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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】固定具及び音響センサ装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20230606BHJP
   G01S 7/521 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
F16B5/02 Y
G01S7/521 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019096644
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020190309
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 逸人
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-041810(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0153482(US,A1)
【文献】実開昭54-113107(JP,U)
【文献】実開昭63-078714(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/02
G01S 7/521
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一押圧部と連結部と第二押圧部とを備え、
前記連結部は前記第一押圧部と接続された第一接続箇所と前記第二押圧部と接続された第二接続箇所との間隔を縮小することが可能であり、
前記第一押圧部は、前記縮小により、固定用部材に固定される部材である被固定部材を、前記固定用部材の在る側の逆側である第一逆側から前記固定用部材の在る向きに押圧する第一押圧を行い、
前記第二押圧部は、前記縮小により、前記固定用部材を、前記被固定部材が在る側の逆側である第二逆側から、前記被固定部材の在る向きに押圧する第二押圧を行い、前記固定用部材又は前記固定用部材よりも前記第二逆側に在る第二部材の前記第二逆側に設けられた窪みに挿入されることにより回転が妨げられる
固定具であって、
前記連結部は、前記被固定部材に設けられた第一穴及び前記固定用部材に設けられた第二穴を貫通し、前記第一押圧部は、前記第一押圧を、前記被固定部材の前記第一穴の周囲の部分に対して行い、前記第二押圧部は、前記第二押圧を、前記固定用部材の前記第二穴の周囲の部分に対して行う固定具。
【請求項2】
前記連結部はネジ穴の設けられた第一連結部材と、前記ネジ穴に螺合し得るネジ軸の設けられた第二連結部材とを備え、前記螺合により前記縮小を行う、請求項1に記載された固定具。
【請求項3】
前記被固定部材より前記固定用部材の在る側に設置され、前記挿入が行われた状態で前記螺合を行うための前記第一連結部材の回転を可能にする把持部をさらに備える、請求項に記載された固定具。
【請求項4】
前記第一連結部材の前記被固定部材より前記固定用部材の在る側の部分の少なくとも一部が、前記把持部が備える窪みの少なくとも一部に嵌合することにより、前記第一連結部材の前記把持部にする回転が妨げられる、請求項に記載された固定具。
【請求項5】
前記被固定部材に第二被固定部材が固定されることが想定された、請求項乃至請求項のうちのいずれか一に記載された固定具。
【請求項6】
前記被固定部材と前記第二被固定部材との隙間の距離が、前記第一押圧部の高さより大きく、前記第一連結部材の高さよりも小さい、請求項に記載された固定具。
【請求項7】
前記第二被固定部材は、海中で前記固定用部材により移動させられることが想定されたものである、請求項又は請求項に記載された固定具。
【請求項8】
前記第一押圧部は、前記第一押圧を前記固定用部材に対し前記第二部材を介して行う、請求項1乃至請求項のうちのいずれか一に記載された固定具。
【請求項9】
請求項乃至請求項のうちのいずれか一に記載された固定具と、前記第二被固定部材である音響センサと前記被固定部材であるブラケットとを備える、音響センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はある物を他の物に固定する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
