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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ドアのシール装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/18 20060101AFI20230606BHJP
   E06B 7/21 20060101ALI20230606BHJP
   E06B 5/20 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
E06B7/18 A
E06B7/21
E06B5/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019143693
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021025294
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000131511
【氏名又は名称】株式会社シブタニ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】奥野 啓
(72)【発明者】
【氏名】村田 泰久
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-280828(JP,A)
【文献】実開昭50-062165(JP,U)
【文献】特表2018-505328(JP,A)
【文献】実開昭53-117749(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00- 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアのいずれかの一辺に沿って装着され、前記ドアを閉じた状態における前記ドアの一辺とその対向面との隙間を閉塞するドアのシール装置であって、
前記ドアの一辺の延伸方向をW方向とし、前記ドアの厚み方向をD方向とし、前記W方向と前記D方向に直交する方向をH方向としたとき、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸する一対の側壁(1a)を有し、前記一対の側壁(1a)間に、前記ドアの一辺の対向面に向かって開放されたコ字状空間(1d)を有する外ケース(1)と、
前記外ケース(1)のコ字状空間(1d)に、前記H方向に移動可能に内装され、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸し、前記外ケース(1)の一対の側壁(1a)の内面にそれぞれ前記D方向の隙間を介して対向する一対の側面部(2d)を有する内ケース(2)と、
前記内ケース(2)に装備され、前記D方向の中央部で前記W方向及び前記H方向に延伸するリブ(3a)と、前記ドアの一辺の対向面側に位置する前記リブ(3a)の端部から前記D方向の両側へ向かって延伸し、前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)の方向へ湾曲する一対の当接部(3b)と、前記一対の当接部(3b)に連続して配設され、H方向とD方向のなす側面において複数個所で屈曲する屈曲部(3c)と、前記屈曲部(3c)に連続して前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)の方向に延伸し、それぞれの先端部が前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)より前記H方向の奥側に固定された一対の側板部(3d)とを有し、弾性材料より成るシール材(3)と、
前記ドアの閉鎖に伴い、前記内ケース(2)を前記外ケース(1)から前記H方向に突き出すように移動させ、前記ドアの開放に伴い、前記内ケース(2)を前記外ケース(1)に前記H方向に引き込むように移動させる内ケース移動機構(12)と、
を備えており、
前記内ケース(2)には、前記外ケース(1)のコ字状空間(1d)の開放部側に位置する前記H方向の端面で開口したガイド溝(2a)が設けられ、
このガイド溝(2a)内に前記シール材(3)のリブ(3a)が前記H方向にスライド自在で、かつ、前記D方向への揺動が抑制された状態にて挿入されている、
ことを特徴とするドアのシール装置。
【請求項2】
ドアのいずれかの一辺に沿って装着され、前記ドアを閉じた状態における前記ドアの一辺とその対向面との隙間を閉塞するドアのシール装置であって、
