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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】シート装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/818 20180101AFI20230606BHJP
   B60N 2/28 20060101ALI20230606BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B60N2/818
B60N2/28
A47C7/38
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020147227
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2021037946
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】201910836400.9
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520144059
【氏名又は名称】バンビーノ プレツィオーソ スウィツァーランド アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Bambino Prezioso Switzerland AG
【住所又は居所原語表記】Beim Bahnhof 5, 6312 Steinhausen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】モー シアオ ロン
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-189585(JP,A)
【文献】特開2019-069757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264705(US,A1)
【文献】特開平04-193109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/818
B60N 2/28
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体と、
前記シート本体に可動的に連結されているヘッドレストと、
前記シート本体と前記ヘッドレストとの間に連結されているとともに、前記ヘッドレストの前記シート本体に対する相対位置を調整することができるように配置構成されている調整機構と、
前記ヘッドレストに移動可能に取り付けられており、前記相対位置の調整を実行しない非作動位置と前記相対位置の調整を実行する作動位置との間で移動することができ、且つ前記作動位置で前記調整機構を作動させる駆動部材と、前記駆動部材から曲がるように延伸して使用者の操作により前記駆動部材を前記非作動位置と前記作動位置との間に移動させることができるハンドル部と、を有している操作ユニットと、を備えており、
前記調整機構は、前記ヘッドレストに移動可能に取り付けられている従動部材を備えており、
前記駆動部材は、駆動部である第1の伝達部を有しており、
前記従動部材は、前記作動位置で前記第1の伝達部と係合する一方、前記非作動位置で前記第1の伝達部から離れる被駆動部である第2の伝達部を有しており、
前記第2の伝達部が前記第1の伝達部と係合している際に、前記駆動部材が前記従動部材へ作動運動を伝達し得、
前記ハンドル部は、前記駆動部材が前記非作動位置にある場合に、前記ヘッドレストの外表面に当接し、前記駆動部材が前記作動位置にある場合に、前記ヘッドレストの外表面から離間するように突出するとともに、使用者が前記駆動部材を介して前記調整機構を作動させ、前記ヘッドレストの前記シート本体に対する相対位置を調整することができる、
ことを特徴とするシート装置。
【請求項2】
前記駆動部材に対して前記非作動位置へ移動させる付勢力を常時与えている弾性部材をさらに備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート装置。
【請求項3】
前記駆動部材および前記従動部材における一者は、係合穴を有している一方、前記駆動部材および前記従動部材における他の一者は、前記係合穴に挿入している係合ピンを有しており、
前記第1の伝達部は、前記係合穴および前記係合ピンにおける一者に位置している一方、前記第2の伝達部は、前記係合穴および前記係合ピンにおける他の一者に位置している、
ことを特徴とする請求項に記載のシート装置。
【請求項4】
前記係合穴は、細長く形成されており、且つ前記係合ピンは前記係合穴内においてスライド移動することができる、
ことを特徴とする請求項に記載のシート装置。
【請求項5】
前記駆動部材は、前記係合穴を有している一方、前記従動部材は、前記係合ピンを有している、
