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特許7290465画像読取装置、画像読取装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像読取装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20230606BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 912
G06F3/12 360
G06F3/12 311
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019095923
(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公開番号】P2020191545
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮西 浩二
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-214645(JP,A)
【文献】特開平08-046732(JP,A)
【文献】特開平11-184663(JP,A)
【文献】特開2006-127098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
G03G 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部又は所定の通信媒体を介して接続される情報処理装置からの指示に応じて原稿から画像を読み取るスキャン処理を実行可能な画像読取装置であって、
第1スキャン処理の実行中に新たなスキャン処理である第2スキャン処理の指示を受けた場合、前記第2スキャン処理の割り込みの可否を判断する判断手段と、
前記判断手段により割り込み可能と判断された場合、前記第1スキャン処理を一時停止して、前記第2スキャン処理の実行を許可し、割り込みを拒否すると判断された場合、前記第2スキャン処理の実行を拒否する制御手段と、
前記第1スキャン処理を一時停止する際に、該第1スキャン処理の実行に関する情報を記憶装置に保存しておく保存手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第2スキャン処理が終了した後、前記記憶装置に保存しておいた情報に基づいて、前記第1スキャン処理を一時停止していた状態から再開可能に制御し、一時停止していた前記第1スキャン処理を再開するか、終了するかを、ユーザ選択させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
操作部又は所定の通信媒体を介して接続される情報処理装置からの指示に応じて原稿から画像を読み取るスキャン処理を実行可能な画像読取装置であって、
第1スキャン処理の実行中に新たなスキャン処理である第2スキャン処理の指示を受けた場合、前記第2スキャン処理の割り込みの可否を判断する判断手段と、
前記判断手段により割り込み可能と判断された場合、前記第1スキャン処理を一時停止して、前記第2スキャン処理の実行を許可し、割り込みを拒否すると判断された場合、前記第2スキャン処理の実行を拒否する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記割り込みを許可してから一定時間を過ぎても、前記第2スキャン処理が開始されない場合、前記第1スキャン処理を再開することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記第1スキャン処理の実行中に新たなスキャン処理である前記第2スキャン処理の指示を受けた場合、前記第2スキャン処理の割り込みの可否をユーザ選択させるための通知を、前記第1スキャン処理に関連する通知先に行う通知手段を有し、
前記判断手段は、前記通知に応じて割り込みを許可する選択がされた場合には、割り込み可能と判断し、割り込みを拒否する選択がされた場合には、割り込み不可能と判断することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記通知を行ってから一定時間を過ぎても、前記第2スキャン処理の割り込みの可否のユーザ選択がない場合には、割り込み不可能と判断することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記通知手段による通知及び前記判断手段による判断なしに前記第2スキャン処理の実行を拒否する設定が可能な設定手段を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記画像読取装置の状態に応じて、前記通知手段による通知及び前記判断手段による判断なしに、前記第2スキャン処理の実行を拒否することを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第1スキャン処理は、前記操作部からのスキャン指示に応じて原稿から画像を読み取り指定の保存先に保存するプッシュスキャン、又は、前記情報処理装置からのスキャン指示に応じて原稿から画像を読み取り前記情報処理装置に送信するプルスキャンであり、
前記第2スキャン処理は、前記プルスキャン、又は、前記プッシュスキャンであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
操作部又は所定の通信媒体を介して接続される情報処理装置からの指示に応じて原稿から画像を読み取るスキャン処理を実行可能な画像読取装置の制御方法であって、
第1スキャン処理の実行中に新たなスキャン処理である第2スキャン処理の指示を受けた場合、前記第2スキャン処理の割り込みの可否を判断する判断ステップと、
前記判断ステップで、割り込み可能と判断された場合、前記第1スキャン処理を一時停止して、前記第2スキャン処理の実行を許可し、割り込みを拒否すると判断された場合、前記第2スキャン処理の実行を拒否する制御ステップと、
前記第1スキャン処理を一時停止する際に、該第1スキャン処理の実行に関する情報を記憶装置に保存しておく保存ステップと、を有し、
前記制御ステップは、前記第2スキャン処理が終了した後、前記記憶装置に保存しておいた情報に基づいて、前記第1スキャン処理を一時停止していた状態から再開可能に制御し、一時停止していた前記第1スキャン処理を再開するか、終了するかを、ユーザ選択させることを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項9】
操作部又は所定の通信媒体を介して接続される情報処理装置からの指示に応じて原稿から画像を読み取るスキャン処理を実行可能な画像読取装置の制御方法であって、
第1スキャン処理の実行中に新たなスキャン処理である第2スキャン処理の指示を受けた場合、前記第2スキャン処理の割り込みの可否を判断する判断ステップと、
