(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】空中宣伝のための飛翔体および装置
(51)【国際特許分類】
B64C 31/06 20200101AFI20230606BHJP
【FI】
B64C31/06
(21)【出願番号】P 2019562545
(86)(22)【出願日】2018-04-18
(86)【国際出願番号】 ES2018070312
(87)【国際公開番号】W WO2018193143
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-14
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】519398881
【氏名又は名称】パナインテ・ペトリカ
(73)【特許権者】
【識別番号】519398892
【氏名又は名称】ディアス・オカニャ・オーロラ
(74)【代理人】
【識別番号】100205626
【氏名又は名称】村上 博
(72)【発明者】
【氏名】パナインテ・ペトリカ
【審査官】藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3107798(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第02797847(FR,A1)
【文献】特公昭41-015008(JP,B1)
【文献】米国特許第05833174(US,A)
【文献】特開2015-145233(JP,A)
【文献】特開平11-004972(JP,A)
【文献】特開2007-038945(JP,A)
【文献】国際公開第2014/016901(WO,A1)
【文献】特開平05-338592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引っ張り、または、固定用の線で誘導され、引っ張られるように設計された、
広告媒体の機能を発揮するために空中で上昇、停止する構成要素を有し、
前記構成要素は、
空力外形の形状を有し、
前部または前縁の開口部、
湾曲した上面、平らな下面および2つの側面の4面を有し、
前記形状の前記4面に囲われた内部を空気が通過することにより形状が保たれ、
前記前部の開口部の縁は、少なくともいくつかの部分が管または棒を用いた構造で剛性を与
え、
選ばれた牽引手段または固定点に結ぶための引っ張り、または、固定用の線を有し、
引っ張り、または、固定用の線を
開口部の左下隅
と右下隅、
および湾曲した上端
のそれぞれで前記前部の開口部と繋ぐロープを
、少なくとも3本有し、
広告メッセージ
は、空中で上昇、停止する要素の両側の面全体に配置される、空中宣伝のための飛翔体および装置。
【請求項2】
前部の開口部の縁のすべてのパーツが管または棒を用いた構造で剛性を与えることを特徴とする、請求項1に記載する空中宣伝のための飛翔体および装置。
【請求項3】
管または棒を用いた構造は、関節で接続され、折り畳み可能であることを特徴とする、請求項1から2のいずれか1項に記載する空中宣伝のための飛翔体および装置。
【請求項4】
管または棒を用いた構造は、取り外し可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載する空中宣伝のための飛翔体および装置。
【請求項5】
広告メッセージが
、横断幕に表示
され、前記横断幕は、上昇、停止する要素の両側の面全体に面ファスナーまたは粘着テープ機構で、固定することができることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載する空中宣伝のための飛翔体および装置。
【請求項6】
上昇、停止する要素の前部開口部の縁は、ヘリウム室から構成される付属品を有し、必要と思われる場合に、紐または面ファスナーにより、前記開口部に取りつけられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載する空中宣伝のための飛翔体および装置。
【請求項7】
引っ張り、または、固定用の線を、緩め、集め、収納する手段に、前記線を導く滑車機構、および、前記線を格納するリールを含み、この全てが、選ばれた牽引手段または固定点に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載する空中宣伝のための飛翔体および装置。
【請求項8】
エレベーションとサスペンションの要素(1)は、厚みのある空力外形の形状を有する特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載する空中宣伝のための飛翔体および装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告の分野に属し、より具体的には空中宣伝の分野に属する。本発明の目的は、航空機輸送のあらゆる手段を使用せずに空中宣伝を実現する飛翔体および装置を提供することである。これにより、はるかに効率的で驚異的な形態の空中宣伝が実現する。
【背景技術】
【0002】
現在、空中宣伝サービスは主に2つの方法で提供されている。その中で最も普及している方法の1つは、航空輸送を使用してバナー広告を牽引することであり、小型飛行機が最もよく使用され、時にはヘリコプターも使用される。別の方法は、それほど普及していないが、モーターパラグライダーの使用である。広告はパラグライダーのキャノピーに表示されるか、またはバナー広告を牽引することで表示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空中広告を牽引するために、小型飛行機またはヘリコプターを使用することは、非常に高い運用・保守コストを伴う。その結果、多くの企業はこのタイプの広告を利用しない。また、この方法は、パイロットや地上の人々にも高いリスクをもたらす。
