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特許7290483シャワールームユニット及び壁下アングル部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】シャワールームユニット及び壁下アングル部材
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
E04H1/12 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019116344
(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公開番号】P2021001501
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】大井 彰
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-166791(JP,U)
【文献】実開平05-096324(JP,U)
【文献】特開2002-121916(JP,A)
【文献】特開2003-064895(JP,A)
【文献】特開2017-115549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00-1/14
E03C 1/12-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状であり、排水口を有する床パンと、該床パンの一辺外縁に上方に突出して設けられた堤と、該堤の外方に延出するように設けられた浴槽パン嵌合部と、前記床パンの他の3辺の外縁に設けられた壁載置部と、前記床パンの下面側四方に設けられた脚とを有する浴室ユニット用洗い場パンと、
前記堤の上と前記壁載置部の上に立設される壁パネルまたは戸と、前記壁パネルの上部に配置される天井パネルを具備するシャワールームユニットであって、
前記堤の上に前記壁パネルまたは前記戸を連設するための壁下アングル部材が設けられたことを特徴とするシャワールームユニット。
【請求項2】
前記壁下アングル部材が、前記浴槽パン嵌合部上面側に固着される固定部と、前記固定部より上方に延設され前記堤の室外側に沿わせられる室外側堤受け部と、前記室外側堤受け部より前記堤の上端側を覆うように延設された室内側堤受け部と、前記室内側堤受け部より上方に延設された胴体部と、前記胴体部から室外側に延設された壁受け部と、前記壁受け部の室外側の端部に立設された壁支え部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシャワールームユニット。
【請求項3】
前記壁下アングル部材が、前記堤にその上方から被せられる逆U字型の固定部と、前記固定部の上方に設けられて中空部を有する胴体部と、前記胴体部上面に形成された壁受け部と、前記壁受け部において前記浴槽パン嵌合部側に立設された壁支え部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシャワールームユニット。
【請求項4】
前記逆U字の固定部において、前記堤に被せられる部分が、室外側堤受け部と室内側堤受け部により形成されたことを特徴とする請求項3に記載のシャワールームユニット。
【請求項5】
前記室外側堤受け部と前記室内側堤受け部の少なくとも一方と前記堤との間、または、前記固定部と前記堤との間に防水部材が配置されたことを特徴とする請求項2または請求項4に記載のシャワールームユニット。
【請求項6】
前記床パンに設けられた排水口が、前記堤の長手方向中央側、かつ、前記堤近傍に配置され、前記浴槽パン嵌合部の裏面側であって、前記浴槽パン嵌合部の長手方向端部より、前記浴槽パン嵌合部の全長の1/4から2/5の位置に補助脚が設けられたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のシャワールームユニット。
【請求項7】
平面視矩形状の床パンと、該床パンの一辺外縁に上方に突出して設けられた堤と、該堤の外方に延出するように設けられた浴槽パン嵌合部と、前記床パンの他の3辺の外縁に設けられた壁載置部と、前記床パンに形成された排水口と、前記床パンの下面側四方に設けられた脚とを有する浴室ユニット用洗い場パンに適用され、
前記堤の上と前記壁載置部の上に立設される壁パネルまたは戸と、前記壁パネルの上部に配置される天井パネルを具備するシャワールームユニットに適用される壁下アングル部材であって、
前記浴槽パン嵌合部上面側に固着される固定部と、前記固定部より上方に延設され前記堤の室外側に沿わせられる室外側堤受け部と、前記室外側堤受け部より前記堤の上端側を覆うように延設された室内側堤受け部と、前記室内側堤受け部より上方に延設された胴体部と、前記胴体部から室外側に延設された壁受け部と、前記壁受け部の室外側の端部に立設された壁支え部材を備え、
前記堤の上に前記壁パネルまたは前記戸を連設するために配置されることを特徴とする壁下アングル部材。
【請求項8】