前記判断ステップで、割り込み可能と判断された場合、前記第1スキャン処理を一時停止して、前記第2スキャン処理の実行を許可し、割り込みを拒否すると判断された場合、前記第2スキャン処理の実行を拒否する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップは、前記割り込みを許可してから一定時間過ぎても、前記第2スキャン処理が開始されない場合、前記第1スキャン処理を再開することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1~のいずれか1項に記載の手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークに接続されたスキャナ等の画像読取装置を、使用者が操作する端末から遠隔操作して、スキャンすることができるシステム(以下「プルスキャン」)がある。また、使用者がスキャナ自身を操作し、スキャンした画像をネットワークに接続された端末へ送信するシステム(以下「プッシュスキャン」)がある。
【0003】
このとき、ネットワーク上に存在する端末を操作する複数の使用者が同時に端末を操作することが考えられる。すなわち、一台のスキャナを同時に操作するといった同時多重アクセスが発生することが考えられる。このとき、最初に使い始めた使用者にスキャナを占有させ、残りのユーザには使用を許可しないなど、排他制御が必要となる。
特許文献1では、ユーザがプッシュスキャン操作中は、端末からのプルスキャン指示をすべて拒否することで、効率よくプッシュスキャンとプルスキャンを併用する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4019942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の技術では、プッシュスキャンが優先されてしまい、複数の端末から効率的にスキャナを使用できているとは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、操作部又は所定の通信媒体を介して接続される情報処理装置からの指示に応じて原稿から画像を読み取るスキャン処理を実行可能な画像読取装置であって、第1スキャン処理の実行中に新たなスキャン処理である第2スキャン処理の指示を受けた場合、前記第2スキャン処理の割り込みの可否を判断する判断手段と、前記判断手段により割り込み可能と判断された場合、前記第1スキャン処理を一時停止して、前記第2スキャン処理の実行を許可し、割り込みを拒否すると判断された場合、前記第2スキャン処理の実行を拒否する制御手段と、前記第1スキャン処理を一時停止する際に、該第1スキャン処理の実行に関する情報を記憶装置に保存しておく保存手段と、を有し、前記制御手段は、前記第2スキャン処理が終了した後、前記記憶装置に保存しておいた情報に基づいて、前記第1スキャン処理を一時停止していた状態から再開可能に制御し、一時停止していた前記第1スキャン処理を再開するか、終了するかを、ユーザ選択させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の端末から効率的にスキャナを使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態を示す画像読取装置の概略的な構成の一例を示す図。
図2】画像読取ユニットの概略的な構成の一例を示す図。
図3】画像読取装置の制御構成の一例を示す図。
図4】プルスキャン時のネットワーク接続形態の一例を示す図。
図5】PCから画像読取装置へスキャン指示コマンドを送信する際のHTTPプロトコルの送受信の流れを示す図。
図6】プッシュスキャン時のネットワーク接続形態の一例を示す図。
図7】プッシュスキャン実行中における割り込みスキャン処理の一例を示すフローチャート。
図8】プッシュスキャン実行中における割り込みスキャン時のUIの一例を示す図。
図9】プルスキャン実行中における割り込みスキャン処理の一例を示すフローチャート。
図10】プルスキャン実行中における割り込みスキャン時のUIの一例を示す図。
図11】スキャン保留機能に関する処理の一例を示すフローチャート。
図12】一時保存されるスキャン情報の一例を示す図。
図13】割り込みスキャンのタイムアウト処理の一例を示すフローチャート。
図14】割り込みスキャンの可否に関する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態は例示であり、本発明を各実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態を示す画像読取装置100の概略的な構成の一例を示す図である。
原稿台102は、読取対象の原稿101を積載収納する。
原稿台102上の原稿は、原稿台原稿検知センサ110によって検出され、給紙ローラ106により一枚ずつ分離されて搬送路108に送り出される。給紙ローラ106により給紙された原稿は、搬送ローラ107によって搬送路108に沿って搬送され、排出部103に排出される。なお、給紙ローラ106は、ピックアップローラと、その下流側に設けられた給送ローラおよび分離ローラが対向して配置された分離給送部とで構成されていてもよい。
排出部103は、画像読取処理を終えた原稿101を積載収納する。
排出部原稿検知センサ111は、排出部103に積載収納されている排紙原稿の有無を検出する。
【0011】
レジストセンサ109は、搬送路108を搬送される原稿101を検出する。レジストセンサ109が原稿101を検出すると、画像読取ユニット104は、原稿上に形成された画像の読み取りを開始する。本実施形態において、画像読取ユニット104は、搬送路108の両側に2つ設けられており、一方が原稿101の表面を、他方が原稿101の裏面を読み取る。なお、画像読取ユニット104を1つのみとする構成であってもよい。各画像読取ユニット104の対向位置には、背景板105がそれぞれ設けられている。背景板105は、例えば、黒色の部材である。
排紙口センサ112は、原稿101が搬送路108に残っているか、排出部103に排出されたかを検出する。
【0012】
図2は、画像読取ユニット104の概略的な構成の一例を示す図である。
画像読取ユニット104は、筐体1041と、搬送路108に面して設けられたガラス板1042とによって、内部が密封されている。
【0013】
画像読取ユニット104の内部には、ラインイメージセンサ1043と、一対の発光部1044a及び1044bと、が設けられている。
ラインイメージセンサ1043は、原稿101の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に延設され、主走査方向の1ライン分の画像を1度に読み取る。ラインイメージセンサ1043は、例えば、CCDラインセンサやコンタクトイメージセンサである。
【0014】
図3は、画像読取装置100の制御構成の一例を示す図である。
画像読取装置100の制御部10は、CPU11、ROM12、RAM13、入出力I/F14、通信I/F15を備える。
【0015】