ことを特徴とする請求項に記載のシート装置。
【請求項6】
前記ハンドル部は、前記駆動部材が前記非作動位置にある場合に前記ヘッドレストの上端部の外表面に当接する一方、前記駆動部材が作動位置にある場合に前記ヘッドレストの上端部の外表面から離間する、
ことを特徴とする請求項に記載のシート装置。
【請求項7】
前記係合穴は、前記ヘッドレストの上下方向に沿って細長く形成されており、前記第1の伝達部は、前記係合穴における下側に位置している、
ことを特徴とする請求項に記載のシート装置。
【請求項8】
前記弾性部材は、通常の使用状態において前記駆動部材に下向きの付勢力を常時与えるように配置されているものである、
ことを特徴とする請求項に記載のシート装置。
【請求項9】
前記弾性部材は、両端が前記駆動部材と前記ヘッドレストとにそれぞれ連接している、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート装置。
【請求項10】
前記駆動部材は、接続孔を有しており、前記弾性部材は、前記駆動部材に取り付けられるように前記接続孔内へ延伸している端部を有している、
ことを特徴とする請求項に記載のシート装置。
【請求項11】
前記ヘッドレストは、通常の使用状態では上下方向に沿って延伸しているガイド溝を有しているガイド部材をさらに備えており、
前記駆動部材は、前記ハンドル部から下方に延伸して、前記ガイド溝を通っている状態で前記ヘッドレストに対してスライド移動することができる、
ことを特徴とする請求項に記載のシート装置。
【請求項12】
前記調整機構は、
前記シート本体に取り付けられている第1のロックユニットと、
前記従動部材に連接されているとともに、前記第1のロックユニットと係合することができるように構成されて、前記ヘッドレストを前記シート本体に対して移動しないようにロックする第2のロックユニットと、をさらに備えており、
前記第2のロックユニットは、前記駆動部材が前記従動部材を作動させる場合に、前記第1のロックユニットと係合されずに、前記ヘッドレストの前記シート本体に対する移動を許可する、
ことを特徴とする請求項に記載のシート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート装置に関し、具体的には、ヘッドレストを調整するための調整機構を有するシート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チャイルドシートとは、子供を乗車させる際に、車両内の子供の安全を確保するために車両の座席に設置されるものである。
【0003】
特許文献1には、従来のチャイルドシートが記載されている。当該従来のチャイルドシートは、座面部および背面部を有しているシート本体と、子供の身長に基づいてシート本体の背面部の高さを調整するためのヘッドレスト部と、ヘッドレスト部の位置調整を制御するための調整機構と、シート本体の背面部に上下方向に沿って延伸するように配置され、調整機構の作動を操作するためのハンドル部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国登録実用新案第204432450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来のチャイルドシートは、車両の座席の上に設置されている際に、ハンドル部がシート本体の背面部と座席の背もたれとの隙間にあることで、ヘッドレスト部の位置を調整しようとする場合に、操作者の手を当該隙間へ入れてハンドル部を探してから、当該ハンドル部を引っ張るように操作するので、手間がかかって操作しにくい問題がある。このため、従来のチャイルドシートに関する設計を改善する余地がある。
【0006】
よって、本発明は上記問題点に鑑みて、上記欠点を解決することができるシート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は以下のシート装置を提供する。
【0008】
即ち、シート本体と、
前記シート本体に可動的に連結されているヘッドレストと、
前記シート本体と前記ヘッドレストとの間に連結されているとともに、前記ヘッドレストの前記シート本体に対する相対位置を調整することができるように配置構成されている調整機構と、
前記ヘッドレストに移動可能に取り付けられており、前記相対位置の調整を実行しない非作動位置と前記相対位置の調整を実行する作動位置との間で移動することができ、且つ前記作動位置で前記調整機構を作動させる駆動部材と、前記駆動部材から曲がるように延伸して使用者の操作により前記駆動部材を前記非作動位置と前記作動位置との間に移動させることができるハンドル部と、を有している操作ユニットと、を備えており、
