(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】センサ対応の創傷療法被覆材およびシステムのための流体管理
(51)【国際特許分類】
A61F 13/00 20060101AFI20230606BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20230606BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
A61F13/00 300
A61F13/02 310A
A61F13/02 310F
A61M27/00
(21)【出願番号】P 2020518794
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2018078374
(87)【国際公開番号】W WO2019076967
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ゴワンス
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ヤーベリー・ハートウェル
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ケネス・フレイジャー・グルージョン・ハント
(72)【発明者】
【氏名】リー・イアン・パーティントン
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・ダミアン・フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・クラレンス・キンタナル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・リー・スチュワード
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット・アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】エイミー・ニコール・ウェルドレイク
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03034054(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0022990(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0298927(US,A1)
【文献】国際公開第2017/195038(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/166731(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/00-13/02
A61M27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷に位置付けられるように構成された創傷被覆材
を備え、
前記創傷被覆材が、
1以上の電子構成要素および
1以上の前
記電子構成要素の少なくとも一部を接続する
1以上の電子接続を含む創傷接触層と、
前記創傷接触層の上方の吸水分散層であって、流体の分散を可能にするように構成される、吸水分散層と、
を含む
、創傷監視および/または療法装置。
【請求項2】
前記創傷接触層が、流体が前記創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記吸水分散層が、
少なくとも1つの前
記穿孔から遠隔な位置から
少なくとも1つの前
記穿孔に向かって流体を輸送するように構成される、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記創傷被覆材が、前記創傷接触層の上に位置付けられた二次創傷接触層と、前記二次創傷接触層の上に位置付けられた流体吸収層と、をさらに含み、
前記二次創傷接触層が、流体が前記創傷接触層を通過して前記流体吸収層に入るように構成された少なくとも一つの穿孔を含み、
前記二次創傷接触層の
少なくとも1つの前
記穿孔が、前記創傷接触層の
少なくとも1つの前
記穿孔から水平にオフセットされる、
請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記創傷接触層が実質的に伸縮可能である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記吸水分散層が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成される、
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記吸水分散層が横方向に流体を流すように構成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記吸水分散層が複数の内部層を含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記吸水分散層が少なくとも一方向に伸縮可能である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記吸水分散層が
1以上のスリットを含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記吸水分散層が複数の繊維片を含む、
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記創傷接触層が多孔性層を含む、
請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記創傷接触層がフィルム層を含む、
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記創傷接触層がポリウレタンを含む、
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、様々な治療方法と通信するセンサ対応モニタリングを介した組織の治療のための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
医療のほぼすべての領域が、特に治療中にかかる情報がリアルタイムで収集される場合、治療される組織、器官、またはシステムの状態に関する改善された情報から恩恵を受ける可能性がある。多くのタイプの治療は、センサデータ収集の使用なしに依然として日常的に実施されるが、代わりに、こうした治療は、定量的センサデータではなく、介護者またはその他の限定的手段による目視検査に依存する。例えば、被覆材および/または陰圧創傷療法を介した創傷治療の場合、データ収集は一般的に介護者による目視検査に限定され、また多くの場合、下にある創傷組織は包帯またはその他の視覚障害物によって遮られうる。損傷を受けていない無傷の皮膚でさえ、潰瘍につながりうる血管損傷または深部組織損傷など、裸眼には見えない潜在的な損傷を有しうる。創傷治療と同様に、ギプスまたはその他の覆いで肢の固定化を必要とする整形外科処置中も、限定された情報のみしか下層組織について収集されない。骨プレートなどの内部組織修復の場合、継続的な直接センサ駆動データ収集は実施されない。さらに、筋骨格機能を保持するために使用される留め具および/またはスリーブは、下にある筋肉の機能または肢の動きを監視しない。直接処置の外には、患者パラメータを監視する能力を追加することによって、ベッドおよび毛布などの一般的な病室のアイテムが改善されうる。
【0003】
したがって、特に既存の治療方法に組み込むことができるセンサ対応型基材の使用により、改善されたセンサモニタリングへのニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
一部の実施形態では、創傷監視および/または療法装置は、創傷上に位置付けられるように構成された創傷被覆材を含む。創傷被覆材は、創傷接触層を含み、創傷接触層は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられると創傷に面するように構成された、創傷に面する側面と、創傷に面する側面の反対側の、創傷に面さない側面とを含む。創傷接触層はさらに、創傷に面する側面および非創傷側の一方に位置付けられた複数の第一フロック繊維を含み、複数の第一フロック繊維は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時にフロック層に沿って横方向に創傷流体を移動させるように構成された柔らかい材料を含む。一部の事例では、複数の第一フロック繊維は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷流体がフロック層に沿って横方向、垂直方向、または横方向および垂直方向に分散するのを可能にするように構成された材料を含みうる。一部の事例では、複数の第一フロック繊維は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷接触層を緩衝するように構成された柔らかい材料を含みうる。
【0005】
上記の段落に記載の装置は、以下の特徴のうちの一つまたは複数を含み得る。創傷接触層は、創傷に面する側面または創傷に面さない側面の他方に位置付けられた複数の第二フロック繊維を含みうる。創傷接触層は、流体が創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含みうる。複数の第一フロック繊維は、少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するように構成されうる。創傷被覆材は、創傷接触層の上に位置付けられた二次創傷接触層と、二次創傷接触層の上に位置付けられた流体吸収層とをさらに含みうる。二次創傷接触層は、流体が創傷接触層を通り、流体吸収層内を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含み、二次創傷接触層の少なくとも一つの穿孔は、創傷接触層の少なくとも一つの穿孔から水平にオフセットされうる。複数の第一フロック繊維は、複数の毛またはループとして配置されうる。創傷接触層は、実質的に伸縮可能であってもよい。創傷接触層は、フィルム層および/または多孔性層を含みうる。創傷接触層は、ポリウレタンを含んでもよい。
【0006】
一部の実施形態では、創傷監視および/または療法装置は、創傷上に位置付けられるように構成された創傷被覆材を含む。創傷被覆材は、一つまたは複数の電子構成要素と、一つまたは複数の電子構成要素の少なくとも一部を接続する一つまたは複数の電子接続とを支持する創傷接触層を含む。創傷接触層は、創傷接触層の創傷に面する側面と、創傷接触層の創傷に面する側面の反対側の創傷に面さない側面のうちの少なくとも一方の上に位置付けられた複数の第一フロック繊維を含む。
【0007】
前段落のいずれかの装置は、次の特徴のうちの一つ以上を含み得る。創傷接触層は、創傷に面する側面の反対側の、創傷に面さない側面上に位置付けられた複数の第二フロック繊維を含みうる。創傷接触層は、共形コーティングに実質的に封入されてもよく、複数の第一フロック繊維は、共形コーティングに取り付けられるか、または接着されてもよい。一つまたは複数の電子構成要素のうちの少なくとも一つの電子構成要素は、創傷接触層の創傷に面する側面上に位置付けられてもよく、複数の第一フロック繊維うちのフロック繊維が、少なくとも一つの電子構成要素の下に一つも位置付けられていなくてもよい。創傷接触層は、流体が創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含みうる。複数の第一フロック繊維は、少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するように構成されうる。創傷被覆材は、創傷接触層の上に位置付けられた二次創傷接触層と、二次創傷接触層の上に位置付けられた流体吸収層とをさらに含みうる。二次創傷接触層は、流体が創傷接触層を通り、流体吸収層内に通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含み、二次創傷接触層の少なくとも一つの穿孔は、創傷接触層の少なくとも一つの穿孔から水平にオフセットされうる。複数の第一フロック繊維は、複数の毛またはループとして配置されうる。創傷接触層は、実質的に伸縮可能であってもよい。複数の第一フロック繊維は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷接触層を緩衝するように構成された柔らかい材料を含みうる。創傷接触層は、フィルム層および/または多孔性層を含みうる。創傷接触層は、ポリウレタンを含んでもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、前述の段落の一つまたは複数の装置を使用する、および/または、操作する方法が提供されうる。
【0009】
いくつかの実施形態では、創傷接触層を含む創傷被覆材を含む創傷監視および/または療法装置を操作する方法が提供される。方法は、創傷被覆材が、創傷接触層の創傷に面する側面が創傷の少なくとも一部に接触して配置された状態で、創傷の上に位置付けされるときに、創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通って創傷流体を取り除くことを含み、複数の第一フロック繊維が創傷の少なくとも一部に接触して、創傷接触層の創傷に面する側面上に位置付けられて、少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送する。
【0010】
前段落のいずれかに記載の方法は、以下の特徴の一つまたは複数を含むことができる。創傷被覆材は、創傷接触層の上に位置付けられた二次創傷接触層をさらに含んでもよく、方法は、創傷に面する側面の反対側にある、創傷接触層の創傷に面さない側面上に位置付けられた複数の第二フロック繊維を介して、二次創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通して創傷流体を取り除くことを含み、創傷に面さない側面は、二次創傷接触層に面している。二次創傷接触層の少なくとも一つの穿孔は、創傷接触層の少なくとも一つの穿孔から水平にオフセットされうる。創傷被覆材は、二次創傷接触層の上に位置付けられた流体吸収層をさらに含むことができ、方法はさらに、二次創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通して取り除かれた流体を吸収層に貯蔵することを含みうる。方法は、陰圧を使用して創傷流体を取り除くことをさらに含みうる。方法は、複数の電子接続によって相互接続された複数の電子構成要素によって創傷の測定値を取得することをさらに含みうる。
【0011】
一部の実施形態では、創傷監視および/または療法装置は、創傷上に位置付けられるように構成された創傷被覆材を含む。創傷被覆材は、一つまたは複数の電子構成要素と、一つまたは複数の電子構成要素の少なくとも一部を接続する一つまたは複数の電子接続とを含む創傷接触層を含む。創傷被覆材は、創傷接触層の上の吸水分散層をさらに含み、吸水分散層は流体の分散を許可するように構成される。
【0012】
前段落のいずれかの装置は、次の特徴のうちの一つ以上を含み得る。創傷接触層は、流体が創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含みうる。吸水分散層は、少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するように構成されうる。創傷被覆材は、創傷接触層の上に位置付けられた二次創傷接触層と、二次創傷接触層の上に位置付けられた流体吸収層とをさらに含みうる。二次創傷接触層は、流体が創傷接触層を通り、流体吸収層内に通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含み、二次創傷接触層の少なくとも一つの穿孔は、創傷接触層の少なくとも一つの穿孔から水平にオフセットされうる。創傷接触層は、実質的に伸縮可能であってもよい。吸水分散層は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷接触層を緩衝するように構成されうる。吸水分散層は、横方向に流体を流すように構成されてもよい。吸水分散層は、複数の内部層を含んでもよい。吸水分散層は、少なくとも一方向に伸縮可能であってもよい。吸水分散層は、一つまたは複数のスリットを含んでもよい。吸水分散層は、複数の織物を含んでもよい。創傷接触層は、多孔性層および/またはフィルム層を含みうる。創傷接触層は、ポリウレタンを含んでもよい。
【0013】
一部の実施形態では、創傷監視および/または療法装置は、創傷上に位置付けられるように構成された創傷被覆材を含む。創傷被覆材は、創傷接触層を含み、創傷接触層は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に創傷に面するように構成された創傷に面する側面と、創傷に面する側面と反対側に、創傷に面さない側面とを含む。創傷接触層はさらに一つまたは複数の糸を含み、糸の第一の部分は、創傷接触層の厚さを横切って延び、糸の第一の部分は、創傷に面する側面から創傷に面さない側面に創傷流体を輸送するように構成される。
【0014】
前段落のいずれかの装置は、次の特徴のうちの一つ以上を含み得る。糸の第二の部分は、創傷接触層の創傷に面する側面または創傷に面さない側面に沿って横方向に延在してもよく、糸の第二の部分は創傷流体を横方向に輸送するように構成されている。一つまたは複数の糸は、創傷接触層に対してマシンエンブロイダリーされてもよい。一つまたは複数の糸はさらに、ループ形状に配置されたループ部分を含み、創傷に面する側面および/または創傷に面さない側面から離れて延びてもよい。一つまたは複数の糸は、創傷に面する側面および/または創傷に面さない側面から延び、糸の複数の緩みのある端を含む房付き部分を含んでもよい。創傷接触層は、流体が創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含みうる。一つまたは複数の糸の少なくとも一部分は、創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通って延びてもよい。一つまたは複数の糸は、流体を流すよう構成されうる。創傷接触層は、実質的に伸縮可能であってもよい。創傷接触層は、一つまたは複数の電子構成要素と、電子構成要素の少なくとも一部を接続する一つまたは複数の電子接続とを支持しうる。
【0015】
一部の実施形態では、創傷監視および/または療法装置は、創傷上に位置付けられるように構成された創傷被覆材を含む。創傷被覆材は、複数の電子構成要素と、複数の電子構成要素の少なくとも一部を接続する複数の電子接続を支持する、可撓性創傷接触層を含む。創傷接触層は、創傷滲出液の流れを許容するように構成された少なくとも一つの穿孔を含む。
【0016】
前段落のいずれかの装置は、次の特徴のうちの一つ以上を含み得る。少なくとも一つの穿孔は、実質的に創傷接触層の中心に位置付けられた第一の穿孔と、創傷接触層の周辺に少なくとも部分的に位置付けられた第二の穿孔とを含みうる。少なくとも一つの穿孔は、実質的に滑らかな側面および/または実質的に滑らかな縁部を含みうる。複数の電子接続は、実質的に丸い角を含んでもよい。少なくとも一つの穿孔は、創傷接触層の厚さに沿って形成される複数の穿孔を含みうる。複数の穿孔は、互いに対して実質的に平行であってもよい。複数の穿孔は、第一および第二の穿孔を含んでもよく、第一の穿孔は、第二の穿孔が形成される第一の方向とは異なる第一の方向に沿って形成される。
【0017】
一部の実施形態では、創傷監視および/または療法装置は、創傷上に位置付けられるように構成された創傷被覆材を含む。創傷被覆材は、創傷の少なくとも一部分と接触して配置されるように構成された、創傷に面する側面を含む接触層を含む。創傷接触層は、創傷流体が創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔をさらに含む。創傷被覆材さらに、創傷接触層の創傷に面する側面に位置付けられた複数の第一フロック繊維と、創傷接触層の上に位置付けられた吸水分散層と、創傷接触層を通り、少なくとも一つの穿孔を通って垂直に延びる一つまたは複数の糸の少なくとも一部分と、を含む。複数の第一フロック繊維は、創傷の少なくとも一部分と接触するよう構成され、少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するように構成されうる。吸水分散層は、流体の分散を可能にするよう構成され、少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するようにさらに構成されうる。一つまたは複数の糸の少なくとも一部分は、創傷に面する側面から創傷に面さない側面へと創傷流体を輸送するように構成される。
【0018】
前段落のいずれかの装置は、次の特徴のうちの一つ以上を含み得る。複数の第一フロック繊維は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷接触層を緩衝するように構成された柔らかい材料を含みうる。吸水分散層は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷接触層を緩衝するように構成されうる。一つまたは複数の糸は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷接触層を緩衝するように構成されうる。創傷被覆材は、圧縮被覆材を含みうる。創傷被覆材は、創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通して創傷流体を移動させるように構成された陰圧源に流体連結されるように構成されうる。
【0019】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材を含む創傷監視および/または療法装置を操作する方法が提供される。方法は、創傷被覆材の創傷接触層の創傷に面する側面が創傷の少なくとも一部分に接触して配置されて、創傷被覆材が創傷の上に位置づけられるよう構成された状態で、創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通って創傷流体を取り除くことを含む。創傷被覆材さらに、創傷接触層の創傷に面する側面に位置付けられた複数の第一フロック繊維と、創傷接触層の上に位置付けられた吸水分散層と、および/または、創傷接触層の厚さを横切り、少なくとも一つの穿孔を通って垂直に延びる一つまたは複数の糸の少なくとも一部分と、を含む。複数の第一フロック繊維は、創傷の少なくとも一部分と接触するよう構成され、少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するように構成されうる。吸水分散層は、流体の分散を可能にするよう構成され、少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するようにさらに構成されうる。一つまたは複数の糸の少なくとも一部分は、創傷に面する側面から創傷に面さない側面へと創傷流体を輸送するように構成される。
【0020】
前段落のいずれかに記載の方法は、以下の特徴の一つまたは複数を含むことができる。複数の第一フロック繊維は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷接触層を緩衝するように構成された柔らかい材料を含みうる。吸水分散層は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷接触層を緩衝するように構成されうる。一つまたは複数の糸は、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられた時に、創傷接触層を緩衝するように構成されうる。創傷被覆材は、圧縮被覆材を含みうる。創傷被覆材は、創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通して創傷流体を移動させるように構成された陰圧源に流体連結されるように構成されうる。
【0021】
以下に開示されるポンプの実施形態のいずれも、および、陰圧創傷療法の実施形態のいずれも含むがこれらに限定しないものとし、本出願に開示された配置または実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれも、新しい配置および実施形態を形成するよう本明細書に開示された配置または実施形態のいずれかのその他の特徴、構成要素、または詳細のいずれとも相互に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここで、本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、例示のみを目的として以下に説明される。
【0023】
【
図1A】
図1Aは、いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システムである。
【
図1B】
図1Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材である。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材に組み込まれるセンサの配置を例示するセンサアレイである。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの実施形態による、センサアレイ部、テール部、およびコネクタパッド端部を含む可撓性のセンサアレイである。
【
図3B-1】
図3Bは、いくつかの実施形態による、異なるセンサアレイの形状を有する可撓性の回路基材である。
【
図3B-2】
図3Bは、いくつかの実施形態による、異なるセンサアレイの形状を有する可撓性の回路基材である。
【
図3D】
図3Dは、いくつかの実施形態による、穿孔された創傷接触層内に組み込まれた可撓性センサアレイである。
【
図3E-1】
図3Eは、いくつかの実施形態による、制御モジュールである。
【
図3E-2】
図3Eは、いくつかの実施形態による、制御モジュールである。
【
図3E-3】
図3Eは、いくつかの実施形態による、制御モジュールである。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施形態による、穿孔を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実施形態による、穿孔を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態による、穿孔を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態による、穿孔を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図6C】
図6Cは、いくつかの実施形態による、穿孔を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図6D】
図6Dは、いくつかの実施形態による、穿孔を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図7A】
図7Aは、いくつかの実施形態による、電気接続および面の設計を図示する。
【
図7B】
図7Bは、いくつかの実施形態による、電気接続および面の設計を図示する。
【
図7C】
図7Cは、いくつかの実施形態による、電気接続および面の設計を図示する。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、穿孔を有するセンサ対応の創傷被覆材の一部分の断面図を図示する。
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による、穿孔を有するセンサ対応の創傷被覆材の一部分の断面図を図示する。
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態による、フロック基材を図示する。