CPU11は、ROM12に記憶されたプログラムを実行し、画像読取装置100全体の制御を行う。ROM12には、CPU11が実行するプログラムや固定的なデータが記憶される。RAM13には、ラインイメージセンサ1043が読み取った画像データや、CPU11の演算結果といった可変データが記憶される。ROM12及びRAM13は他の記憶デバイスであってもよい。
【0016】
入出力I/F14には、発光部1044a及び1044bを駆動する駆動回路24や、ラインイメージセンサ1043が読み取った画像に対してシェーディング補正等の画像処理を行う画像処理回路26が接続される。アナログ・デジタル変換器(ADC)25は、ラインイメージセンサ1043が出力するアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するアナログ・デジタル変換器である。
CPU11は、入出力I/F14を介して画像処理回路26から出力される画像データを取得する。
【0017】
通信I/F15は、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)200と接続するためのインタフェースである。後述する図5に示すように、画像読取装置100はネットワークを介してPC200と通信可能に接続されているものとする。例えば、画像読取装置100が読み取った画像データは、通信I/F15経由でPC200に出力される。
【0018】
また、制御部10には、発光部駆動回路123や、ADC124も接続されている。
発光部駆動回路123は、原稿検知発光部121を駆動する。原稿検知発光部121は、原稿台原稿検知センサ110と排出部原稿検知センサ111の構成要素である。
ADC124は、原稿検知受光部122が受光したアナログ信号をデジタルデータに変換する。
【0019】
また、制御部10には、LCD125も接続されている。
LCD125は、タッチパネル式ディスプレイから構成される。LCD125は、画像読取装置100の操作部として機能し、CPU11が実行するプログラムのUI画面を表示する機能を有する。
【0020】
次に、画像読取装置100が実行する処理について説明する。
画像読取装置100は、例えば、PC200を介して、ユーザが読み取り開始を指示した場合に原稿101の読み取りを開始する。CPU11は、まず給紙ローラ106を駆動して原稿101の搬送を開始する。レジストセンサ109によって原稿101が画像読取ユニット104の読取位置に到達したことが検出されると、CPU11は、発光部1044a及び発光部1044bの発光を制御し、ラインイメージセンサ1043を駆動して原稿101の画像を読み取る。
【0021】
図4は、画像読取装置100のプルスキャン時の接続形態の一例として、ネットワーク環境Local Area Network(LAN)に接続している様子を示すブロック図である。
【0022】
画像読取装置100がLANに接続されている場合、画像読取装置100は、同一のネットワークに接続されている複数のホストコンピュータPC200a~PC200nから制御可能になる。なお、PC200a~PC200nで共通の構成についてはPC200と記載して説明する。PC200は、一般的な情報処理装置(例えばパーソナルコンピュータ)と同様の構成を有するものとする。
【0023】
PC200には、図示しないオペレーティングシステム(OS)、アプリケーションソフト201、スキャナドライバ202等のソフトウェアがインストールされているものとする。なお、通信ドライバ203は、OSにより提供されるものとする。これらのソフトウェアは、PC200の図示しないCPUがHDDやSSD等の記憶装置に記憶されたプログラムを必要に応じてRAMにロードして実行することにより機能する。
【0024】
また、画像読取装置100では、スキャンサービス204、スキャナドライバ205、後述する図6に示すユーザインタフェース300及びスキャンアプリ301等のソフトウェアが動作する。これらのソフトウェアは、画像読取装置100のCPU11がROM12に格納されたプログラムを読み出して実行することにより機能する。
さらに、画像読取装置100は、画像読取動作(スキャン)を実行するファームウェア等で構成される画像読取制御部(不図示)が備えられている。
【0025】
以下、プルスキャン動作について説明する。
PC200上で動作するスキャンアプリケーションであるアプリケーションソフト201は、画像読取装置100専用のスキャナドライバ202をロードする。該ロードされたスキャナドライバ202は、PC200で動作するOSが提供する通信ドライバ203を使用して、LANに接続された特定の画像読取装置100にスキャン指示コマンドを送信する。
画像読取装置100上で動作するスキャンサービス204は、PC200から送られたスキャン指示コマンドを受信すると、スキャナドライバ205へスキャン指示コマンドを送信する。スキャン指示コマンドを受信したスキャナドライバ205は、画像読取制御部へスキャン指示を送信し、スキャンが開始される。
なお、本実施形態では、PC200から画像読取装置100へのスキャン指示コマンドの送受信は、HTTPプロトコルを用いて行うものとして説明する。
【0026】
図5は、PC200から画像読取装置100へスキャン指示コマンドを送信する際のHTTPプロトコルの送受信の流れを示す図である。
【0027】
上述したように、PC200から、予め設定されている画像読取装置100のIPアドレスに対して、HTTPリクエスト(GETメソッド)を用いてスキャン指示コマンドを送信する(1601)。
【0028】
画像読取装置100上で動作するスキャンサービス204は、上記1601のHTTPリクエストを受信すると、画像読取装置100内で動作するスキャナドライバ205へスキャン指示を通知する(1602)。また、スキャンサービス204は、HTTPレスポンスデータとして、ステータスコード200番と文字列”yes”を付加し、PC200へ送信する(1603)。なお、ステータスコード200番はリクエストが受理されたことを示すステータスコードである。
【0029】
スキャン指示コマンドを受信したスキャナドライバ205は、画像読取制御部へスキャン指示を送信し(1604)、画像読取制御部がスキャンを開始する(1605)。
PC200は、画像読取装置100からHTTPリクエストのレスポンスを受信すると、次に画像を取得するためのHTTPリクエスト(GETメソッド)を送信する(1606)。
スキャンサービス204は、スキャン中にPC200からの画像取得のHTTPリクエストを受信すると、スキャン中の場合には、HTTPレスポンスデータとして、ステータスコード200番と文字列”scanning”を付加し、PC200へ送信する(1607)。
【0030】
スキャンが完了すると、画像読取制御部は、スキャン完了通知と画像データをスキャナドライバ205へ送信する(1608)。スキャン完了通知と画像データを受信したスキャナドライバ205は、スキャンサービス204へ、スキャン完了通知と画像データを送信する(1609)。
【0031】
なお、PC200は一定間隔で画像取得のHTTPリクエストを送信し、画像の取得を試みる(1610)。
