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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20230606BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20230606BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20230606BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H01L27/04 L
H01L21/90 A
H01L21/90 W
H01L27/04 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019153963
(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公開番号】P2021034593
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩切 一彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 明
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-138219(JP,A)
【文献】特開2009-277842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0157217(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0022787(US,A1)
【文献】特開2004-063990(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0090036(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1484303(CN,A)
【文献】特開2013-004973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/04
H01L 21/822
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線を有する多層配線層と、
前記多層配線層上に形成されており、かつ前記第1配線の一部を露出している第1開口部が形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成されており、かつ前記第1開口部と連続している第2開口部が形成された第2絶縁膜と、
前記第1配線と、前記第1開口部内に形成されたビアを介して前記第1配線に電気的に接続された第2配線と、で構成されたインダクタと、
を有し、
前記ビアの側面は、
前記第1絶縁膜に接しており、かつ
前記第2絶縁膜に接しておらず、
前記インダクタは、平面視において、前記第1配線および前記第2配線が交差している交差部を有し、
前記交差部は、平面視において、前記第2開口部と重なっていない、
半導体装置。
【請求項2】
前記第2配線の下面は、前記第2開口部内において、前記第1絶縁膜の上面と直接的に接している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2配線の下面は、前記第2開口部外において、前記第2絶縁膜の上面と直接的に接している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ビアは、
平面視において、前記第2配線の延在方向に沿う長径を有し、かつ
平面視において、前記第2配線の幅方向に沿う短径を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記インダクタの平面視形状は、略八角形状である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1絶縁膜の材料は、酸化シリコン、酸窒化シリコンまたは窒化シリコンである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2絶縁膜の材料は、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンまたはポリイミドである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2絶縁膜の材料は、ポリイミドである、請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1配線は、アルミニウム配線であり、
前記第2配線は、銅配線である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記多層配線層および前記第1絶縁膜の間に形成された第3絶縁膜をさらに有し、