海中に設置される音響センサの所定の部材への固定においては、メンテナンス等のために固定状態を解除できることと、固定した場合には緩み等により音響センサの脱落等が生じないことの双方が重要である。固定状態を解除できるようにするためには、音響センサは、溶接等によらずにネジ等の固定解除可能な固定具により固定される必要がある。
【0003】
図1は、海中への設置する音響センサを部材に固定する一般的な構造の例である固定構造100を表す概念図である。
【0004】
固定構造100は、音響センサ1と、ブラケット2と、スペーサ4及び5と、部材6及び7と、ネジ8とを備える。
【0005】
ブラケット2は、音響センサ1を上下に挟みこむことにより音響センサ1を固定している。
【0006】
部材6は、音響センサ1を固定する固定部材である。部材6は、縦長の部材であり、例えば樹脂で構成されている。部材6はロンジロンといわれることもある。部材6は、収納状態にある音響センサ1を、作動させる位置である下方に移動させるためのものである。
【0007】
部材7は、音響センサ1を部材6に固定するための補助部材であり、リング状をしている。図2は、リング状の部材7の一部を表す。部材7は、音響センサ1を部材6に固定した状態で、音響センサ1を取り囲むことが想定されている。部材7には、皿ネジであるネジ8の頭部を収容する穴7cが形成されている。
【0008】
音響センサ1は、皿ネジであるネジ8がブラケット2のネジ穴2cに挿入され螺合することにより、ブラケット2と共に、部材6に固定される。
【0009】
なお、スペーサ4及び5は、例えば、略円筒状のスペーサである。
【0010】
また、部材7は、図示はされないが、音響センサを取り囲んだ複数個所において、図1に表す固定構造100と同様の構造により音響センサ1に固定されている。
【0011】
なお、特許文献1は、第1及び第2の把持部品要素に同軸上に形成された各々の孔を貫通し、前記第1の把持部品要素に螺合されてロックされ、前記第2の把持部品要素内に回転可能に収容されるネジ手段と、を備える、把持部品装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2016/066583号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図1に表す固定構造100は、海中で潮流等にさらされ、さらには、部材6によるブラケット2及び音響センサ1の上下動がされることにより、ネジ8が緩み、部材6からブラケット2が外れる場合がある。
【0014】
本発明は、被固定部材を固定用部材から外れにくくする固定具等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の固定具は、第一押圧部と連結部と第二押圧部とを備え、前記連結部は前記第一押圧部と接続された第一接続箇所と前記第二押圧部と接続された第二接続箇所との間隔を縮小することが可能であり、前記第一押圧部は、前記縮小により、固定用部材に固定される部材である被固定部材を、前記固定用部材の在る側の逆側である第一逆側から前記固定用部材の在る向きに押圧する第一押圧を行い、前記第二押圧部は、前記縮小により、前記固定用部材を、前記被固定部材が在る側の逆側である第二逆側から、前記被固定部材の在る向きに押圧する第二押圧を行い、前記固定用部材又は前記固定用部材よりも前記第二逆側に在る第二部材の前記第二逆側に設けられた窪みに挿入されることにより回転が妨げられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の固定具等は、被固定部材を固定用部材から外れにくくする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】音響センサを固定部材に固定する一般的な構造の例を表す概念図である。
図2図1に表す部材6を表す概念図である。
図3】本実施形態の固定構造の構成例を表す概念図(その1)である。
図4】本実施形態の固定構造の構成例を表す概念図(その2)である。
図5】ホルダの構成例を表す概念図である。
図6】把持部品の構成例を表す概念図である。
図7】ボルトの構成例を表す概念図である。
