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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】パネル計器
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20230606BHJP
   G09F 13/18 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
G01D11/28 B
G01D11/28 L
G09F13/18 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019096599
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020190512
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】内海 慶也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】三井 真樹
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-257988(JP,A)
【文献】特開2005-91218(JP,A)
【文献】特開2015-78857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/26
G01D 11/28
G09F 13/00 - 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口を有しかつ前記前面開口の近傍の外周に設けられたフランジを有し、所定のパネルに設けた計器取付け孔に挿入されて前記フランジを前記パネルに係止して取付けられる計器筐体と、
前記計器筐体の前記前面開口の内側に嵌め込まれて前記計器筐体の前記前面開口を閉塞する前面蓋部材と、
少なくとも前記前面蓋部材の前面を覆って前記前面蓋部材に取付けられて前記計器筐体の前記前面開口を封止する透光体で形成されたフロントパネルと、
前記前面蓋部材に保持されて前記計器筐体内に収容される回路基板と、
前記回路基板と電気接続され、前記フロントパネルの背面に対向するように前記回路基板と前記前面蓋部材との間に固定される表示ユニットと
光が透過しない弾性材からなり、前記フロントパネルの前面に一体成形により一体に形成され、前記回路基板に設けられたスイッチに接続されるキー操作部と、
を備えたパネル計器であって、
光が前記表示ユニットおよび前記前面蓋部材によって遮られることなく前記フロントパネルに照射されるように前記回路基板に設けられる発光素子と、
前記発光素子に対向するように前記フロントパネルにおける前記キー操作部の背面側であって前記フロントパネルの内部に形成され、前記発光素子で発光された光を受けて、その光が前記フロントパネルの内部を直進するように光の方向を変える第1の反射面と、
前記フロントパネルの内部に形成され、前記第1の反射面によって前記フロントパネルの内部を直進する光を受けて、その光が前記フロントパネルの外縁部から前記フロントパネルの前方に向けて直進するように光の方向を変える第2の反射面とを備え
前記第1の反射面は、前記フロントパネルの前面に開口する凹部の側面を構成し、
前記凹部内は、前記キー操作部の一部によって埋められていることを特徴とするパネル計器。
【請求項2】
請求項1に記載のパネル計器において、
前記発光素子と前記第1の反射面との間に、光が透過する導光管を設けたことを特徴とするパネル計器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパネル計器において、
前記発光素子は、前記フロントパネルの前面と平行な方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられ、
前記第1の反射面は、前記複数の発光素子と対向する複数の位置にそれぞれ設けられているとともに、光が扇状に反射されるように構成され、
前記第2の反射面は、前記フロントパネルの前記外縁部に沿って延びる帯状に形成されていることを特徴とするパネル計器。
【請求項4】
請求項1~請求項3のうちいずれか一つに記載のパネル計器において、
前記第2の反射面は、前記フロントパネルの外縁部の傾斜面によって形成され、
前記計器筐体の前記前面開口には、前記第2の反射面と平行な傾斜面が前記第2の反射面と対向するとともに近接するように形成されていることを特徴とするパネル計器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルに設置されるパネル計器に関する。
【背景技術】
【0002】
