜落・転落の危険がある。ましてや、上からクレーンで吊下げられたブロック状部材を受ける作業の場合は危険である。
【0010】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、ハンドホールやマンホール本体に何の加工を施すこともなく、ハンドホールやマンホールのブロック状部材の断面が四角形の場合は内側の四隅又は四辺に、また、同断面が円形の場合は内周面に容易にガイド片を取り付けることが出来、上に重ねるブロック状部材を正確に位置合わせして、接続できるハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックスの治具及当該治具を使用した埋設ボックスの組立て方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、支柱の上端部に上部ろくろを固定し、当該上部ろくろから3本以上の折畳み骨が放射状に伸び、各折畳み骨は、3段に折り畳み可能な親骨、子骨、先骨を相互に回転自在に接続して成り、前記支柱に上下摺動自在に設けた下部ろくろを支柱に沿って上げると、当該下部ろくろから放射状に伸びてその先端を前記親骨に回転自在に接続された支持骨に前記親骨が押され、前記折畳み骨の弾性によって前記親骨、子骨及び先骨が外方に伸びる、折り畳み傘の骨構成を有し、前記折畳み骨の最外側の先骨の全部又は一部の外側に、板状当接部の上端部が内側に湾曲した湾曲部からなるガイド片を回転自在に取付け、前記支柱の下部に当該支柱を起立させるスタンド架台を有し、当該支柱は高さを伸縮できる長さ調整部を有し、前記下部ろくろは支柱の任意の箇所で固定自在とした、ハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具とした。
【0012】
請求項2の発明は、ブロック状部材を積み重ねて成るハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックスの組み立てにおいて、請求項1の治具を前記組立式埋設ボックスの下部のブロック状部材の中に設置し、前記下部ろくろを支柱に沿って上方に上げ、支柱の上端部に設けた上部ろくろから放射状に広がる複数の折畳み骨を開き、前記ガイド片の板状当接部を下部のブロック状部材の上端内周面に押し当て、かつ、各ガイド片の湾曲部を前記ブロック状部材の上端縁から上方に突出させた状態で前記下部ろくろを固定し、当該ブロック状部材の上から上部のブロック状部材を吊り下げて下ろし、前記各ガイド片を前記上部のブロック状部材の下端縁から内周に入れて、下部のブロック状部材の上に上部のブロック状部材を積み重ねる、請求項1に記載のハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具を用いた組立式埋設ボックスの組立て方法とした。
【0013】
また、請求項3の発明は、支柱の下部に下部ろくろを固定し、当該下部ろくろから3本以上の折畳み骨が放射状に伸び、各折畳み骨は、3段に折り畳み可能な親骨、子骨、先骨を回転自在に接続して成り、前記支柱に上下摺動自在に設けた上部ろくろを支軸に沿って下げると、当該上部ろくろから放射状に伸びてその先端を前記親骨に回転自在に接続された支持骨に前記親骨が押され、前記折畳み骨に設けたバネ部材のバネの力又は前記折畳み骨の弾性によって前記親骨、子骨及び先骨が外方に伸びる、折り畳み傘の骨構成を上下逆にした骨構造を有し、前記折畳み骨の最外側の先骨の全部又は一部の外側に、板状当接部の上端部が内側に湾曲した湾曲部から成るガイド片を回転自在に取付け、前記支柱の下部に当該支柱を起立させるスタンド架台を設け、当該支柱は高さを伸縮できる長さ調整部を有し、前記上部ろくろは支柱の任意の箇所で固定自在とした、ハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具とした。
【0014】
また、請求項4の発明は、ブロック状部材を積み重ねて成るハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックスの組み立てにおいて、請求項3の治具を前記組立式埋設ボックスの下部のブロック状部材の中に設置し、前記上部ろくろを支柱に沿って下方に下げ、支柱の下部に設けた下部ろくろから放射状に広がる複数の折畳み骨を開き、前記ガイド片の板状当接部を下部のブロック状部材の上端内周面に押し当て、かつ、各ガイド片の湾曲部を前記ブロック状部材の上端縁から上方に突出させた状態で前記上部ろくろを固定し、当該ブロック状部材の上から上部のブロック状部材を吊り下げて下ろし、前記各ガイド片を前記上部のブロック状部材の下端縁から内周に入れて、下部のブロック状部材の上に上部のブロック状部材を積み重ねる、請求項3に記載のハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具を用いた組立式埋設ボックスの組立て方法とした。