図8】部材7の構成例を表す概念図(その1)である。
図9】部材7の構成例を表す概念図(その2)である。
図10】ブラケットの部分構成を表す概念図である。
図11】本実施形態の固定構造の組立工程(その1)を表す概念図である。
図12】本実施形態の固定構造の組立工程(その2)を表す概念図である。
図13】本実施形態の固定構造の組立工程(その3)を表す概念図である。
図14】本実施形態の固定構造の組立工程(その4)を表す概念図である。
図15】本実施形態の固定構造の組立工程(その5)を表す概念図である。
図16】部材7を備えない本実施形態の固定構造を表す概念図である。
図17】部材6に形成された穴の近傍を表す概念図である。
図18】部材7を備えない本実施形態の固定構造のバリエーションを表す概念図である。
図19図18に表す把持部品14を表す概念図である。
図20】ホルダ13のバリエーションを表す概念図である。
図21】把持部品14のバリエーションを表す概念図である。
図22】ホルダ13のバリエーション(その2)を表す概念図である。
図23】把持部品14のバリエーション(その2)を表す概念図である。
図24】ホルダ13のバリエーション(その3)を表す概念図である。
図25】把持部品14のバリエーション(その3)を表す概念図である。
図26】実施形態の固定具の最小限の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[構成と動作]
図3及び図4は、本実施形態の固定構造の例である固定構造100の構成を表す概念図である。図3は固定構造100の断面図であり、図4は斜視図である。図4においては、図3に表す部材6は図示が省略されている。
【0019】
固定構造100は、音響センサ1を部材6に固定するための構造である。図3及び図4に表すように、固定構造100は、音響センサ1と、ブラケット2と、ホルダ13と、把持部品14と、スペーサ4及び5と、部材6及び7と、ボルト19とを備える。
【0020】
図3に表すホルダ13の単体での構成は図5に表される。図5(a)は、ホルダ13の断面図である。図5(b)は、ホルダ13を図5(a)に表す矢印91aの向きに見た図である。また、図5(c)は、ホルダ13を図5(a)に表す矢印91bの向きに見た図である。
【0021】
図3及び図4に表す把持部品14の単体での構成は図6に表される。図6(a)は、把持部品14の断面図である。図6(b)は、把持部品14を図6(a)に表す矢印91aの向きに見た図である。また、図6(c)は、把持部品14を図6(a)に表す矢印91bの向きに見た図である。
【0022】
図3及び図4に表すボルト19の単体での構成は図7に表される。図7(a)は、ボルト19の断面図である。図7(b)は、ボルト19を図7(a)に表す矢印91aの向きに見た図である。また、図7(c)は、ボルト19を図7(a)に表す矢印91bの向きに見た図である。
【0023】
図3及び図4に表す部材7の部分構成は、図8及び図9に表される。図8は、部材7の斜視図である。図9(a)は、部材7の部材7に形成された穴の近傍を表す側面図である。図9(b)は、図9(a)に表す線92aを含む部材7の切断面を表す断面図である。
【0024】
図3及び図4に表すブラケット2の部分構成は図10に表される。図10は、ブラケットのブラケット2に形成された穴の近傍を見た側面図である。また。図10(b)は、図10に表す線92aを含むブラケット2の切断面を表す断面図である。
【0025】
図3に表すブラケット2は、例えば、音響センサ1を上下に挟むことにより、音響センサに固定されている。
【0026】
また、図3に表すように、図5に表すホルダ13の挿入部13bは、把持部品14の窪み14bに挿入され、嵌合される。また、把持部品14の図6に表す挿入部14cは、スペーサ4の穴4aを介して部材6の穴に挿入され、さらにスペーサ5の穴5aに挿入される。
【0027】
図6に表すように、把持部品14の挿入部14cには、穴14dが形成されている。
【0028】
図7に表すボルト19のネジ軸19aは、把持部品14の挿入部14cの穴14dに挿入される。そして、ボルト19のネジ軸19aに形成されたネジ山19cは、図3及び図5に表すホルダ13の穴13cの側面に形成されたネジ溝13dに螺合される。当該螺合の際に、図3に表すように、図7に表すボルト19の頭部19bは、図8及び図9に表す部材7の窪み7bに嵌る。