パネルに設置される例えば温度調節計などのパネル計器においては、例えば特許文献1に記載されているように、計測結果や警告等をパネル前面側から確認できるように機能表示灯を備えているものがある。この種の機能表示灯は、粒状のLEDや液晶ディスプレイを用いて機能表示を行うものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-304124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パネル計器の機能表示灯に粒状のLEDを使用する場合は、点灯時の点灯面積が小さくなり、視認性が低くなるという問題があった。また、液晶ディスプレイを使用する場合は、多くの文字表示部を避けて機能表示灯を設けなければならない。このため、機能表示灯の視認性を高くするために大きく形成するにも限界があった。機能表示灯の視認性を高くするために機能表示灯をパネル計器の外縁部に配置することが考えられるが、パネル機器の端部はパネルの外側に位置しているために、その位置に機能表示灯を配置することはできない。この理由は、LEDや液晶ディスプレイが実装される基板をパネルの外側に配置すると、パネル計器がパネルから前方に大きく突出してしまうからである。パネル計器は、パネルから可及的突出することがないように形成する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、パネルに対する突出量が少なくなる構成を採りながら、機能表示灯をパネル計器の外縁部に設けて機能表示灯の視認性を高くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明に係るパネル計器は、前面開口を有しかつ前記前面開口の近傍の外周に設けられたフランジを有し、所定のパネルに設けた計器取付け孔に挿入されて前記フランジを前記パネルに係止して取付けられる計器筐体と、前記計器筐体の前面開口の内側に嵌め込まれて前記計器筐体の前記前面開口を閉塞する前面蓋部材と、少なくとも前記前面蓋部材の前面を覆って前記前面蓋部材に取付けられて前記計器筐体の前記前面開口を封止する透光体で形成されたフロントパネルと、前記前面蓋部材に保持されて前記計器筐体内に収容される回路基板と、前記回路基板と電気接続され、前記フロントパネルの背面に対向するように前記回路基板と前記前面蓋部材との間に固定される表示ユニットとを備えたパネル計器であって、光が前記表示ユニットおよび前記前面蓋部材によって遮られることなく前記フロントパネルに照射されるように前記回路基板に設けられる発光素子と、前記発光素子に対向するように前記フロントパネルの内部に形成され、前記発光素子で発光された光を受けて、その光が前記フロントパネルの内部を直進するように光の方向を変える第1の反射面と、前記フロントパネルの内部に形成され、前記第1の反射面によって前記フロントパネルの内部を直進する光を受けて、その光が前記フロントパネルの外縁部から前記フロントパネルの前方に向けて直進するように光の方向を変える第2の反射面とを備えたものである。
【0007】
本発明は、前記パネル計器において、前記発光素子と前記第1の反射面との間に、光が透過する導光管が設けられていてもよい。
【0008】
本発明は、前記パネル計器において、前記フロントパネルは、前面にキー操作部が設けられ、前記キー操作部の背面側に前記第1の反射面が設けられていてもよい。
【0009】
本発明は、前記パネル計器において、前記発光素子は、前記フロントパネルの前面と平行な方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられ、前記第1の反射面は、前記複数の発光素子と対向する複数の位置にそれぞれ設けられているとともに、光が扇状に反射されるように構成され、前記第2の反射面は、前記フロントパネルの前記外縁部に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発光素子の光がフロントパネル内を透過してフロントパネルの外縁部に導かれ、この外縁部から前方に向けて照射される。このため、発光素子をパネルより外側に配置することなく、フロントパネルの外縁部に機能表示灯を設けることができる。したがって、パネルに対する突出量が少なくなる構成を採りながら、機能表示灯をパネル計器の外縁部に設けて機能表示灯の視認性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態によるパネル計器の正面図である。
図2】第1の実施の形態によるパネル計器の平面図である。
図3図1におけるIII-III線断面図である。
図4】フロントパネルの正面図である。
図5】フロントパネルの印刷範囲を示す背面図である。
図6図4におけるIV-IV線断面図である。
図7】フレームを示す図である。
図8】基板の正面図である。
図9】パネル計器の一部を拡大して示す断面図である。
図10】フロントパネルの要部を拡大して示す背面図である。
図11】パネル計器の一部を拡大して示す断面図である。