平面視矩形状の床パンと、該床パンの一辺外縁に上方に突出して設けられた堤と、該堤の外方に延出するように設けられた浴槽パン嵌合部と、前記床パンの他の3辺の外縁に設けられた壁載置部と、前記床パンに形成された排水口と、前記床パンの下面側四方に設けられた脚とを有する浴室ユニット用洗い場パンに適用され、
前記堤の上と前記壁載置部の上に立設される壁パネルまたは戸と、前記壁パネルの上部に配置される天井パネルを具備するシャワールームユニットに適用される壁下アングル部材であって、
前記堤にその上方から被せられる逆U字型の固定部と、前記固定部の上方に設けられて中空部を有する胴体部と、前記胴体部上面に形成された壁受け部と、前記壁受け部において前記浴槽パン嵌合部側に立設された壁支え部材を備え、
前記堤の上に前記壁パネルまたは前記戸を連設するために配置されることを特徴とする壁下アングル部材。
【請求項9】
前記逆U字の固定部において、前記堤に被せられる部分が、室外側堤受け部と室内側堤受け部により形成されたことを特徴とする請求項に記載の壁下アングル部材。
【請求項10】
前記固定部において、前記堤に被せられる部分の内面に防水部材収納用の凹部が形成されたことを特徴とする請求項に記載の壁下アングル部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニット用洗い場パンを流用したシャワールームユニット、及び壁下アングル部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外国人観光客の増加に伴い、宿泊施設では、浴槽を設置しないシャワールームの需要が高まってきている。
また、日本国内では日々の身体洗浄をシャワーのみで済ませる若者や単身者も増加する傾向にある。
上述した理由の他に、大都市圏の狭小アパートでは室内空間の有効活用やコスト低減も含め、シャワールームのニーズが今後とも高まっていくと考えられる。
【0003】
従来から、浴室ユニット用の床パンは、現地での搬入性向上を目的に、洗い場として使われる洗い場パンと、浴槽を設置する浴槽パンに分割されることが一般的であった。(特許文献1参照)
【0004】
また、洗い場パンと浴槽パンは、各々、工場で製造され、現場に運び込まれた後、現地にてお互いを接合し、防水構造で一体化させる。その後、一体化された床パンの外周部に壁パネル、戸が立設される。壁パネルの上部に天井パネルを設置し、浴槽、浴槽エプロン、水栓等を取り付け、浴室が完成する。
図5に従来の浴室ユニット100の一例を示すが、洗い場パン123と浴槽パン124を設置し、これらの周囲を取り囲むように壁パネル102と戸104を立設し、壁パネル102の上部に天井パネル103を設置している。また、浴槽パン124の上に浴槽110を設置し、この浴槽110と洗い場パン123との間に浴槽エプロン112を設置し、壁パネル102の一部に水栓105を取り付けている。
【0005】
方や、シャワールームユニット用の床パンは、浴槽の設置が不要なため、単体で製造されている。現地でこの床パンを設置した後、その外周部に壁パネル、戸が立設される。
前記壁パネルの上部に天井パネルを設置し、水栓等を取り付け、シャワールームが完成する。
図7に従来のシャワールーム131の一例を示すが、排水口142を有する床パン141を設置し、床パン141の周囲を取り囲むように壁パネル132と戸134を立設し、壁パネル132の上部に天井パネル133を設置している。また、壁パネル132の一部に水栓135を取り付け、この水栓135にシャワーホース136とシャワーヘッド137を接続し、壁パネル132の必要位置に鏡138を設置してシャワールーム131が構成されている。
従来、浴室ユニット用洗い場パンとシャワールームユニット用床パンとは、外周部の形状(特に浴室ユニット用洗い場パンの浴槽パン嵌合部)が異なるため、各々を専用部材として別々に設計し、製造し、設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-40446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、浴室ユニットと同様に、シャワールームユニットにおいても設置場所の空間に対応する複数のサイズの床パンを専用で用意する必要がある。
そのため、シャワールームユニット専用の床パンを新たに用意するためには、新たな設計、評価に加え、金型や設備への新たな投資や、品種増に伴う管理費用の増加が起きるなどの問題点があった。
【0008】
そこで、本発明者は、浴室ユニット用の洗い場パンをシャワールームユニット用の床パンに流用することを着想し、流用が実現可能であるか考察した。
図5に示す一般的な浴室ユニット100においては、洗い場パン123の浴槽パン側に浴槽エプロン112の下端と浴槽パン124の端部を受けるための浴槽パン嵌合部120を有する堤121が設けられている。
浴槽パン嵌合部120と堤121の部分の詳細構造を図6に示す。
洗い場パン123の浴槽側に堤121が設けられ、更に外側に凹凸部を有する浴槽パン嵌合部120が設けられている。浴槽パン嵌合部120の凹凸部に係合するように浴槽パン124の端縁部が重ねられ、ビス156により連結されている。
【0009】