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態による、フロック繊維を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態による、フロック繊維を有するセンサ対応の創傷被覆材の動作を示す。
【
図14】
図14は、いくつかの実施形態による、吸水分散層を有するセンサ対応の創傷被覆材の動作を示す。
【
図15】
図15は、いくつかの実施形態による、吸水分散層を有するセンサ対応の創傷被覆材の動作を示す。
【
図16】
図16は、いくつかの実施形態による、糸を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図17】
図17は、いくつかの実施形態による、糸を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図18】
図18は、いくつかの実施形態による、糸を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図19】
図19は、いくつかの実施形態による、糸を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【
図20】
図20は、いくつかの実施形態による、糸を有するセンサ対応の創傷被覆材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に開示される実施形態は、センサ有効基材を用いた生物組織のモニタリングおよび治療のための装置および方法に関する。本明細書に開示される実施形態は、特定のタイプの組織または傷害の治療またはモニタリングに限定されず、代わりに本明細書に開示されるセンサ可能な技術は、センサ有効基材から利益を得うる任意のタイプの療法に広く適用可能である。一部の実施は、診断および患者管理の両方の決定を行うために、医療提供者によって依頼されたセンサおよびデータ収集を利用する。
【0025】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、無傷なまたは損傷を受けたヒトまたは動物組織の両方の治療で使用するように構成された基材上に取り付けられたセンサの使用、またはその中に埋め込まれたセンサの使用に関する。こうしたセンサは、周囲の組織についての情報を収集し、かかる情報をコンピューティングデバイスまたは介護者に送信して、さらなる治療で利用することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサは、関節炎、温度、または問題を起こしかねないおよびモニタリングを必要とし得るその他の領域を監視するための領域を含む、本体のどこにでも皮膚に取り付けられうる。本明細書に開示されるセンサは、例えば、MRIまたは他の技術を実施する前に、例えば、デバイスの存在を示すために、X線不透過性マーカーなどのマーカーも組み込むことができる。
【0026】
本明細書で開示したセンサ実施形態は、衣服と組み合わせて使用されうる。本明細書に開示されるセンサの実施形態と併用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、ズボン、パンタロン、ドレス、下着、上着、手袋、靴、帽子、およびその他の適切な衣類が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、特定の衣服に溶着されるか、またはその中へと積層されうる。センサ実施形態は、衣服上に直接印刷されてもよく、および/または織物内に埋め込まれていてもよい。微多孔膜などの通気性および印刷可能な材料も適切でありうる。
【0027】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、病院用ベッド内などの緩衝またはベッドパッディングに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特徴などの患者の特徴を監視することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサを含む使い捨てフィルムは、病院用寝具の上に配置され、必要に応じて除去/交換されうる。
【0028】
一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、センサ実施形態が自立しているように、エネルギー収穫を組み込みうる。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、または任意の適切なエネルギー源から収穫されうる。
【0029】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、スポーツ医薬品を含むリハビリテーションデバイスおよび治療で利用されうる。例えば、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、支柱、スリーブ、ラップ、サポート、およびその他の適切な品目で使用されうる。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ヘルメット、スリーブ、および/またはパッドなどのスポーツ機器に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、診断において有用でありうる加速度などの特徴を監視するための保護ヘルメットに組み込まれうる。
【0030】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術デバイス、例えば、Smith & Nephew Inc.によるNAVIO外科手術システムとの協調で使用され得る。実施において、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術デバイスの配置を案内するため、外科手術デバイスと通信しうる。一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可能性のある外科手術部位への血流を監視するか、または外科手術部位への血流がないことを確実にすることができる。さらなる外科手術データは、瘢痕化の防止を補助することおよび影響を受ける領域から遠い領域を監視するために収集されうる。
【0031】
外科手術技術をさらに補助するために、本明細書に開示されたセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、裸眼では直接見えないドレープ下の組織に関する情報を提供しうる。例えば、センサ組み込み可撓性ドレープは、改善された面積集中データ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有しうる。特定の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ドレープの境界または内部に組み込まれて、フェンスを作り出して外科手術室を制限/制御することができる。
【0032】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術の評価にも利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、皮膚および潜在的な切開部位のための下にある組織を監視することによって、可能性のある外科手術部位についての情報を収集するために使用されうる。例えば、灌流レベルまたはその他の適切な特徴は、個別の患者が外科手術合併症のリスクにさらされうるかどうかを評価するために、皮膚の表面でおよび、組織内で深くモニターされうる。本明細書に開示されるものなどのセンサ実施形態は、細菌感染の存在を評価し、抗菌剤の使用のための表示を提供するために使用されうる。さらに、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、褥瘡損傷および/または脂肪組織レベルを特定するなど、深部組織におけるさらなる情報を収集しうる。
【0033】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管モニタリングで利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、心血管系の特徴を監視し、かかる情報を別のデバイスおよび/または介護者に伝達するために、皮膚に載置することができる可撓性の心血管モニターに組み込まれうる。例えば、こうしたデバイスは、パルス速度、血液の酸素化、および/または心臓の電気活性を監視し得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ニューロンの電気活性の監視など、神経生理学的用途に利用されうる。
【0034】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可撓性の移植を含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能なデバイスに組み込まれうる。こうしたセンサ実施形態は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成されうる。いくつかの実施形態では、内部ソースはまた、こうしたインプラントのための電力を提供しうる。
【0035】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、筋肉のラクトース生成または皮膚の表面上の汗の生成など、皮膚の表面上または皮膚の表面下の生化学的活性を監視するためにも利用されうる。いくつかの実施形態では、グルコース濃度、尿濃度、組織圧、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚の水和性、皮膚の浸軟性、および/または皮膚のリッピングなど、その他の特徴を監視し得る。
【0036】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、耳、鼻、および喉(ENT)用途に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、鼻腔路内の創傷モニタリングなど、ENT関連手術からの回復を監視するために利用されうる。
【0037】
以下でより詳細に説明するように、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ポリマーフィルムでの封止などの封止を伴うセンサ印刷技術を包含しうる。こうしたフィルムは、ポリウレタンなど本明細書で説明した任意のポリマーを使用して構築されうる。センサ実施形態の封止は、局所組織、局所的な液体、およびその他の潜在的な損傷源からの電子機器の防水および保護を提供しうる。
【0038】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、以下に開示するように器官保護層に組み込まれうる。このようなセンサ組み込み器官保護層は、対象臓器を保護するとともに、器官保護層が所定位置にあって保護を提供することを確認しうる。さらに、センサ組み込み器官保護層を利用して、血流、酸素化、および器官健康のその他の適切なマーカーを監視することによって、下にある臓器を監視することができる。いくつかの実施形態では、臓器の脂肪および筋肉含有量を監視することによって、移植された臓器を監視するためにセンサ有効な器官保護層を使用しうる。さらに、臓器のリハビリの間など、移植中および移植後の臓器を監視するために、センサ有効な器官保護層を使用しうる。
【0039】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、創傷(以下でより詳細に開示)またはさまざまなその他の用途に対する治療に組み込まれうる。本明細書に開示されるセンサ実施形態の追加的用途の非限定的な例としては、無傷な皮膚のモニタリングおよび治療、血流を監視するための心血管系へ用途、手足の動きおよび骨修復を監視するなどの整形外科用途、電気的衝撃を監視するなどの神経生理学的用途、および改善されたセンサ有効モニタリングから利益を得ることができる任意の他の組織、器官、システム、または状態が挙げられる。
【0040】
創傷療法
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指しうる。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷の防止または最小化、または例えば、陰圧源および創傷被覆材コンポーネントおよび装置などを含む、減圧を伴うまたは伴わない損傷した組織(例えば、本明細書で説明した創傷など)の治療に関連しうる。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を含む、装置およびコンポーネントは、時に総称して本明細書では被覆材と呼ばれる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、減圧せずに利用されるように提供されうる。
【0041】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指しうる。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷、または損傷した組織の治療(例えば、本明細書に記載される創傷など)の防止または最小化に関連しうる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、カット、殴打、またはその他の衝撃によって引き起こされ得る、典型的には皮膚が切断または損傷される生体組織に対する損傷を含みうる。創傷は、慢性または急性の傷害でありうる。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。これらは、予測される期間内の治癒の段階を通して移動する。慢性創傷は典型的には急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わない場合に慢性創傷になることがあり、回復が長くなる。急性から慢性創傷への移行は、患者が免疫化されることによるものでありうる。
【0043】
慢性創傷には、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響する静脈性潰瘍(脚で発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首潰瘍)、末梢動脈疾患、褥瘡、または、表皮水疱症(EB)を含みうる。
【0044】
他の創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡、ストーマ、手術創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
創傷は深部組織損傷も含みうる。深部組織損傷は、政府褥瘡諮問パネル(NPUAP)によって提案される用語であり、褥瘡の固有の形態を記述するものである。これらの潰瘍は、紫色褥瘡、骨張った骨の突起で悪化し傷つく可能性が高い潰瘍、などの用語で、長年、臨床医によって説明されてきた。
【0046】
創傷はまた、本明細書に記載されるように、創傷になるリスクのある組織を含みうる。例えば、リスクのある組織には、骨の隆起を覆う組織(深部組織損傷/損傷のリスクがある)または(例えば、関節置換/外科的変更/再建のため)切断される可能性のある手術前の組織(膝の組織など)を含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される技術を、高度な履物、患者を回転させる、オフロードする(例えば、糖尿病性足潰瘍をオフロードする、など)、感染症の治療、システミックス(systemix)、治療の処理、抗菌物質、構成物質、外科手術、組織の除去、血流への影響、理学療法、運動、入浴、栄養摂取、水分補給、神経刺激、超音波、電子刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌物質、等のうちの一つまたは複数と併用して創傷を治療する方法に関する。
【0048】
別の方法としてまたは追加的に、創傷は、局所陰圧および/または適用された陰圧の使用によって支援されていない(非陰圧療法とも呼ばれる場合もある)従来の高度な創傷ケアを使用して治療されうる。
【0049】
高度な創傷ケアには、吸収性被覆材、閉塞被覆材の使用、創傷被覆材または付属物における抗菌剤および/または清拭剤の使用、パッド(例えば、ストッキングや包帯などのクッション療法または圧縮療法)の使用などを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、創傷の治癒を容易におよび促進するために、創傷に被覆材を適用できる、従来的創傷ケアを使用してこうした創傷の治療を実施することができる。
【0051】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示の創傷被覆材を提供することを含む創傷被覆材を製造方法に関する。
【0052】
開示技術と併せて利用されうる創傷被覆材は、当該技術分野において公知の任意の被覆材を含む。本技術は、陰圧療法および非陰圧療法に適用可能である。
【0053】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、一つまたは複数の吸収層を含む。吸収層は、発泡体または超吸収体でありうる。
【0054】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、多糖類または修飾多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、またはゼラチンまたはその混合物を含む、被覆材層を含んでもよい。リストされたポリマーを含む被覆材層は、陰圧療法または非陰圧療法のいずれかの創傷被覆材層を形成するために有用であることが当技術分野で公知である。
【0055】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、多糖類または修飾多糖類でありうる。
【0056】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスはセルロースでありうる。セルロース材料は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロース(CEC)、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルスルホネートセルロース、セルロースアルキルスルホネート、またはそれらの混合物などの親水性修飾セルロースを含みうる。
【0057】
特定の実施形態では、セルロース材料はセルロースアルキルスルホネートでありうる。硫酸アルキル置換基のアルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、またはブチルなどの1~6個の炭素原子を有するアルキル基を有しうる。アルキル部分は、分枝鎖または非枝鎖状であってもよく、従って好適なプロピルスルホネート置換基は、1-または2-メチル-エチルスルホネートでありうる。ブチルスルホネート置換基は、2-エチル-エチルスルホネート、2,2-ジメチル-エチルスルホネート、または1,2-ジメチル-エチルスルホネートでありうる。アルキルスルホネート置換基は、硫酸エチルでありうる。セルロースアルキルスルホネートは、国際特許第10/061225号、米国特許第2016/114074号、米国特許第2006/0142560号、または米国特許第5,703,225号に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
セルロースアルキルスルホナートは、さまざまな置換、セルロース骨格構造の鎖長およびアルキルスルホナート置換基の構造を有しうる。溶解性および吸収性は置換の程度に依存し、置換の程度が増大するほど、セルロースアルキルスルホナートはますます溶解性になる。溶解性が増加すると、吸収性が増加する。
【0059】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材はまた、上部またはカバー層を含む。
【0060】
本明細書に開示される創傷被覆材の厚さは、1~20、または2~10、または3~7mmでありうる。
【0061】
いくつかの実施形態では、開示技術は、非陰圧被覆材と併せて使用されうる。創傷部位で保護を提供するのに適した非陰圧創傷被覆材は、以下を含みうる:
創傷滲出液を吸収するための吸収層および
使用時に吸収層によって吸収される創傷滲出液の観察を少なくとも部分的に遮断するための遮蔽要素。
【0062】
遮断要素は部分的に半透明であってもよい。
【0063】
遮断要素はマスキング層でありうる。
【0064】
非陰圧創傷被覆材は、吸収性層を見ることができるように遮断要素内またはそれに隣接した領域をさらに含むことができる。例えば、遮断要素層は、吸収層の中央領域の上に提供され、および吸収層の境界領域上には提供されなくてもよい。いくつかの実施形態では、遮断要素は親水性材料であるか、または親水性材料で被覆されている。
【0065】
遮断要素は、三次元ニットスペーサファブリックを含みうる。スペーサ生地は当業界で周知であり、ニットスペーサファブリック層を含みうる。
【0066】
遮断要素は、被覆材を変更する必要性を示すためのインジケータをさらに含みうる。
【0067】
いくつかの実施形態では、遮断要素は、少なくとも部分的に吸収性層の上に、使用中には吸収性層よりも創傷部位から遠くに、層として提供される。
【0068】
非陰圧創傷被覆材は、流体をそれを通して移動させることを可能にするための遮断要素に複数の開口部をさらに含みうる。遮断要素は、所定のサイズまたは重量の分子の通過を選択的に許容または防止するためのサイズ排除特性を有する材料を含んでもよく、または被覆されうる。
【0069】
遮断要素は、600nm以下の波長を有する光放射を少なくとも部分的に遮蔽するように構成されうる。
【0070】
遮断要素は、50%以上の光吸収を減少させるように構成されうる。
【0071】
遮断要素は、CIEのL*値50以上、および必要に応じて70以上をもたらすように構成されうる。いくつかの実施形態では、遮断要素は、CIEのL*値70以上を生み出すように構成されうる。
【0072】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層、発泡層、臭気抑制要素、耐圧層、およびカバー層のうちの少なくとも一つをさらに含みうる。
【0073】
いくつかの実施形態では、カバー層が存在し、カバー層は半透明フィルムである。一般に、半透過性フィルムは500g/m2/24時間以上の蒸気透過性を有する。
【0074】
半透過性フィルムは細菌バリアでありうる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収性層が創傷接触層の上にある。創傷接触層は、創傷部位の上に実質的に流体密封シールを形成するための接着部分を担持する。
【0076】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、単一層として提供される遮断要素および吸収性層を含みうる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は発泡層を含み、遮断要素は、遮断要素の移動によって移動または破壊され得るコンポーネントを含む材料である。
【0078】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は臭気抑制要素を含み、別の実施形態では、被覆材は臭気抑制要素を含まない。存在する時、臭気制御要素は、吸収層または遮断要素内またはそれに隣接して分散されうる。別の方法として、存在する場合、臭気制御要素は、発泡体層と吸収層との間に挟まれた層として提供されうる。
【0079】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材のために開示された技術は、創傷被覆材を製造する方法を含み、その方法は、創傷滲出液を吸収するための吸収性層を提供することと、使用中に吸収性層によって吸収された創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮断要素を提供することと、を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収性層と、吸収性層の上に、さらに吸収層よりも創傷被覆材の創傷に面する側から離れて設けられる遮蔽層とを含み、創傷部位での保護を提供するのに好適であることができる。遮蔽層は、吸収層の上に直接設けられてもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽層は、三次元スペーサ生地層を含む。
【0081】
遮蔽層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を25%以上、または印加の初期面積を増加させる。例えば、シールド層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を50%以上、随意に100%以上、随意に200%以上増加させる。
【0082】
遮蔽層は、2つ以上のサブ層を含んでもよく、第一のサブ層は貫通孔を含み、およびさらなるサブ層は貫通孔を含み、第一のサブ層の貫通孔はさらなるサブ層の貫通孔からずれている。
【0083】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、気体および蒸気を通過することを可能にする透過性カバー層をさらに含んでもよく、カバー層は遮蔽層の上に設けられ、カバー層の貫通孔は遮蔽層の貫通孔からオフセットされる。
【0084】
非陰圧創傷被覆材は、褥瘡の治療に好適でありうる。
【0085】
本明細書に開示される非陰圧被覆材のより詳細な説明は、国際出願公開第2013/007973号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位から滲出液を吸収するための繊維質吸収層と、創傷被覆材の少なくとも一部分の収縮を低減するよう構成された支持層とを含む、多層創傷被覆材としうる。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、液体不透過性フィルム層をさらに含み、支持層は吸収層とフィルム層との間に配置される。
【0088】
本明細書に開示される支持層は、ネットを含みうる。ネットは、それを通って延びる複数の実質的に幾何学的な開口部を持つ幾何学的構造を含みうる。幾何学的構造は、例えば、ポリマー鎖の間に実質的に幾何学的な開口部を形成するために、ポリマー鎖によって実質的に均等に間隔を置いて結合された複数の突起部を含みうる。
【0089】
ネットは、高密度ポリエチレンから形成されうる。
【0090】
開口部は、0.005~0.32mm2の面積を有しうる。
【0091】
支持層は0.05~0.06Nmの引張強さを有しうる。
【0092】
支持層は50~150μmの厚さを有しうる。
【0093】
いくつかの実施形態では、支持層は、吸収層に直接隣接して配置される。典型的には、支持層は、吸収層のトップ面の繊維に結合される。支持層は、結合層をさらに含んでもよく、ここで支持層は、結合層を介して吸収層内の繊維に積層される。結合層は、エチレンビニル酢酸塩接着剤などの低融点接着剤を含みうる。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層の創傷被覆材は、フィルム層を保持層に接着させる接着層をさらに含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、創傷に隣接して位置決めする吸収層に隣接して配置される創傷接触層をさらに含む。多層創傷被覆材は、創傷から吸収層へと滲出液を移動させるための創傷接触層と吸収層との間に流体輸送層をさらに含みうる。
【0096】
本明細書に開示される多層創傷被覆材のより詳細な説明は、出願番号GB1618298.2、2016年10月28日出願のGB特許出願に提供され、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0097】
いくつかの実施形態では、開示された技術が創傷被覆材に組み込まれてもよく、その創傷被覆材は、材料の吸収層の第一の層と材料の第二の層とを含む垂直重複材料を含み、第一の層は不織布繊維のうちの少なくとも一つの層から構築され、不織布繊維は複数の折り目で折り畳まれてプリーツ構造を形成する。いくつかの実施形態ではさらに、創傷被覆材は、材料の第一の層に一時的または永久的に結合された材料の第二の層を含む。