それに対し、スキャンサービス204は、スキャンが完了していると、HTTPレスポンスデータとして、ステータスコード200番と文字列”yes”を付加し、さらに画像データを付加して、PC200へ送信する(1611)。
【0032】
同様にして、PC200と画像読取装置100との間で、スキャナの情報取得や、スキャナの状態取得などさまざまなコマンドの送受信を行う。なお、本実施例では、通信プロトコルにHTTP通信を用いた一例を示すが、これに限定されるものではない。
【0033】
図6は、画像読取装置100のプッシュスキャン時の接続形態の一例として、LANに接続している様子を示すブロック図である。
ユーザは、画像読取装置100に搭載されるユーザインタフェース300に表示されるユーザインタフェース(UI)画面より、スキャン設定やスキャン操作を行う。ユーザインタフェース300は、ユーザからスキャン操作を受けると、スキャンアプリ301にスキャン指示を通知する。スキャン指示を受けたスキャンアプリ301は、スキャンサービス204へスキャン指示を通知する。スキャン指示を受信したスキャンサービス204は、スキャナドライバ205へスキャン指示を通知する。スキャン指示を受信したスキャナドライバ205は、画像読取制御部へスキャン指示を送信し、画像読取制御部がスキャンを開始する。
【0034】
画像読取制御部は、画像を読み取ると、スキャナドライバ205へ画像データを送信する。スキャナドライバ205は、さらに、画像データをスキャンサービス204へ送信する。スキャンサービス204は、ユーザによって選択された送信先(外部PC200内の共有フォルダ)へ画像データを送信する。
【0035】
上述の例では、プッシュスキャンの送信先を外部PC内の共有フォルダとしているが、送信先の他の例として、FTPサーバー、やPC200以外の共有サーバー(SMB)、メールサーバー(SMTP)を用いてもよい。
【0036】
以下、図7図8を用いて、プッシュスキャン実行中におけるPC200からの割り込みプルスキャン処理について説明する。
図7は、プッシュスキャン実行中におけるPC200からの割り込みプルスキャン処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、画像読取装置100のCPU11がROM12に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。なお、PC200側の処理は、PC200のCPUがHDDやSSD等の記憶装置に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
図8は、プッシュスキャン実行中における割り込みプルスキャン時のタッチパネル式ディスプレイのUIの一例を示す図である。
【0037】
まず、ユーザが画像読取装置100に搭載されるユーザインタフェース300によりタッチパネル式ディスプレイ(LCD125)に表示されるユーザインタフェース(UI)画面より、読取設定や送信先設定などのスキャン設定、スキャン操作を開始する。すると、ユーザインタフェース300がこれらの操作をスキャンアプリ301に通知する(S701)。スキャンアプリ301は、スキャン操作が開始されたことをスキャンサービス204に通知する。そして、スキャン操作が完了すると、スキャンアプリ301は、スキャン指示を、スキャンサービス204を介してスキャナドライバ205に通知する。このスキャン指示に応じて、スキャナドライバ205は、プッシュスキャンの実行を開始する。また、スキャンサービス204は、図8(a)に示すような画面を表示するよう、スキャンアプリ301へ通知する。スキャンアプリ301は、ユーザインタフェース300を介して、図8(a)に示すような画面をLCD125上に表示し、ユーザにプッシュスキャン実行中であることを通知する。
【0038】
次にS702において、画像読取装置100上で動作するスキャンサービス204は、プッシュスキャン操作の開始後、PC200からのプルスキャン指示(割り込み通知)を受信したか否かを判定する。プッシュスキャン操作の開始後にPC200からのプルスキャン指示(割り込み通知)を受信しなかった場合(S702でNoの場合)、スキャンサービス204は、S709に処理を進める。S709の処理については後述する。
【0039】
一方、プッシュスキャン操作の開始後にPC200からのプルスキャン指示(割り込み通知)を受信した場合(S702でYesの場合)、スキャンサービス204は、S703に処理を進める。
【0040】
S703において、スキャンサービス204は、ユーザに割り込みスキャンの可否を選択させるためのダイアログを表示するよう、スキャンアプリ301へ通知する。スキャンアプリ301は、ユーザインタフェース300を介して、ダイアログ1001(図8(b))をLCD125上に表示し、ユーザに割り込みスキャンの要求があったことを通知する。そして、スキャンアプリ301は、ユーザインタフェース300からダイアログ1001におけるユーザ選択結果を取得し、割り込みスキャンが可能か否かを判断する。ダイアログ1001において「いいえ」1003が選択された場合、スキャンアプリ301は、割り込みスキャンが可能でない(割り込み拒否)と判断し(S703でNoと判断し)、割り込み拒否であることをスキャンサービス204に通知する。スキャンサービス204は、PC200へ割り込みスキャン拒否の応答を返し(この時の応答はHTTPリクエスト(レスポンスデータ)として返す)、そのままプッシュスキャンを継続し、S709に処理を進める。
【0041】
一方、ダイアログ1001において「はい」1002が選択された場合、スキャンアプリ301は、割り込みスキャンが可能(割り込み許可)と判断し(S703でYesと判断し)、割り込み許可であることをスキャンサービス204に通知する。
【0042】
割り込み許可を受信したスキャンサービス204は、S704において、スキャンの実行中であればスキャナドライバ205にプッシュスキャンの一時停止を送信し、スキャナドライバ205は、プッシュスキャンを一時停止する。この際、該プッシュスキャンで読み取り済みの画像データや後述するスキャン情報等を保存する再開のための処理(スキャン保留機能)も行われるが、この処理に関しては後述する図11に示し、ここでは省略する。S704において、スキャン実行前の状態であれば、スキャナドライバ205にプッシュスキャンの一時停止を送信することなく、スキャン操作においてLCD125に表示している画面のままで一時停止する。また、ダイアログ1001(図8(b))を表示した状態で、一定時間経過してもユーザから割り込みの可否が選択されない場合が考えられるが、この処理に関しては後述する図14に示し、ここでは省略する。
【0043】