前記ドアの一辺の延伸方向をW方向とし、前記ドアの厚み方向をH方向とし、前記W方向と前記H方向に直交する方向をD方向としたとき、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸する一対の側壁(1a)を有し、前記一対の側壁(1a)間に、前記ドアの一辺の対向面に向かって開放されたコ字状空間(1d)を有する外ケース(1)と、
前記外ケース(1)のコ字状空間(1d)に、前記H方向に移動可能に内装され、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸し、前記外ケース(1)の一対の側壁(1a)の内面にそれぞれ前記D方向の隙間を介して対向する一対の側面部(2d)を有する内ケース(2)と、
前記内ケース(2)に装備され、前記D方向の中央部で前記W方向及び前記H方向に延伸するリブ(3a)と、前記ドアの一辺の対向面側に位置する前記リブ(3a)の端部から前記D方向の両側へ向かって延伸し、前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)の方向へ湾曲する一対の当接部(3b)と、前記一対の当接部(3b)に連続して配設され、H方向とD方向のなす側面において複数個所で屈曲する屈曲部(3c)と、前記屈曲部(3c)に連続して前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)の方向に延伸し、それぞれの先端部が前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)より前記H方向の奥側に固定された一対の側板部(3d)とを有し、弾性材料より成るシール材(3)と、
前記ドアの閉鎖に伴い、前記内ケース(2)を前記外ケース(1)から前記H方向に突き出すように移動させ、前記ドアの開放に伴い、前記内ケース(2)を前記外ケース(1)に前記H方向に引き込むように移動させる内ケース移動機構(12)と、
を備えていることを特徴とするドアのシール装置。
【請求項3】
ドアのいずれかの一辺に沿って装着され、前記ドアを閉じた状態における前記ドアの一辺とその対向面との隙間を閉塞するドアのシール装置であって、
前記ドアの一辺の延伸方向をW方向とし、前記ドアの厚み方向をD方向とし、前記W方向と前記D方向に直交する方向をH方向としたとき、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸する一対の側壁(1a)を有し、前記一対の側壁(1a)間に、前記ドアの一辺の対向面に向かって開放されたコ字状空間(1d)を有する外ケース(1)と、
前記外ケース(1)のコ字状空間(1d)に、前記H方向に移動可能に内装され、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸し、前記外ケース(1)の一対の側壁(1a)の内面にそれぞれ前記D方向の隙間を介して対向する一対の側面部(2d)を有する内ケース(2)と、
前記内ケース(2)に装備され、前記D方向の中央部で前記W方向及び前記H方向に延伸するリブ(3a)と、前記ドアの一辺の対向面側に位置する前記リブ(3a)の端部から前記D方向の両側へ向かって延伸し、前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)の方向へ湾曲する一対の当接部(3b)と、前記一対の当接部(3b)に連続して配設され、H方向とD方向のなす側面において複数個所で屈曲する屈曲部(3c)と、前記屈曲部(3c)に連続して前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)の方向に延伸し、それぞれの先端部が前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)より前記H方向の奥側に固定された一対の側板部(3d)とを有し、弾性材料より成るシール材(3)と、
前記ドアの閉鎖に伴い、前記内ケース(2)を前記外ケース(1)から前記H方向に突き出すように移動させ、前記ドアの開放に伴い、前記内ケース(2)を前記外ケース(1)に前記H方向に引き込むように移動させる内ケース移動機構(12)と、
を備えており、
前記シール材(3)の屈曲部(3c)の劣角となる側には、丸底溝(3f)が形成されている、
ことを特徴とするドアのシール装置。
【請求項4】
ドアのいずれかの一辺に沿って装着され、前記ドアを閉じた状態における前記ドアの一辺とその対向面との隙間を閉塞するドアのシール装置であって、
前記ドアの一辺の延伸方向をW方向とし、前記ドアの厚み方向をD方向とし、前記W方向と前記D方向に直交する方向をH方向としたとき、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸する一対の側壁(1a)を有し、前記一対の側壁(1a)間に、前記ドアの一辺の対向面に向かって開放されたコ字状空間(1d)を有する外ケース(1)と、