【0098】
典型的には、垂直に折り重ねた材料は、細長く切断されている。
【0099】
いくつかの実施形態では、第一の層は、ひだの深さによって、または切り込みの幅によって決められた深さを有する、プリーツ構造を有する。材料の第一の層は、成形、軽量、繊維系材料、材料の混合または組成物層でありうる。
【0100】
材料の第一の層は、合成、天然、または無機ポリマーで製造された繊維、セルロース系、タンパク質性、または鉱物源の天然繊維のうちの一つまたは複数を含みうる。
【0101】
創傷被覆材は、互いの上に積み重ねられた材料垂直重複材料の吸収性層のうちの二つ以上の層を含んでもよく、二つ以上の層は、同一または異なる密度または組成を有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、材料垂直重複材料の吸収性層のうちの一つの層のみを含みうる。
【0103】
材料の吸収性層は、天然または合成、有機もしくは無機繊維、およびバインダー繊維、または、特定温度で軟化し全体的なブレンドの結合剤として作用するように低溶融温度PETコーティングを用いたバイコンポーネント繊維、通常PET、である。
【0104】
いくつかの実施形態では、材料の吸収性層は、5~95%の熱可塑性ポリマーと、5~95重量%のセルロースまたはその誘導体とのブレンドとすることができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体または被覆材固定剤を含む第二の層を含む。
【0106】
発泡体は、ポリウレタン発泡体でありうる。ポリウレタン発泡体は、開放または閉鎖空孔構造を有しうる。
【0107】
被覆材固定剤は、包帯、テープ、ガーゼ、またはバッキング層を含みうる。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、積層または接着剤によって第二の層に直接結合された材料の吸収性層を含み、第二の層は被覆材固定層に接続されている。接着剤は、アクリル接着剤、またはシリコーン接着剤でありうる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、超吸収性繊維、またはビスコース繊維またはポリエステル繊維の層をさらに含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、バッキング層をさらに含む。バッキング層は、透明または不透明なフィルムでありうる。典型的には、裏当て層は、ポリウレタンフィルム(典型的には透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0111】
本明細書に開示される多層創傷被覆材の詳細な説明は、2016年12月12日に出願された出願番号GB1621057.7、および2017年6月22日に出願された出願番号GB1709987.0の英国特許に提供されており、その各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷被覆材のための吸収性コンポーネントを含み得、コンポーネントが発泡層に結合されたゲル形成ファイバーを含む創傷接触層を含み、発泡層が、接着剤、ポリマー系溶融層、フレームラミネーション、または超音波によって創傷接触層に直接結合される。
【0113】
吸収性コンポーネントは、シート形態でありうる。
【0114】
創傷接触層は、織布または不織布またはニットゲル形状ファブリックの層を含みうる。
【0115】
発泡体層は、開放セル発泡体、または閉鎖セル発泡体であってもよく、一般的には開放セル発泡体でありうる。発泡体層は、親水性発泡体である。
【0116】
創傷被覆材は、被覆材を創傷に接着する接着剤の周辺によって囲まれた、創傷と直接接触する島を形成するコンポーネントを含みうる。接着剤は、シリコーンまたはアクリル接着剤であってもよく、一般にシリコーン接着剤でありうる。
【0117】
創傷被覆材は、創傷から最も遠い被覆材の表面において、フィルム層によって覆われうる。
【0118】
本明細書の上記のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、欧州特許第2498829号に提供されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、高レベルの滲出液を生成する創傷で使用する多層創傷被覆材を含んでもよく、被覆材が、少なくとも24時間で300gm2のMVTRを有する透過層と、滲出液を吸収し、保持することができるゲル形成繊維を含む吸収性コアと、滲出液を吸収性コアに送るゲル形成繊維を含む創傷接触層と、吸収性コア上に位置付けられるキーイング層とを含むことで特徴付けられ、吸収性コアおよび創傷接触層は、被覆材の滲出液の横方向の広がりを創傷領域に制限する。
【0120】
創傷被覆材は、24時間で被覆材の10cm2あたりの流体のうち、少なくとも6g(または8g~15g)に対応する能力を有しうる。
【0121】
創傷被覆材は、化学修飾されたセルロース系繊維であるゲル形成繊維をファブリックの形態で含みうる。繊維は、カルボキシメチルセルロース繊維、一般的にナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を含みうる。
【0122】
創傷被覆材は、横方向の吸い上げ量が毎分5mm~毎分40mmの創傷接触層を含みうる。創傷接触層は、35gm2など25gm2~55gm2の繊維密度を有しうる。
【0123】
吸収性コアは、少なくとも10g/gの滲出液の吸収性を有してもよく、通常、横方向の吸い上げ量は、毎分20mmより少ない。
【0124】
吸収性コアは、重量で最大25%のセルロース系繊維、および重量で75%~100%のゲル形成繊維の範囲のブレンドを有しうる。
【0125】
あるいは、吸収性コアは、重量で最大50%のセルロース系繊維、および重量で50%~100%ゲル形成繊維の範囲のブレンドを有しうる。例えば、混合物は、重量で50%のセルロース系繊維および重量で50%のゲル形成繊維の範囲内である。
【0126】
吸収性コアの繊維密度は、150gm2~250gm2、または約200gm2であってもよい。
【0127】
濡れた場合の創傷被覆材は、その元のサイズ/寸法の25%未満または15%未満の収縮を有しうる。
【0128】
創傷被覆材は、透過層を含んでもよく、層は発泡体である。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体でありうる。
【0129】
創傷被覆材は、可溶性薬剤フィルム層、臭気吸収性層、拡散層、および追加的接着剤層を含む群から選択される、一つまたは複数の層を含みうる。
【0130】
創傷被覆材は、厚さ2mm~4mmであってもよい。
【0131】
創傷被覆材は、キーイング層が吸収性コアを隣接する層に結合するという点で特徴付けられうる。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアの創傷面側または吸収性コアの非創傷面側のいずれかに位置付けられうる。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアと創傷接触層との間に位置付けられる。キーイング層はポリアミドウェブである。
【0132】
本明細書の上記のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、欧州特許第1718257号に提供されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧迫包帯は、浮腫およびその他の静脈障害、ならびに下肢のリンパ障害の治療において使用するために周知である。
【0134】
圧迫包帯システムは、通常、皮膚と圧迫層との間のパディング層を含む複数の層を用いる。圧迫包帯は、静脈性脚潰瘍を処置する等、創傷に有用でありうる。
【0135】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯は、内側の皮膚に面する層と、弾性外層を含む包帯システムを含むことができ、内層は、発泡体の第一の層と、吸収性不織ウェブの第二の層とを含み、内層および外層は、患者の手足周りに巻かれることができるように、十分細長い。このタイプの圧迫包帯は、国際特許第99/58090号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0136】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯システムは、(i)細長い弾性基材と、(ii)発泡体の細長い層であって、前記発泡体層は、前記基材の面に固定され、前記基材の面を横切って横断方向に33%以上、および前記基材の面を横切って長手方向に67%以上延びる、発泡体の細長い層と、を含む、a)内側の皮膚に面した細長い弾性包帯と、b)外側の細長い自己接着弾性包帯であって、前記包帯は、延ばされたときに圧縮力を有する、外側の細長い自己接着弾性包帯と、を含み、使用時には、内側包帯の前記発泡体層は皮膚に面し、外側包帯は内側包帯の上に横たわる。このタイプの圧迫包帯は、国際特許第2006/110527号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0137】
いくつかの実施形態では、米国特許第6,759,566号および米国特許第2002/0099318号に開示されているものなど、その他の圧迫包帯システムがそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
陰圧創傷被覆材
いくつかの実施形態では、そのような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に印加され得る。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0139】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)治療システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減しうる。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援しうる。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0140】
陰圧療法は、大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創または慢性創傷の治療に使用され得る。局所陰圧(TNP)療法または、陰圧創傷療法(NPWT)は、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性のコーティングを置くことと、創傷を囲む患者の組織に対してコーティングを封止する、さまざまな手段を使用することと、陰圧をコーティングの真下に作り出し維持するような手法で、陰圧源(真空ポンプなど)をコーティングに接続することとを伴う。そのような陰圧は、有害なサイトカインまたは細菌を包含する場合がある、過剰な流体を除去しながら同時に、創傷部位で肉芽組織の形成を容易にし、平常の体内炎症プロセスを支援することによって、創傷の治癒を促進すると考えられる。
【0141】
NPWTに使用される被覆材のいくつかは、様々な種類の材料及び層、例えば、ガーゼ、パッド、フォームパッド、または多層創傷被覆材が含まれる。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、バッキング層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith & Nephewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、またはポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用され得る、長いチューブへの接続を提供する、吸引ポートに封止されうる。加えて、Smith & Nephewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するのに使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith & Nephewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0142】
本明細書に使用する通り、減圧または陰圧レベル、例えば-XmmHg、は、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当しうる、通常の周囲の気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0143】
本開示のいくつかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgとすることができる。これらの圧力は、760mmHgでありうる、平常の周囲大気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間でありうる。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用されうる。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用されうる。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給されうる。
【0144】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながりうる。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、正弦波、方形波を使用して、または一つまたは複数の患者の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に陰圧を変化させてもよい。前述に関するさらなる開示を見出すことができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0145】
本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置および方法の実施形態はまた、2013年5月22日に国際出願番号第PCT/IB2013/001469号で出願され、2013年11月28日に国際公開第2013/175306号2として公開された、名称「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」、2015年1月30日に米国特許出願第14/418,908号で出願され、2015年7月9日に米国特許出願公開第2015/0190286号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材コンポーネント、創傷治療装置および方法の実施形態はまた、2011年4月21日に米国特許出願第13/092,042号で出願され、米国特許第2011/0282309号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」、および2015年5月18日に米国特許出願第14/715,527号で出願され、2016年11月24日に米国特許出願公開第2016/0339158 A1号として公開された、名称「FLUIDIC CONNECTOR FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの各開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材のコンポーネントおよび原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含め、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0146】
加えて、本明細書に記載するポンプまたは関連電子機器と組み合わせて、創傷被覆材を含むTNP創傷治療に関係する一部の実施形態はまた、2016年4月26日に国際出願第PCT/EP2016/059329号で出願され、2016年11月3日に国際公開2016/174048号として公開された、名称「REDUCED PRESSURE APPARATUS AND METHODS」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、その開示が本明細書全体において参照によって組み込まれる。
【0147】
陰圧創傷療法システム
図1Aは、創傷くぼみ110の内部に配置される創傷充填材130を含み、創傷くぼみは創傷カバー120によって封止される、陰圧または減圧創傷治療(またはTNP)システム100の実施形態を示す。創傷カバー120と組み合わされた創傷充填材130は、創傷被覆材と呼ばれうる。創傷被覆材は、本明細書に記載されるように、一つ以上のセンサを含みうる。単一または複数の内腔管または導管140は、創傷カバー120と、減圧圧力を供給するように構成されるポンプアセンブリ150とを接続する。創傷カバー120は、創傷空洞110に流体連通することができる。
図1Aに示される実施形態のような本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、ポンプアセンブリは、キャニスタレスポンプアセンブリ(滲出液が、創傷被覆材に集められる、または別の位置に集めるために管140を介して運ばれることを意味する)であることができる。しかし、本明細書で開示されるいくつかのポンプアセンブリの実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、いくつかのポンプアセンブリの実施形態は、被覆材に取付けられ、もしくは被覆材によって支持され、または被覆材に隣接することができる。
【0148】
創傷充填材130は、例えば、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグ等の任意の適切なタイプであることができる。創傷充填材130は、それが実質的に空洞を充填するように、創傷空洞110に適合することができる。創傷カバー120は、創傷空洞110を覆う実質的に流体不浸透性の封止を提供することができる。創傷カバー120は、頂側および底側を有することができ、底側は、創傷空洞110を粘着的に(または任意のその他の適切な手法において)封止する。本明細書で開示される導管140もしくは内腔またはいくつかのその他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意のその他の適切な材料から形成され得る。
【0149】
創傷カバー120のいくつかの実施形態は、導管140の端を受けるように構成される、ポート(図示せず)を有し得る。例えば、ポートは、Smith & Nephewから入手可能なRenays Soft Portであることができる。その他の実施形態では、導管140は、別のやり方では、創傷くぼみ内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創傷くぼみ110に供給するために創傷カバー120を通り抜けるまたはその下にあることができる。導管140は、ポンプアセンブリ150によって提供される減圧圧力を創傷空洞110に供給するように、ポンプアセンブリ150と創傷カバー120との間に少なくとも実質的に密封された流体流路を提供するように構成される、任意の好適な物品であることができる。
【0150】
創傷カバー120および創傷充填材130は、単一な物品または一体型の単一なユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填材が提供されずに、創傷カバーがそれ自体として創傷被覆材とみなされ得る。ついで、創傷被覆材は、導管140を介して、ポンプアセンブリ150といった陰圧源に接続され得る。ポンプアセンブリ150は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用され得る。
【0151】
創傷カバー120は、治療されることになる創傷部位の上に置かれ得る。創傷カバー120は、創傷部位を覆う実質的に密封された空洞またはエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー120は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開およびその他の切開、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適し得る。
【0152】
システムのいくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計される。いくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管140がポンプアセンブリ150から迅速にかつ容易に取り除かれ得るようにポンプアセンブリ150および管140を構成することは、必要に応じて、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にする、または改善することができる。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、管とポンプとの間の任意の好適な連結を有するように構成され得る。
【0153】
ポンプアセンブリ150は、一部の実施において、およそ-80mmHg、または約-20mmHg~200mmHgの陰圧を供給するように構成され得る。これらの圧力は、正常な周囲大気圧に対する相対値であり、つまり、-200mmHgは、実際に則した用語において、約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は約-40mmHgから-150mmHgの間であり得る。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用されうる。また、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。別の方法として、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプアセンブリ150により供給され得る。
【0154】
動作時に、創傷充填材130は創傷空洞110内に挿入され、創傷カバー120は創傷空洞110を密封するように配置される。ポンプアセンブリ150は、創傷充填材130を介して創傷空洞110に送られる陰圧源を創傷カバー120に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管140を通して引き出され、キャニスタ内に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填材130または一つまたは複数の吸収性層(図示せず)によって吸収される。
【0155】
本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態とともに利用され得る創傷被覆材は、Smith & Nephewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys ABおよびPico被覆材を含む。本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態とともに使用され得る陰圧創傷治療システムのこうした創傷被覆材およびその他の構成要素のさらなる説明は、米国特許公開第2011/0213287号、第2011/0282309号、第2012/0116334号、第2012/0136325号および第2013/0110058号において見出され、それらの全体が参照により組み込まれる。その他の実施形態では、その他の好適な創傷被覆材が利用され得る。
【0156】
創傷被覆材の概要
図1Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材155を通る断面図を図示する。
図1Bはまた、いくつかの実施形態による、流体コネクタ160を図示する。創傷被覆材155は、国際特許公開2013/175306A2に記載される創傷被覆材と類似している場合があり、これは参照によりその全体が組み込まれる。あるいは、創傷被覆材155は、明細書に開示するいずれの創傷被覆材の実施形態、または、本明細書に開示する創傷被覆材の実施形態のいずれの数の特徴のいかなる組み合わせでもあり得、治療される創傷部位の上に置かれ得る。創傷被覆材155は、創傷空洞110といった創傷の上に密封された空洞を形成するために配置されてもよい。いくつかの実施形態では、創傷被覆材155は、最上層もしくはカバー層、または任意の創傷接触層222に取り付けられるバッキング層220を含むことが好ましく、それらについて以下により詳細に記載する。これら二つの層220、222は、内部空間またはチャンバを画定するために、共に接合または封止されうる。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分散または伝達し、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適応し得る追加構造と、以下により詳細に説明するであろう他の機能とを含んでもよい。以下に記載するそのような構造の例は、透過層226および吸収層221を含む。
【0157】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0158】
創傷接触層222は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、または、例えば、ホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、または超音波プロセスによって、またはその他のいくつかの方法で穿孔される、あるいは別の方法で液体および気体が透過するようにしたその他の可撓性のある層であってもよい。創傷接触層222は、下表面224(例えば、創傷と向かい合う)および上表面223(例えば、創傷から見て外を向く)を有する。穿孔225は、創傷接触層222の中に貫通孔を含むことができ、流体が層222を通って流れることが可能になる。創傷接触層222は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。いくつかの実施形態では、穿孔は、流体が穿孔を通って流れることを依然として可能にしながら、この要件を満たすほど充分に小さい。例えば、0.025mmから1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。いくつかの構成では、創傷接触層222は、陰圧を創傷に維持するために、吸収性パッドの周りに気密状態をも作り出しながら、被覆材155全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、陰圧が創傷に加えられるとき、創傷接触層を通る流体の、単向性または実質的に一方向または単向性の流れを許可するように構成される。例えば、創傷接触層は、流体が、創傷接触層を通して創傷から流れるのは許可するが、流体が創傷に向かって戻ることは許可しない。特定の事例では、創傷接触層の穿孔は、創傷接触層を通る流体のこうした一方向または単向性の流れを許容するように構成される。
【0159】
創傷接触層222の一部実施形態はまた、任意の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、下部感圧接着剤が、創傷被覆材155の下面224上に提供されてもよい一方、上部感圧接着層は、創傷接触層の上面223上に提供されてもよい。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であり得る感圧接着剤は、創傷接触層の両面上、もしくは任意で選択された片面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層を利用することが、創傷被覆材155を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けになってもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを含んでもよい。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するのを助けてもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全三層は共に孔加工されていてもよい。