前記第1開口部は、前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜に形成されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、半導体装置およびその製造方法に関し、例えば、インダクタを有する半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタを有する半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の半導体装置は、多層配線層と、当該多層配線層上に形成された保護膜と、当該多層配線層上に形成されたインダクタと、を有する。当該インダクタは、上記多層配線層内に形成された第1配線と、上記保護膜上に形成された第2配線とによって形成されている。上記第1配線および上記第2配線は、上記保護膜を貫通するように形成されたビアを介して、電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-219819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記保護膜が、第1絶縁膜と、当該第1絶縁膜上に形成された第2絶縁膜により構成されている場合、上記ビアは、上記第1絶縁膜に形成された第1開口部と、上記第2絶縁膜に形成された第2開口部とを埋めるように形成されることがある。この場合、上記第1開口部の位置に合わせて、上記第2開口部を形成する必要がある。第2開口部の位置合わせ精度には限界があるため、所望のマージンが得られるように、大きい第2開口部を形成することがある。この結果として、半導体装置が大きくなるという課題がある。すなわち、上記半導体装置では、小型化の観点から改善の余地がある。
【0005】
実施の形態の課題は、半導体装置の小型化である。その他の課題および新規な特徴は、本明細書および図面の記載から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施の形態に係る半導体装置は、第1配線を有する多層配線層と、上記多層配線層上に形成されており、かつ上記第1配線の一部を露出している第1開口部が形成された第1絶縁膜と、上記第1絶縁膜上に形成されており、かつ上記第1開口部と連続している第2開口部が形成された第2絶縁膜と、上記第1配線と、上記第1開口部内に形成されたビアを介して上記第1配線に電気的に接続された第2配線と、で構成されたインダクタと、を有する。上記ビアの側面は、上記第1絶縁膜に接しており、かつ上記第2絶縁膜に接していない。
【0007】
実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、第1配線を有する多層配線層を形成する工程と、上記第1配線を覆うように、上記多層配線層上に第1絶縁膜を形成する工程と、上記第1配線の一部を露出する第1開口部を上記第1絶縁膜に形成する工程と、上記第1開口部を埋めるように、上記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、上記第1開口部に連続する第2開口部を上記第2絶縁膜に形成する工程と、上記第1開口部内に形成されるビアを介して電気的に接続された第2配線を形成することによって、インダクタを形成する工程と、を含む。上記ビアの側面は、上記第1絶縁膜に接しており、かつ上記第2絶縁膜に接していない。
【発明の効果】
【0008】
実施の形態によれば、半導体装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る半導体装置の要部の構成の一例を示す平面図である。
図2図2は、図1の破線で示される領域の部分拡大平面図である。
図3図3(A)は、図2のA-A線における断面図である。図3(B)は、図2のB-B線における断面図である。
図4図4は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図5図5は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図6図6は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図7図7は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図8図8は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図9図9は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図10図10は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。
図11図11は、比較用の半導体装置の要部の構成の一例を示す平面図である。
図12図12は、比較用の半導体装置の要部の構成の一例を示す要部断面図である。
