(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】流体機器の取替方法及び機器取替治具
(51)【国際特許分類】
F16L 41/06 20060101AFI20230606BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20230606BHJP
E03B 7/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
F16L41/06
F16L55/00 C
E03B7/00 Z
(21)【出願番号】P 2019094549
(22)【出願日】2019-05-20
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】590002208
【氏名又は名称】横浜市
(73)【特許権者】
【識別番号】397012923
【氏名又は名称】大成機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】窪田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】田代 玄樹
(72)【発明者】
【氏名】清塚 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】桑垣 大介
(72)【発明者】
【氏名】瀬藤 弘
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-128349(JP,A)
【文献】国際公開第2016/120961(WO,A1)
【文献】特開2008-169980(JP,A)
【文献】米国特許第05000489(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/06
F16L 55/00
E03B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の外面の機器設置領域に、その機器設置領域の管壁に形成されている分岐口を密封状態で囲繞する分割構造の既設流体機器が脱着自在に締結固定されている流体配管構造において、前記既設流体機器を、前記分岐口を密封囲繞可能な分割構造の新設流体機器に不断流状態で取り替える流体機器の取替方法であって、
前記既設流体機器を構成する複数の既設分割筐体のうち、前記分岐口を密封する分岐口側装着領域の既設分割筐体を、仮固定手段で前記流体管に密封状態に仮固定する第1仮固定工程と、
仮固定されている前記既設分割筐体を残置したまま、この残置の前記既設分割筐体に連結されている他の既設分割筐体を撤去する筐体部分撤去工程と、
前記流体管に残置されている前記既設分割筐体に、前記新設流体機器を構成する複数の新設分割筐体のうち、前記分岐口側装着領域に配置される前記新設分割筐体を、前記流体管の周方向に回動操作可能な状態で連結する新設筐体連結工程と、
前記仮固定手段による前記既設分割筐体の仮固定を解除する第1仮固定解除工程と、
前記既設分割筐体と前記新設分割筐体とを回動操作し、前記既設分割筐体は、前記分岐口を通過して分岐口側装着領域外に回動させ、前記新設分割筐体は、前記分岐口を越えて前記分岐口側装着領域に回動させる流体機器回動工程と、
前記新設分割筐体を、前記仮固定手段で前記流体管の分岐口側装着領域に密封状態で仮固定する第2仮固定工程と、
前記流体管に仮固定されている前記新設分割筐体を残置したまま、この残置の前記新設分割筐体に連結されている既設分割筐体を撤去する既設筐体撤去工程と、
仮固定されている残置の前記新設分割筐体に、前記新設流体機器の残りの新設分割筐体を締結固定する新設筐体締結固定工程と、
前記仮固定手段による前記新設分割筐体の仮固定を解除する第2仮固定解除工程と、
を備えている流体機器の取替方法。
【請求項2】
流体管の外面の機器設置領域に、その機器設置領域の管壁に形成されている分岐口を密封状態で囲繞する分割構造の既設流体機器が脱着自在に締結固定され、前記流体管の前記分岐口に装着されている防錆コアの一部が、前記流体管の外面と前記既設流体機器の内面との間に形成されている内部空間内に突設されている流体配管構造において、前記既設流体機器を、前記分岐口を密封囲繞可能な分割構造の新設流体機器に不断流状態で取り替える流体機器の取替方法であって、
前記既設流体機器を構成する複数の既設分割筐体のうち、前記防錆コアを密封する分岐口側装着領域の既設分割筐体を、仮固定手段で前記流体管に密封状態に仮固定する第1仮固定工程と、
仮固定されている前記既設分割筐体を残置したまま、この残置の前記既設分割筐体に連結されている他の既設分割筐体を撤去する筐体部分撤去工程と、
前記流体管に残置されている前記既設分割筐体に、前記新設流体機器を構成する複数の新設分割筐体のうち、前記分岐口側装着領域に配置される前記新設分割筐体を、前記流体管の周方向に回動操作可能な状態で連結する新設筐体連結工程と、
前記仮固定手段による前記既設分割筐体の仮固定を解除する第1仮固定解除工程と、
前記既設分割筐体と前記新設分割筐体とを回動操作し、前記既設分割筐体は、前記防錆コアを通過して分岐口側装着領域外に回動させ、前記新設分割筐体は、前記防錆コアを越えて前記分岐口側装着領域に回動させる流体機器回動工程と、
前記新設分割筐体を、前記仮固定手段で前記流体管の分岐口側装着領域に密封状態で仮固定する第2仮固定工程と、
前記流体管に仮固定されている前記新設分割筐体を残置したまま、この残置の前記新設分割筐体に連結されている既設分割筐体を撤去する既設筐体撤去工程と、
仮固定されている残置の前記新設分割筐体に、前記新設流体機器の残りの新設分割筐体を締結固定する新設筐体締結固定工程と、
前記仮固定手段による前記新設分割筐体の仮固定を解除する第2仮固定解除工程と、
を備えている流体機器の取替方法。
【請求項3】
前記第1仮固定解除工程を行う前に、前記既設分割筐体と前記新設分割筐体に、前記仮固定手段を緩めたときに流出する流体の外部飛散を抑える流体飛散抑止体を装着する流体飛散抑止工程を実行する請求項1又は2記載の流体機器の取替方法。
【請求項4】
前記新設筐体連結
工程においては、前記流体管の外面と前記既設分割筐体の内面との間における少なくとも前記防錆コアに対応する部位の空隙、及び、前記流体管の外面と前記新設分割筐体の内面との間における少なくとも前記防錆コアに対応する部位の空隙が、前記防錆コアの突出部の突出寸法と同一又はそれよりも大となる状態で、前記既設分割筐体と前記新設分割筐体とを連結し、前記流体機器回動工程においては、前記既設分割筐体を、前記防錆コアの突出先端と接触又は非接触状態で通過して前記分岐口側装着領域外に回動させ、且つ、前記新設分割筐体を、前記防錆コアの突出先端と接触又は非接触状態で超えて前記分岐口側装着領域に回動させる工程を含む請求項2記載の流体機器の取替方法。
【請求項5】