【0029】
図3に表す固定構造100は、上記により形成されている。
【0030】
図11乃至図15は、図3に表す固定構造100の組立工程を表す概念図である。
【0031】
最初に、図11に表す音響センサ1、ブラケット2及びホルダ13は、図12に表すように組まれる。その際に、まず、ホルダ13の挿入部13bが、ブラケット2の穴2aに挿入され、次に、ブラケット2により音響センサ1が把持される。
【0032】
次に、図13に表すように、ホルダ13の挿入部13bは把持部品14の窪み14bに挿入される。当該挿入により、挿入部13bは窪み14bに嵌合する。挿入部13bの外形及び窪み14bの内形は共に角ばった形状をしているので、当該嵌合により、ホルダ13と把持部品14の組合せは、互いに、それらの周方向にずれなくなる。その後、スペーサ4の穴4aに把持部品14の挿入部14cが嵌まるように、スペーサ4が把持部品14に装着される。
【0033】
次に、図14に表すように把持部品14の挿入部14cは、部材6の穴6aに挿入される。その後、スペーサ5の穴5aに把持部品14の挿入部14cが嵌まるように、スペーサ5が把持部品14に装着される。
【0034】
次に、図15に表すように、ボルト19のネジ軸19aが、把持部品14の穴14dに挿入される。
【0035】
その後、作業者等は、ボルト19の頭部19bを回転させることによりネジ軸19aを回転させ、ボルト19のネジ山19cをホルダ13のネジ溝13dに螺合させる。その際に、角ばった挿入部13bは角ばった窪み14bに嵌合されている。それにより、ホルダ13は把持部品14に対して回転しない。従い、把持部品14の把持部14aの把持により、ホルダ13は回転しなくなり、ボルト19のネジ山19cのホルダ13のネジ溝13dへの螺合が行える。
【0036】
ある程度螺合が進むと、ボルト19の角ばった頭部19bは、部材7の角ばった窪み7bに嵌る。これにより、ボルト19は、部材7に対して回転しなくなる。その状態で、把持部品14の把持部14aをレンチ等により回し、把持部品14及びホルダ13を、ボルト19のネジ山19cのホルダ13のネジ溝13dへの螺合が進む方向に回す。
【0037】
すると、ホルダ13の傘部13aと、ボルト19の頭部19bとの間隔がさらに狭められ、ブラケット2の穴2a近傍は部材6の穴6aの近傍に強く引き寄せられ、締め付けられる。これらにより、音響センサ1は、部材6に固定される。当該固定された状態が、図3に表す固定構造100である。
【0038】
図3に表す固定構造100においては、ホルダ13の傘部13aが、空隙2bの内側からブラケット2の穴2a近傍を面で押さえつける。そして、ボルト19のネジ山19cのホルダ13のネジ溝13dへ螺合する。図3に表す固定構造100においては、これら二段階の作用により、互いに固定された音響センサ1及びブラケット2の組合せを部材6に固定している。そして、図3に表す固定構造100においては、ネジ山19cのネジ溝13dへの螺合が緩むと、ホルダ13の傘部13aとブラケット2の穴2aの間に多少の隙間は生じるが、ネジ山19cのネジ溝13dへの螺合の緩みがそれ以上は進行しにくくなる。その理由は、多少は緩んでも、ボルト19の頭部19bは部材7の窪み7bに嵌っている状態が維持されるため、ボルト19が回転しないためである。この点は、図1に表す場合のようにネジ8により固定する場合のようにネジ山とネジ溝との螺合のみで固定する場合が、ネジ山とはネジ溝との螺合が緩むと緩みが一層進行しやすくなり、音響センサ1が部材6から外れるのと対照的である。
【0039】
また、仮に、ホルダ13が回転されて緩みが多少は進行したとしても、ホルダ13の傘部13aが音響センサ1に当たることにより、それ以上の緩みは進行しにくくなる。
【0040】
以上により、図3に表す固定構造100は、図1に表す固定構造100と比較して、音響センサ1を部材6から外れにくくする。
【0041】
以上は、固定補助部材である図3等に表す部材7を用いた固定構造の例について説明したが、音響センサ1の部材6への固定に部材7を用いない場合も想定され得る。以下、部材7を用いない場合の、音響センサ1を部材6に固定する固定構造の例について説明する。
【0042】
図16は、図3及び図4に表す固定補助部材である部材7を用いない固定構造である固定構造100を表す概念図である。また、図17は、図16に表す部材6に形成された穴の近傍を表す概念図である。