前記外ケース(1)のコ字状空間(1d)に、前記H方向に移動可能に内装され、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸し、前記外ケース(1)の一対の側壁(1a)の内面にそれぞれ前記D方向の隙間を介して対向する一対の側面部(2d)を有する内ケース(2)と、
前記内ケース(2)に装備され、前記D方向の中央部で前記W方向及び前記H方向に延伸するリブ(3a)と、前記ドアの一辺の対向面側に位置する前記リブ(3a)の端部から前記D方向の両側へ向かって延伸し、前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)の方向へ湾曲する一対の当接部(3b)と、前記一対の当接部(3b)に連続して配設され、H方向とD方向のなす側面において複数個所で屈曲する屈曲部(3c)と、前記屈曲部(3c)に連続して前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)の方向に延伸し、それぞれの先端部が前記内ケース(2)の一対の側面部(2d)より前記H方向の奥側に固定された一対の側板部(3d)とを有し、弾性材料より成るシール材(3)と、
前記ドアの閉鎖に伴い、前記内ケース(2)を前記外ケース(1)から前記H方向に突き出すように移動させ、前記ドアの開放に伴い、前記内ケース(2)を前記外ケース(1)に前記H方向に引き込むように移動させる内ケース移動機構(12)と、
を備えており、
前記シール材(3)の当接部(3b)の裏面には、複数本の溝(3g)が形成されている、
ことを特徴とするドアのシール装置。
【請求項5】
前記内ケース移動機構(12)により、前記内ケース(2)が前記外ケース(1)に対して前記H方向のいずれの位置に移動しても、前記内ケース(2)の側面部(2d)は、前記外ケース(1)の側壁(1a)の内面に前記D方向の隙間をもって対向し、その隙間に前記シール材(3)の側板部(3d)が挟まれていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のドアのシール装置。
【請求項6】
前記シール材(3)の屈曲部(3c)は、N字状、M字状、V字状、S字状、U字状、W字状乃至Z字状のいずれかの形状に屈曲することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のドアのシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアを閉じた状態において、ドアと床面やドア枠との間に生じる隙間をシールするドアのシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、出入口を開閉するドア50のドア枠51は、バリアフリー化の進展に伴い、一対の縦枠51a,51bと上枠51cのみから成り、床面52から出っ張った沓摺と呼ばれる下枠を備えないものが一般化している。
【0003】
ところが、ドア枠51に下枠がない場合、ドア50を閉じたとき、ドア50の下端と床面52の間に隙間が開くので、光漏れや音漏れが発生する場合が多い。このような光漏れや音漏れを防ぐため、ドア50の下部にシール装置Sが装着されることがある。
【0004】
このようなシール装置Sの一例として、本出願人は、図11及び図12に示すようなシール装置Sを提案している(下記特許文献1参照)。
【0005】
このシール装置Sは、ドア50の吊元側と戸先側とに及ぶ方向を長さ方向とし、これに直交する方向を幅方向とする細長い角柱状であり、ドア50に固定される外ケース61と、外ケース61に対して昇降する内ケース62と、内ケース62に取り付けられたゴム製のシール材63とを備えている。また、外ケース61の一端から突出する出没子64を有し、外ケース61に内蔵された板ばね65の一端が出没子64に連結されると共に、板ばね65の他端が外ケース61に固定されている。
【0006】
上記のようなシール装置Sでは、ドア50が閉じられ、出没子64がドア枠の縦枠に当接して押し込まれると、板ばね65が撓みつつ、内ケース62と共にシール材63が下降して、床面52に押し付けられ、ドア50と床面52の隙間がシールされる。
【0007】
また、内ケース62とシール材63の間のクリアランス部66の両端部には、内ケース62とシール材63の両端部の相対的な移動を阻止するスペーサ67が組み込まれ、床面52が平坦でない場合でも、一定のシール性が確保されるようになっている。そのほか、内ケース62の上部には、内ケース62の急激な上昇による異音の発生を防止する消音ゴム68が組み込まれている。