堤121は、洗い場パン123の側壁の一部を上方かつ外方に山形に折曲することにより形成され、堤121の外方に浴槽パン嵌合部120が連続形成されている。
浴槽エプロン112の下端部は堤121の洗い場パン側の上端部に当接され、堤121の浴槽パン側の上端部にエプロン受け材125が設置されている。エプロン受け材125の下部と堤121の一部を貫通したビス157によりエプロン受け材125が堤121に固定されるとともに、浴槽エプロン112の下端部とエプロン受け材125の上端部を貫通したビス158により浴槽エプロン112が固定されている。
【0010】
浴室ユニット用の洗い場パンをシャワールームユニット用の床パンに流用することを考慮した場合、浴槽110を設置しないため、堤121に壁パネルを立設する必要があると考えられる。しかし、この堤121は、洗い場側の湯水が浴槽側に流出することを防止するために設けられているが、堤121は壁パネルを立設するための構造とはなっていないため、堤121を簡単には利用できない問題がある。
また、堤121は、浴室ユニット100に浴槽パン124、または浴槽エプロン112を設置する際に防水構造で接続しやすい形状にはなっているが、堤121の上面に直接壁パネルを立設できる様に検討・設計されてはいない。
【0011】
さらに、浴槽110、浴槽エプロン112、隣接する壁パネル等との取り合いや、入浴時に足先の当りを軽減するため、堤121は洗い場パン123の内側寄りではなく、浴槽側寄りに配置されている。従って、堤121の上に壁パネルを載置するためには、堤121よりも洗い場パン123側よりの位置に壁パネルをオーバーハングさせて設置する必要があるが、現状の堤121の構造ではこのような壁パネルの設置には対応できない問題がある。
【0012】
本発明は、上記の従来の問題点を鑑みなされたものであって、浴室ユニット用洗い場パンをシャワールームユニット用床パンに簡便に流用して組み立てられたシャワールームユニットを提供すること、及びこのシャワールームユニットに用いて好適な壁下アングル部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明に係るシャワールームユニットは、平面視矩形状であり、排水口を有する床パンと、該床パンの一辺外縁に上方に突出して設けられた堤と、該堤の外方に延出するように設けられた浴槽パン嵌合部と、前記床パンの他の3辺の外縁に設けられた壁載置部と、前記床パンの下面側四方に設けられた脚とを有する浴室ユニット用洗い場パンと、前記堤の上と前記壁載置部の上に立設される壁パネルまたは戸と、前記壁パネルの上部に配置される天井パネルを具備するシャワールームユニットであって、前記堤の上に前記壁パネルまたは前記戸を連設するための壁下アングル部材が設けられたことを特徴とする。
【0014】
(2)本発明に係るシャワールームユニットにおいて、前記壁下アングル部材が、前記浴槽パン嵌合部上面側に固着される固定部と、前記固定部より上方に延設され前記堤の室外側に沿わせられる室外側堤受け部と、前記室外側堤受け部より前記堤の上端側を覆うように延設された室内側堤受け部と、前記室内側堤受け部より上方に延設された胴体部と、前記胴体部から室外側に延設された壁受け部と、前記壁受け部の室外側の端部に立設された壁支え部材を備えた構成を採用できる。
(3)本発明に係るシャワールームユニットにおいて、前記壁下アングル部材が、前記堤にその上方から被せられる逆U字型の固定部と、前記固定部の上方に設けられて中空部を有する胴体部と、前記胴体部上面に形成された壁受け部と、前記壁受け部において前記浴槽パン嵌合部側に立設された壁支え部材を備えた構成を採用できる。
【0015】
(4)本発明に係るシャワールームユニットにおいて、前記逆U字の固定部において、前記堤に被せられる部分が、室外側堤受け部と室内側堤受け部により形成された構成を採用できる。
(5)本発明に係るシャワールームユニットにおいて、前記室外側堤受け部と前記室内側堤受け部の少なくとも一方と前記堤との間、または、前記固定部と前記堤との間に防水部材が配置された構成を採用できる。
(6)本発明に係るシャワールームユニットにおいて、前記床パンに設けられた排水口が、前記堤の長手方向中央側、かつ、前記堤近傍に配置され、前記浴槽パン嵌合部の裏面側であって、前記浴槽パン嵌合部の長手方向端部より、前記浴槽パン嵌合部の全長の1/4から2/5の位置に補助脚が設けられた構成を採用できる。
【0016】
(7)本発明に係る壁下アングル部材は、平面視矩形状の床パンと、該床パンの一辺外縁に上方に突出して設けられた堤と、該堤の外方に延出するように設けられた浴槽パン嵌合部と、前記床パンの他の3辺の外縁に設けられた壁載置部と、前記床パンに形成された排水口と、前記床パンの下面側四方に設けられた脚とを有する浴室ユニット用洗い場パンに適用され、前記堤の上と前記壁載置部の上に立設される壁パネルまたは戸と、前記壁パネルの上部に配置される天井パネルを具備するシャワールームユニットに適用される壁下アングル部材であって、前記浴槽パン嵌合部上面側に固着される固定部と、前記固定部より上方に延設され前記堤の室外側に沿わせられる室外側堤受け部と、前記室外側堤受け部より前記堤の上端側を覆うように延設された室内側堤受け部と、前記室内側堤受け部より上方に延設された胴体部と、前記胴体部から室外側に延設された壁受け部と、前記壁受け部の室外側の端部に立設された壁支え部材を備え、前記堤の上に前記壁パネルまたは前記戸を連設するために配置されることを特徴とする。