【0015】
また、請求項5の発明は、前記ガイド片の板状当接部の外面に孔を設け、当該孔内にローラを回転自在に軸支し、当該ローラの1側を僅かに板状当接部の外面から突出させた、請求項1又は3のハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具とした。
【0016】
また、請求項6の発明は、ブロック状部材を積み重ねて成るハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックスの組み立てにおいて、請求項5の治具を用いて前記組立式埋設ボックスの下部の第1のブロック状部材の上端縁から各ガイド片を突出させてこれらをガイドとして上部の第2のブロック状部材を前記第1のブロック状部材の上に積み重ねた後、さらに上部の第3のブロック状部材を積み重ねる場合に、当該治具の各ガイド片のローラを前記第2のブロック状部材の内周面に当接させて回転させながら、前記第2のブロック状部材の内周面に沿って前記治具を引き上げることを特徴とする、請求項5のハンドホール・マンホール等の組立式埋設ボックス用治具を用いた組立式埋設ボックスの組立て方法とした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1~6の各発明によれば、ハンドホールやマンホール等の組立式埋設ボックスの積み重ねる上部や下部のブロック状部材に他の部材を取付けたり、加工したりせずに、当該治具を下部のブロック状部材に設置して、ブロック状部材の四隅、四辺又は内周面にガイド片を突設すれば、これらのガイド片が上部のブロック状部材を吊り下ろして、下部のブロック状部材の上に積み重ねる際のガイドとなり、容易にかつ正確に上部のブロック状部材を下部のブロック状部材に積み重ねることが出来る。
【0018】
また、高さのあるマンホール等の組立に際しても、当該組立式埋設ボックス用治具を用いれば、上方、下方のブロックの位置合わせのため下方のブロック状部材に作業者が入ったり、外側で押さえたりする必要がなく、梯子や脚立が不要となり、安全に組立作業ができる。
【0019】
しかも、当該治具は折り畳み傘の骨構造、特に折畳み骨に設けたバネ部材のバネの力又は折畳み骨の弾性を利用して各ガイド片をブロック状部材の内周面に押圧させて固定させるため、ブロック状部材の横断面形状の形にとらわれず、正方形、長方形、三角形、多角形、円形、楕円形であっても全て対応可能である。さらに、当該治具は折り畳み傘の骨構成及び形状でこれらの外側の複数箇所のガイド片がハンドホールやマンホールの四隅又は四辺と接しているためバランスが取れ、支柱には垂直荷重しかかからず安定している。
【0020】
また、請求項5及び6の発明によれば、下部のブロック状部材の上に第1の上部のブロック状部材を積み重ねた後、当該第1の上部のブロック状部材の上に、さらに第2の上部のブロック状部材を積み重ねる際、当該組立式埋設ボックス用治具の各ガイド片のローラを回転させながら、第1の上部のブロック状部材の内周面に沿って引き上げるため小さな力で極めてスムーズに当該組立式埋設ボックス用治具を引き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具の折り畳み傘の骨構造をほぼ折り畳んだ状態の正面図である。
図2】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具の折り畳み傘の骨構造をほぼ折り畳んだ状態の平面図である。
図3】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具の折り畳み傘の骨構造を開いた状態の正面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具の折り畳み傘の骨構造を開いた状態の平面図である。
図5】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具をハンドホールの下部のブロック状部材に設置し、上部のブロック状部材を吊り下ろす状態の一部断面正面図である。
図6】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具をハンドホールに設置した状態の平面図である。
図7】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具を横断面が長方形状のハンドホールに設置した状態の平面図である。