図13図13は、実施の形態1の変形例1に係る半導体装置の要部の一例を示す部分拡大断面図である。
図14図14は、実施の形態1の変形例2に係る半導体装置の要部の一例を示す部分拡大断面図である。
図15図15は、実施の形態2に係る半導体装置の要部の構成の一例を示す平面図である。
図16図16は、図15の破線で示される領域の部分拡大平面図である。
図17図17(A)は、図16のA-A線における断面図である。図17(B)は、図16のB-B線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る半導体装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要件または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。各実施の形態および各変形例の少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。さらに、断面図は、端面図として示されている場合もある。
【0011】
[実施の形態1]
詳細については後述するが、実施の形態1に係る半導体装置SD1では、有機膜OF1に形成された第2開口部OP2は、平面視において、第1ビアV1および交差部CPの両方と重なっている。
【0012】
(半導体装置の構成)
図1は、実施の形態1に係る半導体装置SD1の要部の構成の一例を示す平面図である。図2は、図1の破線で示される領域の部分拡大平面図である。図3(A)は、図2のA-A線における断面図である。図3(B)は、図2のB-B線における断面図である。
【0013】
半導体装置SD1は、多層配線層MWL、第1無機膜IF1、第2無機膜IF2、有機膜OF1およびインダクタINDを有する。詳細については後述するが、インダクタINDは、第1ビアV1を介して互いに電気的に接続された第1配線WR1および第2配線WR2を有する。
【0014】
多層配線層MWLは、2以上の配線層により構成された層である。多層配線層MWLは、不図示の基板上に形成されている。当該基板の主面には、トランジスタなどの半導体素子が形成されている。図3では、多層配線層MWLのうち、最上層に形成された配線層が示されている。多層配線層MWLは、層間絶縁層と、当該層間絶縁層内に形成された配線およびビア(「プラグ」ともいう)の一方または両方と、を有する層である。当該ビアは、互いに異なる層に形成された2つの配線を電気的に接続する導電体である。
【0015】
実施の形態1では、多層配線層MWLは、第1層間絶縁層IIL1および第1配線WR1を有する。
【0016】
第1層間絶縁層IIL1は、多層配線層MWLの一部を構成している層である。実施の形態1では、第1層間絶縁層IIL1は、多層配線層MWLのうち、最上層に位置する絶縁層である。換言すると、第1層間絶縁層IIL1は、第1無機膜IF1と直接的に接している。第1層間絶縁層IIL1としては、半導体技術における配線として公知の構成が採用され得る。第1層間絶縁層IIL1の材料の例には、例えば、酸化シリコン(SiO)が含まれる。
【0017】
第1配線WR1は、第1層間絶縁層IIL1上に形成されている。第1配線WR1は、後述のとおり、インダクタINDの一部を構成している。第1配線WR1は、トランジスタなどの半導体素子と電気的に接続されている。第1配線WR1としては、半導体技術における配線として公知の構成が採用され得る。第1配線WR1は、例えば、第1バリアメタル、導電膜および第2バリアメタルがこの順番で構成された積層膜である。上記第1バリアメタルおよび上記第2バリアメタルの材料の例には、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)および窒化タンタル(TaN)が含まれる。上記導電膜の材料の例には、アルミニウム(Al)および銅(Cu)が含まれる。
【0018】
第1無機膜IF1は、多層配線層MWL上に形成されている。実施の形態1では、第1無機膜IF1は、第1配線WR1を覆うように、第1層間絶縁層IIL1上に形成されている。第1無機膜IF1は、半導体素子を外部の水分などから保護できればよい。第1無機膜IF1の材料の例には、酸化シリコン、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンが含まれる。第1無機膜IF1の厚さは、例えば、0.5μm以上かつ1.0μm以下である。
【0019】
第2無機膜IF2は、耐湿性を有する絶縁膜である。第2無機膜IF2の材料の例には、酸窒化シリコンおよび窒化シリコンが含まれる。第2無機膜IF2の厚さは、例えば、0.5μm以上かつ1.0μm以下である。
【0020】
ここで、「無機膜」とは、炭素原子および水素原子を含む化合物(有機化合物)以外の化合物で構成された膜である。
【0021】
第1無機膜IF1および第2無機膜IF2には、第1配線WR1の一部を第1無機膜IF1および第2無機膜IF2から露出させる第1開口部OP1が形成されている。第1開口部OP1の形状およびサイズは、第1配線WR1および第2配線WR2を電気的に接続するための第1ビアV1が、第1開口部OP1内に適切に形成できればよい。