【0160】
多孔質材料の層226は、創傷接触層222の上方に置かれ得る。この多孔質層または透過層226により、液体および気体を含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層226によって、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収したときでさえ、外気チャネルが、創傷領域全体に陰圧を伝えるように維持されうることを保証できる。層226は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層226は、三次元構造を有する材料から形成されうる。例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(例えば、Baltex 7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用されうる。
【0161】
いくつかの実施形態では、透過層226は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、編みポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら二つの層の間に挟まれて形成される第三層とを含む、3Dポリエステルのスペーサ布層を含む。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用されうる。
【0162】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用されうることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ生地は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ生地層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0163】
間隔を空けた層のフィラメント数のこの差は、透過層全体の水分の流れを制御するのに役立つ。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層221が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得るカバー層に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0164】
一部の実施形態では、透過層226を横切る(すなわち、最上部および最下部スペーサ層の間に形成されるチャネル領域と垂直に)液体の流れを改善するために、3D織物は、ドライクリーニング剤(限定するものではないが、パークロロエチレンなど)で処理されて、透過層の親水能力を邪魔する可能性がある、前に使用された鉱油、油脂またはワックスなどの、いかなる工業製品をも除去するのに役立ってもよい。続いて、3Dスペーサ生地が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。このプロセスステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0165】
吸収性材料の層221は、透過層226の上に提供され得る。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み、任意で超吸収材料を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。一部の実施形態では、層221もまた、流体を裏当て層220の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0166】
吸収層221の材料はまた、創傷被覆材155に収集された液体が、被覆材内を自由に流れるのを妨げてもよく、被覆材内に収集されるいかなる液体をも包含するように働き得る。吸収層221はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分散するのを助ける。これによって、吸収層の領域における凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層221は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg 114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層221は、超吸収性粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複合材はエアレイドの熱的に結合された複合材である。
【0167】
一部の実施形態では、吸収層221は、層中に渡って分散する乾燥粒子の形態である超吸収性材料を有する、不織りセルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分散させるのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分散させるのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材料に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0168】
陰圧を被覆材155に印加することが可能になるように、隙間、孔またはオリフィス227が裏当て層220に提供される。いくつかの実施形態では、流体コネクタ160は、被覆材155の中に作られるオリフィス227の上で、バッキング層220の最上部に取り付けられるか、または封止され、オリフィス227を通って陰圧を伝える。長い管が、被覆材から流体を汲み上げることが可能になるように、第一端部で流体コネクタ160に、第二端部でポンプユニット(図示せず)に連結されてもよい。流体コネクタが創傷被覆材の最上層に接着する場合、長いチューブは、チューブまたは導管が、流体コネクタから離れて平行に、または実質的に被覆材の最上表面へ延在するような、流体コネクタの第一端部で連結されうる。流体コネクタ160は、アクリル、シアノアクリレート、エポキシ、UV硬化性またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、バッキング層220に接着および封止してもよい。流体コネクタ160は、ショアAスケールで30から90の硬度を有する、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーンまたはポリウレタンといった柔らかいポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体コネクタ160は、柔らかい材料または適合する材料から作られてもよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、流体コネクタ160の下にあるように配置される、少なくとも一つの貫通孔228を含む。貫通孔228は、いくつかの実施形態では、裏当て層の開口部227と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。
図1Bに示す通り、単一の貫通孔は、流体コネクタ160の基礎を成す開口部を生み出すように使用され得る。複数の開口部が、代替として利用されうることは理解されるであろう。加えて、二つ以上のポートが、本開示の特定の実施形態に従って利用されるべき場合、一つまたは二つ以上の開口部が、各流体コネクタと位置を合わせて、吸収層および不明瞭化層に作られてもよい。本開示の特定の実施形態には必須ではないものの、超吸収層に貫通孔を使用することで、吸収層が飽和に近いとき特に、遮断されないままの流体流路を提供しうる。
【0170】
隙間または貫通孔228は、
図1Bに示す通り、オリフィスが透過層226に直接接続するように、オリフィス227の下方の吸収層221に提供され得る。これによって、流体コネクタ160に適用される陰圧を、吸収層221を通過することなく、透過層226へ伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収するとき、創傷部位に適用される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、隙間は吸収層221に提供されなくてもよく、または、代替として、オリフィス227の下にある複数の隙間が提供されうる。さらなる代替の実施形態では、別の透過層などの追加層、または参照することによりその全体が援用される、国際特許出願公開第2014/020440号に記載されるような不明瞭化層が、吸収層221の上およびバッキング層220の下方に提供されうる。
【0171】
裏当て層220は、気体を透過させないが、水蒸気を透過させることができ、創傷被覆材155の幅を横切って延在し得る。例えば、片方の面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であり得る、裏当て層220は、ガスに対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷空洞を封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、バッキング層220と創傷部位との間に作られる。バッキング層220は、被覆材の外周の周りの境界領域で、創傷接触層222に封止することができ、例えば、接着技術または溶接技術によって、空気が境界範囲を通って引き込まれることを保証する。裏当て層220によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。バッキング層220は、ポリウレタンフィルムと、フィルム上に広がる接着パターンとの二つの層を含み得る。ポリウレタンフィルムは透湿性を持つことができ、濡れたときに水透過速度が高まる材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、バッキング層が濡れると、バッキング層の透湿性が増大する。濡れた裏当て層の透湿性は、乾いた裏当て層の透湿性の最大約10倍でありうる。
【0172】
吸収層221は、透過層226の縁と重複するように、透過層226よりも大きい範囲から成ってもよく、それによって、透過層が裏当て層220に接触しないことを保証する。これにより、創傷接触層222と直接接触する、吸収層221の外側チャネルが提供され、滲出液の吸収層へのより急速な吸収に役立つ。さらに、この外側チャネルによって、液体が創傷空洞の外周に貯留できないことが保証され、そうでない場合には、被覆材の周囲の封止部から染み出して、漏出の形成につながる場合がある。
図1Bに図示する通り、吸収層221によって、境界線または境界領域が、吸収層221の端とバッキング層220の端との間に画定されるように、バッキング層220の周囲よりも小さい周囲を画定してもよい。
【0173】
図1Bに示す通り、創傷被覆材155の一実施形態は、流体コネクタ160の下方に置かれる吸収層221に、隙間228を含む。使用中、例えば、陰圧が被覆材155に適用されるとき、流体コネクタの創傷に面する部分は、透過層226と接触してもよく、それゆえ、吸収層221が創傷流体で満たされているときでさえ、創傷部位に陰圧を伝達するのに役立ち得る。いくつかの実施形態によって、裏当て層220を透過層226に少なくとも一部接着させてもよい。いくつかの実施形態では、隙間228は、流体コネクタ11の創傷に面する部分またはオリフィス227の直径よりも、少なくとも1~2mm大きい。
【0174】
例えば、単一流体コネクタ160および貫通孔を伴う実施形態では、流体コネクタ160および貫通孔が、中心から外れた位置に置かれるのが好ましい場合がある。そのような場所では、流体コネクタ160が被覆材155の残余部と比較して持ち上げられるように、被覆材155を患者の上に配置することが可能になってもよい。そのように配置すると、流体コネクタ160およびフィルタ214は、創傷部位への陰圧の伝達を減じるために、時期を早めてフィルタ214を閉塞させ得る創傷流体と、接触する可能性が低くなる場合がある。
【0175】
ここで流体コネクタ160を参照すると、一部の実施形態は、封止面216と、近位端(陰圧源により近い)および遠位端140を有するブリッジ211と、フィルタ214とを含む。密封面216は、創傷被覆材の最上表面に封止される、アプリケータを形成し得る。一部の実施形態では、流体コネクタ160の最下層は、密封表面216を含んでもよい。流体コネクタ160はさらに、一部の実施形態では、流体コネクタの別個の上部層により画定される、密封表面216から垂直に間隔を空ける上表面を含んでもよい。他の実施形態では、上面および下面は、材料の同じ一片から形成されうる。いくつかの実施形態では、封止面216は、創傷被覆材と連通するように、その中に少なくとも一つの開口部229を含んでもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ214は、封止面の開口部229を横切って配置されてもよく、開口部229全体にわたってもよい。封止面216は、創傷被覆材のカバー層に流体コネクタを封止するように構成されてもよく、接着剤または溶接部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、封止面216は、スペーサ要素215がフィルタ214と透過層226との間にギャップを作るよう構成され状態で、カバー層のオリフィスの上に配置されうる。他の実施形態では、密封表面216は、カバー層のオリフィスおよび吸収層220の開口部の上に位置してもよく、流体コネクタ160によって透過層226を通る気流を提供することが可能になる。いくつかの実施形態では、ブリッジ211は、陰圧源と連通する第一流体通路212を含んでもよく、第一流体通路212は、3D編み材料など、前に記載した多孔質層226と同じでもよく、または異なってもよい、多孔質材料を含む。ブリッジ211は、近位端および遠位端を有し、第一の流体通路212を囲むように構成される、少なくとも一つの可撓性フィルム層208、210によって被包することができ、可撓性フィルムの遠位端は、密封表面216に接続する。フィルタ214は、創傷滲出液がブリッジに入ることを実質的に防止するように構成され、スペーサ要素215は、流体コネクタが透過層226に接触するのを防ぐように構成される。これらの要素については、以下により詳細に記載する。
【0176】
一部の実施形態はさらに、第一の流体通路212の上方に位置する、任意の第二の流体通路を含んでもよい。例えば、一部の実施形態によって、第一の流体通路212および被覆材155中への空気経路を提供するように構成され、最上層の近位端に配置される可能性がある、空気漏れ部を提供してもよく、これは、参照することによって全体が援用される、米国特許第8,801,685号に記載する吸引アダプタに類似する。
【0177】
一部の実施形態では、流体通路212は、スペーサがねじれるかまたは折り重なる場合でも、流体が通過することを可能にする、可撓性のある、規格に準拠した材料から構築される。流体通路212の好適な材料には、ポリエチレンまたはポリウレタン発泡体など、連続気泡発泡体を含む発泡体、メッシュ、3D編物、不織材料および流体チャネルを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、流体通路212は、透過層226に関して上に記載したものと、類似の材料から構築されうる。有利なことに、流体通路212に使用されるそのような材料によって、患者の快適性をより増すことが可能になるだけでなく、ねじれるか、または曲がっている間でも、依然として流体通路212が流体を創傷から陰圧源の方へと移動できるような、より大きなねじれ抵抗を提供しうる。
【0178】
一部の実施形態では、流体通路212は、例えば、編みもしくは織りスペーサ布(ポリエステルで編み3D織物Baltex 7970(登録商標)またはGehring 879(登録商標))といったウィッキング生地、または不織布から成ってもよい。選択されたこれらの材料は、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧または吐出された空気を創傷部位へ伝達するために置くことができ、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、流体通路212に与えてもよい。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、いくつかの事例では、流体の吸い上げまたは陰圧の伝達に役立つ場合がある、三次元構造を有しうる。特定の実施形態では、ウィッキング生地を含むある実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、例えば、-40から-150mmHgの間の陰圧療法で使用される通常圧力下において、変わらず陰圧を創傷範囲に伝えることができる。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を含んでもよく、一部の場合には、陰圧の印加状況下において、流体通路212が崩れるのを妨げるのに有用でありうる。他の実施形態では、流体通路212に使用されるウィッキング生地は、1.5mmと6mmとの間であってもよく、より好ましくは、ウィッキング生地は、3mmと6mmとの間の厚さであってもよく、一つまたはいくつかの個別のウィッキング生地層から成ってもよい。他の実施形態では、流体通路212は1.2~3mmの間の厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。いくつかの実施形態、例えば、創傷滲出液などの液体を保持する被覆材と共に使用される吸引アダプタは、流体通路212に疎水性の層を用いてもよく、ガスのみが流体通路212を通って動いてもよい。加えて、前に記載した通り、システムに使用される材料は、適合する柔らかいものであることができ、患者の皮膚に対して圧力を加える創傷治療システムに起因する場合がある、褥瘡および他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。
【0179】
一部の実施形態では、フィルタ要素214は、液体に対して不透過性であるが、気体に対しては透過性があり、液体バリアとして働き、液体が創傷被覆材155から漏れ出ることができないことを保証するように提供される。フィルタ要素214はまた、細菌バリアとして機能しうる。通常、管孔サイズは0.2μmである。フィルタ要素214のフィルタ材料に好適な材料には、MMT範囲からの0.2ミクロンのGore(商標)拡張PTFE、PALL Versapore(商標)200RおよびDonaldson(商標)TX6628を含む。より大きな細孔サイズも使用され得るが、これらは、二次フィルタ層が、完全な生物汚染の封じ込めを保証することを必要とする場合がある。創傷流体は脂質を含有するため、必須ではないものの、例えば、0.2ミクロンのMMT-323の前に1.0ミクロンのMMT-332といった、撥油性フィルタ膜を使用することが好ましい。これにより、脂質が疎水性フィルタを遮断するのを防げる。フィルタ要素は、オリフィスの上のポートもしくはカバーフィルムに取り付けられ得るか、または封止され得る。例えば、フィルタ要素214は、流体コネクタ160に成型されてもよく、または限定するものではないが、UV硬化接着剤などの接着剤を使用して、カバー層の最上部および吸引アダプタ160の最下部の一方または両方に接着してもよい。
【0180】
他のタイプの材料がフィルタ要素214に使用され得ることは、理解されるであろう。より広くは、薄く平坦な一枚のポリマー材料である、微多孔膜を使用することができ、これは数十億もの微細な細孔を包含する。選んだ膜に応じて、これらの細孔は、0.01マイクロメートルから10マイクロメートルより大きいサイズの範囲にありうる。微多孔膜は、親水性(水のフィルタリング)および疎水性(撥水)形態の両方で利用可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、支持層と、支持層上に形成されるアクリルコポリマー膜とを含む。いくつかの実施形態では、特定の実施形態による創傷被覆材155は、疎水性微多孔膜(MHM:microporous hydrophobic membrane)を使用する。多数のポリマーを用いて、MHMを形成しうる。例えば、MHMは、PTFE、ポリプロピレン、PVDFおよびアクリルコポリマーの一つまたは複数から形成されうる。これら任意のポリマーの全てが、疎水性および撥油性の両方であり得る、特定の表面特徴を得るために処理されうる。これらによって、マルチビタミン注入物、脂質、界面活性剤、油および有機溶媒など、表面張力の低い液体を追い払うであろう。
【0181】
MHMは、空気が膜を通って流れることを可能にしながら、液体を遮断する。MHMはまた、潜在的感染エアロゾルおよび粒子を排除する、非常に効率的なエアフィルタである。MHMの単一片は、機械式バルブまたはベントを交換する選択肢として、よく知られる。それゆえ、MHMの組込みによって製品組立費を削減し、利益、および患者に対する費用/利得の割合を改善しうる。
【0182】
フィルタ要素214はまた、例えば、活性炭、炭素繊維布もしくはVitec Carbotec-RT Q2003073発泡体、または類似のものといった臭気吸収材を含んでもよい。例えば、臭気吸収材は、フィルタ要素214の層を形成してもよく、またはフィルタ要素内の疎水性微多孔膜間に挟まれてもよい。それゆえ、フィルタ要素214によって、オリフィスを通してガスを排出することが可能になる。しかしながら、液体、微粒子および病原体は被覆材に包含される。
【0183】
創傷被覆材155は、流体コネクタ160およびフィルタ214と併せてスペーサ要素215を含み得る。こうしたスペーサ要素215を追加することで、流体コネクタ160およびフィルタ214は、吸収性層220または透過層226と直接接触しないよう支持され得る。吸収層220はまた、フィルタ214を透過層226に接触させるための追加的なスペーサ要素として作用し得る。従って、こうした構成により、フィルタ214の使用中の透過層226および創傷液体との接触が、最小化されうる。
【0184】
上記の創傷被覆材の実施形態に類似して、一部の創傷被覆材は、皮膚接触面上にシリコーン接着剤、および裏面上にアクリル接着剤を伴う穿孔創傷接触層を含む。この縁取られた層の上方には、透過層または3Dスペーサ生地パッドが存在する。透過層の上方には吸収層が存在する。吸収層は超吸収不織(NW)パッドを含みうる。吸収層は、周囲をおよそ5mm越えて透過層に接しうる。吸収層は、一つの端部の方に向かう隙間または貫通孔を有しうる。隙間は直径約10mmでありうる。透過層および吸収層の上に、裏当て層がある。裏当て層は、アクリル接着剤でコーティングされた模様である、高水蒸気透過率(MVTR)フィルムでありうる。高MVTRフィルムおよび創傷接触層は、透過層および吸収層を被包して、およそ20mmの周囲境界を作り出す。裏当て層は、吸収層の隙間の上に重なる、10mmの隙間を有しうる。孔の上方には、前述したアパーチャの上に重なる、液体不透過性、気体透過性の半透過性膜(SPM:semi-permeable membrane)またはフィルタを含む、流体コネクタを結合しうる。
【0185】
センサ付き創傷被覆材
本明細書に記載されるように、多数のセンサを組み込む創傷被覆材は、創傷が治癒するにつれて、その創傷の特性を監視するために利用することができる。良好に治癒する創傷、および、治癒しない創傷からのデータを収集することは、創傷が治癒軌道上にあるかどうかを示すための測定基準を特定するための有用な洞察を提供できる。創傷被覆材22は、次の特徴のうちの一つ以上を含み得る。
【0186】
いくつかの実装では、いくつかのセンサ技術が、創傷被覆材、または創傷被覆材装置全体の一部を形成する一つ以上の構成要素で使用され得る。例えば、いくつかの実施形態によるセンサアレイを有する創傷被覆材250および320を示す
図2および
図3Dに示す通り、一つまたは複数のセンサは、
図3Dに示す通りの穿孔創傷接触層であってもよい、創傷接触層上へまたは創傷接触層中へ組み込まれ得る。
図2および
図3Dの創傷接触層は、四角形を有するように示されるが、創傷接触層が、例えば、長方形、円形、楕円形などの他の形を有してもよいことは理解されるであろう。一部の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷面積の上に設置される個々の材料層として提供され、その後、創傷被覆材装置、創傷被覆材装置の構成要素、例えば、ガーゼ、発泡体または他の創傷パッキング材料、超吸収層、ドレープ、PicoまたはAllevyn Life被覆材のような完全統合型被覆材など、によって被覆され得る。他の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、ここに記載するような、単一ユニット被覆材の一部であってもよい。
【0187】
センサ統合型創傷接触層は、創傷と接触して設置でき、流体が創傷の中の組織への損傷を全くまたはほとんど起こさずに、接触層を通過することが可能になるであろう。センサ統合型創傷接触層は、シリコーンなどの可撓性材料から作ることができ、抗菌剤、または当該技術分野で知られる他の治療薬を組み込み得る。一部の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、湿組織または乾燥組織に接着する接着剤を組み込み得る。一部の実施形態では、センサ、またはセンサアレイは、上に記載した吸収層またはスペーサ層など、創傷被覆材の他の構成要素内に取り込まれ得るか、または被包され得る。
【0188】
図2および
図3Dに示す通り、例えば、温度(例えば、25個のサーミスタセンサ、配列5x5、ピッチ~20mm)、酸素飽和度またはSpO2(例えば、4個または5個のSpO2センサ、創傷接触層の中心から縁まで単一直線、ピッチ10mm)、組織色、(例えば、10個の光学センサ、配列2x5、ピッチ~20mm;配列の各列5個のセンサすべてが整列する必要はない)、pH(例えば、pH感受性パッドの色を測定することによって、組織の色用と同じ光学センサを任意で使用)、および伝導度(例えば、9個の伝導性接触部、配列3×3、ピッチ~40mm)用センサを含む、5個のセンサが使用され得る。
図3Aに示す通り、SpO2センサは、創傷接触層の中心からまたは中心付近から、創傷接触層の縁への単一直線状に配設され得る。SpO2センサの直線によって、センサが、様々な領域間の変化を測定するように、創傷の真ん中で、縁もしくは創傷で、または無傷の皮膚上で測定値を得ることが可能になり得る。一部の実施形態では、創傷接触層またはセンサアレイは、創傷の全体表面範囲だけでなく周囲の無傷の皮膚も被覆するように、創傷のサイズよりも大きくなり得る。より大きなサイズの創傷接触層および/またはセンサアレイ、および複数のセンサによって、センサが創傷の中心にのみ設置されていた場合、または一度に領域の一箇所ずつの場合よりも、創傷領域についてより多くの情報を提供しうる。
【0189】
センサは、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または当技術分野で知られている任意の材料と共に、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンナフタレート(PEI)を含む可撓性のポリマーから形成される、可撓性の回路基板に組み込むことができる。センサアレイは二層の可撓性回路の中に組み込まれうる。いくつかの実施形態では、回路基板は、多層の可撓性回路基板でありうる。いくつかの実施形態では、これらの可撓性回路は、創傷被覆材のいかなる層の中にも組み込まれうる。いくつかの実施形態では、可撓性回路は、創傷接触層の中に組み込まれうる。例えば、可撓性回路は、