【0017】
(8)本発明に係る壁下アングル部材は、平面視矩形状の床パンと、該床パンの一辺外縁に上方に突出して設けられた堤と、該堤の外方に延出するように設けられた浴槽パン嵌合部と、前記床パンの他の3辺の外縁に設けられた壁載置部と、前記床パンに形成された排水口と、前記床パンの下面側四方に設けられた脚とを有する浴室ユニット用洗い場パンに適用され、前記堤の上と前記壁載置部の上に立設される壁パネルまたは戸と、前記壁パネルの上部に配置される天井パネルを具備するシャワールームユニットに適用される壁下アングル部材であって、前記堤にその上方から被せられる逆U字型の固定部と、前記固定部の上方に設けられて中空部を有する胴体部と、前記胴体部上面に形成された壁受け部と、前記壁受け部において前記浴槽パン嵌合部側に立設された壁支え部材を備え、前記堤の上に前記壁パネルまたは前記戸を連設するために配置されることを特徴とする。
【0018】
)本発明に係る壁下アングル部材は、前記逆U字の固定部において、前記堤に被せられる部分が、室外側堤受け部と室内側堤受け部により形成された構成を採用できる。
10)本発明に係る壁下アングル部材は、前記固定部において、前記堤に被せられる部分の内面に防水部材収納用の凹部が形成された構成を採用できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、壁パネルまたは戸を立設可能な壁下アングル部材を堤の上に設けることによって、浴槽パン嵌合部と堤を有する浴室用に構成した床パンをシャワールーム用の床パンに適用することができる。
このため、シャワールームユニット専用の床パンを新たに設計し、用意する必要がなくなり、シャワールームユニット専用の評価を行うことも不要となり、シャワールームユニット用の新たな金型や設備への投資は不要となる。このため、浴室ユニット用の床パンを必要品種設計し、製造して用意しておくならば、シャワールーム用に別途設計開発や製造と、評価を行う必要がなくなり、浴室用とシャワールーム用の床パンを別々に用意していた場合に比べ、品種増に伴う管理費用の増加を抑制できる効果がある。
【0020】
本発明によれば、浴槽パン嵌合部上面側に固着される固定部と、堤の室外側に沿わせられる室外側堤受け部と、堤の上端側を覆う室内側堤受け部と、胴体部と、壁受け部と、壁支え部材を備えた構成により、浴槽パン嵌合部と堤に安定支持された状態の壁下アングル部材を床パン上に取り付けることができる。このため、床パンにより壁パネルまたは戸を壁下アングル部材により安定支持した構成のシャワールームユニットを提供できる。
【0021】
本発明によれば、逆U字をなして堤に被せられる固定部と、胴体部と、壁受け部と、壁支え部材を備えた構成により、堤に安定支持された状態の壁下アングル部材を床パン上に取り付けることができる。このため、床パンにより壁パネルまたは戸を壁下アングル部材により安定支持した構成のシャワールームユニットを提供できる。
【0022】
本発明によれば、室外側堤受け部と室内側堤受け部の少なくとも一方と堤との間、または、固定部と堤との間に防水部材を配置した構成とすることにより、壁下アングル部材を堤に取り付けた場合、堤受け部を介し室外へ流出しようとする湯水を止めることができる。また、堤と堤受け部の間に防水部材を挟持することにより確実な止水ができる。
【0023】
更に、逆U字の固定部を設け、該固定部を堤に被せて壁下アングル部材を堤に固定することで、固定部と堤の間に挟んだ防水部材により確実な止水ができる。
この構成の場合、逆U字の堤受け部で堤を狭持し、挟持した防水部材により止水することで、コーキング剤の塗布等の後加工が不要となり、施工性が向上するとともに防水部分の意匠性が向上する。
また、逆U字の固定部を堤に被せて壁下アングル部材を堤に固定することで、堤に対し壁下アングル部材を強固に接合した構造を得ることができ、壁下アングル部材で壁パネルや戸を安定支持した構成のシャワールームユニットを提供できる。
【0024】
また、本発明によれば、排水口を堤の長さ方向中央側に配置した場合、浴槽パン嵌合部の全長の1/4~2/5の範囲の位置に補助脚を取り付けることにより、浴槽パン嵌合部を含めて床パン全体を安定支持した構成のシャワールームユニットを提供できる。この範囲に補助脚を取り付けることで、排水口の近傍に使用者が体重をかけたとしても、床パンの変形量を少なくすることができる。
また、排水口近傍に体重をかけたとしても、床パンの変形量を少なくできることから、床パンの設置作業時に床パンの浮きを防止でき、床パン設置作業時の位置ずれ発生を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る第1実施形態のシャワールームユニットを示すもので、(a)は平面図、(b)は図1(a)のX-X線に沿う短辺側断面図、(c)は底面図、(d)は図1(a)のY-Y線に沿う長辺側断面図である。
図2】本発明に係る壁下アングル部材の縦断面図である。
