特許 7290621 岩盤掘進機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-06-05

(45)【発行日】2023-06-13

(54)【発明の名称】岩盤掘進機

(51)【国際特許分類】

   E21D 9/06 20060101AFI20230606BHJP

   E21D 9/12 20060101ALI20230606BHJP

【ＦＩ】

E21D9/06 311Z

E21D9/12 K

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2020214506

(22)【出願日】2020-12-24

(65)【公開番号】P2022100497

(43)【公開日】2022-07-06

【審査請求日】2022-07-19

(73)【特許権者】

【識別番号】598042574

【氏名又は名称】株式会社推研

(74)【代理人】

【識別番号】100139103

【弁理士】

【氏名又は名称】小山 卓志

(74)【代理人】

【氏名又は名称】片寄 武彦

(72)【発明者】

【氏名】田中 基紀

(72)【発明者】

【氏名】原田 正靖

【審査官】彦田 克文

(56)【参考文献】

【文献】特開平０６－１６００９２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭５５－０２３２３５（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開平０４－１１９８９１（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００３－３３６４８３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－１９０６４０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平０６－２４０９９６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ２１Ｄ ９／０６

Ｅ２１Ｄ ９／１２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

筒状部を有する本体と、
前記本体の先端側に設置され岩盤を切削及び破砕するカッター部と、
前記本体内に設置され前記カッター部を駆動するカッター駆動部と、
前記本体内に設置され推進方向と推力を制御する方向推力制御部と、
前記本体内に設置され前記カッター部が切削及び破砕した掘削土を排出する排土機構と、
を備え、
前記本体の筒状部の少なくとも一部に、岩粉又は岩砕を撤去するための開口が形成され、
前記開口を開閉可能に設置される処理扉をさらに備える
ことを特徴とする岩盤掘進機。

【請求項2】

前記処理扉は、前記本体の筒状部の内側から前記開口を開閉可能とするように設置される
ことを特徴とする請求項１に記載の岩盤掘進機。

【請求項3】

前記処理扉は、前記本体の筒状部の中心線を含む水平方向の面より下方に少なくとも１つ形成される前記開口を開閉可能とするように設置される
ことを特徴とする請求項１又は２に記載の岩盤掘進機。

【請求項4】

前記開口は、前記本体の筒状部の中心線を含む鉛直方向の面を中心として左右対称に複数形成され、
前記処理扉は、前記開口を開閉可能とするように、前記本体の筒状部の中心線を含む鉛直方向の面を中心として左右対称に複数設置される
ことを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の岩盤掘進機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、岩盤を掘削してトンネル孔を形成する岩盤掘進機に関する。

【背景技術】

【0002】

岩盤掘進機は、先端にカッターヘッドと前胴を複数の方向制御ジャッキによって接続して構成されている。この掘進機では、カッターヘッドを駆動しつつ掘進機本体の後端に接続した推進管列の最後端に装備した元押ジャッキから付与される推進力によって計画線に沿って推進される。掘進中、切削又は破砕された岩粉又は岩砕の多くは、カッターヘッドの前面に設けられた複数個の開口部よりチャンバ内に取り込まれ、排土機構により後方の立坑側に搬出される。

【0003】

岩盤掘進機の先端外径は、推進管と地山との摩擦抵抗を減じて、安定した推進施工を行うため、推進管外径よりも所定の大きさだけ拡径している。それによって、推進管と地山との間には間隙が形成される。岩盤掘進機は、その間隙に鉱物系や高分子系を主体とした液状の滑材を注入する。その結果、推進管と地山との摩擦抵抗が低減される（特許文献１参照）。

【0004】

しかしながら、破砕された比重の大きい岩粉又は岩砕の一部は、泥水と共に掘進機の周囲に廻り込み、掘進機の前進と共に圧密された状態で掘進機外周の間隙に押し込まれていく。そして、比重が大きい岩砕等は徐々に掘進機の下方へ落ち込んでいき、圧密された固結状態で堆積していく。

【0005】

このため、掘進機下方部に圧密して固結状態で堆積した岩粉又は岩砕が本体を押し上げることとなり、上部の岩盤面に圧接されて掘進機と岩盤の摩擦抵抗が大きくなる。この状態で推進施工が進められると、掘進機や掘進管列の後方外周に岩砕等が堆積して所定の掘削断面寸法が確保されない長いトンネル孔が形成されてしまい、推進管列に係る摩擦抵抗が非常に大きなものとなって、推進施工は困難となる。