前記ハンドル部は、前記駆動部材が前記非作動位置にある場合に、前記ヘッドレストの外表面に当接し、前記駆動部材が前記作動位置にある場合に、前記ヘッドレストの外表面から離間するように突出するとともに、使用者が前記駆動部材を介して前記調整機構を作動させ、前記ヘッドレストの前記シート本体に対する相対位置を調整することができるシート装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシート装置は、操作ユニットの駆動部材が非作動位置にある状態で操作ユニットのハンドル部がヘッドレストの外表面に当接することによって、ヘッドレスト部の位置を調整しようとする場合に操作者が調整機構を作動させるための操作ユニットのハンドル部を特に探すことなく、当該ハンドル部を直接ヘッドレストの外表面から離間するように操作して、駆動部材が作動位置に移動してヘッドレストがシート本体に対する移動を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態のシート装置の構成が示される斜視図である。
図2】該実施形態の操作ユニットが非作動位置にある状態を説明する斜視図である。
図3】該実施形態の操作ユニットが作動位置にある状態を説明する斜視図である。
図4図2の側面断面図である。
図5図3の側面断面図である。
図6】該実施形態の操作ユニットが作動位置にある状態で弾性部材が引っ張られることが示される側面断面図である。
図7】該実施形態の操作ユニットが作動位置にある状態で駆動部材および従動部材の相対関係を説明する斜視図である。
図8図7における破線で囲まれている部分の拡大図である。
図9】該実施形態の第2のロックユニットが第1のロックユニットと係合されている状態を説明する斜視図である。
図10】該実施形態の第2のロックユニットが第1のロックユニットと係合されていない状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るシート装置100は、例えば、子供を乗車させる際に、車両内の子供の安全を確保するために車両の座席に設置されるチャイルドシートである。
【0012】
以下、本発明に係るシート装置100について図面を参照して説明する。
【0013】
図1図10を参照して本発明に係るシート装置100の実施形態について説明する。ここで、図1は本発明に係る実施形態のシート装置100の構成が示される斜視図であり、図2は該実施形態の操作ユニット1が非作動位置にある状態を説明する斜視図であり、図3は該実施形態の操作ユニット1が作動位置にある状態を説明する斜視図であり、図4および図5はそれぞれ図2および図3の側面断面図である。
【0014】
また、図6は該実施形態の操作ユニット1が作動位置にある状態で弾性部材3が引っ張られることが示される側面断面図であり、図7は該実施形態の操作ユニット1が作動位置にある状態で駆動部材11および従動部材610の相対関係を説明する斜視図であり、図8図7における破線で囲まれている部分の拡大図であり、図9は該実施形態の第2のロックユニット613が第1のロックユニット611と係合されている状態を説明する斜視図であり、図10は該実施形態の第2のロックユニット613が第1のロックユニット611と係合されていない状態を説明する斜視図である。
【0015】
図1図3に示されるように、本発明に係るシート装置100は、ベース7と、シート本体4と、ヘッドレスト5と、調整機構6と、操作ユニット1と、を備えている。
【0016】
シート本体4は、図1に示されるように、ベース7の上に設けられているとともに、座面部および背もたれ部41を具えている。
【0017】
ヘッドレスト5は、図1に示されるように、シート本体4の背もたれ部41に可動的に連結されている。図2に示されるように、ヘッドレスト5の裏側には、上端部の近傍にあるガイド部材51と、ガイド部材51と一体形成されている略U字形状のガイドフレーム50と、が固定配置されている。
【0018】
また、該ガイド部材51は、図4に示されるように、該シート装置100の通常の使用状態では上下方向に沿って延伸しているガイド溝510を有している。
【0019】
調整機構6は、シート本体4とヘッドレスト5との間に連結されているとともに、ヘッドレスト5のシート本体4に対する相対位置、すなわち、ヘッドレスト5の高さを調整することができるように配置構成されている。
【0020】
また、該調整機構6は、図1および図2に示されるように、第1のロックユニット611と、従動部材610と、第2のロックユニット613と、を備えている。
【0021】
第1のロックユニット611は、図1に示されるように、シート本体4の背もたれ部41に取り付けられているとともに、歯付ラックに形成されているものである。
【0022】
従動部材610は、図2に示されるように、U字形状に形成されているとともに、ヘッドレスト5に移動可能に取り付けられている。
【0023】
第2のロックユニット613は、図2に示されるように、従動部材610に連接されているとともに、歯付ラックに形成されている第1のロックユニット611と係合することができるように構成されている係合ロッド6130を有しており、ヘッドレスト5をシート本体4に対して移動しないようにロックし、すなわち、第1のロックユニット611と係合すること(図9を参照)によってヘッドレスト5のシート本体4に対する移動を制限することができる。