【0043】
図16に表す音響センサ1、ブラケット2及びスペーサ4は、図3に表すものと同じである。また、ホルダ13は、図3及び図5に表すものと同じである。また、把持部品14は、挿入部14cの長さが異なる点を除いて、図3及び図6に表すものと同じである。
【0044】
図16に表す固定構造100においては、図3に表す固定構造100において部材7に形成されている穴7a及び窪み7bに相当する窪み及び穴が、部材6に穴6a及び窪み6bとして形成されている。図16に表す部材6は例えば金属である。そして、ボルト19の頭部19bは、窪み6bに嵌合され、ボルト19のネジ軸19aは穴14dに挿入されている。
【0045】
上記を除き、図16に表す固定構造100の説明は、図3に表す固定構造100の説明と同様である。
【0046】
図18は、図16に表す固定構造100のバリエーションを表す概念図である。また、図19は、図18に表す把持部品14を表す概念図である。
【0047】
図18に表す固定構造100が備える把持部品14は、図16に表す把持部品14が備える挿入部14cが存在しない。それに応じて、図18に表すスペーサ4は図16に表すスペーサ4と比較して、穴4aの内径が小さい。
【0048】
上記を除いて、図18に表す固定構造100及び図19に表す把持部品14の説明は、図16に表す固定構造及び図6に表す把持部品14の説明と同じである。
【0049】
図20図5に表すホルダ13のバリエーションを表す概念図であり、図21は、図19に表す把持部品14のバリエーションを表す概念図である。
【0050】
図20に表すホルダ13及び図21に表す把持部品14の説明は以下を除いて図5に表すホルダ13及び図19に表す把持部品14の説明と同じである。
【0051】
図21に表す把持部品14は、図20に表すホルダ13と組み合わせて使うものである。
【0052】
図20(b)及び(c)に表すホルダ13の挿入部13bは、図5(b)及び(c)に表すホルダ13の挿入部13bが四角形であったのに対し、六角形である。また、図21(b)及び(c)に表す把持部品14の窪み14bの外形は、図19に表す把持部品14の窪み14bの外形が四角形なのに対し六角形である。図20に表すホルダ13の挿入部13bは、図21に表す窪み14bに挿入、嵌合され得る。
【0053】
これら図示されたものに限らず、ホルダの挿入部は、把持部品の窪みに挿入、嵌合され得、挿入された状態で、ホルダと把持部品との軸周りの滑りが生じなくなるものであれば任意である。
【0054】
図22は、図21に表す把持部品14のバリエーション(その1)を表す概念図である。図22(b)及び(c)に表す把持部品14の把持部14aは、図21(b)及び(c)に表す把持部品14の把持部14aが六角形なのに対し四角形である。この点を除いて、図22に表す把持部品14は図21に表すものと同じである。
【0055】
図23は、図21に表す把持部品14のバリエーション(その2)を表す概念図である。図22(b)及び(c)に表す把持部品14の把持部14aは、図21(b)及び(c)に表す把持部品14の把持部14aが六角形なのに対し、左右に直線部14e及び14fが形成されている。この点を除いて、図23に表す把持部品14は、図21に表すものと同じである。
【0056】
なお、把持部品14の把持部14aの形状は、図示されたもの以外に、レンチやペンチ等により把持することが可能なものであれば任意である。
【0057】
図24は、は図5に表すホルダ13の第二のバリエーションを表す概念図であり、図25は、図6に表す把持部品14のバリエーションを表す概念図である。
【0058】
図24に表すホルダ13及び図25に表す把持部品14の説明は以下を除いて図5に表すホルダ13及び図6に表す把持部品14の説明と同じである。
【0059】
図25に表す把持部品14は、図24に表すホルダ13と組み合わせて使うものである。
【0060】
図24(a)は、ホルダ13の斜視図である。また、図24(b)は、ホルダ13の図24(a)に表す矢印98aの向きを見た側面図であり、図24(c)は、ホルダ13の図24(b)に表す矢印98cの向きを見た側面図である。また、図24(d)はホルダ13の図24(b)に表す矢印98eの向きを見た下面図であり、図24(e)は、ホルダ13の矢印98bの向きを見た上面図である。
【0061】