【0022】
第1無機膜IF1の材料と、第2無機膜IF2の材料とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。第1無機膜IF1の厚さは、第2無機膜IF2の厚さと同じであってもよいし、第2無機膜IF2の厚さより大きくてもよいし、第2無機膜IF2の厚さより小さくてもよい。
【0023】
有機膜OF1は、第2無機膜IF2上に形成されている絶縁膜である。有機膜OF1は、半導体素子を外部の水分などから保護できればよい。有機膜OF1の材料の例には、ポリイミドが含まれる。有機膜OF1の厚さは、例えば、3.0μm以上かつ7.0μm以下である。
【0024】
ここで、「有機膜」とは、炭素原子および水素原子を含む化合物(有機化合物)で構成された膜である。
【0025】
有機膜OF1には、第2無機膜IF2の一部を有機膜OF1から露出させる第2開口部OP2が形成されている。第2開口部OP2は、第1開口部OP1と連続している。第2開口部OP2のサイズは、第1開口部OP1のサイズより大きい。第2開口部OP2は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2のうち、第2配線WR2の上面および側面を覆っている部分を第2無機膜IF2から露出させるように形成されている。
【0026】
実施の形態1では、第2開口部OP2は、平面視において、第1ビアV1および交差部CPと重なっている。第2開口部OP2が平面視において重なる第1ビアV1および交差部CPの数は、インダクタINDの巻き数に応じて適宜調整される。第2開口部OP2が平面視において重なる第1ビアV1の数は、2つ以上であってもよいし、4つ以上であってもよい。第2開口部OP2が平面視において重なる交差部CPの数は、2つ以上であってもよいし、4つ以上であってもよい。本実施の形態では、第2開口部OP2が平面視において重なる第1ビアV1の数は、8つである。また、第2開口部OP2が平面視において重なる交差部CPの数は、4つである。
【0027】
インダクタINDは、バラン素子の一部を構成していてもよいし、デジタルアイソレータの一部を構成していてもよい。インダクタINDは、第1配線WRPおよび第2配線WR2を有する。第1配線WR1および第2配線WR2は、第1ビアV1を介して互いに電気的に接続されている。また、インダクタINDは、平面視において、第1配線WR1および第2配線WR2が交差している交差部CPを有する。
【0028】
ここで、「第1ビアV1」とは、異層間に位置する2つの配線を電気的に接続し、かつ、平面視において、絶縁膜に形成された貫通孔の内側面と全周に亘って接触している側面を有する導電部を意味する。
【0029】
第1配線WR1は、多層配線層MWL内に形成されている。換言すると、第1配線WR1は、第1無機膜IF1よりも下層に形成されている。第1配線WRP1は、多層配線層MWL内における最上層配線であってもよいし、最上層配線よりも下層に形成された配線であってもよい。実施の形態1では、第1配線WRP1は、最上層配線である。
【0030】
第1配線WR1は、アルミニウム配線であってもよいし、銅配線であってもよい。実施の形態1では、第1配線WR1は、アルミニウム配線である。たとえば、第1配線WR1は、下層バリアメタル膜、導電膜および上層バリアメタル膜がこの順に形成された積層膜である。下層バリアメタル膜および上層バリアメタル膜の材料の例には、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タングステンチタン(TiW)、酸化チタン(TiO)、タンタル(Ta)および窒化タンタル(TaN)が含まれる。上記導電膜の主成分は、アルミニウムである。
【0031】
第2配線WR2は、第1開口部OP1内に形成された第1ビアV1を介して、第2配線WR2と電気的に接続されている。第2配線WR2は、第1ビアV1と一体として形成されていてもよいし、別体として形成されていてもよい。ここで、「一体」とは、一工程で同じタイミングで形成された層であることを意味する。実施の形態1では、第2配線WR2は、第1配線WR1上に形成されためっき電極である。すなわち、第2配線WR2は、第1ビアV1と一体として形成されている。
【0032】
第2配線WR2は、銅配線である。第2配線WR2は、シード層SLおよびめっき層PLがこの順番で形成された積層膜である。シード層SLおよびめっき層PLの主成分は、銅である。
【0033】
実施の形態1では、第2配線WR2の下面は、第2開口部OP2内において、第2無機膜IF2の上面と直接的に接している。第2配線OP2の下面は、第2開口部OP2外において、有機膜OF1の上面と直接的に接触している。
【0034】
第1配線WR1の材料と、第2配線WR2の材料とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。前述のとおり、実施の形態1では、第1配線WR1は、アルミニウム配線であり、第2配線WR2は、銅配線である。