次にS705において、スキャンサービス204は、PC200から受信したスキャン指示コマンドに基づきプルスキャンを実行する。なお、割り込みスキャン時は、スキャン中の原稿(すなわちプッシュスキャンの原稿)はユーザが原稿台102から一度取り出し、割り込みするプルスキャンの原稿をセットする必要がある。また、スキャンサービス204は、ダイアログ1004(図8(c))を表示するよう、スキャンアプリ301へ通知する。スキャンアプリ301は、ユーザインタフェース300を介して、ダイアログ1004(図8(c))をLCD125上に表示し、ユーザに他のユーザがスキャン中であることを通知する。なお、割り込みが許可されたが、プルスキャンが始まらない場合が考えられるが、この処理に関しては後述する図13に示し、ここでは省略する。
【0044】
そして、上記S705で開始したプルスキャンが終了すると(S706)、スキャンサービス204は、プルスキャン終了をPC200へ通知する。
【0045】
次にS707にて、スキャンサービス204は、プルスキャンを再開するかどうかを確認するダイアログ1005(図8(d))を表示するよう、スキャンアプリ301へ通知する。スキャンアプリ301は、ユーザインタフェース300を介して、ダイアログ1005(図8(d))をLCD125上に表示する。そして、スキャンアプリ301は、ユーザインタフェース300からダイアログ1005におけるユーザ選択結果を取得し、プルスキャンを再開するか否かを判断する。ダイアログ1005において「やり直す」1007が選択された場合、スキャンアプリ301は、プルスキャンを再開しない(はじめからやり直す)と判断し(S707でNoと判断し)、処理を終了する。これにより、ユーザは、再度プッシュスキャン操作を行い、プッシュスキャンをはじめからやり直すことが可能になる。
【0046】
一方、ダイアログ1005において「再開」1006が選択された場合、スキャンアプリ301は、プルスキャンを再開すると判断し(S707でYesと判断し)、S708に処理を進める。
【0047】
S708において、スキャンアプリ301は、スキャンサービス204にプッシュスキャン再開を送信する。スキャンサービス204は、プッシュスキャン再開を受信すると、スキャナドライバ205へスキャン指示を送信し、プッシュスキャンを再開し、S709に処理を進める。このように、スキャンサービス204は、一時停止したプッシュスキャンを再開可能に制御する。なお、プッシュスキャンの再開時には、一時停止されたプッシュスキャンの原稿をその状態で再度給紙台にセットする必要がある。また、再開の際、スキャンサービス204は、一時停止時に保存しておいたイメージデータやスキャン情報を取得して再開するが、この処理に関しては後述する図11に示す。
【0048】
S709では、スキャンサービス204は、プッシュスキャンの読み取りが終了したか否かを判定する。まだプッシュスキャンの読み取りが終了していない場合(S709でNoの場合)、スキャンサービス204は、S702に処理を戻す。
一方、プッシュスキャンの読み取りが終了した場合(S709でYesの場合)、スキャンサービス204は、読み取った画像データを上記S701で指定された宛先へ送信して、プッシュスキャン処理を終了する。
【0049】
以下、図9図10を用いて、プルスキャン実行中における割り込みプッシュスキャン処理について説明する。
図9は、プルスキャン実行中における割り込みプッシュスキャン処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、画像読取装置100のCPU11がROM12に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。なお、PC200側の処理は、PC200のCPUがHDDやSSD等の記憶装置に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
図10は、割り込みプッシュスキャン時のPC200のアプリケーションソフト201のUIの一例を示す図である。
【0050】
まず、ユーザがPC200上のアプリケーションソフト201で読取設定や送信先設定などのスキャン設定、スキャン操作を行う。すると、アプリケーションソフト201は、スキャン指示コマンドをスキャナドライバ202、通信ドライバ203を介して、LANに接続された画像読取装置100に送信する。画像読取装置100上で動作するスキャンサービス204は、PC200から送られたスキャン指示コマンド(プルスキャン指示)を受信する(S901)。そして、スキャンサービス204は、スキャナドライバ205へスキャン指示コマンドを送信する。スキャン指示コマンドを受信したスキャナドライバ205は、画像読取制御部へスキャン指示を送信し、プルスキャンの実行を開始する。また、スキャンサービス204は、PC200へHTTPレスポンスを送信する。HTTPレスポンスを受信したPC200上のアプリケーションソフト201は、図10(a)に示す画面をPC200のモニタに表示する。なお、スキャンした画像データは、画像読取装置100からHTTPリクエスト(GETメソッド)への応答としてHTTPレスポンスデータに付加してPC200へ送信される。
【0051】
なお、上述のプルスキャン指示の受信後に、別のユーザがスキャンアプリ301を操作し、プッシュスキャン操作を行った場合、スキャンアプリ301は、スキャンサービス204へ割り込み通知を送信する。
S902において、画像読取装置100上で動作するスキャンサービス204は、上述のプルスキャン指示の受信後、スキャンアプリ301から割り込み通知を受信したか否かを判定する。プルスキャンの読み取り実行中にスキャンアプリ301から割り込み通知を受信しなかった場合(S902でNoの場合)、スキャンサービス204は、S909に処理を進める。S909の処理については後述する。
【0052】
一方、上述のプルスキャン指示の受信後にスキャンアプリ301から割り込み通知を受信した場合(S902でYesの場合)、スキャンサービス204は、PC200へ割り込みスキャン通知を送信し、S903に処理を進める。
【0053】
PC200のアプリケーションソフト201は、上述の割り込み通知を受け取ると、ユーザに割り込みスキャンの可否を選択させるためのダイアログ1101(図10(b))をPC200のモニタ上に表示し、ユーザに割り込みスキャンの要求があったことを通知する。そして、アプリケーションソフト201は、ダイアログ1101におけるユーザ選択結果を取得し、割り込みスキャンが可能か否かを判断する。ダイアログ1101において「いいえ」1103が選択された場合、アプリケーションソフト201は、割り込みスキャンが可能でないと判断し、アプリケーションソフト201は、画像読取装置100へ「割り込み拒否」の応答を返す。一方、ダイアログ1101において「はい」1102が選択された場合、アプリケーションソフト201は、割り込みスキャンが可能と判断し、アプリケーションソフト201は、画像読取装置100へ「割り込み許可」の応答を返す。
【0054】
画像読取装置100のスキャンサービス204は、PC200からの割り込み可否の応答を受け取ると、該応答に基づいて割り込み可能か否かを判定する(S903)。スキャンサービス204は、「割り込み拒否」の応答を受け取った場合、割り込み不可能と判断し(S903でNoと判断し)、そのままプルスキャンを継続し、S909に処理を進める。