【0006】

そこで、掘進機内から外周に高粘性の滑材を注入することによって、先端からの岩粉又は岩砕の侵入を防止する技術が開示されている（特許文献２参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0007】

【文献】特許３１９３２３３号公報

【文献】特開２００９－１１４６７２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

通常の土質条件では、この高粘性の滑材注入によって掘進機外周に掘削土砂が廻り込むことは少なく、安定した推進施工が行える。しかしながら、岩盤推進では、カッターヘッド前面で破砕された比重の高い岩粉又は岩砕は、高粘性の滑材を押しのけながら掘進機と地山の間隙に入り込んで固結状態で堆積する。その結果、固結状態の岩粉又は岩砕が間隙をなくして密接することによって管外周の摩擦抵抗が大きく上昇し、施工が困難になるという問題が発生する。

【0009】

その対策として、高粘性の滑材の注入圧を上げて、掘進機の先端からの岩粉又は岩砕の入り込みを防止する方法がある。しかしながら、岩粉又は岩砕にも前方からの土圧又は水圧等が作用することで、比重が大きく硬い岩砕等は滑材内に容易に入り込んでいくこととなる。

【0010】

本発明は、上記従来の問題を解決するものであって、外周に入り込み下方部に圧密して堆積した岩粉又は岩砕を掘進機後方の推進管列まで侵入させない岩盤掘進機を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0011】

本発明の岩盤掘進機は、
筒状部を有する本体と、
前記本体の先端側に設置され岩盤を切削及び破砕するカッター部と、
前記本体内に設置され前記カッター部を駆動するカッター駆動部と、
前記本体内に設置され推進方向と推力を制御する方向推力制御部と、
前記本体内に設置され前記カッター部が切削及び破砕した掘削土を排出する排土機構と、
を備え、
前記本体の筒状部の少なくとも一部に、岩粉又は岩砕を撤去するための開口が形成され、
前記開口を開閉可能に設置される処理扉をさらに備える
ことを特徴とする。

【0012】

また、本発明の岩盤掘進機では、
前記処理扉は、前記本体の筒状部の内側から前記開口を開閉可能とするように設置される
ことを特徴とする。

【0013】

また、本発明の岩盤掘進機では、
前記処理扉は、前記本体の筒状部の中心線を含む水平方向の面より下方に少なくとも１つ形成される前記開口を開閉可能とするように設置される
ことを特徴とする。

【0014】

また、本発明の岩盤掘進機では、
前記開口は、前記本体の筒状部の中心線を含む鉛直方向の面を中心として左右対称に複数形成され、
前記処理扉は、前記開口を開閉可能とするように、前記本体の筒状部の中心線を含む鉛直方向の面を中心として左右対称に複数設置される
ことを特徴とする。

【発明の効果】

【0015】

本発明にかかる岩盤掘進機によれば、外周に入り込み下方部に圧密して堆積した岩粉又は岩砕を掘進機後方の推進管列まで侵入させないことができる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】本実施形態の岩盤掘進機の断面を示す。

【図2】本実施形態の岩盤掘進機を用いる推進設備を示す。

【図3】本実施形態の掘進虫の岩盤掘進機の状態を示す。

【図4】図３のＡ部分の拡大図を示す。

【図5】本実施形態の岩盤掘進機の閉鎖状態の処理扉を示す。

【図6】本実施形態の岩盤掘進機の処理扉を開放した状態を示す。

【発明を実施するための形態】

【0017】

本実施形態の岩盤掘進機を図により説明する。なお、本明細書では、推進方向の先端を前方とし、推進方向の反対側を後方とする。

【0018】

図１は、本実施形態の岩盤掘進機１の断面を示す。

【0019】

本実施形態の岩盤掘進機１は、筒状部４ａを有する本体４と、本体４の先端側に設置され岩盤を切削及び破砕するカッター部２と、を備える。また、岩盤掘進機１は、本体４の内部に、カッター部２を駆動するカッター駆動部７と、推進方向と推力を制御する方向推力制御部８と、カッター部２が切削及び破砕した掘削土を排出する排土機構９と、を備える。

【0020】

さらに、本実施形態の岩盤掘進機１は、カッター部２の後方に設置されるタレット部３を備える。本実施形態の岩盤掘進機１の本体４は、タレット部３の後方に設置される前胴部４１と、前胴部４１の後方に設置される後胴部４２と、後胴部４２の後方に設置される接続胴４３と、を含む。なお、本体４は、少なくとも１つの胴部があればよく、複数の胴部があってもよい。また、タレット部３は、カッター部２又は本体４に組み込まれてもよい。