一方、図25(a)は、把持部品14の斜視図である。また、図25(b)は、把持部品14の図25(a)に表す矢印98aの向きを見た側面図であり、図25(c)は、把持部品14の図25(b)に表す矢印98bの向きを見た側面図である。また、図25(d)は、把持部品14の図25(b)に表す矢印98cの向きを見た下面図であり、図25(e)は、把持部品14の矢印98dの向きを見た側面図である。
【0062】
図24に表すホルダ13の挿入部13bは円筒状である。ホルダ13の挿入部13bは、図10に表すブラケット2の円形の穴2aに挿入、嵌合され得ると共に、図25に表す把持部品14の同じく円筒状の窪み14bに挿入され得る。
【0063】
また、挿入部13bの、傘部13aに接続されていない方の端部には、凸部13e及び13fが形成されている。凸部13e及び13fは、挿入部13bを把持部品14の窪み24bに挿入した場合に、窪み24bとつながる凹部14g及び14hに挿入され得る部分である。当該挿入により、ホルダ13と図25に表す把持部品14とは一体的に回転し得る。
【0064】
このように、ホルダ13の円筒状の挿入部13bがブラケット2の円形の穴2aに挿入されるようにすることにより、ホルダ13のブラケット2に対するがたつきを軽減することができる。さらに、上記により、レンチ等で把持部品14を回転させ、把持部品14aと嵌合したホルダ13を回転させる際にホルダ13がブラケット2に対し引っ掛かるのを抑えることが可能になる。
[効果]
本実施形態の固定構造においては、ホルダの傘部が、ブラケットの穴近傍を内側から面で押さえつけることとボルトのネジ山cのホルダのネジ溝への螺合との二段階の作用により、音響センサを固定用の部材に固定する。そして、本実施形態の固定構造においては、ネジ山とネジ溝との螺合が緩むと、ホルダの傘部とブラケットの穴周囲との間に多少の隙間は生じるが、ネジ山のネジ溝への螺合の緩みはそれ以上進行しにくくなる。その理由は、前記螺合が多少は緩んでも、ボルトの頭部は部材の窪みに嵌っている状態が維持されるため、ボルトが回転しないためである。この点は、図1に表す場合のようにネジにより固定する場合が、ネジ山とネジ溝との螺合が緩むと緩みが一層進行しやすくなり、音響センサが部材から外れるのと対照的である。
【0065】
また、本実施形態の固定構造においては、仮に、ホルダの回転により緩みが多少は進行したとしても、ホルダの傘部が音響センサに当たることにより、それ以上の緩みは進行しにくくなる。
【0066】
従い、本実施形態の固定構造は、被固定部材である音響センサとブラケットとの組合せを固定用部材から外れにくくする効果を奏する。
【0067】
以上、被固定部材として音響センサとブラケットとの組合せを用いる固定構造の例について説明した。しかしながら、本実施形態の固定構造における被固定部材は任意である。また、本実施形態の固定用部材も任意である。ただし、被固定部材が海中で使用される音響センサ等である場合には、本実施形態の固定構造の、被固定部材を固定部材から外れにくくする効果が顕著である。その理由は、水流が複雑な海中で用いられ、さらには海中での展開動作が行われる音響センサには様々な向きの力が加わるため、特に、固定構造が緩み、音響センサ等の脱落等が生じやすいためである。
【0068】
さらには、図3に表すように固定補助部材(部材7)を用いた場合は、本実施形態の固定構造の、被固定部材を固定部材から外れにくくする効果が顕著である。その理由は、固定補助部材(部材7)を用いた場合は、ブラケットへの固定部へ特に強い力が加わりやすく、そのため、固定補助部材を用いた場合は特に固定具における螺合の緩みが生じやすいためである。
【0069】
さらに、図3に表すように、スペーサを用いた場合は、本実施形態の固定構造の、被固定部材を固定部材から外れにくくする効果が顕著である。その理由は、スペーサを用いた場合は、固定具における螺合の緩みが生じやすいためである。
【0070】
図26は、実施形態の固定具の最小限の構成である固定具100xの構成を表すブロック図である。
【0071】
固定具100xは、第一押圧部13axと連結部19axと第二押圧部19bxとを備える。
【0072】
連結部19axは、第一押圧部13axと接続された第一接続箇所と第二押圧部19bxと接続された第二接続箇所との間隔を縮小することが可能である。
【0073】