前記流体機器回動工程においては、前記既設分割筐体及び前記新設分割筐体を、前記新設分割筐体の回動前方側で前記防錆コアの突出部を剪断又は変形させながら回動させる工程を含む請求項2記載の流体機器の取替方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の流体機器の取替方法に用いられる機器取替治具であって、前記流体管に外装固定可能な治具本体に、前記流体管に対して前記既設分割筐体又は前記新設分割筐体を密封状態に仮固定する仮固定部が設けられている機器取替治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管の外面の機器設置領域に、その機器設置領域の管壁に形成されている分岐口を密封状態で囲繞する分割構造の既設流体機器が脱着自在に締結固定され、前記流体管の前記分岐口に装着されている防錆コアの一部が、前記流体管の外面と前記既設流体機器の内面との間に形成されている内部空間内に突設されている流体配管構造において、前記既設流体機器を、前記分岐口を密封囲繞可能な分割構造の新設流体機器に不断流状態で取り替える流体機器の取替方法、及びそれに用いられる機器取替治具に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の流体機器の取替方法として、特許文献1に示す水道管の分岐栓の取替方法が存在する。この取替方法に用いられる既設流体機器の一例であるサドル式の既設分岐栓は、流体管を上下方向から挟持装着可能な一対のサドル部(分割筐体の一例)と、両サドル部を流体管に固定するボルト・ナット等の締結具と、流体管の分岐口に対面する上側のサドル部に固定される分岐栓本体と、を備える。分岐栓本体は、横向き「T」字状の流路と、流路の流路交差部に配置されるボール弁と、を備える。ボール弁は、流路の下端開口である底部流入口と、流路の上端開口である作業用開口と、流路の横向き開口である分岐流出口と、を選択的に連通遮断する。分岐栓本体には、作業用開口を密封状態で閉止する蓋が脱着自在に設けられている。
【0003】
上述の分岐栓の取替方法では、分岐栓本体の作業用開口を閉止している蓋を取外し、分岐栓本体の上端部に、流路の作業用開口から底部流入口を通過して流体管の分岐口にネジ切り封水具を送り込むネジ切り封水装置を取付ける。このネジ切り封水装置のネジ切り封水具は、ネジ切り用のタップ部と、該タップ部の基端側に連続形成される雄ネジ部と、を備える。
【0004】
そして、ボール弁を開弁操作し、ネジ切り封水装置のネジ切り封水具を流体管の分岐口に送り込む。このネジ切り封水具のタップ部により、分岐口の内周面に雌ネジ部を形成する。この雌ネジ部にネジ切り封水具の雄ネジ部を螺合することにより、流体管の分岐口を仮封止する。
次に、ネジ切り封水具を流体管に残置したまま、ネジ切り封水装置におけるネジ切り封水具以外の他の封水構成部材を既設分岐栓から取外す工程と、流体管から既設分岐栓を撤去する工程と、新設流体機器の一例で、ボール弁が開弁操作されているサドル式の新設分岐栓を流体管に取付ける工程と、新設分岐栓の分岐栓本体の上端部に、ネジ切り封水装置における他の封水構成部材を取付ける工程と、流体管の分岐口を仮封止しているネジ切り封水具をネジ切り封水装置のケーシング内に回収する工程と、ボール弁を閉弁操作して、新設分岐栓の分岐栓本体からネジ切り封水装置を取外す工程と、新設分岐栓の作業用開口を蓋で閉止する工程と、を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の水道管の分岐栓の取替方法では、既設分岐栓にネジ切り封水装置を取付ける工程と、ネジ切り封水装置のネジ切り封水具を流体管の分岐口に送り込み、ネジ切り封水具のタップ部で分岐口の内周面に雌ネジ部を形成し、この形成された雌ネジ部にネジ切り封水具の雄ネジ部を螺合して仮封止する工程と、ネジ切り封水具を流体管に残置したまま、既設分岐栓からネジ切り封水装置の他の封水構成部材を取外す工程と、流体管から既設分岐栓を撤去する工程と、流体管にサドル式の新設分岐栓を取付ける工程と、新設分岐栓に、ネジ切り封水装置における他の封水構成部材を取付ける工程と、流体管の分岐口を仮封止しているネジ切り封水具をネジ切り封水装置のケーシング内に回収する工程と、新設分岐栓からネジ切り封水装置を取外す工程と、新設分岐栓の作業用開口を蓋で閉止する工程と、の多数の工程を実行する必要がある。
しかも、特許文献1には記載されていないが、流体管の分岐口に防錆コアが装着されている既設分岐栓においては、防錆コアを撤去する装置及びそれを使用したコア撤去工程が加わるため、分岐栓取替作業に多数の機材と多数の手間を要している。
さらに、既設分岐栓のボール弁が開弁操作できない状態では、上述の水道管の分岐栓の取替方法を実行することができない。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、既設流体機器から新設流体機器への取り替え作業を少ない機材及び工程で能率良く容易に行うことのできる流体機器の取替方法、及びそれに用いられる有用な機器取替治具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、流体管の外面の機器設置領域に、その機器設置領域の管壁に形成されている分岐口を密封状態で囲繞する分割構造の既設流体機器が脱着自在に締結固定されている流体配管構造において、前記既設流体機器を、前記分岐口を密封囲繞可能な分割構造の新設流体機器に不断流状態で取り替える流体機器の取替方法であって、
前記既設流体機器を構成する複数の既設分割筐体のうち、前記分岐口を密封する分岐口側装着領域の既設分割筐体を、仮固定手段で前記流体管に密封状態に仮固定する第1仮固定工程と、
前記流体管に仮固定されている前記既設分割筐体を残置したまま、この残置の前記既設分割筐体に連結されている他の既設分割筐体を撤去する筐体部分撤去工程と、
仮固定されている残置の前記既設分割筐体に、前記新設流体機器を構成する複数の新設分割筐体のうち、前記分岐口側装着領域に配置される前記新設分割筐体を、前記流体管の周方向に回動操作可能な状態で連結する新設筐体連結工程と、
前記仮固定手段による前記既設分割筐体の仮固定を解除する第1仮固定解除工程と、
前記既設分割筐体と前記新設分割筐体とを回動操作し、前記既設分割筐体は、前記分岐口を通過して分岐口側装着領域外に回動させ、前記新設分割筐体は、前記分岐口を越えて前記分岐口側装着領域に回動させる流体機器回動工程と、
前記新設分割筐体を、前記仮固定手段で前記流体管の分岐口側装着領域に密封状態で仮固定する第2仮固定工程と、
前記流体管に仮固定されている前記新設分割筐体を残置したまま、この残置の前記新設分割筐体に連結されている既設分割筐体を撤去する既設筐体撤去工程と、
残置されている前記新設分割筐体に、前記新設流体機器の残りの新設分割筐体を締結固定する新設筐体締結固定工程と、
前記仮固定手段による前記新設分割筐体の仮固定を解除する第2仮固定解除工程と、
を備えている点にある。
【0009】
上記構成によれば、流体管の機器設置領域に締結固定されている既設流体機器の複数の既設分割筐体のうち、分岐口側装着領域に位置する既設分割筐体のみを、仮固定手段で密封状態に仮固定し、それ以外の既設分割筐体を撤去したのち、仮固定されている残置の既設分割筐体に、新設流体機器を構成する複数の新設分割筐体のうち、分岐口側装着領域に配置される新設分割筐体を回動操作可能な状態で連結する。この連結状態で仮固定手段による既設分割筐体の仮固定を解除し、既設分割筐体と新設分割筐体とを回動操作する。この回動操作により、既設分割筐体は、分岐口を通過して分岐口側装着領域外に回動し、新設分割筐体は、分岐口を越えて分岐口側装着領域に回動する。分岐口側装着領域に位置する新設分割筐体を、仮固定手段で密封状態に仮固定し、この新設分割筐体に連結されている既設分割筐体を撤去する。その後は、仮固定されている残置の新設分割筐体に、新設流体機器の残りの新設分割筐体を締結固定したのち、仮固定手段による新設分割筐体の仮固定を解除するだけで、流体機器の取替作業が完了する。