図8】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具を横断面の長辺がより長い長方形状のハンドホールに設置した状態の平面図である。
図9】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具を横断面が円形状のハンドホールに設置した状態の平面図である。
図10】この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具の変形例を示す正面図である。
図11】この発明の実施の形態例2の組立式埋設ボックス用治具の折り畳み傘の骨構造をほぼ折り畳んだ状態の正面図である。
図12】この発明の実施の形態例2の組立式埋設ボックス用治具の折り畳み傘の骨構造を開いた状態の正面図である。
図13】この発明の実施の形態例2の組立式埋設ボックス用治具をハンドホールの下部のブロック状部材に設置した状態の一部断面正面図である。
図14】この発明の実施の形態例3の組立式埋設ボックス用治具の折り畳み傘の骨構造をほぼ折り畳んだ状態の正面図である。
図15】この発明の実施の形態例3の組立式埋設ボックス用治具のガイド片を示す図であり、(a)図は正面図であり、(b)図は側面図である。
図16】この発明の実施の形態例3の組立式埋設ボックス用治具をハンドホールの下部のブロック状部材に設置し、上部のブロック状部材を下部のブロック状部材に載置した状態の一部断面正面図である。
図17】この方法を使用するハンドホールの斜視図である。
図18】この方法に使用するハンドホールの上部のブロック状部材を外した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態例1)
まず、この発明の実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具を図1図6に基づいて説明する。
【0023】
当該組立式埋設ボックス用治具Aは、折り畳み傘の骨構造を有する。支柱1の上端には上部ろくろ2が固定されている。また、支柱1の中間には、当該支柱1の上下方向に摺動自在な下部ろくろ3が被冠されている。上記上部ろくろ2には8個の折畳み骨4の一端が上下方向に回転自在に接続され、各折畳み骨4は放射状に伸びている。これらの各折畳み骨4は、親骨4a,子骨4b及び先骨4cの3個の骨が相互に上下方向に回転自在に接続されている。また、各折畳み骨4は弾性を有している。
【0024】
また、前記下部ろくろ3には8個の支持骨5の一端が上下方向に回転自在に接続され、各支持骨5の他端は放射状に伸び、前記折畳み骨4の親骨4aの中間位置に上下方向に回転自在に接続されている。また、各支持骨5の各親骨4aとの接続箇所の手前部分に一端を接続し、他端を前記子骨4bの突出端4b1に回転自在に接続した作動ロッド6が設けられている。また、前記親骨4aと子骨4bとは、子骨4bの前記突出端4b1のやや内側位置で回転自在に接続されている。
【0025】
また、子骨4bと先骨4cとは、先骨4cの基部の突出端4c1のやや内側位置で上下方向に回転自在に接続され、前記親骨4aの、支持骨6との接続箇所と子骨4bとの接続箇所の間に一端を、他端を先骨4cの前記突出端4c1に夫々回転自在に接続した駆動ロッド7の中央部は前記子骨4bの中央部に摺動自在に係止され、両端が湾曲して弓形状となっている。また、前記作動ロッド6及び駆動ロッド7はバネ性及び弾性を有している。これにより下部ろくろ3を支柱1に沿って持ち上げると、各折畳み骨4は上部ろくろ2から放射状に伸びる。そして、下部ろくろ3を支柱1の上部ろくろ2の近くまでいっぱいに持ち上げると、各折畳み骨4は、そのバネ性及び弾性により上部ろくろ2から湾曲してその先端はやや下方に伸びることとなる。
【0026】
また、前記先骨4cの基部外面からアーム8が突出し、その先端にガイド片9が上下方向に回転自在に接続されている。このガイド片9は下部が板状当接部9aを形成し、その上部が内側に湾曲した湾曲部9bとなっている。
【0027】
また、前記支柱1の下部には平面視円形のスタンド架台10が設けられ、当該組立治具Aが自立するようになっている。当該スタンド架台10には、前記支柱1の高さを伸縮可能な長さ調整部11が設けられている。さらに、前記下部ろくろ3は螺子12の締付け等により支柱1の任意の箇所で固定自在となっている。
【0028】