一方、「割り込み許可」の応答を受け取った場合、割り込み可能と判断し(S903でYesと判断し)、スキャンサービス204は、S904に処理を進める。
【0055】
S904において、スキャンサービス204は、スキャンの実行中であればスキャナドライバ205へプルスキャンの一時停止を送信し、スキャナドライバ205は、プルスキャンを一時停止する。この際、該プルスキャンで読み取り済みの画像データや後述するスキャン情報等を保存する再開のための処理(スキャン保留機能)も行われるが、この処理に関しては後述し、ここでは省略する。S904において、スキャン実行前の状態であれば、スキャナドライバ205にプルスキャンの一時停止を送信せず、プルスキャンの開始を一時停止する。また、PC200のモニタ上にダイアログ1101(図10(b))を表示したが、一定時間経過してもユーザから割り込みの可否が選択されない場合が考えられるが、この処理に関しては後述し、ここでは省略する。
【0056】
次にS905にて、スキャンサービス204は、ユーザ操作で設定されたスキャン設定に基づいてプッシュスキャンを開始する。なお、割り込みスキャン時は、スキャン中の原稿(すなわちプルスキャンの原稿)は原稿台102から一度取り出し、割り込みするプッシュスキャンの原稿をセットする必要がある。また、プッシュスキャン中、PC200上のアプリケーションソフト201は、他のユーザが使用中のダイアログ1104(図10(c))をPC200のモニタに表示し、ユーザに他のユーザがスキャン中であることを通知する。なお、割り込みが許可されたが、プッシュスキャンが始まらない場合が考えられるが、この処理に関しては後述し、ここでは省略する。
【0057】
そして、上記S905で開始したプッシュキャンの実行が終了すると(S906)、スキャンサービス204は、プッシュスキャン終了をPC200へ通知する。
プッシュスキャン終了通知を受信したアプリケーションソフト201は、プルスキャンを再開するかどうかを確認するダイアログ1105(図10(d))をPC200のモニタに表示する。そして、アプリケーションソフト201は、ダイアログ1105におけるユーザ選択結果を取得し、プルスキャンを再開するか否かを判断する。ダイアログ1105において「やり直す」1107が選択された場合、アプリケーションソフト201は、プルスキャンを再開しない(はじめからやり直す)と判断し、「プルスキャン終了」を画像読取装置100へ送信する。一方、ダイアログ1105において「再開」1106が選択された場合、アプリケーションソフト201は、プルスキャンを再開すると判断し、「プルスキャン再開」を画像読取装置100へ送信する。
【0058】
画像読取装置100のスキャンサービス204は、PC200からの応答を受け取ると、該応答に基づいて、プルスキャンを再開するか否かを判定する(S907)。「プルスキャン終了」を受け取った場合、スキャンサービス204は、プルスキャンを再開しないと判断し、処理を終了する。これにより、ユーザは、再度、PC200からプルスキャン操作を行い、プルスキャンをはじめからやり直すことが可能になる。
一方、「プルスキャン再開」を受け取った場合、スキャンサービス204は、プルスキャンを再開すると判断し(S907でYesと判断し)、S908に処理を進める。
【0059】
S908において、スキャンサービス204は、スキャナドライバ205へスキャン指示を送信し、プルスキャンを再開し、S909に処理を進める。このように、スキャンサービス204は、一時停止したプルスキャンを再開可能に制御する。なお、プルスキャンの再開時には、一時停止されたプルスキャンの原稿をその状態で再度給紙台にセットする必要がある。また、再開の際、スキャンサービス204は、一時停止時に保存しておいたイメージデータやスキャン情報を取得して再開するが、この処理に関しては後述する。
【0060】
S909では、スキャンサービス204は、プルスキャンの読み取り実行が終了したか否かを判定する。まだプルスキャンの読み取り実行が終了していない場合(S909でNoの場合)、スキャンサービス204は、S902に処理を戻す。
一方、プルスキャンの読み取り実行が終了した場合(S909でYesの場合)、スキャンサービス204は、読み取った画像データをPC200に送信して、プルスキャン処理を終了する。
【0061】
なお、図7のS705で開始されるプルスキャンに対しても割り込みプッシュスキャンを可能にしてもよい。その場合、割り込んだプルスキャンがメインとなり図9の処理を実行するものとする。また、図9のS905で開始されるプッシュスキャンに対しても同様に割り込みプルスキャンを可能にしてもよい。その場合、割り込んだプッシュスキャンがメインとなり図7の処理を実行するものとする。
【0062】
また、図7のS701で開始されるプッシュスキャン操作に対して割り込みプッシュスキャンを可能にしても良いし、図9のS905で開始されるプルスキャン操作に対して割り込みプルスキャンを可能にしても良い。
【0063】
以下、図11を用いて、スキャン保留機能について説明する。
図11は、プッシュスキャン操作の開始後又はプルスキャン指示の受信後に、割り込みスキャン指示を受信し、ユーザが割り込みスキャンを許可してからスキャンを再開するまでの処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、図11の処理は、図7のS703又は図9のS904で割り込み可能な場合(Yesの場合)に実行される処理などに対応する。なお、ここでは、特にプッシュスキャン中に割り込みスキャン指示を受信した場合に実行される処理について説明するが、プルスキャン中に割り込みスキャン指示を受けた場合も同様である。さらに、プッシュスキャン中にプッシュスキャンの割り込みスキャン指示を受け付けた場合、プルスキャン中にプルスキャンの割り込みスキャン指示を受信した場合も同様の処理となる。なお、ユーザインタフェース300及びスキャンアプリ301は、プッシュスキャン中でも他のプッシュスキャンを受付可能なものとする。なお、このフローチャートの処理は、画像読取装置100のCPU11がROM12に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0064】
スキャンサービス204は、プッシュスキャン中に、割り込み通知を受信し、ユーザに割り込みスキャンの可否を選択させるためのダイアログから割り込み許可の操作を受け付けると(S1101)、S1102に処理を進める。なお、上述したようにプッシュスキャンは一時停止される。
S1102において、スキャンサービス204は、スキャンした画像データ(イメージデータ)をRAM13に保存する。なお、スキャン設定において、ページごとにイメージファイルを分割する設定(マルチファイル設定)の場合には、ページごとにイメージファイルを予め設定された保存先に保存するため、上記S1102の処理は行わないものとする。すなわち、上記S1102の処理は、スキャン設定において、1つのスキャンジョブごとに1つのイメージファイルを生成する設定(シングルファイル設定)の場合に、行うものとする。
【0065】
また、S1103において、スキャンサービス204は、現在のスキャン情報もRAM13に保存する。