【0021】

カッター部２は、先端に設置され岩盤を切削及び破砕するカッターヘッド２１と、カッターヘッド２１が切削及び破砕した掘削土が流入する筒状のチャンバ２２と、チャンバ２２の後方を覆う隔壁２３と、を有し、タレット部３によって回転可能に支持される。

【0022】

カッターヘッド２１は、岩盤強度に応じて、切削型又はローラー型等が選択され使用される。カッターヘッド２１は、複数の種類のビット２１ａを含む。ビット２１ａは、役割に応じて種類及び形状を選択する。例えば、地山を掘削するメインビット、ヘッド２１の中心に設置され地山の掘削及び土砂の撹拌流動化を行うフィッシュテールビット等がある。カッターヘッド２１は、ビット２１ａが摩耗又は破壊した場合、交換してもよい。

【0023】

チャンバ２２は、ヘッド２１が切削及び破砕した掘削土を撹拌し、流動性を促進させる。加えて、チャンバ２２は、切羽の崩壊を防ぐ圧をかけるために泥水を内部に充填する。掘削土は、泥水と混合して、後述する排土機構９によって後方から坑外へ輸送される。

【0024】

隔壁２３は、ヘッド２１が切削及び破砕した掘削土をチャンバ２２内に留めるためにチャンバ２２の後方を覆う。隔壁２３は、ビット２１ａの交換、メンテナンス又は土質サンプリング等を行う際にチャンバ２２内に人が出入り可能な開閉扉を有する。

【0025】

タレット部３は、カッター部２の後方に設置され、本体４の前胴部４１に対してカッター部２を回転可能に支持する。

【0026】

本体４は、内部にカッター駆動部７、方向制御部８、及び、排土機構９を有する。

【0027】

カッター駆動部７は、後胴部４２に支持され回転駆動するカッター用電動機７１と、後胴部４２に支持され回転を減速するカッター用減速機７２と、前胴部４１内でカッター用減速機７２からの回転を前方へ伝達するユニバーサルジョイント７３と、前胴部４１内でユニバーサルジョイント７３から回転を伝達されカッター部２を回転させるスプロケット７４と、を有する。カッター用電動機７１が回転駆動すると、カッター用減速機７２で減速された回転がユニバーサルジョイント７３を介してスプロケット７４に伝達され、カッター部２を回転させる。

【0028】

方向推力制御部８は、図示しない油圧ポンプによって駆動され前胴部４１に対してカッター部２の方向を変更する方向制御ジャッキ８１と、図示しない油圧ポンプによって駆動されカッターヘッド２１を切羽面に押圧する推力点ジャッキ８２と、を有する。方向制御ジャッキ８１が駆動すると、前胴部４１に対してカッター部２が方向を変えて、推進方向が変更する。推力点ジャッキ８２は、図示しない土圧センサーが測定する切羽面の土圧及び土質データ等に基づいた押圧力でカッター部２を押圧する。

【0029】

排土機構９は、後胴部４２に支持され回転駆動するクラッシャーフィーダ駆動部９１と、タレット部３から前胴部４１にかけて設置され、クラッシャーフィーダ駆動部９１によって回転されるクラッシャーフィーダ９２と、を有する。クラッシャーフィーダ駆動部９１が回転すると、カッター部２で切削及び破砕された掘削土がクラッシャーフィーダ９２によって後方に搬送される。

【0030】

排土機構９は、泥水方式では泥水等を還流させる流体輸送方式が用いられ、土圧方式ではトロバケット又は圧送ポンプによる排土方式が用いられる。泥水方式の岩盤掘進機１は、ローラカッター方式、機内クラッシャ方式、ラインクラッシャ方式、排泥管内分離方式等の構造を用いればよい。

【0031】

さらに、泥濃方式では岩盤掘進機１の図示しない排泥バルブから搬出された泥土を坑外に設けた吸引排土設備から吸引力で吸引搬送する方法が採用される。泥濃方式の岩盤掘進機１は、センタシャフト支持方式、外周支持方式等の構造を用いればよい。