そして、前記下部ろくろ3を支柱1に沿って持ち上げると、前記支持骨5が各折畳み骨4の親骨4aを突き上げ、これにより各親骨4が開き、かつ、前記作動ロッド6に引っ張られて子骨4bが開き、さらに先骨4cが駆動ロッド7の力により開こうとする。この状態を図3及び4に示す。これは折畳み骨4が完全に開いた状態ではないが、ハンドホールやマンホールの内周で折畳み骨4を開いた際、この様な不完全な状態で開いた方が、折畳み骨4の先骨4c及び各ガイド片9はハンドホールやマンホールの内周面を強く押圧し、各ガイド片9の安定がよい。
【0029】
また、この組立式埋設ボックス用治具Aを使用するハンドホールHは、図17に示すように、第1ブロック状部材H1、第2ブロック状部材H2、第3ブロック状部材H3…を積み重ねた箱体から成り、図18に示すように、第2ブロック状部材H2、第3ブロック状部材H3等の各ブロック状部材の上端縁には接合用のシール材13が設けられている。また、この枠体の内周の四辺の四隅のハンチによって形成された斜めの内側角面H21が設けられている。これらの各内側角面H21は対角線上に対向している。このハンドホールHは、図18に示すように、横断面が略正四角形の枠体から成る。
【0030】
次に当該組立式埋設ボックス用治具Aを用いたハンドホールHの組立て方法について説明する。
【0031】
まず、図5に示すように、地表面に穴14を掘り、その中に第1及び第2ブロック状部材H1、H2を重ねて設置する。第1ブロック状部材H1は板状のものであり、この上に第2ブロック状部材H2を載せる際は、当該組立式埋設ボックス用治具Aは使用できない。当該組立式埋設ボックス用治具Aは第3ブロック状部材H3以降の組立時に使用する。
【0032】
そして、組み立てられた第1及び第2ブロック状部材H1、H2の中に当該組立式埋設ボックス用治具Aを設置する。そして、前記下部ろくろ3を支柱1に沿って持ち上げると各折畳み骨4が放射状に広がり、各ガイド片9が第2ブロック状部材H2の内周面に当接する。この状態を上から見た状態を図6に示す。このように第2ブロック状部材H2の四角の内側角面H21にガイド片9が当接し、さらに第2ブロック状部材H2の四辺の内側にもガイド片9が当接する。
【0033】
当該組立式埋設ボックス用治具Aの支柱1から第2ブロック状部材H2の四つの各辺までの長さと四角の各内側角面H21までの長さが異なるが、上部ろくろ2から放射状に伸びた各折畳み骨4はバネ性及び弾性を有する親骨4a、子骨4b、先骨4cを折り曲げながら外側に伸びているため、上記長さの相違を吸収する。従って、各ガイド片9は第2ブロック状部材H2の4つの各辺の内側及び四角の内側角面H21に押圧する。
【0034】
そこで、前記高さ調整部11により支柱1の高さを調整し、各ガイド片9が、板状当接部9aが第2ブロック状部材H2の上端内周面に圧接し、前記板状当接部9aの上部及び湾曲部9bが第2ブロック状部材H2の上端から突出するようにする。この状態を図5に示す。
【0035】
その後、図5に示すように、第3ブロック状部材H3をクレーンで吊るし、第2ブロック状部材H2の上方に第3ブロック状部材H3を持ってきて下ろす。その際、第2ブロック状部材H2の上端から突出する各ガイド片9が第3ブロック状部材H3の下端内周にすべて位置するように調整し、各ガイド片9を第3ブロック状部材H3の内周に入れて第2ブロック状部材H2の上に第3ブロック状部材H3を載置する。これにより第2ブロック状部材H2の上に正確に第3ブロック状部材H3を載置することができる。
【0036】
上記実施の形態例1では、組み立てるハンドホールHが横断面正方形であったが、図7に示すように、横断面が長方形のハンドホールHにもこの発明の組立治具Aを使用できる。この場合は、ハンドホールHの四隅の内側角面H21にはガイド片9が当接しないが、四辺に当接するため、これらのガイド片9により上部のブロック状部材を正確にガイドして載置することができる。
【0037】
また、横断面が長方形のハンドホールHであって、長辺の長さが、図7のものより長い場合にもこの発明の組立治具Aを使用できる。この場合、図8に示すように、埋設ボックス用組立治具Aを2つ並べて使用できる。また、横断面が円形のハンドホールHにおいても、図9に示すように、各ガイド片9を実施の形態例1と同様に設置することができる。
【0038】
さらに、図10に示すように、支柱1を前記上部ろくろ2より上方に伸ばし、その先端にリング15を設けてもよい。この場合、当該リング15にロープやワイヤの一端を固定して、組立治具Aを上方に吊り上げることが出来る。
【0039】
(実施の形態例2)
次にこの発明の実施の形態例2の組立式埋設ボックス用治具Bを図11図13を基づいて説明する。
【0040】
当該実施の形態例2の組立式埋設ボックス用治具Bは、図11に示すように、折り畳み傘を上下逆にしたものである。従って、下部ろくろ16が固定され、上部ろくろ17が支柱1に上下方向に摺動自在に被冠されている。そして前記折畳み骨4の基端が下部ろくろ16に上下方向に回転自在に接続され、また、支持骨5の基端が上部ろくろ17に上下方向に回転自在に接続されている。