【0035】
第1配線WR1の厚さは、第2配線WR2の厚さと同じであってもよいし、第2無機膜IF2の厚さより大きくてもよいし、第2無機膜IF2の厚さより小さくてもよい。実施の形態1では、第1配線WR1の厚さは、第2無機膜IF2の厚さより小さい。
【0036】
インダクタIND(第2配線WR2)の平面視形状は、インダクタINDとしての機能が得られれば、特に限定されない。たとえば、インダクタINDの平面視形状は、略八角形状であってもよいし、略円形状であってもよい。
【0037】
第1ビアV1の側面は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2に接しており、かつ有機膜OF1に接していない。すなわち、第1ビアV1は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2に形成された第1開口部OP1内に形成されている。第1ビアV1は、第2配線WR2のうち、第2開口部OP2内に形成されていない。
【0038】
(半導体装置の製造方法)
次いで、実施の形態1に係る半導体装置SD1の製造方法の一例について説明する。図4図10は、半導体装置SD1の製造方法に含まれる工程の一例を示す断面図である。図4図10は、各工程における、図3(A)に相当する断面図である。
【0039】
実施の形態1に係る半導体装置SD1の製造方法は、(1)多層配線層MWLの形成工程、(2)第1無機膜IF1の形成工程、(3)第2無機膜IF2の形成工程、(4)第1開口部OP1の形成工程、(5)有機膜OF1の形成工程、(6)第2開口部OP2の形成工程および(7)インダクタINDの形成工程を含む。
【0040】
(1)多層配線層MWLの形成
まず、図4に示されるように、基板(不図示)上に、第1層間絶縁層IIL1および第1配線WR1を形成する。第1層間絶縁層IIL1および第1配線WR1を形成する方法は特に限定されず、半導体製造技術における公知の方法が採用され得る。第1層間絶縁層IIL1の形成方法は、例えば、CVD法である。第1層間絶縁層IIL1の上面は、CMP法によって平坦化されていてもよい。第1配線WR1は、スパッタリング法によって第1層間絶縁層IIL1上に形成された導電膜を、エッチング法によってパターニングすることで形成され得る。なお、第1配線WR1が銅配線である場合、第1配線WR1の形成方法は、ダマシン法である。
【0041】
(2)第1無機膜IF1の形成
次いで、図5に示されるように、第1配線WR1を覆うように、多層配線層MWL上に第1無機膜IF1を形成する。第1無機膜IF1の形成方法は、例えば、CVD法である。
【0042】
(3)第2無機膜IF2の形成
次いで、図6に示されるように、第1無機膜IF1上に第2無機膜IF2を形成する。第2無機膜IF2の形成方法は、例えば、CVD法である。
【0043】
(4)第1開口部OP1の形成
次いで、図7に示されるように、第1配線WR1の一部を露出する第1開口部OP1を第1無機膜IF1および第2無機膜IF2に形成する。たとえば、第1開口部OP1は、フォトリソグラフィ技術によって、第2無機膜IF2上にレジストマスクを形成した後に、当該レジストマスクをエッチングマスクとして用いて、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2をエッチングすることによって形成され得る。第1開口部OP1の底部には、第1配線WR1の上面が露出している。最後に、上記レジストマスクを除去する。
【0044】
なお、実施の形態1では、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2に第1開口部OP1を一工程で形成している。しかし、第1無機膜IF1の開口部と、第2無機膜IF2の開口部とは、別工程で形成されてもよい。この場合、第1無機膜IF1の開口部のサイズは、第2無機膜IF2の開口部のサイズより大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0045】
(5)有機膜OF1の形成
次いで、図8に示されるように、第1開口部OP1を埋めるように、第2無機膜IF2上に有機膜OF1を形成する。たとえば、有機膜OF1は、感光性のポリイミドの前駆体溶液を第2無機膜IF2上に塗布して、塗膜を形成した後に、当該塗膜を硬化させることにより形成される。
【0046】
(6)第2開口部OP2の形成
次いで、図9に示されるように、第1開口部OP1に連続する第2開口部OP2を有機膜OF1に形成する。実施の形態1では、平面視において、第2開口部OP2が、交差部CPが形成される領域と、第1ビアV1が形成される領域(第1開口部OP1)とに重なるように、第2開口部OP2が形成される。
【0047】
(7)インダクタINDの形成