【0032】

図２は、本実施形態の岩盤掘進機１を用いる推進設備１００を示す。

【0033】

本実施形態の推進設備１００は、発進立坑１０１に元押ジャッキ１０２を設置し、元押ジャッキ１０２により岩盤掘進機１を押圧する。押圧された岩盤掘進機１は、地山内を計画線に沿って掘進する。掘進した岩盤掘進機１の後方には、推進工法用管１０３が順次継ぎ足されて地中管路１０４が構築される。

【0034】

地上には、滑材を供給する滑材圧送ポンプ１０５が設置される。岩盤掘進機１には、図示しない滑材注入管及び滑材注入孔が設けられる。滑材圧送ポンプ１０５から供給された滑材は、滑材注入管を通り、岩盤掘進機１の滑材注入孔から岩盤掘進機１と地山との間に注入される。

【0035】

岩盤掘進機１は、発進立坑１０１から図示しない到達立坑まで掘進し、トンネル孔を形成することができる。

【0036】

図３は、本実施形態の掘進中の岩盤掘進機１の状態を示す。図４は、図３のＡ部分の拡大図を示す。

【0037】

岩盤掘進機１は、カッターヘッド２１で地山Ｇの岩盤を切削又は破砕しながら推進方向へ進む。切削又は破砕された岩粉又は岩砕Ｂの一部は、泥水等とともに岩盤掘進機１の周囲に廻り込み、岩盤掘進機１の前進とともに圧密された状態で岩盤掘進機１の外周の間隙Ｄに押し込まれていく。岩盤掘進機１の外周の間隙Ｄには、鉱物系又は高分子系を主体とした液状の滑材Ｌが岩盤掘進機１内から注入され、岩盤掘進機１と地山Ｇとの摩擦抵抗を低減する。

【0038】

しかしながら、比重が大きく硬い岩粉又は岩砕Ｂは、前方からの土圧又は水圧等の作用によって、滑材Ｌ内に入り込み、図４に示すように、岩盤掘進機１と地山Ｇとの間隙Ｄの下方に固結状態で堆積する。堆積したまま岩粉又は岩砕Ｂを残してしまうと、摩擦抵抗が大きくなり、施工が困難になってしまう。そこで、本実施形態の岩盤掘進機１は、固結状態で堆積した岩粉又は岩砕Ｂを処理することが可能な処理扉１０を有する。

【0039】

図５は、本実施形態の岩盤掘進機１の閉鎖状態の処理扉１０を示す。

【0040】

本実施形態の岩盤掘進機１は、本体４の筒状部４ａの少なくとも一部に処理扉１０を有する。本実施形態の処理扉１０は、本体４の筒状部４ａの少なくとも一部に形成された開口４ｂに取り付けられる。本実施形態の処理扉１０は、接続胴４３に沿って湾曲した長方形状の開口４ｂと同様の形状に形成される。処理扉１０は、開口４ｂを塞ぐように、ボルト等の少なくとも１つの固定具１０ａによって内部から開閉可能に取り付けられる。なお、開口４ｂは、接続胴４３に限らず、前胴部４１又は後胴部４２に形成されてもよく、処理扉１０は、開口４ｂを塞ぐように前胴部４１又は後胴部４２に設置されてもよい。

【0041】

処理扉１０は内部から開閉可能に取り付けられるので、岩盤掘進機１の後方から内部を通って接続胴４３の内側へ到達した処理者が容易に処理扉１０を開閉させることができる。また、処理扉１０の外縁部と接続胴４３の開口４ｂの内縁部とは、防水シール等を挟んで取り付けられると、水密性が向上できるので好ましい。

【0042】

処理扉１０は、岩盤掘進機１の狭い内部空間で開閉作業が行われるので、人力による移動又は持ち運び可能な大きさが好ましい。処理扉１０の形状は、接続胴４３に沿って湾曲した長方形に限らず、何でもよい。

【0043】

処理扉１０は、接続胴４３の中心線Ｃを含む水平方向の面より下方に少なくとも１つ形成される開口４ｂを開閉可能とするように設置される。比重が大きく硬い岩粉又は岩砕Ｂは、岩盤掘進機１と地山Ｇとの間隙Ｄの下方に堆積する。したがって、開口４ｂは接続胴４３の中心線Ｃを含む水平方向の面より下方に形成され、処理扉１０はその開口４ｂを開閉可能とするように設置されると、岩盤掘進機１と地山Ｇとの間隙Ｄの下方に堆積する比重が大きく硬い岩粉又は岩砕Ｂを、処理者が的確に処理することができるので、好ましい。

