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  • 特許-ハンマーナイフ式草刈機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ハンマーナイフ式草刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/535 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
A01D34/535
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019225639
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021093926
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000198330
【氏名又は名称】株式会社IHIアグリテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 和成
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-008069(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0001610(KR,A)
【文献】特開2001-269003(JP,A)
【文献】特開2003-310041(JP,A)
【文献】特開2004-113091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/00- 34/01
A01D 34/412-34/90
A01D 42/00 -42/08
A01D 43/06 -43/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンマーナイフ、受刃、刈刃軸及び草刈ユニット本体を備え、
前記刈刃軸には、複数の前記ハンマーナイフが設けられており、
前記刈刃軸は、前記草刈ユニット本体に装架されており、
前記草刈ユニット本体の下部には、前記ハンマーナイフの刃体が上方を通過する位置に前記受刃が取り付けられており、
受刃は、く字状に曲折するものであり、刈草排出の際、刈り取られた刈草は受刃の上面に押し出され、刈草排出のガイドとなることを特徴とする
ハンマーナイフ式草刈機。
【請求項2】
前記受刃は、前記ハンマーナイフと対向する前端に第1の刃が設けられていると共に、後端に第2の刃が設けられており、前記受刃を前記草刈ユニット本体から外して第2の刃を第1の刃があった位置に反転して付け替えることができる請求項1のハンマーナイフ式草刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマーナイフ式草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
草刈機には、様々な形式があるが、ハンマーナイフ式草刈機は、刈り草を細かく粉砕でき、背の高い草に対して適性が高く、笹などにも対応ができるため、休耕田、河川の堤防、自動車道の法面、山間地など様々な場所で使われている。また、圃場にソルゴーなどの緑肥植物を植えた際に、丈の高いソルゴーを粉砕するなどにも使われる。
ハンマーナイフ式草刈機の刈刃については、切れ味を向上させるため例えば特許文献1のように従来から様々な改良が加えられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-268444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、ハンマーナイフ単独で草を刈るものであったところ、本発明の解決しようとする課題は、これまでにない切断形式のハンマーナイフ式草刈機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ハンマーナイフ、受刃、刈刃軸及び草刈ユニット本体を備え、前記刈刃軸には、複数の前記ハンマーナイフが設けられており、前記刈刃軸は、前記草刈ユニット本体に装架されており、前記草刈ユニット本体の下部には、前記ハンマーナイフの刃体が上方を通過する位置に前記受刃が取り付けられており、
受刃は、く字状に曲折するものであり、刈草排出の際、刈り取られた刈草は受刃の上面に押し出される刈草排出のガイドとなることを特徴とするハンマーナイフ式草刈機とすることで課題を解決した。
【発明の効果】
【0006】
従来、ハンマーナイフ式草刈機は、ハンマーナイフだけを刈刃としていたところ、本発明では、受刃を設けることで、切れ味を向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ハンマーナイフ式草刈機の全体斜視図
図2】ハンマーナイフの取付状態を示す説明図(A)刈刃軸の断面図(B)ハンマーナイフの拡大斜視図
図3】受刃とハンマーナイフの関係を示す説明図(A)草刈ユニット本体の側方断面図(B)受刃の斜視図
図4】ハンマーナイフの別態様(A) 刃体が曲面のハンマーナイフ(B) 刃体が「へ字状」のハンマーナイフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施例)
図1は、ハンマーナイフ式草刈機1の全体斜視図である。ハンマーナイフ式草刈機1の後方は、操縦部11となっており搭乗者が操縦できるようになっている。また、ハンマーナイフ式草刈機1の前方には、草刈ユニット本体2が装架されている。
なお、実施例では、乗用型となっているが、無線操縦型でも自律走行型でもよいことは言うまでもない。また、草刈ユニット本体2は、実施例においては前方に装架されているが、後方に装架されるものであってもよく、装架される箇所は任意である。
【0009】