図12は、一時保存されるスキャン情報の一例を示す図である。
図12に示すように、スキャン情報には、今までスキャンしたスキャンページ数、スキャン読取設定、送信先情報などが含まれる。送信先情報には、送信先のユーザ名、認証パスワードなども含まれる。スキャンサービス204は、図12のようなスキャン情報をテキストファイルでRAM13に保存する。スキャン情報をRAM13上に保存することで、電源OFF時に画像読取装置100内にスキャン情報や画像データが残ることを防ぐ。
【0066】
上記S1102及びS1103でのイメージデータ及びスキャン情報の保存後、原稿台原稿検知センサ110によって原稿台102から原稿が一度取り除かれ、その後原稿が再セットされたことを検知すると、スキャンサービス204は、割り込みスキャンを開始する。
S1104において、スキャンサービス204は、割り込みスキャンが終了するまで待機する。割り込みスキャンが終了すると、スキャンサービス204は、S1105に処理を進める。
【0067】
S1105において、スキャンサービス204は、ユーザにスキャンを再開するかどうかを確認するダイアログ1001を表示するよう制御する。ユーザがスキャン再開(「はい」1002)を選択すると、S1106において、スキャンサービス204は、先にRAM13に保存したスキャン設定情報と画像データを取得する。なお、スキャン設定情報と画像データは、読み取られた後RAM13から削除される。
【0068】
次にS1107において、スキャンサービス204は、原稿が再セットされると、割り込まれる前に行っていたスキャンを再開する。
【0069】
一方で、S1105にて、ユーザがスキャン終了(「いいえ」1003)を選択すると、スキャンサービス204は、上記S1102及びS1103でRAM13に保存したイメージデータとスキャン設定情報を削除する。
【0070】
以下、図13を用いて、割り込みスキャンを許可したにも関わらず、割り込みスキャンが実施されなかった際の処理(割り込みスキャンのタイムアウト処理)について説明する。
図13は、割り込みスキャンを許可したにも関わらず、割り込みスキャンが実施されなかった際の処理(割り込みスキャンのタイムアウト処理)の一例を示すフローチャートである。ここでは、プッシュスキャン操作の開始後にプルスキャンの割り込みスキャン指示を受信したものとして説明するが、プルスキャン指示の受信後にプッシュスキャンの割り込みスキャン指示を受け付けた場合でも同様の処理となる。さらに、プッシュスキャン中にプッシュスキャンの割り込みスキャン指示を受け付けた場合、プルスキャン指示の受信後にプルスキャンの割り込みスキャン指示を受信した場合も同様の処理となる。なお、このフローチャートの処理は、画像読取装置100のCPU11がROM12に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0071】
スキャンサービス204は、プッシュスキャン操作の開始後に、割り込み通知を受信し、ユーザに割り込みスキャンの可否を選択させるためのダイアログから割り込み許可の操作を受け付けると(S1301)、プッシュスキャンを一時停止し、S1302に処理を進める。
S1302において、スキャンサービス204は、割り込みスキャン終了待機状態に移行する。
【0072】
次にS1303において、スキャンサービス204は、割り込みスキャンが開始されたかを確認する。割り込みスキャンが開始された場合(S1303でYesの場合)、スキャンサービス204は、S1304に処理を進める。
S1304において、スキャンサービス204は、割り込みスキャン終了待機状態を継続する。
【0073】
一方、上記S1303において、スキャンサービス204は、割り込みスキャンが開始されなかった場合(S1303でYesの場合)、スキャンサービス204は、S1305に処理を進める。
S1305において、スキャンサービス204は、上述の割り込み許可がされてから、ある一定時間が経過したか否かを判定する。まだ一定時間が経過していない場合(S1305でNoの場合)、スキャンサービス204は、S1303に処理を戻す。
一方、すでに一定時間が経過している場合(S1305でYesの場合)、スキャンサービス204は、S1306に処理を進める。
S1306において、スキャンサービス204は、割り込みスキャンをキャンセルし、プッシュスキャンを再開する。
【0074】
以下、図14を参照して、割り込みスキャンの可否を選択させるためのダイアログにて、ユーザが可否の選択を実施しなかった場合の処理について説明する。
図14は、割り込みスキャンの可否を選択させるためのダイアログにて、ユーザによる割り込みスキャンの可否に関する処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、プッシュスキャン操作の開始後にプルスキャンの割り込みスキャン指示を受信したものとして説明するが、プルスキャン指示の受信後にプッシュスキャンの割り込みスキャン指示を受け付けた場合でも同様の処理となる。さらに、プッシュスキャン中にプッシュスキャンの割り込みスキャン指示を受け付けた場合、プルスキャン指示の受信後にプルスキャンの割り込みスキャン指示を受信した場合も同様の処理となる。なお、このフローチャートの処理は、画像読取装置100のCPU11がROM12に格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0075】
画像読取装置100上で動作するスキャンサービス204は、プッシュスキャン操作の開始後に、割り込み通知を受信すると(S1401)、S1402に処理を進める。
S1402において、スキャンサービス204は、ユーザに割り込みスキャンの可否を選択させるためのダイアログを表示するよう、スキャンアプリ301へ通知する。スキャンアプリ301は、ユーザインタフェース300を介して、ダイアログ1001をLCD125上に表示する。
【0076】
次にS1403において、スキャンサービス204は、ユーザから割り込み許可を選択する操作があったか否かを判定する。ユーザから割り込み許可を選択する操作があった場合(S1403でYesの場合)、スキャンサービス204は、S1404に処理を進める。
S1404において、スキャンサービス204は、割り込みスキャンを開始する。
【0077】
一方、ユーザから割り込み許可を選択する操作がなかった場合(S1403でNoの場合)、スキャンサービス204は、S1405に処理を進める。
【0078】
S1405において、スキャンサービス204は、ユーザから割り込み拒否を選択する操作があった否かを判定する。ユーザから割り込み拒否を選択する操作があった場合(S1405でYesの場合)、スキャンサービス204は、S1407に処理を進める。なお、S1407の処理については後述する。
【0079】
一方、ユーザから割り込み拒否を選択する操作がなかった場合(S1405でNoの場合)、スキャンサービス204は、S1406に処理を進める。