図1Bを参照して記載した創傷接触層に類似する、創傷接触層の中に組み込まれ得る。創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷領域に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有しうる。
【0190】
一部の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷接触層材料の2層の間に挟まれる可撓性回路基板を伴う、第一のおよび第二の創傷接触層を含み得る。第一の創傷接触層は、創傷と接触するように意図する下表面と、可撓性回路基板と接触するように意図する上表面とを有する。第二の創傷接触層は、可撓性回路基板と接触するように意図する下表面と、創傷被覆材、または創傷被覆材装置全体の一部を形成する、一つ以上の構成要素と接触するように意図する上表面とを有する。第一の創傷接触層の上表面および第二の創傷接触層の下表面は、二層の間に挟まれる可撓性回路基板と共に接着されうる。
【0191】
一部の実施形態では、可撓性回路基板の一つ以上のセンサは、創傷の中の水分または流体との接触を妨げるように、創傷接触層によって完全に被包または被覆され得る。いくつかの実施形態では、第一の創傷接触層は、下表面から突出し、創傷領域に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有しうる。例えば、
図3Dに示す通りの一つ以上のSpO2センサは、創傷接触層の最下表面から突出して示されている。いくつかの実施形態では、SpO2センサは、第一の創傷接触層の下表面上に直接載置されうる。センサおよび電気もしくは電子コンポーネントのいくつかまたはすべては、ポリマー、例えば、シリコーンまたはエポキシベースのポリマーで、埋められるかまたは被包されてもよい(例えば、防水または防液の状態にする)。ポリマーで被包することで、流体進入、およびコンポーネントからの化学物質浸出を防ぎうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層材料は、水が進入したり化学物質が浸出したりしないように、コンポーネントを密閉しうる。
【0192】
一部の実施形態では、創傷に関係する情報を集めて処理する際に、センサアレイ、コントロールまたは処理モジュール、およびソフトウェアを含む、三つの構成要素を利用し得る。三つの構成要素について、本明細書により詳細に記載する。
【0193】
図3Aは、いくつかの実施形態に従い、センサアレイ部分301、尾部分302、およびコネクタパッド端部分303を含む、可撓性センサアレイ回路基材300を示す。センサアレイ部分301は、センサおよび関連回路を含みうる。センサアレイの回路基板300は、センサアレイ部分301から延在する、長い尾部分302を含みうる。コネクタパッド端部分303は、センサアレイ回路からデータを受信するように、制御モジュールもしくは他の処理ユニットに接続することが可能になりうる。長い尾部分302によって、コントロールモジュールを、例えば、創傷から離れた、より都合の良い場所などの、創傷から遠くに配置することが可能になり得る。
【0194】
図3Bは、いくつかの実施形態による、様々な四つのセンサアレイの幾何学形状301A、301B、301C、301Dを有する可撓性の回路基板の実施形態を示す。図示した実施形態は、尾部分302A、302Bを含む。302C、および302D。いくつかの実施形態では、可撓性の回路基板は、短い部分を含むか、またはテール部分を含まない。いくつかの実施形態では、四つの異なるセンサアレイ形状は、可撓性回路に実装され得る。
図3Bは、四つの異なるセンサアレイ形式および構成を示すが、設計301Bおよび302Bは、スポンサーアレイ301Bとコントロールモジュールとの間の電気または電子接続部を提供するように構成されたコネクタパッド端部分303も含む。301A、301C、または301Dの設計のうちの一つまたは複数は、部分303といった、コネクタパッド端部分を含み、可撓性回路基板301A、301C、または301Dがコントロールモジュールまたはその他の処理ユニットと通信できるようにする。いくつかの実施形態では、センサアレイはコントロールモジュールと無線通信し、尾部分は省略されてもよい。
【0195】
図3Cは、
図3Bのセンサアレイ設計のセンサアレイ部分301Bを、より詳細に示す。
図2または
図3A~
図3Dの実施形態のうちのいずれか一つまたは複数では、センサアレイ部分が、創傷接触層などの創傷被覆材構成要素の周囲近辺、または創傷被覆材構成要素の外縁から内向きのいずれかに延在する複数の部分を含み得る。例えば、図示する実施形態は、創傷被覆材構成要素の縁に平行で、一部の実施形態では、創傷被覆材構成要素の全体周囲を辿ってもよい、複数の直線延在部分を含む。いくつかの実施形態では、センサアレイ部分は、第二の複数の平行な直線延在部分と垂直である、第一の複数の平行な直線延在部分を含みうる。これらの直線延在部分はまた、異なる長さを有してもよく、創傷被覆材コンポーネントの内部の中で、内向きに異なる場所へ延在してもよい。センサアレイ部分は、創傷被覆材コンポーネント全体を被覆しないことが好ましく、そのため、センサアレイの部分間に割れ目が形成される。
図2に示す通り、これにより、一部、および場合により大多数の創傷被覆材構成要素のカバーを、センサアレイによって取ることが可能になる。例えば、
図2および
図3Dに示す通りの穿孔創傷接触層に対して、センサアレイ部分301は、創傷接触層の大多数の穿孔を遮断しなくてもよい。いくつかの実施形態では、センサアレイはまた、流体の流れへの穿孔の遮断を最小化するために、創傷接触層の穿孔に合致するように穿孔されてもよく、または形作られてもよい。
【0196】
図3Dは、一部の実施形態に従い、穿孔創傷接触層320に組み込まれる可撓性センサアレイを示す。示す通り、センサアレイは、二つのフィルムまたは創傷接触層の間に挟まれ得る。創傷接触層は、創傷滲出液が被覆材の中へ流れるのが可能になる一方で、創傷被覆材の中への組織内殖を妨げるのに役立つほど充分小さい、上に記載した通りのスリットまたは孔として形成される穿孔を有しうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、統合型センサアレイを伴う創傷接触層の可撓性を増大させる、一つまたは複数のスリットを有しうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層のうちの一つは、センサが皮膚に直接接触し得るように、センサを収容する余分な切り取り部を有しうる。
【0197】
センサアレイの接続性は、利用される様々なセンサおよびセンサアレイ設計によって変化し得る。一部の実施形態では、例えば
図3Bに示す通り、総計79個の接続部を使用して、センサアレイの構成要素を接続し得る。センサアレイは、40本、ピッチ0.5mmの平行フラットフレキシブルケーブル(FFC)の二つの接触表面で終端することができ、最上表面上に端子を伴い、Molex 54104-4031などのFFCコネクタに接続するように設計される。
【0198】
いくつかの実施形態では、サーミスタ、導電率センサ、Spo2センサ、または色センサのうちの一つまたは複数を、センサアレイ上で使用して、創傷の状態に関連する情報を提供することができる。センサアレイおよび個々のセンサは、創傷の治癒を監視する際に、臨床医を支援しうる。一つまたは複数のセンサは、創傷および創傷治癒特徴に関係するデータを提供するように、個々にまたは互いと連携して動作しうる。
【0199】
温度センサは、温度を測定するために、熱電対またはサーミスタを使用し得る。サーミスタは、基礎を成す創傷の温度、もしくは創傷被覆材内の熱環境を測定または追跡するように使用され得る。温度計は較正することができ、センサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理されうる。いくつかの実施形態では。周囲空気温度を測定する周囲センサは、環境温度シフトに関連する問題の排除を支援するためにも使用できる。
【0200】
光学センサを使用して、照射源のあるRGBセンサを使用して、創傷の外観を測定することができる。いくつかの実施形態では、RGBセンサおよび照射源の両方は、皮膚に押し付けることができ、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈するであろう。
【0201】
組織の中の光伝播は、二つの主要な現象である、散乱および減弱によって支配され得る。減弱に対して、光が組織を通過するとき、組織の様々な構成要素による吸収のために、光の強度が損なわれる場合がある。青色光は、大きく減衰する傾向がある一方、スペクトルの赤末端の光は、最も減衰が少ない傾向がある。
【0202】
散乱過程はより複雑である場合があり、考慮しなくてはならない様々な「レジーム」を有し得る。散乱の第一態様は、入射光の波長と比較した、散乱中心のサイズに基づく。散乱中心が光の波長よりもかなり小さい場合、レイリー散乱が想定されうる。散乱中心が光の波長ほどである場合、より詳細なミー散乱の定式化を考慮しなくてはならない。散乱光に関与する別の要素は、散乱媒質の投入と排出との間の距離である。光の平均自由行程(散乱事象間の距離)が、動く距離よりもかなり長い場合、弾道的光子輸送が想定される。組織の場合、スキャット事象はおよそ100ミクロン離れているため、1mmの行程距離により、光子の方向を効果的にランダム化し、システムは拡散性レジームに入るであろう。
【0203】
超高輝度発光ダイオード(LED)、RGBセンサ、およびポリエステル光フィルタを光学センサの構成要素として使用して、組織色分化を通して測定する。例えば、表面の色は反射光から測定し得るため、色は、所与の形状に対して最初に組織を通過した光から測定されうる。これは、拡散した散光、すなわち、皮膚と接触するLEDからの色の感知を含みうる。いくつかの実施形態では、LEDは、組織を通って拡散した光を検出するように、すぐ近くのRGBセンサと共に使用されうる。光学センサは、拡散した内部の光または表面反射光で撮像しうる。
【0204】
加えて、光学センサが、自己蛍光を測定するように使用され得る。組織は一つの波長で光を吸収し、別の波長で放出しているため、自己蛍光が使用される。加えて、死んだ組織は自己蛍光を発することができないため、これは、組織が健康か否かに関する非常にはっきりとした指標となりうる。そのような浅い侵入深さを有する青色光(または、さらにUV光)によって、例えば、非常に特有の波長で自己蛍光を発するであろう健康な組織に対して、バイナリテストとして働くように、すぐ近くの赤に敏感なフォトダイオード(または、一部の他の波長がシフトされたバンド)によるUV光を有することは、非常に有用である場合がある。
【0205】
伝導度センサは、生きている組織と死んだ組織との間の差を判定するか、または病的組織の中で開いている創傷による、インピーダンスの変化を示すかに使用され得る。伝導度センサは、Ag/AgCl電極およびインピーダンス分析器を含みうる。伝導度センサは、周囲の組織/範囲のインピーダンスを測定することによって、創傷が大きくなった領域のインピーダンスの変化を測定するように使用されうる。一部の実施形態では、センサアレイは、創傷サイズまたは創傷の形の変化による、周囲の電極上の伝導度の変化を測定するように、伝導度センサを利用し得る。一部の実施形態では、伝導度センサは、創傷床の中でまたは創傷の周囲で使用され得る。
【0206】
一部の実施形態では、pHが変化するパッドがpHセンサとして使用され得る。分光計、および広帯域の白色光源は、pH色素のスペクトル応答を測定するように使用されうる。照明および撮像は、創傷と接触している創傷被覆材の表面上と、流体適用と同じ面にある最下表面上とに提供されうる。代替として、いくつかの実施形態では、照明および撮像源は、最下表面に対向し、流体適用から離れた創傷被覆材の表面、または被覆材の最上表面上に提供されうる。
【0207】
一部の実施形態では、パルスオキシメトリSpO2センサが使用され得る。血液がどのように酸素化され、拍動血がどのように流れるのかを計測することを、観察することができる。パルスオキシメトリ測定は、二つの異なる光波長で、光吸収/透過の時間分解測定を行うことによって機能する。ヘモグロビンが酸素化されるとき、その吸収スペクトルが非酸素化血液に関して変化する。二つの異なる波長で測定を行うことによって、一方で、血液を酸素化する方法の比率を用いた測定尺度を得る。
【0208】
センサアレイの中の構成要素は、複数の接続によって接続され得る。一部の実施形態では、サーミスタは、五個一組で配設され得る。各サーミスタは名目上10kΩであり、五つの各グループは共通の接地を有する。五組のサーミスタがあり、全部で30個の接続部を供給する。一部の実施形態では、九個の伝導性端子が存在し得る。各伝導性端子は一つの接続部を必要とし、全部で9個の接続部を供給する。一部の実施形態では、五個のSpO2センサが存在し得る。SpO2センサは、電力および接地(これらは別途被覆される)に加え三つの接続部を必要とし、全部で15個の接続部を供給する。一部の実施形態では、10色のpHセンサが存在し得る。各色センサは、RGB LEDおよびRGBフォトダイオードを含む。各色センサは六個の接続部を必要とするが、しかしながら、これらのうちの五個は全センサに共通し、全部で15個の接続部を供給する。電力および設置は別途考慮される。一部の実施形態では、5個のpHセンサが存在し得る。pHセンサは色が変化するディスクであることができ、上に記載した色センサを使用して感知され得る。そのため、pHセンサは追加の接続部を必要としない。三つの電源レールおよび七個の接地リターン信号があり、全部で10個の共通接続部を供給し得る。いくつかの実施形態には、25サーミスタ(Murata NCP15WB473E03RC)、9導電率端子、5Spo2(ADPD144RI)、10RGB LED(KPTF-1616RGBC-13など)、10個のRGB色センサ、10FET、プリント回路基板(PCB)、および組立品を含み得る。
【0209】
本明細書に記載されるように、制御モジュールは、センサアレイと連動するように使用され得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、センサを駆動するように、バッテリなどの電源および電子機器を包含し得る。またコントロールモジュールにより、適切な間隔でデータのログを取り、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部コンピュータデバイスへの、データ転送が可能となり得る。コントロールモジュールは、センサアレイで使用されるセンサと、センサにより収集されるデータとによって、様々な特徴部を有するようにカスタマイズされ得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、数週間継続して身に着けられるほど、充分快適で小型であり得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材近くまたは創傷被覆材上に位置し得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材および付随のセンサアレイから遠隔の場所に位置し得る。コントロールモジュールは、被覆材上、被覆材近くまたは創傷被覆材から遠隔に位置していても、電線を介してまたは無線通信によって、センサアレイおよび創傷被覆材と通信し得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、異なるセンサアレイと共に利用されるように適応することができ、センサアレイの容易な交換が可能となり得る。
【0210】
一部の実施形態では、コントロールモジュールは、以下の表1に列挙する特徴を含むが限定はされない、様々な要件および特徴の組み合わせを含み得る。
【0211】
【0212】
図3Eは、一部の実施形態に従う、コントロールモジュールのブロック
図330を示す。制御モジュールのブロック図は、伝導度ドライバの特性を表示する、伝導度ドライバボックス391を含む。ボックス392は、サーミスタインターフェースの特性を示し、ボックス393は光インターフェースの特性を示す。コントロールモジュールは、ボックス394に示されるものと類似の特徴を伴う、コントローラまたはマイクロプロセッサを含み得る。リアルタイムクロック(RTC)、状態LED、USBコネクタ、シリアルフラッシュおよびデバッグコネクタは、
図3Eに示す通り、コントロールモジュールの特徴部として含まれ得る。
【0213】
一部の実施形態では、マイクロプロセッサは、次の特徴のうちの一つ以上を有し得る。2.4GHzまたは好適なアンテナを備えた別の適切な周波数無線395(統合型または外付けのいずれか)、付属のBluetoothソフトウェアスタック、SPIインターフェース、USB(または外部USBドライバの場合はUART)、I2C、3チャネルPWM、32 GPIO、または6チャネルADC。いくつかの実施形態では、デバイスは、盛り上がりを作る制限から、少なくとも48個のI/Oピン、または場合によりそれ以上を必要としうる。Bluetoothスタックは通常、20kB未満の搭載フラッシュを必要とするため、最低32kBが必要とされうる。いくつかの実施形態では、複雑なデータ処理を考慮する場合には、64kBが必要とされうる。プロセッサコアは、ARM Cortex M4または類似のプロセッサコアでありうる。いくつかの実施形態では、部品は、外部無線機、もしくは統合無線機を含むNXPのKinetis KWクラスを必要とし得る、STのSTM32L433LCまたはSTM32F302R8を含むだろう。
【0214】
一部の実施形態では、コントロールモジュールは、メモリ構成要素を含むことができ、ローカルストレージの量は、センサのサンプル速度および解像度による。例えば、推定されるデータ要件である256Mb(32MB)は、いくつかの製造業者(Micron、Spansion)のシリアルフラッシュデバイスを使用することによって満たされ得る。
【0215】
コントロールモジュールは、一つ以上のアナログスイッチを利用し得る。いくつかの実施形態では、優れたオン抵抗および合理的な帯域幅を伴うアナログスイッチが使用されうる。例えば、Analog DevicesのADG72またはNXPのNX3L4051HRが使用されうる。初期システムアーキテクチャに基づき、これらのうちの8つが必要となる。
【0216】
コントロールモジュールは、バッテリなどの電源を組み込み得る。例えば、300mWh/日のバッテリが使用されうる。7日間で2100mWhである。これは、10日間分の非充電式ER14250(直径14.5mm×25mm)LiSOCl2セル、または7日間分の充電式Li 14500(直径14.5mm×500mm)Li-Ionにより提供されうる。
【0217】
コントロールモジュールは、リアルタイムクロック(RTC)を組み込み得る。RTCは、結晶を伴ういずれのRTCデバイスより選ばれうる。制御モジュールはまた、種々の抵抗器、コンデンサ、コネクタ、充電コントローラおよび他の電力供給部も含みうる。
【0218】
コントロールモジュールのPCBは、およそ50mm×20mmまたは25mm×40mmの4層基板であり得る。使用されるPCBのタイプは、センサアレイへの接続要件によって大部分駆動されうる。
【0219】
コントロールモジュールの筺体は、センサアレイまたはバッテリを充電するために、容易にアクセスが可能になるクリップ特徴部を伴う、二つの部分から成る成形品であり得る。
【0220】
センサアレイを通して収集されるデータは、コントロールモジュールを通過し、ホストソフトウェアにより処理され得る。ソフトウェアは、コンピューティングまたは処理デバイス上で実行されてもよい。処理デバイスは、PC、タブレット、スマートフォン、またはホストソフトウェアを実行可能な他のコンピュータであってもよい。ソフトウェアを実行する処理デバイスは、電線を通してまたは無線通信によって、コントロールモジュールと通信し得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、ビッグデータ解析を実施するのではなく、コントロールモジュール上に保管するデータへのアクセスを提供するように構成されてもよい。ホストソフトウェアは、BluetoothまたはUSBを介した、コントロールモジュールに対するインターフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、ホストソフトウェアは、コントロールモジュールの状態読み取り、コントロールモジュールからのログデータのダウンロード、コントロールモジュールへのサンプル速度制御のアップロード、コントロールモジュールデータのビッグデータ解析エンジンによる処理に好適な形式への変換、または解析エンジンによる処理用クラウドへのデータのアップロードを行い得る。
【0221】
ソフトウェアは、PC(Windows/Linux(登録商標))、タブレットもしくはスマートフォン(Android/iOS)、または複数のプラットフォーム向けに開発されてもよい。
【0222】
センサおよびその他の関連システムを備えた創傷被覆材の追加の実施形態は、2017年5月12日出願の国際出願PCT/IB2017/000693号、名称「SENSOR ENABLED WOUND MONITORING AND THERAPY APPARATUS」に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0223】
いくつかの実施形態では、陰圧の源(ポンプなど)、ならびに電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェースコンポーネント(例えば、ボタン、スイッチ、スピーカ、画面など)および同類のものなど、局所陰圧システムの他のコンポーネントの一部またはすべては、創傷被覆材と一体化しうる。いくつかの実施形態では、構成要素は、バッキング層の最上部下方、最上部内、最上部上、またはバッキング層に隣接して統合され得る。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、創傷被覆材の層、および統合された構成要素のいずれの上に、位置決め用第二のカバー層または第二のフィルタ層を含み得る。第二カバー層は、被覆材の一番上の層であることができ、または局所陰圧システムの統合されたコンポーネントを取り囲んでいた、別個の外皮でありうる。
【0224】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0225】
センサ対応の創傷被覆材
図4は、いくつかの実施形態による、センサ対応の創傷被覆材22を示す。本明細書に記載されるように、創傷被覆材22は、実質的に可撓性の創傷接触層を含みうる。図示されるように、一つまたは複数の電気接続、トラック、またはトレース27によって接続された一つまたは複数のセンサ26が、創傷被覆材22上に位置付けられるか、またはその中に埋め込まれる。例えば、一つまたは複数のセンサおよび電気接続は、創傷接触層上に位置付けられうる。また、創傷被覆材22をコントローラモジュールに接続するためのコネクタ28も示されている。本明細書に記載されるように、一部の実施形態では、創傷被覆材22の一つまたは複数のセンサ26は、インピーダンス、温度、光等のうちの一つまたは複数を測定することができる。一つまたは複数のセンサ26は、創傷または傷創のうちの一つまたは複数に関連する情報を収集できる。
【0226】
いくつかの実施形態では、被覆材は、無線通信用の一つまたは複数のアンテナを含むことができる。例えば、一つまたは複数のアンテナは、創傷接触層上の一つまたは複数の接続またはトレースとして印刷されうる。一つまたは複数のアンテナを使用して、コントロールモジュールのない一つまたは複数のセンサによって収集された測定データを通信することができる。一つまたは複数のアンテナをさらに使用して、電源から無線で電力を受け取ることができる。特定の事例では、一つまたは複数のアンテナトレースは、患者に使用する時に、創傷被覆材22が延伸された状態になるときに一つまたは複数のアンテナの共振周波数が固定されたままになるように、実質的に非伸縮性の材料(本明細書に記載されるように)に位置付けることができる。一つまたは複数の共振周波数を固定することは、RFIDなどの特定の通信プロトコルに対して有利でありうる。
【0227】
穿孔による滲出液の管理
いくつかの実施形態では、創傷滲出液が除去されるように、本明細書に開示される、創傷被覆材のいずれかの創傷接触層における一つまたは複数の開口部または穿孔、またはセンサアレイを含めることが有利でありうる。創傷に滲出液が溜まるのを制限または防止するよう創傷滲出液を管理することによって、創傷のより効果的な治癒を促進できる。一部の事例では、本明細書に記載の創傷被覆材またはセンサアレイのいずれかが陰圧創傷療法と併せて使用される場合に、滲出液管理を利用することができる。本明細書に開示される一つまたは複数の穿孔技術のいずれかは、本明細書に記載したように、被覆されうる創傷接触層を穿孔することを含みうる。
【0228】
特定の実装では、
図5Aに図示されるように、一つまたは複数の穿孔30は、被覆材522Aの創傷接触層で作製されて、滲出液が除去されるようにすることができる。例えば、四つの穿孔30は、創傷接触層の周囲に作製されうる。一つまたは複数の穿孔30は、センサ26を接続するトレース27の周りに作製されうる。三角形状として図示されているが、本明細書で説明した通り、一つまたは複数の穿孔30が、好適な任意の形状またはパターンで形成されてもよい。例えば、一つまたは複数の穿孔30は、長方形、正方形、円、楕円などに形成されてもよい。
【0229】
一部の事例では、トレース42の中心と最も近い穿孔30の縁部との間の距離40が、トレースの下で滲出液が溜まるのを制限または防止するには大きすぎる場合がある。いくつかの実施形態では、
図5Bに図示されるように、中心穿孔32が、被覆材522Bの創傷接触層に追加され、この問題が解決される。滲出液は中心穿孔32を通して除去されることができ、これによって滲出液が溜まるのを制限または防止できる。
【0230】
図示した通り、中央穿孔32は環状部として形成されうる。特定の実装では、中心穿孔32は、本明細書で説明した通り、好適な任意の形状として形成されうる。
【0231】
一部の事例では、
図6Aに図示したように、被覆材622Aといった創傷被覆材が患者の創傷の上に位置付けられる場合、被覆材は、コネクタ28に沿って引張力50を受ける場合がある。これにより、領域54または一つまたは複数の穿孔630Aのセンサといった、被覆材の少なくとも一部の構成要素が動く場合がある。こうした動きにより、患者に痛みまたは不快感が生じる場合がある。
【0232】
いくつかの実施形態では、
図6Aに図示されるように、一つまたは複数の穿孔は滑らかな側面632を有することができる。一つまたは複数の穿孔630Aのその他の側面が滑らかにされてもよい。90度または45度の側面といった、鋭利な側面を含まない一つまたは複数の穿孔630Aを成形することで、痛みまたは不快感を低減させ、患者にとってより快適な体感を生むことができる。
【0233】
図6Bは、一つまたは複数の穿孔630Bがそれらの全周または実質的に全周に滑らかな側面を有する創傷被覆材622Bを図示する。コネクタ628Bは、患者の快適性を高めるために、滑らかな(例えば、先細りの)側面を有する。さらに、先細り側面を有することで、コネクタ628Bの表面積が増加し、これは本明細書で説明したようなさらなる利点をもたらしうる。
【0234】
図6Cは、一つまたは複数の穿孔が複数の滑らかなアームとして配置された創傷被覆材622Cを図示する。こうした配置は、創傷滲出液の管理を改善することができる。
【0235】
図6Dは、一つまたは複数の穿孔630Dが切れ目640によって滑らかにされた縁部を含み、それによって追加的に、または代替的に、滲出液の管理を改善するか、または、患者の快適性を促進する、創傷被覆材622Dを図示する。被覆材622Dのその他の境界は、滑らかな縁部を有することができる。例えば、被覆材の外縁部は、
図6Dに図示されるように、滑らかであってもよい。いくつかの実施形態では、切れ目640の代わりに、またはそれに加えて、患者の快適性を改善するため、縁部が波状の輪郭を有したり、繊維を含んだりすることができる。本明細書で開示された創傷被覆材または創傷接触層のいずれかは、滑らかな縁部を含みうる。
【0236】
一部の実装では、一つまたは複数の穿孔が創傷被覆材の創傷接触層に形成されるとき、一つまたは複数のトレース(例えば、