したがって、分岐口側装着領域に位置する既設分割筐体と分岐口側装着領域に配置される新設分割筐体とを連結して回動操作し、既設分割筐体を撤去したのち、新設流体機器の残りの新設分割筐体を締結固定するという合理的な取替作業工程の工夫により、既設流体機器から新設流体機器への取り替え作業を少ない機材と工程で能率良く容易に行うことができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、流体管の外面の機器設置領域に、その機器設置領域の管壁に形成されている分岐口を密封状態で囲繞する分割構造の既設流体機器が脱着自在に締結固定され、前記流体管の前記分岐口に装着されている防錆コアの一部が、前記流体管の外面と前記既設流体機器の内面との間に形成されている内部空間内に突設されている流体配管構造において、前記既設流体機器を、前記分岐口を密封囲繞可能な分割構造の新設流体機器に不断流状態で取り替える流体機器の取替方法であって、
前記既設流体機器を構成する複数の既設分割筐体のうち、前記防錆コアを密封する分岐口側装着領域の既設分割筐体を、仮固定手段で前記流体管に密封状態に仮固定する第1仮固定工程と、
前記流体管に仮固定されている前記既設分割筐体を残置したまま、この残置の前記既設分割筐体に連結されている他の既設分割筐体を撤去する筐体部分撤去工程と、
仮固定されている残置の前記既設分割筐体に、前記新設流体機器を構成する複数の新設分割筐体のうち、前記分岐口側装着領域に配置される前記新設分割筐体を、前記流体管の周方向に回動操作可能な状態で連結する新設筐体連結工程と、
前記仮固定手段による前記既設分割筐体の仮固定を解除する第1仮固定解除工程と、
前記既設分割筐体と前記新設分割筐体とを回動操作し、前記既設分割筐体は、前記防錆コアを通過して分岐口側装着領域外に回動させ、前記新設分割筐体は、前記防錆コアを越えて前記分岐口側装着領域に回動させる流体機器回動工程と、
前記新設分割筐体を、前記仮固定手段で前記流体管の分岐口側装着領域に密封状態で仮固定する第2仮固定工程と、
前記流体管に仮固定されている前記新設分割筐体を残置したまま、この残置の前記新設分割筐体に連結されている既設分割筐体を撤去する既設筐体撤去工程と、
残置されている前記新設分割筐体に、前記新設流体機器の残りの新設分割筐体を締結固定する新設筐体締結固定工程と、
前記仮固定手段による前記新設分割筐体の仮固定を解除する第2仮固定解除工程と、
を備えている点にある。
【0011】
上記構成によれば、流体管の機器設置領域に締結固定されている既設流体機器の複数の既設分割筐体のうち、分岐口側装着領域に位置する既設分割筐体のみを、仮固定手段で密封状態に仮固定し、それ以外の既設分割筐体を撤去したのち、仮固定されている残置の既設分割筐体に、新設流体機器を構成する複数の新設分割筐体のうち、分岐口側装着領域に配置される新設分割筐体を回動操作可能な状態で連結する。この連結状態で仮固定手段による既設分割筐体の仮固定を解除し、既設分割筐体と新設分割筐体とを回動操作する。この回動操作により、既設分割筐体は、防錆コアを通過して分岐口側装着領域外に回動し、新設分割筐体は、防錆コアを越えて分岐口側装着領域に回動する。分岐口側装着領域に位置する新設分割筐体を、仮固定手段で密封状態に仮固定し、この新設分割筐体に連結されている既設分割筐体を撤去する。その後は、仮固定されている残置の新設分割筐体に、新設流体機器の残りの新設分割筐体を締結固定したのち、仮固定手段による新設分割筐体の仮固定を解除するだけで、流体機器の取替作業が完了する。
したがって、分岐口側装着領域に位置する既設分割筐体と分岐口側装着領域に配置される新設分割筐体とを連結して回動操作し、既設分割筐体を撤去したのち、新設流体機器の残りの新設分割筐体を締結固定するという合理的な取替作業工程の工夫により、既設流体機器から新設流体機器への取り替え作業を少ない機材と工程で能率良く容易に行うことができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記第1仮固定解除工程を行う前に、前記既設分割筐体と前記新設分割筐体に、前記仮固定手段を緩めたときに流出する流体の外部飛散を抑える流体飛散抑止体を装着する流体飛散抑止工程を実行する点にある。
【0013】
上記構成によれば、既設分割筐体と新設分割筐体とに装着した流体飛散抑止体により、仮固定手段による既設分割筐体の仮固定を解除したときに流出する圧力流体の外部飛散を抑えることができるので、既設分割筐体と新設分割筐体の回動操作等を飛散流体に邪魔されることなく容易に実行することができる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記新設筐体連結工程においては、前記流体管の外面と前記既設分割筐体の内面との間における少なくとも前記防錆コアに対応する部位の空隙、及び、前記流体管の外面と前記新設分割筐体の内面との間における少なくとも前記防錆コアに対応する部位の空隙が、前記防錆コアの突出部の突出寸法と同一又はそれよりも大となる状態で、前記既設分割筐体と前記新設分割筐体とを連結し、前記流体機器回動工程においては、前記既設分割筐体を、前記防錆コアの突出先端と接触又は非接触状態で通過して前記分岐口側装着領域外に回動させ、且つ、前記新設分割筐体を、前記防錆コアの突出先端と接触又は非接触状態で前記分岐口側装着領域に回動させる工程を含む点にある。
【0015】
上記構成によれば、第1仮固定解除工程において、仮固定手段による仮固定を解除すると、流体管の分岐口から流出する圧力流体によって既設分割筐体が持ち上げられ、流体管の外面と既設分割筐体の内面との間における少なくとも防錆コアに対応する部位の空隙が、防錆コアの突出部の突出寸法と同一又はそれよりも大となる状態に維持される。これにより、流体機器回動工程においては、流体管の分岐口側装着領域に位置する既設分割筐体を、防錆コアの突出先端と接触又は非接触状態で通過して分岐口側装着領域外にスムーズに回動させることができる。
また、新設分割筐体が流体管の分岐口側装着領域の分岐口に回動すると、この分岐口から流出する圧力流体によって新設分割筐体が持ち上げられ、流体管の外面と新設分割筐体の内面との間における少なくとも防錆コアに対応する部位の空隙が、防錆コアの突出部の突出寸法と同一又はそれよりも大となる状態に維持される。これにより、新設分割筐体を、防錆コアの突出先端と接触又は非接触状態で分岐口側装着領域にスムーズに回動させることができる。
したがって、流体機器回動工程において、既設分割筐体及び新設分割筐体が防錆コアの突出先端を通過するときの回動抵抗を小さくすることができる又は回動抵抗を無くすることができるので、既設分割筐体及び新設分割筐体の回動操作をより能率良く容易に行うことができる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、前記流体機器回動工程においては、前記既設分割筐体及び前記新設分割筐体を、前記新設分割筐体の回動前方側で前記防錆コアの突出部を剪断又は変形させながら回動させる工程を含む点にある。
【0017】