【0008】
このシール装置Sにおけるシール材63は、内ケース62の下部に挿入されて抜け止めされる中央リブ63aと、中央リブ63aの内ケース62から突出した部分の下端より両側へ張り出し、床面52に当接する部分が変形円筒状をなす当接部63bとが一体に形成されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2012-184630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のようなシール装置Sでは、シール材63の当接部63bが床面52に押し付けられた状態において、遮光性は得られるものの、外ケース61の内側面と内ケース62の外側面の間に隙間が生じ、この隙間がドア50の両側で連通した状態となるため、防音性が乏しく、また、上下方向の変形抵抗が大きい当接部63bが圧縮されにくいことから、床面52の凹凸への追従性が低いという問題がある。
【0011】
その対策として、図13に示すシール装置Sのように、シール材63を当接部63bと外被膜63cが二重構造をなすものとし、薄く柔軟なゴム製の外被膜63cの両側部を内ケース62の外側面に係止して、外ケース61の内側面と内ケース62の外側面の間に挿入し、外被膜63cが床面52に押し付けられると外側へ広がり、外ケース61と内ケース62の隙間を埋める構成が考えられるが、この場合、外被膜63cが構造的に薄肉になっていることから、床面52に擦れると破れやすく、また、シール材63が高価なものになるという問題がある。
【0012】
そこで、この発明は、シール材が押し付けられる対向面への追従性や耐久性に優れ、比較的安価で、ドアの閉鎖状態での防音性が確保されるドアのシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明は、ドアのいずれかの一辺に沿って装着され、前記ドアを閉じた状態における前記ドアの一辺とその対向面との隙間を閉塞するドアのシール装置であって、
前記ドアの一辺の延伸方向をW方向とし、前記ドアの厚み方向をD方向とし、前記W方向と前記D方向に直交する方向をH方向としたとき、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸する一対の側壁を有し、前記一対の側壁間に、前記ドアの一辺の対向面に向かって開放されたコ字状空間を有する外ケースと、
前記外ケースのコ字状空間に、前記H方向に移動可能に内装され、前記W方向に延伸すると共に、前記H方向に延伸し、前記外ケースの一対の側壁の内面にそれぞれ前記D方向の隙間を介して対向する一対の側面部を有する内ケースと、
前記内ケースに装備され、前記D方向の中央部で前記W方向及び前記H方向に延伸するリブと、前記ドアの一辺の対向面側に位置する前記リブの端部から前記D方向の両側へ向かって延伸し、前記内ケースの一対の側面部の方向へ湾曲する一対の当接部と、前記一対の当接部に連続して配設され、H方向とD方向のなす側面において複数個所で屈曲する屈曲部と、前記屈曲部に連続して前記内ケースの一対の側面部の方向に延伸し、それぞれの先端部が前記内ケースの一対の側面部より前記H方向の奥側に固定された一対の側板部とを有し、弾性材料より成るシール材と、
前記ドアの閉鎖に伴い、前記内ケースを前記外ケースから前記H方向に突き出すように移動させ、前記ドアの開放に伴い、前記内ケースを前記外ケースに前記H方向に引き込むように移動させる内ケース移動機構と、
を備えているものを提供することとしたのである。
【0014】
また、前記ドアの厚み方向をD方向とし、前記W方向と前記D方向に直交する方向をH方向とすることに替えて、前記ドアの厚み方向をH方向とし、このH方向と前記W方向に直交する方向をD方向として、ドアに装着されるものとしたのである。
【0015】
また、前記内ケース移動機構により、前記内ケースが前記外ケースに対して前記H方向のいずれの位置に移動しても、前記内ケースの側面部は、前記外ケースの側壁の内面に前記D方向の隙間をもって対向し、その隙間に前記シール材の側板部が挟まれているものとしたのである。
【0016】
また、前記内ケースには、前記外ケースのコ字状空間の開放部側に位置する前記H方向の端面で開口するガイド溝が設けられ、
このガイド溝内に前記シール材のリブが前記H方向にスライド自在で、かつ、前記D方向への揺動が抑制された状態にて挿入されているものとしたのである。
【0018】
また、前記シール材の屈曲部は、N字状、M字状、V字状、S字状、U字状、W字状乃至Z字状のいずれかの形状に屈曲するものとしたのである。
【0019】
また、前記シール材の屈曲部の劣角となる側には、丸底溝が形成されているものとしたのである。
【0020】