図4のトレース27など)が穿孔の周りに経路指定されるか、または、位置付けられる必要がありうる。性能を改善するために、鋭利な角(45度または90度の角など)の代わりに、滑らかな、または実質的に滑らかな角を含むように、トレースを設計することが有利でありうる。
【0237】
図7Aに図示するように、トレース727Aは、実質的に滑らかな角90、92、94、および96を有するように設計または経路指定される。同様に、
図7Bに図示するように、トレース727Bは、実質的に滑らかな角98および99を含む。丸みのある角により、使用時に創傷接触層が延伸される場合、ノイズ耐性を向上し、クロストークを低減させ、または、トレースインピーダンスに対する影響を低減させることができる。
【0238】
図示されるように、一部の実施形態では、角が完全に丸みづけられなくてもよい。
図7Aおよび7Bに図示するように、トレースの個々のセクションを使用して、角を実質的に丸くすることが十分である場合がある。いくつかの実施形態では、角の半径がトレース幅の少なくとも三倍であることが有利でありうる。
【0239】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数の平面(電力、研削、など)は、丸みのある角を含むように設計されてもよい。
図7Cに図示するように、平面700Cは丸みのある角102および103を含む。本明細書で説明したように、これによって性能の向上を促進しうる。
【0240】
一部の実装では、一つまたは複数の隣接するトレースから、好適な距離だけ分離させることによって、追加的または代替的に性能が改善されうる。例えば、分離は、少なくとも1.8mm、3.5mm、または別の、より小さいか、またはより大きい距離とすることができる。トレースの分離は、特に、寄生容量を低減または排除できる。特定の事例では、トレースと一つまたは複数の隣接するトレースとの間に垂直な間隔を導入することによって、追加的に、または代替的に、性能を向上させることができる。例えば、垂直な間隔は、少なくとも1mm、2mm、または別の、より小さいか、またはより大きい距離とすることができる。水平または垂直な間隔は、追加的に、または代替的に、センサなどの電気構成要素間で使用されうる。水平または垂直な間隔のうちの一つまたは複数が、
図4に示すコネクタ28など創傷被覆材のコネクタで利用されることができ、トレースの密度が実質的に高い。いくつかの実施形態では、コネクタの表面積が、例えば、
図6Bに図示されるように、先細りすることによって増加させることができる。特定の実装では、水平または垂直な間隔を使用することにより、医療機器のIEC 60601-1規格といった、一つまたは複数の規格に準拠することができる。
【0241】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材の創傷接触層のその他の構成を使用することができる。
図8は、一部の実施形態による、創傷810の上に位置付けられるセンサ対応創傷被覆材822を図示する。被覆材822は、Y字形状であり、本明細書に記述した通り、一つまたは複数のトレース27によって接続された複数のセンサ26を含む。センサ26は、創傷および傷創に関連する情報を収集できる。
【0242】
そのY字形状によって、被覆材822は、創傷滲出液を効率的に取り除き、溜まることを減少または防止するのを可能にする。一部の事例では、滲出液管理をさらに向上させるために、一つまたは複数の穿孔830が、滲出液の流れを許容するよう作製されうる。
【0243】
本明細書に開示された創傷被覆材またはセンサアレイのいずれかの創傷接触層の開口部または穿孔は、好適な任意の方法で位置付けられ、配置されうる。いくつかの実施形態では、開口部または穿孔は、電子構成要素を接続する、
図4に関連して記載したトラック27などのトラック間に配置されうる。いくつかの実施形態では、開口部または穿孔は、トラックに沿って配置されてもよく、それによってトラックに平行に配置される。本明細書で開示された創傷被覆材またはセンサアレイのいずれかの創傷接触層の開口部または穿孔は、一つまたは複数の形状の、創傷接触層を通る穴を開けることができる。例えば、少なくとも一部の穿孔は、円形、クローバー形状、星形状、ダイヤモンド形状、および/または、楕円形状であってもよい。いくつかの実施形態では、穿孔は一つまたは複数の大きなエリアであってもよい。いくつかの実施形態では、穿孔は、創傷接触層を通るスリットであってもよい。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の穿孔はそれぞれ、創傷接触層の厚さに沿った様々な形状またはサイズの断面を有してもよい。例えば、一つまたは複数の穿孔は、それぞれが創傷接触層の他方の側面よりも一方の側面でより小さい開口部を有しうるように、創傷接触層の一方の側面に向かって先細りであってもよい。
【0244】
図9は、一部の実施形態による、穿孔912を有する創傷接触層900の断面図を示す。
図9に図示した通り、少なくとも一部の穿孔912は、創傷接触層900を通して互いに平行または実質的に平行に形成されうる。いくつかの実施形態では、
図9に図示した通り、少なくとも一部の穿孔912は、創傷接触層900の厚さに沿った方向に形成されうる。
【0245】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの穿孔は、創傷接触層の厚さを通して、その他とは異なる方向に形成されうる。
図10は、一部の実施形態による、開口部または穿孔1012を有する創傷接触層1000の断面図を示す。
図10に図示した通り、穿孔1012は、創傷接触層1000を通して複数の方向に形成されうる。一部の事例では、創傷接触層1000は、微小孔性膜を構成することができ、これは、ランダムに分散された相互接続された孔を有してもよい。穿孔1012は、例えば、創傷接触層1000を複数の方向に一つまたは複数のニードルで打ち抜くことによって形成されうる。
【0246】
いくつかの実施形態では、穿孔は、穿孔1012または912よりも大きくてもよい。例えば、穿孔は、3mm、5mm、10mm、またはそれより大きいサイズを有しうる。いくつかの実施形態では、穿孔は3.2mmより大きいサイズを有しうる。いくつかの実施形態では、穿孔は、創傷接触層の最長軸に沿った全長の最大95%のサイズを有しうる。こうした、より大きい開口部または穿孔は、創傷接触層のバルク部分を切り抜くことによって形成されうる。こうした、より大きな開口部または穿孔は、親水性材料または粒子、例えば、二酸化ケイ素、キチン、キトサン、セルロース、および/または、コラーゲンで充填されうる。これにより、穿孔が流体輸送を促進することができる。
【0247】
本明細書で開示されている創傷被覆材またはセンサアレイのいずれかの創傷接触層の穿孔は、好適な任意の方法によって形成されうる。例えば、穿孔は、ディスクパンチ、ニードルパンチ、レーザー切断、超音波打ち抜き、プラズマブラスト、水ジェット、ホットピン、圧縮空気ブラスト、またはそれらの組み合わせなどによって形成されうる。本明細書で開示されている創傷被覆材またはセンサアレイのいずれかの創傷接触層の穿孔は、縁部の周りに親水性材料で被覆されうるため、穿孔を通した流体輸送が毛細管作用によって促進される。いくつかの実施形態では、親水性材料は、Tween80またはポリエチレングリコールなどのイオン性または非イオン性の界面活性剤であってもよい。いくつかの実施形態では、穿孔の少なくとも一部分は、表面エネルギーを変化させ、および/または、疎水性を増加させるよう、プラズマ処理されてもよい。いくつかの実施形態では、穿孔は、一方の側面に沿った縁部の周りには親水性材料で、他方の側面に沿った縁部の周りには親水性材料で、被覆されるか、あるいは処理されてもよく、それによって、親水性の勾配が、創傷接触層の厚さに沿って穿孔において形成される。こうした親水性勾配は、穿孔を通した流体輸送を促進しうる。
【0248】
フロック被覆材での流体管理
例えば、
図3Aおよび
図4に関連して本明細書に記載されるように、複数の電子構成要素および電子接続を支持する創傷接触層は、創傷に適合させるために可撓性の、弾性、または伸縮可能、もしくは実質的に可撓性の、弾性、または伸縮可能でありうる。いくつかの実装では、創傷接触層が伸縮可能であるか、または実質的に伸縮可能であることが望ましい場合がある一方、電子構成要素または接続のうちの少なくともいくつかは剛性であってもよい。こうした事例では、創傷が創傷被覆材で被覆され、創傷接触層が創傷の中、または上に位置決めされると、電子部品の支持領域または取付部上といった、一つまたは複数の電子部品上に、望ましくないまたは過剰な、局所的な歪みまたは応力が加えられ得る。例えば、このような応力は、患者の動き、創傷の形状またはサイズの変化(その治癒のため)などに起因することがある。このような応力は、一つまたは複数の電子部品の移動、脱落、または誤作動(例えば、ピンまたは別のコネクタが接続解除されることによる開回路の発生)を引き起こす場合がある。さらに、または別の方法として、創傷表面にわたって電子構成要素が動くと、患者に不快感または痛みを引き起こす可能性がある。
【0249】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、これらの問題の少なくとも一部を軽減するための一つまたは複数の材料、構造、等を含むことができる。一部の実施では、創傷接触層は、織物またはその他の軟質材料から構成されるポケット内に組み込まれてもよく、または、繊維またはその他の柔らかい材料によって少なくとも部分的に覆われていてもよい。一部の事例では、様々なサイズおよび形状を有する創傷接触層に密接に適合する、こうしたポケットまたは繊維層を提供することが困難でありうる。一部の状況では、こうしたポケットまたは繊維層は、不快感または痛みを患者に引き起こしうる望ましくない折り目を形成しうる。
【0250】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数の電子構成要素を支持する創傷接触層と、一つまたは複数の電子接続とを、その表面上の繊維でフロックすることができる。創傷接触層の表面のフロックは、被覆材が患者に配置されたときに局所的ストレスの形成を防ぎ、より柔らかく、感触のよい表面を提供できる。本明細書で説明したように、創傷接触層のフロック表面の繊維は、創傷滲出液などの流体の輸送または流れを容易にすることができる。創傷接触層の表面上に直接フロック繊維を適用することで、織物ポケットまたは層を繊維接触層に適用するよりも、創傷接触層へのより良い適合、および、より良い製造性を可能にしうる。フロックされた創傷接触層が、創傷被覆材によって使用されるより従来的な材料である、布材料により模倣した外観を有しうる。
【0251】
一部の実装では、フロックすることは、創傷接触層などの基材の表面に垂直または実質的に垂直な短い切断繊維を堆積することを含む。
図11は、いくつかの実施形態による、フロック基材1100を通る断面図を図示する。図示するように、フロック基材1100は、基材表面1110上に堆積された複数のフロックまたはフロック繊維1130を含みうる。基材表面1110は、複数のフロック繊維1130が基体1110の表面に取り付けられうるように、接着剤コーティング1120を有してもよい。
【0252】
図示したように、複数のフロック繊維1130はそれぞれ、基材表面1110から延在し、フロック繊維1130は、繊維が基体1110の表面と実質的に垂直であるように、基体1110の表面に堆積されてもよい。複数のフロック繊維1130は、例えば、1mm、3mm、5mm、10mm、またはそれ以上または以下の、好適な任意の長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、フロック素材はそれぞれ、一様な長さを有しうる。特定の実施形態では、複数のフロック繊維の一部は、異なる長さを有しうる。いくつかの実施形態では、フロック繊維は直線形状を有しうるが、フロック繊維の形状は限定されず、使用に適した任意の形状でありうる。いくつかの実施形態では、例えば、フロック繊維は、渦巻形状またはループ形状を有しうる。複数のフロック繊維1130は、複数のフロック繊維のそれぞれが可逆的に曲げられうるように、可撓性の材料から構成されてもよい。フロック繊維の長さまたは柔軟性は、織物の肌触りおよび外観に柔らかさを与えることができる。フロック表面の所望の質感を得るために、フロック繊維の長さまたは柔軟性を変えることができる。いくつかの実施形態では、フロック繊維はそれぞれ同一の材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、一部の繊維が異なる材料から構成されてもよい。
【0253】
特定の実装では、基材1110の表面は接着剤1120で被覆されてもよく、複数のフロック繊維1130は接着剤1120を使用して取り付けられている。一部の事例では、複数のフロック繊維1130は、重力によってホッパーから供給されるか、または空気流で上げられ、静電気充電繊維1130によって方向付けられ、さらに、接着剤コーティングを用いて、または用いずに、基体1110の表面上で燃焼されてもよい。フロック繊維を燃やすことは、例えば、フロックガンを使用して実施されうる。一部の事例では、接着剤1120は、充電されたフロック繊維が接着剤に引き寄せられるように、繊維の充電とは反対に充電されうる。フロック繊維1130が静電界を通してチャネリングすることによって充電できる一方、基体1110または接着剤1120の静電荷は、静的発生ローラーを通して流すことによって生成されうる。いくつかの実施形態では、フロック繊維1130は、非静電方式を使用して基材1110に適用されてもよい。一部の事例では、フロック繊維1130は、本明細書で説明したコーティング1240および1260などの共形コーティングを使用して、基材1110に塗布されうる。
【0254】
図12は、一部の実施形態による創傷接触層またはフロックセンサシート1200を図示する。図示されるように、フロック繊維1200は、創傷接触層として創傷の上に配置されてもよく、創傷に面する側面、および、創傷に面する側面の反対の、創傷に面さない側面または被覆材に面する側面を有してもよい。センサシート1200は、
図2、
図3D、または
図4に関連して、本明細書に記述した創傷接触層のいずれかと類似していてもよい。センサシート1200は、可撓性、弾性、または伸縮可能、または実質的に可撓性、弾性、または伸縮可能であってもよい。
【0255】
示されるように、フロックセンサシート1200は、センサシート基体1210を含みうる。基板1210は、例示される電子構成要素1230を含む複数の電子構成要素と、複数の電子構成要素1230を接続する複数の電子接続1220を支持するように構成されうる。基材1210は、本明細書に記載されるように、伸縮性または実質的に伸縮性の創傷接触層であってもよい。例えば、基材1210は、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または別の好適な材料と共に、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)のうちの一つまたは複数といった、伸縮性または実質的に伸縮性のある材料から作製されうる。
【0256】
電子構成要素1230を含む、複数の電子構成要素は、センサ(温度センサ、光センサ、等)、光源(LED、等)、コントローラ、またはプロセッサ(通信プロセッサ、等)、等といった、本明細書に記載される任意の電子構成要素であってもよい。電子接続部1220は、例えば伝導性銅、伝導性インク(例えば、銀インク、グラファイトインク等)等を使用して、基材1210上に印刷されたトラックであってもよい。本明細書で使用されるように、基板上に材料を印刷することは、ラミネートすること、接着させること、またはその他好適な技術のうちの一つまたは複数を含み得る。いくつかの事例では、電子接続部1220の少なくともいくつかは、可撓性または伸縮性であるか、または、実質的に可撓性または伸縮性であってもよい。図示した通り、少なくとも一部の電子構成要素または接続は、センサシート1200の創傷に面する側面に位置付けられうる。一部の実装では、少なくとも一部の電子構成要素または接続は、センサシート1200の創傷に面さない側面に位置付けられうる。
【0257】
いくつかの実施形態では、
図12に示すように、フロックセンサシート1200は、コーティング1240を含みうる。コーティング1240は、電子接続部1220または電子構成要素1230といった、基板1210または基板によって支持される構成要素のうちの一つまたは複数を封入または被覆するよう構成された、共形コーティングであってもよい。
図12に図示するように、創傷被覆材の基材1210の面の一つは、表面から突出する複数の電子部品1230を含むことができる。コーティング1240を、電子構成要素1230を支持する基体1210の面に適用することができる。いくつかの実施形態では、コーティング1240は、基体1210の創傷に面する側面に適用されうる。本明細書に記載のように、コーティング1240は生体適合性であることができる。コーティング1240は疎水性であることができる。コーティング1240は、実質的に伸縮性または伸展性であることができる。
【0258】
追加的に、または代替的に、コーティング1260は、創傷に面さない側面などの、基材の反対側に適用されうる。コーティング1260は共形でありうる。コーティング1260は生体適合性であることができる。コーティング1260は疎水性であることができる。コーティング1260は、実質的に伸縮性または伸展性であることができる。コーティング1240および1260は、同一であっても異なっていてもよい。基材1210は、
図12に示すように、コーティング内に封止されるか、または挟まれることができる。コーティング1240または1260のうちの一つまたは複数は、一つまたは複数の好適なポリマー、接着剤、例えば1072-M接着剤(例えば、Dymax 1072-M)、1165-M接着剤(例えば、NovAchem Optimax 8002-LV、Dymax 1165-M、など)、10901-M接着剤(例えば、Dymax 1901-M、または9001-E Dymax)、パリレン(例えば、Parylene C)、シリコーン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、アクリル化ウレタン代替品(例えば、Henkel Loctite 3381)、または他の好適な生体適合性および実質的に伸縮性材料を含みうる。コーティング1240または1260のうちの一つまたは複数は、厚さ約100ミクロン、約100ミクロンよりも薄い、または約100ミクロンよりも厚い、といった薄さであってもよい。コーティング1240または1260のうちの一つまたは複数は、UV、光、または熱硬化のうちの一つまたは複数を使用して適用および硬化され得る。
【0259】
いくつかの実施形態では、基材1210によって支持される電子コンポーネントは、特に基材1210が伸縮可能または実質的に伸縮可能である場合に、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング(図示せず)で被覆されうる。このようなコーティングは、電子コンポーネント(電子モジュールまたは電子接続部を含みうる)に応力緩和を提供することができる。コーティングを、電子構成要素の上および周囲に塗布することができる。コーティングは、生体適合性または疎水性のうちの一つ以上であり得る。本明細書に記載される非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティングを、アクリレートまたは修飾ウレタン材料(Henkel Loctite 3211など)から形成することができる。例えば、コーティングは、Dymax 1901-M、Dymax 9001-E、Dymax 20351、Dymax 20558、Henkel Loctite 3211、または別の好適な材料のうちの一つまたは複数とすることができる。
【0260】
センサシート1200、非伸縮性もしくは実質的に非伸縮性のコーティング、または共形コーティングのうち一つ以上に関する追加の詳細は、2018年4月11日出願の国際特許出願第PCT/EP2018/059333号、または2018年7月23日に出願の国際特許出願第PCT/EP2018/069883に記載されており、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0261】
いくつかの実施形態では、電子構成要素または電子接続は、コーティング1240などのコーティングで被覆されうる。コーティングを、電子構成要素の上および周囲に塗布することができる。一部の実施形態では、電子構成要素のいくつかまたはすべては、ポリマー、例えば、シリコーンまたはエポキシベースのポリマーで、埋められるかまたは被包されてもよい(例えば、防水または防液の状態にする)。ポリマーで被包することで、流体進入、およびコンポーネントからの化学物質浸出を防ぎうる。
【0262】
また、一部の実施形態による基材1210で形成された、流体がセンサシート1200を通過できるようにする一つまたは複数のスリット、穴、または穿孔1280が図示されている。これは、センサシートで覆われた創傷に陰圧がかけられた場合に、特に有利でありうる。基板1210は、冷ピン穿孔、温ピン穿孔、レーザー切除穿孔、超音波または超音波穿孔、等のうちの一つまたは複数を使用して穿孔されて、創傷接触層を液体および気体に対して浸透性とすることができる。いくつかの実装では、一つまたは複数の利用された穿孔プロセスは、不均一な表面(例えば、ドーナツモールドの表面)ではなく、穴の周りに平坦なまたは実質的に平坦な基材を生成することができる。平坦なまたは実質的に平坦な基材を有することは、(本明細書に記載のスプレー、ブラシ等によって)共形コーティングを行う場合に均質な層を生成するのに役立つことができる。さらに、構成要素の周りに穿孔が行われるとき、基板の表面を不均等に、または実質的に不均等のまま残す穿孔プロセスを使用することによって、電子接続部1220または電子構成要素1230などの一つまたは複数の構成要素が除去されるリスクが大きくなり得る。穿孔1280は、コーティング1240または1260の後で作られるか、または、創傷被覆材のその他任意の構成要素が追加されて、穿孔1280が穿孔の後に追加された構成要素によって遮断されるのを防止する。
【0263】
特定の実施では、電子接続部1220または電子構成要素1230といった、基板1210上に配置された一つまたは複数の構成要素周りに穿孔が作製されるか、またはパターン化される。一部の事例では、構成要素のインデックスを使用して、一つまたは複数の構成要素が穿孔によって損傷されないように、センサシート1210上の一つまたは複数の構成要素の位置を自動的に配置することができる。いくつかの実施形態では、基材上に配置されている、
図12に示された一つまたは複数の構成要素の前に、基板を穿孔することができる。
【0264】
図示したように、複数のフロック繊維1250をセンサシート1200の創傷に面する側面に適用させて、本明細書に記載のように、センサシート1200の創傷に面する側面をフロックすることができる。一部の事例では、創傷流体を測定するよう設計されている場合を除き、電子構成要素または接続を流体から隔離して保持することが望ましい場合がある。一つまたは複数の穿孔1280が流体の除去に役立つ一方、穿孔は流体がまさに溜まるところには位置付けられない場合がある。親水性でありうる複数のフロック繊維1250は、例えば、毛細管現象によって、少なくとも一つの穿孔1280から離れた場所から、少なくとも一つの穿孔1280に向かって横方向に(または別の方向に)流体を輸送することができる。複数のフロック繊維1250は、流体を横方向に、垂直方向に、または横方向および垂直方向に、流体を分散させる、または輸送することができる。本明細書で使用される場合、垂直方向とは、創傷の平面に垂直な平面に実質的に沿った方向でありうる。
図12に示すように、複数のフロック繊維1250は、電子構成要素または接続を支持する基材1210の側面に適用されうる。いくつかの実施形態では、複数のフロック繊維1250は、基体1210の創傷に面する側面に適用されうる。いくつかの実施形態では、複数のフロック繊維1270は、追加的にまたは代替的に、反対側の創傷に面さない、または被覆材側面に適用されうる。本明細書に記載されるように、フロック繊維1250および1270は、同一であっても異なっていてもよい。
図12に示されるように、基材1210は、複数のフロック繊維1250と1270の間に封入または挟まれることができる。
【0265】
図示したように、複数のフロック繊維1250または1270は、それぞれコーティング1240またはコーティング1260上に適用されうる。好適な任意の接着剤を使用して、フロック繊維をコーティング上に取り付けることができる。接着剤は生体適合性であってもよい。接着剤は、実質的に可撓性であってもよい。接着剤は、疎水性または親水性であってもよい。例えば、疎水性接着剤を使用して、流体が存在する場合に繊維の接着を維持することができる。いくつかの実施形態では、PVA接着剤は、フロック接着剤として使用できる。いくつかの実施形態では、コーティング1240などの共形コーティングは、フロック接着剤として利用されうる。例えば、フロック繊維は、コーティング1240が硬化する前にセンサシート1200に堆積されてもよく、または、被覆の別の層がコーティング1240上に適用されてフロック繊維に取り付いてもよい。いくつかの実施形態では、コーティングがセンサシート1200の表面上に置かれた後すぐにフロック繊維が適用されうるように、フロッキング(例えば、フロッキングガン)のための装置が、共配置されるか、または、コーティングのための装置(コーティングロボットまたはインラインプリンターなど)と併用されてもよい。これにより、接着剤の粉砕または硬化が妨げられ、これによって繊維を埋め込むことが困難になりうる。コーティングのための装置の基部がフロッキングに使用されて、例えば、センサシート1200を充電して、フロッキングのためにシートを付勢してもよい。いくつかの実施形態では、複数のフロック繊維1250または1270は、基材1210にコーティングが適用されていない基材1210に直接適用されうる。
【0266】
フロック繊維は、好適な任意のフロッキング機械を使用して、基材1210に適用されうる。こうしたフロッキング機械は、手持ち式でありうる。例えば、フロッキングガンを使用できる。いくつかの実施形態では、フロック繊維は、接着剤に堆積される前に電気的に充電することによって方向付けられうる。いくつかの実施形態では、フロック繊維は、電子構成要素上で静電気による悪影響を防止するために、振動プレートホッパーなどの非静電気方式によって配向または適用されてもよい。
【0267】
図示した通り、複数のフロック繊維1250または1270が、電子構成要素または電子接続の上や下ではなく、その周りに適用されることによって、フロック繊維が、皮膚または創傷を切り取ることなくセンサシート1200のいくらか横方向の移動を可能にする。複数のフロック繊維はまた、創傷構成要素の突出によって不均一である創傷接触層の表面を実質的に平坦化(または均一にする)こともできる。複数のフロック繊維は、緩衝剤として作用することができる。例えば、少なくとも一つの電子構成要素が基材1210の創傷に面する側面上に位置付けられる一部の実施形態では、複数のフロック繊維1250は、電子構成要素の下方(または上方)に位置付けられない場合がある。さらに、少なくとも一つの電子構成要素が光学構成要素である場合、フロック繊維は少なくとも一つの電子構成要素を塞いでいない、または覆われない。フロック繊維の電子構成要素1230への接着は、フロック繊維を取り付けるときに電子構成要素1230をマスクすることによって、または、電子構成要素1230上へのフロック接着剤の適用を制限することによって、防止され得る。一部の事例では、フロック繊維は、一つまたは複数の電子構成要素の下(または上)に位置付けられうる。
【0268】