上記構成によれば、新設筐体連結工程において、既設分割筐体と新設分割筐体との連結部における緩み量を極力少なくして、流体機器回動工程において、既設分割筐体及び新設分割筐体をがたつきの少ない状態で回動させるように設定しても、新設分割筐体の回動前方側で防錆コアの突出部を剪断又は変形させるので、新設分割筐体は、防錆コアの剪断面又は防錆コアの変形突出部を超えて回動することになり、新設分割筐体の回動時のシール部等の損傷を抑制することができる。
【0018】
本発明の第6特徴構成は、第1~第5特徴構成のいずれか一つに記載の流体機器の取替方法に用いられる機器取替治具であって、前記流体管に外装固定可能な治具本体に、前記流体管に対して前記既設分割筐体又は前記新設分割筐体を密封状態に仮固定する仮固定部が設けられている点にある。
【0019】
上記構成によれば、流体管に外装固定された治具本体の仮固定部により、流体管の分岐口側装着領域に位置する既設分割筐体又は新設分割筐体を密封状態に仮固定することができるので、既設分割筐体又は新設分割筐体の仮固定構造の簡素化を図ることができる。
あ
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態の流体機器の取替方法において、既設分岐栓の上側の既設サドル部を第1仮固定具で仮固定したときの側面図
【
図4】既設分岐栓の既設サドル部に新設漏洩補修金具の新設分割筐体を連結する直前の側面図
【
図5】既設分岐栓の既設サドル部に新設漏洩補修金具の新設分割筐体を連結する直前の横断面図
【
図6】既設分岐栓の上側既設サドル部に新設漏洩補修金具の新設分割筐体を連結したときの横断面図
【
図7】既設分岐栓の既設サドル部の仮固定を緩めたときの横断面図
【
図8】既設サドル部と新設分割筐体との連結物を90度回動したときの横断面図
【
図9】既設サドル部と新設分割筐体との連結物を180度回動したときの横断面図
【
図10】上方に回動した新設分割筐体を第1仮固定具で仮固定したときの横断面図
【
図11】下方に回動した既設サドル部を新設分割筐体から取外したときの横断面図
【
図12】上方に回動した新設分割筐体を第1仮固定具で仮固定したときの側面図
【
図13】新設漏洩補修金具の上側の新設分割筐体に下側の新設分割筐体を連結したときの横断面図
【
図14】第1仮固定具を撤去した取替完了時の横断面図
【
図15】第2実施形態の流体機器の取替方法において、既設分岐栓の上側の既設サドル部を第2仮固定具で仮固定したときの側面図
【
図16】既設分岐栓の上側の既設サドル部を第2仮固定具で仮固定したときの横断面図
【
図17】既設分岐栓の下側の既設サドル部を取外したときの横断面図
【
図18】既設分岐栓の既設サドル部に新設漏洩補修金具の新設分割筐体を連結したときの横断面図
【
図19】既設サドル部と新設分割筐体との連結物を略45度回動したときの横断面図
【
図20】既設サドル部と新設分割筐体との連結物を180度回動したときの横断面図
【
図21】上方に回動した新設分割筐体を第2仮固定具で仮固定したときの側面図
【
図22】下方に回動した下側既設サドル部を取外したときの横断面図
【
図23】新設漏洩補修金具の上側の新設分割筐体に下側の新設分割筐体を連結した取替完了時の横断面図
【
図25】第3実施形態の流体機器の取替方法において、既設分岐栓の既設サドル部に新設漏洩補修金具の新設分割筐体を連結したときの横断面図
【
図26】既設サドル部と新設分割筐体との連結物を90度回動したときの横断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1~
図3は、水道管等の流体管1の外面の機器設置領域T1に、その機器設置領域T1の管壁に形成されている分岐口2を密封状態(水密状態)で囲繞する分割構造の既設流体機器の一例であるサドル式の既設分岐栓3が取付けられている流体配管構造を示す。この流体配管構造では、従来から存在する複数種類のサドル式の既設分岐栓3の一つが用いられている。
本実施形態で用いられるサドル式の既設分岐栓3は、
図1~
図3に示すように、円周方向に沿って連結される複数の既設分割筐体の一例で、流体管1に上下方向から挟持状態で装着可能な一対の略半円筒状の既設サドル部31,32と、両既設サドル部31,32を流体管1に締結固定する第1連結ボルト33A・第1ナット33B等の第1締結具33と、流体管1の分岐口2に対面する上側の既設サドル部31に設けられる分岐栓本体34と、を備える。
上側の既設サドル部31には、
図3に示すように、流体管1の分岐口2の周囲を密封する第1ゴム輪35が装着されている。両既設サドル部31,32の円周方向両端部には、
図1~
図3に示すように、直径方向の外方側に突出する第1連結フランジ31A,32Aが一体形成されている。両既設サドル部31,32の各第1連結フランジ31A,32Aには、第1連結ボルト33Aが挿通される第1ボルト挿通孔36が形成されている。
【0022】
分岐栓本体34には、
図3に示すように、横向き「T」字状の流路34Aと、流路34Aの流路交差部に配置される開閉弁としてのボール弁34Bと、を備える。ボール弁34Bは、流路34Aの下端開口である底部流入口34aと、流路34Aの上端開口である作業用開口34bと、流路34Aの横向き開口である分岐流出口34cと、を選択的に連通遮断する。また、分岐栓本体34には、作業用開口34bを密封状態で閉止する蓋34Dが脱着自在に設けられている。この蓋34Dが装着されている状態では、流路34Aにおける底部流入口34aと分岐流出口34cとの間の「L」字状の流路部分がボール弁34Bで開閉操作される。
【0023】
流体管1の分岐口2には、これの内周面の腐蝕や錆びの発生を抑制するための耐蝕性、耐錆製に優れた円筒状の防錆コア4が装着されている。この防錆コア4の一部である径方向外方側端部は、流体管1の外面と既設分岐栓3の内面との間に形成される内部空間の一例である流路34Aの底部流入口34a側に突設されている。
【0024】
次に、上述の流体配管構造において、漏水が発生した交換対象の既設分岐栓3を、新設流体機器の一例で、流体管1の分岐口2を密封閉鎖状態で囲繞するサドル式の新設漏洩補修金具5(
図14参照)に不断流状態(不断水状態)で取り替える流体機器の取替方法について説明する。
この流体機器の取替方法で用いられるサドル式の新設漏洩補修金具5は、
図5、
図13、
図14に示すように、流体管1に上下方向から挟持状態で装着可能な一対の略半円筒状の新設分割筐体51,52と、両新設分割筐体51,52を流体管1に締結固定する第2連結ボルト53A・第2ナット53B等の第2締結具53と、を備える。流体管1の分岐口2に対面配置される上側の新設分割筐体51の中央部には、
図13、
図14に示すように、流体管1の分岐口2に装着されている防錆コア4の突出部4aが入り込み可能な凹部51bを有する膨出突起部51Bが形成されている。上側の新設分割筐体51の内面における凹部51bの外周部位には、分岐口2及び防錆コア4の周囲を密封する第2ゴム輪54が装着されている。
両新設分割筐体51,52の円周方向両端部には、直径方向の外方側に突出する第2連結フランジ51A,52Aが一体形成されている。両新設分割筐体51,52の各第2連結フランジ51A,52Aには、
図13、
図14に示すように、第2連結ボルト53Aが挿通される第2ボルト挿通孔55が形成されている。
【0025】
[既設サドル部の第1仮固定工程(既設分割筐体の第1仮固定工程)]
図1~