図3】本発明に係る壁下アングル部材と堤と壁パネルの嵌合状態の一例を示す断面図である。
図4】本発明に係るシャワールームの床パンとして用いる浴室ユニット用洗場パンの一例を示す外観図である。
図5】従来の一般的な浴室ユニットの外観図である。
図6】従来の浴室ユニットの洗い場パンと浴槽パンと浴槽エプロンの接合状態を示す断面図である。
図7】従来のシャワールームユニットの外観図である。
図8】本発明に係る第2実施形態の壁下アングル部材の断面図である。
図9】同第2実施形態の壁下アングル部材と堤と壁パネルの嵌合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
「第一実施形態」
以下、本発明の第1実施形態を挙げて本発明の詳細を説明する。
図1(a)は、本発明に係る第1実施形態のシャワールームユニット1の平面図、図1(b)は、図1(a)に示すX-X線に沿う断面図、図1(c)は、シャワールームユニット1の底面図、図1(d)は、図1(a)に示すY-Y線に沿う断面図を示す。
本実施形態のシャワールームユニット1は、平面視矩形状の床パン11と、その周囲3辺の外縁に立設された壁パネル2及び戸(開閉戸)4と、壁パネル2の上部に設置された天井パネル3を備えている。また、壁パネル2の一部に水栓5が取り付けられ、図1(b)、(d)にも示すようにこの水栓5にシャワーホース6、シャワーヘッド7が連結され、壁パネル2において水栓5の上方に図示略の鏡が設置されている。
【0027】
床パン11は、図4に示すように平面視矩形状とされた樹脂製の底壁11aと、該底壁11aに一体成形されてその3辺側を取り囲む背の低い樹脂製の側壁11bを有している。床パン11の3辺の外縁に設けられた側壁11bの上部に溝型の壁載置部13が形成され、残り1辺側に堤21を介して浴槽パン嵌合部20が形成されている。図4に示す例では、底壁11aの一方の長辺側に浴槽パン嵌合部20が形成されている。
床パン11の底壁下面側には図1(c)に示すように4隅に近い部分に脚30が取り付けられ、4本の脚30に支持されて床パン11が水平に設置されている。脚30は台座部30aに設けたねじ孔に対しねじ軸30bをねじ込み貫通させたもので、ねじ軸30bの長さを個々に微調節可能な構造とされている。床パン11は、脚30の長さを微調整することでシャワールームユニット1の設置面上に水平支持されている。
なお、床パン11の底面側には図1(c)に示すように井桁状に組まれた補強リブ19が複数形成され、床パン11の構造強度が向上されている。
【0028】
図1(c)に符号17で示すものは、排水口12の下部に接続された排水トラップであり、この排水トラップ17に対し排水管18が接続されている。なお、図1(c)では排水トラップ17に対し排水管18の接続方向がいずれの4方向でも可能なことを示すために4本の排水管18が描かれているが、通常の排水トラップ17に接続される排水管18は1本となる。
【0029】
堤21と浴槽パン嵌合部20は図3に示す断面構造を有する。堤21は、床パン11の他の3辺側の側壁11bよりも上方まで突出するように延在された堤内壁部21aと堤内壁部21aの上端に接続された堤ヘリ部21bと該堤ヘリ部21bの外側縁から下方に延在された堤外壁部21cからなる横断面山形に形成されている。
【0030】
堤外壁部21cの下端部はそれに近接する位置の床パン11の底壁11aより若干高い位置まで延在され、その外側に水平に縁板部20aが一体形成されている。縁板部20aの上面側には所定の間隔をあけて突起状の補強リブ20bが2本一体形成され、これら補強リブ20bの高さは堤外壁部21cの高さの数分の1程度に統一されている。
図4に示すように縁板部20aと補強リブ20b、20bと堤21は、床パン11の一方の長辺側全長に沿うように形成され、縁板部20aと補強リブ20b、20bと堤21の長さ方向両端部はそれらに対応する位置に形成された端板部23に一体化されている。
【0031】
前記床パン11は、従来の浴室ユニット100用の洗い場パン123として設計、生産されているものと同等構造である。従来の浴室ユニット100では、図6に示す通り、浴槽パン124を嵌合させるため、床パン外周部の1辺側に浴槽パン嵌合部120が設けられている。該浴槽パン嵌合部120は、止水用のパッキン(図示せず)を貼り付けるための凹凸形状を有する。
【0032】
本実施形態の浴槽パン嵌合部20においてもこの凹凸形状は補強リブ20b、20bにより画成されている。
本実施形態の構造において、床パン11には、図3に示すように浴槽パン嵌合部20から室内15側に連続し、該浴槽パン嵌合部20よりも高い位置に上面を持つ堤21が設けられている。この堤21は、浴室ユニットとして使用した際に、浴槽パン嵌合部20側へ湯水が流出しにくいように床パン11の長辺側の1辺の端から端まで連続して設けられている。
床パン11の排水口12は、図1図4に示すように堤21の近傍であり、かつ、左右勝手違いを生じない位置として、浴槽パン嵌合部20側の中央近傍の底壁11aに設けられている。なお、底壁11aの上面には排水口12に向かう勾配が付与されている。
【0033】