次いで、図10に示されるように、第1開口部OP1内に形成される第1ビアV1を介して電気的に接続された第2配線WR2を形成する。これにより、第1ビアV1を介して電気的に接続された第1配線WR1および第2配線WR2を有するインダクタINDが形成される。
【0048】
実施の形態1では、めっき法によって、第2配線WR2は、第1ビアV1と一体として形成される。具体的には、まず、第1開口部OP1の内面上と、第2開口部OP2の内面上と、有機膜OF1の上面上とに、シード層SLを形成する。シード層SLの形成方法は、例えば、スパッタリング法である。次いで、フォトリソグラフィ技術によって、シード層SL上にレジストマスクを形成する。次いで、当該レジストマスクを選択マスクとして用いためっき法によって、上記レジストマスクから露出するシード層SL上にめっき層PLを形成する。これにより、第1ビアV1および第2配線WR2が一体として形成される。最後に、上記レジストマスクと、余分なシード層SLとを除去すればよい。ここで、めっき法は、電界めっき法であってもよいし、無電解めっきであってもよい。
【0049】
以上の製造方法により、実施の形態1に係る半導体装置SD1が製造され得る。
【0050】
(実施の形態1の主な特徴)
まず、実施の形態1の主な特徴を明確にする観点から、比較用の半導体装置rSDについて説明する。
【0051】
図11は、比較用の半導体装置rSDの要部の構成の一例を示す平面図である。図12は、比較用の半導体装置rSDの要部の構成の一例を示す要部断面図である。図12は、図3(A)に相当する部分を示している。
【0052】
図12に示されるように、半導体装置rSDでは、有機膜rOFに形成された第2開口部rOP2は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2のうち、第1配線WR1の上面を覆う部分の一部を露出させている。一方で、第2開口部rOP2は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2のうち、第1配線WR1の側面を覆う部分も覆っている。これにより、半導体装置rSDでは、第1ビアrV1は、第1開口部OP1だけではなく、第2開口部OP2内にも形成されている。すなわち、第1ビアV1の側面は、全周に亘って、第1無機膜IF1、第2無機膜IF2および有機膜OFと接している。
【0053】
半導体装置rSDでは、第2開口部rOP2を有機膜OFに形成する際に、第2開口部rOP2が形成される位置を第1開口部OP1の位置に合わせる必要がある。位置合わせ精度には限界があるため、第2開口部rOP2は、ある程度大きく形成される。この結果として、図11に示されるように、第2配線rWR2のうち、第1ビアrV1近傍に位置する部分のサイズ(幅)を大きくする必要がある。これにより、インダクタINDのサイズが大きくなり、結果として、半導体装置rSDが大きくなる。
【0054】
これに対して、実施の形態1に係る半導体装置SD1では、有機膜OF1に形成された第2開口部OP2は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2のうち、第1配線WR1の側面を覆う部分と、第1配線WR1の上面を覆う部分の一部との両方を露出させている。このため、第1ビアV1は、第1開口部OP1内に形成されるものの、第2開口部OP2内には形成されていない(図3(A)参照)。換言すると、第1ビアV1の側面は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2に接しているが、有機膜OF1とは接していない。これにより、第1ビアV1は、第2開口部OP2の位置精度にかかわらず、所望の位置に形成され得る。このため、比較用の半導体装置rSDのように、第2配線rWR2のうち、第1ビアV1近傍に位置する部分のサイズを大きくする必要がない。結果として、実施の形態1によれば、半導体装置SD1を小型化できる。
【0055】
(効果)
実施の形態1に係る半導体装置SD1において、第1ビアV1の側面は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2に接しているが、有機膜OFとは接していない。これにより、前述のとおり、半導体装置SD1を小型化できる。
【0056】
また、実施の形態1に係る半導体装置SD1では、インダクタINDは、多層配線層MWL内に形成された配線層のみで構成されておらず、第1無機膜IF1、第2無機膜IF2および有機膜OF上に形成された配線(いわゆる再配線)により主として構成されている。このように、インダクタINDが、厚膜の再配線により構成されていることによって、インダクタINDの特性(例えば、Q値)を高めることができる。
【0057】
[変形例1]
図13は、実施の形態1の変形例1に係る半導体装置mSD11の要部の一例を示す部分拡大断面図である。図13は、半導体装置mSD11のうち、図3(B)に示される部分に相当する部分を示している。
【0058】
半導体装置mSD11において、多層配線層mMWLは、第1層間絶縁層IIL1、第1配線WR1、第2層間絶縁層IIL2および第3配線WR3を有する。