図3は、既設分岐栓3を構成する両既設サドル部31,32のうち、防錆コア4を密封する分岐口側装着領域T2(
図2参照)に配置されている上側の既設サドル部31を、仮固定手段6を構成する第1仮固定具6Aで流体管1の外面に密封状態に仮固定する第1仮固定工程を示す。
【0026】
第1仮固定具6Aは、
図1~
図3に示すように、流体管1に着脱自在に外装自在で、且つ、流体管1に装着されている既設分岐栓3の蓋34Dよりも上方に延出されるネジ軸部61aを有する一対の「U」字状の仮固定ボルト61と、両仮固定ボルト61のネジ軸部61aに対する四つの第3ボルト挿通孔62aを備えた平面視矩形状の押圧板62と、押圧板62の上面を押圧する状態で両仮固定ボルト61のネジ軸部61aに螺合される押えナット63と、を備える。
【0027】
上述の第1仮固定工程では、流体管1における既設分岐栓3の管軸芯方向の両側部位に、第1仮固定具6Aの両仮固定ボルト61を下方から外装する。両仮固定ボルト61のネジ軸部61aに、押圧板62の四つの第3ボルト挿通孔62aを挿通し、押圧板62の下面を既設分岐栓3の蓋34Dの上面に載置する。この状態で、両仮固定ボルト61の各ネジ軸部61aに押えナット63を螺合し、既設分岐栓3の上側の既設サドル部31を流体管1の外面に押圧して仮固定する。
このとき、両既設サドル部31,32は、第1締結具33の第1連結ボルト33A・第1ナット33Bによって密封状態に締結固定されている。
【0028】
[既設分岐栓のサドル部分撤去工程(既設流体機器の筐体部分撤去工程)]
図4の上半部は、第1仮固定具6Aで仮固定されている上側の既設サドル部31を残置したまま、この残置の上側の既設サドル部31に第1締結具33で連結されている下側の既設サドル部32を撤去するサドル部分撤去工程を示す。
第1締結具33を締結解除操作して下側の既設サドル部32を撤去しても、上側の既設サドル部31は、第1仮固定具6Aの押えナット63による締付け操作によって密封状態に維持されている。
【0029】
[新設筐体連結工程]
図4~
図6は、流体管1に第1仮固定具6Aで仮固定されている残置の上側の既設サドル部31に、新設漏洩補修金具5を構成する両新設分割筐体51,52のうち、最終的に流体管1の分岐口側装着領域T2(
図2参照)に配置される上側の新設分割筐体51を、流体管1の周方向に回動操作可能な状態で連結する新設筐体連結工程を示す。
この新設筐体連結工程では、
図4~
図6に示すように、流体管1の分岐口側装着領域T2に位置する上側の既設サドル部31の両第1連結フランジ31Aに、流体管1に対して下方側から装着され、且つ、最終的に上方に回動操作される新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aを、第2締結具53の第2連結ボルト53A・第2ナット53Bで連結する。
本実施形態では、第2締結具53を用いて、上側の既設サドル部31の両第1連結フランジ31Aと最終的に上方に回動操作される新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aとを連結したが、第1締結具33又は他の締結具を用いて、両第1連結フランジ31Aと両第2連結フランジ51Aとを連結してもよい。
【0030】
上側の既設サドル部31と最終的に上方に回動操作される新設分割筐体51とを第2締結具53で連結する場合、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物を流体管1の外面に沿って周方向に人為力(又は機械力)で回動操作できる程度の緩みで連結する。
この新設筐体連結工程において、本実施形態では、
図6に示すように、流体管1の外面と新設分割筐体51の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア4に管軸芯方向で対応する部位に形成される第1空隙S1の径方向寸法h1が、防錆コア4の突出部4aの突出寸法hよりも大となる状態で、既設サドル部31と新設分割筐体51とを連結する工程を含む。
尚、
図6では、第1仮固定具6Aで仮固定されている上側の既設サドル部31に対して新設分割筐体51が自重で下降した状態にある。そのため、第1空隙S1は、流体管1の外面の下側面とそれに対面する新設分割筐体51の内面との間に現れている。
【0031】
また、上述の新設筐体連結工程において、流体管1の外面と新設分割筐体51の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア4に管軸芯方向で対応する部位に形成される第1空隙S1の径方向寸法h1を、防錆コア4の突出部4aの突出寸法hと同一になる状態で、既設サドル部31と新設分割筐体51とを連結してもよい。この場合、後述する流体機器回動工程において、既設サドル部31は、防錆コア4の突出部4aに対して接触状態で通過して分岐口側装着領域外となる流体管1の下半側領域に回動する。他方、新設分割筐体51は、防錆コア4の突出部4aに対して接触状態で越えて分岐口側装着領域T2に回動する。
【0032】
[流体飛散抑止工程]
図6は、回動操作可能な状態で連結されている既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物に、上側の既設サドル部31を仮固定している第1仮固定具6Aの押えナット63を緩め操作したときに流出する圧力流体(上水)の外部飛散を抑える流体飛散抑止体7を装着する工程を示す。
流体飛散抑止体7は、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物を覆い包むことが可能な可撓性(柔軟性)を備えた樹脂製の内部透視可能な防水シート(例えば、透明又は半透明なポリエチレンシート)71から構成されている。本実施形態では、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物に巻き付けた防水シート71の両端部を、紐やバンド等の締め付け具(図示省略)で流体管1に止め付けている。
また、防水シート71の重ね合わせ部は、作業者の作業位置から離れた位置に配置し、第1仮固定具6Aを緩め操作したときに防水シート71の重ね合わせ部から噴出する圧力流体が作業者に降りかかることを抑制する。これにより、内部透視可能な防水シート71で覆われている内部を目視で確認しながら、圧力流体の噴出による流体機器取替作業の妨げを回避することができる。
【0033】
尚、防水シート71の重ね合わせ部を面ファスナー等で閉止するとともに、防水シート71に排水ホースを接続して、第1仮固定具6Aを緩め操作したときに防水シート71内に噴出する圧力流体を排水ホースで所定排水箇所に排水してもよい。
【0034】
[第1仮固定具の第1仮固定解除工程]
図7は、第1仮固定具6Aによる上側の既設サドル部31の仮固定を解除する第1仮固定解除工程を示す。
第1仮固定解除工程においては、第1仮固定具6Aの押えナット63による締付けを解除操作すると、流体管1の分岐口2から噴出する圧力流体(水圧)によって上側の既設サドル部31が持ち上げられ、新設分割筐体51の内面が流体管1の外面の下側面に当接する。これにより、上側の既設サドル部31の内面と流体管1の外面の上側面との間には、防錆コア4の突出部4aの突出寸法h(