【0024】
要するに、調整機構6の他の構成は、本発明の特徴ではないので、更なる詳細な記載がなくても、同業者であれば、上記の内容に基づいて利用できると考える。
【0025】
操作ユニット1は、図2図6に示されるように、ヘッドレスト5を、上記した相対位置の調整を実行しない非作動位置(図2及び図4を参照)と上記した相対位置の調整を実行する作動位置(図3及び図6を参照)との間で移動させることができ、且つ、作動位置で調整機構6を作動させる駆動部材11と、駆動部材11から曲がるように延伸して使用者の操作により駆動部材11を非作動位置と作動位置との間に移動させることができるハンドル部12と、を有している。
【0026】
駆動部材11は、図4に示されるように、ハンドル部12から下方に延伸して、ガイド溝510を通っている状態でヘッドレスト5に対してスライド移動することができ、すなわち、駆動部材11は、非作動位置と作動位置との間でガイド溝510に沿って移動することができる。
【0027】
ハンドル部12は、駆動部材11が非作動位置にある場合(図2および図4を参照)に、ヘッドレスト5の外表面に当接し、駆動部材11が作動位置にある場合(図3図5図6を参照)に、ヘッドレスト5の外表面から離間するように突出するとともに、使用者が駆動部材11を介して調整機構6を操作し、ヘッドレスト5のシート本体4に対する相対位置を調整することができる。
【0028】
また、図7に示されるように、駆動部材11は、一対の係合穴111を有している一方、従動部材610は、該一対の係合穴111に対応する一対の係合ピン614を有している。駆動部材11は、該一対の係合ピン614を該一対の係合穴111に挿入することによって、調整機構6の従動部材610と移動可能に連接されている。
【0029】
各係合穴111は、図7に示されるように、ヘッドレスト5の上下方向に沿って細長く形成されている。該一対の係合ピン614は、該一対の係合穴111内においてスライド移動することができる。
【0030】
駆動部材11は、図4および図5に示されるように、それぞれの係合穴111における下側に位置しているアクティブ式の(即ち駆動部である)第1の伝達部1111を有している。
【0031】
従動部材610は、図5に示されるように、それぞれの係合ピン614の下側に位置している上、それぞれの係合穴111の第1の伝達部1111に向かうパッシブ式の(即ち被駆動部である)第2の伝達部6140を有している。
【0032】
ここで、アクティブ式の第1の伝達部1111とは、従動部材610に作動操作を伝達する駆動部材11の一部を指すものである。一方、パッシブ式の第2の伝達部6140とは、駆動部材11より作動操作を受ける従動部材610の一部を指すものである。
【0033】
従動部材610の第2の伝達部6140は、図5に示されるように、作動位置で第1の伝達部1111と係合する一方、図4に示されるように、非作動位置で第1の伝達部1111から離れる。
【0034】
更に言うと、図2図6に示されるように、ハンドル部12は、駆動部材11が非作動位置にある場合(図2および図4を参照)にヘッドレスト5の上端部の外表面に当接する一方、駆動部材11が作動位置にある場合(図3図5図6を参照)にヘッドレスト5の上端部の外表面から離間する。
【0035】
係合ピン614の第2の伝達部6140は、図5に示されるように、係合穴111の第1の伝達部1111とそれぞれ係合している際に、駆動部材11がハンドル部12から従動部材610へ作動運動を伝達し得る。
【0036】
図4図8に示されるように、該実施形態のシート装置100は、駆動部材11に対して非作動位置へ移動させる付勢力を与え続けている弾性部材3をさらに備えている。
【0037】
具体的には、弾性部材3は、両端が駆動部材11とヘッドレスト5とをそれぞれ連接しているとともに、通常の使用状態において駆動部材11に下向きの付勢力を与え続けるように配置されている。
【0038】
ここでは、図7および図8に示されるように、駆動部材11は、接続孔112を有している。また、該弾性部材3は、駆動部材11に取り付けられるように接続孔112内へ延伸している端部を有している。
【0039】
なお、本実施形態では、該弾性部材3は、一端が駆動部材11の接続孔112内へ延伸するように連接されている上、他端がヘッドレスト5と連接されているコイルばねである。勿論、ここでそれに限定されず、他の実施形態において他の弾性を有するものであって
もよい。
【0040】
以下、本発明に係るシート装置100のヘッドレスト5のシート本体4に対する位置を調整する操作について説明する。
【0041】
第1に、図2および図4に示されるように、ハンドル部12は、駆動部材11が非作動位置にある場合に、弾性部材3からの下向きの付勢力により、ヘッドレスト5の上端部の外表面に当接する。この際に、係合ピン614の上側は、係合孔111が弾性部材3の付勢力で駆動部材11とともに下方へ移動することにより、係合孔111の孔境界の上側と係合する。