【0059】
第2層間絶縁層IIL2は、第1層間絶縁層IIL1よりも下層に位置する絶縁層である。第2層間絶縁層IIL2は、第1層間絶縁層IIL1よりも一層分、下層に位置していてもよいし、二層分以上、下層に位置していてもよい。変形例1では、第2層間絶縁層IIL2は、第1層間絶縁層IIL1よりも一層分、下層に位置していている。
【0060】
第3配線WR3は、第1配線WR1よりも下層に位置する配線である。第3配線WR3は、第1配線WR1よりも一層分、下層に位置していてもよいし、二層分以上、下層に位置していてもよい。変形例1では、第3配線WR3は、第1配線WR1よりも一層分、下層に位置していている。
【0061】
第1配線WR1および第3配線WR3は、第2ビアV2を介して電気的に接続されている。第2ビアV2は、例えば、バリアメタル膜と、当該バリアメタル膜上に形成された導電膜と、を有する。上記バリアメタル膜の材料の例には、チタン(Ti)および窒化チタン(TiN)が含まれる。上記導電膜の材料は、例えば、タングステン(W)である。
【0062】
変形例1に係る半導体装置mSD11では、交差部mCPは、第3配線WR3および第2配線W2によって構成されている。すなわち、多層配線層mMWLのうち、最上層配線(第1配線WR1)よりも下層に位置する第3配線WR3と、第2配線WR2とによって、交差部mCPが形成されている。実施の形態1のように、最上層配線(第1配線WR1)と、第2配線WR2とが交差部CPを構成する場合、交差部CPにおいて、第1配線WR1に起因する段差が第1無機膜IF1および第2無機膜IF2の表面上に形成される。このため、交差部CPにおいて、第2配線WR2は、上記段差を乗り上げつつ第1配線WR1と交差する必要がある。このため、交差部CPにおいて生じる応力が大きくなり、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2の一方または両方にひび割れが生じることがある。これに対し、変形例1に係る半導体装置mSD11では、第2配線WR2は、最上層配線よりも下層に位置する第3配線WR3と交差する。このとき、第3配線WR3を覆う第1層間絶縁層IIL1の表面は、平坦化されているため、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2において、上記のような段差が生じない。交差部mCPにおいて生じる応力が大きくなることが抑制され得る。結果として、半導体装置mSD11の信頼性をより高めることができる。
【0063】
[変形例2]
図14は、実施の形態1の変形例2に係る半導体装置mSD12の要部の一例を示す部分拡大断面図である。図14は、半導体装置mSD12のうち、図2に示される部分に相当する部分を示している。
【0064】
半導体装置mSD12において、第1ビアmV1は、平面視において、第2配線WR2の延在方向に沿う長径を有し、かつ第2配線WR2の幅方向に沿う短径を有する。第1ビアmV1の抵抗を低減する観点からは、第1ビアmV1が長径は大きいことが好ましい。また、第1配線WR1を覆っている第1無機膜IF1および第2無機膜IF2の応力耐性を高める観点からは、第1ビアmV1の短径は小さいことが好ましい。これにより、第1配線WR1の上面と、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2との接触面積が大きくなる。結果として、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2のクラックの原因となる外部応力による第1配線WR1の変形が、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2により抑制されるためである。
【0065】
上記のとおり、第2配線WR2の上記短径に対する第2配線WR2の上記長径の比は、大きいことが好ましい。第2配線WR2において、上記短径に対する上記長径の比は、第1ビアmV1の大きさおよび材料などに応じて適宜調整される。たとえば上記短径に対する上記長径の比は、例えば、2以上かつ4以下である。
【0066】
ここで、第2配線WR2の上記長径とは、平面視において、第2配線WR2の延在方向における第1ビアmV1の最大長さである。第2配線WR2の上記短径とは、平面視において、第2配線WR2の幅方向における第1ビアmV1の最小長さである。
【0067】
[実施の形態2]
詳細については後述するが、実施の形態2に係る半導体装置SD2では、有機膜OF2に形成された第2開口部OP2は、平面視において、第1ビアV1と重なっているが、交差部CPとは重なっていない。
【0068】
(半導体装置の構成)
図15は、実施の形態2に係る半導体装置SD2の要部の構成の一例を示す平面図である。図16は、図15の破線で示される領域の部分拡大平面図である。図17(A)は、図16のA-A線における断面図である。図17(B)は、図16のB-B線における断面図である。
【0069】