図12】第2の実施の形態による要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るパネル計器の一実施の形態を図1図11を参照して詳細に説明する。図1に示すパネル計器1は、例えば温度調節計として用いることができるもので、パネル2の前方を指向するフロントパネル3を備えている。フロントパネル3は、図2および図3に示すように、後述する計器筐体4の一端部(前端部)にフレーム5を介して取付けられている。以下において、パネル計器1の各部品を説明するうえで方向を示すにあたっては、便宜上、図1の上下方向をパネル計器1の上下方向とし、図1の左右方向をパネル計器1の左右方向として説明する。また、以下においては、パネル2が指向する方向を前方とし、パネル2の背面側を後方として説明する。
【0013】
フロントパネル3は、光が透過する透光体によって板状に形成されている。フロントパネル3を形成する材料としては、例えばポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂などを用いることができる。フロントパネル3の前面であって下端部には、図3に示すように、キー操作部11と第1の反射部12とが設けられている。キー操作部11は、光が透過しない弾性材によって形成され、図1に示すように、左右方向に並ぶ複数のキー11aを備えている。この実施の形態によるキー操作部11は、フロントパネル3の前側凹部13(図3および図4参照)に挿入される状態でフロントパネル3に一体成形により一体に形成されている。
【0014】
前側凹部13には、図4に示すように、左右方向に並ぶキー毎の貫通穴14が所定の間隔をおいて形成されている。これらの貫通穴14は、フロントパネル3を厚み方向に貫通している。第1の反射部12は、これらの貫通穴14どうしの間に設けられている。第1の反射部12の説明は後述する。一方、フロントパネル3の裏面であって上端には、図5および図6に示すように、左右方向に延びる第2の反射部15が形成されている。第2の反射部15の説明も後述する。
【0015】
第2の反射部15と対向するフロントパネル3の前面には、光を拡散させるためにシボ加工が施されている。ここでいうシボ加工とは、フロントパネル3の前面の所定範囲の全域に微細な凹凸を形成する加工である。シボ加工が施される範囲は、図4中にハッチングによって示すように、フロントパネル3の前面の上端で左右方向に延びる帯状の範囲である。このパネル計器1においては、シボ加工部が実質的に機能表示灯16として機能するようになる。
【0016】
フロントパネル3の背面には、図5中にハッチングで示す範囲に印刷が施されている。印刷は、光が透過しないインキを使用して行われている。ハッチングで示す印刷範囲は、フロントパネル3の機能部を除くフロントパネル3の背面の全域である。フロントパネル3の機能部とは、中央に位置する表示部3aと、後述する第1の反射部12を含む受光部3bと、後述する第2の反射部15である。
【0017】
計器筐体4は、図3に示すように、前方に向けて開口する前面開口4aを有する有底角筒状に形成されている。この計器筐体4の前面開口4aの近傍の外周には、フランジ4bが設けられている。この実施の形態による計器筐体4は、フランジ4bより前側が角筒状に形成されている。前面開口4aは、この角筒状を呈する計器筐体4の前端部に前面開口4aが形成されている。筐体のフランジ4bより後側は、パネル2に設けられた計器取付け孔17に挿入されている。計器筐体4は、フランジ4bがパネル2に前方から当接して係止された状態でパネル2に取付けられている。
【0018】
計器筐体4の前面開口4aは、フレーム5によって閉塞されている。この実施の形態においては、フレーム5が本発明でいう「前面蓋部材」に相当する。上記のフロントパネル3は、フレーム5の前面の全域を覆う大きさに形成されており、フレーム5の前面に粘着テープ(図示せず)や接着剤(図示せず)などによって接着されている。なお、フロントパネル3は、図示してはいないが、フレーム5の前面より大きく形成することができる。
【0019】
フレーム5は、計器筐体4の前面開口4aに嵌合する枠体21(図3参照)と、枠体21の上端部と下端部とからそれぞれ後方に突出する一対のアーム22,23(図3図7(A),(C)参照)とを有している。図7(A)は、フレーム5の平面図、図7(B)は、フレーム5の正面図、図7(C)は、フレーム5の側面図である。フレーム5を形成する材料は、光が透過しないプラスチック材料である。枠体21は、フロントパネル3の表示部3aと対向する位置に四角形の開口21a(図6参照)を有している。
【0020】
この開口21aは、フレーム5(枠体21)の前面に接着されたフロントパネル3によって閉塞される。フロントパネル3が接着されたフレーム5が計器筐体4の前面開口4aに取付けられることによって、前面開口4aがフロントパネル3により封止される。
フレーム5の枠体21の前端部には、図3に示すように、四角形の開口21aから内側に延びる内フランジ21bが設けられている。
【0021】