図6参照)よりも大なる第1空隙S1が形成される。この第1空隙S1から防水シート71内に圧力流体が噴出し、その圧力流体の一部が防水シート71の重ね合わせ部から外部に噴出しても、作業者にはふりかからないので、作業を妨げることはない。
【0035】
[流体機器回動工程]
図8、
図9は、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物を回動操作し、既設サドル部31は、防錆コア4の突出部4aを非接触状態で通過して分岐口側装着領域外となる流体管1の下半側領域に回動させ、新設分割筐体51は、防錆コア4の突出部4aを非接触状態で越えて分岐口側装着領域T2(
図2参照)に回動させる流体機器回動工程を示す。
この流体機器回動工程においては、
図7に示すように、流体管1の分岐口2から流出する圧力流体によって上側の既設分岐栓3が持ち上げられ、既設サドル部31の内面と流体管1の外面との間における少なくとも防錆コア4に対応する部位に形成される第1空隙S1が、防錆コア4の突出部4aの突出寸法h(
図6参照)よりも大となる状態に維持されている。これにより、分岐口側装着領域T2に位置する既設分岐栓3を、防錆コア4の突出先端と非接触状態で通過して分岐口側装着領域外となる流体管1の下半側領域にスムーズに移動させることができる。
【0036】
さらに、流体管1の下半側領域にある新設分割筐体51の一端部が分岐口側装着領域T2の分岐口2に移動すると、
図9に示すように、分岐口2から流出する圧力流体によって新設分割筐体51が持ち上げられ、流体管1の外面と新設分割筐体51の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア4に管軸芯方向で対応する部位に第1空隙S1が形成される。この第1空隙S1は、防錆コア4の突出部4aの突出寸法h(
図6参照)よりも大きな径方向寸法h1に維持される。これにより、新設分割筐体51を、防錆コア4の突出先端と非接触状態で超えて分岐口側装着領域T2にスムーズに回動させることができる。したがって、流体機器回動工程においては、防錆コア4による移動抵抗が無くなるので、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物の回動操作をより能率良く容易に行うことができる。
【0037】
[新設分割筐体の第2仮固定工程]
図10は、上方に回動した新設分割筐体51を、第1仮固定具6Aで流体管1の分岐口側装着領域T2に密封状態に仮固定する第2仮固定工程を示す。
この第2仮固定工程では、流体管1における新設分割筐体51の管軸芯方向の両側部位に配置されている両仮固定ボルト61には、押圧板62と押えナット63が既に組付けられている。そのため、押圧板62の下面を新設分割筐体51の膨出突起部51Bの上面に当て付け、両仮固定ボルト61のネジ軸部61aに螺合されている各押えナット63を締め付け操作する。これにより、新設分割筐体51を流体管1の外面の分岐口側装着領域T2に密封状態で押圧して仮固定することができる。
【0038】
[既設サドル部撤去工程(既設筐体撤去工程)]
図11、
図12は、流体管1に仮固定されている新設分割筐体51を残置したまま、この残置の新設分割筐体51に連結されている既設サドル部31を撤去する既設サドル部撤去工程を示す。
この既設サドル部撤去工程では、新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aと既設サドル部31の両第1連結フランジ31Aとを連結している第2締結具53を取外し、流体管1の分岐口側装着領域T2に位置する新設分割筐体51から既設サドル部31を撤去する。
【0039】
[新設筐体締結固定工程]
図13は、流体管1の分岐口側装着領域T2(
図2参照)に仮固定されている新設分割筐体51に、新設漏洩補修金具5の残りの新設分割筐体52を締結固定する新設筐体締結固定工程を示す。
この新設筐体締結固定工程では、仮固定されている上側の新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aに、流体管1に対して下方側から装着された残りの新設分割筐体52の両第2連結フランジ52Aを、第2締結具53の第2連結ボルト53A・第2ナット53Bで締結固定する。
【0040】
[第1仮固定具の第2仮固定解除工程]
図14は、第1仮固定具6Aによる上側の新設分割筐体51の仮固定を解除する第2仮固定解除工程を示す。
第2仮固定解除工程においては、第1仮固定具6Aの押えナット63による締付けを解除操作し、第1仮固定具6Aを流体管1から撤去する。
図14は、流体管1に新設漏洩補修金具5のみが残る流体機器取替方法の完了状態を示している。
【0041】
〔第2実施形態〕
図15~
図23は、流体機器回動工程において、流体管1の分岐口側装着領域T2(
図2参照)に位置する既設サドル部31及び流体管1の下半側領域に位置する新設分割筐体51を、新設分割筐体51の回動前方側において防錆コア4の突出部4aを通過可能な状態に変形させながら回動させる流体機器の取替方法を示す。
【0042】
[既設サドル部の第1仮固定工程(既設分割筐体の第1仮固定工程)]
図15、
図16は、既設分岐栓3を構成する両既設サドル部31,32をのうち、防錆コア4を密封する分岐口側装着領域T2(
図2参照)に配置されている上側の既設サドル部31を、仮固定手段6を構成する第2仮固定具6Bで流体管1の外面に密封状態に仮固定する第1仮固定工程を示す。
第2仮固定具6Bは、流体管1に対して上下方向から脱着自在に挟持固定される二分割構造の一対の挟持固定部材64と、両挟持固定部材64の上側挟持体64Aに脱着自在に架設される押圧部材65と、を備える。両挟持固定部材64の上側挟持体64Aには、既設分岐栓3の蓋34Dの上面を押圧固定する高さ位置で押圧部材65をボルト止めするための上側ボルト挿通孔64a(
図21参照)と、新設漏洩補修金具5の一方を構成する上側の新設分割筐体51における膨出突起部51Bの上面を押圧固定する高さ位置で押圧部材65をボルト止めするための下側ボルト挿通孔64b(
図15、
図21参照)と、が設けられている。
押圧部材65には、既設分岐栓3の蓋34D及び新設分割筐体51の膨出突起部51Bに対して選択的に押圧可能な押圧部65Aが設けられている。
【0043】
上述の第1仮固定工程では、両挟持固定部材64の上側挟持体64Aにおける上側ボルト挿通孔64a(
図21参照)に押圧部材65をボルト止めする。この押圧部材65の押圧部65Aにより、既設分岐栓3の上側の既設サドル部31を流体管1の外面に密封状態で押圧して仮固定する。このとき、両既設サドル部31,32は、第1締結具33の第1連結ボルト33A・第1ナット33Bによって密封状態に締結固定されている。
【0044】
[既設分岐栓のサドル部分撤去工程(既設流体機器の筐体部分撤去工程)]
図17は、第1仮固定具6Aで仮固定されている上側の既設サドル部31を残置したまま、この残置の上側の既設サドル部31に第1締結具33で連結されている下側の既設サドル部32を撤去するサドル部分撤去工程を示す。
第1締結具33を締結解除操作して下側の既設サドル部32を撤去しても、上側の既設サドル部31は、第2仮固定具6Bの押圧部材65によって密封状態に押圧維持されている。
【0045】
[新設筐体連結工程]
図18は、流体管1に第1仮固定具6Aで仮固定されている残置の既設サドル部31に、新設漏洩補修金具5を構成する両新設分割筐体51,52のうち、最終的に流体管1の分岐口側装着領域T2(