また、前記シール材の当接部の裏面には、複数本の溝が形成されているものとしたのである。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係るドアのシール装置では、ドアの閉鎖に伴い、シール材の当接部が対向面に押し付けられたとき、シール材が両側の屈曲部でH方向に潰れるので、シール材の当接部がD方向に広がるように変形する際の抵抗が軽減される。このため、シール材の対向面への押付力が小さくても、シール材が対向面の凹凸に追従しつつ柔軟に変形し、外ケースと内ケースの隙間が密閉されて、防音性が確保される。
【0022】
また、シール材は、二重構造にする必要がなく、当接部、屈曲部及び側板部が比較的厚くても、上記のような対向面への追従性及び防音性が得られるので、耐久性に優れ、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明に係るドアのシール装置の第1、第2実施形態を示す縦断正面図
図2】同上の(2A)図1のIIAの方向からの側面図、(2B)図1のIIB-IIB線に沿った断面図
図3】同上のドアの吊元側の部分を示す縦断正面図
図4】同上のドアの戸先側の部分を示す縦断正面図
図5】同上のシール材の内ケースへの取付前の状態を示す縦断側面図
図6】同上の(6A)シール材の床面からの上昇状態を示す縦断正面図、(6B)シール材が床面に押し付けられた状態を示す縦断正面図
図7】同上の図6(6A)のVII-VII線に沿った断面図
図8】同上の図6(6B)のVIII-VIII線に沿った断面図
図9】従来のドアのシール装置又はこの発明の第1実施形態に係るドアのシール装置をドアの下部へ取り付けた状態を示す斜視図
図10】この発明の第2実施形態に係るドアのシール装置をドアの上部へ取り付けた状態を示す斜視図
図11】特許文献1に記載のドアのシール装置の縦断正面図
図12図11のXII-XII線に沿った断面図
図13】従来の二重構造のシール材を備えた防音タイプのドアのシール装置を示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の第1、第2実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
この発明の第1実施形態であるシール装置Sは、従来のものと同様、図9に示すように、出入口を開閉するドア50の下辺に沿って装着されるものである。ここでは、ドア50の下辺の延伸方向をW方向とし、ドア50の厚み方向をD方向とし、W方向とD方向に直交するドア50の高さ方向をH方向とする。
【0026】
図1乃至図4に示すように、シール装置Sは、ドア50に固定される外ケース1と、外ケース1に対してH方向に昇降する内ケース2と、内ケース2に取り付けられたゴム製のシール材3とを備えている。外ケース1、内ケース2及びシール材3は、それぞれドア50のW方向の寸法にほぼ等しい長さとされている。
【0027】
外ケース1は、W方向及びH方向に延伸する一対の側壁1aと、その上部間を繋ぐ上壁1bとから構成され、対向する側壁1aの内面には、上壁1bの下方に突条1cが形成されている。そして、一対の側壁1aの間には、床面に向かって開放されたコ字状空間1dが形成されている。
【0028】
内ケース2には、下面の幅方向中央部で開口するガイド溝2aと、両側面で開口する係止溝2bと、上面で開口する差込溝2cとが形成され、ガイド溝2aと係止溝2bの開口縁は、シール材3の脱落を防止するため、幅が狭くなっている。両側の係止溝2bの下方には、W方向及びH方向に延伸する一対の側面部2dが形成され、それぞれの側面部2dは、外ケース1の一対の側壁1aの内面にD方向の隙間を介して対向している。
【0029】
ドア50の吊元側となる外ケース1のW方向の一端側には、その端面に対し出没する出没子4が設けられている。そして、外ケース1の内部では、突条1cの上方の空間において、出没子4から外ケース1のW方向の他端側へ延びるロッド5がW方向にスライド自在に設けられている。
【0030】
出没子4は、内周に雌ねじが形成された円筒部材4aの先端にエンドキャップ4bが嵌められたものである。
【0031】
ロッド5は、出没子4側の先軸部材5aと、そのW方向の延長線上に位置する中軸部材5bと、複数の移動座5cが直列に連結されたものであり、丸棒状の先軸部材5a及び中軸部材5bは、外ケース1の側壁1aの内側面に摺接する移動座5cにより、外ケース1に対して回り止めされている。
【0032】
出没子4の円筒部材4aは、その内周の雌ねじが先軸部材5aの先端側の外周に形成された雄ねじに螺合しており、先軸部材5aに対する回転に伴いW方向である軸方向に進退し、外ケース1からの出没子4の突出量を調整できるようになっている。
【0033】