本実施形態のシャワールームユニット1においては、図2図3に縦断面形状を示す壁下アングル部材40aを介して堤21の上方に壁パネル2が立設されている。壁下アングル部材40aは例えば耐食コーティングなどを施した金属板の折曲加工品から、あるいは硬質樹脂もしくはアルミニウム合金等の金属による成形体からなることが好ましい。
壁下アングル部材40aは、それぞれ板状の固定部41aと室外側堤受け部44aと室内側堤受け部42aと胴体部48aと壁受け部47aと壁支え部材50とからなる。
図2に示すように、固定部41aに対し室外側堤受け部44aが直角に延出され、室外側堤受け部44aに対し室内側堤受け部42aが直角に延出され、室内側堤受け部42aに対し胴体部48aが直角に延出され、胴体部48aに対し壁受け部47aが直角に延出されている。
壁下アングル部材40aは堤21における堤ヘリ部21bの上面側から堤外壁部21cの上部外側面側にかけて設置された防水部材53を介し堤21の上方に設置されている。
【0034】
即ち、防水部材53を介し堤ヘリ部21bの上に水平に室内側堤受け部42aが設置され、補強リブ20b、20bの上に固定部41aが配置されることにより、胴体部48aが室内15側に向いてほぼ鉛直に配置され、その上方に壁受け部47aがほぼ水平に配置されている。
図3に示すように固定部41aと縁板部20aを貫通したビス56により壁下アングル部材40aが浴槽パン嵌合部20と堤21に対し固定されている。
壁下アングル部材40aは床パン11の長辺側の1辺と同等長さに、即ち、堤21と同等長さに形成されている。即ち、床パン11の堤21をほぼ全長に渡り壁下アングル部材40aが覆うように壁下アングル部材40aが配置されている。
【0035】
胴体部48aに対し直角に延在されている壁受け部47aは室外16に向いて水平に延在されており、壁受け部47aの室外側には折曲部59が形成されている。この折曲部59を厚さ方向に貫通するビス57により壁支え部材50が上方に延出するように固定されている。この壁支え部材50の上端部には壁受け部47aの上面に対し直角方向(鉛直方向)に延在する壁裏当接部50aが形成されている。壁裏当接部50aは床パン11の長辺側の1辺と同等長さ、換言すると、壁下アングル部材40aと同等長さ(同等幅)に形成されている。このため、壁受け部47a上に設置される壁パネル2のほぼ全幅に渡り壁裏当接部50aを近接配置させることができ、壁裏当接部50aにより壁パネル2の下端部背面側を支えることができる。
【0036】
図3に示すように、壁下アングル部材40aの堤受け部42aから室内15側において中央寄りの壁当接面22まで張り出した位置で、上方に延出するように胴体部28aと壁受け部47aが設置されている。
そして、壁受け部47aの上に防水部材54を介し壁パネル2が立設されている。図3の構造では具体的に、壁パネル2の下端に位置するフレーム2aが防水部材54の上に設置されている。
なお、ビス止めした固定部41aはシャワールームにおいて室外16側に配置されるとともに、防水部材53、54で止水がなされるため、ビス56で固定した箇所の止水には影響が出ない。
【0037】
なお、壁下アングル部材40aの壁支え部材50は、必ずしも壁下アングル部材40aの全長全て(全幅全て)では必要ないため、例えば、800mm幅などの壁パネル2に対し、3ケ所程度で部分的に取り付ける構造の壁支え部材50であっても構わない。即ち、壁支え部材50は壁受け部47aの長さ方向に沿って間欠的に設けられていても良い。
壁受け部47aに壁パネル2を立設した後、堤21と堤受け部42aとの間の部分、及び、壁パネル2と壁受け部47aとの間の部分にそれぞれコーキング剤55が注入されており、これらの部分がコーキング剤55の充填により、より完全に止水されている。
【0038】
図1(b)、(d)に示すように4つの脚30に支持されて床パン11は水平に支持されている。
この床パン11に対し、壁下アングル部材40aを設置した場所以外の壁載置部13に壁パネル2、戸(開閉戸)4を立設し、それらの上に天井パネル3を設置し、水栓5等の水廻りの設備を取り付けると、図1に示す構成のシャワールームユニット1が完成する。
【0039】
以上構成のシャワールームユニット1においては、従来から浴室ユニットの洗い場パンに適用されてきた床パン11をそのまま利用し、壁下アングル材40aを追加配置することでシャワールームユニット1の構成に適用できる。また、浴室ユニット用に適用されていた種々のサイズの床パンをそのままシャワールームユニット構成用に適用できるので、浴室ユニット用のサイズに合わせた種々の広さのシャワールームユニットの構築に適用できる。
【0040】
このように浴室ユニット用の床パン11をそのままシャワールームユニット構成用に適用できることは、シャワールームユニット専用の床パンを新たに設計し、用意する必要がなくなり、また、シャワールームユニット用に別途設計を行う必要がなくなり、シャワールームユニット専用の評価を行うことも不要となり、新たな金型や設備への投資は不要となる。このため、浴室ユニット用の床パンを必要品種用意しておくならば、シャワールーム用に別途設計と開発や評価を行う必要がなくなり、浴室用とシャワールーム用の床パンを別々に設計生産し、用意していた場合に比べ、品種増に伴う管理費用の増加を抑制できる効果がある。