半導体装置SD2は、多層配線層MWL、第1無機膜IF1、第2無機膜IF2、有機膜OF2およびインダクタINDを有する。半導体装置SD2は、有機膜OF2に形成された第2開口部OP2の位置および数のみが、実施の形態1に係る半導体装置SD1と異なる。そこで、実施の形態1に係る半導体装置SD1と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0070】
有機膜OF2には、第2無機膜IF2の一部を有機膜OF2から露出させる第2開口部OP2が形成されている。第2開口部OP2は、第1開口部OP1と連続している。第2開口部OP2のサイズは、第1開口部OP1のサイズより大きい。第2開口部OP2は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2のうち、第2配線WR2の側面を覆っている部分を第2無機膜IF2から露出させるように形成されている。また、第2開口部OP2は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2のうち、第2配線WR2の上面を覆っている部分の一部も第2無機膜IF2から露出させるように形成されている。なお、有機膜OF2の側面は、第2配線WR2の側面から離間している。
【0071】
実施の形態2では、第2開口部OP2は、平面視において、第1ビアV1と重なっているが、交差部CPとは重なっていない。第2開口部OP2が平面視において重なる第1ビアV1の数は、インダクタINDの巻き数に応じて適宜調整される。第2開口部OP2が平面視において重なる第1ビアV1の数は、2つ以上であってもよいし、3つ以上であってもよい。実施の形態2では、各第2開口部OP2が平面視において重なる第1ビアV1の数は、4つである。
【0072】
(半導体装置の製造方法)
実施の形態2に係る半導体装置SD2の製造方法は、(1)多層配線層MWLの形成工程、(2)第1無機膜IF1の形成工程、(3)第2無機膜IF2の形成工程、(4)第1開口部OP1の形成工程、(5)有機膜OF2の形成工程、(6)第2開口部OP2の形成工程および(7)インダクタINDの形成工程を含む。
【0073】
実施の形態2に係る半導体装置SD2の製造方法は、第2開口部OP2の形成工程において、第2開口部OP2の位置および数が異なる点を除いて、実施の形態1に係る半導体装置SD1の製造方法と同様である。そのため、実施の形態2に係る半導体装置SD2の製造方法の詳細な説明については省略する。
【0074】
(効果)
実施の形態2に係る半導体装置SD2においても、第1ビアV1の側面は、第1無機膜IF1および第2無機膜IF2に接しているが、有機膜OF2とは接していない。これにより、実施の形態2においても、実施の形態1と同様の効果を有する。さらに、実施の形態2に係る半導体装置SD2では、有機膜OF2に形成された第2開口部OP2は、平面視において、第1ビアV1と重なっているが、交差部CPとは重なっていない。これにより、半導体装置SD2において、多層配線層MWLを覆っている有機膜OF2の領域が大きくなり、結果として、半導体素子の耐湿性をより高めることができる。
【0075】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更され得る。たとえば、第1ビアV1および第2配線WR2は、別体として形成されていてもよい。この場合、第1ビアV1を形成した後に、第2配線WR2が形成され得る。
【0076】
また、上記実施の形態では、第1無機膜IF1、第2無機膜IF2および有機膜OF1、OF2を有する場合について説明したが、他の実施の形態に係る半導体装置は、第1無機膜IF1、第2無機膜IF2および有機膜OF1、OF2のうち、いずれか2つを有していればよい。たとえば、上記半導体装置は、第1開口部OP1を有する第1無機膜と、第2開口部OP2を有する第2無機膜とを有していてもよい。上記第1無機膜の材料の例と、上記第2無機膜の材料の例とは、酸化シリコン、酸窒化シリコンまたは窒化シリコンである。
【0077】
また、特定の数値例について記載した場合であっても、理論的に明らかにその数値に限定される場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値であってもよい。また、成分については、「Aを主要な成分として含むB」などの意味であり、他の成分を含む態様を排除するものではない。
【符号の説明】
【0078】
CP、mCP 交差部
IF1 第1無機膜
IF2 第2無機膜
IIL1 第1層間絶縁層
IIL2 第2層間絶縁層
IND インダクタ
MWL 多層配線層
OF1、OF2、rOF 有機膜
OP1 第1開口部
OP2 第2開口部
PL めっき層
SD1SD2、mSD11、mSD12、rSD 半導体装置
SL シード層
V1、mV1、rV1 第1ビア
V2 第2ビア
WR1 第1配線
WR2、rWR2 第2配線
WR3 第3配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図17