枠体21の上端部と下端部とには、それぞれ複数の係止爪24が突設されている。枠体21は、これらの係止爪24によって計器筐体4に係止されている。枠体21の下端部であって、フロントパネル3のキー操作部11と対向する位置には、図7(B)に示すように、複数のキー操作用の穴25が形成されている。また、枠体21の下端部であって、フロントパネル3の第1の反射部12と対向する位置には、図3および図7(B)に示すように、開口形状が円形の光透過用の穴26が形成されている。
フレーム5の一対のアーム22,23は、図3に示すように、その前端部において表示基板27を上下方向と左右方向とに延びる状態で支持しているとともに、後端部において電源基板28を上下方向と前後方向とに延びる状態で支持している。
【0022】
表示基板27は、図8に示すように、中央部に液晶ディスプレイなどの表示ユニット31が搭載されているとともに、下端部に複数のスイッチ32と複数のLED33とが実装されており、フレーム5のアーム22,23に保持されて計器筐体4内に収容されている。この実施の形態においては、表示基板27が本発明でいう「回路基板」に相当する。表示基板27の上端部と下端部とには、それぞれ複数の突起34が設けられている。これらの突起34は、フレーム5のアーム22,23に形成されている溝35{図7(A)参照}に係合する。なお、図7(A)には、上側のアーム22の溝35のみが図示されている。表示基板27は、これらの突起34がアーム22,23に係合することによってアーム22,23に保持されている。
【0023】
表示ユニット31は、詳細には図示してはいないが、表示基板27と電気接続されている。また、表示ユニット31は、図3に示すように、表示基板27がフレーム5に取付けられた状態において、フロントパネル3の背面に対向するようにフレーム5の開口21aに挿入されて表示基板27とフレーム5の内フランジ21bとの間に固定されている。
複数のスイッチ32は、フレーム5の複数のキー操作用の穴25と対応する位置にそれぞれ設けられている。これらのスイッチ32は、表示基板27がフレーム5に取付けられた状態でフレーム5のキー操作用の穴25に挿入され、フロントパネル3のキー操作部11にそれぞれ接続される。
【0024】
複数のLED33は、フレーム5の光透過用の穴26と対応する位置(フロントパネル3の前面と平行な方向に並ぶ複数の位置)にそれぞれ設けられている。この実施の形態においては、これらのLED33が本発明でいう「発光素子」に相当する。LED33の光は、フレーム5の光透過用の穴26を通ってフロントパネル3の背面に照射される。すなわち、光が表示ユニット31およびフレーム5によって遮られることなくフロントパネル3に照射される。
電源基板28は、フレーム5のアーム22,23に形成されている複数の溝36{図7(A)参照}に係合しており、この係合部を介してフレーム5に保持されている。なお、図7(A)には、上側のアーム22の溝36のみが図示されている。
【0025】
フロントパネル3の第1の反射部12は、図9に示すように、LED33に対向するようにフロントパネル3の内部に形成された第1の反射面41を有している。第1の反射面41は、複数のLED33と対向する複数の位置にそれぞれ設けられている。これらの第1の反射面41は、LED33で発光された光を受けて、その光がフロントパネル3の内部を直進するように光の方向を変える。この実施の形態による第1の反射面41は、フロントパネル3の前面に対して約45度で傾斜する平坦な傾斜面によって形成されており、後方から照射されたLED33の光を光の方向が約90度変わって上方に向かうように反射させる。
【0026】
この実施の形態による第1の反射部12は、フロントパネル3の前面に開口する凹部42によって構成されている。第1の反射面41は、凹部42の側面を構成している。また、第1の反射面41は、フロントパネル3のキー操作部11の背面側に形成されている。このため、この実施の形態による凹部42内は、フロントパネル3に一体に形成されたキー操作部11の一部によって埋められている。この実施の形態による第1の反射面41は、図10に示すように、前方から見て上部が下部より左右方向に長くなる台形状に形成されている。第1の反射面41がこのように形成されていることにより、図10中に二点鎖線の矢印で示すように、第1の反射面41で反射した光は、上方に向かうにしたがって左右方向に拡がる扇状に進む。
【0027】
第2の反射部15は、図11に示すように、フロントパネル3の後側の上端の近傍でフロントパネル3の内部に形成された第2の反射面43を有している。第2の反射面43は、上述した第1の反射面41によって反射してフロントパネル3の内部を直進する光を受けて、その光がフロントパネル3の外縁部からフロントパネル3の前方に向けて直進するように光の方向を変える。この実施の形態による第2の反射面43は、フロントパネル3の前面に対して約45度で傾斜する平坦な傾斜面によって形成されており、第1の反射面41で反射して下方から照射されたLED33の光を光の方向が約90度変わって前方に向かうように反射させる。第2の反射面43は、図1および図5に示すように、フロントパネル3の後側の上端となる外縁部に沿って所定の長さで延びる帯状に形成されている。