先軸部材5aには、回り止めピース6とこれを円筒部材4aへ向けて押圧するコイルばね7が嵌められ、回り止めピース6の凸部と円筒部材4aの凹部とが係合して、円筒部材4aが所定の位置で回り止めされるようになっている。
【0034】
外ケース1のW方向の中間部には、内側上部に固定座8が止軸8aにより固定され、出没子4寄りに位置する移動座5cと固定座8の間に設けられたコイルばね9により、出没子4は、外ケース1のW方向の一端から突出する方向へ付勢されている。
【0035】
ロッド5に配置されたそれぞれの移動座5cには、三角板状の2枚一組の揺動体10が回動軸10aを介して連結され、揺動体10は、ロッド5のW方向のスライドに伴い、外ケース1に支持された回動軸10bを中心として、回動軸10aとは反対側の先端側がH方向である上下方向に揺動するものとされている。
【0036】
内ケース2には、それぞれの移動座5cに対応して、上方へ延びるブラケット11が取り付けられ、揺動体10の先端側とブラケット11の上部とは、回動軸10cを介して連結されている。
【0037】
ブラケット11の下部は、内ケース2の差込溝2cに差し込まれ、内ケース2の側面に穿設された穴への係止爪11aの係合により、内ケース2に係止されている。このようにロッド5とこれに連結された揺動体10及びブラケット11により、内ケース移動機構12が構成されている。外ケース1の一対の側壁1aの内面と内ケース2の一対の側面部2dとの間には、D方向の隙間が設けられている。
【0038】
シール材3は、W方向に延び、内ケース2への取付前の状態で図5に示すように、D方向の中央部でH方向に延伸するリブ3aを有し、リブ3aからD方向の両側へ向かって、それぞれ当接部3b、屈曲部3c及び側板部3dが順次連なる形状とされている。
【0039】
リブ3aは、補強のため根元側が厚く、先端に幅が広い抜止頭部を有する形状となっている。当接部3bの裏面には、湾曲に伴う抵抗を軽減するため、複数本の溝3gが形成されている。屈曲部3cは、裏側へ窪むV字状とされ、折れ曲がりやすくするため、劣角となる側に丸底溝3fが形成されている。また、側板部3dの先端部の裏面には、係止突条3eが設けられている。
【0040】
このようなシール材3を内ケース2に取り付けるには、図2に示すように、リブ3aをガイド溝2aにH方向である上下方向にスライド自在に挿入し、リブ3aから一対の当接部3bを上方へ湾曲させ、一対の屈曲部3cが内ケース2の下方でD方向において凹状に窪んだ状態とし、一対の側板部3dをそれぞれ内ケース2の一対の側面部2dに沿わせ、一対の係止突条3eをそれぞれ内ケース2の一対の係止溝2bに係止する。
【0041】
そして、図9に示すように、上記シール装置Sをドア50の下辺に沿って装着し、ドア50を開いた状態では、図6(6A)に示すように、ロッド5がコイルばね9の付勢力により押圧されて、出没子4が外ケース1のW方向の一端から突出している。
【0042】
また、図7に示すように、内ケース2と共にシール材3が上昇位置に保持されて、シール材3の当接部3bが床面52からH方向に浮き上がっている。このため、ドア50は、シール材3の床面52への接触による抵抗を受けることなく、スムーズに開閉できる。
【0043】
この状態からドア50を閉じると、図6(6B)に示すように、出没子4がドア枠51の縦枠51aに当接して押し込まれ、ロッド5がコイルばね9の付勢力に抗して外ケース1のW方向の他端側へスライドする。
【0044】
そして、内ケース移動機構12により、揺動体10の先端側のブラケット11との連結部が下方へ揺動し、内ケース2が下降して、図8に示すように、シール材3の当接部3bがドア50の下方の床面52に押し付けられる。
【0045】
このように、シール材3の当接部3bが床面52に押し付けられると、シール材3は、リブ3aが内ケース2のガイド溝2aの内部で上方へスライドし、当接部3bが幅方向に広がるように変形し、屈曲部3cが当接部3bと側板部3dの間で内側へ窪むように存在していることから、屈曲部3cが上下方向に潰れると共に、側板部3dの下方部分が外側へ張り出して外ケース1の内面に圧接する。
【0046】
従って、上記のようなシール装置Sでは、シール材3の床面52への押付力が小さくても、シール材3が床面52の凹凸に追従しつつ柔軟に変形し、また同時に外ケース1と内ケース2との隙間が密閉されることで、防音性が確保される。
【0047】
また、シール材3は、二重構造にする必要がなく、当接部3b、屈曲部3c及び側板部3dが比較的厚くても、上記のような床面52への追従性及び防音性が得られるので、耐久性に優れ、安価に製造できる。
【0048】
また、出没子4を、板ばねの撓みではなく、揺動体10の揺動により外ケース1に対して出没するようにし、コイルばね9で突出方向に付勢しているので、出没子4の押込抵抗が小さく抑制され、ドア50のドアクローザーによる完全な閉鎖が妨げられる現象を防止することができる。