【0041】
壁下アングル部材40aを設けて壁パネル2を支持する構成を採用すると、室内側堤受け部42aと胴体部48aと壁受け部47aの長さや幅、高さの異なるものを適宜用意しておくことで、種々の厚さや高さの壁パネル2を床パン11の上方に目的の位置で支持することができる効果がある。このため、シャワールームユニット専用に壁パネル2を設計する必要はなく、浴室ユニット用の壁パネルをシャワールームユニット用に簡単に利用することができる。
【0042】
図3に示す構造であれば、浴室用の床パン11の堤21が浴槽パン嵌合部側よりの位置に設けられている構造であっても、室内側堤受け部42a、壁受け部47aの奥行き長さを適切な長さとしておくならば、堤21の位置より室内15の中央側よりに壁パネル2を設置することができる。
また、例えば、浴室用の床パン11の堤21が浴槽パン嵌合部側よりの位置に設けられている構造の場合、胴体部48aの位置と壁受け部47aの位置を室内15の中央側よりの位置とすることでシャワールームユニット1における壁パネル2の位置よりも外側よりの位置に床パン11の堤21が配置されることとなる。堤21の位置が壁パネル2の位置よりも若干でも室外側にあると、使用者の位置が壁パネル2に近付いた場合に足先周りに余裕が生じるので、足先が堤21に当たりにくい構造とすることができる。
【0043】
壁下アングル部材40aの固定部41aを浴槽パン嵌合部20に固定し、堤21を覆う堤受け部42a、44aを設けたことにより、壁下アングル部材40aの確実な固定と壁パネル2を支える必要な強度を確保することができる。
なお、図3に示す構造において、堤21を構成する堤内壁部21a、堤外壁部21cにより壁下アングル部材40aを支持しているので、壁パネル2を支持するための構造強度を十分に確保することができる。
【0044】
本実施形態の構造によれば、浴槽パン嵌合部20と連続する堤21の上部に、壁パネル2を受けるための壁下アングル部材40aを設けることにより、シャワールームユニット用床パンとして使用する為の、確実な止水性能を確保し、壁パネル2を支えるための十分な強度を有し、更に浴室用の床パン11を用いながら違和感の無い意匠性を兼ね備えたシャワールームユニット1の提供を図ることができる。
【0045】
「第2実施形態」
以下、図8図9を基に、本発明に係る第2実施形態のシャワールームユニット用壁下アングル部材40bを挙げて本発明の詳細を説明する。
本発明の第2実施形態に係る壁下アングル部材40bは、図8図9に示す通り、堤受け部42bが縦断面逆U字であり、この堤受け部42bを堤21の上方から堤21の上端部に嵌合することで堤21を狭持することができる。
【0046】
壁下アングル部材40bの堤受け部42bは、室外側受け部44bと室内側受け部45からなる縦断面逆U字に形成され、堤受け部42bを堤21の上端部に嵌合した場合、室外側堤受け部44bの大部分が堤21の堤外壁部21cの外面に沿って密着する。室外側堤受け部44bの先端側が固定部41bとされ、固定部41bに透孔41cが形成されている。この透孔41cを介し固定部41bと堤外壁部21cを貫通するようにビス58をねじ込むことにより壁下アングル材40bを堤21に固定できる。
【0047】
室外側受け部44bと室内側受け部45の上方には中空部49を有する胴体部48bが室外側受け部44bおよび室内側受け部45と一体に形成されている。胴体部48bの上面側に壁受け部47bが形成されるとともに、胴体部48bの室外側に壁支え部材51が立設され、壁支え部材51の上端に壁裏支持部51bが形成されている。
図8図9には描かれていないが、壁下アングル部材40bは第1実施形態の壁下アングル部材40aと同様に、床パン11の堤21とほぼ同等長さに形成されている。このため、縦断面逆U字に配置されている室外側受け部44bと室内側受け部45は床パン11の堤21についてそのほぼ全長を挟持できる。
【0048】
壁下アングル部材40bの全長において室外側受け部44bと室内側受け部45の境界部の下面側に堤受け凹部43が形成され、壁下アングル部材40bの全長において室内側受け部45の内面側には室内側堤受け凹部46が形成されている。
堤受け凹部43と室内側堤受け凹部46には、防水部材52Aと防水部材52Bが貼り付けられている。
防水部材52Aと防水部材52Bを設けることで、図9に示すように壁下アングル部材40bを堤21に取り付けた場合、堤受け部42bを介して室外16へ流出しようとする湯水を止めることができる。
【0049】
また、図9に示す構造において、室外側堤受け部44bの固定部41bを使い、床パン11の堤21に対しビス58で固定部41bを強固に固定できるため、防水部材52Aと防水部材52Bを確実に圧縮することができ、床パン11と壁下アングル部材40bとの間を確実に止水できる。
また、図3に示す壁下アングル40aでは壁下アングル40aと堤21の間にコーキング剤55を充填する必要があったが、逆U字の堤受け部42bで堤21を狭持し止水することで、図9の構造ではコーキング剤が不要となり、意匠性が向上する。
【0050】