図2参照)に配置される上側の新設分割筐体51を、流体管1の周方向に回動操作可能な状態で連結する新設筐体連結工程を示す。
この新設筐体連結工程では、
図18に示すように、流体管1の分岐口側装着領域T2に位置する上側の既設サドル部31の両第1連結フランジ31Aに、流体管1に対して下方側から装着され、且つ、最終的に上側に回動操作される新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aを、第2締結具53の第2連結ボルト53A・第2ナット53Bで連結する。
上述の第2締結具53による上側の既設サドル部31と最終的に上側に回動操作される新設分割筐体51との連結は、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物を流体管1の外面に沿って周方向に人為力(又は機械力)で回動操作できる程度の緩みで連結する。
この新設筐体連結工程において、本実施形態では、
図18に示すように、流体管1の外面と新設分割筐体51の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア4に管軸芯方向で対応する部位の第2空隙S2の径方向寸法h2が、防錆コア4の突出部4aの突出寸法hよりも小となる状態で、既設サドル部31と新設分割筐体51とを連結する工程を含む。
【0046】
尚、
図18では、第2仮固定具6Bの押圧部材65が固定解除された第1仮固定解除工程を含む。そのため、流体管1の分岐口2から噴出する圧力流体(水圧)によって上側の既設サドル部31が持ち上げられ、新設分割筐体51の内面が流体管1の外面の下側面に当接する。これにより、上側の既設サドル部31の内面と流体管1の外面の上側面との間には、防錆コア4の突出部4aの突出寸法hよりも小なる第2空隙S2が形成されている。
【0047】
[流体飛散抑止工程]
図18は、回動操作可能な状態で連結されている既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物に、上側の既設サドル部31を仮固定している第2仮固定具6Bの押圧部材65を固定解除操作したときに流出する圧力流体(上水)の外部飛散を抑える流体飛散抑止体7を装着する工程を含む。
流体飛散抑止体7は、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物を覆い包むことが可能な可撓性(柔軟性)を備えた樹脂製の内部透視可能な防水シート(例えば、透明又は半透明なポリエチレンシート)71から構成されている。
【0048】
[流体機器回動工程]
図19、
図20は、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物を回動操作し、既設サドル部31は、防錆コア4の突出部4aを通過可能な状態に変形させながら通過して分岐口側装着領域外となる流体管1の下半側領域に回動させ、他方の新設分割筐体51は、折り曲げ変形された防錆コア4の突出部4aと接触状態で乗り越えて分岐口側装着領域T2に回動させる流体機器回動工程を示す。
【0049】
この流体機器回動工程においては、
図18に示すように、流体管1の分岐口2から流出する圧力流体によって上側の既設サドル部31が持ち上げられ、既設サドル部31の内面と流体管1の外面との間における少なくとも防錆コア4に対応する部位には第2空隙S2が形成されている。この第2空隙S2の径方向寸法は、防錆コア4の突出部4aの突出寸法hよりも小となる状態に維持されている。
そのため、流体機器回動工程において、
図19に示すように、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物を回動操作すると、分岐栓本体34の底部流入口34aにおける回転後方側の開口縁角部34eが、防錆コア4の突出部4aに当接し、新設分割筐体51の移動前方側において、防錆コア4の突出部4aが折り曲げ変形される。その後、分岐栓本体34を備えた既設サドル部31は、折り曲げ変形された防錆コア4の変形突出部4aを通過して流体管1の下半側領域に回動する。
さらに、流体管1の下半側領域にあった新設分割筐体51の一端部が分岐口側装着領域T2の分岐口2に移動すると、
図20に示すように、分岐口2から流出する圧力流体によって新設分割筐体51が持ち上げられ、流体管1の外面と新設分割筐体51の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア4に管軸芯方向で対応する部位には第2空隙S2が形成されている。この第2空隙S2の径方向寸法は、防錆コア4の突出部4aの突出寸法hよりも小となる状態に維持される。そのため、新設分割筐体51の内面に装着されている第2ゴム輪54は、折り曲げ変形された防錆コア4の変形突出部4aを接触状態で乗り超えて分岐口側装着領域T2にスムーズに回動する。
【0050】
[新設分割筐体の第2仮固定工程]
図21は、新設分割筐体51を、第2仮固定具6Bで流体管1の分岐口側装着領域T2に密封状態に押圧して仮固定する第2仮固定工程を示す。
この第2仮固定工程では、両挟持固定部材64の上側挟持体64Aにおける下側ボルト挿通孔64b(
図15参照)に押圧部材65をボルト止めする。この押圧部材65の押圧部65Aにより、新設分割筐体51を流体管1の外面に押圧して仮固定する。
【0051】
[既設サドル部撤去工程(既設筐体撤去工程)]
図22は、流体管1に仮固定されている新設分割筐体51を残置したまま、この残置の新設分割筐体51に連結されている既設サドル部31を撤去する既設サドル部撤去工程を示す。
この既設サドル部撤去工程では、
図20、
図22に示すように、新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aと既設サドル部31の両第1連結フランジ31Aとを連結している第2締結具53を取外し、流体管1の分岐口側装着領域T2に位置する新設分割筐体51から既設サドル部31を撤去する。
【0052】
[新設筐体締結固定工程]
図23は、流体管1の分岐口側装着領域T2に仮固定されている新設分割筐体51に、新設漏洩補修金具5の残りの新設分割筐体52を締結固定する新設筐体締結固定工程を示す。
この新設筐体締結固定工程では、仮固定されている新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aに、流体管1に対して下方側から装着された残りの新設分割筐体52の両第2連結フランジ52Aを、第2締結具53の第2連結ボルト53A・第2ナット53Bで締結固定する。
図23は、第2仮固定具6Bによる上側の新設分割筐体51の仮固定を解除する第2仮固定解除工程を含む。この第2仮固定解除工程においては、第2仮固定具6Bの押圧部材65を固定解除操作し、第2仮固定具6Bを流体管1から撤去する。
図23は、流体管1に新設漏洩補修金具5のみが残る流体機器取替方法の完了状態を示している。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0053】
〔第2実施形態の別実施例〕