【0028】
このように構成されたパネル計器1においては、LED33が発光することにより、光がフレーム5の光透過用の穴26を通ってフロントパネル3の背面に照射される。この光は、図3および図9中に矢印Aで示すように、フロントパネル3内を背面から前面に向けて進み、第1の反射面41で上方に向けて反射する。この反射光は、前方から見て扇状に拡がるようにフロントパネル3内を上に向けて直進する。そして、この光は、図3および図11中に矢印Bで示すように、第2の反射面43の略全域に照射されて第2の反射面43で前方に向けて反射する。このように光が第2の反射面43で反射してフロントパネル3の前面のシボ加工部を通ることにより、フロントパネル3の前面の上端に位置する機能表示灯16が光るようになる。LED33の発光色が赤である場合は、機能表示灯16が赤く光る。
【0029】
このように、この実施の形態によれば、LED33の光がフロントパネル3内を透過してフロントパネル3の上端の外縁部に導かれ、この外縁部から前方に向けて照射される。このため、LED33をパネル2より外側に配置することなく、フロントパネル3の外縁部に(表示基板27の投影面積外に)機能表示灯16を設けることができる。したがって、パネル2に対する突出量が少なくなる構成を採りながら、機能表示灯16をパネル計器1の外縁部に設けて機能表示灯16の視認性を高くすることができる。
【0030】
この実施の形態によるフロントパネル3は、前面にキー操作部11が設けられている。このキー操作部11の背面側に第1の反射面41が設けられている。このため、第1の反射部12を前方に向けて透過した光は、キー操作部11によって遮られる。したがって、第1の反射部12から光が前方に漏洩することを確実に防ぐことができる。
【0031】
この実施の形態によるLED33は、フロントパネル3の前面と平行な方向に並ぶ複数の位置にそれぞれ設けられている。第1の反射面41は、複数のLED33と対向する複数の位置にそれぞれ設けられているとともに、光が扇状に反射されるように構成されている。第2の反射面43は、フロントパネル3の外縁部に沿って延びる帯状に形成されている。このため、複数のLED33の光がそれぞれ分散されて第2の反射面43に到達するようになり、フロントパネル3の機能表示灯16が帯状に光るようになる。したがって、視認性がより一層高い機能表示灯16を実現することができる。
【0032】
この実施の形態による機能表示灯16は、フロントパネル3の上端に設けられている。このため、フロントパネル3の表示部3aとは別の部分が光るため、視認性が高い。このことは、表示ユニット31の表示部分を有効活用できることを意味する。また、フロントパネル3の外縁部で表示が行われることから、パネル計器1の外観(全体の意匠)に影響を及ぼすことがなく、デザイン性が向上する。
【0033】
また、フロントパネル3という必ず使用する部品に機能表示灯16の機能を付加しているため、コストアップを少なく抑えることができる。
この実施の形態においては、LED33の光が進む方向を変えるにあたってライトパイプ(図示せず)を使用していないため、計器筐体4にライトパイプの貫通部を設ける必要がない。ライトパイプを使用する場合は、ライトパイプの貫通部の防水、防塵を図る必要がある。しかし、この実施の形態のようにフロントパネル3を導光路として使用する構成を採ることにより、ライトパイプを使用する場合と較べて計器筐体4の防水、防塵構造を簡略化することができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
LED33と第1の反射部12との間には、図12に示すように導光管を設けることができる。図12において、図1図11によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図12に示すパネル計器1は、フロントパネル3と表示基板27との間に導光管51を備えている。導光管51は、光が透過しないプラスチック材料によって形成された管で、フレーム5の枠体21を前後方向に貫通する状態で枠体21に支持されている。導光管51の前端は、フロントパネル3の第1の反射面41と対向する背面に密着している。導光管51の後端は、LED33が導光管51内に収容されるように表示基板27に密着している。
この実施の形態で示すように導光管51を備えることにより、LED33の光を効率よく第1の反射面41に導くことができるから、機能表示灯16の光量を増やすことが可能になる。
【符号の説明】
【0035】
1…パネル計器、2…パネル、3…フロントパネル、4…計器筐体、4a…前面開口、4b…フランジ、5…フレーム(前面蓋部材)、11…キー操作部、17…計器取付け孔、27…表示基板(回路基板)、31…表示ユニット、33…LED(発光素子)、41…第1の反射面、43…第2の反射面、51…導光管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12