第一押圧部13axは、前記縮小により、固定用部材に固定される部材である被固定部材を、前記固定用部材の在る側の逆側である第一逆側から前記固定用部材の在る向きに押圧する第一押圧を行う。
【0074】
第二押圧部19bxは、前記縮小により、前記固定用部材を、前記被固定部材が在る側の逆側である第二逆側から、前記被固定部材の在る向きに押圧する第二押圧を行う。第二押圧部19bxは、また、前記固定用部材又は前記固定用部材よりも前記第二逆側に在る第二部材の前記第二逆側に設けられた窪みに挿入されることにより回転が妨げられる。
【0075】
固定具100xは、前記第一押圧及び前記第二押圧により、前記被固定部材を前記固定用部材に固定し得る。また、第二押圧部19bxは、前記固定用部材又は前記固定用部材よりも前記第二逆側に在る第二部材の前記第二逆側に設けられた窪みに挿入されることにより回転が妨げられる。そのため、連結部19axの第二押圧部19bxと接続された部分は、連結部19axの第一押圧部13axと接続された部分から外れにくい。
【0076】
そのため、固定具100xは、図1に表す一般的な固定構造の固定具と比較して、被固定部材を固定用部材から外れにくくする効果を奏する。
【0077】
そのため、固定具100xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0078】
なお、図26に表す固定具100xは、例えば、図3に表すホルダ13とボルト19との組合せである。また、第一押圧部13axは、例えば、図3図5図20及び図24に表す傘部13aである。また、連結部19axは、例えば、図5に表すホルダ13の挿入部13bと、図7に表すボルト19のネジ軸19aとの組合せである。また、第二押圧部19bxは、例えば、図7に表すボルト19の頭部19bである。また、前記第一接続箇所は、例えば、図5に表すホルダ13の傘部13aと挿入部13bとの境の部分(点線で表示した部分)である。また、前記第二接続箇所は、例えば、図7に表すボルト19のネジ軸19aと頭部19bとの境の部分(点線で表示した部分)である。また、前記固定用部材は、例えば、図3及び図14乃至図16に表す部材6である。また、前記被固定部材は、例えば、図3及び図11乃至図16に表すブラケット2である。また、前記第一逆側は、例えば、図3及び図11乃至図16に表すブラケット2の音響センサ1側である。また、前記第一押圧は、例えば、図3及び図16に表すブラケット2の穴2a近傍のホルダ13の傘部13aによる、頭部19bの向きへの押圧である。また、前記第二逆側は、例えば、図3及び図14乃至図16に表す部材6の右方である。また、前記第二押圧は、例えば、図3及び図14乃至図16に表す部材6の穴6a周囲のホルダ13の向きへの押圧である。また、前記窪みは、例えば、図3及び図4に表す窪み7b及び図16に表す窪み6bである。
【0079】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0080】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
第一押圧部と連結部と第二押圧部とを備え、
前記連結部は前記第一押圧部と接続された第一接続箇所と前記第二押圧部と接続された第二接続箇所との間隔を縮小することが可能であり、
前記第一押圧部は、前記縮小により、固定用部材に固定される部材である被固定部材を、前記固定用部材の在る側の逆側である第一逆側から前記固定用部材の在る向きに押圧する第一押圧を行い、
前記第二押圧部は、前記縮小により、前記固定用部材を、前記被固定部材が在る側の逆側である第二逆側から、前記被固定部材の在る向きに押圧する第二押圧を行い、前記固定用部材又は前記固定用部材よりも前記第二逆側に在る第二部材の前記第二逆側に設けられた窪みに挿入されることにより回転が妨げられる
固定具。
(付記2)
前記連結部は、前記被固定部材に設けられた第一穴及び前記固定用部材に設けられた第二穴を貫通し、前記第一押圧部は、前記第一押圧を、前記被固定部材の前記第一穴の周囲の部分に対して行い、前記第二押圧部は、前記第二押圧を、前記固定用部材の前記第二穴の周囲の部分に対して行う、付記1に記載された固定具。
(付記3)
前記連結部はネジ穴の設けられた第一連結部材と、前記ネジ穴に螺合し得るネジ軸の設けられた第二連結部材とを備え、前記螺合により前記縮小を行う、付記1又は付記2に記載された固定具。
(付記4)