【0004】
また、航空法では、オペレーターと地上のすべての人々の安全を確保するために、距離と最小飛行高度の制限が定められている。したがって、広告メッセージが目視され識別できるように、バナーを一定サイズ以上にする必要がある。
【0005】
モーターパラグライダーが空中宣伝に使用され、その広告がパラグライダーのキャノピーに印刷されている場合、広告を表示するために使用可能な領域は限定される。加えてこの方法では、広告メッセージは、地上で一般の人々が容易に読めるようにするための適切な位置には表示されない。また、モーターパラグライダーがバナー広告を牽引する場合、この方法には、パイロットと地上の人々の安全を保護するための法的制限に加えて、パイロットに追加のリスクが生じる恐れがある。
【0006】
現在、上記の課題をすべて回避する空中宣伝用の特別に設計された飛行機体、または装置は存在しない。本発明は、これらの課題を解決するための空中宣伝用の飛翔体である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、従来の空中宣伝活動に伴うコスト、リスクおよび制限を低減する 新しい空中宣伝用の上昇、停止、牽引機構を提供することである。加えて、それは固定点で展示されることから、非常に魅力的で人目を引く固定空中宣伝を可能にする。
【0008】
本発明の一態様における空中宣伝のための飛翔体および装置は、非常に軽くて耐久性のある材料(使用する材料によって本発明の本質は何の影響も受けず、制限されない)で構築された、空中で上昇、停止する構成要素を含み、前記上昇、停止する構成要素は、空力外形の形状を有し、前部または前縁に開口部を持ち、その縁部に付属品として不活性ガス室が取り付けられ、後部または後縁に開口部を有し、湾曲した上面、平らな下面を備え、2つの垂直な側面は前記形状の4面に囲われた内部を空気が通過することにより形状が保たれ、前部の開口部は少なくともいくつかの部分において非常に軽量で耐久性のある方法で補強され、開口部に剛性を与えている。前記空中宣伝のための飛翔体および装置は、上昇、停止する構成要素の前部の開口部と、引っ張り、または、固定用の線とを繋ぐための数本のロープを有し、選択した牽引手段または固定点に結ぶための引っ張り、または、固定用の線を少なくとも 1 本有し、広告材料は、好ましくは、前記空中で上昇、停止する要素の両側の面全体に配置され、広告媒体の機能を発揮する。
【0009】
前記上昇、停止する構成要素は、空気力学的形状を呈するように設計されているため、風もしくは気流の影響、または、一定の速度で引っ張られることで高度を上げ、風もしくは気流の影響により、または牽引している間、空中に浮遊する。また、前記上昇、停止する構成要素は、後部または後縁が開いているため、牽引されたときの抵抗が小さくなる。
【0010】
前記上昇、停止する構成要素の前部の開口部は、非常に軽量で耐性のある方法(使用する方法により、本発明の本質が影響を受けたり、制限されたりしない)で補強され、前記開口部の縁に剛性を与えることにより、前記上昇、停止する構成要素の4つの面を通って、空気が簡単に進入できる。
【0011】
前記上昇、停止する構成要素は、少なくとも2本のロープが接続されており、これらのロープは引っ張り線または固定用の線に接続されている。しかし、安定性を生むためには、3本のロープが取り付けられる。
【0012】
これらの3本のロープは、左下の角、右下の角および中央上縁で、それぞれ前記上昇、停止する構成要素の前部の開口部に接続され、そして好ましくは、前部の開口部の下縁と同じ高さで、前記下縁の中心から、前記下縁の幅と等しい垂直距離に位置する点で、引っ張り線または固定用の線に接続する。なお、本発明の本質は、使用されているロープの数、または、上昇、停止する構成要素との接続点、および、ロープと引っ張り線または固定用の線との接続点によって、影響または制限されることはない。
【0013】
前記上昇、停止する構成要素の前部の開口部の縁に剛性を与えるために使用される方法は、その取り扱い、輸送、および保管を容易にするために、多関節で、折り畳み可能または取り外し可能にすることができる。
【0014】
想定し得る風または気流の不足を補う目的で、前記上昇、停止する構成要素の前部の開口部の縁には、その一部またはすべての部分に取り付けられる不活性ガス室からなる付属品が付いており、使用する際の状況と必要性に応じて、取り付け、取り外しが可能な取り付け方法により、取り付けられている(使用された取り付け方法により、発明の本質が影響または制限されることはない)。
【0015】
このようにして、引き上げ中および固定点で展示している時の両方において、気流が不十分な時、前記上昇、停止する構成要素が上昇を保つことが容易になります。
【0016】
引っ張り線および固定用の線は、好ましくは滑車機構により、緩め、集め、導かれ、リールに巻き取られて格納される。これらは全て、選択された牽引手段または固定点に取り付けられている。線を緩め、集め、格納するために使用される機構により、発明の本質が影響または制限されることはない。
【0017】
広告メッセージは、好ましくは、前記上昇、停止する要素の両側の面全体に配置され、そこに組み込む方法としては2つの方法が可能である。一つ目の選択肢は、前記上昇、停止する構成要素の素材に直接広告メッセージを表示する方法である。2つ目のより実用的な選択肢は、広告メッセージが表示された非常に軽くて耐久性のある素材の横断幕を作成する方法である。前記横断幕は、前記上昇、停止する構成要素の両側の面全体に、容易に脱着可能な固定方法を使用して、取り付けられる。