フロック繊維1250または1270などの複数のフロック繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロース、またはその組み合わせなど、一つ以上の好適なポリマーから構成されうる。いくつかの実施形態では、フロック繊維には、組織の進界成長を防止するために使用されうる不織布材料が含まれうる。いくつかの実施形態では、フロック繊維はナイロン繊維であってもよい。いくつかの実施形態では、複数のフロック繊維の一部は、他のフロック繊維とは異なる材料から構成されうる。いくつかの実施形態では、どのフロック繊維も、それぞれ同一の材料から構成されてもよい。本明細書に記載のように、フロック繊維は生体適合性であることができる。フロック繊維は、例えば、フロック繊維が流体を逃がすことができるように、親水性でありうる。一部の事例では、フロック繊維は疎水性でありうる。フロック繊維は、実質的に可撓性であってもよい。フロック繊維は、好適な任意の長さおよび形状を有しうる。いくつかの実施形態では、フロック繊維は、電子構成要素が皮膚または創傷に圧力をかけるか、または剪断することを防ぐために、突出した電子構成要素の高さと類似した、またはわずかに長い全長を有しうる。いくつかの実施形態では、フロック繊維はそれぞれ、1mm~6mm以上の全長を有することができる。いくつかの実施形態では、フロック繊維の平均長さは3mmであってもよい。フロック繊維は薄くてもよく、一部の実施形態では、フロック繊維は、1dtex以下から20dtx以上までの直線密度を有しうる。一部の実施形態では、フロック繊維は、8dtex以下から30dtx以上までの直線密度を有しうる。フロック繊維は、丸形の、または三葉断面を有しうる。図示したように、フロック繊維は直線または毛様でありうる。いくつかの実施形態では、フロック繊維は、曲線、ループ状、螺旋状であってもよく、または好適な任意の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、複数のフロック繊維の一部は、その他のフロック繊維とは異なる長さ、材料、厚さ、形状、または柔軟性を有しうる。
【0269】
図13は、いくつかの実施形態による、作動中の創傷被覆材システム1300を図示する。図示したように、創傷被覆材システム1300は、フロックセンサシート1340を含み、これは
図12に関連して説明したフロックセンサシート1200と同様に構成されうる。センサシート1340のさまざまな構成要素を指定するために使用される参照番号は、センサシート1200の対応する構成要素を識別するために使用されるものと同一である。例えば、センサシート1340は、電子構成要素、適合コーティング1240および1260、および複数のフロック繊維1250および1270を支持するセンサシート基材1210を含みうる。
【0270】
図示したように、フロックセンサシート1340は、創傷1304の中、または上といった、組織1302上に配置されうる。いくつかの実施形態では、センサシート1340を皮膚に直接適用することができる。図示するように、センサシート1340の上方に創傷被覆材1320を適用することができる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材1320は、接着剤を用いてセンサシート1340に取り付けることができる。さらなる実施形態では、接着剤は穏やかにおよび/または簡単に取り外し可能でありうるため、被覆材1320が取り外されるとき、被覆材1320に面したセンサシート1340の共形コーティング1260が取り外されないか、または損傷を受けない。
【0271】
創傷被覆材1320は、本セクションまたは本明細書の他の場所で説明されている、多層被覆材を含む、任意の創傷被覆材と類似しており、陰圧または非陰圧のいずれかのための創傷被覆材でありうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材1320は、Smith & Nephewで製造されたPICO創傷被覆材であってもよい。創傷被覆材1320は、輸送層1322と、吸収層1324と、蒸気透過性カバー層1326と、創傷接触層1328とを含みうる。創傷接触層1328は、創傷に隣接して位置付けられるように構成されうる。吸収層1324は、創傷1304から除去された、創傷滲出液などの流体を吸収するために創傷接触層1328の上方に位置付けることができ、輸送層1322は、創傷1304から吸収層1324内へ滲出液を輸送するため、創傷接触層1328と吸収層1324との間に位置付けることができる。輸送層1322または創傷接触層1328は、流体が吸収層1324に向かって流れることを可能にするための、一つまたは複数の穿孔を含みうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層1328および搬送層1322は、任意とすることができ、センサシート1340は、創傷接触層または輸送層のうちの一つまたは複数として機能しうる。
【0272】
本明細書の他の場所で説明したように、電子構成要素に隣接する位置、またはその他の位置において、センサシートの下の流体が塞がれることがあり、蓄積しうる。ところが、創傷滲出液流量1352によって示されるように、センサシート1340の複数のフロック繊維1250は、開放穿孔に向かってセンサシート1340の下にある創傷滲出液の流れ、さらには、穿孔を通って創傷滲出液の除去を容易にしうる。センサシート1340の穿孔および輸送層1322または創傷接触層1328のうちの一つまたは複数の穿孔は、整列しておらず、代わりに、水平にオフセットされてもよい。本明細書で使用される場合、水平方向とは、創傷の平面に実質的に沿った方向でありうる。そのような場合、流体は吸収層1324に向かって効率的に搬送されない場合がある。しかしながら、流体流1352および1354によって示されるように、センサシート1340の創傷に面さない側面または被覆材の複数のフロック繊維1270は、流体の流れを促進させることができ、それによって、センサシート1340から出た流体が、吸収層1324に向かう、創傷接触層1328または輸送層1322のうちの一つまたは複数の穿孔に効率的に輸送され、吸収層1324に貯蔵されうる。
【0273】
いくつかの実施形態では、フロック繊維1250または1270は、繊維1250または1270がセンサシート1340を創傷1304または被覆材1320から吊り下げるように十分長くすることができる。これは、被覆材の剛性のシアー効果を最小限に抑えることができ、創傷1304における、または創傷1304の近くでの組織への剪断を最小限にすることができる。いくつかの実施形態では、代替的または追加的に、センサシート1340は、センサシート1340の上または下に別個の輸送層を有してもよく、その結果、別個の輸送層は、フロック繊維の代わりに、またはそれに加えて、流体の流れを容易にする。
【0274】
吸水分散層での流体管理
創傷被覆材システム1300と類似した創傷被覆材システムは、フロック繊維に加えて、または代わりに、センサシートの近くまたはそれを通る流体の流れを容易にするための一つまたは複数の構造または機構を有しうる。例えば、創傷被覆材システムは、流体の流れを促進できる一つまたは複数の吸水分散層を含みうる。
【0275】
図14は、いくつかの実施形態による、作動中の創傷被覆材システム1400を図示する。図示したように、創傷被覆材システム1400は、センサシート1440を含み、これは、本明細書に記載の違いを除き、センサシート1200、1340、または本明細書の他の場所で説明した任意のセンサシートと類似していてもよい。創傷被覆材システム1400のさまざまな構成要素を指定するために使用される参照番号は、創傷被覆材システム1300の対応する構成要素を識別するために使用されるものと同一である。例えば、センサシート1440は、電子構成要素、適合コーティング1240および1260を支持するセンサシート基材1210を含むことができ、また創傷被覆材1320は、輸送層1322と、吸収層1324と、蒸気透過性カバー層1326と、創傷接触層1328とを含みうる。センサシート1440は、創傷に面する側面および/または創傷に面さない、または被覆材側面の複数のフロック繊維(図示せず)をさらに含みうる。
図14に示すように、システム1400は、本明細書にさらに記載される、吸水分散層(ADL)1470を含みうる。
【0276】
本明細書の別の場所に記載されるように、センサシート1440の穿孔および輸送層1322または創傷接触層1328のうちの一つまたは複数の穿孔は、整列しておらず、代わりに、水平にオフセットされてもよい。そのような場合、流体は吸収層1324に向かって効率的に搬送されない場合がある。しかしながら、流体流1352および1354によって図示されるように、センサシート1440と創傷被覆材1320との間に配置された吸水分散層(ADL)1470は、流体を流れやすくすることができる。例えば、吸水分散層1470は、センサシートの少なくとも一つの穿孔の近くの位置から少なくとも一つの穿孔から遠隔の位置へ、またはその逆に、流体を輸送することができる。吸水分散層1470は、流体を横方向に、垂直方向に、または横方向および垂直方向に分散または輸送できる。いくつかの実施形態では、センサシート1440の穿孔を出た流体は、吸収層1324に向かう、創傷接触層1328または輸送層1322のうちの一つまたは複数の穿孔に効率的に運ばれ、吸収層1324内に貯蔵されうる。
【0277】
いくつかの実施形態では、吸水分散層(ADL)1470は、創傷滲出液などの流体を有利に輸送するように構成されてもよく、それにより、被覆材1320の層を通して上向きに吸収される。例えば、吸水分散層(ADL)1470は、横方向および/または水平方向に流体を流すよう構成されてもよく、このように流体を横方向に流すことによって、吸収層1324に向かう流体の最大分散および輸送を可能にし、吸収層1324がその完全保持容量に達することを可能にしうる。
【0278】
吸水分散層(ADL)1470は、流体輸送に適した任意の多孔性材料および/または織物材料から構成されうる。いくつかの実施形態では、吸水分散層(ADL)1470は、編まれた、編組まれた、織られた、および/または織られていない織物または発泡体から構成されうる。一部の事例では、発泡体は、ポリウレタン親水性または疎水性の発泡体でありうる。たとえば、発泡体は、Smith & Nephewで製造されるALLEVYN 発泡体および/またはRENASYS-F発泡体であってもよい。発泡体は、流体を横方向に流体を伝達するように構成された開放セル発泡体でありうる。いくつかの実施形態では、吸水分散層(ADL)1470は、流体を流すことに適した任意の繊維質または織物材料から構成されうる。ADL1470の一部の実施形態は、ビスコース、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース(例えば、多糖類または反復的な脱糖など)、またはこれらの一部またはすべての組み合わせを含みうるが、材料は針でパンチされてもよい。ADL1470の一部の実施形態は、40グラム~150グラム/平方メートル(gsm)の範囲のポリエチレンを含みうる。ADLの一部の実施形態は、重い繊維質溶融材料を含みうる。ADLの一部の実施形態は、気体を含む、流体の通過をそれを通して可能にするために比較的多孔性でありうる。AD 1470の一例は、80gsm(または約80gsm)でありうる、軽量で、フェルト状の、ビスコース材料を含みうる。ADL1470の一部の実施形態(以前に説明したADLの任意の実施形態を含む)は、40~160gsm(または約40~約160gsm)、例えば80(または約80)gsmの範囲のセルロースを含みうる。ADLは、ガーゼ、Durafibre、Durafibre Ag、Aquacel、またはAquacel Agのうちの一つまたは複数から構成されてもよい。ADLは、陰圧療法の間に一般的に適用される陰圧レベル下で圧縮に抵抗する材料から構成されうる。ADL1470は、本明細書に記載されるように、緩衝を提供することができる。
【0279】
吸水分散層(ADL)1470は、創傷滲出液などの有利に垂直に流体を流すように構築されうる。センサシート1440からの被覆材1320への創傷滲出液の急速な動きを容易にすることが望ましい。さらに、材料の選択肢は、吸収層から下層へ液体が再び漏れるのを減少させることができ、この現象は「後方湿潤」または「再湿潤」として知られる。この効果の強化を示す適切な材料には、Libeltex BVBAまたは同等のものからのSlimcore TL4(150gsm)が含まれる。
【0280】
吸水分散層(ADL)1470の一部の実施形態は、いくつかの内部層を含みうる。例えば、ADLとしての使用に適した一つの材料は、流体を垂直に流すための、実質的に垂直に延びる繊維を含む、下方吸上または吸水層を含み、流体を水平方向/横方向に流すための、実質的に水平方向/横方向に延びる繊維を含む上部分散層をさらに含む。一部のADL材料には、三つ以上の層、例えば、下部吸上層および二つの上部分散層が含まれうる。その他の構成は、上部および下部吸水層の間に位置する一つまたは複数の分散層を有することができる。いくつかの実施形態では、ADLが伸縮可能であるように、吸水分散層(ADL)1470が穿孔されてもよい。
【0281】
いくつかの実施形態では、吸水分散層(ADL)1470は、マイクロクレープ織物などの不織布材料から構成されうる。こうしたADLは、ある方向に伸縮可能であってもよく、また、ADLが別の方向に追加的に伸縮可能であるように、一つまたは複数の方向にさらにスリットすることができる。いくつかの実施形態では、吸水分散層(ADL)1470としてクレープ包帯が使用されうる。いくつかの実施形態では、ADLがスリットまたは穿孔を有して、または有さずに伸縮可能であるように、吸水分散層(ADL)1470が編材料から構築されてもよい。いくつかの実施形態では、ADL1470は、発泡体などの多孔性材料から構成されてもよい。
【0282】
いくつかの実施形態では、吸水分散層(ADL)1470は、複数の繊維片から構成されうる。例えば、ADL1470は、繊維の複数の不連続的な細片から構成されうる。細片は、タイルパターンおよび/または互いに重複して配置されてもよい。いくつかの実施形態では、細片は、それらの縁部に沿って横並びに配置され、互いに取り付けられうる。いくつかの実施形態では、細片は、ADL1470を一つまたは複数の方向に延伸できるように、複数の方向に配置される。繊維の複数の片または細片は、例えば、接着剤、熱溶接、または縫合によって互いに取り付けられうる。いくつかの実施形態では、吸水分散層(ADL)1470は、一つまたは複数の方向に作製された複数の切れ目、スリット、および/または穿孔を含んでもよく、このような切れ目、スリット、または穿孔は、例えば、一つまたは複数の方向に延伸されるのを助けることにより、ADL1470を通る流体を流れやすくし、および/または、ADL1470の柔軟性または順応性を向上させうる。
【0283】
創傷被覆材システム1300に類似して、いくつかの実施形態では、創傷接触層1328および搬送層1322は、任意とすることができ、センサシート1440は、創傷接触層または輸送層のうちの一つまたは複数として機能しうる。いくつかの実施形態では、
図15に示すように、創傷被覆材システム900は、センサシート1440を含み、これは創傷1304内またはその上といった、組織1302上に配置されることができ、吸水分散層(ADL)1470はセンサシート1340の上方に適用できる。図示した通り、輸送層1322、吸収層1324、および蒸気透過性カバー層1326は、吸水分散層1470の上に配置されうる。吸収層1324は、創傷1304から除去された、創傷滲出液などの流体を吸収するために吸水分散層(ADL)1470の上方に位置付けることができ、輸送層1322は、創傷1304からの滲出液を吸収層1324に輸送するため、吸水分散層(ADL)1470と吸収層1324との間に位置付けることができる。
【0284】
吸水分散層(ADL)1470による流体の横方向の流れは、吸収層1324を通る流体の最大分散を可能にし、吸収層1324がその完全保持容量に達することを可能にしうる。いくつかの実施形態では、センサシート1440の穿孔は、吸水分散層(ADL)1470または輸送層1322などの層への創傷組織の接着または侵入があるように、例えば0.4mm~1.8mmの直径といった、特定のサイズを有しうる。いくつかの実施形態では、輸送層1322は、流体が吸収層1324に向かって流れることを可能にするための、一つまたは複数の穿孔を含みうる。いくつかの実施形態では、吸水分散層(ADL)1470は任意であってもよく、輸送層1322または吸収層1324は、センサシート1440の創傷に面しない、または被覆材の側面上に配置されてもよい。
【0285】
いくつかの実施形態では、センサシート1440、吸水分散層(ADL)1470、および創傷被覆材1320の少なくとも一部の層は、例えば、接着剤または溶接によって、互いに取り付けられうる。本明細書の他の箇所で論じるように、センサシート1440を吸水分散層(ADL)1470および/または創傷被覆材1320の層に取り付けるために使用される接着剤は、低刺激および/または取り外しやすくてもよく、センサシート1440がADL1470または創傷被覆材1320の層から分離されるとき、または、センサシート1440、吸水分散層(ADL)1470、および創傷被覆材1320の組立品に過度の力が加えられるとき、センサシート1440の共形コーティング1260は損傷せず、また、取り除かれない。いくつかの実施形態では、創傷被覆材システム900において、吸水分散層1470、センサシート1440、輸送層1322、吸収層1324、およびカバー層1326は、単一の創傷被覆材を形成するように組み立てられてもよい。
【0286】
糸を用いた流体管理
本明細書で説明したように、センサシートを含む創傷被覆材は、クッション性を提供し、および/または、流体の輸送を支援するための、一つまたは複数の材料、構造、等を含みうる。一部の実装では、一つまたは複数の糸がセンサシートの上に/それを通して提供されてもよく、一つまたは複数の糸は、例えば、任意の陰圧源によって形成される毛細管作用および/または圧力勾配を介して、流体の輸送を促進しうる。糸は、下記にさらに詳細に説明するように、センサシートに緩衝を提供しうる。
【0287】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸は、センサシート上またはセンサシートを通して(例えば、マシンエンブロイダリー)編組まれ得る。
図16は、編組センサシート1600を通した断面図を示す。センサシート1600は、
図12に関連して記載されたフロックセンサシート1200、または、本明細書に記載その他任意の創傷接触層、センサシートに類似している。センサシート1600のさまざまな構成要素を指定するために使用される参照番号は、センサシート1200の対応する構成要素を識別するために使用されるものと同一である。例えば、センサシート1600は、創傷接触層として創傷の上に配置されてもよく、創傷に面する側面、および、創傷に面する側面の反対の、創傷に面さない側面または被覆材に面する側面を有してもよい。センサシート1600は、センサシート基材1210を含み、それは、電子構成要素1230を含む複数の電子構成要素と、複数の電子構成要素1230を接続する複数の電子接続1220を支持することができる。センサシート1600はまた、コーティング1240および/または1260を含みうる。また、一部の実施形態による基材1210で形成されうる、流体がセンサシート1600を通過できるようにする一つまたは複数のスリット、穴、または穿孔1280が図示されている。センサシート基材1210、電子接続1220、電子構成要素1230、コーティング1240および1260、および一つまたは複数のスリット、穴、または穿孔1280のそれぞれは、
図12に関連してさらに詳細に説明されている。
【0288】
図示したように、一つまたは複数の糸1650をセンサシート1600に適用することができる。一部の事例では、液体から単離された電子構成要素または接続を保持することが望ましい場合があり、一方、その他の事例では、創傷流体を測定するよう設計されたセンサに向かって創傷流体を引き出すことが望ましい場合がある。一つまたは複数の穿孔1280が流体の除去に役立つ一方、穿孔は流体がまさに溜まるところには位置付けられない場合がある。さらに、創傷流体を測定するように設計されたセンサは、創傷流体がまさに溜まる場所には位置付けられない場合がある。
【0289】
図16に示すように、センサシート1600上に編組まれた一つまたは複数の糸1650の少なくとも一部分は、センサシート1600の幅および長さによって画定される平面と実質的に平行に延びうる。一方、糸1650の少なくとも一部分は、センサシート1600の厚さに平行に延在する、センサシート1600を通って延在してもよい。親水性でありうる、一つまたは複数の糸1650の横方向延長部分は、例えば、毛細管現象によって、少なくとも一つの穿孔1280から離れた位置から、少なくとも一つの穿孔1280に向かって、および/または、センサに向かう創傷流体を測定するよう設計されたセンサから離れた位置から横方向に(または別の方向に)流体を輸送することができる。さらに、一つまたは複数の糸1650は、創傷流体を一つ以上のセンサに輸送して、創傷流体を検出または測定するように配置またはパターン化されうる。一つまたは複数の糸1650は、流体を横方向に、垂直方向に、または横方向および垂直方向に、流体を分散させる、または輸送することができる。加えて、または別の方法として、親水性でありうる一つまたは複数の糸1650の垂直方向に延びる部分は、例えば、毛細管現象によって、センサシート1600を通して垂直方向に流体を輸送することができ、穿孔1280を通した流体輸送を支援する。いくつかの実施形態では、穿孔1280は必要ではない場合があり、創傷流体は、代わりにセンサシート1600全体に、糸1650を通して輸送されうる。
【0290】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸は、創傷接触層またはセンサシート上に形成された穿孔または開口部を通して創傷接触層またはセンサシート上に一つまたは複数の糸を導入することができる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸は、流体が穿孔1280などのセンサシートを通過できるように構成された、予め形成された穿孔の一つまたは複数を通して導入されうる。いくつかの実施形態では、
図17に示すように、センサシート1700は、一つまたは複数の穿孔または開口部1780を形成して、一つまたは複数の糸1750をセンサシート1700に組み込むよう、穿孔されうる。こうした穿孔または開口部1780は、ディスクパンチ、ニードルパンチ、レーザー切断、超音波打ち抜き、プラズマブラスト、水ジェット、ホットピン、圧縮空気ブラスト、またはそれらの組み合わせなど、好適な任意の方法によって形成されうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層またはセンサシートは、穿孔または開口部を形成するためにドリル加工することができる。いくつかの実施形態では、創傷接触層またはセンサシートは、例えば一つまたは複数の糸と結合されたニードルによって、一つまたは複数の糸が編組み/導入されるときに穿孔されうる。
【0291】
一つまたは複数の糸は、創傷流体を輸送できる材料から構成されうる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸が親水性材料から構成されている。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸がビスコース、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリアミドから作られうる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸を界面活性剤で処理して、一つまたは複数の糸を親水性にすることができる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸が4DG繊維から構成されている。一つまたは複数の糸は、単一フィラメントまたは複数フィラメントから構成されうる。一つまたは複数の糸は、コア紡糸および/または環紡糸であってもよい。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸が弾性材料から構成され、そのため、一つまたは複数の糸は伸縮可能である。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸は、紡糸完成品であってもよい。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸は、例えば、phなどの流体と接触する創傷状態に対する一部のフィードバックを提供するように構成されうる。
【0292】
図18~
図20は、一つまたは複数の糸を有するセンサシートの実施形態を図示する。
図18~
図20は、それぞれセンサシート1800、1900、および2000を図示したものであり、それぞれが、センサシート1200または本明細書に記載のその他の回路基板またはセンサシートと類似しうる。センサシート1800、1900、および2000のさまざまな構成要素を指定するために使用される参照番号は、創傷被覆材システム1200の対応する構成要素を識別するために使用されるものと同一である。例えば、各センサシート1800、1900、および2000は、本明細書に記載の、センサシート基材1210、電子構成要素1230、複数の電子接続1220、コーティング1240および1260、および/または、一つまたは複数のスリット、穴、または穿孔1280を含み得る。
【0293】
図18のセンサシート1800は、一つまたは複数の糸1850を含みうる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸1850は、取付部分1852および取付部分1852の間にそれぞれ延びる一つまたは複数のループ部分1854を含みうる。一つまたは複数の糸1850は、取付部分1852でセンサシート1800の側面に取り付けることができ、一方、ループ部分1854はセンサシート1800から少なくとも部分的に離れるように延びる。ループ部分1854は、センサシートの表面を実質的に平坦化する(または均一にする)ことができ、これは突出する電子構成要素のために不均一な場合がある。一つまたは複数の糸1850のループ部分1854は、緩衝材として作用することができる。いくつかの実施形態では、親水性でありうる一つまたは複数の糸1850は、例えば、毛細管現象によって、一つまたは複数の糸1850のそれぞれに沿って横方向に流体を輸送できる。
【0294】
一つまたは複数の糸1850は、創傷側および/または反対側の非創傷側に取り付けることができる。一つまたは複数の糸の取付部分1852は、コーティング1240および1260などの共形コーティング上に取り付けられてもよい。好適な任意の接着剤を使用して、一つまたは複数の糸1850をコーティング上に取り付けることができる。接着剤は生体適合性であってもよい。接着剤は、実質的に可撓性であってもよい。接着剤は、疎水性または親水性であってもよい。例えば、疎水性接着剤を使用して、流体が存在する場合に繊維の接着を維持することができる。いくつかの実施形態では、PVA接着剤は、接着剤として使用できる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸1850は、取付部分1852でセンサシート1800のコーティングまたはその他の構成要素に熱溶接されうる。
【0295】
図19は、一つまたは複数の糸1950を含むセンサシート1900を図示する。糸1650および1750と同様に、一つまたは複数の糸1950は、センサシート1900の厚さにわたって延びてもよい。例えば、一つまたは複数の糸1950は、センサシート1900の予め形成された穿孔を通して編組まれるか、または導入されうる。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸がセンサシート1900を通して編組まれているため、例えば、針を用いて穿孔を形成しうる。さらに、一つまたは複数の糸1950は、センサシート1900の側面から延びるループ部分1954を有しうる。糸1950のループ部分1954は、緩衝材として作用することができる。
図19に示されるように、糸1950は、センサシート1900の両側にループ部分1954を有してもよい。いくつかの実施形態では、糸1950は、創傷に面する側面または反対側の創傷に面さない側面上にループ部分1954を有してもよい。いくつかの実施形態では、親水性でありうる一つまたは複数の糸1950は、例えば、毛細管現象によって、一つまたは複数の糸1950のそれぞれに沿って横方向に流体を輸送できる。
【0296】