前記第一連結部材は前記第一押圧部に固定されており、前記第二連結部材は前記第二押圧部に固定されている、付記3に記載された固定具。
(付記5)
前記ネジ穴のネジ溝の少なくとも一部が前記第一接続箇所より前記第二接続箇所の側に設けられている、付記3又は付記4に記載された固定具。
(付記6)
前記ネジ穴のネジ溝の少なくとも一部が前記被固定部材より前記固定用部材の向きに設けられている、付記3乃至付記5のうちのいずれか一に記載された固定具。
(付記7)
前記被固定部材より前記固定用部材の在る側に設置され、前記挿入が行われた状態で前記螺合を行うための前記第一連結部材の回転を可能にする把持部をさらに備える、付記3乃至付記6のうちのいずれか一に記載された固定具。
(付記8)
前記第一連結部材の前記被固定部材より前記固定用部材の在る側の部分の少なくとも一部が、前記把持部が備える窪みの少なくとも一部に嵌合することにより、前記第一連結部材の前記把持部にする回転が妨げられる、付記7に記載された固定具。
(付記9)
前記第一連結部材は、外形が円筒状の円筒部分を備え、前記円筒部分は前記被固定部材の円形の穴へ第二挿入され得る、付記8に記載された固定具。
(付記10)
前記円筒部分は、前記被固定部材の円形の穴に嵌合され得る、付記9に記載された固定具。
(付記11)
前記円筒部分は、前記窪みが備える円筒状の部分である円筒窪み部分に第三挿入され得る、付記9又は付記10に記載された固定具。
(付記12)
前記円筒部分は、前記第一押圧部が在る向きとは逆向きの端部に凸部を備え、前記円筒窪み部分は前記円筒窪み部分の先端からさらに窪んだ凹部を備え、前記凸部は前記凹部に第四挿入され得る、付記11に記載された固定具。
(付記13)
前記把持部と前記固定用部材との間に第一スペーサが設けられる、付記7乃至付記12のうちのいずれか一に記載された固定具。
(付記14)
前記被固定部材に第二被固定部材が固定されることが想定された、付記3乃至付記13のうちのいずれか一に記載された固定具。
(付記15)
前記被固定部材と前記第二被固定部材との隙間の距離が、前記第一押圧部の高さより大きく、前記第一連結部材の高さよりも小さい、付記14に記載された固定具。
(付記16)
前記第二被固定部材は、海中での使用が想定されたものである、付記14又は付記15に記載された固定具。
(付記17)
前記第二被固定部材は、前記固定用部材により移動させられることが想定されたものである、付記14乃至付記16のうちのいずれか一に記載された固定具。
(付記18)
前記第二被固定部材が音響センサであり、前記被固定部材が前記音響センサを固定するブラケットである、付記14乃至付記17のうちのいずれか一に記載された固定具。
(付記19)
前記第一押圧部は、前記第一押圧を前記固定用部材に対し直接行う、付記1乃至付記18のうちのいずれか一に記載された固定具。
(付記20)
前記第一押圧部は、前記第一押圧を前記固定用部材に対し前記第二部材を介して行う、付記1乃至付記18のうちのいずれか一に記載された固定具。
(付記21)
前記第二部材と前記固定用部材との間に第二スペーサが設置される、付記20に記載された固定具。
(付記22)
付記18に記載された固定具と、前記音響センサと前記ブラケットとを備える、音響センサ装置。
(付記23)
前記第二被固定部材は、海中での使用で前記固定用部材により移動させられることが想定されたものである、付記14又は付記15に記載された固定具。
(付記24)
付記14乃至付記17のうちのいずれか一に記載された固定具と、前記第二被固定部材である音響センサと前記被固定部材であるブラケットとを備える、音響センサ装置。
【符号の説明】
【0081】
1 音響センサ
2 ブラケット
2b 空隙
2c ネジ穴
2a、4a、5a、6a、7a、7c、13c、14d 穴
4、5 スペーサ
6、7 部材
6b、7b、14b 窪み
8 ネジ
13 ホルダ
13a 傘部
13b 挿入部
13d ネジ溝
13e、13f 凸部
14 把持部品
14a 把持部
14c 挿入部
14e、14f 直線部
14g、14h 凹部
19 ボルト
19a ネジ軸
19b 頭部
19c ネジ山
91a、91b、98a、98b、98c、98d、98e 矢印
92a 線
100 固定構造
図1
図2
図3
図4
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