【0042】
ここで、駆動部材11は、係合穴111の第1の伝達部1111が係合ピン614の第2の伝達部6140から離れるため、作動操作を調整機構6の従動部材610へ伝達することをしないので、ヘッドレスト5をシート本体4に対して移動することができない。
【0043】
また、図9に示されるように、第2のロックユニット613の係合ロッド6130が歯付ラックに形成されている第1のロックユニット611と係合している。
【0044】
第2に、図3および図5に示されるように、使用者がハンドル部12をヘッドレスト5の上端部から上方に引くと、ハンドル部12が弾性部材3の付勢力を抗してヘッドレスト5の外表面から離れ、駆動部材11を上方に移動させることにより、係合ピン614が係合穴111の孔境界にある第1の伝達部1111と係合し、係合穴111の上側が係合ピン614の上側から離れるようになる。
【0045】
第3に、ハンドル部12を上方に更に引き続けると、図6に示されるように、駆動部材11が作動位置に変換され、駆動部材11により従動部材610が上方へ移動し、図10に示されるように、第2のロックユニット613の係合ロッド6130が第1のロックユニット611と係合しないようになる。この際に、シート本体4に対するヘッドレスト5の高さを調整することができる。
【0046】
ここで、弾性部材3が駆動部材11とシート本体4との間で引っ張られて復元力を蓄える。
【0047】
第4に、シート本体4に対するヘッドレスト5の高さを調整した後、ハンドル部12を解放して、弾性部材3の復元力でハンドル部12がヘッドレスト5の上端部に当接される状態、すなわち、駆動部材11が非作動位置へ戻る。
【0048】
これによって、ヘッドレスト5のシート本体4に対する位置または高さを調整することができる。
【0049】
なお、ここでハンドル部分12の作動操作は、係合穴111の上側で駆動部材11によって伝達されず、係合ピン614の上側で従動部材610によって受けられないため、係合孔111の上側は、駆動部材11の第1の伝達部1111ではない上、係合ピン614の上側は、従動部材610の第2の伝達部6140ではない。
【0050】
要するに、駆動部材11および従動部材610における一者は、係合穴111を有している一方、駆動部材11および従動部材610における他の一者は、係合穴111に挿入している係合ピン614を有しており、且つ、第1の伝達部1111は、係合穴111および係合ピン614における一者に位置している一方、第2の伝達部6140は、係合穴111および係合ピン614における他の一者に位置している。
【0051】
なお、本実施形態では、駆動部材11に係合孔111を設け、従動部材610に係合ピン614を設けるが、それに限定されず、他の実施形態において従動部材610に係合孔111を設け、駆動部材11に係合ピン614を設けてもよい。この場合、駆動部材11の第1の伝達部1111は、係合ピン614の上側に位置し、従動部材610の第2の伝達部6140は、係合穴111の上側に位置する。
【0052】
総括すると、本発明に係るシート装置100は、操作ユニット1の駆動部材11が非作動位置にある状態で操作ユニット1のハンドル部12がヘッドレスト5の外表面に当接することによって、ヘッドレスト部5の位置を調整しようとする場合に操作者が調整機構6を作動させるための操作ユニット1のハンドル部12を特に探すことなく、当該ハンドル部12を直接にヘッドレスト5の外表面から離間するように操作して、駆動部材11が作動位置に移動してヘッドレスト5のシート本体4に対する移動を行なうことができる。
【0053】
よって、本発明に係るシート装置100は、ヘッドレスト5の高さを調整しようとする場合に、従来よりも操作しやすくて、使用上の便利さも美観も向上させることができる。
【0054】
上記においては、本発明の全体的な理解を促すべく、多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るシート装置は、ヘッドレストの高さを調整しようとする場合に、操作ユニットのハンドル部を特に探す必要がないので、使用上の便利さの向上に有用である。そのため、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0057】
100 シート装置
1 操作ユニット
11 駆動部材
111 係合穴
1111 第1の伝達部
112 接続孔
12 ハンドル部
3 弾性部材
4 シート本体
41 背もたれ部
5 ヘッドレスト
50 ガイドフレーム
51 ガイド部材
510 ガイド溝
6 調整機構
610 従動部材
611 第1のロックユニット
613 第2のロックユニット
6130 係合ロッド
614 係合ピン
6140 第2の伝達部
7 ベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10