図2は、ハンマーナイフ3の取付状態を示す説明図である。図2(A)は、刈刃軸6の断面図であり、多数のハンマーナイフ3が、駆動回転する刈刃軸6に、ハンマーナイフ取付部61を介して取付具62で取り付けられている。
図2(B)は、ハンマーナイフ3の拡大斜視図であり、ハンマーナイフ3の一端部に刃体34を有している。刃体34は、前刃341と後刃342が設けられており、前刃341が摩耗した場合、ハンマーナイフ3を反転して取り付け、摩耗していない後刃342を前に持ってくることができる。
なお、詳しくは後述するが、ハンマーナイフ3は、前刃341と後刃342を有する両刃となっているため、前進方向に対して上から下にハンマーナイフ3が回転するダウンカットと、前進方向に対して下から上にハンマーナイフ3が回転するアッパーカットを状況によって選ぶこともできる。
ハンマーナイフ3の刃体34の中央には、支えプレート32が立設されており、端部に取付孔31が設けられている。ハンマーナイフ3は、取付孔31を用いて、上記した刈刃軸6に設けられたハンマーナイフ取付部61に取付具62で取り付けられるようになっている。
【0010】
図3は、 受刃4とハンマーナイフ3の関係を示す説明図である。図3(A)は、草刈ユニット本体2の側方断面図であり、中心に刈刃軸6が据え付けられている。刈刃軸6には、多数のハンマーナイフ取付部61が設けられており、ハンマーナイフ3の取付孔31とハンマーナイフ取付部61にある孔(図示されておらず)が位置合わせされ、取付具62が挿通されてハンマーナイフ3が取り付けられている。
【0011】
他方、受刃4は、受刃取付ブラケット41を介して受刃固定具47により草刈ユニット本体2の下部に、ハンマーナイフ3の刃体34が上方を通過する位置に取り付けられている。
受刃4が設けられているため、草木は、ハンマーナイフ3と受刃4の第1の刃45の間に挟まれ、ハサミで切られるように切断され、刈り上がりがきれいになる。
また、刈草排出の際、刈りとられた刈草は受刃4の上面に押し出されるので、受刃4が、刈草排出のガイドともなり、排出性能が向上する。
【0012】
図3(B)は、受刃4の斜視図であり、受刃4は中央で屈曲した側面視「く字状」の板体で構成されている。受刃4の前端に第1の刃45が設けられ、受刃4の後端に第2の刃46が設けられている。実施例では、受刃4を草刈ユニット本体2から外して第2の刃46を第1の刃45があった位置に反転して付け替えることができるように構成されている。これにより、第1の刃45が摩耗したときに、受刃4を反転させて付け替え、摩耗していない第2の刃46に替えることができる。
【0013】
実施例では、受刃4は、第1の刃45と第2の刃46を備えた両刃としたが、片刃でもよいし、刃体34の四方に刃が設けられていてもよい。また、実施例では、直線状の刃としたが、凹凸形状の刃でもよい。ハンマーナイフ3の刃体34が、受刃4と上方を通過する位置に設けることができる形状であれば、受刃4の第1の刃45と第2の刃46の形状はどのようにもできる。
さらに、実施例ではハンマーナイフ3の刃体34を板状の刃体としたが、受刃4の上方を通過することができるような形状であればどのような形状でもよく、例えば、イチョウ刃であってもよい。図4はハンマーナイフ3の別態様であって、図4(A)は、底面が曲面のハンマーナイフである。このように、刈刃軸6を中心とした円を描いて動くハンマーナイフ4の移動軌跡にマッチさせ、支えプレート32に取り付けられた刃体34を曲面としてもよい。さらに、図4(B)のように、支えプレート32に端部に「へ字状」とした刃体34を取り付けたハンマーナイフとしてもよい。
【0014】
(ダウンカット・アッパーカット)
実施例では、ハンマーナイフ3の刃体34を両刃としたため、ダウンカット、アッパーカットのいずれのカットもできるようになった。刃の方向を付け替えずとも、刈刃軸6の回転方向を変えるだけで、前記両カットに対応できる。
一般には,前進方向に対して下から上にハンマーナイフ3が回転するアッパーカットの方が、刈株がきれいに切断されるとされている。しかし、草刈ユニット2の前方には、草を取り込むための取り込み口が大きく開いており、前進方向に向かって刈刃が下から上に回転するため、石などがハンマーナイフ3に当たり取り込み口から飛散することもある。
これに対して、前進方向に対して上から下にハンマーナイフ3が回転するダウンカットでは、大きく開いた取り込み口と逆方向に石などが飛ぶため飛び石防止性は良好になるが、切断性能に劣り、場合によっては刈残しが発生することもある。
【0015】
実施例では、ダウンカットに対応して、受刃4を設けており、ダウンカットの欠点とされる切断性能を補っている。アッパーカットに対応する受刃4を草刈ユニット2にさらに設けてもよいことは言うまでもない。この場合、前進方向側に受刃4が設けられるため、飛び石の一部が受刃4に当たることで、飛び石の飛散を抑制できる作用も期待できる。図3(B)のように「く字状」に屈曲した受刃4であればよく、飛び石の飛散抑制をより期待できる。
また、ダウンカット、アッパーカットのいずれの場合においても刈り取られた草のガイドとして受刃4が作用するため、排出効率の向上も期待できる。
【0016】
以上、本発明に係る実施例を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0017】
また、前述の実施例では、ハンマーナイフ3、受刃4などに関して取り得る態様を様々説明してきたが、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの態様を組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 ハンマーナイフ式草刈機
11 操縦部
2 草刈ユニット本体
3 ハンマーナイフ
31 取付孔
32 支えプレート
34 刃体
341 前刃
342 後刃
4 受刃
41 受刃取付ブラケット
45 第1の刃
46 第2の刃
47 受刃固定具
6 刈刃軸
61 ハンマーナイフ取付部
62 取付具
図1
図2
図3
図4