【発明の効果】
【0018】
空中宣伝用に構成された飛翔体および装置は、注目すべき重要な利点を提供する。前記上昇、停止する構成要素の前部の開口部に十分な気流が取り込めない場合、前記構成要素の降下はスムーズに行われる。さらに、非常に軽量な素材で作られているため、地上の人々を危険にさらすことがない。
【0019】
本発明は、小型飛行機によるものと同じくらい効果的な、空中宣伝の実施が可能になるだけでなく、より簡易な装置を使うことにより運用コストが低減されることから、より効率的に空中宣伝を実施できる。運用コストの低減は、例えば、使用される燃料の差により達成される。また、航空機によるものと比較して、小型船舶、その他陸上からの牽引手段など、陸上手段を使用する方が、容易であることも事実である。
【0020】
このようにして、本発明により、例えば航空機と比較して、騒音および環境汚染が遥かに少なくなる。
【0021】
この種の飛翔体の、高度の下限を規定する法律は存在しない。そのため、広告メッセージを、航空機を用いる場合より、はるかに低い高度で掲げることができ、広告メッセージを伝える対象となる人々の目につきやすくする事ができる。
【0022】
本発明が、引っ張り線を固定点に結び付ける静的な空中宣伝に使用される場合、その独創性のために、広告メッセージを伝える対象となる人々にとって、非常に人目を引く広告となる。
【0023】
前記上昇、停止する構成要素の、上昇および下降は、選択された牽引手段または固定点につなげられている、引っ張り線または固定用の線を、緩める、または、巻き取ることによって実現される。飛翔体は非常に軽い素材で作られているため、これらの操作はオペレーターや一般の人々の安全を危険にさらすことなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本文中の説明を補完するため、そして、本発明の特徴のより良い理解を得るために、この記述的レポートに付随するものであり、これに不可欠な部分として、図面を位置づける。 この図面には、限定的ではなく例示的な性質で本発明の実施例が表されている。
【
図1】空中宣伝のための飛翔体および装置の実施例を下から見た透視図である。使用位置で表され、一般的な設定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の目的である空中宣伝のための飛翔体および装置の、好ましいが、これに限定されない実現例の説明である。
【0026】
図1に示すように、空中宣伝のための飛翔体および装置は、
厚みのある空力外形の形状を有し、非常に軽量でありながら耐久性のある素材で作られた、広告媒体の機能を果たす、空中で上昇、停止する構成要素1を含む。前記構成要素1には、3本の、ロープまたは線2が接続され、これらのロープはもう一方の端が結合され、次に、引っ張り、
または固定用の線3につながれ、引っ張り、または固定用の線3は、選択された牽引手段または固定点と連結している。
【0027】
上昇、停止する構成要素1は、前部または前縁に開口部4を持ち、後部または後縁に開口部5を有する。また、湾曲した上面6、平らな下面7および2つの垂直側面9を備え、空気が4つの面を通過することにより、その形状が保たれる。
【0028】
前部開口部4は、
図1に示すように、高さと幅の比率が約1対1であり、空気が簡単に入るように、非常に軽くて耐久性のある材料の管および/または棒の構造体8によって、すべての縁が
剛性を与える。
【0029】
上昇、停止する構成要素1を、引っ張り、または固定用の線3に接続する3本のロープ3は、それぞれ、構成要素1の前部開口部4の左下の角、右下の角、および中央上縁に取り付けられる。これらの3本のロープ2は、好ましくは、前部開口部4の底辺と同じ高さ、かつ、前記底辺の中心から、前記底辺の幅と等しい垂直距離に位置する点で、引っ張り、または固定用の線3に接続する。
【0030】
上昇、停止する構成要素1の前部開口部4の縁に剛性を与える管および/または棒の構造体8は、構成要素1の取り扱い、輸送および保管を容易にする目的で、関節で接続された折り畳式、または取り外し可能となっている。
【0031】
上昇、停止する構成要素1の前部開口部4の縁は、ヘリウム室から構成される付属品を有し、風または気流の不足を補う必要があると判断された場合、面ファスナーおよび/または紐により、前部開口部4の一部または全ての縁に、前記付属品を取り付けることができる。
【0032】
引っ張り、または固定用の線3は、好ましくは、滑車システムにより、緩め、集め、導かれ、そして速度マルチプライヤ付きのリールに格納される。これらは全て、選択された牽引手段または固定点に適切に取り付けられる。
【0033】
広告メッセージ10を、空中で上昇、停止する構成要素1に組み込む方法として、2つの方法があり得る。1つ目の選択肢は、その構成要素1の素材に直接広告メッセージ10を表示する方法であり、好ましくは、構成要素1の両側および飛翔体全体に表示することが望ましい。2つ目のより実用的な選択肢は、広告メッセージ10が表示された非常に軽くて耐久性のある素材の横断幕を作成し、面ファスナーおよび/または粘着テープを使用して、構成要素1の両側に沿って面全体に取り付ける方法である。
【符号の説明】
【0034】
1 空中で上昇、停止する構成要素
2 3本のロープまたは線
3 引っ張り、または固定用の線
4 前部または前縁の開口部
5 後部または後縁の開口部
6 湾曲した上面
7 平らな下面
8 管および/または棒の構造体