図24は、嵌合接合式の新設漏洩補修金具5を用いた場合の流体機器取替方法の完了状態を示す。下側の新設分割筐体52における両第2連結フランジ52Aの各々には、当該新設分割筐体52の内周面よりも管径方向の外方側に窪む嵌合凹部52Dが形成されている。この嵌合凹部52Dは、下側の新設分割筐体52の管軸芯方向の全長に亘って形成され、管径方向の内方側及び上側の新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aに対する接合方向側に開口する。
上側の新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aには、下側の新設分割筐体52における両第2連結フランジ52Aの嵌合凹部52Dに対して、フランジ接合方向から嵌合する嵌合凸部51Cが形成されている。この嵌合凸部51Cは、上側の新設分割筐体51の管軸芯方向の全長に亘って形成されている。
【0054】
下側の新設分割筐体52における両嵌合凹部52Dの嵌合面には、上側の新設分割筐体51における両嵌合凸部51Cの嵌合面に向かってコの字状に開口する第1係合溝56が形成されている。この第1係合溝56は、下側の新設分割筐体52の管軸芯方向の全長に亘って形成されている。
上側の新設分割筐体51における両嵌合凸部51Cの嵌合面には、下側の新設分割筐体52における両嵌合凹部52Dの嵌合面に向かってコの字状に開口する第2係合溝57が形成されている。この第2係合溝57は、上側の新設分割筐体51の管軸芯方向の全長に亘って形成されている。
両嵌合凹部52Dの第1係合溝56と両嵌合凸部51Cの第2係合溝57とは、管径方向で相対向する左右対称形に構成されている。この相対向する第1係合溝56と第2係合溝57に対して、管軸芯方向の一端の開口から角軸状のロックピン58を係入することにより、上側の新設分割筐体51と下側の新設分割筐体52とが嵌合状態で一体的に結合される。
【0055】
ロックピン58の係入操作時には、上側の新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aに形成されているボルト挿通孔51aと、下側の新設分割筐体52の両第2連結フランジ52Aに形成されているボルト挿通孔52aとを利用し、上側の新設分割筐体51の両第2連結フランジ51Aと下側の新設分割筐体52の両第2連結フランジ52Aとを、例えば、
図23に示すボルト53A・ナット53Bで仮止め固定する。このボルト53A・ナット53Bは、ロックピン58による上側の新設分割筐体51と下側の新設分割筐体52との結合完了した後に撤去する。
【0056】
ロックピン58の外面と第1係合溝56及び第2係合溝57の内面とが密着する寸法関係に形成し、ロックピン58を第1係合溝56及び第2係合溝57の一端側の開口から打ち込んで係入してもよい。
また、ロックピン58の外面と第1係合溝56及び第2係合溝57の内面との間に微小な隙間を形成して、ロックピン58を手操作でスムーズに係入できるように構成してもよい。この場合でも、ボルト53A・ナット53Bによる仮止め固定が解除されたとき、第2ゴム輪54等の弾性シール材の弾性復元力によって、ロックピン58は第1係合溝56及び第2係合溝57内に抜止め保持される。
【0057】
尚、この別実施例の場合、嵌合接合式の既設分岐栓3を嵌合接合式の新設漏洩補修金具5に不断流状態で取り替えることになる。
また、ロックピン58による上側の新設分割筐体51と下側の新設分割筐体52との結合構造は、サドル式の分岐栓やサドル式の漏洩補修金具等の分割構造の既設流体機器の全てに適用することができる。
【0058】
〔第3実施形態〕
図25、
図26は、流体機器回動工程において、流体管1の分岐口側装着領域T2に位置する既設サドル部31及び流体管1の下半側領域に位置する新設分割筐体51を、新設分割筐体51の移動前方側において防錆コア4の突出部4aを剪断しながら回動させる流体機器の取替方法を示す。
図25に示すように、新設筐体連結工程において、既設サドル部31の両第1連結フランジ31A,32Aのうち、回動方向の後方側に位置する第1連結フランジ31Aに、防錆コア4の突出部4aを剪断可能な切断刃9aを備えた切断具9を共締め固定する。
図26に示すように、流体機器回動工程において、既設サドル部31と新設分割筐体51との連結物を回動操作すると、分岐栓本体34の底部流入口34aにおける回転後方側の開口縁角部34eが、防錆コア4の突出部4aに当接し、新設分割筐体51の移動前方側において、防錆コア4の突出部4aが折り曲げ変形される。その後、回動方向の後方側に位置する第1連結フランジ31Aに取付けられた切断具9の切断刃9aが、新設分割筐体51の移動前方側において、変形された防錆コア4の変形突出部4aの根元側を剪断(切断)しながら通過移動する。分岐栓本体34は、流体管1の下半側領域に回動する。
【0059】
さらに、流体管1の下半側領域にある新設分割筐体51の一端部が分岐口側装着領域T2の分岐口2に移動すると、分岐口2から流出する圧力流体によって新設分割筐体51が持ち上げられ、流体管1の外面と新設分割筐体51の内面との間で、且つ、少なくとも防錆コア4に管軸芯方向で対応する部位には第2空隙S2が形成されている。この第2空隙S2の径方向寸法は、防錆コア4の突出部4aの突出寸法hよりも小となる状態に維持される。そのため、新設分割筐体51の内面に装着されている第2ゴム輪54は、防錆コア4の切断端面と非接触状態で乗り超えて分岐口側装着領域T2にスムーズに回動させることができる。
新設分割筐体51が分岐口側装着領域T2に回動した状態では、上側の新設分割筐体51の内面に装着した第2ゴム輪54内に、防錆コア4の切断端面が位置し、この状態で締結固定工程が実行される。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0060】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、機器設置領域1Aの管壁に形成されている分岐口2を密封状態で囲繞する分割構造の既設流体機器として、サドル式の既設分岐栓3を例に挙げて説明したが、既設仕切弁や既設T字管等であってもよい。
【0061】
(2)上述の各実施形態では、分割構造の新設流体機器として、流体管1の分岐口2を密封閉鎖状態で囲繞するサドル式の新設漏洩補修金具5を例に挙げて説明したが、新設分岐栓や新設仕切弁、新設T字管等であってもよい。
【0062】
(3)上述の各実施形態では、流体管1の分岐口2に装着されている防錆コア4の一端部が、流体管1の外面と既設分岐栓(既設流体機器)3の内面との間に形成されている内部空間内に突設されている流体配管構造を例に挙げて説明したが、この流体配管構造に限定されない。例えば、防錆コア4が、それの管径方向外方側の一端と流体管1の外面とが面一又は略面一になる状態で分岐口2に装着されている流体配管構造に本発明の技術を適用してもよい。さらに、分岐口2に防錆コア4が装着されていない流体配管構造に本発明の技術を適用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 流体管
2 分岐口
3 既設流体機器(既設分岐栓)
4 防錆コア
4a 突出部
5 新設流体機器(新設漏洩補修金具)
6 仮固定手段
7 流体飛散抑止体
31 既設分割筐体(既設サドル部)
32 既設分割筐体(既設サドル部)
51 新設分割筐体
52 新設分割筐体
S1 空隙(第1空隙)
S2 空隙(第2空隙)
T1 機器設置領域
T2 分岐口側装着領域