【0044】

開口４ｂを複数形成し、処理扉１０も複数設置してもよい。開口４ｂを複数形成する場合、接続胴４３の中心線Ｃを含む鉛直方向の面を中心として左右対称に複数形成されると好ましい。そして、開口４ｂを開閉可能とするように処理扉１０も接続胴４３の中心線Ｃを含む鉛直方向の面を中心として左右対称に複数設置されると、岩盤掘進機１と地山Ｇとの間隙Ｄの下方に堆積する比重が大きく硬い岩粉又は岩砕Ｂを、処理者が効率良く処理することができるので、好ましい。

【0045】

図６は、本実施形態の岩盤掘進機１の処理扉１０を開放した状態を示す。

【0046】

少なくとも１人の処理者は、図２に示した元押ジャッキ１０２の推進力を常に管理することによって、岩粉又は岩砕Ｂの入り込み状況を把握する。元押ジャッキ１０２の推進力に変化が生じた場合、処理者は、岩盤掘進機１の推進施工を一旦停止する。次に、処理者は、岩盤掘進機１の内部から固定具１０ａを外し、図６に示すように、処理扉１０を開放する。続いて、処理者は、開口４ｂから岩粉又は岩砕Ｂを撤去する。次に、処理者は、岩盤掘進機１の内部から固定具１０ａを取り付け、処理扉１０を閉鎖する。続いて、処理者は、岩盤掘進機１の内部から岩盤掘進機１と地山Ｇとの間隙Ｄへ滑材を注入し、間隙Ｄを埋める。その後、岩盤掘進機１の推進施工を再開する。

【0047】

このように、岩盤掘進機１の接続胴４３に開口４ｂが形成され、開口４ｂを開閉可能に処理扉１０が設置されることで、推進力を低く抑えることができ、効率良く推進施工することができる。なお、推進施工時に地下水が存在する場合、圧気工法を併用することによって、安全に岩粉又は岩砕Ｂを処理することができる。

【0048】

以上、本実施形態の岩盤掘進機１は、筒状部４ａを有する本体４と、本体４の先端側に設置され岩盤を切削及び破砕するカッター部２と、本体４内に設置されカッター部２を駆動するカッター駆動部７と、本体４内に設置され推進方向と推力を制御する方向推力制御部８と、本体４内に設置されカッター部２が切削及び破砕した掘削土を排出する排土機構９と、を備え、接続胴４３の一部に開口４ｂが形成され、開口４ｂを開閉可能に設置される処理扉１０をさらに備える。

【0049】

したがって、外周に入り込み下方部に圧密して固結状態で堆積した岩粉又は岩砕を掘進機後方の推進管列まで侵入させない岩盤掘進機を提供することができる。

【0050】

また、本実施形態の岩盤掘進機１では、処理扉１０は、本体４の筒状部４ａの内側から開口４ｂを開閉可能とするように設置される。したがって、岩盤掘進機１の後方から内部を通って接続胴４３の内側へ到達した処理者が容易に処理扉１０を開閉させることができる。

【0051】

また、本実施形態の岩盤掘進機１では、処理扉１０は、本体４の筒状部４ａの中心線Ｃを含む水平方向の面より下方に少なくとも１つ形成される開口４ｂを開閉可能とするように設置される。したがって、岩盤掘進機１と地山Ｇとの間隙Ｄの下方に固結状態で堆積する比重が大きく硬い岩粉又は岩砕Ｂを、処理者が的確に処理することができる。

【0052】

また、本実施形態の岩盤掘進機１では、開口４ｂは、本体４の筒状部４ａの中心線Ｃを含む鉛直方向の面を中心として左右対称に複数形成され、処理扉１０は、開口４ｂを開閉可能とするように、接続胴４３の中心線Ｃを含む鉛直方向の面を中心として左右対称に複数設置される。したがって、岩盤掘進機１と地山Ｇとの間隙Ｄの下方に固結状態で堆積する比重が大きく硬い岩粉又は岩砕Ｂを、処理者が効率良く処理することができる。

【0053】

なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。

【符号の説明】

【0054】

１…岩盤掘進機
２…カッター部
２１…カッターヘッド
２２…チャンバ
２３…隔壁
３…タレット部
４…本体
４ａ…筒状部
４ｂ…開口
４１…前胴部
４２…後胴部
４３…接続胴
７…カッター駆動部
８…方向推力制御部
９…排土機構
１０…処理扉

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】