【0049】
ところで、上記実施形態では、シール装置Sを一般的な長方形のドア50に装着する場合について例示したが、シール装置Sは、長方形以外の三角形や六角形等の異形のドアにも適用できる。
【0050】
また、シール装置Sをドア50の下辺に沿って装着する場合について例示したが、シール装置Sは、ドア50の下辺以外の上辺や側辺に沿って装着し、その辺と対向面との隙間を閉塞することもできる。
【0051】
また、シール材3の屈曲部3cがD方向において凹状に窪んだものを例示したが、シール材3の屈曲部3cは、D方向において凸状に突き出したものとしても、屈曲部3cが上下方向に潰れることにより、シール材3が対向面の凹凸に追従しつつ柔軟に変形し、同様の密閉性が得られる。
【0052】
また、上記実施形態では、ドア50の下辺の端面で開口する凹所を形成して、その凹所にシール装置Sを嵌め込む場合を想定しているが、このようなシール装置Sは、ドア50の端面近傍の片側の表面に露出する態様で装着するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、屈曲部3cは、V字状としたが、ドア50を閉じてシール材3が対向面に押しつけられたときに、側板部3dの下部が外ケース1の一対の側壁1aの内壁に接触する形状であれば、これに限られず、例えば、折れ線状であれば、H方向とD方向のなす側面視で屏風状に折れ曲がるものであってもよく、N字状、M字状、S字状、U字状、W字状乃至Z字状等であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、ドア50として開き戸を例に挙げたが、本発明は、これに限られず、引き戸にも適用可能である。
【0055】
そのほか、上記実施形態では、シール装置Sにおける出没子4がドア50の吊元側に位置して、ドア枠51の縦枠51aに当接する構成としたが、ドア50の戸先側で縦枠51bに当接する構成としてもよい。
【0056】
また、上記第1実施形態のシール装置Sは、図9に示すように、ドア50の一辺の延伸方向をW方向とし、ドア50の厚み方向をD方向とし、W方向とD方向に直交する方向をH方向として、ドア50の下辺に沿って装着しているが、図10に示す第2実施形態のシール装置Sのように、ドア50の一辺の延伸方向をW方向としつつ、ドア50の厚み方向をH方向とし、W方向とH方向に直交する方向をD方向として、ドア50の上辺に沿って装着するものとしてもよい。このシール装置Sでは、ドア50が閉じられると、ドア枠51の上枠51cにおける垂直壁面部がシール装置Sの対向面となる。
【0057】
ここで、上記第1実施形態と第2実施形態とでは、ドア50に対するD方向とH方向の定義が互いに異なり、当接部3bの当接面が、第1実施形態では床面52であるのに対して、第2実施形態では上枠51cにおける垂直壁面部となっており、互いに異なってはいるが、それ以外のシール装置Sの構造及び作用・効果は、図1乃至図8におけるシール装置Sと同様である。
【0058】
この第2実施形態のシール装置Sでは、第1実施形態のシール装置Sと同様に、シール材3の上枠51cにおける垂直壁面部に対する押付力が小さくても、シール材3が上枠51cにおける垂直壁面部の凹凸に追従しつつ柔軟に変形し、同時に外ケース1と内ケース2の隙間が密閉されることで、防音性が確保される。
【0059】
また、シール材3は、二重構造にする必要がなく、当接部3b、屈曲部3c及び側板部3dが比較的厚くても、上枠51cにおける垂直壁面部への追従性及び防音性が得られるので、耐久性に優れ、安価に製造できる。
【0060】
なお、シール装置Sは、上枠51cにおける垂直壁面部に対向するものとしたが、縦枠51a,51bにおける垂直壁面部に対向するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
,S シール装置
1 外ケース
1a 側壁
1b 上壁
1c 突条
1d コ字状空間
2 内ケース
2a ガイド溝
2b 係止溝
2c 差込溝
2d 側面部
3 シール材
3a リブ
3b 当接部
3c 屈曲部
3d 側板部
3e 係止突条
3f 丸底溝
3g 溝
4 出没子
4a 円筒部材
4b エンドキャップ
5 ロッド
5a 先軸部材
5b 中軸部材
5c 移動座
6 回り止めピース
7 コイルばね
8 固定座
8a 止軸
9 コイルばね
10 揺動体
10a,10b,10c 回動軸
11 ブラケット
11a 係止爪
12 内ケース移動機構
50 ドア
51 ドア枠
51a,51b 縦枠
51c 上枠
52 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13