前記堤受け部42bの上方に中空部49を有する胴体部48bを有し、胴体部48bの上面に設けた壁受け部47bに壁パネル2を立設し、胴体部48bの上方から延設された壁裏当接部51bにより、室外16側へ壁パネル2が移動することを規制できる。
さらに、胴体部48bの内側に中空部49を設けたことにより、壁パネル2を支える強度が向上する効果と、中空部49の存在による断熱効果によって結露抑制効果を得ることができる。
【0051】
「第3実施形態」
図5に示す通り、浴室ユニット100用に利用する場合、従来の洗い場パン123は、浴槽パン124や浴槽エプロン112と連接された状態で排水口周りの強度を確保している。
しかし、床パン11をシャワールームユニット1に適用する場合、床パン11は単独で使用されることとなる。この場合、床パン11用の脚30は底壁11aの底面の4隅近くに1本ずつ、合計4本設けられている。
【0052】
シャワールームユニット1とした場合に脚30の本数が4本のままでは、床パン11に強度が低下する部分を生じる。例えば、排水口12やその近傍に使用者が乗って使用者の体重が床パン11にかかると、床パン11の沈み込みの変形量が大きくなり、使用者に不快感が生じ、また、接続されている排水トラップ17や排水管18からの漏水に繋がるおそれがある。
【0053】
図1(c)に示す通り、脚30は、床パン11の底面全体で見ると、浴槽パン嵌合部20が設けられている分だけ、浴槽パン嵌合部20側の脚30の位置が、内側に入りすぎていて、バランスが悪い。
このままの構成で、施工時(壁パネル2が立設される前)に浴槽パン嵌合部20に足を乗せ、床パン1に作業者の体重をかけてしまうと、てこの原理により床パン11の反対側に浮きが生じたり、床パン11の設置位置が移動してしまうなどの問題を生じるおそれがある。
【0054】
そこで、本実施形態の床パン11では、浴槽パン嵌合部20の下面に補助脚31が取り付けられている。補助脚31は、ねじ軸と軸受等を利用して長さ調節自在とされた構成が望ましく、図1(b)に示すように室外側に立設される。
補助脚31を設けることで床パン11の変形量を抑制することができ、施工時の床パン11の浮きも抑えることができる。
浴槽パン嵌合部20に補助脚31を取り付けることで、排水トラップ17に排水管18を接続する際、図1(c)に示すように、4方向のうち、どの方向でも真っ直ぐ取り出すことができるため、現地での排水経路の選択範囲が多様となる。
【0055】
また、浴槽パン嵌合部20に補助脚31を取り付ける際、床パン11に設けた排水口12を堤21の長手方向中央側、かつ、堤21の近傍に配置した場合は、以下の位置に補助脚31を取り付けることが好ましい。
補助脚31の取付位置は、浴槽パン嵌合部20の裏面側であって、浴槽パン嵌合部20の長手方向端部より、浴槽パン嵌合部20の全長(全幅)の1/4~2/5の範囲の位置に補助脚31を取り付けることが好ましい。
【0056】
この範囲に補助脚31を取り付けることで、排水口12の近傍に使用者が体重をかけたとしても、床パン11の変形量をより少なくすることができ、床パン11の浮きを防止でき、床パン11を設置する場合の位置ずれを防止できる。
また、図1(b)に示す方向から補助脚31を見ると、補助脚31は隣接する他の脚30とともに排水トラップ17を挟む位置にあり、図1(d)に示す方向から補助脚31を見ると他の脚30よりも排水トラップ17の近傍を支持しているので、1本の補助脚31を設けることで床パン11をより安定的に支持することができるようになる。
【符号の説明】
【0057】
1・・・シャワールームユニット、2・・・壁パネル、3・・・天井パネル、4・・・戸、5・・・水栓、6・・・シャワーホース、7・・・シャワーヘッド、8・・・鏡、11・・・床パン、12・・・排水口、13・・・壁載置部、14・・・床面、15・・・室内、16・・・室外、17・・・排水トラップ、18・・・排水管、19・・・補強リブ、20 ・・・浴槽パン嵌合部、20a・・・縁板部、20b・・・補強リブ、21・・・堤、21a・・・堤内壁部、21b・・・堤ヘリ部、21c・・・堤外壁部、22・・・壁当接面、23・・・端板部、30・・・脚、30a・・・台座部、30b・・・ねじ軸、31・・・補助脚、40a・・・壁下アングル部材、40b・・・壁下アングル部材、41a・・・固定部、41b・・・固定部、41c・・・透孔、42a・・・室内側堤受け部、42b・・・堤受け部、43・・・堤受け部凹部、44a・・・室外側堤受け部、44b・・・室外側堤受け部、45・・・室内側堤受け部、46・・・室内側堤受け部凹部、47a・・・壁受け部、47b・・・壁受け部、48a・・・胴体部、48b・・・胴体部、49・・・中空部、50・・・壁支え部材、50a・・・壁裏当接部、51b・・・壁裏当接部、52A・・・防水部材、52B・・・防水部材、53・・・防水部材、54・・・防水部材、55・・・コーキング剤、56、57、58・・・ビス、59・・・折曲部、100・・・浴室ユニット、110・・・浴槽、112・・・浴槽エプロン、120・・・嵌合部、121・・・堤、123・・・洗い場パン、124・・・浴槽パン、125・・・エプロン受け材、156 、157、158・・・ビス。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9