図20は、複数の糸2050を含むセンサシート2000を図示する。糸1650および1750と同様に、一つまたは複数の糸2050は、センサシート2000の厚さにわたって延びてもよい。例えば、一つまたは複数の糸1950は、センサシート1900の予め形成された穿孔を通して編組まれるか、または導入されうる。さらに、一つまたは複数の糸2050は、センサシート2000の一つまたは複数の側面に複数の緩みのある端部を有することができる。例えば、一つまたは複数の糸2050は、センサシート1900の非創傷側に複数の緩みのある端部を有することができ、それによって、創傷から一つまたは複数の糸2050を通して輸送される創傷流体のより詳細な分散を促進する。いくつかの実施形態では、一つまたは複数の糸2050は、センサシート2000の創傷側に複数の緩みのある端部を有しうる。
【0297】
本明細書で説明した通り、一つまたは複数のフロック繊維、糸、またはADLを用いて緩衝を提供することは、圧縮被覆材に有利でありうる。こうした被覆材は、陰圧創傷療法と共に、または陰圧創傷療法なしで使用することができ、圧縮には約40mmhg、および/または、圧縮には最大200mmhgまで、耐えることができる。
【0298】
他の変形
いくつかの実施形態では、創傷に面する側の反対側の創傷接触層の側に一つまたは複数の電子部品を配置することができる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、このような創傷接触層に同様に適用可能である。本明細書に記載される創傷被覆材の実施形態は、記載された他の創傷被覆材の実施形態のいずれかの特徴を含むことができる。同様に、本明細書に記載される任意のコントローラは、記述された他の創傷被覆材の実施形態のいずれかの特徴を含むことができる。さらに、特定の実施形態に記載された任意のデバイス、コンポーネント、またはモジュールは、デバイス、コンポーネント、またはモジュールの記述された他の実施形態のいずれかの特徴を含むことができる。
【0299】
本明細書に提供される閾値、制限、期間などの任意の値は、絶対的であることを意図せず、したがって近似であり得る。さらに、本明細書で提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的にまたはユーザによって、固定されるかまたは変えられうる。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。その上、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下にある、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。また、種々のプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを判定することに関して説明されうるが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に解釈されうる。
【0300】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、材料、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特性のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特性またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特性のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0301】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変形がなされうる。実施形態によっては、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なりうることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々なコンポーネントが、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装されてもよい。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGAおよび類似ものなど、ハードウェア構成要素は論理回路を含み得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0302】
本開示には、特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特性および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって画定されうる。
【0303】
「しうる(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特性、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特性、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特性、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」等の用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特性、行為、および動作等を排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味しうる。
【0304】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかでありうることを伝えるのに一般的に用いられる文脈と共に、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくともXのうちの一つと、少なくともYのうちの一つと、少なくともZのうちの一つとを含むことを必要とするという示唆を通常意図しない。
【0305】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特徴に近い値、量、または特徴を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味しうる。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特徴を意味する。
【0306】
本開示の範囲は、本節におけるまたは本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節においてまたは本明細書の他の箇所において提示されているか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義されうる。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
創傷監視および/または療法装置であって、
創傷の上に位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、創傷接触層を含み、前記創傷接触層が、
前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷に面するように構成された創傷に面する側面と、
前記創傷に面する側面に対向する、創傷に面さない側面と、
前記創傷に面する側面および前記創傷に面さない側面のうちの一方の上に位置付けられた複数の第一フロック繊維であって、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記フロック層に沿って、横方向に、垂直方向に、または、横方向および垂直方向に、創傷流体を分散させることを可能にするよう構成された材料を含む第一フロック繊維と、を含む創傷接触層を含む、創傷監視および/または療法装置。
[付記項2]
前記創傷接触層が、前記創傷に面する側面または前記創傷に面さない側面のうちの他方の上に位置付けられた複数の第二フロック繊維を含む、付記項1に記載の装置。
[付記項3]
前記創傷接触層が、流体が前記創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含む、付記項1~2のうちの一つまたは複数に記載の装置。
[付記項4]
前記複数の第一フロック繊維が、前記少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、前記少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するように構成される、付記項3に記載の装置。
[付記項5]
前記創傷被覆材が、前記創傷接触層の上に位置付けられた二次創傷接触層と、前記二次創傷接触層の上に位置付けられた流体吸収層と、をさらに含み、
前記二次創傷接触層が、流体が前記創傷接触層を通過して前記流体吸収層に入るように構成された少なくとも一つの穿孔を含み、
前記二次創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔が、前記創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔から水平にオフセットされる、付記項3または4のいずれかに記載の装置。
[付記項6]
前記複数の第一フロック繊維が、複数の毛またはループとして配置される、付記項1~5の一つまたは複数に記載の装置。
[付記項7]
前記創傷接触層が実質的に伸縮可能である、付記項1~6の一つまたは複数に記載の装置。
[付記項8]
前記創傷接触層がフィルム層を含む、付記項1~7の一つまたは複数に記載の装置。
[付記項9]
前記創傷接触層が多孔質層を含む、付記項1~7のいずれか一項に記載の装置。
[付記項10]
前記創傷接触層がポリウレタンを含む、付記項1~9の一つまたは複数に記載の装置。
[付記項11]
前記複数の第一フロック繊維が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成された柔らかい材料を含む、付記項1~10の一つまたは複数に記載の装置。
[付記項12]
創傷監視および/または療法装置であって、
創傷の上に位置付けられるよう構成された創傷被覆材であって、一つまたは複数の電子構成要素と、一つまたは複数の電子構成要素の少なくとも一部を接続する一つまたは複数
の電子接続と、を支持する創傷接触層を含む、創傷被覆材を含み、
前記創傷接触層が、前記創傷接触層の創傷に面する側面と、前記創傷接触層の前記創傷に面する側面に対向する、創傷に面さない側面のうちの少なくとも一つの上に位置付けられた、複数の第一フロック繊維を含む、創傷監視および/または療法装置。
[付記項13]
前記創傷接触層が、前記創傷に面する側面に対向する、創傷に面さない側面の上に位置付けられた複数の第二フロック繊維を含む、付記項12に記載の装置。
[付記項14]
前記創傷接触層が、共形コーティングに実質的に封入され、前記複数の第一フロック繊維が、前記共形コーティングに取り付けられるか、または接着される、付記項12に記載の装置。
[付記項15]
前記一つまたは複数の電子構成要素のうちの少なくとも一つの電子構成要素が、前記創傷接触層の前記創傷に面する側面の上に位置付けられ、前記複数の第一フロック繊維のフロック繊維が、前記少なくとも一つの電子構成要素の下に全く位置付けられない、付記項12~14のいずれか一項に記載の装置。
[付記項16]
前記創傷接触層が、流体が前記創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含む、付記項12~14のいずれか一項に記載の装置。
[付記項17]
前記複数の第一フロック繊維が、前記少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、前記少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するように構成される、付記項16に記載の装置。
[付記項18]
前記創傷被覆材が、前記創傷接触層の上に位置付けられた二次創傷接触層と、前記二次創傷接触層の上に位置付けられた流体吸収層と、をさらに含み、
前記二次創傷接触層が、流体が前記創傷接触層を通過して前記流体吸収層に入るように構成された少なくとも一つの穿孔を含み、
前記二次創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔が、前記創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔から水平にオフセットされる、付記項16または17のいずれかに記載の装置。
[付記項19]
前記複数の第一フロック繊維が、複数の毛またはループとして配置される、付記項12~18のいずれか一項に記載の装置。
[付記項20]
前記創傷接触層が実質的に伸縮可能である、付記項12~19のいずれか一項に記載の装置。
[付記項21]
前記複数の第一フロック繊維が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成された柔らかい材料を含む、付記項12~20のいずれか一項に記載の装置。
[付記項22]
前記創傷接触層がフィルム層を含む、付記項12~21のいずれか一項に記載の装置。
[付記項23]
前記創傷接触層が多孔性層を含む、付記項12~22のいずれか一項に記載の装置。
[付記項24]
前記創傷接触層がポリウレタンを含む、付記項12~23のいずれか一項に記載の装置。
[付記項25]
付記項1~24の一つまたは複数の装置を使用および/または操作する方法。
[付記項26]
創傷接触層を含む創傷被覆材を含む創傷監視および/または療法装置を操作する方法であって、
前記創傷被覆材が、前記創傷接触層の創傷に面する側面を前記創傷の少なくとも一部に接触して配置された状態で前記創傷の上に位置付けされるときに、
前記創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通して創傷流体を取り除くことであって、複数の第一フロック繊維が前記創傷の少なくとも一部に接触して、前記創傷接触層の前記創傷に面する側面上に位置付けられて、前記少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、前記少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送する、取り除くことを含む、方法。
[付記項27]
前記創傷被覆材が、前記創傷接触層の上方に位置付けられた二次創傷接触層をさらに含み、前記方法が、
前記創傷に面する側面に対向する、前記創傷接触層の創傷に面さない側面の上に位置付けられた複数の第二フロック繊維を介して、前記二次創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通して創傷流体を取り除くことであって、前記創傷に面さない側面が、前記二次創傷接触層に面している、取り除くことを含み、
前記二次創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔が、前記創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔から水平にオフセットされる、付記項26に記載の方法。
[付記項28]
前記創傷被覆材が、前記二次創傷接触層の上方に位置付けられた流体吸収層をさらに含み、前記方法が、
前記吸収層内に、前記二次創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔を通して取り除かれた前記流体を貯蔵することをさらに含む、付記項27に記載の方法。
[付記項29]
陰圧を使用して創傷流体を取り除くことをさらに含む、付記項26~28の一つまたは複数に記載の方法。
[付記項30]
複数の電子接続によって相互接続された複数の電子構成要素によって前記創傷の測定値を取得することをさらに含む、付記項26~29の一つまたは複数に記載の方法。
[付記項31]
創傷監視および/または療法装置であって、
創傷上に位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、
一つまたは複数の電子構成要素および前記一つまたは複数の電子構成要素の少なくとも一部を接続する一つまたは複数の電子接続を含む創傷接触層と、
前記創傷接触層の上方の吸水分散層であって、流体の分散を可能にするように構成される、吸水分散層と、を含む、創傷被覆材を含む、創傷監視および/または療法装置。
[付記項32]
前記創傷接触層が、流体が前記創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含む、付記項31に記載の装置。
[付記項33]
前記吸水分散層が、前記少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、前記少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するように構成される、付記項32に記載の装置。
[付記項34]
前記創傷被覆材が、前記創傷接触層の上に位置付けられた二次創傷接触層と、前記二次創傷接触層の上に位置付けられた流体吸収層と、をさらに含み、
前記二次創傷接触層が、流体が前記創傷接触層を通過して前記流体吸収層に入るように構成された少なくとも一つの穿孔を含み、
前記二次創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔が、前記創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔から水平にオフセットされる、付記項32または33のいずれかに記載の装置。
[付記項35]
前記創傷接触層が実質的に伸縮可能である、付記項31~34のいずれか一項に記載の装置。
[付記項36]
前記吸水分散層が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成される、付記項31~35のいずれか一項に記載の装置。
[付記項37]
前記吸水分散層が横方向に流体を流すように構成される、付記項31~36のいずれか一項に記載の装置。
[付記項38]
前記吸水分散層が複数の内部層を含む、付記項31~37のいずれか一項に記載の装置。
[付記項39]
前記吸水分散層が少なくとも一方向に伸縮可能である、付記項31~38のいずれか一項に記載の装置。
[付記項40]
前記吸水分散層が一つまたは複数のスリットを含む、付記項31~39のいずれか一項に記載の装置。
[付記項41]
前記吸水分散層が複数の繊維片を含む、付記項31~40のいずれか一項に記載の装置。
[付記項42]
前記創傷接触層が多孔性層を含む、付記項31~41のいずれか一項に記載の装置。
[付記項43]
前記創傷接触層がフィルム層を含む、付記項31~42のいずれか一項に記載の装置。
[付記項44]
前記創傷接触層がポリウレタンを含む、付記項31~43のいずれか一項に記載の装置。
[付記項45]
創傷監視および/または療法装置であって、
創傷接触層を含み、創傷の上に位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、前記創傷接触層が、
前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷に面するように構成された創傷に面する側面と、
前記創傷に面する側面に対向する、創傷に面さない側面と、
一つまたは複数の糸であって、前記糸の第一の部分が、前記創傷接触層の厚さを横切って延在し、前記糸の前記第一の部分が、前記創傷に面する側面から前記創傷に面さない側面に創傷流体を輸送するように構成される、一つまたは複数の糸と、を含む、創傷接触層を含む、創傷監視および/または療法装置。
[付記項46]
前記糸の第二の部分が、前記創傷接触層の前記創傷に面する側面または前記創傷に面さない側面に沿って横方向に延在し、前記糸の前記第二の部分が創傷流体を横方向に輸送するように構成される、付記項45に記載の装置。
[付記項47]
前記一つまたは複数の糸が、前記創傷接触層に対してマシンエンブロイダリーされる、付記項45または46に記載の装置。
[付記項48]
前記一つまたは複数の糸がさらに、ループ形状に配置されたループ部分を含み、前記創傷に面する側面および/または前記創傷に面さない側面から離れるように延在する、付記項45~47のいずれか一項に記載の装置。
[付記項49]
前記一つまたは複数の糸は、前記創傷に面する側面および/または前記創傷に面さない側面から延在し、前記糸の複数の結んでいない末端を含む房付き部分を含む、付記項45~48のいずれか一項に記載の装置。
[付記項50]
前記創傷接触層が、流体が前記創傷接触層を通過できるように構成された少なくとも一つの穿孔を含む、付記項45~49のいずれか一項に記載の装置。
[付記項51]
前記一つまたは複数の糸の少なくとも一部分が、前記創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔を貫通する、付記項50のいずれか一項に記載の装置。
[付記項52]
前記一つまたは複数の糸が、流体を流すように構成される、付記項45~51のいずれか一項に記載の装置。
[付記項53]
前記創傷接触層が実質的に伸縮可能である、付記項45~52のいずれか一項に記載の装置。
[付記項54]
前記創傷接触層が、一つまたは複数の電子構成要素、および前記電子構成要素の少なくとも一部を接続する一つまたは複数の電子接続を含む、付記項45~53のいずれか一項に記載の装置。
[付記項55]
創傷監視および/または療法装置であって、
創傷の上に位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、複数の電子構成要素、および前記複数の電子構成要素の少なくとも一部を接続する複数の電子接続を支持する可撓性の創傷接触層を含み、
前記創傷接触層が、創傷滲出液の流れを許容するように構成された少なくとも一つの穿孔を含む、創傷監視および/または療法装置。
[付記項56]
前記少なくとも一つの穿孔が、実質的に前記創傷接触層の中心に位置付けられた第一の穿孔、および前記創傷接触層の周辺に少なくとも部分的に位置付けられた第二の穿孔を含む、付記項55に記載の装置。
[付記項57]
前記少なくとも一つの穿孔が、実質的に滑らかな側面を含む、付記項55または56に記載の装置。
[付記項58]
前記少なくとも一つの穿孔が、実質的に滑らかな縁部を含む、付記項55~57のいずれか一項に記載の装置。
[付記項59]
前記複数の電子接続が、実質的に丸い角を含む、付記項55~58のいずれか一項に記載の装置。
[付記項60]
前記少なくとも一つの穿孔が、前記創傷接触層の厚さに沿って形成された複数の穿孔を含む、付記項55~59のいずれか一項に記載の装置。
[付記項61]
前記複数の穿孔が実質的に互いに平行である、付記項60に記載の装置。
[付記項62]
前記複数の穿孔が第一および第二の穿孔を含み、前記第一の穿孔が前記第二の穿孔が形成される第二の方向とは異なる第一の方向に沿って形成される、付記項60に記載の装置。
[付記項63]
創傷監視および/または療法装置であって、
創傷の上に位置付けられるように構成された創傷被覆材であって、創傷接触層を含む前記創傷被覆材が、前記創傷の少なくとも一部分と接触して配置されるよう構成された、創傷に面する側面を含み、前記創傷接触層が、創傷流体が前記創傷接触層を通過できるよう構成された少なくとも一つの穿孔を含む、創傷被覆材を含み、
複数の第一フロック繊維が、前記創傷接触層の前記創傷に面する側面の上に位置付けられ、前記複数の第一フロック繊維が、前記創傷の少なくとも一部分と接触するよう構成され、前記少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から前記少なくとも一つの穿孔に向かって流体を送達するようにさらに構成され、および/または、
吸水分散層が、前記創傷接触層の上に位置付けられ、前記吸水分散層が、流体の分散を可能にするよう構成され、前記少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、前記少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するようにさらに構成され、および/または、
前記創傷接触層を通って、かつ前記少なくとも一つの穿孔を通って垂直方向に延びる一つまたは複数の糸の少なくとも一部分であって、前記一つまたは複数の糸の少なくとも一部分が、前記創傷に面する側面から前記創傷に面さない側面に創傷流体を輸送するように構成される、創傷監視および/または療法装置。
[付記項64]
前記複数の第一フロック繊維が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成された柔らかい材料を含む、付記項63に記載の装置。
[付記項65]
前記吸水分散層が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成される、付記項63~64のいずれかに記載の装置。
[付記項66]
前記一つまたは複数の糸が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成される、付記項63~65のいずれかに記載の装置。
[付記項67]
前記創傷被覆材が、圧縮被覆材を含む、付記項63~66のいずれかに記載の装置。
[付記項68]
前記創傷被覆材が、前記創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔を通して前記創傷流体を移動させるように構成された陰圧源に流体接続されるように構成される、付記項63~67のいずれかに記載の装置。
[付記項69]
創傷被覆材を含む創傷監視および/または療法装置を操作する方法であって、
創傷被覆材が、前記創傷被覆材の創傷接触層の創傷に面する側面が創傷の少なくとも一部分と接触して配置された状態で、前記創傷の上に位置付けられるように構成された状態で、前記創傷接触層の少なくとも一つの穿孔を通して創傷流体を取り除くことを含み、
複数の第一フロック繊維が、前記創傷接触層の前記創傷に面する側面に位置付けられ、前記複数の第一フロック繊維が、前記創傷の少なくとも一部分と接触するよう構成され、前記少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、前記少なくとも一つの穿孔に向かって流体を送達するようにさらに構成され、および/または、
吸水分散層が、前記創傷接触層の上に位置付けられ、前記吸水分散層が、流体の分散を可能にするよう構成され、前記少なくとも一つの穿孔から遠隔な位置から、前記少なくとも一つの穿孔に向かって流体を輸送するようにさらに構成され、および/または、
前記創傷接触層の厚さを横切って、前記少なくとも一つの穿孔を通って延びる一つまたは複数の糸の少なくとも一部分であって、前記創傷に面する側面から前記創傷に面さない側面に創傷流体を輸送するように構成された、方法。
[付記項70]
前記複数の第一フロック繊維が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成された柔らかい材料を含む、付記項69に記載の方法。
[付記項71]
前記吸水分散層が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成される、付記項69~70のいずれかに記載の方法。
[付記項72]
前記一つまたは複数の糸が、前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられると、前記創傷接触層を緩衝するように構成される、付記項69~71のいずれかに記載の方法。
[付記項73]
前記創傷被覆材が、圧縮被覆材を含む、付記項69~72のいずれかに記載の方法。
[付記項74]
前記創傷被覆材が、前記創傷接触層の前記少なくとも一つの穿孔を通して前記創傷流体を移動させるように構成された陰圧源に流体接続されるように構成される、付記項69~73のいずれかに記載の方法。
[付記項75]
付記項1~74のいずれかに記載の装置を使用する方法。
[付記項76]
図示および/または説明されている創傷被覆材。
[付記項77]
図示および/または説明されている創傷監視および/または療法システム。
[付記項78]
図示および/または説明されている創傷被覆材を使用する方法。
[付記項79]
図示および/または説明されている創傷監視および/または療法システムを使用する方法。