S1406において、スキャンサービス204は、ダイアログ1001を表示してから、ある一定時間が経過したか否かを判定する。まだ一定時間が経過していない場合(S1406でNoの場合)、スキャンサービス204は、S1403に処理を戻す。
一方、すでに一定時間が経過している場合(S1406でYesの場合)、スキャンサービス204は、S1407に処理を進める。
【0080】
すなわち、ユーザから割り込み拒否を選択する操作があった場合、又は、所定時間内にユーザから割り込み可否を選択する操作がなかった場合、スキャンサービス204は、S1407に処理を進める。
S1407において、スキャンサービス204は、割り込みスキャンを拒否し、プッシュスキャンを継続する。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、割り込みスキャンにより、プルスキャンとプッシュスキャンの併用をより効率的に行うことができる。同様に、複数のプルスキャン、複数のプッシュスキャンをより効率的に行うこともできる。また、割り込まれたスキャンの状態を保存しておくことにより、割り込みを許可したユーザがスキャンをやり直す手間を軽減することができる。すなわち、本実施形態の画像読取装置は、スキャンの実行中等(例えばプッシュスキャン操作中も含む)に新たなスキャンの指示を受けた場合、該新たなスキャンの割り込みの可否をユーザ選択させるための通知を、前記実行中のスキャンに関連する通知先に行い、前記通知に応じたユーザ選択に基づき、前記新たなスキャンの割り込み実行の可否を制御する構成を有する。この構成により、複数の使用者で効率的にスキャナを使用することが可能となる。
【0082】
なお、割り込みを常に拒否する設定が可能な構成でもよい。また、特定のユーザや特定のPCからの割り込みのみを常に拒否、又は、常に許可するように設定可能にしてもよい。また、これらの設定はユーザごとに可能であってもよい。
また、スキャン中に1度、割り込みを拒否した場合、そのスキャン中に次の割り込みがあった場合は自動で拒否するようにしてもよい。
【0083】
また、画像読取装置100の状態、例えばメモリの空き容量が所定の容量未満になった場合、割り込みを常に拒否するようにしてもよい。
なお、画像読取装置100が、ユーザ操作又は自動で割り込みを拒否された場合でも、割り込みを要求したスキャンジョブをキューで管理するようにしてもよい。この構成の場合、画像読取装置100は、実行中のスキャン処理が終了した場合には、上記キューで管理するスキャンジョブを順次実行するものとする。なお、上記キューで管理しているスキャンジョブを、画像読取装置100のUIから又はPC200から、PC名、ユーザ名等で選択して削除できるようにしてもよい。
【0084】
また、画像読取装置100は、要求されたスキャンジョブをキューで管理する場合、該スキャンジョブが何番目に実行されるジョブであるか(待ち数)を、そのジョブを要求したユーザに通知し、そのジョブを該キューで管理するか、キャンセルするかをユーザに選択させるようにしてもよい。
さらに、キューで管理しているスキャンジョブが実行可能になったタイミングで、該スキャンジョブに対応するユーザに、その旨を通知するようにしてもよい。例えば、PC200からプルスキャンを要求した場合、PC200から画像読取装置100へのポーリング等により、そのプルスキャンの待ち数や、実行可能となったこと等の情報を受け取ってもよい。
【0085】
また、画像読取装置100にUSB等で接続されるPC200と、ネットワークを介して接続されるPC200が混在する接続環境であってもよい。すなわち、複数のPC200と画像読取装置100とが複数種類の通信媒体を介して接続される接続環境であってもよい。
【0086】
また、画像読取装置100にスキャンの一時停止ボタンを設けてもよい。このボタンはハードキーでも、ユーザインタフェース300によりLCD125に表示されるソフトキーでもよい。なお、一時停止中、プルスキャンや、プッシュスキャンを受付可能にする。また、一時停止した場合、LCD125に表示される操作画面から、一時停止したスキャンで読み取られたデータの保存先を変更可能にしてもよい。
【0087】
また、図8に示したダイアログ1001や図10に示したダイアログ1101に、割り込みを要求したユーザ名やPC名、IPアドレス等を表示するようにしてもよい。
また、図8に示したダイアログ1001や図10に示したダイアログ1101を、現在実行中のスキャン処理の指示元(スキャン操作指示を行った装置)とは、別の装置に出力してもよい。例えば、画像読取装置100のUIからログインしてプッシュスキャン操作を行った場合、予めログインユーザに紐付けられて登録されているPC200にも、図8に示したダイアログ1001や図9に示したダイアログ1101を出力するようにしてもよい。これにより、例えば、画像読取装置100でプッシュスキャンを開始した後、該プッシュスキャンの終了を自身のPC200の前で待っているユーザに対して、割り込みを通知することが可能となる。
【0088】
また、プッシュスキャン操作開始後に他のプッシュスキャンによる割り込みを可能に構成した場合には、他のプッシュスキャンによる割り込み指示を入力し、割り込み可能と判断した後は、図8(c)に示した表示画面の代わりに、他のプッシュスキャンのスキャン設定画面などに切り替わることが好ましい。すなわち、画面制御としても、プッシュスキャン単位で表示を切り替えることができるように構成することによって、割り込みスキャンを好適に実現することができる。
【0089】
また、図8に示したダイアログ1005や図10に示したダイアログ1105を表示している状態で、原稿台102に新たに原稿がセットされたことによって自動的に「再開」1006や「再開」1106が選択されたとして、スキャンを再開しても良い。なおこの場合、「再開」1006や「再開」1106自体表示しないようにしても良い。
【0090】
以上のように、複数の使用者で効率的にスキャナを使用することが可能になる。
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されていてもよい。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0091】
なお、上記実施例において、割り込み可能と判断された際にプルスキャンまたはプッシュスキャンを一時停止するが、割り込み可能と判断された時点で読み取っている1枚の原稿の読み取りを完了した時点で一時停止することが好ましい。但し、これに限られず、割り込み可能と判断された時点で即座に一時停止し、読み取っている途中の原稿の読み取りデータは破棄しても良い。
【0092】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
100 画像読取装置
200(200a~200n) PC
201 アプリケーション
202 スキャナドライバ
203 通信ドライバ
204 スキャンサービス
205 スキャナドライバ
301 ユーザインタフェース
301 スキャンアプリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14