【0041】
他の構成は前記実施の形態例1の治具Aと同じである。前記下部ろくろ16の下方の支柱1にスタンド架台10が設けられ、長さ調整部11を有し、前記上部ろくろ17は螺子12の締付け等により支柱1の任意の箇所で固定自在となっている。また、当該支柱1の上端には吊下げ用のリング18が設けられている。
【0042】
当該実施の形態例2の組立式埋設ボックス用治具Bも、前記上部ろくろ17を下方に下げると、図12に示すように、折畳み骨4が開く構成になっている。また、図13に示すように、ハンドホールHの第2ブロック状部材H2の内周面にガイド片9が当接し、押圧する構成となっている。そして、これらのガイド片9の板状当接部9aの上部及び湾曲部9bを第2ブロック状部材H2の上端部から上方に突出させるものである。
【0043】
当該実施の形態例2の治具Bも、前記実施の形態例1と同様に、第2ブロック状部材H2の上に、第3ブロック状部材H3を吊り下ろすが、その際第2ブロック状部材H2の上端縁から多数のガイド片9が突出し、第3ブロック状部材H3を接合する際のガイドとなる。
【0044】
(実施の形態例3)
次にこの発明の実施の形態例3の組立式埋設ボックス用治具Cを図14図16に基づいて説明する。
【0045】
当該実施の形態例3の組立式埋設ボックス用治具Cは、前記実施の形態例1の組立式埋設ボックス用治具Aとほぼ同じである。従って、異なる構成についてのみ説明する。異なる点はガイド片9にローラ19を設けたものである。
【0046】
即ち、ガイド片9の外面に孔20を設け、当該孔20の中に渡した軸21にローラ19を回転自在に軸支したものである。そして、図15の(a)図に示すように、ガイド片9の板状当接部9aの外面からローラ19の一側をわずかに突出させたものである。
【0047】
この治具Cは、図16に示すように、ハンドホールHの第2ブロック状部材H2に設置した場合、ガイド片9の板状当接部9aはローラ19の突出により前記第2ブロック状部材H2の内周面よりわずかに内側に位置する。
【0048】
そして、これらのガイド片9にガイドされて第3ブロック状部材H3が第2ブロック状部材H2の上に載置された後、支柱1の上端に設けたリング15にロープ22の一端を固定し、当該リング15を上方に引っ張ることにより、各ガイド片9の各ローラ19が第3ブロック状部材H3の内周面に当たって回転しながら、当該治具Cは第3ブロック状部材H3の上部に移動し、各ガイド片9の板状当接部9aの上部及び湾曲部9bを第3ブロック状部材H3の上端縁から突出させることが出来る(図示省略)。
【0049】
なお、当該実施の形態例3では治具Cの各ガイド片9に2個のローラ19を設けているが、ローラ19の数は2個に限るものではない。適宜の個数でよい。また、当該実施の形態例3の治具Cは、実施の形態例1の治具Aのガイド片9にローラ19を設けているが、実施の形態例2の治具Bのガイド片9にローラ19を設けることもできる。
【0050】
上記実施の形態例1、2、3では折畳み骨4の先骨4cにアーム8を設け、当該アーム8の先端にガイド片9を回転自在に設けたが、前記アーム8は必ずしも設けなくてもよい。その場合、前記先骨4cに直接ガイド片9を回転自在に設けてもよい。また、折畳み骨4は前記の実施の形態例1、2、3では8本設けているが、当該折畳み骨4の本数は3本以上であれば良い。また、スタンド架台10も平面視円形のものを使用しているが、形状及び構造は他の適宜の構造でも良い。
【0051】
さらに、上記実施の形態例1、2、3では組立式埋設ボックス用治具A、B、Cをハンドホールに使用した例を示したが、この発明の組立式埋設ボックス用治具はマンホール等他の組立式埋設ボックスの組立に使用できるものである。
【符号の説明】
【0052】
A、B、C 組立式埋設ボックス用治具
H ハンドホール
H1、H2、H3 ブロック状部材
H21 内側角面
1 支柱 2 上部ろくろ
3 下部ろくろ 4 折畳み骨
4a 親骨 4b 子骨
4c 先骨 5 支持骨
6 作動ロッド 7 駆動ロッド
8 アーム 9 ガイド片
9a 板状当接部 9b 湾曲部
10 スタンド架台 11 長さ調整部
12 螺子 13 シール材
14 穴 15 リング
16 下部ろくろ 17 上部ろくろ
18 リング 19 ローラ
20 孔 21 軸
22 ロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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